JP2000226629A - 表面性状に優れる成形加工用Al−Mg−Si系アルミニウム合金板 - Google Patents
表面性状に優れる成形加工用Al−Mg−Si系アルミニウム合金板Info
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Abstract
i系アルミニウム合金板を得る。 【解決手段】 Si:0.2〜1.8%、Mg:0.2
〜1.6%を含有し、圧延方向に伸張したマクロ組織を
有するAl−Mg−Si系アルミニウム合金板におい
て、圧延直角方向に測定したマクロ組織のサイズが板表
面部で0.5mm以下、板厚1/4部位で1.5mm以
下、板中心部で2.5mm以下であり、該マクロ組織が
等軸状の再結晶粒で構成されたアルミニウム合金板。
Description
ア、カーテンウオール等の建材、器物、電気部品、光学
機器、自動車、鉄道車両及び航空機等の輸送機器、一般
機械部品等の用途に適する、成形加工後の表面性状に優
れる成形加工用Al−Mg−Si系アルミニウム合金板
に関する。
ミニウム合金板は、耐食性及び常温での成形加工性が比
較的優れ、人工時効処理により高強度が得られることか
ら、成形性あるいは軽量化、薄肉化が要求される用途に
適している。Al−Mg−Si系合金板は、通常、均質
化処理後、熱間圧延し、続いて必要に応じて中間焼鈍し
た後、冷間圧延を施して所定厚の板材とし、これに溶体
化焼入れを施し、さらにその後必要に応じてスキンパ
ス、ストレッチ等を施して製造される。
を行ったとき、特開平7−228956号公報又は特開
平8−232052号公報に記載されているように、板
表面にリジングマークと呼ばれる表面荒れが発生するこ
とが問題となっている。リジングマークとは成形加工し
たとき板表面に新たに生じる圧延方向に対して平行な筋
状の凹凸であり、特に圧延方向に対して90゜方向への
加工度が大きいとき、例えば引張加工、絞り加工、しご
き加工を行った場合、顕著に生じる。このリジングマー
クが発生すると、表面が極めて美麗であることが要求さ
れるインテリア、カメラケース、自動車用外板パネル等
の用途には外観不良として使用できず、また、リジング
マークは塗装を行った場合特に目立つようになるため、
成形加工後気付かれないまま塗装工程に進み、塗装後に
初めて認識されることもある。つまり製品になって初め
て現れることがあるという困った特性を持っている。
開平8−232052号公報は、Al−Mg−Si系合
金板材についてリジングマークの発生を防止する方法に
関し、前者が、均質化処理後350〜450℃の温度ま
で冷却して熱間圧延を開始し、200〜300℃の温度
で熱間圧延を終了し、必要に応じて中間焼鈍を行った
後、冷間圧延、溶体化焼入れを施すというもの、後者
が、均質化処理後450℃以下の温度まで冷却して熱間
圧延を開始し、200〜350℃の温度で熱間圧延を終
了し、必要に応じて350〜420℃の中間焼鈍を行っ
た後、冷間圧延、溶体化焼入れ、さらに最終加熱処理を
施すというものであり、いずれも熱間圧延温度を低めに
設定し、同時にその他の各工程の処理条件も厳密に制御
し、微細かつ結晶学的方位がランダムな結晶粒を生じさ
せることにより、リジングマークの発生を防止しようと
いうものである。
はリジングマークが発生しなかったとされるプレス加工
の変形量の開示がなく、特開平8−232052号公報
ではプレス加工のシミュレーションとして高々2%の引
張変形が行われたに過ぎない(つまり、高々2%の引張
変形に相当する成形加工により発生するリジングマーク
を防止することが意図されているに過ぎない)。しか
も、これらの先行技術はリジングマークが発生しない板
材自体の構成を解明したものではないため、当該方法に
従って製造した板材が確かにリジングマークが発生しな
いかどうかは、実際にこの板材をプレス成形するまで
(あるいはさらに塗装して製品にするまで)分からない
という問題が残っている。
高まりの中で、Al−Mg−Si系アルミニウム合金に
おいても製造工程簡略化による省エネルギー化が検討さ
れている。具体的には荒鈍と呼ばれる熱間圧延後の中間
焼鈍の省略であるが、中間焼鈍を省略することでリジン
グマークが発生しやすく、成形後の板表面性状が劣化す
るという問題があった。本発明者らは、Al−Mg−S
i系アルミニウム合金の中間焼鈍省略材について、リジ
ングマークの発生を防止する方法を検討する過程で、熱
間圧延終了温度を比較的高温度に設定したとき、リジン
グマークを防止できることを見いだした。また、そのよ
うにして製造されたリジングマークが発生しない板材が
特定の内部組織状態を示すことを見いだし、さらに、A
l−Mg−Si系アルミニウム合金がこの組織状態を示
すとき、上記の中間焼鈍省略材に限らず、中間焼鈍材
(中間焼鈍を省略しなかったもの)、熱間圧延材(熱間
圧延まま材)、焼鈍材(O材)、時効処理材(T5、T
6材)等でもリジングマークの発生を防止できることを
見いだし、本発明を完成した。
優れる成形加工用Al−Mg−Si系アルミニウム合金
板は、Si:0.2〜1.8%、Mg:0.2〜1.6
%を含有し、圧延方向に伸張したマクロ組織を有するA
l−Mg−Si系アルミニウム合金板において、板厚1
/4部位で測定したマクロ組織のサイズが、長さ(圧延
方向)3mm未満、幅(圧延直角方向)0.6mm未満
であり、マクロ組織同士の間隔(圧延直角方向)が0.
6mm以上であり、該マクロ組織が等軸状の再結晶粒で
構成されていることを特徴とする。この発明において、
マクロ組織のサイズが板中心部より板表面部で小さく、
間隔が板中心部より板表面部で大きくなっていることが
望ましい。また、板厚1/4部位で測定した値を用いる
代わりに、板厚表面部位又は板中心部位で測定した値を
用いることもできる。この場合、板表面部位で長さ2m
m未満、幅0.2mm未満、間隔1.0mm以上、板中
心部位で長さ10mm未満、幅1mm未満、間隔0.4
mm以上である。特に板表面部位、板厚1/4部位及び
板中心部位の全てにおいて上記のサイズ及び間隔を満足
するマクロ組織であることが望ましい。
後、電気化学的あるいは化学的にエッチングすることに
より、通常、肉眼又は10倍以下程度の拡大で容易に観
察できる組織である。各マクロ組織は互いに方位差が小
さい等軸状の再結晶粒(ミクロ粒)の集団からなり、特
に本発明で課題とするリジングマークに関する場合に
は、これら等軸状の再結晶粒はキューブ方位あるいはキ
ューブ方位に近い方位を有する。各マクロ組織は、熱間
圧延及び/又は冷間圧延後は、さらには溶体化処理後に
おいて圧延方向に伸長した形状を有する。また、本発明
で等軸状の再結晶粒とは、板面に平行な面及び圧延方向
に垂直な面の両方において、観察される再結晶粒の平均
アスペクト比が1〜3の範囲内にあることを意味する。
具体的にいえば、次のようになる。 1≦dL/dLT≦3 1≦dL/dST≦3 dL ;板の長さ方向に測定した粒径 dLT;板の幅方向に測定した粒径 dST;板厚方向に測定した粒径
合金板は、例えば、均質化処理後、熱間圧延し、続いて
必要に応じて中間焼鈍を施した後、冷間圧延して所定厚
の板材とした後、これに溶体化焼入れを施して製造され
るが、特に中間焼鈍を省略する場合には、熱間圧延終了
温度を高めに設定し、再結晶させる必要がある。この場
合、再結晶粒形状は、等軸状とすることが望ましい。熱
延方向に伸長した熱間ファイバーあるいは伸長状の再結
晶粒が残存すると、これらの組織は溶体化処理及び焼入
れ後、あるいは冷間圧延、溶体化処理及び焼入れ後にお
いて、圧延方向に伸長したマクロ組織となる。しかし、
等軸状の再結晶粒が得られる状態で熱間圧延を終了させ
ることにより溶体化処理及び焼入れ後、あるいは冷間圧
延、溶体化処理及び焼入れ後において、板表層部位から
中心部位でのマクロ組織の形状は、長さ(圧延方向)及
び幅(圧延直角方向)が小さくなり、かつ間隔(圧延直
角方向)が広くなり、板厚1/4部位において、長さ3
mm未満、幅0.6mm未満、間隔0.6mm以上とな
り、製品板成形時に発生するリジングマークを防止する
ことができるようになる。板厚1/4部位を選択したの
は、その板の平均的なマクロ組織サイズ及び間隔が得ら
れると考えたためであるが、板表面部位又は板中心部位
で測定した値を用いても、ほぼ同等の結果を得ることが
できる。
行に伸長した島状模様又は筋模様として観察される(観
察の具体的方法は後述)。図1のNo.4は後述する表
1のNo.4のマクロ組織(板厚1/4部位)を示す金
属組織写真であり、マクロ組織は伸長した島状模様とし
て観察され(暗く写っている部分、写真の横及び下の線
分はマクロ組織の長さ及び幅を示す)、マクロ組織の内
外にミクロ結晶粒が観察される。また、図1のNo.5
は後述する表1のNo.5のマクロ組織(板厚1/4部
位)を示す金属組織写真であり、マクロ組織は長さが大
きいため筋模様として観察され(写真の横の線分はマク
ロ組織の幅を示す)、マクロ組織の内外にミクロ組織が
観察される。圧延方向に伸張したマクロ組織を有するア
ルミニウム合金板が、特に圧延直角方向に大きい変形を
受けると、各マクロ組織はあたかも単結晶粒のごとく変
形し、周囲の組織に比べて大きな滑り変形を生じる。こ
のため、成形加工後の板表面にはリジングマークと称さ
れる圧延方向に凹凸状の段差が生じるものと考えられ
る。従って、マクロ組織が小さければ滑り変形は小さく
なり、かつ間隔が広くなるため、リジングマークの発生
を防止することができる。
合、冷間圧延率が低い場合、溶体化温度が高すぎる場合
等で再結晶粒は粗大化する傾向にある。粗大な再結晶粒
ができると成形加工により板材表面にオレンジピールが
生じやすいため、再結晶粒の粒径は板表面部において4
5μm以下になるようにするのが望ましい。そのために
は、例えば冷間圧延の冷延率を高めに設定し、続く溶体
化処理時の加熱速度を速くして微細な再結晶粒が得られ
るようにするのがよい。以上により、成形加工時にリジ
ングマークさらにはオレンジピール等が改善さらには防
止でき、表面性状に優れる成形加工用板材を提供するこ
とができる。
ましい製造条件について説明する。 熱間圧延:粗熱間圧延及び仕上げ熱間圧延を通じて、圧
延開始温度を均熱温度以下(例えば470〜540
℃)、圧延終了温度を350〜450℃と高めに設定
し、ロール通板速度は大きい方がよい。これにより、熱
間圧延終了時に熱延方向に伸長した熱間ファイバーある
いは伸長状の再結晶粒ではなく、等軸状の再結晶粒が得
られ、最終製品板において、当該材の板表面部位〜板中
心部位のマクロ組織を前記の形態(サイズ及び間隔)に
することが可能となる。熱間圧延終了温度は高い方が望
ましい。熱間圧延終了温度が350℃よりも低いと、熱
間圧延終了時に熱延方向に伸長した熱間ファイバーある
いは伸長状の再結晶粒が残存するため、最終製品板での
マクロ組織は大きくなりかつ間隔が狭くなるため、上記
のマクロ組織の形態を得ることができなくなる。また、
熱間圧延終了温度が450℃を超えると、粗大な再結晶
粒が熱間圧延終了時に生じてしまい、最終製品でのオレ
ンジピールの原因となる。なお、熱間圧延後に中間焼鈍
を最終溶体化処理前に行う場合には、最終製品で十分に
微細な再結晶粒が得られるため、熱間圧延終了温度は4
50℃を超えても問題はない。
的に得るために、熱間圧延終了後に中間焼鈍を行っても
よい。代表的な中間焼鈍条件は、保持条件:500〜5
80℃で10秒〜10分、加熱速度:30℃/分〜10
00℃/秒、冷却速度:50℃まで10℃/分以上であ
る。加熱には、バッチ炉の他に加熱速度を大きくするた
め、硝石炉、連続焼鈍炉、誘導加熱炉等を用いてもよ
い。 冷間圧延:最終製品板(最終溶体化処理及び焼入れ後)
の再結晶粒の粒径を45μm以下とするため、冷間圧延
率は50%以上が望ましい。なお、上記の中間焼鈍を行
った場合には、固溶度が高く、また室温時効が進み、冷
間圧延での加工硬化度が高くなるため、冷延率は30%
以上で十分である。 溶体化処理及び焼入れ:好ましい溶体化処理条件は、4
00℃までの加熱速度は30℃/分以上、400〜53
0℃を10℃/分以上、保持条件:500〜580℃×
10秒〜10分である。ミクロ組織は微細な等軸状の再
結晶粒となる。また個々のマクロ組織も細かくなる。加
熱には加熱速度を大きくするため、硝石炉、連続焼鈍
炉、誘導加熱炉等を用いてもよい。焼入れは保持温度か
ら30℃までを30℃/分以上の冷却速度で行うか、保
持温度から70〜140℃の温度に30℃/分以上の冷
却速度で行い、そのまま70〜140℃の温度で0.5
〜48時間の間保持してもよい。
Si:0.2〜1.8%、Mg:0.2〜1.6%を含
有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合
金のほか、必要に応じて、さらにZn:0.005〜
1.0%、Cu:0.005〜1.0%、Ti:0.0
01〜0.1%、B:1〜300ppm、Be:0.
1〜100ppm、Mn:1.0%以下、Cr:0.
3%以下、Zr:0.15%以下、V:0.15%以下
のうちから1種又は2種以上を合計で0.01〜1.5
%、のいずれか又はこれらを組み合わせて含有するアル
ミニウム合金など、Si:0.2〜1.8%、Mg:
0.2〜1.6%を含有するAl−Mg−Si系アルミ
ニウム合金全てに適用し得る。Al−Mg−Si系合金
の組成を上記のように規定した理由は下記のとおりであ
る。
元素であるが、0.2%未満では人工時効で十分な強度
が得られず、一方、1.6%を越えると成形性が低下す
る。従って、Mg含有量は0.2〜1.6%の範囲とす
る。 Si:SiはMgとともに強度を付与する元素である
が、0.2%未満では人工時効で十分な強度が得られ
ず、一方、1.8%を越えると伸びが低くなり、成形性
が低下する。従って、Si含有量は0.2〜1.8%の
範囲とする。なお、人工時効で高い強度を得るには、M
gとSiとの含有量の割合を、Si/Mg≧0.65と
することが望ましい。
2を微細かつ高密度に析出させ高い強度を実現させる。
ただし、0.005%未満では十分な強度が得られず、
一方1.0%を越えると耐食性が顕著に低下するため、
含有量は0.005〜1.0%の範囲とする。 Cu:Cuは人工時効時にMg2Siを微細にかつ高密
度に析出させ、高い強度を実現させる。ただし、0.0
05%未満では効果がなく、一方、1.0%を越えると
耐食性及び溶接性が顕著に低下するため、含有量は0.
005〜1.0%の範囲とする。 Ti:Tiは鋳塊の結晶粒を微細化し、成形性を向上さ
せるために添加する元素であるが、0.001%未満で
は効果がなく、一方、0.1%を越えて添加されると粗
大な晶出物を形成し、成形性を低下させる。このため、
Ti含有量は0.001〜0.1%の範囲とする。
化し、成形性を向上させるために添加する合金である
が、1ppm未満の添加では効果がなく、300ppm
を越えて含有されると粗大な晶出物を形成し、成形性を
低下させる。このため、B含有量は1〜300ppmの
範囲とする。 Be:Beは空気中におけるアルミニウム溶湯の再酸化
を防止するため、必要があれば0.1ppm以上含有さ
せる。しかし、100ppmを越えると材料硬度が増大
し成形性が低下するため、Be含有量は0.1〜100
ppmの範囲とする。
質化熱処理時及びその後の熱間圧延時にAl20Cu2
Mn3、Al12Mg2Cr、Al3Zr、Al2Mg
3Zn3等の分散粒子を生成する。これらの分散粒子は
再結晶後の粒界移動を妨げる効果があるため、微細な結
晶粒を得ることができる。しかし、過剰な添加は溶解鋳
造時に粗大な不溶性金属間化合物を生成しやすく、成形
加工時の破壊の起点となり、成形性を低下させる原因と
なる。また、Zrの過剰添加はミクロ組織を針長状にし
やすく、特定方向の破壊靭性及び疲労特性さらには成形
性を劣化させる。このため、Mn、Cr、Zr、Vそれ
ぞれの添加量は、1.0%、0.30%、0.15%、
0.15%以下とする。
7Cu2Fe、Al12(Fe,Mn)3Cu2、(F
e,Mn)Al6等の晶出物を生成する。これらの晶出
物は破壊靭性及び疲労特性に対して有害であり、Fe含
有量が0.5%を越えると顕著に破壊靭性、疲労特性及
び成形性が低下するため、Fe含有量は0.5%以下と
する。なお、晶出物としては、Fe系以外のAl2Cu
2Mg、Al2Cu2、Mg2Si等の可溶のものがあ
り、これらは溶体化処理及び焼入れで十分にAlマトリ
ックス中に再固溶させることが望ましい。 その他の不純物:Niは0.05%以下に制限する。
%、Fe:0.12%、Cr:0.05%、Ni:0.
002%、Zn:0.05%、Cu:0.01%、T
i:0.02%、B:10ppm、Be:30ppmを
含み、残部不純物とアルミニウムからなるアルミニウム
合金を溶解鋳造し、500mm厚の鋳塊とし、次に54
0℃×12hrの均熱処理を行った後、表1に示す種々
の条件で熱間圧延し、2.5mm厚の板とした。続い
て、中間焼鈍することなく冷間圧延し、1mm厚の板と
した。この板を550℃の溶体化温度に加熱して20秒
間保持した後、水焼き入れした(50℃までの冷却速度
は約250℃/s)。その後、室温で3ヶ月間放置した
後、板幅の中央部からサンプリングを行い、材料特性を
評価した。結果を表1に併せて示す。
測定した。 マクロ組織の形態・・・・マクロ組織の評価部位は、板表面
部(板初期表面から0.1mmまでの深さ)、板厚1/
4部位及び板中心部位の3カ所である。機械研磨した
後、電解エッチング(テトラフルオロほう酸:水=1
5:400、電圧30V、溶液温度20〜30℃、エッ
チング時間60〜90秒)し、光学顕微鏡(偏光板使
用、倍率50倍)を用いて観察した。
面部位においてマクロ組織の観察と同時に行った。粒径
は圧延方向でラインインターセプト法にてL−L面を測
定した。1測定ライン長は500μmであり、1視野当
り各5本で計5視野観察した。なお、アスペクト比の測
定については、板面に平行な面(結晶粒径の測定と同じ
部位)及び、圧延方向に垂直な面において行ったが、本
実施例の場合、全て前記等軸粒の範囲内にあった。 耐力、伸び・・・・JIS−Z2241に準拠し、常温大気
中で、JIS5号試験片を用いLT方向(圧延方向に対
して90゜方向)に引張速度5mm/分にて引張試験を
行って求めた。 リジングマークの有無・・・・製品板よりJIS5号試験片
(長手方向が圧延方向と直角、平行部の長さ60mm)
を作製後、電解研磨により表面を鏡面(Ra<0.1μ
m)とし、これをプレス加工のシミュレーションとして
15%の引張変形(ゲージ長さ:50mm)を行い、表
面の凹凸の程度を肉眼で観察し、圧延方向に対して平行
な筋模様(筋状の凹凸)が顕著に観察される場合を×、
リジングマークと判別できない場合は○と評価した。 オレンジピールの有無・・・・上記のサンプル板材(20%
引っ張り変形後)について、表面に梨地模様が顕著に観
察される場合を×、梨地模様が判別困難な場合を○と評
価した。
発明の規定を満たし、ミクロ結晶粒が等軸状のNo.1
〜4、6は、リジングマークの発生がなかった。しか
し、ミクロ結晶粒の粒径が本発明の規定を満たさないN
o.6は、オレンジピールが発生した。一方、No.
5、7はいずれもマクロ組織の形態が本発明の規定を満
たさず、リジングマークが発生した。
しないAl−Mg−Si系アルミニウム合金板を得るこ
とができる。また、マクロ組織の形態により、成形前又
は塗装前の板材の状態で、その板材にリジングマークが
発生するかどうかの判定や、発生の程度の判定ができる
利点がある。
及び筋状模様のマクロ組織を示す金属組織写真である。
Claims (9)
- 【請求項1】 Si:0.2〜1.8%(重量%、以下
同じ)、Mg:0.2〜1.6%を含有し、圧延方向に
伸張したマクロ組織を有するAl−Mg−Si系アルミ
ニウム合金板において、板厚1/4部位で測定したマク
ロ組織のサイズが長さ(圧延方向)3mm未満、幅(圧
延直角方向)0.6mm未満であり、マクロ組織同士の
間隔(圧延直角方向)が0.6mm以上であり、該マク
ロ組織が等軸状の再結晶粒で構成されていることを特徴
とする表面性状に優れる成形加工用Al−Mg−Si系
アルミニウム合金板。 - 【請求項2】 Si:0.2〜1.8%、Mg:0.2
〜1.6%を含有し、圧延方向に伸張したマクロ組織を
有するAl−Mg−Si系アルミニウム合金板におい
て、板表面部位で測定したマクロ組織のサイズが長さ
(圧延方向)2mm未満、幅(圧延直角方向)0.2m
m未満、マクロ組織同士の間隔(圧延直角方向)が1.
0mm以上であり、該マクロ組織が等軸状の再結晶粒で
構成されていることを特徴とする表面性状に優れる成形
加工用Al−Mg−Si系アルミニウム合金板。 - 【請求項3】 Si:0.2〜1.8%、Mg:0.2
〜1.6%を含有し、圧延方向に伸張したマクロ組織を
有するAl−Mg−Si系アルミニウム合金板におい
て、板中心部位で測定したマクロ組織のサイズが長さ
(圧延方向)10mm未満、幅(圧延直角方向)1mm
未満、マクロ組織同士の間隔(圧延直角方向)が0.4
mm以上であることを特徴とする表面性状に優れる成形
加工用Al−Mg−Si系アルミニウム合金板。 - 【請求項4】 Al−Mg−Si系アルミニウム合金
が、さらにZn:0.005〜1.0%、Cu:0.0
05〜1.0%、Ti:0.001〜0.1%、を含有
することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載さ
れた表面性状に優れる成形加工用Al−Mg−Si系ア
ルミニウム合金板。 - 【請求項5】 Al−Mg−Si系アルミニウム合金
が、さらにB:1〜300ppm、Be:0.1〜10
0ppmを含有することを特徴とする請求項1〜4のい
ずれかに記載された表面性状に優れる成形加工用Al−
Mg−Si系アルミニウム合金板。 - 【請求項6】 Al−Mg−Si系アルミニウム合金
が、さらにMn:1.0%以下、Cr:0.3%以下、
Zr:0.15%以下、V:0.15%以下のうち1種
又は2種以上合計で0.01〜1.5%含有することを
特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された表面性
状に優れる成形加工用Al−Mg−Si系アルミニウム
合金板。 - 【請求項7】 マクロ組織のサイズが、板中心部より板
表面部で小さくなっていることを特徴とする請求項1〜
6のいずれかに記載された表面性状に優れる成形加工用
Al−Mg−Si系アルミニウム合金板。 - 【請求項8】 熱間圧延後、必要に応じて中間焼鈍した
後、冷間圧延及び溶体化焼入れを受けたAl−Mg−S
i系アルミニウム合金板であることを特徴とする請求項
1〜7のいずれかに記載された表面性状に優れる成形加
工用アルミニウム合金板。 - 【請求項9】 等軸状再結晶粒の粒径が45μm以下で
あることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載さ
れた表面性状に優れる成形加工用アルミニウム合金板
材。
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JP02817199A JP3498943B2 (ja) | 1999-02-05 | 1999-02-05 | 表面性状に優れる成形加工用Al−Mg−Si系アルミニウム合金板 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP02817199A JP3498943B2 (ja) | 1999-02-05 | 1999-02-05 | 表面性状に優れる成形加工用Al−Mg−Si系アルミニウム合金板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2000226629A true JP2000226629A (ja) | 2000-08-15 |
JP3498943B2 JP3498943B2 (ja) | 2004-02-23 |
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JP02817199A Expired - Lifetime JP3498943B2 (ja) | 1999-02-05 | 1999-02-05 | 表面性状に優れる成形加工用Al−Mg−Si系アルミニウム合金板 |
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JP (1) | JP3498943B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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