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JP2002194502A - 被削性及び耐摩耗性に優れたクランクシャフト用鋼 - Google Patents

被削性及び耐摩耗性に優れたクランクシャフト用鋼

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JP2002194502A
JP2002194502A JP2000400214A JP2000400214A JP2002194502A JP 2002194502 A JP2002194502 A JP 2002194502A JP 2000400214 A JP2000400214 A JP 2000400214A JP 2000400214 A JP2000400214 A JP 2000400214A JP 2002194502 A JP2002194502 A JP 2002194502A
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英久 加藤
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直樹 岩間
Kazue Nomura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被削性及び耐摩耗性に優れ,軸受に対しての
攻撃性も小さく,かつ低コストのクランクシャフト用鋼
及びこれを用いて作製されたクランクシャフトを提供す
る。 【解決手段】 重量%で,C:0.62〜0.80%,
Si:0.60%以下,Mn:0.30〜1.80%,
S:0.04〜0.35%,Cr:0.05〜0.50
%,Al:0.005%未満,O:0.0020%以
下,残部Fe及び不可避不純物からなり,熱間鍛造後の
組織が初析フェライト分率3%以下のパーライト主体で
あり,且つ厚み20μm以下の硫化物系介在物を含有す
ることを特徴とする被削性及び耐摩耗性に優れたクラン
クシャフト用鋼である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,高周波焼入の省略が可能であ
り、被削性及び耐摩耗性に優れたクランクシャフト用鋼
及びこれを用いて作製されたクランクシャフトに関す
る。
【従来技術】
【0002】自動車用エンジン等のクランクシャフト
は, 後述する図1に示すごとく,コネクティングロッ
ドとの連結部であるクランクピンと,シリンダーブロッ
クへの取付け部であるクランクジャーナルとを有する。
クランクシャフトの回転運動は,かかる連結部及び取り
付け部において,Al,Cu,Sn等を主体とした軸受
合金よりなるすべり軸受により支えられている。また,
軸(クランクシャフトのピン,ジャーナル)と軸受との
間には,通常油膜を形成させて回転運動する。
【0003】クランクピンおよびクランクジャーナル
は,エンジンの爆発力或いは回転慣性力により高い面圧
を高速で受ける。このため,スチール鍛造製のクランク
シャフトにおいては,従来,クランクピンおよびクラン
クジャーナルにおける軸受との摺動部に,耐摩耗性ある
いは耐焼付性を向上させるため,高周波焼入れあるいは
軟窒化等の表面処理が施されている。
【0004】クランクシャフトは,鋳造法又はスチール
鍛造法により作製されている。前者の鋳造法は,鋳鉄を
溶解,鋳造し,これを切削加工して,クランクシャフト
の形状にする方法である。鋳造法によれば,鋳物は被削
性がよいので,切削加工し易く,また高周波焼入れも必
要がない。そのため,低コストで製造することができ
る。一方,スチール鍛造法は,鋼材を溶解し,そのイン
ゴットを圧延し,熱間において鍛造し,最終時点で切削
加工して,クランクシャフトの形状にする方法である。
また,耐摩耗性,耐焼付性向上のため,高周波焼入れを
施す必要がある。そのため,この方法は,コストが高
い。
【0005】しかし,エンジンに取りつけて作動させた
とき,鋳造法のクランクシャフトは,スチール鍛造法の
クランクシャフトに比べて騒音が大きい。その理由は,
鋳造法のクランクシャフトは,スチール鍛造のものに比
べて,剛性が低いためである。
【0006】そこで,本発明者らは,剛性の高いスチー
ル鍛造のクランクシャフトの特長を生かしつつ,ピン,
ジャーナル部の高周波焼入が省略でき,被削性に優れた
低コストのクランクシャフトを得る開発に着目した。そ
のためには,耐摩耗性と被削性という相反する特性を有
した鋼材が必要である。
【0007】耐摩耗性に優れた鍛造鋼に関する先行技術
を列挙する。特開平6−128690号は,鍛造用のク
ランクシャフト用鋼に関するものであり,この鋼の組成
は,重量比にして,C:0.30〜0.60%,Si:
0.05〜1.00%,Mn:0.40〜1.50%,
S:0.04〜0.12%,V:0.10〜0.40
%,Cr:0.05〜0.50%,Ca:0.0005
〜0.0200%,Al:0.005〜0.018%を
含有し,残部Feならびに不純物元素からなり,かつA
:0.005%以下,SiO:0.001%
以下である。そして,この鋼は,V炭化物の析出硬化に
より,フェライト−パーライト組織が良好な耐摩耗性を
発揮する。また,クランクシャフトにおけるクランクピ
ン及びクランクジャーナルの部分に高周波焼入れ及び軟
質化処理を施す必要がない。また,V炭化物の析出硬化
により,疲労強度が高い。しかしながら,コストの観点
からは,V等の高価な合金元素を極力含有させないこと
が望まれる。
【0008】また,特開平10−137888号には,
熱間鍛造部品の製造方法が開示されている。この製造方
法を説明すると,まず,C:0.40から0.60%,
Si:0.01から0.50%,Mn:0.3から2.
0%,Cr:0.01から2.00%,V:0.03か
ら0.20%,N:0.0050から0.0200%
(以上,重量%),残部:鉄および不可避的不純物から
なり,下式Ceq=C+Si/7+Mn/5+Cr/9
+1.5Vによって表される炭素等量(Ceq)が0.
80から1.10%の範囲内の鋼を,1150から13
00℃の範囲内の加熱温度のもとで所望の部品形状に熱
間鍛造して,鍛造まま部品を調製し,次いで,このよう
にして調製した前記鍛造まま部品を,0.2から10℃
/secの範囲内の冷却速度で空冷して,下記機械的性
質を有し,ブリネル硬さ(HB):250から290,
降伏応力(YP):600N/mm2以上,伸び(E
l):15%以上,且つ,フェライト面積率(fF)が
5%以下のパーライトを主体とする金属組織を有する粗
部品を調製し,次いで,この粗部品における他部品との
嵌合い部を,前記嵌合い部の表面粗さが5から25μm
の範囲内になるように仕上げ加工を施す。
【0009】得られた熱間鍛造部品は,フェライト率5
%以下を達成しているため,ベアリングなどの他の部品
との嵌め合い部に生じるフレッチング摩耗を軽減するこ
とができ,耐摩耗性に優れる。また,焼入・焼戻及び切
削後の表面硬化処理を施す必要がなく,耐フレッチング
摩耗に優れた熱間鍛造部品の製造が可能となる。しかし
ながら,この特開平10−137888号に開示された
鍛造部品は,軸部表面粗さを粗くする必要があるため,
自動車エンジン等においては,たとえ軸(クランクシャ
フト)の摩耗は良好であっても,軸受の損傷,特に異常
摩耗を著しくしてしまうという問題がある。異常摩耗し
た軸受で運転が続けられると,ひいては軸の摩耗,焼付
きのトラブルに発展する危険がある。また,パーライト
主体の組織であるため,被削性に劣り,部品製造コスト
の増加を招くという問題もある。
【0010】また,特開2000−265242号に
は,熱間鍛造用非調質鋼が開示されている。この鋼の組
成は,重量基準で,C:0.40〜0.70%,Si:
0.50%以下,Mn:0.90〜1.80%,Cr:
0.05〜1.00%,s−Al:0.01〜0.04
5%,およびN:0.005〜0.025%を含有し,
必要に応じてPb:0.030%以下,S:0.20%
以下,Te:0.030%以下,Ca:0.01%以下
およびBi:0.30%以下から選んだ1種または2種
以上を含有し,残部がFeおよび不純物からなり,熱間
鍛造後の組織がフェライト+パーライトであり,初析フ
ェライト面積が10%以下であることを特徴とする。
【0011】上記熱間鍛造用非調質鋼は,合金組成を適
切に選ぶとともに初析フェライト面積率を一定値以下に
規制することにより,熱間鍛造後,焼入れ焼戻しをする
必要のない非調質鋼において,機械加工による成形後に
高周波焼入れや軟窒化などの表面処理を施さなくても,
優れた耐摩耗性を示す。しかしながら,この特開200
0−265242号に開示された熱間鍛造用非調質鋼
は,AlおよびNを比較的多く含有しているため,Al
NおよびAl2O3といった相手攻撃性を示す硬質介在物
が多く存在する。自動車用エンジン等のクランクシャフ
トは,すべり軸受との間に油膜を介して,摺動回転する
ものであり,このような条件下における前記硬質介在物
の存在は,軸受の摩耗損傷を著しくしてしまい,ひいて
は軸の摩耗に及ぶといった問題がある。
【0012】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,被削
性及び耐摩耗性に優れ,軸受に対しての攻撃性も小さ
く,かつ低コストのクランクシャフト用鋼及びこれを用
いて作製されたクランクシャフトを提供しようとするも
のである。
【0013】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,重量%で,C:
0.62〜0.80%,Si:0.60%以下,Mn:
0.30〜1.80%,S:0.04〜0.35%,C
r:0.05〜0.50%,Al:0.005%未満,
O:0.0020%以下,残部Fe及び不可避不純物か
らなり,熱間鍛造後の組織が初析フェライト分率3%以
下のパーライト主体であり,且つ厚み20μm以下の硫
化物系介在物を含有することを特徴とする被削性及び耐
摩耗性に優れたクランクシャフト用鋼である。
【0014】本発明者らは,スチール鍛造のクランクシ
ャフトにおける耐摩耗性と被削性という相反する特性の
両立を,軸受の損傷低減にも配慮しつつ,低コストにて
達成するように鋭意研究を重ね,その結果,本発明に至
ったものである。 i)クランクシャフト用鋼の組織はフェライト分率3%
以下のパーライト主体である。また,クランクシャフト
用鋼中のAl量を0.005%未満に規制しているた
め,硬質介在物生成が抑制される。このため,クランク
シャフトの耐摩耗性が向上し,また軸受の損傷を防ぐこ
とができる。 ii)Sをクランクシャフト用鋼中に0.04〜0.3
5%含有させるとともに,Al量を0.005%未満,
O(酸素)量を0.0020%以下に規制することによ
り,クランクシャフトの被削性を改善することができ
る。 iii)S含有により生成したMnS等の硫化物系介在
物は,その厚みが大きい場合にはクランクシャフトの耐
摩耗性を劣化させるが,厚みを20μm以下としている
ため,耐摩耗性を確保することができる。
【0015】以上のように本発明のクランクシャフト用
鋼は,被削性及び耐摩耗性に優れ,軸受に対しての攻撃
性も小さく,かつ低コストである。また,熱間鍛造後の
焼入れ・焼戻しが不要であり,耐摩耗性のための高周波
焼入れや軟窒化処理も不要である。また,被削性につい
ても良好である。以下に,クランクシャフト用鋼の各元
素量(重量%)の限定理由を示す。
【0016】C:0.62〜0.80%, Cは強度の確保ならびに耐摩耗性を向上させるために必
要な元素である。Cが0.62%未満の場合には,鋼の
強度及び耐摩耗性が低下するため,下限を0.62%,
好ましくは0.67%以上とする必要がある。一方,C
が0.80%を越える場合には,強度が必要以上に増加
し,被削性が低下するため,上限を0.80%,好まし
くは0.76%以下とする必要がある。
【0017】Si:0.60%以下, Siは製鋼時の脱酸補助材として効果的な元素であると
共に強度,耐摩耗性の向上にも有効な元素である。ただ
しSiが0.60%を越える場合には,被削性の低下を
招くため,上限を0.60%,好ましくは0.35%以
下とする必要がある。
【0018】Mn:0.30〜1.80%, Mnは製鋼時の脱酸補助材として効果的な元素であると
共に鋼の強度確保に必要な元素である。Mnが0.30
%未満の場合には,強度が低下するため,下限を0.3
0%,好ましくは0.40%以上とする必要がある。一
方,Mnが1.80%を越える場合には,ベイナイトや
マルテンサイトといった低温変態組織が生成し,被削性
の低下を招くため,上限を1.80%,好ましくは1.
50%以下とする必要がある。
【0019】S:0.04〜0.35%, Sは鋼の被削性を改善するために不可欠な元素である。
Sが0.04%未満では,その効果が得られないため,
下限を0.04%,好ましくは0.13%以上とする必
要がある。反面,Sが0.35%を超える場合には,鋼
の強度および熱間加工性を損なうため,上限を0.35
%,好ましくは0.20%以下とする必要がある。
【0020】Cr:0.05〜0.50%, Crは鋼の耐摩耗性の向上に有効な元素である。Crが
0.05%未満の場合には,その向上が期待できないた
め,下限を0.05%,好ましくは0.10%以上とす
ることが必要である。一方,Crが0.50%を超える
と,被削性の低下を招くため,上限を0.50%,好ま
しくは0.35%以下とする必要がある。
【0021】Al:0.005%未満, A1は耐摩耗性および被削性に有害なAlおよび
AlNを生成するため,極力低く抑える必要がある。A
lが0.005%以上の場合には, A1 および
AlNの増加および粗大化を招き,耐摩耗性および被削
性を劣化させてしまうので,上限を0.005%とする
必要がある。
【0022】O(酸素):0.0020%以下, Oが0.0020%を超える場合には,硫化物系介在物
の厚みが大きくなり,耐摩耗性を低下させるという問題
があるため,上限を0.0020%とする必要がある。
【0023】また,熱間鍛造した後のクランクシャフト
用鋼の組織は,耐摩耗性の点から初析フェライト分率3
%以下のパーライト主体とする必要がある。初析フェラ
イト分率が3%を超える場合には,耐摩耗性低下の問題
が生じる。
【0024】硫化物系介在物は,クランクシャフト用鋼
の中に形成されている。硫化物系介在物の厚みは,耐摩
耗性の点から20μm以下に規制する必要がある。硫化
物系介在物の厚みが20μmを超えると,耐摩耗性が低
下してしまう。
【0025】請求項2の発明は,重量%で,C:0.6
2〜0.80%,Si:0.60%以下,Mn:0.3
0〜1.80%,S:0.04〜0.35%,Cr:
0.05〜0.50%,V:0.01〜0.09%,A
l:0.005%未満, O:0.0020%以下,残
部Fe及び不可避不純物からなり,熱間鍛造後の組織が
初析フェライト分率3%以下のパーライト主体であり,
且つ厚み20μm以下の硫化物系介在物を含有すること
を特徴とする被削性及び耐摩耗性に優れたクランクシャ
フト用鋼である。
【0026】本発明のクランクシャフトには,上記請求
項1の発明の鋼の成分に加えて,Vを0.01〜0.0
9重量%含んでいる。Vは,鋼の耐摩耗性を確保するた
めに有効な元素である。その効果を得るためには,少な
くとも0.01%の含有が必要なため,下限を0.01
%,好ましくは0.03%以上とする必要がある。ただ
し,Vの含有量が0.09%を超えると,コスト高とな
ってしまうため,上限を0.09%とした。本発明の他
の点は上記請求項1の発明と同様である。
【0027】請求項3の発明のように,上記クランクシ
ャフト用鋼は,更に,重量%で,Bi:0.01〜0.
30%,Pb:0.01〜0.30%,Ca:0.00
03〜0.020%,Mg:0.0003〜0.002
0%,及びREM:0.001〜0.10%のグループ
から選ばれる1種または2種以上を含有していることが
好ましい。これにより,更に鋼の被削性が向上する。以
下,各元素の臨界意義を説明する。
【0028】Bi:0.01〜0.30%, Biは,被削性の改善に有効な元素で,その効果を発揮
するためには0.01%以上,好ましくは0.02%以
上の含有が必要である。一方,Biを0.30%を超え
て含む場合にはその効果は飽和し,コスト高になるとと
もに,熱間加工性を損なうので,上限を0.30%,こ
のましくは0.15%以下とする必要がある。
【0029】Pb:0.01〜0.30%, Pbは,Biと同様の効果を示す被削性改善に有効な元
素で,その効果を発揮するためには0.01%以上,好
ましくは0.04%以上の含有が必要である。一方,P
bを0.30%を超えて含む場合にはその効果は飽和
し,かつ熱間加工性を損なうので,上限を0.30%,
このましくは0.25%以下とする必要がある。
【0030】Ca:0.0003〜0.020%, Caは,被削性の改善に効果のある元素であり,その効
果を発揮するためには0.0003%以上,好ましくは
0.0005%以上の含有が必要である。一方,0.0
20%を超えて含有させても,効果が飽和するととも
に,コスト高となるため,上限を0.020%とした。
【0031】Mg:0.0003〜0.020% Mgは,Caと同様の効果を示し,Caと複合で存在さ
せた場合に大きな被削性改善効果及び機械的性質の異方
性改善効果が得られる。その効果を得るためには,少な
くともMgは0.0003%以上,好ましくは0.00
05%以上必要であるが,必要以上に含有させてもその
効果は飽和状態となり無駄であるためMgの上限を0.
020%とした。
【0032】REM:0.001〜0.10% REMは,被削性改善に有効な希土類元素で,その効果
を発揮するためには0.001%以上,好ましくは0.
005%以上の含有が必要である。一方,REMを0.
10%を超えて含有させても,効果が飽和するととも
に,コストアップを招くので,上限を0.10%とし
た。
【0033】請求項4の発明は,ピン部及びジャーナル
部を有するクランクシャフトにおいて,該クランクシャ
フトは,重量%で,C:0.62〜0.80%,Si:
0.60%以下,Mn:0.30〜1.80%,S:
0.04〜0.35%,Cr:0.05〜0.50%,
Al:0.005%未満,O:0.0020%以下,残
部Fe及び不可避不純物からなるクランクシャフト用鋼
を熱間鍛造してなる熱間鍛造品であって,該熱間鍛造品
の組織は,初析フェライト分率3%以下のパーライト主
体であり,且つ厚み20μm以下の硫化物系介在物を含
有し,上記ピン部および上記ジャーナル部におけるすべ
り軸受との摺動面は,表面粗さRzが1μm以下である
ことを特徴とする被削性及び耐摩耗性に優れたクランク
シャフトである。
【0034】請求項4の発明のクランクシャフトは,請
求項1の発明のクランクシャフト用鋼を用いて作製され
たものである。
【0035】ピン部およびジャーナル部におけるすべり
軸受との摺動円筒面の表面粗さRzは,1μm以下であ
る。 Rzが1μmを超えると,クランクシャフト及び
すべり軸受の耐摩耗性が劣化する。
【0036】本発明のクランクシャフトは,被削性及び
耐摩耗性に優れ,すべり軸受に対しての攻撃性も小さ
く,かつ低コストである。また,熱間鍛造後の焼入れ・
焼戻しが不要であり,耐摩耗性のための高周波焼入れや
軟窒化処理も不要である。また,被削性についても良好
である。本発明のクランクシャフトは,たとえば,ピン
部及びすべり軸受の摺動面とすべり軸受との間に,油膜
を介して摺動回転する。本発明のクランクシャフトは,
上記請求項1の発明のクランクシャフト用鋼をクランク
シャフト形状に熱間鍛造した後に,表面粗さRzが1μ
m以下になるように仕上げ加工を施すことにより,製造
することができる。
【0037】請求項5の発明は,ピン部及びジャーナル
部を有するクランクシャフトにおいて,該クランクシャ
フトは,重量%で,C:0.62〜0.80%,Si:
0.60%以下,Mn:0.30〜1.80%,S:
0.04〜0.35%,Cr:0.05〜0.50%,
V:0.01〜0.09%,Al:0.005%未満,
O:0.0020%以下,残部Fe及び不可避不純物か
らなるクランクシャフト用鋼を熱間鍛造してなる熱間鍛
造品であって,該熱間鍛造品の組織は,初析フェライト
分率3%以下のパーライト主体であり,且つ厚み20μ
m以下の硫化物系介在物を含有し,上記ピン部および上
記ジャーナル部におけるすべり軸受との摺動面は,表面
粗さRzが1μm以下であることを特徴とする被削性及
び耐摩耗性に優れたクランクシャフトである。
【0038】本発明のクランクシャフトは,被削性及び
耐摩耗性に優れ,すべり軸受に対しての攻撃性も小さ
く,かつ低コストである。本発明のクランクシャフト
は,上記請求項2の発明のクランクシャフト用鋼を用い
て作製することができる。
【0039】請求項6の発明のように,上記クランクシ
ャフト用鋼は,更に,重量%で,Bi:0.01〜0.
30%,Pb:0.01〜0.30%,Ca:0.00
03〜0.020%,Mg:0.0003〜0.002
0%,及びREM:0.001〜0.10%のグループ
から選ばれる1種または2種以上を含有していることが
好ましい。これにより,更に鋼の被削性が向上する。本
発明のクランクシャフトは,上記請求項3の発明のクラ
ンクシャフト用鋼を用いて作製することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例に係るクランクシャフト用鋼を準備
し,以下の性能を評価した。クランクシャフト用鋼とし
て,本発明の試料A〜I及び比較用の試料J〜Q,なら
びに従来よりクランクシャフトに用いられている非調質
鋼(従来鋼)の試料R及び従来鋳鉄の試料Sを準備し
た。本発明の試料A〜Iのうち,試料A〜C(第1発明
品)は,重量%で,C:0.62〜0.80%,Si:
0.60%以下,Mn:0.30〜1.80%,S:
0.04〜0.35%,Cr:0.05〜0.50%,
Al:0.005%未満,O:0.0020%以下,残
部Fe及び不可避不純物(P,Cu,Ni,Mo,N)
からなる鋼である。試料D,E(第2発明品)は,これ
らの成分に加えて,V0.01〜0.09%を含む鋼で
ある。試料F〜I(第3発明品)は,上記成分に加え
て,Bi:0.01〜0.30%,Pb:0.01〜
0.30%,Ca:0.0003〜0.020%,M
g:0.0003〜0.0020%,及びREM:0.
001〜0.10%のグループから選ばれる1種または
2種以上を含む鋼である。その成分を表1に示す。
【0041】各クランクシャフト用鋼は真空溶解炉にて
溶製し,熱間圧延後,φ60mmに鍛伸した。その後,
1200℃にて30分加熱後,空冷の熱処理を行い,供
試材とした。この処理は,実際のクランクシャフト鍛造
工程を模擬したものであり,得られる硬さと組織は,自
動車エンジン用の実際のクランクシャフトの場合とほぼ
一致する。得られた供試材より,硬さ試験片,引張試験
片,切削試験片,熱間加工試験片を切り出し,試験に供
した。
【0042】(硬さ,ミクロ組織)硬さは,ビッカース
硬さ計を用い,荷重30kgfにて測定した。また,硬
さ試験後に,研磨された試験片を光学顕微鏡で倍率:×
400で50視野観察し,硫化物系介在物の厚みを測定
した。硫化物系介在物の厚みは,測定された値の最大値
をデータとして採用した。その後,試験片を3%ナイタ
ールにて腐食し,光学顕微鏡で倍率:×400でミクロ
組織観察を行い,組織判定および50視野のポイントカ
ウンティング法によるフェライト分率の測定を行った。
【0043】(引張試験)引張試験は,JIS14A号
引張試験片にて,引張強さ,0.2%耐力,伸び,絞り
を測定した。
【0044】(切削試験)切削試験は,クランクシャフ
トの加工工程を想定し,超硬工具摩耗,切粉処理性,お
よびドリル寿命について行った。なお,これらの試験の
条件を表2に示した。
【0045】(熱間加工試験)熱間加工試験は,グリー
ブル試験機により,1200℃における高温引張試験を
行い,試験後の絞り値を測定した。
【0046】上記試験結果を表3及び表4に示した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】上記試験結果より,本発明鋼A〜Iは,硫
化物系介在物の厚みが20μm以下であり,組織が初析
フェライト分率3%以下のパーライト主体であって,
いずれの特性についても,従来鋼とほぼ同等であり,強
度および被削性の面で,クランクシャフトとしての使用
に適している。特に,試料F〜I(第3発明)について
は,非常に優れた被削性を示す。これに対して,比較鋼
Jは,C量が本発明の範囲より低く,フェライト分率が
高くなり,強度面で劣る。比較鋼Kは,逆にC量が本発
明の範囲より高く,被削性において劣る。比較鋼Lにつ
いては,Si量が本発明の範囲より高く,被削性におい
て劣る。比較鋼Mについては,Mn量およびCr量が本
発明の範囲よりも低いため,強度に劣るものであり,比
較鋼Nについては,逆にMn量およびCr量が本発明の
範囲よりも高いため,ベイナイト組織が混在し,被削性
に劣る。比較鋼Oについては,S量が本発明の範囲より
も低く,被削性に劣るものであり,比較鋼Pについて
は,逆にS量が本発明の範囲よりも高く,またO(酸
素)量も本発明の範囲よりも高いため,硫化物系介在物
の厚みが大きく,熱間加工性に劣る。比較鋼Qについて
は,Al量が本発明の範囲よりも高く,被削性に劣るも
のである。
【0052】実施形態例2 本例では,試作した実際のクランクシャフトをエンジン
に組付け,耐摩耗性について測定した。測定に供する鋼
は,表1に示される,本発明にかかる試料A〜Iと,比
較用の試料J〜Q,および従来よりクランクシャフト用
に用いられている,非調質鋼(従来鋼)の試料Rおよび
従来鋳鉄の試料Sである。これらのうち,試料A〜Rに
ついては,真空溶解炉にて溶製し,熱間圧延した後,図
1に示すようなジャーナル部11とピン部12とを有す
るクランクシャフト形状に熱間鍛造した後,空冷した。
これらクランクシャフト鍛造品を,機械加工により仕上
げて,試験に供した。
【0053】試料Rについては,ピン部およびジャーナ
ル部に,焼入硬化層深さ3mmとなる条件で高周波焼入
処理を行ったものも用意した。試料Sは,JISで規定
されている鋳鉄:FCD700−2であり,鋳造により
クランクシャフト形状に鋳込んだ後,機械加工により仕
上げて,供試品とした。なお,本実施例においては,い
ずれの供試品も,ピン部およびジャーナル部の機械加工
仕上げは,表面粗さRzが0.8μm以下となるような
ラッピング仕上げとした。
【0054】摩耗試験に先立ち,各供試品は,各ピン部
および各ジャーナル部の摺動面を,表面粗さ計を用い
て,クランクシャフトの長手方向に10点平均粗さ:R
zおよび真直度の測定を行った。表面粗さRzは,各ピ
ン,ジャーナルの中で測定された値の最大値を採用し,
表5に示した。
【0055】摩耗試験は,前記クランクシャフト供試品
を,自動車エンジン用すべり軸受とともにエンジンに組
付け,エンジンを運転して行った。ジャーナル部11及
びピン部12におけるすべり軸受との円筒形状の摺動面
10には,運転時に,潤滑油を供給させるようにした。
なお,エンジンの運転条件,運転パターン,運転時間等
の各種試験条件については,供試品間で同一に設定して
行った。
【0056】上記摩耗試験後に,供試品の各ピン部およ
び各ジャーナル部の真直度変化を再度測定し,試験前後
での真直度変化量から,軸摩耗量を算出した。すなわ
ち,図2に示すごとく,試験前のクランクシャフトの軸
表面形状31と,試験後のその軸表面形状32とを測定
し,すべり軸受の幅Bに相当する部位の両者の変化量を
算出して軸摩耗量33を求めた。また,参考データとし
て,摩耗試験の前後での各すべり軸受の重量変化量を測
定し,軸受摩耗量を算出した。これら軸摩耗量および軸
受摩耗量の結果は,各ピン部,ジャーナル部の中で測定
された値の最大値を採用し,試料Sの結果を100とし
た場合の指数表示で,表5に示した。
【0057】摩耗試験結果の一例を,図3に示した。図
3において,左側から順に,開発鋼(試料G)に高周波
波焼き入れをしない場合,従来鋼(試料R)に高周波焼
入れをしない場合,従来鋼(試料R)に高周波焼入れを
した場合,鋳物(試料S)である場合の軸,軸受け摩耗
量を示した。これらの値は,鋳物の試料Sを100とし
たときの相対値で示した。
【0058】上記摩耗測定後に,供試品の各ピン部およ
び各ジャーナル部を切断,研磨し,ビッカース硬さ計に
より,表面硬さ,内部硬さの測定を行った。その後,再
研磨して,光学顕微鏡で倍率:×400にて観察し,硫
化物介在物の厚み測定,3%ナイタールで腐食したミク
ロ組織観察による表層部の組織判定,およびポイントカ
ウンティング法によるフェライト分率の測定を行った。
表面硬さ,内部硬さ,フェライト分率については,各ピ
ン,ジャーナルの中で測定された値の平均値を採用し,
硫化物系介在物の厚みについては, 各ピン,ジャーナ
ルの中で測定された値の最大値を採用し,表5に示し
た。
【0059】
【表5】
【0060】上記の結果より,本発明鋼A〜Iは,硫化
物系介在物の厚みが20μm以下であり,組織が初析フ
ェライト分率3%以下のパーライト主体であって,軸摩
耗量,軸受摩耗量共に,従来鋼Rの高周波焼入品とほぼ
同等であり,従来鋳鉄に比べて優れている。これに対し
て,比較鋼Jは,C量が本発明の範囲より低く,フェラ
イト分率が高くなり,軸摩耗量,軸受摩耗量共に劣るも
のであり,比較鋼Kは,それぞれC量およびSi量が本
発明の範囲より高く,軸摩耗量,軸受摩耗量の面では遜
色ないが,実施形態例1で示したとおり,被削性におい
て劣る。比較鋼Lは,本発明の範囲よりもSiが多くフ
ェライト分率が高いため,軸摩耗量及び軸受摩耗量が大
きく,切削加工性に劣る。比較鋼Mについては,Mn量
およびCr量が本発明の範囲よりも低いため,硬さが低
く,軸摩耗量に劣る。比較鋼Nについては,逆にMn量
およびCr量が本発明の範囲よりも高いため,ベイナイ
ト組織が混在し,軸摩耗量,軸受摩耗量共に劣る。比較
鋼Oについては,S量が本発明の範囲よりも低く,軸摩
耗量,軸受摩耗量の面では遜色ないが,実施形態例1で
示したとおり,被削性に劣るものであり,比較鋼Pにつ
いては,逆にS量が本発明の範囲よりも高く,またO
(酸素)量も本発明の範囲よりも高いため,硫化物系介
在物の厚みが大きく,軸摩耗量,軸受摩耗量共に劣る。
比較鋼Qについては,Al量が本発明の範囲よりも高
く,軸摩耗量,軸受摩耗量共に劣るものである。また,
従来鋼Rについては,フェライト分率が高く,高周波焼
入を実施しない場合において,軸摩耗量,軸受摩耗量共
に劣っている。
【0061】実施形態例3 本例では,フェライト分率,およびピン,ジャーナル部
の表面粗さを変化させて試作したクランクシャフトをエ
ンジンに組付け,耐摩耗性について測定することによ
り,本発明の効果を,更に明らかにする。測定に供する
鋼は,表1に示される,本発明にかかる試料Aであり,
真空溶解炉にて溶製し,熱間圧延した後,図1に示すよ
うなクランクシャフト形状に熱間鍛造後,空冷したもの
(供試品1)と,熱間鍛造後,直ちに900℃に昇温し
た熱処理炉内に鍛造品を挿入して,10分間保持後,毎
分0.5℃の割合で徐冷したもの(供試品2)とを作製
した。これらクランクシャフト鍛造品を,機械加工によ
り仕上げて,試験に供した。
【0062】なお,本実施例においては,供試品2のク
ランクシャフトについては,ピン部およびジャーナル部
の機械加工仕上げを,表面粗さRzが0.8μm以下と
なるよう,ラッピング仕上げした。供試品1のクランク
シャフトについては,ピン部およびジャーナル部の機械
加工仕上げを,表面粗さRz:0.8μm以下(供試品
1−1),表面粗さRz:2.0〜3.0μm(供試品
1−2),表面粗さRz:4.0〜5.0μm(供試品
1−3)となるよう,種々変化させた。
【0063】摩耗試験に先立ち,各供試品は,各ピンお
よび各ジャーナルの円筒形状の摺動面を,表面粗さ計を
用いて,クランクシャフトの長手方向に10点平均粗
さ:Rz(試験前の軸粗さ)および真直度の測定を行っ
た。なおRzは,各ピン部及び各ジャーナル部の中で測
定された値の最大値を採用し,表6に示した。
【0064】摩耗試験は,前記クランクシャフト供試品
を,自動車エンジン用すべり軸受とともにエンジンに組
付け,エンジンを運転して行った。ジャーナル部11と
ピン部12のすべり軸受との摺動面10には,運転時
に,潤滑油を供給させるようにした。なお,エンジンの
運転条件,運転パターン,運転時間等の各種試験条件に
ついては,供試品間で同一に設定して行った。
【0065】軸摩耗量及び軸受摩耗量は,実施形態例2
と同様の方法により測定した。すなわち,上記摩耗試験
後に,供試品の各ピンおよび各ジャーナルの真直度変化
を再度測定し,試験前後での真直度変化量から,軸摩耗
量を算出した(図2参照)。また,参考データとして,
摩耗試験の前後での各軸受の重量変化量を測定し,この
重量変化量からこの重量変化量から軸受摩耗量を算出し
た。これら軸摩耗量および軸受摩耗量の結果は,各ピン
部及び各ジャーナル部の中で測定された値の最大値を採
用し,実施形態例2における試料Sの結果を100とし
た場合の指数表示で,表6に示した。
【0066】上記摩耗測定後に,供試品の各ピン部およ
び各ジャーナル部を切断,研磨し,ビッカース硬さ計に
より,表面硬さ,内部硬さの測定を行った。その後,再
研磨して,光学顕微鏡で倍率:×400にて観察し,硫
化物介在物の厚み測定,3%ナイタールで腐食したミク
ロ組織観察による表層部の組織判定,およびポイントカ
ウンティング法によるフェライト分率の測定を行った。
表面硬さ,内部硬さ,フェライト分率については,各ピ
ン部及び各ジャーナル部の中で測定された値の平均値を
採用し,硫化物介在物の厚みについては, 各ピン部及
び各ジャーナル部の中で測定された値の最大値を採用
し,表6に示した。
【0067】
【表6】
【0068】上記の結果より,本発明の鋼を用いても,
供試品1−2,1−3のように,軸の表面粗さRzが1
μmを超えて大きくなったり,供試品2のように,フェ
ライト分率が3%を超えると,軸摩耗量および軸受摩耗
量が多くなることが明らかである。硫化物介在物厚みが
20μm未満の場合には,軸の耐摩耗性が低下しない。
すなわち,本発明においては,鋼の成分範囲,フェライ
ト分率,硫化物系介在物の厚み,クランクシャフトの表
面粗さRzが,本発明の請求範囲内にある時に,優れた
被削性及び耐摩耗性を示すのである。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば,被削性及び耐摩耗性に
優れ,軸受に対しての攻撃性も小さく,かつ低コストの
クランクシャフト用鋼及びこれを用いて作製されたクラ
ンクシャフトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例2,3における,クランクシャフト
の正面図。
【図2】実施形態例2,3における,軸摩耗量の測定方
法の概略図。
【図3】実施形態例2における,摩耗試験結果の一例を
示す説明図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩間 直樹 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知製 鋼株式会社内 (72)発明者 野村 一衛 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知製 鋼株式会社内 Fターム(参考) 3J033 AA02 AB03 AC01 BA20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で,C:0.62〜0.80%,
    Si:0.60%以下,Mn:0.30〜1.80%,
    S:0.04〜0.35%,Cr:0.05〜0.50
    %,Al:0.005%未満,O:0.0020%以
    下,残部Fe及び不可避不純物からなり,熱間鍛造後の
    組織が初析フェライト分率3%以下のパーライト主体で
    あり,且つ厚み20μm以下の硫化物系介在物を含有す
    ることを特徴とする被削性及び耐摩耗性に優れたクラン
    クシャフト用鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で,C:0.62〜0.80%,
    Si:0.60%以下,Mn:0.30〜1.80%,
    S:0.04〜0.35%,Cr:0.05〜0.50
    %,V:0.01〜0.09%,Al:0.005%未
    満, O:0.0020%以下,残部Fe及び不可避不
    純物からなり,熱間鍛造後の組織が初析フェライト分率
    3%以下のパーライト主体であり,且つ厚み20μm以
    下の硫化物系介在物を含有することを特徴とする被削性
    及び耐摩耗性に優れたクランクシャフト用鋼。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において,上記クラン
    クシャフト用鋼は,更に,重量%で,Bi:0.01〜
    0.30%,Pb:0.01〜0.30%,Ca:0.
    0003〜0.020%,Mg:0.0003〜0.0
    020%,及びREM:0.001〜0.10%のグル
    ープから選ばれる1種または2種以上を含有しているこ
    とを特徴とするクランクシャフト用鋼。
  4. 【請求項4】 ピン部及びジャーナル部を有するクラン
    クシャフトにおいて,該クランクシャフトは,重量%
    で,C:0.62〜0.80%,Si:0.60%以
    下,Mn:0.30〜1.80%,S:0.04〜0.
    35%,Cr:0.05〜0.50%,Al:0.00
    5%未満, O:0.0020%以下,残部Fe及び不
    可避不純物からなるクランクシャフト用鋼を熱間鍛造し
    てなる熱間鍛造品であって,該熱間鍛造品の組織は,初
    析フェライト分率3%以下のパーライト主体であり,且
    つ厚み20μm以下の硫化物系介在物を含有し,上記ピ
    ン部および上記ジャーナル部におけるすべり軸受との摺
    動面は,表面粗さRzが1μm以下であることを特徴と
    する被削性及び耐摩耗性に優れたクランクシャフト。
  5. 【請求項5】 ピン部及びジャーナル部を有するクラン
    クシャフトにおいて,該クランクシャフトは,重量%
    で,C:0.62〜0.80%,Si:0.60%以
    下,Mn:0.30〜1.80%,S:0.04〜0.
    35%,Cr:0.05〜0.50%,V:0.01〜
    0.09%,Al:0.005%未満,O:0.002
    0%以下,残部Fe及び不可避不純物からなるクランク
    シャフト用鋼を熱間鍛造してなる熱間鍛造品であって,
    該熱間鍛造品の組織は,初析フェライト分率3%以下の
    パーライト主体であり,且つ厚み20μm以下の硫化物
    系介在物を含有し,上記ピン部および上記ジャーナル部
    におけるすべり軸受との摺動面は,表面粗さRzが1μ
    m以下であることを特徴とする被削性及び耐摩耗性に優
    れたクランクシャフト。
  6. 【請求項6】 請求項4または5において,上記クラン
    クシャフト用鋼は,更に,重量%で,Bi:0.01〜
    0.30%,Pb:0.01〜0.30%,Ca:0.
    0003〜0.020%,Mg:0.0003〜0.0
    020%,及びREM:0.001〜0.10%のグル
    ープから選ばれる1種または2種以上を含有しているこ
    とを特徴とするクランクシャフト。
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