JP2001296423A - 偏光板保護用透明フィルム及びそれを用いてなる偏光板 - Google Patents
偏光板保護用透明フィルム及びそれを用いてなる偏光板Info
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Abstract
性が小さくかつ湿熱耐久性に優れた偏光板用保護フィル
ムを提供することにある。 【解決手段】 熱可塑性樹脂からなり、吸水率1重量%
以下の1枚の透明フィルムであって、波長450nm,
550nmにおける位相差が下記式(1)〜(3)を同
時に満たすことを特徴とする偏光板保護用透明フィル
ム。 |R(550)|≦15nm (1) |K(550)|≦35nm (2) R(450)/R(550)<1 (3) (式中、R(450)及びR(550)はそれぞれ波長
450nm及び550nmにおける透明フィルムの面内
位相差であり、K(550)は波長550nmにおける
透明フィルムのK=〔nz−(nx+ny)/2〕×d
(式中、nx,ny,nzは透明フィルムの三次元屈折
率でそれぞれx軸、y軸、z軸方向の屈折率であり、d
はフィルムの厚さである。)で計算される値である。)
Description
偏光板保護用の透明フィルム及びそれを用いてなる偏光
板に関する。
表示装置等に用いられ主に無偏光から偏光を取り出す光
学素子として利用されている。特に液晶表示装置におい
て用いられる偏光板の偏光機能を発現する部材として
は、延伸配向したポリビニールアルコール中にヨウ素や
二色性色素が配向して保持されたものや、ポリアセチレ
ン等のように直鎖状の多数の共役二重結合が主鎖や側鎖
に配置されてなる配向高分子等が用いられている。一般
にこれらの偏光機能を有する部材は耐擦傷性、機械的強
度、耐久性等の点で、実用上問題が生じる場合がある
為、これらの片面または両面に保護フィルムが接着剤や
粘着剤を介して設置されているのが普通である。
偏光板の保護フィルムとしてはトリアセチルセルロース
フィルムがある。
用いられる偏光板の保護フィルムに要求される特性とし
ては、湿熱耐久性、透明性、低い光学異方性等を挙げる
ことが出来る。良好な湿熱耐久性は特に自動車内で用い
られる液晶表示装置に用いられる偏光板としては必須項
目であるが、具体的には高いガラス転移点温度や、低い
吸水率であるものが好ましい。特に自動車内で用いられ
る液晶表示装置の偏光板としては100℃以上での耐環
境性が要求されるので、ガラス転移点温度が高いことが
必要であり、また同時に吸水率が高い場合には高分子中
の水の分子運動により、ガラス転移点温度以下でも収
縮、膨潤等の変形を生じる可能性があり、吸水率は低い
方が好ましい。
保護フィルムは、透明性に優れ光学異方性の小さいこ
と、特に三次元的な屈折率異方性が小さいことが好まし
い。特に昨今の液晶表示装置は視野角特性が良好になっ
てきており、それにともにない偏光板の視野角特性が問
題になる場合がある。
ムとして広く用いられているトリアセチルセルロースフ
ィルムは、吸水率が4重量%以上と高く、高温高湿度下
では、変形等の問題が生じる場合がある。また、該フィ
ルムは透明性及び面内リタデーション(R(550))を
10nm以下にすることができ、二次元的には光学異方
性が小さい優れた特性を有するものの、三次元的に見た
光学異方性は大きい。
ロースフィルムに対して、他の樹脂を用いたフィルムも
提案されているが、一般に検討されている熱可塑性樹脂
からなる透明フィルムは、R(550)は例えば、絶対
値で10nm以下のものが実現できるが、三次元の屈折
率異方性は一般に大きく、特に生産性を高めるのが困難
である。例えば、市販のビスフェノールAを重縮合した
単位を有するポリカーボネートを溶液キャスト製膜法ま
たは溶融押出し法にてフィルム製膜したものは、R(5
50)は10nm以下に出来るが、三次元の屈折率異方
性は非常に大きい。無理に三次元の屈折率異方性を小さ
くしようとしてもフィルム面内でむらが発生したり、極
端に生産性が悪くなってしまう等の問題があり、現実に
入手可能で、フィルム全体としての屈折率異方性が小さ
い透明フィルムを得ることは甚だ困難であった。
常、膜厚方向の屈折率が、面内方向の屈折率と大きく異
なっているためで、これは、例えば、フィルム溶融成形
時の流動配向や、溶液キャスト製膜であれば、キャスト
直後の溶媒蒸発時の流動配向やその後の工程である乾燥
工程で、フィルムのしわ等を無くす為にフィルムに張力
をかけざるを得ないこと等が主な原因となっていると思
われる。しかしながら、これらの製膜工程を改善するこ
とにより光学異方性を低減するには限界があり、他の特
性、例えば表面平坦性や膜厚むら、光学的なむら等の両
立が難しいといった問題や極端に生産性が悪くなるとい
った問題が生じてしまう。
で表現したが、この位相差は一般に角度でも表現するこ
とが出来る。このとき、角度で表現した位相差R1とn
mを単位とした位相差R2の換算式は、R1(度)=(R
2(nm)/λ)×360で表される(λは位相差測定波
長)。偏光板用の保護フィルムが持っている位相差R1
の大きさが、偏光板の偏光度、すなわち液晶表示装置に
用いた場合には液晶表示装置のコントラスト等の画質に
影響を与える。すなわち、R2が使用する位相差測定波
長に対して常に一定の値であった場合でも、短波長側に
なればなるほど、R1は大きくなってしまい、短波長に
なるほど保護フィルムの持つ位相差が直線偏光板の偏光
度を悪化させる。すなわち、このR2で表記される位相
差は短波長ほど小さいことが好ましい。例えば、保護フ
ィルムの持つ位相差の偏光板の偏光度に与える影響を、
可視光の範囲ですべて同じにするということであれば、
R2の波長λに対する変化を波長λの変化に近づけるこ
とが好ましいと言うことになる。これは、R2で表記さ
れる位相差は短波長ほど小さいことが好ましいことを意
味する。しかし、通常の高分子材料からなる透明フィル
ムはいずれも、R2が短波長になると大きくなってしま
うかまたは良くても一定なものが普通であり、耐熱、耐
水性に優れ、かつ実用に耐えるようなそのような特性を
有するフィルムは存在していなかった。なお、特に断り
が無い場合には本明細書中の位相差とはnmを単位とし
たものを指すこととする。
元の光学異方性が小さくかつ湿熱耐久性に優れた偏光板
用保護フィルムを提供することを目的とする。
ルムの三次元屈折率異方性を根本的に低減するには、高
分子の構造が非常に重要であると考えた。
保護フィルムの高分子構造等に着目し、特に発光、非発
光問わず表示装置の偏光板の保護フィルムとして好適な
透明フィルムついて鋭意検討したところ、生産性、光学
的均一性、平面性等に優れた透明フィルムを与え得る熱
可塑性樹脂を選び、吸水率が1重量%以下である1枚の
透明フィルムであって、光学等方性が極めて高い、面内
及び三次元の屈折率異方性が特定値以下の透明フィルム
を見出し本発明を達成したものである。
り、吸水率1重量%以下の1枚の透明フィルムであっ
て、波長450nm,550nmにおける位相差が下記
式(1)〜(3)を同時に満たすことを特徴とする偏光
板保護用透明フィルム。
450nm及び550nmにおける透明フィルムの面内
位相差であり、K(550)は波長550nmにおける
透明フィルムのK=〔nz−(nx+ny)/2〕×d
(式中、nx,ny,nzは透明フィルムの三次元屈折
率でそれぞれx軸、y軸、z軸方向の屈折率であり、d
はフィルムの厚さである。)で計算される値である。)
ムの光学異方性が小さいとは、上記(1)、(2)を満
足することであり、さらに、偏光板用保護フィルムの位
相差が短波長ほど小さくなるとは上記(3)を満足する
ことをいう。
フィルムの位相差が短波長ほど小さいことが好ましい
が、さらに、実用的な観点からは、透明フィルムの波長
450nm、550nm及び650nmにおける位相差
が、下記式(4)及び(5):
ィルムの面内位相差である。〕を満たすことが好まし
い。
550,650nmにおける透明フィルムの位相差およ
びK値をそれぞれR(450),R(550),R(6
50)、及びK(450),K(550),K(65
0)と表記する。
ン)は、光が厚さdのフィルムを透過したときにフィル
ムの配向方向とそれに垂直な方向の光の進行速度(屈折
率)の差にもとづく位相の差をいい、配向方向とそれに
垂直な方向の屈折率の差Δnとフィルムの厚さdとの積
Δn・dで表わされることは知られている。
れば複屈折Δnに比例するので、位相差の波長分散(波
長依存性)は複屈折Δnの波長分散(波長依存性)で表
わすことができる。
折率がそれと垂直な方向の屈折率より大きい場合を、光
学的異方性が正といい、逆の場合を光学的異方性が負と
いう。ここで透明フィルムの配向方向は、例えば、フィ
ルムを公知の位相差フィルム製造条件であるガラス転移
点温度Tg近傍(Tg±20℃)の条件で一軸延伸した
場合には、その延伸方向になる。二軸延伸の場合には配
向が高くなるように延伸した方向をいう。
は位相差の絶対値をいう。光学異方性が負の場合には位
相差は負であるが、本発明では特にことわらない限り正
負の符号は無視する。
いる測定光学波長は550nmとする。
つ、位相差が短波長ほど小さい透明フィルムは、下記
(A)または(B)の条件を満たす透明フィルムによっ
て得ることができることが見い出された。
分子のモノマー単位(以下、第1のモノマー単位とい
う。)と負の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単
位(以下、第2のモノマー単位という。)とを含む高分
子から構成されるフィルムであって、(2)該第1のモ
ノマー単位に基づく高分子のR(450) /R(550) は、該
第2のモノマー単位に基づく高分子のR(450) /R(55
0) よりも小さく、かつ(3)正の屈折率異方性を有す
る、透明フィルム。
分子を形成するモノマー単位(以下、第1のモノマー単
位という。)と負の屈折率異方性を有する高分子を形成
するモノマー単位(以下、第2のモノマー単位とい
う。)とを含む高分子から構成されるフィルムであっ
て、(2)該第1のモノマー単位に基づく高分子のR(4
50) /R(550) は、該第2のモノマー単位に基づく高分
子のR(450) /R(550) よりも大きく、かつ(3)負の
屈折率異方性を有する、透明フィルム。
として、下記条件(C)(D)を満たすものがある。
分子と負の屈折率異方性を有する高分子とからなるブレ
ンド高分子及び/又は正の屈折率異方性を有する高分子
のモノマー単位と負の屈折率異方性を有する高分子のモ
ノマー単位とからなる共重合体から構成されるフィルム
であって、(2)該正の屈折率異方性を有する高分子の
R(450) /R(550) は該負の屈折率異方性を有する高分
子のR(450) /R(550) よりも小さく、かつ(3)正の
屈折率異方性を有する、透明フィルム。
分子と負の屈折率異方性を有する高分子とからなるブレ
ンド高分子及び/又は正の屈折率異方性を有する高分子
のモノマー単位と負の屈折率異方性を有する高分子のモ
ノマー単位とからなる共重合体から構成されるフィルム
であって、(2)該正の屈折率異方性を有する高分子の
R(450) /R(550) は該負の屈折率異方性を有する高分
子のR(450) /R(550) よりも大きく、かつ(3)負の
屈折率異方性を有する、透明フィルム。
高分子とは、正又は負の屈折率異方性を有する透明フィ
ルムを与える高分子をいう。
位相差が小さくなる必要条件である理由を以下に記す。
なる高分子ブレンドの複屈折Δnは、以下のように表さ
れることが知られている。(H. Saito and T. Inoue,
J. Pol. Sci. Part B, 25, 1629 (1987))
B :高分子Bの固有複屈折、fA :高分子Aの配向関
数、fB :高分子Bの配向関数、φA :高分子Aの体
積分率、φB :高分子Bの体積分率(=1−φA )、
ΔnF :構造性複屈折である。一般に複屈折ΔnはΔ
n=fΔn0 で表される。また、Δn0 は二色性赤外
分光法と位相差測定等を組み合わせて求めることが出来
る。
互作用による分極率の変化は完全に無視しているが、以
下でもこの仮定を採用する。また、本発明のような位相
差フィルム用途では、光学的に透明であることが要求さ
れることから、ブレンドは相溶ブレンドであることが好
ましく、この場合には、ΔnF は非常に小さく無視す
ることが出来る。
る透明フィルムについてであるが、この測定波長とし
て、ここでは450, 550nmのみ考えることとする。この
位相差フィルムのこれらの波長における複屈折をそれぞ
れ、Δn(450) 、Δn(550) とすると、Δn(450) /Δ
n(550) <1と表せる。通常の高分子フィルムからなる
位相差フィルムはΔn(450) /Δn(550) >1であるこ
とは言うまでもなく、例えばビスフェノールAとホスゲ
ンの重合から得られるポリカーボネートのΔn(450) /
Δn(550) は1.08程度であり、複屈折の波長分散が小さ
いといわれるポリビニールアルコールでも1.01程度であ
る。
分散係数とすると、(a)式を用いて次の様に表され
る。
ると、(b)式は以下のように書き表せる。
複屈折波長分散値について検討した。なお、表1ではΔ
n0 A (450) 、Δn0 B (450) の代わりに、 高分
子A,B単独の複屈折分散値を記した。
関数としてそれぞれ図2〜5のように表される。ケース
1〜4はそれぞれ図2〜5に対応する。表1では正の屈
折率異方性を有する高分子を高分子A、負のそれを高分
子Bとしているので、図2〜5に記した漸近線よりもφ
Aの少ない領域では、ブレンド高分子の光学異方性は負
であり、一方、漸近線よりもφBの多い領域は異方性は
正である。
/Δn(550) <1となるためには、表1のケース1,3
のように、正の高分子の複屈折波長分散係数が負のそれ
よりも小さくかつ該透明フィルムの光学異方性が正であ
るか、または、ケース2,4のように高分子単独の複屈
折波長分散係数が負のそれよりも大きくかつ該透明フィ
ルムの光学異方性が負である必要がある。ここでは、代
表的な波長として450,550nmを用いたが、他の波長を
用いても同様に成立する。
高分子の複屈折波長分散係数が完全に等しい場合には、
本発明の透明フィルムは得られない。
であるが、後述する実施例のように実際の系でもこの考
え方は非常によく成り立つので、この考え方が正しいこ
とは実施例でも証明される。例えば、後述する実施例に
おいてフルオレン骨格を有するポリカーボネート共重合
体では、Δn(450) /Δn(550) <1となるときに、異
方性は正であるので、厳密には値は異なるが表4のケー
ス1、3に相当し、また、ポリスチレンとポリフェニレ
ンオキサイドのブレンドの場合には、Δn(450) /Δn
(550) <1となるときに、異方性は負であるので、厳密
には値は異なるが表4のケース2、4に相当するものと
考えられる。
成分以上でも上記の考え方は成立する。例えば、正の光
学異方性を有する成分が2成分と負の異方性を有する成
分が1成分である系では、正の光学異方性を有する成分
の複屈折率値及び複屈折分散値等を正の異方性の2成分
間の体積分率等で補正し、この2成分を1成分と見なし
て上記式(a)以下の考察の考え方を適用することが可
能である。
A,Bのブレンドとして説明したが、高分子が異なるモ
ノマー単位を含む共重合体の場合にも上述した考察の考
え方は同様に成立し、第1のモノマー単位に基づく単独
重合体(高分子A)と第1のモノマー単位と異なる第2
のモノマー単位に基づく単独重合体(高分子B)とから
成ると見なして上記の考え方を適用すればよい。
ブレンドあるいは共重合体どうしの高分子ブレンドで
も、上述した考察の考え方を同様に適用することができ
る。即ち、この場合には、高分子ブレンドの成分高分子
を構成するモノマー単位に分けて、その高分子ブレンド
をそれぞれのモノマー単位からなる単独重合体の集合体
と見なし、この集合体を正の光学異方性を有する単独重
合体の群からなる成分Aと負の異方性を有する単独重合
体の群からなる成分Bとの組合せと見なして、上記の考
察を適用すればよい。
X,Yと、負の光学異方性を有するモノマー単位x,z
の共重合体において、xが正の光学異方性を有し、zが
負の光学異方性を有する場合には、正の光学異方性を有
する成分は、X,Y及びxからなると考えて、これらの
複屈折率値及び複屈折分散値等を正の異方性の3成分間
の体積分率等で補正して、これらの3成分を1成分Aと
みなし、負の異方性を有する成分はモノマー単位zから
なる重合体Bと見なして、成分A及び成分Bについて、
上記(a)以下の考察の考え方を適用すればよい。
く単独高分子において、単独高分子がポリカーボネート
の場合、ポリカーボネートは一般にジヒドロキシ化合物
とホスゲンとの重縮合により得られるので、重合の観点
からは、ビスフェノールからなるジヒドロキシ化合物と
ホスゲンがモノマーになる。このようにポリカーボネー
トの場合は、モノマー単位はビスフェノールに由来する
部分をいい、ホスゲンに由来する部分は含まない。
と、何らかの高分子成形後、フィルム成形の場合には製
膜や延伸工程後に発現する位相差を関連付けて議論する
ことが多いが、実際は必ずしも対応するものではない。
むしろ、位相差は複屈折とフィルム膜厚との積であり、
また複屈折は固有複屈折と配向関数との積であるので、
分子設計の立場からはこの固有複屈折と配向関数につい
て考える必要がある。小さい位相差値を有している透明
フィルムを生産性よく得る為には、まず、この固有複屈
折を小さくすることが重要である。配向関数は高分子の
配向に関する因子であるので、これは成形プロセスに依
存すると考えられる。通常フィルムの成形工程として用
いられる溶液キャスト製膜工程を考えた場合、固有複屈
折が大きいものはプロセスにて配向関数を下げる必要が
あり、何らかの温度むらや張力むら等の外乱要因があっ
た場合には、これが配向関数の不均一性に繋がり、結果
として得られる透明フィルムは位相差の大きいものにな
る。一方、固有複屈折の小さいものであれば、配向関数
に多少むらがあっても、位相差が小さくかつ均一なもの
が得られると予想される。本発明では固有複屈折が小さ
い材料を用いている。
フィルムは、吸水率1重量%以下の熱可塑性樹脂からな
る1枚の透明フィルムからなり、上記式(1)〜(3)
を同時に満足することを特徴としている。なお、上記式
(1)について好ましくは|R(550)|≦10nm、より
好ましくは|R(550)|≦5nmである。上記式(2)に
ついては、好ましくは|K(550)|≦25nm、より好ま
しくは|K(550)|≦10nmである。上記式(1)、
(2)では位相差を測定波長550nmで定義している
が、可視光波長で測定して上記値を満足することが好ま
しい。
めの材料に対する原理についてはすでに述べたので、以
下具体的な材料について説明する。
率は1重量%以下であることが必要である。透明フィル
ムの吸水率が1重量%を超えると偏光板用保護フィルム
として実用する上で特に高温高湿環境下においては問題
が生じる場合がある。特に好ましくは0.5重量%以下
の条件を満たすように選択すると、湿熱耐久性がより高
まるのでよい。
は、ガラス転移点温度が120℃以上であることが好ま
しい。これ未満では、耐久試験時等に収縮等の変形の問
題等が発生する場合がある。
する熱可塑性樹脂は特に限定されず、上記の条件をかか
るフィルム1枚で満たす(共重合)ポリマー、それらの
ブレンド体であれば特に制限はない。例えば、耐熱性に
優れ、光学性能が良好で、溶液製膜ができる材料、例え
ばポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリスルフィン系共重
合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどの熱可
塑性ポリマーが好適である。
したように、正の屈折率異方性を有する高分子と負の屈
折率異方性を有する高分子とからなるブレンド高分子、
正の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位と負の
屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位とからなる
共重合体がより好適である。それらは2種類以上組合せ
てもよく、また1種類以上のブレンド高分子と1種類以
上の共重合体とを組合せて用いてもよい。
ある必要があることから相溶ブレンドまたは、各々の高
分子の屈折率が略等しいことが好ましい。ブレンド高分
子の具体的な組み合わせとしては、例えば負の光学異方
性を有する高分子としてポリ(メチルメタクリレート)
と、正の光学異方性を有する高分子としてポリ(ビニリ
デンフロライド)、ポリ(エチレンオキサイド)及びポ
リ(ビニリデンフロライド−コ−トリフルオロエチレ
ン)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー
との組み合わせ、正の光学異方性を有する高分子として
ポリ(フェニレンオキサイド)と、負の光学異方性を有
する高分子としてポリスチレン、ポリ(スチレン−コ−
ラウロイルマレイミド)、ポリ(スチレン−コ−シクロ
ヘキシルマレイミド)及びポリ(スチレン−コ−フェニ
ルマレイミド)からなる群から選ばれる少なくとも一種
のポリマーとの組み合わせ、負の光学異方性を有するポ
リ(スチレン−コ−マレイン酸無水物)と正の光学異方
性を有するポリカーボネートとの組み合わせ、正の光学
異方性を有するポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエ
ン)と負の光学異方性を有するポリ(アクリロニトリル
−コ−スチレン)との組み合わせ、正の光学異方性を有
するポリカーボネートと負の光学異方性を有するポリカ
ーボネートとの組み合わせを好適に挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。特に透明性の観
点から、ポリスチレンと、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレンオキサイド)等のポリ(フェニレン
オキサイド)とを組み合わたブレンドポリマー、正の光
学異方性を有するポリカーボネートと負の光学異方性を
有するポリカーボネートとを組み合わせたブレンド体が
好ましい。前者の場合、該ポリスチレンの比率が全体の
67重量%以上75重量%以下を占めることが好まし
い。後者の場合、正の光学異方性を有するビスフェノー
ルAをジオール成分とするポリカーボネートと、ビスフ
ェノールフルオレンをジオール成分とする、フルオレン
骨格を主として有するポリカーボネートとを配合してな
るものが好ましい。該ビスフェノールフルオレン成分の
ブレンド体全体における含有率は、30〜90モル%が
好適である。
ジエン−コ−ポリスチレン)、ポリ(エチレン−コ−ポ
リスチレン)、ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエ
ン)、ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン−コ−
スチレン)、ポリカーボネート共重合体、ポリエステル
共重合体、ポリエステルカーボネート共重合体、ポリア
リレート共重合体等を用いることが出来る。特に、フル
オレン骨格を有するセグメントは負の光学異方性となり
得るため、フルオレン骨格を有するポリカーボネート共
重合体、ポリエステル共重合体、ポリエステルカーボネ
ート共重合体、ポリアリレート共重合体等はより好まし
く用いられる。
のブレンド体でもよく、1種以上の共重合体と上記ブレ
ンド体または他のポリマーとからなるブレンド体であっ
てもよく、2種類以上のブレンド体または共重合体また
は他のポリマーのブレンド体でもよい。これらの場合、
該ビスフェノールフルオレン成分の全体における含有率
は、30〜90モル%とすることが好適である。
ジフェニルなどの炭酸エステル形成性化合物と反応させ
て製造されるポリカーボネート共重合体は透明性、耐熱
性、生産性に優れており特に好ましく用いることが出来
る。ポリカーボネート共重合体としては、フルオレン骨
格を有する構造を含む共重合体であることが好ましい。
フルオレン骨格を有する成分は式(I)で表わされる繰
返し単位であり、繰返し単位全体の1〜99モル%含ま
れていることが好ましい。
ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の
炭化水素基から選ばれる少なくとも一種であり、Xは
〜90モル%と、下記式(II)
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜2
2の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種であり、Y
は下記式群
22はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数
1〜22の炭化水素基から、R20及びR23はそれぞれ独
立に炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれ、Arは炭
素数6〜10のアリール基から選ばれる少なくとも一種
の基である。)で示される繰り返し単位が全体の70〜
10モル%を占めるポリカーボネート共重合体が挙げら
れる。
れ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の炭
化水素基から選ばれる。かかる炭素数1〜6の炭化水素
基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シ
クロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等のアリー
ル基が挙げられる。この中で、水素原子、メチル基が好
ましい。
ぞれ独立に水素原子、ハロン原子及び炭素数1〜22の
炭化水素基から選ばれる。かかる炭素数1〜22の炭化
水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜9のアルキル基、
フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等のアリー
ル基が挙げられる。この中で、水素原子、メチル基が好
ましい。
R21及びR22はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子
及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれる少なくと
も一種の基である。かかる炭化水素基については、上記
したものと同じものを挙げることができる。R20及びR
23はそれぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基から選
ばれ、かかる炭化水素基については、上記したものと同
じものを挙げることができる。Arはフェニル基、ナフ
チル基等の炭素数6〜10のアリール基である。
ン骨格を有するポリカーボネートを用いたものが好まし
い。このフルオレン骨格を有するポリカーボネートとし
ては、例えば上記式(I)で表わされる繰り返し単位と
上記式(II)で表わされる繰り返し単位とからなるポリ
カーボネート共重合体、上記式(I)で表わされる繰り
返し単位からなるポリカーボネートと上記式(II)で表
わされる繰り返し単位からなるポリカーボネートとのブ
レンド体がよく、上記式(I)の含有率、すなわち共重
合体の場合共重合組成、ブレンド体の場合ブレンド組成
比は、ポリカーボネート全体の30〜90モル%が好適
である。かかる範囲を外れた場合には、小さい位相差値
を有する位相差フィルムを均一に得ることが困難とな
る。上記式(I)の含有率は、ポリカーボネート全体の
35〜85モル%が好ましく、50〜80モル%がより
好ましい。
I)で表わされる繰り返し単位をそれぞれ2種類以上組
み合わせたものでもよく、ブレンド体の場合も、上記繰
り返し単位はそれぞれ2種類以上組み合わせてもよい。
に関わらず、透明フィルムを構成するポリカーボネート
バルク全体で、例えば核磁気共鳴(NMR)装置により求め
ることができる。
ートとしては、下記式(III)
はそれぞれ独立に水素原子およびメチル基から選ばれる
少なくとも一種である。)で示される繰り返し単位を3
5〜85モル%と、下記式(IV)
それぞれ独立に水素原子、メチル基から選ばれ、Zは下
記式群
る。)が全体の65〜15モル%を占めるポリカーボネ
ート共重合体及び/またはブレンド体を用いることが特
に好ましい。
は公知の方法によって製造し得る。ポリカーボネートは
ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの重縮合による方法、
溶融重縮合法等が好適に用いられる。ブレンド体の場合
は、相溶性ブレンドが好ましいが、完全に相溶しなくて
も成分間の屈折率を合わせれば成分間の光散乱を抑え、
透明性を向上させることが可能である。
〜2.0dl/gであることが好ましい。0.3未満で
は脆くなり機械的強度が保てないといった問題があり、
3.0を超えると溶液粘度が上がりすぎるため溶液製膜
においてダイラインの発生等の問題や、重合終了時の精
製が困難になるといった問題がある。
性が高いことが必要で、具体的にはヘーズ値は3%以
下、全光線透過率は測定波長380〜780nmにおい
て80%以上、好ましくは85%以上であることが好ま
しい。さらに無色透明であることが好ましいが、JISZ-8
279に記載のL*a*b*表色系のうち、2度視野C光源を
用いたb*で定義するなら、1.3以下であることが好
ましく、より好ましくは0.9以下である。
らに、フェニルサリチル酸、2−ヒドロキシベンゾフェ
ノン、トリフェニルフォスフェート等の紫外線吸収剤
や、色味を変えるためのブルーイング剤、酸化防止剤等
を含有してもよい。
方法としては、公知の溶融押し出し法、溶液キャスト法
等が用いられるが、膜厚むら、外観等の観点から溶液キ
ャスト法がより好ましく用いられる。溶液キャスト法に
おける溶剤としては、メチレンクロライド、ジオキソラ
ン等が好適が用いられる。残留メチクロ量としては0.
5重量%以下が好ましく、より好ましくは0.3重量%
以下、さらに好ましくは0.1重量%以下である。
応じて、所望の光学特性となるように、延伸等を行い高
分子鎖を配向させてもよい。延伸方法としては、公知の
延伸方法を使用し得るが、好ましくは縦一軸延伸であ
る。この際、かかるフィルム中には延伸性を向上させる
目的で、可塑剤を添加することができる。可塑剤等の添
加剤は、位相差波長分散を変化させ得るが、添加量は、
ポリマー固形分対比10wt%以下が好ましく、3wt%以
下がより好ましい。
としては、5μmから 200μmであることが好まし
く、より好ましくは10〜120μmである。
般に斜めからの入射光に対しては、正面入射光と比較し
て異なる位相差値を与えることが知られている。ここで
高分子材料の三次元屈折率とは、nx,ny,nzで表
され、それぞれの定義は、 nx:透明フィルム面内における主配向方向の屈折率 ny:透明フィルム面内における主配向方向に直交する
方位の屈折率 nz:透明フィルム表面の法線方向の屈折率 とする。ここで、主配向方向とは例えばフィルムの流れ
方向を意味しており、化学構造的には高分子主鎖の配向
方向を指す。nx>nzのときを光学異方性が正、nx<nzのと
きを光学異方性が負であるとここでは呼ぶ。この三次元
屈折率は、透明フィルムに偏光を入射して得られる出射
光の偏光状態を解析する手法である偏光解析法により測
定されるが、本発明では透明フィルムの光学異方性を屈
折率楕円体と見なして公知の屈折率楕円体の式により求
める方法によりこの三次元屈折率を求めている。この三
次元屈折率は使用する光源の波長依存性があるので、使
用する光源波長で定義することが好ましい。この三次元
屈折率を用いて光学異方性を表記する方法として下記式
(8)
ば、 Nzが0.3〜1.5の範囲にあるとき、非常に位
相差値の入射角依存性が小さくなる。特にNz=0.5のとき
は位相差値の入射角依存性が実質的に無くなり、どの角
度から光が入っても同じ位相差値を与える。
を有する透明フィルムの遅相軸はnx,進相軸はnyとな
る。
用いられる透明フィルムの位相差を短波長ほど小さくす
るためには、先述の通り特定の化学構造を有することが
必須条件であり、位相差波長分散はかなりの部分がその
化学構造で決まるが、添加剤、製膜条件、ブレンド状
態、分子量等によっても変動することに留意されるべき
である。
てなる偏光板の構成としては、該透明フィルムが偏光層
の両側または片側に設置されているもので、偏光層と透
明フィルム間の接着は接着剤または粘着剤が用いられ
る。該透明フィルムが偏光層の両側に設置されてなる偏
光板の概略断面図を図1に記す。この接着を良好なもの
するために、透明フィルム上にコーテイング層やコロナ
処理、親水処理等を行なっても良い。また、本発明の偏
光板保護用透明フィルムが例えば、表示装置の最表面に
設置される場合には、ハードコート層、反射防止層、防
眩処理等を行なっても良い。偏光層とは、この場合無偏
光から偏光を発生させる層をいい、例えば、ポリビニル
アルコール等高分子にヨウ素や二色性色素を分散配向さ
せたもの、二色性を有する高分子、ポリアセチレンを配
向させたもの等を指す。
率1重量%以下の熱可塑性樹脂からなる透明フィルム1
枚で光学異方性が小さくかつ位相差が短波長ほど小さい
偏光板保護用透明フィルムを量産性良く提供することが
出来るので、これを偏光板に用いることにより例えば耐
久性と偏光性能に優れた偏光板が実現できる。
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (評価法)本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評
価法によって得られたものである。 (1)位相差値(R=Δn・d(nm))、K値の測定 偏光板用保護フィルムの複屈折Δnと膜厚dの積である
位相差R値及びK値は、分光エリプソメータである日本分
光(株)製の商品名『M150』により測定した。R値
は入射光線とフィルム表面が直交する状態で測定した。
また、K値(nm)は入射光線とフィルム表面の角度を変え
ることにより、各角度での位相差値を測定し、公知の屈
折率楕円体の式でカーブフィッチングすることにより三
次元屈折率であるnx,ny,nzを求め、下記式(7)に代入
することにより求めた。
以外は、JIS K 7209記載の『プラスチックの吸水率及び
沸騰吸水率試験方法』に準拠して測定した。試験片の大
きさは50mm正方形で、水温25℃、24時間サンプルを浸水
させた後、重量変化を測定した。いわゆる飽和吸水量で
あり単位は重量%である。
測定 TA Instruments社製『DSC2920 Modulated DSC 』により
測定した。フィルム成形後ではなく、樹脂重合後、フレ
ークスまたはチップの状態で測定した。
定した。特にビスフェノールAとビスクレゾールフルオ
レンの共重合体の場合には、溶媒として重ベンゼンを用
い、それぞれのメチル基のプロトン強度比から算出し
た。
いた。測定波長は380〜780nmとしたが、実施例
では測定波長550nmに代表させて記載している。
カーボネートのモノマー構造を以下に記す。
器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液及びイオン
交換水を仕込み、これに上記構造を有するモノマー[A]
と[F]を表2のモル比で溶解させ、少量のハイドロサル
ファイトを加えた。次にこれに塩化メチレンを加え、2
0℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、
p-tert-ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリ
エチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を
終了させた。反応終了後有機相分取し、塩化メチレンを
蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。得られた
共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であ
った。
させ、固形分濃度20重量%のドープ溶液を作製した。
このドープ溶液からキャストフィルムを作製し透明フィ
ルムを得た。
は、R、K値ともに小さく、また、1m幅のフィルムで幅
方向を測定してR(550)のばらつきの範囲は±0.
5nmであった。測定波長400〜700nmにおいて
短波長ほど位相差が小さくなり、かつ、屈折率異方性は
正であることを確認した。偏光板保護用フィルムとして
好適であることが分かった。
以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重
合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込
み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜し透
明フィルムを得た。表2に測定結果をまとめる。また測
定波長400〜700nmにおいて短波長ほど位相差が
小さくなりかつ、屈折率異方性は正であることを確認し
た。
以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重
合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込
み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜し透
明フィルムを得た。表2に測定結果をまとめる。また測
定波長400〜700nmにおいて短波長ほど位相差が
小さくなりかつ、屈折率異方性は正であることを確認し
た。
以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重
合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込
み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜し透
明フィルムを得た。表2に測定結果をまとめる。また測
定波長400〜700nmにおいて短波長ほど位相差が
小さくなりかつ、屈折率異方性は正であることを確認し
た。
以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重
合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込
み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜し透
明フィルムを得た。表2に測定結果をまとめる。また測
定波長400〜700nmにおいて短波長ほど位相差が
小さくなりかつ、屈折率異方性は正であることを確認し
た。
以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重
合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込
み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜し透
明フィルムを得た。表2に測定結果をまとめる。また測
定波長400〜700nmにおいて短波長ほど位相差が
小さくなりかつ、屈折率異方性は正であることを確認し
た。
分子としてポリスチレン(和光純薬工業(株))、正の
屈折率異方性を有する高分子としてポリフェニレンオキ
サイド(ポリ(2,6−ジメチル 1,4−フェニレン
オキサイド)和光純薬工業(株))を、それぞれ70, 30
重量%の比率でクロロホルムに溶解させ、固形分濃度18
重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキ
ャストフィルムを作製し透明フィルムを得た。
フィルムは、測定波長400〜700nmにおいて短波
長ほど位相差が小さくなりかつ、屈折率異方性は負であ
ることを確認した。偏光板保護用透明フィルムとして好
適であることが分かった。
ンオキサイドのブレンド比率を変えた際の複屈折波長分
散係数とポリフェニレンオキサイドの体積分率との関係
を図6に記す。ポリフェニレンオキサイドの少ない領域
では、光学異方性は負であり、複屈折波長分散係数が1
より小さくなる領域が存在することが分かる。一方、ポ
リフェニレンオキサイドの多い屈折率異方性が正の領域
ではその値は1より大きい。
6のような体積分率と複屈折波長分散係数との関係を図
7に記す。図7はポリスチレン、ポリフェニレンオキサ
イドの波長 550nmにおける固有複屈折をそれぞれ、−
0.10, 0.21 (D. Lefebvre, B. Jasse and L. Monnerie,
Polymer 23 706-709 (1982)を参考)、また、それぞれ
のR(450)/R(550)の値を、1.06,1.15として計
算した。図6と図7の一致は良いといえる。ポリスチレ
ン、ポリフェニレンオキサイドの密度はそれぞれ、1.04
7, 1.060g/cm3とした。
スゲンとの重縮合からなる市販のポリカーボネート(帝
人化成製『パンライトC1400』)を用いて、実施例1と
同様に製膜し透明フィルムを得た。表3に測定結果をま
とめる。K値が負に大きく、また、測定波長が短波長ほ
ど位相差が大きく、本発明で目的としているところの偏
光板保護用フィルムとしては好ましくないことが分かっ
た。
るJSR製の『ARTON』を用いて、実施例1と同様に製膜し
た。表3に測定結果をまとめる。K値が負に大きく、ま
た、測定波長が短波長ほど位相差が大きく、本発明で目
的としているところの偏光板保護用フィルムとしては好
ましくないことが分かった。
(和光純薬工業(株)、極限粘度[η]1.335、アセ
チル化度2.917)を用いて、溶媒を塩化メチレン/
メタノール(重量比9/1)とした以外は実施例1と同
様に製膜した。表3に測定結果をまとめる。K値が正に
大きく、また、測定波長が短波長ほど絶対値で位相差が
大きく、また、吸水率は4重量%であり、本発明で目的
としているところの偏光板保護用フィルムとしては好ま
しくないことが分かった。
光板の一例の概略断面図である。
子の複屈折の波長分散と体積分率φAの関係を示すグラ
フである。
子の複屈折の波長分散と体積分率φAの関係を示すグラ
フである。
子の複屈折の波長分散と体積分率φAの関係を示すグラ
フである。
子の複屈折の波長分散と体積分率φAの関係を示すグラ
フである。
レンドにおけるポリフェニレンオキサイドの体積分率と
R(450)/R(550)の関係を示すグラフである。(実測値)
レンドにおけるポリフェニレンオキサイドの体積分率と
R(450)/R(550)の関係を示すグラフである。(計算値)
Claims (11)
- 【請求項1】 熱可塑性樹脂からなり、吸水率1重量%
以下の1枚の透明フィルムであって、波長450nm,
550nmにおける位相差が下記式(1)〜(3)を同
時に満たすことを特徴とする偏光板保護用透明フィル
ム。 【数1】 |R(550)|≦15nm (1) |K(550)|≦35nm (2) R(450)/R(550)<1 (3) (式中、R(450)及びR(550)はそれぞれ波長
450nm及び550nmにおける透明フィルムの面内
位相差であり、K(550)は波長550nmにおける
透明フィルムのK=〔nz−(nx+ny)/2〕×d
(式中、nx,ny,nzは透明フィルムの三次元屈折
率でそれぞれx軸、y軸、z軸方向の屈折率であり、d
はフィルムの厚さである。)で計算される値である。) - 【請求項2】 波長400〜700nmにおいて透明フ
ィルムの位相差が短波長ほど小さい請求項1記載の偏光
板保護用透明フィルム。 - 【請求項3】 (1)正の屈折率異方性を有する高分子
のモノマー単位(以下、第1のモノマー単位という。)
と負の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位(以
下、第2のモノマー単位という。)とを含む高分子から
構成されるフィルムであって、 (2)該第1のモノマー単位に基づく高分子のR(45
0)/R(550)は、該第2のモノマー単位に基づく
高分子のR(450)/R(550)よりも小さく、か
つ (3)正の屈折率異方性を有する、透明フィルムからな
る請求項1〜2のいずれかに記載の偏光板保護用透明フ
ィルム。 - 【請求項4】 (1)正の屈折率異方性を有する高分子
を形成するモノマー単位(以下、第1のモノマー単位と
いう。)と負の屈折率異方性を有する高分子を形成する
モノマー単位(以下、第2のモノマー単位という。)と
を含む高分子から構成されるフィルムであって、 (2)該第1のモノマー単位に基づく高分子のR(45
0)/R(550)は、該第2のモノマー単位に基づく
高分子のR(450)/R(550)よりも大きく、か
つ (3)負の屈折率異方性を有する、透明フィルムからな
る請求項1〜2のいずれかに記載の偏光板保護用透明フ
ィルム。 - 【請求項5】 前記透明フィルムのガラス転移点温度が
120℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のい
ずれかに記載の偏光板保護用透明フィルム。 - 【請求項6】 前記透明フィルムがフルオレン骨格を有
するポリカーボネートを含む請求項1、2、3または5
記載の偏光板保護用透明フィルム。 - 【請求項7】 フルオレン骨格を有するポリカーボネー
トが、下記式(I) 【化1】 (上記式(I)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水
素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の炭化水素基か
ら選ばれる少なくとも一種であり、Xは 【化2】 である。)で示される繰り返し単位を30〜90モル%
と、下記式(II) 【化3】 (上記式(II)において、R9〜R16はそれぞれ独立に
水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素
基から選ばれる少なくとも一種であり、Yは下記式群 【化4】 (ここで、Y中のR17〜R19、R21及びR22はそれぞれ
独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭
化水素基から選ばれる少なくとも一種であり、R 20及び
R23はそれぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基から
選ばれる少なくとも一種であり、Arは炭素数6〜10
のアリール基から選ばれる少なくとも一種の基であ
る。)で示される繰り返し単位が全体の70〜10モル
%を占めるポリカーボネート共重合体及び/またはブレ
ンド体であることを特徴とする請求項6記載の偏光板保
護用透明フィルム。 - 【請求項8】 フルオレン骨格を有するポリカーボネー
トが、下記式(III) 【化5】 (上記式(III)において、R24及びR25はそれぞれ独
立に水素原子およびメチル基から選ばれる少なくとも一
種である。)で示される繰り返し単位を35〜85モル
%と、下記式(IV) 【化6】 (上記式(IV)において、R26及びR27はそれぞれ独立
に水素原子、メチル基から選ばれ、Zは下記式群 【化7】 から選ばれる少なくとも一種の基である。)で示される
繰り返し単位が全体の65〜15モル%を占めるポリカ
ーボネート共重合体及び/またはブレンド体であること
を特徴とする請求項7記載の偏光板保護用透明フィル
ム。 - 【請求項9】 透明フィルムは、正の屈折率異方性を有
する高分子と負の屈折率異方性を有する高分子からなる
ブレンド体からなり、該正の屈折率異方性を有する高分
子がポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキ
サイド)であり、該負の屈折率異方性を有する高分子が
ポリスチレンでありかつポリスチレン含有割合が67重
量%〜75重量%である請求項4記載の偏光板保護用透
明フィルム。 - 【請求項10】 透明フィルムが溶液キャスト製膜法に
より作製されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれ
かに記載の偏光板保護用透明フィルム。 - 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の透
明フィルムを用いてなることを特徴とする偏光板。
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