JP2001028799A - 車載用音響再生装置 - Google Patents
車載用音響再生装置Info
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Abstract
方に再生する。 【解決手段】 左および右チャンネルの入力デジタルオ
ーディオ信号XL(Z)、XR(Z)を、 YL(Z)・GLL(Z) +YR(Z)・GLR(Z)=XL(Z)・FLL(Z)
+XR(Z)・FLR(Z) YR(Z)・GLL(Z) +YL(Z)・GLR(Z)=XR(Z)・FLL(Z)
+XL(Z)・FLR(Z) FLL(Z) 〜GLR(Z) :頭部伝達関数 で示されるデジタルオーディオ信号YL(Z)、YR(Z)に変
換する補正フィルタ回路54を設ける。この補正フィル
タ回路54から出力される信号YL(Z)、YR(Z)をD/A
変換するD/Aコンバータ回路を設ける。このD/Aコ
ンバータ回路から出力されるアナログオーディオ信号
を、左および右チャンネルのスピーカに供給する。
Description
装置に関する。
場合、再生される音像の理想の高さは、リスナの目の高
さであるといわれている。このため、スピーカは、一般
にリスナの目の高さに設置するようにしている。
再生装置においては、スピーカをリスナ(車両の運転者
あるいは同乗者。すなわち、搭乗者)の目の高さに設置
することは困難であり、図9Aに示すように、スピーカ
は車両の前部ドアの下方あるいは後部ドアの下方に
設置されていることが多い。したがって、再生音は下方
から聞こえてくることになり、音像はリスナの目よりも
下に定位してしまう。
示すように、口径の小さな高域再生用のスピーカを、リ
スナの前方に設置する方法がある。しかし、この方法
では、高域と低域とで、音の出力される位置が異なるの
で、音が分離して聞こえてしまう。
持つことが知られている。したがって、車室内の下方に
スピーカが設置されていると、高域は座席や内装により
吸収されてしまい、音響再生装置が出力している再生音
と、リスナに実際に聞こえる音響とが、異なってしま
う。
は、車室内での伝達関数を実際に測定し、この伝達関数
にしたがって再生音の補正を行うことが有効であるが、
これには高性能なデジタル信号処理装置が必要になって
しまう。そして、そのようなデジタル信号処理装置はか
なり高価なので、民生用の音響再生装置に利用すること
は困難である。
正を行うと、一般に高域が強調される傾向があり、音量
レベルを上げたときに、違和感を感じてしまう。
ようとするものである。
いては、左および右チャンネルの入力デジタルオーディ
オ信号XL(Z)、XR(Z)を、 YL(Z)・GLL(Z) +YR(Z)・GLR(Z)=XL(Z)・FLL(Z)
+XR(Z)・FLR(Z) YR(Z)・GLL(Z) +YL(Z)・GLR(Z)=XR(Z)・FLL(Z)
+XL(Z)・FLR(Z) ただし、 FLL(Z) :車室内のリスナの前方に位置する第1の左お
よび右チャンネルのスピーカから上記リスナの左耳およ
び右耳までの頭部伝達関数 FLR(Z) :上記第1の左および右チャンネルのスピーカ
から、上記リスナの右耳および左耳までの頭部伝達関数 GLL(Z) :上記リスナの前下方に位置する第2の左およ
び右チャンネルのスピーカから上記リスナの左耳および
右耳までの頭部伝達関数 GLR(Z) :上記第2の左および右チャンネルのスピーカ
から、上記リスナの右耳および左耳までの頭部伝達関数 で示されるデジタルオーディオ信号YL(Z)、YR(Z)に変
換する補正フィルタ回路と、この補正フィルタ回路から
出力される上記出力デジタルオーディオ信号YL(Z)、Y
R(Z)をD/A変換するD/Aコンバータ回路とを有し、
上記D/Aコンバータ回路から出力されるアナログオー
ディオ信号を、上記第2の左および右チャンネルのスピ
ーカに供給するようにした車載用音響再生装置とするも
のである。したがって、リスナの前方に仮想スピーカが
配置されることになり、この仮想スピーカにより音場お
よび音像が再生される。
イン]図1は、この発明による車載用の音響再生装置の
一形態を示す。すなわち、デジタルオーディオデータの
ソースとして、例えばCDあるいはMDのプレーヤ1が
設けられ、このプレーヤ1から出力されるデジタルオー
ディオデータが、入力セレクタ回路4に供給される。
して、例えばFMチューナ2が設けられ、このチューナ
2から出力されるアナログオーディオ信号がA/Dコン
バータ回路3に供給されてデジタルオーディオデータに
A/D変換され、そのデジタルオーディオデータがセレ
クタ回路4に供給される。
供給されたデジタルオーディオデータの1組が選択さ
れ、その選択されたデジタルオーディオデータが、デジ
タル補正回路5に供給されて所定の補正処理が実行され
る。このデジタル補正回路5の詳細については後述する
が、このデジタル補正回路5は、例えば図2に示すよう
に、3組の処理回路51〜53と、補正フィルタ回路5
4とを有してDSPにより構成され、スピーカにより再
生された音像が目的とする位置にくるように、デジタル
オーディオデータを補正するものである。
ディオデータが、D/Aコンバータ回路6に供給されて
アナログオーディオ信号にD/A変換され、このオーデ
ィオ信号が音量調整用のアッテネータ回路7を通じ、さ
らに、出力アンプ8を通じて左および右チャンネルのス
ピーカ9L、9Rに供給される。
図9Aのの位置に配置される(あるいはの位置に配
置することができる)。すなわち、前部座席のリスナが
対象であるとすれば、スピーカ9L、9Rは、車両の左
側および右側の前部ドアの下方にそれぞれ配置される。
ピュータ11が設けられ、操作キー12を操作すると、
プレーヤ1、チューナ2、セレクタ回路4あるいはアッ
テネータ回路7が、そのキー操作に対応してマイクロコ
ンピュータ11により制御され、ソースや音量などが変
更される。
CD、MDあるいは放送などの再生音が出力される。ま
た、このとき、その再生音により形成される音像は、ス
ピーカ9L、9Rが図9Aのの位置にあっても、デジ
タル補正回路5の補正処理により、リスナの例えば目の
高さに位置するようになる。
回路5は、上記のように、音像がリスナの目の高さに位
置するように、デジタルオーディオデータを補正するも
のであるが、この補正は、スピーカからリスナの鼓膜ま
での聴覚特性も加味した伝達関数、すなわち、頭部伝達
関数(HTRF)を用いることにより実現する。
して測定することができる。すなわち、 (ア) スピーカと、人間の頭部の形をしたダミーヘッドと
を配置する。 (イ) そのスピーカに、テスト信号として、フーリエ変換
すると周波数軸で平坦になるインパルス信号を入力す
る。なお、このテスト信号は、タイムストレッチドパル
ス信号などのインパルス関数の性質を持つ信号でもよ
い。 (ウ) ダミーヘッドの人工耳におけるインパルス応答を測
定する。このインパルス応答が(ア) 項の位置関係にある
ときの頭部伝達関数である。
て頭部伝達関数を利用する場合には、 (A) 図9Aに示すように、標準的な車両あるいは代表的
な車両の前部座席に人間の頭の形をしたダミーヘッドD
Mを配置する。 (B) 実際のスピーカ位置、例えばの位置にスピーカを
配置し、の位置にスピーカがあるときの頭部伝達関数
を求める。 (C) 理想の音場を実現したい位置、例えばの位置、す
なわち、ダッシュボードの上にスピーカを配置し、の
位置にスピーカがあるときの頭部伝達関数を求める。
1)]上記のように、デジタル補正回路5により音像の
位置が補正されるが、図2のデジタル補正回路5におい
ては、その補正は補正フィルタ回路54により実行され
る。
、(C) 項の頭部伝達関数をもとにしてデジタルオーデ
ィオデータを補正するものであり、このデータ補正によ
り、上述のように、前部座席のドア位置に取りつけら
れているスピーカ9L、9Rによる音像が、理想の位置
にあるスピーカによる音像の位置に補正される。
解析した頭部伝達関数HTRFが、図3にも示すよう
に、以下のとおりであったとする。
あるいは音像を実現するスピーカの位置であり、の位
置とは、実際に設置されているスピーカ9Lあるいは9
Rの位置である。また、それぞれの頭部伝達関数は複素
数で表される。
ータの処理量を低減するため、上記の頭部伝達関数が
「左右対称」であり、すなわち、 FLL(Z) =FRR(Z) ・・・ (1) FLR(Z) =FRL(Z) ・・・ (2) GLL(Z) =GRR(Z) ・・・ (3) GLR(Z) =GRL(Z) ・・・ (4) が成立すると仮定して補正フィルタ回路54を構成す
る。
ダミーヘッドDMの設置場所は車室内の前部座席の中
央、あるいは車室内の中央が望ましい。また、こうする
ことによって、座席ごとの補正差が少なくなり、どの座
席においても補正効果を見込むことができる。
の位置のスピーカから音が出ているように補正するに
は、次の(5) 、(6) 式を満足させればよい。すなわち、 YL(Z)・GLL(Z) +YR(Z)・GLR(Z) =XL(Z)・FLL(Z) +XR(Z)・FLR(Z) ・・・ (5) YR(Z)・GLL(Z) +YL(Z)・GLR(Z) =XR(Z)・FLL(Z) +XL(Z)・FLR(Z) ・・・ (6) ここで、Hp(Z)、Hm(Z)を、 Hp(Z)=(FLL(Z) +FLR(Z) )/(GLL(Z) +GLR(Z) ) ・・・ (7) Hm(Z)=(FLL(Z) −FLR(Z) )/(GLL(Z) −GLR(Z) ) ・・・ (8) のように定義すると、YL(Z)、YR(Z)は、 YL(Z)=Hp(Z)・(XL(Z)+XR(Z))/2 +Hm(Z)・(XL(Z)−XR(Z))/2 ・・・ (9) YR(Z)=Hp(Z)・(XL(Z)+XR(Z))/2 −Hm(Z)・(XL(Z)−XR(Z))/2 ・・・ (10) となる。
テレオ感、広がり感に強く影響していることが知られて
いる。そして、(9) 、(10)式の第2項は、ステレオ信号
の差成分である。したがって、この第2項のレベルを制
御すると、空間的な広がり感を制御できることになる。
を制御するためのパラメータとして、係数kを乗ずる
と、(9) 、(10)式は、 YL(Z)=Hp(Z)・(XL(Z)+XR(Z))/2 +k・Hm(Z)・(XL(Z)−XR(Z))/2 ・・・ (11) YR(Z)=Hp(Z)・(XL(Z)+XR(Z))/2 −k・Hm(Z)・(XL(Z)−XR(Z))/2 ・・・ (12) となる。この(11)、(12)式においては、係数kを大きく
すると、第2項の差成分が強調され、したがって、再生
音場の広がり感が増強される。
ルタ回路54は、特性が(7) 、(8)式により示される特
性のフィルタと、加算回路および減算回路と、レベル制
御回路とから構成できることになる。
のような考えにより構成されているもので、処理回路5
3からのデジタルオーディオデータが、補正フィルタ回
路54の入力信号XL(Z)、XR(Z)となり、その出力信号
が信号YL(Z)、YR(Z)となる。
回路541Aおよび加算回路541Bに供給されて差信
号および和信号が形成され、その差信号がレベル制御回
路541Cに供給されて(11)、(12)式における係数kに
対応するレベル制御が行われてからフィルタ回路542
Mに供給され、和信号がフィルタ回路542Pに供給さ
れる。このフィルタ回路542M、542Pは、FIR
フィルタにより構成され、(8) 、(7) 式に示す伝達特性
を有するものである。
42Pの出力信号が、加算回路543Aおよび減算回路
543Bに所定の比率で供給されて出力信号YL(Z)、Y
R(Z)が形成され、この信号YL(Z)、YR(Z)が次段のD/
Aコンバータ回路6に供給される。
席のドア位置に取りつけられていても、理想の位置
にスピーカ9L、9Rが配置されているときと同等の音
像を再現することができる。さらに、マイクロコンピュ
ータ11を通じてレベル制御回路541Cにおいて係数
kを制御することにより、広がり感を強調することもで
きる。
は、インパルス応答の測定例を示すもので、この図は、
車両の前部座席の左側のドア位置に配置したスピーカ
から前部座席の中央に配置したダミーヘッドDMの左耳
までのインパルス応答の測定結果である。
に、インパルス応答には、大きなピークやディップを生
じている。そして、これらのピークやディップを、この
まま補正フィルタ回路54に使用すると、フィルタ回路
542M、542Pの次数が多くなってしまい、大規模
な処理が必要になってしまう。
42M、542Pを簡略化して補正フィルタ回路54を
簡略化する方法について説明する。
均を取ることにより、急峻なピークやティップを削り、
インパルス応答の全体の傾向を利用する。例えば、図4
の測定結果であれば、その振幅を平均化することによ
り、図5の曲線A、Bの特性を得、この曲線A、Bの特
性にしたがってフィルタ回路542M、542Pを構成
する。
り、図6は、車両の前部座席の左側のドア位置に配置
したスピーカから前部の左側座席に配置したダミーヘッ
ドDMの左耳までのインパルス応答の測定結果、図7
は、車両の前部座席の左側のドア位置に配置したスピ
ーカから前部の右側座席に配置したダミーヘッドDMの
左耳までのインパルス応答の測定結果である。
定結果などからも明かなように、一般に、1kHz以下の
周波数帯域では、車室内の測定個所に応じて振幅特性が
大きく異なる傾向がある。これは、車室内が閉鎖空間で
あり、車室内の共振(定在波)の影響によるものであ
る。したがって、このような低域成分を補正すること
は、聴取位置を限定することになる。また、低域成分を
補正するには、フィルタの次数を十分大きくしなければ
ならない。
は、補正は行わないことにする。すなわち、図5におい
て、直線Cにより示すように、1kHz以下の振幅は、そ
の平均レベルで応答を平坦化する。そして、この直線C
および曲線Bの特性にしたがってフィルタ回路542
M、542Pを構成する。
ばれる手法がある。
分子および分母の計算ごとに最小位相化を行ってから除
算を行い、フィルタ回路542M、542Pの次数を削
滅する。
子/分母の除算を行った結果に対して最小位相化を行う
と、さらにフィルタ回路542M、542Pの次数を削
減することができる。
計算ごとに最小位相化を行ってから除算を行うほうが、
分子/分母の除算を行った結果に最小位相化を行うより
も、音像の補正結果が良好であった。
り、フィルタ回路542M、542Pの次数を削減する
ことができ、その結果、補正フィルタ回路54を簡略化
することができる。
位置の補正を行うと、一般に高域レベルが上昇する傾向
がある。そこで、図2のデジタル補正回路5には、低域
補正回路51が設けられ、出力音のバランス補正が行わ
れる。
増強フィルタ51L、51Rにより構成され、これらフ
ィルタ51L、51Rが、デジタルオーディオデータ
(信号XL(Z)、XR(Z))の信号ラインにそれぞれ挿入さ
れる。
例えば、 中心周波数:20Hz〜120Hz 中心周波数における周波数特性(信号レベル)のブース
ト量:2dB〜18dB 中心周波数におけるQ:1〜3 とされる。
ついて]車室内部は複雑な形状をした密閉空間である。
そして、密閉空間では、スピーカから出力される音に共
鳴して定在波のたつ「車室内共振現象」が起こる。
の影響が最も顕著に現れる周波数は、一般的に800Hz 以
下の周波数帯域であった。したがって、100Hz 〜800Hz
の帯域の音の出力レベルを低下させれば、音楽信号の質
感にあまり影響を与えずに「こもり感」を減少させるこ
とができる。
共振低減回路52が設けられ、共振が低減される。すな
わち、この共振低減回路52は、帯域減衰フィルタ52
L、52Rにより構成され、これらフィルタ52L、5
2Rが、デジタルオーディオデータ(信号XL(Z)、XR
(Z))の信号ラインにそれぞれ挿入される。
Rの特性は、例えば、 中心周波数:150Hz 〜600Hz 中心周波数における周波数特性(信号レベル)の減衰
量:3dB〜6dB 中心周波数にいけるQ:2〜4 とされる。
て]上述した音像位置の補正を行うと、高域レベルの高
くなる傾向があることはすでに述べたが、その結果、音
量を大きくしたとき、高域の音が耳につくという問題を
生じてしまう。
は、補正量調整回路53が設けられ、大音量時の高域が
抑えられる。すなわち、この補正量調整回路53は、高
域減衰フィルタ(シェルビングフィルタ)53L、53
Rにより構成され、これらフィルタ53L、53Rが、
デジタルオーディオデータ(信号XL(Z)、XR(Z))の信
号ラインにそれぞれ挿入される。
例えば、 次数:1次 ターンオーバー周波数:1kHz〜10kHz 高域における周波数特性(信号レベル)の減衰量:0dB
〜20dB とされる。
ーを操作すると、マイクロコンピュータ11により、ア
ッテネータ回路7の減衰量が制御されて再生音の音量が
調整されるが、このとき、音量を大きくするほど、フィ
ルタ53L、53Rにおける高域の減衰量が大きくなる
ように、フィルタ53L、53Rにおける高域の減衰量
が、マイクロコンピュータ11により同時に制御され
る。
な再生を行うことができるとともに、その制御も容易に
行うことができる。
に、音楽信号の左および右チャンネルの差成分が、再生
音のステレオ感、広がり感に強く影響しているので、図
2のデジタル補正回路5には、レベル制御回路541C
が設けられている。
は、減算回路541Aからフィルタ回路542Mに供給
される差成分のレベルを、マイクロコンピュータ11か
らの指示にしたがって、係数kに対応して制御するもの
である。したがって、再生音の空間的な広がり感を強調
することができる。
広がり感を強調すると、音量レベルが大きくなったよう
に聞こえる。そこで、図1における再生装置において
は、レベル制御回路541Cにより差成分のレベルが制
御されるとき、同時に、音量調整用のアッテネータ回路
7においてオーディオ信号のレベルが補正され、再生音
の音量が補正される。
像の位置が目の高さに補正されるとともに、広がり感の
ある音場が再現されることになる。
車載用の音響再生装置によれば、本来ならば取り付けが
不可能な場所に仮想スピーカを配置し、この仮想スピー
カから再生音が出力されているように知覚させることが
できるので、理想的な車室内音場および音像を作り出す
ことができる。
ことを防ぎ、音像を理想とされる目の高さで定位させる
ことがでる。また、小さな高域再生用のスピーカを上方
に設置されているときに生じる不具合、すなわち、音が
分離して聞こえるという不具合を解消することができ、
一つのスピーカから音が出ているように知覚させること
ができる。
より、音場の空間的な広がり感を補正することができ
る。また、音量レベルに応じて最適な補正を行うことが
できる。さらに、補正フィルタ回路5を簡略化すること
ができ、処理能力の少ないDSPであっても、所期の目
的を達成することができる。さらに、伝達関数の測定さ
え行えば、任意の形状の車種においても、最適な補正を
行うことができる。
より、複数の車種でも効果的な補正フィルタ回路を作成
することができ、したがって、車種を限定しない補正フ
ィルタ回路として普及を図ることもできる。
席のどちらのスピーカからも増強して出力される。一般
に、後部座席側のスピーカのほうが口径が大きい場合が
多いので、低域の出力に関して車室内のスピーカの性能
を十分に引き出すことができる。
2)]一般にステレオ再生用の左右のスピーカはリスナ
から見て左右対称の位置に配置することが理想とされ、
そのスピーカにより再現される音像はリスナの前方に定
位することが理想とされている。
は、図9Aにより説明したように、スピーカは、前席に
ついては前部ドアの下方に配置され、後席については
後部ドアの下方、あるいは図9Bに示すように、リヤ
トレイの位置に配置されることが多い。
者には、前方右側に配置されているスピーカから出力さ
れる再生音が最初に到達し、その後、他のスピーカから
出力される再生音がそれぞれ遅れて到達することにな
る。したがって、その搭乗者は、位相のずれた再生音を
聞くことになり、明確な定位感を得ることができなくな
ってしまう。
オーディオ信号の位相を遅延回路により補正し、それぞ
れのスピーカから出力される再生音が搭乗者に同相で到
達するようにした方法が考えられている。しかし、この
方法の場合でも、前部座席の搭乗者が知覚する音像は、
後部の位置あるいはのスピーカから出力される再生
音の高域成分により、定位が後方に引っ張られてしま
い、その結果、明確な前方定位が得られなくなってしま
う。
カの出力を小さくすると、前方定位感にとって有効であ
るが、そのようにすると、全体の音圧レベルが低下して
しまう。
においては、再生される音像の高さを、搭乗者の目の高
さに補正する処理は省略して構成を簡略化するととも
に、搭乗者の着席位置における音響特性を改善するよう
にした場合である。
においては、セレクタ回路4により選択されたデジタル
オーディオデータが、遅延回路57L、57Rに供給さ
れて所定の時間だけ遅延され、この遅延後のデジタルオ
ーディオデータがD/Aコンバータ回路6に供給されて
アナログオーディオ信号にD/A変換される。そして、
このオーディオ信号が音量調整用のアッテネータ回路7
を通じ、さらに、出力アンプ8を通じて左および右チャ
ンネルのスピーカ9L、9Rに供給される。なお、スピ
ーカ9L、9Rは、例えば図9A、Bのの位置に配置
される。
デジタルオーディオデータが、高域減衰フィルタ(シェ
ルビングフィルタ)56L、56Rに供給される。この
フィルタ56L、56Rは、上記のように音像を後方に
引っ張ってしまう高域成分を減衰させるためのものであ
り、その特性は、例えば、 次数:1次 ターンオーバー周波数:1kHz〜10kHz 高域における周波数特性(信号レベル)の減衰量:2dB
〜10dB とされる。
から出力されるデジタルオーディオデータが、遅延回路
57LB、57RBに供給されて所定の時間だけ遅延さ
れ、この遅延後のデジタルオーディオデータが、さらに
遅延回路58L、58Rを通じてD/Aコンバータ回路
6Bに供給されてアナログオーディオ信号にD/A変換
される。そして、このオーディオ信号が音量調整用のア
ッテネータ回路7Bを通じ、さらに、出力アンプ8Bを
通じて左および右チャンネルのスピーカ9LB、9RB
に供給される。なお、スピーカ9LB、9RBは、例え
ば図9Aのの位置あるいは図9Bのの位置に配置さ
れる。
記のように音像を後方に引っ張ってしまう高域成分は減
衰させるが、音像定位にあまり関係しない低域成分はそ
のまま出力するものである。また、遅延回路57L、5
7R、57LB、57RBは、搭乗者の着座位置に応じ
てスピーカ9L、9R、9LB、9RBから出力される
再生音の位相を調整するためのものである。
を入力するキーを操作すると、その操作に対応してマイ
クロコンピュータ11により、フィルタ56L、56R
における高域の減衰量および遅延回路57L、57R、
57LB、57RBの遅延時間が制御される。
席に着座している搭乗者に対して、前部のスピーカ9
L、9Rから出力される再生音を、後部のスピーカ9L
B、9RBから出力される再生音に比べて、相対的に10
m秒〜20m秒だけ早く到達させるためのものである。
〜57RBにより、スピーカ9L、9R、9LB、9R
Bから出力された再生音が搭乗者に達するときの位相を
合わせることができ、したがって、音像の定位を明確に
することができる。
り、後部のスピーカ9LB、9RBから出力される再生
音の高域成分が減衰するので、前部座席の搭乗者が知覚
する音像の位置が後方に引っ張られることがなくなり、
この点からも明確な定位を得ることができる。
ース効果)、すなわち、10m秒〜20m秒程度の時間だけ
先に到達した音が強調されて知覚されるという性質があ
るが、遅延回路58LB、58RBにより、前方のスピ
ーカ9L、9Rから出力される再生音が、後方のスピー
カ9LB、9RBから出力される再生音に対して、相対
的に10m秒〜20m秒先行するので、前方のスピーカ9
L、9Rから出力される再生音が強調され、全体の音量
を低下させることなく、音像を前方に定位させることが
できる。
像の定位にあまり影響を与えない低域が出力されるの
で、全体の音圧レベルの低下することがなく、あるいは
低域の音の厚みがなくなることもない。また、車載用の
オーディオシステムにおいては、一般に後方のスピーカ
が前方のスピーカに比べて口径が大きいので、低域の出
力についてはスピーカ9LB、9RBの性能を十分に引
き出すことができる。
カ9L、9Rから出力される再生音が強調されて知覚さ
れるので、DSPの都合などによりグラフィックイコラ
イザ処理などの信号処理を、前方のスピーカ9L、9R
に供給されるオーディオ信号の信号ラインにしか設定で
きない場合でも、その効果が車室内全体に有効になるよ
うに作用する。
により補正フィルタ542M、542Pの設計手順を示
したが、(a) 〜(c) 項の対象および順序は、上述の場合
に限定されるものではない。また、ダッシュボードなど
に高域専用のスピーカを配置する場合には、そのスピー
カに供給されるオーディオ信号を、高域減衰フィルタ5
3L、53Rと同様の高域減衰フィルタにより同様に処
理すれば、効果的である。
路5とを組み合わせることもできる。さらに、図8の補
正回路5において、遅延回路57LB、57RBと、遅
延回路58LB、58RBとをそれぞれ一体とすること
ができる。
置を操作キー12により入力するとしたが、車室内に設
けた赤外線センサや座席に設けた圧力センサなどによ
り、搭乗者の着座位置を検出し、その検出出力にしたが
ってマイクロコンピュータ11によりフィルタ56L
B、56RBおよび遅延回路57L〜57RBを着座位
置に対応した特性に制御することもできる。
位置が制限されていても、音像を理想とされる目の高さ
で定位させることがでる。また、補正フィルタ回路を簡
略することができ、処理能力の少ないDSPであって
も、所期の目的を達成することができる。さらに、伝達
関数の測定さえ行えば、任意の形状の車種においても、
最適な補正を行うことができる。
より、複数の車種でも効果的な補正フィルタ回路を作成
することができ、したがって、車種を限定しない補正フ
ィルタ回路として普及を図ることもできる。
3…A/Dコンバータ回路、4…セレクタ、5…デジタ
ル補正回路、6…D/Aコンバータ回路、7…音量調整
用のアッテネータ回路、8…出力アンプ、9L、9R、
9LB、9RB…スピーカ、11…マイクロコンピュー
タ、12…操作キー、51…低域補正回路、51L、5
1R…帯域増強フィルタ、52…共振低減回路、52
L、52R…帯域減衰フィルタ、53…補正量調整回
路、53L、53R…高域減衰フィルタ、54…補正フ
ィルタ回路、56LB、56RB…高域減衰フィルタ、
57L、57R、57LB、57RB、58LB、58
RB…遅延回路、541A…減算回路、541B…加算
回路、541C…レベル制御回路、542M、542P
…フィルタ回路、543A…加算回路、543B…減算
回路
Claims (7)
- 【請求項1】左および右チャンネルの入力デジタルオー
ディオ信号XL(Z)、XR(Z)を、 YL(Z)・GLL(Z) +YR(Z)・GLR(Z)=XL(Z)・FLL(Z)
+XR(Z)・FLR(Z) YR(Z)・GLL(Z) +YL(Z)・GLR(Z)=XR(Z)・FLL(Z)
+XL(Z)・FLR(Z) ただし、 FLL(Z) :車室内のリスナの前方に位置する第1の左お
よび右チャンネルのスピーカから上記リスナの左耳およ
び右耳までの頭部伝達関数 FLR(Z) :上記第1の左および右チャンネルのスピーカ
から、上記リスナの右耳および左耳までの頭部伝達関数 GLL(Z) :上記リスナの前下方に位置する第2の左およ
び右チャンネルのスピーカから上記リスナの左耳および
右耳までの頭部伝達関数 GLR(Z) :上記第2の左および右チャンネルのスピーカ
から、上記リスナの右耳および左耳までの頭部伝達関数 で示されるデジタルオーディオ信号YL(Z)、YR(Z)に変
換する補正フィルタ回路と、 この補正フィルタ回路から出力される上記出力デジタル
オーディオ信号YL(Z)、YR(Z)をD/A変換するD/A
コンバータ回路とを有し、 上記D/Aコンバータ回路から出力されるアナログオー
ディオ信号を、上記第2の左および右チャンネルのスピ
ーカに供給するようにした車載用音響再生装置。 - 【請求項2】請求項1に記載の車載用音響再生装置にお
いて、 Hp(Z)=(FLL(Z) +FLR(Z) )/(GLL(Z) +GLR
(Z) ) Hm(Z)=(FLL(Z) −FLR(Z) )/(GLL(Z) −GLR
(Z) ) とするとき、 上記補正フィルタ回路は、 上記入力デジタルオーディオ信号XL(Z)、XR(Z)を減算
する減算回路および加算する加算回路と、 上記Hm(Z)、Hp(Z)の伝達特性を有する第1および第2
デジタルフィルタと、これら第1および第2のデジタル
フィルタの各出力信号を加算する別の加算回路および減
算する別の減算回路とを有し、 上記減算回路および加算回路からの差信号および和信号
が上記第1および第2のデジタルフィルタに供給され、 上記別の加算回路および上記別の減算回路の出力信号が
上記D/Aコンバータ回路に供給されるようにした車載
用音響再生装置。 - 【請求項3】請求項2に記載の車載用音響再生装置にお
いて、 上記補正フィルタ回路の前段に高域減衰フィルタを有
し、 この高域減衰フィルタの高域における減衰量を、音量制
御に対応して大きくするようにした車載用音響再生装
置。 - 【請求項4】請求項3に記載の車載用音響再生装置にお
いて、 上記補正フィルタ回路の前段に、 20Hz〜200Hz を中心周波数とする帯域増強フィルタと、 150Hz 〜600Hz を中心周波数とする帯域減衰フィルタと
を設けるようにした車載用音響再生装置。 - 【請求項5】請求項4に記載の車載用音響再生装置にお
いて、 レベル制御回路を有し、 このレベル制御回路により上記減算回路から上記第1の
デジタルフィルタに供給される差信号のレベルを制御す
るようにした車載用音響再生装置。 - 【請求項6】左および右チャンネルのデジタルオーディ
オ信号が供給される第1の信号ラインと、 上記左および右チャンネルのデジタルオーディオ信号が
供給される第2の信号ラインと、 上記第1の信号ラインに設けられ、この信号ラインを通
じる左および右チャンネルのデジタルオーディオ信号に
所定の時間遅延を与える第1および第2の遅延回路と、 上記第2の信号ラインに設けられ、この信号ラインを通
じる左および右チャンネルのデジタルオーディオ信号に
所定の時間遅延を与える第3および第4の遅延回路と、 上記第2の信号ラインに設けられ、この信号ラインを通
じる左および右チャンネルのデジタルオーディオ信号の
高域を減衰させる高域減衰フィルタと、 上記第2の信号ラインに設けられ、この信号ラインを通
じる左および右チャンネルのデジタルオーディオ信号に
先行音効果に対応する時間遅延を与える第5および第6
の遅延回路と、 上記第1の信号ラインから出力される左および右チャン
ネルのデジタルオーディオ信号をD/A変換する第1の
D/Aコンバータ回路と、 上記第2の信号ラインから出力される左および右チャン
ネルのデジタルオーディオ信号をD/A変換する第2の
D/Aコンバータ回路とを有し、 上記第1のD/Aコンバータ回路から出力されるアナロ
グオーディオ信号を、車室内の左右前方に配置されたス
ピーカに供給し、かつ、 上記第2のD/Aコンバータ回路から出力されるアナロ
グオーディオ信号を、上記車室内の左右後方に配置され
たスピーカに供給して音響再生を行うとともに、 上記第1〜第4の遅延回路の遅延時間を、上記左右前方
に配置されたスピーカおよび上記左右後方に配置された
スピーカと、リスナとの位置関係に対応して制御するよ
うにした車載用音響再生装置。 - 【請求項7】請求項6に記載の車載用音響再生装置にお
いて、 上記第1〜第4の遅延回路と、上記高域減衰フィルタ
と、上記第5および第6の遅延回路とをDSPにより構
成するようにした車載用音響再生装置。
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