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JP2002097368A - 水性硬化性樹脂組成物、それを含んでなる水性塗料及びその塗装物 - Google Patents

水性硬化性樹脂組成物、それを含んでなる水性塗料及びその塗装物

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JP2002097368A
JP2002097368A JP2000288507A JP2000288507A JP2002097368A JP 2002097368 A JP2002097368 A JP 2002097368A JP 2000288507 A JP2000288507 A JP 2000288507A JP 2000288507 A JP2000288507 A JP 2000288507A JP 2002097368 A JP2002097368 A JP 2002097368A
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JP
Japan
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group
aqueous
polymer
resin composition
water
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP2000288507A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Miyake
三宅正浩
Shinichi Kudo
工藤伸一
Masatami Furo
風呂昌民
Masataka Ooka
大岡正隆
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP2000288507A priority Critical patent/JP2002097368A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 屋外曝露時の光沢保持性や耐酸性雨性などの
耐久性及び屋外曝露時の耐汚染性に優れ、且つ、優れた
初期耐水性を示す硬化物を与える新規な水性硬化性樹脂
組成物、かかる水性硬化性樹脂組成物を含有する水性塗
料及び該水性塗料を塗装して成る塗装物を提供するこ
と。 【解決手段】 珪素原子に結合した水酸基および/また
は珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキ
サンセグメントとポリシロキサンセグメント以外の親水
性基を有する重合体セグメントとで構成される複合樹脂
を含む組成物を水性媒体中に分散または溶解せしめて得
られる水性樹脂と、ビニル系単量体を水性媒体中で乳化
重合せしめて得られる乳化重合体とを必須成分として含
有してなる水性硬化性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用な
る水性硬化性樹脂組成物、当該水性硬化性樹脂組成物を
必須成分として含有する水性塗料、当該水性塗料を塗装
してなる塗装物に関する。
【0002】さらに詳しくは、特定の珪素原子を有する
ポリシロキサンセグメントとポリシロキサンセグメント
以外の親水性基を有する重合体セグメントとから構成さ
れる複合樹脂を必須成分として含有する組成物を、水性
媒体中に分散もしくは溶解せしめることにより得られる
水性樹脂と、ビニル系単量体を水性媒体中で乳化重合せ
しめて得られる乳化重合体を必須成分として含有する水
性硬化性樹脂組成物、当該水性硬化性樹脂組成物を必須
の成分として含有する水性塗料および当該水性塗料を塗
装してなる塗装物に関するものである。
【0003】さらに詳細には、光沢保持性および耐酸性
雨性に代表される耐久性、耐曝露汚染性などの諸性能に
優れるとともに、硬化初期の耐水性(以下、初期耐水性
ともいう)に優れる硬化物を形成する水性硬化性樹脂組
成物に関する。
【0004】加えて、前記したような耐曝露汚染性、耐
久性などをはじめとする諸性能に優れ、且つ、優れた初
期耐水性を有する塗膜を形成することのできる、水性塗
料に関するものでもあり、さらに、前記したような耐久
性などをはじめとする諸性能に優れる塗膜を形成して成
る塗装物にも関する。
【0005】そして、こうした本発明の水性硬化性樹脂
組成物は、建築外装用、建材用、重防食用あるいは車両
用等の各種の塗料、繊維処理剤、接着剤あるいはシーリ
ング剤等の各種の用途に有効に利用されるものである。
【0006】
【従来の技術】近年、環境負荷の低減と安全衛生向上の
観点より、建築外装塗料用あるいは外装建材塗装剤等の
分野において水性化が加速度的に進行しており、これら
に使用される塗料用樹脂も従来の有機溶剤系から水性樹
脂に移行されつつある。
【0007】例えば、塩基性基または酸基と、水酸基な
どの官能基とを併有するビニル系重合体を、酸性化合物
あるいは塩基性化合物で以て中和せしめたのちに、水性
媒体中に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂
と、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アミノ化
合物の如き硬化剤からなる水性硬化性樹脂組成物(特開
平4−359075号公報、特開平6−1948号公
報、特表平8−510000号公報、欧州特許公開66
1320号公報等)は、幅広く使用されている。また、
ビニル系単量体を水性媒体中で乳化重合して得られる乳
化重合体をベース樹脂成分とする非架橋型あるいは架橋
型の水性樹脂組成物は、建築外装等の広範囲な用途に使
用されている。
【0008】しかしながら、こうした、これまでに使用
されてきた水性樹脂を、ベース樹脂成分とする水性硬化
性樹脂組成物から得られる硬化塗膜は、屋外曝露時の光
沢保持性ならびに耐酸性雨性などの耐久性や屋外曝露時
の耐汚染性が不十分であり、したがって、高度の耐久性
や屋外曝露時の耐汚染性が要求されるような用途には、
全くと言ってよいほど、従来の水性樹脂を利用すること
が出来ないという問題があった。
【0009】こうした問題点を解消するために、本発明
者らはビニル系重合体をポリシロキサンで変性する処方
を検討し、ポリシロキサンで変性したビニル系重合体を
ベース樹脂成分とする組成物は、耐久性や屋外曝露時の
耐汚染性に優れる硬化物を与えることを見いだした(特
開平10−36514号公報、特開平10−17611
7号公報、特開平10−182980号公報、特開平1
1−279408号公報)。
【0010】一方、建築外装や重防食塗装等の屋外での
現場塗装に於いては、塗装してから短時間のうちに降雨
があっても、これに耐える耐水性、即ち、硬化初期の耐
水性(初期耐水性)が必要とされる。しかし、前記した
ポリシロキサンで変性したビニル系重合体をベース樹脂
成分とする組成物から得られる硬化塗膜は、初期耐水性
が不十分であるという問題点を有しており、その改良が
望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述し
たような従来型技術における問題点を、解消するべく鋭
意研究を開始した。
【0012】本発明が解決しようとする課題は、屋外曝
露時の光沢保持性や耐酸性雨性などの耐久性及び屋外曝
露時の耐汚染性に優れ、且つ、優れた初期耐水性を示す
硬化物を与える新規な水性硬化性樹脂組成物、かかる水
性硬化性樹脂組成物を含有する水性塗料及び該水性塗料
を塗装して成る塗装物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、珪素原子に結
合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分
解性基を有するポリシロキサンセグメントと、ポリシロ
キサンセグメント以外の親水性基を有する重合体セグメ
ントとで構成される複合樹脂を水性媒体中に分散または
溶解せしめて得られる水性樹脂(I)と、ビニル系単量
体を水性媒体中で乳化重合せしめて得られる乳化重合体
(II)とを必須成分として含有する水性硬化性樹脂組成
物が、耐酸性雨性や屋外曝露時の光沢保持性(以下、耐
候性と云う)などの耐久性、屋外曝露時の耐汚染性等に
優れることに加えて、初期耐水性に優れること等を見い
出し、本発明が解決しようとする課題を解決することが
出来ることを確信するに及んで、本発明を完成させるに
到った。
【0014】すなわち、本発明は、 1.珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有するポリシロキサンセグメ
ント(a−1)とポリシロキサンセグメント以外の親水
性基を有する重合体セグメント(a−2)とで構成され
る複合樹脂(A)を含む組成物を水性媒体中に分散また
は溶解せしめて得られる水性樹脂(I)と、ビニル系単
量体を水性媒体中で乳化重合せしめて得られる乳化重合
体(II)とを必須成分として含有してなる水性硬化性樹
脂組成物、
【0015】2.水性樹脂(I)が、珪素原子に結合し
た水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性
基を有するポリシロキサンセグメント(a−1)とポリ
シロキサンセグメント以外の親水性基を有する重合体セ
グメント(a−2)とで構成される複合樹脂(A)と、
下記の一般式(S−1)
【0016】
【化4】
【0017】〔ただし、式中、R1はメチル基またはエ
チル基を表すものとする。〕で示される構造を必須の単
位構造として有するポリシロキサン(B)とを含む組成
物を、水性媒体中に分散または溶解せしめて得られるも
のである、上記1に記載の水性硬化性樹脂組成物、
【0018】3.ポリシロキサン(B)が、下記の一般
式(S−2)
【0019】
【化5】
【0020】〔ただし式中、R1はメチル基またはエチ
ル基を、Xは加水分解性基を表すものとする。〕で示さ
れる3官能シラン化合物の少なくとも1種を40モル%
以上含有する加水分解性シラン化合物を加水分解縮合も
しくは部分加水分解縮合して得られるものである、上記
2に記載の水性硬化性樹脂組成物、
【0021】4.複合樹脂(A)を構成する、ポリシロ
キサンセグメント(a−1)と重合体セグメント(a−
2)とが、下記の構造式(S−3)
【0022】
【化6】
【0023】〔ただし式中、炭素原子は重合体セグメン
ト(a−2)の一部分を構成し、2個の珪素原子はポリ
シロキサンセグメント(a−1)またはポリシロキサン
セグメント(a−1)の一部分を構成するものとす
る。〕で示される結合により結合していることを特徴と
する、上記1または2または3に記載の水性硬化性樹脂
組成物、
【0024】5.重合体セグメント(a−2)が有する
親水性基が、アニオン性基、カチオン性基およびノニオ
ン性基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性
基であることを特徴とする、上記1〜4のいずれか1つ
に記載の水性硬化性樹脂組成物、
【0025】6.乳化重合体(II)が、炭素数が4以上
のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルお
よび/または炭素数が5以上のシクロアルキルを含有す
る(メタ)アクリル酸エステルを20重量%以上使用し
て得られるものである、上記1〜5のいずれか1つに記
載の水性硬化性樹脂組成物、
【0026】7.乳化重合体(II)のガラス転移温度が
−20〜50℃である、上記1〜6のいずれか1つに記
載の水性硬化性樹脂組成物、
【0027】8.水性樹脂(I)に含まれる官能基と反
応性を有する官能基を有する化合物(III)を含有す
る、上記1〜7のいずれか1つに記載の水性硬化性樹脂
組成物、
【0028】9.上記1〜8のいずれか1つに記載の水
性硬化性樹脂組成物を必須の成分として含有してなる水
性塗料、
【0029】10. 上記9に記載の水性塗料が塗装さ
れた塗装物、を提供しようとするものである。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をより詳細に説明
することにする。本発明に係る水性硬化性樹脂組成物の
構成成分の一つである水性樹脂(I)としては、珪素原
子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した
加水分解性基を有するポリシロキサンセグメント〔以
下、ポリシロキサンセグメント(a−1)と略称する〕
と、ポリシロキサンセグメント以外の親水性基を有する
重合体セグメント〔以下、重合体セグメント(a−2)
と略称する〕とで構成される複合樹脂〔以下、複合樹脂
(A)と略称する〕を必須成分とする組成物を水性媒体
中に分散または溶解せしめて得られる水性樹脂が使用さ
れる。
【0031】上記複合樹脂(A)に含有されるポリシロ
キサンセグメント(a−1)に含有される珪素原子に結
合した加水分解性基とは、水素原子、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、イミノオキシ基、アルケニルオキシ
基、ハロゲン原子の如き、容易に加水分解されて珪素原
子に結合した水酸基を生成する基を指称するものであ
る。
【0032】複合樹脂(A)に含有される、ポリシロキ
サンセグメント以外の親水性基を有する重合体セグメン
ト(a−2)に含有される親水性基としては、アニオン
性基、カチオン性基およびノニオン性基があげられる。
そして、かかる親水性基を含有する重合体セグメントの
代表的なものとしては、アクリル系重合体、フルオロオ
レフィン系重合体、ビニルエステル系重合体、芳香族ビ
ニル系重合体またはポリオレフィン系重合体の如き、各
種のビニル系重合体に基づくセグメント、ポリエステル
樹脂、アルキド樹脂またはポリウレタン系重合体などの
如き、ビニル系重合体以外の、各種の重合体に基づくセ
グメントが挙げられる。
【0033】これらのうちでも特に好ましいものとして
は、ビニル系重合体セグメントまたはポリウレタン系重
合体セグメントが挙げられる。そして、ビニル系重合体
セグメントのうちで特に望ましいものは、アクリル系重
合体セグメントである。
【0034】重合体セグメント(a−2)に導入される
親水性基のうちアニオン性基としては、公知慣用の各種
のものが挙げられるが、特に好ましいものは、塩基性化
合物で以て中和された酸基である。そして、かかる中和
された酸基の代表的なものとしては、それぞれが中和さ
れた形の、カルボキシル基、燐酸基、酸性燐酸エステル
基、亜燐酸基、スルホン酸基またはスルフィン酸基など
である。これらの中和された酸基のうちで特に好ましい
ものは、中和されたカルボキシル基である。
【0035】そして、かかる酸基を中和するために使用
される塩基性化合物の代表的なものとしては、メチルア
ミン、トリメチルアミン、エチルアミン、トリエチルア
ミン、2−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタ
ノールなどの各種の有機アミン類;アンモニア、水酸化
リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの各
種の無機塩基性化合物;テトラメチルアンモニウムハイ
ドロオキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイ
ドロオキサイドの如き、各種の第四級アンモニウムハイ
ドロオキサイドなどが挙げられる。そして、かかる各種
の塩基性化合物のうちで、特に好ましいものは、有機ア
ミン類およびアンモニアである。
【0036】重合体セグメント(a−2)中に導入され
るカチオン性基としては、公知慣用の各種のものが挙げ
られるが、特に好ましいものは、酸性化合物で以て中和
された塩基性基である。
【0037】そして、かかる中和された塩基性基の代表
的なものとしては、それぞれが中和された形の、1級ア
ミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基またはアンモニウ
ムヒドロオキシド基などが挙げられる。そして、かかる
中和された塩基性基として特に好ましいものは、中和さ
れた3級アミノ基である。
【0038】そして、かかる塩基性基を中和するために
使用される酸性化合物の代表的なものとしては、蟻酸、
酢酸、プロピオン酸または乳酸などの各種のカルボン酸
類;燐酸モノメチルエステルまたは燐酸ジメチルエステ
ルなどの各種の燐酸のモノエステル類またはジエステル
類;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシル
ベンゼンスルホン酸の如き、各種の有機スルホン酸類;
塩酸、硫酸、硝酸、燐酸の如き、種々の無機酸などが挙
げられる。かかる酸性化合物のうちで、特に好ましいも
のは、カルボン酸類である。
【0039】また、重合体セグメント(a−2)中に導
入されるノニオン性基としては、ポリエーテル鎖が挙げ
られる。そして、かかるポリエーテル鎖として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、ポリオキシエチ
レン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシブチレン
鎖の如き、各種のポリオキシアルキレン鎖などであると
か、さらには、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレ
ン)鎖の如き、前記したオキシアルキレン部分がランダ
ムに共重合されたもの、あるいはポリオキシエチレン−
ポリオキシプロピレン鎖の如き、相異なるポリオキシア
ルキレン鎖がブロック状に結合したものなどである。
【0040】そして、かかる各種のポリオキシエチレン
鎖のうちで、特に好ましいものは、オキシエチレン単位
および/またはオキシプロピレン単位を必須の繰り返し
単位として含有するものである。
【0041】そして、重合体セグメント(a−2)中に
導入される親水性基としては、アニオン性基、カチオン
性基またはノニオン性基のそれぞれの単独であってもよ
いし、アニオン性基またはカチオン性基と、ノニオン性
基との併用であってもよい。また、水性樹脂(I)の保
存安定性を低下させない比率でアニオン性基とカチオン
性基を併用することもできる。
【0042】重合体セグメント(a−2)中に導入され
る、上述した如きアニオン性基またはカチオン性基の含
有量としては、重合体セグメント(a−2)の1,00
0グラム当たりのアニオン性基またはカチオン性基のモ
ル数として、約0.1モル〜約10モルなる範囲内が適
切であるし、好ましくは、0.2〜5モルなる範囲内が
適切であるし、最も好ましくは、0.3〜3モルなる範
囲内が適切である。
【0043】また、重合体セグメント(a−2)中に、
かかるノニオン性基としてのポリエーテル鎖のみを導入
する場合における、その導入量としては、重合体セグメ
ント(a−2)の1,000グラム当たりのポリエーテ
ル鎖のグラム数として、約10〜約990グラムなる範
囲内が適切であるし、好ましくは、20〜900グラム
なる範囲内が適切であるし、最も好ましくは、40〜8
00グラムなる範囲内が適切である。
【0044】さらに、重合体セグメント(a−2)中
に、アニオン性基またはカチオン性基と、ノニオン性基
としてのポリエーテル鎖との両者を、親水性基として含
有する場合には、それぞれを、単独で含有する場合の、
含有量として上述したような範囲内で、それぞれを含有
することが望ましい。
【0045】複合樹脂(A)の構造としては、ポリシロ
キサンセグメント(a−1)と重合体セグメント(a−
2)がブロック状に結合しているブロックポリマー、重
合体セグメント(a−2)が幹でありポリシロキサンセ
グメント(a−1)が枝であるようなグラフトポリマ
ー、ポリシロキサンセグメント(a−1)が幹であり重
合体セグメント(a−2)が枝であるようなグラフトポ
リマー、等が挙げられ、これらの何れの構造をとってい
てもよい。
【0046】また、複合樹脂(A)におけるポリシロキ
サンセグメント(a−1)と重合体セグメント(a−
2)との結合様式としては、公知の何れの結合様式であ
ってもよいが、耐久性の観点から下記の構造式(S−
3)で示される結合様式であることが特に好ましい。
【0047】
【化7】
【0048】〔ただし式中、炭素原子は、重合体セグメ
ント(a−2)の一部分を構成し、2個の珪素原子は、
ポリシロキサンセグメント(a−1)またはポリシロキ
サンセグメント(a−1)の一部分を構成するものとす
る。〕
【0049】上記した如き複合樹脂(A)を水に分散も
しくは溶解して得られる水性樹脂(I)の代表的なもの
としては、特開平10−36514号公報に開示され
ている如く、加水分解性シリル基と酸基を併有する重合
体と珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有するポリシロキサンを縮合
させた後、塩基性化合物で中和して得られる複合樹脂を
水に溶解もしくは分散させたもの、特開平10−17
6117号公報に開示されている如く、加水分解性シリ
ル基と塩基性基を併有する重合体と珪素原子に結合した
水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基
を有するポリシロキサンを縮合させた後、酸性化合物で
中和して得られる複合樹脂を水に溶解もしくは分散させ
たもの、特開平10−182980公報に開示されて
いる如く、加水分解性シリル基とポリエーテル鎖を併有
する重合体と珪素原子に結合した水酸基および/または
珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサ
ンを縮合させて得られる複合樹脂を水に溶解もしくは分
散させたもの、等が挙げられる。
【0050】上記した、あるいはなる水性樹脂
(I)を調製する際に使用される重合体に含有される加
水分解性シリル基とは、下記の一般式(S−4)
【0051】
【化8】
【0052】(ただし、式中のR2 はアルキル基、シク
ロアルキル基、アリール基、アラルキル基の如き1価の
有機基を、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ
基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、
イソプロペニルオキシ基、もしくはイミノオキシ基の如
き加水分解性基を表わすものとし、また、pは0あるい
は1または2なる整数であるものとする。)
【0053】で示される、加水分解されて珪素原子に結
合した水酸基を生成する各種の加水分解性基が結合した
シリル基を指称するものである。
【0054】上記した、あるいはなる水性樹脂
(I)を調製する際に使用される複合樹脂(A)におい
て、ポリシロキサンセグメント(a−1)と重合体セグ
メント(a−2)の比率は、ポリシロキサンセグメント
(a−1):重合体セグメント(a−2)なる重量比率
として、5:95〜99:1、好ましくは15:85〜
95:5、さらに好ましくは20:80〜85:15の
範囲内である。
【0055】また、特開平11−279408号公報に
開示されている如く、複合樹脂(A)と特定のポリシロ
キサン(B)を混合することにより、あるいは両者の少
なくとも一部分を縮合することにより、得られる組成物
を水に溶解あるいは分散して得られる水性樹脂を、本発
明の水性樹脂(I)の一つとして使用することが出来
る。そして、高度の耐久性を達成する観点から、特開平
11−279408に開示されている水性樹脂は、本発
明で使用される水性樹脂として最も好ましいものであ
る。
【0056】かかる最も好ましい水性樹脂を得る際に使
用されるポリシロキサン(B)は、下記の一般式(S−
1)
【0057】
【化9】
【0058】〔ただし、式中、R1はメチル基またはエ
チル基を表すものとする。〕で示される構造を必須の単
位構造として含有するポリシロキサン(B)である。
【0059】特開平11−279408号公報に開示さ
れている如き処方により本発明で使用される水性樹脂
(I)を得る際に使用される複合樹脂〔以下、複合樹脂
(A−1)と略称する〕を調製するには、当該公報に開
示されている各種の方法を適用できるが、最も簡便な方
法として、次の(i)および(ii)なる方法が挙げられる。
【0060】(i)酸基および/または塩基性基並びに加
水分解性シリル基を含有する重合体〔以下、重合体(P
−1)と略称する〕の存在下に、総炭素数が3個以上な
る有機基の1個と3個の加水分解性基を有するモノオル
ガノシラン化合物(SC−1)、2個の有機基と2個の
加水分解性基を有するジオルガノシラン化合物(SC−
2)および3個の有機基と1個の加水分解性基を有する
トリオルガノシラン化合物(SC−3)からなる群より
選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を加水分解する
ことにより重合体(P−1)とシラン化合物を縮合せし
めたのち、塩基性化合物または酸性化合物で部分中和な
しは完全中和せしめる方法。 (ii)ノニオン性基並びに加水分解性シリル基を含有する
重合体〔以下、重合体(P−2)と略称する〕の存在下
に、前記したシラン化合物(SC−1)、(SC−2)
および(SC−3)からなる群より選ばれる少なくとも
1種のシラン化合物を加水分解することにより重合体
(P−2)とシラン化合物を縮合せしめる方法。
【0061】(i)あるいは(ii)なる方法において使用さ
れる上記したシラン化合物(SC−1)、(SC−2)
あるいは(SC−3)としては、加水分解性基として上
掲した各種の基を有するものを使用できるが、経済性お
よび(i)あるいは(ii)なる方法の適用しやすさから、ア
ルコキシ基を有するものが特に好ましい。
【0062】シラン化合物(SC−1)のうち、加水分
解性基としてアルコキシ基を含有するものの代表的なも
のとしては、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プ
ロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメト
キシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、iso−
ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリメト
キシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘ
キシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシ
シラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシランもしくは
n−オクタデシルトリメトキシシランの如き炭素数が3
〜18個なるアルキルトリアルコキシシラン類;
【0063】3−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシランもしくは
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメ
トキシシランの如き、置換アルキルトリアルコキシシラ
ン類;シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロヘキ
シルトリメトキシシランもしくはシクロヘキシルトリエ
トキシシランの如き、シクロアルキルトリアルコキシシ
ラン類;フェニルトリメトキシシランもしくはフェニル
トリエトキシシランの如き、フェニルトリアルコキシシ
ラン類等が挙げられる。
【0064】上掲したシラン化合物(SC−1)の中
で、有機基として炭素数が3〜18なるアルキル基、シ
クロアルキル基およびアリール基を有するものを主成分
として使用することが好ましい。そしてその中でも特に
好ましいものは、有機基としてiso−ブチル基、シク
ロヘキシル基もしくはフェニル基を有するモノオルガノ
シラン類である。
【0065】シラン化合物(SC−2)のうち、加水分
解性基としてアルコキシ基を含有するものの代表的なも
のとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジ−iso
−ブチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキ
シシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルシクロ
ヘキシルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシ
シランもしくはメチルフェニルジエトキシシラン、ビニ
ルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイル
オキシプロピルメチルジメトキシシランの如き化合物が
挙げられる。そして、これらのなかで経済性の点から特
に好ましいものは、有機基としてメチル基を2個有する
ジオルガノシラン化合物である。
【0066】シラン化合物(SC−3)のうち、加水分
解性基としてアルコキシ基を含有するものの代表的なも
のとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエ
トキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ジメチル−
iso−ブチルメトキシシラン、ジメチル−tert−
ブチルメトキシシラン、ジメチルシクロヘキシルメトキ
シシラン、ジメチルフェニルメトキシシランの如きもの
が挙げられる。そして、これらのなかで経済性の点から
特に好ましいものは、有機基として3個のメチル基を有
するトリオルガノシラン化合物である。
【0067】複合樹脂(A)が重合体セグメント(a−
2)としてビニル系重合体に由来するセグメントを有す
る場合、上記した(i)または(ii)なる方法により、複合
樹脂(A−1)を調製する際に使用される、それぞれ、
酸基および/または塩基性基並びに加水分解性シリル基
を含有するビニル重合体、ノニオン性基並びに加水分解
性シリル基を含有するビニル重合体は公知慣用の方法に
より調製できる。
【0068】そして、それらのうち最も簡便な方法は、
酸基を含有するビニル系単量体、塩基性基を含有するビ
ニル系単量体およびノニオン性基を含有するビニル系単
量体から選ばれる少なくとも1種のビニル系単量体を、
前掲した如き加水分解性シリル基を含有する単量体と共
重合させる方法である。またその際に、必要に応じて、
これらの単量体と共重合可能な他のビニル系単量体を共
重合することが出来る。
【0069】上記したビニル系重合体を調製する際に使
用される加水分解性シリル基を含有するビニル系単量体
のうち、加水分解性基としてアルコキシ基を含有するも
のの代表的なものとしては、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキ
シシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテ
ル、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、
3−(メチルジメトキシシリル)プロピルビニルエーテ
ル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0070】上記した酸基を含有するビニル系単量体の
代表的なものとしては、(メタ)アクリル酸、2−カル
ボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタ
コン酸、マレイン酸、フマル酸の如き、各種の不飽和モ
ノカルボン酸もしくは不飽和ジカルボン酸;イタコン酸
モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸
モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モ
ノメチル、フマル酸モノ−n−ブチルの如き、不飽和ジ
カルボン酸類と、飽和1価アルコール類との各種のモノ
エステル類(ハーフエステル類);アジピン酸モノビニ
ル、コハク酸モノビニルの如き、各種の飽和ジカルボン
酸のモノビニルエステル類、等が挙げられる。
【0071】上記した塩基性基を含有するビニル系単量
体のうちでも、3級アミノ基を有するビニル系単量体の
代表的なものとしては、2−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)
アクリレートもしくは4−ジメチルアミノブチル(メ
タ)アクリレート、N−[2−(メタ)アクリロイルオ
キシ]エチルモルホリンの如き、3級アミノ基含有(メ
タ)アクリル酸エステル類;ビニルピリジン、N−ビニ
ルカルバゾールもしくはN−ビニルキノリンの如き、3
級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体類;
【0072】N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メ
タ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチ
ル(メタ)アクリルアミドの如き、3級アミノ基含有
(メタ)アクリルアミド類;N−(2−ジメチルアミ
ノ)エチルクロトン酸アミド、N−(4−ジメチルアミ
ノ)ブチルクロトン酸アミドの如き、3級アミノ基含有
クロトン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルビニル
エーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、
4−ジメチルアミノブチルビニルエーテルの如き、3級
アミノ基含有ビニルエーテル類、等が挙げられる。
【0073】上記したノニオン性基を含有するビニル系
単量体としては、前掲したような各種のポリエーテル鎖
を有する、(メタ)アクリル酸エステル系、クロトン酸
エステル系、イタコン酸エステル系、フマル酸エステル
系あるいはビニルエーテル系等の単量体などが挙げられ
る。
【0074】こうしたノニオン性基を含有するビニル系
単量体の代表的なものとしては、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコールまたはオキシエチレン単
位と、オキシプロピレン単位とを併有するポリエーテル
ジオールの如き、各種のポリエーテルジオールのモノ
(メタ)アクリル酸エステル;モノメトキシ化ポリエチ
レングリコール、モノメトキシ化ポリプロピレングリコ
ールもしくはオキシエチレン単位と、オキシプロピレン
単位とを併有するポリエーテルジオールのモノメトキシ
化物の如き、各種のモノアルコキシ化ポリエーテルジオ
ールの(メタ)アクリル酸エステルなどである。
【0075】そして、かかる単量体中に含有されるポリ
エーテル鎖それ自体の平均分子量としては、水溶性ある
いは水分散性の面からも、約200〜約10,000な
る範囲内が適切であるし、好ましくは、400〜8,0
00なる範囲内が適切であるし、最も好ましくは、60
0〜6,000なる範囲内が適切である。
【0076】また、ビニル系重合体には、上述したよう
に、酸基、塩基性、珪素原子に結合した加水分解性基お
よび珪素原子に結合した水酸基の都合4種類の官能基以
外の官能基として、炭素原子に結合した水酸基、ブロッ
ク水酸基、カルボニル基、シクロカーボネート基、エポ
キシ基、1級アミド基、2級アミド、カーバメート基あ
るいは構造式(S−5)で示される官能基等の種々の官
能基を導入することもできる。
【0077】
【化10】
【0078】かかる官能基を導入するには、かかる官能
基を含有する、(メタ)アクリル酸エステル系、ビニル
エステル系、ビニルエーテル系等の公知慣用のビニル系
単量体を共重合すればよい。
【0079】また、共重合可能なる其の他のビニル系単
量体の代表的なものとしては、メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メ
タ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、
イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリ
ル(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C22なるアルキ
ル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;ベンジ
ル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)
アクリレートの如き、各種のアラルキル(メタ)アクリ
レート類;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メ
タ)アクリレートの如き、各種のシクロアルキル(メ
タ)アクリレート類;
【0080】スチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き、芳香
族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、安息
香酸ビニルの如き、各種のカルボン酸ビニルエステル
類;クロトン酸メチル、クロトン酸エチルの如き、各種
のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレー
ト、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマレート、ジ
−n−ブチルフマレート、ジメチルイタコネート、ジ−
n−ブチルイタコネートの如き、各種の不飽和二塩基酸
のジアルキルエステル類;
【0081】(メタ)アクリロニトリル、クロトノニト
リルの如き、シアノ基含有単量体類;フッ化ビニル、フ
ッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリ
フルオロエチエレン、ヘキサフルオロプロピレンの如
き、フルオロオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデ
ンの如き、クロル化オレフィン類;エチレン、プロピレ
ンの如き、α−オレフィン類;
【0082】エチルビニルエーテル、n−ブチルビニル
エーテルの如き、アルキルビニルエーテル類;シクロペ
ンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル
の如き、シクロアルキルビニルエーテル類;N,N−ジ
メチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロ
イルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジ
ン、N−ビニルピロリドンの如き、3級アミド基含有単
量体類などである。
【0083】ビニル系重合体のうち、アクリル系重合体
を調製するには、上掲した単量体の中から(メタ)アク
リル酸エステルを必須の単量体成分として使用すればよ
いし、フルオロオレフィン系重合体を調製するには、上
記したフルオロオレフィン類を必須の単量体成分として
使用すればよい。
【0084】上述したビニル系単量体から、加水分解性
シリル基を含有する重合体を調製するには、公知慣用の
ラジカル重合開始剤、溶剤を使用して公知慣用の方法に
より重合を行えばよい。
【0085】こうして調製される加水分解性シリル基を
含有するビニル系重合体に導入される加水分解性シリル
基量としては、重合体の固形分の1,000グラム当た
りの加水分解性シリル基のモル数として、約0.005
〜約3モルなる範囲内が適切であり、好ましくは、0.
01〜2モルなる範囲内が適切であるし、さらに一層好
ましくは、0.05〜1モルなる範囲内が適切である。
【0086】また、酸基、塩基性、珪素原子に結合した
加水分解性性基および珪素原子に結合した水酸基の都合
4種類の官能基以外の官能基を当該重合体に導入する場
合には、重合体の固形分の1,000グラム当たりの官
能基のモル数として、約0.1〜約5モルなる範囲内が
適切であり、好ましくは、0.2〜3モルなる範囲内が
適切であるし、さらに一層好ましくは、0.3〜2モル
なる範囲内が適切である。
【0087】また、かかるビニル系重合体に導入される
べき、酸基または塩基性基の量としては、重合体の固形
分の1,000グラム当たりの、酸基または塩基性基の
モル数として、約0.1〜約10モルなる範囲内が適切
であるし、好ましくは、0.2〜5モルなる範囲内が適
切であるし、最も好ましくは、0.3〜3モルなる範囲
内が適切である。
【0088】そして、当該ビニル系重合体に導入される
ポリエーテル鎖の量としては、それぞれの重合体の固形
分の1,000グラム当たりのポリエーテル鎖のグラム
数として、約10〜約990グラムなる範囲内が適切で
あるし、好ましくは、20〜900グラムなる範囲内が
適切であるし、最も好ましくは、40〜800グラムな
る範囲内が適切である。
【0089】さらに、かかるビニル系重合体の数平均分
子量としては、約500〜約200,000なる範囲内
が、好ましくは、1,000〜50,000なる範囲内
が適切である。
【0090】重合体セグメント(a−2)としてポリウ
レタン系重合体に由来するセグメントを有する複合樹脂
(A−1)を、上記した(i)または(ii)なる方法により
調製する際に使用される、それぞれ、酸基および/また
は塩基性基並びに加水分解性シリル基を含有するポリウ
レタン系重合体、ノニオン性基並びに加水分解性シリル
基を含有するポリウレタン系重合体は、例えば、特開平
11−279408に記載された方法により調製するこ
とができる。
【0091】こうして調製される、ポリウレタン系重合
体に導入される加水分解性シリル基の量としては、それ
ぞれの重合体の固形分1,000グラム当たり、約0.
005〜約3モルなる範囲内が適切であり、好ましく
は、0.01〜2モルなる範囲内が適切であるし、さら
に一層好ましくは、0.05〜1モルなる範囲内が適切
である。
【0092】また、酸基、塩基性、珪素原子に結合した
加水分解性性基および珪素原子に結合した水酸基の都合
4種類の官能基以外の官能基を当該重合体に導入する場
合には、重合体の固形分の1,000グラム当たりの官
能基のモル数として、約0.1〜約5モルなる範囲内が
適切であり、好ましくは、0.2〜3モルなる範囲内が
適切であるし、さらに一層好ましくは、0.3〜2モル
なる範囲内が適切である。
【0093】また、ポリウレタン系重合体に導入される
酸基または塩基性基の量は、重合体の固形分の1,00
0グラム当たりの、酸基または塩基性基のモル数とし
て、約0.1〜約10モルなる範囲内が適切であるし、
好ましくは、0.2〜5モルなる範囲内が適切である
し、最も好ましくは、0.3〜3モルなる範囲内が適切
である。当該ポリウレタン系重合体に導入されるポリエ
ーテル鎖の量としては、重合体の固形分の1,000グ
ラム当たりのポリエーテル鎖のグラム数として、約10
〜約990グラムなる範囲内が適切であるし、好ましく
は、20〜900グラムなる範囲内が適切であるし、最
も好ましくは、40〜800グラムなる範囲内が適切で
ある。
【0094】当該ポリウレタン系重合体の数平均分子量
としては、約500〜約100,000なる範囲内が、
好ましくは、1,000〜50,000なる範囲内が適
切である。
【0095】こうして調製されるビニル系重合体あるい
はポリウレタン系重合体を使用して、(i)あるいは(ii)
なる方法により複合樹脂(A−1)を調製するには、特
開平11−279408に記載された如く、加水分解性
シリル基を含有するビニル系重合体あるいはポリウレタ
ン系重合体をシラン化合物と反応せしめればよい。
【0096】こうして調製される複合樹脂(A−1)と
組み合わせて水性樹脂(I)を調製する際に使用される
ポリシロキサン(B)の特に好ましいものは、下記の一
般式(S−2)
【0097】
【化11】
【0098】〔ただし、式中、R1はメチル基またはエ
チル基を、Xは加水分解性基を表すものとする。〕で示
される3官能シラン化合物の少なくとも1種を40モル
%以上、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは
70モル%以上含有する加水分解性シラン化合物を加水
分解縮合もしくは部分加水分解縮合して得られるもので
ある。
【0099】そして、かかる一般式(S−2)で示され
る3官能シラン化合物に含有される加水分解性基Xとし
ては、上記した加水分解性シリル基(S−4)に含有さ
れるものと同様、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ
基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、
イソプロペニルオキシ基、もしくはイミノオキシ基の如
き各種のものが挙げられるが、経済性の点や水性樹脂
(I)の調製時に好ましくない揮発成分を発生しない点
等から、特にアルコキシ基が好ましい。
【0100】このような珪素原子上にメチル基もしくは
エチル基を有し、且つ、加水分解性基としてアルコキシ
基を有するシラン化合物の代表的なものとしては、メチ
ルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メ
チルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリn−ブトキ
シシラン、等が挙げられる。
【0101】ポリシロキサン(B)の調製に当たり、使
用される加水分解性シラン化合物の合計モル数の60モ
ル%未満、好ましくは50モル%未満、さらに好ましく
は30モル%未満の一般式(S−2)で示される3官能
シラン化合物以外の加水分解性シラン化合物を併用する
ことができる。
【0102】併用できる加水分解性シラン化合物の代表
的なものとしては、総炭素数が3個以上なる有機基の1
個と3個の加水分解性基を有するモノオルガノシラン化
合物(SC−1)、2個の有機基と2個の加水分解性基
を有するジオルガノシラン化合物(SC−2)、3個の
有機基と1個の加水分解性基を有するトリオルガノシラ
ン化合物(SC−3)の代表的なものとして前掲した各
種の化合物が挙げられる。
【0103】シラン化合物(S−2)を主成分として含
有する加水分解性シラン化合物からポリシロキサン
(B)を調製するには、例えば、特開平11−2794
08号公報に記載された如き公知慣用の方法を適用すれ
ばよい。
【0104】複合樹脂(A−1)とポリシロキサン
(B)から、水性樹脂(I)を調製するには、複合樹脂
(A−1)とポリシロキサン(B)の混合物、あるいは
複合樹脂(A−1)とポリシロキサン(B)の少なくと
も一部分を縮合物させて得られる生成物を水性媒体に分
散もしくは溶解することにより調製される。そして、得
られた水性樹脂に含有される有機溶剤等の揮発性の有機
化合物は、必要に応じて、減圧下で留去する等の処理を
行って除去することができる。
【0105】本発明に係る水硬化性樹脂組成物の構成成
分である乳化重合体(II)としては、公知慣用のビニル
系単量体類を乳化重合せしめて得られる乳化重合体であ
れば、特に限定されるものではないが、特に代表的なも
のとしては、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系
重合体、ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合
体またはポリオレフィン系重合体などが挙げられる。そ
して、これらのうち特に好ましいものは、アクリル系重
合体およびフルオロオレフィン系重合体である。
【0106】こうしたアクリル系重合体やフルオロオレ
フィン系重合体等のビニル系重合体を調製する際に使用
されるビニル系単量体としては、加水分解性シリル基を
含有するビニル系重合体を調製する際に使用されるもの
として前掲した各種のものが挙げられる。
【0107】ビニル系重合体のうち、アクリル系重合体
の中で特に好ましいものは、耐水性の点から、炭素数が
4以上のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エス
テルおよび/または炭素数が5以上のシクロアルキルを
含有する(メタ)アクリル酸エステルを単量体合計重量
の20重量%以上使用して調製されるものである。
【0108】そして、かかるアクリル系重合体を調製す
る際に使用される炭素数が4以上のアルキル基を含有す
る(メタ)アクリル酸エステルの特に好ましいものとし
ては、アルキル基の炭素数が4〜13の単量体である。
そして、炭素数が5以上のシクロアルキルを含有する
(メタ)アクリル酸エステルの特に好ましいものは、シ
クロアルキル基の炭素数が6〜10の単量体である。
【0109】また、乳化重合体のうちのアクリル系重合
体としては、本発明の硬化性樹脂組成物より得られる塗
膜の硬化性、耐久性ならびに初期耐水性のバランス等の
点から、そのガラス転移温度の計算値が、−50〜70
℃、さらには−20〜50℃の範囲内のものであること
が好ましい。
【0110】本発明で使用される乳化重合体は、公知慣
用の乳化剤、重合開始剤を使用して公知慣用の方法によ
り調製することができる。その際に使用される乳化剤の
一般的なものとしては、例えば、アニオン性界面活性
剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、高
分子界面活性剤が挙げられる。
【0111】これらのうち、アニオン性界面活性剤の代
表的なものとしては、高級アルコールの硫酸エステル
塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルスルホン酸塩等が挙げられる。ノニ
オン性界面活性剤の代表的なものとしては、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシ
プロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステ
ル等が挙げられる。カチオン性界面活性剤の代表的なも
のとしては、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N
−ジメチルオクタデシルアミンの如き長鎖アルキル基を
有する3級アミンのカルボン酸塩や4級アンモニウム塩
等が挙げられる。
【0112】また、高分子界面活性剤としては、ポリ
(メタ)アクリル酸アンモニウム塩、(メタ)アクリル
酸共重合体のアンモニウム塩、スルホン酸ソーダ基を含
有するビニル系単量体の共重合体の如きアニオン性基を
含有する重合体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン、ポリアクリルアミド等が挙げられる。
【0113】上記した如き各種の界面活性剤のほかに、
一般的に反応性乳化剤と称される重合性二重結合を有す
る界面活性剤を使用することができる。こうした、反応
性乳化剤の代表的なものとしては、カルボン酸塩基、硫
酸塩基、燐酸塩基等のアニオン性基と二重結合を併有す
る化合物;ノニオン性基と重合性二重結合を併有する化
合物;4級アンモニウム塩基の如きカチオン性基と重合
性二重結合を併有する化合物等が挙げられる。
【0114】これらのうち、ノニオン性基と重合性二重
結合を併有する化合物のより具体的なものとしては、重
合体セグメント(a−2)にノニオン性基を導入する際
に使用されるものとして例示した如きポリエーテル鎖を
含有するビニル系単量体が挙げられる。上記した各種の
乳化剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用し
てもよい。
【0115】本発明の水性硬化性樹脂組成物中の前記し
た水性樹脂(I)と乳化重合体(II)の配合比率として
は、硬化性、耐久性ならびに初期耐水性のバランス等の
点から、水性樹脂(I)の固形分と乳化重合体(II)の
固形分の合計重量に占める水性樹脂(I)固形分の重量
割合として、5〜95%、好ましくは10〜90%、最
も好ましくは20〜80%である。これらの配合比率
で、水性樹脂(I)と乳化重合体(II)とを混合するこ
とにより、本発明の水性硬化性樹脂組成物が得られる。
【0116】本発明の水性硬化性樹脂組成物は、一つに
は、水性樹脂(I)が、それ自体で、自己硬化性を有す
る処から、水性樹脂(I)および乳化重合体(II)を必
須の成分として含有する自己硬化性組成物として使用で
きるし、
【0117】二つには、水性樹脂(I)および乳化重合
体(II)に加えて、水性樹脂(I)に含まれる官能基と
反応性を有する官能基を有する化合物(III)をも含む
水性硬化性樹脂組成物として使用することもできる。
【0118】後者の水性硬化性樹脂組成物の調製に際し
添加される化合物(III)とは、前述した水性樹脂(I)
中に含まれる、前述のような各種の官能基と反応する官
能基を少なくとも1種有する、公知慣用の種々の化合物
を指称するものである。
【0119】化合物(III)に含有される官能基の代表的
なものとしては、イソシアネート基、ブロックされたイ
ソシアネート基、エポキシ基、シクロカーボネート基、
オキサゾリン基、アジリジニル基、カーボジイミド基、
アルデヒドまたはケトンに由来するカルボニル基、珪素
原子に結合した水酸基、珪素原子に結合した加水分解性
基、N−ヒドロキシメチルアミノ基、N−アルコキシメ
チルアミノ基、N−ヒドロキシメチルカルボン酸アミド
基、N−アルコキシメチルカルボン酸アミド基、ヒドラ
ジノ基などである。
【0120】そして、当該化合物(III)中に含まれる
官能基は、水性樹脂(I)中に含まれる官能基の種類に
応じて、適宜、選択される。そうした組み合わせとして
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、珪素原
子に結合した水酸基−珪素原子に結合した水酸基、珪素
原子に結合した水酸基−珪素原子に結合した加水分解性
基、珪素原子に結合した加水分解性基−珪素原子に結合
した加水分解性基、カルボキシル基−エポキシ基、カル
ボキシル基−シクロカーボネート基、カルボキシル基−
アジリジニル基、カルボキシル基−カーボジイミド基、
3級アミノ基−エポキシ基、カルボキシル基−N−ヒド
ロキシメチルアミノ基、カルボキシル基−N−アルコキ
シメチルアミノ基、カルボキシル基−オキサゾリン基、
炭素原子に結合した水酸基−イソシアネート基、炭素原
子に結合した水酸基−ブロックイソシアネート基、N−
ヒドロキシメチルアミノ基−炭素原子に結合した水酸
基、N−アルコキシメチルアミノ基−炭素原子に結合し
た水酸基、N−ヒドロキシメチルカルボン酸アミド基−
炭素原子に結合した水酸基、N−アルコキシメチルカル
ボン酸アミド基−炭素原子に結合した水酸基、カルボニ
ル基−ヒドラジノ基などである。
【0121】当該化合物(III)としては、水性樹脂
(I)中に含まれる官能基によっては、前述したような
種々の官能基のうちの2種以上を有するものであっても
よい。また、当該化合物(III)としては、比較的、分
子量の低い化合物に加えて、各種の樹脂類であってもよ
く、このような樹脂類として特に代表的なもののみを例
示するにとどめれば、アクリル樹脂またはフッ素樹脂の
如き、各種のビニル系重合体、ポリエステル樹脂、アル
キド樹脂、ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂などで
ある。
【0122】かかる化合物(III)の代表的なものとし
ては、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
子に結合した加水分解性基を有する化合物、一分子中に
エポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有
する化合物、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリ
イソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリアジ
リジン化合物、ポリカーボジイミド化合物、ポリオキサ
ゾリン化合物、アミノ樹脂、ポリヒドラジド化合物、ポ
リセミカルバゾン化合物等が挙げられる。そして、これ
らの化合物は、それぞれを単独で使用できるし、2種以
上を併用することもできる。
【0123】こうした化合物(III)を使用する際に
は、硬化性、耐水性、耐久性のバランスの点から、水性
樹脂(I)の固形分と乳化重合体(II)の固形分の合計
量の100重量部に対して、化合物(III)が1〜10
0重量部、好ましくは、3〜50重量部の範囲となるよ
うな比率で化合物(III)を配合すればよい。
【0124】本発明の水性硬化性樹脂組成物は、着色顔
料を含まないクリヤーな組成物として使用することも出
来るし、また、公知慣用の種々の有機系あるいは無機系
の顔料を含有する着色組成物として、使用することも出
来る。
【0125】上記した顔料の代表的なものとしては、カ
ーボン・ブラック、フタロシアニン・ブルー、フタロシ
アニン・グリーンまたはキナクリドン・レッドの如き、
各種の有機系顔料;酸化チタン、酸化鉄、チタンイエロ
ーもしくは銅クロムブラックの如き各種の金属酸化物系
の無機系顔料;アルミニウムフレークもしくはパールマ
イカの如き無機系のフレーク状の顔料等が挙げられる。
【0126】また、本発明の水性硬化性樹脂組成物に
は、さらに、硬化触媒、流動調整剤、染料、レベリング
剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防
止剤または可塑剤などのような、公知慣用の種々の添加
剤類などをも配合せしめた形で以て、使用することが出
来る。
【0127】上述した本発明の水性硬化性樹脂組成物は
各種の用途に利用できるものであるが、当該組成物を含
有する水性塗料としての利用は、特に有用なものの一つ
である。かかる、水性塗料は下塗り塗膜あるいは上塗り
塗膜等各種の硬化塗膜の形成に使用することが出来る
が、得られる硬化物の特徴である優れた耐久性、耐曝露
汚染性ならびに初期耐水性を活かすことができるという
点から、上塗り塗膜の形成に特に適している。
【0128】即ち、本発明の水性塗料を、上塗り塗料と
して使用し硬化塗膜を形成させるには、基材に直接に塗
装せしめた後に、あるいは、予め下塗り塗料が塗装され
た基材に塗装せしめた後に、硬化せしめればよい。
【0129】本発明の水性塗料が塗装される基材として
は、公知慣用の種々のものが使用されるが、それらのう
ちでも特に代表的なものとしては、各種の金属基材、無
機質基材、プラスチック基材、紙もしくは木質系基材等
が挙げられる。
【0130】かかる各種の基材のうち、金属基材の代表
的なものとしては、鉄、ニッケル、アルミニウム、クロ
ム、亜鉛、錫、銅または鉛等の金属類;ステンレススチ
ール、真鍮の如き、前記した各種金属の合金類;前掲し
た各種の金属類であって、メッキや化成処理などが施さ
れた各種の表面処理金属類、等が挙げられる。
【0131】無機質基材とは、セメント系、珪酸カルシ
ウム等の珪酸塩系、石膏系、石綿系、セラミックス系等
で代表される無機質の材料を主とするものであり、その
具体的なものとしては、現場施工(湿式)基材としての
打放しコンクリート、セメントモルタル、石膏プラスタ
ー、ドロマイトプラスター、漆喰等;現場生産(乾式)
基材としての軽量気泡コンクリート板(ALC)、石綿
セメント板、ガラス繊維強化珪酸カルシウム板、石膏ボ
ード、タイルの如き粘土の焼成物、ガラス、等が挙げら
れる。
【0132】プラスチック基材の代表的なものとして
は、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタ
クリレート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、
ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプ
ロピレン、ポリブチレンテレフタレートもしくはポリエ
チレンテレフタレートの如き、種々の熱可塑性樹脂の成
形品;不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、架橋
型ポリウレタン、架橋型のアクリル樹脂、架橋型の飽和
ポリエステル樹脂の如き、各種の熱硬化性樹脂の成形品
等が挙げられる。
【0133】また、前掲したような各種の基材であっ
て、被覆が施されており、しかも、その被覆部分の劣化
が進んだような部類の基材であっても使用することが出
来る。
【0134】こうした種々の基材は、それぞれ、板状、
球状、フィルム状、シート状ないしは大型の構築物また
は複雑なる形状の組立物あるいは成形物などのような、
種々の用途に応じて、各種の形で以て使用されるもので
あって、特に、制限はない。
【0135】そして、かかる基材に直接、本発明の水性
塗料を、上塗り塗料として塗装せしめ、次いで、硬化せ
しめる塗膜の形成方法〔以下、方法(I)と略記する〕
としては、前記基材上に、上塗り用の当該水性塗料を、
刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、フ
ロー・コーター塗装、ロール・コーター塗装もしくは電
着塗装などといった、公知慣用の種々の塗装方法によっ
て塗装せしめたのちに、硬化せしめる方法、等が挙げら
れる。
【0136】そして、未硬化の上塗り塗膜で被覆された
基材を、常温に、1〜10日間程度、放置したり、約4
0〜約250℃なる温度範囲で以て、約30秒間〜2時
間程度、加熱したりすることによって、とりわけ、耐候
性や耐酸性雨性等の耐久性、屋外曝露時の耐汚染性に優
れた塗膜で被覆された、塗装物を得ることが出来る。
【0137】他方、予め下塗り塗料が塗装された基材
に、本発明の水性塗料を、上塗り塗料として塗装せし
め、次いで、硬化せしめる塗膜の形成方法〔以下、方法
(II)と略記する〕において、下塗り塗料としては、
公知慣用の種々のものを使用することが出来る。
【0138】かかる下塗り塗料の代表的なものとして
は、水性の溶液型ないしは分散型またはエマルジョン型
塗料;有機溶剤系の溶液型ないしは分散型塗料;さらに
は、粉体塗料もしくは無溶剤型液状塗料などがある。
【0139】こうした各種の塗料のうち、水性の溶液型
ないしは分散型またはエマルジョン型塗料の代表的なも
のとしては、アクリル樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系
塗料、アルキド樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、脂肪
酸変性エポキシ樹脂系塗料、シリコーン樹脂系塗料、ポ
リウレタン樹脂系塗料、フルオロオレフィン系塗料また
はアミン変性エポキ樹脂塗料などのような各種のタイプ
のものが挙げられる。
【0140】かかる各種の水性塗料は、硬化剤や硬化触
媒などを含有しない非架橋型塗料として使用することが
出来るし、あるいはポリイソシアネート、ブロック化ポ
リイソシアネート、ポリエポキシ化合物、ポリオキサゾ
リン化合物または加水分解性シリル基・エポキシ基併有
化合物の如き、各種の架橋剤や公知慣用の種々の硬化触
媒類が配合された、架橋型塗料としても使用することが
出来る。
【0141】さらには、下塗り塗料としての、架橋型水
性塗料の一つとして、本発明の組成物を必須成分として
含む、水性塗料をも使用することが出来る。
【0142】下塗り塗料として用いられる、有機溶剤系
の溶液型ないしは分散型塗料の代表的なものとしては、
塩素化ポリオレフィン樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗
料、シリコン含有アクリル樹脂系塗料、ポリエステル樹
脂系塗料、アルキド樹脂系塗料、繊維素系ポリマー含有
塗料、エポキシ樹脂系塗料、脂肪酸変性エポキシ樹脂系
塗料またはシリコーン樹脂系塗料などのような各種のタ
イプのものが挙げられる。
【0143】こうした各種の有機溶剤系塗料は、硬化剤
や硬化触媒などを含有しない非架橋型塗料として使用す
ることが出来るし、水性の下塗り塗料の部分で以て上述
したような各種の架橋剤や公知慣用の種々の硬化触媒類
が配合された、架橋型塗料としても使用することが出来
る。
【0144】有機溶剤系塗料として、エネルギー線硬化
型のアクリル二重結合や、ビニルエーテル基や、脂環式
エポキシ基などを有する樹脂あるいは化合物などを含む
塗料も亦、使用することが出来る。
【0145】下塗り塗料として用いられる粉体塗料の代
表的なものとしては、エポキシ樹脂系塗料、ポリエステ
ル樹脂系塗料またはアクリル樹脂系塗料などが挙げられ
るが、これらは、それぞれの樹脂中に含有される、反応
性の官能基の種類に応じて、酸無水物、ジシアンジアミ
ド、多価カルボン酸、ブロック化ポリイソシアネートま
たはポリエポキシ化合物などの、各種の架橋剤が配合さ
れた、熱硬化性塗料として使用される。
【0146】下塗り塗料として用いられる、無溶剤液状
塗料の代表的なものとしては、ラジカル硬化型の不飽和
ポリエステル樹脂系塗料、ポリイソシアネート硬化型の
ポリウレタン樹脂系塗料、エネルギー線硬化型のアクリ
ル系二重結合含有樹脂を含む塗料もしくはエネルギー線
硬化型のビニルエーテル基および/または脂環式エポキ
シ基を有する樹脂あるいは化合物を含む塗料などが挙げ
られる。
【0147】また、上記したような各種の下塗り用塗料
は、顔料を含まないクリヤー塗料であってもよいし、上
述したような各種の顔料を含むエナメル系塗料あるいは
アルミニウムフレーク等を含有するメタリック塗料であ
ってもよい。
【0148】したがって、方法(II)としては、下塗
り塗料と、上塗り塗料との組み合わせに応じて、(イ)
下塗りクリヤー塗膜と上塗り着色塗膜、(ロ)下塗り着
色塗膜と上塗り着色塗膜、(ハ)下塗り着色塗膜と上塗
クリヤー塗膜等のような、いわゆる複層塗膜を、硬化せ
しめる方法が挙げられる。
【0149】そして、こうした複層塗膜における、下塗
りと、上塗りとの組み合わせは、塗装物の用途に応じ
て、適宜、選択される。
【0150】方法(II)によって、塗膜を形成せしめ
るには、上述したような各種の基材上に、まず、下塗り
塗料を塗装せしめ、次いで、上塗り用の水性塗料を塗装
せしめたのちに、上塗り塗料を硬化せしめればよい。
【0151】こうした下塗り塗料および上塗り塗料の塗
装に際して、方法(I)で塗装する場合に適用できるも
のとして例示した各種の塗装方法を適用できる。
【0152】その際の、塗膜の乾燥工程あるい硬化工程
としては、下塗り塗料の種類や、基材の種類などに応じ
て、適宜、選択されるが、たとえば、下塗り塗料を塗装
せしめたのち、上塗り塗料を塗装せしめる前に、常温に
放置したり、加熱したりすることにより、あるいは紫外
線や電子線などの活性エネルギー線を照射したりするこ
とにより、予め、乾燥ないしは硬化した下塗り塗膜を形
成せしめ、その上に、上塗り塗料を塗装せしめ、硬化せ
しめることも出来る。
【0153】あるいは、下塗り塗料を塗装せしめたのち
に、下塗り塗膜を乾燥あるいは硬化せしめる前に、上塗
り塗料を塗装せしめるという、いわゆるウエット・オン
・ウエット(wet−on−wet)塗装仕上げ法を適
用して、上塗り塗膜を硬化せしめると同時に、下塗り塗
膜を乾燥あるいは硬化せしめることも出来る。
【0154】また、使用される下塗り塗料は、1種類の
みであってもよいし、2種類以上の塗料を使用して、複
層の下塗り塗膜を形成させてもよい。
【0155】そして、こうした、たとえば、方法(I
I)で以て塗膜を形成せしめる際の、上塗り塗膜の硬化
条件としては、上述した方法(I)で以て形成せしめる
際と同様の条件を適用することも出来るが、下塗り塗膜
と同時に硬化せしめる場合には、下塗り塗膜の硬化に適
した条件に設定する必要がある。
【0156】上述した如き各種の塗膜の形成方法によっ
て、とりわけ、耐候性ならびに耐酸性雨性等の耐久性、
屋外暴露時の耐汚染性および初期耐水性に優れる硬化塗
膜で被覆された、塗装物が製造される。
【0157】このようにして製造される塗装物の、より
具体的なものとしては、基材として金属基材が使用され
た自動車、自動二輪車、電車、自転車、船舶または飛行
機あるいは其の他の輸送関連機器類;基材として、金属
基材あるいはプラスチック基材等が使用された、テレ
ビ、ラジオ、冷蔵庫、洗濯機、クーラー、クーラー室外
機またはコンピュータあるいは其の他の家電製品類およ
びそれらに使用される各種の部品類;
【0158】各種の無機質系の瓦、金属製の屋根材、無
機質系外壁材、金属製の壁材、金属製の窓枠、金属製あ
るいは木製のドアまたは内壁材の如き、種々の建材類;
道路、道路標識、ガードレール、橋梁、タンク、煙突ま
たはビルディングの如き、各種の屋外構築物;さらに
は、ポリエステル樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム
あるいはフッ素樹脂フィルム等の各種の有機フィルムに
塗装した各種の被覆フィルムなどが挙げられる。本発明
の水性塗料はこうした塗装物の製造に、有効に利用する
ことができるものである。
【0159】本発明の水性硬化性樹脂組成物は、とりわ
け、耐候性や耐酸性雨性等の耐久性および屋外暴露時の
耐汚染性などに極めて優れる硬化物を与える処から、建
築外装用塗料、建材用塗料、重防食用塗料、自動車上塗
り用塗料、などの、種々の塗料用として利用することが
出来る。そして、初期耐水性に優れることから、建築外
装用塗料あるいは重防食用塗料用等の現場施工型塗料用
として、非常に有用なものである。また、接着剤用、イ
ンク用、繊維・紙の含浸剤用、表面処理剤用、等の塗料
用以外の広範囲なる用途にも、利用することが出来る。
【0160】
【実施例】次に本発明を、参考例、実施例および比較例
により、一層具体的に説明をすることにするが、本発明
はこれらの例のみに限定されるものではない。なお以下
において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて
重量基準であるものとする。
【0161】参考例1〔ポリシロキサン(B)の調製
例〕 温度計、環流冷却管および滴下漏斗を備えた反応容器
に、メチルトリメトキシシラン(MTMS)の10,0
00部を仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、同温
度で、「A−3」[堺化学工業(株)製の、iso−プ
ロピルアシッドホスフェートの商品名]の1.18部
と、脱イオン水の1,456部との混合物を、10分間
を要して滴下した。滴下終了後も、同温度で、4時間の
あいだ撹拌を行なったのち、減圧蒸留で、メタノールを
除くことによって、メトキシ基の含有率が35%で、数
平均分子量が1,000なる、目的とするポリシロキサ
ンを得た。以下、これをポリシロキサン(B−1)と略
記する。
【0162】参考例2〔水性樹脂(I)の調製例〕 温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、プロピレングリコールモノn−プロピルエー
テル(PNP)の300部と、iso−プロパノール
(IPA)の250部と、フェニルトリメトキシシラン
(PTMS)の268部と、ジメチルジメトキシシラン
(DMDMS)の162部とを仕込んで、窒素ガスの通
気下に、80℃まで昇温した。次いで、同温度で、撹拌
しながら、メチルメタクリレート(MMA)の323
部、n−ブチルメタクリレート(BMA)の256部、
n−ブチルアクリレート(BA)の307部、アクリル
酸(AA)の94部、3−メタクリロイルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン(MPTMS)30部、PNPの
50部およびtert−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート(TBPOEH)の50部からなる混合
物を、4時間をかけて滴下した。
【0163】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ攪
拌を行ったのち、「A−3」の4.3部と脱イオン水の
122部の混合物を、5分間をかけて滴下し、次いで、
10時間のあいだ攪拌を続行して、アクリル系重合体と
PTMSおよびDMDMSとを縮合せしめた。
【0164】次いで、トリエチルアミン(TEA)の1
32部を、5分間をかけて滴下してカルボキシル基を中
和し、続いて、ポリシロキサン(B−1)の1,021
部を5分間をかけて滴下し、次いで、此処に、脱イオン
水の2,650部を、10分間かけて滴下したのち、1
0〜300mmHgの減圧下に、40〜60℃で、減圧
蒸留を行うことにより、メタノールとIPAを除去し、
不揮発分が40.0%なる、目的の水性樹脂を得た。以
下、これを水性樹脂(I−1)と略記する。
【0165】参考例3(同上) 温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、PNPの180部と、IPAの400部と、
PTMSの268部と、DMDMSの162部とを仕込
んで、窒素ガスの通気下に、80℃まで昇温した。次い
で、同温度で、撹拌しながら、MMAの494部、BM
Aの364部、BAの430部、AAの80部、MPT
MSの42部、PNPの70部およびTBPOEHの7
0部からなる混合物を、4時間をかけて滴下した。
【0166】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ攪
拌を行ったのち、「A−3」の4.4部と脱イオン水の
122部の混合物を、5分間をかけて滴下し、次いで、
10時間のあいだ攪拌を続行して、アクリル系重合体と
PTMSおよびDMDMSとを縮合せしめた。
【0167】次いで、TEAの90部を、5分間をかけ
て滴下してカルボキシル基を中和し、続いて、ポリシロ
キサン(B−1)の458部を5分間をかけて滴下し、
次いで、此処に、脱イオン水の2,750部を、10分
間かけて滴下したのち、10〜300mmHgの減圧下
に、40〜60℃で、減圧蒸留を行うことにより、メタ
ノールとIPAを除去し、不揮発分が40.5%なる、
目的の水性樹脂を得た。以下、これを水性樹脂(I−
2)と略記する。
【0168】参考例4〔乳化重合体(II)の調製例〕 温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、ハイテノールN−08[第一工業製薬(株)
製の、ポリオキシエチレンアルキルフェニルサルフェー
トの商品名]の10部と、脱イオン水の933部とを仕
込んで、窒素ガスの通気下に、80℃まで昇温した。次
いで、同温度で、撹拌しながら、N−08の5部、ノイ
ゲンEA−130T[第一工業製薬(株)製の、ポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテルの商品名]の10
部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)の25
0部、MMAの265部、BMAの250部、BAの2
15部、AAの20部、MPTMSの2部および25%
アンモニア水の2部からなる乳化物のうちの59部を加
えた。
【0169】その5分後、此処へ、過硫酸アンモニウム
(APS)の2部を脱イオン水40部に溶解せしめた水
溶液(以下、APS水溶液と略称する)のうちの21部
を加え、さらにその20分後、前記乳化物の残りの1,
111部とAPS水溶液の残りの21部を3時間をかけ
て並行滴下した。滴下終了後、さらに2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、12.5%アンモニア水の20部を添
加することにより、不揮発分46.0%で、ガラス転移
温度計算値27℃なるアクリル樹脂系乳化重合体(II−
1)を得た。
【0170】参考例5〔同上〕 温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、ハイテノールN−08の10部と、脱イオン
水の933部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80
℃まで昇温した。次いで、同温度で、撹拌しながら、N
−08の5部、ノイゲンEA−130Tの10部、シク
ロヘキシルメタクリレート(CHMA)の500部、M
MAの170部、BAの310部、AAの20部、MP
TMSの2部および25%アンモニア水の2部からなる
乳化物のうちの59部を加えた。
【0171】その5分後、此処へ、APSの2部を脱イ
オン水40部に溶解せしめた水溶液(以下、APS水溶
液と略称する)のうちの21部を加え、さらにその20
分後、前記乳化物の残りの1,111部とAPS水溶液
の残りの21部を3時間をかけて並行滴下した。滴下終
了後、さらに2時間のあいだ撹拌を行ったのち、12.
5%アンモニア水の20部を添加することにより、不揮
発分46.0%で、ガラス転移温度計算値20℃なるア
クリル樹脂系乳化重合体(II−2)を得た。
【0172】実施例1〔水性硬化性樹脂組成物(X)の
調製例〕 本例は、水性硬化性樹脂組成物(X)を調製するための
一つの例を示すものである。
【0173】参考例2で得られた水性樹脂(I−1)の
875部に対して、参考例4で得られた乳化重合体(II
−1)の326部を配合せしめて、不揮発分が41.6
%なる、目的の水性硬化性樹脂組成物を得た。以下、こ
れを水性硬化性樹脂組成物(X−1)と略記する。
【0174】実施例2(同上) 参考例3で得られた水性樹脂(I−2)の864部に対
して、参考例5で得られた乳化重合体(II−2)の32
6部を配合せしめて、不揮発分が42.0%なる、目的
の水性硬化性樹脂組成物を得た。以下、これを水性硬化
性樹脂組成物(X−2)と略記する。
【0175】実施例3(同上) 水性樹脂(I−1)の875部に対して、乳化重合体
(II−1)の326部、3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン(GPTMS)の80部を配合せしめ
て、不揮発分が43.5%なる、目的の水性硬化性樹脂
組成物を得た。以下、これを水性硬化性樹脂組成物(X
−3)と略記する。
【0176】実施例4(同上) 水性樹脂(I−2)の864部に対して、乳化重合体
(II−2)の326部、GPTMSの68部を配合せし
めて、不揮発分が43.6%なる、目的の水性硬化性樹
脂組成物を得た。以下、これを水性硬化性樹脂組成物
(X−4)と略記する。
【0177】実施例5〜8〔白色塗料の調製〕 水性硬化性樹脂組成物(X)の一部と、タイペークCR
−97[石原産業(株)製の、酸化チタンの商品名]
と、PNPとの混合物を、サンドミルを使用して分散せ
しめ、顔料重量濃度(PWC)が60%なる、各種のミ
ルベースを調製した。次いで、このミルベースに、水性
硬化性樹脂組成物(X)の残り全部を添加し、混合せし
めて、PWCが35%なる、各種の白色塗料を調製し
た。
【0178】それぞれの白色塗料の調製に使用した、水
性硬化性樹脂組成物(X)、タイペークCR−97、P
NPの使用量は、第1表に示す通りである。
【0179】実施例9〜12〔クリヤー塗料の調製〕 水性硬化性樹脂組成物(X)に対して、PNP、チヌビ
ン123[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
の、ヒンダードアミン系光安定剤の商品名]、チヌビン
400[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
の、紫外線吸収剤の商品名]を配合せしめて、各種のク
リヤー塗料を調製した。水性硬化性樹脂組成物(X)、
PNP、チヌビン123、チヌビン400の使用比率
は、第1表に示す通りである。
【0180】参考例5〔対照用の白色塗料の調製〕 水性樹脂(I−1)の176部と、タイペークCR−9
7の70部と、PNPの14部との混合物を、サンドミ
ルを使用して分散せしめ、顔料重量濃度(PWC)が6
0%なる、各種のミルベースを調製した。次いで、この
ミルベースに、水性樹脂(I−1)の104部を添加
し、さらにGPTMSの26部を配合せしめて、PWC
が35%なる、対照用白色塗料を調製した。以下、この
塗料を比白−1と略称する
【0181】参考例6〔同上〕 脱イオン水の36.5部、オロタンSG−1[ロームア
ンドハースカンパニー製の、顔料分散剤の商品名]の
3.4部、トリポリ燐酸ナトリウムの10%水溶液の
2.5部、ノイゲンEA−120[第一工業製薬(株)
製の、湿潤剤の商品名]の1.1部、エチレングリコー
ルの9部、タイペークCR−97[石原産業(株)製
の、酸化チタンの商品名]の124.6部、ベストサイ
ド1087T[大日本インキ化学工業(株)製の、防腐
剤の商品名]の0.5部、SNディフォーマー121
[サンノプコ(株)製の、消泡剤の商品名]の0.4
部、セロサイズQP−4400H[ユニオンカーバイド
コーポレーション製の、増粘剤の商品名]の3%水溶液
の9部、プライマルRM−8[ロームアンドハースカン
パニー製の、増粘剤の商品名]の10%水溶液の1.2
部をディスパーを使用して分散せしめ、顔料ペーストを
調製した。次いで、このペーストに乳化重合体(II−
1)の297部、テキサノール[イーストマンケミカル
製の、造膜助剤の商品名]の22部、BYK−024
[ビックケミー・ジャパン(株)製の、消泡剤の商品
名]の0.5部、脱イオン水の29.8部を配合せしめ
て、対照用白色塗料を調製した。以下、この塗料を比白
−2と略称する。
【0182】参考例7〔対照用のクリヤー塗料の調製〕 水性樹脂(I−2)の282部に対して、PNPの14
部、GPTMSの22部、チヌビン123の1.4部、
チヌビン400の1.4部を配合せしめて、対照用クリ
ヤー塗料を調製した。以下、この塗料を比クリヤ−1と
略称する。
【0183】参考例8〔同上〕 乳化重合体(II−2)の245部に対して、ジエチレン
グリコールジブチルエーテルの14部、チヌビン123
の1.1部、チヌビン400の1.1部を配合せしめ
て、対照用クリヤー塗料を調製した。以下、この塗料を
比クリヤ−2と略称する。
【0184】
【表1】
【0185】《第1表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0186】
【表2】
【0187】《第1表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0188】実施例13〜16ならびに比較例1,2 未処理軟鋼板上に、下記のようにして調製したアクリル
−メラミン系の白色塗料(下−1)を、乾燥膜厚が約4
0μmとなるように、エアースプレー塗装せしめ、14
0℃で、25分間のあいだ、焼き付けを行なって、予
め、皮膜が形成された鋼板を作製した。
【0189】次いで、先に調製した、それぞれの白色塗
料ならびに対照用の白色塗料を、乾燥膜厚が約30μm
となるように、エアースプレー塗装せしめた。
【0190】しかるのち、室温で、一週間のあいだ放置
することにより、白色塗料を硬化せしめて、各種の硬化
塗膜を得た。本発明の組成物を含有する白色塗料から得
られたそれぞれの塗膜は、いずれも外観に優れていた。
【0191】硬化塗膜についての諸性能の評価判定の項
目としては、サンシャイン・ウェザオメーターによる促
進耐候性試験、6ヶ月にわたる屋外曝露を行ったのちの
耐汚染性、ならびに、硬化初期段階における耐水性(初
期耐水性)である。これらの結果は、まとめて、第2表
に示す。
【0192】白色塗料(下−1)の調製 「アクリディック A−418」[大日本インキ化学工
業(株)製の、水酸基含有アクリル樹脂の商品名;溶剤
=キシレン/n−ブタノールの混合溶剤、不揮発分=5
0%]の91部と、「CR−97」の35部とからなる
混合物に、ガラス・ビーズを加えて、サンドミルで、1
時間のあいだ分散を行なった。
【0193】次いで、「スーパーベッカミン L−11
7−60」[大日本インキ化学工業(株)製の、n−ブ
チルエーテル化メラミン・ホルムアルデヒド樹脂の商品
名:不揮発分=60%]の32.5部を加えてから、キ
シレン/n−ブタノール=70/30(重量部比)なる
混合溶剤で以て、フォード・カップ#4による粘度が2
0秒となるように希釈せしめることによって、PWCが
35%なる、目的とする白色塗料(下−1)を調製し
た。
【0194】
【表3】
【0195】《第2表の脚注》「耐候性」は、サンシャ
イン・ウエザオメーターによる、4,000時間に及ぶ
曝露を行なったのちの、塗膜の60度鏡面反射率(%)
なる光沢値を、曝露前の、塗膜の同上の光沢値で以て除
して、それを、100倍した値(光沢保持率:%)を表
示したものである。その値が大きいほど、耐候性が良好
であるということを示している。また、曝露時間が4,
000時間に達する以前に、クラックの発生した場合に
は「クラック」と表示してある。
【0196】「耐汚染性」は、屋外において、6ヵ月間
に及ぶ曝露を行なったのちの未洗浄の塗膜と、曝露前の
塗膜との色差(△E)を表示したものである。その値
が、ゼロに近いほど、耐汚染性が良好であるということ
を示している。
【0197】「初期耐水性」は、塗装直後のそれぞれの
試験板を5℃で、16時間のあいだ乾燥した後、水中に
24時間のあいだ浸漬せしめ、次に、水中より取り出し
た試験板の塗膜表面状態を、目視および指触により、評
価判定したものである。
【0198】実施例17〜20ならびに比較例3,4 スレート板上に、下記のようにして調製したアクリル−
ウレタン系の白色塗料(下−2)を、乾燥膜厚が約40
μmとなるように、エアースプレー塗装せしめ、室温
で、一週間のあいだ、硬化せしめることによって、予
め、皮膜が形成されたスレート板を作製した。
【0199】次いで、先に調製した、それぞれのクリヤ
ー塗料ならびに対照用のクリヤー塗料を、乾燥膜厚が約
30μmとなるように、エアースプレー塗装せしめた。
【0200】しかるのち、室温で、一週間のあいだ放置
することにより、クリヤー塗料を硬化せしめて、各種の
硬化塗膜を得た。本発明の組成物を含有するクリヤー塗
料から得られたそれぞれの塗膜は、いずれも、外観に優
れていた。
【0201】硬化塗膜についての諸性能の評価判定の項
目としては、サンシャイン・ウェザオメータ−による促
進耐候性、6ヶ月にわたる屋外曝露を行ったのちの耐汚
染性、ならびに、硬化初期段階における耐水性(初期耐
水性)である。これらの結果は、まとめて、第2表に示
す。これらの評価は、実施例13〜16と同様にして行
った。
【0202】白色塗料(下−2)の調製 「アクリディック A−809」[大日本インキ化学工
業(株)製の、水酸基含有アクリル樹脂の商品名;溶剤
=トルエン/酢酸n−ブチル混合溶剤、不揮発分=50
%、溶液の水酸基価=20]の108部と、「CR−9
7]の35部とからなる混合物に、ガラス・ビーズを加
えて、サンドミルで、1時間のあいだ分散を行なった。
【0203】次いで、「バーノック DN−980」
[大日本インキ化学工業(株)製の無黄変タイプのポリ
イソシアネート樹脂の商品名;イソシアネート基含有率
=15.5重量%、不揮発分=75%]の14.4部を
加えた。
【0204】しかるのち、キシレン/トルエン/酢酸n
−ブチル/2−エトキシエチルアセテート=40/30
/20/10(重量部比)なる混合溶剤で以て、フォー
ド・カップ#4による粘度が20秒となるように希釈せ
しめることによって、PWCが35%なる白色塗料(下
−2)を調製した。
【0205】
【表4】
【0206】
【発明の効果】本発明に係る水性硬化性樹脂組成物は、
光沢保持特性や耐酸性雨性などの耐久性、屋外曝露時の
耐汚染性に優れ、かつ初期耐水性にも優れる硬化塗膜を
形成することが可能な、極めて実用性の高いものであ
る。
【0207】さらに、本発明の水性硬化性樹脂組成物を
必須の成分として含有する、水性塗料を、上塗塗料とし
て、本発明の塗装方法により塗装せしめ、硬化せしめる
ことにより得られる塗膜は、基材または下塗り塗装剤の
種類に関わらず、普遍的に、良好なる塗膜性能を示すも
のである。
【0208】したがって、かかる塗装方法により得られ
る、本発明の塗装物は、上述したような、上塗り塗膜由
来の優れた性能を有しており、極めて実用性の高いもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 183/04 C09D 183/04 183/10 183/10 183/14 183/14 201/00 201/00 Fターム(参考) 4J002 BG033 CP032 CP171 GH01 HA07 4J038 CB001 CB171 CC011 CG001 CG011 CG141 CG142 CG172 DD001 DD121 DG001 DL031 DL032 DL151 DL161 EA011 GA06 GA07 GA08 GA09 GA12 GA13 GA14 GA16 MA08 MA10 NA04 NA05 NA10 NA11 NA12 PA19 PB02 PB05 PB07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪素原子に結合した水酸基および/また
    は珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキ
    サンセグメント(a−1)とポリシロキサンセグメント
    以外の親水性基を有する重合体セグメント(a−2)と
    で構成される複合樹脂(A)を含む組成物を水性媒体中
    に分散または溶解せしめて得られる水性樹脂(I)と、
    ビニル系単量体を水性媒体中で乳化重合せしめて得られ
    る乳化重合体(II)とを必須成分として含有してなる水
    性硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 水性樹脂(I)が、珪素原子に結合した
    水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基
    を有するポリシロキサンセグメント(a−1)とポリシ
    ロキサンセグメント以外の親水性基を有する重合体セグ
    メント(a−2)とで構成される複合樹脂(A)と、下
    記の一般式(S−1) 【化1】 〔ただし、式中、R1はメチル基またはエチル基を表す
    ものとする。〕で示される構造を必須の単位構造として
    有するポリシロキサン(B)とを含む組成物を、水性媒
    体中に分散または溶解せしめて得られるものである、請
    求項1に記載の水性硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリシロキサン(B)が、下記の一般式
    (S−2) 【化2】 〔ただし式中、R1はメチル基またはエチル基を、Xは
    加水分解性基を表すものとする。〕で示される3官能シ
    ラン化合物の少なくとも1種を40モル%以上含有する
    加水分解性シラン化合物を加水分解縮合もしくは部分加
    水分解縮合して得られるものである、請求項2に記載の
    水性硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 複合樹脂(A)を構成する、ポリシロキ
    サンセグメント(a−1)と重合体セグメント(a−
    2)とが、下記の構造式(S−3) 【化3】 〔ただし式中、炭素原子は重合体セグメント(a−2)
    の一部分を構成し、2個の珪素原子はポリシロキサンセ
    グメント(a−1)またはポリシロキサンセグメント
    (a−1)の一部分を構成するものとする。〕で示され
    る結合により結合していることを特徴とする、請求項1
    または2または3に記載の水性硬化性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 重合体セグメント(a−2)が有する親
    水性基が、アニオン性基、カチオン性基およびノニオン
    性基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性基
    であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の水性硬化性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 乳化重合体(II)が、炭素数が4以上の
    アルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルおよ
    び/または炭素数が5以上のシクロアルキルを含有する
    (メタ)アクリル酸エステルを20重量%以上使用して
    得られるものである、請求項1〜5のいずれか1項に記
    載の水性硬化性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 乳化重合体(II)のガラス転移温度が−
    20〜50℃である、請求項1〜6のいずれか1項に記
    載の水性硬化性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 水性樹脂(I)に含まれる官能基と反応
    性を有する官能基を有する化合物(III)を含有する、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性硬化性樹脂組
    成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の水
    性硬化性樹脂組成物を必須の成分として含有してなる水
    性塗料。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の水性塗料が塗装され
    た塗装物。
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