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JP2001238961A - 螺旋体用線体、医療用挿通線及び螺旋体用線体の製造方法 - Google Patents

螺旋体用線体、医療用挿通線及び螺旋体用線体の製造方法

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JP2001238961A
JP2001238961A JP2000051002A JP2000051002A JP2001238961A JP 2001238961 A JP2001238961 A JP 2001238961A JP 2000051002 A JP2000051002 A JP 2000051002A JP 2000051002 A JP2000051002 A JP 2000051002A JP 2001238961 A JP2001238961 A JP 2001238961A
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spiral
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隆司 川端
Kenji Kaneda
賢治 金田
Seiji Shimura
誠司 志村
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Japan Lifeline Co Ltd
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Japan Lifeline Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 造影性が良好であり、しなやかさを有し、構
造が簡単で、製造に高度な技術を必要とせず、生産効率
が良い螺旋体に形成することのできる螺旋体用線体、及
びこれを使用した医療用挿通線を提供すること。 【解決手段】 太径の非造影性螺旋体用線体部と、前記
非造影性螺旋体用線体部から一体に形成されて成る細径
の非造影性芯線の表面に造影性金属の被覆を形成して成
る造影性螺旋体用線体部とを有する螺旋体用線体及びそ
の製造方法、並びに前記螺旋体を挿通線用芯線の先端部
分に巻回装着した医療用挿通線。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、螺旋体用線体、
医療用挿通線及び螺旋体用線体の製造方法に関し、さら
に詳しくは、例えば心筋梗塞等の処置に用いられる、医
療用管状器具内及び/又は血管中をスムースに移動させ
るのに十分なしなやかさを有し、構造が簡単で、造影性
が良く、大量生産が可能な医療用挿通線、このような医
療用挿通線を製造するのに好適に用いられる螺旋体用線
体、及びこのような螺旋体用線体の簡単な製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】医療用挿通線は、例えば血管中に挿入さ
れた医療用管状器具内に挿通され、血管内の病変部分に
到達させて塞栓部位の治療を行うために、使用される。
医療用挿通線はまた、直接に体内例えば生体管状組織例
えば消化管内に挿通されて、治療対象部位にまでその先
端部を到達させて、治療の為に使用される。
【0003】医療用挿通線は、通常、テーパがかけられ
て先端に至るに従って細くなる挿通線用芯線と、挿通線
用芯線の、テーパがかけられて細くなった部分に巻回装
着されて成る線状の螺旋体とを有して形成される。
【0004】前記螺旋体は、通常、X線不透過性金属、
つまり造影性金属とX線透過性金属、つまり非造影性金
属とで形成される。螺旋体をこのような二種の材料で形
成すると、塞栓除去作業中に、治療を施す人体に対して
X線撮影をすることにより得られるX線画像から、医療
用挿通線の先端部の存在位置を常時確認しながらバルー
ンカテーテル等による塞栓除去作業及び血管拡張作業等
を進めることが可能になる。
【0005】従来から、造影性金属と非造影性金属とか
ら成る医療用挿通線の製造法として、たとえば交互巻き
の接合法、螺旋体と螺旋体とをロウ付けする接合法、非
造影性金属細線と造影性金属細線とをそれぞれの末端部
でロウ付けしてから螺旋体に成形する方法、及びクラッ
ド法等が、提案されている。
【0006】しかし、従来のこれらの方法は、医療用挿
通線の操作性、螺旋体の製造容易性、又は螺旋体の製造
コスト等の点において満足することができる方法ではな
い。たとえば、交互巻きの接合法は、交互に重ねられた
部分が固くなり、製造された螺旋体のしなやかさに欠
け、また螺旋体の末端部同士を重ねるのは製作上困難で
あるという欠点がある。ロウ付けによる接合法は、製作
は容易であるが、接合部が固くなるという欠点がある。
非造影性金属細線と造影性金属細線とをそれぞれの末端
部でロウ付けしてから螺旋体に成形する方法は、細線の
末端同士を接合させるのが技術的に非常に困難であり、
またコスト高になるという欠点がある。クラッド法は、
一本づつ製造しなければならないので製造効率が悪く、
コスト高になり、また造影部が少なくなるので造影性が
悪化するという欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、従来の螺
旋体又は医療用挿通線が有する上記の欠点を解消するこ
と、すなわち、造影性が良好であり、しなやかさを有
し、構造が簡単で、製造に高度な技術を必要とせず、生
産効率が良い螺旋体に形成することのできる螺旋体用線
体、これを使用した医療用挿通線、及び螺旋体用線体を
製造する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めのこの発明は、太径の非造影性螺旋体用線体部と、前
記非造影性螺旋体用線体部に一体に形成されて成る細径
の非造影性芯線及びその非造影性芯線の表面に形成され
て成る造影性金属層を備えて成る造影性螺旋体用線体部
とを有することを特徴とする螺旋体用線体であり、この
発明の好適な態様において、前記非造影性芯線は、その
軸線が前記非造影性螺旋体用線体部の軸線に対して偏心
して成り、前記造影性金属層は、白金、金、タンタル、
タングステン及びイリジウムのいずれか少なくとも一種
の金属、又はこれらのいずれか一種又は二種以上の金属
とロジウム、ニッケル及びコバルトのいずれか一種又は
二種以上の金属との合金であり、他の発明は、挿通線用
芯線と、前記挿通線用芯線の先端部分に螺旋状に巻回装
着された請求項1又は2に記載の螺旋体用線体とを有す
ることを特徴とする医療用挿通線であり、更に他の発明
は、非造影性金属細線の先端部より所定の長さの部位を
加工して前記非造影性金属細線よりも細径の非造影性芯
線を形成し、その非造影性芯線の外表面の全てに又は部
分的に造影性金属層を形成することを特徴とする螺旋体
用線体の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明に係る螺旋体用線体は、
非造影性螺旋体用線体部と造影性螺旋体用線体部とを有
する。非造影性螺旋体用線体部は、造影性を持たず、コ
イル状に形成するための部材という意味を有し、造影性
螺旋体用線体部は、造影性を有し、コイル状に形成する
ための部材という意味を有する。なお、非造影性とは、
医療現場における通常の造影条件においてX線撮影して
も、画像として充分に現われない性質をいい、造影性と
は、医療現場における通常の造影条件においてX線撮影
した場合に、画像として鮮明に現われる性質をいう。な
お、ここで、医療現場における通常のX線の造影条件と
しては、電圧50〜150kV、電流値0.2〜3A、
焦点サイズ0.2〜3mm、IIFサイズ5〜15イン
チを挙げることができる。
【0010】前記非造影性螺旋体用線体部は、前記螺旋
体用線体即ちコイル用ワイヤから形成された螺旋体即ち
コイルのうち、X線撮影しても画像として現われない部
分である。
【0011】前記非造影性螺旋体用線体部即ち非造影性
コイル用ワイヤに使用する材料としては、非造影性であ
り、また、この発明の目的を達成することができる限り
において特に制限はなく、ステンレス、Ni−Ti合金
等の非造影性金属等が、錆び難く、耐酸性が大きくて好
ましい。さらにこの中で、コスト面を考慮すると、ステ
ンレスが特に好適である。
【0012】前記非造影性螺旋体用線体部の断面形状
は、この発明の目的を達成することができる限りにおい
て特に制限はないが、前記螺旋体が先端部に装着されて
成る医療用挿通線即ちガイドワイヤが医療用管状器具す
なわちカテーテルの内部及び血管中を円滑に進行するこ
とができるように、丸みを帯びた形状であることが好ま
しく、通常は円形、楕円形、方形及び長方形等である。
【0013】前記非造影性螺旋体用線体部は、後述の非
造影性芯線即ち非造影性コアワイヤよりも大きい径を有
する。前記非造影性螺旋体用線体部の径は、この発明の
目的を達成することができる限りにおいて特に制限はな
いが、作業性及び強度等の理由から、20〜200μm
であることが好ましい。
【0014】前記造影性螺旋体用線体部は、前記螺旋体
用線体のうち、X線撮影した場合に画像として現われる
部分である。
【0015】前記造影性螺旋体用線体部即ち造影性コイ
ル用ワイヤ部は、非造影性芯線即ち非造影性コアワイヤ
と、その表面に形成された造影性金属層とを有して成
る。
【0016】前記非造影性芯線は、前記非造影性螺旋体
用線体部から一体に形成されて成る。換言すると、非造
影性芯線は、非造影性螺旋体用線体部に対して分離不可
能ないし分離困難に形成されて成る。このような非造影
性芯線は、例えば別個に製造された非造影性螺旋体用線
体部に非造影性芯線を一体に結合して成ることにより形
成され、或いは非造影性螺旋体用線体の先端から所定の
長さにわたる部分を加工することにより形成されること
ができる。
【0017】多くの場合、製造コスト、製造の容易性等
を考慮すると、前記非造影性芯線の材料は、通常、前記
非造影性螺旋体用線体部の材料と同一であるのが好まし
く、そのためには、非造影性芯線は、非造影性螺旋体用
線体の先端部を加工することにより形成されるのが、好
ましい。
【0018】前記非造影性芯線の断面形状は、この発明
の目的を達成することができる限りにおいて特に制限は
なく、通常は円形、楕円形、方形又は長方形等であり、
好適な断面形状は円形である。ここで、例えば「円形」
には、真円のみならず少々歪んではいるけれど円形とい
って差し支えないものも含まれることを意味し、真円に
限定されないことは言うまでもなく、楕円形、方形及び
長方形についても同様である。なお、この発明において
は、「大径」は、一般的に、非造影性螺旋体用線体部
の、その長手方向に直交する断面の輪郭が、非造影性芯
線の長手方向に直交する断面の輪郭よりも大きいことを
意味し、非造影性螺旋体用線体部の長手方向に直交する
断面が円形であるときには、「大径」は、非造影性螺旋
体用線体部の長手方向に直交する断面の輪郭が円形であ
るときには、非造影性螺旋体用線体部の長手方向に直交
する断面における直径が、非造影性芯線の長手方向に直
交する断面の直径よりも大きいことを意味する。同様
に、「細径」は、一般的に、非造影性芯線の長手方向に
直交する断面の輪郭が、非造影性螺旋体用線体部の長手
方向に直交する断面の輪郭よりも小さいことを意味し、
非造影性芯線の長手方向に直交する断面及び非造影性螺
旋体用線体部の断面が共に円形であるときには、非造影
性芯線の断面の直径が非造影性螺旋体用線体部の断面の
直径よりも小さいことを意味する。
【0019】前記非造影性芯線は、その断面が円形であ
る場合、前記非造影性螺旋体用線体部よりも小さい径を
有する。また、前記非造影性芯線は、その断面が楕円形
である場合、その楕円形の長径及び短径は、前記非造影
性螺旋体用線体部よりも小さい寸法を有する。断面が円
形及び楕円形のいずれであっても、前記非造影性芯線の
径(直径、長径及び短径のいずれかを示す。)は、この
発明の目的を達成することができる限りにおいて特に制
限はないが、非造影性芯線の表面に十分量の造影性金属
の層を形成することができ、また前記非造影性芯線の表
面に形成される造影性金属の層を有して成る造影性螺旋
体用線体部の径が、非造影性螺旋体用線体の径よりも大
きくなり過ぎることのないように、10〜100μmで
あることが好ましい。
【0020】前記非造影性芯線を前記非造影性螺旋体用
線体部から一体に形成させる方法としては、前記非造影
性芯線は、この発明の目的を達成することができる限
り、種々の加工方法乃至製造方法により製造することが
でき、たとえば、前記非造影性螺旋体用線体部となり得
る非造影性金属細線の先端部より所定の長さの部位を加
工して、例えば線引き加工若しくは削り出し加工して前
記非造影性金属細線よりも細径の非造影性芯線を形成す
る方法、又は既述のように、別々に形成された非造影性
螺旋体用線体部の先端部に非造影性芯線を一体に結合す
る方法等を挙げることができる。
【0021】前記非造影性芯線を前記非造影性螺旋体用
線体部から一体に形成させる、上記とは異なる方法とし
て、例えば図6に示されるように、非造影性螺旋体用線
体部23Aを巻回してコイル状に形成して成る非造影性
螺旋状芯線体24を形成し、図7に示されるように、こ
の非造影性螺旋状芯線体24を治具25に装填し、治具
25に装填した非造影性螺旋状芯線体24の一部を電解
液26に浸漬し、図8に示されるように、所定時間浸漬
することにより、浸漬された非造影性螺旋状線体部23
Aを所定の直径に成るように腐食させる方法を挙げるこ
とができる。この浸漬による方法においては、治具25
は、前記非造影性螺旋状芯線体24内に挿通される装着
用軸体27と、装着用軸体27に挿通された非造影性螺
旋状芯線体24が脱落するのを防止する鍔部28とを備
えて成り、前記装着用軸体27の直径は前記非造影性螺
旋状芯線体24により形成されてなるコイル体の内径よ
り僅かに小さな寸法となるように形成されるのが好まし
い。このような非造影性螺旋状芯線体24の内径に近似
する直径を有する装着用軸体27を有する治具25を採
用すると、装着用軸体27に挿通した非造影性螺旋状芯
線体24の外側部分が内側部分(装着用軸体27に向か
う部分)に比べて電解液による腐食速度が大きくなるの
で、図8に示されるように、コイル状に成っている太径
の非造影性螺旋体部29と、前記非造影性螺旋体部29
に一体に形成されて成り、かつ前記非造影性螺旋体部2
9を形成する非造影性螺旋体用線体部23Aの軸線とは
異なる軸線を有する非造影性芯線23Bにより形成され
てなる細径の非造影性芯線螺旋体部30とを備えて成る
螺旋体31が形成される。なお、図6においては、非造
影性芯線23Bは、その軸線方向に直交する断面が円形
であるが、この発明においては、その軸線方向に直交す
る断面が方形、又は矩形であっても良い。
【0022】いずれの非造影性芯線の製造方法を採用す
るにしても、前記非造影性芯線23Bの中心線と前記非
造影性螺旋体用線体部23Aの中心線とは、一致してい
てもよく、また一致していなくてもよい。つまり、偏心
していても良い。
【0023】偏心している場合、前記非造影性芯線の断
面における輪郭線が、前記非造影性螺旋体用線体部の断
面における輪郭線からはみ出さないようするのが良い。
【0024】図8に示されるように、非造影性螺旋体部
29と非造影性芯線螺旋体部30とを一体に備えてなる
螺旋体31を、一旦電解液から引き上げ、次いで、図9
に示されるように、前記螺旋体31をメッキ液31に浸
漬すると、前記非造影性芯線螺旋体部30の表面が、造
影性金属であるメッキ金属で被覆される。所定時間かけ
てメッキ液に浸漬することにより所望厚みのメッキ金属
層32を前記非造影性芯線螺旋体部30の表面に有する
造影性螺旋体部33が形成される。
【0025】前記造影性金属としては、この発明の目的
を達成することができる限りにおいて特に制限はなく、
たとえば白金、金、及びイリジウム等、並びに前記金属
とロジウム、ニッケル、又はコバルト等の金属とからな
る合金等を挙げることができ、さらに、これらの金属の
中で特に金及び金の合金が、加工性と螺旋体の柔軟性を
確保する上で好ましい。
【0026】前記非造影性芯線の表面に前記造影性金属
の層を形成する方法としては、前記螺旋体をX線撮影し
て得られた画像上に、前記造影性金属に基づく像が明確
に現われている限り特に制限はなく、メッキ法、スパッ
タ法、EVD法、CVD法、及びイオン注入法等の公知
の方法を使用することができる。これらの方法の中で、
コスト面から、メッキ法が最も好適である。さらに、メ
ッキ法の中でも、厚い被膜が形成可能な電解メッキ法が
特に好ましい。
【0027】前記造影性金属の層は、前記非造影性芯線
の全表面にわたって形成されて被覆膜ないし被覆層と成
っているのが好ましいが、場合によっては、X線画像が
特定の模様、形状、マーク等となって現れるように、或
いはランダムな模様となって現れるように、前記非造影
性芯線の表面の部分部分に形成しても良い。
【0028】前記被覆層(造影性金属層)の厚み(層
厚)は、前記螺旋体をX線撮影して得られた画像上に、
前記造影性金属に基づく像が明確に現われている限り特
に制限はなく、例えば被覆層の軸線方向に直交する断面
が円形である場合、通常は5〜200μm、好ましくは
20〜150μmである。造影性螺旋体用線体部の軸線
(中心線或いは中心軸線)方向に直交する断面における
外縁は、非造影性螺旋体用線体部の軸線方向に直交する
断面における外縁よりもはみ出さないように、被覆層の
厚みを適宜に調整するのが好ましい。
【0029】なお、前記被覆層の厚みは均一である必要
はなく、各部位ごとに厚みが異なっていても差し支えな
い。
【0030】また、前記被覆層が前記非造影性芯線に形
成されて成る造影性螺旋体用線体部が、前記非造影性芯
線に対して偏心した状態となるように、前記被膜が前記
非造影性芯線に形成されていてもよい。なお、これは、
非造影性螺旋体用線体の中心線と非造影性芯線の中心線
とが不一致となるように、造影性螺旋体用線体部が形成
されていることを意味する。造影性螺旋体用線体部が前
記非造影性芯線に対して偏心した状態であると、造影性
螺旋体用線体部が前記非造影性芯線に対して偏心してい
ない状態の場合よりも、前記螺旋体用線体を螺旋体状に
成形して成る螺旋体をX線撮影した際に得られる画像上
に、前記造影性螺旋体用線体部に対応する像がより確認
し易く現われる点において好ましい。
【0031】造影性螺旋体用線体部が前記非造影性芯線
に対して偏心した状態となるように、前記被覆層を前記
非造影性芯線に形成させるには、前述したメッキ法、ス
パッタ法、EVD法、CVD法、及びイオン注入法等の
被膜形成方法を使用することができる。
【0032】前記造影性金属を前記非造影性芯線の表面
に層状に形成して成る前記造影性螺旋体用線体部の径
は、前記造影性芯線の径及び前記被覆層の厚みがこの発
明の目的を達成する限り、前記非造影性螺旋体用線体部
の径より大きくても、小さくてもよく、また前記非造影
性螺旋体用線体部の径と同じであってもよい。なお、前
記造影性螺旋体用線体部の径と前記非造影性螺旋体用線
体部の径とが実質的に同じであり、前記造影性螺旋体用
線体部の外周面と前記非造影性螺旋体用線体部の外周面
とが円滑に連続するように形成するのが、螺旋体成形時
及び塞栓除去作業時等の操作性が良好になる点等におい
て最も好ましい。
【0033】螺旋体用線体は、かくして造影性螺旋体用
線体部と非造影性螺旋体用線体部とを有して成る。
【0034】前記螺旋体用線体を螺旋体状に成形する方
法としては、金属線等を螺旋体状に成形することができ
る公知の方法を使用することができる。また、螺旋体
は、前記螺旋体用線体を螺旋体状に形成した後に、後述
の挿通線用芯線に装着してもよく、また、前記螺旋体用
線体を挿通線用芯線に巻きつけていき、螺旋体を形成し
ながら挿通線用芯線に装着してもよい。
【0035】前記螺旋体の直径及びピッチは、従来の医
療用挿通線における螺旋体と同様であって差し支えな
い。たとえば、直径は0.1〜1mmとすることがで
き、ピッチは、螺旋体用線体の径の1〜2倍とすること
ができる。
【0036】前記螺旋体の軸方向の長さは、この発明の
目的を達成することができる限りにおいて特に制限はな
く、通常は60〜1000mmである。また、このうち
の造影性螺旋体用線体部により形成される螺旋体部分の
螺旋体軸方向の長さ、及び非造影性螺旋体用線体部によ
り形成される螺旋体部分の螺旋体軸方向の長さについて
も、この発明の目的を達成することができる限りにおい
て特に制限はないが、通常は、造影性螺旋体用線体部に
より形成される螺旋体部分の螺旋体軸方向の長さは10
〜200mmであり、非造影性螺旋体用線体部により形
成される螺旋体部分の螺旋体軸方向の長さは50〜80
0mmである。
【0037】上述のように、この発明の螺旋体において
は、造影性金属が、非造影性螺旋体用線体部に一体に形
成された非造影性芯線上に被覆されるので、造影材料と
非造影材料とをロウ付け等により接合する必要がなく、
したがって、ロウ付けにより形成される接合部に起因す
る螺旋体の硬化が発生せず、螺旋体のしなやかさが保持
される。また、この発明の螺旋体においては、メッキ法
等により造影性部を形成可能であるので、極細である造
影性ワイヤと非造影性ワイヤとを接合するという製造時
の技術的困難性がなく、製造が容易である。さらに、こ
の発明の螺旋体においては、螺旋体用線体を1本ずつ製
造しなければならないといった製造効率の悪さがなく、
一時に大量生産可能であり、結果として製造コストが減
少する。また、この発明においては、非造影性芯線に被
覆する造影性金属の量を適宜調整可能であるので、必要
十分な造影性を螺旋体に付与することが可能である。
【0038】次に、この発明の医療用挿通線について説
明する。
【0039】前記医療用挿通線は、挿通線用芯線とこの
発明に係る前記螺旋体とを有し、前記螺旋体は前記挿通
線用芯線の先端部に巻回装着されている。
【0040】前記挿通線用芯線は、従来の医療用挿通線
において使用される挿通線用芯線と同様であって差し支
えない。前記螺旋体を前記挿通線用芯線に装着する方法
も、従来の医療用挿通線の場合と同様であって差し支え
ない。
【0041】前記挿通線用芯線の好適な態様としては、
その長さが0.3〜3mであり、さらに好ましくは1〜
2mであり、その先端部から全体の10〜50%の部分
までテーパ状になっていて、先端部に至るに従って細く
なっており、その最大径は0.2〜2mmであり、最小
径は0.05〜0.3mmである。なお、この場合、テ
ーパ状になった前記挿通線用芯線の部分は、一定の角度
をもって細くなっている必要はなく、先端部に至るに従
って細くなっていれば、段差を有していても構わない。
【0042】挿通線用芯線が前記のテーパ状構造を有す
る場合、前記螺旋体は、挿通線用芯線のテーパ状となっ
た部分に巻回装着される。巻回装着された前記螺旋体
は、ロウ付け等の方法により前記挿通線用芯線に固定す
ることができる。さらに、医療用挿通線がカテーテル内
及び血管内等をスムースに進行可能にするために、テー
パ状になった側の挿通線用芯線の先端部に頭が丸められ
たチップを装着したり、テーパ状になった側の挿通線用
芯線の先端部をハンダ等により丸く成形することができ
る。
【0043】また、医療用挿通線がカテーテル中を円滑
に進行することができるように、挿通線用芯線の外周面
に公知のテフロンを静電塗装を施してもよい。
【0044】さらに、医療用挿通線が血管中に入ったと
きに、医療用挿通線が血液中を円滑に進行することがで
きるように、挿通線用芯線の外周面に公知の潤滑化剤を
塗工することができる。前記潤滑化剤としては、たとえ
ば、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポ
リビニルピロリドン、シリコン樹脂及びフッ素樹脂等を
挙げることができる。
【0045】この発明の医療用挿通線は、従来の医療用
挿通線と同様に使用することができる。この発明の医療
用挿通線に装着する螺旋体は、前述のように、従来の医
療用挿通線よりもしなやかであるので、この発明の医療
用挿通線は、その形状変化の自由度が大きい。したがっ
て、この発明の医療用挿通線は、複雑に湾曲したカテー
テル及び血管中であっても、適宜形状を変化させながら
円滑に進行することができる。また、血管中に存在する
塞栓等を除去する際にも、塞栓の存在位置、大きさ、及
び形状等に応じて、前記螺旋体の形状が適宜変化するこ
とにより、効果的に塞栓等を除去することができ、また
除去作業中に血管を損傷させる危険性が小さい。
【0046】次に、この発明の医療用挿通線及び螺旋体
の具体例を、図面を参照しながら説明する。
【0047】図1は、この発明の医療用挿通線の一具体
例である医療用挿通線1、及びこの発明の螺旋体の一具
体例である螺旋体2の平面図である。
【0048】医療用挿通線1は、螺旋体2と、挿通線用
芯線3とを有する。
【0049】螺旋体2は、螺旋体用線体4を螺旋体状に
成形して成る。図2に、螺旋体用線体4の縦断面図を示
す。
【0050】螺旋体用線体4は、非造影性螺旋体用線体
部5と造影性螺旋体用線体部6とを有する。
【0051】非造影性螺旋体用線体部5は、ステンレス
製であり、直径が約70μmである。
【0052】造影性螺旋体用線体部6は、非造影性芯線
7の表面に造影性金属の被膜8(造影性金属層)を形成
して成る。非造影性芯線7は、非造影性螺旋体用線体部
5から一体に形成されて成る。すなわち、非造影性芯線
7もステンレス製である。非造影性芯線7の直径は、約
70μmである。被膜8は、Au−Co合金であり、電
解メッキ法により非造影性芯線7の表面に形成されてい
る。
【0053】図3に、造影性螺旋体用線体部6の断面図
を示す。図3に示すように、造影性螺旋体用線体部6の
中心線(軸線)と非造影性芯線7の中心線(軸線)とは
一致していない。つまり、造影性螺旋体用線体部6は、
非造影性芯線7に対して偏心した位置関係になるように
形成されている。また、この発明においては、図4に示
すように、造影性螺旋体用線体の断面が楕円形になるよ
うに被膜8aを形成させて、造影性螺旋体用線体部と非
造影性芯線とを偏心させることも可能である。なお、図
5に示すように、造影性螺旋体用線体部と非造影性芯線
との中心を一致させるように、つまり造影性螺旋体用線
体部と非造影性芯線とを偏心させないように被膜8b
(造影性金属層)を設けて、造影性螺旋体用線体部を形
成させても、この発明の目的を達成することができる。
また、造影性螺旋体用線体部6の直径は、非造影性螺旋
体用線体部5の直径と実質的に同じである。
【0054】螺旋体用線体4は、公知の方法により螺旋
体状に成形されて、螺旋体2となっている。螺旋体2
は、手前から奥に向けて右回りに、実質的に隙間が生じ
ないように螺旋体用線体4が巻回されて形成されてい
る。螺旋体2の外径は約0.355mmである。また、
螺旋体2の長さは、約300mmであり、このうち非造
影性螺旋体用線体部5が形成する部分の螺旋体長は約2
70mmであり、造影性螺旋体用線体部6が形成する部
分の螺旋体長は約30mmである。したがって、前記の
螺旋体長となるように、螺旋体用線体4における非造影
性螺旋体用線体部5及び造影性螺旋体用線体部6の長さ
が決定されている。
【0055】挿通線用芯線3は、ステンレス製のワイヤ
であり、その長さが約1800mmである。挿通線用芯
線3は、接続部9と、ワイヤ部10と、テーパ部11と
を有する。
【0056】接続部9は、挿通線用芯線3の末端部を構
成し、延長用チューブが接続する部位である。
【0057】ワイヤ部10は、その外径が約350μm
であり、一定の外径を有する部分である。ワイヤ部10
は、医療用挿通線1における、螺旋体2を巻回した部分
を、血管に挿入したカテーテル中を通して患部に到達さ
せる部位である。
【0058】テーパ部11は、挿通線用芯線3におけ
る、接続部9とは反対側の端部に設けられており、先端
部に向かうに従って次第に細くなっていく部分である。
テーパ部11の軸線長さは、約373mmである。テー
パ部11は、ワイヤ部10に接続する部分から先端部に
向けて、順次、テーパ状部13、定径部14、テーパ状
部15、定径部16、テーパ状部17、及び段状部18
により構成されている。テーパ状部13、定径部14、
テーパ状部15、定径部16、テーパ状部17、及び段
状部18の長さは、それぞれ約50mm、90mm、3
5mm、15mm、60mm、及び23mmである。ま
た、定径部14及び定径部16の外径は、それぞれ約1
93μm及び150μmである。段状部18は、3段に
分かれて、先端に向かうに従って漸次細くなり、最先端
の外径は約31μmである。なお、ワイヤ部10及びテ
ーパ状部14には、テフロンがコーティングされてい
る。
【0059】螺旋体2は、定径部14、テーパ状部1
5、定径部16、テーパ状部17、及び段状部18を巻
回するように、挿通線用芯線3に装着される。螺旋体2
は、その一方端が定径部14上に位置し、他方端が挿通
線用芯線3の先端部にほぼ一致するように配置される。
【0060】螺旋体2は、その両端部、及びテーパ状部
17上を巻回する部分における2箇所の合計4箇所にお
いて、ロウ付けにより挿通線用芯線3に固定されてい
る。螺旋体2における、定径部14上にある末端部にロ
ウ付け部19が設けられ、挿通線用芯線3の先端部上に
ある末端部にロウ付け部20が設けられ、テーパ状部1
7上にある部分にロウ付け部21及び22が設けられて
いる。そして、ロウ付け部20の先端面は、その中心部
が突出した形状になるように湾曲している。
【0061】医療用挿通線1は、以下のように作用す
る。医療用挿通線1の使用方法は、従来の医療用挿通線
と基本的に同じである。医療用挿通線1は、ワイヤ部1
0等にテフロンがコーティングされているので、医療用
管状器具中を円滑に進行可能である。また、医療用挿通
線1は、先端部が丸められているので、医療用管状器具
及び血管中を円滑に進行可能であり、また血管を傷つけ
ることもない。螺旋体2は、しなやかさを有するので、
前述した通りに、医療用管状器具及び血管中の進行及び
塞栓除去等において好適に作用する。
【0062】また、螺旋体2においては、造影性螺旋体
用線体部6は、非造影性芯線7に対して偏心した位置関
係になるように形成されている。つまり、非造影性芯線
7に付着する造影性金属の被膜8には肉厚部と肉薄部と
が存在する。したがって、血管中に存在する医療用挿通
線1に対するX線撮影画像には、前記肉厚部に対応する
部分が大きく、肉薄部に対応する部分が小さく表現され
る。そして、医療用挿通線1を操作して、照射されるX
線と医療用挿通線1とのなす角度が変化すると、単に造
影性金属に対応する部分の像の位置が変化するだけでな
く、その像における、前記肉厚部に対応する部分と肉薄
部に対応する部分との相対的な位置及び大きさ等が変化
する。このために、造影性螺旋体用線体部6と非造影性
芯線7とが偏心した位置関係にある医療用挿通線1は、
造影性螺旋体用線体部6と非造影性芯線7とが偏心した
位置関係にない医療用挿通線に比べて、作業中における
医療用挿通線の先端部の位置をX線画像によって、より
明確に把握することができる。
【0063】
【発明の効果】この発明の螺旋体用線体すなわちコイル
用ワイヤにおいては、ロウ付けによる接合部に起因する
螺旋体の硬化が発生せず、しなやかさが保持される。し
たがって、この発明の医療用挿通線においては、複雑に
湾曲した医療用管状器具及び血管中であっても円滑に進
行することができ、血管中に存在する塞栓等を除去する
際にも、前記螺旋体の形状が適宜変化することにより、
効果的に塞栓等を除去することができ、また除去作業中
に血管を損傷させる危険性が小さい。
【0064】この発明の螺旋体用線体においては、製造
時の技術的困難性が小さく、製造が容易であり、一時に
大量生産可能であるのでり、製造コストを削減すること
ができる。
【0065】この発明の螺旋体用線体においては、非造
影性芯線に被覆する造影性金属の量を適宜調整可能であ
るので、必要十分な造影性を保有することができる。
【0066】さらに、この発明の医療用挿通線において
は、造影性螺旋体用線体部を非造影性芯線に対して偏心
した位置関係になるように形成することにより、作業中
における医療用挿通線の先端部の位置をX線画像によっ
て、より明確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の医療用挿通線の一具体例で
ある医療用挿通線、及びこの発明の螺旋体の一具体例で
ある螺旋体の平面図である。
【図2】図2は、螺旋体用線体の縦断面図である。
【図3】図3は、造影性螺旋体用線体部の断面図であ
る。
【図4】図4は、断面形状が楕円形であり、非造影性芯
線に対して偏心した状態にある造影性螺旋体用線体部の
断面図を示す。
【図5】図5は、非造影性芯線に対して偏心していない
状態にある造影性螺旋体用線体部の断面図を示す。
【図6】図6は、螺旋体を示す断面説明図である。
【図7】図7は、螺旋体を電解液に浸漬した状態を示す
一部断面説明図である。
【図8】図8は、螺旋体を電解液に浸漬して非造影性芯
線螺旋体部を形成した状態を示す一部断面説明図であ
る。
【図9】図9は、メッキ液に非造影性芯線螺旋体部を浸
漬することにより非造影性芯線の表面にメッキ金属層を
形成した状態を示す一部断面説明図である。
【符号の説明】
1・・医療用挿通線、2・・螺旋体、3・・挿通線用芯
線、4・・螺旋体用線体、5・・非造影性螺旋体用線体
部、6・・造影性螺旋体用線体部、7・・造影性芯線、
8・・被膜、8a・・被膜、8b・・被膜、9・・接続
部、10・・ワイヤ部、11・・テーパ部、13・・テ
ーパ部、14・・定径部、15・・テーパ部、16・・
定径部、17・・テーパ部、18・・段状部、19・・
ロウ付け部、20・・ロウ付け部、21・・ロウ付け
部、22・・ロウ付け部、23A・・非造影性螺旋状線
体部、23B・・非造影性芯線、24・・非造影性螺旋
状芯線体、25・・治具、26・・電解液、27・・装
着用軸体、28・・鍔部、29・・非造影性螺旋体部、
30・・非造影性芯線螺旋体部、31・・螺旋体、32
・・メッキ金属層、33・・造影性螺旋体部33。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 太径の非造影性螺旋体用線体部と、前記
    非造影性螺旋体用線体部に一体に形成されて成る細径の
    非造影性芯線及びその非造影性芯線の表面に形成されて
    成る造影性金属層を備えて成る造影性螺旋体用線体部と
    を有することを特徴とする螺旋体用線体。
  2. 【請求項2】 前記非造影性芯線は、その軸線が前記非
    造影性螺旋体用線体部の軸線に対して偏心して成る前記
    請求項1に記載の螺旋体用線体。
  3. 【請求項3】 前記造影性金属層は、白金、金、タンタ
    ル、タングステン及びイリジウムのいずれか少なくとも
    一種の金属、又はこれらのいずれか一種又は二種以上の
    金属とロジウム、ニッケル及びコバルトのいずれか一種
    又は二種以上の金属との合金である前記請求項1に記載
    の螺旋体用線体。
  4. 【請求項4】 挿通線用芯線と、前記挿通線用芯線の先
    端部分に螺旋状に巻回装着された請求項1又は2に記載
    の螺旋体用線体とを有することを特徴とする医療用挿通
    線。
  5. 【請求項5】 非造影性金属細線の先端部より所定の長
    さの部位を加工して前記非造影性金属細線よりも細径の
    非造影性芯線を形成し、その非造影性芯線の外表面の全
    てに又は部分的に造影性金属層を形成することを特徴と
    する螺旋体用線体の製造方法。
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