JP2000230054A - ポリマー組成物及びポリマー材料 - Google Patents
ポリマー組成物及びポリマー材料Info
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Abstract
ポリマー組成物、並びにこのポリマー組成物からなり、
強度に優れ、ゴム的な特性を示す各種のポリマー材料を
提供する。 【解決手段】 A)エポキシ基を有するゴム1〜90重量
部、 B)カルボキシル基を有するポリマー99〜10重量部、
及び C)強ルイス酸、pKa4.5以下の酸またはpKb4.0以下
の塩基を含有するポリマー組成物。
Description
ー組成物及びそれを架橋して得られるポリマー材料に関
する。
発現させる上での最重要技術である。ゴムの架橋は架橋
(促進)剤として硫黄やその化合物を用いて行われること
が多いが、硫黄架橋は生物への毒性、ゴム製品表面への
ブルーム、ゴム製品と接する金属部分の腐食、オイルの
汚染等で問題とされる場合がある。硫黄架橋に次いで多
用される架橋法は、過酸化物を架橋剤とする方法であ
る。この架橋法は上記したような問題は生じないが、一
般に非酸素雰囲気下でしか行うことができず、それ故適
用し得る用途が限られる。また、過酸化物架橋剤は概し
て高価であり、品種によっては爆発のおそれも有する。
さらに、これら硫黄系、過酸化物系の架橋剤は、使用す
るゴムによって、架橋速度や相容性が異なる。それ故、
ブレンドゴムの架橋に用いられた場合、成分毎の架橋密
度の相違、物性低下等の問題を生じることがある。
レンドして加熱成形すると架橋反応が生じることを見出
し、Self-vulcanizable rubber blend systemとして提
唱した(例えばJ.Polymer Science,Polymer Letters,27,
p361(1989)、Plast.Rubber Proc.Appl.,14(4),p223(199
0)、Polymer reports,31,p118(1990)、Kautsch.GummiKu
nstst.,43,p1002(1990),45,p537(1992)、日本ゴム協会
誌,68(11),p767(1995)、ポリファイル,1996年8月号,p56
を見よ)。この架橋は硫黄(化合物)のような架橋剤を必
要とせず、また、酸素雰囲気下でも進行するので、上記
したようなオイル汚染、爆発等の問題を生じない。しか
も2種のゴムを相互に架橋させるので、ゴム成分毎に架
橋密度が相違することもない。このようなSelf-架橋型
のブレンド系として、エポキシ化天然ゴム(ENR)/カ
ルボキシル化ニトリルゴム(c-NBR)系(前掲の文献を
見よ)、ENR/ポリアクリル酸系(Polym.Plast.Techno
l.Eng.,32,p343(1993)、J.Elastmers Plastics,29,p239
(1997)、J.Appl.Polym.sci.,50,p1627(1993)、Polym.Ne
tworks Blends,3,p51(1993))、ENR/各種塩素化ポリ
マーの系、c-NBR/エポキシ樹脂の系(Rubber Chem.T
echnol.,36,p931(1963)、J.Appl.Polym.Sci.,27,p4561
(1982))、c-NBR/各種塩素化ポリマーの系、三者ブ
レンド系、並びに、ENR/ジカルボキシル化ポリ(ε-
カプロラクトン)系(J.Mater.Chem.,6(12),p1865(1996))
等が報告されている。
エポキシ化合物と(共役)塩基とを用いてカルボキシル
基含有アクリルゴムを架橋させる技術(特公昭60-8007
号) 、2個以上のエポキシ基を含む化合物及び窒素また
はリン化合物を用いてc-NBRを架橋させる技術(特開
平10-36563号) が知られている。後者技術においては、
窒素またはリン化合物として第三アミンもしくはホスフ
ィンまたは第四アンモニウムもしくはホスホニウム塩が
使用されており、エポキシ化合物としてはグリシジル化
合物、エポキシ樹脂、エポキシ変性シリコーンオイルが
列挙されている。また、特公平3-68052号公報には、分
子中に複数のカルボキシル基を有する化合物によってエ
ポキシ基含有アクリルゴムを架橋させる技術が記載され
ており、カルボキシル基含有化合物の一つとしてc-NB
Rが用いられている。これらの技術においては、第四ア
ンモニウム塩等の(共役)塩基が架橋促進剤として必須成
分となっており、それらを用いない系では良好な架橋物
は得られていない。他に、カルボキシル基とエポキシ基
とを有するアクリルゴムを、特定のアンモニウム塩で架
橋させる技術(日本ゴム協会誌,60,p469(1987)、A.C.S.P
olymer Preprints,26,p32(1985)、Rubber Chemistry an
d Technology,56,p21(1983))、ENRをジカルボン酸
(モノマー)や酸無水物等で架橋させる技術(Trans.Inst.
Rubb.Ind.,38,T11(1962))、エポキシ基含有エラストマ
ーをジカルボン酸及びホスフェンを用いて架橋させる技
術(特開平3-97720号) 、両末端カルボキシル変性液状ニ
トリルゴムを反応させたエポキシ樹脂の繊維複合材(高
分子論文集,45,p1(1988)、中尾他)等が知られている。
エポキシ基をカルボキシル基と反応させる上記の系で
は、高エポキシ化率ゴムを使用する必要がある。Deら
は、Self-架橋させる上でエポキシ化率50%のENR
(ENR50)が必要であり、エポキシ化率25%のEN
R(ENR25)では架橋が生じないと報告している。ま
た、我々が追試したところによると、ENR50を用い
てもc-NBRの品種によっては長い架橋時間を要し、し
かも架橋物の物性は必ずしも満足できるものではない
(後記実施例参照)。Deらの報告を見ても、架橋に45
〜60分間と言う長い時間を掛けている。c-NBR/エ
ポキシ樹脂の系の文献においても、架橋反応に180℃
で30分間以上を要しており、中尾らもカルボキシル変
性ゴムとエポキシ樹脂との反応に、窒素気流下で2時間
掛けている。こうした架橋条件は工業的観点からは非現
実的であり、実用化する上で解決すべき問題点の一つで
ある。特公昭60-8007号公報、特開平10-36563号公報、
特公平3-68052号公報に記載の技術に従い、アンモニウ
ム塩等を用いても、架橋速度や架橋物の物性改善は成さ
れない(後記実施例、比較例参照)。
であり、架橋に過酷な条件を必要としない架橋可能なポ
リマー組成物、並びにこのポリマー組成物からなり、強
度に優れ、ゴム的な特性を示す各種のポリマー材料を提
供することを目的とする。
を解決すべく検討を重ねたところ、Self-架橋型のブレ
ンド系に特定の酸または塩基の配合が有効であることを
見出した。
ゴム1〜90重量部、B)カルボキシル基を有するポリマ
ー99〜10重量部、及びC)強ルイス酸、pKa4.5以
下の酸またはpKb4.0以下の塩基を含有するポリマー
組成物である。
酸またはpKb4.0以下の塩基を使用することが、本発
明の重要な要件である。このことによって、より低官能
基量のポリマー、特に低エポキシ基量のゴムを使用する
ことができ、また、架橋速度や架橋物の物性を大きく改
善することができる。
する。本発明において、成分A)エポキシ基を有するゴム
自体は公知である。例えば、主鎖にエポキシ基を有する
ゴム、側鎖にエポキシ基を有するゴム、末端基にエポキ
シ基を有するゴムのいずれをも使用することができる。
主鎖、側鎖、末端の三者または二者にエポキシ基を有し
ていても良い。また、複数のエポキシ化ゴムを併用する
ことも可能である。ゴム分子中のエポキシ基含有モノマ
ーの成分比率(以下、エポキシ化率と言う)にも特に制
限はない。Deらの研究結果とは異なり、本発明におい
ては低エポキシ化率ゴムを使用することが可能である。
しかしながら、エポキシ化率は、好ましくは約60mol
%以下、より好ましくは約0.1〜30mol%、特に好
ましくは約1〜25mol%とする。エポキシ化率が高い
と、貯蔵安定性にやや欠け、低過ぎると架橋が困難とな
る。
例えばエポキシ基の両側に重合性基を有する化合物を
(共)重合するか、あるいは主鎖に二重結合を有するゴム
をエポキシ化する(例えば天然ゴムやブタジエンゴムを
過酢酸等で酸化する)ことにより、製造することができ
る。
公知であり、例えばエポキシ化天然ゴム(ENR)がMara
ysian Rubber Producers' Research Association U.K.
からエポキシプレン50及びエポキシプレン25の商標
で、またエポキシ化SBS(スチレン−ブタジエン−ス
チレンブロック共重合体、熱可塑性のゴム)がダイセル
化学工業(株)からエポフレンドの商標でそれぞれ市販
されている。また、ゴムをエポキシ化する方法が例えば
TRANSACTIONS,38,T11(1962)に記載されており、それに
従って製造することもできる。本発明においてはこれら
主鎖にエポキシ基を有するゴムのいずれをも使用するこ
とができ、その分子量、分子構造等に特に制限はない。
複数の主鎖にエポキシ基を有するゴムを併用することも
可能である。
有するゴムは、エポキシ化ポリイソプレンであることが
好ましい。そのことによって、架橋後のゴム弾性や強度
を良好なものとすることができる。これらエポキシ化ポ
リイソプレンにおける二重結合の形態に制限はない。例
えば1,2-結合、1,4-結合、トランス構造、シス構造等の任
意の形態を、任意の比率で採ることができる。しかし、
エポキシ化天然ゴム(ENR)の使用が、特に好ましい。
ム自体も公知である。たとえば日本ゼオン(株)のAR
-31、AR-32、AR-42、AR-42W、AR-51、A
R-54、JSR(株)のAREX120,AREX220,A
REX320、日本メクトロン(株)のNOXTITE PA301,NOX
TITE PA301K,NOXTITE PA302,NOXTITE PA312,NOXTITEPA3
03等のアクリルゴム;住友化学(株)のエスプレンEM
A2752、EMA2755等のエチレン-アクリルゴム;日本石
油(株)のE1500-8.0,E1800-6.5、日本曹達(株)の
BF-1000、長瀬産業(株)のデナレックスR-45EPT等の
エポキシ変性ブタジエンゴム等が挙げられるが、これら
に限定されない。本発明においては、側鎖にエポキシ基
を有するゴムのいずれをも使用することが出来る。複数
のエポキシ基を有するゴムを併用することも可能であ
る。
として、複数のエポキシ化ゴムを併用することもでき
る。その際のブレンド比等に特に制限はなく、例えば主
鎖にエポキシ基を有するゴムと側鎖にエポキシ基を有す
るゴムとを、90:10〜1:99の重量比で、特に7
0:30〜10:90の重量比で使用しても良い。概し
て、主鎖にエポキシ基を有するゴムはエポキシ化率が高
い故、目的によってはエポキシ基を側鎖に有するゴムを
主体とするのが好ましい。また、これらブレンドゴムに
さらに、主鎖と側鎖の双方にエポキシ基を有するゴムを
ブレンドすることもできる。
(以下、カルボキシル化ポリマーと言うことがある)もま
た、公知である。例としてカルボキシル化ニトリルゴ
ム、カルボキル化エチレン−アクリルゴム、カルボキシ
ル化ポリブタジエン、ポリアクリル酸等が挙げられる
が、これらに限定されない。複数のポリマーを併用する
こともできる。これらの内、カルボキシル化ニトリルゴ
ム、カルボキル化エチレン−アクリルゴム及び/または
カルボキシル化ポリブタジエン、特にカルボキシル化ニ
トリルゴムが好ましい。
Rと言うことがある)に特に制限はなく、種々のモノマ
ー比のものをも使用することができる。ブタジエン成分
の一部が水素化されていてもよい。c-NBRとしては、
例えばバイエルポリサー社からKRYNAC X7.50,K
RYNAC X7.40,KRYNAC X1.46,KRYNACX
1.60,KRYNAC X9.50,KRYNAC221が、日本
ゼオン(株)からNipol1072J、NipolDN631、
NipolDN601が、JSR(株)からN632Sが、
グッドイヤー社からケミガムNX775が、それぞれ市
販されている。c-NBRとして、ブタジエン部分を水素
化したものを用いることもできる。
特に制限はなく、1,2-結合、1,4-結合、トランス構造、シ
ス構造等の任意の形態を、任意の比率で採ることができ
る。二重結合の一部が水素化されていても良い。例とし
て、日本曹達(株)のNISSO-PB C-1000、CI-10
00、日本石油化学(株)の日石ポリブタジエンMM-1000-
80等が市販されている。
キシルモノマー成分の量にも、特に制限はない。しかし
ながら、当該モノマー成分量が好ましくは約0.1〜2
0mol%、より好ましくは0.5〜15mol%、特に好ま
しくは3〜10mol%のポリマーを使用する。カルボキ
シルモノマー成分の量が多いと架橋物が硬化劣化を起こ
し易くなり、少な過ぎると架橋が困難となる。また、カ
ルボキシル化ポリマーは、常温で固形のゴムであること
が好ましい。このことによって、架橋物に優れた柔軟
性、高い架橋度を導入することができる。
ル化ポリマーとの重量比は、1:99〜90:10とす
る。一般にエポキシ化ゴムとカルボキシル化ポリマーと
は相容性が良く、それ故広いブレンド比で良好な物性の
組成物を得ることができる。従って、両者のブレンド比
は上記範囲内から任意に選択することができるが、好ま
しくは3:97〜60:40、より好ましくは5:95
〜50:50、特に好ましくは8:92〜40:60と
する。特に成分B)としてc-NBRを用いた場合には、ブ
レンド比をこれら範囲内とすることによって、架橋反応
が促進され、また、強度や耐油性に優れる架橋物を得る
ことができる。
酸、pKa4.5以下の酸またはpKb4.0以下の塩基を使
用することである。このことによって架橋を促進し、か
つ架橋物の物性、例えば強度を著しく改善することがで
きる。特に成分A)エポキシ化ゴムまたは成分B)カルボキ
シル化ポリマーとして比較的低官能基量のものを用いた
場合、この効果が顕著である。中でもpKa4.5以下の
酸の添加は、架橋速度を大いに高める。
KaまたはpKb値が上記範囲内の公知の酸、塩基のいず
れをも使用することができる。例えば酸として、塩酸(p
Ka:-7.0、以下括弧内の数値はpKa値を示す)、トリフロロ
酢酸(0.2)、トリクロロ酢酸(0.65)、ジクロロ酢酸(1.2
9)、2,6-ジオキシ安息香酸(1.30)、ニトロ酢酸(1.68)、
シアノ酢酸(2.47)、フロロ酢酸(2.66)、クロロ酢酸(2.9
0)、ブロモ酢酸(2.90)、サリチル酸(2.98)、フェノキシ
酢酸(3.12)、フッ酸(3.2)、亜硝酸(3.3)、メトキシ酢酸
(3.53)、蟻酸(3.77)、安息香酸(4.20)、o-,m-,p-クロロ
安息香酸(それぞれ2.94,3.83,3.99)、o-,m-,p-ニトロ安
息香酸(それぞれ2.17,3.45,3,43)、リン酸(pKa-1:2.1
2,pKa-2:7.24)、マレイン酸(pKa-1:1.92,pKa-2:6.2
3)、フマル酸(pKa-1:3.02,pKa-2:4.38)等が挙げられ
るが、これらに限定されない。BF3、AlCl3等のルイ
ス酸を使用することもできる。ここで、BF3等のルイ
ス酸は、単独では使用し難い場合がある。これらルイス
酸は、好ましくはジエチルエーテルのような含酸素化合
物または含窒素化合物等との錯体の形で使用する。
3.00、以下、括弧内の数値はpKb値を示す)、トリエチル
アミン(3.12)、キヌクリジン(3.42)、2,2,6,6-テトラメ
チルピペリジン(2.93)、ピペリジン(2.88)、ピロリジン
(2.73)、ジブチルアミン(2.72)、1,8-ジアザビシクロ
[5.4.0]-7-ウンデセン(2.5、以下、DBUと略す)、1,5
-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、グアニジン(0.4)
等が挙げられるが、これらに限定されない。また、水
酸化カルシウム(pKb-1:1.4 ,pKb-2:2.4) 、水酸化マ
グネシウム(1.4) 等の無機化合物を使用してもよい。こ
れら酸または塩基は、それぞれを複数併用することもで
きる。
としてpKa約3.00以下の酸または強ルイス酸を使用
するのが好ましい。このことによって架橋反応の促進、
架橋物の物性改善が、より顕著なものとなる。尚、成分
A)エポキシ化ゴムのエポキシ化率によっては、あまり強
い酸を用いると架橋速度が高まり過ぎ、架橋物の外観を
損なうことがある。例えば、エポキシ化率が10mol%
程度以上の場合、使用する酸のpKa値は約1.00〜3.
00、特に約2.00〜3.00とするのが好ましい。逆
に、エポキシ化率が3mol%以下の場合には、pKa値約
2.50以下の酸またはBF3等の強ルイス酸の使用が
好適である。使用するゴムのエポキシ化率が高いほど、
pKa値の高い酸を用いるといった方法を採ることもでき
る。また、二塩基酸等はエポキシ基と反応して成分A)同
士を架橋させ得るので、成分A)と成分B)との相互架橋を
目的とするならば、一塩基酸またはpKa-2値が4.5以
上の二塩基酸を使用するのが好ましい。また、二塩基
酸、三塩基酸等においては、水素イオンの一部が他のイ
オン、例えばアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン等
で置換されていても良く、NaH2PO4、Na2HPO4等
を使用することもできる。
架橋促進効果を示さないが、架橋物の物性を確実に改善
する。特に、成分B)カルボキシル化ポリマーのカルボキ
シル基量が約2mol%以下の場合、これら塩基の添加に
よって引張特性が顕著に改善される。塩基のpKbは、好
ましくは3.0以下とする。尚、成分A)と成分B)とを(各
ポリマー同士でなく)相互に架橋させる目的からは、塩
基として第二級、第三級のアミン等を、特に第三級モノ
アミンを使用するのが好ましい。逆に、1,6-ジアミノヘ
キサンのような第一級ジアミンを用い、各ポリマー同士
の架橋をも促進させても良い。
なく、目的とする架橋速度、架橋物の物性、酸・塩基の
強度及び成分A),B)として用いたポリマーの種類に応
じ、任意に設定することができる。当業者であれば、各
種の条件を基に、所望の架橋速度及び物性を与える配合
量を選定することは容易であろう。しかしながら、一般
的にはゴム100重量部に対し、酸・塩基を約0.01
〜10重量部、特に0.1〜5重量部配合するのが好ま
しい。酸・塩基の配合量が少な過ぎると架橋があまり促
進されず、多過ぎると架橋物表面状態の悪化、永久ひず
みの増大等の問題を生じることがある。特に成分A)のエ
ポキシ化率が10mol%以上と高く、かつpKa3.00以
下の酸を使用した場合には、酸の配合量を約0.01〜
3重量部、特に0.01〜1重量部とするのが好まし
い。
方法で製造することができる。例えば二本ロール、バン
バリーミキサー、加圧ニーダー、押出機等で混練するこ
とができ、また、各成分を溶剤に溶解させた後に混ぜ合
わせても良い。
ンブラック、シリカ等の汎用のゴム用補強性フィラーを
任意的成分として配合することも出来る。特に、シリカ
の添加により、架橋をさらに促進させることも可能とな
る。
添加剤、例えば老化防止剤、カーボンブラック、シリ
カ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、粘土鉱物等のフィ
ラー、ガラス繊維等の無機繊維、アラミド繊維等の有機
繊維、顔料、分散剤、カップリング剤、相容化剤、難燃
剤、表面平滑剤、可塑剤、加工助剤等を添加することも
できる。代表的な老化防止剤の幾つかは第二級アミンで
あるが、これらの塩基性は概して弱く、本発明のポリマ
ー組成物中に添加しても架橋速度や架橋形態に殆ど影響
を及ぼさない。
(化合物)等の架橋剤を加えずとも、単に加熱するだけで
十分に架橋させることができる。架橋条件は任意であ
り、各成分として使用する原材料、目的とする架橋物性
に応じて設定することができる。例えば約100〜20
0℃の温度で、約1〜120分間加熱する。条件に応じ
て、約100〜200℃で1〜24時間の二次架橋を施
すこともできる。こうした架橋の結果、成分A)エポキシ
化ゴムと成分B)カルボキシル化ポリマーとが、両者の官
能基の反応により生じるエステル結合によって相互に架
橋される。但し、成分A)のエポキシ化率が高い場合、成
分A)または成分C)の配合量が多い場合、成分C)の酸が強
いまたは二塩基酸の場合等には、成分A)エポキシ化ゴム
同士が結合した架橋形態も生じる。架橋方法も任意であ
り、プレス架橋、蒸気架橋、熱空気架橋、放射線架橋
等、種々の慣用の架橋方法を採用することができる。特
に、成分B)としてカルボキシル化ニトリルゴム、カルボ
キシル化エチレン−アクリルゴム及び/またはカルボキ
シル化ポリブタジエンを用いた場合には、ゴム工業界で
通常用いられる架橋法のいずれをも使用することが可能
である。
は、架橋に際して硫黄(化合物)や過酸化物等の汎用架橋
剤を必要としない。そのため硫黄化合物に起因する問題
を回避することができ、医薬・食品関係、半導体関係、
電子部品、精密機械部品等、硫黄(化合物)による汚染を
嫌う用途に特に有用である。本発明はまた、上記ポリマ
ー組成物から成るシール材料をも包含する。本発明のポ
リマー組成物は、過酸化物架橋とは異なり、空気中でも
架橋させることができるので、連続生産を行う場合に特
に有用である。例えば本発明のポリマー組成物を溶剤に
溶解して金属面に塗布し、続いて溶剤の乾燥・架橋を連
続的に空気中で行って、複合材料を作成することができ
る。本発明はまた、上記ポリマー組成物と金属板とを積
層して成る複合材料をも包含する。
や過酸化物等の慣用の架橋剤を必要としない点にある
が、用途によっては、例えば硫黄の存在が問題とならな
いような場合には、任意にこれらの汎用の架橋剤を添加
し、架橋をより強固なものとすることもできる。
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。 [実施例1〜6、比較例1〜4]表1に示す配合のサン
プルを調製し、架橋の条件、架橋物の物性について検討
した。
た: ENR-1:Maraysian Rubber Producers' Research Ass
ociation U.K.のエポキシプレン25;エポキシ化率2
5mol% ENR-2:Maraysian Rubber Producers' Research Ass
ociation U.K.のエポキシプレン50;エポキシ化率5
0mol% 尚、ENR-1〜2は主鎖にエポキシ基を有するゴムであ
る。 c-NBR-1:バイエルポリサー社のカルボキシル化NB
R、KRYNAC221;カルボキシル化モノマー量7mol
%、中高ニトリル c-NBR-2:カルボキシル化NBR;カルボキシモノマ
ー量6.4(±0.3)wt%、ニトリル量27%、ML
1+4(100℃)45 c-NBR-3:カルボキシル化NBR;カルボキシモノマ
ー量0.8(±0.1)wt%、ニトリル量33.5%、ML
1+4(100℃)50 尚、c-NBR-2〜3のカルボキシモノマー量は、中和滴
定の結果を基に、当該モノマー成分がメタクリル酸であ
ると仮定して算出した値である。 C-1000:日本曹達(株)の両末端カルボキシル化ポリ
ブタジエン;酸価55〜70KOHmg/g、1,2-ビニル構造8
5%、1,4-トランス構造15% CI-1000:日本曹達(株)の両末端カルボキシル化水
素添加ポリブタジエン;酸価44〜59KOHmg/g、ヨウ
素価<21I2mg/100g HAF−CB:三菱化学(株)製カーボンブラック、ダ
イアブラックA、平均粒径31nm NipsilAQ:日本シリカ(株) 製のシリカ
下の方法で行った:表1に記載の配合物を慣用の方法に
従ってロール練りし、得られた混練物を数時間後に再練
りした後、熱プレスで所定の温度にて所定時間架橋させ
てサンプルを調製した。サンプルの幾つかについては、
さらにギアーオーブンで150℃×4hの二次架橋も施
した。
ムの引張試験方法)に従い、JIS6号ダンベルを用
い、引張速度500mm/minにて行った。極限強さとは
引張応力が最高に達した点での強さを、切断時強さとは
サンプルが切断した際の強さを、それぞれ表す。各サン
プルの配合と物性試験結果を、表1に示す。
ルアミン(pKb2.72)の添加によって、架橋物の引張強さ
が改善されること、また最大応力が切断時に現れ、ゴム
的な引張特性が示されるようになったことが明らかであ
る。特に、リン酸を添加した場合には、架橋条件をより
マイルドかつ実用的なものとすることができた。実施例
1〜3のように、Deらが殆ど架橋しないと報告したエ
ポキシプレン25(ENR-1)を用いた場合にも、実用的
な架橋条件でゴム的な引張特性を示す架橋物が得られ
た。
する酸または塩基の種類を種々に変化させた以外は、実
施例1〜6と同じ操作を行った。各サンプルの配合、架
橋に要した条件及び物性試験結果を、表2に示す。尚、
ショアーA硬さの測定は、JIS K6253(加硫ゴ
ムの硬さ試験方法)に従い行った。
ブチルアンモニウム=ブロミド GPF−CB:旭カーボン(株)製カーボンブラック、
旭#55G、平均粒径66nm 低カルボキシル基量のc-NBR-3を用いた場合、Self-
架橋物は引張強さの小さいものとなる(比較例9)。ここ
に、特公昭60-8007号公報、特開平10-36563号公報、特
公平3-68052 号公報に記載の技術に従ってアンモニウム
塩を添加しても、架橋速度、架橋物の物性は改善されな
い(比較例10)。一方、本発明に従いpKa4.5以下の
酸またはpKb3.0以下の塩基を加えた系では、引張特
性または架橋速度の少なくともいずれかが改善されるこ
とが分かる。特にpKa3.00以下の酸を用いた系で
は、両者の改善が顕著である(実施例11、12)。ま
た、実施例14、15より、リン酸のナトリウム塩も引
張特性改善効果を示すことが分かる。
ン)を添加した場合、二次架橋後の引張特性が改善され
ている(比較例7)。おそらくは第一級ジアミンによって
ENRが架橋され、未架橋成分が殆ど消失したためであ
ろう(J.Polym.Sci.A,32,p1149(1994)参照)。
成分A)ENRと成分B)c-NBRとのブレンド比を変化さ
せる検討を行った。結果を表3に示す。尚、表3に示し
た架橋物は、いずれも150℃×4hの二次架橋を施し
たものである。
$添加剤:1phr GPF−CB:旭カーボン(株)製カーボンブラック、
旭#55G、平均粒径66nm 成分A)ENRのブレンド比が5wt%程度であっても、本
発明による効果の生じることが明らかである。尚、比較
例18と、それにDBUを添加した実施例28とを比べ
ると、前者の方が引張強さが大となっているが、後者は
切断時に応力が最大となっており、DBUによってゴム
らしさが付与されたことが分かる。
の未架橋組成物をトルエン/酢酸プロピル(1/1)混合液
に溶解し、これをステンレス板の片面に塗布した。これ
を70℃で20分間乾燥後、反対側の面にも同様にして
ゴム組成物を塗布した。これを170℃のオーブン中に
15分間保持し、熱空気架橋させた(実施例30)。実
施例3の配合についても同じ操作を行い、金属板−ゴム
積層複合材を作成した(実施例31)。得られた複合材
の塗膜は、いずれもトルエン/酢酸プロピル(1/1)混合
液に溶解せず、しっかりと架橋されていることが判明し
た。本発明のポリマー組成物は空気中でも架橋が進行す
ると言うことが明らかである。
成分A)エポキシ化ゴムとして以下のもの(何れも主鎖に
エポキシ基を有する)を用い、実施例1と同様の操作を
行った。 ESBS−1:ダイセル化学工業(株)のエポフレンド
A1010、エポキシ当量950〜1050(エポキシ
化率約6mol%) ESBS−2:ダイセル化学工業(株)のエポフレンド
A1020、エポキシ当量480〜540(エポキシ化
率約11mol%) 但し、始めに密閉混合機中で成分A)と成分B)とを160
℃に加熱して50rpmで3分間混練し、室温程度にまで
放冷した後に、慣用の方法に従うロール練りによってカ
ーボンブラック、酸・塩基等の添加物を配合した。配合
及び物性試験結果を表4に示す。
ンブラック、平均粒径200nm前後 *「比」は比較例を示す #単位:phr a)「−」は切断時に応力が最大であったことを示す 表4より、リン酸またはDBUの添加によって、架橋物
の引張強さが改善されること、また最大応力が切断時に
現れ、ゴム的な引張特性が示されるようになったことが
明らかである。特に、リン酸を添加した場合には、架橋
条件をよりマイルドかつ実用的なものとすることができ
た。
AR-51(日本ゼオン(株)製アクリルゴム、エポキシ
側鎖を有する)33.3重量部、c-NBR-3 を66.7重
量部、SRFカーボン(三菱化学(株)製のダイアブラ
ックLR)65.0重量部を、慣用の方法に従ってロール
練りした。この混練物にさらに、表5に示した添加剤を
1.0重量部練り込んだ。得られた混練物を数時間後に
再練りした後、熱プレスにて180℃×30分間(実施
例38)または200℃×30分間(実施例39〜41、
比較例23〜25)架橋させてシート状サンプルとし
た。実施例39〜41、比較例23〜25のサンプルに
ついては、さらにギアーオーブンで150℃×4時間の
二次架橋も施した。これらのシートからJIS3号ダン
ベルを打ち抜き、JIS K6251(加硫ゴムの引張試
験方法)に従う引張試験(引張速度500mm/min)を行っ
た。その結果を、添加剤の種類と共に、表5に示す。
イス酸、 添加量の単位:phr 本発明に従い、pKa4.5以下の酸(実施例39、4
0)、強ルイス酸(実施例38)、またはpKb4.0以下の
塩基(実施例41)を添加したサンプルは、酸・塩基無添
加のサンプル(比較例23)に比べ、引張特性に優れるこ
とが明らかである。特に、強ルイス酸BF3を添加した
場合には、引張強さが改善されるだけでなく、より穏や
かな架橋条件を用い得る利点が生じている。一方、弱塩
基、アンモニウム塩を添加しても、引張強さはむしろ低
下することが分かる。
51を66.7重量部、ベイマックGLS(三井デュポン
(株)製エチレン-アクリルゴム、カルボキシル基を有
する)33.3重量部、HAFカーボン(三菱化学(株)
製ダイアブラックH)40.0重量部を、慣用の方法に従
ってロール練りした。この混練物にリン酸またはDBU
を配合し、実施例39と同様に調製したサンプルの物性
を、表6に示す。
ることができなかったのに対し、本発明に従いpKa4.
5以下の酸またはpKb4.0以下の塩基を添加した場合
には、架橋物を得ることができた。特にpKa2.12の
リン酸を添加した場合には、より高強度の架橋ゴムを得
ることができた。
比較例26と同一配合のゴム10gを、THF10g+M
EK10gの混合溶媒に溶解し、ステンレス板上に塗布
した。これらをオーブン中に入れ、80℃で15分間乾
燥させた後、200℃のオーブン中で30分間保持し
た。DBUを配合したゴム(実施例44)は、200℃×
30分間の熱処理後、THFやMEKに不溶となった。
熱空気中で十分に架橋されたことが明らかである。一
方、酸・塩基を配合していないゴム(比較例27)は、熱
処理後もTHFやMEK中で崩壊し、架橋が十分に進行
していないことが示された。
エスプレンEMA(住友化学(株)製のエチレン-アクリ
ルゴム(エポキシ側鎖を有する)、エポキシ化ビニルモ
ノマーが2.5wt%共重合されている)とc-NBR-1を表
7に示す配合でブレンドし、それぞれの配合比における
酸・塩基の添加効果について検討した。尚、GPFカー
ボンとしては、旭カーボン(株)製の旭55Gを使用し
た。また、いずれのサンプルも、200℃×30分間プ
レス架橋の後、150℃×4時間の二次架橋に付した。
配合及び引張試験結果を表7に示す。
Kb4.0以下の塩基の添加効果が発現していることが分
かる。
表8に示す配合のゴムサンプルを調製し、酸・塩基の添
加効果について検討した。プレス(一次架橋)条件及び引
張試験結果を表8に示す。尚、いずれのサンプルについ
ても、150℃×4時間の二次架橋を行った。
塩基を配合することにより、引張特性が改善されること
が明らかである。特に、酸の添加により、架橋が促進さ
れ、より低温での架橋が可能となった。
ENR−1を25重量部、c-NBR-2を50重量部ゴム
練りロール上で練り合わせ、これに老化防止剤1.5重
量部、SRFカーボン(旭カーボン(株)製旭#50G)6
5.0重量部、リン酸(85%)1.0重量部を練り込み、混
練した。この練りゴムを180℃×10分間プレスし、
ゴムシートを得た。このシートの引張強さは7.71MPa
、切断時伸びは290%であった。本実施例より、主
鎖にエポキシ基を有するゴムと、側鎖にエポキシ基を有
するゴムとの混合物を使用しても、良好な物性の架橋ゴ
ムが得られることが明らかである。
(化合物)を必要とせず、空気中で架橋し得るポリマー組
成物が提供された。本発明のポリマー組成物は実用的な
条件で架橋でき、強度に優れ、ゴム的な特性を示す架橋
物を与える。従来の類似の組成物は、限られた種類のゴ
ムしか架橋できず、しかも良好な物性が得られなかった
ことに鑑み、本発明の効果は顕著である。
Claims (9)
- 【請求項1】 A)エポキシ基を有するゴム1〜90重量
部、 B)カルボキシル基を有するポリマー99〜10重量部、
及び C)強ルイス酸、pKa4.5以下の酸またはpKb4.0以下
の塩基を含有するポリマー組成物。 - 【請求項2】 A)エポキシ基を有するゴムが、エポキシ
化天然ゴム、アクリルゴムまたはエチレン−アクリルゴ
ムであることを特徴とする、請求項1記載のポリマー組
成物。 - 【請求項3】 A)エポキシ基を有するゴムが、エポキシ
基含有モノマーの成分比0.1〜30mol%のものであ
ることを特徴とする、請求項1または2記載のポリマー
組成物。 - 【請求項4】 B)カルボキシル基を有するポリマーが、
カルボキシル化ニトリルゴム、カルボキシル化エチレン
−アクリルゴム及び/またはカルボキシル化ポリブタジ
エンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか
一項に記載のポリマー組成物。 - 【請求項5】 B)カルボキシル基を有するポリマーが、
常温で固形のゴムであることを特徴とする、請求項1〜
4のいずれか一項に記載のポリマー組成物。 - 【請求項6】 成分C)として、pKa3.00以下の酸ま
たは強ルイス酸を使用することを特徴とする、請求項1
〜5のいずれか一項に記載のポリマー組成物。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポ
リマー組成物を架橋して成る架橋ポリマー組成物。 - 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポ
リマー組成物または請求項7に記載の架橋ポリマー組成
物から成るシール材料。 - 【請求項9】 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポ
リマー組成物または請求項8に記載の架橋ポリマー組成
物と金属板とを積層して成る複合材料。
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