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JP4022497B2 - アルミニウム合金パネルの製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金パネルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ルミニウム合金パネルの製造方法(以下、アルミニウムをAlとも言う)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、アルミニウム合金板を難加工形状のパネルに成形するために、アルミニウム合金板を加熱して、460 〜550 ℃の高温領域で高い伸びの特性を生じさせて高成形性を得るような、高速超塑性成形などの高温成形方法が検討されている。
【0003】
これら高温成形用のアルミニウム合金板としては、AA乃至JIS 規格でいう 5000 系 (以下、単に5000系と言う) の Al-Mg系アルミニウム合金が主流となっている。このため、高速超塑性成形用Al-Mg 系アルミニウム合金が従来から多数開発提案されている。
【0004】
これに対し、特に、自動車パネルなど、塗装焼付の際の焼付硬化性 (人工時効硬化性) に優れたAl-Mg-Si系のAA乃至JIS 規格でいう 6000 系 (以下、単に6000系と言う) のアルミニウム合金板の使用も、高温成形の分野で検討されている。これら6000系アルミニウム合金板は、合金元素量が多い他の5000系などのアルミニウム合金に比して、合金元素量が比較的少ない。このため、これら6000系アルミニウム合金パネルのスクラップを、Al合金溶解材 (溶解原料) として再利用する際に、元の6000系アルミニウム合金鋳塊が得やすく、リサイクル性にも優れているという利点もある。
【0005】
高温成形分野への6000系アルミニウム合金板の提案例として、例えば、6000系アルミニウム合金板の平均結晶粒径を15〜120 μm とし、また高速超塑性成形時のひずみ速度と成形温度とを特定の関係に制御して、高速超塑性成形時に高い伸びを得るとともに、成形後にT6処理を施して、引張強度300MPa以上の高い強度を得ることが提案されている (特許文献1参照)。また、溶体化処理などが施されていない6000系アルミニウム合金板を溶体化処理に必要な温度でブロー成形を行い、その後成形品に焼き戻し処理を施して、200MPa以上の高耐力を得ることも提案されている (特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11-131165 号公報
【特許文献2】
特開2001-58221号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献2のように、溶体化処理に必要な温度で高速超塑性成形を行った場合、この高温下における6000系アルミニウム合金パネルの強度 (耐力) が著しく低下するという問題がある。これは、特許文献1のように、高速超塑性成形時のひずみ速度と成形温度とを特定の関係に制御して、高速超塑性成形時に高い伸びを得る場合でも同様である。
【0008】
このため、特許文献1も2も意図していない、高速超塑性成形の終了時に、金型から成形したパネルを離型するなど、成形パネルをハンドリングするに必要な強度 (耐力) が得られない、という新たな問題が生じる。また、ハンドリング時に成形パネルの変形などが生じる、という新たな問題もある。
【0009】
更に、成形後に人工時効硬化処理を施しても、200MPa以上の高耐力を得ることができないという新たな問題が生じる。この点、前記特許文献1でも、成形後に人工時効硬化処理を施して、200MPa以上の高耐力を得ることができるとしている。しかし、その人工時効硬化処理条件は、175 ℃という比較的高温で、しかも10時間という長時間の処理を行なっている。また、前記特許文献1には高速超塑性成形後のパネルの耐力の開示も無い。これに対して、実際の自動車パネルの塗装焼付処理の条件は、塗料の改善や自動車生産工程の効率化に伴い、150 〜180 ℃で20〜40分間保持する、比較的低温で短時間の人工時効硬化処理が主流となっている。このような、実際の比較的低温で短時間の人工時効硬化処理では、成形後の6000系アルミニウム合金パネルが200MPa以上の高耐力を得ることは到底できない。
【0010】
この点は、前記特許文献2でも全く同様である。即ち、前記特許文献2には、成形時の熱履歴を模擬して、530 ℃で14分間という高温長時間の溶体化処理後、冷却速度2 ℃/ 秒で冷却した後、常温に13.5時間放置してから、180 ℃で40分保持するという、比較的高温で長時間の人工時効硬化処理条件によって、170MPa以上の高耐力を得るとしている (図4 の成形温度毎の人工時効硬化処理時間と耐力との関係から読み取る) 。したがって、生産性を向上させるべく、成形時間の短時間化を図った場合、および/ または、より低温短時間の人工時効硬化処理では、成形後の6000系アルミニウム合金パネルが200MPa以上の高耐力を得ることは到底できない。この人工時効硬化処理後に高耐力を得られない傾向は、高温成形後に放冷などの緩冷却を行い、かつより低温短時間の人工時効硬化処理を行なった場合に著しい。
【0011】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、溶体化処理に必要な温度で高温成形を行っても、その高温下での耐力が高く、また、この高温成形後に緩冷却を行い、かつ比較的低温で短時間の人工時効硬化処理後を行なっても、人工時効硬化処理後のパネルの耐力が高いルミニウム合金パネルの製造方法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明アルミニウム合金パネルの製造方法の要旨は、 Si:0.6 1.3% Mg:0.3 0.9% Mn:0.01 0.65% Cu:0.4 1.0% を含み、かつ Si/Mg が質量比で 1.0 以上であり、残部 Al および不可避的不純物からなる Al-Mg-Si 系アルミニウム合金板を、 460 550 ℃の高温で成形してパネル化する際に、このパネルの前記高温成形時の最大流動応力を 25MPa 以上として成形し、更にこの高温成形後のパネルに 150 180 ℃で 20 40 分間保持する人工時効硬化処理を施し、この人工時効硬化処理後のパネルの 0.2% 耐力を 170MPa 以上とすることである。
【0014】
本発明では、6000系アルミニウム合金板の基本成分であるSiとMgの含有量とを各々特定の範囲とするとともに、SiとMgとの質量比Si/Mg を1.0 以上とした過剰Si型とする。そして更に、Cuを比較的多く含有させる。このような6000系アルミニウム合金の特定組成範囲の選択によって、高温成形性自体は阻害せずに、溶体化処理に必要な温度で高温成形を行っても、その高温下での耐力が高くすることができる。また、この高温成形後に放冷されるような緩冷却され、かつ比較的低温で短時間の人工時効硬化処理後を行なっても、人工時効硬化処理後のパネルの耐力を高くすることができる。なお、SiやMgの含有量を高めただけではこれらの効果が十分得られず、合わせてCuを比較的多量に含有しないとこれらの効果が得られない点が、この種高温成形の特異性であると言える。
【0015】
なお、本発明で言うアルミニウム合金板とは、熱延 (熱間圧延上がり) 板、冷延 (冷間圧延上がり) 板などの、溶体化および焼き入れ処理前の状態の板や、これらを溶体化および焼き入れ処理された板のことを言う。また、この溶体化および焼き入れ処理後任意の熱処理、例えば、後述する予備時効処理や、更に必要により施す時効処理などの種々の調質処理を施された板を含む。更に、この溶体化および焼き入れ処理は、パネル成形前に行うものであっても、パネル成形後に行うものであっても、板が溶体化処理温度される温度での高温成形のように、パネル成形と同時に行うものであっても良い。そして、本発明で言うアルミニウム合金板とは、板、コイル、切り板、などの適宜の形状状態を含む。
【0016】
また、本発明で言う高温成形とは、好ましくは、成形温度が成形される6000系アルミニウム合金板が溶体化処理される温度であって、460 〜550 ℃の高温領域で高い伸びの特性を生じさせて高成形性を得るような、高速超塑性成形などの高温成形のことを言う。
【0017】
本発明では、6000系アルミニウム合金板を上記特定の成分組成とする板素材側の改善だけでなく、パネルの製造方法として、これら成形側の高温成形時の成形条件および離型条件として、成形および離型温度、成形時間などを選択することによって、パネルの高温における最大流動応力を確実に25MPa 以上として成形することができる。また、更にこの高温成形後に前記緩冷却されたとしても、人工時効硬化処理を150 〜180 ℃で20〜40分間保持の条件範囲からより時効硬化しやすい条件を選択することによって、人工時効硬化処理後のパネルの0.2%耐力を確実に170MPa以上とすることができる。また、高温成形後に室温まで冷却された後、この冷却後から人工時効硬化処理まで室温で放冷される場合、その放置時間が長くなるほど、人工時効硬化処理後のパネルの耐力は低下する傾向があるため、室温での前記放置時間は短い方が好ましい。但し、放置時間が10時間以上の範囲ではその変化が小さくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明アルミニウム合金板の化学成分組成の実施形態につき、以下に説明する。前記した通り、本発明では、アルミニウム合金板の化学成分組成を、Si:0.6〜1.3%、Mg:0.3〜0.9%、Mn:0.01 〜0.65% 、Cu:0.4〜1.0%を含み、かつSi/Mg が質量比で1.0 以上であり、残部Alおよび不可避的不純物からなるものとし、基本成分であるSiとMgの含有量とを各々特定の範囲とするとともに、SiとMgとの質量比を特定範囲とした過剰Si型とする。そして更に、Cuを比較的多く含有させる。なお、本発明での化学成分組成の% 表示は、前記請求項の% 表示も含めて、全て質量% の意味である。
【0019】
上記合金元素以外の、Cr、Zr、Ti、B 、Fe、Zn、Ni、V など、その他の合金元素は基本的には不純物元素である。しかし、リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のAl合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として使用して、本発明Al合金組成を溶製する場合には、これら他の合金元素は必然的に含まれることとなる。したがって、本発明では、目的とする本発明効果を阻害しない範囲で、これら他の合金元素が含有されることを許容する。
【0020】
各元素の好ましい含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に説明する。
Si:0.6 〜1.3%。
Siは、高温成形後のパネルの、塗装焼き付け処理などの、前記低温短時間での人工時効処理時に、MgとともにGPゾーンなどの化合物相を形成して時効硬化能を発揮し、パネルとしての必要強度を得るための必須の元素である。具体的には、高温成形を模擬した、500 ℃で3 分間保持の熱処理後に、急冷ではなく、500 〜200 ℃の範囲を平均冷却速度10℃/s以下で室温まで放冷するような緩冷却であっても、170 ℃で30分間保持する人工時効硬化処理を施した後の0.2%耐力を170MPa以上を確保するために必須の元素である。
【0021】
これらのSiの効果を発揮するためには、更に、Si/Mg を質量比で1.0 以上とし、SiをMgに対し過剰に含有させた過剰Si型6000系Al合金組成とする。Si量が0.6%未満およびSi/Mg が質量比で1.0 未満では、前記高温成形後に放冷された際のパネルの耐力と、前記高温成形後に放冷された際の低温短時間の人工時効硬化能 (パネルの耐力) を兼備することができない。
【0022】
一方、Siが1.3%を越えて含有されると、前記高温成形後に放冷された際に、粒界上にSi、MgSiなどが析出しやすくなる。このため、特に、自動車のアウターパネル (外板) では、高温成形後のヘム (ヘミング、180 度曲げ) 加工時や曲げ加工時に、割れの起点となり易く、ヘム加工性や曲げ加工性が著しく低下する。更に、スポットなどの溶融溶接性も著しく阻害する。したがって、Siは0.6 〜1.3%の範囲とする。
【0023】
Mg:0.3〜0.9%。
Mg は固溶強化により、高温成形時の強度を確保する。具体的には、高温成形を模擬した、500 ℃の温度でかつ歪み速度:10 -1/sの条件で高温引張試験をした際の最大流動応力で25MPa 以上を確保する。また、460 〜550 ℃の高温で板を成形してパネル化する際の、このパネルの高温成形時の最大流動応力で25MPa 以上を確保する。
【0024】
また、高温成形後のパネルの、塗装焼き付け処理などの、前記低温短時間での人工時効処理時に、SiとともにGPゾーンなどの化合物相を形成して時効硬化能を発揮し、パネルとしての必要強度を得るための必須の元素である。具体的には、高温成形を模擬した、500 ℃で3 分間保持の熱処理後に、急冷ではなく、500 〜200 ℃の範囲を平均冷却速度10℃/s以下で室温まで放冷するような緩冷却であっても、170 ℃で30分間保持する人工時効硬化処理を施した後の0.2%耐力を170MPa以上を確保するために必須の元素である。
【0025】
Mgの0.3%未満の含有では、絶対量が不足するため、人工時効処理時に前記化合物相を形成できず、前記高温成形後に放冷された際の強度と、前記高温成形後に放冷された際の低温短時間の人工時効硬化能を兼備することができない。
【0026】
一方、Mgが0.9%を越えて含有されると、前記高温成形後に放冷された際に、粒界上にSi、MgSiなどが析出しやすくなる。このため、特に、自動車のアウターパネル (外板) では、高温成形後のヘム加工時や曲げ加工時に、割れの起点となり易く、ヘム加工性や曲げ加工性が著しく低下する。更に、スポットなどの溶融溶接性も著しく阻害する。したがって、Mgの含有量は、0.3 〜0.9%の範囲で、かつSi/Mg が質量比で1.0 以上となるような量とする。
【0027】
Cu:0.4〜1.0%
Cuは高温成形での高温強度を確保する重要な元素である。具体的には、高温成形を模擬した、500 ℃の温度でかつ歪み速度:10 -1/sの条件で高温引張試験をした際の最大流動応力で25MPa 以上を確保する。また、460 〜550 ℃の高温で板を成形してパネル化する際の、このパネルの高温成形時の最大流動応力で25MPa 以上を確保する。Cuは、更に高温成形後のパネルの、塗装焼き付け処理などの、前記低温短時間での人工時効処理時に、組織の結晶粒にGPゾーンなどの化合物相をAl、Si、Mgとともに形成し、人工時効硬化処理後の強度を高める効果がある。前記した通り、上記SiやMgの含有量を高めただけではこれらの効果が十分得られず、Cuを比較的多量に含有しないとこれらの効果が得られない。
【0028】
Cu含有量が0.4%未満ではこの効果がない。一方、1.0%を越えると、耐応力腐食割れ性や、塗装後の耐食性の内の耐糸さび性、また溶接性を著しく劣化させる。このため、Cuは0.4 〜1.0%の範囲とする。
【0029】
Mn:0.01 〜0.65%
Mnには、板の均質化熱処理時に分散粒子 (分散相) を生成し、これらの分散粒子には再結晶後の粒界移動を妨げる効果があるため、微細な結晶粒を得ることができる効果がある。これにより、高温成形後のパネルにおいても、肌荒れなどのない良好な表面性状を得ることができる。また、高温成形後の低温短時間での人工時効硬化処理時のパネルの耐力は、アルミニウム合金組織の結晶粒が微細なほど向上する。この点、Mn含有量が0.01% 未満ではこれらの効果が無い。
【0030】
一方、Mn含有量が多くなった場合、溶解、鋳造時に粗大なAl-Fe-Si-(Mn、Cr、Zr) 系の金属間化合物や晶析出物を生成しやすく、破壊の起点となり易いため、アルミニウム合金板の機械的性質を低下させる原因となる。また、特に、加工条件が厳しくなったフラットヘムなどの曲げ加工では、Mn含有量が0.25% を越えた場合、曲げ加工性が低下する。このため、Mnは0.01〜0.65% の範囲とする。
【0031】
Cr 、Zr。
これらCr、Zrの遷移元素には、Mnと同様、均質化熱処理時に分散粒子 (分散相) を生成し、微細な結晶粒を得ることができる効果がある。しかし、Cr、Zrも、0.15% を越える含有では、前記フラットヘム加工や曲げ加工を著しく低下させる。したがって、Cr、Zrの含有量も、0.20% 以下に規制することが好ましい。
【0032】
Ti 、B 。
Ti、B は、Ti:0.1% 、B:300ppmを各々越えて含有すると、粗大な晶出物を形成し、成形性を低下させる。但し、Ti、B には微量の含有で、鋳塊の結晶粒を微細化し、プレス成形性を向上させる効果もある。したがって、Ti:0.1% 以下、B:300ppm以下までの含有は許容する。
【0033】
Fe。
溶解原料から混入して、不純物として含まれるFeは、Al7Cu2Fe、Al12(Fe,Mn)3Cu2 、(Fe,Mn)Al6などの晶出物を生成する。これらの晶出物は再結晶粒の核となり、Feが0.08% 以上含まれた場合に、結晶粒の粗大化を阻止して、結晶粒を50μm 以下の微細粒とする役割を果たす。しかし、一方で、これらの晶出物は、破壊靱性および疲労特性、更には、前記ヘム加工性や曲げ加工性を著しく劣化させる。これらの劣化特性は、Feの含有量が0.50% を越えると顕著になる。このため、含有させる場合のFeの含有量は0.50% 以下のできるだけ少量とすることが好ましい。
【0034】
Zn。
Znは0.5%を越えて含有されると、耐食性が顕著に低下する。したがって、Znの含有量は0.5%以下のできるだけ少量とすることが好ましい。
【0035】
以上のような本発明アルミニウム合金板の化学成分組成とすることで、高温成形性は阻害せずに、溶体化処理に必要な温度で高温成形を行っても、高温成形における高温下でのパネルの最大流動応力を高くでき、また、高温成形後に放冷するような緩冷却され、かつ比較的低温で短時間の人工時効硬化処理後を行なっても、人工時効硬化処理後のパネルの耐力を高くすることができる。
【0036】
次に、本発明における板の特性評価について以下に説明する。
本発明では、先ず、高温成形における高温下でのパネルの耐力を確保する評価基準として、溶体化処理に必要な温度での高温成形を模擬した、500 ℃の温度でかつ歪み速度:10 -1/sの条件で高温引張試験をした際の、最大流動応力が25MPa 以上であると規定する。この最大流動応力は、アルミニウム合金板の高温引張試験において、板 (試験片) 断面の応力が一定の限界値を越えた際に、断面が減少を開始し、最終的に破断 (延性破壊) に到る際の、前記断面の応力の限界値を測定するもので、高温での強度を示す指標である。したがって、この最大流動応力が高いほど、高温成形後のパネルの金型からの取り外しなどのハンドリング性が良くなる。また、最大流動応力が25MPa 以上である場合に、このハンドリング時にパネルに負荷される応力に耐えて、成形品が著しく変形したり、破断しにくくなる。
【0037】
この高温引張試験条件は、6000系アルミニウム合金板が溶体化処理される温度が成形温度であって、460 〜550 ℃の高温領域で高い伸びの特性を生じさせて高成形性を得るような、高速超塑性成形などの高温成形を模擬する条件であって、これらの高温成形に対応する条件を選択している。
【0038】
この高温引張試験をした際の最大流動応力が25MPa 未満では、高温成形の終了時において、金型から成形したパネルを離型するなど、成形パネルをハンドリングするに必要な強度が不足し、ハンドリング時に成形パネルの変形や破断などが生じる可能性もある。
【0039】
本発明では、前記基準とともに、高温成形後に緩冷却された場合でも、その後の低温短時間の人工時効硬化処理後のパネルの耐力を確保する評価基準として、500 ℃で3 分間保持した後、500 〜200 ℃の範囲を平均冷却速度10℃/s以下で室温まで放冷する熱処理後、更に170 ℃で30分間保持する人工時効硬化処理を施した後の0.2%耐力が170MPa以上であると規定する。前半の熱処理条件の規定は、上記高速超塑性成形などの高温成形を模擬する条件であって、これらの高温成形でかつ高温成形後に緩冷却された場合に対応する条件を選択している。また、後半の人工時効硬化処理条件の規定は、上記低温短時間のパネルの焼付け塗装処理を模擬し、かつ対応させた条件である。
【0040】
また、高温成形後に人工時効硬化処理まで放置される雰囲気温度および時間は人工時効硬化処理後のパネルの耐力に大きな影響を及ぼす。この点、より低温、短時間の人工時効硬化処理後のパネルの耐力を高くするためには、低温、短時間の保持 (放置) が望ましいが、本発明においては、特に、この放置を低温、短時間とせずとも、170 ℃で30分間保持する人工時効硬化処理を施した後に、170MPa以上の0.2%耐力が得られる利点もある。
【0041】
この本発明における板の特性評価基準によって、素材板側や、パネル側あるいはパネル成形側において、実際に高温成形を行わずとも、前記高温成形時の強度や人工時効硬化性などの特性が改良されているか否かが分かる。
【0042】
以下に、本発明におけるアルミニウム合金板の製造方法 (工程) につき説明する。本発明におけるアルミニウム合金板の製造方法は常法により可能である。先ず、溶解、鋳造工程は、本発明成分規格範囲内に溶解調整されたAl合金溶湯を、連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
【0043】
次いで、このAl合金鋳塊に、鋳塊の偏析除去や、合金組織の均質化、Mg2Si 成分の固溶などのために、500 ℃以上の温度で均質化熱処理を施す。この均質化熱処理に続く熱間圧延によって熱延板として、あるいは更に必要により冷間圧延されて、所望の板厚とされる。なお、パネルによって厚板が必要な場合には、冷間圧延を省略して、アルミニウム合金板を熱間圧延上がりとしても良い。
【0044】
過剰Si型6000系などのアルミニウム合金板は、これら冷延板乃至熱延板を、調質処理として、溶体化および焼入れ処理されて、前記した諸特性が発揮される。即ち、溶体化および焼入れ処理は、後のパネルの塗装焼き付け硬化処理などの人工時効硬化処理によりGPゾーンなどの化合物相を十分粒内に析出させるために重要な工程である。但し、前記した通り、高温成形の温度が、アルミニウム合金板が溶体化処理される温度であれば、この高温成形が溶体化処理を兼ねることができる。したがって、高温成形するアルミニウム合金板は、予め溶体化および焼入れ処理されても良く、溶体化および焼入れ処理されなくても良い。
【0045】
ただ、高温成形前の溶体化および焼入れ処理を行なうと、粗大なMg2Si 金属間化合物を十分固溶させることができる。溶体化処理後に、この粗大なMg2Si 金属間化合物が固溶していない場合、高温下における強度 (最大流動応力) 低下の原因となる。これらの効果を出すための溶体化処理条件は、500 〜560 ℃の温度範囲で行うのが好ましい。また、溶体化処理温度は560 ℃を超えた、局部溶融が生じるような高温に高める必要は無い。
【0046】
本発明が対象とする高温成形では、高速超塑性成形など、460 〜550 ℃の高温領域でかつ歪み速度が10-2〜100/s に達する条件での、高い伸びの特性を生じさせて高成形性を得るような、板をパネルに成形するための任意のプレス成形方法、金型成形方法が選択される。更に、車体パネルの用途や形状に応じて、高温成形前に、あるいは高温成形後に、冷間でプレス成形されたり、アウタパネルとしてのフラットヘムなどのヘミング加工や、曲げ加工、トリミング等の加工を適宜付加される場合を含む。
【0047】
但し、パネルの高温成形での高温下における最大流動応力を確実に25MPa 以上とするために、前記した通り、板素材側の改善だけでなく、パネルの製造方法として、これら高温成形時の成形条件および離型条件として、成形および離型温度、成形時間などを選択することが好ましい。また、人工時効硬化処理(ベークハード)後の耐力をできるだけ高くするためには、高温成形後の人工時効硬化処理までの放置時間は短く、放置温度は低い方が好ましい。
【0048】
この高温成形の際、溶体化処理を兼ねる場合の高温成形の昇温 (加熱) 速度は、200 ℃/ 分以上など、できるだけ早い方が結晶粒の微細化のために好ましい。この昇温速度が遅いと結晶粒が粗大に成長して、溶体化処理後のアルミニウム合金板あるいはパネルの結晶粒を20μm 以下に微細化できなくなる可能性がある。
【0049】
溶体化処理を兼ねる場合の高温成形後の冷却の際には、粒界上へのSi、MgSiの析出を抑制し、前記低温短時間の人工時効硬化処理後の耐力をより高耐力とするために、冷却速度を50℃/ 分以上の急冷とすることが好ましい。特に、アウタパネルとしてのフラットヘム加工性や曲げ加工性をり向上させるためにも、上記冷却速度が速い方が好ましい。但し、本発明では、前記した通り、高温成形後の冷却が緩冷却となっても、低温短時間の人工時効硬化処理後の耐力を高耐力とできる。
【0050】
本発明では、成形パネルの塗装焼き付け工程などの人工時効硬化処理での時効硬化性をより高めるため、溶体化処理を兼ねる場合の高温成形後の冷却後に、クラスターの生成を抑制し、GPゾーンの析出を促進するために、予備時効処理をしても良い。この予備時効処理は、50〜100 ℃、好ましくは60〜90℃の温度範囲に、1 〜24時間の必要時間保持することが好ましい。また、予備時効処理後の冷却速度は、1 ℃/hr 以下であることが好ましい。この予備時効処理として、溶体化処理を兼ねる場合の高温成形後の冷却終了温度を50〜100 ℃と高くした後に、直ちに再加熱乃至そのまま保持して行う。あるいは、溶体化処理後常温までの焼入れ処理の後に、直ちに50〜100 ℃に再加熱して行う。
【0051】
更に、室温時効抑制のために、前記予備時効処理後に、時間的な遅滞無く、比較的低温での熱処理 (人工時効処理) を行い、GPゾーンを更に生成させても良い。前記時間的な遅滞があった場合、予備時効処理後でも、時間の経過とともに室温時効 (自然時効) が生じ、この室温時効が生じた後では、前記比較的低温での熱処理による効果が発揮しにくくなる。なお、用途や必要特性に応じて、更に高温での人工時効処理や安定化処理を行い、より高強度化などを図ることなども勿論可能である。
【0052】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。表1 に示すA 〜F の本発明範囲内、G 〜L の本発明範囲外、各々2 種類の6000系のAl合金鋳塊をDC鋳造法にて溶製し、面削後に470mmtの厚みとして、昇温速度40°/hr にて加熱して550 ℃×4 時間の均質化熱処理後、この温度で熱間圧延を開始し5mmtの厚みの板に熱間圧延した。
【0053】
熱間粗圧延は、リバース式粗圧延機を用いて粗圧延した。また、続く熱間仕上げ圧延では、量産に用いる4 段4 タンデム式の仕上げ圧延機列を用いて(4回のパスによって) 仕上げ圧延してコイル化した。
その後、各熱間圧延板 (コイル) を冷間圧延し、共通して厚さ1.0mm のAl合金冷延板 (コイル) を作成した。
【0054】
更に、上記各冷延板 (冷延コイルから採取) を以下の同じ条件で調質処理したものと、調質処理しない冷延板も合わせて準備した。調質処理は、先ず、上記冷延板を570 ℃に保持した空気炉に投入し、各試験片が550 ℃の溶体化処理温度に到達した時点で10秒保持し、80℃の温水に焼き入れする処理を行った。前記焼入れ処理の際の冷却速度は200 ℃/ 秒とし、焼入れ終了温度 (焼入れ温度) は共通して80℃とし、焼入れ後にこの温度で2 時間保持する予備時効処理 (保持後は冷却速度0.6 ℃/hr で徐冷) を行った。
【0055】
これら供試板から各例とも試験片を採取し、板の圧延(L) 方向の平均結晶粒径を測定した。結果は、各発明例、比較例とも全て平均結晶粒径は50μm 以下に微細化されていた。この平均結晶粒径の測定は、アルミニウム合金板を0.05〜0.1mm 機械研磨した後電解エッチングした表面を、200 倍の光学顕微鏡を用いて観察し、前記L 方向に、ラインインターセプト法で測定する。1 測定ライン長さは0.95mmとし、1 視野当たり各3 本で合計5 視野を観察することにより、全測定ライン長さを0.95×15mmとした。
【0056】
これら調質処理後の各アルミニウム合金板および調質処理しない各アルミニウム合金板から、各例とも試験片を採取し、高速超塑性成形を評価するために、高温特性を供試板の高温引張試験により評価した。高温特性の内の、最大流動応力(MPa) 、伸び(%) の測定のための高温引張試験は温度500 ℃で行なった。そして、この温度で、昇温速度:100℃/ 分、歪み速度:10 -1/s、平行部長さ: 15mm、幅:5mm、評点間距離:10mm の試験片形状、の条件で高温引張試験を行った。また、試験片が破断するまで一定の上記歪み速度で行った。そして、これら特性は、各供試板の圧延方向に対し平行方向で測定した。これらの結果を表2 に示す。なお表2 の合金番号は表1 の合金番号に対応している。
【0057】
また、キャビティ面積率を測定して高温特性を評価した。高温成形においては、晶出物周辺および粒界3 重点などからキャビティ( 空隙) が発生する。このキャビティ発生 (量) は、高温成形品の実質的な断面積を減少させるため、成形品の機械的な性質および疲労強度を低下させる。したがって、キャビティ面積率は極力少ない方が好ましい。
【0058】
キャビティ面積率の測定は、上記温度500 ℃で高温引張試験を行なった後の、破断した試験片について行った。即ち、この試験片の板厚減少率が50% の (板厚が1/2 に減じた) 箇所の、板の圧延方向に平行な断面組織について、400 倍の光学顕微鏡を用いてキャビティを観察し、キャビティ面積率を画像処理にて測定するとともに、視野数4 視野で平均化した。これらの結果、発明例、比較例ともに差はなく、キャビティ面積率は全て1%以下の少ない値であった。
【0059】
更に、上記各試験片の高速超塑性成形後の人工時効硬化処理後の強度を評価した。このため、各例とも上記各各アルミニウム合金板から試験片を採取し、溶体化処理に必要な温度での高温成形 (高速超塑性成形) 後に急冷ではなく放冷などの緩冷却されることを模擬して、試験片を500 ℃で3 分間保持後、500 〜200 ℃の範囲を平均冷却速度5 ℃/s以下で室温まで放冷する熱処理を行なった。その後、実際の自動車パネルを想定し、高速超塑性成形後に塗装焼き付け硬化処理されることを模擬して、この熱処理後の試験片を更に170 ℃×30分の人工時効硬化処理した後 (ベークハード後) の試験片の0.2%耐力を測定した。なお、耐力測定のための引張試験はJIS Z 2201にしたがって行うとともに、試験片形状はJIS 5 号試験片で行った。また、クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
【0060】
そして、上記人工時効硬化処理した後の試験片の、自動車のアウタパネルとして特に必要な耐デント性を更に評価した。耐デント性試験は、この試験片の中央部に対し、先端のR が50mmΦの球頭ポンチにて、245MPaの荷重を加えた際の、荷重点の凹み量を測定することにより行なった。そして、凹み量が0.3mm 未満のものを〇、凹み量が0.3mm 以上のものを×として評価した。これらの結果も表2 に示す。
【0061】
また、高温成形後にアウターパネルとしてヘム加工されることを模擬して、上記各板から採取した試験片を、500 ℃で3 分間保持後、500 〜200 ℃の範囲を平均冷却速度5 ℃/s以下で室温まで放冷する熱処理を行なった後、試験片を以下の条件でフラットヘム加工した。試験片のフラットヘム加工代 (ヘム加工後のパネルの内側に折り曲げられた端部から折り曲げ部の端部までの距離) を12mmとしてダウンフランジ工程を模擬し、試験片の一辺の縁を90度の角度となるまで折り曲げた。この際、90°曲げ半径は0.8 とした。次に、プリヘム工程を模擬して、試験片縁を更に135 °の角度まで内側に折り曲げた。その後、フラットヘム加工条件を模擬して、インナパネル (板) を前記試験片の折り曲げ部に挿入せずに、折り曲げ部を内側に180 度折り曲げる曲げ加工を行った。
【0062】
そして、このフラットヘムの縁曲部の、肌荒れ、微小な割れ、大きな割れの発生などの表面状態を目視観察した。評価は、○; 肌荒れや微小な割れも無く良好、△; 肌荒れや微小な割れが発生、×; 大きな割れが発生、とした。これらの結果も表2 に示す。
【0063】
表1 、2 から明らかな通り、本発明組成範囲内であるA 〜F の過剰Si型6000系アルミニウム合金板は、溶体化処理に必要な温度で高温成形を行っても、最大流動応力が25MPa 以上である。このため、高温成形後のパネルの金型からの取り外しなどのハンドリング性に優れる。また、高温成形後に緩冷却されたパネルであっても、そして比較的低温で短時間の人工時効硬化処理後を行なっても、人工時効硬化処理後のパネルの耐力が170MPa以上と高い。なお、高温成形前に調質処理したアルミニウム合金板例である発明例1 、2 と高温成形前に調質処理しないアルミニウム合金板例である発明例7 、8 との対比においては、調質処理しない発明例7 、8 の方が、人工時効硬化性について、発明例1 、2 よりも若干劣る。したがって、高温成形前に調質処理するか否かは、この程度の差を考慮して、パネル要求特性に合わせて、適宜選択する。
【0064】
これに対し、Cuが0.3%と下限を外れて低過ぎる合金G を用いた比較例9 は、Cuが0.4%と下限である合金B を用いた発明例2 に比して、最大流動応力が25MPa 未満であり、高温成形後のパネルのハンドリング性が著しく劣る。また、高温成形後に緩冷却されたパネルでは、比較的低温で短時間の人工時効硬化処理後の場合に、人工時効硬化処理後のパネルの耐力が170MPa未満と著しく劣る。
【0065】
Siが0.5%と下限を外れて低過ぎる合金H を用いた比較例10も、Siが0.6%と下限である合金 Cを用いた発明例3 に比して、高温成形後に緩冷却されたパネルでは比較的低温で短時間の人工時効硬化処理した場合に、人工時効硬化処理後のパネルの耐力が170MPa未満と著しく劣る。
【0066】
Mgが0.2%と下限を外れて低過ぎる合金J を用いた比較例12も、Mgが0.3%と下限である合金E を用いた発明例5 に比して、最大流動応力が25MPa 未満であり、高温成形後のパネルのハンドリング性が著しく劣る。また、高温成形後に緩冷却されたパネルでは、比較的低温で短時間の人工時効硬化処理後の場合に、人工時効硬化処理後のパネルの耐力が170MPa未満と著しく劣る。
【0067】
Siが1.4%と上限を外れて高過ぎる合金I を用いた比較例11や、Mgが1.0%と上限を外れて高過ぎる合金K を用いた比較例13は、最大流動応力が25MPa 以上である。しかし、比較例11と比較例13は、は自動車アウタパネルとして使用される際に必要なヘム加工性が、Siが1.3%と上限値である合金D を用いた発明例4 や、Mgが1.0%と上限値である合金F を用いた発明例6 に比して、著しく劣る。また、比較例13は、人工時効硬化処理後のパネルの0.2%耐力が170MPa未満である。
【0068】
また、Siを1.3%と上限値まで増やし、Mgを1.0%と上限値まで増やしても、Cuを有効量乃至実質量含まない合金L を用いた比較例14は、最大流動応力が25MPa 未満であり、高温時の耐力が発明例に比して著しく劣る。また、高温成形後に緩冷却されたパネルでは、比較的低温で短時間の人工時効硬化処理後の場合に、人工時効硬化処理後のパネルの0.2%耐力が170MPa未満と著しく劣る。したがって、本発明の課題に対する、SiやMgの増量効果の低さに比べて、Cuの格段に優れた特異な効果が分かる。また、これらの結果から、高温強度、高温成形後のパネルのハンドリング性、高温成形後に緩冷却された場合の比較的低温で短時間の人工時効硬化性、あるいはヘム加工性に対する、本発明成分組成範囲の臨界的な意義が分かる。
【0069】
【表1】
Figure 0004022497
【0070】
【表2】
Figure 0004022497
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、溶体化処理に必要な温度で高温成形を行っても、高温成形温度下におけるパネル強度が高く、また、この高温成形後に緩冷却を行って、かつ比較的低温で短時間の人工時効硬化処理後を行なっても、人工時効硬化処理後のパネルの耐力が高いルミニウム合金パネルの製造方法を提供することができる。しかも、このアルミニウム合金板を従来の板製造工程を変更せずに製造することができる。したがって、6000系アルミニウム合金板のパネル成形用途への拡大を図ることができる点で、多大な工業的な価値を有するものである。

Claims (2)

  1. Si:0.6 1.3% Mg:0.3 0.9% Mn:0.01 0.65% Cu:0.4 1.0% を含み、かつ Si/Mg が質量比で 1.0 以上であり、残部 Al および不可避的不純物からなる Al-Mg-Si 系アルミニウム合金板を、 460 550 ℃の高温で成形してパネル化する際に、このパネルの前記高温成形時の最大流動応力を 25MPa 以上として成形し、更にこの高温成形後のパネルに 150 180 ℃で 20 40 分間保持する人工時効硬化処理を施し、この人工時効硬化処理後のパネルの 0.2% 耐力を 170MPa 以上とすることを特徴とするアルミニウム合金パネルの製造方法。
  2. 前記高温成形の温度が成形される Al-Mg-Si 系アルミニウム合金板が溶体化処理される温度である請求項1に記載のアルミニウム合金パネルの製造方法。
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