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JP4468075B2 - スピーカ - Google Patents

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JP4468075B2 JP2004163668A JP2004163668A JP4468075B2 JP 4468075 B2 JP4468075 B2 JP 4468075B2 JP 2004163668 A JP2004163668 A JP 2004163668A JP 2004163668 A JP2004163668 A JP 2004163668A JP 4468075 B2 JP4468075 B2 JP 4468075B2
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Description

本発明は、独立したスピーカユニットや電子楽器などに用いられ、音を放音するスピーカに関する。
従来の一般的なスピーカは、その振動板を振動させることによって、音を放音する。振動板としては、加えられた振動がその内部を伝播する際、伝播速度が大きく且つ適度な内部損失があることが望ましい。振動板がこのような振動特性を有している場合には、通常、聴取者は、スピーカから放音される音を、より自然で違和感のないものとして認識する。このような振動特性を有する材質として、木材が最適であるとされており、振動板に木材を利用したスピーカとして、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。
特許文献1には、スピーカシステムが開示されており、このスピーカシステムは、ボックス状のエンクロージャと、その内部に配置された円形コーンスピーカによって構成されている。円形コーンスピーカは、通常のコーン形スピーカと同様、円錐台形状の外側振動板と、その内周部に装着された内側振動板と、これらを振動させるための電磁式のアクチュエータなどを有している。また、この特許文献1では、両振動板は、木材薄板によって構成されており、前述したように優れた振動特性を有していることにより、この円形コーンスピーカから放音される演奏音の音色を、生楽器の演奏音の音色に近づけることができる。
上述した特許文献1のスピーカシステムには、以下のような問題がある。すなわち、円形コーンスピーカは、既存のコーン形スピーカで響板として用いられるクラフト紙を木材で置換したものであり、他の構成は、基本的には通常のコーン形スピーカを踏襲している。したがって、スピーカの中心から半径方向外方への振動の伝播速度が、すべての方向で等しいため、振動板に定在波が発生したり、エンクロージャとの間に共振現象が発生したりすることにより、スピーカシステムの音響特性に悪影響を与え、聴取者が、放音された音に違和感を感じるおそれがある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、構成が単純で、より優れた音響特性を有し、生楽器の演奏音に近い自然な音を放音することができるスピーカを提供することを目的としている。
特開平6−178386号公報 (第3,4頁、第3図)
この目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、ケースと、ケースに固定された振動板取付け部と、木材によって構成され、曲面形状になるような張りを付与された状態で、所定の1つの方向において互いに対向する両端部が振動板取付け部を介してケースに固定された振動板と、振動板における中央部以外の部位に設けられ、振動板を振動させることによって音を放音させる振動子と、振動板に張りを付与するために、振動板における振動子が設けられた部位以外の部位を押圧するように設けられた押圧部と、を備えていることを特徴とする。
このスピーカによれば、木材によって構成された振動板が、曲面形状になるような張りを付与された状態で、1つの方向において互いに対向する振動板の両端部が振動板取付け部を介してケースに固定されている。また、この振動板には、その中央部以外の部位に、これを振動させることによって、音を発生させる振動子が設けられている。このような構成のスピーカによれば、振動板が、前述したように優れた振動特性を有する木材で構成されていることにより、自然で違和感のない音を放音することができる。
また、振動板は、もともと優れた振動特性を有する木材で構成されていることに加え、張りを与えられていることにより、振動子によって効率的に振動させられる。したがって、スピーカからは、めり張りのある大きな音を放音することができる。また、このスピーカは、上述したように構成が非常に単純であるため、放音する音にノイズが混入し難く、優れた音響特性を得ることができるとともに、メンテナンスを容易に行うことができる。
さらに、振動板が、振動子が設けられた部位以外の部位において押圧部で押圧されることにより、常時、張りを付与された状態に確実に維持される。したがって、上述した効果を確実に得ることができる。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載のスピーカにおいて、押圧部が、振動板の中央部を押圧するように設けられていることを特徴とする。
このスピーカによれば、押圧部が、振動板の中央部を押圧するように設けられている。
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のスピーカにおいて、振動板は、互いに独立した複数の振動板によって構成され、振動子は、複数の振動板にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
このスピーカは、互いに独立した複数の振動板を有しており、これらの振動板にそれぞれ設けられた振動子によって、各振動板が独立して振動することにより、音が発生する。すなわち、複数の振動板が設けられていることにより、例えば、振動板ごとに互いに異なる周波数特性を設定することができ、それにより、放音させるべき音に応じて、その音に適した周波数特性を有する振動板を選択的に振動させたり、複数の振動板を同時に振動させたりすることによって、低音域から高音域の音をバランスよく放音することができる。
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のスピーカにおいて、電子楽器に内蔵され、電子楽器の演奏に伴い、演奏音を放音することを特徴とする。
このスピーカは、電子楽器に内蔵された状態で用いられ、電子楽器の演奏に伴い、その演奏音を放音する。前述したように、このスピーカは非常に単純な構成を有していることにより、そのサイズや形状にある程度の自由度を有している。したがって、比較的、容易に電子楽器に組み込むことができる。また、このスピーカが優れた音響特性を有していることにより、例えば、このスピーカを電子ピアノに内蔵した場合には、その演奏音を、アコースティックなピアノの演奏音により近づけることができるなど、生楽器の演奏音により近い演奏音を有する電子楽器を得ることができる。
本発明の請求項5に係る発明は、請求項4に記載のスピーカにおいて、電子楽器は、複数の鍵を有する電子鍵盤楽器であり、振動板は、電子鍵盤楽器の複数の鍵の低音域と高音域の間に延びるように配置されるとともに、低音域と高音域の間で、互いに異なる振動特性を有することを特徴とする。
このスピーカは、電子鍵盤楽器に内蔵されており、その振動板は、電子鍵盤楽器の鍵盤の低音域と高音域の間に延びるように配置されている。また、振動板の低音域側と高音域側とは、互いに異なる振動特性を有している。このような構成によれば、押鍵した鍵の音域に応じて、振動板の低音域側と高音域側のいずれかを振動させたり、双方を振動させたりすることなどにより、振動板から放音される音の周波数成分を変化させ、それにより、特定の音域の演奏音を強調するなど、演奏音を変化させることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を説明する。図1〜3は、本発明の第1実施形態によるスピーカ1を含むスピーカユニット2を示している。このスピーカユニット2は、電子楽器やオーディオ機器(ともに図示せず)などの音声再生装置に接続した状態で使用される独立タイプのものであり、スピーカ1と、これを内部に収容したケース3などによって構成されている。
ケース3は、縦長で前方に開放したボックス状に構成されており、左右の側板4,4、天板5、底板6、および背板7などを有している。また、スピーカ1は、振動板8と、この振動板8を取り付けるための上下2つの振動板取付け部9,9と、振動板8に後述する擬似ムクリを付与するための振動板支持棒10(押圧部)と、振動板8を振動させることにより、音を放音させるための例えば2つの電磁式アクチュエータ11,11(振動子)などによって構成されている。
振動板取付け部9,9は、ケース3の天板5および底板6の内面の前端部に、それぞれ固定されている。各振動板取付け部9は、断面矩形の棒状に形成されており、左右方向に延びている。また、振動板8は、例えば、シトカスプルース、エゾマツ、ドイツトウヒ、スイスパインや、マホガニーなどの天然木材の単板で構成されている。また、振動板8は、縦長の方形に形成され、所定の厚さを有しており、例えば、高さ500〜1500mm、幅50〜500mm、厚さ4〜10mmの範囲のサイズを有している。このような振動板8は、その上端部および下端部において、上下の振動板取付け部9,9の前面に取り付けられており、それにより、振動板8がケース3の開口に嵌め込まれ、外観上、この開口をほぼ覆った状態になっている。
振動板支持棒10は、振動板8の後方かつ上下方向の中央に配置され、左右の側板4,4の間にわたって延びており、左右の端部において、例えば外方から左右の側板4,4を介してそれぞれねじ込まれたねじ(図示せず)によって、側板4,4に固定されている。図3に示すように、この振動板支持棒10は、前面が凸状の曲面形状を有しており、このような前面が、振動板8の後面を押圧するように配置されている。振動板8は、振動板支持棒10による押圧によって前方に撓んでおり、中央付近の撓み量は、押圧がない場合の平面状態に対して、例えば1〜10mm程度である。それにより、振動板8全体が、グランドピアノの響板に形成されるムクリに近似した前方にわずかに凸の曲面形状に形成されており、このような振動板8の擬似ムクリによって、振動板8に張力が常時、作用した(張りが付与された)状態になっている。この場合の振動板8の張力は、振動板支持棒10と振動板取付け部9,9の前後方向の相対的な位置関係に応じて決定される。
なお、振動板支持棒10に代えて、図4に示すように、変形例による振動板支持棒12(押圧部)を用いてもよい。この振動板支持棒12も、振動板8の上下方向の中央に配置されており、左右の側板4,4の間にわたって延びる支持棒本体13と、この支持棒本体13に左右方向(同図の奥行方向)に並ぶように形成された複数の凹部13a(1つのみ図示)と、各凹部13aに収容され、前方に突出する複数のばね14(1つのみ図示)を有している。このような振動板支持棒12によれば、振動板8は、複数のばね14によって前方に付勢され、それにより、振動板支持棒10の場合と同様、振動板8に擬似ムクリが生じ、全体に張力が作用した状態に維持される。
前述したように、振動板8によってケース3の開口が覆われていることにより、振動板8の仕上げが、スピーカユニット2の外観に大きな影響を及ぼす。したがって、振動板8の前面には、例えば塗装などによって、化粧仕上げが施されている。また、振動板8に化粧仕上げを施さない場合には、必要に応じて、例えばサランネット15によってスピーカユニット2の前部を覆うことにより、その外観が整えられる(図3参照)。
電磁式アクチュエータ(以下、単に「アクチュエータ」という)11,11は、振動板8の後面に取り付けられている。各アクチュエータ11は、周知の構成のものであり、例えば、インピーダンス8Ω、定格入力20W、直径が約90mmのものである。このようなアクチュエータ11を取り付ける場合、振動板8の長さ方向の端から、その長さの1/6〜1/3程度の位置に配置するのが、音響上、好ましいことが確認されている。このため、本実施形態では、アクチュエータ11,11は、振動板8の上端および下端から、その高さの1/6の位置にそれぞれ配置されている。また、このようなアクチュエータ11,11は、スピーカユニット2に接続された電子楽器などによって生成された信号が入力されることにより駆動され、その信号に応じて振動板8を振動させる。それにより、信号に応じた音が振動板8から放音される。
図5のaは、上述したスピーカ1のアクチュエータ11の周波数特性を、同図のbは、振動板8の周波数特性を、それぞれ示している。これによれば、振動板8およびアクチュエータ11の周波数特性は、一般に人の耳の可聴範囲の下限とされている20Hz付近よりも高い周波数域において、特によく近似している。すなわち、このスピーカ1では、アクチュエータ11に入力された信号が音に変換される過程において、周波数特性がほぼ劣化せず、入力された信号が表す放音すべき音をほぼ忠実に再現することができる。
以上のようなスピーカユニット2によれば、振動板8が、優れた振動特性を有する天然木材で構成されていることにより、自然で違和感のない音を放音することができる。また、振動板8が、木材で構成されていることに加え、振動板支持棒10によって押圧されていることにより、振動板8に擬似ムクリが形成され、常時、張りのある状態に確実に維持される。それにより、振動板8は、アクチュエータ11,11によって効率的に振動させられる。したがって、スピーカ1から、めり張りのある大きな音を放音することができる。また、このスピーカ1は、上述したように構成が非常に単純であるため、放音する音にノイズが混入し難く、優れた音響特性を得ることができる。また、同じ理由により、メンテナンスを容易に行うことができる。
図6および7は、本発明の第2実施形態によるスピーカユニット20を示している。このスピーカユニット20は、前述した第1実施形態によるスピーカユニット2と近似した構成を有しており、スピーカ1に代えて、後述するスピーカ21を内蔵している。以下、同じ構成要素については、スピーカユニット2と同じ符号を付し、スピーカユニット2との相違点を中心として説明する。
このスピーカユニット20のケース3は、前述したスピーカユニット2のケース3と同じ構成のものであり、その内部には、仕切り板22が設けられている。この仕切り板22は、天板5と底板6の間の天板5寄りに配置されており、これにより、ケース3の内部空間が、上下2つの空間に区画されている。スピーカ21は、上部スピーカ21aおよび下部スピーカ21bによって構成されており、これらは、ケース3内の上下の空間にそれぞれ配置されている。
上部スピーカ21aおよび下部スピーカ21bは、互いにほぼ同じ構成を有しており、高音域用および低音域用の振動板23a,23bをそれぞれ有している。振動板23a,23bは、ともに第1実施形態のスピーカ1の振動板8と同じ材質で構成されており、上側の振動板23aは、下側の振動板23bよりも短く且つ薄く形成され、それにより、両者23a,23bは、互いに異なる周波数特性を有している。すなわち、上側の高音域用の振動板23aは主に高音域の音を、下側の低音域用の振動板23bは主に低音域の音を、それぞれ放音するためのものである。
また、仕切り板22には、これを間に挟むように上下2つの振動板取付け部9,9が固定されており、天板5および底板6の内面にも、振動板取付け部9がそれぞれ固定されている。両振動板23a,23bは、上下の空間の各振動板取付け部9,9にそれぞれ取り付けられている。それにより、両振動板23a,23bによって、ケース3の上下の開口がほぼ覆われた状態になっている。なお、図示しないが、前述したスピーカ1の振動板支持棒10と同様に、両振動版23a,23bの後方には、これらを押圧する振動板支持棒が設けられており、それにより、振動板23a,23bには、擬似ムクリが形成されている。
また、アクチュエータ11,11は、振動板23a,23bの後面にそれぞれ取り付けられている。具体的には、アクチュエータ11,11は、前述した第1実施形態の場合と同じ理由から、振動板23aの上端および振動板23bの下端から、各々の高さの1/6の位置に、それぞれ配置されている。また、スピーカユニット2と同様に、振動板23a,23bに化粧仕上げを施さない場合など、必要に応じて、例えばサランネット15によって、スピーカユニット20の前部を覆うことにより、スピーカユニット20の外観が整えられる(図7参照)。
以上のようなスピーカユニット22によれば、スピーカ21が、互いに異なる周波数特性を有する振動板23a,23bを有していることにより、高音域用の信号を上側のアクチュエータ11に、低音域用の信号を下側のアクチュエータ11に入力するなど、放音すべき音の音域に応じて、振動板23a,23bのいずれかを選択的に振動させたり、両振動板23a,23bを同時に振動させたりすることができる。それにより、全体の音量を大きくすることができるとともに、低音域から高音域の音をバランスよく放音することができる。
図8および9は、本発明の第3実施形態によるスピーカユニット30を示している。このスピーカユニット30は、基本的に、前述したスピーカユニット2,20と近似した構成を有しており、以下、同じ構成要素については、スピーカユニット2,20と同じ符号を付して説明する。
スピーカユニット30は、スピーカ31およびこれを内蔵したケース32によって構成されている。ケース32は、前述したケース3とほぼ同様に構成されており、左右の側板33,33、天板34、底板35、および背板36などを有していて、ケース3よりも高さが小さい。
スピーカ31の高音域用および低音域用の振動板23a,23bは、前述した第2実施形態のスピーカ21の振動板23a,23bと同様に構成され、サイズも同じである一方、これらは前後方向に並んでいる。また、スピーカ31は、振動板23a,23bを取り付けるための各2つの振動板取付け部9,39と、振動板23a,23bにそれぞれ取り付けられたアクチュエータ11,11などを有している。
前側の低音域用の振動板23bを取り付けるための振動板取付け部9,9は、天板34および底板35の内面の前部に固定され、振動板23bは、上下の両端部において、それらの前面に取り付けられている。また、後側の高音域用の振動板23aを取り付けるための振動板取付け部39,39は、上下の振動板取付け部9,9の後方に所定の間隔を存し、天板34および底板35から上下約1/3の高さに配置され、左右の側板33,33間に固定されている。各振動板取付け部39は、断面矩形で、第2実施形態の振動板取付け部9よりも奥行きが短く形成されており、振動板23aは、上下の両端部において、それらの前面に取り付けられている。また、図示しないが、前述した第1および第2実施形態と同様に、両振動版23a,23bの後面には、これらを押圧する振動板支持棒が設けられており、それにより、振動板23a,23bには、擬似ムクリが形成されている。
また、アクチュエータ11,11は、前述した第2実施形態と同様に、両振動板23a,23bの後面に取り付けられており、前述した理由により、両振動板23a,23bの上端から、各々の高さの1/6の位置に、それぞれ配置されている。また、スピーカユニット2,20と同様に、振動板23aに化粧仕上げを施さない場合など、必要に応じて、例えばサランネット15によって、スピーカユニット30の前部を覆うこにより、スピーカユニット30の外観が整えられる(図9参照)。
以上のようなスピーカ31を含むスピーカユニット30によれば、第2実施形態によるスピーカユニット20による効果に加え、振動板23a,23bが前後方向に並ぶように配置されていることにより、振動板23aを振動板23bの後方に配置した分、特に高さを小さくすることができ、スピーカユニット30全体として、よりコンパクトに構成することができる。
図10は、前述したスピーカユニット2と同じタイプのスピーカユニットを内蔵した電子ピアノ40(電子鍵盤楽器)を示している。この電子ピアノ40は、ピアノ本体41と、このピアノ本体41に設けられた鍵盤装置42と、ピアノ本体41に内蔵されたスピーカユニット2などを備えている。
鍵盤装置42は、左右方向に並ぶ多数の鍵によって構成された鍵盤42aを有しており、各鍵ごとに設けられた鍵スイッチは、電子基板(ともに図示せず)などを介して、スピーカユニット2に接続されている。スピーカユニット2は、鍵盤装置42の上方に配置されており、その振動板8が上側に位置し、左右方向に延びるとともに、振動板支持棒10が前後方向に延びるように配置されている。また、スピーカユニット2は、ピアノ本体41の左右方向のほぼ全体に延びており、それにより、振動板8は、鍵盤42aの低音域から高音域にわたって延びている。
このような構成によれば、鍵が押鍵されると、これに対応する鍵スイッチによって押鍵情報が検出され、検出された押鍵情報に応じて、電子基板によって発音信号が生成される。そして、この発音信号がスピーカユニット2に入力されることにより、発音信号のレベルや波形に応じて、アクチュエータ11,11が駆動されることによって振動板8が振動し、演奏音が放音される。
以上のような電子ピアノ40によれば、スピーカ1が優れた周波数特性を有していることにより、その演奏音を、アコースティックなピアノの演奏音により近づけることができる。また、スピーカユニット2は非常に単純な構成を有していることにより、そのサイズや形状にある程度の自由度を有しているため、スピーカユニット2の形状およびサイズを、電子ピアノ40のサイズや形状に合わせて設定でき、比較的容易に電子ピアノ40に組み込むことができる。
図11は、前述した電子ピアノ40に内蔵されたスピーカユニット2の振動板8の第1変形例を示している。この変形例の振動板50は、その右端部、すなわち鍵盤41aの高音域側に相当する部分の両面を覆うように、炭素繊維のシート51,51を貼り付けたものであり、それにより、シート51を貼り付けたシート貼付け部50aと、貼り付けていないシート非貼付け部50bに区分されている。これにより、振動板50の周波数特性が、シート貼付け部50aとシート非貼付け部50bの間で互いに異なるように設定されている。
また、この振動板50にも、左右2つのアクチュエータ11,11が設けられている。具体的には、右側のアクチュエータ11は、振動板50の右端から、シート貼付け部50aの左右方向の長さの1/6左方の位置に、左側のアクチュエータ11は、振動板50の左端から、シート非貼り付け部50bの左右方向の長さの1/6右方の位置に、それぞれ取り付けられている。
このような振動板50を、スピーカユニット2の振動板8に代えて電子ピアノ40に用いた場合、右側のアクチュエータ11によって振動板50を振動させたときは、シート貼付け部50aから放音される音の高音成分が大きくなる。それにより、この電子ピアノ40では、特に金属的で澄んだ音を放音させることができ、高音域の音を強調した演奏音で演奏することができる。また、低中音域の鍵を押鍵したときには、低中音域に位置するシート非取付け部50bを中心として、高音域の鍵を押鍵したときには、シート取付け部50aを中心として振動させることにより、アコースティックピアノに近似した低高音間の音響バランスを得ることができ、アコースティックピアノにより近い感覚で演奏することができる。
図12は、スピーカユニット2の振動板の第2変形例を示している。この変形例の振動板52は、グランドピアノの響板の形状に倣い、前後方向の長さが、高音域側に向かってテーパ状に形成されている。それにより、振動板52の周波数特性は、低音域から高音域にわたって変化しており、したがって、この振動板52を用いた電子ピアノ40では、演奏音を、低音域から高音域にわたってバランスよく放音することができる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、振動板を振動させるアクチュエータの周波数特性、数および配置は、振動板の形状やサイズなどに応じて、また、複数の振動板が設けられている場合には、それらから放音される音の音響バランスに応じて、適宜、設定することができる。また、複数のアクチュエータを設ける場合、その周波数特性を互いに異ならせてもよく、それにより、振動板同士の共振を防止することができる。
また、前述した電子ピアノ40は、そのピアノ本体41にスピーカユニット2と同じタイプのものを組み込んだ例であるが、これに限定されることなく、第2および第3実施形態のスピーカユニット20,30のいずれかと同じタイプのものを組み込んでもよい。また、電子ピアノ40は、1つのスピーカユニット2を鍵盤装置42の上方に組み込んだ例であるが、これに限定されることなく、スピーカユニット2を例えば鍵盤装置42の下方、または上下の双方に配置するようにしてもよい。その際には、各実施形態のスピーカユニットを組み合わせ、互いに異なるタイプの複数のスピーカユニットを組み込んでもよい。
また、振動板8の第2変形例の振動板52では、その前後方向の長さをテーパ状に変化させることによって、鍵盤42aの低音域から高音域にわたって周波数特性を変化させているが、これに限定されることなく、例えば、厚さを変化させることによって、周波数特性を変化させてもよい。さらに、実施形態では、本発明によるスピーカを、電子ピアノに組み込んだ例を説明したが、他のタイプの電子楽器や音声再生装置などに組み込んで用いてもよいことはもちろんである。その他、細部の構成を、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することが可能である。
本発明の第1実施形態によるスピーカを含むスピーカユニットを示す斜視図である。 図1のスピーカユニットの正面図である。 図2の線A−Aに沿う断面図である。 図3の振動板支持棒の変形例を示す部分拡大図である。 図1のスピーカにおいて、aはアクチュエータ、bは振動板の周波数特性をそれぞれ示す図である。 本発明の第2実施形態によるスピーカを含むスピーカユニットを示す正面図である。 図6の線B−Bに沿う断面図である。 本発明の第3実施形態によるスピーカを含むスピーカユニットを示す正面図である。 図8の線C−Cに沿う断面図である。 図1のスピーカユニットを内蔵した電子ピアノを示す斜視図である。 図10のスピーカの振動板の第1変形例であり、(a)平面図および(b)側面図を、アクチュエータとともに示している。 図10のスピーカの振動板の第2変形例を、アクチュエータとともに示す平面図である。
符号の説明
1 スピーカ
ケース
8 振動板
9 振動板取付け部
10 振動板支持棒(押圧部)
11 電磁式アクチュエータ(振動子)
12 振動板支持棒(押圧部)
21 スピーカ
23a 振動板
23b 振動板
31 スピーカ
39 振動板取付け部
40 電子ピアノ(電子楽器)
42 鍵盤装置
50 振動板
52 振動板

Claims (5)

  1. ケースと、
    当該ケースに固定された振動板取付け部と、
    木材によって構成され、曲面形状になるような張りを付与された状態で、所定の1つの方向において互いに対向する両端部が前記振動板取付け部を介して前記ケースに固定された振動板と、
    前記振動板における中央部以外の部位に設けられ、当該振動板を振動させることによって音を放音させる振動子と、
    前記振動板に前記張りを付与するために、前記振動板における前記振動子が設けられた部位以外の部位を押圧するように設けられた押圧部と、
    を備えていることを特徴とするスピーカ。
  2. 前記押圧部が、前記振動板の中央部を押圧するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
  3. 前記振動板は、互いに独立した複数の前記振動板によって構成され、
    前記振動子は、前記複数の振動板にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のスピーカ。
  4. 電子楽器に内蔵され、当該電子楽器の演奏に伴い、演奏音を放音することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスピーカ。
  5. 前記電子楽器は、複数の鍵を有する電子鍵盤楽器であり、
    前記振動板は、前記電子鍵盤楽器の前記複数の鍵の低音域と高音域の間に延びるように配置されるとともに、前記低音域と高音域の間で、互いに異なる振動特性を有することを特徴とする請求項4に記載のスピーカ。
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