JP2000233232A - フランジ加工用プレス成形装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 トランスファプレス等の高速生産に対応する
ために、フランジ部の成形を司るロータリーポンチの回
転角およびプレスストロークを可及的に小さくする。 【解決手段】 上型３側のスライドカム５にてロータリ
ーポンチ１３を回転駆動させながら、そのスライドカム
５をコラプスポンチ１２にて駆動させて、鋭角な角度を
もってフランジ部Ｆ２を曲折成形する。フランジ部Ｆ２
の成形後にロータリーポンチ１３が逆転動作したとして
も、そのフランジ成形部１３ａはフランジ部Ｆ２から完
全に抜け出ないので、コラプスポンチ１２全体を油圧シ
リンダ１４にて退避動作させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はフランジ加工用のプ
レス成形装置に関し、特に自動車の外板パネルに代表さ
れるように、予め所定形状に絞り成形されたパネルの端
部に鋭角な角度をもって成形され、且つプレス方向に対
して引っ掛かりの関係となるいわゆるインバース形状の
フランジ部を成形するためのプレス成形装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４，５に示すような自動車のフロント
フェンダパネルＷにあっては、その上縁にフードリッジ
パネルとの結合部となるフランジ部Ｆ１が形成されるほ
か、ホイールアーチ部Ｗａに相当する部分にもフランジ
部Ｆ２が形成される。特にホイールアーチ部Ｗａのフラ
ンジ部Ｆ２は母材表面に対して鋭角な角度θをもって成
形されるが故に、このフランジ部Ｆ２の成形にあたって
は例えば実開昭５９−１８５０１９号公報等に示される
コラプスカム構造のプレス成形装置のほか、図６に示す
ようなロータリーポンチ構造のプレス成形装置が使用さ
れる。

【０００３】このロータリーポンチ構造のプレス成形装
置によるフランジ部Ｆ２の成形は、上記コラプスカム構
造におけるコラプスカム（ポンチ）そのものの一部を回
転式のロータリーポンチ６に置き換えたものと理解する
ことができ、図６に示すように、予め絞り成形されたフ
ロントフェンダパネル（以下、これをワークという）Ｗ
を下型１側のポンチ２と上型３側のパッド４とで加圧拘
束する一方、上型３の下降に伴って該上型３側のスライ
ドカム５をロータリーポンチ６と一体のドライブプレー
ト７に当接させて該ロータリーポンチ６を回転駆動させ
る。そして、ドライブプレート７がポンチ２のドライブ
カム面２ａに当接するとそれ以上のロータリーポンチ６
の回転が不能となり、以降はそのドライブカム面２ａに
よりスライドカム５がスライド駆動されて、このスライ
ドカム５とロータリーポンチ６との協働によりフランジ
部Ｆ２が曲折成形される。

【０００４】なお、図７に示すように上型３が上昇する
と、それに伴って図示しないリターンスプリングの力に
よりロータリーポンチ６が逆転動作し、これをもってロ
ータリーポンチ６のフランジ成形部６ａが成形後のイン
バース形状のフランジ部Ｆ２から抜け出てその干渉が回
避されることから、以降はロータリーポンチ６からその
上方へのワークＷの取り出しが可能となる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このようなロータリー
ポンチ構造のプレス成形装置では、成形後のフランジ部
Ｆ２からのフランジ成形部６ａの抜き取りが容易である
反面、フランジ部Ｆ２の長さＬ（図５参照）が長くなれ
ばなるほど上記フランジ成形部６ａの抜き取りに必要な
ロータリーポンチ６の回転角が大きくなるため、結果と
して図７に示すプレスストロークＳが大きくなり、とり
わけ生産性の高いトランスファプレスに適用した場合に
あってもその運転速度の高速化におのずと限界がある。

【０００６】本発明は以上のような課題に着目してなさ
れたもので、従来のロータリーポンチ構造を基本としつ
つも、ロータリーポンチの回転角ひいてはプレスストロ
ークの縮小化を可能としたプレス成形装置を提供しよう
とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、上型側のパッドと下型とでワークを加圧拘束しつ
つ、その上型と下型との協働によりワークの端部に鋭角
な角度をもってフランジ部を曲折成形するプレス成形装
置であって、上型は、上ホルダと、この上ホルダに上下
動可能に弾性支持されたパッドと、同じく上ホルダにス
ライド可能に支持されて下型側のドライブカム面との摺
接により駆動されるスライドカムとから構成されている
一方、下型は、下ホルダと、この下ホルダに搭載され
て、成形後のフランジ部と後記ロータリーポンチとの係
合関係を解除するべく所定のタイミングでスライド駆動
されるコラプスポンチと、成形すべきフランジ部の長さ
を接線とする円の中心を回転中心として前記コラプスポ
ンチに回転可能に支持されるとともに、前記スライドカ
ムの昇降動作に応じて回転駆動されて該スライドカムと
の協働によりフランジ部の成形を直接司るロータリーポ
ンチとから構成されていることを特徴としている。

【０００８】また、請求項２に記載の発明は、請求項１
に記載の発明におけるコラプスポンチは油圧あるいは空
気圧等の流体圧シリンダの作動によりスライド駆動され
るようになっていることを特徴としている。

【０００９】したがって、請求項１に記載の発明では、
スライドカムとロータリーポンチとの協働によるフラン
ジ部の成形は基本的に従来のロータリーポンチ構造と同
じ挙動のもとで行われる。そして、プレスストロークの
縮小化ひいてはロータリーポンチの回転角の縮小化を図
った場合、ロータリーポンチが成形後のフランジ部から
抜け出るべく逆転したとしてもそのロータリーポンチの
フランジ成形部はフランジ部から完全には抜け出ない。
そこで、上記のロータリーポンチの逆転後にこのロータ
リーポンチをコラプスポンチごとスライド駆動させるこ
とで初めてロータリーポンチのフランジ成形部が成形後
のフランジ部から完全に抜け出ることになる。これによ
り、例えばトランスファプレスに適用したとしても、そ
の高速生産性を阻害することなくフランジ加工を無理な
く行えるようになる。

【００１０】ここで、請求項２に記載の発明のように、
上記コラプスポンチのスライド動作をエアシリンダもし
くは油圧シリンダ等の流体圧シリンダにて行わせた場合
には、コラプスポンチの作動タイミングの調整のみが必
要となるだけで、コラプスポンチのスライド動作そのも
のはプレス動作には依存しないので、上記トランスファ
プレスの高速運転を何ら阻害することはない。

【００１１】

【発明の効果】請求項１に記載の発明によれば、ロータ
リーポンチの回転半径や回転角ひいてはプレスストロー
クを従来のものより大幅に小さくすることができるの
で、とりわけトランスファプレス等の生産性に優れたプ
レス設備に適用した場合でも、インバース形状のフラン
ジ部を成形するためのプレス加工の高速生産性を維持で
きる効果がある。

【００１２】また、請求項２に記載の発明によれば、コ
ラプスポンチのスライド動作を流体圧シリンダにて行う
ようにしたことにより、コラプスポンチのスライド動作
はプレス機械のプレス動作そのものには依存しないの
で、生産性をより一層向上できる効果がある。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１〜３は本発明の好ましい実施
の形態を示す図であって、図６，７に示した従来の構造
のものとは下型の構造が異なっている。

【００１４】図１に示すように、上型３は、上ホルダ８
と、この上ホルダ８に上下動可能に支持されたパッド４
と、同じく上ホルダ８の傾斜したスライド案内面８ａに
スライド可能に支持されたスライドカム５とから構成さ
れている。パッド４は上ホルダ８に対して相対的に所定
量上昇動作することで圧力源たる流体封入タイプの弾性
手段９により下向きの弾性力が付与されるようになって
いるとともに、スライドカム５は後述するドライブカム
面１２ａとの摺接によりストロークＳ１の範囲内でスラ
イド動作するようになっている。そして、スライドカム
５は傾斜したカム面５ａを有していて、図示外のリター
ンスプリングによって矢印ａ方向の復帰力が付与されて
いる。

【００１５】一方、下型１０は、下ホルダ１１と、この
下ホルダ１１の傾斜したスライド案内面１１ａにスライ
ド可能に支持されたコラプスカムタイプのコラプスポン
チ１２と、コラプスポンチ１２に設けられたロータリー
ポンチ１３とから構成されている。コラプスポンチ１３
は傾斜したドライブカム面１２ａを有しているととも
に、例えば油圧シリンダ１４の伸縮作動に応じてストロ
ークＳ２の範囲内でスライド動作するようになってい
る。ロータリーポンチ１３は、コラプスポンチ１２の中
央部に形成された円筒状の案内面１２ｂに回転可能に支
持されていて、断面略矩形状の凹部１５に隣接する先端
部には、上記スライドカム５と協働してフランジ部Ｆ２
の成形を直接司るフランジ成形部１３ａが形成されてい
るほか、他端部にはドライブプレート７が一体に固定さ
れている。そして、ロータリーポンチ１３は、図１に示
す正転限位置と図２に示す逆転限位置との間で正逆転可
能となっているとともに、その回転中心Ｐはおおよそ成
形すべきフランジ部Ｆ２を接線とする円の中心位置に設
定されていて、さらにロータリーポンチ１３には図示外
のリターンスプリングによって矢印ｂ方向の復帰力が付
与されている。

【００１６】このように構成されたプレス成形装置によ
れば、図１に破線Ｑで示すように予めフランジ部Ｆ２が
ほぼ直角に曲折成形されたワークＷをコラプスポンチ１
２上に位置決めした上で上型３を下降させる。この時、
油圧シリンダ１４が伸長状態にあるためにコラプスポン
チ１２はスライド案内面１１ａに沿いつつ上昇限位置に
保持されている。つまり、図３はフランジ部Ｆ２の成形
が終わって上型３が上昇した状態を示しているが、上記
フランジ部Ｆ２の成形前においてもプレス型の各構成要
素は図３と同じ状態にある。

【００１７】上型３が下降すると、最初にスライドカム
５のカム面５ａがロータリーポンチ１３側のドライブプ
レート７に当接し（図２と同じ状態）、このスライドカ
ム５とドライブプレート７との当接によってロータリー
ポンチ１３が徐々に正転動作し、ドライブプレート７が
コラプスカム１２のドライブカム面１２ａに当接するこ
とでロータリーポンチ１３は最終的に図１に示す正転限
位置に位置決めされる。そして、ロータリーポンチ１３
が正転限位置に位置決めされるよりわずかに遅れてパッ
ド４がワークＷに当接してこれを加圧拘束するようにな
る。

【００１８】上記のようにドライブプレート７がドライ
ブカム面１２ａに当接した状態とは、スライドカム５の
カム面５ａがドライブプレート７を介して間接的にドラ
イブカム面１２ａに当接した状態を意味することから、
この状態からなおも上型３が下降すると、スライドカム
５はドライブカム面１２ａにより駆動されて相対的にス
ライド案内面８ａに沿って上動しつつも、その先端部が
ロータリーポンチ１３側の凹部１５に進入する。その結
果、ロータリーポンチ１３とスライドカム５との協働に
よって、図１に示すようにフランジ部Ｆ２が母材に対し
て鋭角な角度となるように曲折成形される。

【００１９】このフランジ部Ｆ２の曲折成形をもって上
型３が下死点に達し、上型３が再び下死点から上昇し始
めると、図２に示すようにロータリーポンチ１３側のド
ライブプレート７がコラプスポンチ１２側のドライブカ
ム面１２ａから徐々に離れることでそのロータリーポン
チ１３が逆転動作する。このロータリーポンチ１３が逆
転限位置に達してもロータリーポンチ１３のフランジ成
形部１３ａは成形されたばかりのフランジ部Ｆ２から完
全に抜け出せず、なおもプレス方向に対してそのフラン
ジ部Ｆ２が引っ掛かりの関係となるいわゆるインバース
状態にある（図２に示す状態）。

【００２０】そこで、スライドカム５がドライブプレー
ト７から完全に離れるのを待って、図３に示すように油
圧シリンダ１４が収縮動作し、この動きに伴ってロータ
リーポンチ１３がコラプスポンチ１２とともに下降限位
置までスライド動作し、これにより初めてフランジ部Ｆ
２からロータリーポンチ１３のフランジ成形部１３ａが
抜け出て、先のインバースの関係が解除される。この
後、図示外のリフター等によりワークＷ全体を真上に押
し上げることで下型１０からのワークＷの取り出しが可
能となる。

【００２１】このように本実施の形態によれば、スライ
ド式のコラプスポンチ１２にロータリーポンチ１３を付
帯させた構造としたことにより、図６と比較すると明ら
かなように、ロータリーポンチ１３の半径および回転角
を大幅に小さくすることができ、その結果として上記ロ
ータリーポンチ１３を回転駆動させるためのプレススト
ロークもまた従来のもの（図７のストロークＳ）と比べ
て大幅に小さくすることができるようになる。

【００２２】なお、上記実施の形態では、フロントフェ
ンダパネルのフランジ加工を例にとって説明したが、本
発明はフロントフェンダパネル以外の各種のパネルのフ
ランジ加工にも適用できることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るプレス成形装置の好ましい実施の
形態を示す図で、上型が下死点に到達した時の状態を示
す断面説明図。

【図２】図１の状態から上型が所定量だけ上昇した時の
状態を示す断面説明図。

【図３】図２の状態からさらに上型が上昇してスライド
カムがドライブプレートから離間した時の状態を示す断
面説明図。

【図４】自動車のフロントフェンダパネルの一例を示す
正面説明図。

【図５】図４のＡ−Ａ線に沿う断面図。

【図６】従来のコラプスカム構造のプレス成形装置の一
例を示す断面説明図。

【図７】図６の状態から上型が上昇した時の状態を示す
断面説明図。

【符号の説明】

３…上型 ４…パッド ５…スライドカム ７…ドライブプレート ８…上ホルダ １０…下型 １１…下ホルダ １２…コラプスポンチ １２ａ…ドライブカム面 １３…ロータリーポンチ １３ａ…フランジ成形部 １４…油圧シリンダ（流体圧シリンダ） Ｆ２…フランジ部 Ｗ…ワーク（フロントフェンダパネル）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｂ２１Ｄ 37/08 Ｂ２１Ｄ 37/08

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上型側のパッドと下型とでワークを加圧
   拘束しつつ、その上型と下型との協働によりワークの端
   部に鋭角な角度をもってフランジ部を曲折成形するプレ
   ス成形装置であって、 上型は、上ホルダと、この上ホルダに上下動可能に弾性
   支持されたパッドと、同じく上ホルダにスライド可能に
   支持されて下型側のドライブカム面との摺接により駆動
   されるスライドカムとから構成されている一方、 下型は、下ホルダと、この下ホルダに搭載されて、成形
   後のフランジ部と後記ロータリーポンチとの係合関係を
   解除するべく所定のタイミングでスライド駆動されるコ
   ラプスポンチと、成形すべきフランジ部の長さを接線と
   する円の中心を回転中心として前記コラプスポンチに回
   転可能に支持されるとともに、前記スライドカムの昇降
   動作に応じて回転駆動されて該スライドカムとの協働に
   よりフランジ部の成形を直接司るロータリーポンチとか
   ら構成されていることを特徴とするフランジ加工用プレ
   ス成形装置。
2. 【請求項２】 前記コラプスポンチは流体圧シリンダの
   作動によりスライド駆動されるようになっていることを
   特徴とする請求項１に記載のフランジ加工用プレス成形
   装置。