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JP2001062875A - 成形用金型 - Google Patents

成形用金型

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JP2001062875A
JP2001062875A JP23992799A JP23992799A JP2001062875A JP 2001062875 A JP2001062875 A JP 2001062875A JP 23992799 A JP23992799 A JP 23992799A JP 23992799 A JP23992799 A JP 23992799A JP 2001062875 A JP2001062875 A JP 2001062875A
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mold
sliding
cavity
sliding piece
pressing member
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JP23992799A
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Kiyotaka Sawada
清孝 沢田
Yasuo Yamanaka
康生 山中
Toshihiro Kanematsu
俊宏 金松
Toshiharu Hatakeyama
寿治 畠山
Jun Watabe
順 渡部
Hidenobu Kishi
秀信 岸
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Publication date
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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動駒をキャビティ内樹脂から離隔させてこ
れらの間に所定の空隙を形成することにより転写精度の
高いプラスチック成形品を得る金型において、その簡素
化およびコンパクト化を実現する。 【解決手段】 金型に対し水平方向に摺動しうる摺動駒
本体17の後端部に、後端面を平滑な平面状の傾斜面と
した軸体18を連結するとともに、鉛直方向に昇降自在
な加圧部材33の外周面の一部を平滑な平面状の傾斜面
とし、これらの傾斜面同士を当接させる。金型と摺動駒
本体との当接部には皿ばね19を圧縮状態で挿入する。
キャビティ20の形成に際しては、加圧部材を上昇さ
せ、その傾斜面を摺動駒本体の傾斜面に摺動させながら
該傾斜面を押圧することにより摺動駒本体を前進させ
る。上記所定の空隙を形成するには、加圧部材を下降さ
せ、皿ばねの弾撥力により摺動駒本体を所定距離だけ後
退させる。圧力発生機構32に必要な加圧部材の上昇駆
動力を大幅に低下させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高精度なプラスチ
ック成形品(特にレンズ、ミラー等の光学素子)を得る
ための成形用金型に関し、更に詳しくは、レーザビーム
プリンタ、ファクシミリ等の光学走査系、ビデオカメラ
の光学機器、光ディスク等に適用されるプラスチック成
形品の成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザ方式のデジタル複写機、プリン
タ、またはファクシミリ装置の光書き込みユニットに
は、レーザビームの結像、および各種補正機能を有する
矩形型レンズ、あるいはミラー等の光学素子が用いられ
ている。
【0003】近年、これらの光学素子は、製品のコスト
ダウンの要求でガラスからプラスチック製へと変化し、
また複数の機能を最小限の素子でまかなうため、その転
写面形状も球面のみならず、複雑な非球面形状を有する
ようになってきている。さらに、レンズの場合には、そ
のレンズ形状は肉厚が厚く、また長手方向でレンズ厚が
一定でない偏肉形状である場合が多くなってきている。
【0004】また、その製造方法としては製造コストが
低く、大量生産に適した射出成形法、あるいは転写面を
形成する入子を金型内に摺動可能に配置し、金型内に充
填された溶融樹脂の冷却に伴う体積収縮に対して上記可
動入子を前進させることで圧力を補って形状精度を確保
する成形方法、いわゆる射出圧縮成形法を用いるのが一
般的となっている。
【0005】プラスチック製の光学素子をこうした射出
成形法、あるいは射出圧縮成形法で製造する際には、加
熱溶融した樹脂材料を金型内に射出充填し、冷却固化さ
せる工程において、金型内の樹脂圧力や樹脂温度を均一
にすることが、所望の形状精度を確保するために望まし
いことである。
【0006】しかし、レンズが偏肉形状の場合にはレン
ズ厚の偏差によって、充填された樹脂の冷却速度が長手
方向の各部で異なり、体積収縮量に差が生じるため、形
状精度が悪化したり、レンズ厚の厚い部分では「ひけ」
が発生したりする不具合があった。また、厚肉レンズの
場合には、樹脂の冷却過程での体積収縮量が多いためひ
けが発生しやすく、ひけ発生を防止するべく射出圧力を
高くすると(樹脂の充填量を多くすると)、成形品の内
部歪みが大きくなり、レンズの光学性能に悪影響を及ぼ
すことがあった。
【0007】また、射出圧縮成形法を採用し、樹脂の冷
却に伴う体積収縮に対して可動入子を前進させることに
より圧力を補って形状精度を確保しようとしても、レン
ズ厚の偏差が大きい場合には、可動入子が樹脂の体積収
縮に追従できず、均等な圧力をかけることができないた
め、レンズ側の転写面の一部にひけが発生し、形状精度
が確保できないという問題があった。
【0008】このような問題は、以下の方法すなわち、
金型温度を樹脂のガラス転移点温度(Tg点)以上に高
くし、充填された樹脂の冷却速度が充填樹脂の長手方向
の各部においてできるだけ均一になるように、Tg点以
下の温度になるまで徐冷する方法によって解消すること
できる。しかしながら、この方法では冷却時間、したが
って成形時間が長くなるため、成形品のコストアップを
招いてしまう。
【0009】このような従来技術に鑑みて、特開平11
−28745号公報(発明の名称:プラスチック成形品
の成形方法およびプラスチック成形品の成形用金型)に
は、厚肉、あるいは偏肉形状の場合であっても、射出成
形品または射出圧縮成形品と同程度の生産コストで高精
度なプラスチック部品を製造することができる技術が提
案されている。上記公報に開示された成形方法は、溶融
樹脂を金型内に射出充填した後、樹脂の軟化温度未満ま
で冷却する間に、金型内の非転写面に設けてある摺動可
能なキャビティ駒を樹脂から離隔する方向に移動させる
ことにより、キャビティ駒と樹脂との間に強制的に空隙
を画成することを骨子としている。
【0010】この成形方法によれば、上記空隙に接して
いる(対向している)樹脂部分では、金型壁面との密着
力が働かないため樹脂が移動しやすくなり、この部分に
優先的にひけ(凹形状、凸形状のどちらか少なくとも一
方)を発生させることができる。その結果、転写面にお
けるひけの発生が防止され、高い形状精度の成形品を得
ることができる。また、低圧で成形することにより、内
部歪みも非常に小さい成形品を得ることが可能となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記成形方
法を実施するための成形用金型には、以下の不具合があ
った。すなわち図5に示す金型において101,102
は転写面101a,102aを有するキャビティ駒、1
03,104は転写面が形成されていないキャビティ駒
であり、これらのキャビティ駒101〜104によって
キャビティ105が形成されている。キャビティ駒10
1は一方の金型(上型)201に固定して設けられ、キ
ャビティ102,104は他方の金型(下型)202に
固定されている。そして、キャビティ駒(摺動駒)10
3は金型201および202に対し摺動可能となってい
る。
【0012】図5において符号103aはキャビティ駒
103の前端面であり、これは上記のように非転写面と
なっている。符号110はキャビティ駒103を摺動さ
せるための圧力発生機構であり、符号105aはキャビ
ティ105に射出充填された溶融樹脂、符号110aは
圧力発生機構110の軸体(駆動軸)である。
【0013】上記成形用金型による成形に際しては、キ
ャビティ駒103を駆動軸110aに連結し、キャビテ
ィ105内に溶融樹脂を射出充填する際に発生する最大
樹脂圧力以上の圧力をキャビティ駒103に付与し(図
5の矢印Kの向き)、移動しないように固定して所定容
積のキャビティ形状を保持する。ところが、圧力発生機
構110としては、成形品が大物でキャビティ駒103
が大きいほど、溶融樹脂を射出充填する際に発生する最
大樹脂圧力以上の高圧を発生させることができるもので
なければならない。
【0014】しかしながら、圧力発生機構110を例え
ば油圧シリンダで構成する場合には、大型の油圧シリン
ダを金型に組み込む必要があるため、金型全体が非常に
大がかりなものとなるだけでなく、油圧装置も大型化し
てしまう不具合がある。
【0015】本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みな
されたもので、その目的は、溶融樹脂を金型内に射出充
填した後、樹脂の軟化温度未満まで冷却する間に、非転
写面が形成された摺動可能なキャビティ駒をキャビティ
内樹脂から離隔する方向に移動させ、上記摺動駒と樹脂
との間に強制的に空隙を形成する成形用金型構造を改良
し、その簡素化およびコンパクト化を実現することにあ
る。すなわち本発明の目的は、溶融樹脂をキャビティ内
に射出充填する工程において、摺動駒に押圧力を付与し
て所定形状・容積のキャビティ形状を保持するために必
要な上記押圧力の発生装置を極力小型化することにあ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の成形用
金型は一対の金型の型締めと、摺動可能に設けたキャビ
ティ駒(摺動駒)の前進とにより、複数の壁面からなる
キャビティを形成し、前記壁面の少なくとも一つをキャ
ビティ内樹脂に対する転写面とするとともに、他の壁面
を非転写面とした成形用金型において、前記摺動駒を前
進させる加圧装置と、摺動駒を前記キャビティから適宜
距離分だけ後退させる摺動装置とを設け、前記加圧装置
には、前進により摺動駒を加圧(押圧)前進させる加圧
部材と、該加圧部材を前進・後退させる駆動源とを設
け、摺動駒の後端部に平滑な斜面を形成するとともに、
加圧部材の適所に平滑な斜面を形成してこれらの斜面を
互いに当接させ、加圧部材を摺動駒の摺動方向と交差す
る方向に前進させ、加圧部材の斜面を摺動駒の斜面に摺
動させながら該斜面を押圧することにより摺動駒を前進
させて、その先端面により前記非転写面の少なくとも一
部を形成するようにしたことを特徴とする。
【0017】請求項2に記載の成形用金型は、請求項1
において加圧部材が、摺動駒の摺動方向と直交する方向
に前進することを特徴とする。
【0018】請求項3に記載の成形用金型は、請求項2
において加圧部材が金型の型締め方向と直交する方向に
前進することにより、摺動駒が金型の型締め方向と平行
な方向に前進することを特徴とする。
【0019】請求項4に記載の成形用金型は、請求項2
において加圧部材が金型の型締め方向と平行な方向に前
進することにより、摺動駒が金型の型締め方向と直交す
る方向に前進することを特徴とする。
【0020】請求項5に記載の成形用金型は、請求項
1,2,3または4において加圧装置が、油圧シリンダ
または電動モータを備えていることを特徴とする。
【0021】請求項6に記載の成形用金型は、請求項
1,2,3,4または5において前記摺動装置を前記加
圧装置と、常時摺動駒に後退方向の弾撥力を及ぼす弾性
部材とにより構成し、前記駆動源により加圧部材の斜面
を摺動駒の斜面に摺動させながら該加圧部材を後退さ
せ、弾性部材の弾撥力により摺動駒をキャビティから後
退させるようにしたことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照しながら説明する。 第1の実施の形態(請求項2に対応) 図1は成形用金型の構造を示す断面図であって、樹脂射
出充填時の状態を示すものである。図2はこの成形用金
型におけるキャビティ駒離隔時の状態を示す断面図であ
る。まずこの金型の構成について説明する。
【0023】キャビティ駒11を固定配備した上型12
と、キャビティ駒13を固定配備した下型14とを所定
間隔をあけて対向させ、この対向間隙の片側(図1にお
いて右側)にキャビティ駒15を固定して設けるととも
に、反対側にキャビティ駒16を上型12および下型1
4に対し摺動可能に設ける。以下、上記固定されたキャ
ビティ駒を固定駒、摺動可能なキャビティ駒を摺動駒と
いう。
【0024】上記固定駒11,13のそれぞれの前端面
は転写面11a,13a(キャビティ内の樹脂に所定の
転写を行うための面)とし、固定駒15の前端面は非転
写面15aとする。また、上記摺動駒16は、前端面を
非転写面17aとする本体17と、その後端部に水平方
向に連結した金属材料などの硬質材料からなる軸体18
とにより構成するとともに、上記本体17の上型12お
よび下型14と当接する部分には、凹部17b,17c
を形成し、これらの凹部に弾性部材としての皿ばね19
を圧縮状態で挿入し、その後端部を上記凹部の底面に固
着することにより、皿ばね19の弾撥力を上型12およ
び下型14それぞれの後端部に作用させる。以上のよう
に、固定駒11,13,15および摺動駒本体17の各
前端面により成形用の区画室すなわちキャビティ20を
形成する。
【0025】上記摺動駒16の斜め下方に、この摺動駒
を(上型12および下型14に対して)摺動前進させる
ための加圧装置31および、サポート部材41を配置す
る。上記加圧装置31は圧力発生機構32と、これによ
り鉛直方向に上下動する金属材料などの硬質材料からな
る軸体状の加圧部材33とで構成する。上記軸体18の
後端部に平滑な平面状の傾斜面を形成するとともに、加
圧部材33の上方外周面の一部を平滑な平面状の傾斜面
とし、これらの傾斜面の鉛直面に対する傾斜角αを等し
くし、加圧部材33の上下動によりこの加圧部材33の
傾斜面が軸体18の傾斜面に対し摺動するように、これ
らの傾斜面同士を密着させる。上記サポート部材41
は、軸体18の外周面の一部および、加圧部材33の外
周面の一部に接触してこれらを保持するとともに、これ
らの移動を摺動案内できるように構成する。なお、サポ
ート部材41は、この成形用金型内に設けることができ
るが、この金型外に配備してもよい。
【0026】上記軸体18の構造としては、例えば、四
角筒状材料の先端部を斜めに切断するとともに、片面を
平滑な平面状に仕上げた板体を用意し、この板体を上記
切断面に、この板体の反対面を介して固着したものが採
用できる。他の構造として、四角柱状材料の先端部を斜
めに切断した後、この切断面を平滑な平面状に仕上げた
ものでもよい。また、上記加圧部材33の材料として、
四角柱状材料を用いることができる。
【0027】このように本実施の形態ではサポート部材
41と、圧力発生機構32と、加圧部材33と、軸体1
8とにより、(上記キャビティ20形成用の)摺動駒本
体17を摺動前進させるための加圧装置31が構成され
る。また、サポート部材41と、圧力発生機構32と、
加圧部材33と、軸体18と、皿ばね19とにより、摺
動駒本体17をキャビティ20内の樹脂20aから離隔
する方向に摺動後退させる(図2)ための摺動装置が構
成される。
【0028】つぎに、上記成形用金型によるプラスチッ
クの射出成形方法について説明する。型閉じ工程につづ
く型締め工程では、加圧装置31により摺動駒本体17
を皿ばね19の弾撥力に抗して前進させることによって
キャビティ20を形成する。そのためには、圧力発生機
構32により加圧部材33を上昇(図1の矢印Aの向
き)させればよい。この場合、加圧部材33の傾斜面が
軸体18が傾斜面に対し摺動することにより、加圧部材
33がこれらの傾斜面を介して軸体18を、したがって
摺動駒本体17を水平方向に押圧する結果、摺動駒本体
17が前進(図2の矢印Bの向き)する。また、この場
合、加圧部材33の側面および軸体18の上面がサポー
ト部材41に対し摺動する。
【0029】ついで、金型全体を樹脂のガラス転移点温
度(軟化温度)未満の適宜温度に保持し、この状態で、
図1に示すようにキャビティ20内に溶融樹脂20aを
射出充填する。この射出充填操作では、加圧部材33に
よる軸体18の押圧を継続することで、キャビティ20
を所定の形状・容積に維持する。キャビティ20内の樹
脂圧力が所定圧になった時点で、圧力発生機構32によ
り加圧部材33を下降(図2の矢印Cの向き)させて、
加圧部材33による軸体18の押圧を解除する。この金
型では皿ばね19が常時摺動駒本体17に、これがキャ
ビティ20内樹脂から後退する方向の弾撥力を及ぼして
いるため、上記押圧解除により摺動駒本体17が、図2
の矢印Dの向きにキャビティ内樹脂から離隔し、これら
の間に所定寸法の空隙20bが形成される。この場合に
おいても、加圧部材33の傾斜面が軸体18の傾斜面に
対し摺動するのと並行して、加圧部材33の側面および
軸体18の上面がサポート部材41に対し摺動する。上
記空隙20bを形成した状態で、キャビティ内樹脂をそ
の軟化温度未満の適宜温度に冷却し、ついで型開きして
成形品を取り出す。
【0030】図2の状態の金型において、上記空隙20
bと対向する樹脂部分には、他の部分の樹脂と違ってキ
ャビティ20の成形面との間の密着力が働かないため、
樹脂の冷却が進むにつれて、この空隙対向樹脂部分が転
写面11a,13aに接触している樹脂部分によりも優
先的に収縮変形するので、この空隙対向樹脂部分にひけ
(凹形状もしくは凸形状、またはその両方の場合があ
る)が発生し、その代わりに、転写面と接触する樹脂部
分におけるひけが抑制され、その結果、所望する転写面
を忠実に転写することができ、転写精度が非常に高い成
形品を短い成形サイクルで得ることが可能となる。
【0031】つぎの成形サイクルでは図2の形態の金型
(ただし、樹脂は射出充填されていない)に型閉じした
後、加圧装置31により摺動駒本体17を前進させるこ
とによって図1の形態の金型(ただし、樹脂は射出充填
されていない)に型締めする。ついで、上記成形操作を
繰り返す。
【0032】図5に示す従来の成形用金型では、摺動駒
103を圧力発生機構110の駆動軸110aに直接連
結した構造としたため、樹脂射出充填時において所定形
状・容積のキャビティ105を形成するために摺動駒1
03を所定位置に固定するには、駆動軸110aに相当
大きな押圧力が必要であり、そのため圧力発生機構11
0が大型化する結果となっていた。これに対し、本実施
の形態に係る成形用金型では、加圧部材33と軸体18
とを互いに交差して設け、加圧部材33を上昇させてそ
の傾斜面により軸体18の傾斜面を押圧して摺動駒を水
平方向に前進させるようにしたので、加圧部材33の上
昇駆動力を、上記駆動軸110aによる押圧力に比べて
はるかに小さくすることができる。このことを明らかに
した実験例をつぎに示す。
【0033】実験例1 図1の成形用金型において加圧部材33の上昇駆動力を
2ton(一定)とした場合の上記傾斜角αと、軸体1
8による摺動駒本体17の前進駆動力Q(ton)との
関係を調べた。結果を下記[表1]に示す。
【0034】
【表1】
【0035】[表1]から、αが小さいほどQが大きく
なることが分かる。なお、αが小さすぎると、加圧部材
33の上昇・下降時にこの加圧部材33と軸体18との
間で「かじり」が発生しやすくなるため、αは5°以上
にすることが好ましい。また、加圧部材33の上昇方向
と軸体18の前進方向とのなす角(交差角)は90°と
することが最も好ましく、こうすることにより、摺動駒
本体17の前進に必要な駆動力を最も効率良く発生させ
ることができる。
【0036】第2の実施の形態(請求項3に対応) 図3は成形用金型の構造を示す断面図であって型締め、
キャビティ形成、樹脂射出充填の各工程が終了した時の
状態を示すものである。この金型は、図面左側の固定型
51と、図面右側の可動型52とで構成する。固定型5
1には所定形状・寸法の凹部51aを形成し、この凹部
51aに油圧シリンダ61と、キャビティ駒(摺動駒)
71とを挿入配備し、この油圧シリンダ61のピストン
ロッド62および、摺動駒71を凹部51aの内周面に
対し摺動可能とする。この場合、ピストンロッド62は
凹部51aに対し上下方向に摺動可能とし、摺動駒71
は図3の矢印Gの方向に、すなわちピストンロッド62
の摺動方向と直交する方向に摺動できるようにする。油
圧シリンダ61は油圧発生源63に連絡する。
【0037】上記ピストンロッド62の上部外周面の一
部を平滑な平面状の傾斜面とし、摺動駒71の後端部に
平滑な平面状の傾斜面を形成するとともに、これらの傾
斜面では鉛直面に対する傾斜角を等しくし、ピストンロ
ッド62の上下動により該ピストンの上記傾斜面が摺動
駒71の上記傾斜面に対し摺動するように、これらの傾
斜面同士を密着させる。キャビティ81はこの金型の型
締めにより固定型51側に形成されるが、この固定型5
1のキャビティ71に臨む部分にリング状部51bを、
摺動駒71の外周部に段部をそれぞれ形成し、これらリ
ング状部51bと上記段部との間に皿バネ72を圧縮状
態で挿入する。図3において符号82はスプルー、符号
83はランナ、符号84はエジェクタピンである。
【0038】つぎに、上記成形用金型によるプラスチッ
クの射出成形方法について説明すると、型閉じ工程につ
づく型締め工程では、可動型52を矢印Eの向きに前進
させて固定型51と突き合わせた後、油圧発生源63の
作動により油圧シリンダ61のピストンロッド62を図
3の矢印Fの向きに上昇させ、摺動駒71を皿ばね72
の弾撥力に抗して前進させることによってキャビティ8
1を形成する。
【0039】ついで、第1の実施の形態と同様にして図
3に示すようにキャビティ81内に溶融樹脂81aを射
出充填する。キャビティ内樹脂の圧力が所定圧になった
時点で、油圧発生源63の作動によりピストンロッド6
2を下降(後退)させ、ピストンロッド62による摺動
駒71の押圧を解除する。この金型では皿ばね72が常
時摺動駒71に、これがキャビティ内樹脂から後退する
方向の弾撥力を及ぼしているため、上記押圧解除により
摺動駒71がキャビティ内樹脂から離隔し、これらの間
に所定寸法の空隙が形成される。この場合においても、
ピストンロッド62の傾斜面が摺動駒71の傾斜面に対
し摺動するのと並行して、ピストンロッド62の外周面
(上記傾斜面を除く)および摺動駒71の外周面が固定
型51に形成した上記凹部51aの内周面に対し摺動す
る。上記空隙を形成した状態で、キャビティ内樹脂をそ
の軟化温度未満の適宜温度に冷却し、ついで型開きして
成形品を取り出す。
【0040】以上の説明で明らかなように、本実施の形
態に係る金型では、摺動駒71の摺動方向が金型の型締
め方向と一致し、ピストンロッド62の前進・後退方向
が摺動駒71の摺動方向と直交している。このため、ピ
ストンロッド62による摺動駒71の前進駆動力を最も
効率良く発生させることができ、油圧シリンダ61によ
るピストンロッド62の前進駆動力が小さくてすむよう
になる。したがって、油圧シリンダ61を小型化して金
型内に組み込むことが可能となり、金型の簡素化および
コンパクト化を実現することができる。
【0041】第3の実施の形態(請求項4に対応) 図4は成形用金型の構造を示す断面図であって型締め、
キャビティ形成、樹脂射出充填の各工程が終了した時の
状態を示すものである。この金型では、摺動駒71の摺
動方向(図4の矢印J)が金型の型締め方向(図4の矢
印H)と直交し、ピストンロッド62の前進・後退方向
が摺動駒71の摺動方向と直交(金型の型締め方向と一
致)している。その他の構成は図3の金型と同様であ
り、図4において符号Iはピストンロッド62の前進方
向を示している。このため、本実施の形態の金型によれ
ば、図3の金型と同様の効果が得られる。
【0042】なお、本発明では上記皿ばねに代えて、板
ばねやコイルスプリングを用いることができるし、上記
油圧シリンダの代わりに電動モータを採用することもで
きる。また、摺動駒の摺動方向と、上記加圧部材33な
どの摺動駒前進用部材の運動方向とは、必ずしも直交し
ている必要はなく、成形品形状や金型構造上の制約等を
考慮して適宜に設定すればよい。
【0043】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば以下の効果が得られる。 (1)請求項1に係る成形用金型 従来の金型が摺動駒を加圧部材と一体的に前進させる構
造となっていたのに対し、本発明の金型では、摺動駒を
前進させるための加圧部材を摺動駒の摺動方向と交差す
る方向に前進させることにより摺動駒を押圧し、これを
金型内で前進摺動させて所定形状・容積のキャビティを
形成するように構成したので、キャビティ内へ樹脂を射
出充填する際に加圧部材が必要とする押圧力(加圧部材
自体の前進に必要な力)が、従来の金型において摺動駒
の押圧に必要な力に比べ小さくてすむようになる。この
ため、加圧部材を動作させるための加圧装置の小型化、
したがって、この成形用金型の簡素化およびコンパクト
化が実現できる。
【0044】(2)請求項2に係る成形用金型 摺動駒を押圧するための加圧部材を、摺動駒の摺動方向
と直交する方向に前進させることにより、摺動駒を金型
内で前進摺動させて所定形状・容積のキャビティを形成
するように構成したので、キャビティ内へ樹脂を射出充
填する際に加圧部材が必要とする押圧力を最も小さくす
ることができる。したがって、成形用金型について最大
限の簡素化およびコンパクト化が可能となる。
【0045】(3)請求項3に係る成形用金型 摺動駒を押圧するための加圧部材を、金型の型締め方向
と直交する方向に前進させることにより、摺動駒を金型
内で上記型締め方向と平行な方向に前進摺動させて所定
形状・容積のキャビティを形成するように構成したの
で、キャビティ内へ樹脂を射出充填する際に加圧部材が
必要とする押圧力を最も小さくすることができる。した
がって、成形用金型を最大限に簡素化し、コンパクト化
することが可能となる。
【0046】(4)請求項4に係る成形用金型 摺動駒を押圧するための加圧部材を、金型の型締め方向
と平行な方向に前進させることにより、摺動駒を金型内
で上記型締め方向と直交する方向に前進摺動させて所定
形状・容積のキャビティを形成するように構成したの
で、キャビティ内へ樹脂を射出充填する際に加圧部材が
必要とする押圧力を最も小さくすることができる。した
がって、成形用金型を最大限に簡素化し、コンパクト化
することが可能となる。
【0047】(5)請求項5に係る成形用金型 摺動駒押圧用の加圧部材を、汎用装置である油圧シリン
ダまたは電動モータで作動させるようにしたので、成形
用金型を安価に提供することができる。
【0048】(6)請求項6に係る成形用金型 摺動駒をキャビティ内樹脂から後退摺動させて所定の空
隙を形成するための摺動装置を、汎用部品である皿ば
ね、板ばね、コイルスプリング等の弾性部材を用いて構
成し、この弾性部材の弾撥力を摺動駒に作用させるよう
にしたので、金型構造が簡単になり、成形用金型を安価
に提供することができる。
【0049】そして、請求項1〜6のいずれかに係る成
形用金型を用いる成形方法によれば、所望する転写面を
キャビティ内樹脂に忠実に転写することができ、転写精
度が非常に高い成形品を短い成形サイクルで得ることが
可能となる。また、上記成形用金型は安価に提供できる
ので、高精度なプラスチック成形品であるレンズ、ミラ
ー等の光学素子を比較例安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る成形用金型の構造を示
す断面図であって、樹脂射出充填時の状態を示すもので
ある。
【図2】図1の成形用金型において摺動駒をキャビティ
内樹脂から離隔した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る成形用金型の
構造を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る成形用金型の
構造を示す断面図である。
【図5】従来の成形用金型の構造を示す断面図であっ
て、樹脂射出充填時の状態を示すものである。
【符号の説明】
11,13,15 キャビティ駒(固定駒) 11a,13a 転写面 12 上型 14 下型 15a,17a 非転写面 16 キャビティ駒(摺動駒) 17 摺動駒本体 17b,17c 凹部 18 軸体 19 皿ばね 20 キャビティ 20a 溶融樹脂 20b 空隙 31 加圧装置 32 圧力発生機構 33 加圧部材 41 サポート部材 51 固定型 51a 凹部 51b リング状部 52 可動型 61 油圧シリンダ 62 ピストンロッド 63 油圧発生源 71 摺動駒 72 皿バネ 81 キャビティ 81a 溶融樹脂 82 スプルー 83 ランナ 84 エジェクタピン 101〜104 キャビティ駒 101a,102a 転写面 103a 前端面 105 キャビティ 105a 溶融樹脂 110 圧力発生機構 110a 駆動軸 201 金型(上型) 202 金型(下型) α 傾斜角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畠山 寿治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 渡部 順 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 岸 秀信 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 4F202 AH73 AH74 AH79 AM34 CA11 CB01 CK15 CK41 CK52 CK59 CK74 CK75 CL12 CL22 4F206 AH73 AH74 AH79 AM34 JA07 JM05 JM11 JN22 JN25 JQ81 JT05 JT07 JT21 JT32

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の金型の型締めと、摺動可能に設け
    たキャビティ駒(摺動駒)の前進とにより、複数の壁面
    からなるキャビティを形成し、前記壁面の少なくとも一
    つをキャビティ内樹脂に対する転写面とするとともに、
    他の壁面を非転写面とした成形用金型において、前記摺
    動駒を前進させる加圧装置と、摺動駒を前記キャビティ
    から適宜距離分だけ後退させる摺動装置とを設け、前記
    加圧装置には、前進により摺動駒を加圧前進させる加圧
    部材と、該加圧部材を前進・後退させる駆動源とを設
    け、摺動駒の後端部に平滑な斜面を形成するとともに、
    加圧部材の適所に平滑な斜面を形成してこれらの斜面を
    互いに当接させ、加圧部材を摺動駒の摺動方向と交差す
    る方向に前進させ、加圧部材の斜面を摺動駒の斜面に摺
    動させながら該斜面を押圧することにより摺動駒を前進
    させて、その先端面により前記非転写面の少なくとも一
    部を形成するようにしたことを特徴とする成形用金型。
  2. 【請求項2】 前記加圧部材が、摺動駒の摺動方向と直
    交する方向に前進することを特徴とする請求項1記載の
    成形用金型。
  3. 【請求項3】 前記加圧部材が金型の型締め方向と直交
    する方向に前進することにより、摺動駒が金型の型締め
    方向と平行な方向に前進することを特徴とする請求項2
    記載の成形用金型。
  4. 【請求項4】 前記加圧部材が金型の型締め方向と平行
    な方向に前進することにより、摺動駒が金型の型締め方
    向と直交する方向に前進することを特徴とする請求項2
    記載の成形用金型。
  5. 【請求項5】 前記加圧装置が、油圧シリンダまたは電
    動モータを備えていることを特徴とする請求項1,2,
    3または4記載の成形用金型。
  6. 【請求項6】 前記摺動装置を前記加圧装置と、常時摺
    動駒に後退方向の弾撥力を及ぼす弾性部材とにより構成
    し、前記駆動源により加圧部材の斜面を摺動駒の斜面に
    摺動させながら該加圧部材を後退させ、弾性部材の弾撥
    力により摺動駒をキャビティから後退させるようにした
    ことを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の
    成形用金型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009154348A (ja) * 2007-12-26 2009-07-16 Sodick Plastech Co Ltd 射出圧縮成形用金型装置
CN110370579A (zh) * 2019-08-26 2019-10-25 李代坤 注塑模具抽芯机构及注塑模具

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