JP2001214872A - スクロール型圧縮機 - Google Patents
スクロール型圧縮機Info
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Abstract
ル(21)と、該固定スクロール(21)に噛合する可動スクロ
ール(22)とを備え、可動スクロール(22)を固定スクロー
ル(21)に押し付けるようにしたスクロール型圧縮機(1)
において、固定スクロール(21)に対する可動スクロール
(22)の押し付け力を制御することによって、効率の低下
や機械損失を防止できるようにする。 【解決手段】 可動スクロール(22)の背面側に作用する
高圧空間(S2)の圧力で固定スクロール(21)に対する可動
スクロール(22)の押し付け力を得るようにする一方、そ
の押し付け力を運転条件の変化に伴う圧縮比の変動に応
じて調整する。
Description
機に関し、特に、運転効率の低減防止対策に係るもので
ある。
る圧縮機として、例えば、特開平5−312156号公
報などに開示されているスクロール型圧縮機が用いられ
ている。スクロール型圧縮機は、ケーシング内に、互い
に噛合する渦巻き状のラップを有する固定スクロールと
可動スクロールとを備えている。固定スクロールはケー
シングに固定され、可動スクロールは駆動軸の偏心軸部
に連結されている。そして、可動スクロールが固定スク
ロールに対して自転することなく公転のみを行うこと
で、両ラップ間に形成される圧縮室を収縮させて冷媒を
圧縮するように構成されている。
ロール(OS)には、冷媒を圧縮することにより、軸方向力
であるスラスト荷重PSと横方向力であるラジアル荷重
PTとが作用する。このため、軸方向力PSに対抗する
力で可動スクロール(OS)を固定スクロール(FS)に押し付
ける構造で、押し付け力が小さく、可動スクロール(OS)
に作用する力の合力のベクトルがスラスト軸受の外周の
外側を通る場合、いわゆる転覆モーメントMの作用で可
動スクロール(OS)が図15に示すように傾斜(転覆)
し、冷媒が漏れて効率が低下することになる。これに対
して、図14に示しているように可動スクロール(OS)の
背面(下面)に高圧の冷媒圧力PAを作用させる高圧部
(P) を設けて可動スクロール(OS)を固定スクロール(FS)
に上記軸方向力PSに対抗する力で押し付ける構成にお
いて、押し付け力を大きく(可動スクロール(OS)に作用
する力の合力のベクトルがスラスト軸受の外周より内側
を通る)すると、可動スクロール(OS)の転覆を防止する
ことが可能となる。
縮機では、容積比が一定であるため、図16に示すよう
に、運転条件が変化することで高圧圧力や低圧圧力が変
動して圧縮比が変わっても、軸方向力PSや横方向力P
Tは大幅に変化しないのに対して、上述した可動スクロ
ール(OS)の背面の冷媒圧力(図では背圧と表している)
による押し付け力は、圧縮比の変化に伴って大幅に変化
する。
作用させる上記高圧部(P) の面積を、図17(a)に示
しているように高圧縮比の条件で可動スクロール(OS)が
転覆しないように設定すると、低圧縮比の条件では例え
ば高圧圧力が下がるために押し付け力が不足することと
なり、可動スクロール(OS)が転覆しやすくなってしま
う。
部(P) の面積を設定すると、図17(b)に示すよう
に、固定スクロール(FS)に対する可動スクロール(OS)の
押し付け力が、軸方向力PSと横方向力PTから決まっ
てくる最低限必要な押し付け力に対して、例えば高圧圧
力が上昇して高圧縮比になったときには過剰となる。そ
の結果、可動スクロール(OS)に対して図14の上向きに
大きなスラスト力が作用し、機械損失が増大して効率が
低下することとなる。
圧圧力と同時に変動する)を考えた場合でもほぼ同様で
ある。したがって、一般的に言って、冷媒圧力などを利
用して固定スクロール(FS)に可動スクロール(OS)を押し
付けるタイプのスクロール圧縮機では、各機械毎にほぼ
特定の圧縮比を基準として低圧縮比側で転覆が生じやす
く、高圧縮比側では押し付け力が過剰になりやすい傾向
にあった。
されたものであり、その目的とするところは、固定スク
ロールに対する可動スクロールの押し付け力を制御する
ことによって、効率の低下を防止できるようにすること
である。
ル(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を圧縮
比の変動に応じて変化させて、該押し付け力を運転条件
に応じて調整できるようにしたものである。
ーシング(10)内に固定された固定スクロール(21)と、該
固定スクロール(21)に噛合する可動スクロール(22)と、
可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付ける
押し付け手段(40)とを備えたスクロール型圧縮機を前提
としている。そして、固定スクロール(21)に対する可動
スクロール(22)の押し付け力を圧縮比の変動に応じて調
整するように押し付け手段(40)を構成することによっ
て、押し付け力を高圧縮比の時に抑制しながら、低圧縮
比の時にはその抑制を緩和できるようにして、運転条件
に応じた調整を可能としたものである。なお、圧縮比の
変動に応じた押し付け力の調整の仕方として、例えば高
低差圧や高圧圧力(吐出圧力)などを利用することがで
きる。
(40)を、可動スクロール(22)の背面側に作用する高圧空
間(S2)を備えた構成にするとともに、圧縮比が所定値を
越えたとき(つまり、可動スクロール(22)が固定スクロ
ール(21)に充分な力で押し付けられる状態となったと
き)に、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(2
2)の押し付け力を抑制するように構成することができ
る。なお、この場合、「圧縮比が所定値を越える」とい
う作動条件は、高低差圧などが予め設定した所定値に達
したかどうかなどの近似的な条件を利用することができ
る(この点については以下の各構成においても同様)。
0)は、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との接
触面の間に形成された油溝(43)と、圧縮比が所定値を越
えたときに該油溝(43)に高圧油を導入する高圧油導入手
段(46)とを備えた構成とすることができる。
を高圧油が供給される高圧油作動空間とし、高圧油導入
手段(46)を、圧縮比が所定値を越えたときに該高圧油作
動空間(S2)の高圧油を油溝(43)に案内するように構成す
ることが好ましい。
(46)は、高圧油作動空間(S2)から油溝(43)に連通する高
圧油導入通路(44)と、該高圧油導入通路(44)を開閉する
高圧油導入弁(45)とを備えた構成とすることが好まし
い。
(45)は、高圧油導入通路(44)を、圧縮比が所定値を越え
たときに開通する一方、圧縮比が所定値以下の時に閉塞
するように構成することが好ましい。
(45)は、高圧油導入通路(44)の経路内を横切って配置さ
れたシリンダ(47)と、該シリンダ(47)内に往復動作可能
に設けられたピストン状の弁本体(48)とを備えた構成と
し、弁本体(48)を、圧縮比が所定値を越えたときに高圧
油導入通路(44)を開通させる開通位置へ移動させる一
方、圧縮比が所定値以下の時に高圧油導入通路(44)を遮
断する閉塞位置へ移動させるように構成することができ
る。
5)のシリンダ(47)は、一端側がケーシング(10)内に設け
られた低圧空間(S1)に連通する一方、他端側が高圧空間
(S3)に連通する構成とし、弁本体(48)をシリンダ(47)内
で閉塞位置に付勢する付勢手段(50)を設けて、該付勢手
段(50)を、圧縮比が所定値以下の状態では弁本体(48)を
閉塞位置に保持する一方、圧縮比が所定値を越えると開
通位置への弁本体(48)の移動を許容するように、その付
勢力を、低圧空間(S1)と高圧空間(S3)の所定の差圧に応
じて設定することができる。
は、閉塞位置で該高圧油導入通路(44)を遮断する一方、
開通位置で高圧油導入通路(44)を開通させる連通路(48
a) を備えた構成とすることができる。
8a) は、該弁本体(48)の外周面に形成された周溝により
構成することが好ましい。
0)内に、低圧空間(S1)と高圧空間(S3)とを区画するフレ
ーム(23)を可動スクロール(22)の下方に配置して、フレ
ーム(23)と可動スクロール(22)との間を低圧空間(S1)と
高圧油作動空間(S2)とに区画するシール部材(42)を設け
る一方、該フレーム(23)に、高圧油導入通路(44)と高圧
油導入弁(45)とを設けた構成とすることができる。
ング(10)内に固定された固定スクロール(21)と、該固定
スクロール(21)に噛合する可動スクロール(22)と、可動
スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付ける押し
付け手段(40)とを備えた構成を前提とする上述のスクロ
ール型圧縮機において、押し付け手段(40)を、可動スク
ロール(22)の背面側に作用する高圧空間(S2)を備えた構
成にするとともに、該高圧空間(S2)による固定スクロー
ル(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を、圧
縮比の変動に連動して常時抑制するように構成すること
もできる。具体的には、高圧縮比の時には押し付け力を
強く抑制し、低圧縮比の時には弱く抑制するように構成
すればよい。
固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との接触面の
間に形成された油溝(43)と、ケーシング(10)内の高圧油
を該油溝(43)に常時導入する高圧油導入通路(44)とを備
えた構成とすることができる。
を高圧油が供給される高圧油作動空間とし、高圧油導入
通路(44)を、高圧油作動空間(S2)から油溝(43)に連通し
て該高圧油作動空間(S2)の高圧油を常時油溝(43)に案内
するように構成することができる。
0)内に、低圧空間(S1)と高圧空間(S3)とを区画するフレ
ーム(23)を可動スクロール(22)の下方に配置して、フレ
ーム(23)と可動スクロール(22)との間を低圧空間(S1)と
高圧油作動空間(S2)とに区画するシール部材(42)を備え
る一方、該フレーム(23)に、高圧油導入通路(44)を設け
た構成とすることができる。
入通路(44)に絞り部(44b) を設けることが好ましい。
通路(44)の少なくとも一部に設けられた細径部により構
成したり、高圧油導入通路(44)の少なくとも一部に設け
られたキャピラリチューブ(44e) により構成したり、高
圧油導入通路(44)の少なくとも一部に該高圧油導入通路
(44)よりも細径の棒状部材(44f) を該高圧油導入通路(4
4)との間に隙間を形成するように配置して構成したりす
ることが可能である。
クロール(22)の押し付け力が、圧縮比の変動に応じて調
整されるので、該押し付け力を運転条件に応じて変化さ
せることができる。
的には、高低差圧が所定値を越えたときなど)に、可動
スクロールの押し付け力を抑制する構成において、圧縮
比が所定値以下の状態で適度な押し付け力が得られるよ
うにしておくと、圧縮比(または高低差圧など:以下同
様)が所定値に達するまでは可動スクロール(22)に作用
するガス圧縮によるスラスト荷重に高圧空間(S2)の押し
付け力で抗することによって、可動スクロール(22)の転
覆が阻止される。そして、圧縮比が所定値を越えたとき
には固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の
押し付け力を抑制することにより、その押し付け力が過
剰になって機械損失が大きくなることを抑制できる。
ル(22)との接触面の間に油溝(43)を設け、圧縮比が所定
値を越えたときに該油溝(43)に高圧油を導入するように
構成すると、この高圧油によって固定スクロール(21)か
ら可動スクロール(22)を引き離す方向への力が作用し
て、可動スクロール(22)の押し付け力が抑制される。
し、圧縮比が所定値を越えたときに該高圧油作動空間(S
2)の高圧油を油溝(43)に案内するように構成すると、低
圧縮比の時には高圧油の圧力で可動スクロール(22)を固
定スクロール(21)に押し付けて可動スクロール(22)の転
覆を阻止しながら、圧縮比が所定値を越えるとその高圧
油の圧力を利用して固定スクロール(21)から可動スクロ
ール(22)を引き離す方向の力を生じさせ、過剰な押し付
けを抑制できる。
して、高圧油導入通路(44)と、高圧油導入通路(44)を開
閉する高圧油導入弁(45)とを用いると、高圧油導入弁(4
5)を、圧縮比が所定値を越えたときに高圧油導入通路(4
4)を開通する一方、圧縮比が所定値以下の時に閉塞する
ことで、低圧縮比での可動スクロール(22)の転覆と、高
圧縮比での過剰な押し付けとを防止できる。
路(44)の経路内を横切って配置されたシリンダ(47)と、
該シリンダ(47)内に往復動作可能に設けられた弁本体(4
8)とを備えた構成にすると、圧縮比が所定値を越えたと
きに弁本体(48)を開通位置へ移動させて高圧油導入通路
(44)を開通させることで、高圧縮比での可動スクロール
の過剰な押し付けを防止できる一方、圧縮比が所定値以
下の時に弁本体(48)を閉塞位置へ移動させて高圧油導入
通路(44)を遮断することで、低圧縮比での可動スクロー
ル(22)の転覆を防止できる。
を、一端側がケーシング(10)内の低圧空間(S1)に連通
し、他端側が高圧空間(S3)に連通する構成とし、弁本体
(48)をシリンダ(47)内で閉塞位置に付勢するようにする
と、圧縮比が所定値以下の状態で低圧空間(S1)と高圧空
間(S3)との差圧が小さいときには、その付勢力で弁本体
(48)を閉塞位置に保持し、可動スクロール(22)の転覆を
防止できる。一方、圧縮比が所定値を越えて差圧が設定
値よりも大きくなると、その差圧により弁本体(48)を付
勢力に抗して開通位置に移動させ、可動スクロール(22)
の過剰な押し付けを防止できる。
どの連通路(48a) を形成して、閉塞位置で該高圧油導入
通路(44)を遮断する一方、開通位置ではこの連通路(48
a) によって高圧油導入通路(44)を開通させる構成にす
ると、弁本体(48)を開通位置にしたときに連通路(48a)
によって高圧油導入通路(44)が開通して高圧油を固定ス
クロール(21)と可動スクロール(22)との間の油溝(43)に
作用させ、可動スクロール(22)の過剰な押し付けを防止
できる。
縮機で可動スクロールの押し付け力を圧縮比の変動に連
動して常に抑制する構成においては、例えば、上述のよ
うに固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との接触
面の間に形成された油溝(43)にケーシング(10)内の高圧
油を常時導入する高圧油導入通路(44)を設けると、固定
スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け
力は、高圧油が油溝(43)に常に作用することで調整され
る。
が大きくなった場合には、圧縮比が小さい場合と比べて
圧力の高い油が油溝(43)に作用する一方で、高圧圧力の
低下などにより圧縮比が小さくなった場合には、圧縮比
が大きい場合と比べて圧力の低い油が油溝(43)に作用す
る。このため、固定スクロール(21)に対する可動スクロ
ール(22)の押し付け力が、圧縮比の変動に応じて変化す
る高圧圧力(吐出圧力)を利用して常に調整されること
になる。したがって、高圧縮比の時は押し付け力が充分
に抑制されるのに対して、低圧縮比の時はその抑制が緩
和される。このことは、低圧圧力の変動を含めて考えた
場合でもほぼ同様である。このように、固定スクロール
(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が圧縮比
(圧力状態)の変動に応じて調整されて、運転条件に応
じて変化することとなる。
返し力(可動スクロール(22)を固定スクロール(21)から
離す方向への力)が得られるように設定しておくと、高
圧縮比となった場合に、高圧空間(S2)や油溝(43)の面積
などの設定条件によっては押し返し力が若干不足するこ
とも考えられるが、押し返す作用自体は必ず生じるの
で、高圧油導入通路(44)を設けない場合と比較すれば、
固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の実際
の押し付け力は確実に抑制できる。
返し力が得られるように設定すると、低圧縮比となった
場合には、条件次第では可動スクロール(22)の押し返し
力が必要以上に大きくなることが考えられる。しかし、
その場合に可動スクロール(22)が仮に転覆したとして
も、細径部(44b) やキャピラリチューブ(44e) や棒状部
材(44f) などにより隙間を寸法管理した絞り部(44b) を
設けておくと、高圧油導入通路(44)を油が流れる際にそ
の油に対する減圧作用が生じ、油溝(43)から可動スクロ
ール(22)に作用する押し返し力が弱められる。その結
果、可動スクロール(22)は転覆してもすぐに元の転覆し
ていない状態に復帰することになる。
b) を設けておくと、可動スクロール(22)の転覆時に油
溝(43)への油の流入を抑えられるので、油の漏れを抑え
られる。その結果、両スクロール(21,22) 間の圧縮室(2
4)への油の流入に伴う油面の低下、さらには油切れとい
った現象の発生が抑えられる。
ール(22)の転覆による油漏れや運転効率の低下はほとん
ど問題にならない程度に抑えられ、圧縮室(24)からの冷
媒の漏れも最小限に抑えられる。
きに固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の
押し付け力を抑制することを目的として、高圧油導入通
路(44)に高圧油導入弁(45)だけを設けて該高圧油導入弁
(45)を所定の高低差圧で作動させるようにした場合に、
スクロール型圧縮機の作動領域を示す図12(縦軸を高
圧圧力とし、横軸を低圧圧力とした運転領域図)におい
て、転覆の生じ得る領域(A1)に対して若干の余裕を持
たせた領域(A2)のすべてで高圧油導入弁(45)を作動さ
せないようにすることを考えてみる。
傾きが概ね圧縮比で決まる(詳細には、回転数なども条
件となる)のに対して、高圧油導入弁(45)の動作圧力の
境界線(b)の傾きが高低差圧に基づいていることから、
境界線(a)と境界線(b)の傾きが通常は一致しないこと
になり、もともと転覆の生じない領域(B1)(実際には
(A2−A1)も含む領域)で可動スクロール(22)を押し
返さない押し付け過剰の領域(B2)が若干生じることと
なる。
入弁(45)の動作圧力((b)参照)を低下させると、押し
付け過剰の領域(B2)を少なくできる。この場合、可動
スクロール(22)の転覆領域(A2)内で可動スクロール(2
2)を押し返すことによる押し返し過剰の領域(A3)が発
生するが、この場合には絞り部(44b) を高圧油導入通路
(44)に設けておくことにより、この押し返し過剰(A3)
の領域で転覆が生じても、高圧油導入通路(44)を流れる
高圧油が絞り部(44b) で減圧されて押し返し力が低減さ
れることから転覆はすぐに回避される。
は、高圧油導入通路(44)の絞り部(44b) により油溝(43)
への油の流入を抑えられるので、油漏れを抑えられる。
したがって、圧縮室(24)への油の流入、油面の低下、さ
らには油切れといった現象の発生を抑制できる。以上の
ことから、油漏れや運転効率の低下は実用上ほとんど問
題にならない程度に抑えられる。
と、高圧油導入弁(45)の動作圧力の境界線(b)の傾きと
を、いずれも概ね圧縮比に基づいて、互いにほぼ一致す
るように設定した場合には、押し付け過剰の領域(B2)
や押し返し過剰の領域(A3)自体が発生せず、より安定
した動作を保証できる。具体的には、高圧圧力と低圧圧
力を検出して圧縮比を演算し、その圧縮比に応じて高圧
油導入弁(45)を作動させて可動スクロール(22)の押し付
け力を調整するような場合である。
固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し
付け力が、圧縮比の変動に応じて調整されて、運転条件
に応じて変化する。
同様)が所定値に達するまでは、可動スクロール(22)に
作用するガス圧縮によるスラスト荷重等に対して転覆防
止に必要な力よりも若干大きな押し付け力で抗すれば、
可動スクロール(22)の転覆を阻止できる。また、圧縮比
が所定値を越えたときには固定スクロール(21)に対する
可動スクロール(22)の押し付け力を抑制するように高圧
圧力などを利用すれば、押し付け力が過剰になって機械
損失が大きくなることを防止できる。
の時に押し付け力が不足して可動スクロール(22)が転覆
し、冷媒が漏れて効率が低下するのを防止できるととも
に、高圧縮比の時には押し付け力が過剰になって過大な
機械損失が発生するのを防止できるから、低圧縮比から
高圧縮比の全域に亘って効率の良い運転を行うことが可
能となる。
ル(22)との接触面の間に油溝(43)を設け、この油溝(43)
に高圧油を導入する構成にすると、圧縮比が所定値を越
えたときには、圧縮機(1) 内の高圧圧力を利用して該固
定スクロール(21)から可動スクロール(22)を引き離す方
向への力を作用させることとなり、圧縮機(1) 内の圧力
を有効に利用して効率低下を防止できる。
として、圧縮比が所定値を越えたときに該高圧油作動空
間(S2)の高圧油を油溝(43)に案内するように構成する
と、圧縮比が所定値を越えるまでは可動スクロール(22)
を固定スクロール(21)に押し付けるのに用いている高圧
油の圧力を、圧縮比が所定値を越えたときには固定スク
ロール(21)から可動スクロール(22)を引き離す方向の力
を生じさせるのに利用することになり、圧縮機(1) 内の
圧力をより有効に利用できる。
して、高圧油導入通路(44)と、高圧油導入通路(44)を開
閉する高圧油導入弁(45)とを用い、高圧油導入弁(45)
を、圧縮比が所定値を越えたときに高圧油導入通路(44)
を開通する一方、圧縮比が所定値以下の時に閉塞すれ
ば、低圧縮比での可動スクロールの転覆と、高圧縮比で
の過剰な押し付けとを防止できるとともに、構成が複雑
になるのを防止できる。
路(44)の経路内を横切って配置されたシリンダ(47)と、
該シリンダ(47)内に往復動作可能に設けられた弁本体(4
8)とを備えた構成にし、圧縮比に応じて弁本体(48)を開
通位置または閉塞位置へ移動させるようにすると、高圧
縮比での可動スクロール(22)の過剰な押し付けを防止
し、低圧縮比での可動スクロール(22)の転覆を防止する
ために高圧油導入通路(44)を開閉させる構成を具体的か
つ簡単に実現できる。
ング(10)内の低圧空間(S1)に連通し、他端側が高圧空間
(S3)に連通する構成とし、さらに弁本体(48)をシリンダ
(47)内で閉塞位置に付勢するようにすると、簡単な構成
でありながら、その付勢力と、高圧油導入弁(45)が作動
する差圧を適切な値に設定することにより、圧縮比の変
動に対応した弁本体(48)の動きを確実に行うことが可能
となる。
どの連通路(48a) を形成し、この連通路(48a) を利用し
て高圧油導入通路(44)を開閉するようにすると、構成を
より簡素化することが可能となる。
と高圧空間(S3)とを区画するフレーム(23)を可動スクロ
ール(22)の下方に配置して、フレーム(23)と可動スクロ
ール(22)との間を低圧空間(S1)と高圧油作動空間(S2)と
に区画するシール部材(42)を設ける一方、該フレーム(2
3)に、高圧油導入通路(44)と高圧油導入弁(45)とを設け
た構成とすると、高圧油導入弁(45)を圧縮比の変動に応
じて高低差圧で作動させる構成を容易に実現できる。
ロールの押し付け力を圧縮比の変動に連動して常に抑制
するように構成した場合、例えば、上述のように固定ス
クロール(21)と可動スクロール(22)との接触面の間に形
成された油溝(43)にケーシング(10)内の高圧油を常時導
入する高圧油導入通路(44)を設ける構成とすると、固定
スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け
力を、高圧縮比の時に抑制する一方で、低圧縮比の時に
は抑制を緩和できる。このように、固定スクロール(21)
に対する可動スクロール(22)の押し付け力が運転条件の
変化に伴う圧縮比の変動に応じて調整されることになる
ので、従来よりも低圧縮比から高圧縮比まで全域に亘っ
て効率よく運転できる。
不足したとしても、押し返す作用自体は必ず生じるの
で、高圧縮比側では固定スクロール(21)に対する可動ス
クロール(22)の押し付け力を従来よりも確実に弱めて、
高効率化を図ることができる。
が転覆したとしても、高圧油導入通路(44)に絞り部(44
b) を設ける構成とすれば、転覆は高圧油が減圧されて
押し付け力の抑制が緩和されることですぐに回復する
し、油や冷媒の漏れも抑えられるので、実用上、性能の
低下が問題となることはほとんどなく、動作を安定させ
ることが可能となる。
する絞り部(44b) の両方を高圧油導入通路(44)に設ける
と、押し返し過剰の領域(A3)で転覆が発生しても、圧
縮室(24)への油の流入、油面の低下、さらには油切れを
防止でき、転覆時には、高圧油導入通路(44)を流れる高
圧油が絞り部(44b) で減圧されて油溝(43)に導入される
ので、押し返し力が低減されて転覆もすぐに回復する。
また、押し付け過剰の領域(B2)を小さくできることか
ら、低圧縮比から高圧縮比まで全域に亘ってより安定し
た運転を行うことが可能となる。
いて、その作動に高低差圧を利用する場合、圧縮比の変
動と完全に一致した形での押し付け力の調整は困難であ
るが、その作動圧力の設定等の条件次第では、ほぼ圧縮
比の変動に沿って制御することは可能である。
力の変動に伴う圧縮比の変動について述べているが、低
圧圧力の変動を含めて考えた場合でもほぼ同様の作用効
果を奏することができる。
面に基づいて詳細に説明する。
(1) は、例えば空気調和装置等の蒸気圧縮式の冷凍サイ
クルを行う冷媒回路において、蒸発器から吸入した低圧
の冷媒を圧縮して凝縮器へ吐出するのに用いられる。こ
のスクロール型圧縮機(1) は、図1に示すように、ケー
シング(10)の内部に、圧縮機構(20)と、該圧縮機構(20)
を駆動する駆動機構(30)とを備えている。そして、圧縮
機構(20)がケーシング(10)内の上部に、駆動機構(30)が
ケーシング(10)内の下部に配設されている。
部(11)と、該胴部(11)の上下両端に固定された皿型の鏡
板(12,13) とから構成されている。上側の鏡板(12)は、
胴部(11)の上端に固定された後述するフレーム(23)に固
定され、下側の鏡板(13)は、胴部(11)の下端部に嵌合し
た状態で固定されている。
1)に固定されたステータ(31)と、該ステータ(31)の内側
に配置されたロータ(32)とからなるモータ(33)と、該モ
ータ(33)のロータ(32)に固定された駆動軸(34)とから構
成されている。この駆動軸(34)は、上端部が上記圧縮機
構(20)に連結されている。また、駆動軸(34)の下端部
は、ケーシング(10)の胴部(11)の下端部に固定された軸
受(35)に回転可能に支持されている。
と可動スクロール(22)とフレーム(23)とを備えている。
フレーム(23)は、上述したようにケーシング(10)の胴部
(11)に固定されている。そして、該フレーム(23)は、ケ
ーシング(10)の内部空間を上下に区画している。
と、該鏡板(21a) の下面に形成された渦巻き状(インボ
リュート状)のラップ(21b) とから構成されている。こ
の固定スクロール(21)の鏡板(21a) は、上記フレーム(2
3)に固定され、該フレーム(23)と一体化している。上記
可動スクロール(22)は、鏡板(22a) と、該鏡板(22a) の
上面に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラッ
プ(22b) とから構成されている。
スクロール(22)のラップ(22b) とは、互いに噛合してい
る。そして、固定スクロール(21)の鏡板(21a) と可動ス
クロール(22)の鏡板(22a) との間には、両ラップ(21b,2
2b) の接触部の間が圧縮室(24)として構成されている。
この圧縮室(24)は、可動スクロール(22)の公転に伴い、
両ラップ(21b,22b) 間の容積が中心に向かって収縮する
ことで、冷媒を圧縮するように構成されている。
は、上記圧縮室(24)の周縁部に低圧冷媒の吸込口(21c)
が形成され、圧縮室(24)の中央部に高圧冷媒の吐出口(2
1d) が形成されている。冷媒の吸込口(21c) には、上記
ケーシング(10)の上側の鏡板(12)に固定された吸入配管
(14)が固定され、該吸入配管(14)は、図示しない冷媒回
路の蒸発器と接続されている。一方、固定スクロール(2
1)の鏡板(21a) と上記フレーム(23)とには、高圧冷媒を
フレーム(23)の下方へ案内する流通路(25)が上下方向に
貫通して形成されている。そして、ケーシング(10)の胴
部(11)の中央部分には、高圧冷媒を吐出する吐出配管(1
5)が固定され、該吐出配管(15)は、図示しない冷媒回路
の凝縮器と接続されている。
面には、スクロール軸(22c) が突出形成されている。こ
のスクロール軸(22c) は、上記駆動軸(34)の上端部に設
けられた大径部(34a) の連結孔(34b) に挿入されてい
る。連結孔(34b) は、可動スクロール(22)を固定スクロ
ール(21)に対して公転させるように、駆動軸(34)の回転
中心から偏心した位置に形成されている。また、上記可
動スクロール(22)の鏡板(22a) とフレーム(23)との間に
は、該可動スクロール(22)が固定スクロール(21)に対し
て公転のみ行うようにオルダム機構などの自転阻止部材
(図示せず)が設けられている。
遠心ポンプと、給油路とが設けられている。遠心ポンプ
は駆動軸(34)の下端部に設けられ、ケーシング(10)内の
下部に貯留する図示しない潤滑油を該駆動軸(34)の回転
に伴って汲み上げるように構成されている。そして、給
油路は、駆動軸(34)内を上下方向に延びるとともに、遠
心ポンプが汲み上げた潤滑油を各摺動部分へ供給するよ
うに、各部に設けられた給油口と連通している。
用して可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し
付けるとともに、その押し付け力を、空気調和装置の運
転条件の変化(高圧の上昇など)に伴う圧縮比の変動に
合わせて制御するようにしている。そこで、以下に、押
し付け手段(40)の具体的な構成について説明する。
上記可動スクロール(22)の動作範囲よりも幾分大きな第
1凹部(23a) が形成されている。また、フレーム(23)の
下面側の中央には、上記駆動軸(34)の大径部(34a) より
も若干大径に形成された貫通孔(23b) が形成され、第1
凹部(23a) と貫通孔(23b) との間には、貫通孔(23b)よ
りも若干径の大きな第2凹部(23c) が形成されている。
第2凹部(23c) には、スプリング(41)によって可動スク
ロール(22)の鏡板(22a) の背面(下面)に圧接するシー
ル部材(42)が設けられている。
材(42)の外径側の第1空間(S1)と内径側の第2空間(S2)
とが区画されている。第2空間(S2)には、図示しない上
記遠心ポンプによって、高圧の潤滑油が供給される。し
たがって、この第2空間(S2)が、可動スクロール(22)の
鏡板(22a) の背面(下面)に該潤滑油の高圧を作用させ
る高圧空間(高圧油作動空間)を構成する一方、第1空
間(S1)は、低圧空間を構成している。
おいて、圧縮比が所定値以上であるときに固定スクロー
ル(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を抑制
する構成について図2から図5を参照して説明する。
示すように、該固定スクロール(21)の鏡板(21a) の下面
には、ラップ(21b) の外周側に環状の油溝(43)が形成さ
れている。この油溝(43)は、可動スクロール(22)の鏡板
(22a) の上面と接触する面に、高圧圧力を作用させる空
間として形成されている。なお、図には示していない
が、油溝(43)は完全な環状ではなく、一部が僅かに途切
れた形状で、その途切れた部分において鏡板(21a) の下
面には、径方向へのびる微細な溝が設けられている。そ
して、この微細な溝により第1空間(S1)を圧縮室(24)の
吸込み側と連通させて、該第1空間(S1)を低圧に保持す
るようにしている。なお、この油溝(43)などの具体的な
形状はスクロール型圧縮機(1) の具体的な構造に応じて
適宜設定されるものであり、場合によっては上記の微細
な溝を設けない構成とすることも可能である。
ル(21)とフレーム(23)とには、第2空間(S2)内の高圧油
を上記油溝(43)に導入する高圧油導入通路(44)が形成さ
れている。この高圧油導入通路(44)は、フレーム(23)の
第2凹部(23c) から径方向外方へ延びる第1通路(44a)
と、第1通路(44a) と連通してフレーム(23)から固定ス
クロール(21)に亘って上下方向に延びるように形成され
た第2通路(44b) と、固定スクロール(21)内で第2通路
(44b) から油溝(43)に通じるように形成された第3通路
(44c) とから構成されている。なお、第1通路(44a)
は、フレーム(23)を外周面から中心に向かって穿孔する
ことによって形成されているため、外側端部がプラグ(4
4d) によって封じられている。
(44)を開閉する高圧油導入弁(45)が設けられている。そ
して、高圧油導入通路(44)と高圧油導入弁(45)とによ
り、圧縮比が所定値よりも高いときに高圧油作動空間で
ある第2空間(S2)内の高圧油を油溝(43)に導入する高圧
油導入手段(46)が構成されている。なお、圧縮比が所定
値よりも高いときは、概ねケーシング内の高圧空間(S3)
と低圧空間(S1)との差圧が大きい高差圧状態になってお
り、圧縮比が所定値以下の時は概ね低差圧状態になって
いる。
を、上記高差圧時には開通させる一方、低差圧時には閉
塞することにより、圧縮比が所定値を越えたときに高圧
油を油溝(43)に導入するように構成されている。つま
り、圧縮比の変動に応じて高圧油導入弁(45)が作動する
ように、その作動圧力(高低差圧:この場合は高圧空間
(S3)と低圧空間(S1)との差圧)が所定値に設定されてい
る。
図である図3及び図4に示すように、高圧油導入通路(4
4)を横切るようにフレーム(23)に形成されたシリンダ(4
7)と、該シリンダ(47)内に往復動作可能に設けられたピ
ストン状の弁本体(48)とを備えている。
1)に連通する一方、下端側はフレーム(23)の下方の高圧
空間(S3)に連通している。このシリンダ(47)は、上側部
分(47a) が大径に形成されて上記弁本体(48)が挿入され
ている。シリンダ(47)の上端部には、中心に貫通孔(49
a) が形成されたプラグ(49)が固定され、このプラグ(4
9)と弁本体(48)との間に、該弁本体(48)を下方へ付勢す
る付勢手段としてスプリング(50)が設けられている。
圧に達して高低差圧が設定値を超えると、可動範囲の上
限位置である開通位置(図3参照)へ移動して高圧油導
入通路(44)を開通させる一方、所定圧以下で高低差圧が
設定値に達しない場合は、可動範囲の下限位置である閉
塞位置(図4参照)へ移動して高圧油導入通路(44)を閉
塞する。逆に言うと、弁本体(48)を閉塞位置に付勢する
スプリング(50)の付勢力を、弁本体(48)が低圧空間(S1)
と高圧空間(S3)との差圧に応じてこのような動作を行う
ように設定している。このことにより、高圧油導入弁(4
5)が、圧縮比の変動にほぼ対応して切り換えられるよう
になっている。
開通位置で高圧油導入通路(44)を開通させる一方、図4
に示した低差圧時の閉塞位置では該高圧油導入通路(44)
を閉塞する連通路(48a) が形成されている。この弁本体
の連通路(48a) は、図5に示すように、具体的には弁本
体(48)の外周面に形成された周溝により構成されてい
る。
説明する。
(31)に対してロータ(32)が回転し、それによって駆動軸
(34)が回転する。駆動軸(34)が回転すると、大径部(34
a) の連結孔(34b) が駆動軸(34)の回転中心の周りを公
転し、それに伴って可動スクロール(22)が固定スクロー
ル(21)に対して自転せずに公転のみ行う。このことによ
り、吸入配管(14)から圧縮室(24)の周縁部に低圧の冷媒
が吸引され、該冷媒が圧縮室(24)の容積変化に伴って圧
縮され、高圧になって該圧縮室(24)の中央部の吐出口(2
1d) から固定スクロール(21)の上方へ向かって吐出され
る。
ム(23)とを貫通するように形成された流通路(25)を通っ
てフレーム(23)の下方へ流入し、ケーシング(10)内に高
圧の冷媒が充満するとともに、該冷媒が吐出配管(15)か
ら吐出される。そして、この冷媒は、冷媒回路において
凝縮、膨張、蒸発の各行程を行った後、再度吸入配管(1
4)から吸入されて圧縮される。
された潤滑油も高圧になっており、この潤滑油は、図示
しない遠心ポンプによって、駆動軸(34)内の給油路を通
って第2空間(S2)内に給油される。したがって、可動ス
クロール(22)が、背面(下面)側から固定スクロール(2
1)に押し付けられるため、可動スクロール(22)が傾く
(転覆する)のが防止される。なお、可動スクロール(2
2)に高圧油が作動する面積は、圧縮比が比較的小さな運
転条件で該可動スクロール(22)が転覆しないように定め
られている。
が上昇し、圧縮比が大きくなってくると、固定スクロー
ル(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が大き
くなっていくとともに、高圧空間(S3)と低圧空間(S1)と
の差圧が徐々に大きくなる。そして、この差圧が、可動
スクロール(22)の転覆の生じる圧縮比に基づいて予め定
められた所定の値に達すると、低圧空間(S1)の圧力とス
プリング(49)の付勢力とから得られる力よりも高圧空間
(S3)の高圧圧力による力が大きくなり、高圧油導入弁(4
5)の弁本体(48)が図3に示すようにシリンダ(47)内を上
昇して開通位置に変位する。
塞されていた高圧油導入通路(44)が、弁本体(48)の外周
面に形成された周溝(48a) によって開通して、第2空間
(S2)内の高圧油が油溝(43)の中に導入される。このた
め、図6に示すように可動スクロール(22)を固定スクロ
ール(21)から引き離す方向への力PRが作用し、図7に
示すように弁作動時に押し付け力が一旦弱められて、押
し付け力は、最低限必要な値まで低下する。その後の運
転条件(圧縮比の変動)で差圧がさらに大きくなってい
くと、押し付け力は徐々に大きくなって行くが、このと
きには高圧油の圧力も徐々に高まるため、その上昇の傾
斜は弁(45)の作動前よりも緩やかになり、過度の押し付
け力が発生することは防止される。なお、この上昇の傾
斜は、油溝(43)の面積などを適宜設定することで調整可
能である。
高圧圧力が低下して圧縮比が小さくなる方向に変化し、
差圧が小さくなって行くと、油溝(43)の油の圧力も弱ま
って行く。そして、差圧が所定値以下になると高圧油導
入弁(45)の弁本体(48)が閉塞位置に変位して、油溝(43)
への高圧油の供給が停止する。このため、圧縮比が所定
値よりも小さいときには図6の力PRが作用せず、固定
スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け
力が不足するのを防止できる。
の状態で可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に適
度な押し付け力で押し付けて、該可動スクロール(22)の
転覆を防止する一方、高圧縮比になると低圧空間(S1)と
高圧空間(S3)との差圧の変化を利用して高圧油導入弁(4
5)を開き、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)と
の間の油溝(43)に高圧油を導入して押し付け力が過剰に
なるのを防止している。
の不足による可動スクロール(22)の転覆は生じないの
で、冷媒が漏れて効率が低下するのを防止でき、高圧縮
比時には、押し付け力が過剰になって機械損失が発生す
るのを防止できる。このことから、低圧縮比から高圧縮
比の全域に亘って効率の良い運転を行うことが可能とな
る。
て可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付
け、該可動スクロール(22)の転覆を防止する一方、高低
差圧を利用することにより圧縮比の変動に応じて第2空
間(S2)内の高圧油を油溝(43)に導入して押し付け力を抑
制しているので、圧縮機(1) 内の圧力を有効に利用しな
がら機械損失を防止できる。
4)を、ケーシング(10)内の低圧空間(S1)と高圧空間(S3)
との差圧で作動する高圧油導入弁(45)で開閉するように
しているので、高圧油導入弁(45)をピストン式の簡単な
構成とすることができ、機構全体としての構成が複雑に
なるのを防止できる。
一致する形では変化しないが、近似的には圧縮比の変動
に連動すると言えるので、本実施形態1によれば、ほぼ
圧縮比の変動に沿って可動スクロール(22)の押し付け力
を調整できる。また、以上の説明では低圧圧力の変化に
ついては殆ど言及していないが、低圧圧力の変化を含め
て考えた場合でも、ほぼ同様の作用効果を奏することが
できる。
実施形態2について説明する。
は、高圧油導入通路(44)の構成を実施形態1とは変更し
たもので、他の部分は実施形態1と同様に構成されてい
る。そして、図8は、高圧油導入通路(44)と、その周辺
部分の構成のみを拡大して示している。
通路(44)は、実施形態1と同様、固定スクロール(21)の
鏡板(21a) の下面に形成された環状の油溝(43)に、第2
空間(S2)内の高圧油を導入するように、固定スクロール
(21)とフレーム(23)とに亘って形成されている。そし
て、実施形態1では設けていた高圧油導入弁(45)は設け
ていない。
2凹部(23c) から径方向外方へ延びる第1通路(44a)
と、第1通路(44a) と連通してフレーム(23)から固定ス
クロール(21)に亘って上下方向に延びるように形成され
た第2通路(44b) と、固定スクロール(21)内で第2通路
(44b) から油溝(43)に通じるように形成された第3通路
(44c) とから構成されている。第1通路(44a) は、実施
形態1と同様に外側端部がプラグ(44d) によって封じら
れている。
路(44)は、第2通路(44b) が実施形態1よりも直径の細
い細径部に構成され、該第2通路(44b) によって、例え
ば直径が約0.5mm 程度の絞り部が構成されている。な
お、本実施形態2では、第2通路(44b) の全体を絞り部
としているが、該絞り部は、第1通路(44a) 、第2通路
(44b) 、及び第3通路(44c) を含め、高圧油導入通路(4
4)の少なくとも一部に設ければよい。
クロール(21)と可動スクロール(22)との間の油溝(43)
に、ケーシング(10)内の高圧油を高圧油導入通路(44)か
ら第2通路(44b) を介して常時供給するようにしてい
る。そして、以上の構成により、本実施形態2の押し付
け手段(40)においても、固定スクロール(21)に対する可
動スクロール(22)の押し付け力が圧縮比の変動に応じて
調整されるようになっている。
圧縮比状態の時には固定スクロール(21)に対する可動ス
クロール(22)の押し付け力(PA:図6参照)が弱くな
るのに対して押し返し力(PR:図6参照)も弱くな
り、逆に高圧圧力が上昇した高圧縮比状態の時にはその
押し付け力(PA)が強くなるのに対して押し返し力
(PR)も強くなることで、その押し付け力と押し返し
力の差(つまり、実際の押し付け力)が変動する。な
お、実際には、低圧圧力も同時に変動するのが普通であ
るが、その場合でもほぼ同様の作用と考えてよい。
(吐出圧力)を常に油溝(43)に作用させて、固定スクロ
ール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を圧
縮比の変動に応じて調整している。
くて圧縮比が比較的大きい場合には、低圧縮比のとき
(例えば高圧圧力が低いとき)と比較して高圧の油が油
溝(43)に作用し、逆に圧縮比が小さい場合には、高圧縮
比の時と比較して低圧の油が油溝(43)に作用する。この
ため、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)
の押し付け力が運転条件の変化に伴う圧縮比の変動に応
じて調整されることになり、高圧縮比の時は押し付け力
(PA)が充分に抑制されるのに対して、低圧縮比の時
は押し付け力(PA)の抑制が緩和されることになる。
態で可動スクロール(22)が転覆しないように、例えば第
2空間(S2)における高圧油の作用する面積や、油溝(43)
における高圧油の作用する面積などを設定しておけば、
高圧縮比の状態で、可動スクロール(22)が固定スクロー
ル(21)に必要以上に強く押し付けられるのを抑えられ
る。なお、設定条件によっては、低圧縮比の条件で適度
な押し返し力(PR)が得られるようにした場合に、高
圧縮比で押し付け力(PA)に対して押し返し力(P
R)が若干不足してしまうことも考えられるが、押し返
す作用自体は必ず生じるので、固定スクロール(21)に対
する可動スクロール(22)の実際の押し付け力は従来より
も抑制されることとなり、機械損失を抑えることは可能
である。
し力(PR)が得られるように設定すると、低圧縮比時
に、場合によっては可動スクロール(22)が転覆すること
も考えられる。しかし、本実施形態2では、可動スクロ
ール(22)が仮に転覆したとしても、絞り部(44b) を設け
ているために、高圧油導入通路(44)を流れるときに油が
減圧されて押し返し力が低減されるので、可動スクロー
ル(22)自体は、転覆してもすぐに元の転覆していない状
態に復帰する。さらに、絞り部(44b) により油溝(43)へ
の油の流入を抑えられるので、油が圧縮室(24)から高圧
空間(S3)を経て機外へ急速に漏れ出てしまうことは防止
できる。以上のことから、本実施形態2において、可動
スクロール(22)の転覆による効率の低下や油漏れによる
油切れは実用上ほとんど問題にならない程度に抑えられ
る。
ロール(21)に対する可動スクロール(22)の実際の押し付
け力が運転条件の変化に伴う圧縮比の変動(高圧や低圧
の変動)に応じて常に調整されることになるので、実施
形態1と同様に、従来よりも低圧縮比から高圧縮比まで
全域に亘って効率よく運転できる。
ル(22)が転覆したとしても、絞り部(44b) で油が減圧さ
れることで転覆自体はすぐに回復するし、油漏れによる
油面低下ないし油切れも抑えられる。また、逆に高圧縮
比の場合に押し返す力が若干弱くなったとしても、押し
返す作用自体は必ず生じるので、従来よりも高効率化を
図ることができる。
造が簡単である利点もあり、ひいては故障のおそれが少
なく、信頼性が高い効果がある。
では、図8の例において第2通路(44b) 自体を細い径に
形成して絞り部としていたのに対して、第2通路(44b)
自体の直径は実施形態1とほぼ同じに形成し、第2通路
(44b) のフレーム(23)側の内部にキャピラリチューブ(4
4e) を装着することで絞り部を構成している。その他の
具体的な構成は図8と同様である。
作用効果が得られることに加え、図8の例よりも第2通
路(44b) の孔加工が容易であるために、製作が容易にな
る利点がある。
例では、図9のキャピラリチューブ(44e) の代わりに、
第2通路(44b) の直径よりも僅かに細い外径の棒状部材
(44f) を第2通路(44b) 内に装着している。そして、第
2通路(44b) の内周面と棒状部材(44f) の外周面との間
に細い管状の隙間を形成して、この筒状の隙間によって
絞り部を構成している。その他の具体的な構成は図8及
び図9と同様である。
作用効果が得られることに加え、棒状部材(44f) をキャ
ピラリチューブ(44e) よりも簡単に装着できるので、図
9の例よりもさらに製作が容易になる利点がある。
通路(44b) の上下に突出させて位置を固定するようにし
ているが、棒状部材(44f) を装着する構成は適宜変更し
てもよい。例えば、第2通路(44b) よりも若干短い棒状
部材(44f) を第2通路(44b)の中に装填するだけで固定
しない簡易な構造としてもよい。
て本発明の実施形態3について説明する。
は、押し付け手段(40)の構成を実施形態1,2とは変更
したもので、具体的には高圧油導入通路(44)に実施形態
1と同様の高圧油導入弁(45)を設けると共に、高圧油導
入通路(44)の第2通路(44b)を実施形態2と同様に細径
に形成して絞り部としている。
プリング(50)の付勢力が若干弱く設定されている。この
ため、高圧油導入弁(45)は、実施形態1と比べて作動圧
力が若干低くなっている。つまり、高圧空間(S3)と低圧
空間(S1)の差圧が若干小さい状態(実施形態1よりも低
圧縮比の状態)で、高圧油導入通路(44)が開通するよう
になっている。
と同様に構成されている。なお、実施形態3では高圧油
導入弁(45)を絞り部(44b) の上流側に設けているが、逆
に絞り部(44b) を高圧油導入弁(45)の上流側に設けても
よい。
(45)だけを設けて、該高圧油導入弁(45)が作動する高低
差圧を所定の圧縮比に基づいた値に設定し、圧縮比が所
定値を越えたときにのみ、固定スクロール(21)に対する
可動スクロール(22)の押し付け力を高圧圧力を利用して
抑制する構成としている。したがって、図12(縦軸を
高圧圧力、横軸を低圧圧力とする運転領域図)に示すス
クロール型圧縮機の作動領域内で転覆の生じ得る領域
(A2)のすべてで高圧油導入弁(45)を作動させないよう
にすると、転覆領域の境界線(a)と動作圧力の境界線
(b)の傾きが通常は完全に一致しないことから、転覆の
生じないB1の領域内で可動スクロール(22)を押し返さ
ない押し付け過剰の状態(領域(B2))が生じることが
ある。なお、境界線(a)と(b)とが異なる傾きとなるの
は、可動スクロール(22)の転覆が概ね圧縮比の変動によ
って生じるのに対し、実施形態1,3の構造において高
圧油導入弁(45)の作動が、圧縮比の代替値として高圧空
間(S3)と低圧空間(S1)の差圧を基準としているためであ
る。
うに高圧油導入弁(45)の動作圧力を低下させているの
で、押し付け過剰の領域(B2)を少なくすることができ
る。また、単に高圧油導入弁(45)の動作圧力を下げるだ
けでは、可動スクロール(22)の転覆が生じる領域(A2
ないしA1)で可動スクロール(22)を押し返すことによ
る押し返し過剰の状態(領域(A3))が発生するが、本
実施形態3では高圧油導入通路(44)に絞り部(44b) を設
けているので、転覆が発生しても油が高圧油導入通路(4
4)を流れる際に絞り部(44b) で減圧されて転覆状態から
すぐに復帰するとともに、油漏れも防止できる。
基準として設定すれば、境界線(a)と(b)の傾きをほぼ
一致させることにより、押し付け過剰の領域(B2)や押
し返し過剰の領域(A3)などが生じないようにすること
も可能である。
に加えて高圧油を減圧する絞り部(44b) を高圧油導入通
路(44)に設けているために、押し返し過剰の領域(A3)
での油漏れの発生を抑えつつ、転覆状態からの早急な復
帰が可能である。また、押し付け過剰の領域(B2)も小
さくすることができるため、低圧縮比から高圧縮比まで
全域に亘ってより安定した運転を行うことが可能とな
る。
態について、以下のような構成としてもよい。
入弁(45)をピストン式の開閉弁としているが、他の方式
の開閉弁であってもよい。また、実施形態1,3のよう
に高圧空間(S3)と低圧空間(S1)の差圧でなく、吸入配管
(14)と吐出配管(15)との差圧で作動する開閉弁を用いて
もよい。さらに、吸入配管(14)での冷媒吸入圧力(低圧
圧力)と吐出配管(15)での冷媒吐出圧力(高圧圧力)と
を検出して圧縮比を算出し、その圧縮比に応じて高圧油
導入弁(45)を作動させて可動スクロール(22)の押し付け
力を調整してもよい。そうすれば、可動スクロール(22)
の押し付け力を圧縮比の変動に合わせてより正確に調整
できる。
ときに行う押し付け力の抑制は、冷媒圧力等、高圧油以
外を利用して行ってもよく、要するに、本発明は、可動
スクロール(22)を固定スクロール(21)に高圧油などで押
し付ける構成において、実施形態1のように圧縮比(ま
たは高低差圧など)が所定値を越えたときにのみ固定ス
クロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力
が抑制されるように構成するか、実施形態2のように可
動スクロール(22)を高圧油導入通路(44)を通した高圧油
で常時押し返して押し付け力を抑制するか、実施形態3
のようにこれらの構造を組み合わせて可動スクロール(2
2)の押し付け力を圧縮比(または高低差圧など)の変動
に応じて調整するようにすればよいものである。
状に形成しているが、固定スクロール(21)と可動スクロ
ール(22)との接触面の間に高圧油が導入される空間であ
れば、具体的な形状を環状溝に限定するものではない。
また、上記各実施形態では、運転条件の変化に伴う圧縮
比の変動に応じて第2空間(S2)内の高圧油を油溝(43)に
作用させるようにしているが、ケーシング(10)内の下部
に貯留した高圧油を油溝(43)に直接供給してもよい。
入通路(44)に絞り部(44b) を設ける構成としているが、
絞り部(44b) は必ず設ける必要はない。絞り部(44b) を
設けることは、可動スクロール(22)が転覆した場合の早
期復帰や油漏れ防止などの点で非常に効果のあるもので
あるが、絞り部(44b) を設けない場合でも、高圧油作動
空間(S2)や油溝(43)の面積の設定次第では、低圧縮比の
状態で固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)
の押し付け力が不足するのを防止しながら、高圧縮比の
状態でその押し付け力が過剰になるのを防止することは
可能である。
の全体構造を示す縦断面図である。
面図である。
面図である。
である。
力の変化を示すグラフである。
の要部拡大断面図である。
ある。
である。
機の要部拡大断面図である。
いて、可動スクロールの転覆と高圧油導入弁の動作との
関係を示す第1の図である。
いて、可動スクロールの転覆と高圧油導入弁の動作との
関係を示す第2の図である。
に作用する力を示す概略断面図である。
す断面図である。
に伴う可動スクロールの押し付け力の変化を表す第1の
グラフである。
型圧縮機での圧縮比の変動に伴う可動スクロールの押し
付け力の変化を表す第2のグラフである。
Claims (19)
- 【請求項1】 ケーシング(10)内に固定された固定スク
ロール(21)と、該固定スクロール(21)に噛合する可動ス
クロール(22)と、可動スクロール(22)を固定スクロール
(21)に押し付ける押し付け手段(40)とを備えたスクロー
ル型圧縮機であって、 押し付け手段(40)は、固定スクロール(21)に対する可動
スクロール(22)の押し付け力を、圧縮比の変動に応じて
調整するように構成されているスクロール型圧縮機。 - 【請求項2】 ケーシング(10)内に固定された固定スク
ロール(21)と、該固定スクロール(21)に噛合する可動ス
クロール(22)と、可動スクロール(22)を固定スクロール
(21)に押し付ける押し付け手段(40)とを備えたスクロー
ル型圧縮機であって、 押し付け手段(40)は、可動スクロール(22)の背面側に作
用する高圧空間(S2)を備えるとともに、圧縮比が所定値
を越えたときに固定スクロール(21)に対する可動スクロ
ール(22)の押し付け力が抑制されるように構成されてい
るスクロール型圧縮機。 - 【請求項3】 押し付け手段(40)は、固定スクロール(2
1)と可動スクロール(22)との接触面の間に形成された油
溝(43)と、圧縮比が所定値を越えたときにケーシング(1
0)内の高圧油を該油溝(43)に導入する高圧油導入手段(4
6)とを備えている請求項2記載のスクロール型圧縮機。 - 【請求項4】 高圧空間(S2)は高圧油が供給される高圧
油作動空間であり、 高圧油導入手段(46)は、圧縮比が所定値を越えたときに
該高圧油作動空間(S2)の高圧油を油溝(43)に案内するよ
うに構成されている請求項3記載のスクロール型圧縮
機。 - 【請求項5】 高圧油導入手段(46)は、高圧油作動空間
(S2)から油溝(43)に連通する高圧油導入通路(44)と、該
高圧油導入通路(44)を開閉する高圧油導入弁(45)とを備
えている請求項4記載のスクロール型圧縮機。 - 【請求項6】 高圧油導入弁(45)は、高圧油導入通路(4
4)を、圧縮比が所定値を越えたときに開通する一方、圧
縮比が所定値以下の時に閉塞するように構成されている
請求項5記載のスクロール型圧縮機。 - 【請求項7】 高圧油導入弁(45)は、高圧油導入通路(4
4)の経路内を横切って配置されたシリンダ(47)と、該シ
リンダ(47)内に往復動作可能に設けられたピストン状の
弁本体(48)とを備え、 弁本体(48)は、圧縮比が所定値を越えたときに高圧油導
入通路(44)を開通させる開通位置へ移動する一方、圧縮
比が所定値以下の時に高圧油導入通路(44)を遮断する閉
塞位置へ移動するように構成されている請求項6記載の
スクロール型圧縮機。 - 【請求項8】 高圧油導入弁(45)のシリンダ(47)は、一
端側がケーシング(10)内に設けられた低圧空間(S1)に連
通する一方、他端側が高圧空間(S3)に連通し、 弁本体(48)をシリンダ(47)内で閉塞位置に付勢する付勢
手段(50)を備え、 該付勢手段(50)は、圧縮比が所定値以下の状態では弁本
体(48)を閉塞位置に保持する一方、圧縮比が所定値を越
えると開通位置への弁本体(48)の移動を許容するよう
に、その付勢力が、低圧空間(S1)と高圧空間(S3)の所定
の差圧に応じて設定されている請求項7記載のスクロー
ル型圧縮機。 - 【請求項9】 弁本体(48)は、閉塞位置で該高圧油導入
通路(44)を遮断する一方、開通位置で高圧油導入通路(4
4)を開通させる連通路(48a) を備えている請求項8記載
のスクロール型圧縮機。 - 【請求項10】 弁本体(48)の連通路(48a) は、該弁本
体(48)の外周面に形成された周溝により構成されている
請求項9記載のスクロール型圧縮機。 - 【請求項11】 ケーシング(10)内に、低圧空間(S1)と
高圧空間(S3)とを区画するフレーム(23)を備えるととも
に、該フレーム(23)は可動スクロール(22)の下方に配置
され、 フレーム(23)と可動スクロール(22)との間を低圧空間(S
1)と高圧油作動空間(S2)とに区画するシール部材(42)を
備える一方、該フレーム(23)に、高圧油導入通路(44)と
高圧油導入弁(45)とが設けられている請求項8乃至10
の何れか1記載のスクロール型圧縮機。 - 【請求項12】 ケーシング(10)内に固定された固定ス
クロール(21)と、該固定スクロール(21)に噛合する可動
スクロール(22)と、可動スクロール(22)を固定スクロー
ル(21)に押し付ける押し付け手段(40)とを備えたスクロ
ール型圧縮機であって、 押し付け手段(40)は、可動スクロール(22)の背面側に作
用する高圧空間(S2)を備えるとともに、該高圧空間(S2)
による固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)
の押し付け力が、圧縮比の変動に連動して常時抑制され
るように構成されているスクロール型圧縮機。 - 【請求項13】 押し付け手段(40)は、固定スクロール
(21)と可動スクロール(22)との接触面の間に形成された
油溝(43)と、ケーシング(10)内の高圧油を該油溝(43)に
常時導入する高圧油導入通路(44)とを備えている請求項
12記載のスクロール型圧縮機。 - 【請求項14】 高圧空間(S2)は高圧油が供給される高
圧油作動空間であり、 高圧油導入通路(44)は、高圧油作動空間(S2)から油溝(4
3)に連通して、該高圧油作動空間(S2)の高圧油を常時油
溝(43)に案内するように構成されている請求項13記載
のスクロール型圧縮機。 - 【請求項15】 ケーシング(10)内に、低圧空間(S1)と
高圧空間(S3)とを区画するフレーム(23)を備えるととも
に、該フレーム(23)は可動スクロール(22)の下方に配置
され、 フレーム(23)と可動スクロール(22)との間を低圧空間(S
1)と高圧油作動空間(S2)とに区画するシール部材(42)を
備える一方、該フレーム(23)に、高圧油導入通路(44)が
設けられている請求項14記載のスクロール型圧縮機。 - 【請求項16】 高圧油導入通路(44)は、絞り部(44b)
を備えている請求項5,6,7,8,9,10,11,
13,14または15記載のスクロール型圧縮機。 - 【請求項17】 絞り部(44b) は、高圧油導入通路(44)
の少なくとも一部に設けられた細径部により構成されて
いる請求項16記載のスクロール型圧縮機。 - 【請求項18】 絞り部(44b) は、高圧油導入通路(44)
の少なくとも一部に設けられたキャピラリチューブ(44
e) により構成されている請求項16記載のスクロール
型圧縮機。 - 【請求項19】 絞り部(44b) は、高圧油導入通路(44)
の少なくとも一部に該高圧油導入通路(44)よりも細径の
棒状部材(44f)を該高圧油導入通路(44)との間に隙間を
形成するように配置することにより構成されている請求
項16記載のスクロール型圧縮機。
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