JP2000511554A - 細菌の成長阻害 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明はとくに塗装された基体上の細菌の成長を阻害する手段を提供する。前記手段は、殺生物剤を含有する実質的にドライな粉体塗装組成物を形成すること、および前記粉体塗装組成物を塗布して基体上にコーティングを形成することからなり、前記殺生物剤が前記コーティング中で有効な殺生物活性を維持できる方法からなる。

Description

【発明の詳細な説明】 細菌の成長阻害 本発明は細菌の成長阻害、とくには基体（substrate）上での細菌の成長阻害 に関する。 本発明の目的は、塗装組成物を基体に塗布する際に細菌の成長を阻害する方法 を提供することである。 また、本発明の目的は、本発明の方法に用いるための塗装組成物を提供するこ とである。 一面において、本発明は殺生物剤（biocide）を含有する実質的にドライな粉 体塗装組成物を形成すること、および前記粉体塗装組成物を塗布して基体上にコ ーティングを形成することからなり、前記殺生物剤が前記コーティング中で有効 な殺生物活性を維持できる、基体上での細菌の成長を阻害する方法を提供するこ とである。 好ましくは、前記組成物は前記基体に静電気的手段または摩擦帯電手段（trib ocharge means）でスプレーすることによって塗布される。 他面において、本発明は直前の段落に記載された方法に使用するための塗装組 成物を提供することであって、前記組成物は殺生物剤を０．１〜２０重量％含有 し、前記粉体は実質的にドライであり静電気的スプレーまたは摩擦帯電スプレー （tribocharged spraying）によって基体に塗布するために適合させる。好まし くは、前記殺生物剤は０．１〜１０重量％の量で存在する。 本発明はまた、本発明の方法によって製造されるおよび／または本発明のコー ティングからなる塗装された物 品（article）を提供する。 一態様において、本発明は殺生物剤粉体と前記塗装組成物のマトリックスを形 成するための１つの粉体または複数の粉体からなる粉体混合物を提供する。 本態様において、前記殺生物剤は便宜上塗布を容易にするためにマトリックス 粉体と同じ物理的性質を有するであろう。 一方、前記殺生物剤は前記粉体に組み込まれコーティングのマトリックスを形 成してもよい。いずれの方法を用いても前記殺生物剤は粉体組成物中に均一に混 合されていることが望ましい。実際には、この混合をたとえば前記粉体組成物の 製造中に実行してもよい。したがって、１つの好ましい態様において、最終粉体 は微粒子（particulates）を有し、各微粒子は殺生物剤、マトリックス粉体およ び他のいずれかの包含される成分を含有する。各微粒子は前記殺生物剤を含有す るので、前記殺生物剤は前記塗装組成物中に均一に分布して分離できない。この ように、たとえば、前記粉体は目的とするマトリックス粉体に変わるべき構成成 分の最初の混合段階で、前記殺生物剤を添加することによって製造されてもよい 。典型的な粉体製造工程において、目的とする粉体の前駆体、たとえばレジンベ ース（resin base）とその硬化剤を他のいずれかの添加剤とともに混合し、加熱 し、シート形態に押出し成形し、前記シートを顆粒化し、ついで目的とする粉体 サイズに粉砕する。前記構成成分の優れた混合は前記工程によって実行され、目 的とする比率で全ての構成成分が最終粉体の個々の粒子のそれぞれに存在する。 前記塗装組成物は、好ましくは、顔料および前記塗装組成物のマトリックスを 形成する粉体を含み、したがって本態様において適した着色を含む。 前記塗装組成物は好ましくは粉体構成成分のドライな混合物として形成される 。 前記殺生物剤はグラム陽性細菌および／またはグラム陰性細菌、藻類、糸状菌 または酵母に対して活性であるものを選択してもよく、このカテゴリーの２つ以 上に対して活性である一般的に意図される殺生物剤であってもよい。 多くの殺生物剤が本発明に好適に用いられてもよく、いかなる特定の殺生物剤 の殺生物活性がコーティングにおける平均的な当業者の特定の必要性に対して充 分持続されるかどうかを、ルーチンの実験によって平均的な当業者は容易に決定 できるであろう。必要な基準は、前記殺生物剤が適した粉体形態で提供できるこ とと、前記殺生物剤が前記塗装工程に耐えることができることである。 殺生物剤のとくに適したクラスは以下のものを含むことがわかった： トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル類、たとえば２，４，４¹−トリクロ ロ−２¹−ヒドロキシジフェニルエーテル、 メチル尿素類、たとえば３−（３，４−ジクロロフェニル）−１，１−ジメチル 尿素、 イミダゾールカルバメート類。 前記塗装組成物のマトリックスは、粉体形態で製造することができ、適用した コーティングに対して、たとえば耐久性などの目的とする性質を付与し、基体表 面に満 足のゆくように結合するいかなる適した材料によっても提供し得る。 コーティングが適用される物品は、本発明はこれらに限定されないが、好まし くは金属であり、たとえば家庭用器具（いわゆる大型家庭用品および家庭用什器 （white and brown goods））、家庭用および工業用の作業表面、たとえば手す り、ドアハンドルおよびプレートなどの建築製品およびその他の工業技術製品、 庭用家具などを含む。典型的な基体は、たとえば鉄金属、亜鉛で塗装したスチー ル、アルミニウムなどであってもよい。このように、前記物品は衛生状態が利点 となるいかなる環境においても用い得る。 本発明の粉砕された塗装組成物は、先に示したように、マニュアルまたは自動 的であってもよい静電気的にスプレーすることによって、または摩擦帯電的にス プレーすることによって塗布されてもよい。 前記塗装組成物のマトリックスを形成するためのとくに適した材料は、エポキ シ、ポリエステル類およびエポキシ−ポリエステル類を含み、粉体形態で利用で き、事前に着色されており、光沢、艶消しおよびきめの粗い（textured）という 種々の目的とする表面仕上げを提供する。しかしながら、本発明はこれらに限定 されるものではなく、他の高分子粉体材料、たとえば熱可塑性材料、たとえばナ イロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン−ビニルアセ テート共重合体の使用にも応用できる。 典型的には、前記マトリックス粉体は１．２〜１．９の比重と、粒子サイズの １００％が１００ミクロン未満 であり４０〜６０％が３４ミクロンより大きい粒子サイズを有していてもよい。 前記マトリックス粉体は、もちろん用いる特定の材料の物理的性質によるが、た とえば１２０℃以上、具体的には１４０℃〜２１０℃のストービング温度（stov ing temperatures）を有していてもよい。 殺生物剤は、別個の粉体として用いるときは、好ましくはマトリックス粉体の 粒子サイズ分布と同様の粒子サイズ分布をもつように選択される。 前記粉体組成物に組み込まれた殺生物剤の量は、意図される最終用途および特 定の殺生物剤の強さと性質によって変わるであろう。このように、適した量は特 定の殺生物剤の既知のｍｉｃ値から容易に決定できる。たとえば、全粉体組成物 にもとづいて２０重量％までの殺生物剤を用いてもよい。典型的には、有用な比 率は全粉体組成物の０．１〜１０重量％、とくには２〜６重量％である。 その他の成分、たとえば流動化剤（fluidity agents）、分散剤、保存剤（pre servatives）は、前記粉体組成物に含まれていてもよい。 殺生物剤粉体を組み込んでいる粉体混合物は、用いた特定の殺生物剤にしたが って充分な貯蔵寿命を有するが、一方では使用直前に混合してもよい。 塗装の技術分野で充分に認められているように、前記基体は前記粉体混合物の 塗布前に完全に汚れを取っておかなければならず、たとえばショットブラスト（ shot-blasting）手段および／または化学的手段によるクリーニングを通常の手 段によって行ってもよい。 本発明の特別な態様を以下の実施例においてさらに記載する。 実施例１ 着色し粉砕した塗装組成物は以下の粉体材料を以下に示した比率で混合して製 造した。 重量部 殺生物剤 − ０から６ マトリックス粉体 − １００から９４ 前記殺生物剤はチバガイギー（CIBA GEIGY）のＩＲＧＡＳＡＮ ＤＰ ３００ として供給される２，４，４¹−トリクロロ−２¹ヒドロキシジフェニルエーテル であった。前記マトリックス粉体は専売のポリエステル粉体であった。 粉砕した混合物を、あらかじめ脱脂しショットブラストした（shot-blasted） 金属の１表面に静電気的にスプレーし、１表面のみが塗装されたいくつかのサン プルスライドを提供した。 以下の表１に記載した５つの異なる細菌の細菌ローンプレート（bacterial la wn plates）をトリプトン ソーヤ アガー（Tryptone Soya Agar）において調 製し、塗装した側を下にしてそれぞれのプレートの中央にサンプルスライドを置 いた。前記プレートを３７℃で２４〜４８時間インキュベートし、阻害の範囲を 観察した。 １つのスライドに対する３回の反復試験にもとづく結果を以下の表１に記載す る。 ＋−− ＝阻害を示す −−− ＝阻害なし 実施例２ 粉砕した塗装組成物は以下に示した比率で以下の粉体材料を混合して製造した 。 重量部 殺生物剤 − ６ マトリックス粉体 − ９４ 前記殺生物剤は実施例１と同様であった。 前記マトリックス粉体は、エイチ ビー フューラーコーティングズ リミテ ッド（H B Fuller Coatings Limited）、バーミンガム、英国の識別名 ＯＭＥ ＧＡ ＰＣ Ｐ６／０３５で供給されるポリエステルであった。 前記粉体混合物は２００℃の温度で５分間、およそ２５ｍｍ幅の顕微鏡のガラ ススライド上にスプレーした。 以下の表２に記載した８つの異なる細菌の細菌ローン プレートはつぎのように調製した。実施例１と同様に寒天栄養物（Agar nutrien t）を含むペトリ皿中に、塗装したスライドを、塗装面を上にして置いた。栄養 物の薄いフィルムを供試スライドにかぶせた。それぞれの細菌は皿を横切るライ ンで適用し、供試スライドの上をおおって連続していた。前記のように３サンプ ルを１セットとしてそれぞれの場合、すなわちそれぞれのラン（Run）において 試験した。 表２には阻害の程度（Degree of Inhibition（ＤＯＩ））および阻害の範囲（ Zone of Inhibition（ＺＯＩ））をｍｍで記載する。ＤＯＩは消失した細菌のそ れぞれのラインの幅の量を示し、ＤＯＩはそのスライドの片方の側を横切ったお よび前記側上の消失した生物のラインの長さの量を示す。実施例３ 以下の表３に記載した６つの生物を用い、０〜２０重量％の殺生物剤の濃度を 用いる以外は実施例２をくり返した。再度、阻害の範囲を測定し、表３に記載す る。 本発明が記載した特別の態様だけに限定されないことは理解されるであろう。 たとえば、金属の基体にコーティングを適用するための他の適した技術は、いわ ゆる基体を予熱し、粉体のベットの中に浸漬するプラスチック コーティング技術（plastics coating technique）である。このような技術も 本発明の部分を形成している。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｂ０５Ｄ 5/00 Ｂ０５Ｄ 5/00 Ｚ Ｃ０９Ｄ 5/03 Ｃ０９Ｄ 5/03 5/14 5/14 5/46 5/46 (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，Ｓ Ｚ，ＵＧ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＨＵ，Ｉ Ｌ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ， ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，Ｒ Ｕ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 クローヴァー、レイナー イギリス国、ダブリュエス５ ３ビーエ イ、ウェスト ミドランズ、ウォルソー ル、サトン ロード 418エイ (72)発明者 ブローディー、ハロルド イギリス国、ダブリュヴイ８ ２イーアー ル スタフォードシア、コドソール、ヒス トンズ ヒル、ハイフィールド（番地な し)

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 1．殺生物剤を含有する実質的にドライな粉体塗装組成物を形成すること、およ び前記粉体塗装組成物を塗布して基体上にコーティングを形成することからなり 、前記殺生物剤が前記コーティング中で有効な殺生物活性を維持できる、基体上 での細菌の成長を阻害する方法。 2．前記組成物が静電気的手段または摩擦帯電手段でスプレーすることによって 前記基体に塗布される請求の範囲第１項記載の方法。 3．前記殺生物剤が粉体で、粉体塗装組成物と混合される請求の範囲第１項また は第２項記載の方法。 4．前記殺生物剤が前記粉体塗装組成物のマトリックスを形成するための１つの 粉体または複数の粉体の前駆体と混合される請求の範囲第１項または第２項記載 の方法。 5．顔料が前記粉体塗装組成物中に混合される請求の範囲第１項乃至第４項のい ずれかに記載の方法。 6．前記コーティングが１４０℃〜２１０℃のストービング温度を用いて前記基 体に適用される請求の範囲第１項乃至第５項のいずれかに記載の方法。 7．前記塗装組成物が金属基体に塗布される請求の範囲第１項乃至第６項のいず れかに記載の方法。 8．前記殺生物剤が０．１〜２０重量％の量で前記粉体塗装組成物に組み込まれ ている請求の範囲第１項乃至第７項のいずれかに記載の方法。 9．前記殺生物剤が２〜６重量％の量で前記粉体塗装組 成物に組み込まれている請求の範囲第８項記載の方法。 10．請求の範囲第１項乃至第９項のいずれかに記載の方法に使用するための、殺 生物剤を０．１〜２０重量％含有する粉体塗装組成物であって、前記粉体が実質 的にドライであり静電気的スプレーまたは摩擦帯電スプレーによって、または予 熱した基体を浸漬することによって基体に塗布するために適合させる前記粉体塗 装組成物。 11．前記殺生物剤が２〜６重量％の量で存在する請求の範囲第１０項記載の粉体 塗装組成物。 12．前記殺生物剤および前記塗装組成物のマトリックスが実質的に同じ物理的性 質の粉体である請求の範囲第１０項または第１１項記載の粉体塗装組成物。 13．前記殺生物剤がトリクロロヒドロキシジフェニルエーテルである請求の範囲 第１０項、第１１項または第１２項記載の粉体塗装組成物。 14．前記殺生物剤が２，４，４¹−トリクロロ−２¹−ヒドロキシジフェニルエー テルである請求の範囲第１０項、第１１項または第１２項記載の粉体塗装組成物 。 15．前記殺生物剤がメチル尿素である請求の範囲第１０項、第１１項または第１ ２項記載の粉体塗装組成物。 16．前記殺生物剤が３−（３，４−ジクロロフェニル）−１，１−ジメチル尿素 である請求の範囲第１５項記載の粉体塗装組成物。 17．前記殺生物剤がイミダゾールカルバメートである請求の範囲第１０項、第１ １項または第１２項記載の粉体塗装組成物。 18．ポリエステル粉体またはエポキシポリエステル粉体 からなる請求の範囲第１０項乃至第１７項のいずれかに記載の粉体塗装組成物。 19．ナイロン粉体などの熱可塑性粉体からなる請求の範囲第１０項乃至第１８項 のいずれかに記載の粉体塗装組成物。 20．比重１．２〜１．９および粒子サイズ１００ミクロン未満のマトリックス粉 体からなる請求の範囲第１０項乃至第１９項のいずれかに記載の粉体塗装組成物 。 21．粉体の各微粒子が殺生物剤を含有する請求の範囲第１０項乃至第２０項のい ずれかに記載の粉体塗装組成物。 22．請求の範囲第１項乃至第９項のいずれかに記載の方法によって適用された、 または請求の範囲第１０項乃至第２１項のいずれかに定義されたコーティングを 有する基体からなる物品。