JP2000512873A - 患者の体内に挿入され検出される医療用チューブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 患者の体内に挿入するための医療チューブが開示される。医療チューブは、患者の体内に挿入するのに適したチューブまたはデバイス、およびそれに結合された永久磁石を有する。磁石は、中実または非中実であり得、剛性または非剛性であり得る。１つの実施態様において、磁石は、中空であり、医療チューブが目的のために使用される得るように医療チューブに結合されている。他の実施態様において、磁石は中実であり、患者の体内に挿入された後、医療チューブの目的の使用を干渉しないように移動される。他の実施態様において、医療チューブを配置した後、磁石は除去可能である。

Description

【発明の詳細な説明】 患者の体内に挿入され検出される 医療用チューブ技術分野 本発明は、一般に、患者の体内に挿入され検出される医療用チューブに関する 。発明の背景 臨床医学においては、患者内の医療用チューブの位置を検出することが重要と なる多くの場合がある。例えば、患者の口または鼻を通して供給チューブを配置 するとき、供給チューブの端部が患者の胃まで到達していること、および供給チ ューブが「巻き上がる」ことなく食道内に維持されていることが重要である。例 えば、供給チューブの端部が、胃ではなく、気管内に誤って配置される場合は、 供給溶液が患者の肺に吸入される事態が生じ得る。 供給チューブに加えて、他の様々な医療用チューブは、患者の体内で正確に配 置される必要がある。これらのチューブとしては、食道の狭窄を広げる拡張チュ ーブ、食道運動不全の疑いのある患者の胃および食道内の圧力波を測定するため のチューブ、食道の拡張蛇行静脈からの出血を抑制するための患者の胃および食 道内のセングステークン−ブレークモアチューブ、結腸のガスによる膨満を和ら げる補助とするための患者の結腸内の結腸減圧チューブ、患者の膀胱、尿管また は腎臓内の泌尿器科用チューブ、および患者の心臓または肺動脈内の血管チュー ブが含まれる。実際において、先端が患者の体内に（口、肛門、尿道などを介し て）、または体内の任意の２つの構造物の間に挿入される任意のカテーテル（ス テントなど）は、一般に正確な配置が必要とされる。 現在では、患者の体内の医療用チューブの位置は、通常、胸部または腹部Ｘ線 写真などのイメージング装置を用いることによって検出される。しかし、このよ うな手順は、患者をＸ線施設まで搬送するか、または反対にＸ線装置を患者まで 搬送する必要がある。これは患者にとって不便であると共に費用がかかり、特に 、 供給チューブなどの医療用チューブを患者が何度も不注意に取り外し、このため 再挿入およびＸ線撮影を何度も必要とする場合には緊張が高まる。Ｘ線撮影の指 導にもかなりの時間がかかり、このため、患者がチューブを引っ張って入れると き、または介護人がチューブを再配置するとき、チューブを何度も再配置するこ とが不都合になる。 最近では、Goldenらの米国特許第5,425,382号が、患者の体内の医療用チュー ブの位置を検出する検出装置を開示している。この検出装置は、医療用チューブ に結合した磁石によって生成される静磁場強度勾配を感知し、勾配の値および大 きさをユーザに示す。このような検出装置を使用することによって、医療用チュ ーブの配置の迅速な検出および検証が可能となり、医療用チューブの配置をＸ線 により確認する必要がない。 この分野での進歩にも拘わらず、当該分野では、適切な検出装置によって検出 され得る、さらなるおよび／または改良された医療用チューブの必要性が依然と して存在する。本発明はこの必要性を満たし、さらに関連する利点を提供する。発明の要旨 簡単に述べれば、本発明は、適切な検出装置によって患者の体内で検出および 配置され得る医療用チューブを開示する。本発明の医療用チューブは、患者の体 内に挿入するのに適したチューブまたは装置を備え、これに結合する永久磁石を 含む。磁石は中実または非中実（例えば、中空）の磁石であり得、さらに剛性ま たは非剛性（例えば、展性）の磁石であり得る。好適な実施形態では、磁石は、 チューブに永久に結合するか、または取り外し可能に結合する。 本発明の１つの実施形態では、医療用チューブは、患者の体内への挿入に適し たチューブまたは装置と、医療用チューブに結合される中空の永久磁石とを備え ているように開示されている。中空の磁石は、医療用チューブの外表面または内 表面に結合されるてもよく、あるいは医療用チューブ自体と一体形成されてもよ い。 別の実施形態では、医療用チューブは、患者の体内への挿入に適したチューブ または装置と、医療用チューブに結合される永久磁石とを備えているように開示 されている。ここで、磁石は第１の位置で医療用チューブに結合される。患者の 体内に挿入されると、磁石は、医療用チューブの意図された使用に干渉しない第 ２の位置に移動され得る。 さらに別の実施形態では、医療用チューブは、患者の体内への挿入に適したチ ューブまたは装置と、医療用チューブに結合される永久磁石とを備えているよう に開示されている。ここで、磁石は、医療用チューブの外表面に結合される。 さらに別の実施形態では、医療用チューブは、患者の体内への挿入に適したチ ューブまたは装置を備え、さらに、医療用チューブに結合される永久磁石と感知 素子または装置とを含むように開示されている。 本発明のこれらのおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を参 照すれば、よりよく理解される。図面の簡単な説明 図１Ａ〜図１Ｆは、本発明の医療用チューブに結合され得る代表的な磁石を示 す。 図２Ａ〜図２Ｄは、中空磁石を医療用チューブに結合する代表的な構成を示す 。 図３Ａおよび図３Ｂは、医療用チューブの内表面（図３Ａ）および外表面（図 ３Ｂ）に結合される磁石を示す。 図４Ａ〜図４Ｃは、結合される磁石を有する医療用チューブを示し、ここで、 磁石は、医療用チューブを患者の体内に挿入した後、非干渉の位置に移動され得 る。 図５Ａおよび図５Ｂは、磁石が、医療用チューブを患者の体内に挿入した後、 非干渉の位置に移動され得る別の実施態様を示す。 図６Ａおよび図６Ｂは、磁石を有する医療用チューブを示し、磁石は医療用チ ューブの外表面（図６Ａ）および医療用チューブの遠位端（図６Ｂ）に結合され る。 図７Ａおよび図７Ｂは、医療用チューブを示し、医療用チューブは、これに結 合される磁石および生検ポートを有する。図７Ｃは、医療用チューブを示し、医 療用チューブはこれに結合される磁石、および磁石に隣接して配置された感知素 子または装置を有する。 図８Ａおよび図８Ｂは、本発明の医療用チューブに結合される磁石の静磁場強 度を示す。詳しくは、感知された双極子の方向（すなわち極性）は磁石の方位に 依存する。図８Ａは、近位端を指す磁石双極子を示し、図８Ｂは遠位端を指す磁 石双極子を示す。 図９Ａおよび図９Ｂは、本発明の医療用チューブの位置および方位の、適切な 検出装置による検出を示す。 図１０は、本発明の代表的な医療用チューブを示し、ここでは医療用チューブ は、遠位端から一定の距離で結合された磁石を有する気管チューブである。発明の詳細な説明 上述のように、本発明は、患者の体内に挿入され体内で検出される医療用チュ ーブに関する。本明細書で用いられる用語「医療用チューブ」は、カテーテル、 ガイドワイヤ、ステント、シャントおよび医療用器具を含む（がこれらに限定さ れない）、患者の体内に挿入され得るすべてのタイプのチューブまたは装置を意 味する。本明細書で用いられる「カテーテル」は、供給チューブ、尿カテーテル および拡張カテーテル、ならびに鼻腔チューブ、気管内チューブ、胃ポンプチュ ーブ、創傷ドレインチューブ、直腸チューブ、血管チューブ、セングステークン −ブレークモアチューブ、結腸減圧チューブ、ｐＨカテーテル、血液−ガスセン サ、圧力チューブ、イメージ捕捉チューブ、運動カテーテル、および泌尿器科用 チューブなどの物品（item）を含む。「ガイドワイヤ」は、多くの場合、患者の 体内で拡張器または他の医療用チューブを誘導または配置するために使用され、 本発明の医療用チューブと見なされる。「医療用器具」は、内視鏡および結腸鏡 、ならびに映像および超音波イメージング装置などのイメージング装置を含み、 この用語が本明細書で用いられる場合は医療用チューブと見なされる。要するに 、本発明で使用される場合は、医療用チューブという用語は、医療用、診断用お よび／または治療用を含む（がこれらに限定されない）任意の目的のために患者 の体内に挿入され得る任意の異物体を包含することが意図される。 患者の体内に挿入されると、医療用チューブは、適切な検出装置によって検出 される。本発明の実施において、好適な検出装置として、Goldenらの米国特許第 5,425,382号、および１９９５年３月２３日に国際公開第WO 95/08130号として公 開された国際特許出願第PCT/US94/10417号に開示されているものがある（これら の書類は本明細書において全体が参考として援用され、これらはまとめて「Gold enらの検出装置」と呼ぶ）。Goldenらの検出装置は、医療用チューブに結合され る永久磁石によって生成される静磁場強度勾配を感知することによって、医療用 チューブの位置および方位の両方を検出する。本明細書で用いられる用語「結合 される」は、医療用チューブに永久に接着されるか、取り外し可能に取り付けら れるか、または極めて近接した位置に配置されるかのいずれかを意味する。 １つの実施形態、例えば供給チューブでは、磁石は医療用チューブの遠位端に 結合され得る。他の実施形態では、磁石は、医療用チューブの近位端と遠位端と の間の位置で医療用チューブに結合され得る。例えば、セングステークン−ブレ ークモアチューブの場合には、磁石は、胃バルーンより上でかつ食道バルーンよ り下の位置で医療用チューブに結合され得る。気管内または経鼻チューブの場合 には、磁石は、チューブの遠位端から特定の距離に配置され得る。これについて は後に詳述する。 本発明の磁石は永久磁石であるため、電源は必要としない。従って、磁石はそ の磁場を無期限に維持し、これにより内部または外部電源に関連する欠点が生じ ることなく、医療用チューブの長期にわたる配置および検出が可能になる。特に 、電源の使用を回避することによって、電源を使用する場合に必要とされる望ま しくない電気接続が回避される。従って、磁石による患者への衝撃（または感電 死の可能性）が生じる危険がない。さらに、磁石の静磁場は減衰されずに体の組 織および骨を通る。この特性により、患者の体内のいかなる位置でも医療用チュ ーブの検出が可能となる。 上述のように、磁石（従って医療用チューブ）は任意の適切な検出装置を用い て検出され得る。好適な実施形態では、検出装置はGoldenらの検出装置である。 この検出装置は、周囲の均質な磁場（例えば、地球の磁場）を検出しない（ゼロ として検出する）が、医療用チューブに結合される磁石によって生じる磁場強度 勾配は検出するように幾何学的に構成された２つの静磁場強度センサを含む。検 出装置は能動的な電子器具であり、数センチメートルから数デシメートルまでの 範囲、好ましくは約２センチメートルから約３デシメートルの範囲の距離に位置 する磁石によって生じる比較的小さい磁場強度勾配を検出することができる。こ の検出装置はまた、勾配の値を示し、これによってユーザは、磁石、従って医療 用チューブの位置および方位を正確に決定することができる。好適な実施形態で は、検出装置は、勾配の値を大きさおよび極性の両方として示す。 Goldenらの検出装置は磁石の磁場強度勾配に対して感応性であるため、挿入後 医療用チューブの位置を確認するために、イメージング装置をさらに配備する必 要はない。従って、本発明の医療用チューブは、このようなイメージング装置が ない環境で使用するのに適している。例えば、療養所ではＸ線装置を備えている ことはほとんどなく、本発明の医療用チューブはこのような施設での使用に特に 適している。他の有用な設定としては、医療用チューブを迅速に挿入して即座に 使用する必要がある場合が多い救急治療室がある。さらに、本発明の医療用チュ ーブを使用することにより、蛍光透視中のＸ線曝露が減少し得る。もしくは、医 療用チューブの最初の配置をＸ線で検証した後は、その後の位置は検出装置を用 いて検証され得るため、引き続いてＸ線を用いて位置の確認を行わなくても済む 。 上述のように、Goldenらの検出装置は、医療用チューブに結合される磁石の位 置および方位の両方を検出する。言い換えれば、この検出装置は、磁石の双極子 の方向をユーザに示す。従って、磁石を医療用チューブに一定の既知の方位で結 合することによって、磁石（従って医療用チューブ）の方位が決定され得る。好 適な実施形態では、磁石は、その双極子が医療用チューブの長軸（すなわち、医 療用チューブの近位端から遠位端まで延びる軸）に平行であるように、医療用チ ューブに結合される。もっと好適な実施形態では、磁石は、医療用チューブの長 軸に平行であり、且つ近位端を指す（すなわち、磁石の北極は、南極よりも、医 療用チューブの近位端に近い）。 さらに、Goldenらの検出装置により磁石を検出する場合は、差分信号の値の極 性（すなわち、正または負）は、感知された磁石の方位に依存する。図８Ａおよ び図８Ｂに示すように、近位端（８５３）と遠位端（８５４）とを有する医療用 チューブ（８５０）は、チューブの遠位端に結合される磁石（８５１）を有する 。 ライン（８５７）は、磁石によって生成される静磁場を表し、この方向は、磁石 が、矢印（８５９）によって表されるその双極子が、チューブの長軸に平行に近 位端の方向（図８Ａ）を指すようにチューブに結合されるか、または遠位端の方 向（図８Ｂ）を指すようにチューブに結合されるかによって決まる。 差分信号の値が磁石の方向を示すため、磁石の双極子は、一定で既知の方位で 医療用チューブに結合される。さらに、検出装置は、磁石（従って医療用チュー ブ）の方位がユーザに適切に表示されるように較正される。本発明の医療用チュ ーブは、好ましくは、図８Ａに示されるように、すなわち、磁石の双極子が医療 用チューブの長軸に平行に近位端の方向を指すように接着する磁石を有する。こ の方位を維持することによって、Goldenらの検出装置は磁石の方位（本好適な実 施形態では、磁性双極子の方向から１８０度）を示し得る。この特徴は様々な設 定で有用である。例えば、供給チューブの端部に配置される場合は、Goldenらの 検出装置は、供給チューブの遠位端が患者の足の方向を指しているか患者の頭の 方向を指しているかをユーザに示す。患者の頭の方向を指している場合は、これ はチューブが不適切に挿入されていることを示す。同様に、ガイドワイヤなどの 医療用チューブの場合には、ユーザは、ガイドワイヤがどっちの方向に進んでい るかを決定して、例えば、ガイドワイヤが所望の動脈に入り所望の方向に進んで いることを確認することができる。 本発明のこの局面をさらに、図９Ａおよび図９Ｂを参照して示す。図９Ａは、 供給チューブ（９８０）を、医療用チューブの遠位端に結合された永久磁石（９ ８２）と共に示し、磁石の磁性双極子は医療用チューブの近位端の方向を指す。 患者の胃に挿入された後、検出装置（９８４）は磁石の位置を検出し、視覚ディ スプレイ（９８７）の矢印（９８６）によって示されるように、磁石の方位、従 って医療用チューブの遠位端の方位をユーザに適切に示す。例えば、図９Ｂに示 すように、供給チューブ（９８０）が食道内で「巻き上がって」いる場合は、検 出装置（９８４）の視覚ディスプレイ（９８７）の矢印（９８６）は、医療用チ ューブの遠位端が患者の頭の方向を指していること、従って供給チューブは患者 内で正しく配置されていないことを示す。 本発明の磁石は、一般には、比較的小さい希土類の磁石である。適切な磁石と しては、サマリウムコバルトおよびネオジム鉄ホウ素などの希土類磁石があり、 これらは共に高い単位体積当たり磁場強度を生じる。サイズに対して高い磁場強 度を生じる磁石が好適であるが、アルニコ（Alnico）またはセラミックなどのも っと弱い磁石もまた利用され得る。さらに詳しく後述するように、本発明の磁石 は中実（solid）または非中実（non-solid）の磁石であり得、さらに剛性（rigi d）または非剛性（non-rigid）の磁石であり得る。非剛性の磁石としては（制限 はされないが）、磁性粒子の懸濁物、および磁性材料の展性な形態（パテなど） を含む。 １つの実施形態では、磁石は、内部チャンバーを有する非剛性で中空の磁石で ある。本発明の実施において使用するのに適した中空磁石の代表的な実施形態を 図１に示す。図１Ａには、内部チャンバー（１１０）を有する中空円筒形磁石（ １１０）が示されている。同様に、図１Ｂ、図１Ｃ、図１Ｄおよび図１Ｅはそれ ぞれ、内部チャンバー（１００）を有する中空楕円形(ellopsoid)磁石（１１１ ）、中空方形磁石（１１２）、中空プリズム形磁石（１１３）および中空多面形 磁石（１１４）を示す。図１Ａ〜図１Ｅに示す代表的な各中空磁石は、典型的に は、約０．７５ｍｍから約１２ｍｍの範囲、好ましくは１．５ｍｍから６ｍｍの 範囲の長さを有する。 もしくは、中空磁石の長さを比較的短くして、薄い磁石を形成してもよい。例 えば、図１Ａの中空円筒形磁石は、図１Ｆに示すような中空トーラスまたはリン グ磁石（１１５）の形状で、内部チャンバー（１００）を有するようにしてもよ い。他の形状もまた同様に用いられ得る。この実施形態では、中空リング磁石は 、典型的には約０．１ｍｍから約５ｍｍの範囲の長さまたは厚さを有し得る。 本発明の実施においては、単一の磁石または多数の磁石が単一の医療用チュー ブに結合され得る。例えば、図１Ｆに示す中空リング磁石などの薄い磁石の場合 には、複数の中空リング磁石が医療用チューブに結合され得る。 本発明の１つの実施形態では、中空磁石は、材料、光、データなどが磁石の内 部チャンバーを通過し得るように医療用チューブに結合される。これは、例えば 、図２に示すように中空磁石を医療用チューブに結合することによって実現され 得る。図２Ａを参照すると、中空磁石（２２０）は、磁石を医療用チューブの外 周 部（２２１）のまわりに配置することによって、医療用チューブ（２２２）に結 合され得る。もしくは、中空磁石（２２０）は、図２Ｂに示すように、医療用チ ューブ（２２２）の内周部（２２３）に結合され得るか、または中空磁石（２２ ０）は、図２Ｃおよび図２Ｄに示すように、医療用チューブ（２２２）と一体形 成され得る。 中空磁石は、医療用チューブに接着されることによって、医療用チューブに結 合され得るか、または、例えば、磁石を適切な磁石チャンバーまたは領域内に配 置することによって、医療用チューブの特定位置に閉じこめられ得る。例えば、 図３Ａに示すように、中空磁石（３３０）は、内表面（３３６）ならびに内側に 突出するリブ（３３５）および（３３７）によって規定される医療用チューブ（ ３３３）の内部領域内に配置され得る。もしくは、図３Ｂに示すように、中空磁 石（３３０）は、外表面（３３１）ならびに外側に突出するリブ（３３８）およ び（３３９）によって規定される医療用チューブ（３３３）の外部領域に閉じこ められ得る。この実施形態では、磁石の長さ、および図３Ａの場合はその外径、 または図３Ｂの場合はその内径は、磁石が突出リブ間で医療用チューブに結合さ れた状態が維持されるような大きさとされる。 しかし、磁石を医療用チューブに結合させるためには、様々な方法が用いられ 得ることは認識されるべきである。このような方法としては（限定はされないが ）、適切な接着剤および／またはテープを使用すること、ならびに磁石がチュー ブ自体と一体となるように医療用チューブの製造時に磁石を組み込むことがある 。 上記の実施形態では、中空磁石は好ましくは剛性の磁石であり、内部チャンバ ーは、医療用チューブがその意図された機能を実行するために使用され得るよう な適切な大きさにされる。例えば、供給チューブの場合には、内部チャンバーは 、食物、および他の固形状、液状および／または気体状物質が、供給チューブの 内部を通り、磁石の内部チャンバーを通って、遠位端またはその近くで医療用チ ューブから退出し得るのに十分な体積を有する。他のアプリケーションでは、内 部チャンバーは、医療用チューブの意図された目的に適した大きさとされ得る。 これには、例えば、光、映像イメージ、超音波エネルギーなどが医療用チューブ を 通過するのが可能な大きさが挙げられる。例えば、円筒形内部チャンバーを有す る中空円筒形磁石の場合は、内部チャンバーの直径は、典型的には、約０．５ｍ ｍから約３ｍｍの範囲であり得る。 本発明の別の局面では、磁石は中実の磁石であり得る。この実施形態では、磁 石は医療用チューブに第１の位置で結合し、この位置では、医療用チューブの意 図された使用が妨害または干渉される。磁石は、挿入後第２の位置に移動または 移動され得る。磁石の第２の位置は、磁石が医療用チューブの意図された使用を 妨害または干渉しないような位置である。 この実施形態では、磁石は医療用チューブの内部チャネル内に結合され得る。 患者の体内に医療用チューブを配置した後、磁石は、適切な移動装置を用いて非 干渉位置へと移動され得る。例えば、図４Ａに示すように、磁石（４０１）は、 医療用チューブ（４１０）の内部チャネル（４０３）内に位置する。磁石に隣接 しこれに接触して、変形され易い柔軟な材料（４１５）が配置される。膨張ルー メン（４１８）を有する膨張可能チャンバー（４１３）が、医療用チューブの内 壁（４１２）と磁石との間に位置し、チャンバーが膨張されると、図４Ｂに示す ように磁石を移動させる。図４Ｂを参照して、磁石（４０１）は柔軟な材料（４ １５）を押しつけ、これにより、医療用チューブを横断する軸に沿って磁石が移 動され得る。膨張可能チャンバー（４１３）は内部チャンバー（４１９）を有し 、膨張可能チャンバーが膨張すると、内部チャンバーにより、チューブは意図さ れたように使用され得る。 磁石（４０１）または膨張可能チャンバー（４１３）の移動を防ぐために、医 療用チューブの内壁（４１２）は、図４Ｃに示すように、医療用チューブの内壁 （４１２）から内側に突出するリブ（４２０）および（４２１）を有し得る。図 ４Ａを参照して、膨張ルーメン（４１８）は、膨張可能チャンバー（４１３）か ら医療用チューブの近位端まで延びる。チャンバーを膨張させるためには、ユー ザは、例えば、適切な気体または液体を膨張ルーメンに注入し、これにより膨張 可能チャンバーを膨張させて、図４Ｂに示すように磁石を移動させる。 図４では、磁石は剛性の磁石として示されている。別の実施形態では、磁石が 、例えば、膨張可能チャンバーの膨張によって生じる変形によって非干渉位置に 移 動されるように、磁石は非剛性の磁石であり得る。 さらに別の実施形態では、磁石は、患者の体内への挿入後、医療用チューブの 内部チャネルがチューブの意図された使用を可能にするために開口されるように 、移動されるように、医療用チューブに結合され得る。この実施形態では、磁石 は、例えば、医療用チューブに取り付けられるチャンバー内に磁石を配置するこ とによって、医療用チューブに結合され得る。図５Ａに示すように、チャンバー （５０１）は磁石（５０３）を含み、コンタクト部（５０５）に沿って医療用チ ューブ（５１０）に取り付けられる。患者の体内に挿入するためには、図５Ａに 示すように、医療用チューブとチャンバーとが合わさってほぼ医療用チューブの 直径となる。これは、例えば、チャンバー（５０１）と医療用チューブ（５１０ ）との間のコンタクトライン（５０７）に沿って適切な仮接着剤を用いることに よって実現され得る。患者内の所望の位置への挿入後、図５Ｂに示すように、チ ャンバー（５０１）内の磁石（５０３）は、医療用チューブ（５１０）の内部チ ャンバー（５０６）が狭窄されず、従って医療用チューブがその意図された目的 のために使用され得るような位置に移動され得る。 本発明の別の局面では、医療用チューブは、医療用チューブの外表面に結合さ れた磁石を有するように開示される。図６Ａに示すように、磁石（６０１）は医 療用チューブ（６０４）の外表面（６０６）に結合される。外表面は、図６Ａに 示すように医療用チューブの長さに沿って位置してもよく、または図６Ｂに示す ように遠位端に位置してもよい。この実施形態では、磁石は剛性かまたは非剛性 の磁石であり、任意の適切な方法で磁石に結合され得る。１つの実施形態では、 磁石は非剛性であり、医療用チューブに結合される適切な包囲体内に含まれる。 医療用チューブの遠位端に位置するときは、磁石は柔軟な先端部の形状であり得 る。 さらに別の実施形態では、医療用チューブは生検チューブであり得、ここで、 磁石はチューブの生検ポートとは離れた位置で生検チューブに結合される。この ような医療用チューブを図７Ａおよび図７Ｂに示す。図７Ａを参照して、医療用 チューブ（７０１）は一体に結合された磁石（７０３）を有し、磁石と医療用チ ューブの近位端（７０７）との間に位置する生検ポート（７０５）を有する。別 の実施形態では、図７Ｂに示すように、医療用チューブ（７０１）は、医療用チ ューブの遠位端（７０９）に結合する磁石（７０３）と、医療用チューブの遠位 端と近位端（７０７）との間に位置する生検ポート（７０５）を有する。 本発明の別の局面では、医療用チューブは、医療用チューブに結合される磁石 を有し、さらに感知素子または装置を備えているように開示されている。本発明 の実施において使用されるのに適切な感知素子および装置は、圧力、濃度、ｐＨ 、温度、色などを含む様々な環境パラメータのうちの１つ以上を感知するもので あり、映像または静止イメージ、光、超音波エネルギーなどを受信および／また は送信するための適切な装置をさらに含む。この実施形態では、感知素子または 装置からの情報は、適切な導管またはワイヤによってチューブの近位端に搬送さ れ得る。磁石は、好ましくは、感知素子または装置に隣接して配置される。代表 的な実施形態を図７Ｃに示す。ここでは、医療用チューブ（７０１）は、医療用 チューブに結合し感知素子または装置（７０２）に隣接する磁石（７０３）を有 する。感知素子または装置は、適切なワイヤ（単数または複数）（７０６）によ り、医療用チューブの近位端（７０７）に接続される。 上述のように、本発明の実施においては、磁石は中実または非中実で、剛性ま たは非剛性の磁石であり得る。剛性な磁石（中実および非中実）は、Dexter Cor p．(Fremont，CA)を含む様々な供給元から入手可能である。非剛性の磁石（中実 および非中実）は、一般に、懸濁液またはスラリー内にもしくはもっと固形状で あるが展性な物質内に含まれる複数の磁石粒子よりなる。適切な懸濁液またはス ラリーとしては（限定はされないが）、オイル、水、グリセリン、アルコール、 流体ポリマーなどの流体内の磁性粒子が含まれる。もっと固形状であるが展性な 磁石としては、パテ、ポリマー、シリコン、粘性の高い液体などに含まれる磁性 粒子がある。適切なポリマーとしては、室温で固形であるが体温では展性になる ポリマーが含まれる。 本発明の実施においては、非剛性の磁石は、典型的には、適切な包囲体内に閉 じこめられる。懸濁液またはスラリーの場合には、このような磁石は、懸濁液ま たはスラリーが医療用チューブから漏れるかまたは逃げることがないように適切 な包囲体内で医療用チューブに結合される。パテなどのもっと粘性のある非剛性 磁石は漏れ易いが、この場合も適切な包囲体を用い得る。さらに、例えば供給チ ューブの場合には、このような磁石は、所定の時間の経過後、医療用チューブか ら分離され得、そして、患者の大便内に排出され得る。 本発明のさらに代表的な実施形態を示すために、図１０に気管チューブを示す 。この実施形態では、気管チューブは、遠位端から一定の距離で結合される磁石 を有する。一定の距離とは、気管チューブが患者の気管内に適切に配置されると き、磁石は、患者の輪状甲状膜(cricothyroid membrane)の直下に（またはこれ に極めて近接する位置に）配置されるような距離である。 気管チューブは、典型的には、呼吸を補助するために口から挿入されるプラス チック製の医療用チューブ（すなわち気管内チューブ）である。鼻から挿入され るときは、経鼻チューブと呼ばれる。本明細書で用いられる気管チューブという 用語は、気管内チューブと経鼻チューブの両方を包含する。気管チューブの配置 は、特に挿入の深さに関する場合は、困難であり得る。気管チューブは、両方の 肺への明確な通気パス(ventilation path)を提供しなければならない。挿入が深 すぎる場合、気管チューブは空気流を一方の肺のみに流出入させ得るか、または 中心支流(mainstem branch)の一方への通気を妨害することもあり得る。 図１０を参照して、気管チューブ（１００１）は、遠位端（１００７）から一 定距離「Ｘ」の位置で外表面（１００４）に結合される磁石（１００３）を有す る。気管チューブは、空気が気管チューブを通ることを可能にする内部チャンバ ー（１００９）を有する。距離「Ｘ」は、気管チューブが患者に適切に挿入され ると、磁石が患者の輪状甲状膜の直下に（またはこれに極めて近接する位置に） 位置するような距離とされる。正常な大人では、距離「Ｘ」は約４ｃｍから約６ ｃｍの範囲であり得、典型的には約５ｃｍである。 輪状甲状膜は、甲状軟骨と輪状軟骨との間に位置する組織部分である。この膜 は、典型的には、大人の皮膚の表面下１ｃｍから１．５ｃｍにある。皮膚からの 深さが患者間で高程度の一貫性があること、および輪状甲状膜は患者の皮膚表面 の外部から識別可能な目印に対して容易に位置決めされ得ることにより、磁石を この位置で検出することは特に有利である。この実施形態では、磁石は、好まし くは、気管チューブの前方側に配置され、これにより、患者の気管に適切に挿入 されると、磁石は輪状甲状膜の直ぐ後方側に位置する。さらに、磁石の磁石双極 子は気管チューブの長軸に平行であるか、またはこれを横断する方向であり得る 。 上記により、本明細書では例示のために本発明の特定の実施形態について記載 したが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく様々な変更がなされ得るこ とは理解される。従って、本発明は添付の請求の範囲による以外は限定されない 。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，Ｓ Ｄ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ ，ＡＵ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ， ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，Ｇ Ｂ，ＧＥ，ＧＨ，ＨＵ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ， ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，Ｎ Ｏ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ， ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ (72)発明者 シルバーステイン，フレッド イー. アメリカ合衆国 ワシントン 98112，シ アトル，15ティーエイチ アベニュー イ ースト 1246 (72)発明者 ゴールデン，ロバート エヌ. アメリカ合衆国 ワシントン 98033，キ ルクランド，エヌ．イー．66ティーエイチ ストリート 12117

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．患者の体内に挿入するのに適したチューブまたはデバイスと、医療チューブ の外面または該医療チューブと一体的に結合された中空永久磁石とを有する医療 チューブ。 ２．患者の体内での使用を意図した医療チューブであって、患者の体内に挿入す るのに適したチューブまたはデバイスと、該医療チューブに結合され、該医療チ ューブに対して、該意図した使用に干渉する第１の位置から、該患者の体内に挿 入された後、該チューブまたはデバイスの該意図した使用を干渉しない第２の位 置に移動することが可能な永久磁石とを有する、医療チューブ。 ３．前記磁石を前記第１の位置から前記第２の位置に移動させるための手段が設 けられている、請求項２に記載の医療チューブ。 ４．前記移動手段が、前記磁石に結合された膨張可能なチャンバを含み、該膨張 可能なチャンバが膨張したときに、該磁石が、前記第２の位置に移動される、請 求項３に記載の医療チューブ。 ５．前記磁石が、前記医療チューブの可撓性領域に結合され、前記第２の位置に 容易に移動され得る、請求項２〜４のいずれか１つに記載の医療チューブ。 ６．前記磁石が、前記医療チューブに取り付けられた外部チャンバ内にある、請 求項２に記載の医療チューブ。 ７．一時的な接着剤が、前記外部チャンバと前記チューブとの間に設けられてい る、請求項６に記載の医療チューブ。 ８．患者の体内に挿入するのに適したチューブまたはデバイスと、医療チューブ に結合された永久磁石および感知素子またはデバイスとを有する医療チューブ。 ９．前記感知素子またはデバイスが、圧力センサと、濃度センサと、ｐＨセンサ と、温度センサと、光強度センサと、超音波画像センサと、ビデオ画像センサま たは色センサとを有する、請求項８に記載の医療チューブ。 １０．遠位端を有するチューブ部分と、該チューブ部分に結合された磁石とを有 する患者の気管に挿入するための気管チューブであって、該磁石が、該遠位端か ら距離をおいて該チューブ部分に結合され、該チューブ部分が、該患者の該気管 に適切に挿入されるとき、該磁石が、輪状甲状靭帯の直後に配置される、気管チ ューブ。 １１．前記距離が、前記遠位端から約４ｃｍから約６ｃｍの範囲である、請求項 １０に記載の気管チューブ。 １２．前記距離が、前記遠位端から約５ｃｍである、請求項１０に記載の気管チ ューブ。 １３．前記磁石が、前記医療チューブの外面に結合された中実の磁石である、請 求項１０から１２のいずれか１つに記載の気管チューブ。 １４．前記磁石が、中空磁石である、請求項１０から１２のいずれか１つに記載 の気管チューブ。 １５．前記気管チューブが、気管内チューブである、請求項１０から１４のいず れか１つに記載の気管チューブ。 １６．前記気管チューブが、経鼻チューブである、請求項１０から１４のいずれ か１つに記載の気管チューブ。 １７．前記磁石が、前記気管チューブに取り外し可能に結合されている、請求項 １０から１６のいずれか１つに記載の気管チューブ。 １８．前記磁石が、前記チューブ部分に永久的に固定されている、請求項１０か ら１６のいずれか１つに記載の気管チューブ。 １９．前記磁石が、前記チューブ部分に結合され、その磁極が、前記気管チュー ブの長軸と平行である、請求項１０から１８のいずれか１つに記載の気管チュー ブ。 ２０．前記磁石が、前記チューブ部分に結合され、その磁極が、前記気管チュー ブの横軸と平行である、請求項１０から１８のいずれか１つに記載の気管チュー ブ。 ２１．前記チューブ部分が、前方側および後方側を有し、前記磁石が、該チュー ブ部分の該前方側に結合されている、請求項１０から２０のいずれか１つに記載 の気管チューブ。 ２２．検出装置および医療チューブを有する、患者内の医療チューブの位置を検 出するためのシステムであって、該医療チューブが、患者の体内に挿入するのに 適したチューブまたはデバイスと、該医療チューブに結合された永久磁石とを有 し、該医療チューブが、近位端および遠位端を有し、該永久磁石が、単位体積当 たり充分な強度の静磁場を生成して、該医療チューブが該患者の体内に挿入され るときに、該磁石の静磁場の該検出装置による検出を可能にし、該磁石が、所定 の方向で該医療チューブの該遠位端に結合され、磁極が該医療チューブの該近位 端を指し、該医療チューブの長軸と平行になり、該検出装置によって感知される 該磁石の静磁場の極性が、該医療チューブの該遠位端の該患者の体内における方 向を示し、該検出装置が、均質な周囲磁場の検出をゼロの値にするように幾何学 的に構成された少なくとも２つの静磁場強度センサを有する、システム。 ２３．前記磁石が、前記医療チューブに永久的に固定されている、請求項２２に 記載の医療チューブ。 ２４．前記磁石が、前記医療チューブに取り外し可能に取り付けられている、請 求項２２に記載の医療チューブ。 ２５．患者の体内に挿入するのに適したチューブまたはデバイスと、医療チュー ブに結合された永久磁石とを有し、該磁石が、該医療チューブの外面に結合され ている、医療チューブ。 ２６．前記磁石が、前記医療チューブの遠位端の前記外面に結合されている、請 求項２５に記載の医療チューブ。 ２７．前記磁石が、前記医療チューブの長さに沿って前記外面に結合されている 、請求項２５に記載の医療チューブ。 ２８．前記磁石が、非剛性磁石である、請求項２５から２７のいずれか１つに記 載の医療チューブ。 ２９．前記医療チューブが、その長さに沿って開口部を有する、請求項２５から ２８のいずれか１つに記載の医療チューブ。 ３０．前記医療チューブが、シャント、ステント、供給管、尿道カテーテル、拡 張カテーテル、胃管、気管チューブ、胃ポンプ管、排液管、直腸内管、血管チュ ーブ、セングズテークン−ブレークモーア管、結腸減圧管、ｐＨカテーテル、血 液−ガスセンサ、圧力管、画像捕捉機器、運動性カテーテルおよび泌尿器管から 選択される、請求項１から９または２２から２９のいずれか１つに記載のチュー ブ。