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JP2001119778A - 響胴放射型スピーカ - Google Patents

響胴放射型スピーカ

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JP2001119778A
JP2001119778A JP30051199A JP30051199A JP2001119778A JP 2001119778 A JP2001119778 A JP 2001119778A JP 30051199 A JP30051199 A JP 30051199A JP 30051199 A JP30051199 A JP 30051199A JP 2001119778 A JP2001119778 A JP 2001119778A
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孝志 氏原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自然音に極めて近く、指向性のない音響効果
を呈する響胴放射型スピーカを得る。 【構成】 中音域用響板51及び低音域用響板52を響
胴10の前面に張り付け、響胴10の内部に立設された
支柱13に高音域用音源20,中音域用音源30及び低
音域用音源40を直接又は間接に固定している。高音域
用音源20は、磁気回路で励起されるボイスコイル21
を起振ボックス22に内蔵し、起振ボックス22の前面
に張り付けた高音域用響板53にボイスコイル21を固
定している。中音域用音源30及び低音域用音源40
は、それぞれのボイスコイル31,41を中音域用響板
51及び低音域用響板52に固定している。 【効果】 響板51,52の振動,響胴10の表面振動
及び響胴10内部の空気振動により響胴10が1種の楽
器として働き、極めて自然音に近く臨場感の溢れる音響
効果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、響胴の一部を構成する
響板を直接加振することにより自然音に極めて近い音響
を再生するスピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】音響機器に使用されているスピーカとし
ては、コーン等の振動板の振動を導電型等の駆動方式に
よって直接放射或いはホーン式で放射し、電気エネルギ
を音響エネルギに変換している。そのため、スピーカか
ら放射される音波に指向性があり、聴く位置がスピーカ
との関連で特定される。また、再生周波数帯域の幅を広
くするために、高音域用,中音域用,低音域用を組み合
わせた複合型スピーカシステムにしている。各音域用の
スピーカの組合せにより平坦な周波数特性の音響が得ら
れるが、コーン等の振動板から得られる音波は空気音で
あり、依然として自然音に比較すると違和感があり、特
に音質に敏感な音楽愛好家や音楽専門家の要求を十分に
満足するまでには至っていない。また、高音域用,中音
域用,低音域用にそれぞれ専用のスピーカを組み合わせ
ているが、個々のスピーカから聞こえる音質が微妙に異
なるため、耳の肥えた視聴者には耳障りな印象を与えか
ねない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本発明者
は、聴覚障害者用に音の世界を感じ取ってもらうことを
目的として、振動知覚トレーニング用共鳴箱を開発し、
特開平10−277081号公報として紹介した。提案
した振動知覚トレーニング用共鳴箱は、図1に示すよう
に、内部が空洞になった起振ボックス本体1の底板2に
磁気回路3を固定し、磁気回路3にボイスコイル4を嵌
挿させている。底板2は、一端が起振ボックス本体1か
ら突出しており、外部に接続される信号端子5が底板2
の突出部に設けられている。ボイスコイル4は、起振ボ
ックス本体1に振動を直接伝えるように表板6に固定さ
れている。信号端子5を介して外部から音情報が磁気回
路3に入力されると、入力信号に従って磁気回路3でボ
イスコイル4が励起され、起振ボックス本体1の表板6
を直接振動させる。表板6の振動は手等に振動として知
覚されると同時に音波として放射される。この音波は共
鳴箱の振動に起因する固体音として放射され、共鳴箱自
体が1種の楽器として働くので、極めて自然音に近い音
響が得られる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、先願で提案し
た起振ボックスの長所を活用し、低音域用,中音域用,
高音域用の各音源を一つの響胴に組み込み、響胴を構成
する響板の振動及び響胴内部の空気振動により、低音,
中音,高音が実質的に同じ音質で連続し、従来にない高
品質の音響を再生できるスピーカを提供することを目的
とする。
【0005】本発明のスピーカは、その目的を達成する
ため、中音域用響板及び低音域用響板を前面に張り付け
た響胴と、響胴の内部に立設された支柱に直接又は間接
に固定された高音域用音源,中音域用音源及び低音域用
音源とを備えている。高音域用音源は、磁気回路で励起
されるボイスコイルを起振ボックスに内蔵させ、起振ボ
ックスの前面に張り付けた高音域用響板にボイスコイル
が固定された構造をもつ。中音域用音源及び低音域用音
源のボイスコイルは、中音域用響板及び低音域用響板に
それぞれ固定されている。
【0006】中音域用響板及び低音域用響板は、連続し
た音響を得る上で、相互に接続された状態で響胴の前面
に張り付けることが好ましい。中音域用響板及び低音域
用響板の共振は、支柱に設けられたスプリングから前方
に突出するピンを中音域用響板及び低音域用響板の共振
点に当接させることにより抑制できる。高音域用響板の
共振も、起振ボックスの前面両縁に両端を固定したスプ
リングから突出するピンを高音域用響板の共振点に当接
することにより抑制できる。響板の共振抑制には、制振
テープを使用しても良い。響胴の側面に響板を張り付け
ることも可能である。この場合、波型の側部響板を使用
すると、響胴内の定在波を防止できる。側部響板として
は比較的薄い板材が使用されるため,適宜の補強部材を
響胴の内部に組み込む。
【0007】
【実施の形態】本発明に従ったスピーカは、たとえば図
2に示すように響胴10の内部に高音域用音源20,中
音域用音源30及び低音域用音源40を配置している。
各音源20,30,40としては、磁気回路にボイスコ
イルを嵌挿した通常の音源が使用される。響胴10は、
台座11に立設した支脚12で支持され、前面に中音域
用響板51及び低音域用響板52が張られている。台座
11には,更に一対の支柱13が立設されている。支柱
13は,響胴10の内部を垂直方向に延び,響胴10の
天板14に上端が固定されている。
【0008】高音域用音源20は、支柱13に固定さ
れ、高音域用響板53に固定したボイスコイル21を起
振ボックス22に内蔵させている。中音域用音源30
は,同じく支柱13或いは一対の支柱13,13に取り
付けられた固定板17(図4a)に固定され、中音域用
響板51にボイスコイル31が固定されている。低音域
用音源40も同じく支柱13又は固定板17に固定さ
れ,低音域用響板52にボイスコイル41が固定されて
いる。なお、低音域用音源40は、重厚な低音域の音質
を再生するため、必要に応じて複数個配置する。このよ
うに、振動発生源である各音源20,30,40をカウ
ンタウェイトとして働く支柱13に固定しているため、
音源20,30,40から響板51,52,53に効率
よく振動が伝達される。また、支柱13を響胴10の内
部に配置しているので、響胴10の側面が開放され、ス
ピーカの設計自由度も向上する。
【0009】中音域用音源30及び低音域用音源40
は、ボイスコイル31,ボイスコイル41を介して音波
振動を中音域用響板51及び低音域用響板52それぞれ
に直接伝達し、中音域用響板51及び低音域用響板52
の振動によって音波を放出する。高音域用音源20で
は、ボイスコイル21を介して高音域用響板53を振動
させる。高音域用響板53は、高音域用音源20を構成
する起振ボックス22(図4b)の前面に張り付けられ
ている。
【0010】このように響胴10を構成する響板51,
52及び高音域用響板53の振動により音波が放出され
るため、低音域から高音域にかけて不連続性がなく、響
胴10自体の表面振動及び響胴10内部の空洞振動が相
俟って響胴10が1種の楽器として働き、自然に極めて
近い音質が再生される。また、響板51,52,53に
同材質の板材を使用するとき、低音域から高音域まで同
じ音質の音波が放出される。響板51〜53には、音情
報を含む電気信号を振動に変換することから比動的ヤン
グ率が大きく、音の伝播速度が速く、且つ内部損失が小
さくて響きの良い材質が使用される。たとえば、木板,
セラミック板,ガラス板,硬質プラスチック,金属板等
がある。木質の響板では湿気による膨潤を低減し、安定
した音質を得るため、化学処理した板材の使用が好まし
い。この種の化学処理としては、レゾルシンホルムアル
デヒド処理,低分子量フェノール含浸処理等がある。化
学処理により、響板51〜53の比動的ヤング率が向上
し、内部損失が減少するため、響きの良い音質が得られ
る。また、響板51,52に金属板や織布を使用し、或
いは貼り付けると、独特の音色で響胴10を振動させる
ことができる。低音域用響板52には、固有振動数を小
さくするため、中音域用響板51に比較して薄い板材の
使用が好ましい。
【0011】響胴10の側壁を響体として使用すること
も可能である。この場合、響板51,52と同様な材質
の響板が響胴10の側部に張り付けられる。側部の響板
としては、図3に示すように内側に向けて波型に成形し
た響板54が好ましい。側部響板54は、響板51,5
2又は背板15に一側が固着された傾斜側板55,55
の間に設けられる。波型の側部響板54は、特定周波数
の音波を強調する平行面がないため、波型形状のために
強度が高くなると共に響胴10内に発生する定在波を防
ぐ作用を呈する。
【0012】側部響板54及び傾斜側板55には、響板
51,52と同様に薄い板材が使用されるため補強する
ことが好ましい。補強手段としては、たとえば響胴10
の上下方向に延びる補強リブ56を側部響板54の波形
部に内側からあてがい、響胴10の上下方向に関して適
宜の位置で水平方向に延びる単数又は複数の梁57で補
強リブ56を支持する構造が採用される。ボイスコイル
31,41で響板51,52を直接加振するとき、固有
振動の関係で響板51,52が共振し、大きい振幅でビ
ビリ等の異常音が放出されることがある。このような共
振は、響板51,52の振動を弾性体や制振テープ等で
吸収することにより抑制される。
【0013】弾性体を使用した具体的な制振構造を図4
(a)に示す。先ず、響板51,52の共振点を特定
し、スプリング61の中央部に設けたピン62が緩衝材
63を介して響板51,52の共振点に当接するよう
に、支柱13,13の間にスプリング61を差し渡す。
響板51,52の共振はピン62を介してスプリング6
1に伝達され、スプリング61の弾性変形として吸収さ
れるため、共振に起因する大きな振幅が減少する。図4
(a)ではスプリング61として板バネを図示している
が、板バネに代えてコイルバネを使用することも可能で
ある。なお、符番17は、中音域用音源30及び低音域
用音源40を取り付けるための固定板を示す。
【0014】高音域用音源20に対しても、同様な制振
構造を組み込むことができる。すなわち、図4(b)に
示すように、高音域用響板53を跨ぐスプリング65の
両端を起振ボックス22の前方両縁に固定する。スプリ
ング65の中央部にはピン66が設けられており、緩衝
材67を介してピン66の先端が高音域用響板53の共
振点に当接する。高音域用音源20の起振ボックス22
は比較的小型であることから、高音域用響板53の共振
点及びその近傍に制振テープを貼り付けた簡単な構造に
よっても、高音域用響板53の共振を抑制できる。側部
響板54に対しても、同様な制振構造を組み込むことが
できる。この場合には、側部響板54と補強リブ56と
の間に弾性体,制振テープ等を介在させる手段が採用さ
れる。
【0015】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の響胴放
射型スピーカは、響胴の表面振動及び響胴内部の空気振
動によって固体音として音波を放射させる方式であるた
め、1種の楽器となって働き、低音域から高音域にわた
る広範囲の帯域において極めて自然音に近く澄んだ音響
が再生される。しかも、指向性が広く放射効率が良いた
め、スピーカに対する視聴者の位置関係が緩和され、ど
の位置からでも臨場感に溢れ優れた音質の音響を楽しむ
ことができ、視聴者の受ける印象は臨場感の高いものと
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明者が先に提案した起振箱
【図2】 本発明に従ったスピーカの内部構造を示す側
断面図
【図3】 響胴の側部に側部響板を張り付けたスピーカ
の平断面図(a)及び側部響板を響胴内側から見た斜視
図(b)
【図4】 中音域用響板,低音域用響板を響胴内側から
見た制振機構の斜視図(a)及び制振機構を備えた起振
ボックスの斜視図(b)
【符号の説明】
10:響胴 11:台座 12:支脚 14:天
板 15:背板 17:固定板 20:高音域用音源 21:ボイスコイル 22:
起振ボックス 30:中音域用音源 31:ボイスコイル 40:低音域用音源 41:ボイスコイル 51:中音域用響板 52:低音域用響板 53:
高音域用響板 54:側部響板 55:傾斜側板
56:補強リブ 57:梁 61,65:スプリング 62,66:ピン 6
3,67:緩衝材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年10月22日(1999.10.
22)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中音域用響板及び低音域用響板を前面に
    張り付けた響胴と、響胴の内部に立設された支柱に直接
    又は間接に固定された高音域用音源,中音域用音源及び
    低音域用音源とを備え、高音域用音源は磁気回路で励起
    されるボイスコイルを起振ボックスに内蔵させ、起振ボ
    ックスの前面に張り付けた高音域用響板にボイスコイル
    が固定された構造をもち、中音域用音源及び低音域用音
    源は磁気回路で励起されるボイスコイルが中音域用響板
    及び低音域用響板にそれぞれ固定されていることを特徴
    とする響胴放射型スピーカ。
  2. 【請求項2】 中音域用響板及び低音域用響板が相互に
    接続されて響胴の前面に張り付けられている請求項1記
    載の響胴放射型スピーカ。
  3. 【請求項3】 支柱に設けられたスプリングから前方に
    突出するピンが中音域用響板及び低音域用響板の共振点
    に当接している請求項1記載の響胴放射型スピーカ。
  4. 【請求項4】 起振ボックスの前面両縁に両端を固定し
    たスプリングから突出するピンが高音域用響板の共振点
    に当接している請求項1記載の響胴放射型スピーカ。
  5. 【請求項5】 響胴の側面に波型の側部響板を張り付け
    ている請求項1記載の響胴放射型スピーカ。
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