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JP6525640B2 - 振動型アクチュエータ、超音波モータおよびレンズ鏡筒 - Google Patents

振動型アクチュエータ、超音波モータおよびレンズ鏡筒 Download PDF

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Description

本発明は、振動型アクチュエータ超音波モータおよびレンズ鏡筒に関する。
従来から、無音動作や高トルク出力、低速から高速までの駆動が可能なこと、などの特徴を活かして、カメラやレンズの駆動源として超音波モータが採用されている。超音波モータは、圧電素子と振動板とを接着剤で固着して振動子を構成し、圧電素子に高周波の電圧を印加することで、振動子に超音波振動を励起させる。特許文献1では、振動子の摩擦接触部が押圧方向に振動する1次の曲げ振動モードと、駆動方向に振動する2次の曲げ振動モードを合成して、摩擦接触部に楕円振動を発生させる超音波モータを開示している。
特開2014−72986号公報
しかしながら、特許文献1が開示する超音波モータでは、1次の曲げ振動モードの方が変形しやすいため、振動振幅が必要以上に大きくなり、駆動効率が低下する。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、駆動効率の低下を軽減した振動型アクチュエータを提供することを目的とする。
本発明の一実施形態の振動型アクチュエータは、摺動部を有する振動板に圧電素子が取り付けられた振動子を備え、前記摺動部が前記圧電素子で励起される複数の直交する振動により楕円振動することにより、前記摺動部と摩擦接触する部材及び前記振動子が相対的に移動する振動型アクチュエータであって、前記振動板は、前記圧電素子に対して長手方向及び短手方向に、はみ出し部を有し、前記はみ出し部は、前記長手方向のはみ出し量が前記短手方向のはみ出し量よりも大きく、前記圧電素子には、引き出し方向が前記短手方向と平行になるようにフレキシブル基板が取り付けられていて、前記圧電素子の電極と導通する前記フレキシブル基板に設けられた銅箔は、前記長手方向に複数に分割され、前記短手方向には繋がっていることを特徴とする。
本発明によれば、振動板が圧電素子に対して長手方向及び短手方向に、はみ出し部を有するように構成することで、駆動効率の低下を軽減した振動型アクチュエータを提供することができる。
本実施形態の振動型アクチュエータの分解斜視図である。 ユニット化し各部材を組込んだ状態を示す図である。 振動子と支持部材の接合状態を示す拡大斜視図である。 ユニット化し各部材を組込んだ状態を示す拡大断面図である。 本実施形態の振動子の形状を示す図である。 2つの曲げ振動モードの振動の節と腹の位置を示す図である。 2つの曲げ振動モードの歪の大きさを示すグラフである。 電圧の周波数と楕円振動の振幅の関係を示す図である。 本実施形態のフレキシブル基板の形状を示す図である。 振動子にフレキシブル基板が貼りついた状態を示す図である。 従来の電圧の周波数と楕円振動の振幅の関係を示す図である。
以下、図を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態の超音波モータは、デジタルカメラ用のレンズ鏡筒などの駆動用アクチュエータとしてユニット化した直動駆動型モータを例に説明するが、使用用途はこれに限定されない。
まず、図1は、本実施形態の振動型アクチュエータの分解斜視図である。図1に示す振動型アクチュエータは、超音波モータである。ここで、本実施形態において、振動子109に発生する楕円運動により振動子109が移動する方向をX方向と定義する。また、バネ部材107による加圧方向をZ方向と定義する。そして、Z方向において、振動子109が被駆動部101から遠ざかる向きを+Z向き、振動子109が被駆動部101に近づく方向を−Z向きと定義する。さらに、X方向とZ方向に垂直な方向をY方向と定義する。なお、同一部材は同一記号で図示する。
固定台110は、直動駆動型モータのユニットの全体を保持している。被駆動部101は、振動子109が加圧接触する接触面101aを備える。被駆動部101は、2本の固定ビス111で固定台110に固定されている。振動板102は、接触面101aに押圧を伴う加圧接触状態で接触する。圧電素子103は、振動板102に接着剤などにより固着されている。そして、振動板102に圧電素子103が固着された状態で、圧電素子103に電圧を印加することにより、超音波振動を発生させ、振動板102に楕円運動を発生させることができる。本実施形態の超音波モータでは、振動板102と圧電素子103とで振動子109を構成する。
遮断部材115は、圧電素子103の超音波振動を他の部品に伝わらないように遮断し、圧電素子103の超音波振動を減衰させることなく、小基台104への超音波振動の伝播を防ぐ。なお、遮断部材115の材料はフェルト生地が適している。小基台104は、遮断部材115を介して圧電素子103と面接触し、バネ部材107による加圧力を圧電素子103に伝える。
保持部材105は、振動子109の周りの部品を保持する。加圧部材106は、加圧受け部材108の貫通穴部108aに嵌合し、被駆動部101の接触面101aに対して概ね垂直な方向にのみ移動可能に保持される。そして、バネ部材107からの押圧力を、遮断部材115と小基台104を介して振動子109に伝え、振動子109を被駆動部101に加圧接触させる。
バネ部材107は圧縮コイルバネで構成され、一方の端部は加圧受け部材108で固定され、もう一方の端部が加圧部材106に押圧力を伝えることで、振動子109と被駆動部101を加圧接触させる。加圧部材106とバネ部材107が、本実施形態における加圧手段である。加圧受け部材108は、中央に丸穴のあいた円板形状しており、外周側面に形成されたネジ部で保持部材105のネジ部105bにねじ込み固定される。また、中央にあいた丸穴である嵌合穴部108aで、加圧部材106を嵌合保持している。
支持部材114は薄板形状で形成されており、X方向よりもZ方向の方が弱い剛性を有する。振動板102と保持部材105の間に介在し、保持部材105に対して振動板102がZ方向には自由に動けるが、X方向にはガタなく位置を固定できる。支持部材114は、押さえ板113とともに2本の固定ビス112で保持部材105に共締め固定される。また、押さえ板113は、振動子109と所定量の隙間を設けて配置されているため、振動子109が−Z方向に所定量以上移動すると、振動子109は押さえ板113に当接して、それ以上移動できない構成になっている。このように構成することで、押さえ板113は、振動子109が−Z方向に所定量以上移動するのを規制する。
転動ボール116は、保持部材105に形成された溝と天板117に形成された溝との間に介在することで、天板117に対して保持部材105を転動支持する。天板117は、振動子109を保持した保持部材105を、被駆動部101と天板部材117との間で挟み込むことで、保持部材105を転動保持している。また、天板117は4本の固定ビス118で固定台110に固定されている。上述のように、各部材が組込まれ、超音波モータとしてユニット化される。
次に、図2は超音波モータとしてユニット化した各部材を組込んだ状態を示す図である。図2(A)は各部材を組み込んだ状態を+Z方向から見た図であり、図2(B)は−Y方向から見た図である。固定台110には、二本の固定ビス111で被駆動部101が固定されている。さらに、天板117は、四隅を4本の固定ビス118で固定台110に固定されている。天板117の中央には、長方形開口117aが空いており、保持部材105の突出部105cが長方形開口117aから突き出ている。
被駆動部101の上には振動板102が当接している。振動板102は、薄板形状の支持部材114を介して保持部材105に固定されている。そのため、振動板102は、支持部材114の変形により、保持部材105に対してZ方向には自由に動けるが、X方向にはズレなく位置決めを固定できる構成になっている。
そして、振動子109に発生した楕円運動により、振動子109と被駆動部101との間にX方向の相対的な移動が発生した場合、固定台110、被駆動部101、固定ビス111、天板117、固定ビス118が固定部となる。一方、振動子109を含めた、遮断部材115と、小基台104と、固定ネジ112、押さえ板113、支持部材114、加圧部材106、バネ部材107、加圧押さえ108、それらを保持する保持部材105とが可動部となる。すなわち、本実施形態の超音波モータは、駆動源である振動子109が可動する自走式のモータユニットである。なお、実際にレンズ鏡筒等に組み込まれる際は、保持部材105をフォーカス機構やズーム機構に連結して駆動する。
次に、超音波モータの構成部材の詳細について説明する。図3は、振動子と支持部材の接合状態を示す拡大斜視図であり、−Z方向から見た図である。振動板102の中央の接合部102aには、2か所の突起部が形成される。接触部(摺動部)102bは、当該突起部の上端面に形成され、被駆動部101の接触面101aと摩擦接触する面である。また、2か所の接触部102bは同一平面上に形成され、被駆動部101の接触面101aとの当接状態を良好にするため、製造工程時には研磨などにより均一な面に仕上げられる。
一方、図3に示す接合部102aの裏面側(2か所の突起部が形成されている面と反対の面側)には、圧電素子103が接着剤などにより固着されている。なお、接合部102aの裏面と圧電素子103の固着は、固着されればその方法は限定されない。圧電素子103は、複数の圧電素子膜を積層して一体化したものである。そして、この積層された圧電素子103に所望の交流電圧を印加することで励振させ、圧電素子103が固着された振動板102に2つの曲げ振動モードを励起する。このとき、2つの曲げ振動モードの振動位相が所望の位相差となるように設定することで、接触部102bには、矢印で示すような楕円運動が発生する。そして、前述の楕円運動を図1及び図2に示す振動子109で発生させ、被駆動部101の接触面101aに伝達することで、被駆動部101に対して振動子109自身が直動駆動することができる。
次に、振動板102の両端には、支持部材114の両側に形成された一段低い段差部114aと接合するための2か所の接合部102cが形成されている。そして、振動板102は、支持部材114に接合部102cで溶接や接着などにより接合されるが、振動板102と支持部材114が接合されれば、その方法は限定されない。
2か所の接合部102cと接合部102aの間には、2か所の腕部102dが形成され、腕部102dを介して、圧電素子103が固着された接合部102aは支持部材114に固定される。腕部102dは、接合部102aに発生する振動を接合部102cに伝達しにくい構成とするため、接合部102aや接合部102cに対して細い形状となっている。言い換えると、支持部材114は、接合部102aに発生する振動を阻害しないような連結の構成を当該腕部102dによって実現している。振動板102は、薄板形状の支持部材114を介して保持部材105に固定される。これにより、振動板102は、加圧方向であるZ方向には保持部材105に対して自由に移動可能だが、駆動方向であるX方向には保持部材105に対して位置ズレなく固定される。
次に、図4は超音波モータの各部材を組込んだ状態を示す拡大断面図である。図4では、被駆動部101を下側とする図になっている。図4(A)は、図2に示すY軸に垂直な面で加圧部材106の中心を通るような面における断面図である。図4(B)は、図2に示すX軸に垂直な面で加圧部材106の中心を通るような面における断面図である。また、図4(A)、(B)に示す点線201は、振動板102の接触面101aと接触する接触部102bの重心を通過し、当該接触面101aの法線を含む中心線である。
接触部102bは、被駆動部101の接触面101aと当接し、加圧接触状態にある。また、振動板102は、両端の接合部102cが2か所の段差部114aで支持部材114と接合されている。そして、圧電素子103は遮断部材115を介して小基台104に面接触している。
保持部材105には2か所の穴部105aが設けられ、小基台104に形成された2か所の軸部104cが嵌合している。保持部105に設けられた2か所の穴部105aは、X方向には伸びた長穴形状になっており、小基台104が或る程度傾くことができる。小基台104の上側中央には当接部104bが設けられている。この当接部104bは、図4(A)の断面において円弧形状を有し、紙面奥行方向(図4(B)においては左右方向)に延在する円筒の一部からなる形状を有する。そして、この当接部104bには加圧部材106の下端面106aが線接触で接している。
加圧部材106の下端面106aは平面で形成されているため、当接部104bとの線接触部は、図4(A)の紙面奥行方向(図4(B)においては左右方向)に長さを有する線接触となる。従って、図4(A)における断面においては、小基台104が傾き可能な構成となっている。これにより、仮に製造時の寸法誤差や組み立て誤差、また外乱による部材の傾きが生じた場合でも、被駆動部101の当接面101aに振動板102の接触部102bが倣うように小基台104が傾くため、良好な加圧接触状態を保つことができる。
保持部材105にはネジ穴105bが形成されており、加圧受け部材108の外径側面に設けられたネジ部108bがねじ込まれる。ねじ込み量を部品ばらつきに合わせて変えることで、加圧力の調整を行う。加圧受け部材108の中央に形成された嵌合穴108aには、加圧部材106の嵌合軸部106bが嵌合保持されることで、加圧部材106がZ方向にのみ移動可能な構成となっている。
天板117は、固定台110に固定され、バネ部材107のバネ力で振動板102の接触部102bを被駆動部101の接触面101aに加圧接触させたときの反力を受ける役割を担っている。その際、天板117に形成された溝部117aと保持部材105に形成された溝部105dに転動ボール116を挟むことで、保持部材105と天板117とが転動支持されるように構成している。これにより、Z方向の加圧接触の反力を受けながら、X方向に移動する際の摩擦抵抗を極力小さくしている。
また、天板117の溝部117aと保持部材105の溝部105dに転動ボールが挟まれることで、Y方向の位置が決まるように構成されている。本実施形態の超音波モータでは、4つの転動ボール116でバネ部材107のバネ力を受けることで、保持部材105が天板117に対して傾くことなく転動支持している。圧電素子103と小基台104の間には、遮断部材115が挟み込まれている。遮断部材115は、振動を阻害することなく、振動の伝播を遮断する機能を有する材料を用いることで、圧電素子103の超音波振動を阻害することなく、小基台104への振動の伝播を抑える。また、遮断部材115に適した材質として、フェルト生地などが挙げられる。
被駆動部101の接触面101aに接触部102bを加圧接触させるための加圧力を伝えるために、振動子109はZ方向には自由に動ける必要がある。また、フォーカス機構やズーム機構に連結した保持部材105を精度よく駆動するために、振動子109は保持部材105にガタなく保持されている必要がある。そこで、振動子109は、薄板形状で形成された支持部材114を介して保持部材105に固定されている。これにより、Z方向には自由に動け、X方向にはガタなく駆動可能な構成となっている。
図5は、本実施形態の超音波モータの振動子を示す図である。また、図5は振動子109を+Z方向から見た図である。振動板102と圧電素子103が、振動子109を構成し、振動板102と圧電素子103はY方向よりもX方向の方が長い形状をしている。ここで、X方向を長手方向、Y方向と短手方向と定義する。次に、図5を用いて、圧電素子103のフレキブル基板接着面に形成された電極について説明する。第1の電極領域103aと第2の電極領域103bの間の+Y端には、GND電極領域103cが配置されている。また、振動板102は、振動板102と圧電素子103の固着面方向において、圧電素子103に対して、長手方向にも短手方向にもはみ出している。
圧電素子103は脆性材料で割れやすいため、圧電素子103が振動板102からはみ出していると、はみ出した部分が割れやすいという問題がある。そこで、圧電素子103と振動板102との貼りずれ誤差量よりも大きく圧電素子103よりも振動板102がはみ出すように構成する。これにより、圧電素子103は、延性の高い金属製の振動板102に必ず貼りついているため、圧電素子103の割れを軽減することができる。
また圧電素子103に対する振動板102のはみ出し量について、短手方向のはみだし量124よりも長手方向のはみ出し量123の方が、はみ出し量が大きくなるように構成している。長手方向はみ出し部102eは、圧電素子103に対して振動板102が長手方向(X方向)にはみ出した部分である。また、長手方向はみ出し部102eは、振動板102の長手端の両側に位置する。
図6(A)及び(B)は、2つの曲げ振動モードの振動の節と腹、そして自由端の位置を示す図である。図6(A)は、X方向の2次の曲げ振動モードの節と腹の位置を示している。振動板102と圧電素子103は固着されて一体となり振動子109を構成している。圧電素子103に高周波の交流電圧を印加することで、圧電素子103は伸縮するのに対して、振動板102は伸縮しないため、圧電素子103と振動板102の伸縮差により振動子109にX方向の2次の曲げ振動モードを励起する。図6(A)に示す121a、121b、121cは、2次の曲げ振動モードの節位置である。図6(A)に示す122a、122bは、2次の曲げ振動モードの腹位置である。
また振動板102の節位置121a、節位置121b、節位置121cでは、2次の曲げ振動モードによるZ方向の振動は非常に小さい。上述の振動板102の接触部102bは、節位置121aと節位置121bに設けられているため、2次の曲げ振動モードによってZ方向には振動しないが、X方向に振動する。このような位置に接触部102bを設けることで、X方向の2次の曲げ振動モードにより、接触部102bにX方向の振動を起こすように構成している。なお、2次の曲げ振動は、駆動方向に振動する送り振動である。
図6(B)はY方向の1次の曲げ振動モードの節と腹の位置を示す図である。図6(B)に示す121d、121eは、1次の曲げ振動モードの節位置である。図6(B)に示す122cは、1次の曲げ振動モードの腹位置である。節位置121d、節位置121eでは、1次の曲げ振動モードによるZ方向の振動は非常に小さい。一方、腹位置122cでは、1次の曲げ振動モードによるZ方向に大きく振動する。前述の接触部102bは、腹位置122cに設けられているため、1次の曲げ振動モードによってX方向には振動しないが、Z方向には振動する。このような位置に接触部102bを設けることで、Y方向の1次の曲げ振動モードにより、接触部102bにZ方向の振動を起こすように構成している。なお、1次の曲げ振動は、振動子の接触部が押圧方向に振動する突き上げ振動である。
本実施形態の超音波モータの振動子109は、上述の直交する二つの曲げ振動モードを組み合わせて振動板102の接触部102bに楕円振動を発生させている。
次に、図7(A)及び(B)を用いて、2つの曲げ振動モードの歪の大きさを説明する。図7(A)は、2次の曲げ振動モードにおけるX方向の各位置におけるX方向の歪を示すグラフである。図7(A)に示すグラフの横軸は、X方向の位置であり、縦軸はX方向の歪である。X方向の位置が2次の曲げ振動モードの腹位置122aで、X方向の歪は最大値Str1となり、X方向の位置が2次の曲げ振動モードの腹位置122bで、X方向の歪は最小値−Str1となる。腹位置122aと腹位置122bの中間地点121bは節位置であるため、歪はゼロとなる。また、長手方向はみ出し部102eも自由端であるため、歪はゼロとなる。
図7(B)は、1次の曲げ振動モードにおけるY方向の各位置におけるY方向の歪を示すグラフである。図7(B)において、横軸はY方向の位置であり、縦軸はY方向の歪を示す。Y方向の位置が1次の曲げ振動モードの腹位置122cで、Y方向の歪は最大値Str2となる。図7(B)において、長手方向はみ出し部102eは全域に渡っているため、1次の曲げ振動モードによる歪が発生する部位を含んでいる。
ここで図6を用いて、2次の曲げ振動には影響を与えず、1次に曲げ振動の増加を抑制することについて説明する。まず、図6(A)において、長手方向はみ出し部102eには圧電素子103が接合されていないため、圧電素子103との伸縮差による曲げ力は発生しない。しかし、長手方向はみ出し部102eは、2次の曲げ振動モードの自由端に位置するため、図7(A)で説明したように2次の曲げ振動モードによる歪は発生しない。そのため、長手方向はみ出し部102eは圧電素子103と接合されていないが、長手方向はみ出し部102eにより2次の曲げ振動モードの振幅は抑制されない。
図6(B)において、長手方向はみ出し部102eには圧電素子103が接合されていないため、圧電素子103との伸縮差による曲げ力は発生しない。また、長手方向はみ出し部102eは、1次の曲げ振動モードの全域に渡っているため、図7(B)で説明したように1次の曲げ振動モードによる歪が発生する部位を含んでいる。そのため、長手方向はみ出し部102eが圧電素子103と接合されてなく、長手方向はみ出し部102eにより1次の曲げ振動モードの振幅は抑制される。このように、長手方向はみ出し部102eは、2次の曲げ振動モードの振幅には影響を与えず、1次の曲げ振動モードのみ振動振幅を抑制することができる。
次に、図11を用いて、従来の超音波モータの振動子おける、圧電素子103に印加する交流電圧の周波数と、振動板102の接触部102bに発生する楕円振動のX方向の振幅とZ方向の振幅の関係を説明する。図11(A)は、従来の超音波モータの振動子における、圧電素子103に印加する交流電圧の周波数に応じて、振動板102の接触部102bに発生する楕円振動のX方向の振幅とZ方向の振幅が変化していく様子を示したグラフである。図11(B)は、従来の超音波モータの各周波数において発生する楕円振動軌跡と必要最低限のZ方向の振幅での楕円振動軌跡を示した図である。
図11(A)において、横軸は圧電素子103に印加する交流電圧の周波数fであり、縦軸は振動振幅である。H(f)は振動板102の接触部102bに発生する楕円振動のX方向の振幅、V2(f)は振動板102の接触部102bに発生する楕円振動のZ方向の振幅、V0(f)はX方向の振幅H(f)に対して必要最低限のZ方向の振幅である。圧電素子103に印加する交流電圧の周波数f高周波数f1から低周波数f3にスイープするにつれて、X方向の振幅H(f)もZ方向の振幅V2(f)も大きくなる。
特に、Z方向の振幅V2(f)は、X方向の振幅H(f)よりも大きな振幅となる。これは、振動板102の接触部102bに発生するZ方向の振幅は振動子109の1次の曲げ振動モードによって発生するのに対し、X方向の振動は振動子109の2次の曲げ振動モードによって発生している。そのため、次数の小さい1次の曲げ振動モードの方が変形しやすく大振幅となりやすいためである。
一方、Z方向の振動は、振動板102の接触部102bの接触状態と非接触状態を切り替えるための振動であるため、必要以上に大きな振幅で振動しても速度増加につながらず、無駄に電力を消費するだけとなる。そのため、X方向の振幅H(f)に対して必要最低限のZ方向の振幅V0(f)は、X方向の振幅H(f)に比べ小さい。
図11(B)は、従来の超音波モータの高周波数f1、中間周波数f2、低周波数f3で発生する楕円振動軌跡(Generated Elliptic Oscillation)と必要最低限のZ方向の振幅での楕円振動軌跡を示した図である。必要最低限のZ方向の振幅での楕円振動軌跡(Minimal Elliptic Oscillation)は、周波数fが高周波数f1から低周波数f3にスイープしてもそれほど縦長の楕円にはならない。一方、発生する楕円振動軌跡は、周波数fが高周波数f1から低周波数f3にスイープすると非常に縦長の楕円になり、必要以上にZ方向の振幅が大きくなる。
以上のように、従来の超音波モータでは、Z方向の振幅はX方向の振幅に対して小さくて構わないが、Z方向の振幅V2(f)は必要以上に大きく、無駄な電力を消費して超音波モータの駆動効率が低下している。
次に、図8(A)は、本実施形態の超音波モータの振動子おける、圧電素子103に印加する交流電圧の周波数に応じて、振動板102の接触部102bに発生する楕円振動のX方向の振幅とZ方向の振幅が変化を示したグラフである。図8(B)は、本実施形態の超音波モータの各周波数において発生する楕円振動軌跡と必要最低限のZ方向の振幅での楕円振動軌跡を示した図である。
図8(A)において、横軸は圧電素子103に印加する交流電圧の周波数fであり、縦軸は振動振幅である。H(f)は振動板102の接触部102bに発生する楕円振動のX方向の振幅、V(f)は振動板102の接触部102bに発生する楕円振動のZ方向の振幅、V0(f)は、X方向の振幅H(f)に対して必要最低限のZ方向の振幅である。本実施形態の超音波モータでは、図6で説明したように長手方向はみ出し部102eを設けることで、2次の曲げ振動モードの振幅には影響を与えず、1次の曲げ振動モードのみ振幅を抑制する構成としている。そのため、Z方向の振幅V(f)はX方向の振幅H(f)よりも小さく抑えることが可能となる。これにより、Z方向の振幅V(f)は必要最低限のZ方向の振幅V0(f)に近付けることができ、駆動効率の低下を軽減することができる。
図8(B)は本実施形態の超音波モータにおいて、高周波数f1、中間周波数f2、低周波数f3における発生する楕円振動軌跡と必要最低限のZ方向の振幅での楕円振動軌跡を示した図である。周波数fが高周波数f1から低周波数f3にスイープしても、発生する楕円振動軌跡のY方向の振幅V(f)は、必要最低限のZ方向の振幅での楕円振動軌跡のZ方向の振幅V0(f)と略同じ形状となる。したがって、必要以上にZ方向に振幅して無駄な電力を消費することがない。
上述ように、本実施形態の超音波モータでは、長手方向はみ出し部102eを設けることで、2次の曲げ振動モードの振幅には影響を与えず、1次の曲げ振動モードのみ振動振幅を抑制することができる。これにより、必要以上にZ方向に振幅して電力を消費し、超音波モータの駆動効率が低下することを軽減することができる。
次に、図9は本実施形態の超音波モータのフレキシブル基板140を+Z方向から見た図である。121bは、2次の曲げ振動モードの節位置である。122cは1次の曲げ振動モードの腹位置である。第1の銅箔140aは、圧電素子103の第1の電極領域103aと導通する。第2の銅箔140bは、圧電素子103の第2の電極領域103bと導通する。GND銅箔140cは、圧電素子103のGND電極領域103cと導通する。また、GND銅箔140cの部分だけカバーレイ領域140eが切り欠かれているような形状になっている。
フレキシブル基板140は、銅箔の方がベース材よりも剛性が高い。本実施形態の超音波モータのフレキシブル基板140の銅箔140a、銅箔140b、銅箔140cは長手方向(X方向)に3分割されており、短手方向(Y方向)には分割されていない。これにより、フレキブル基板140は長手方向(X方向)には剛性が弱く曲がりやすく、短手方向(Y方向)には剛性が高く曲がりにくい構成としている。
次に、図10は本実施形態の超音波モータの振動子109にフレキシブル基板140が貼りついた状態を+Z方向から見た図である。振動子109にフレキシブル基板140はX方向には中心揃えで配置され、Y方向には圧電素子103のGND電極103c側がフレキシブル基板140の引き出し方向となるように配置される。第1の銅箔140aは圧電素子103の第1の電極領域103aと、第2の銅箔140bは圧電素子103の第2の電極領域103bと、第3の銅箔140cは圧電素子103のGND電極領域103cと導通するように貼り合わせる。
本実施形態の超音波モータのフレキシブル基板140の銅箔140a、銅箔140b、銅箔140cは、長手方向(X方向)には3分割されており、短手方向(Y方向)には分割されていない。そのため、振動子109の長手方向の2次曲げ振動に対しては剛性が弱く曲がりやすく、短手方向の1次曲げ振動に対しては剛性が強く曲がりにくい構成となっている。これにより、2次の曲げ振動モードの振幅には影響を与えず、1次の曲げ振動モードのみ振動振幅を抑制することができる。上述のような構成とすることにより、必要以上にY方向に振幅して無駄な電力を消費し、超音波モータの駆動効率が低下することを軽減することができる。
上述のように、圧電素子103に対して振動板102が全周はみ出しており、短手方向(Y方向)よりも長手方向(X方向)のはみ出し量が大きくなるように構成することにより、駆動効率の低下を軽減した超音波モータを実現することが可能である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
101 摩擦部材
102 振動板
102e 長手方向はみ出し部
103 圧電素子
109 振動子

Claims (7)

  1. 摺動部を有する振動板に圧電素子が取り付けられた振動子を備え、前記摺動部が前記圧電素子で励起される複数の直交する振動により楕円振動することにより、前記摺動部と摩擦接触する部材及び前記振動子が相対的に移動する振動型アクチュエータであって、
    前記振動板は、前記圧電素子に対して長手方向及び短手方向に、はみ出し部を有し、
    前記はみ出し部は、前記長手方向のはみ出し量が前記短手方向のはみ出し量よりも大きく、
    前記圧電素子には、引き出し方向が前記短手方向と平行になるようにフレキシブル基板が取り付けられていて、
    前記圧電素子の電極と導通する前記フレキシブル基板に設けられた銅箔は、前記長手方向に複数に分割され、前記短手方向には繋がっている
    ことを特徴とする振動型アクチュエータ。
  2. 前記複数の直交する振動は、前記摺動部が押圧方向に振動する1次の曲げ振動と駆動方向に振動する2次の曲げ振動である
    ことを特徴とする請求項に記載の振動型アクチュエータ。
  3. 前記長手方向のはみ出し部は、前記2次の曲げ振動における自由端である
    ことを特徴とする請求項に記載の振動型アクチュエータ。
  4. 前記摺動部は、前記1次の曲げ振動における腹の位置および前記2次の曲げ振動における節の位置に設けられる
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の振動型アクチュエータ。
  5. 前記振動板は、前記圧電素子が取り付けられる矩形部と、支持部材に支持される支持部と、前記矩形部と前記支持部とを連結する腕部と、を有していて、
    はみ出し部は、前記矩形部に設けられる
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  6. 前記振動子は、電圧の印加により超音波振動することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータとして機能する超音波モータ。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータを駆動用アクチュエータに用いることを特徴とするレンズ鏡筒。
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