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JP2001041678A - 熱交換器 - Google Patents

熱交換器

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JP2001041678A
JP2001041678A JP11363027A JP36302799A JP2001041678A JP 2001041678 A JP2001041678 A JP 2001041678A JP 11363027 A JP11363027 A JP 11363027A JP 36302799 A JP36302799 A JP 36302799A JP 2001041678 A JP2001041678 A JP 2001041678A
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Japan
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heat transfer
heat exchanger
transfer plates
refrigerant
heat
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JP11363027A
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Masahiro Shitaya
昌宏 下谷
Ken Yamamoto
山本  憲
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Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィンを必要とせず、冷媒通路を構成する伝
熱プレートだけで必要伝熱性能を確保できるようにす
る。 【解決手段】 複数枚の伝熱プレート12a〜12c
に、それぞれ基板部13と、この基板部から突出する打
ち出し部14とを形成し、この打ち出し部は、伝熱プレ
ートの外部側を流れる空気流れ方向Aに対して略直交す
る方向に延びるように形成し、打ち出し部14の内側に
冷媒通路19、20を構成し、打ち出し部が空気流れの
直進を妨げて乱れを起こさせる乱れ発生器として作用す
るようになっている。打ち出し部14相互間のピッチを
2〜20mmとし、伝熱プレート板厚を0.1〜0.3
5mmとし、冷媒通路19、20相互間のピッチを1.
4〜3.9mmとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部流体の流れる
内部流体通路を構成するプレート状部材だけで構成され
る熱交換器に関するもので、例えば、車両空調用蒸発器
に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】従来の熱交換器、例えば、車両空調用蒸
発器においては、2枚のプレートを最中状に接合して構
成される断面偏平状のチューブ相互の間に、空気側の伝
熱面積拡大のためにルーバ付きのコルゲートフィンを介
在させている。ここで、コルゲートフィンを通過する空
気流の高速化は過大な圧損増加を招くので、一般には、
層流域となる比較的低い空気流速にて熱交換器を使用し
ている。
【0003】そこで、従来では、ルーバの先端効果を利
用して境界層の厚さを薄くすることにより、空気側の熱
伝達率を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】空気側の熱伝達率向上
のために、ルーバは近年、加工限界付近まで微細化され
てきているので、コルゲートフィンの加工工数の増加を
招いている。また、チューブを構成する2枚のプレート
の間にコルゲートフィンを組付けることにより、組付性
を悪化させている。従って、コルゲートフィンの存在が
熱交換器のコスト低減、および小型化に対して大きな阻
害要因となっている。
【0005】そこで、本発明は上記点に鑑みて、コルゲ
ートフィン等のフィンを必要とせず、内部流体通路を構
成する伝熱プレートだけで必要伝熱性能を確保できる熱
交換器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明では、複数枚の伝熱プレート
(12a〜12c、12)に、それぞれ複数の突出部
(14)を形成し、この突出部(14)の内側に内部流
体の流れる内部流体通路(19、20)を構成し、突出
部(14)の凸面頂部が隣接する伝熱プレート(12a
〜12c、12)に対して隙間を介在して対向し、この
隙間により伝熱プレート(12a〜12c、12)の外
部側を流れる外部流体の通路を構成するとともに、突出
部(14)が外部流体の流れの直進を妨げて乱れを起こ
させる乱れ発生器として作用するようになっており、さ
らに、複数の突出部(14)相互の間隔である突出部ピ
ッチ(P1 )を2〜20mmとしたことを特徴としてい
る。
【0007】また、請求項2記載の発明では、伝熱プレ
ート(12a〜12c、12)に内部流体の流れる内部
流体通路(19、20)を構成する複数の突出部(1
4)を形成し、伝熱プレート(12)を複数枚積層配置
して熱交換用コア部(11)を構成し、伝熱プレート
(12)の外部側を流れる外部流体が内部流体の流れ方
向と交差する方向に流れるようにし、突出部(14)が
外部流体の流れの直進を妨げて乱れを起こさせる乱れ発
生器として作用するようになっており、さらに、複数の
突出部(14)相互の間隔である突出部ピッチ(P1
を2〜20mmとしたことを特徴としている。
【0008】請求項1、2記載の発明によると、内部流
体通路(19、20)を構成する突出部(14)それ自
体が乱れ発生器として作用することにより外部流体側の
熱伝達率を大幅に向上できるので、外部流体側にフィン
部材を設けなくても、必要伝熱性能を確保することがで
きる。
【0009】従って、内部流体通路を構成する突出部
(14)を持つ伝熱プレート(12a〜12c、12)
だけで熱交換器を構成でき、熱交換器の大幅なコスト低
減および小型化を達成できる。
【0010】しかも、薄肉のフィン部材を介在せず、伝
熱プレート(12a〜12c、12)同志の接合で熱交
換器を構成できるため、熱交換器の耐圧強度を向上でき
る。そのため、伝熱プレート(12a〜12c、12)
の薄肉化が可能となり、熱交換器をより一層コスト低
減、小型化できる。
【0011】さらに、本発明者の検討によると、突出部
ピッチ(P1 )を2〜20mmの範囲に設定することに
より、後述の図8に例示するように、熱交換器の伝熱性
能を効果的に向上できることが分かった。
【0012】請求項3記載の発明では、内部流体通路
(19、20)相互の間隔である通路ピッチ(P2 )を
1.4〜3.9mmとしたことを特徴としている。
【0013】このように、突出部ピッチ(P1 )=2〜
20mmと通路ピッチ(P2 )=1.4〜3.9mmと
の組み合わせにより、外部流体側の圧力損失を所定範囲
に維持しながら、熱交換器の伝熱性能を効果的に向上で
きる。
【0014】また、請求項4記載の発明では、突出部ピ
ッチ(P1 )=10〜20mmとし、通路ピッチ
(P2 )=1.4〜2.3mmとしたことを特徴として
いる。
【0015】このような範囲にP1 、P2 を設定するこ
とにより、熱交換器の伝熱性能をより一層効果的に向上
できる。
【0016】また、請求項5記載の発明のように、請求
項1に記載の熱交換器において、突出部(14)の凸面
頂部と隣接する伝熱プレート(12a〜12c、12)
との隙間は、0.7〜1.95mmの範囲が伝熱性能確
保のために好適である。
【0017】請求項6に記載の発明のように、伝熱プレ
ートは、複数枚の伝熱プレート(12a〜12c、1
2)を接合することにより、突出部(14)の内側に内
部流体通路(19、20)を構成することができる。
【0018】また、請求項7記載の発明では、伝熱プレ
ート(12a〜12c、12)の板厚(t)を0.1〜
0.35mmとしたことを特徴としている。
【0019】このような伝熱プレート薄肉化により、熱
交換器の軽量化と、同一体格当たりの伝熱性能の向上と
を達成できる。
【0020】また、請求項8記載の発明では、伝熱プレ
ート(12a〜12c、12)に、突出部(14)の側
面部から突出する小突起(14a)を形成し、2枚の伝
熱プレート(12a〜12c、12)の小突起(14
a)同志を当接させて、この小突起(14a)同志の当
接部を接合することを特徴としている。
【0021】これによると、突出部(14)の凸面頂部
と隣接する伝熱プレート(12a〜12c、12)との
間に空隙を介在する構成であっても、上記小突起(14
a)同志の当接部に押圧力を加えた状態で接合(ろう付
け)工程を実施することが可能となり、複数の伝熱プレ
ート(12a〜12c、12)相互の接合面を良好に密
着できるので、接合性を向上できる。
【0022】また、請求項9記載の発明では、伝熱プレ
ート(12a〜12c、12)をアルミニウム合金のH
材により成形することを特徴としている。
【0023】ここで、アルミニウム合金のH材とは、
「JIS H 0001」にて規定されているアルミニ
ウム材料で、加工硬化により硬度を増した伸び率の小さ
い硬い材料である。
【0024】前述のごとく本発明によると、フィン部材
を介在せず、伝熱プレート(12a〜12c、12)同
志の接合で熱交換器を構成できるため、従来のコルゲー
トフィン型の通常の熱交換器に比して、伝熱プレート
(12a〜12c、12)に形成するタンク部(15〜
18)の打ち出し高さを大幅に縮小できる。その結果、
伝熱プレートの材料として伸び率の小さいアルミニウム
合金のH材を使用できるようになり、これにより、伝熱
プレートの薄肉化を一層促進できる。
【0025】しかも、伝熱プレート成形時における伸び
の小さいH材を使用することにより、H材表面にクラッ
ドされたろう材のエロージョン(侵食)を低減でき、伝
熱プレートの耐食性を向上できる。
【0026】請求項10記載の発明のように、複数枚の
伝熱プレート(12a〜12c、12)は、具体的に
は、互いに当接して接合される基板部(13)を有し、
突出部(14)を基板部(13)から外方へ突出する形
態とすることができる。
【0027】より具体的には、請求項11記載の発明の
ように、突出部(14)の凸面頂部が隣接する伝熱プレ
ート(12a〜12c、12)の基板部(13)により
構成される凹面部に位置して、突出部(14)の凸面頂
部が隣接する伝熱プレート(12a〜12c、12)の
凹面部に対して所定間隔で対向する形態とすることがで
きる。
【0028】これによれば、凹凸形状の繰り返しによ
り、同一形状の伝熱プレート(12a〜12c、12)
の組み合わせで、かつ、比較低小さい容積(体格)で熱
交換器を構成できる。
【0029】更に、具体的には、請求項12記載の発明
のように、伝熱プレート(12a〜12c、12)は2
枚1組として、それぞれの突出部(14)が互いに外側
に向くようにして、2枚の伝熱プレート(12a〜12
c、12)の基板部(13)同志を当接させて接合する
ことにより、内部流体通路(19、20)を一方の伝熱
プレート(12a〜12c、12)の突出部(14)の
内側面と他方の伝熱プレート(12a〜12c、12)
の基板部(13)との間に構成できる。
【0030】また、請求項13記載の発明のように、具
体的には、内部流体通路(19、20)を構成する2枚
1組の伝熱プレート(12a〜12c、12)を複数組
積層して接合する形態とすることができる。
【0031】また、請求項14記載の発明のように、伝
熱プレート(12a〜12c、12)のうち、内部流体
の流れ方向の両端部に、連通穴(15a〜18a)を有
するタンク部(15〜18)を形成し、複数組の伝熱プ
レート(12a〜12c、12)に形成される内部流体
通路(19、20)相互の間をタンク部(15〜18)
により連結する形態とすることができる。
【0032】また、請求項15記載の発明のように、内
部流体通路(19、20)を、伝熱プレート(12a〜
12c、12)の外部流体の流れ方向(A)の前後に2
つ独立に形成し、タンク部(15〜18)を、2つの独
立した内部流体通路(19、20)にそれぞれ対応し
て、伝熱プレート(12a〜12c、12)の両端部に
2個づつ形成してもよい。
【0033】また、請求項16記載の発明では、伝熱プ
レート(12a〜12c、12)のうち、内部流体の流
れ方向の一端部のみに、連通穴(16a、18a)を有
するタンク部(16、18)を外部流体の流れ方向の前
後に2つ独立に形成し、複数組の伝熱プレート(12a
〜12c、12)に形成される内部流体通路(19、2
0)相互の間をタンク部(15〜18)により連結する
とともに、伝熱プレート(12a〜12c、12)のう
ち、内部流体の流れ方向の他端部において、内部流体の
流れをUターンさせるUターン部(D)を形成したこと
を特徴としている。
【0034】これによると、タンク部(16、18)が
伝熱プレート(12a〜12c、12)の一端部のみに
形成され、他端部ではほぼ全域に突出部(14)を形成
して伝熱面積とすることができるので、タンク部を両端
部に設ける場合に比してタンク部によるデッドスペース
を半減でき、熱交換器をより一層小型化できる。
【0035】また、前述のごとく本発明では、伝熱プレ
ート(12a〜12c、12)だけで熱交換器を構成で
きるため、請求項17に記載のように伝熱プレート(1
2a〜12c、12)の複数組の積層形状(熱交換用コ
ア部(11)の形状)を、直方体状から外部へ突出した
伝熱拡大部(11′)を有する形状にすることができ
る。このような伝熱拡大部(11′)の付加により熱交
換用コア部(11)の容積を拡大できるので、熱交換器
の性能向上を図ることができる。特に、上記伝熱拡大部
(11′)は空調ケース(101)内の余剰空間を利用
して形成できるので、実用上極めて有利である。
【0036】請求項18記載の発明のように、突出部
(14)は、伝熱プレート(12a〜12c、12)の
外部側を流れる外部流体の流れ方向(A)に対して略直
交する方向に連続して延びるように形成することができ
る。
【0037】これによると、蒸発器のような空気冷却器
として用いる際に、突出部(14)を上下方向に延びる
ように配置することにより、伝熱プレート(12a〜1
2c、12)の凸面頂部に発生する凝縮水を突出部(1
4)の凸面頂部に沿って下方へスムースに排出できる。
従って、凝縮水の排水性が向上して、凝縮水の滞留に起
因する通風抵抗の増加を良好に抑制できる。
【0038】なお、本発明における突出部(14)は請
求項19に記載のように外部流体の直進を妨げるように
配置された多数の独立した細長の突出形状とすることが
できる。
【0039】さらに、この細長の突出部(14)は、請
求項20に記載のように外部流体の流れ方向に対して斜
めに交差するように配置したり、あるいは、請求項21
に記載のように外部流体の流れ方向に対して直交状に配
置したり、あるいは、請求項22に記載のように外部流
体の流れ方向に対して直交状に配置されたものと、外部
流体の流れ方向に対して平行に配置されたものとの組み
合わせから構成することができる。
【0040】また、請求項23記載の発明では、伝熱プ
レート(12)内の穴形状により内部流体通路(19、
20)を構成することを特徴としている。
【0041】これによると、内部流体通路(19、2
0)が穴形状であるため、1つの伝熱プレート(12)
自身に内部流体通路(19、20)を内蔵させることが
でき、内部流体通路構成のためのプレート接合が不要と
なる。従って、内部流体通路(19、20)部での流体
洩れの恐れもない。
【0042】また、請求項24記載の発明のように、請
求項23に記載の熱交換器において、伝熱プレート(1
2)を複数枚積層配置するとともに、この複数枚の伝熱
プレート(12)の両端部に、伝熱プレート(12)と
別体で成形したタンク部材(33、34、46、47)
を配置し、複数枚の伝熱プレート(12)の内部流体通
路(19、20)相互の間をタンク部材(33、34、
46、47)により連結する形態とすることができる。
【0043】そして、請求項25記載の発明のように、
複数枚の伝熱プレート(12)相互の間隔を、伝熱プレ
ート(12)と別体で成形したスペーサ部材(32)に
より保持する形態としたり、あるいは、請求項26記載
の発明のように、複数枚の伝熱プレート(12)相互を
所定の間隔で一体の連結部(40、41)により連結し
てもよい。
【0044】請求項27記載の発明では、突出部(1
4)および穴形状からなる内部流体通路(19、20)
を有する伝熱プレート(12)をアルミニウム材の押し
出し加工により成形したことを特徴としている。
【0045】これによると、伝熱プレート(12)を押
し出し加工にて1工程で効率よく成形することができ
る。従って、伝熱プレート(12)をプレス成形する場
合に比して加工コストを大幅に低減できる。
【0046】請求項28記載のように本発明は、内部流
体通路(19、20)の内部流体として冷凍サイクルの
冷媒が流れ、外部流体として空調用の空気が流れる空調
用蒸発器において好適に実施できる。
【0047】請求項29記載の発明では、請求項1ない
し3のいずれか1つに記載の熱交換器からなり、内部流
体通路(19、20)の内部流体として冷凍サイクルの
冷媒が流れ、外部流体として空調用の空気が流れる空調
用蒸発器であって、複数の突出部(14)相互の間隔で
ある突出部ピッチ(P1 )を2〜15mmとしたここと
を特徴としている。
【0048】本発明者の検討によると、空調用蒸発器に
おいて、突出部ピッチ(P1 )を2〜15mmの範囲に
設定することにより、後述の図40に例示するように、
空調用蒸発器の最大性能近傍の性能を効果的に発揮でき
ることが分かった。
【0049】本発明において、伝熱プレートの数に関係
する「複数枚」、「2枚」、「複数組」といった表現
は、後述の図6等の断面図にプレート状断面形状として
表れるプレート積層方向での伝熱プレート(プレート状
部材)が複数(2枚)であることを意味している。そし
て、これらの複数の伝熱プレートは、個々に完全に切り
離して成形できることはもちろんのこと、折り曲げ等に
よる連結部により一体に連結して成形することもでき
る。
【0050】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すもの
である。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて説明する。
【0052】(第1実施形態)図1〜図7は本発明の第
1実施形態を示すもので、本発明を車両空調用蒸発器1
0に適用した例を示している。図1は冷媒出入口側にお
ける伝熱プレート構成を示す分解斜視図で、図2は蒸発
器全体の冷媒通路構成を示す分解斜視図である。
【0053】蒸発器10は、空調用空気の流れ方向A
と、伝熱プレート部での冷媒流れ方向B(図2に示す上
下方向)とが略直交する直交流熱交換器として構成され
ている。この蒸発器10は、空調用空気(外部流体)と
冷媒(内部流体)との熱交換を行うコア部11を、多数
枚の伝熱プレート12a、12b、12cを積層するだ
けで構成している。
【0054】本第1実施形態においては、図3に示す第
1伝熱プレート12aと図4に示す第2伝熱プレート1
2bとの組み合わせ領域X、および第1伝熱プレート1
2aと図5に示す第3伝熱プレート12cとの組み合わ
せ領域Yにより、コア部11を構成している。
【0055】そして、各伝熱プレート12a、12b、
12cは、A3000系のアルミニウム芯材の両面にA
4000系のアルミニウムろう材をクラッドした両面ク
ラッド材からなるもので、板厚t=0.1〜0.4mm
程度の薄板をプレス成形したものである。この伝熱プレ
ート12a、12b、12cは図3〜5に示すような概
略長方形の平面形状を有し、その外形寸法はいずれも同
一であり、長辺方向の長さは例えば、245mmで、短
辺方向の幅は例えば、45mmである。
【0056】伝熱プレート12a、12b、12cの打
ち出し形状は基本的には同一形状でよいが、その具体的
な形状は、冷媒通路成立、蒸発器の組付性、ろう付け
性、凝縮水の排水性等の理由から異なっている。
【0057】図3〜5において、各伝熱プレート12
a、12b、12cは平坦な基板部13から紙面裏側へ
突出部(リブ)14を打ち出し成形している。この突出
部14は、冷凍サイクルの減圧手段(膨張弁等)を通過
した後の低圧側冷媒が流れる冷媒通路(内部流体通路)
19、20を構成するものであって、伝熱プレート12
の長手方向(換言すると空気流れ方向Aと略直交方向)
に連続して平行に延びる形状である。また、突出部14
の断面形状は、図6(c)に示すよう略台形状である。
【0058】この突出部14の打ち出し数は、図3の第
1伝熱プレート12aでは6本であり、図4の第2伝熱
プレート12bでは4本であり、図5の第3伝熱プレー
ト12cでは4本である。
【0059】さらに、第2、第3伝熱プレート12b、
12cには、内部洩れ検知用の突出部(リブ)140を
幅方向の中央部に形成している。この突出部140も上
記突出部14と基本的には同じ形態で打ち出し成形され
るが、内部洩れ検知を目的としているため、第2伝熱プ
レート12bではプレート長手方向の両端部140a、
140bにて突出部140の内部を熱交換器外部へ開放
している。
【0060】これに対して、第3伝熱プレート12cの
突出部140はプレート長手方向の上端(一端)部14
0aのみで熱交換器外部へ開放し、下端(他端)部14
0bは後述するタンク部手前の位置にて閉塞端を形成し
ている。
【0061】なお、上記の突出部14、140はいずれ
も同一の打ち出し高さh(図6(c))である。
【0062】そして、上記のように、第1伝熱プレート
12aでは打ち出し数を6本とし、第2、第3伝熱プレ
ート12b、12cでは、突出部14と突出部140の
合計数を5本として、第1伝熱プレート12aと第2、
第3伝熱プレート12b、12cとで打ち出し数を異な
らせているから、図6(c)に示すように、第1伝熱プ
レート12aと第2伝熱プレート12bとを互いの突出
部14、突出部140が外側に向くように向かい合わせ
て、互いの基板部13同志を当接すると、第1伝熱プレ
ート12aの突出部14の中間に、第2伝熱プレート1
2bの突出部14、突出部140が位置する。
【0063】同様に、第1伝熱プレート12aと第3伝
熱プレート12cとを互いの突出部14、突出部140
が外側に向くように向かい合わせて、互いの基板部13
同志を当接すると、第1伝熱プレート12aの突出部1
4の中間に、第3伝熱プレート12cの突出部14、突
出部140が位置する。
【0064】そして、2枚の伝熱プレート12aと12
bまたは12aと12cの基板部13同志を当接させ接
合すると、一方の伝熱プレートの各突出部14、140
の内面側は相手側の伝熱プレートの基板部13により密
封されるので、各突出部14の内面側と相手側の伝熱プ
レートの基板部13との間に通路を形成することができ
る。
【0065】すなわち、各伝熱プレート12a〜12c
の幅方向において、中央部(内部洩れ検知用突出部14
0の位置)より風上側に位置する突出部14の内側に
は、風上側の冷媒通路20を形成し、各伝熱プレート1
2a〜12cの幅方向において、中央部より風下側に位
置する突出部14の内側には、風下側の冷媒通路19を
形成する。また、中央部の突出部140の内側には内部
洩れ検知用通路141を形成する。
【0066】風上側の冷媒通路20と風下側の冷媒通路
19は、図6に示すように、第1伝熱プレート12aと
第2伝熱プレート12bとの間、および第1伝熱プレー
ト12aと第3伝熱プレート12cとの間にそれぞれ、
5個づつ並列に形成されている。
【0067】一方、伝熱プレート12a〜12cのう
ち、空気流れ方向Aと直交する方向(伝熱プレート長手
方向)Bの両端部に、それぞれ伝熱プレート幅方向(空
気流れ方向A)に分割されたタンク部15〜18が2個
づつ形成してある。このタンク部15〜18は各伝熱プ
レート12a〜12cにおいて、突出部14、140と
同一方向(図3〜5の紙面裏側)に打ち出されるもの
で、その打ち出し高さは突出部14、140と同一高さ
h(図7)である。
【0068】このように、タンク部15〜18を突出部
14と同一方向に打ち出すとともに、突出部14の長手
方向の両端部において、打ち出しによる凹形状がタンク
部15〜18の打ち出し凹形状に連続するようにしてあ
るので、風上側の冷媒通路20の両端部は風上側のタン
ク部17、18に連通し、また、風下側の冷媒通路19
の両端部は風下側のタンク部15、16に連通する。
【0069】また、伝熱プレート上端のタンク部15と
17、および伝熱プレート下端のタンク部16と18
は、伝熱プレート幅方向に2分割されているため、各タ
ンク部15〜18の打ち出し形状は図3〜図5の図示例
では、略D字状にしてある。しかし、図1、2の図示例
のように、各タンク部15〜18を略長円状に形成して
もよい。
【0070】各タンク部15〜18の中央部には連通穴
15a〜18aが開口している。この連通穴15a〜1
8aにより図1、2に示す左右方向(伝熱プレート積層
方向)において、隣接する伝熱プレート相互間でタンク
部15〜18同志の流路を連通させる。
【0071】すなわち、図7に示すように、隣接する各
タンク部15〜18の打ち出し頂部は互いに当接して接
合されることにより、連通穴15a〜18a相互の連通
がなされる。
【0072】なお、図5に示す第3伝熱プレート12c
では、内部洩れ検知用突出部140の下端(他端)部1
40bを前述のごとくタンク部16、18の手前の位置
で終了させてここで閉塞し、突出部140に代えて、タ
ンク部16と18とを直接連通するための連通路120
を形成している。この連通路120は、タンク部16と
18の中間部位をタンク部16、18と同一方向に打ち
出すことにより形成できる。
【0073】また、図3〜5に示すように、第1〜第3
伝熱プレート12a〜12cのいずれにおいても、風上
側のタンク部17、18に比して風下側のタンク部1
5、16の高さを所定寸法Lだけ小さくしている。これ
は、後述するようにコア部11において風上側の領域に
比して風下側の領域における通風面積を拡大するためで
ある。
【0074】また、各伝熱プレート12a〜12cの各
突出部14の側面部から伝熱プレート幅方向(空気流れ
方向A)へ突出する小突起14aを形成している。この
小突起14aは、各突出部14の長手方向において同一
位置にて多数個設けている。
【0075】そして、本実施形態では、第2、第3伝熱
プレート12b、12cの各突出部14の多数個の小突
起14aを伝熱プレート幅方向に対しては1個づつ逆方
向に突出させており、第1伝熱プレート12aの各突出
部14の多数個の小突起14aは、伝熱プレート幅方向
に対して、第2、第3伝熱プレート12b、12cの小
突起14aと同一方向となるように突出している。
【0076】このため、隣接する2枚の伝熱プレート1
2a、12bまたは12a、12cの小突起14a同志
を当接させ、この小突起14a同志の当接部に伝熱プレ
ート積層方向の押圧力が作用した状態で、伝熱プレート
12a〜12c相互を接合することができる。
【0077】これに反し、小突起14aを形成しない場
合は、各伝熱プレート12a〜12cの長手方向におい
て、両端のタンク部15〜18の打ち出し頂部が当接す
るのみで、長手方向の中間部位(冷媒通路19、20の
形成部位)では図6(c)に示すような当接部の全然な
い状態が連続することになる。しかし、本実施形態によ
ると、小突起14aの形成により、図6(a)、(b)
に示すように、長手方向の中間部位でも小突起14a同
志の当接部を形成できる。
【0078】これにより、伝熱プレート12のうち、長
手方向両端のタンク部15〜18を除く中間部位(冷媒
通路19、20の形成部位)でも、上記押圧力を作用さ
せて伝熱プレート12の基板部13同志を全面的に確実
に当接させて、この基板部13同志の当接面を良好にろ
う付けすることができる。よって、ろう付け不良による
冷媒通路19、20からの冷媒洩れを防止できる。
【0079】ところで、各伝熱プレート12a〜12c
の幅方向(空気流れ方向A)において、複数の突出部1
4、および第2、第3伝熱プレート12b、12cの内
部洩れ検知用の突出部140は図6(c)に示すよう
に、互いに隣接する各伝熱プレート12a〜12cの突
出部14、140と形成位置がずれており、これによ
り、各突出部14、140を隣接する各伝熱プレート1
2a〜12cの基板部13により形成される凹面部に位
置させることがきる。
【0080】その結果、各突出部14、140の凸面側
の頂部と隣接する他の伝熱プレート12a〜12cの基
板部13の凹面部との間に必ず隙間が形成される。この
隙間は突出部14の打ち出し高さhからプレート板厚分
を引いた大きさの隙間であって、この隙間により、伝熱
プレート幅方向(空気流れ方向A)の全長にわたって矢
印A1 のごとく波状に蛇行した空気通路が連続して形成
される。
【0081】従って、矢印A方向に送風される空調空気
は、上記空気通路を矢印A1 のごとく波状に蛇行しなが
ら2枚の伝熱プレート12a、12bまたは12a、1
2cの間を通り抜けることができる。
【0082】次に、コア部11に対する冷媒の入出を行
う部分について説明すると、図1、図2に示すように、
伝熱プレート積層方向の両端側には、伝熱プレート12
a〜12cと同一の大きさを持ったエンドプレート2
1、22が配設されている。このエンドプレート21、
22はいずれも伝熱プレート12aの突出部14および
タンク部15〜18の凸面側に当接して伝熱プレート1
2aと接合される平坦な板形状になっている。
【0083】図1、2の左側のエンドプレート21に
は、その下端部近傍位置に冷媒入口穴21aおよび冷媒
出口穴21bが開けられ、この冷媒入口穴21aは伝熱
プレート12aの下端部の風下側タンク部16の連通穴
16aと連通し、また、冷媒出口穴21bは伝熱プレー
ト12aの下端部の風上側タンク部18の連通穴18a
と連通する。また、エンドプレート21の冷媒入口穴2
1aおよび冷媒出口穴21bにはそれぞれ冷媒入口パイ
プ23、冷媒出口パイプ24が接合される。
【0084】一方のエンドプレート21は、冷媒入口、
出口パイプ23、24との接合のために、伝熱プレート
12a〜12cと同様にA3000系のアルミニウム芯
材の両面にA4000系のアルミニウムろう材をクラッ
ドした両面クラッド材からなる。他方のエンドプレート
22は、A3000系のアルミニウム芯材の片面(伝熱
プレート12aと接合される側の面)のみにA4000
系のアルミニウムろう材をクラッドした片面クラッド材
からなる。また、両エンドプレート21、22は、伝熱
プレート12に比して板厚tを厚く(例えば、板厚t=
1.0mm程度)して強度向上を図っている。
【0085】上記冷媒入口パイプ23には、図示しない
膨張弁等の減圧手段で減圧された気液2相冷媒が流入
し、冷媒出口パイプ24は図示しない圧縮機吸入側に接
続され、蒸発器10で蒸発したガス冷媒を圧縮機吸入側
に導くものである。
【0086】各伝熱プレート12a〜12cにおいて、
風下側の冷媒通路19は、冷媒入口パイプ23からの冷
媒が流入するため、蒸発器全体の冷媒通路の中で、入口
側冷媒通路を構成し、風上側の冷媒通路20は、風下側
(入口側)の冷媒通路19を通過した冷媒が流入し、冷
媒出口パイプ24へと冷媒を流出させるため、出口側冷
媒通路を構成することになる。
【0087】次に、蒸発器10全体としての冷媒通路を
図2により説明すると、まず、図1、2の左右方向(伝
熱プレート積層方向)において、一方のエンドプレート
21側の半分領域Xでは、2枚の伝熱プレート12aと
12bを1組として多数組積層し、また、他方のエンド
プレート22側の半分領域Yでは、2枚の伝熱プレート
12aと12cを1組として多数組積層し、各伝熱プレ
ート間を接合することによりコア部11を構成してい
る。
【0088】そして、蒸発器10の上下両端部に位置す
るタンク部15〜18のうち、風下側のタンク部15、
16が冷媒入口側タンク部を構成し、また、風上側のタ
ンク部17、18が冷媒出口側タンク部を構成してい
る。風下側の下側の冷媒入口側タンク部16は、伝熱プ
レート12の積層方向の中間位置(領域Xと領域Yの境
界部)に配設した仕切り部27により、図2左側流路
(領域X側の流路)と図2右側流路(領域Y側の流路)
とに仕切られている。
【0089】同様に、風上側の下側の冷媒出口側タンク
部18も、同様に中間位置に配設した仕切り部28によ
り、図2左側流路(領域X側の流路)と図2右側流路
(領域Y側の流路)とに仕切られている。これらの仕切
り部27、28は、前述した伝熱プレート12a〜12
cのうち、該当部位に位置する伝熱プレートのみ、その
タンク部15、18の連通穴15a、18a部分を閉塞
した盲蓋形状のものを使用することにより簡単に構成で
きる。
【0090】本実施形態の蒸発器10によると、膨張弁
で減圧された低圧の気液2相冷媒が冷媒入口パイプ23
から矢印aのように風下側の下側の入口側タンク部16
に入る。この入口側タンク部16の流路は仕切り部27
より左右の領域XとYに分断されているので、冷媒は入
口側タンク部16の左側領域Xの流路のみに入る。
【0091】そして、冷媒は図2の左側領域Xにおい
て、伝熱プレート12a、12bの風下側突出部14に
より形成される冷媒通路19を矢印bのように上昇して
上側の入口側タンク部15に入る。次に、冷媒は上側の
入口側タンク部15を矢印cのように図2の右側領域Y
に移行して、伝熱プレート12a、12cの風下側突出
部14により形成される冷媒通路19を矢印dのように
下降して下側の入口側タンク部16の右側領域Yの流路
に入る。
【0092】ここで、右側領域Yに組み込まれている第
3伝熱プレート12cの下側のタンク部16と18の中
間位置には、この両タンク部16、18を直接連通する
ための連通路120が形成されているので、タンク部1
6の右側領域Yの冷媒は、次に、この連通路120を通
って矢印eのように風上側の出口側タンク部18に入
る。
【0093】ここで、この出口側タンク部18の流路は
仕切り部28より左右の領域XとYに分断されているの
で、冷媒は出口側タンク部18の右側領域Yの流路のみ
に入る。次に、冷媒はこのタンク部18の右側領域Yに
おいて、伝熱プレート12a、12cの風上側突出部1
4により形成される冷媒通路20を矢印fのように上昇
して上側の出口側タンク部17の右側領域Yに入る。
【0094】この右側領域Yから冷媒は上側の出口側タ
ンク部17を矢印gのように図2の左側領域Xに移行
し、その後、伝熱プレート12a、12bの風上側突出
部14により形成される冷媒通路20を矢印hのように
下降して下側の出口側タンク部18の左側領域Xの流路
に入る。この出口側タンク部18を冷媒は矢印iのよう
に左側へ流れて、冷媒出口パイプ24から蒸発器外部へ
流出する。
【0095】本実施形態では蒸発器10の冷媒通路が以
上のように構成されており、図1、2に示す各構成部品
を相互に当接した状態に積層して、その積層状態(組付
状態)を適宜の治具により保持してろう付け加熱炉内に
搬入して、組付体をろう材の融点まで加熱することによ
り組付体を一体ろう付けする。これにより、蒸発器10
の組付を完了できる。
【0096】この一体ろう付けにおいて、伝熱プレート
12a〜12cの長手方向の接合面において、隣接する
2枚の伝熱プレート12a、12bまたは12a、12
cの小突起14a同志を当接(図6(a)、(b)参
照)させ、この小突起14a同志の当接部に伝熱プレー
ト積層方向の押圧力を上記治具により作用させた状態
で、伝熱プレート12a〜12c相互を接合することが
できる。
【0097】これにより、伝熱プレート12a〜12c
のうち、長手方向両端のタンク部15〜18を除く中間
部位(冷媒通路19、20の形成部位)でも、上記押圧
力を作用させて伝熱プレート12a〜12cの基板部1
3同志を全面的に確実に当接させて、この基板部13同
志の当接面を良好にろう付けすることができ、ろう付け
不良による冷媒通路19、20からの冷媒洩れを防止で
きる。
【0098】ところで、冷媒洩れによる製品不良を発見
するために、蒸発器10の冷媒洩れ検査を行うのである
が、この検査は例えば、ろう付け後の蒸発器10を密閉
室内に搬入し、冷媒入口パイプ23と冷媒出口パイプ2
4の一方を適宜の盲蓋で閉塞し、他方のパイプから洩れ
検査流体(例えば、ヘリウムガス)を所定圧力に加圧し
て蒸発器10内冷媒通路に供給することにより、蒸発器
10外への流体洩れ(密閉室内への流体洩れ)の有無を
検査する。
【0099】このとき、検査対象の蒸発器10におい
て、伝熱プレート12a〜12c相互の基板部13間の
接合面のうち、外周部の接合面に万一ろう付け不良があ
るときは、この外周部の接合不良箇所から検査流体が直
接外部へ洩れ出るので、外周部の接合不良は簡単に検知
できる。
【0100】一方、伝熱プレート12a〜12c相互の
基板部13のうち、幅方向の中央部に位置する基板部1
3の接合面に接合不良が生じると、風下側の入口側冷媒
通路19と風上側の出口側冷媒通路20との間が直接連
通する内部洩れの状態が発生する。ところが、この内部
洩れの状態が発生しただけでは、検査流体の外部への洩
れが発生しない。
【0101】そこで、本実施形態においては、第1伝熱
プレート12aと組み合わせる第2、第3伝熱プレート
12b、12c側において、基板部13の幅方向の中央
部に内部洩れ検知用の突出部140を形成し、この突出
部140内側の内部洩れ検知用通路141を第2伝熱プ
レート12bではプレート長手方向の両端部140a、
140bにて外部へ開放している。また、第3伝熱プレ
ート12cでは突出部140内側の内部洩れ検知用通路
141を上端部140aにて外部へ開放している。
【0102】このため、上記内部洩れの状態が発生する
と、突出部140内側の内部洩れ検知用通路141を通
過して検査流体が外部へ洩れ出るので、内部洩れも簡単
に検知できる。
【0103】次に、本実施形態の蒸発器10の作用を説
明すると、蒸発器10は図示しない空調ユニットケース
内に図1、2の上下方向を上下にして収容され、図示し
ない空調用送風機の作動により矢印A方向に空気が送風
される。
【0104】そして、冷凍サイクルの圧縮機が作動する
と、図示しない膨張弁により減圧された低圧側の気液2
相冷媒が前述した図2の矢印a〜iの通路構成に従って
流れる。一方、コア部11の伝熱プレート12a〜12
cの外面側に凸状に突出している突出部14、140と
基板部13の間に形成される隙間により、伝熱プレート
幅方向(空気流れ方向A)の全長にわたって図6(c)
の矢印A1 のごとく波状に蛇行した空気通路が連続して
形成されている。
【0105】その結果、矢印A方向に送風される空調空
気は、上記空気通路を矢印A1 のごとく波状に蛇行しな
がら2枚の伝熱プレート12aと12bの間または12
aと12cの間を通り抜けることができ、この空気の流
れから冷媒は蒸発潜熱を吸熱して蒸発するので、空調空
気は冷却され、冷風となる。
【0106】この際、空調空気の流れ方向Aに対して、
風下側に入口側冷媒通路19を、また、風上側に出口側
冷媒通路20を配置することにより、空気流れに対する
冷媒出入口が対向流の関係となる。
【0107】さらに、空気側においては、空気流れ方向
Aが、伝熱プレート12a〜12cの突出部14、14
0の長手方向(冷媒通路19、20での冷媒流れ方向
B)に対して直交する方向になっており、突出部14、
140が空気流れと直交状に突出する凸面(伝熱面)を
形成しているので、空気はこの直交状に延びる突出部1
4、140の凸面形状により直進を妨げられる。
【0108】このため、空気流は伝熱プレート12a〜
12c間の隙間を図6(c)の矢印A1 に示すように波
状に蛇行した流れを形成して、その流れを乱すので、空
気流が乱流状態となり、空気側の熱伝達率を飛躍的に向
上することができる。ここで、コア部11が伝熱プレー
ト12a〜12cのみで構成されているため、従来のフ
ィン部材を備えている通常の蒸発器に比して、空気側の
伝熱面積が大幅に減少するが、乱流状態の設定により空
気側の熱伝達率が飛躍的に向上するため、空気側伝熱面
積の減少を空気側熱伝達率の向上により補うことが可能
となり、必要冷却性能を確保できるのである。
【0109】また、本実施形態によると、右側領域Yに
組み込まれている第3伝熱プレート12cの下側のタン
ク部16と18の中間位置に連通路120を形成して、
この連通路120により両タンク部16、18間を直接
連通しているので、エンドプレート22部分に冷媒通路
を形成する必要がなく、エンドプレート22として単純
な平板状のものを1枚用いるだけでよい。そのため、コ
ア部11における伝熱プレート配置容積を拡大でき、そ
の容積拡大に伴って伝熱性能を向上できる。
【0110】次に、本実施形態における、蒸発器10の
凝縮水の排水性について説明すると、蒸発器10は、図
1、2に示すように伝熱プレート12a〜12cの長手
方向が上下方向となるように配置されて実際に使用され
る。従って、蒸発器10の使用状態において、伝熱プレ
ート12a〜12cの相互間に、その長手方向(上下方
向)に延びる隙間(図6参照)を連続して形成できる。
その結果、この上下方向に延びる隙間に沿って、伝熱プ
レート12a〜12cの表面に発生する凝縮水を下方側
へスムースに落下させることができる。
【0111】凝縮水の一部は送風空気の風圧により風下
側へ移行する傾向にあるが、本実施形態によると、伝熱
プレート12a〜12cのいずれにおいても、風上側の
タンク部17、18に比して風下側のタンク部15、1
6の高さを所定寸法Lだけ小さくしている。これによ
り、コア部11において風上側の領域に比して風下側の
領域における通風面積を拡大することができ、風下側の
領域における空気流速を低下できる。
【0112】そのため、凝縮水の一部が風下側へ移行し
ても、伝熱プレート12a〜12cの風下側端部から凝
縮水が下流側へ飛散することを上記空気流速の低下によ
り効果的に抑制できる。
【0113】次に、本実施形態における熱交換器の具体
的設計例と伝熱性能との関係を説明すると、図8は熱交
換器伝熱性能の指標である「空気側熱伝達率αaと空気
側伝熱面積Faとの積」を縦軸にとり、横軸には突出部
ピッチP1 をとっている。ここで、突出部ピッチP1
図6(c)に示すように複数の突出部14相互の間隔
(空気流れ方向Aにおける突出部14間の間隔)であ
る。また、図8中に示す通路ピッチP2 は図6(c)に
示すように伝熱プレート積層方向における冷媒通路1
9、20相互の間隔(伝熱プレート間の間隔)である。
【0114】図8に示すように、上記突出部ピッチP1
と上記通路ピッチP2 との組み合わせの変化により、伝
熱性能(縦軸にとったαaとFaとの積)が変化する。
ここで、突出部ピッチP1 と空気側熱伝達率αaとの関
係は、P1 を小さくする程、αaが増大する関係にあ
る。これは、P1 が減少すれば、突出部14の数を増加
できるので、空気流れ方向Aにおいて、流れの乱れによ
る熱伝達の高い部位を増やすことができ、その結果、熱
交換器全体としての空気側熱伝達率αaを向上できるの
である。しかし、その一方でP1 を小さくする程、空気
側の圧力損失が増大することになる。
【0115】また、通路ピッチP2 については、P2
小さくする程、同一の熱交換器体格(容積)における伝
熱プレート積層枚数を増加できるので、空気側伝熱面積
Faを増大できる。しかし、その一方でP2 を小さくす
る程、空気側の圧力損失が増大することになる。
【0116】図8はコンピュータシュミレーションによ
る計算結果を示すもので、その前提として、熱交換器入
口空気流速は2m/sであり、また、空気側の圧力損失
=100Pa(一定)となるように、突出部ピッチP1
と通路ピッチP2 とを設定している。
【0117】なお、伝熱プレート12a〜12cの板厚
tは、内部流体(冷媒)圧力、耐食性、プレス加工の成
形性、材質等に応じて決定されるものであって、一概に
は決定できないので、図8では板厚tをパラメータとし
て用いており、板厚tは0.1mm〜0.35mmの範
囲で変化させている。
【0118】図8の計算結果によれば、通路ピッチP2
=1.47mm〜3.82mmの範囲で変化させたとき
に、伝熱性能が最高となる突出部ピッチP1 が2.48
mmから18.39mmに増加していくことが分かる。
【0119】空気側の圧力損失=一定を前提条件とする
場合に、通路ピッチP2 を大きくして突出部ピッチP1
を小さくするよりも、通路ピッチP2 を小さくして突出
部ピッチP1 を大きくする方が伝熱性能向上のために有
利であることがわかる。
【0120】図8のデータから、突出部ピッチP1 につ
いては概略、2mm〜20mmの範囲に設定することに
より、各種の通路ピッチP2 において伝熱性能を効果的
に向上できることが分かる。また、通路ピッチP2 につ
いては概略、1.4mm〜3.9mmの範囲に設定する
ことにより、空気側の圧力損失の増加を抑えつつ、伝熱
性能を向上できることが分かる。また、空気通路を構成
する伝熱プレート間の隙間は通路ピッチP2×1/2−
板厚tであるから、略0.7mm〜1.95mmが好適
な範囲となる。
【0121】なお、従来の通常のコルゲートフィン型の
熱交換器においては、チューブ間にコルゲートフィンを
介在するため、チューブ端部のタンク部の高さ(図7の
hに相当する寸法)が5mm以上必要となる。従って、
従来の熱交換器では、チューブ用アルミニウム板材をプ
レス成形する際に、上記タンク部成形のために大きな伸
びが必要であり、そのため、チューブ用アルミニウム板
材として伸びの良い(柔らかい)O材を使用していた。
【0122】ここで、アルミニウム合金のO材とは、
「JIS H 0001」にて規定されているアルミニ
ウム材料で、焼きなましにより最も柔らかい状態となっ
た材料であり、H材に比してはるかに伸び率が大きい。
【0123】しかし、この伸びの良いO材は、チューブ
用アルミニウム板材表面にクラッドされたろう材のエロ
ージョン(侵食)により、アルミニウム板材の芯材が部
分的に薄くなって、耐食性が低下してしまうことが知ら
れている。その結果、この耐食性低下を考慮して、従来
では、チューブ用アルミニウム板材として板厚の厚い
(例えば、0.6mm以上)のものを使用していた。
【0124】ろう材のエロージョンを防止するには、ア
ルミニウム板材として伸びの小さい硬い材料(H材)を
使用すればよいが、H材を使用すると、プレス成形時の
伸びが不足してタンク部に割れを発生するという問題が
生じる。
【0125】なお、アルミニウム合金のH材は、加工硬
化により硬くして伸び率を小さくした材料であり、具体
的には、「JIS H 0001」にて規定されている
H1、H2、H3等があり、さらに、H112は展伸材
であるため、展伸加工それ自体で加工硬化が生じるの
で、展伸加工後に加工硬化の工程を特別に実施する必要
がない。
【0126】本実施形態の熱交換器によると、コルゲー
トフィンを介在せず、伝熱プレート12a〜12cを積
層するのみで構成できるため、タンク部15〜18の高
さhは突出部14、140の高さhと同様に2mm以下
とすることができ、このことから、伝熱プレート12a
〜12cを構成するアルミニウム板材として、伸びの小
さいH材を使用しても、タンク部15〜18の成形に必
要なプレス成形時の伸びを確保できる。
【0127】従って、H材を使用してもタンク部15〜
18の割れを発生することなく、伝熱プレート12a〜
12cを必要形状にプレス成形できる。そのため、伝熱
プレート12a〜12cの板厚tを図8に示すように従
来技術より大幅に薄肉化(t=0.1〜0.35mm)
しても耐食性を確保でき、熱交換器の軽量化を達成でき
る。
【0128】(第2実施形態)上記第1実施形態では、
第1〜第3伝熱プレート12a〜12cにおける突出部
14を空気(外部流体)の流れ方向Aに対して略直交す
る方向に連続して延びるように形成しているが、突出部
14を空気(外部流体)の流れ方向Aに対して斜め方向
に延びるように形成した多数の独立した細長の突出形状
で形成してもよい。
【0129】第2実施形態は、図9〜図14に示すよう
に突出部14を空気(外部流体)の流れ方向Aに対して
所定角度θ(図10)により斜め方向に延びる多数の独
立した細長の突出形状で形成して、この斜め方向の突出
部14相互の重合部分にて、多数の突出部14の内部空
間を相互に連通させて冷媒通路(内部通路)19、20
を形成する。
【0130】図11において、矢印B1 は風下側の冷媒
通路19での冷媒流れを示し、矢印B2 は風上側の冷媒
通路20での冷媒流れを示す。空気(外部流体)は、図
11の矢印A2 に示すように、伝熱プレート12の平面
方向(図11の上下方向)において蛇行するとともに、
図13の矢印A1 に示すように伝熱プレート12の積層
方向(図13の上下方向)においても蛇行する。
【0131】なお、第2実施形態では、エンドプレート
22の外側に凹形状のサイドプレート25を配置して、
このサイドプレート25とエンドプレート22との間に
冷媒通路26(図14)を形成し、この冷媒通路26に
よりエンドプレート22の連通穴22aと22bとの間
を連通している。なお、第2実施形態における蒸発器全
体の冷媒通路は図14に示す通りである。第2実施形態
において、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同
一符号を付して、その他の説明は省略する。
【0132】第2実施形態においても、突出部ピッチP
1 (図10)および通路ピッチP2(図12)と、伝熱
性能との関係は第1実施形態と同様の関係があるので、
図8に基づいて説明したP1 およびP2 の寸法範囲は第
2実施形態に対しても同様に適用できる。
【0133】(第3実施形態)図15、16は第3実施
形態を示すもので、第2実施形態の図10、11に対応
する図であり、第2実施形態では、伝熱プレート12に
おいて空気流れ方向Aの前後に設ける2列の突出部14
の傾斜方向を同一方向としているが、第3実施形態では
この2列の突出部14の傾斜方向を逆方向としている。
他の点は第2実施形態と同じである。
【0134】(第4実施形態)図17、18は第4実施
形態を示すもので、第2実施形態の図10、11に対応
する図であり、第2、3実施形態では、伝熱プレート1
2において空気流れ方向Aの前後に設ける2列の突出部
14を空気流れ方向Aに対して所定角度θで傾斜させて
いるが、第3実施形態では2列の突出部14を空気流れ
方向Aに対して直交状に配置している。換言すると、細
長の突出部14を伝熱プレート12の長手方向(冷媒流
れ方向B)と平行に配置している。
【0135】ここで、第4実施形態では、伝熱プレート
12の長手方向(冷媒流れ方向B)と平行な細長の突出
部14を千鳥状に配列することにより、凹面同志が接合
される2枚1組の伝熱プレート12において、図18に
示すように細長の突出部14相互間に部分的な重合部を
設定して、冷媒通路19、20を構成する。従って、本
例によると、冷媒通路19、20の全長にわたって冷媒
は伝熱プレート12の長手方向と平行に流れる。
【0136】(第5実施形態)図19、20は第5実施
形態を示すもので、第2実施形態の図10、11に対応
する図であり、第4実施形態の変形例である。すなわ
ち、伝熱プレート12において空気流れ方向Aの前後に
設ける2列の突出部14のうち、一方の突出部14を空
気流れ方向Aに対して直交状に配置し、かつ他方の突出
部14を空気流れ方向Aに対して平行に配置したもので
ある。
【0137】従って、本例によると、冷媒通路19、2
0内を冷媒は伝熱プレート12の長手方向および長手方
向と直交する方向に交互に方向転換しながら流れる。
【0138】(第6実施形態)図21は第6実施形態を
示すもので、第2実施形態を示す図9とは空調空気の流
れ方向Aが逆方向となっている。第2実施形態では図9
に示すように、左側のエンドプレート21に冷媒入口パ
イプ23および冷媒出口パイプ24を独立に接合してい
るが、第6実施形態ではこの冷媒入口パイプ23および
冷媒出口パイプ24を1つの配管ジョイントブロック3
0にまとめて設けている。
【0139】このために、第6実施形態では図21に示
すように、左側のエンドプレート21にサイドプレート
31を接合して、この両プレート21、31の間に配管
ジョイントブロック30の冷媒出入口に通じる冷媒通路
を構成している。この冷媒通路構成をより具体的に説明
すると、エンドプレート21には、伝熱プレート12の
下側の冷媒入口側タンク部15の連通穴15aと連通す
る連通穴21a、および上側の冷媒出口側タンク部18
の連通穴18aと連通する連通穴21bが開けてある。
【0140】サイドプレート31はエンドプレート2
1、22およひサイドプレート25と同様にA3000
系のアルミニウム芯材の両面にA4000系のアルミニ
ウムろう材をクラッドした両面クラッド材からなるもの
で、伝熱プレート12に比して板厚tを厚く(例えば、
板厚t=1.0mm程度)して強度向上を図っている。
【0141】さらに、配管ジョイントブロック30は例
えば、A6000系のアルミニウムベア材にて冷媒入口
パイプ23および冷媒出口パイプ24を一体に成形した
ものであり、配管ジョイントブロック30は本例ではサ
イドプレート31の上部側に配置され接合される。
【0142】そして、サイドプレート31のうち、配管
ジョイントブロック30の部位から下方側にわたって突
出部31aが外側へ打ち出し成形してあり、この突出部
31aの上下両端部は1つに合流しているが、上下方向
(プレート長手方向)の途中は複数(図示の例は3個)
に分割して、サイドプレート31の断面係数を大きく
し、強度アップを図っている。突出部31a内側の凹部
により形成される冷媒通路の上端部は配管ジョイントブ
ロック30の冷媒入口パイプ23と連通し、また、この
冷媒通路の下端部はエンドプレート21の連通穴21a
と連通する。
【0143】サイドプレート31のうち、配管ジョイン
トブロック30の上方側には1つの突出部31bが外側
へ打ち出し成形してある。この突出部31b内側の凹部
により形成される冷媒通路は冷媒出口パイプ24とエン
ドプレート21の連通穴21bとを接続する。
【0144】第6実施形態によると、冷媒入口パイプ2
3および冷媒出口パイプ24を1つの配管ジョイントブ
ロック30にまとめて設けているから、蒸発器10と、
外部の冷媒配管との配管の取り回しが良好となる。
【0145】(第7実施形態)図22〜図25は第7実
施形態を示すもので、上記した第1〜第6実施形態で
は、いずれも、伝熱プレート12の長手方向の両端部に
タンク部15〜18をそれぞれ2個づつ(合計4個)設
けているが、このタンク部15〜18では、空気と冷媒
との間の伝熱面積が極端に減少するので、タンク部15
〜18は蒸発器10の冷却性能向上のために、ほとんど
寄与しないデッドスペースとなる。
【0146】そこで、第7実施形態では、伝熱プレート
12の長手方向の一端部のみにタンク部16、18を設
けて、他端側のタンク部15、17を廃止することによ
り、タンク部によるデッドスペースを半減して、蒸発器
10の冷却性能を維持しつつ、蒸発器10の小型化を実
現しようとするものである。
【0147】すなわち、第7実施形態では、図22〜図
24に示すように、伝熱プレート12の長手方向の一端
部(上端部)のみにタンク部16、18を設けて、他端
部(下端部)ではタンク部15、17を廃止し、その代
わりに、他端部の縁近くまで突出部14を形成してい
る。ここで、伝熱プレート12の他端部では、空気流れ
方向A前後の2列の冷媒通路19、20のUターン部D
(図25)を形成するように、突出部14を伝熱プレー
ト12の空気流れ方向Aにおいて、空気流れ上流領域か
ら下流領域の両方にわたって連続的に形成してある。
【0148】これにより、図15、16の下端側領域F
において、空気流れ方向A前後の2列の冷媒通路19、
20のUターン部Dを構成できる。
【0149】なお、第7実施形態において、突出部14
による2列の冷媒通路19、20の形成は第2実施形態
と同じであるので、説明は省略し、以下相違点のみを説
明すると、第7実施形態では、伝熱プレート12の積層
方向の一端側に位置するエンドプレート21に、冷媒出
口パイプ24を接合し、伝熱プレート積層方向の他端側
に位置するエンドプレート22に、冷媒入口パイプ23
を接合している。
【0150】そして、冷媒出口パイプ24は上側の空気
上流側タンク部18の一端側に連通され、冷媒入口パイ
プ23は上側の空気上流側タンク部18の他端部に連通
されている。従って、右側のエンドプレート22には、
冷媒入口パイプ23と上側の空気上流側タンク部18と
を連通する連通穴22cが開けてある。左側のエンドプ
レート21にも、図示しない同様の連通穴が開けてあ
る。
【0151】図25に示すように、上側の空気上流側タ
ンク部18の途中位置に仕切り部27を配置することに
より、空気流れ方向A前後でUターンする2列の冷媒通
路19、20を構成できる。
【0152】図24に示すように、伝熱プレート12の
下端側領域Fにおける突出部14によって、空気流れ方
向A前後の2列の冷媒通路19、20のUターン部Dを
構成しているから、伝熱プレート12の下端側領域Fで
はその縁部近くまで空気流れの乱流による高熱伝達率の
熱交換領域を構成できる。
【0153】(第8実施形態)図26は第8実施形態を
示すもので、本発明による特徴、すなわち、冷媒(内部
流体)通路19、20を構成する突出部14を持つ伝熱
プレート12だけで熱交換器を構成でき、空気(外部流
体)側にフィン部材を設ける必要がない点を有効活用し
て、蒸発器10の形態を通常の直方体状以外の異形状に
形成するものである。
【0154】図26は車両用空調ユニット100を示し
ており、空調ケース101内に冷房用熱交換器としての
蒸発器10、および暖房用熱交換器としての温水熱源の
ヒータコア102を設置している。ヒータコア102を
通過する温風Gとヒータコア102をバイパスする冷風
Hとの割合をエアミックス用フィルムドア103により
調整して、フェイス、デフロスタの吹出空気温度を調整
する。
【0155】また、フェイス吹出開口部104、デフロ
スタ吹出開口部105、およびフット吹出開口部106
への空気流れを吹出モード用フィルムドア107により
切り替えるようになっている。
【0156】このような空調ユニット100において、
蒸発器10の形態は、通常、図27に示すような直方体
状になっている。これは、熱交換コア部11を構成する
偏平チューブ11aとコルゲートフィン11bのうち、
コルゲートフィン11bの外形が成形上の理由(薄肉コ
イル材を波状にローラ成形するという理由)から、図2
8に示す矩形状以外の形状にすることが困難であり、そ
の結果、蒸発器10の形態も必然的にコルゲートフィン
11bの矩形状に沿った直方体状になってしまうのであ
る。
【0157】しかるに、本発明によれば、コルゲートフ
ィン11bのごときフィン部材を必要としないので、第
8実施形態では、蒸発器10を空調ケース101内の余
剰空間に沿った異形状とすることにより、空調ケース1
01内の空間を蒸発器10の性能向上のために最大限活
用できる。
【0158】この点を図26により具体的に説明する
と、エアミックス用フィルムドア103の空気流れ上流
側に大きな余剰空間が存在することに着目して、蒸発器
10のコア部11を空気流れ下流側に向かって(エアミ
ックス用フィルムドア103側に向かって)三角状に突
出させている。11′はその三角状突出部で、伝熱拡大
部を構成する。
【0159】図27に示す従来の通常の蒸発器10であ
ると、図26の破線Iで示す容積となってしまうが、第
8実施形態によると、蒸発器10のコア部11の容積を
三角状突出部11′の分だけ増大でき、蒸発器10の性
能を向上できる。
【0160】(第9実施形態)図29、図30は第9実
施形態を示すもので、蒸発器10の冷却除湿作用により
発生する凝縮水の排水性を向上させるものである。
【0161】本発明者らの実験検討によると、図9〜図
14の第2実施形態においては、伝熱プレート12の突
出部14の凸面同志が逆方向に傾斜して交差した状態で
当接するように積層され、この当接部が接合される。そ
のため、第2実施形態では、図31に示すように、突出
部14の凸面同志の当接部付近にて凝縮水が滞留しや
すなって、この凝縮水の滞留により空気側通路の一部
を閉塞し、通風抵抗増加の原因となることが判明した。
【0162】そこで、第9実施形態では、突出部14の
凸面同志の当接部を廃止して凝縮水の落下を容易にし、
それによって、凝縮水の滞留による通風抵抗の増加を抑
制するようにしたものである。
【0163】なお、第9実施形態における蒸発器10の
全体の冷媒通路構成は図21の第6実施形態と同じであ
るので、図29に図21と同一部分に同一符号を付して
説明を省略する。また、第9実施形態における伝熱プレ
ート12の突出部14の成形形態は第1実施形態と同様
であり、伝熱プレート12の突出部14の形状をプレー
ト長手方向(上下方向)に沿った直線的な形状としてい
る。
【0164】第9実施形態による蒸発器10は、図2
9、30に示すように伝熱プレート12の長手方向が上
下方向となるように配置されて実際に使用される。そし
て、使用状態において、送風空気が2枚の伝熱プレート
12の間の空気通路を矢印A1のように波状に蛇行しな
がら通り抜けるときに、送風空気と伝熱プレート12と
の間の熱交換で発生する凝縮水(図30参照)は、各
突出部14の凸面頂部で最も多く発生する。
【0165】この凝縮水の発生状況は実験的に確認し
ており、これは冷媒通路19、20内を通過する冷媒の
蒸発潜熱により各突出部14の凸面頂部が最も良く冷却
され、その結果、凸面頂部に凝縮水が最も多く発生す
ると考えられる。
【0166】そして、各突出部14の凸面頂部は隣接す
る相手側の伝熱プレート12に対して空隙を介在して対
向し、接合箇所を上下方向の全長にわたって形成しない
ため、各突出部14の凸面頂部の途中に凝縮水の滞留
箇所が発生しない。同様に、伝熱プレート12の他の部
位(突出部14の側面部および基板部13の表面)にお
いても凝縮水の滞留箇所がない。
【0167】以上の結果、各突出部14の凸面頂部に発
生する凝縮水を含めて、伝熱プレート12の表面に発
生する凝縮水全体を伝熱プレート12の長手方向、すな
わち、上下方向に沿ってスムースに下方へ落下させるこ
とができる。これにより、凝縮水の滞留によって通風
抵抗が増加することを良好に抑制できる。
【0168】第9実施形態の具体的構成を説明すると、
多数枚の伝熱プレート12は基本的には同一形状にプレ
ス成形されている。そして、伝熱プレート12に、その
長手方向(換言すると空気流れ方向Aと直交方向)に連
続して平行に延びる突出部14を複数個本例では6個づ
つ平坦な基板部13から打ち出し成形している。
【0169】ここで、突出部14は断面略矩形状であ
り、その打ち出し高さは伝熱プレート12の長手方向の
両端部に位置するタンク部15〜18と同一高さにして
ある。なお、図30において、左側の伝熱プレート12
群の上端は断面形状を図示している。
【0170】複数の突出部14は図30に示すように、
伝熱プレート12の幅方向(空気流れ方向A)の中心位
置に対して左右対称とせず、幅方向の中心からずらして
配置している。
【0171】このため、2枚の伝熱プレート12の突出
部14の凸面側が互いに外側に向かうように、しかも、
2枚の伝熱プレート12の突出部14がプレート幅方向
(空気流れ方向A)において互いにずれるように配置し
て、2枚の伝熱プレート12の基板部13同志を当接さ
せると、各突出部14が隣接する他の伝熱プレート12
の基板部13により形成される凹面部に位置する。
【0172】その結果、各突出部14の凸面側の頂部と
隣接する他の伝熱プレート12の基板部13の凹面部と
の間に必ず空隙が形成される。この空隙は突出部14の
打ち出し高さに相当する隙間であり、図30に示すよう
に、伝熱プレート12の幅方向(空気流れ方向A)の全
長にわたって波状に蛇行した空気通路が連続して形成さ
れる。
【0173】従って、矢印Aからの送風空気は、上記空
気通路をA1 のように波状に蛇行しながら2枚の伝熱プ
レート12の間を通り抜けることができる。
【0174】一方、2枚の伝熱プレート12の基板部1
3同志を当接させ接合すると、各突出部14の内面側は
相手側の伝熱プレート12の基板部13により密封され
るので、各突出部14の内面側と相手側の伝熱プレート
12の基板部13との間に、冷媒通路19、20を形成
することができる。ここで、冷媒通路19は空気流れ方
向Aの下流側のタンク部15、16の間を連通させる空
気下流側の冷媒通路であり、また、冷媒通路20は空気
流れ方向Aの上流側のタンク部17、18の間を連通さ
せる空気上流側の冷媒通路である。
【0175】(第10実施形態)図32、33は第10
実施形態を示すもので、上記第1および第9実施形態に
おける伝熱プレート12a〜12cおよび伝熱プレート
12の加工性を向上するものである。すなわち、第10
実施形態では、伝熱プレート12の突出部14の形状が
プレート長手方向(上下方向)に沿った直線的な形状で
ある点に着目して、アルミニウム材(ろう材をクラッド
してないアルミニウムベア材)を押し出し加工して、1
枚の伝熱プレート12に伝熱プレート積層方向の両側に
突出する突出部14を成形するとともに、1枚の伝熱プ
レート14内の穴形状により冷媒通路19、20を構成
するようにしたものである。
【0176】具体的には、伝熱プレート12は押し出し
加工により基板部13からその表裏両側(伝熱プレート
積層方向の両側)に突出する突出部14を伝熱プレート
長手方向の全長にわたって直線的に形成している。そし
て、この突出部14は基板部13の表裏両側で位置をず
らして配置することにより、各突出部14を隣接する伝
熱プレート12の基板部13による凹面部内に位置する
ようにしてある。冷媒通路19、20はそれぞれ突出部
14の形成部位の内側に伝熱プレート長手方向の全長に
わたって形成される直線的な穴形状により構成される。
【0177】多数枚の伝熱プレート12相互の間隔は、
伝熱プレート長手方向の上下両端部に配置されるスペー
サ部材32を介在させることにより保持する。このスペ
ーサ部材32は伝熱プレート12相互の間隔の凹凸形状
に対応した凹凸形状を持つようにプレス成形された部材
であり、A3000系のアルミニウム芯材の両面にA4
000系のアルミニウムろう材をクラッドした両面クラ
ッド材からなる。
【0178】また、図示するように、伝熱プレート12
は空気流れ方向Aにおいて、上流側のプレートと下流側
のプレートとに2分割され、この2分割された伝熱プレ
ート12、12の上下両端部はそれぞれ、別体で成形さ
れた空気下流側および空気上流側のタンク部材33、3
4に接合され、伝熱プレート12、12の上下両端部は
それぞれ、タンク部材33、34の内部空間に連通す
る。
【0179】このタンク部材33、34もA3000系
のアルミニウム芯材の両面にA4000系のアルミニウ
ムろう材をクラッドした両面クラッド材からなり、その
機能は上記第1〜第9実施形態における伝熱プレート1
2のタンク部15〜18と同様に冷媒通路19、20相
互間の連結を行う。蒸発器10全体としての冷媒通路構
成は、図21の第6実施形態と同じであるので、説明を
省略する。
【0180】第10実施形態においても、上下両端のス
ペーサ部材32の配置箇所を除いて、他の部位では伝熱
プレート12の上下方向全長にわたって各突出部14の
凸面頂部が相手側伝熱プレート12との当接部を形成し
ないから、第8、第9実施形態とほぼ同等の良好な排水
性を発揮できる。
【0181】しかも、アルミニウムの押し出し加工によ
り伝熱プレート12の必要形状を1工程にて加工できる
から、プレス成形に比して伝熱プレート12の加工工数
を大幅に低減できる。さらに、冷媒通路19、20は突
出部14の形成部位に形成される穴形状により構成され
るから、2枚の伝熱プレート12の接合により冷媒通路
19、20を構成する場合に比して、接合不良による洩
れ発生の心配が全くない。
【0182】(第11実施形態)図34、35は第11
実施形態を示すもので、上記第10実施形態による押し
出し加工を用いた伝熱プレート12の成形を更に進化さ
せ、必要枚数の伝熱プレート12をすべて一体成形する
ようにしたものである。
【0183】すなわち、図34は第11実施形態におい
てアルミニウム材を押し出し加工した直後の状態を示し
ており、概略直方体状の押し出し成形体35には、上記
第10実施形態の伝熱プレート12に相当する多数の伝
熱プレート12、この伝熱プレート積層方向の両側に突
出する突出部14、各伝熱プレート14内の穴形状によ
る冷媒通路19、20、および各伝熱プレート14相互
間に位置して空気通路を構成する隙間部36が直方体長
手方向に沿って一体成形される。
【0184】この押し出し加工直後の状態では、隙間部
36の空気流れ方向Aの両端部が押し出し成形体35の
外縁部37、38にて閉塞されているので、隙間部36
が空気通路として機能しない。
【0185】そこで、空気流れ方向Aの両端部に位置す
る外縁部37、38のうち、図34の斜線部に示す部分
39、39a、40,40aを切削等により切除して、
隙間部36の空気流れ方向Aの両端部を外部に開放して
いる。図35は上記切除部分39、39a、40,40
aを切除した後に、隙間部36の端部が外部に開放され
ている状態を示している。
【0186】図35に示すように、この切除部分39、
39a、40,40aは直方体長手方向に複数に分割し
て形成してあるので、複数の切除部分39、39a、4
0,40aの間に幅の狭い連結部41、42が残存し、
この連結部41、42により多数の伝熱プレート12の
一体成形状態を維持するようになっている。これによ
り、第10実施形態における上下両端のスペーサ部材3
2が不要となる。
【0187】概略直方体状の押し出し成形体35の上下
両端部の切除部分39a、40aには、各伝熱プレート
14の上下両端部が挿入可能なスリット部43aを持つ
保持板44、45が嵌合配置される。更に、この上下の
保持板44、45にタンク部材46、47が組み付けら
れる。
【0188】なお、上下の保持板44、45とタンク部
材46、47はいずれもアルミニュウムで成形され、各
部品間はろう付けにより一体に接合される。
【0189】図35の例では、上側のタンク部材46に
冷媒入口パイプ23を配置し、下側のタンク部材47に
冷媒出口パイプ24を配置しているので、冷媒入口パイ
プ23からの冷媒が上側のタンク部材46にて各伝熱プ
レート14内の穴形状による冷媒通路19(20)に分
配される。そして、各伝熱プレート14内の冷媒通路1
9(20)を通過した冷媒は下側のタンク部材47で集
合して冷媒出口パイプ24から外部へ流出する。
【0190】(第12実施形態)図36〜38は第12
実施形態を示すもので、第1〜第9実施形態による伝熱
プレート12の成形形態、および熱交換器組み付け方法
を変更したものである。
【0191】上記した第1〜第9実施形態では、2枚の
伝熱プレート12aと12bとの間、または12aと1
2cとの間、さらには、2枚の伝熱プレート12、12
の間に冷媒通路(内部流体通路)19、20を形成して
いるが、本発明では、薄肉のフィン部材を介在せず、伝
熱プレート12a〜12c同志の接合、あるいは2枚の
伝熱プレート12、12同志の接合で熱交換器を構成で
きるから、2枚の伝熱プレートに限らず、領域Xあるい
は領域Yの必要枚数分の伝熱プレート、さらに、熱交換
器全体としての必要枚数分の伝熱プレートを1枚のプレ
ート材の折り曲げ形状から構成することも可能である。
【0192】第12実施形態はこのような考え方に基づ
くもので、第1実施形態の図3に示す伝熱プレート12
aと図4に示す伝熱プレート12bとを隣接して一体に
成形するとともに、この両伝熱プレート12a、12b
を2枚1組で1つの単位とし、この2枚1組のプレート
単位をさらに幅の狭い連結部48を介して必要数だけ一
体に連結している。
【0193】そして、両伝熱プレート12a、12bを
その中央部50で矢印a方向に折り曲げて、互いの突出
部14の凸面が外方に向き、互いの基板部13、13同
士が当接するようにする。また、連結部48をその両端
の付け根部51、52で矢印b方向(矢印a方向と反対
方向)に折り曲げることにより伝熱プレート12a、1
2bの外面側に所定間隔の隙間(空気通路)を形成でき
る。図37、38の断面図はこの折り曲げ後の断面形状
を示す。
【0194】なお、熱交換器の分野では、2枚の伝熱プ
レートに相当する大きさ、形状を持った1枚のプレート
材を折り曲げて、内部流体通路を形成することは周知技
術であるから、本発明においても、このように、1枚の
プレート材を折り曲げて2枚の伝熱プレート12aと1
2b、12aと12c、および2枚の伝熱プレート1
2、12に相当する部材を形成し、そして、この折り曲
げた2枚の伝熱プレートの間に、冷媒通路(内部流体通
路)19、20を形成してもよい。
【0195】すなわち、第12実施形態の図36におい
て、2枚1組のプレート単位をさらに幅の狭い連結部4
8を介して必要数だけ一体に連結することを止めて、両
伝熱プレート12a、12bだけを一体に成形し、その
後に両伝熱プレート12a、12bの中央部50で矢印
a方向に折り曲げて、図38の断面図に表れる2枚1組
のプレート折り曲げ体を作り、このプレート折り曲げ体
を必要数積層し、接合する構成としてもよい。
【0196】従って、本明細書における「複数枚の伝熱
プレート」という用語は、上記した第1〜第9実施形態
で開示した完全に切り離された複数枚の伝熱プレートに
限定されることなく、1枚の伝熱プレートから折り曲げ
形成された複数枚のプレートも包含する意味で用いてい
る。
【0197】更に、第11実施形態のように連結部4
1、42により多数の伝熱プレート12を一体に連結す
る構造をも包含しているから、本明細書において、プレ
ートの数に関係する「複数枚」、「2枚」、「複数組」
といった表現は、プレート状の断面形状として表れるプ
レート積層方向での伝熱プレート(プレート状部材)が
複数であることを意味しているだけで、一体か、別体か
は問わない。
【0198】(第13実施形態)図39は第13実施形
態を示すもので、2枚1組として接合される伝熱プレー
ト12において、互いの突出部14、14と互いの基板
部13、13とを空気(外部流体)流れ方向Aにおいて
同一位置に形成し、かつ、プレート積層方向で隣接する
組の伝熱プレート12とは互いの突出部14、14およ
び基板部13、13の位置をずらして蛇行状の空気通路
を形成している。
【0199】(第14実施形態)第1実施形態では、図
8に示すコンピュータシュミレーションによる算出結果
から、突出部ピッチP1 および通路ピッチP2により空
気側伝熱性能が左右され、空気側伝熱性能に対するピッ
チP1 、P2の最適範囲が存在することを示している。
【0200】しかし、本発明熱交換器を空調用蒸発器1
0として用いる場合には空気側伝熱性能だけでなく冷媒
側伝熱性能も考慮する必要がある。突出部ピッチP1
小さくすると、冷媒通路19、20の数が増えて冷媒通
路断面積が増加し、冷媒流速が低下するので、冷媒側熱
交換率が低下するが、冷媒側伝熱面積は増加する。
【0201】これに対し、突出部ピッチP1 を大きくす
ると、冷媒通路19、20の数が減少して冷媒通路断面
積が減少し、冷媒流速が上昇するので、冷媒側熱交換率
が向上するが、冷媒側伝熱面積は減少する。
【0202】つまり、突出部ピッチP1の増減は冷媒側
熱交換率と冷媒側伝熱面積に対して相反的な関係にあ
り、冷媒側伝熱性能に対する突出部ピッチP1の最適範
囲が存在する。
【0203】従って、本発明熱交換器を空調用蒸発器1
0として用いる場合には空気側伝熱性能に対する最適範
囲に冷媒側伝熱性能に対する最適範囲を加味した形で突
出部ピッチP1の値を設定する必要がある。
【0204】図40は上記視点に基づいて本発明者が行
ったコンピュータシュミレーションによる算出結果であ
り、縦軸は空調用蒸発器10における空気側から冷媒側
への伝熱性能(W)である。横軸の突出部ピッチP
1 は、図8と同様の定義であって、図6(c)に示すよ
うに複数の突出部14相互の間隔(空気流れ方向Aにお
ける突出部14相互の頂部間の間隔)である。また、通
路ピッチP2 も図8と同様の定義であって、図6(c)
に示すように伝熱プレート積層方向における冷媒通路1
9、20相互の間隔(伝熱プレート間の間隔)である。
【0205】ここで、コンピュータシュミレーションの
主要な条件について述べると、蒸発器10の入口空気の
温度:27℃、入口空気の相対湿度:50%、入口空気
流速は2m/sであり、また、空気側の圧力損失=10
0Pa(一定)となるように、突出部ピッチP1 と通路
ピッチP2 とを設定している。
【0206】更に、冷媒側条件として、蒸発器10の出
口冷媒温度:10℃、蒸発器10の出口冷媒圧力:28
0kPa(abs)である。また、蒸発器10の熱交換
部の体格は伝熱プレート12a〜12c積層方向寸法
(図1の左右方向寸法):170mm、伝熱プレート幅
方向寸法(図1の矢印A方向寸法):40m、伝熱プレ
ート12a〜12cのうち、熱交換部高さ寸法(複数の
突出部14の形成部位の高さ寸法):220mmであ
る。
【0207】図40において、伝熱プレート12a〜1
2cの板厚tは蒸発器内部の冷媒圧力、耐食性、プレス
加工の成形性、材質等により決定されるものであって、
一概に決めることができない。そのため、板厚tはパラ
メータとして、各板厚tにおける最大性能が得られる突
出部ピッチP1、を図40では示している。
【0208】図40の算出結果から、突出部ピッチP1
を、P1=5.92〜7.73mmの範囲に選定するこ
とにより、蒸発器10の最大性能が得られることが分か
る。ここで、熱交換器分野では、実用上、一般に最大性
能から10%程度の性能差は許容される。そこで、各板
厚tにおける最大性能から10%の性能減少が生じる点
をプロットしたのが図8の各グラフの右端部の○印であ
る。
【0209】この○印から理解されるように、突出部ピ
ッチP1の最大値を15mm以内に制限することによ
り、蒸発器最大性能(100%)に対して90%以上の
性能を発揮できる。
【0210】一方、突出部ピッチP1の最小値は、ろう
付け時に冷媒通路19、20がろう詰まりすることを防
止するために、2mmとしている。この突出部ピッチP
1の最小値=2mmの点は、上記最大値よりも最大性能
となるピッチP1に近接しているので、蒸発器10の最
大性能(100%)に対して90%以上の性能を十分発
揮できる。
【0211】以上により、突出部ピッチP1=2〜15
mmの範囲に設定することにより、パラメータとなる各
板厚tにおいて、蒸発器最大性能の90%以上の性能
(最大性能近傍の性能)を常に発揮できる。
【0212】(他の実施形態)なお、上記した各実施形
態では、空気(外部流体)流れ方向Aを伝熱プレート1
2a〜12c、12の冷媒流れ方向(プレート長手方
向)Bに対して直交状に設定する場合について説明した
が、空気(外部流体)流れ方向Aを伝熱プレート12a
〜12c、12の冷媒流れ方向(プレート長手方向)B
に対して所定角度だけ傾斜するようにしてもよく、要は
空気(外部流体)流れ方向Aと伝熱プレート12a〜1
2c、12の冷媒流れ方向(プレート長手方向)Bとが
交差する関係にあればよい。
【0213】また、上記した各実施形態では、伝熱プレ
ート12の冷媒通路(内部流体通路)19、20を冷凍
サイクルの低圧側の低温冷媒が流れ、伝熱プレート12
の外部を空調空気が流れ、冷媒の蒸発潜熱を空調空気か
ら吸熱して冷媒を蒸発させる蒸発器10に本発明を適用
した場合について説明したが、これに限定されることな
く、本発明は種々な用途の流体間の熱交換を行う熱交換
器一般に広く適用可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す分解斜視図であ
る。
【図2】第1実施形態による冷媒通路を示す分解斜視図
である。
【図3】第1実施形態における第1伝熱プレートの平面
図である。
【図4】第1実施形態における第2伝熱プレートの平面
図である。
【図5】第1実施形態における第3伝熱プレートの平面
図である。
【図6】図3のA−A断面、B−B断面、およびC−C
断面を示す断面図である。
【図7】第1実施形態におけるタンク部の断面図であ
る。
【図8】突出部ピッチP1 および通路ピッチP2 と、伝
熱性能との関係を示すグラフである。
【図9】第2実施形態を示す分解斜視図である。
【図10】第2実施形態における伝熱プレートの平面図
である。
【図11】第2実施形態に用いる2枚の伝熱プレートの
重合状態を示す平面図である。
【図12】図11のX−X断面図である。
【図13】図11のY−Y断面図である。
【図14】第2実施形態による冷媒通路を示す概略斜視
図である。
【図15】第3実施形態に用いる伝熱プレートの平面図
である。
【図16】第3実施形態に用いる2枚の伝熱プレートの
重合状態を示す平面図である。
【図17】第4実施形態に用いる伝熱プレートの平面図
である。
【図18】第4実施形態に用いる2枚の伝熱プレートの
重合状態を示す平面図である。
【図19】第5実施形態に用いる伝熱プレートの平面図
である。
【図20】第5実施形態に用いる2枚の伝熱プレートの
重合状態を示す平面図である。
【図21】第6実施形態を示す分解斜視図である。
【図22】第7実施形態を示す分解斜視図である。
【図23】第7実施形態に用いる伝熱プレートの平面図
である。
【図24】第7実施形態に用いる2枚の伝熱プレートの
重合状態を示す平面図である。
【図25】第7実施形態における冷媒通路構成を示す概
略斜視図である。
【図26】第8実施形態による蒸発器を搭載した車両用
空調ユニットの縦断面図である。
【図27】第8実施形態による蒸発器の比較例としての
通常の蒸発器の概略斜視図である。
【図28】(a)は図27の通常の蒸発器で用いられる
コルゲートフィンの正面図、(b)は(a)の側面図で
ある。
【図29】第9実施形態を示す分解斜視図である。
【図30】図29の要部の拡大斜視図である。
【図31】第9実施形態の比較例(第2実施形態)にお
ける凝縮水の落下状況の説明図であにる。
【図32】第10実施形態を示す分解斜視図である。
【図33】図32の要部の拡大斜視図である。
【図34】第11実施形態に用いる押し出し成形体の斜
視図である。
【図35】第11実施形態を示す分解斜視図である。
【図36】第12実施形態に用いる伝熱プレートの部分
展開状態の平面図である。
【図37】図36のA−A断面図である。
【図38】図36のB−B断面図である。
【図39】第13実施形態を示す分解斜視図である。
【図40】第14実施形態による突出部ピッチP1 およ
び通路ピッチP2 と、蒸発器伝熱性能との関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
12a〜12c、12…伝熱プレート、14…突出部、
15〜18…タンク部、19、20…冷媒通路(内部流
体通路)。

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数枚の伝熱プレート(12a〜12
    c、12)に、それぞれ複数の突出部(14)を形成
    し、 前記突出部(14)の内側に内部流体の流れる内部流体
    通路(19、20)を構成し、 前記突出部(14)の凸面頂部が隣接する伝熱プレート
    (12a〜12c、12)に対して隙間を介在して対向
    し、 前記隙間により前記伝熱プレート(12a〜12c、1
    2)の外部側を流れる外部流体の通路を構成するととも
    に、 前記突出部(14)が前記外部流体の流れの直進を妨げ
    て乱れを起こさせる乱れ発生器として作用するようにな
    っており、 さらに、前記複数の突出部(14)相互の間隔である突
    出部ピッチ(P1 )を2〜20mmとしたことを特徴と
    する熱交換器。
  2. 【請求項2】 伝熱プレート(12a〜12c、12)
    に内部流体の流れる内部流体通路(19、20)を構成
    する複数の突出部(14)を形成し、 前記伝熱プレート(12)を複数枚積層配置して熱交換
    用コア部(11)を構成し、 前記伝熱プレート(12)の外部側を流れる外部流体が
    前記内部流体の流れ方向と交差する方向に流れるように
    し、 前記突出部(14)が前記外部流体の流れの直進を妨げ
    て乱れを起こさせる乱れ発生器として作用するようにな
    っており、 さらに、前記複数の突出部(14)相互の間隔である突
    出部ピッチ(P1 )を2〜20mmとしたことを特徴と
    する熱交換器。
  3. 【請求項3】 前記内部流体通路(19、20)相互の
    間隔である通路ピッチ(P2 )を1.4〜3.9mmと
    したことを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換
    器。
  4. 【請求項4】 前記突出部ピッチ(P1 )=10〜20
    mmとし、前記通路ピッチ(P2 )=1.4〜2.3m
    mとしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
    1つに記載の熱交換器。
  5. 【請求項5】 前記隙間を、0.7〜1.95mmとし
    たことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
  6. 【請求項6】 前記複数枚の伝熱プレート(12a〜1
    2c、12)を接合することにより、前記突出部(1
    4)の内側に前記内部流体通路(19、20)を構成す
    ることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに
    記載の熱交換器。
  7. 【請求項7】 前記伝熱プレート(12a〜12c、1
    2)の板厚(t)を0.1〜0.35mmとしたことを
    特徴とする請求項6に記載の熱交換器。
  8. 【請求項8】 前記伝熱プレート(12a〜12c、1
    2)に、前記突出部(14)の側面部から突出する小突
    起(14a)を形成し、 前記伝熱プレート(12a〜12c、12)の小突起
    (14a)同志を当接させて、この小突起(14a)同
    志の当接部を接合することを特徴とする請求項6または
    7に記載の熱交換器。
  9. 【請求項9】 前記伝熱プレート(12a〜12c、1
    2)はアルミニウム合金のH材により成形されているこ
    とを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1つに記載
    の熱交換器。
  10. 【請求項10】 前記複数枚の伝熱プレート(12a〜
    12c、12)は、互いに当接して接合される基板部
    (13)を有し、 前記突出部(14)は前記基板部(13)から外方へ突
    出することを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1
    つに記載の熱交換器。
  11. 【請求項11】 前記突出部(14)の凸面頂部が隣接
    する伝熱プレート(12a〜12c、12)の基板部
    (13)により構成される凹面部に位置して、前記突出
    部(14)の凸面頂部が前記隣接する伝熱プレート(1
    2a〜12c、12)の凹面部に対して所定間隔で対向
    することを特徴とする請求項10に記載の熱交換器。
  12. 【請求項12】 前記伝熱プレート(12a〜12c、
    12)は2枚1組として、それぞれの突出部(14)が
    互いに外側に向くようにして、前記2枚の伝熱プレート
    (12a〜12c、12)の基板部(13)同志を当接
    させて接合することにより、前記内部流体通路(19、
    20)が一方の伝熱プレート(12a〜12c、12)
    の突出部(14)の内側面と他方の伝熱プレート(12
    a〜12c、12)の基板部(13)との間に構成され
    るようにしたことを特徴とする請求項10または11に
    記載の熱交換器。
  13. 【請求項13】 前記内部流体通路(19、20)を構
    成する前記2枚1組の伝熱プレート(12a〜12c、
    12)を、複数組積層して接合することを特徴とする請
    求項12に記載の熱交換器。
  14. 【請求項14】 前記伝熱プレート(12a〜12c、
    12)のうち、前記内部流体の流れ方向の両端部に、連
    通穴(15a〜18a)を有するタンク部(15〜1
    8)を形成し、 前記複数組の伝熱プレート(12a〜12c、12)に
    形成される前記内部流体通路(19、20)相互の間を
    前記タンク部(15〜18)により連結することを特徴
    とする請求項13に記載の熱交換器。
  15. 【請求項15】 前記内部流体通路(19、20)は、
    前記伝熱プレート(12a〜12c、12)の前記外部
    流体の流れ方向(A)の前後に2つ独立に形成され、 前記タンク部(15〜18)は、前記2つの独立した内
    部流体通路(19、20)にそれぞれ対応して、前記伝
    熱プレート(12a〜12c、12)の両端部に2個づ
    つ形成されていることを特徴とする請求項14に記載の
    熱交換器。
  16. 【請求項16】 前記伝熱プレート(12a〜12c、
    12)のうち、前記内部流体の流れ方向の一端部のみ
    に、連通穴(16a、18a)を有するタンク部(1
    6、18)を前記外部流体の流れ方向の前後に2つ独立
    に形成し、 前記複数組の伝熱プレート(12a〜12c、12)に
    形成される前記内部流体通路(19、20)相互の間を
    前記タンク部(15〜18)により連結するとともに、 前記伝熱プレート(12a〜12c、12)のうち、前
    記内部流体の流れ方向の他端部において、前記内部流体
    の流れをUターンさせるUターン部(D)を形成したこ
    とを特徴とする請求項13に記載の熱交換器。
  17. 【請求項17】 前記伝熱プレート(12a〜12c、
    12)の複数組の積層形状を、直方体状から外部へ突出
    した伝熱拡大部(11′)を有する形状としたことを特
    徴とする請求項13ないし16のいずれか1つに記載の
    熱交換器。
  18. 【請求項18】 前記突出部(14)は、前記伝熱プレ
    ート(12a〜12c、12)の外部側を流れる外部流
    体の流れ方向(A)に対して交差する方向に連続して延
    びるように形成されていることを特徴とする請求項1な
    いし17のいずれか1つに記載の熱交換器。
  19. 【請求項19】 前記突出部(14)は、前記外部流体
    の直進を妨げるように配置された多数の独立した細長の
    突出形状からなることを特徴とする請求項1ないし17
    のいずれか1つに記載の熱交換器。
  20. 【請求項20】 前記細長の突出部(14)は、前記外
    部流体の流れ方向に対して斜めに交差するように配置さ
    れていることを特徴とする請求項19に記載の熱交換
    器。
  21. 【請求項21】 前記細長の突出部(14)は、前記外
    部流体の流れ方向に対して直交状に配置されていること
    を特徴とする請求項19に記載の熱交換器。
  22. 【請求項22】 前記細長の突出部(14)は、前記外
    部流体の流れ方向に対して直交状に配置されたものと、
    前記外部流体の流れ方向に対して平行に配置されたもの
    との組み合わせからなることを特徴とする請求項19に
    記載の熱交換器。
  23. 【請求項23】 前記伝熱プレート(12)内の穴形状
    により前記内部流体通路(19、20)を構成すること
    を特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の
    熱交換器。
  24. 【請求項24】 前記伝熱プレート(12)を複数枚積
    層配置するとともに、前記複数枚の伝熱プレート(1
    2)の両端部に、前記伝熱プレート(12)と別体で成
    形したタンク部材(33、34、46、47)を配置
    し、 前記複数枚の伝熱プレート(12)の前記内部流体通路
    (19、20)相互の間を前記タンク部材(33、3
    4、46、47)により連結することを特徴とする請求
    項23に記載の熱交換器。
  25. 【請求項25】 前記複数枚の伝熱プレート(12)相
    互の間隔を、前記伝熱プレート(12)と別体で成形し
    たスペーサ部材(32)により保持することを特徴とす
    る請求項24に記載の熱交換器。
  26. 【請求項26】 前記複数枚の伝熱プレート(12)相
    互を所定の間隔で一体の連結部(40、41)により連
    結することを特徴とする請求項24に記載の熱交換器。
  27. 【請求項27】 前記突出部(14)、および前記穴形
    状からなる内部流体通路(19、20)を有する前記伝
    熱プレート(12)をアルミニウム材の押し出し加工に
    より成形したことを特徴とする請求項23ないし26の
    いずれか1つに記載の熱交換器。
  28. 【請求項28】 請求項1ないし27のいずれか1つに
    記載の熱交換器からなり、前記内部流体通路(19、2
    0)の内部流体として冷凍サイクルの冷媒が流れ、前記
    外部流体として空調用の空気が流れることを特徴とする
    空調用蒸発器。
  29. 【請求項29】 請求項1ないし3のいずれか1つに記
    載の熱交換器からなり、前記内部流体通路(19、2
    0)の内部流体として冷凍サイクルの冷媒が流れ、前記
    外部流体として空調用の空気が流れる空調用蒸発器であ
    って、前記複数の突出部(14)相互の間隔である突出
    部ピッチ(P1 )を2〜15mmとしたこことを特徴と
    する空調用蒸発器。
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