JP2000344693A - ジアリールエテン系化合物及びフォトクロミック有機膜 - Google Patents
ジアリールエテン系化合物及びフォトクロミック有機膜Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 繰り返し耐久性に加えて、優れた退色性を有
するジアリールエテン系化合物を提供する。 【解決手段】 一般式(1)で示されるジアリールエテ
ン系化合物。 【化1】 但し、式(1)中nは2〜5の整数、Aは一般式(2)
を表す。 【化2】 但し、式(2)中、R1はアルキル基、R2はアルキル
基とシアノ基から選ばれる置換基を表す。
するジアリールエテン系化合物を提供する。 【解決手段】 一般式(1)で示されるジアリールエテ
ン系化合物。 【化1】 但し、式(1)中nは2〜5の整数、Aは一般式(2)
を表す。 【化2】 但し、式(2)中、R1はアルキル基、R2はアルキル
基とシアノ基から選ばれる置換基を表す。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォトクロミック
性を有し、調光材料として好適なジアリールエテン系化
合物に関するものであり、さらにこのジアリールエテン
系化合物を色素として用いたフォトクロミック有機膜に
関するものである。
性を有し、調光材料として好適なジアリールエテン系化
合物に関するものであり、さらにこのジアリールエテン
系化合物を色素として用いたフォトクロミック有機膜に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】調光材料や、表示材料、光記録材料等の
用途に、光照射によって可逆的に色変化するフォトクロ
ミック化合物が用いられている。フォトクロミック化合
物とは、フォトクロミック反応性、つまり単一の化学種
が分子量を変えることなく化学結合の組み替えにより異
なる吸収スペクトルを持つ二つの異性体を可逆的に生成
する過程において、少なくとも一つの過程が光によって
もたらされる現象を示す化合物であり、例えばスピロピ
ラン系、アゾベンゼン系、フルギド系、ジアリールエテ
ン系等の化合物がフォトクロミック化合物として報告さ
れている。
用途に、光照射によって可逆的に色変化するフォトクロ
ミック化合物が用いられている。フォトクロミック化合
物とは、フォトクロミック反応性、つまり単一の化学種
が分子量を変えることなく化学結合の組み替えにより異
なる吸収スペクトルを持つ二つの異性体を可逆的に生成
する過程において、少なくとも一つの過程が光によって
もたらされる現象を示す化合物であり、例えばスピロピ
ラン系、アゾベンゼン系、フルギド系、ジアリールエテ
ン系等の化合物がフォトクロミック化合物として報告さ
れている。
【0003】通常、フォトクロミック化合物は、溶媒中
において、可視域に吸収を持たない無色体に紫外光を照
射すると、可視域の特定領域に吸収を有する着色体が得
られ、そしてこの着色体に可視光を照射することにより
元の無色体に戻るという特性を示す。ここで、この着色
体が熱的に不安定な化合物においては、可視光を照射す
るまでもなく、暗所下で無色体に戻る現象がみられるの
で、フォトクロミック化合物の無色体と着色体を2値メ
モリの各状態に対応させる光記録への応用には、着色体
が熱的に安定であることが必要である。
において、可視域に吸収を持たない無色体に紫外光を照
射すると、可視域の特定領域に吸収を有する着色体が得
られ、そしてこの着色体に可視光を照射することにより
元の無色体に戻るという特性を示す。ここで、この着色
体が熱的に不安定な化合物においては、可視光を照射す
るまでもなく、暗所下で無色体に戻る現象がみられるの
で、フォトクロミック化合物の無色体と着色体を2値メ
モリの各状態に対応させる光記録への応用には、着色体
が熱的に安定であることが必要である。
【0004】一方、サングラスや自動車の窓ガラスなど
に用いられる調光材料としては、呈色濃度や色合いが優
れていることに加え、着色体が暗所下で無色体に速やか
に戻る、熱的退色性が要求される。勿論、いずれの用途
においても、繰り返し耐久性、つまり繰り返して無色体
と着色体に可逆的に変化する過程で副生成物が生成され
たり、化合物の酸化等で劣化したりすることがない、フ
ォトクロミック化合物の耐久性も要求される。
に用いられる調光材料としては、呈色濃度や色合いが優
れていることに加え、着色体が暗所下で無色体に速やか
に戻る、熱的退色性が要求される。勿論、いずれの用途
においても、繰り返し耐久性、つまり繰り返して無色体
と着色体に可逆的に変化する過程で副生成物が生成され
たり、化合物の酸化等で劣化したりすることがない、フ
ォトクロミック化合物の耐久性も要求される。
【0005】ここで、特開平5−22035号公報等で
提供されているように、ジアリールエテン系化合物は、
無色の開環体が紫外光を吸収することにより、ヘキサト
リエン系に特有の光閉環反応を示し、可視域に吸収を有
する閉環体を与え、吸収波長領域に応じた特有の色を呈
する着色体となる。一般に多くのフォトクロミック化合
物はその着色体が熱的に不安定な化合物であるなかで、
ジアリールエテン系化合物は、着色体の熱的安定性が高
度に達成された数少ないフォトクロミック化合物の一つ
である。特にチオフェン環やベンゾチオフェン環をアリ
ール基に持つジアリールエテン系化合物は、着色体を7
0℃で数ヶ月保存しても殆ど退色しないことが知られて
いる。
提供されているように、ジアリールエテン系化合物は、
無色の開環体が紫外光を吸収することにより、ヘキサト
リエン系に特有の光閉環反応を示し、可視域に吸収を有
する閉環体を与え、吸収波長領域に応じた特有の色を呈
する着色体となる。一般に多くのフォトクロミック化合
物はその着色体が熱的に不安定な化合物であるなかで、
ジアリールエテン系化合物は、着色体の熱的安定性が高
度に達成された数少ないフォトクロミック化合物の一つ
である。特にチオフェン環やベンゾチオフェン環をアリ
ール基に持つジアリールエテン系化合物は、着色体を7
0℃で数ヶ月保存しても殆ど退色しないことが知られて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、調光材料とし
ての用途を考えた場合、ジアリールエテン系化合物のこ
の熱的安定性は却って弊害となる。また熱的に不安定な
他のフォトクロミック化合物は調光材料の用途に適して
はいるが、これらは繰り返し耐久性が低いという問題を
抱えている。また、このジアリールエテン化合物を色素
として製膜したフォトクロミック膜についても、同様な
問題がある。
ての用途を考えた場合、ジアリールエテン系化合物のこ
の熱的安定性は却って弊害となる。また熱的に不安定な
他のフォトクロミック化合物は調光材料の用途に適して
はいるが、これらは繰り返し耐久性が低いという問題を
抱えている。また、このジアリールエテン化合物を色素
として製膜したフォトクロミック膜についても、同様な
問題がある。
【0007】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、繰り返し耐久性に加えて、優れた退色性を有する
ジアリールエテン系化合物及びフォトクロミック有機膜
を提供することを目的とするものでありる。
あり、繰り返し耐久性に加えて、優れた退色性を有する
ジアリールエテン系化合物及びフォトクロミック有機膜
を提供することを目的とするものでありる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
ジアリールエテン系化合物は、一般式(1)で示される
ものである。
ジアリールエテン系化合物は、一般式(1)で示される
ものである。
【0009】
【化6】
【0010】但し、式(1)中nは2〜5の整数、Aは
一般式(2)を表す。
一般式(2)を表す。
【0011】
【化7】
【0012】但し、式(2)中、R1はアルキル基、R
2はアルキル基あるいはシアノ基から選ばれる置換基を
表す。
2はアルキル基あるいはシアノ基から選ばれる置換基を
表す。
【0013】また請求項2の発明は、上記一般式(1)
において、nは3であり、上記一般式(2)において、
R1及びR2はメチル基であることを特徴とするもので
ある。
において、nは3であり、上記一般式(2)において、
R1及びR2はメチル基であることを特徴とするもので
ある。
【0014】本発明の請求項3に係るジアリールエテン
系化合物は、一般式(1)で示されるものである。
系化合物は、一般式(1)で示されるものである。
【0015】
【化8】
【0016】但し、式(1)中nは2〜5の整数、Aは
一般式(3)を表す。
一般式(3)を表す。
【0017】
【化9】
【0018】但し、式(3)中、R4はアルキル基、R
5は飽和炭化水素基、R6は水素原子あるいはアルキル
基あるいはシアノ基、R7はアルキル基、シアノ基ある
いは一般式(4)のフェニル基を表す。
5は飽和炭化水素基、R6は水素原子あるいはアルキル
基あるいはシアノ基、R7はアルキル基、シアノ基ある
いは一般式(4)のフェニル基を表す。
【0019】
【化10】
【0020】但し、式(4)中、R8〜R12は水素原
子、フッ素原子、アルキル基、シアノ基を表す。
子、フッ素原子、アルキル基、シアノ基を表す。
【0021】また請求項4の発明は、上記請求項3の一
般式(1)において、nは3であり、一般式(3)にお
いてR4及びR5はメチル基、R6は水素原子、R7は
シアノ基であることを特徴とするものである。
般式(1)において、nは3であり、一般式(3)にお
いてR4及びR5はメチル基、R6は水素原子、R7は
シアノ基であることを特徴とするものである。
【0022】また請求項5の発明は、上記請求項3の一
般式(1)において、nは3であり、一般式(3)にお
いてR4及びR5はメチル基、R6は水素原子、R7は
上記式(4)(ただし、R8〜R12は水素原子)であ
ることを特徴とするものである。
般式(1)において、nは3であり、一般式(3)にお
いてR4及びR5はメチル基、R6は水素原子、R7は
上記式(4)(ただし、R8〜R12は水素原子)であ
ることを特徴とするものである。
【0023】また請求項6の発明は、上記請求項3の一
般式(1)において、nは3であり、一般式(3)にお
いてR4はメチル基、R5はイソプロピル基、R6は水
素原子、R7は上記式(4)(ただし、R8〜R12は
水素原子)であることを特徴とするものである。
般式(1)において、nは3であり、一般式(3)にお
いてR4はメチル基、R5はイソプロピル基、R6は水
素原子、R7は上記式(4)(ただし、R8〜R12は
水素原子)であることを特徴とするものである。
【0024】また請求項7の発明は、上記請求項3の一
般式(1)において、nは3であり、一般式(3)にお
いてR4はメチル基、R5はシクロヘキシル基、R6は
水素原子、R7は上記式(4)(ただし、R8〜R12
は水素原子)であることを特徴とするものである。
般式(1)において、nは3であり、一般式(3)にお
いてR4はメチル基、R5はシクロヘキシル基、R6は
水素原子、R7は上記式(4)(ただし、R8〜R12
は水素原子)であることを特徴とするものである。
【0025】本発明の請求項8に係るフォトクロミック
有機膜は、上記請求項1乃至7のいずれかに記載のジア
リールエテン化合物を分散させたポリマーを製膜するこ
とによって形成して成ることを特徴とするものである。
有機膜は、上記請求項1乃至7のいずれかに記載のジア
リールエテン化合物を分散させたポリマーを製膜するこ
とによって形成して成ることを特徴とするものである。
【0026】また請求項9の発明は、上記請求項8にお
いて、ポリマーとして、ポリメチルメタクリレート、ポ
リビニルブチラール、ポリスチレンから選ばれるものを
用いて成ることを特徴とするものである。
いて、ポリマーとして、ポリメチルメタクリレート、ポ
リビニルブチラール、ポリスチレンから選ばれるものを
用いて成ることを特徴とするものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
する。
【0028】本発明の請求項1に係るジアリールエテン
系化合物は、上記一般式(1)で示される化合物であ
り、その1位及び2位がアリール基で置換されたパーフ
ルオロシクロアルケン誘導体である。一般式(1)にお
いて、nは2〜5の整数の範囲であるが、n=3、すな
わち次の式(5)のようなパーフルオロシクロペンテン
誘導体が特に好ましい。
系化合物は、上記一般式(1)で示される化合物であ
り、その1位及び2位がアリール基で置換されたパーフ
ルオロシクロアルケン誘導体である。一般式(1)にお
いて、nは2〜5の整数の範囲であるが、n=3、すな
わち次の式(5)のようなパーフルオロシクロペンテン
誘導体が特に好ましい。
【0029】
【化11】
【0030】また上記式(1),(5)においてAは、
上記式(2)で表されるフェニル環である。この式
(2)において、R1はアルキル基、R2はアルキル基
とシアノ基から選ばれる置換基を表すものであり、この
うちR1はメチル基あるいはイソプロピル基が好まし
い。なかでもR1及びR2はそれぞれメチル基であるこ
とが好ましい。
上記式(2)で表されるフェニル環である。この式
(2)において、R1はアルキル基、R2はアルキル基
とシアノ基から選ばれる置換基を表すものであり、この
うちR1はメチル基あるいはイソプロピル基が好まし
い。なかでもR1及びR2はそれぞれメチル基であるこ
とが好ましい。
【0031】上記の請求項1に係るフェニル環をアリー
ル基に持つジアリールエテン系化合物は、例えば、式
(6)で表されるパーフルオロシクロペンテンと一般式
(7)で表されるリチウム化フェニル誘導体(式(7)
において、R1はアルキル基、R2はアルキル基、シア
ノ基から選ばれた置換基を示す)を反応させることによ
って調製することができる。
ル基に持つジアリールエテン系化合物は、例えば、式
(6)で表されるパーフルオロシクロペンテンと一般式
(7)で表されるリチウム化フェニル誘導体(式(7)
において、R1はアルキル基、R2はアルキル基、シア
ノ基から選ばれた置換基を示す)を反応させることによ
って調製することができる。
【0032】
【化12】
【0033】その一例を挙げると、一般式(8)で示さ
れるハロゲン化フェニル誘導体(式(8)においてXは
臭素原子あるいはヨウ素原子、R1はアルキル基、R2
はアルキル基、シアノ基から選ばれた置換基を示す)
を、−100℃〜−60℃でアルキルリチウムと反応さ
せ、ハロゲンをリチウムに置換した上記一般式(7)の
リチウム化フェニル誘導体にする。続けて温度を−10
0℃〜−60℃に保ったまま、上記式(6)のパーフル
オロシクロペンテンを添加し、リチウム化フェニル誘導
体がすべて消費された後、メタノールを加えて反応を完
了する。これにより、式(1)のフェニル環をアリール
基に持つジアリールエテン系化合物を得ることができ
る。上記の反応は溶媒中で行なわれるものであり、溶媒
としてはテトラヒドロフランやジエチルエーテルなどの
エーテル系溶媒を、金属ナトリウム等で脱水した状態で
使用することができる。反応は低温で行なわれるので、
凝固防止のためにn−ヘキサン等の溶媒を加えるように
してもよい。リチウム化には、アルキル化リチウムの他
に、リチウムジアルキルアミドを用いることもでき、n
−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、メチルリチウ
ム、フェニルリチウム、リチウムジイソプロピルアミ
ド、リチウムジシクロヘキシルアミド等を使用すること
ができる。反応時間は全部で10〜40分である。
れるハロゲン化フェニル誘導体(式(8)においてXは
臭素原子あるいはヨウ素原子、R1はアルキル基、R2
はアルキル基、シアノ基から選ばれた置換基を示す)
を、−100℃〜−60℃でアルキルリチウムと反応さ
せ、ハロゲンをリチウムに置換した上記一般式(7)の
リチウム化フェニル誘導体にする。続けて温度を−10
0℃〜−60℃に保ったまま、上記式(6)のパーフル
オロシクロペンテンを添加し、リチウム化フェニル誘導
体がすべて消費された後、メタノールを加えて反応を完
了する。これにより、式(1)のフェニル環をアリール
基に持つジアリールエテン系化合物を得ることができ
る。上記の反応は溶媒中で行なわれるものであり、溶媒
としてはテトラヒドロフランやジエチルエーテルなどの
エーテル系溶媒を、金属ナトリウム等で脱水した状態で
使用することができる。反応は低温で行なわれるので、
凝固防止のためにn−ヘキサン等の溶媒を加えるように
してもよい。リチウム化には、アルキル化リチウムの他
に、リチウムジアルキルアミドを用いることもでき、n
−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、メチルリチウ
ム、フェニルリチウム、リチウムジイソプロピルアミ
ド、リチウムジシクロヘキシルアミド等を使用すること
ができる。反応時間は全部で10〜40分である。
【0034】
【化13】
【0035】上記のようにして得られる請求項1のフェ
ニル環をアリール基に持つジアリールエテン系化合物の
一例である、1,2−ビス(1,3,5−トリメチル−
2−フェニル)ヘキサフルオロシクロペンテンは、式
(9)に示される化合物であり、溶液中で無色である
が、紫外光を照射することによって、式(10)のよう
に閉環して赤色に着色する。尚、式(9)、(10)に
おいてMeはメチル基を示す。
ニル環をアリール基に持つジアリールエテン系化合物の
一例である、1,2−ビス(1,3,5−トリメチル−
2−フェニル)ヘキサフルオロシクロペンテンは、式
(9)に示される化合物であり、溶液中で無色である
が、紫外光を照射することによって、式(10)のよう
に閉環して赤色に着色する。尚、式(9)、(10)に
おいてMeはメチル基を示す。
【0036】
【化14】
【0037】式(9)の化合物にあって、着色した式
(10)の閉環体は、従来のジアリールエテン系化合物
と異なり、熱的に不安定で、可視光照射によっては勿
論、暗所においても開環体に戻ることで退色し、無色と
なるものである。またこの呈退色は繰り返し行なうこと
ができ、繰り返し耐久性に優れるものである。
(10)の閉環体は、従来のジアリールエテン系化合物
と異なり、熱的に不安定で、可視光照射によっては勿
論、暗所においても開環体に戻ることで退色し、無色と
なるものである。またこの呈退色は繰り返し行なうこと
ができ、繰り返し耐久性に優れるものである。
【0038】次に、本発明の請求項3に係るジアリール
エテン系化合物は、上記一般式(1)で示される化合物
であり、その1位及び2位がアリール基で置換されたパ
ーフルオロシクロアルケン誘導体である。一般式(1)
において、nは2〜5の整数の範囲であるが、n=3、
すなわち上記の式(5)のようなパーフルオロシクロペ
ンテン誘導体が特に好ましい。
エテン系化合物は、上記一般式(1)で示される化合物
であり、その1位及び2位がアリール基で置換されたパ
ーフルオロシクロアルケン誘導体である。一般式(1)
において、nは2〜5の整数の範囲であるが、n=3、
すなわち上記の式(5)のようなパーフルオロシクロペ
ンテン誘導体が特に好ましい。
【0039】また上記式(1)においてAは、上記式
(3)で表されるピロール環である。この式(3)にお
いて、R4はアルキル基、R5は飽和炭化水素基、R6
は水素原子あるいはアルキル基あるいはシアノ基、R7
はアルキル基、シアノ基あるいは上記一般式(4)のフ
ェニル基を表す。この式(4)において、R8〜R12
は水素原子、フッ素原子、アルキル基、シアノ基から選
ばれるものである。
(3)で表されるピロール環である。この式(3)にお
いて、R4はアルキル基、R5は飽和炭化水素基、R6
は水素原子あるいはアルキル基あるいはシアノ基、R7
はアルキル基、シアノ基あるいは上記一般式(4)のフ
ェニル基を表す。この式(4)において、R8〜R12
は水素原子、フッ素原子、アルキル基、シアノ基から選
ばれるものである。
【0040】なかでも、R4及びR5がメチル基、R6
が水素原子、R7がシアノ基のもの、あるいはR4及び
R5がメチル基、R6が水素原子、R7が上記式(4)
(ただし、R8〜R12は水素原子)のもの、あるいは
R4がメチル基、R5がイソプロピル基、R6が水素原
子、R7が上記式(4)(ただし、R8〜R12は水素
原子)のもの、あるいはR4がメチル基、R5がシクロ
ヘキシル基、R6が水素原子、R7が上記式(4)(た
だし、R8〜R12は水素原子)のものが好ましい。
が水素原子、R7がシアノ基のもの、あるいはR4及び
R5がメチル基、R6が水素原子、R7が上記式(4)
(ただし、R8〜R12は水素原子)のもの、あるいは
R4がメチル基、R5がイソプロピル基、R6が水素原
子、R7が上記式(4)(ただし、R8〜R12は水素
原子)のもの、あるいはR4がメチル基、R5がシクロ
ヘキシル基、R6が水素原子、R7が上記式(4)(た
だし、R8〜R12は水素原子)のものが好ましい。
【0041】上記の請求項3に係るピロール環をアリー
ル基に持つジアリールエテン系化合物は、例えば、上記
式(6)で表されるパーフルオロシクロペンテンと一般
式(11)で表されるリチウム化ピロール誘導体(式
(11)において、R4はアルキル基、R5は飽和炭化
水素基、R6は水素原子あるいはアルキル基あるいはシ
アノ基、R7はアルキル基、シアノ基あるいは上記一般
式(4)のフェニル基を表し、R5はメチル基あるいは
イソプロピル基あるいはシクロヘキシル基が好ましい)
を反応させることによって調製することができる。
ル基に持つジアリールエテン系化合物は、例えば、上記
式(6)で表されるパーフルオロシクロペンテンと一般
式(11)で表されるリチウム化ピロール誘導体(式
(11)において、R4はアルキル基、R5は飽和炭化
水素基、R6は水素原子あるいはアルキル基あるいはシ
アノ基、R7はアルキル基、シアノ基あるいは上記一般
式(4)のフェニル基を表し、R5はメチル基あるいは
イソプロピル基あるいはシクロヘキシル基が好ましい)
を反応させることによって調製することができる。
【0042】
【化15】
【0043】その一例を挙げると、一般式(12)で示
されるハロゲン化ピロール誘導体(式(12)において
Xは臭素原子あるいはヨウ素原子、R4はアルキル基、
R5は飽和炭化水素基、R6は水素原子あるいはアルキ
ル基あるいはシアノ基、R7はアルキル基、シアノ基あ
るいは上記一般式(4)のフェニル基を表し、R5はメ
チル基あるいはイソプロピル基あるいはシクロヘキシル
基が好ましい)を、−100℃〜−120℃でアルキル
リチウムと反応させ、ハロゲンをリチウムに置換した上
記一般式(11)のリチウム化ピロール誘導体にする。
続けて温度を−100℃〜−120℃に保ったまま、上
記式(6)のパーフルオロシクロペンテンを添加し、リ
チウム化ピロール誘導体がすべて消費された後、メタノ
ールを加えて反応を完了する。これにより、式(1)の
ピロール環をアリール基に持つジアリールエテン系化合
物を得ることができる。溶媒その他の反応条件などは上
記のフェニル環をアリール基に持つジアリールエテン系
化合物を調製する場合と同じである。
されるハロゲン化ピロール誘導体(式(12)において
Xは臭素原子あるいはヨウ素原子、R4はアルキル基、
R5は飽和炭化水素基、R6は水素原子あるいはアルキ
ル基あるいはシアノ基、R7はアルキル基、シアノ基あ
るいは上記一般式(4)のフェニル基を表し、R5はメ
チル基あるいはイソプロピル基あるいはシクロヘキシル
基が好ましい)を、−100℃〜−120℃でアルキル
リチウムと反応させ、ハロゲンをリチウムに置換した上
記一般式(11)のリチウム化ピロール誘導体にする。
続けて温度を−100℃〜−120℃に保ったまま、上
記式(6)のパーフルオロシクロペンテンを添加し、リ
チウム化ピロール誘導体がすべて消費された後、メタノ
ールを加えて反応を完了する。これにより、式(1)の
ピロール環をアリール基に持つジアリールエテン系化合
物を得ることができる。溶媒その他の反応条件などは上
記のフェニル環をアリール基に持つジアリールエテン系
化合物を調製する場合と同じである。
【0044】
【化16】
【0045】上記のようにして得られる請求項3のピロ
ール環をアリール基に持つジアリールエテン系化合物の
一例である、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメ
チル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペン
テンは、式(13)に示される化合物であり、溶液中で
無色であるが、紫外光を照射することによって、式(1
4)のように閉環して青色に着色する。尚、式(1
3)、(14)においてMeはメチル基を示す。
ール環をアリール基に持つジアリールエテン系化合物の
一例である、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメ
チル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペン
テンは、式(13)に示される化合物であり、溶液中で
無色であるが、紫外光を照射することによって、式(1
4)のように閉環して青色に着色する。尚、式(1
3)、(14)においてMeはメチル基を示す。
【0046】
【化17】
【0047】式(13)の化合物にあって、着色した式
(14)の閉環体は、従来のジアリールエテン系化合物
と異なり、熱的に不安定で、可視光照射によっては勿
論、暗所においても速やかに開環体に戻ることで退色
し、無色となるものである。またこの呈退色は繰り返し
行なうことができ、繰り返し耐久性に優れるものであ
る。
(14)の閉環体は、従来のジアリールエテン系化合物
と異なり、熱的に不安定で、可視光照射によっては勿
論、暗所においても速やかに開環体に戻ることで退色
し、無色となるものである。またこの呈退色は繰り返し
行なうことができ、繰り返し耐久性に優れるものであ
る。
【0048】上記のようにして得られたジアリールエテ
ン系化合物を色素として用いると共に、ポリマーを分散
媒体として用いて、フォトクロミック有機膜を製造する
ことができる。すなわち、ジアリールエテン系化合物と
ポリマーをそれぞれ有機溶媒に溶解して混合し、そして
この混合溶液をガラス基板などの基板の表面に塗布した
後に、有機溶媒を乾燥除去して製膜することによって、
ジアリールエテン系化合物をポリマー中に分散させたフ
ォトクロミック有機膜を得ることができるものである。
ン系化合物を色素として用いると共に、ポリマーを分散
媒体として用いて、フォトクロミック有機膜を製造する
ことができる。すなわち、ジアリールエテン系化合物と
ポリマーをそれぞれ有機溶媒に溶解して混合し、そして
この混合溶液をガラス基板などの基板の表面に塗布した
後に、有機溶媒を乾燥除去して製膜することによって、
ジアリールエテン系化合物をポリマー中に分散させたフ
ォトクロミック有機膜を得ることができるものである。
【0049】上記のポリマーとしては、透明であれば特
に制限されるものではないが、300nm付近の波長の
光を吸収しないものが好ましく、例えばポリメチルメタ
クリレート(PMMA)、ポリビニルブチラール(PV
B)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン、ポリビ
ニルアルコール、ポリ塩化ビニル等を用いることができ
る。また、上記の有機溶媒としては、ジアリールエテン
系化合物とポリマーがそれぞれ溶解するものであれば、
特に制限されることなく使用することができるものであ
り、有機溶媒は混合溶媒として用いるようにしてもよ
い。尚、沸点が200℃以下のポリマーであると、有機
溶媒を用いずに、ポリマーにジアリールエテン系化合物
分散することが可能であり、この場合には有機溶媒を使
用する必要はない。
に制限されるものではないが、300nm付近の波長の
光を吸収しないものが好ましく、例えばポリメチルメタ
クリレート(PMMA)、ポリビニルブチラール(PV
B)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン、ポリビ
ニルアルコール、ポリ塩化ビニル等を用いることができ
る。また、上記の有機溶媒としては、ジアリールエテン
系化合物とポリマーがそれぞれ溶解するものであれば、
特に制限されることなく使用することができるものであ
り、有機溶媒は混合溶媒として用いるようにしてもよ
い。尚、沸点が200℃以下のポリマーであると、有機
溶媒を用いずに、ポリマーにジアリールエテン系化合物
分散することが可能であり、この場合には有機溶媒を使
用する必要はない。
【0050】ここで、ジアリールエテン系化合物及びポ
リマーの各種有機溶媒への溶解性を表1に示す。表1に
おいて、は式(9)の1,2−ビス(1,3,5−ト
リメチル−2−フェニル)ヘキサフルオロシクロペンテ
ンの溶解性を、は式(13)の1,2−ビス(2−シ
アノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサ
フルオロシクロペンテンの溶解性を、はPMMAの溶
解性を、はPVBの溶解性を、はPSの溶解性をそ
れぞれ示す。尚、参考のためにポリエチレングリコール
(PEG)の溶解性をに示す。
リマーの各種有機溶媒への溶解性を表1に示す。表1に
おいて、は式(9)の1,2−ビス(1,3,5−ト
リメチル−2−フェニル)ヘキサフルオロシクロペンテ
ンの溶解性を、は式(13)の1,2−ビス(2−シ
アノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサ
フルオロシクロペンテンの溶解性を、はPMMAの溶
解性を、はPVBの溶解性を、はPSの溶解性をそ
れぞれ示す。尚、参考のためにポリエチレングリコール
(PEG)の溶解性をに示す。
【0051】
【表1】
【0052】また、ポリマー中へのジアリールエテン系
化合物の添加量は、ポリマーからジアリールエテン系化
合物が析出せず均一に分散される範囲で設定されるもの
であり、表2にポリマーへのジアリールエテン系化合物
の添加量と分散状態の関係を示す。表2において、は
PMMAへの1,2−ビス(1,3,5−トリメチル−
2−フェニル)ヘキサフルオロシクロペンテンの添加
を、はPMMAへの1,2−ビス(2−シアノ−1,
5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシ
クロペンテンの添加を、はPVBへの1,2−ビス
(2−シアノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−イ
ル)ヘキサフルオロシクロペンテンの添加を、はPS
への1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメチル−ピ
ロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペンテンの添
加を示す。
化合物の添加量は、ポリマーからジアリールエテン系化
合物が析出せず均一に分散される範囲で設定されるもの
であり、表2にポリマーへのジアリールエテン系化合物
の添加量と分散状態の関係を示す。表2において、は
PMMAへの1,2−ビス(1,3,5−トリメチル−
2−フェニル)ヘキサフルオロシクロペンテンの添加
を、はPMMAへの1,2−ビス(2−シアノ−1,
5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシ
クロペンテンの添加を、はPVBへの1,2−ビス
(2−シアノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−イ
ル)ヘキサフルオロシクロペンテンの添加を、はPS
への1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメチル−ピ
ロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペンテンの添
加を示す。
【0053】
【表2】
【0054】そしてこのようにして得られたフォトクロ
ミック有機膜は、上記のジアリールエテン系化合物が色
素として分散しているので、繰り返し耐久性に優れ、退
色速度が速く、暗所においても熱的に退色させることが
可能であり、優れた有機フォトクロミック材料として使
用することができるものである。
ミック有機膜は、上記のジアリールエテン系化合物が色
素として分散しているので、繰り返し耐久性に優れ、退
色速度が速く、暗所においても熱的に退色させることが
可能であり、優れた有機フォトクロミック材料として使
用することができるものである。
【0055】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
する。
【0056】(実施例1)2−ヨード−1,3,5−ト
リメチルベンゼン10g(40.6ミリモル)を入れた
300ミリリットルのフラスコを乾燥窒素で置換し、窒
素雰囲気下で100ミリリットルの無水テトラヒドロフ
ランを加え、上記の2−ヨード−1,3,5−トリメチ
ルベンゼンを溶解させた。これをドライアイスにより−
60℃まで冷却した後、撹拌しながら15重量%のn−
ブチルリチウムのヘキサン溶液12ミリリットル(18
7ミリモル)を加え、続いてパーフルオロシクロペンテ
ン1.30ミリリットル(20.3ミリモル)を添加し
た。10分間撹拌した後、室温まで戻し、メタノールを
添加して反応を終了させた。反応生成物をエーテルによ
り抽出し、水洗、硫酸マグネシウムによる乾燥を行なっ
た後、エーテルを留去して得た粗生成物をシリカゲルを
用いたカラムクロマトグラフィーで精製することによっ
て、式(9)で表される1,2−ビス(1,3,5−ト
リメチル−2−フェニル)ヘキサフルオロシクロペンテ
ンを0.45g(収率5.2%)得た。
リメチルベンゼン10g(40.6ミリモル)を入れた
300ミリリットルのフラスコを乾燥窒素で置換し、窒
素雰囲気下で100ミリリットルの無水テトラヒドロフ
ランを加え、上記の2−ヨード−1,3,5−トリメチ
ルベンゼンを溶解させた。これをドライアイスにより−
60℃まで冷却した後、撹拌しながら15重量%のn−
ブチルリチウムのヘキサン溶液12ミリリットル(18
7ミリモル)を加え、続いてパーフルオロシクロペンテ
ン1.30ミリリットル(20.3ミリモル)を添加し
た。10分間撹拌した後、室温まで戻し、メタノールを
添加して反応を終了させた。反応生成物をエーテルによ
り抽出し、水洗、硫酸マグネシウムによる乾燥を行なっ
た後、エーテルを留去して得た粗生成物をシリカゲルを
用いたカラムクロマトグラフィーで精製することによっ
て、式(9)で表される1,2−ビス(1,3,5−ト
リメチル−2−フェニル)ヘキサフルオロシクロペンテ
ンを0.45g(収率5.2%)得た。
【0057】このようにして得た1,2−ビス(1,
3,5−トリメチル−2−フェニル)ヘキサフルオロシ
クロペンテンの1H−NMR(400MHz、CDCl
3)のケミカルシフト値(ppm)は2.21(18
H、メチル)、7.26(4H、芳香族プロトン)であ
った。
3,5−トリメチル−2−フェニル)ヘキサフルオロシ
クロペンテンの1H−NMR(400MHz、CDCl
3)のケミカルシフト値(ppm)は2.21(18
H、メチル)、7.26(4H、芳香族プロトン)であ
った。
【0058】(実施例2)35ミリリットルの無水テト
ラヒドロフランを入れた300ミリリットルのフラスコ
中に、1,5−ジメチル−2−ピロールカルボニトリル
7.20g(60ミリモル)を添加し、−10℃に保っ
た。これに臭素3ミリリットル(60ミリモル)を添加
し、30分間撹拌した後、重曹にて中和し、チオ硫酸ナ
トリウム水溶液を加えて、反応を終了させた。反応生成
物をクロロホルムで抽出し、水洗、硫酸マグネシウムに
よる乾燥を行なった後、クロロホルムを留去して、粗生
成物11.36gを得た。これをヘキサンから再結晶し
て、4−ブロモ−1,5−ジメチル−2−ピロールカル
ボニトリル8.8g(収率74%)を得た。
ラヒドロフランを入れた300ミリリットルのフラスコ
中に、1,5−ジメチル−2−ピロールカルボニトリル
7.20g(60ミリモル)を添加し、−10℃に保っ
た。これに臭素3ミリリットル(60ミリモル)を添加
し、30分間撹拌した後、重曹にて中和し、チオ硫酸ナ
トリウム水溶液を加えて、反応を終了させた。反応生成
物をクロロホルムで抽出し、水洗、硫酸マグネシウムに
よる乾燥を行なった後、クロロホルムを留去して、粗生
成物11.36gを得た。これをヘキサンから再結晶し
て、4−ブロモ−1,5−ジメチル−2−ピロールカル
ボニトリル8.8g(収率74%)を得た。
【0059】次に、この4−ブロモ−1,5−ジメチル
−2−ピロールカルボニトリル3g(15ミリモル)を
入れた300ミリリットルのフラスコを乾燥窒素で置換
し、窒素雰囲気下で60ミリリットルの無水テトラヒド
ロフランを加え、上記の4−ブロモ−1,5−ジメチル
−2−ピロールカルボニトリルを溶解させた。これを液
体窒素により−100℃まで冷却した後、15重量%の
n−ブチルリチウムのヘキサン溶液9ミリリットル(1
40ミリモル)を添加し、5分間撹拌してリチウム化を
行なった。続いて−100℃に保ったまま、パーフルオ
ロシクロペンテン0.5ミリリットルを添加し、10分
間撹拌した後、メタノールを添加して反応を終了させ
た。反応生成物をエーテルにより抽出し、水洗、硫酸マ
グネシウムによる乾燥を行なった後、エーテルを留去し
て粗生成物を3.09g得た。この粗生成物をシリカゲ
ルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製することに
よって、式(13)で表される1,2−ビス(2−シア
ノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサフ
ルオロシクロペンテンを0.37g(収率10%)得
た。
−2−ピロールカルボニトリル3g(15ミリモル)を
入れた300ミリリットルのフラスコを乾燥窒素で置換
し、窒素雰囲気下で60ミリリットルの無水テトラヒド
ロフランを加え、上記の4−ブロモ−1,5−ジメチル
−2−ピロールカルボニトリルを溶解させた。これを液
体窒素により−100℃まで冷却した後、15重量%の
n−ブチルリチウムのヘキサン溶液9ミリリットル(1
40ミリモル)を添加し、5分間撹拌してリチウム化を
行なった。続いて−100℃に保ったまま、パーフルオ
ロシクロペンテン0.5ミリリットルを添加し、10分
間撹拌した後、メタノールを添加して反応を終了させ
た。反応生成物をエーテルにより抽出し、水洗、硫酸マ
グネシウムによる乾燥を行なった後、エーテルを留去し
て粗生成物を3.09g得た。この粗生成物をシリカゲ
ルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製することに
よって、式(13)で表される1,2−ビス(2−シア
ノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサフ
ルオロシクロペンテンを0.37g(収率10%)得
た。
【0060】このようにして得た1,2−ビス(2−シ
アノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサ
フルオロシクロペンテンの融点は275.9〜277.
8℃であり、1H−NMR(400MHz、CDC
l3)のケミカルシフト値(ppm)は1.80(6
H、メチル)、3.63(6H、N−メチル)、6.8
7(2H、芳香族プロトン)であった。
アノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサ
フルオロシクロペンテンの融点は275.9〜277.
8℃であり、1H−NMR(400MHz、CDC
l3)のケミカルシフト値(ppm)は1.80(6
H、メチル)、3.63(6H、N−メチル)、6.8
7(2H、芳香族プロトン)であった。
【0061】(フォトクロミック性の試験)実施例1で
得た1,2−ビス(1,3,5−トリメチル−2−フェ
ニル)ヘキサフルオロシクロペンテンをヘキサンに溶解
し、無色の溶液を得た。次にこの溶液を石英セル中で、
超高圧水銀灯により紫外光を照射したところ、溶液は赤
色に着色した。また分光光度計(日立製作所製「U−3
500」)により測定した着色体の可視域の極大波長は
530nmであった。
得た1,2−ビス(1,3,5−トリメチル−2−フェ
ニル)ヘキサフルオロシクロペンテンをヘキサンに溶解
し、無色の溶液を得た。次にこの溶液を石英セル中で、
超高圧水銀灯により紫外光を照射したところ、溶液は赤
色に着色した。また分光光度計(日立製作所製「U−3
500」)により測定した着色体の可視域の極大波長は
530nmであった。
【0062】また実施例2で得た1,2−ビス(2−シ
アノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサ
フルオロシクロペンテンを酢酸エチルに溶解し、無色の
溶液を得た。次にこの溶液に同様にして紫外光を照射し
たところ、溶液は青色に着色した。また着色体の可視域
の最大波長は640nmであった。
アノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサ
フルオロシクロペンテンを酢酸エチルに溶解し、無色の
溶液を得た。次にこの溶液に同様にして紫外光を照射し
たところ、溶液は青色に着色した。また着色体の可視域
の最大波長は640nmであった。
【0063】(退色性の試験)上記のように実施例1及
び実施例2の化合物にそれぞれ紫外光を照射して、紫外
光の照射を停止した後、極大吸収波長の吸光度を5秒毎
に測定し、吸光度が半分になる半減期を求め、退色速度
を評価した。結果を表1に示す。
び実施例2の化合物にそれぞれ紫外光を照射して、紫外
光の照射を停止した後、極大吸収波長の吸光度を5秒毎
に測定し、吸光度が半分になる半減期を求め、退色速度
を評価した。結果を表1に示す。
【0064】
【表3】
【0065】(実施例3)3−ブロモ−1,2−ジメチ
ル−5−フェニルピロールとパーフルオロシクロペンテ
ンを反応させ、式(15)に示すジアリールエテン化合
物を得た。式(15)の化合物の溶液は、紫外光を照射
することによって式(16)のように閉環して青色に着
色するものであった(尚、式(15)、(16)におい
てMeはメチル基を示す)。
ル−5−フェニルピロールとパーフルオロシクロペンテ
ンを反応させ、式(15)に示すジアリールエテン化合
物を得た。式(15)の化合物の溶液は、紫外光を照射
することによって式(16)のように閉環して青色に着
色するものであった(尚、式(15)、(16)におい
てMeはメチル基を示す)。
【0066】
【化18】
【0067】(実施例4)3−ブロモ−2−イソプロピ
ル−1−メチル−5−フェニルピロールとパーフルオロ
シクロペンテンを反応させ、式(17)に示すジアリー
ルエテン化合物を得た。式(17)の化合物の溶液は、
紫外光を照射することによって式(18)のように閉環
して青色に着色するものであった(尚、式(17)、
(18)においてMeはメチル基、IPはイソプロピル
基を示す)。
ル−1−メチル−5−フェニルピロールとパーフルオロ
シクロペンテンを反応させ、式(17)に示すジアリー
ルエテン化合物を得た。式(17)の化合物の溶液は、
紫外光を照射することによって式(18)のように閉環
して青色に着色するものであった(尚、式(17)、
(18)においてMeはメチル基、IPはイソプロピル
基を示す)。
【0068】
【化19】
【0069】(実施例5)3−ブロモ−2−シクロヘキ
シル−1−メチル−5−フェニルピロールとパーフルオ
ロシクロペンテンを反応させ、式(19)に示すジアリ
ールエテン化合物を得た。式(19)の化合物の溶液
は、紫外光を照射することによって式(20)のように
閉環して青色に着色するものであった(尚、式(1
9)、(20)においてMeはメチル基、cHexはシ
クロヘキシル基を示す)。
シル−1−メチル−5−フェニルピロールとパーフルオ
ロシクロペンテンを反応させ、式(19)に示すジアリ
ールエテン化合物を得た。式(19)の化合物の溶液
は、紫外光を照射することによって式(20)のように
閉環して青色に着色するものであった(尚、式(1
9)、(20)においてMeはメチル基、cHexはシ
クロヘキシル基を示す)。
【0070】
【化20】
【0071】(実施例6)ポリメチルメタクリレート
(PMMA)をトルエンに重量比1:9で溶解し、PM
MA溶液を調製した。そして実施例1で得た1,2−ビ
ス(1,3,5−トリメチル−2−フェニル)ヘキサフ
ルオロシクロペンテンが10mM(ミリモル)になるよ
うにこのPMMA溶液に溶解し、混合溶液を調製した。
この混合溶液をガラス基板の上に流し、自然乾燥してト
ルエンを蒸発除去することによって、厚み約1mmのフ
ォトクロミック有機膜を得た。
(PMMA)をトルエンに重量比1:9で溶解し、PM
MA溶液を調製した。そして実施例1で得た1,2−ビ
ス(1,3,5−トリメチル−2−フェニル)ヘキサフ
ルオロシクロペンテンが10mM(ミリモル)になるよ
うにこのPMMA溶液に溶解し、混合溶液を調製した。
この混合溶液をガラス基板の上に流し、自然乾燥してト
ルエンを蒸発除去することによって、厚み約1mmのフ
ォトクロミック有機膜を得た。
【0072】このようにして得られたフォトクロミック
有機膜は、1,2−ビス(1,3,5−トリメチル−2
−フェニル)ヘキサフルオロシクロペンテンが色素とし
てPMMA中に分散しており、紫外光照射前は無色透明
であるが、紫外光照射により、1,2−ビス(1,3,
5−トリメチル−2−フェニル)ヘキサフルオロシクロ
ペンテンが閉環体に異性化し、赤紫に変色した。またこ
のように赤紫に着色したフォトクロミック有機膜に可視
光を照射したり、暗所に置いたりすることによって、閉
環体が開環体に戻り、退色した。この着色、退色の反応
は可逆的に繰り返して行なうことができた。図1に紫外
光照射前後の吸収スペクトルの変化を示す。島津製作所
製分光光度計「UV−3100PC」により測定した着
色体の可視域での吸収の極大波長は530nmであっ
た。
有機膜は、1,2−ビス(1,3,5−トリメチル−2
−フェニル)ヘキサフルオロシクロペンテンが色素とし
てPMMA中に分散しており、紫外光照射前は無色透明
であるが、紫外光照射により、1,2−ビス(1,3,
5−トリメチル−2−フェニル)ヘキサフルオロシクロ
ペンテンが閉環体に異性化し、赤紫に変色した。またこ
のように赤紫に着色したフォトクロミック有機膜に可視
光を照射したり、暗所に置いたりすることによって、閉
環体が開環体に戻り、退色した。この着色、退色の反応
は可逆的に繰り返して行なうことができた。図1に紫外
光照射前後の吸収スペクトルの変化を示す。島津製作所
製分光光度計「UV−3100PC」により測定した着
色体の可視域での吸収の極大波長は530nmであっ
た。
【0073】(実施例7)PMMAをアセトンに重量比
1:9で溶解し、PMMA溶液を調製した。そして実施
例2で得た1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメチ
ル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペンテ
ンが5mMになるようにこのPMMA溶液に溶解し、混
合溶液を調製した。この混合溶液を石英ガラス板の上に
スピンコートし、自然乾燥してアセトンを蒸発除去する
ことによって、厚み1.2μmのフォトクロミック有機
膜を得た。
1:9で溶解し、PMMA溶液を調製した。そして実施
例2で得た1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメチ
ル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペンテ
ンが5mMになるようにこのPMMA溶液に溶解し、混
合溶液を調製した。この混合溶液を石英ガラス板の上に
スピンコートし、自然乾燥してアセトンを蒸発除去する
ことによって、厚み1.2μmのフォトクロミック有機
膜を得た。
【0074】このようにして得られたフォトクロミック
有機膜は、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメチ
ル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペンテ
ンがが色素としてPMMA中に分散しており、紫外光照
射前は無色透明であるが、超高圧水銀灯により波長30
9.5nmの紫外光を放射照度7.70μW/cm2で
照射すると、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメ
チル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペン
テンが閉環体に異性化し、石英ガラス上のフォトクロミ
ック有機膜は紫色に着色した。またこのように紫色に着
色したフォトクロミック有機膜に可視光を照射したり、
暗所に置いたりすることによって、閉環体が開環体に戻
り、退色した。この着色、退色の反応は可逆的に繰り返
して行なうことができた。図2に紫外光照射前後の吸収
スペクトルの変化を示す。また図3に暗所下での波長6
35nmにおける吸光度の時間変化を示す。この退色の
反応は、退色速度定数0.0154(1/s)であり、
呈退色は可逆的に繰り返し行なうことができた。島津製
作所製分光光度計「UV−3100PC」により測定し
た着色体の可視域での吸収の極大波長は635nmであ
った。
有機膜は、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメチ
ル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペンテ
ンがが色素としてPMMA中に分散しており、紫外光照
射前は無色透明であるが、超高圧水銀灯により波長30
9.5nmの紫外光を放射照度7.70μW/cm2で
照射すると、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメ
チル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペン
テンが閉環体に異性化し、石英ガラス上のフォトクロミ
ック有機膜は紫色に着色した。またこのように紫色に着
色したフォトクロミック有機膜に可視光を照射したり、
暗所に置いたりすることによって、閉環体が開環体に戻
り、退色した。この着色、退色の反応は可逆的に繰り返
して行なうことができた。図2に紫外光照射前後の吸収
スペクトルの変化を示す。また図3に暗所下での波長6
35nmにおける吸光度の時間変化を示す。この退色の
反応は、退色速度定数0.0154(1/s)であり、
呈退色は可逆的に繰り返し行なうことができた。島津製
作所製分光光度計「UV−3100PC」により測定し
た着色体の可視域での吸収の極大波長は635nmであ
った。
【0075】(実施例8)ポリビニルブチラール(PV
B)をエタノールに重量比1:19で溶解し、PVB溶
液を調製した。そして実施例2で得た1,2−ビス(2
−シアノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘ
キサフルオロシクロペンテンが5mMになるようにこの
PMMA溶液に溶解し、混合溶液を調製した。この混合
溶液を石英ガラス板の上にスピンコートし、自然乾燥し
てエタノールを蒸発除去することによって、厚み2.8
μmのフォトクロミック有機膜を得た。
B)をエタノールに重量比1:19で溶解し、PVB溶
液を調製した。そして実施例2で得た1,2−ビス(2
−シアノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘ
キサフルオロシクロペンテンが5mMになるようにこの
PMMA溶液に溶解し、混合溶液を調製した。この混合
溶液を石英ガラス板の上にスピンコートし、自然乾燥し
てエタノールを蒸発除去することによって、厚み2.8
μmのフォトクロミック有機膜を得た。
【0076】このようにして得られたフォトクロミック
有機膜は、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメチ
ル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペンテ
ンがが色素としてPMMA中に分散しており、紫外光照
射前は無色透明であるが、超高圧水銀灯により波長30
9.5nmの紫外光を放射照度7.70μW/cm2で
照射すると、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメ
チル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペン
テンが閉環体に異性化し、石英ガラス上のフォトクロミ
ック有機膜は紫色に着色した。またこのように紫色に着
色したフォトクロミック有機膜に可視光を照射したり、
暗所に置いたりすることによって、閉環体が開環体に戻
り、退色した。この着色、退色の反応は可逆的に繰り返
して行なうことができた。図4に紫外光照射前後の吸収
スペクトルの変化を示す。また図5に暗所下での波長6
35nmにおける吸光度の時間変化を示す。この退色の
反応は、退色速度定数0.0140(1/s)であり、
呈退色は可逆的に繰り返し行なうことができた。島津製
作所製分光光度計「UV−3100PC」により測定し
た着色体の可視域での吸収の極大波長は635nmであ
った。
有機膜は、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメチ
ル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペンテ
ンがが色素としてPMMA中に分散しており、紫外光照
射前は無色透明であるが、超高圧水銀灯により波長30
9.5nmの紫外光を放射照度7.70μW/cm2で
照射すると、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメ
チル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペン
テンが閉環体に異性化し、石英ガラス上のフォトクロミ
ック有機膜は紫色に着色した。またこのように紫色に着
色したフォトクロミック有機膜に可視光を照射したり、
暗所に置いたりすることによって、閉環体が開環体に戻
り、退色した。この着色、退色の反応は可逆的に繰り返
して行なうことができた。図4に紫外光照射前後の吸収
スペクトルの変化を示す。また図5に暗所下での波長6
35nmにおける吸光度の時間変化を示す。この退色の
反応は、退色速度定数0.0140(1/s)であり、
呈退色は可逆的に繰り返し行なうことができた。島津製
作所製分光光度計「UV−3100PC」により測定し
た着色体の可視域での吸収の極大波長は635nmであ
った。
【0077】(実施例9)ポリスチレン(PS)をトル
エンに重量比1:9で溶解し、PS溶液を調製した。そ
して実施例2で得た1,2−ビス(2−シアノ−1,5
−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシク
ロペンテンが5mMになるようにこのPS溶液に溶解
し、混合溶液を調製した。この混合溶液を石英ガラス板
の上にスピンコートし、自然乾燥してアセトンを蒸発除
去することによって、厚み1.1μmのフォトクロミッ
ク有機膜を得た。
エンに重量比1:9で溶解し、PS溶液を調製した。そ
して実施例2で得た1,2−ビス(2−シアノ−1,5
−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシク
ロペンテンが5mMになるようにこのPS溶液に溶解
し、混合溶液を調製した。この混合溶液を石英ガラス板
の上にスピンコートし、自然乾燥してアセトンを蒸発除
去することによって、厚み1.1μmのフォトクロミッ
ク有機膜を得た。
【0078】このようにして得られたフォトクロミック
有機膜は、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメチ
ル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペンテ
ンがが色素としてPS中に分散しており、紫外光照射前
は無色透明であるが、超高圧水銀灯により波長309.
5nmの紫外光を放射照度7.70μW/cm2で照射
すると、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメチル
−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペンテン
が閉環体に異性化し、石英ガラス上のフォトクロミック
有機膜は紫色に着色した。またこのように紫色に着色し
たフォトクロミック有機膜に可視光を照射したり、暗所
に置いたりすることによって、閉環体が開環体に戻り、
退色した。この着色、退色の反応は可逆的に繰り返して
行なうことができた。図6に紫外光照射前後の吸収スペ
クトルの変化を示す。また図7に暗所下での波長635
nmにおける吸光度の時間変化を示す。この退色の反応
は、退色速度定数0.01010(1/s)であり、呈
退色は可逆的に繰り返し行なうことができた。島津製作
所製分光光度計「UV−3100PC」により測定した
着色体の可視域での吸収の極大波長は635nmであっ
た。
有機膜は、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメチ
ル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペンテ
ンがが色素としてPS中に分散しており、紫外光照射前
は無色透明であるが、超高圧水銀灯により波長309.
5nmの紫外光を放射照度7.70μW/cm2で照射
すると、1,2−ビス(2−シアノ−1,5−ジメチル
−ピロール−4−イル)ヘキサフルオロシクロペンテン
が閉環体に異性化し、石英ガラス上のフォトクロミック
有機膜は紫色に着色した。またこのように紫色に着色し
たフォトクロミック有機膜に可視光を照射したり、暗所
に置いたりすることによって、閉環体が開環体に戻り、
退色した。この着色、退色の反応は可逆的に繰り返して
行なうことができた。図6に紫外光照射前後の吸収スペ
クトルの変化を示す。また図7に暗所下での波長635
nmにおける吸光度の時間変化を示す。この退色の反応
は、退色速度定数0.01010(1/s)であり、呈
退色は可逆的に繰り返し行なうことができた。島津製作
所製分光光度計「UV−3100PC」により測定した
着色体の可視域での吸収の極大波長は635nmであっ
た。
【0079】(比較例)ポリエチレングリコール(PE
G)を水とアセントンに1:3:9の重量比で溶解し、
PEG溶液を調製した。そして実施例2で得た1,2−
ビス(2−シアノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−
イル)ヘキサフルオロシクロペンテンが5mMになるよ
うにこのPEG溶液に溶解し、混合溶液を調製した。こ
の混合溶液を石英ガラス板の上にスピンコートし、自然
乾燥して水とアセトンを蒸発除去することによって、厚
み1.1μmの有機膜を得た。
G)を水とアセントンに1:3:9の重量比で溶解し、
PEG溶液を調製した。そして実施例2で得た1,2−
ビス(2−シアノ−1,5−ジメチル−ピロール−4−
イル)ヘキサフルオロシクロペンテンが5mMになるよ
うにこのPEG溶液に溶解し、混合溶液を調製した。こ
の混合溶液を石英ガラス板の上にスピンコートし、自然
乾燥して水とアセトンを蒸発除去することによって、厚
み1.1μmの有機膜を得た。
【0080】この有機膜は1,2−ビス(2−シアノ−
1,5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオ
ロシクロペンテンが析出して白濁しており、また超高圧
水銀灯により波長309.5nmの紫外光を放射照度
7.70μW/cm2で照射したところ、石英ガラス上
の有機膜に変化はみられなかった。
1,5−ジメチル−ピロール−4−イル)ヘキサフルオ
ロシクロペンテンが析出して白濁しており、また超高圧
水銀灯により波長309.5nmの紫外光を放射照度
7.70μW/cm2で照射したところ、石英ガラス上
の有機膜に変化はみられなかった。
【0081】
【発明の効果】上記のように本発明に係るジアリールエ
テン系化合物は、繰り返し耐久性に優れたジアリールエ
テン系化合物に、暗所下での熱的退色性を付与すること
ができるものであり、調光材料としての用途に有効に使
用することができるものである。
テン系化合物は、繰り返し耐久性に優れたジアリールエ
テン系化合物に、暗所下での熱的退色性を付与すること
ができるものであり、調光材料としての用途に有効に使
用することができるものである。
【0082】また、本発明に係るフォトクロミック有機
膜は、繰り返し耐久性に加えて、退色速度が速く、暗所
においても熱的に退色させることが可能であり、有機フ
ォトクロミック材料として有効に使用することができる
ものである。
膜は、繰り返し耐久性に加えて、退色速度が速く、暗所
においても熱的に退色させることが可能であり、有機フ
ォトクロミック材料として有効に使用することができる
ものである。
【図1】実施例6で得たフォトクロミック有機膜の紫外
光照射前後の吸収スペクトルの変化を示すグラフであ
る。
光照射前後の吸収スペクトルの変化を示すグラフであ
る。
【図2】実施例7で得たフォトクロミック有機膜の紫外
光照射前後の吸収スペクトルの変化を示すグラフであ
る。
光照射前後の吸収スペクトルの変化を示すグラフであ
る。
【図3】実施例7で得たフォトクロミック有機膜の暗所
下での波長635nmにおける吸光度の時間変化を示す
グラフである。
下での波長635nmにおける吸光度の時間変化を示す
グラフである。
【図4】実施例8で得たフォトクロミック有機膜の紫外
光照射前後の吸収スペクトルの変化を示すグラフであ
る。
光照射前後の吸収スペクトルの変化を示すグラフであ
る。
【図5】実施例8で得たフォトクロミック有機膜の暗所
下での波長635nmにおける吸光度の時間変化を示す
グラフである。
下での波長635nmにおける吸光度の時間変化を示す
グラフである。
【図6】実施例9で得たフォトクロミック有機膜の紫外
光照射前後の吸収スペクトルの変化を示すグラフであ
る。
光照射前後の吸収スペクトルの変化を示すグラフであ
る。
【図7】実施例9で得たフォトクロミック有機膜の暗所
下での波長635nmにおける吸光度の時間変化を示す
グラフである。
下での波長635nmにおける吸光度の時間変化を示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 5/23 G02B 5/23 G03C 1/73 503 G03C 1/73 503 (72)発明者 佐用 浩一 兵庫県神戸市灘区福住通8丁目2番17号 (72)発明者 巖本 政博 兵庫県神戸市長田区東尻池2丁目9番5号 −306 (72)発明者 林 茂彦 兵庫県神戸市兵庫区下三条町2丁目6番 (72)発明者 黒田 浩太郎 兵庫県神戸市長田区久保町3丁目9番15号 −201 (72)発明者 内田 欣吾 滋賀県草津市草津町1662−1−303 (72)発明者 入江 正浩 福岡市早良区室見4丁目24番25号−706 Fターム(参考) 2H048 DA04 DA24 2H123 AA08 4C050 AA01 AA08 BB04 CC04 EE02 FF02 FF03 GG02 HH01 4C069 AA26 AC07 BA01 BB06 BB34 BB56 BD09 4H006 AA01 AA03 AB92 EA36
Claims (9)
- 【請求項1】 一般式(1)で示されるジアリールエテ
ン系化合物。 【化1】 但し、式(1)中nは2〜5の整数、Aは一般式(2)
を表す。 【化2】 但し、式(2)中、R1はアルキル基、R2はアルキル
基あるいはシアノ基から選ばれる置換基を表す。 - 【請求項2】 上記一般式(1)において、nは3であ
り、上記一般式(2)において、R1及びR2はメチル
基であることを特徴とする請求項1に記載のジアリール
エテン系化合物。 - 【請求項3】 一般式(1)で示されるジアリールエテ
ン系化合物。 【化3】 但し、式(1)中nは2〜5の整数、Aは一般式(3)
を表す。 【化4】 但し、式(3)中、R4はアルキル基、R5は飽和炭化
水素基、R6は水素原子あるいはアルキル基あるいはシ
アノ基、R7はアルキル基、シアノ基あるいは一般式
(4)のフェニル基を表す。 【化5】 但し、式(4)中、R8〜R12は水素原子、フッ素原
子、アルキル基、シアノ基を表す。 - 【請求項4】 上記請求項3の一般式(1)において、
nは3であり、一般式(3)においてR4及びR5はメ
チル基、R6は水素原子、R7はシアノ基であることを
特徴とする請求項3に記載のジアリールエテン系化合
物。 - 【請求項5】 上記請求項3の一般式(1)において、
nは3であり、一般式(3)においてR4及びR5はメ
チル基、R6は水素原子、R7は上記式(4)(ただ
し、R8〜R12は水素原子)であることを特徴とする
請求項3に記載のジアリールエテン系化合物。 - 【請求項6】 上記請求項3の一般式(1)において、
nは3であり、一般式(3)においてR4はメチル基、
R5はイソプロピル基、R6は水素原子、R 7は上記式
(4)(ただし、R8〜R12は水素原子)であること
を特徴とする請求項3に記載のジアリールエテン系化合
物。 - 【請求項7】 上記請求項3の一般式(1)において、
nは3であり、一般式(3)においてR4はメチル基、
R5はシクロヘキシル基、R6は水素原子、R7は上記
式(4)(ただし、R8〜R12は水素原子)であるこ
とを特徴とする請求項3に記載のジアリールエテン系化
合物。 - 【請求項8】 上記請求項1乃至7のいずれかに記載の
ジアリールエテン化合物を分散させたポリマーを製膜す
ることによって形成して成ることを特徴とするフォトク
ロミック有機膜。 - 【請求項9】 ポリマーとして、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリビニルブチラール、ポリスチレンから選ばれ
るものを用いて成ることを特徴とする請求項8に記載の
フォトクロミック有機膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11244049A JP2000344693A (ja) | 1999-03-30 | 1999-08-30 | ジアリールエテン系化合物及びフォトクロミック有機膜 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11-88998 | 1999-03-30 | ||
JP8899899 | 1999-03-30 | ||
JP11244049A JP2000344693A (ja) | 1999-03-30 | 1999-08-30 | ジアリールエテン系化合物及びフォトクロミック有機膜 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000344693A true JP2000344693A (ja) | 2000-12-12 |
Family
ID=26430314
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11244049A Withdrawn JP2000344693A (ja) | 1999-03-30 | 1999-08-30 | ジアリールエテン系化合物及びフォトクロミック有機膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000344693A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004003107A1 (en) * | 2002-06-28 | 2004-01-08 | Qinetiq Limited | Potochromic liquid crystals |
WO2007105620A1 (ja) * | 2006-03-10 | 2007-09-20 | Kyoto University | ジアリールエテン化合物の製造方法、及び新規ジアリールエテン化合物 |
US7355775B2 (en) | 2003-07-07 | 2008-04-08 | The University Of Hong Kong | Photochromic diarylethene-containing coordination compounds and the production thereof |
US7755826B2 (en) | 2003-07-07 | 2010-07-13 | The University Of Hong Kong | Photochromic diarylethene-containing coordination compounds and the production thereof |
JP2011168544A (ja) * | 2010-02-19 | 2011-09-01 | Chemiprokasei Kaisha Ltd | ピロール系化合物、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 |
-
1999
- 1999-08-30 JP JP11244049A patent/JP2000344693A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004003107A1 (en) * | 2002-06-28 | 2004-01-08 | Qinetiq Limited | Potochromic liquid crystals |
US7416682B2 (en) | 2002-06-28 | 2008-08-26 | Chi Mei Optoelectronics Corporation | Photochromic liquid crystals |
US7355775B2 (en) | 2003-07-07 | 2008-04-08 | The University Of Hong Kong | Photochromic diarylethene-containing coordination compounds and the production thereof |
US7755826B2 (en) | 2003-07-07 | 2010-07-13 | The University Of Hong Kong | Photochromic diarylethene-containing coordination compounds and the production thereof |
WO2007105620A1 (ja) * | 2006-03-10 | 2007-09-20 | Kyoto University | ジアリールエテン化合物の製造方法、及び新規ジアリールエテン化合物 |
JP5216954B2 (ja) * | 2006-03-10 | 2013-06-19 | 国立大学法人京都大学 | ジアリールエテン化合物の製造方法 |
JP2011168544A (ja) * | 2010-02-19 | 2011-09-01 | Chemiprokasei Kaisha Ltd | ピロール系化合物、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20061107 |