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JP2001089752A - 光半導体の光励起に応じて親水化される部材及びその製造方法 - Google Patents

光半導体の光励起に応じて親水化される部材及びその製造方法

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Publication number
JP2001089752A
JP2001089752A JP2000227055A JP2000227055A JP2001089752A JP 2001089752 A JP2001089752 A JP 2001089752A JP 2000227055 A JP2000227055 A JP 2000227055A JP 2000227055 A JP2000227055 A JP 2000227055A JP 2001089752 A JP2001089752 A JP 2001089752A
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JP
Japan
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sample
optical semiconductor
water
contact angle
layer
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP2000227055A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kojima
栄一 小島
Makoto Hayakawa
信 早川
Keiichiro Norimoto
圭一郎 則本
Toshiya Watabe
俊也 渡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Publication date
Application filed by Toto Ltd filed Critical Toto Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F28HEAT EXCHANGE IN GENERAL
    • F28FDETAILS OF HEAT-EXCHANGE AND HEAT-TRANSFER APPARATUS, OF GENERAL APPLICATION
    • F28F13/00Arrangements for modifying heat-transfer, e.g. increasing, decreasing
    • F28F13/18Arrangements for modifying heat-transfer, e.g. increasing, decreasing by applying coatings, e.g. radiation-absorbing, radiation-reflecting; by surface treatment, e.g. polishing
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F24HEATING; RANGES; VENTILATING
    • F24FAIR-CONDITIONING; AIR-HUMIDIFICATION; VENTILATION; USE OF AIR CURRENTS FOR SCREENING
    • F24F8/00Treatment, e.g. purification, of air supplied to human living or working spaces otherwise than by heating, cooling, humidifying or drying
    • F24F8/20Treatment, e.g. purification, of air supplied to human living or working spaces otherwise than by heating, cooling, humidifying or drying by sterilisation
    • F24F8/22Treatment, e.g. purification, of air supplied to human living or working spaces otherwise than by heating, cooling, humidifying or drying by sterilisation using UV light
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F28HEAT EXCHANGE IN GENERAL
    • F28FDETAILS OF HEAT-EXCHANGE AND HEAT-TRANSFER APPARATUS, OF GENERAL APPLICATION
    • F28F2245/00Coatings; Surface treatments
    • F28F2245/02Coatings; Surface treatments hydrophilic

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゾル塗布焼成法で基材表面に光半導体含有層
を形成した場合においても、太陽光、室内照明等の日常
よく使用されている光源による光半導体の光励起に応じ
て10゜以下まで親水化されるようにし、かつ他の製法
で光半導体含有層を形成した場合における光励起に応じ
た親水性能の向上が図れるようにした部材を提供するこ
と。 【解決手段】 基材表面に、光半導体以外にアルカリ金
属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、ルテニウ
ム、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリアのうち
の少なくとも1種を含む層を形成したことを特徴とする
部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材の表面を高度
の親水性になし、かつ、維持する技術に関する。より詳
しくは、本発明は、建物や窓ガラスや機械装置や物品の
表面を高度に親水化することにより、表面が汚れるのを
防止し、又は表面を自己浄化(セルフクリーニング)し
若しくは容易に清掃する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】基材表面が親水化されると、付着水滴が
基材表面に一様に拡がるようになるので、都市煤塵、自
動車等の排気ガスに含有されるカーボンブラック等の燃
焼生成物、油脂、シーラント溶出成分等の疎水性汚染物
質が付着しにくく、付着しても降雨や水洗により簡単に
落せるようになるので便利である。
【0003】このような事情から特に外装防汚塗料の分
野において、従来から親水性樹脂が提案されている(例
えば、実開平5−68006号や、「高分子」、44
巻、1995年5月号、p.307)。また、親水化す
るための表面処理方法も提案されている(例えば、実開
平3−129357号)。
【0004】しかしながら、従来提案されている親水性
樹脂は水との接触角に換算して30〜50゜程度までし
か親水化されず、無機粘土質からなる汚染物質の付着及
び降雨、水洗による清浄性が充分でない。また従来提案
されている親水化するための表面処理方法(エッチング
処理、プラズマ処理等)では、一時的に高度に親水化で
きてもその状態を長期間維持することができない。
【0005】本発明者は、PCT/JP96/0073
3号において、基材表面に光半導体含有層を形成する
と、光半導体の光励起に応じて表面が高度に親水化され
ることを発明し、この技術をガラス、レンズ、鏡、外装
材、水回り部材等の種々の複合材に適用すれば、これら
複合材に優れた防曇、防汚等の機能を付与できることを
提案した。この方法によれば、疎水性汚染物質及び無機
粘土質からなる汚染物質の付着及び降雨、水洗による清
浄性が飛躍的に向上する。また光半導体の光励起に応じ
て親水化された状態が維持、回復される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実質的
に耐摩擦性に優れた光半導体のみからなる層を、施釉タ
イル基材やガラス基材等の平滑な表面を有する基材に直
接光半導体ゾル塗布法で塗布し、焼成する場合には、光
半導体の光励起に応じて10゜以下程度まで親水化され
ない。また、例えば光半導性酸化チタンのみからなる層
をガラス基材上に形成するのに、アルコキシド法、スパ
ッタリング法等にて無定型酸化チタン層を形成後、焼成
して無定型酸化チタンを結晶化させる方法等ならば、光
半導体の光励起に応じて10゜以下程度まで親水化され
るが、この場合もさらに親水化が進めばより高い防曇、
防汚等の性能が発揮されると考えられる。そこで、本発
明では、光半導体のみからなる層と比較して、光半導体
の光励起に応じて、より高度に親水化される部材、より
具体的には、より汚染物質が付着しにくく、かつ降雨、
水洗による清浄性に優れた防汚性部材、より表面の乾燥
しやすい部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、光半導体の光励起に応じて部材表面が親水
化される親水性部材、防曇性部材、防汚性部材、易乾燥
性部材において、基材表面に、光半導体と、それ以外に
アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウ
ム、ルテニウム、アルミナ、ジルコニア、セリア、イッ
トリアの1群から選ばれた少なくとも1種を含む層が形
成されているようにした。本発明の好ましい態様におい
ては、上記部材表面は、光半導体の光励起に応じ、水と
の接触角に換算して10゜以下、より好ましくは5゜以
下まで親水化されるようにする。このようにすること
で、特に汚染物質の付着防止性及び降雨、水洗による清
浄性の飛躍的に優れた部材となる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の構成要素について
説明する。ここでいう光半導体とは、価電子帯中の電子
の励起によって生成する正孔或いは伝導電子を介する反
応により、おそらくは表面に極性を付与して吸着水層を
形成することにより、基材表面を親水化できるものをさ
し、より具体的には、アナターゼ型酸化チタン、ルチル
型酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、三酸化二ビスマス、
三酸化タングステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチ
ウム等が使用できる。
【0009】ここでいう親水化とは、水濡れ性が向上す
る状態の変化をいう。都市煤塵、自動車等の排気ガスに
含有されるカーボンブラック等の燃焼生成物、油脂、シ
ーラント溶出成分等の疎水性汚染物質が付着しにくく、
付着しても降雨や水洗により簡単に落せるようにするに
は、基材表面は水との接触角に換算して50゜以下、よ
り好ましくは30゜以下程度まで親水化するのがよい。
さらに無機粘土質汚染物質が付着しにくく、付着しても
降雨や水洗により簡単に落せるようにするには、基材表
面は水との接触角に換算して20゜以下、好ましくは1
0゜以下、より好ましくは5゜以下程度まで親水化する
のがよい。
【0010】本発明に使用できる基材としては、降雨に
よる自己浄化が期待できる屋外用途においては、例え
ば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木、
石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、紙、それら
の組合せ、それらの積層体、それらの塗装体等である。
より具体的には、外壁や屋根のような建物外装;窓枠;
自動車、鉄道車両、航空機、船舶、自転車、オートバイ
のような乗物の外装及び塗装;窓ガラス;看板、交通標
識、防音壁、ビニールハウス、碍子、乗物用カバー、テ
ント材、反射板、雨戸、網戸、太陽電池用カバー、太陽
熱温水器等の集熱器用カバー、街灯、舖道、屋外照明、
人工滝・人工噴水用石材・タイル、橋、温室、外壁材、
壁間や硝子間のシーラー、ガードレール、ベランダ、自
動販売機、エアコン室外機、屋外ベンチ、各種表示装
置、シャッター、料金所、料金ボックス、屋根樋、車両
用ランプ保護カバー、防塵カバー及び塗装、機械装置や
物品の塗装、広告塔の外装及び塗装、構造部材、及びそ
れら物品に貼着可能なフィルム等を含む。
【0011】本発明に使用できる基材としては、水洗に
よる清浄化が期待できる用途においては、例えば、金
属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木、石、セ
メント、コンクリート、繊維、布帛、紙、それらの組合
せ、それらの積層体、それらの塗装体等である。より具
体的には、上記屋外用途部材が含まれることは勿論、そ
の他に、建物の内装材、窓ガラス、住宅設備、便器、浴
槽、洗面台、照明器具、台所用品、食器、食器乾燥器、
流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、窓レー
ル、窓枠、トンネル内壁、トンネル内照明、及びそれら
物品に貼着可能なフィルム等を含む。
【0012】本発明に使用できる基材としては、乾燥促
進が期待できる用途においては、例えば、窓サッシ、熱
交換器用放熱フィン、舖道、浴室用洗面所用鏡、洗面化
粧台、ビニールハウス天井及びそれら物品に貼着可能な
フィルム等を含む。
【0013】本発明に使用できる基材は上記以外にも着
雪防止、気泡付着防止、生体親和性向上等に利用でき
る。着雪防止性は特に表面粗さ1μm以下の表面層を設
けると顕著に優れた特性が得られ、例えば、雪国用屋根
材、アンテナ、送電線及びそれら物品に貼着可能なフィ
ルム等を含む基材に適用可能である。
【0014】光半導体の光励起は、光半導体結晶の伝導
電子帯と価電子帯との間のエネルギーギャップよりも大
きなエネルギー(すなわち短い波長)を有する光を光半
導体に照射して行う。より具体的には、光半導体がアナ
ターゼ型酸化チタンの場合には波長387nm以下、ル
チル酸化チタンの場合には波長413nm以下、酸化錫
の場合には波長344nm以下、酸化亜鉛の場合には波
長387nm以下の光を含有する光線を照射する。上記
光半導体の場合は、紫外線光源により光励起されるの
で、光源としては、蛍光灯、白熱電灯、メタルハライド
ランプ、水銀ランプのような室内照明、太陽光や、それ
らの光源を低損失のファイバーで誘導した光源等を利用
できる。複合材表面の親水化に必要な、光半導体を光励
起するために必要な光の照度は、0.001mW/cm
2以上、より好ましくは0.01mW/cm2以上であ
る。
【0015】本発明において、基材表面に、光半導体以
外に添加する物質にアルミナ又はイットリアを選ぶと、
0.01mW/cm2未満程度の微弱な励起光照射下、
あるいは暗所での親水維持性がよりよく発揮されるよう
になる。
【0016】また、本発明における、さらに好ましい態
様においては、光半導体含有層にはさらに、シリカ、及
び/又はシリコン原子に結合された有機基の少なくとも
一部が水酸基に置換されたシリコーン樹脂が添加されて
いるようにする。こうすることにより光半導体の光励起
に応じて生じる複合材表面の親水化はより高度に進むよ
うになると共に、一旦親水化された複合材を暗所に放置
した場合でも、長期にわたり親水性が維持されるように
なる。
【0017】光半導体含有層の膜厚は0.2μm以下に
するのが好ましい。そうすれば、光の干渉による光半導
体含有層の発色を防止することができる。また光半導体
含有層の膜厚が薄ければ薄いほど基材の透明度を確保す
ることができる。更に、膜厚を薄くすれば光半導体含有
層の耐摩耗性が向上する。光半導体含有層上に、更に、
親水化可能な耐摩耗性又は耐食性の保護層や他の機能膜
を設けてもよい。
【0018】光半導体含有層の屈折率は、基材の屈折率
より小さいか、あまり大きくないほうがよい。例えば基
材がガラス基材(屈折率1.5)である場合は、光半導
体含有層の屈折率は2以下であるのが好ましい。そうす
れば、複合材表面での可視光の反射を防止でき、透明材
における視界確保、意匠性外装又は塗装におけるギラギ
ラ感の防止に役立つ。光半導体含有層の屈折率を2以下
にするには、例えば光半導体がアナターゼ型酸化チタン
(屈折率2.5)のように屈折率が2をこえる物質の場
合には、光半導体以外に屈折率2未満の物質を添加す
る。屈折率2未満の物質としては、例えば、アルミナ
(屈折率1.6)、シリカ(屈折率1.5)、酸化錫
(屈折率1.9)、シリコン原子に結合された有機基の
少なくとも一部が水酸基に置換されたシリコーン樹脂
(屈折率1.4〜1.6)が好適に利用できる。
【0019】基材表面に、光半導体と、それ以外にアル
カリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、白
金、パラジウム、ルテニウム等の金属を含む層を形成す
る方法は以下のような方法がある。(1)基材表面に、
光半導体粒子層を形成後、上記金属含有物を塗布し、乾
燥固定する。(2)基材表面に、光半導体粒子層を形成
後、上記金属含有物を塗布し、さらに光半導体の光励起
により金属を還元固定する。(3)基材表面に、光半導
体粒子と上記金属含有物を塗布後焼成する。(4)基材
表面に、光半導体粒子と上記金属含有物と、光半導体の
光励起により親水化しうる硬化性結着剤とを塗布後、硬
化性結着剤を硬化させ、さらに光半導体の光励起により
結着剤を親水化させる。
【0020】光半導体粒子層の形成方法は、例えば、ゾ
ル塗布焼成法、アルコキシド法、スパッタリング法等が
ある。ゾル塗布焼成法とは、光半導体ゾルを、スプレー
コーティング、スピンコーティング、ディップコーティ
ング、ロールコーティング、フローコーティングその他
のコーティング法により、基材表面に塗布し、焼成する
方法である。アルコキシド法とは、例えば光半導体が結
晶性酸化チタンの場合には、チタンのアルコキシド(例
えば、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチ
タン、テトラn−プロポキシチタン、テトラブトキシチ
タン、テトラメトキシチタン)に、塩酸又はエチルアミ
ンのような加水分解抑制剤を添加し、エタノールやプロ
パノール等の希釈剤で希釈した後、部分的に加水分解を
進行させながら又は完全に加水分解を進行させた後、混
合物をスプレーコーティング、スピンコーティング、デ
ィップコーティング、ロールコーティング、フローコー
ティングその他のコーティング法により、基材表面に塗
布し、乾燥させて無定型酸化チタン層を形成し、その
後、焼成により無定型酸化チタンを、アナターゼ型酸化
チタン或いはルチル型酸化チタンに変換させる方法であ
る。尚、チタンのアルコキシドに代えて、チタンのキレ
ート又はチタンのアセテートのような他の有機チタン化
合物を用いてもよい。スパッタリング法とは、例えば光
半導体が結晶性酸化チタンの場合には、金属チタン又は
酸化チタンをターゲットとし、酸素雰囲気で、基材表面
に無定型酸化チタン層を形成し、その後、焼成により無
定型酸化チタンを、アナターゼ型酸化チタン或いはルチ
ル型酸化チタンに変換させる方法である。
【0021】また金属含有物とは、例えば、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、白金、パ
ラジウム、ルテニウム等の金属化合物(塩化リチウム、
硝酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム二水
塩、硝酸カルシウム、塩化ストロンチウム六水塩、塩化
亜鉛、塩化アルミニウム、塩化白金酸六水塩、塩化パラ
ジウム、塩化ルテニウム水和塩等)を溶質とする溶液等
をさす。
【0022】光半導体の光励起により親水化しうる硬化
性結着剤とは、シリコーン樹脂、脱水縮重合すればシリ
コーン樹脂になるオルガノシラノール、加水分解・脱水
縮重合すればシリコーン樹脂になるオルガノアルコキシ
シラン等が挙げられる。結着剤の親水化方法は光半導体
の光励起により行うことができる。
【0023】基材表面に、光半導体と、それ以外にアル
ミナ、ジルコニア、セリア、イットリア等の酸化物を含
む層を形成する方法は以下のような方法がある。(5)
基材表面に、光半導体粒子と上記酸化物を塗布後焼成す
る。(6)基材表面に、光半導体の前駆体と上記酸化物
を塗布後、焼成等の方法で光半導体の前駆体を光半導体
に変換させる。(7)基材表面に、光半導体粒子と上記
酸化物と、光半導体の光励起により親水化しうる硬化性
結着剤とを塗布後、硬化性結着剤を硬化させ、さらに光
半導体の光励起により結着剤を親水化させる。
【0024】光半導体の前駆体とは、例えば光半導体が
結晶性酸化チタンの場合には、チタンのアルコキシド
(例えば、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキ
シチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトラブトキ
シチタン、テトラメトキシチタン)、チタンのキレート
又はチタンのアセテートのような他の有機チタン化合物
を用いてもよい。光半導体の前駆体を光半導体に変換す
るとは、光半導体が結晶性酸化チタンの場合には、加水
分解、脱水縮重合、焼成等の過程により、アナターゼ型
酸化チタン或いはルチル型酸化チタンに変換させる方法
である。
【0025】
【実施例】比較例115cm角の施釉タイル(東陶機器
製、AB02E01)表面に、アンモニア解膠型の酸化
チタンゾル(石原産業製、STS−11)をスプレー・
コーティング法にて塗布し、800℃で焼成し試料を得
た。このときの酸化チタン層の膜厚は0.3μmとなる
ようにした。焼成直後の試料表面の水との接触角を接触
角測定器(協和界面科学製、形式CA−X150)によ
り測定した。接触角は、マイクロシリンジから試料表面
に水滴を滴下した後30秒後に測定した。焼成直後の試
料表面の水との接触角は8゜であった。この試料を暗所
に1週間放置し、その後再び試料表面の水との接触角を
測定したところ、21゜まで上昇した。この上昇は吸着
水の試料表面からの離脱や、大気中の汚れ物質の付着に
よると考えられる。この試料に紫外線照度0.3mW/
cm2のBLB蛍光灯(三共電気製、ブラックライトブ
ルー、FL20BLB)を2日間照射した後、水との接
触角を測定したところ、光励起に応じて試料表面は15
゜までしか親水化しなかった。
【0026】実施例1(カルシウム添加、後添加) 比較例1と同様の方法で、膜厚0.3μmの酸化チタン
層被覆施釉タイル試料を得た。この試料表面にカルシウ
ム金属濃度50μmol/gの硝酸カルシウム水溶液を
0.3g塗布後、0.4mW/cm2のBLB蛍光灯を
10分照射して試料を得た。この試料作製直後の試料表
面の水との接触角は38゜であった。この試料を暗所に
1週間放置し、その後再び試料表面の水との接触角を測
定したところ、22゜になった。さらにこの試料に紫外
線照度0.3mW/cm2のBLB蛍光灯(三共電気
製、ブラックライトブルー、FL20BLB)を0.2
日間照射した後、水との接触角を測定したところ、光励
起に応じて試料表面は5゜まで親水化された。
【0027】実施例2(カルシウム添加、混合添加) アンモニア解膠型の酸化チタンゾル(石原産業製、ST
S−11)18gと、カルシウム金属濃度77μmol
/gの硝酸カルシウム水溶液27gとを混合し、15c
m角の施釉タイル表面に、スプレー・コーティング法に
て塗布し、800℃で焼成し試料を得た。このときの酸
化チタン層の膜厚は0.3μmとなるようにした。この
試料作製直後の試料表面の水との接触角は22゜であっ
た。この試料を暗所に1週間放置し、その後再び試料表
面の水との接触角を測定したところ、25゜になった。
さらにこの試料に紫外線照度0.15mW/cm2のB
LB蛍光灯(三共電気製、ブラックライトブルー、FL
20BLB)を0.2日間照射した後、水との接触角を
測定したところ、光励起に応じて試料表面は8゜まで親
水化された。
【0028】実施例3(カリウム添加、後添加) 比較例1と同様の方法で、膜厚0.3μmの酸化チタン
層被覆施釉タイル試料を得た。この試料表面にカリウム
金属濃度50μmol/gの塩化カリウム水溶液を0.
3g塗布後、0.4mW/cm2のBLB蛍光灯を10
分照射して試料を得た。この試料作製直後の試料表面の
水との接触角は37゜であった。この試料を暗所に1週
間放置し、その後再び試料表面の水との接触角を測定し
たところ、27゜になった。さらにこの試料に紫外線照
度0.15mW/cm2のBLB蛍光灯を0.2日間照
射した後、水との接触角を測定したところ、光励起に応
じて試料表面は8゜まで親水化された。
【0029】実施例4(ナトリウム添加、後添加) 比較例1と同様の方法で、膜厚0.3μmの酸化チタン
層被覆施釉タイル試料を得た。この試料表面にナトリウ
ム金属濃度50μmol/gの硝酸ナトリウム水溶液を
0.3g塗布後、0.4mW/cm2のBLB蛍光灯を
10分照射して試料を得た。この試料作製直後の試料表
面の水との接触角は37゜であった。この試料を暗所に
1週間放置し、その後再び試料表面の水との接触角を測
定したところ、26゜になった。さらにこの試料に紫外
線照度0.3mW/cm2のBLB蛍光灯を0.2日間
照射した後、水との接触角を測定したところ、光励起に
応じて試料表面は7゜まで親水化された。
【0030】実施例5(ナトリウム添加、混合添加) アンモニア解膠型の酸化チタンゾル(石原産業製、ST
S−11)18gと、ナトリウム金属濃度77μmol
/gの硝酸ナトリウム水溶液27gとを混合し、15c
m角の施釉タイル表面に、スプレー・コーティング法に
て塗布し、800℃で焼成し試料を得た。このときの酸
化チタン層の膜厚は0.3μmとなるようにした。この
試料作製直後の試料表面の水との接触角は17゜であっ
た。この試料を暗所に1週間放置し、その後再び試料表
面の水との接触角を測定したところ、22゜になった。
さらにこの試料に紫外線照度0.15mW/cm2のB
LB蛍光灯(三共電気製、ブラックライトブルー、FL
20BLB)を0.2日間照射した後、水との接触角を
測定したところ、光励起に応じて試料表面は6゜まで親
水化された。
【0031】実施例6(マグネシウム添加、後添加) 比較例1と同様の方法で、膜厚0.3μmの酸化チタン
層被覆施釉タイル試料を得た。この試料表面にマグネシ
ウム金属濃度50μmol/gの塩化マグネシウム二水
塩水溶液を0.3g塗布後、0.4mW/cm2のBL
B蛍光灯を10分照射して試料を得た。この試料作製直
後の試料表面の水との接触角は37゜であった。この試
料を暗所に1週間放置し、その後再び試料表面の水との
接触角を測定したところ、22゜になった。さらにこの
試料に紫外線照度0.3mW/cm2のBLB蛍光灯を
0.2日間照射した後、水との接触角を測定したとこ
ろ、光励起に応じて試料表面は8゜まで親水化された。
【0032】実施例7(マグネシウム添加、混合添加) アンモニア解膠型の酸化チタンゾル(石原産業製、ST
S−11)18gと、ナトリウム金属濃度77μmol
/gの塩化マグネシウム二水塩水溶液27gとを混合
し、15cm角の施釉タイル表面に、スプレー・コーテ
ィング法にて塗布し、800℃で焼成し試料を得た。こ
のときの酸化チタン層の膜厚は0.3μmとなるように
した。この試料作製直後の試料表面の水との接触角は2
0゜であった。この試料を暗所に1週間放置し、その後
再び試料表面の水との接触角を測定したところ、25゜
になった。さらにこの試料に紫外線照度0.15mW/
cm 2のBLB蛍光灯(三共電気製、ブラックライトブ
ルー、FL20BLB)を0.2日間照射した後、水と
の接触角を測定したところ、光励起に応じて試料表面は
7゜まで親水化された。
【0033】実施例8(リチウム添加、後添加) 比較例1と同様の方法で、膜厚0.3μmの酸化チタン
層被覆施釉タイル試料を得た。この試料表面にリチウム
金属濃度50μmol/gの塩化リチウム水溶液を0.
3g塗布後、0.4mW/cm2のBLB蛍光灯を10
分照射して試料を得た。この試料作製直後の試料表面の
水との接触角は36゜であった。この試料を暗所に1週
間放置し、その後再び試料表面の水との接触角を測定し
たところ、28゜になった。さらにこの試料に紫外線照
度0.3mW/cm2のBLB蛍光灯を0.2日間照射
した後、水との接触角を測定したところ、光励起に応じ
て試料表面は8゜まで親水化された。
【0034】実施例9(亜鉛添加、後添加) 比較例1と同様の方法で、膜厚0.3μmの酸化チタン
層被覆施釉タイル試料を得た。この試料表面に亜鉛金属
濃度50μmol/gの塩化亜鉛水溶液を0.3g塗布
後、0.4mW/cm2のBLB蛍光灯を10分照射し
て試料を得た。この試料作製直後の試料表面の水との接
触角は43゜であった。この試料を暗所に1週間放置
し、その後再び試料表面の水との接触角を測定したとこ
ろ、23゜になった。さらにこの試料に紫外線照度0.
15mW/cm2のBLB蛍光灯を0.2日間照射した
後、水との接触角を測定したところ、光励起に応じて試
料表面は8゜まで親水化された。
【0035】実施例10(ストロンチウム添加、後添
加) 比較例1と同様の方法で、膜厚0.3μmの酸化チタン
層被覆施釉タイル試料を得た。この試料表面にストロン
チウム金属濃度50μmol/gの塩化ストロンチウム
六水塩水溶液を0.3g塗布後、0.4mW/cm2
BLB蛍光灯を10分照射して試料を得た。この試料作
製直後の試料表面の水との接触角は33゜であった。こ
の試料を暗所に1週間放置し、その後再び試料表面の水
との接触角を測定したところ、23゜になった。さらに
この試料に紫外線照度0.3mW/cm2のBLB蛍光
灯を0.2日間照射した後、水との接触角を測定したと
ころ、光励起に応じて試料表面は7゜まで親水化され
た。
【0036】実施例11(ストロンチウム添加、混合添
加) アンモニア解膠型の酸化チタンゾル(石原産業製、ST
S−11)18gと、ストロンチウム金属濃度77μm
ol/gの塩化ストロンチウム六水塩水溶液27gとを
混合し、15cm角の施釉タイル表面に、スプレー・コ
ーティング法にて塗布し、700℃で焼成し試料を得
た。このときの酸化チタン層の膜厚は0.3μmとなる
ようにした。この試料作製直後の試料表面の水との接触
角は8゜であった。この試料を暗所に1週間放置し、そ
の後再び試料表面の水との接触角を測定したところ、1
4゜になった。さらにこの試料に紫外線照度0.15m
W/cm2のBLB蛍光灯(三共電気製、ブラックライ
トブルー、FL20BLB)を0.2日間照射した後、
水との接触角を測定したところ、光励起に応じて試料表
面は5゜まで親水化された。
【0037】実施例12(ルテニウム添加、混合添加) アンモニア解膠型の酸化チタンゾル(石原産業製、ST
S−11)18gと、ルテニウム金属濃度77μmol
/gの塩化ルテニウム水和塩水溶液27gとを混合し、
15cm角の施釉タイル表面に、スプレー・コーティン
グ法にて塗布し、700℃で焼成し試料を得た。このと
きの酸化チタン層の膜厚は0.3μmとなるようにし
た。この試料作製直後の試料表面の水との接触角は15
゜であった。 この試料を暗所に1週間放置し、その後
再び試料表面の水との接触角を測定したところ、18゜
になった。さらにこの試料に紫外線照度0.15mW/
cm 2のBLB蛍光灯(三共電気製、ブラックライトブ
ルー、FL20BLB)を0.2日間照射した後、水と
の接触角を測定したところ、光励起に応じて試料表面は
7゜まで親水化された。
【0038】実施例13(アルミニウム添加、混合添
加) アンモニア解膠型の酸化チタンゾル(石原産業製、ST
S−11)と、アルミニウム金属濃度50μmol/g
の塩化アルミニウム水溶液とを、酸化チタンとアルミニ
ウム金属量のモル比が87:13となるように混合し、
15cm角の施釉タイル表面に、スプレー・コーティン
グ法にて塗布し、700℃で焼成し試料を得た。このと
きの酸化チタン層の膜厚は0.7μmとなるようにし
た。この試料作製直後の試料表面の水との接触角は11
゜であった。この試料を暗所に1日放置し、その後再び
試料表面の水との接触角を測定したところ、13゜にな
った。さらにこの試料に紫外線照度0.15mW/cm
2のBLB蛍光灯(三共電気製、ブラックライトブル
ー、FL20BLB)を1日間照射した後、水との接触
角を測定したところ、光励起に応じて試料表面は3゜ま
で親水化された。
【0039】実施例14(イットリア添加) 硝酸解膠型酸化チタンゾル(石原産業製、CS−N)と
酢酸解膠型酸化イットリウムゾル(多木化学製、溶質濃
度15重量%、平均結晶子径4nm、pH7.6)を、
酸化チタンと酸化イットリウムとのモル比が88:12
になるように混合した後、15cm角の施釉タイル表面
に、スプレーコーティング法にて塗布し、800℃で1
時間焼成し試料を得た。このときの膜厚は0.3μmに
なるようにした。焼成直後の試料表面の水との接触角は
21゜であった。得られた試料を、2週間暗所に放置し
た。その後再び試料表面の水との接触角を測定したとこ
ろ、25゜になった。その後、紫外線照度0.3mW/
cm2のBLB蛍光灯を13日間照射した後、水との接
触角を測定したところ、光励起に応じて試料表面は2゜
まで親水化された。その後紫外線照度0.004mW/
cm2の白色灯を4日間照射し、室内照明下での親水維
持性を調べた。その結果、試料表面は9゜程度に維持さ
れた。
【0040】実施例15(アルミナ添加) 硝酸解膠型酸化チタンゾル(石原産業製、CS−C)
と、酸化アルミニウムゾル(日産化学製、アルミナゾル
−100)を、酸化チタンと酸化アルミニウムとのモル
比が88:12になるように混合した後、15cm角の
施釉タイル表面に、スプレーコーティング法にて塗布
し、800℃で1時間焼成し試料を得た。このときの膜
厚は0.3μmになるようにした。焼成直後の試料表面
の水との接触角は2゜であった。得られた試料を、2週
間暗所に放置した。その後再び試料表面の水との接触角
を測定したところ、20゜になった。その後紫外線照度
0.3mW/cm2のBLB蛍光灯を13日間照射した
後、水との接触角を測定したところ、光励起に応じて試
料表面は再び2゜まで親水化された。その後紫外線照度
0.004mW/cm2の白色灯を2日間照射し、室内
照明下での親水維持性を調べた。その結果、試料表面は
9゜程度に維持された。
【0041】実施例16(ジルコニア添加) アンモニア解膠型酸化チタンゾル(石原産業製、STS
−11)と、酸化ジルコニウムゾル印産化学製、NZS
−30B)を、酸化チタンと酸化ジルコニウムとのモル
比が88:12になるように混合した後、15cm角の
施釉タイル表面に、スプレーコーティング法にて塗布
し、800℃で1時間焼成し試料を得た。このときの膜
厚は0.3μmになるようにした。焼成直後の試料表面
の水との接触角は23゜であった。得られた試料を、1
週間暗所に放置した。その後再び試料表面の水との接触
角を測定したところ、35゜になった。その後紫外線照
度0.3mW/cm2のBLB蛍光灯を13日間照射し
た後、水との接触角を測定したところ、光励起に応じて
試料表面は4゜まで親水化された。
【0042】実施例17(セリア添加) アンモニア解膠型酸化チタンゾル(石原産業製、STS
−11)と、酸化セリウムゾル(多木化学製W−15)
を、酸化チタンと酸化セリウムとのモル比が88:12
になるように混合した後、15cm角の施釉タイル表面
に、スプレーコーティング法にて塗布し、800℃で1
時間焼成し試料を得た。このときの膜厚は0.3μmに
なるようにした。焼成直後の試料表面の水との接触角は
22゜であった。得られた試料を、1週間暗所に放置し
た。その後再び試料表面の水との接触角を測定したとこ
ろ、38゜になった。その後紫外線照度0.3mW/c
2のBLB蛍光灯を13日間照射した後、水との接触
角を測定したところ、光励起に応じて試料表面は6゜ま
で親水化された。
【0043】実施例18(水との接触角と防汚性との関
係) 種々の試料を以下に示す汚泥試験に付した。調べた試料
は、以下に示す#1〜#6試料である。#1試料:アナ
ターゼ型酸化チタンゾル(石原産業製、STS−11)
とコロイダルシリカゾル(スノーテックス20)との混
合物(固形分におけるシリカの割合が10重量%)を固
形分換算で4.5mgだけ、15cm四角の施釉タイル
(東陶機器製、AB02E01)に塗布し、880℃の
温度で10分焼成して、#0試料を得た。この#0試料
に、BLB蛍光灯を用いて0.5mW/cm2の紫外線
照度で3時間紫外線を照射して、#1試料を得た。#2
試料:#0試料に、さらに銅濃度50μmol/gの酢
酸銅一水塩水溶液を0.3g塗布後、BLB蛍光灯を用
いて0.4mW/cm2の紫外線照度で10分照射する
ことにより銅を固定した。その後、BLB蛍光灯を用い
て0.5mW/cm 2の紫外線照度で3時間紫外線を照
射して、#2試料を得た。#3試料:施釉タイル(東陶
機器製、AB02E01)。#4試料:アクリル樹脂
(PMMA)板。#5試料:人造大理石板(東陶機器
製、ML03)。#6試料:ポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)板。汚泥試験は以下の要領で行った。ま
ず、汚泥スラリーを以下のようにして調製した。すなわ
ち、イエローオーカー64.3重量%、焼成関東ローム
21.4重量%、疎水性カーボンブラック4.8重量
%、シリカ粉4.8重量%、親水性カーボンブラック
4.7重量%を含む粉体混合物を1.05g/リッター
の濃度で水に懸濁させたスラリーを調製した。45度に
傾斜させた#1〜#6試料に、上記スラリー150ml
を流下させて15分間乾燥させ、次いで蒸留水150m
lを流下させて15分間乾燥させ、このサイクルを25
回反復した。試験前後の色差変化と光沢度変化を調べ
た。色差変化は、試験後の試料表面の色差から試験前の
試料表面の色差を引くことにより求めた。色差は日本工
業規格(JIS)H0201に従い、ΔE*表示を用い
た。光沢度の測定は日本工業規格(JIS)Z8741
の規定に従って行い、光沢度変化は試験後の試料表面の
光沢度を試験前の試料表面の光沢度で割ることにより求
めた。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】更に#1試料、#3試料、#4試料、#6
試料及び下記に示す#7試料について、屋外汚れ加速試
験を行った。#7試料:10cm角のアルミニウム基板
に、シリカゾル(日本合成ゴム製、グラスカA液)とト
リメトキシシラン(日本合成ゴム製、グラスカB液)
を、重量比が3:1となるように混合した液状物を塗布
し、150℃で硬化させ、膜厚3μmのシリコーン被覆
板(#7試料)を得た。屋外汚れ加速試験は、以下の要
領で行った。すなわち、茅ケ崎市所在の建物の屋上に図
1(a)及び図1(b)に示す屋外汚れ加速試験装置を
設置した。図1(a)及び図1(b)を参照するに、こ
の装置は、フレーム20に支持された傾斜した試料支持
面22を備え、試料24を取り付けるようになってい
る。フレームの頂部には前方に傾斜した屋根26が固定
してある。この屋根は波形プラスチック板からなり、集
まった雨が試料支持面22に取り付けた試料24の表面
に筋を成して流下するようになっている。この装置の試
料支持面22に上記#1試料、#3試料、#4試料、#
6試料及び#7試料を取り付け、1か月間屋外に暴露し
た。この試験における汚れの付着は雨天の流路である縦
筋部に多量の汚れが付着する傾向がある。そこで、試料
表面の汚れ具合を、試験後の縦筋汚れ部の色差から試験
前の色差を引くことにより評価した。結果を表2に示
す。
【0046】
【表2】
【0047】理解を容易にするため、表1と表2に示し
た水との接触角及び色差変化を図2のグラフにプロット
した。図2のグラフにおいて、カーブAは汚れ加速試験
における大気中のカーボンブラックなどの燃焼生成物や
都市塵埃のような汚れによる色差変化と水との接触角と
の関係を示し、カーブBは汚泥試験における汚泥による
色差変化と水との接触角との関係を示す。図2のグラフ
を参照するに、カーブAから良く分かるように、基材の
水との接触角が増加するにつれて燃焼生成物や都市塵埃
による汚れが目立つようになる。これは、燃焼生成物や
都市塵埃のような汚染物質は基本的に疎水性であり、従
って、疎水性の表面に付着しやすいからである。これに
対して、カーブBは、汚泥による汚れは水との接触角が
20゜から50゜の範囲でピーク値を呈することを示し
ている。これは、泥や土のような無機物質は、本来、水
との接触角が20゜から50゜程度の親水性を有し、類
似の親水性を有する表面に付着しやすいからである。従
って、表面を水との接触角が20゜以下の親水性にする
か、或いは、水との接触角が60゜以上に疎水化すれ
ば、表面への無機物質の付着を防止することができるこ
とが分かる。水との接触角が20゜以下になると汚泥に
よる汚れが減少するのは、表面が水との接触角で20゜
以下の高度の親水性になると、無機物質に対する親和性
よりも水に対する親和性の方が高くなり、表面に優先的
に付着する水によって無機物質の付着が阻害されると共
に、付着しようとする無機物質が水によって容易に洗い
流されるからである。以上から、建物などの表面に疎水
性の汚れ物質と親水性の汚れ物質のいずれもが付着しな
いようにするため、或いは、表面に堆積した汚れが降雨
により洗い流されて表面がセルフクリーニングされるよ
うにするには、表面の水との接触角が20゜以下、好ま
しくは10゜以下、更に好ましくは5゜以下にすればよ
いことが分かる。上記実施例1〜17はいずれも光励起
に応じて水との接触角が10゜以下になることから、い
ずれも優れた降雨又は水洗による清浄性が発揮されると
考えられる。
【0048】
【発明の効果】基材表面に、光半導体以外にアルカリ金
属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、ルテニウ
ム、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリアのうち
の少なくとも1種を含む層を形成することにより、ゾル
塗布焼成法で基材表面に光半導体含有層を形成した場合
においても、太陽光、室内照明等の日常よく使用されて
いる光源による光半導体の光励起に応じて10゜以下ま
で親水化されるようになる。また、ゾル塗布焼成法以外
の、アルコキシド法、スパッタリング法、シリカ、シリ
コーンなどの結着剤の硬化を利用した方法等で基材表面
に光半導体含有層を形成した場合においても、光半導体
の光励起に応じた親水性能の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】屋外汚れ加速試験装置を示す図で、(a)は正
面図、(b)は側面図(寸法数値の単位はミリメート
ル)。
【図2】異なる親水性をもった表面が都市煤塵と汚泥に
よって汚れる度合いを示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 則本 圭一郎 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 渡部 俊也 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に、光半導体と、それ以外にア
    ルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、
    ルテニウム、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリ
    アの1群から選ばれた少なくとも1種を含む層が形成さ
    れており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が水
    との接触角が20度以下まで親水化され、水洗または降
    雨により表面付着堆積物が洗い流されるようになる防汚
    性部材。
  2. 【請求項2】 前記防汚性部材が防汚性タイルである請
    求項1記載の防汚性部材。
  3. 【請求項3】 光半導体と、それ以外にアルカリ金属、
    アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、ルテニウム、
    アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリアの1群から
    選ばれた少なくとも1種を含む組成物であって、該組成
    物を基材表面に塗布し前記層を形成することにより、前
    記光半導体の光励起に応じて層の表面が水との接触角が
    20度以下まで親水化され、水洗または降雨により表面
    付着堆積物が洗い流されるようになる防汚性コーティン
    グ組成物。
  4. 【請求項4】 光半導体ゾルと、それ以外にアルカリ金
    属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、ルテニウ
    ム、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリアの1群
    から選ばれた少なくとも1種を含む物質とを混合する工
    程、前記混合物を基材表面に塗布し焼成することにより
    基材上に層を形成する工程からなる、前記光半導体の光
    励起に応じて前記層の表面が水との接触角が20度以下
    まで親水化され、水洗または降雨により表面付着堆積物
    が洗い流されるようになる防汚性部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記防汚性部材が防汚性タイルである請
    求項4記載の防汚性部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 基材表面に、光半導体と、それ以外にア
    ルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、
    ルテニウム、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリ
    アの1群から選ばれた少なくとも1種を含む層が形成さ
    れており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が水
    との接触角が20度以下まで親水化され、付着水が一様
    に広がって乾燥されやすくなる易乾燥性部材。
  7. 【請求項7】 前記易乾燥性部材が易乾燥性タイルであ
    る請求項6記載の易乾燥性部材。
  8. 【請求項8】 光半導体と、それ以外にアルカリ金属、
    アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、ルテニウム、
    アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリアの1群から
    選ばれた少なくとも1種を含む組成物であって、該組成
    物を基材表面に塗布し前記層を形成することにより、前
    記光半導体の光励起に応じて層の表面が水との接触角が
    20度以下まで親水化され、付着水が一様に広がって乾
    燥されやすくなる易乾燥性コーティング組成物。
  9. 【請求項9】 光半導体ゾルと、それ以外にアルカリ金
    属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、ルテニウ
    ム、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリアの1群
    から選ばれた少なくとも1種を含む物質とを混合する工
    程、前記混合物を基材表面に塗布し焼成することにより
    基材上に層を形成する工程からなる、前記光半導体の光
    励起に応じて前記層の表面が水との接触角が20度以下
    まで親水化され、付着水が一様に広がって乾燥されやす
    くなる易乾燥性部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記易乾燥性部材が易乾燥性タイルで
    ある請求項9記載の易乾燥性部材の製造方法。
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