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JP2002104995A - テロメラーゼ活性抑制剤 - Google Patents

テロメラーゼ活性抑制剤

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Publication number
JP2002104995A
JP2002104995A JP2000300318A JP2000300318A JP2002104995A JP 2002104995 A JP2002104995 A JP 2002104995A JP 2000300318 A JP2000300318 A JP 2000300318A JP 2000300318 A JP2000300318 A JP 2000300318A JP 2002104995 A JP2002104995 A JP 2002104995A
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JP
Japan
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receptor
ligand
rxr
vitamin
retinoid
Prior art date
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Pending
Application number
JP2000300318A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiko Hosaka
正彦 穂坂
Yoshinobu Kubota
吉信 窪田
Hiroshi Kamimura
博司 上村
Naoya Ikeda
直弥 池田
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Original Assignee
Individual
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Publication date
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  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ヒトテロメラーゼ逆転写酵素( hTERT)のプロ
モーター領域に直接的又は間接的に作用してその発現量
を低下させることができる物質で、テロメラーゼ活性抑
制剤及び抗がん剤等として有用な医薬の提供。 【解決手段】 1,25−ジヒドロキシビタミンD
のビタミンDレセプターのアゴニストと9−cisレチ
ノイン酸等のレチノイドXレセプター(RXR)のリガ
ンドとの組合わせから成る医薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テロメラーゼ活性
抑制剤および抗がん剤等として有用な医薬に関する。よ
り詳細には、本発明は、活性型ビタミンD3である1,
25−ジヒドロキシビタミンD3などのビタミンDレセ
プターのリガンドと、9−cisレチノイン酸などのレ
チノイドXレセプター(RXR)のリガンドとの組み合
わせから成る医薬に関する。本発明はまた、ビタミンD
レセプターのリガンドと組み合わせて使用することによ
りテロメラーゼ活性を抑制することができる、レチノイ
ドXレセプター(RXR)のリガンドのスクリーニング
方法、並びにレチノイドXレセプター(RXR)のリガ
ンドと組み合わせて使用することによりテロメラーゼ活
性を抑制することができる、ビタミンDレセプターのリ
ガンドのスクリーニング方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】線状染色体をもつ真核細胞では細胞分裂
毎に染色体の末端テロメアが短縮し、その結果、正常な
体細胞は一定回数しか分裂できないが、生殖細胞や不死
化したガン細胞は無限に増殖することが可能である。ガ
ン細胞等が無限に増殖することを可能にしているもの
が、テロメアDNAを延長したり、テロメア長を維持す
る酵素であるテロメラーゼであると考えられている。テ
ロメラーゼは、ヒト体細胞ではほとんど見られないが、
すべての悪性細胞において発現しており(Counter C.
M., et al, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 91, 2900-2904
(1994), Counter C. M.,et al, Blood, 85, 2315-2320
(1995)、Langford L.A., et al, Lancet, 346, 1267-126
8 (1995))、癌細胞や不死化細胞の約90%で高テロメ
ラーゼ活性が見いだされている(Bestilny L.J., et a
i, CancerRes., 56, 3796-3802(1996))。またテロメラ
ーゼ活性は腫瘍悪性化の程度にしたがって上昇する(Hi
yama E., et al, Nature Med., 1, 249-255 (1995)、Som
merfeld H.J., et al, Cancer Res., 56, 218-222 (199
6)、 Mehle C.,et al, Oncogene, 13, 161-166(199
6))。すなわち、テロメラーゼは、in vivoおよ
びin vitroで無限の細胞増殖に係ることが示唆
されている(Kim N.W.,et al, Science, 266, 2011-201
5 (1994))。
【0003】テロメラーゼを構成する遺伝子群は、ヒト
テロメラーゼ(hTR)、ヒトテロメラーゼ付随タンパク質
(TP1)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)の3つから
なる。hTRはRNA componentであり、テロメアのTTAGGGの
repeatを作成する鋳型 サブユニットである。TP1につい
ては、その機能は未だ不明である。hTERTは、テロメラ
ーゼの触媒サブユニットの一つであり、最近の研究によ
り、その発現量は hTRやTP1よりも、テロメラーゼ活性
を正確に反映すると考えられている。
【0004】最近のhTERTのプロモーター領域の研究に
より、hTERTプロモーターにはc-Myc/Maxが結合するE-bo
xがあり、これらにより、hTERTの発現が促進されること
が判明してきた。また、hTERT プロモーター領域内には
Estrogen Response Elementが存在し、Estrogenによっ
ても、hTERTの発現が促進されることが判明してきた。h
TERTのプロモーター領域に直接的または間接的に作用し
てその発現量を低下させることができる物質が見つかれ
ば、テロメラーゼ活性を抑制するのに有用であり、新規
な抗がん剤を開発することが可能になる。
【0005】活性型ビタミンD3(即ち、1,25−ジ
ヒドロキシビタミンD3など)の受容体であるビタミン
3受容体(VDR)はステロイドホルモンレセプター
が含まれる核内 受容体のサブグループとして知られて
いる。VDRはVDR同士のホモダイマーを形成する
か、9−cisレチノイン酸(9−cisRA)などを
リガンドとするレチノイドXレセプター(RXRs)と
のヘテロダイマーを形成し、AGGTCANNNAGGTCA(配列番
号1)(本明細書において塩基配列中のNは、A,G,C,Tの
何れか任意の塩基を示す)で示されるdirect repeat (D
R)3と呼ばれるコンセンサス配列に結合し、遺伝子発現
の調節を行うことが知られている。しかしながら、hTER
Tのプロモーター領域内にVDRが結合できるコンセン
サス配列が存在することはこれまでのところ報告されて
いない。また、ヒト白血病細胞株においてビタミンD3
はテロメラーゼ活性を減少させるという報告があった
が、その機序については不明であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、hTERTのプ
ロモーター領域に直接的または間接的に作用してその発
現量を低下させることができる物質を提供することを解
決すべき課題とした。本発明はまた、上記物質を利用し
たテロメラーゼ活性抑制剤または抗がん剤を提供するこ
とを解決すべき課題とした。本発明はさらに、レチノイ
ドXレセプター(RXR)のリガンド並びにビタミンD
レセプターのリガンドのスクリーニング方法を提供する
ことを解決すべき課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、hTERT プロモーター
領域内にDR3に類似した配列AGTTCA nnn AGTTCAを発見し
た(図1のA)。そして、この配列がhTERTの発現に作用
を与えるかどうかを調べ、前立腺癌細胞株を用いた実験
系において活性型ビタミンD3と9−cisレチノイン
酸の投与によりhTERTの発現が抑制されることを実証し
た。さらに、前立腺細胞株に活性型ビタミンD3と9−
cisレチノイン酸を投与すると細胞の増殖が抑制され
ることも実証した。本発明はこれらの知見に基づいて完
成したものである。
【0008】即ち、本発明によれば、ビタミンDレセプ
ターのリガンドとレチノイドXレセプター(RXR)の
リガンドとの組み合わせから成る医薬が提供される。本
発明の医薬は、テロメラーゼ活性抑制剤として有用であ
り、特に抗がん剤として使用できる。本発明において好
ましくは、ビタミンDレセプターのリガンドは1,25
−ジヒドロキシビタミンD3である。本発明において好
ましくは、レチノイドXレセプター(RXR)のリガン
ドは9−cisレチノイン酸である。
【0009】本発明の別の側面によれば、治療有効量の
ビタミンDレセプターのリガンドと治療有効量のレチノ
イドXレセプター(RXR)のリガンドとをヒトを含む
哺乳動物に投与することを特徴とする、テロメラーゼ活
性を抑制する方法または癌の治療方法が提供される。本
発明のさらに別の側面によれば、テロメラーゼ活性抑制
剤または抗がん剤の製造のための、ビタミンDレセプタ
ーのリガンドとレチノイドXレセプター(RXR)のリ
ガンドとの使用が提供される。
【0010】本発明のさらに別の側面によれば、少なく
とも塩基配列AGTTCANNNAGTTCAを含むhTERT プロモータ
ーとレポーター遺伝子とを含む核酸構築物を有し、ビタ
ミンD3受容体(VDR)及びレチノイドXレセプター
(RXR)を発現する細胞系に、ビタミンDレセプター
のリガンドと候補物質を添加し、レポーター遺伝子の発
現を抑制させる候補物質を選択することを特徴とする、
レチノイドXレセプター(RXR)のリガンドのスクリ
ーニング方法が提供される。本発明のさらに別の側面に
よれば、テロメラーゼ活性を有する細胞系にビタミンD
レセプターのリガンドと候補物質を添加し、hTERTの発
現の程度またはテロメラーゼ 活性の変化を分析し、hTE
RTの発現の程度またはテロメラーゼ 活性を低下させる
候補物質を選択することを特徴とする、レチノイドXレ
セプター(RXR)のリガンドのスクリーニング方法が
提供される。
【0011】本発明のさらに別の側面によれば、テロメ
ラーゼ活性を有する癌細胞にビタミンDレセプターのリ
ガンドと候補物質を添加し、細胞の増殖抑制を示す候補
物質を選択することを特徴とする、レチノイドXレセプ
ター(RXR)のリガンドのスクリーニング方法が提供
される。本発明のさらに別の側面によれば、上記した何
れかのスクリーニング方法により選択されるレチノイド
Xレセプター(RXR)のリガンドが提供される。
【0012】本発明のさらに別の側面によれば、少なく
ともAGTTCANNNAGTTCAを含むプロモーターとその下流に
レポーター遺伝子とを含む核酸構築物を有し、ビタミン
DレセプターとレチノイドXレセプター(RXR)を有
する細胞系に、レチノイドXレセプター(RXR)のリ
ガンドと候補物質を添加し、レポーター遺伝子の発現を
抑制させる候補物質を選択することを特徴とする、ビタ
ミンDレセプターのリガンドのスクリーニング方法が提
供される。本発明のさらに別の側面によれば、テロメラ
ーゼ活性を有する細胞系にレチノイドXレセプター(R
XR)のリガンドと候補物質を添加し、hTERTの発現の
程度またはテロメラーゼ活性の変化を分析し、hTERTの
発現の程度またはテロメラーゼ活性を低下させる候補物
質を選択することを特徴とする、ビタミンDレセプター
のリガンドのスクリーニング方法が提供される。
【0013】本発明のさらに別の側面によれば、テロメ
ラーゼ活性を有する癌細胞にレチノイドXレセプター
(RXR)のリガンドと候補物質を添加し、細胞の増殖
抑制を示す候補物質を選択することを特徴とする、ビタ
ミンDレセプターのリガンドのスクリーニング方法が提
供される。本発明のさらに別の側面によれば、上記した
何れかのスクリーニング方法により選択されるビタミン
Dレセプターのリガンドが提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。(1)本発明の医薬について 本発明の医薬は、ビタミンDレセプターのリガンドとレ
チノイドXレセプター(RXR)のリガンドとの組み合
わせから成ることを特徴とする。本発明の医薬は、テロ
メラーゼ活性抑制剤として使用でき、テロメラーゼ活性
を抑制することにより治療できる疾患(例えば、癌な
ど)の治療剤として有用である。
【0015】本明細書で言う「ビタミンDレセプターの
リガンド」とは、一定の親和性でビタミンDレセプター
と結合できる物質を意味し、好ましくは該リガンドが結
合したビタミンDレセプターがレチノイドXレセプター
(RXR)とヘテロダイマーを形成することができるよ
うな物質である。ビタミンDレセプターのリガンドの具
体例を以下に列挙し、これらの化合物のうちの一部の構
造を以下に示す。
【0016】1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 1α−ヒドロキシビタミンD3 MC903(1α,24S−ジヒドロキシ−22エン−
26,27デヒドロビタミンD3) MC1127 TV−02 KH1060(20−エピ−22−オキサ−24a,2
6a,27a−tri-hmo−1α,25−ジヒドロキシビ
タミンD3) KH1139 KH1266(1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-[1(R)-
(4-エチルヒドロキシ)-1-プロピル]-9,10-セロプレグナ
-5(Z),7(E),10(19)-トリエン-1α,25-ジヒドロキシビタ
ミンD3) EB1089(1α,25−ジヒドロキシ−22,24
−ジエン−24,26,27−トリホモビタミンD3) CB1093(20−エピ−22−エトキシ−23−イ
ン−24a,26a,27a−ri−homo−1α,25−
ジヒドロキシビタミンD3) CB1267(1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(4-ヒド
ロキシ−4−トリフルオロメチル−5,5,5-トリフルオロ
-1-ペンチ-2-ニルオキシメチル)-9,10-セロプレグナ-5
(Z),7(E),10(19)-トリエン-1α,25-ジヒドロキシビタミ
ンD3
【0017】Ro−25−4020(1,25-ジヒドロキ
シ-16-エン-5,6-トランスビタミンD 3) Ro−22−3790(1,25-ジヒドロキシ-5,6-トラン
スビタミンD3) Ro−24−2637(1,25-ジヒドロキシ-16-エン-ビ
タミンD3) Ro−24−2287(25-ヒドロキシ-16,23-ジエン-
コレカルシフェロール) OCT(1α,25-ジヒドロキシ-22-オキサビタミンD3) ED−71(1α,25-ジヒドロキシ-2β-(3-ヒドロキシ
プロポキシ)ビタミンD 3) calcipotriol alfacalcidol 22−チア−1α,25-ジヒドロキシビタミンD3 20−エピ−22−チア−1α,25-ジヒドロキシビタミ
ンD3 22−チア−26,27−ジホモ−1α,25-ジヒドロキ
シビタミンD3 20−エピ−22−チア−26,27−ジホモ−1α,25
-ジヒドロキシビタミンD3 21−nor−1α,25-ジヒドロキシビタミンD3 19−nor−1α,25-ジヒドロキシビタミンD3 5,6−トランス−16−エンビタミンD3 その他、以下の表1〜表3に記載した化合物。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】本明細書で言う「レチノイドXレセプター
(RXR)のリガンド」とは、一定の親和性でレチノイ
ドXレセプター(RXR)と結合できる物質を意味す
る。なお、RXRは、オールトランス型レチノイン酸が
結合するレチノイドレセプター(RA)とヘテロダイマ
ーを形成するのみならず、甲状腺ホルモンレセプタ(T
R)、ペルオキシソーム増感剤応答性レセプタ(PPA
R)、ビタミンDレセプタ(VDR)、オキシステロー
ルレセプタ(LXR)、プレグネノロンレセプタ(PX
R)、ファルネシル酸レセプタ(FXR)などともヘテ
ロダイマーを形成することが明らかになっている。本明
細書で言う「レチノイドXレセプター(RXR)のリガ
ンド」は好ましくは、該リガンドが結合したレチノイド
Xレセプター(RXR)がビタミンDレセプター(VD
R)とヘテロダイマーを形成することができるような物
質である。
【0025】レチノイドXレセプター(RXR)のリガ
ンドとしては、上記性質を満たすリガンドである限り任
意の化合物を使用することができる。レチノイドXレセ
プター(RXR)のリガンドとしては、例えば、例え
ば、レチノイン酸の各種異性体および/またはその塩類
(例えば、金属塩、有機アミン塩など),エステル類
(例えば、一価アルコールとのエステル,多価アルコー
ルとのエステル,フェノール類とのエステル,リン酸エ
ステル、燐脂質複合体など)、アミド類(例えば、レチ
ノイン酸アミド)、レチノールの各種異性体および/ま
たはその誘導体(酢酸エステル,パルミチン酸エステル
等の脂肪酸エステル,リン酸エステル,燐脂質複合体,
一価アルコールとのエーテル,多価アルコールとのエー
テル等),レチナールの各種異性体および/またはその
誘導体(例えば、一級アミンとのシッフ塩基,一級アル
コールとのアセタール,多価アルコールとのアセタール
等)等が挙げられる。
【0026】レチノイドXレセプター(RXR)のリガ
ンドの具体例を以下に列挙し、これらの化合物のうちの
一部の構造を以下に示す。 オールトランスレチノイン酸 9−シスレチノイン酸 13−シスレチノイン酸 Rtinal palmitate エトレチネート(etretinate) TMMPエトレチネート Am80 TTNPB SR11237 リコペン(Lycopen) HX600 ゲラニルゲラノイン酸(Geranylgeranoic acid) 4,5−ジデヒドロゲラニルゲラノイン酸(4,5-didehy
dro geranylgeranoicacid) フィタン酸 ハイドロブレン酸 メトブレン酸エチルエステル
【0027】
【化4】
【0028】本発明の医薬ではビタミンDレセプターの
リガンドとレチノイドXレセプター(RXR)のリガン
ドが有効成分として使用されるが、各リガンドとしては
1種類のものを使用しても2種類以上の異なるものを併
用してもよい。
【0029】本明細書の以下の実施例でも実証される通
り、ビタミンDレセプターのリガンド(VDRリガン
ド)とレチノイドXレセプター(RXR)のリガンド
(RXRリガンド)とを組み合わせて投与すると、VD
RリガンドはVDRと結合し、RXRリガンドはRXR
と結合し、その後VDRとRXRはヘテロダイマーを構
成し、hTERTのDR3'に結合することにより、hTERTの発現
を抑制するものと考えられる。そしてhTERTの発現の抑
制によりテロメラーゼ活性の低下が誘発され、その後の
細胞分裂に従うテロメアの維持が困難になり、細胞増殖
が抑制されると推測される。従って、ビタミンDレセプ
ターのリガンド(VDRリガンド)とレチノイドXレセ
プターのリガンド(RXRリガンド)との組み合わせか
ら成る本発明の医薬は、テロメラーゼ活性抑制剤として
有用であり、特に抗がん剤として有用である。
【0030】本発明の抗がん剤の治療の対象となる癌の
種類は特に限定されないが、好ましくはテロメラーゼ活
性が認められる癌である。本発明の医薬で治療すること
ができる癌や悪性腫瘍の具体例としては、例えば、急性
白血病、慢性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、マ
クログロブリン血症などの造血器腫瘍、大腸癌、脳腫
瘍、頭頸部癌、乳癌、肺癌、食道癌、胃癌、肝癌、胆嚢
癌、胆管癌、膵癌、膵島細胞癌、腎細胞癌、副腎皮質
癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮癌、絨
毛癌、甲状腺癌、悪性カルチノイド腫瘍、皮膚癌、悪性
黒色腫、骨肉腫、軟部組織肉腫、神経芽細胞腫、ウィル
ムス腫瘍、網膜芽細胞腫などの固形腫瘍が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。本発明の医薬
は、細胞の過剰増殖を伴う任意のタイプの癌、並びに細
胞の過剰増殖を伴う他の疾患(例えば、乾癬、マルファ
ン症候群、良性過形成等を含む)の治療に用いることが
できる。
【0031】本発明の医薬は、一般的な薬学的製剤の形
態で用いることができる。製剤は通常使用される賦形
剤,崩壊剤ないし崩壊補助剤,結合剤,滑沢剤,コーテ
イング剤,色素,希釈剤,基剤,溶解剤ないし溶解補助
剤,等張化剤,pH調節剤,安定化剤,噴霧剤,および
粘着剤などを用いて調製することができる。さらに、本
発明の医薬を含む製剤には、必要に応じて着色剤、保存
剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の薬剤を含有させるこ
ともできる。製剤の形態は治療目的に応じて任意に選択
することができ、経口投与に適する製剤の具体例として
は、例えば錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤,細粒剤,顆
粒剤,液剤、懸濁剤、乳剤,またはシロップ剤などが挙
げられ、非経口投与に適する製剤の具体例としては、例
えば注射剤、点滴剤,坐剤,吸入剤,または貼付剤など
が挙げられる。
【0032】本発明の医薬の投与経路は、経口投与でも
非経口投与(例えば、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、
動脈注射、腫瘍等に直接薬剤を注射する、局所注射、そ
の他、合剤を加工して体内に埋め込むなど)でもよい。
経口投与、経皮投与または経粘膜投与に適する製剤に
は、薬理学的、製剤学的に許容しうる添加物として、例
えばブドウ糖などの賦形剤;カルボキシメチルセルロー
スなどの崩壊剤ないし崩壊補助剤;ヒドロキシメチルセ
ルロースなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウムなど
の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの
コーテイング剤;ワセリンなどの基剤を用いることがで
きる。また、圧縮ガスなどの噴霧剤;ポリアクリル酸ナ
トリウムなどの粘着剤;木綿などの基布といった製剤用
添加物を用いて製剤を製造してもよい。注射あるいは点
滴用に適する製剤には、注射用蒸留水などの水性あるい
は用時溶解型注射剤を構成しうる溶解剤ないし溶解補助
剤;ブドウ糖などの等張化剤;無機酸,有機酸,無機塩
基または有機塩基などのpH調節剤といった製剤用添加
物を添加してもよい。その他、徐放性製剤を調製して使
用することもできる。
【0033】本発明の医薬は、ビタミンDレセプターの
リガンドおよびレチノイドXレセプター(RXR)のリ
ガンドの2種類の有効成分を含む。本発明の医薬の具体
的な投与方法としては、これら2種類の有効成分を同時
に投与してもよいし、別々に時期をずらして投与しても
よい。また、2種類の有効成分から成る本発明の医薬
は、各々の有効成分を別個の薬学的製剤として調製し、
各々の有効成分を含む2種類の薬学的製剤を患者に投与
してもよいし、2種類の有効成分を含む単一の薬学的製
剤を混剤として調製し、これを患者に投与してもよい。
【0034】薬学的製剤中に含有されるべき有効成分の
量は、製剤の種類に応じて適宜選択することできるが、
通常は薬学的製剤中に約0.01〜100重量%、好ま
しくは約0.1〜50重量%である。例えば注射剤の場
合の有効成分の量は、通常0.1〜30重量%、好まし
くは1〜10重量%であり、経口投与のための錠剤、カ
プセル剤、顆粒剤、粉剤の場合の有効成分の量は通常5
〜100重量%、好ましくは25〜98重量%である。
【0035】本発明の医薬は、ヒトを含む哺乳動物に適
用することができる。本発明の医薬の投与量は、用法、
患者の年齢、性別、疾患の程度およびその他の条件によ
り適宜選択される。ビタミンDレセプターのリガンドの
投与量としては、一般的には1ng/体重kg/日から
10mg/体重kg/日であり、好ましくは1ng/体
重kg/日から10μg/体重kg/日である。レチノ
イドXレセプター(RXR)のリガンドの投与量として
は、一般的には1ng/体重kg/日から10mg/体
重kg/日であり、好ましくは1ng/体重kg/日か
ら10μg/体重kg/日である。
【0036】(2)本発明のスクリーニング方法につい
て 本発明のスクリーニング方法の第1の方法は、少なくと
もAGTTCANNNAGTTCA(配列番号2)を含むプロモーター
とその下流にレポーター遺伝子とを含む核酸構築物を有
し、ビタミンDレセプターとレチノイドXレセプター
(RXR)を有する細胞系に、ビタミンDレセプターの
リガンドと候補物質を添加し、レポーター遺伝子の発現
を抑制させる候補物質を選択することによって、レチノ
イドXレセプター(RXR)のリガンドをスクリーニン
グ方法、並びに少なくともAGTTCANNNAGTTCA(配列番号
2)を含むプロモーターとその下流にレポーター遺伝子
とを含む核酸構築物を有し、ビタミンDレセプターとレ
チノイドXレセプター(RXR)を有する細胞系に、レ
チノイドXレセプター(RXR)のリガンドと候補物質
を添加し、レポーター遺伝子の発現を抑制させる候補物
質を選択することによって、ビタミンDレセプターのリ
ガンドをスクリーニングする方法である。
【0037】塩基配列AGTTCANNNAGTTCAはhTERT プロモ
ーター領域内に存在するDR3に類似した配列であり、本
発明者らの今回の研究によりビタミンDレセプターとレ
チノイドXレセプターのヘテロダイマーが結合して該プ
ロモーターに作用し、その結果、hTERT の発現が低下す
ることが判明した。従って、少なくともAGTTCANNNAGTTC
Aを含むプロモーターとその下流にレポーター遺伝子と
を含む核酸構築物を有する細胞系にビタミンDレセプタ
ーのリガンドまたはレチノイドXレセプター(RXR)
のリガンドと候補物質を添加し、レポーター遺伝子の発
現を抑制させる候補物質を選択することにより、塩基配
列AGTTCANNNAGTTCAを含むプロモーターの活性を低下さ
せる物質を選択することができる。レポーター遺伝子の
種類は特に限定されず、その発現をアッセイできるもの
を適宜選択できる。レポーター遺伝子の具体例として
は、ルシフェラーゼ遺伝子、GFP(緑色蛍光タンパク
質)などを挙げることができる。
【0038】本発明のスクリーニング方法の第2の方法
は、テロメラーゼ活性を有する細胞系にビタミンDレセ
プターのリガンドと候補物質を添加し、hTERTの発現の
程度またはテロメラーゼ活性の変化を分析し、hTERTの
発現の程度またはテロメラーゼ活性を低下させる候補物
質を選択することによって、レチノイドXレセプター
(RXR)のリガンドをスクリーニング方法、並びにテ
ロメラーゼ活性を有する細胞系にレチノイドXレセプタ
ー(RXR)のリガンドと候補物質を添加し、hTERTの
発現の程度またはテロメラーゼ活性の変化を分析し、hT
ERTの発現の程度またはテロメラーゼ活性を低下させる
候補物質を選択することによって、ビタミンDレセプタ
ーのリガンドをスクリーニングする方法である。テロメ
ラーゼ活性を有する細胞系としては、例えば各種の癌細
胞を使用できる。hTERTの発現の程度の分析は、RT−
PCR法、ノーザンブロット法など当業者に公知の方法
により行うことができ、なかでもRT−PCR法は簡便
さの観点から好ましい。
【0039】またテロメラーゼ活性の変化を分析も、当
業者に公知の方法により行うことができる。具体的に
は、TRAP法(Kim NW, et al 266, 2011-2015, 199
4)(例えば、Intergen社のTRAPEZE(登録商標)を使用し
て実施可能)、並びにStretch PCR法(Tatematsu, K et
al 13, 2265-2274, 1996)(東洋紡のTeloChaserを使用
して実施可能)などの方法があり、簡便な方法として広
く用いられている。
【0040】本発明のスクリーニング方法の第3の方法
は、テロメラーゼ活性を有する癌細胞にビタミンDレセ
プターのリガンドと候補物質を添加し、細胞の増殖抑制
を示す候補物質を選択することによって、レチノイドX
レセプター(RXR)のリガンドをスクリーニング方
法、並びにテロメラーゼ活性を有する癌細胞にレチノイ
ドXレセプター(RXR)のリガンドと候補物質を添加
し、細胞の増殖抑制を示す候補物質を選択することによ
って、ビタミンDレセプターのリガンドをスクリーニン
グする方法である。この方法は細胞の増殖抑制を示す候
補物質を直接選択することができるため抗がん剤のスク
リーニングとしては最も直接的である。上記した3つの
スクリーニング方法は単独で行ってもよく、あるいは2
種以上の方法を組み合わせて行ってもよい。例えば、第
1の方法および/または第2の方法で選択されたテロメ
ラーゼ活性の抑制作用を示す物質を、最後に第3の方法
に供して、実際に癌細胞の増殖を抑制する物質を最終的
に選択することができる。
【0041】本発明のスクリーニング方法に供せられる
候補物質の種類は特に限定されない。レチノイドXレセ
プター(RXR)のリガンドの候補物質としては、例え
ば、本明細書中上記したようなレチノイン酸の各種異性
体および/またはその誘導体、レチノールの各種異性体
および/またはその誘導体、レチナールの各種異性体お
よび/またはその誘導体等が挙げられる。また、ビタミ
ンDレセプターのリガンドの候補物質としては、1α,
25−ジヒドロキシビタミンD3の各種誘導体および/
またはその異性体等が挙げられる。その他の候補物質と
しては、天然に生じる分子(例えば、アミノ酸、ペプチ
ド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸
など);脂質、ステロイド、グリコペプチド、糖タンパ
ク質、プロテオグリカンなど;あるいは天然に生じる分
子の合成アナログまたは誘導体(例えば、ペプチド擬態
物など);および天然に生じない分子(例えば、コンビナ
トリアルケミストリー技術を用いて作成した低分子有機
化合物);ならびにそれらの混合物などを挙げることが
できる。
【0042】候補化合物としては単一の被験物質を独立
に試験しても、いくつかの候補となる被験物質の混合物
(ライブラリーなどを含む)について試験をしてもよ
い。複数の候補物質を含むライブラリーとしては、合成
化合物ライブラリー(コンビナトリアルライブラリーな
ど)、ペプチドライブラリー(コンビナトリアルライブ
ラリーなど)などが挙げられる。また、細胞抽出物のよ
うな混合物を分画したものについてスクリーニングを行
い、分画を重ねて、最終的にテロメラーゼ活性に影響を
与える物質を単離することも可能である。
【0043】上記した本発明のスクリーニング方法によ
り選択されるレチノイドXレセプター(RXR)のリガ
ンド並びにビタミンDレセプターのリガンドも本発明の
範囲内であり、特に9−cisレチノイン酸や1,25
−ジヒドロキシビタミンD3などの公知物質以外の新規
物質を本発明のスクリーニング方法により単離して医薬
として開発していくことが可能である。
【0044】(3)参考文献について テロメラーゼに関する文献を以下に列挙するが、これら
の文献に記載の内容は全て本明細書中に引用するものと
する。 (1) Lin, Y., et al: Telomerase activity in primar
y prostate cancer. J Urol 157:1161-1165,1997. (2) Uemura, H., et al: Telomerase activity in ass
ociation with the pathological differentiation of
prostate cancer. NIHON RINSHO 56:1287-1291,1998. (3) Takakura, M., et al: Cloning of Human Telomer
ase Catalytic Subunit(hTERT)Gene promoter and Iden
tification of Proximal Core promoter Sequences Ess
ential for Transcriptional Activation in Immortali
zed and CancerCells. Cancer Res. 59:551-557,1999. (4) Kyo. S., et al: Estrogen Activates Telomeras
e. Cancer Res. 59:5917-5921,1999. (5) Freedman, LP., et al: DNA Sequences that Act
as High Affinity Targets for the vitamin D3 Recept
or in the Absence of the Retinoid X Receptor. Mole
cular Endocrinology 8:265-273,1994. (6) Uemura, H., et al: Telomerase activity In pro
state cancer. NIHON RINSHO58:427-429,2000. (7) Lin, Y., et al: Detection of Telomerase activ
ity in prostate needle-biopsy samples. Prostate 3
6:121-128,1998. 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、
本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することがで
きる。しがたって、本発明の範囲は以下に示す具体例に
限定されるものではない。
【0045】
【実施例】(A)材料 (1)細胞株 前立腺癌由来細胞であるLNCaP及びPC3を5.0% CO2の存在
下37℃で10%FCSを補充したHam's F12培地(Life
technology)で生育させた。細胞を各実験の48時間前
に10%デキストラン被覆charcol処理FCSを含みフ
ェノールレッドを含まないHam's F12 培地(Life techno
logy)で生育させた。 (2)試薬 1,25−ジヒドロキシビタミンD3(1,25-(OH)2 vit
amin D3)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)はSigma
社から購入した。 (3)プラスミドの構築 hTERTプロモーター−ルシフェラーゼ構築物の構造を図
1のBに示す。HTERT遺伝子の最初のATGコドンの上
流の色々な長さのDNAフラグメントをPCRで増幅
し、ルシフェラーゼレポーターベクターpGL3-Basicベク
ター(Promega)にMluI及び Bgl II部位でルシフェラ
ーゼコード配列に対してセンス方向に挿入した。ヒトV
DRおよびRXRαのcDNAはpSG5(Stratagene社)
にサブクローニングした。
【0046】(B)方法 (1)ルシフェラーゼアッセイ 種々の長さのhTERT プロモーター−ルシフェラーゼを前
立腺癌細胞株LNCaPとPC3にトランスフェクションし、
1,25−ジヒドロキシビタミンD3(VD3)単独、9−
cisレチノイン酸単独、 VD3と 9−cisレチノイ
ン酸を最終濃度 10nMとなるように添加して、ルシフェ
ラーゼアッセイを下記の通りに施行した。ルシフェラー
ゼレポーター遺伝子のトランジットトランスフェクショ
ンはTransFast(Promega社)を用いて取扱説明書に従って
行った。ルシフェラーゼアッセイはDual Luciferase Re
porter Assay System (Promega社)を用いて行った。簡
単に言うと、細胞(1.0 〜2.5×105細胞)を24穴プレ
ートに播種し、一晩培養し、上記したルシフェラーゼレ
ポータープラスミド(0.5μg/穴)と、Renilla renifo
rmis ルシフェラーゼ遺伝子を含むpRL-SV40(Promega)
(0.5ng/穴)を含む混合物をトランスフェクションし
た。各トランスフェクションについてホタルルシフェラ
ーゼ活性のレベルをRenilla reniformisルシフェラーゼ
活性のレベルに標準化した。次に、1,25−ジヒドロ
キシビタミンD3及び/又は9−cisレチノイン酸を
含む生育培地を各試薬について最終濃度10nMとなる
ように細胞に添加した。細胞をトランスフェクション後
48時間培養した。ルシフェラーゼアッセイは製品の取
扱説明書(Promega社)に従って行った。実験は全て各プ
ラスミドについて少なくとも3回行い、相対ルシフェラ
ーゼ活性を平均として示す。
【0047】(2)ゲルスーパーシフトアッセイ ゲルスーパーシフトアッセイを施行し、DR3類似配列と
VDR、RXRとの結合を調べた。TNT wheat germ expres
sion system(Promega社)により産生した組み換えVDR
タンパク質およびRXRαタンパク質をゲルスーパーシフ
トアッセイのために使用した。2pmolのヒトVDR
タンパク質を4μgの抗VDR抗体(Biomega社)ととも
に氷上で60分間インキュベートした。2pmolのヒ
トRXRαタンパク質を4μgの抗RXRα抗体とともに
氷上で60分間インキュベートした。1pmolのヒト
VDRタンパク質と1pmolのヒトRXRタンパク質
の両方を、4μgの抗VDR抗体または4μgの抗RX
Rα抗体とともに氷上で60分間インキュベートした。
ヒトVDRタンパク質、ヒトRXRタンパク質、ヒトV
DR−ヒトRXRヘテロダイマー、ヒトVDRタンパク
質−抗VDR抗体複合体、hRXRタンパク質−抗RX
R抗体複合体、ヒトVDR−ヒトRXRヘテロダイマー
−抗VDR抗体複合体およびヒトVDR−hRXRヘテ
ロダイマー−抗RXRα抗体複合体をゲルシフトバッフ
ァー(Amersham Pharmacia)とともにインキュベートし
た。DR3’配列(ACTGGTAACCAGTTCATGGAGTTCAATTTCCCCT
T)(配列番号3)は、Megalabel kit(TAKARA)により32
P-γATPで標識した。ゲルスーパーシフトは、製品の取
扱説明書(Amersham Pharmacia)に従って行った。
【0048】(3)定量的Real-Time PCR (TaqMan) LNCaPとPC3に、1,25−ジヒドロキシビタミンD3(V
D3)と9−cisレチノイン酸を添加し、hTERTの発現
を以下に述べるReal Time PCRにより経時的に分析し
た。LNCaP及びPC3 を培養し、10nMの1,25−ジヒド
ロキシビタミンD3及び9−cisレチノイン酸で処理
した。細胞を0時間、6時間、12時間、24時間及び
48時間後に回収した。全RNAをIsogen (日本ジーン
社)を取扱説明書に従って使用して細胞株から単離し
た。オリゴデオキシチミジル酸プライマー(Boehringer
Mannhaim社)およびMMLV逆転写酵素(Life Technologies,
INC)を用いてcDNAを合成した。Real-time PCR (Taq
Man)分析は、Perkin-Elmer/Applied Biosystems 7700 P
rismで行った。マッチングするプライマーおよび蛍光プ
ローブ(下記参照)は、Perkin-Elmer/Applied Biosyst
ems社により供給されるPrimer Expressプログラムに従
ってhTERT 遺伝子用に設計した。4μlの逆転写産物を
PCR反応で使用した。
【0049】(4)Stretch PCR アッセイ LNCaPとPC3を1,25−ジヒドロキシビタミンD3およ
び9−cisレチノイン酸で刺激し、Stretch PCR法に
てテロメラーゼ活性を観察した。テロメラーゼ活性の定
量的分析のために、Telochaser system(東洋紡)を製
品の取扱説明書に従って使用してstretch PCRアッセイ
を行った。PCR産物は、10%ポリアクリルアミドゲ
ル上で電気泳動し、SYBR Green I Nucleic AcidGel Sta
in(Molecular Probes社)で可視化した。
【0050】(5)細胞増殖曲線 前立腺細胞株に1,25−ジヒドロキシビタミンD3
9−cisレチノイン酸を添加したものと添加していな
いものの増殖の相違を検討した。PC3細胞を、1,25
−ジヒドロキシビタミンD3および9−cisレチノイ
ン酸を含む生育培地を含む24穴プレートに接種した。
1,25−ジヒドロキシビタミンD3および9−cis
レチノイン酸の最終濃度は各々、0nM、10nM または
100nMとした。細胞は毎日細胞カウンターで計数し
た。
【0051】(C)結果 (1)ルシフェラーゼアッセイ ルシフェラーゼアッセイの結果を図2に示す。図2に示
したように、LNCaP、PC3において、10nMの1,25−ジ
ヒドロキシビタミンD3と10nM 9−cisレチノイン酸
を両方加えた時のみ、hTERT プロモーター-luciferase
の活性の抑制がみられた。10nM の1,25−ジヒドロ
キシビタミンD3もしくは10nMの9−cisレチノイン
酸単独を添加した場合、hTERT プロモーター-luciferas
eの活性に変化はなかった。また、DR3'配列を含まないh
TERT プロモーター-luciferaseでは1,25−ジヒドロ
キシビタミンD3と9−cisレチノイン酸の両方を添
加してもルシフェラーゼ活性に変化はなかった。hTERT
プロモーター−ルシフェラーゼにおいて、10nM の1,
25−ジヒドロキシビタミンD3と10nMの9−cisレ
チノイン酸の存在下においては、DR3' 領域を含むpGL3-
3328とpGL3-2687においてはルシフェラーゼ活性の減少
がLNCaP、PC3ともに見られた。DR3'を含まないpGL3-233
5とpGL3-1375においては1,25−ジヒドロキシビタミ
ンD3及び9−cisレチノイン酸の有無にかかわらず
ルシフェラーゼ活性に変化はなかった(図3)。
【0052】(2)ゲルスーパーシフトアッセイ ゲルスーパーシフトにおいて、ヒトVDRタンパク質も
しくは、ヒトRXRαタンパク質単独では、DR3'領域に
は結合せず、バンドをみることができない。ヒトVDR
タンパク質とヒトRXRαタンパク質と放射線標識プロ
ーブをアプライしたものにはバンドをみることができ
た。VDRのDNA 結合ドメインの近傍に対するモノクロ
ーナル抗VDR抗体を加えたものでは、ヒトVDR-ヒ
トRXRαと放射線標識プローブが結合できなくなり、
バンドが消失した、ポリクローナル抗RXRα抗体を加
えた場合、ヒトVDR−ヒトhRXRαと放射線標識プ
ローブにこの抗体が結合し、バンドの泳動が遅れた(図
4)。以上の結果から、1,25−ジヒドロキシビタミ
ンD3と9−cisレチノイン酸はVDR-RXRのヘテ
ロダイマーを形成させ、DR3'を介して作用することが分
かる。
【0053】(3)定量的Real-Time PCR LNCaPとPC3に、10nM の1,25−ジヒドロキシビタミ
ンD3と10nMの9−cisレチノイン酸を添加し培養
し、経時的にmRNAを採取し、hTERTのRT-PCRを施行する
と、6時間後ですでにhTERTの減少が見られた(図5
A)。
【0054】(4)Stretch PCR アッセイ 同様に、Stretch PCR法によると、LNCaPとPC3を1,2
5−ジヒドロキシビタミンD3と9−cisレチノイン
酸で刺激した後にテロメラーゼ活性が抑制されるのが観
察された(図5B)。上記した定量的Real-Time PCRとS
tretch PCR アッセイの結果から、1,25−ジヒドロ
キシビタミンD3と9−cisレチノイン酸を添加する
とmRNAレベルでhTERTの発現が抑制され、その結果、テ
ロメラーゼ活性の抑制が導かれることが判明した。
【0055】(5)増殖曲線 細胞増殖を調べた結果を図6に示す。PC3において、10n
Mの1,25−ジヒドロキシビタミンD3と10nMの9−c
isレチノイン酸を添加したもの、100nMの1,25−
ジヒドロキシビタミンD3と100nM の9−cisレチノ
イン酸を添加したもの、1,25−ジヒドロキシビタミ
ンD3も9−cisレチノイン酸も添加しないものの3
つの系でそれぞれ細胞の増殖をみると、1,25−ジヒ
ドロキシビタミンD3および9−cisレチノイン酸の
添加の有無にかかわらず、48時間後までは、細胞の増殖
速度は同じであるが、それ以降、濃度依存性に細胞増殖
の抑制がみられた。
【0056】(実施例のまとめ)上記実施例では、様々
な長さのhTERT-ルシフェラーゼプロモーターを用い、
1,25−ジヒドロキシビタミンD3及び/又は9−c
isレチノイン酸を加えたルシフェラーゼアッセイとゲ
ルスーパーシフトアッセイを行ったが、hTERTのプロモ
ーター領域に存在するDR3'には、VDRのホモダイマー
は結合せず、VDR-RXRのヘテロダイマーが結合し
て作用する。細胞株に添加した1,25−ジヒドロキシ
ビタミンD3はVDRと結合し、9−cisレチノイン
酸はRXRと結合し、その後VDRとRXRはヘテロダ
イマーを構成し、hTERTのDR3'に結合することにより、h
TERTの発現を抑制することが考えられる。hTERTの抑制
は最初の数回の細胞分裂では細胞増殖に影響を及ぼさな
いが、次第にテロメラーゼ活性の低下を誘発し、その後
の細胞分裂に従うテロメアの維持が困難になり、細胞増
殖が抑制されると推測される。
【0057】1,25−ジヒドロキシビタミンD3及び
/又は9−cisレチノイン酸の添加によりアンドロゲ
ンレセプターをもつ前立腺癌細胞株LNCaPとアンドロゲ
ンレセプターをもたない前立腺癌細胞株PC3の両方にお
いて、hTERTの発現の抑制がみられたことは、ホルモン
反応性前立腺癌、ホルモン不応性前立腺癌に関わらず、
前立腺癌治療において役立つ可能性がある。また、前立
腺癌細胞に限らず、VDRとRXRを発現している細胞
では、1,25−ジヒドロキシビタミンD3と9−ci
sレチノイン酸を添加することにより、hTERTの発現を
抑制できると考えられる。hTERTは癌細胞、幹細胞系に
しか発現していないため、hTERTの発現を抑制すること
は、あらゆる癌に対して有効な治療方法となる。
【0058】
【発明の効果】本発明により、テロメラーゼ活性を抑制
することができる新規な医薬を提供することが可能にな
った。本発明の医薬は抗がん剤として有用である。ま
た、本発明によれば、レチノイドXレセプター(RX
R)のリガンドの新たなスクリーニング方法とビタミン
Dレセプターのリガンドの新たなスクリーニング方法が
提供されるが、該スクリーニング方法により得られるレ
チノイドXレセプター(RXR)のリガンドやビタミン
Dレセプターのリガンドを利用することによりテロメラ
ーゼ活性を抑制することができる新規な医薬を提供する
ことができる。
【0059】
【配列表】 <110> Yoshinobu KUBOTA et al. <120> An agent for suppressing telomerase activity <130> A01436A <160> 3
【0060】 <210> 1 <211> 15 <212> DNA <213> human <400> 1 aggtcannna ggtca 15
【0061】 <210> 2 <211> 15 <212> DNA <213> human <400> 2 agttcannna gttca 15
【0062】 <210> 3 <211> 35 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized se quence <400> 3 actggtaacc agttcatgga gttcaatttc ccctt 35
【図面の簡単な説明】
【図1】図1において、A図はhTERTプロモーター
配列の構造を示し、B図は実施例で用いたhTERT−
プロモータールシフェラーゼの構造を示す。
【図2】図2は、LNCaPとPC3にpGL3−3327をト
ランスフェクションし、1,25−ジヒドロキシビタミ
ンD3と9cisレチノイン酸で刺激し、48時間後に
ルシフェラーゼアッセイを行った結果を示す。
【図3】図3は、hTERT−プロモータールシフェラ
ーゼの欠失変異体を用いて、トランスフェクション後、
1,25−ジヒドロキシビタミンD3と9cisレチノ
イン酸で刺激した後のルシフェラーゼアッセイの結果を
示す。
【図4】図4は、ヒトVDR及び/又はヒトRXRを用
いてのDR3’に対するゲルスーパーシフトアッセイの
結果を示す。
【図5】図5において、A図は、1,25−ジヒドロキ
シビタミンD3と9cisレチノイン酸で刺激した後の
hTERTmRNAの発現をRT−PCRで調べた結果
を示し、B図は、1,25−ジヒドロキシビタミンD3
と9cisレチノイン酸で刺激した後のテロメラーゼ活
性をStretch PCR アッセイで調べた結果を示す。
【図6】図6は、PC3を1,25−ジヒドロキシビタミ
ンD3と9cisレチノイン酸で刺激した際の細胞増殖
曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 A61P 43/00 111 4C206 C12N 15/09 ZNA C12Q 1/02 C12Q 1/02 1/42 1/42 A61K 45/00 // A61K 45/00 (C12Q 1/02 C12N 5/10 C12R 1:91) (C12Q 1/02 (C12Q 1/42 C12R 1:91) C12R 1:91) (C12Q 1/42 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:91) 5/00 B (71)出願人 500457276 池田 直弥 神奈川県藤沢市片瀬3−4−16 (72)発明者 穂坂 正彦 神奈川県横浜市港南区日限山4−38−28 (72)発明者 窪田 吉信 神奈川県横浜市金沢区六浦町1697−28 (72)発明者 上村 博司 神奈川県横浜市保土ヶ谷区桜ヶ丘2−28− 22−401 (72)発明者 池田 直弥 神奈川県藤沢市片瀬3−4−16 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA08 BA63 CA04 DA02 EA04 FA02 GA11 HA01 HA11 4B063 QA01 QA18 QQ08 QQ20 QQ34 QQ95 QR69 QR72 QR80 QS05 QS28 QS36 QX02 4B065 AA93X AA93Y AB01 AC14 BA25 BB06 BB08 CA46 4C084 AA18 MA02 MA17 MA52 MA56 MA63 MA66 MA67 NA05 ZB262 ZC202 ZC232 ZC422 4C086 AA01 AA02 DA16 MA02 MA04 NA05 NA14 ZB26 ZC20 ZC23 ZC42 4C206 AA01 AA02 DA03 MA02 MA04 NA05 NA14 ZB26 ZC20 ZC23 ZC42

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビタミンDレセプターのリガンドとレチ
    ノイドXレセプター(RXR)のリガンドとの組み合わ
    せから成る医薬。
  2. 【請求項2】 テロメラーゼ活性抑制剤である、請求項
    1に記載の医薬。
  3. 【請求項3】 抗がん剤である、請求項1または2に記
    載の医薬。
  4. 【請求項4】 ビタミンDレセプターのリガンドが、
    1,25−ジヒドロキシビタミンD3である、請求項1
    から3の何れかに記載の医薬。
  5. 【請求項5】 レチノイドXレセプター(RXR)のリ
    ガンドが、9−cisレチノイン酸である、請求項1か
    ら4の何れかに記載の医薬。
  6. 【請求項6】 少なくともAGTTCANNNAGTTCAを含むプロ
    モーターとその下流にレポーター遺伝子とを含む核酸構
    築物を有し、ビタミンDレセプターとレチノイドXレセ
    プター(RXR)を有する細胞系に、ビタミンDレセプ
    ターのリガンドと候補物質を添加し、レポーター遺伝子
    の発現を抑制させる候補物質を選択することを特徴とす
    る、レチノイドXレセプター(RXR)のリガンドのス
    クリーニング方法。
  7. 【請求項7】 テロメラーゼ活性を有する細胞系にビタ
    ミンDレセプターのリガンドと候補物質を添加し、hTER
    Tの発現の程度またはテロメラーゼ活性の変化を分析
    し、hTERTの発現の程度またはテロメラーゼ活性を低下
    させる候補物質を選択することを特徴とする、レチノイ
    ドXレセプター(RXR)のリガンドのスクリーニング
    方法。
  8. 【請求項8】 テロメラーゼ活性を有する癌細胞にビタ
    ミンDレセプターのリガンドと候補物質を添加し、細胞
    の増殖抑制を示す候補物質を選択することを特徴とす
    る、レチノイドXレセプター(RXR)のリガンドのス
    クリーニング方法。
  9. 【請求項9】 請求項5から7の何れかに記載のスクリ
    ーニング方法により選択されるレチノイドXレセプター
    (RXR)のリガンド。
  10. 【請求項10】 少なくともAGTTCANNNAGTTCAを含むプ
    ロモーターとその下流にレポーター遺伝子とを含む核酸
    構築物を有し、ビタミンDレセプターとレチノイドXレ
    セプター(RXR)を有する細胞系に、レチノイドXレ
    セプター(RXR)のリガンドと候補物質を添加し、レ
    ポーター遺伝子の発現を抑制させる候補物質を選択する
    ことを特徴とする、ビタミンDレセプターのリガンドの
    スクリーニング方法。
  11. 【請求項11】 テロメラーゼ活性を有する細胞系にレ
    チノイドXレセプター(RXR)のリガンドと候補物質
    を添加し、hTERTの発現の程度またはテロメラーゼ活性
    の変化を分析し、hTERTの発現の程度またはテロメラー
    ゼ活性を低下させる候補物質を選択することを特徴とす
    る、ビタミンDレセプターのリガンドのスクリーニング
    方法。
  12. 【請求項12】 テロメラーゼ活性を有する癌細胞にレ
    チノイドXレセプター(RXR)のリガンドと候補物質
    を添加し、細胞の増殖抑制を示す候補物質を選択するこ
    とを特徴とする、ビタミンDレセプターのリガンドのス
    クリーニング方法。
  13. 【請求項13】 請求項10から12の何れかに記載の
    スクリーニング方法により選択されるビタミンDレセプ
    ターのリガンド。
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