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JP2001026545A - 免疫応答活性化製剤 - Google Patents

免疫応答活性化製剤

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Publication number
JP2001026545A
JP2001026545A JP11196675A JP19667599A JP2001026545A JP 2001026545 A JP2001026545 A JP 2001026545A JP 11196675 A JP11196675 A JP 11196675A JP 19667599 A JP19667599 A JP 19667599A JP 2001026545 A JP2001026545 A JP 2001026545A
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JP
Japan
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cells
antigen
immune response
presenting
preparation according
Prior art date
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Pending
Application number
JP11196675A
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English (en)
Inventor
Kazutada Takesako
一任 竹迫
Mitsuko Ideno
美津子 出野
Ichiro Kawashima
一郎 川嶋
Ikue Nukaya
育衛 糠谷
Ikunoshin Kato
郁之進 加藤
Takeshi Ito
伊藤  剛
Yuji Ueda
祐二 上田
Kyuichi Yamagishi
久一 山岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takara Shuzo Co Ltd
Original Assignee
Takara Shuzo Co Ltd
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Publication date
Application filed by Takara Shuzo Co Ltd filed Critical Takara Shuzo Co Ltd
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  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】腫瘍、主として大腸癌、胃癌などの消化器癌、
骨髄腫、腎臓癌、白血病、メラノーマ、前立腺癌、乳癌
もしくは子宮癌を治療するために、またはウィルス感染
症、主としてB型肝炎もしくはC型肝炎ウィルスによる
慢性肝炎を治療するために、免疫応答を活性化する製剤
または系を創製すること。 【解決手段】腫瘍壊死因子−α、インターフェロン−α
および抗原提示細胞を有効成分として含有する免疫応答
活性化製剤、ならびに腫瘍壊死因子−αおよびインター
フェロン−αと、抗原提示細胞とを別々の投与剤形にす
ることを含む、前記免疫活性化製剤の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、免疫応答を活性
化、 特に抗腫瘍免疫を増強する製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】生体は、生体内で異物(抗原)と認識さ
れたもの(必ずしも外来のものとは限らない)に働く一
連の生体防御機構と自他の認識機構に関わる免疫系を有
している。 免疫系は、Bリンパ球(B細胞)が産生する
抗体が抗原と反応する液性免疫系と、Tリンパ球(T細
胞)が活性物質を放出したり、直接抗原に働く細胞性免
疫系とに大別できる。このうち細胞性免疫系は、遅延型
過敏症の他、 細胞内寄生体、 ウィルス、腫瘍に対する免
疫応答、 移殖、ある種の薬物アレルギー、一部の自己免
疫疾患などに関与していると考えられ、各種のリンホカ
イン、モノカインによって反応が制御されている。 な
お、リンホカイン、モノカインは、細胞間相互作用を媒
介するタンパク質性因子であるサイトカイン(cytokin
e)に属する1群として扱われる。
【0003】このような免疫機構において、 抗原提示細
胞(antigen presenting cell ;以下、APCと略す)
は生体に侵入した異物の情報をT細胞やB細胞に伝え、
その活動を促す細胞である。これをきっかけに免疫系が
動き出す。APCには、マクロファージ(貪食細胞)、
B細胞、肝臓のクッパー細胞、胸腺上皮細胞、骨髄由来
の樹状細胞(Dendritic cell;以下、DCと略す)など
が包含される。
【0004】APCは異物を貪食した後、異物を細胞内
の小胞体内のプロテアーゼで分解する。ここで生じた抗
原性ペプチドは主要組織適合遺伝子複合体(MHC)産
物と結合し、抗原提示細胞の膜表面に露出し、異物情報
としてT細胞に提示される。APCはMHC遺伝子によ
りコードされるクラスIとクラスIIの両方の糖タンパ
ク質を発現しているので、免疫応答開始のためにCD4
陽性のT細胞とCD8陽性のT細胞の両方に抗原ペプチ
ドを提示することができる。 免疫系の調整役であるT細
胞は、膜表面上のT細胞受容体で抗原ペプチドとMHC
抗原との複合体を認識・活性化して、生体防御反応を発
動する。
【0005】なお、CD8陽性T細胞には細胞傷害性T
リンパ球(Cytotoxic T lymphocyte;以下CTLと略
す)が含まれ、 APCの細胞表面に提示される抗原ペプ
チドのうちCTLが認識可能な抗原ペプチドは、特にC
TLエピトープと呼ばれる。
【0006】通常、腫瘍細胞や異物であるウィルス感染
細胞などは上記免疫系により排除されるが、腫瘍細胞や
ウィルス感染細胞が生き残り増殖することにより生命に
重篤な影響を及ぼすことがある。したがって免疫応答を
活性化させることによりガンやウィルス感染を治療する
試みがなされている。APCの一つであるDCを利用し
た免疫活性化法も例えば、 国際公開第95/34638号パンフ
レット、国際公開第98/01538号パンフレットで開示され
ている。
【0007】一方、免疫応答を調節するリンホカインの
1つとして腫瘍壊死因子−α(tumor necrosis factor
−α; 以下、TNF−αと略す)が知られている。 TN
F−αは活性化マクロファージなどが産生する代表的な
サイトカインの1種で、マクロファージを細菌(特にそ
の構成成分であるリポ多糖類)やウィルス、 寄生虫で刺
激したときに産生される。 もともと種々の固形がんに出
血性の壊死を起こすリンホカインとして同定されたもの
である。APCの1つであるDCに及ぼす作用が知られ
ており、例えば、(1)顆粒球コロニーマクロファージ
刺激因子(granulocyte/macrophage colony-stimulatin
g factor;以下、GM−CSFと略す)との併用による
インビトロにおける造血幹細胞→DCへの分化[C.コ
ウクス(C. Caux) ら、Nature, Vol.360, 258-261(199
2)]、(2)GM−CSFとインターロイキン−4との
併用によるインビトロにおける単球→DCへの誘導(米
国特許 第5849589号)、(3)培養DCに対す
る抗原提示能抑制作用[F.サルスト(F. Sallust)お
よびA.ランザベッキア(A. Lanzavecchia )、ジャー
ナル オブ イクスペリメンタル メディスン(Journa
l of Experimental Medicine)、第179巻、第110
9〜1118頁(1994)] などが挙げられる。 即
ち、TNF−αはDCの成熟を誘導する一方、 外来性抗
原の提示によるCTL活性化能を低下させることが知ら
れている。
【0008】その他のサイトカインの1つとして、リン
ホカイン、モノカインには属さないが、インターフェロ
ン−α(Interferon−α;以下、IFN−αと略す)が
知られている。 IFN−αは、生体内でリンパ球や線維
芽細胞などさまざまな細胞が生産する生理活性タンパク
で抗ウィルス作用や抗ガン作用などを示すインターフェ
ロンの主要サブタイプの1つである。IFN−αは白血
球により産生され、 ウィルス感染または2本鎖RNAに
よってその産生が誘発されることが知られている。
【0009】IFN−αの免疫系細胞に対する作用とし
ては、インビボおよびインビトロの両方でナチュラルキ
ラー細胞の細胞傷害性(NKCC)を効果的に高めるこ
とが知られている(Trinchieri、1989年、Adv.Immunol.
47、187 〜376;Einhorn 、Blomgrenおよび Strander 、
1978年、Int.J.Cancer 22 、405 〜412;Friedmanおよび
Vogel 、1984年、Adv.Immunol.34、97〜140 )。
【0010】なお、抗原ペプチドを提示したDCを投与
することにより個体の免疫を活性化させる方法は、投与
される個体側の免疫系の状態によって活性化できない場
合が多い。 したがって、その回復を補助するアジュバン
トとして様々なサイトカインの併用が唱えられている。
例えば、国際公開第95/34638号パンフレットでは、GM
−CSFやインターロイキン−12(Interleukin-1
2)、国際公開第98/01538号パンフレットではTNF、
IFN−γなどをDCとともに投与する技術が開示され
ているが、いずれもその併用効果の確認はなされていな
い。 また上記2公報においては、IFN−αの使用に関
する開示はなされていない。
【0011】さらに免疫応答の活性化を目的としたサイ
トカインの使用については、例えば、国際公開第95/
24923号パンフレットに開示の技術が挙げられる。
該技術はDCではなく、熱ショックタンパク質(Hs
p) 90などのストレスタンパク質と病原体由来ペプチ
ドとの複合体によりCTLを誘導する技術であり、CT
L誘導を更に増強させるため、 IFN−α、TNF−α
を含む公知サイトカインの他、 未知のサイトカインも使
用可能と記載されているが、 実際に増強効果があるかは
確認されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、例え
ば腫瘍、主として大腸癌、胃癌などの消化器癌、骨髄
腫、腎臓癌、白血病、メラノーマ、前立腺癌、乳癌もし
くは子宮癌を治療するために、またはウィルス感染症、
主としてB型肝炎もしくはC型肝炎ウィルスによる慢性
肝炎を治療するために、免疫応答を活性化する製剤また
は系を創製することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、APCの一つであるDCの抗原提示を長期間安
定に維持させるために、TNF−αとIFN−αとの併
用が有用であることを見出した。 さらに抗原ペプチドを
細胞表面に提示したDCを個体に投与する際、DC単独
投与では免疫応答の十分な活性化が起らなかった個体に
対して、TNF−αおよびIFN−αを併用することに
より免疫応答を活性化できることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0014】即ち、本発明の要旨は、(1) 腫瘍壊死
因子−α、インターフェロン−αおよび抗原提示細胞を
有効成分として含有する免疫応答活性化製剤、ならびに
(2) 腫瘍壊死因子−αおよびインターフェロン−α
と、抗原提示細胞とを別々の投与剤形にすることを含
む、前記(1)記載の免疫活性化製剤の製造方法、に関
する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、TNF−α、IFN−
αおよび抗原提示細胞を有効成分として含有する免疫応
答活性化製剤を提供する。
【0016】本発明において抗原提示細胞とは、抗原提
示能を有する細胞および抗原ペプチドを提示した抗原提
示細胞の両方を包含する。抗原提示能を有する細胞に
は、例えば抗原ペプチドとHLA分子との複合体をその
細胞表面に提示することが可能な、マクロファージやB
細胞、樹状細胞(DC:dendritic cells )を始めとす
る白血球細胞が挙げられる。DCは、細胞当り抗原提示
量が多く、また抗原提示に必要な細胞表面分子〔CD8
0、CD86等のコスティミュラトリー・シグナル(c
o−stimulatory signal)分子等〕
の発現量も高いため、抗原提示能を有する細胞として特
に好適である。上記抗原提示能を有する細胞は、体外摘
出試料より調製することができる。例えばDCは、1)
末梢血単核球(PBMC)より比重を利用した密度勾配
遠心分離やいくつかの細胞表面マーカー等を基に単離精
製してくる、2)単球よりGM−CSFとIL−4によ
り誘導してくる、3)CD−34陽性細胞よりGM−C
SF、TNF−α、幹細胞増殖因子(SCF)等のサイ
トカインで誘導してくる等いずれかの方法により調製す
ることができる。
【0017】抗原ペプチドを提示した抗原提示細胞は、
前記抗原提示能を有する細胞に所望の抗原ペプチドを提
示させることにより調製したものである。提示させる抗
原ペプチドは、1種または2種以上であってもよい。こ
こで抗原ペプチドとしては、目的の治療に有効な免疫応
答を惹起可能なものであれば特に限定されない。例え
ば、現在までにCTLエピトープとして同定された抗原
ペプチドとしては、メラノーマ抗原E(MAGE)−
1、MAGE−2、MAGE−3、癌胎児性抗原(CE
A)、HER2/neuの他、PSA、PSMA、p5
3、gp100、MART−1、prostatic
acid phosphataseなど多くの腫瘍抗原
由来のものがある。具体的な例としては、腫瘍抗原ペプ
チドとして同定されたMAGE−3抗原ペプチド、MA
GE−1抗原ペプチド、CEA抗原ペプチドおよびHE
R2/neu抗原ペプチドから選択される少なくとも1
つの抗原ペプチドが挙げられる。これらの好適なアミノ
酸配列は、国際公開第99/03972号パンフレット
に記載されており、具体的には、MAGE−3抗原ペプ
チドとしては下記アミノ酸配列:Ile Met Pro Lys Ala
Gly Leu Leu Ile (配列番号:1)またはVal Ala Glu
Leu Val His Phe Leu Leu (配列番号:2)、MAGE
−1抗原ペプチドとしては下記アミノ酸配列:Asn Tyr
Lys His Cys Phe Pro Glu Ile (配列番号:3)、CE
A抗原ペプチドとしては下記アミノ酸配列:Gln Tyr Se
r Trp Phe Val Asn Gly Thr Phe (配列番号:4)また
はThr Tyr Ala Cys Phe Val Ser Asn Leu (配列番号:
5)、HER2/neu抗原ペプチドとしては下記アミ
ノ酸配列:Arg Trp Gly Leu Leu Leu Ala Leu Leu (配
列番号:6)が好ましく、腫瘍抗原ペプチドの中でも種
々の悪性腫瘍の腫瘍マーカーであるCEA値を低減可能
なペプチドという観点から、CEA抗原ペプチドがより
好ましい。なお、これらの抗原ペプチドは、日本人その
他のアジア人種に比較的多く見られる型であるHLA−
A24に拘束性のペプチドである。これらの他、HLA
−A2、HLA−A3、HLA−B7、HLA−B3
5、HLA−B44などMHCクラスI分子拘束性の抗
原ペプチドが同定されている。またDR4、DR13な
どのMHCクラスII分子拘束性の抗原ペプチドが同定さ
れている。
【0018】抗原ペプチドのさらなる例は、ウィルス抗
原由来のぺプチドであり、好ましくはヒト免疫不全ウィ
ルス(HIV)、C型肝炎ウィルス(HCV)、B型肝
炎ウィルス(HBV)、パピローマウィルス(HP
V)、エプスタインバーウィルス(EBV)のコードす
るタンパク質由来の抗原ペプチドが挙げられる。例え
ば、HIV−gag由来のHLA−A3、HLA−B3
5、HLA−B44拘束性のCTLエピトープ、HCV
core、NS3由来のHLA−A2拘束性のCTL
エピトープが同定されており、これらの抗原ペプチドが
利用可能である。その他マラリア原虫由来のCTLエピ
トープとなる抗原ペプチドも利用可能である。
【0019】抗原提示能を有する細胞表面に抗原ペプチ
ドを提示させるには、例えば上記抗原提示能を有する細
胞と抗原ペプチドの少なくとも一つを混合後、必要に応
じて過剰量の抗原ペプチドを洗浄し、HLA分子上に抗
原ペプチドを負荷させる方法が挙げられる。なお、上記
抗原提示能を有する細胞の調製方法における1)の方法
で調製した細胞のように、既にHLA分子上に本発明と
は無関係の抗原ペプチドを提示していると考えられる細
胞は、抗原ペプチドを負荷する前に酸処理などを行うこ
とにより、HLA分子上に存在するペプチドを除去して
もよい。該抗原提示能を有する細胞は、単一の抗原ペプ
チドが負荷されていてもよいし、細胞1個当り数種類の
抗原ペプチドが負荷されていてもよい。また、別な方法
としては、抗原ペプチドのアミノ酸配列を含有するアミ
ノ酸配列からなるタンパク、また抗原ペプチドとなるア
ミノ酸配列をコードする核酸分子を外から加え、抗原提
示細胞に取り込ませ、抗原ペプチドを提示させることも
できる。さらに別な方法として、B細胞、CD34陽性
細胞やDCに対して上記抗原ペプチドを提示させること
のできる発現ベクターにより該細胞を形質転換する方法
が挙げられる。なお、CD34陽性細胞は形質転換後、
抗原提示細胞に分化させればよい。このようなベクター
としては、pcDNA3、pMQMneo、pCEP4
等の市販のプラスミドに、組換えDNA技術によって細
胞表面に提示させたい抗原ペプチドの少なくとも1つを
コードする遺伝子を組込んだ、発現用プラスミドベクタ
ーが挙げられる。更に該発現ベクターは、細胞表面に提
示させたい抗原ペプチドの両端に細胞内で効率良くプロ
テアーゼの分解を受けるように適当なアミノ酸配列をコ
ードする遺伝子が付加されていてもよい。更に、レトロ
ウィルスベクターやアデノウィルスベクターも好適に利
用される。
【0020】抗原提示細胞は、非増殖性とすることが好
ましい。細胞を非増殖性とするためには、X線等の放射
線照射またはマイトマイシン(mitomycin)等
の薬剤による処理を行えばよい。
【0021】本発明の免疫応答活性化製剤は、抗原提示
細胞の投与に続いて、腫瘍壊死因子−αおよびインター
フェロン−αの投与がなされるのに適した投与剤形であ
る。
【0022】抗原提示細胞の量としては、個体に対して
免疫応答を活性化する限り特に限定されないが、1回の
投与量が1×103 〜1×107 個/kg となるのに適し
た投与剤形であることが好ましい。
【0023】本発明の免疫応答活性化製剤に含有される
TNF−αは、医薬品と同等以上の品質を有するものを
利用することができる。TNF−αの量としては、個体
に対して免疫応答を活性化する限り特に限定されない
が、1回の投与量が1×103〜1×105 U/kgとなる
のに適した投与剤形であることが好ましい。
【0024】本発明の免疫応答活性化製剤に含有される
IFN−αは、市販の医薬品を好適に利用することがで
きる。IFN−αの量としては、個体に対して免疫応答
を活性化する限り特に限定されないが、1回の投与量が
1×103 〜1×105 IU/kg となるのに適した投与剤
形であることが好ましい。
【0025】ここで、免疫応答を活性化するとは、投与
対象の個体がCTLを誘導する能力をいう。免疫応答の
活性化は、例えば実施例5に記載のように、免疫応答活
性化製剤の投与後の個体由来のPBMCに関して試験管
内でCTLの誘導活性を測定することにより、または実
施例2に記載のように、血清中の抗原タンパク質量の変
化を測定することなどにより調べることができる。
【0026】なお、本発明の免疫応答活性化製剤に含有
される抗原提示細胞は、自己または非自己由来のもので
あってもよい。非自己由来の抗原提示細胞は、投与対象
の個体とHLAの型が一致することが好ましい。
【0027】本発明の免疫活性化製剤は、大腸癌、胃癌
などの消化器癌、骨髄腫、腎臓癌、白血病、メラノー
マ、前立腺癌、乳癌、子宮癌等の良性腫瘍もしくは悪性
腫瘍の新生物形成、またはB型肝炎もしくはC型肝炎ウ
ィルスによる慢性肝炎、AIDS等のウィルス感染症の
治療に用いられる。あるいは、各種の腫瘍抗原ペプチド
を提示した抗原提示細胞を用いることにより、腫瘍抗原
タンパク質を発現した悪性腫瘍の治療に好適に用いられ
る。抗原提示細胞がDCの場合の本発明の免疫活性化製
剤の投与方法は、下記のように例示することができる。
【0028】まず、個体の末梢血単核球(PBMC)を
常法により分離して、モノサイト画分をGM−CSFお
よびIL−4で処理することにより試験管内でDCを調
製する。DCの調製方法の具体例は、実施例1に記載さ
れている。調製したDCは、前記したように抗原ペプチ
ドを提示させてもよいし、提示させなくてもよい。
【0029】前記DCは、元の個体の(autologous)体内
に戻すこともできるし、HLAの型の一致する別の個体
の(allogenic) 体内に戻すこともできる。個体への投与
方法は、皮下、皮内または静脈内注射等で行なう。投与
回数は、通常、2〜3週間毎であり、所望の効果が得ら
れるまで繰り返す。
【0030】次に、TNF−αおよびIFN−αを個体
に投与する。TNF−αおよびIFN−αは、同時に投
与してもよいし、別々に投与してもよい。個体への投与
方法は、通常、静脈内注射、皮下注射等で行なう。投与
時期は、第1回目の抗原提示細胞投与の後であり、投与
当日および/または投与後1〜14日の間に投与するの
が好ましい。投与回数は、通常、週に1〜5回、好まし
くは週に2〜3回である。
【0031】本発明の免疫活性化製剤は、他の薬剤と併
用してもよいが、免疫抑制的に働く薬剤との併用は好ま
しくない。
【0032】本発明の免疫活性化製剤は、抗原提示細胞
投与後に、アジュバントとしてTNF−αおよびIFN
−αを併用するような剤形をとるので、抗原提示細胞の
成熟化、それに伴うリンパ節への移行および抗原提示能
を長期間安定に維持することができる。さらに、抗原提
示細胞を個体に投与する際、該細胞単独投与では免疫応
答の十分な活性化が起らなかった個体に対して、TNF
−αおよびIFN−αを併用することにより免疫応答を
活性化することができる。
【0033】また、本発明は、前記TNF−αおよびI
FN−αと、抗原提示細胞とを別々の投与剤形にするこ
とを含む、免疫活性化製剤の製造方法を提供する。抗原
提示細胞は、前記のように調製した後、細胞の保存に適
した培地、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水に懸
濁した投与剤形にする。細胞の保存に適した培地として
は、RPMI、AIM−V、X−VIVO10などの培
地が一般的である。また該培地または緩衝液には血清ア
ルブミン等を安定化の目的で添加してもよい。抗原提示
細胞の濃度は、細胞1種類当り103 〜5×106 個/
ml、好ましくは104 〜106 個/mlである。TN
F−αおよびIFN−αは、前記した市販の医薬または
医薬品と同等以上の品質を有するものを抗原提示細胞と
は別の投与剤形にする。TNF−αおよびIFN−α
は、別々の投与剤形にしてもよいし、同一の投与剤形に
してもよい。TNF−αおよびIFN−αの投与剤形
は、注射に適した剤形であれば特に限定されない。TN
F−αの濃度は、1×104 〜1×107 U/ml、好まし
くは1×105 〜1×106 U/mlである。IFN−αの
濃度は、1×104 〜1×107 IU/ml 、好ましくは1
×105 〜1×107 IU/ml である。
【0034】すなわち本発明は、上記新生物、ウィルス
感染などの、免疫応答活性化を必要とする疾病の治療剤
を提供するものである。換言すれば、本発明は抗原提示
細胞とTNF−α、IFN−αとを、抗原提示細胞の投
与の後にTNF−αおよびIFN−αを投与できるよう
に作製された、免疫応答を活性化するための投与剤を提
供するものである。
【0035】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明は、これらの実施例により限定される
ものではない。
【0036】実施例1 CEAペプチドを負荷した抗原
提示細胞(樹状細胞)の調製、投与およびその効果 HLA−A24陽性の癌患者(ステージIVの進行消化器
癌または肺癌患者)それぞれより成分採血を行い白血球
画分を集め、さらに以下の分離方法に従ってPBMCを
分離した。すなわち、採血液をりん酸緩衝生理食塩水
(PBS)で約2倍に希釈し、フィコール−パック(Ficoll
-Paque)分離液(ファルマシア社製)上に重層し、400
×g で20分間室温で遠心分離した。中間層のPBMCを
ピペットで回収、洗浄して保存液[8% ヒト血清アルブ
ミン(HSA)入りCP−1(極東製薬社製)]に懸濁した状
態でバイアルに約5×107 個づつ分注し、液体窒素中に
保存した。以下の実験においては、これら保存PBMC
より必要量を用時融解して用いた。
【0037】各患者の保存PBMCを、融解後、細胞濃
度が4 ×106 個/ml となるように5%ヒトAB型血清を含
むRPMI培地(5H-RPMI )に懸濁し、細胞懸濁液25mlずつ
を2本のT-75フラスコに入れた。1.5 時間37℃のCO2
ンキュベーター内で培養後、非接着細胞を除き、GM−
CSFを1000U/mlおよびIL−4を1000U/ml含む5H-RPM
I を20ml加え、37℃のCO2 インキュベーター内で培養し
た。7日後に、浮遊細胞を回収した。接着細胞について
は細胞解離バッファー(ギブコ社製)にて回収し5H-RPM
I で洗浄後、浮遊細胞と合わせた。回収した樹状細胞
(以下、DC)約1×107 個をCEAペプチド(アミノ
酸配列:TYACFVSNL )(配列番号:5)40μg/mlを含む
1% HSA入りPBS (2 ml)に懸濁し室温で4時間放置し
た。以後このように調製したDC懸濁液をDCワクチン
と呼ぶ。上記DCワクチンの調製ならびにDCワクチン
の患者への皮下および皮内への投与を2または3週毎に
繰り返した。各投与2週間後に採血し、血清中のCEA
量(ng/ml)をモニターした。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1より、いずれの患者においても緩やか
ではあるがCEA値が上昇していき、顕著なCEA値の
減少する症例はなかった。
【0040】実施例2 CEAペプチドを負荷した樹状
細胞の投与後TNF−αとIFN−αの混合物の投与、
およびその効果 実施例1記載と同様の方法で、HLA−A24陽性の患
者(ステージIVの進行消化器癌または肺癌患者)由来の
PBMCよりそれぞれDCワクチンを調製し、各患者に
投与した。DCワクチンの投与は2週間おきに行った。
第1回目のワクチン投与日から、週に2回、TNF−α
(2−3 ×106 U)(林原生物化学研究所)とIFN−
α(2−3 ×106 IU)(持田製薬)の混合物を静脈内
に投与した。ワクチン投与前(またはTNF−αとIF
N−αの混合物の投与前)およびその後の血清中のCE
A量を測定した。その結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】表2より、4症例中2症例(F27 、F37 )
においてCEA値の上昇抑制または減少が観察された。
特に、F37 では顕著であった。
【0043】実施例3 TNF−αとIFN−αの混合
物での処理によるDCの細胞表面分子の変化 実施例1と同様の方法でPBMCよりT-25フラスコ(4
×106 個/ml を10ml入れた)で調製した接着細胞を、G
M−CSFとIL−4の存在下5日間培養した後、rT
NF−α(ジェンザイム社製、最終濃度500 U/ml)、r
TNF−αとIFN−αの混合物(最終濃度:rTNF
−α 500 U/ml、IFN−α 500 IU/ml )を添加し、
更に3日間培養し、各処理DCを調製した。対照とし
て、GM−CSFとIL−4のみの存在下で8日間培養
して得られたDCを用いた。その後、各DCを回収し、
表面マーカー(class I, class II, CD80, CD83, CD86
)の発現量をそれぞれの分子に対する抗体(ベクトン
ディキンソン社製)およびFITC標識2次抗体(ベクトン
ディキンソン社製)を用いて標識し、フローサイトメー
ターで測定して、各細胞表面マーカー陽性細胞の割合を
求めた。その結果を表3に示す。また、回収した各処理
DCの一部を5H-RPMI (GM−CSF、IL−4のいず
れも含有しない)培地に懸濁し、更に3日間培養後細胞
を回収し、表面マーカー(class I, class II, CD80, C
D83, CD86 )をフローサイトメーターで測定して、各細
胞表面マーカー陽性細胞の割合を求めた。その結果を表
4に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】表3より明らかなように、TNF−αまた
はTNF−αとIFN−αの混合物で処理したことによ
り、コスティミュラトリー・シグナルを与えるリガンド
であるCD80、CD86の発現が増大すると共に、成熟DCの
マーカーであるCD83の発現も増加した。ところが、表4
に示すように、GM−CSF、IL−4の存在しない条
件に置くと、TNF−α単独で処理したDCはCD80、CD
86、CD83いずれも発現量が低下したのに対し、TNF−
αとIFN−αの混合物で処理したDCはCD83の発現が
低下したが、TNF−α単独処理細胞に比べて高い発現
を維持しており、またCD80の発現は逆に増加した。この
ことはTNF−αとIFN−αの混合物がDCの抗原提
示能を長時間維持させていることを示している。
【0047】次に、調製した各処理DCの抗原提示能を
アロ混合リンパ球反応により測定した。即ち、8 日目に
回収した各処理DC(0、 3.7×103 、7.5 ×103 、1.
5 ×104 個/ウェル)と、異なるドナー由来のPBMC
をナイロンウールカラムを通過させて得られたT細胞リ
ッチなエフェクター細胞(1.5 ×105 個/ウェル)とを
混合し、4 日間培養後、3 H-チミジンを加え、その後培
養を続け、24時間後に細胞を回収し、チミジンの取り込
み量を液体シンチレーションカウンターで測定した。そ
の結果を表5に示す。
【0048】
【表5】
【0049】表5の結果より、TNF−αとIFN−α
の混合物で処理して得られたDCは、他の方法で得られ
たDCより高い抗原提示能を有していた。以上のことよ
り、TNF−αとIFN−αの混合物が生体内で高い抗
原提示能を有するDCを長時間維持させていることが示
された。
【0050】実施例4 TNF−αとIFN−αの混合
物による腫瘍細胞の変化 CEA陽性の胃癌細胞MKN45 (JCRB 0254)を
TNF−αとIFN−αの混合物(最終濃度各々10、10
0 、1000 U/ml および10、100 、1000 IU/ml)を含む1
0% FCS/RPMI培地と共に2日間培養した。そ
の後、細胞を回収し、上記のCEAペプチドを認識して
MKN45 胃癌細胞を傷害するCTL(Int.J. Cancer, 80,
92-97, 1999 )と1:1の割合で混合して一晩培養
後、CTLより放出されるIFN−γの量を市販のELIS
A キットで定量した。対照として、100U/ml のIFN−
γで2日間培養したMKN45 細胞およびIFN−γ無添加
で培養したMKN45 細胞を、同様に前記CTLと混合培養
した。その結果を表6に示す。
【0051】
【表6】
【0052】表6より明らかなように、TNF−αとI
FN−αの混合物は、従来知られているIFN−γより
強い抗原提示誘導能がある。即ち、TNF−αとIFN
−αの混合物を投与することにより、標的細胞がCTL
による認識を受け易くなること、更に実施例3に示した
ように、抗原提示細胞に対しても腫瘍抗原を強く提示さ
せることができることから、より効率よくCTLが誘導
されてくる可能性が示唆される。
【0053】実施例5 PBMCからのCTL誘導 個体F27 より、DCワクチン投与前、およびDCワクチ
ン投与後さらにTNF−αとIFN−αの混合物投与を
開始して1週間後に成分採血し、実施例1と同様の操作
でPBMCを分離した。このDCワクチン投与前および
TNF−αとIFN−αの混合物投与後のPBMCのそ
れぞれについて下記の方法でCTL誘導を実施した。
【0054】(1)DCの調製 保存PBMCを、融解後、細胞濃度が2 ×106 個/ml と
なるように5H-RPMI に懸濁し、細胞懸濁液10mlをT-25フ
ラスコに入れた。37℃で1.5 時間放置後、非接着細胞を
除き、GM−CSFを1000U/mlおよびIL−4を1000U/
ml含む5H-RPMIを10ml加え、37℃のCO2 インキュベータ
ー内で培養した。7日後に、浮遊細胞を回収した。接着
細胞については細胞解離バッファーにて回収して5H-RPM
I で洗浄後、浮遊細胞と合わせた。回収した細胞につい
て3x106 個/ml となるように、ペプチド40μg/ml、β2
ミクログロブリン3μg/mlを含む1% 牛血清アルブミン
-PBSに懸濁し、20℃の恒温槽中4時間放置した。反応
後、X線照射(5500Rad )を行い細胞濃度が1×105
/ml となるように5H-RPMI に懸濁した。
【0055】(2)エフェクター細胞の調製 保存PBMCを、融解後、細胞濃度が2×107 個/ml と
なるように4℃の1%ヒトAB血清を含むPBS (以下1H-PB
S)に懸濁した。2×107 個のPBMCに対して1H-PBS
で洗浄した抗CD8 抗体を結合したビーズ(Dynabeads M4
50、ダイナル社製)を140 μl 加えた。4℃で1時間反
応後、非接着細胞を除いた。非接着細胞を除いた後、最
初に用いた細胞数として1×108 個に対して0.9ml の1H
-PBSに懸濁し、0.1ml の細胞解離用ビーズ(DETACHaBEA
Ds、ダイナル社製)を加えた。室温で1時間混和後、解
離した細胞を回収して1H-PBSで洗浄した。洗浄した細胞
を2×106 個/ml となるように5H-RPMI に懸濁し、上記
(1)で調製したDC懸濁液と等量ずつ混和した。この
懸濁液に最終濃度10ng/ml となるようにIL−7を加
え、48ウェル培養プレートの各ウェルに0.5ml ずつ分注
し、37℃のCO2 インキュベーター内で培養した。翌日、
10ng/ml のIL-10 を含む5H-RPMI を50μl 加えた。
【0056】1週間後に各ウェルの培養上清を除き、細
胞を0.5ml の5H-RPMI に懸濁した。この懸濁液を、下記
(3)のように調製した抗原提示細胞を含むプレートに
加え、再刺激した。翌日、IL-10 を終濃度10 ng/mlとな
るように添加し、更に2日おきに、培養上清を半量除
き、20 U/ml のIL-2を含む5H-RPMI を等量加え、1週間
37℃のCO2 インキュベーター内で培養した。同様の再刺
激を更に3回行い、細胞を回収し、エフェクター細胞と
した。このエフェクター細胞を5H-RPMI に懸濁し、下記
(4)の方法で細胞傷害活性を測定した。ただし、エフ
ェクター細胞は各ウェルの培養上清を除き1ml の5H-RPM
I に懸濁しエフェクター細胞懸濁液として用いた。後述
のTISI(+) 細胞に対して細胞傷害性を示したウェルにつ
いて、抗CD3 抗体または抗原刺激に用いた各ペプチドを
用いてエフェクター細胞を増殖させた。増殖した細胞を
5H-RPMI に懸濁し下記(4)の方法で細胞傷害活性を測
定した。
【0057】(3)再刺激用抗原提示細胞の調製 融解後のPBMCにX線照射(5500Rad )を行い、細胞
濃度を4×106 個/mlに調製し48ウェル培養プレートに
0.5ml/ウェルずつ分注し、CO2 インキュベーター内で1.
5 時間培養した。その後、非接着細胞を吸引除去し、さ
らに各ウェルをRPMI1640で洗浄して非接着細胞を除い
た。ペプチド20μg/ml、β2 ミクログロブリン3μg/ml
を含む1 %HSA 入りPBS を0.25 ml/ウェルずつ分注し、
CO2 インキュベーター内で培養した。2時間後に上清を
吸引除去し5H-RPMI で1回洗浄し、プレートの各ウェル
に残った細胞を再刺激用抗原提示細胞として使用した。
【0058】(4)CTLによる細胞傷害活性の測定 細胞傷害活性測定のための標的細胞として、HLA-A24 を
発現しているEBVトランスフォームB細胞であるTISI
(WSNO 9042 )を用いた。TISI細胞を測定前日にペプチ
ド10μg/mlを含む培地(以下、TISI(+) と表記)、また
は含まない培地(以下、TISI(-) と表記)中で一晩培養
した。測定当日、各5×106 個のTISI(+) 、TISI(-) 細
胞を含む培養液に200 μCiのNa2 51CrO 4 を添加して37
℃で1時間51Cr標識し、その後10%FCS 含有RPMI1640培
養液で洗浄した。96ウェル培養プレートの各ウェルに前
記(2)のエフェクター細胞懸濁液を100 μl/ウェルず
つ分注しておき、これに1×104 個の51Cr標識TISI細胞
および3×105 個のK562細胞(混入するNK細胞による非
特異的傷害活性を除くため)を含む100 μl の細胞懸濁
液を加えた。400 ×g で1分間遠心分離後、37℃のCO2
インキュベーター中に5時間放置した。その後各ウェル
の培養液上清100 μl を採取し、ガンマカウンターを用
いて、遊離した51Cr量を測定した。
【0059】特異的細胞傷害活性は以下の計算式に従っ
て算出した。 特異的細胞傷害活性(%)=(各ウェルの測定値−最小放
出値) /(最大放出値−最小放出値) ×100 ただし、最小放出値は標的細胞およびK562細胞のみ入っ
ているウェルの51Cr量であり、標的細胞からの51Crの自
然遊離量を示す。また、最大放出値は、標的細胞に界面
活性剤トリトンX-100 を加えて細胞を破壊した際の51Cr
遊離量を示している。TISI(-) 細胞と比較してTISI(+)
細胞に対して20%以上高い特異的細胞傷害活性を示した
エフェクター細胞が含まれているウェルの割合を、ペプ
チド特異的な細胞傷害性を示すCTLの頻度とした。そ
の結果を表7に示す。
【0060】
【表7】
【0061】表7より、IFN−αとTNF−αの混合
物投与後のPBMCから、DCワクチン投与前より多く
の抗原ペプチド特異的な細胞傷害性を示すエフェクター
細胞(CTL)が得られることが明らかとなった。
【0062】
【発明の効果】本発明により、腫瘍壊死因子−α、イン
ターフェロン−αおよび抗原提示細胞を有効成分として
含有する免疫応答活性化製剤、ならびにその製造方法が
提供される。本発明の免疫応答活性化製剤は、投与後に
抗原提示細胞を長期間安定に維持することができる。さ
らに、抗原提示細胞を個体に投与する際、該細胞単独投
与では免疫応答の十分な活性化が起らなかった個体に対
して、TNF−αおよびIFN−αを併用することによ
り免疫応答を活性化することができる。
【0063】
【配列表】
SEQUENCE LISTING <110> Takara Shuzo Co., Ltd. <120> Agent for Immunoresponse Activation <130> TS-11-003 <160> 6
【0064】 <210> 1 <211> 9 <212> PRT <213> Homo sapiens
【0065】 <210> 2 <211> 9 <212> PRT <213> Homo sapiens
【0066】 <210> 3 <211> 9 <212> PRT <213> Homo sapiens
【0067】 <210> 4 <211> 10 <212> PRT <213> Homo sapiens
【0068】 <210> 5 <211> 9 <212> PRT <213> Homo sapiens
【0069】 <210> 6 <211> 9 <212> PRT <213> Homo sapiens
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/04 C07K 14/555 C07K 14/525 A61K 37/02 14/555 37/66 G C12N 5/06 C12N 5/00 E (72)発明者 川嶋 一郎 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 糠谷 育衛 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 伊藤 剛 京都市左京区山端壱町田町8−80 ローズ マンション修学院401号 (72)発明者 上田 祐二 京都市左京区山端大城田町20 ライオンズ マンション修学院701号 (72)発明者 山岸 久一 滋賀県大津市稲葉台3−6 Fターム(参考) 4B065 AA94X AC14 AC20 BD39 CA24 CA44 4C084 AA24 BA44 CA26 CA36 DA22 DA25 MA02 NA05 ZB091 ZB092 ZB261 ZB331 ZC751 4C087 AA01 AA02 CA21 MA02 NA05 ZB09 ZB26 ZB33 ZC75 4H045 AA30 BA15 CA41 DA86 EA22 FA71

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 腫瘍壊死因子−α、インターフェロン−
    αおよび抗原提示細胞を有効成分として含有する免疫応
    答活性化製剤。
  2. 【請求項2】 抗原提示細胞が樹状細胞である請求項1
    記載の免疫応答活性化製剤。
  3. 【請求項3】 抗原提示細胞が抗原ペプチドを提示して
    いる請求項1または2記載の免疫応答活性化製剤。
  4. 【請求項4】 抗原提示細胞の投与に続いて、腫瘍壊死
    因子−αおよびインターフェロン−αの投与がなされる
    のに適した投与剤形である、請求項1〜3いずれか記載
    の免疫応答活性化製剤。
  5. 【請求項5】 腫瘍壊死因子−αおよびインターフェロ
    ン−αを同時に投与するのに適した投与剤形である請求
    項1〜4いずれか記載の免疫応答活性化製剤
  6. 【請求項6】 腫瘍壊死因子−αの1回投与量が1×1
    3 〜1×105 U/kgとなるのに適した投与剤形である
    請求項1〜5いずれか記載の免疫応答活性化製剤。
  7. 【請求項7】 インターフェロン−αの1回投与量が1
    ×103 〜1×10 5 IU/kg となるのに適した投与剤形
    である請求項1〜6いずれか記載の免疫応答活性化製
    剤。
  8. 【請求項8】 抗原提示細胞の1回投与量が1×103
    〜1×107 個/kgとなるのに適した投与剤形である請
    求項1〜7いずれか記載の免疫応答活性化製剤。
  9. 【請求項9】 抗原ペプチドが癌胎児性抗原由来の細胞
    傷害性T細胞エピトープである請求項3〜8いずれか記
    載の免疫応答活性化製剤。
  10. 【請求項10】 新生物形成またはウィルス感染の治療
    に用いられる、請求項1〜8いずれか記載の免疫活性化
    製剤。
  11. 【請求項11】 癌胎児性抗原を発現した悪性腫瘍の治
    療に用いられる、請求項1〜9いずれか記載の免疫活性
    化製剤。
  12. 【請求項12】 腫瘍壊死因子−αおよびインターフェ
    ロン−αと、抗原提示細胞とを別々の投与剤形にするこ
    とを含む、請求項1〜11いずれか記載の免疫活性化製
    剤の製造方法。
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JP2019506867A (ja) * 2016-02-05 2019-03-14 オリオニス バイオサイエンシズ エヌブイ Clec9a結合物質
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