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JP2001314093A - 振動アクチュエータおよびそれを用いたステージ。 - Google Patents

振動アクチュエータおよびそれを用いたステージ。

Info

Publication number
JP2001314093A
JP2001314093A JP2000127794A JP2000127794A JP2001314093A JP 2001314093 A JP2001314093 A JP 2001314093A JP 2000127794 A JP2000127794 A JP 2000127794A JP 2000127794 A JP2000127794 A JP 2000127794A JP 2001314093 A JP2001314093 A JP 2001314093A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibrator
vibration
vibration actuator
relative motion
stage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000127794A
Other languages
English (en)
Inventor
Takatoshi Ashizawa
隆利 芦沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP2000127794A priority Critical patent/JP2001314093A/ja
Publication of JP2001314093A publication Critical patent/JP2001314093A/ja
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明では、このような課題点を解決し、ス
テージ可動部の軽量化が達成され、整定時間が早く、精
密な位置決め精度が得られた振動アクチュエータを提供
することを目的とする。 【解決手段】 本発明では、駆動信号により励振される
電気−機械エネルギー変換素子12を備え、前記電気−
機械エネルギー変換素子12の励振により楕円運動を生
じる振動子1と、前記振動子1の前記楕円運動を生じる
部分に設けられた摩擦部材13と、前記摩擦部材13に
加圧接触され、前記振動子に対して相対運動を生じる相
対運動部材2とを有する振動アクチュエータを用いたス
テージにおいて、前記相対運動部材2は、ニッケルメッ
キ2aにより表面処理された軽金属材料2bで構成され
たこととした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動アクチュエー
タ及びそのアクチュエータを用いたステージに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、様々な移動装置に振動アクチュエ
ータを用いることが試みられている。その振動アクチュ
エータの一例として、二つの異なった振動を同時に発生
させる振動子を用い、この振動子と加圧接触させた相対
移動部材とからなるものがある。
【0003】二つの異なった振動を同時に発生させる、
いわゆる異形モード縮退型振動子を用いた振動アクチェ
ータは、例えば第5回電磁力関連のダイナミックスシン
ポジウム講演論文集P393などにより富川氏から開示
されている。
【0004】この振動子は、弾性体と、電気エネルギー
を機械エネルギーに変換する電気−機械エネルギー変換
素子とを有する。なお、この電気−機械エネルギー変換
素子には、圧電体が使用されている。
【0005】弾性体は、共振先鋭度が大きな金属材料に
より矩形平面形状に形成される。弾性体の一方の平面に
は電気−機械エネルギー変換素子が接着されている。そ
して、弾性体の他方の平面には、突起状に形成され高分
子材等を主成分とした二つの摺動部材が形成される。
【0006】圧電体は、2相(A相、B相)の駆動電圧
がそれぞれ印加される複数の電極を有しており、そし
て、振動子は、摺動部材を介して、適宜加圧力で相対運
動部材を加圧接触するようにしている。
【0007】そして、各電極に、それぞれに位相が約π
/2ずれた高周波の駆動電圧を印加すると、弾性体には
弾性体の長手方向に振動する縦1次振動モード(L1モ
ード)と弾性体の厚さ方向に振動する曲げ4次振動モー
ド(B4モード)とが発生する。
【0008】この状態で、それぞれの電極の弾性体に発
生した縦振動と曲げ振動とは合成され、摺動部材の先端
面には、楕円状に周期的に変位する楕円運動が発生す
る。そして、摺動部材には相対運動部材が加圧接触され
ているので、相対運動部材はこの楕円運動により摩擦力
を受け、相対運動が生じる。
【0009】そして、振動アクチュエータは、電磁モー
タと比較して、起動停止特性において、電磁モータより
も優れているという長所を持っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、より優
れた起動停止特性を得るためには、移動させる物体の質
量を軽量化する必要がある。しかし、振動アクチュエー
タを精密ステージ等に使用する場合、ステージ本体以外
にも、移動子を装着する部分、位置検出を装着する部分
が必要であり、可動させる部分の質量を小さくする必要
がある。
【0011】一方、縦振動モードと曲げ振動モードを組
み合わせた異モード縮退型の振動アクチュエータの場
合、振動子に発生した縦振動を曲げ振動により相対運動
部材へ断続的に伝搬する機能、いわゆるクラッチ機能を
有しているため、相対運動部材は振動子の曲げ振動によ
り常に振動子によりたたかれている状態となる。
【0012】軽量化を達成しようとして、アルミニウム
などの軽金属を用いることが考えられるが、軽金属の硬
度は一般的に小さい。硬度の小さい相対運動部材が振動
子により曲げ運動により叩かれると、相対運動部材の表
面が荒れ、数マイクロメートル程度の精密位置決めが不
可能になることがあった。
【0013】したがって、本発明では、このような課題
点を解決し、ステージ可動部の軽量化が達成され、整定
時間が早く、精密な位置決め精度が得られた振動アクチ
ュエータを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、駆動信号により励振される電気−機械
エネルギー変換素子を備え、前記電気−機械エネルギー
変換素子の励振により楕円運動を生じる振動子と、前記
振動子の前記楕円運動を生じる部分に設けられた摩擦部
材と、前記摩擦部材に加圧接触され、前記振動子に対し
て相対運動を生じる相対運動部材とを有する振動アクチ
ュエータを用いたステージにおいて、前記相対運動部材
は、ニッケルメッキにより表面処理された軽金属材料で
構成されたこととした。
【0015】この様に相対運動部材に軽金属材料を用い
ることで軽量化が達成でき、かつ相対運動部材の表面に
ニッケルメッキを施すことで表面硬度も向上するので、
精密位置決めが可能な振動アクチュエータを得ることが
できる。
【0016】また、本発明では、前記相対運動部材に施
されたニッケルメッキの膜厚は、30マイクロメートル
以上とすることで、相対運動部材にラップ処理などの平
坦度を向上させる処理を行っても、下地が露出せず、速
度ムラの発生などを防ぐことができる。
【0017】そして、更に、前記相対運動部材に装着さ
れ、前記相対運動部材の移動に伴って移動するステージ
可動部と、前記ステージ可動部を駆動可能に支持し、さ
らに前記振動子を支持するステージ固定部とを備えるこ
とで精密位置決め可能なステージを得ることが可能とな
る。
【0018】次に、本発明の実施の形態を例示して、本
発明を更に詳しく説明するものとする。なお、本発明
は、この実施の形態に限られるものではない。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態にかか
る振動アクチュエータについて、図面を参照しながら詳
細に説明する。なお、以降の実施の形態は、振動アクチ
ュエータとして、超音波の振動域を利用した振動アクチ
ュエータを例にとって説明する。
【0020】図1は、本発明の超音波アクチュエータを
搭載した精密ステージの外観図であり、図2は、図1で
示した精密ステージを左方より見た外観図である。な
お、図1で点線で示されたものは、透視して見える部材
を示している。
【0021】本発明に係る実施の形態では、振動子1側
を固定とし、相対運動部材2を駆動するようになってい
る。
【0022】ところで、振動子1は、電気エネルギーを
機械エネルギーに変換する圧電素子や電歪素子などを例
として電気−機械エネルギー変換素子12と、この電気
−機械エネルギー変換素子12を接合した弾性体11
と、振動子1が励振された時に楕円運動を引き起こす部
分に設けられた摺動部材13とで構成される。
【0023】ところで、振動子1は振動子支持部材14
により、相対運動部材2の移動に伴って移動しないよう
に支持される。この振動子支持部材14は、アルミニウ
ムやステンレス鋼などの金属材料で構成されており、一
端が固定ブロック15に固定され、他端にステンレス製
の二つの支持ピン14a、14bが設けられている。こ
の支持ピン14a、14bは、弾性体11の中央部側面
に設けられた半円上の2つの切り欠き部に接着されて固
定される。電気−機械エネルギー変換素子12と振動子
支持部材14との間には、プラスチックなどの絶縁部材
が挟まれている。
【0024】なお、固定ブロック15は、固定基板6に
固定されている。
【0025】また、振動子1は、相対運動部材2に加圧
・接触されるように加圧部材16を有している。加圧部
材16は、コイルバネ17の一端を受け、これにより、
相対運動部材に加圧力が与えられる。なお、コイルバネ
17の他端は、固定ブロック15で受けている。そし
て、加圧部材16の加圧力は、図1で点線により示され
た固定ブロック15の内部に有するネジ部材により加圧
力を調整出来るようになっている。
【0026】そして、加圧部材16には、突起部が設け
られている。この突起部は振動子1に接触する部分とな
り、振動子1に励振される曲げ4次振動モードの節部の
位置と一致するように接触する。また、突起部は、電気
−機械エネルギー変換素子12に設けられた各電極とリ
ード線とを接続するはんだの盛り上がりを避けて、振動
子1に接触するように形成されている。また、突起部は
曲げ振動モードの腹部を跨ぐように、振動子1の複数の
位置で振動子1に接触している。
【0027】次に、相対運動部材2は、ステージ可動部
3に装着されている。そして、相対運動部材2は、摺動
部材13が運動する楕円運動により推力が与えられ、移
動することが出来る。
【0028】そして、可動ステージ3は、軽量化を向上
するためアルミニウムの様な軽金属から構成され、相対
運動部材2の装着部分と、振動子1の加圧方向に延びた
可動ステージ本体部に分かれている。可動ステージ本体
部には、搭載物を搭載する搭載面が形成され、更に可動
ステージ本体部の相対運動部材2の装着部分と対向する
位置に、位置計測手段であるエンコーダ5のゲージ5b
が設けられている。
【0029】この可動ステージ3には、2つのリニアガ
イド4が設けられている。リニアガイドは、レール4a
によって固定基板6に移動可能に支持されている。そし
て、2つのリニアガイドを有しているので可動ステージ
3の起動時および停止時に発生する可動ステージ中心を
中心とした回転方向の振動を低減するようにされてい
る。
【0030】更に、可動ステージ3の位置検出を行うた
め、この精密ステージには、エンコーダ5が設けられて
いる。エンコーダ5は、発光部5cと受光部5aと、可
動ステージ3に設けられたゲージ5bとを備えて、受光
部5aから得られる信号に基づき、可動ステージ2の位
置を検出する。
【0031】次に、本発明の実施の形態で用いた振動子
1を図3を用いて説明する。この振動子1は、前述の通
り電気−機械エネルギー変換素子12と、弾性体11と
からなり、弾性体11は、鉄鋼、ステンレス鋼、りん青
銅、エリンバー材等の共振先鋭度が大きな金属材料から
なり、駆動方向に垂直な断面形状が四角形である。電気
−機械エネルギー変換素子12との接合面と反対側の面
には、2つの溝部が設けられている。その溝部にはテフ
ロン(登録商標)、ポリイミド、ポリアセタール、PP
S、PEEK等の高分子材を主成分とした摺動部材13
が貼られる。摺動部材13は弾性体11より突出してお
り、先端部が駆動面となっている。この駆動面は相対運
動部材2に加圧・接触される。
【0032】電気−機械エネルギー変換素子12は、図
3に示すように二相(A相、B相)の駆動信号が入力さ
れるそれぞれ2つの電極121a、121bを有してい
る。そして、更に電気−機械エネルギー変換素子12に
は、曲げ4次振動モードの節になる部分にピックアップ
電極121pを2箇所に設けた。
【0033】また、電気−機械エネルギー変換素子12
に貼付された弾性体11は、グランド電位となるように
配線が施されており、電極121a、121bにそれぞ
れ位相が90度異なる交流電圧を印加することで、図4
に示す縦振動と曲げ振動が生ずる。図4は、振動子1の
側面形状と、その振動子1の位置に対応して振動の振幅
状況を示した図である。図4に示すように、振動子1の
長手方向の真ん中を中心にして、外側に向かうに従って
振動振幅が大きくなり、長手方向に振動する縦振動モー
ドと、振動子1の長手方向に振動振幅の節が5つ形成さ
れ、振動子1の厚さ方向に振動する曲げ4次振動モード
が励振される。なお、振動子1の形状は、縦1次振動モ
ードと曲げ4次振動モードとの固有振動数がほぼ一致す
るように形成される。
【0034】この様に、振動子1に縦振動モードと曲げ
4次振動モードとが励振されると、摺動部材13が設け
られた所に楕円運動が発生する。
【0035】振動子1に縦1次振動と曲げ4次振動を組
み合わせて、駆動面に楕円運動を生じさせる振動アクチ
ュエータについて、更に図5を用いて詳しく説明する。
【0036】図5は、この振動アクチュエータの駆動原
理を示した図である。図5(A)は、振動アクチュエー
タに二相の高周波電圧A,Bのt1からt9までの時間
的変化に対する位相関係を示した図であり、横軸は高周
波電圧の実効値を示している。また、図5(B)は、振
動アクチュエータの曲げ4次振動モードにおける振動の
様子を示し、振動アクチュエータに発生する屈曲振動の
t1からt9までの時間的変化を示している。更に図5
(C)は、振動アクチュエータの縦1次振動モードにお
ける振動の様子を示し、振動アクチュエータに発生する
縦振動のt1からt9までの時間的変化を示している。
そして、図5(D)は、振動アクチュエータの摺動部材
13のt1からt9までのそれぞれの位置と、軌跡を示
している。
【0037】時間t1において、図5(A)に示すよう
に、A相には正の電圧が印加され、B相にも同一の正の
電圧が印加される。そうすると、図5(B)に示すよう
に、A相、B相のそれぞれに印加された電圧による曲げ
振動は互いに打ち消し合い、振動子1の質点Y1と振動
子1の質点Z1における曲げ振動の変位はゼロとなる。
このとき、振動子1は、図5(C)に示すように伸長
し、縦振動による変位は、矢印で示されているように、
縦振動の節のXを中心として最大の伸長を示す。その結
果、摺動部材13は、縦振動による変位と曲げ振動によ
る変位が合成され、図5(D)に示す質点Yと質点Zを
示した。
【0038】次に、時間t2となると、図5(A)に示
すようにA相には正の電圧が印加され、B相に印加され
る電圧がゼロとなると、図5(B)に示すように、振動
子1中の質点Y1が正の方向に変位し、振動子1中の質
点Z1が負の方向に変位する。また、図5(C)に示す
ように縦振動による変位は、矢印で示されているよう
に、時間t1の時と比べて、振動子1の中心方向に変位
する。その結果、図5(D)に示すように、時間t1と
比較して、摺動部材13の位置が時計回りの方向に変位
する。
【0039】時間t3になると、図5(A)に示すよう
にA相には正の電圧が印加され、B相には負の電圧が印
加され、それぞれの相に印加される電圧により生じる曲
げ変位が互いに合成されて、その屈曲変位が増幅され
る。したがって、図5(B)に示すように、振動子1の
質点Y1及び振動子1の質点Z1の屈曲振動による変位
が時間t2の時よりも大きくなる。また、図5(C)に
示すように、それぞれの相に印加される電圧で生じる縦
振動の変位が打ち消し合い、振動子1の質点Y2と振動
子1のZ2が電圧が印加されてないときと同じ位置にな
る。その結果、図5(D)に示すように、時間t2の時
と比較して更に、時計回りに摺動部材13が変位する。
【0040】次に、時間t4になると、図5(A)に示
すようにA相には印加される電圧がゼロになり、B相に
印加される電圧は負で最大の電圧が印加される。このと
き、図5(B)に示すように、振動子1の質点Y1、Z
1における屈曲振動の変位は、時間t3と比較して小さ
くなり、そして、図5(C)に示すように、振動子1の
質点Y2、Z2における縦振動の変位は、共に縦振動の
節の位置Xの方向に近くなり、A相、B相共に電圧が印
加されていない状態よりも振動子1は収縮する。そし
て、摺動部材13は図5(D)で示すように、時間t3
ときより更に時計回りに変位している。
【0041】そして、時間t5になると、図5(A)に
示すようにA相に印加される電圧及びB相に印加される
電圧共に負の電圧が印加される。このとき、図5(B)
に示すように、振動子1の質点Y1、Z1における屈曲
振動の変位は、時間t1の時と同じ状態になり、図5
(C)に示すように、振動子1の質点Y2、Z2におけ
る縦振動の変位は、共に縦振動の節の位置Xの方向に更
に近くなり、振動子1は最も収縮する。摺動部材13
は、図5(D)に示すように更に、時計回りに変位して
いる。
【0042】この後も図5の時間t5からt9を示した
図でわかる様に、A相に印加される電圧とB相に印加さ
れる電圧が90度の位相差を維持しながら、振動子1に
この交流電圧が印加され、曲げ振動による変位と縦振動
による変位が時間的に変化しながら、摺動部材13が時
計回りに楕円運動を起こす。なお、摺動部材13は、A
相とB相に印加される交流電圧の位相差を−90度にす
ることで、反時計回りの運動を引き起こさせることもで
きる。
【0043】この様に振動子1では、摺動部材13が楕
円運動を引き起こすため、摺動部材13は、相対運動部
材2の摺動面を接触したり、離れたりする運動を繰り返
し起こす。そのため、相対運動部材2の表面は、摺動部
材13に叩かれることにより荒れてしまう。特に、アル
ミニウムなどの軽金属は、鉄鋼材に比べて柔らかいた
め、その荒れ方が大きくなる傾向がある。相対運動部材
2の表面が荒れてしまうと、数マイクロメートル程度で
位置決めすることが、不可能になってしまう。このこと
を防ぐために、本発明の実施の形態における振動アクチ
ュエータでは、図2に示すように、相対運動部材2につ
いて、アルミニウム合金からなる部分2aの表面に無電
解ニッケルメッキ2bを施した。この様にして、相対運
動部材2の表面の耐久性を向上させ、摺動部材13に叩
かれることにより生ずる荒れを防ぐようにした。
【0044】次に、アルミニウム合金の表面に無電解ニ
ッケルメッキを施した相対運動部材2の試作例を例示し
て、本発明の効果を説明する。
【0045】今回、試作した相対運動部材は4種類あ
り、それぞれについて、相対運動部材の表面をラップ研
磨を施し、実際に、振動アクチュエータに組み込んで、
アクチュエータの性能を比較した。また、比較例とし
て、従来から有るステンレス鋼からなる相対運動部材を
用いた場合の振動アクチュエータの性能も計測してい
る。なお、振動子の摺動部材13にカーボンファイバー
を重量比10%程度充填させた主成分PEEK材を用い
ている。
【0046】その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】ところで、表1を参酌しながら、従来例の
ステンレス鋼からなる相対運動部材と、アルミニウム合
金に表面処理した相対運動部材とを比較すると、アルミ
ニウム合金で形成された相対運動部材の質量が、ステン
レス鋼からなる相対運動部材の質量の半分となることが
わかる。この様に軽金属で相対運動部材を構成すると振
動アクチュエータにおける可動部の質量が、格段に軽く
なり起動停止特性は良くなることは容易にわかる。
【0049】しかし、試作1であるアルミニウム合金の
表面に厚膜アルマイトを施したものは、その表面にクラ
ックが発生してしまっているため、摺動部材13が摩耗
しやすい状態になっている。したがって、実用上問題が
生じてしまうこととなる。
【0050】次に、試作2は、アルミニウム合金に無電
解ニッケルを膜厚15マイクロメートルで表面処理した
ものである。振動アクチュエータの相対移動部材は、細
長のレール形状のため、アルミ素材の平面度が10マイ
クロメートルから20マイクロメートル程度になる。そ
れに表面処理をして表面をラップ処理すると、ラップし
ろの方が膜厚より大きくなってしまい、下地が露出する
場合がある。したがって、長尺の相対移動部材について
は、ラップ処理時に下地のアルミニウム合金が露出し、
その部分の硬度が低下するため、その部分の起動停止性
能が低下したり、速度ムラが生じる恐れがある。
【0051】次に、試作3は、試作1と同じアルミニウ
ム合金に無電解ニッケルを膜厚30マイクロメートル施
したものである。この様にすると、長尺な相対運動部材
でも、ラップしろの方が膜厚より大きくなることはほと
んど無くなり、速度ムラが生じたり、起動停止性能が低
下することを防ぐことができる。
【0052】また、表面硬度はビッカース硬度で520
程度となり、ステンレス鋼と比較しても十分な硬度が得
られ、耐久性が向上する。したがって、摺動部材にカー
ボンファイバーが充填されたものを用いても、十分な耐
久性が得られる。
【0053】また、振動アクチュエータの起動推力がや
や低下するものの、印加電圧や相対運動部材への加圧力
を大きくすることで、同等の推力が得られる程度の実用
上問題ないレベルの性能が得られる。更に、相対運動部
材の質量についても、ステンレス鋼を用いた場合と比較
すると、約半分となり、大きな軽量化を図ることができ
る。
【0054】試作4は、アルミニウム合金に無電解ニッ
ケルを膜厚100マイクロメートルで表面処理したもの
である。これについては、試作3の相対運動部材を用い
た場合における振動アクチュエータと同じ性能を有して
いる。
【0055】この様に、振動アクチュエータの相対運動
部材として、アルミニウム合金の表面に膜厚30マイク
ロメートル以上の無電解ニッケルを施せば、相対運動部
材の軽量化が達成され、振動アクチュエータの起動推力
も実用上問題のない程度まで得られる。これにより、振
動アクチュエータをステージの駆動部材として用いれ
ば、振動アクチュエータが有する優れた起動停止特性を
ステージ駆動に反映することが可能となり、ステージの
整定時間を早くすることができる。
【0056】また、表面硬度も向上するため、振動アク
チュエータに励振される縦振動モードおよび曲げ振動モ
ードを組み合わせた異モード縮退型の振動アクチュエー
タの場合、クラッチ機能により相対運動部材が摺動部材
により常に叩かれている状態であっても、相対運動部材
の摺動面の表面が荒れることがなくなり、数マイクロメ
ートル程度の精密位置決め精度が長時間保証されること
ができる。
【0057】なお、この様な振動アクチュエータを用い
た精密ステージの応用例として、光ファイバーの切換装
置が挙げられる。光ファイバー切換装置は、入力側光フ
ァイバーを図1に示す可動ステージ3の可動ステージ本
体分に搭載し、出力側光ファイバーを図1に示す固定基
板6に固定する。このとき、可動ステージ3に設けられ
た入力側光ファイバーの端と、出力側光ファイバーの端
とが同一直線上になるように、出力側光ファイバーが固
定された部分の高さが可動ステージ3の可動ステージ本
体部と同じ高さになるようにしている。そして、可動ス
テージ3に設けられた光ファイバーがしかるべき位置に
移動した後に、光ファイバ同士が光学的に導通させるた
め、少なくとも数マイクロメートル程度の精密な位置決
め精度が要求される。また、光ファイバー切換装置は、
短い整定時間が要求され、かつ無人の中継局に設置され
ることがあるので、起動停止特性が良く、高速に移動さ
せかつ高精度の位置決め精度が必要とされる。
【0058】しかし、本振動アクチュエータはこの様な
性能を併せ持っているので、この振動アクチュエータを
光ファイバー切換装置のステージに適用すれば、十分な
性能を有する切換装置が得られる。
【0059】ところで、本発明の実施の形態では、弾性
体に縦1次振動モードと曲げ4振動モードが生じる異モ
ード縮退型振動子を用いたが、本発明はこれに限られ
ず、他のモードを用いた板型振動子、例えば弾性体に縦
1次モード、曲げの振動モードが2次、6次、8次など
の他の次数であっても構わない。また、更に円環型の振
動子を有し、その振動子に生ずる振動波が進行波型のも
のに、軽金属からなる相対運動部材の表面にニッケルメ
ッキを施した相対運動部材を適用しても、上述と同様な
効果が得られる。
【0060】
【本発明の効果】この様に、本発明では、駆動信号によ
り励振される電気−機械エネルギー変換素子を励振させ
楕円運動を生じる振動子と、前記振動子に対して相対運
動を生じる相対運動部材とを有する振動アクチュエータ
を用いたステージにおいて、相対運動部材をニッケルメ
ッキにより表面処理された軽金属材料で構成することよ
り、相対運動部材が軽量化されて、整定時間が早くな
り、更に精密な位置決め精度が得られる。
【0061】更に、そのニッケルメッキを30マイクロ
メートル以上形成することで、起動停止特性が位置によ
り、低下したり、速度ムラが生じることを防ぐことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】:本発明の実施の形態にかかる振動アクチュエ
ータの概略正面図である。
【図2】:本発明の実施の形態にかかる振動アクチュエ
ータの概略側面図である。
【図3】:本発明の実施の形態にかかる振動アクチュエ
ータに用いた振動子の概略構成図である。
【図4】:本発明の実施の形態にかかる振動アクチュエ
ータに用いた振動子の振動状態を示す図である。
【図5】:本発明の実施の形態にかかる振動アクチュエ
ータに用いた振動子の振動状態を時間毎に示した図であ
る。
【符号の説明】
1・・・振動子 11・・・弾性体 12・・・電気−機械エネルギー変換素子 13・・・摺動部材 2・・・相対運動部材 2a・・・アルミニウム合金からなる部分 2b・・・ニッケルめっき 3・・・可動ステージ 4・・・リニアガイド 5・・・エンコーダ 6・・・固定基板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動信号により励振される電気−機械エ
    ネルギー変換素子を備え、前記電気−機械エネルギー変
    換素子の励振により楕円運動を生じる振動子と、 前記振動子の前記楕円運動を生じる部分に設けられた摩
    擦部材と、 前記摩擦部材に加圧接触され、前記振動子に対して相対
    運動を生じる相対運動部材とを有する振動アクチュエー
    タを用いたステージにおいて、 前記相対運動部材は、ニッケルメッキにより表面処理さ
    れた軽金属材料で構成されたことを特徴とする振動アク
    チュエータ。
  2. 【請求項2】 前記相対運動部材に施されたニッケルメ
    ッキの膜厚は、30マイクロメートル以上としたことを
    特徴とする請求項1に記載の振動アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の振動アクチュエ
    ータに、更に、前記相対運動部材に装着され、前記相対
    運動部材の移動に伴って移動するステージ可動部と、 前記ステージ可動部を駆動可能に支持し、さらに前記振
    動子を支持するステージ固定部とを備えたステージ。
JP2000127794A 2000-04-27 2000-04-27 振動アクチュエータおよびそれを用いたステージ。 Pending JP2001314093A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005350686A (ja) * 2004-06-08 2005-12-22 Gunma Univ 機構部品

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JP2005350686A (ja) * 2004-06-08 2005-12-22 Gunma Univ 機構部品

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