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JP2001240568A - 1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法 - Google Patents

1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法

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JP2001240568A
JP2001240568A JP2000052842A JP2000052842A JP2001240568A JP 2001240568 A JP2001240568 A JP 2001240568A JP 2000052842 A JP2000052842 A JP 2000052842A JP 2000052842 A JP2000052842 A JP 2000052842A JP 2001240568 A JP2001240568 A JP 2001240568A
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chloroheptafluorocyclopentene
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俊郎 山田
Yoshio Kin
伊男 金
Takanobu Mase
隆信 間瀬
Akira Sekiya
章 関屋
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Zeon Corp
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Nippon Zeon Co Ltd
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C17/00Preparation of halogenated hydrocarbons
    • C07C17/093Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens
    • C07C17/20Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens of halogen atoms by other halogen atoms
    • C07C17/202Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens of halogen atoms by other halogen atoms two or more compounds being involved in the reaction
    • C07C17/208Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens of halogen atoms by other halogen atoms two or more compounds being involved in the reaction the other compound being MX

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原料として高純度な1,2−ジクロロヘキサ
フルオロシクロペンテンを用いることなく、工業的有利
に、しかも精製分離が容易な1−クロロヘプタフルオロ
シクロペンテンを製造する方法を提供する。 【解決手段】 極性溶剤と非極性溶剤からなる混合溶剤
系の存在下に、少なくとも2種のクロロフルオロシクロ
ペンテン(2つの不飽和結合炭素にそれぞれ塩素原子が
結合した)の混合物と金属フッ化物を反応せしめて該ク
ロロフルオロシクロペンテン混合物をフッ素化し、反応
により副生する1,3−および1,4−ジクロロヘキサフ
ルオロシクロペンテンを粗生成物から除去することによ
って1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は1−クロロヘプタフ
ルオロシクロペンテンの新規な製造方法に関する。さら
に詳しくは、クロロフルオロシクロペンテンの混合物を
出発原料として、これを金属フッ化物によりフッ素化す
る1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】1−クロロヘプタフルオロシクロペンテ
ンは、分子量228.5、常圧下での沸点56℃の公知
物質であり、従来よりその製造方法が知られている。
【0003】1−クロロヘプタフルオロシクロペンテン
の製造方法としては、例えば、米国特許3,024,29
0号公報には、オートクレーブ中でN,N−ジメチルホ
ルムアミドを反応溶媒として、1,2−ジクロロヘキサ
フルオロシクロペンテン(原料)をフッ化カリウムと9
0℃で5時間反応させると、反応系中の原料が消失し
て、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンとパーフ
ルオロシクロペンテン(すなわちオクタフルオロシクロ
ペンテン)の混合物が生成すると記載されている。ま
た、この反応を140℃で、さらに5時間継続すると、
生成物はパーフルオロシクロペンテンだけになると記載
されており、反応条件を選択することにより1,2−ジ
クロロヘキサフルオロシクロペンテンから1−クロロヘ
プタフルオロシクロペンテンが製造できることが報告さ
れている。
【0004】また、米国特許3,567,788号公報に
は、事前に水分の共沸留去操作を施して完全に無水の状
態にしたフッ化カリウムを用いて、N,N−ジメチルホ
ルムアミド中で1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロ
ペンテンと反応させると、パーフルオロシクロペンテン
と共に1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンが生成
することが報告されている。同公報の実験例には、反応
生成物を蒸留精製した結果、48%のパーフルオロシク
ロペンテンおよび41%の1−クロロヘプタフルオロシ
クロペンテンが得られたと記載されている。
【0005】さらに、WO99/33771号公報に
は、−CCl=CCl−基を含有する炭素数4以上の化
合物をフッ素化剤と反応させて−CCl=CF−基を含
有する化合物とし(第一工程)、これを貴金属触媒の存
在下に水素化して−CH2−CHF−基を有する化合物
に変換(第二工程)する方法が提案されている。この第
一工程のフッ素化反応については、非プロトン性極性溶
媒に芳香族炭化水素を添加した混合溶媒中で反応を行う
こと、反応は蒸留塔を装備した反応釜中で行い、かつ連
続的に生成物を反応系外へ抜出しながら行うことなどが
記載されている。
【0006】さらにまた、同公報には前記第一工程の実
験例として、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペ
ンテンを原料として、各種の反応溶媒の存在下にフッ化
カリウムと反応させて、目的とする1−クロロヘプタフ
ルオロシクロペンテンを反応中に系外に抜き出す合成方
法がいくつか報告されている。
【0007】すなわち、極性溶媒であるN,N−ジメチ
ルホルムアミド中で反応させると、反応系外に抜出した
粗生成物中の1−クロロヘプタフルオロシクロペンテン
が98.8%、パーフルオロシクロペンテンが1.2%と
なったことが記載される。一方、N,N−ジメチルホル
ムアミドと非極性溶媒であるトルエンの混合溶媒中で反
応させた場合には、反応系外に抜出した粗生成物中には
1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンが98.8
%、パーフルオロシクロペンテンが0.2%、1,2−ジ
クロロヘキサフルオロシクロペンテン(原料)が1.0
%含まれていたと記載されている。
【0008】かかる従来の1−クロロヘプタフルオロシ
クロペンテンの製造方法は、いずれも1,2−ジクロロ
ヘキサフルオロシクロペンテンを原料として用いてい
る。また、該原料化合物は、パークロロシクロペンタジ
エンを出発原料として公知の方法により、塩素原子をフ
ッ素化して製造されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パーク
ロロシクロペンタジエンから1,2−ジクロロヘキサフ
ルオロシクロペンテンを得る置換反応は、逐次反応で進
行するために複雑な反応組成となり、生成する1,2−
ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンの精製が難し
く、従って、高純度な1,2−ジクロロヘキサフルオロ
シクロペンテンを得て、これを原料として用い1−クロ
ロヘプタフルオロシクロペンテンを製造する方法は、コ
スト高になるという問題があった。また、純度が低い
1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを原料
として、金属フッ化物と反応させて1−クロロヘプタフ
ルオロシクロペンテンを得ようとすると、反応組成が複
雑となるため、目的物の単離精製が極めて困難になると
いう問題があった。
【0010】このような従来技術の問題点に鑑み、本発
明の目的は、原料として高純度な1,2−ジクロロヘキ
サフルオロシクロペンテンを用いることなく、工業的有
利に、しかも精製が容易な1−クロロヘプタフルオロシ
クロペンテンを製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成すべく、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテ
ンの製造方法について鋭意検討を重ねた結果、各種のク
ロロフルオロシクロペンテンの混合物を用いても、特定
の反応条件を採用することにより、1−クロロヘプタフ
ルオロシクロペンテンと2種類の副生成物が特異的に得
られること、そして1−クロロヘプタフルオロシクロペ
ンテンとこれら2種類の副生成物の分離精製が容易であ
ることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0012】かくして、本発明によれば、極性溶剤と非
極性溶剤からなる混合溶剤系の存在下に、少なくとも2
種の上記式1で表わされるクロロフルオロシクロペンテ
ンの混合物と金属フッ化物を反応せしめて該クロロフル
オロシクロペンテン混合物をフッ素化し、反応により副
生する上記式4で表わされる1,3−ジクロロ−2,3,
4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンおよび上
記式3で表わされる1,4−ジクロロ−2,3,3,4,5,
5−ヘキサフルオロシクロペンテンを粗生成物から除去
することを特徴とする上記式2で表わされる1−クロロ
ヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法が提供され
る。少なくとも2種のクロロフルオロシクロペンテンの
混合物は、5〜95重量%の1,2−ジクロロヘキサフ
ルオロシクロペンテンを含有することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】(クロロフルオロシクロペンテン
の混合物)本発明の製造方法においては、少なくとも2
種の前記式1で表わされるクロロフルオロシクロペンテ
ンの混合物が反応原料として用いられる。クロロフルオ
ロシクロペンテンは、シクロペンテン骨格を有し、2つ
の不飽和結合炭素(1位および2位)のそれぞれに塩素
原子が1つ置換し、残る3つの飽和結合炭素(3位、4
位および5位)に水素原子が結合せず、フッ素原子がx
個(x=3〜6)結合し、塩素原子が(6−x)個結合
していれば特に限定されない。
【0014】かかるクロロフルオロシクロペンテンとし
ては、例えば、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロ
ペンテン、1,2,3−トリクロロペンタフルオロシクロ
ペンテン、1,2,4−トリクロロペンタフルオロシクロ
ペンテン、1,2,3,4−テトラクロロテトラフルオロ
シクロペンテン、1,2,3,3,4−ペンタクロロトリフ
ルオロシクロペンテンなどが挙げられる。
【0015】これらのクロロフルオロシクロペンテン
は、2種以上の混合物として用いられる。混合割合は特
に限定されないが、混合物の全重量に基づいて1,2−
ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンの含量が好まし
くは5〜95重量%であり、より好ましくは10〜93
重量%、特に好ましくは20〜90重量%である。原料
混合物の製造方法は特に限定されず、例えば、パークロ
ロシクロペンタジエンを出発原料として公知の方法で製
造することができる。
【0016】(金属フッ素化物)本発明で用いられる金
属フッ化物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ
土類金属、遷移金属などのフッ化物が挙げられる。好ま
しくはアルカリ金属フッ化物である。アルカリ金属フッ
化物の具体例としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリ
ウム、フッ化リチウムなどが挙げられる。なかでもフッ
化カリウムが好ましい。これらの金属フッ化物は単独で
使用してもよく、または2種以上組合せて使用してもよ
い。
【0017】金属フッ化物の使用量は、原料として用い
るクロロフルオロシクロペンテンの混合物中に存在する
塩素原子の合計(モル原子換算)を、該原料のモル数で
割った値から、目的生成物中に残される塩素原子の最小
値である1を差し引いた数値を1当量とした場合に、好
ましくは1.1〜2.0倍当量、より好ましくは1.2〜
1.5倍当量である。なお、本発明の方法では、原料混
合物に対して過剰量の金属フッ化物を用いても、フッ素
置換反応が過度に進行し難いので、完全フッ素化物であ
るパーフルオロシクロペンテンの副生は極めて微量であ
る。
【0018】(反応溶剤)本発明において使用される反
応溶媒は、極性溶剤と非極性溶剤の混合溶剤であること
が必須である。極性溶剤としては、通常、非プロトン性
極性溶剤が用いられる。かかる非プロトン性極性溶剤の
具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N
−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,
N’−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシ
ド、スルホランなどが挙げられる。
【0019】非極性溶剤としては、通常、前記極性溶剤
と相溶性がある炭化水素系溶剤が用いられる。かかる非
極性溶剤の具体例としては、シクロペンタン、シクロヘ
キサン、シクロオクタン、デカリンなどの脂環式炭化水
素;ベンゼン、トルエン、キシレン(オルト、メタ、パ
ラ)、エチルベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの芳香
族炭化水素などが挙げられるが、芳香族炭化水素が好ま
しい。これらの極性溶剤と非極性溶剤の組合わせは、特
に限定されないが、N,N−ジメチルホルムアミドとト
ルエンの組合わせが好ましい。
【0020】使用する極性溶剤と非極性溶剤の量比(体
積比)は、特に限定されないが、極性溶剤の使用量を1
体積部としたとき、非極性溶剤の使用量は、通常0.5
〜1.5体積部であり、好ましくは0.8〜1.2体積部
である。非極性溶剤の使用量が過度に少ないとパーフル
オロシクロペンテンが副生し易くなる。また非極性溶剤
の使用量が過度に多すぎると反応速度が遅くなる。極性
溶剤と非極性溶剤とからなる混合溶剤の使用量は、前記
フッ化金属100重量部に対して、通常、100〜1,
000重量部、好ましくは120〜600重量部、より
好ましくは150〜300重量部である。
【0021】(フッ素化反応)フッ素化反応の反応温度
は、20〜200℃の範囲で適宜選択できるが、50〜
150℃が好ましく、80〜130℃がより好ましい。
反応時間は、通常0.5〜30時間、好ましくは2〜2
0時間である。反応方法および装置は、特に限定されな
いが、バッチ方式または原料を連続的に反応容器へ供給
し、反応生成物を反応容器から抜出す連続方式が採用さ
れる。
【0022】バッチ方式で反応を行う場合は、反応終了
後、工業的に通常用いられる蒸留装置により精製操作を
施して、目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペ
ンテン(式2)の留分(沸点56℃)と、反応により特
異的に副生する1,3−ジクロロヘキサフルオロシクロ
ペンテン(式4)および1,4−ジクロロヘキサフルオ
ロシクロペンテン(式3)を含む留分(沸点約89℃)
を別々に単離することができる。
【0023】また、連続方式で反応を行う場合は、精留
塔を装備した反応容器を用い、金属フッ化物を分散させ
た反応溶剤中で反応させることが好ましい。この際に
は、精留塔の塔頂部より目的とする1−クロロヘプタフ
ルオロシクロペンテンの留分と、反応により特異的に副
生する1,3−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン
および1,4−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン
を含む留分を別々に得ることができる。
【0024】このように本発明の製造方法によると、目
的物と特異的に副生する化合物の沸点が大きく異なるの
で、反応粗生成物から副生物である1,3−ジクロロヘ
キサフルオロシクロペンテンおよび1,4−ジクロロヘ
キサフルオロシクロペンテンを除去して、目的とする1
−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを得ることがで
きる。
【0025】本発明の方法で製造される1−クロロヘプ
タフルオロシクロペンテンは、洗浄剤または溶剤として
用いられる1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシク
ロペンタン、新しいエッチング剤として注目されている
オクタフルオロシクロペンテンなどの5員環構造を有す
る含フッ素化合物の合成中間体として有用である。
【0026】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によってその範囲を限
定されるものではない。なお、ガスクロマトグラフィー
(GC)分析はHitachi263−70を使用し
た。カラムはGLサイエンス社製のNeutrabon
d Capillary Column(長さ60m、
内径2.5mm)を用いた。キャリアーガスとして窒素
を100ml/分の流量で流した。スプリット比は10
0とした。
【0027】実施例1 滴下ロート、精留塔、温度計および撹拌装置を装備した
3リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下においてフ
ッ化カリウム597.0g(10.3モル)およびN,N
−ジメチルホルムアミド480mlとトルエン720m
lの混合液を仕込んだ。滴下ロートには、55.5%の
1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン、31.
4%のトリクロロペンタフルオロシクロペンテン類およ
び12.5%のテトラクロロテトラフルオロシクロペン
テンからなる原料混合物を1580.0g(6.22モ
ル)仕込んだ。精留塔塔頂部に備え付けたジムロート冷
却器に−10℃の冷媒を流し、−70℃に冷却した留分
トラップを冷却器の出口部に接続した。
【0028】フラスコを油浴に浸し、内容物を攪拌しな
がら加熱した。フラスコ内温度が130℃に昇温後、5
時間にわたって継続的に前記原料混合物を滴下した。反
応開始から2時間経過後、精留塔塔頂部の温度が目的物
の沸点(56℃)になって安定した。その時点から塔頂
部の温度が110℃まで上昇するまでの間(反応開始か
ら約13時間)、断続的に反応生成物の抜き出しを行っ
た結果、2種類の留分が得られた。
【0029】各留分をGC分析したところ、沸点56℃
の留分1は、目的とする1−クロロヘプタフルオロシク
ロペンテンであった(977.1g、4.28モル、収率
68.8%)。沸点約89℃の留分2は、副生成物の1,
3-ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンおよび1,4
−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン(262.2
g、1.07モル、収率17.2%)と、原料混合物中に
含まれていた1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペ
ンテン(26.6g、0.11モル、回収率1.7%)の
混合物であった。
【0030】比較例1 実施例1において反応溶媒として用いたN,N−ジメチ
ルホルムアミドとトルエンからなる混合液の全量をN,
N−ジメチルホルムアミドに代えたほかは、実施例1と
同様に反応および生成物の抜き出しを行なった。得られ
た2種類の留分をGC分析した結果、沸点56℃の留分
1は、目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペン
テンは33%に過ぎず、その余はGC分析のピーク位置
から3位、4位または5位の飽和結合炭素に塩素が1つ
置換したと推定される蒸留で分離不可能な異性体の混合
物であった。また、沸点が約89℃の留分2は、未反応
物である1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテ
ン30%を含む多くの異性体混合物であった。
【0031】実施例2 実施例1と同様に反応容器にフッ化カリウム500.0
g(8.6モル)およびN,N−ジメチルホルムアミド5
00mlとトルエン500mlの混合液を仕込んだ。滴
下ロート内には、72.1%の1,2−ジクロロヘキサフ
ルオロシクロペンテン、20.7%のトリクロロペンタ
フルオロシクロペンテン類および5.4%のテトラクロ
ロテトラフルオロシクロペンテン類からなる原料混合物
を1498.0g(6.0モル)仕込んだ。
【0032】実施例1と同様に反応させて得られた2種
類の留分をGC分析した結果、沸点56℃の留分1は、
目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンで
あった(1105.9g、4.8モル、収率80.7%)。
沸点約89℃の留分2は、副生成物の1,3-ジクロロヘ
キサフルオロシクロペンテンおよび1,4−ジクロロヘ
キサフルオロシクロペンテン(151.9g、0.62モ
ル、収率10.3%)であった。なお、この留分2のG
C分析では、原料混合物中に含まれていた1,2−ジク
ロロヘキサフルオロシクロペンテンのピークは認められ
なかった。
【0033】実施例3 実施例1と同様に反応容器にフッ化カリウム550.0
g(9.5モル)、N,N−ジメチルホルムアミド450
mlとトルエン675mlの混合液を仕込んだ。滴下ロ
ート内には、86.3%の1,2−ジクロロヘキサフルオ
ロシクロペンテン、8.1%のトリクロロペンタフルオ
ロシクロペンテン類からなる原料混合物を2083.1
g(8.5モル)仕込んだ。
【0034】実施例1と同様に反応させて得られた2種
類の留分をGC分析した結果、沸点56℃の留分1は、
目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンで
あった(1751.6g、7.65モル、収率89.1
%)。沸点約89℃の留分2は、副生成物の1,3-ジク
ロロヘキサフルオロシクロペンテンおよび1,4−ジク
ロロヘキサフルオロシクロペンテン(22.5g、0.0
9モル、収率1.1%)であった。なお、この留分2の
GC分析では、原料混合物中に含まれていた1,2−ジ
クロロヘキサフルオロシクロペンテンのピークは認めら
れなかった。
【0035】実施例4 実施例3のトルエンをp−キシレンに代え、生成物の反
応系外への抜き出し温度(精留塔の塔頂部温度)の範囲
を56〜138℃に変更したほかは、実施例3と同様に
操作した。得られた2種類の留分をGC分析した結果、
沸点56℃の留分1は、目的とする1−クロロヘプタフ
ルオロシクロペンテンであった(1699.1g、7.4
2モル、収率86.4%)。沸点約89℃の留分2は、副
生成物の1,3-ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン
および1,4−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン
(47.3g、0.19モル、収率2.3%)であった。
なお、この留分2のGC分析では、原料混合物中に含ま
れていた1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテ
ンのピークは認められなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明の方法によって、少なくとも2種
のクロロフルオロシクロペンテンの混合物と金属フッ化
物とを反応せしめると、目的とする1−クロロヘプタフ
ルオロシクロペンテンとともに、1,3−ジクロロ−2,
3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンおよび
1,4−ジクロロ−2,3,3,4,5,5−ヘキサフルオロ
シクロペンテンが特異的に副生するが、目的化合物とこ
れら2種類の副生物とは容易に精製分離することができ
る。従って、高純度の目的物が工業的有利に得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金 伊男 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 (72)発明者 間瀬 隆信 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 (72)発明者 関屋 章 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC30 AD11 BB11 BB20 BB23 BB42 BB43 BC33 BE61 BE62 EA15

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極性溶剤と非極性溶剤からなる混合溶剤
    系の存在下に、少なくとも2種の下記式1で表わされる
    クロロフルオロシクロペンテンの混合物と金属フッ化物
    を反応せしめて該クロロフルオロシクロペンテン混合物
    をフッ素化し、反応により副生する下記式4で表わされ
    る1,3−ジクロロ−2,3,4,4,5,5−ヘキサフルオ
    ロシクロペンテンおよび下記式3で表わされる1,4−
    ジクロロ−2,3,3,4,5,5−ヘキサフルオロシクロ
    ペンテンを粗生成物から除去することを特徴とする下記
    式2で表わされる1−クロロヘプタフルオロシクロペン
    テンの製造方法。 【化1】 (式1中のxは3〜6の整数である)
  2. 【請求項2】 前記クロロフルオロシクロペンテンの混
    合物が、5〜95重量%の1,2−ジクロロヘキサフル
    オロシクロペンテンを含有することを特徴とする請求項
    1記載の製造方法。
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