Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP2000256098A - 積層薄膜 - Google Patents

積層薄膜

Info

Publication number
JP2000256098A
JP2000256098A JP11062864A JP6286499A JP2000256098A JP 2000256098 A JP2000256098 A JP 2000256098A JP 11062864 A JP11062864 A JP 11062864A JP 6286499 A JP6286499 A JP 6286499A JP 2000256098 A JP2000256098 A JP 2000256098A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
plane
perovskite
buffer layer
orientation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11062864A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3669860B2 (ja
Inventor
Takao Noguchi
隆男 野口
Yoshihiko Yano
義彦 矢野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP06286499A priority Critical patent/JP3669860B2/ja
Priority to US09/300,452 priority patent/US6258459B1/en
Publication of JP2000256098A publication Critical patent/JP2000256098A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3669860B2 publication Critical patent/JP3669860B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)
  • Solid State Image Pick-Up Elements (AREA)
  • Formation Of Insulating Films (AREA)
  • Semiconductor Memories (AREA)
  • Non-Volatile Memory (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 (100)配向、(001)配向または(1
11)配向を有するペロブスカイト型酸化物薄膜が容易
に得られる手段を提供する。 【解決手段】 バッファ層と、この上に成長したペロブ
スカイト型酸化物薄膜とを有し、前記バッファ層の前記
ペロブスカイト型酸化物薄膜との界面が{111}ファ
セット面から構成されており、前記ファセット面とほぼ
平行に、前記ペロブスカイト型酸化物薄膜の立方晶、菱
面体晶、正方晶もしくは斜方晶の{110}面、正方晶
もしくは斜方晶の{101}面、または斜方晶の{01
1}面が存在する積層薄膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペロブスカイト型
酸化物薄膜を有する積層薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体結晶基板であるSi基板上に、超
伝導膜、誘電体膜、強誘電体膜、圧電膜等の各種機能膜
を形成、集積化した電子デバイスが考案されている。例
えば、半導体と超伝導体との組み合わせでは、SQUI
D、ジョセフソン素子、超伝導トランジスタ、電磁波セ
ンサーおよび超伝導配線LSI等が挙げられ、半導体と
誘電体との組み合わせでは、集積度のさらに高いLS
I、SOI技術による誘電体分離LSIが挙げられ、半
導体と強誘電体との組み合わせでは、不揮発性メモリ
ー、赤外線センサー、光変調器、光スイッチ、OEIC
(光・電子集積回路:OPTO-ELECTRONIC INTEGRATED CIR
CUITS)等が挙げられる。また、圧電膜を利用した素子
としては、弾性表面波素子、フィルタ、VCO、共振子
等が挙げられる。
【0003】これらの電子デバイスにおいて、最適なデ
バイス特性およびその再現性を確保するためには、機能
膜の結晶性が良好であることが望まれる。配向の揃って
いない多結晶体では、粒界による物理量の撹乱のため、
良好なデバイス特性を得ることが難しい。
【0004】強誘電体膜などに利用される代表的な機能
膜としては、ペロブスカイト型酸化物薄膜が挙げられ
る。ペロブスカイト型酸化物薄膜をSi基板上に形成す
る場合、例えば本出願人による特開平9−110592
号公報や特開平10−223476号公報に示されるよ
うに、ペロブスカイト型酸化物薄膜と基板との間にバッ
ファ層として安定化ジルコニア薄膜や希土類酸化物薄膜
を設けることが知られている。例えば上記特開平10−
223476号公報では、正方晶(001)配向をもつ
ペロブスカイト型酸化物薄膜を形成するために、バッフ
ァ層とペロブスカイト型酸化物薄膜との格子ミスフィッ
トによる応力を利用している。なお、本明細書において
膜が例えば(001)配向であるとは、膜面とほぼ平行
に(001)面が存在していることを意味する。
【0005】強誘電性をもつペロブスカイト型酸化物薄
膜は、一般に、正方晶では[001]方向に、菱面体晶
では[111]方向に分極軸をもつ。そのため、例えば
強誘電体薄膜として優れた機能を発揮させるためには、
(001)配向または(111)配向していることが好
ましい。しかし、ペロブスカイト型酸化物薄膜は、上記
バッファ層上では正方晶(110)配向または正方晶
(101)配向しやすい傾向を示すため、分極軸に垂直
な正方晶(001)面および菱面体晶(111)面が配
向した膜とすることが難しい。具体的には、BaTiO
3はジルコニア(001)上でBaZrO3(110)を
形成しやすいため、(110)配向しやすい。また、P
bTiO3もジルコニア(001)上では(110)ま
たは(101)配向しやすい。さらに、Y23(11
1)上およびCeO2(111)上においてPbZrx
1-x3(PZT)が(101)配向することが、Jpn.
J.Appl.Phys.37(Pt.1,No9B)5145-5149(1998)に報告され
ている。
【0006】正方晶(001)配向や菱面体晶(11
1)配向など、分極軸の方向に配向したペロブスカイト
型酸化物薄膜を得るためには、その薄膜を成長させる際
に、これらの方位に相当する方向に配向させることが重
要となる。例えばPbTiO3(001)配向膜を形成
する場合、PbTiO3膜は常温では正方晶であるが、
一般に成長中は高温相である立方晶となるため、成長中
には(100)配向させる必要がある。PbTiO3
を立方晶(100)配向膜として成長させることができ
れば、成長後、冷却する間に正方晶に転移して、(00
1)単一配向膜、または(100)配向と(001)配
向とが混在する90度ドメイン構造膜となる。PbTi
3膜が(001)単一配向膜となるか90度ドメイン
構造膜となるかは、基板との熱膨張率差やバッファ層と
の格子定数差によって決まる。
【0007】一方、ペロブスカイト型酸化物薄膜を機能
膜の下地層として用いる場合、例えばBaTiO3膜を
下地層としてPt(100)配向膜を形成する場合、下
地層は(100)配向していることが重要となる。ま
た、SrRuO3等の導電性のペロブスカイト型酸化物
材料を電極層として形成し、その上にPbTiO3等の
強誘電性の機能膜を形成する場合には、(001)配向
の機能膜を得るために、SrRuO3は(100)配向
または(001)配向であることが重要となる。これら
の場合、下地層や電極層として形成されるペロブスカイ
ト型酸化物薄膜を、成長中に(100)配向または(0
01)配向させることが重要となる。
【0008】したがって、Si基板上にバッファ層を介
してペロブスカイト型酸化物薄膜を形成するに際して、
成長中のペロブスカイト型酸化物薄膜をその結晶系に応
じて(100)配向、(001)配向または(111)
配向させることが容易にできる手段が望まれる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、(1
00)配向、(001)配向または(111)配向を有
するペロブスカイト型酸化物薄膜が容易に得られる手段
を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(8)の本発明により達成される。 (1) バッファ層と、この上に成長したペロブスカイ
ト型酸化物薄膜とを有し、前記バッファ層の前記ペロブ
スカイト型酸化物薄膜との界面が{111}ファセット
面から構成されており、前記ファセット面とほぼ平行
に、前記ペロブスカイト型酸化物薄膜の立方晶、菱面体
晶、正方晶もしくは斜方晶の{110}面、正方晶もし
くは斜方晶の{101}面、または斜方晶の{011}
面が存在する積層薄膜。 (2) 前記ペロブスカイト型酸化物薄膜が、(10
0)配向、(001)配向および(010)配向の1種
または2種からなる配向膜である上記(1)の積層薄
膜。 (3) 前記ペロブスカイト型酸化物薄膜が、(11
1)単一配向膜である上記(1)の積層薄膜。 (4) 前記ペロブスカイト型酸化物薄膜が、チタン酸
鉛、ジルコン酸鉛またはこれらの固溶体を主成分とする
上記(1)〜(3)のいずれかの積層薄膜。 (5) 前記バッファ層が、希土類元素酸化物、酸化ジ
ルコニウム、またはZrの一部を希土類元素もしくはア
ルカリ土類元素で置換した酸化ジルコニウムを含有する
上記(1)〜(4)のいずれかの積層薄膜。 (6) 希土類元素およびアルカリ土類元素をRで表し
たとき、前記バッファ層において原子比R/(Zr+
R)が0.2〜0.75である上記(5)の積層薄膜。 (7) 前記バッファ層を挟んで前記ペロブスカイト型
酸化物薄膜の反対側に下地層を有し、この下地層が、酸
化ジルコニウム、またはZrの一部を希土類元素もしく
はアルカリ土類元素で置換した酸化ジルコニウムを含有
し、希土類元素およびアルカリ土類元素をRで表したと
き、この下地層における原子比R/(Zr+R)が、前
記バッファ層における原子比R/(Zr+R)よりも小
さい上記(5)の積層薄膜。 (8) 表面がSi(100)単結晶から構成される基
板上に存在する上記(1)〜(7)のいずれかの積層薄
膜。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の積層薄膜は、Si単結晶
等からなる基板上に形成されており、基板側にバッファ
層を有し、このバッファ層に接してペロブスカイト型酸
化物薄膜を有する。
【0012】バッファ層 バッファ層は、ペロブスカイト型酸化物薄膜と基板との
間に設けられる。
【0013】このバッファ層は、ペロブスカイト型酸化
物薄膜との界面として{111}ファセット面を有する
ことが特徴である。図1(a)に、Si(100)単結
晶基板の表面に形成したバッファ層表面を、模式的に示
す。なお、図示するバッファ層は、Y23から構成され
ているが、酸素原子の図示は省略してある。本発明にお
いてバッファ層は、立方晶(100)配向、正方晶(0
01)配向または単斜晶(001)配向のエピタキシャ
ル膜なので、図示するファセット面は、{111}ファ
セット面である。
【0014】本発明の積層薄膜では、バッファ層の{1
11}ファセット面とほぼ平行に、ペロブスカイト型酸
化物薄膜の立方晶、菱面体晶、正方晶もしくは斜方晶の
{110}面、正方晶もしくは斜方晶の{101}面、
または斜方晶の{011}面が存在する。ペロブスカイ
ト型酸化物薄膜は、PbTiO3のように、膜成長時は
立方晶である場合が多い。その場合、冷却後に菱面体
晶、正方晶、斜方晶などに変化していることもある。ま
た、バッファ層との間に格子定数のミスフィット等が存
在したり、あるいはこれを意図的に設けたりした場合、
例えば正方晶として成長し、冷却後もそのままである
か、冷却により菱面体晶等の他の結晶系に変化すること
もある。
【0015】まず、ペロブスカイト型酸化物薄膜が、
{111}ファセット面上で立方晶として成長する場合
について説明する。図1(b)に、一般式ABO3で表
されるペロブスカイト型酸化物の結晶構造を、模式的に
示す。なお、図1(b)において、酸素原子の図示は省
略してある。図1(b)では、ABO3を立方晶として
ある。なお、以下の説明では、わかりやすくするため
に、ファセット面を構成する4面をいずれも(111)
面とし、かつ、各(111)面とペロブスカイト型酸化
物薄膜の立方晶ABO3(110)面とが平行となるよ
うに、ペロブスカイト型酸化物が成長するものと仮定し
た。
【0016】図1(b)に示すABO3(110)面の
短辺長dSが、図1(a)に示すファセット面の格子間
隔dと整合する場合、(111)ファセット面と立方晶
ABO 3(110)面とが平行となるようにABO3結晶
が成長する。ABO3薄膜の成長に伴って、ファセット
面により構成される凹部は埋められ、最終的に、図1
(c)に示すようにABO3薄膜の表面はほぼ平坦とな
り、かつ、この表面は基板表面にほぼ平行となる。この
ような薄膜成長過程において、ABO3薄膜の立方晶
(100)面は、成長初期にはバッファ層のY23(1
00)面に対して約9.7°傾くと見積もられる。この
ことは、ファセット面を構成する4面上で成長したそれ
ぞれのABO3結晶において同様である。しかし、この
傾きは、ファセット面上にABO3薄膜が成長するに伴
い、結晶格子の歪みや格子欠陥の発生によって減少し、
図1(c)に示される状態では、ABO3薄膜の(10
0)面がY23(100)面にほぼ平行、すなわち基板
表面にほぼ平行となる。
【0017】ABO3薄膜が、例えばPbTiO3等のよ
うに成長後の冷却過程において正方晶に変化する物質か
ら構成されている場合には、基板表面に平行となった立
方晶(100)面のすべてまたは一部が正方晶(00
1)面に変化し、正方晶(001)配向結晶を有する膜
となる。一方、ABO3薄膜の組成によっては、冷却後
も立方晶(100)配向のまま、あるいは冷却により、
菱面体晶、正方晶または斜方晶の(100)配向、斜方
晶の(001)配向または(010)配向などに変化す
ることもある。また、ABO3薄膜は、膜厚、基板との
熱膨張率の差、バッファ層との間の格子定数のミスフィ
ットなどにより、ドメイン構造を有する膜となることも
ある。例えば、Si(100)基板上にY23バッファ
層を形成し、その{111}ファセット面上に厚さ10
0nmのPbTiO3薄膜を形成した場合、(100)配
向結晶および(001)配向結晶からなるドメイン構造
が形成される。
【0018】このように、バッファ層の{111}ファ
セット面と、ペロブスカイト型酸化物薄膜の立方晶{1
10}面、すなわち(110)面またはこれと等価な面
とが平行となるように、ペロブスカイト型酸化物が成長
した場合、冷却後のペロブスカイト型酸化物薄膜は、以
下の構造をもつものとなっている。
【0019】まず、ペロブスカイト型酸化物薄膜が、冷
却後も立方晶のままであるか、冷却後に菱面体晶となっ
ている場合、その立方晶または菱面体晶の{110}面
とバッファ層の{111}ファセット面とがほぼ平行な
状態となっており、かつ、ペロブスカイト型酸化物薄膜
は(100)配向になっている。
【0020】一方、ペロブスカイト型酸化物薄膜が冷却
後に正方晶となっている場合、その正方晶{110}
面、すなわち(110)面もしくはこれと等価な面、ま
たは、正方晶{101}面、すなわち(101)面もし
くはこれと等価な面が、{111}ファセット面とほぼ
平行となっている。このときペロブスカイト型酸化物薄
膜は、(100)配向または(001)配向となること
が考えられる。ただし、格子整合の点から、ペロブスカ
イト型酸化物薄膜は、その{101}面が{111}フ
ァセット面とほぼ平行な状態で、かつ(001)配向と
なっているのが一般的である。
【0021】また、ペロブスカイト型酸化物薄膜が冷却
後に斜方晶となっている場合、その斜方晶{110}
面、すなわち(110)面もしくはこれと等価な面、ま
たは、斜方晶{101}面、すなわち(101)面もし
くはこれと等価な面、または、斜方晶{011}面、す
なわち(011)面もしくはこれと等価な面が、{11
1}ファセット面とほぼ平行となっている。このときペ
ロブスカイト型酸化物薄膜は、(100)配向、(00
1)配向または(010)配向となることが考えられ
る。
【0022】次に、ペロブスカイト型酸化物薄膜が正方
晶として成長する場合について、図面を用いて説明す
る。この説明においては、ファセット面を構成する4面
をいずれも(111)面とし、この面と正方晶ペロブス
カイト型酸化物の(101)面とが平行となるようにペ
ロブスカイト型酸化物が成長するものとして説明する。
正方晶ペロブスカイト型酸化物のb軸長(=a軸長)、
すなわち図2に示す正方晶(101)面の短辺長d
Sが、ファセット面の格子間隔dと整合する場合、(1
11)ファセット面と平行となるのはペロブスカイト型
酸化物の正方晶{101}面、すなわち(101)面ま
たはこれと等価な面であり、結果として、ペロブスカイ
ト型酸化物薄膜は、その表面がY23(100)面にほ
ぼ平行となり、正方晶(001)配向膜となる。
【0023】なお、ペロブスカイト型酸化物薄膜が正方
晶として成長する場合には、その正方晶{110}面が
{111}ファセット面とほぼ平行となることもある。
【0024】上述したようにして成長したペロブスカイ
ト型酸化物薄膜は、(100)配向、(001)配向お
よび(010)配向の1種または2種からなる配向膜と
なる。すなわち、それぞれの単一配向膜となるか、これ
らの配向の2種からなるドメイン構造膜となる。
【0025】次に、ペロブスカイト型酸化物薄膜が(1
11)配向膜となる場合について説明する。
【0026】図1(a)中における{111}ファセッ
ト面の格子間隔dの2倍(2d)が、図3に示す立方晶
ABO3(110)面の長辺長dLと整合する場合、成長
時に{111}ファセット面とほぼ平行となるのは、A
BO3{110}面である。ファセット面とほぼ平行に
なる面が{110}面である点では図1(b)と同様で
あるが、図3の場合には、図1(b)に示す格子が横倒
しになった状態で成長する。そして、成長後のABO3
薄膜は、その(111)面が基板表面に対してほぼ平行
となる。このように形成されたABO3薄膜は、X線回
折において(nnn)のピークしか認められない場合が
通常である。したがって、(111)単一配向になって
いると考えられるが、ドメイン構造をもっていてもよ
い。なお、ペロブスカイト型酸化物薄膜の強誘電性を利
用する場合において、図3に示すように成長し、かつ成
長後に菱面体晶に変化すれば、菱面体晶(111)配向
となって分極軸の方向に配向することになるので好まし
い。また、成長後に正方晶(111)に変化する場合で
も、分極軸である正方晶[001]方向の成分を利用で
きるため、強誘電体膜としての機能が利用できる。
【0027】成長中のペロブスカイト型酸化物薄膜が
(100)配向、(001)配向、(010)配向、
(111)配向のいずれとなるかは、主にペロブスカイ
ト型酸化物とバッファ層との間の格子定数のミスフィッ
トに依存する。例えば、PbTiO3では(001)配
向をもつ薄膜となりやすく、PZTでは(111)配向
をもつ薄膜となりやすいが、置換元素を選択することに
より所望の結晶配向を得ることが可能である。
【0028】ファセット面の寸法は特に限定されない
が、ファセット面の高さ、すなわち、バッファ層の面内
と直交する平面に投影したときの寸法が小さすぎると、
バッファ層表面にファセット面を設けたことによる効果
が小さくなるので、投影寸法は5nm以上であることが好
ましい。一方、この投影寸法が大きい場合、それに伴っ
てペロブスカイト型酸化物薄膜を厚くしないと薄膜表面
が平坦にならなくなる。しかし、ペロブスカイト型酸化
物薄膜を厚くするとクラックが発生しやすくなるので、
上記投影寸法は30nm以下であることが好ましい。な
お、上記投影寸法は、バッファ層断面の透過型電子顕微
鏡写真から求める。
【0029】上記界面におけるファセット面の比率は、
好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上であ
る。ファセット面の比率が低すぎると、ペロブスカイト
型酸化物薄膜を良質なエピタキシャル膜として成長させ
ることが困難となる。なお、本明細書におけるファセッ
ト面の比率は、バッファ層断面の透過型電子顕微鏡写真
から以下のようにして求めた面積比である。バッファ層
表面の測定対象領域の長さ(面内方向の長さ)をBと
し、面内と平行な表面(ファセット面以外)の合計長さ
をHとすると、上記比率は、[1−(H/B)2]で表
される。上記測定対象領域の長さBは、1μm以上とす
る。
【0030】表面に{111}ファセット面を形成する
ために、バッファ層は、希土類元素酸化物を主成分とす
るか、酸化ジルコニウムを主成分とするか、Zrの一部
を希土類元素もしくはアルカリ土類元素で置換した酸化
ジルコニウムを主成分とすることが好ましい。なお、本
明細書における希土類元素は、ScおよびYを含むもの
とする。このようなバッファ層は、立方晶(100)配
向、正方晶(001)配向または単斜晶(001)配向
のとき、表面にファセット面を出現させることが可能で
ある。
【0031】希土類元素およびアルカリ土類元素をRで
表すと、バッファ層の組成は、Zr 1-xx2-δで表す
ことができる。x=0である酸化ジルコニウム(ZrO
2)は、高温から室温にかけて立方晶→正方晶→単斜晶
と相転移を生じるが、希土類元素またはアルカリ土類元
素の添加により立方晶は安定化する。ZrO2に希土類
元素またはアルカリ土類元素を添加した酸化物は、一般
に安定化ジルコニアと呼ばれる。本発明では、ZrO2
安定化のための元素として希土類元素を用いることが好
ましい。
【0032】本発明では、ファセット面が形成可能であ
ればZr1-xx2-δにおけるxは特に限定されない。
ただし、Jpn.J.Appl.Phys.27(8)L1404-L1405(1988)に
は、希土類元素安定化ジルコニアにおいてxが0.2未
満である組成域では正方晶または単斜晶の結晶になるこ
とが報告されており、また、J.Appl.Phys.58(6)2407-24
09(1985)には、正方晶または単斜晶となる組成域におい
ては、得ようとするもの以外の配向面が混入し、単一配
向のエピタキシャル膜が得られないことが報告されてい
る。しかし、本発明者らが検討を重ねた結果、後述する
蒸着法を利用することにより、xが0.2未満の組成で
もエピタキシャル成長が可能となり、良好な結晶性が得
られることがわかった。高純度のZrO2膜は、絶縁抵
抗が高くなり、リーク電流が小さくなるので、絶縁特性
を必要とする場合には好ましい。ただし、ファセット面
の形成を容易にするためには、xを0.2以上とするこ
とが好ましい。
【0033】一方、バッファ層をSi単結晶基板に接し
て形成する場合、xが0.75を超える組成域では、立
方晶ではあるが、(100)単一配向が得られにくく、
(111)配向の結晶が混入したり、(111)単一配
向となったりしてしまう。したがって、Si単結晶基板
上にバッファ層を直接形成する際には、Zr1-xx 2-
δにおいてx≦0.75以下、特に0.50以下とする
ことが好ましい。
【0034】ただし、Si単結晶基板上に、適当な下地
層を介してバッファ層を形成することにより、xが大き
い場合でもバッファ層を立方晶(100)単一配向とす
ることができる。このような下地層としては、酸化ジル
コニウムまたは安定化ジルコニアからなる立方晶(10
0)配向、正方晶(001)配向または単斜晶(00
1)配向の薄膜が好ましい。なお、下地層では、バッフ
ァ層よりもxを小さい値に設定することになる。
【0035】安定化ジルコニア薄膜が含む希土類元素
は、安定化ジルコニア薄膜に接する薄膜または基板の格
子定数に応じ、これらと安定化ジルコニア薄膜との格子
定数がマッチングするように適宜選択すればよい。希土
類元素の種類を固定したままxを変更すれば安定化ジル
コニアの格子定数を変えることができるが、xだけの変
更ではマッチング調整可能領域が狭い。しかし、希土類
元素を変更すれば格子定数を比較的大きく変更すること
ができるので、マッチングの最適化が容易となる。例え
ばYに替えてPrを用いれば、格子定数を大きくするこ
とができる。
【0036】なお、酸素欠陥を含まない酸化ジルコニウ
ムは化学式ZrO2で表わされるが、安定化ジルコニア
は、添加した安定化元素の種類、量および価数により酸
素の量が変化し、Zr1-xx2-δにおけるδは、0〜
1.0の範囲となり、通常、0〜0.5となる。
【0037】バッファ層は、組成が連続的ないし段階的
に変化する傾斜組成構造であってもよい。傾斜組成構造
とする場合、Zr1-xx2-δにおけるxが、バッファ
層の裏面側から表面側(金属薄膜側)に向かって増大す
る構成とすることが好ましい。上記した下地層を設ける
場合、下地層がバッファ層の一部と考えれば、このバッ
ファ層は、組成が段階的に変化するものといえる。
【0038】バッファ層に用いる希土類元素は、Sc、
Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、YbおよびLuの少なくとも1
種を選択すればよいが、希土類元素酸化物には、六方晶
である希土類a型構造となりやすいものが存在するの
で、安定して立方晶の酸化物となる元素を選択すること
が好ましい。具体的には、Sc、Y、Ce、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuの
少なくとも1種が好ましく、これらのうちから、酸化物
としたときの格子定数やその他の条件に応じて適宜選択
すればよい。
【0039】バッファ層には、特性改善のために添加物
を導入してもよい。例えば、AlおよびSiは、膜の抵
抗率を向上させる効果がある。さらに、Mn、Fe、C
o、Niなどの遷移金属元素は、膜中において不純物に
よる準位(トラップ準位)を形成することができ、この
準位を利用することにより導電性の制御が可能になる。
【0040】なお、下地層やバッファ層として用いるZ
rO2薄膜において、Zrの比率の上限は現在のところ
99.99mol%程度である。また、現在の高純度化技術
ではZrO2とHfO2との分離は難しいので、ZrO2
の純度は、通常、Zr+Hfでの純度を指している。し
たがって、本明細書におけるZrO2の純度は、Hfと
Zrとを同元素とみなして算出された値であるが、Hf
2は本発明におけるZrO2薄膜においてZrO2と全
く同様に機能するため、問題はない。また、このこと
は、上記安定化ジルコニアにおいても同様である。
【0041】バッファ層の厚さは特に限定されず、適切
な寸法のファセット面が形成されるように適宜設定すれ
ばよいが、好ましくは5〜1000nm、より好ましくは
25〜100nmである。バッファ層が薄すぎると均一な
ファセット面を形成することが困難であり、厚すぎると
バッファ層にクラックが発生することがある。なお、下
地層の厚さは、下地層が均質なエピタキシャル膜とな
り、表面が平坦で、クラックが発生しないように適宜決
定すればよいが、通常、2〜50nmとすることが好まし
い。
【0042】ペロブスカイト型酸化物薄膜 ペロブスカイト型酸化物薄膜に用いる材料は特に限定さ
れず、強誘電性、圧電性など、要求される機能に応じて
適宜選択すればよいが、例えば以下の材料が好適であ
る。
【0043】BaTiO3;PbTiO3、希土類元素含
有チタン酸鉛、PZT(ジルコンチタン酸鉛)、PLZ
T(ジルコンチタン酸ランタン鉛)等のPb系ペロブス
カイト化合物;Bi系ペロブスカイト化合物など。以上
のような単純、複合、層状の各種ペロブスカイト化合
物。
【0044】上記ペロブスカイト型材料のうち、BaT
iO3や、PbTiO3等の鉛系ペロブスカイト化合物な
どは、一般に化学式ABO3で表される。ここで、Aお
よびBは各々陽イオンを表す。AはCa、Ba、Sr、
Pb、K、Na、Li、LaおよびCdから選ばれた1
種以上であることが好ましく、BはTi、Zr、Taお
よびNbから選ばれた1種以上であることが好ましい。
本発明では、これらのうちから、使用温度において強誘
電性などの機能性を示すものを、目的に応じて適宜選択
して用いればよい。
【0045】こうしたペロブスカイト型化合物における
比率A/Bは、好ましくは0.8〜1.3であり、より
好ましくは0.9〜1.2である。
【0046】A/Bをこのような範囲にすることによっ
て、誘電体の絶縁性を確保することができ、また結晶性
を改善することが可能になるため、誘電体特性または強
誘電特性を改善することができる。これに対し、A/B
が0.8未満では結晶性の改善効果が望めなくなり、ま
たA/Bが1.3を超えると均質な薄膜の形成が困難に
なってしまう。このようなA/Bは、成膜条件を制御す
ることによって実現する。
【0047】なお、本明細書では、PbTiO3などの
ようにABOxにおけるOの比率xをすべて3として表
示してあるが、xは3に限定されるものではない。ペロ
ブスカイト材料によっては、酸素欠陥または酸素過剰で
安定したペロブスカイト構造を組むものがあるので、A
BOxにおいて、xの値は、通常、2.7〜3.3程度
である。なお、A/Bは、蛍光X線分析法から求めるこ
とができる。
【0048】本発明で用いるABO3型のペロブスカイ
ト化合物としては、A1+5+3、A 2+4+3、A3+
3+3、AXBO3、A(B′0.67B″0.33)O3、A
(B′0.3 3B″0.67)O3、A(B0.5 +30.5 +5)O3
A(B0.5 2+0.5 6+)O3、A(B 0.5 1+0.5 7+)O3
3+(B0.5 2+0.5 4+)O3、A(B0.25 1+0.75 5+
3、A(B0.5 3+0.5 4+)O2.75、A(B0.5 2+0.5
5+)O2.75等のいずれであってもよい。
【0049】具体的には、PZT、PLZT等のPb系
ペロブスカイト化合物、CaTiO 3、BaTiO3、P
bTiO3、KTaO3、BiFeO3、NaTaO3、S
rTiO3、CdTiO3、KNbO3、LiNbO3、L
iTaO3、およびこれらの固溶体等である。
【0050】なお、上記PZTは、PbZrO3−Pb
TiO3系の固溶体である。PbTiO3:PbZrO3
(モル比)は、要求特性に応じて適宜決定される。PZ
Tは一般に、PbTiO3リッチ側において正方晶とな
りやすく、PbZrO3リッチ側において菱面体晶とな
りやすい。また、上記PLZTは、PZTにLaがドー
プされた化合物であり、ABO3の表記に従えば、例え
ば(Pb0.890.91La0.1 10.09)(Zr0.65Ti
0.35)O3で示される。
【0051】また、層状ペロブスカイト化合物のうちB
i系層状化合物は、一般に 式 Bi2m-1m3m+3 で表わされる。上記式において、mは1〜5の整数、A
は、Bi、Ca、Sr、Ba、Pbおよび希土類元素
(ScおよびYを含む)のいずれかであり、Bは、T
i、TaおよびNbのいずれかである。具体的には、B
4Ti312、SrBi2Ta29、SrBi2Nb29
などが挙げられる。本発明では、これらの化合物のいず
れを用いてもよく、これらの固溶体を用いてもよい。
【0052】なお、複合ペロブスカイト型化合物(層状
ペロブスカイト化合物を含む)自体の格子定数は、その
単位格子の整数倍(通常、最大5倍程度)である。本明
細書においては、ペロブスカイト型酸化物の格子定数が
比較的大きな意味をもつが、複合ペロブスカイト型化合
物では、その単位格子の格子定数が重要である。また、
例えばSrRuO3のように薄膜化したときに疑似ペロ
ブスカイト構造となる化合物では、バルク状態のときの
結晶構造における格子定数ではなく、疑似ペロブスカイ
トのときの格子定数が重要である。
【0053】本発明に用いることが好ましいペロブスカ
イト型化合物は、チタン酸塩ないしチタン酸塩含有ペロ
ブスカイト型化合物、例えばBaTiO3、SrTi
3、PLZT、PZT、CaTiO3、PbTiO3
希土類元素含有チタン酸鉛等であり、より好ましいもの
はBaTiO3、SrTiO3、PZT、PbTiO3
希土類元素含有チタン酸鉛であり、特に好ましいもの
は、PbTiO3、R(Rは、Pr、Nd、Eu、T
b、Dy、Ho、Yb、Y、Sm、Gd、ErおよびL
aから選択された少なくとも1種の希土類元素)、P
b、TiならびにOを含有する希土類元素含有チタン酸
鉛である。特にPbTiO3は、自発分極、誘電率、キ
ューリー点の点でメモリに好適である。
【0054】本発明では、希土類元素含有チタン酸鉛と
して、原子比率が (Pb+R)/Ti=0.8〜1.3、 Pb/(Pb+R)=0.5〜0.99 の範囲、好ましくは (Pb+R)/Ti=0.9〜1.2、 Pb/(Pb+R)=0.7〜0.97 の範囲にある組成のものを用いることが好ましい。この
組成の希土類元素含有チタン酸鉛は、特願平8−186
625号に開示されている。希土類元素を上記比率でP
bTiO3に添加することにより、Ecを低下させるこ
とができ、しかも、それに伴なう残留分極値Prの減少
を抑えることが可能となる。また、上記組成では、半導
体化を生じさせにくい希土類元素を添加するので、リー
クのより少ないペロブスカイト型酸化物薄膜が実現す
る。また、本発明者らは、添加する希土類元素の種類と
量とが、分極反転の疲労特性に影響していることをつき
とめた。上記組成では、希土類元素の種類と量とを最適
なものとしてあるので、繰り返し特性に優れたペロブス
カイト型酸化物薄膜が実現する。
【0055】Rは、PbTiO3材で構成される基本ペ
ロブスカイトのAサイトに位置するPbと置換し、結晶
を変形させる。PbTiO3は、a軸:0.3897n
m、c軸:0.4147nmの正方晶系のペロブスカイト
構造であり、c軸方向に分極軸を持つ。この結晶変形
は、a軸とc軸との比を減少させるので、わずかに自発
分極を減少させるが、分極反転に必要とされる電圧(E
c)を低下させることができる。一方、R以外の希土類
元素、例えば、Ceでは、PbTiO3のBサイトに位
置する元素と置換するので、結晶の変形が効果的に行え
ず、自発分極が極端に低下するためデバイス応用に好ま
しくない。
【0056】チタン酸鉛は、一般にPb:Ti:O=
1:1:3であるが、本発明では添加するRの種類およ
び量によって酸素の比率は異なり、通常、2.7〜3.
3程度である。
【0057】なお、希土類元素含有チタン酸鉛では、T
iの60原子%以下がZr、Nb、Ta、HfおよびC
eの少なくとも1種で置換されていてもよい。
【0058】以上では、強誘電性を有するペロブスカイ
ト型酸化物を主体に説明したが、本発明では、導電性ペ
ロブスカイト型酸化物も使用することができる。導電性
のペロブスカイト酸化物薄膜は、電子デバイス中におい
て例えば電極層として利用できる。
【0059】導電性ペロブスカイト型酸化物を、以下に
例示する。
【0060】ReO3,WO3,MxReO3(ここで、M金属,0<x<0.
5),MxWO3(ここで、M=金属,0<x<0.5),A2P8W32O112(こ
こで、A=K,Rb,Tl),NaxTayW1-yO3(ここで、0≦x<1,0<y
<1),RNbO3(ここで、R:一種類以上の希土類(Scおよ
びYを含む)),Na1-xSrxNbO3(ここで、0≦x≦1),RTiO
3(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含
む)),Can+1TinO3n+1-y(ここで、n=2,3,...,y>0),CaVO
3,SrVO3,R1-xSrxVO3(ここで、R:一種類以上の希土類
(ScおよびYを含む)、0≦x≦1),R1-xBaxVO3(ここで、
R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含む)、0≦x≦
1),Srn+1VnO3n+1-y(ここで、n=1,2,3....,y>0),Ban+1
VnO3n+1-y(ここで、n=1,2,3....,y>0),R4BaCu5O
1 3-y(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含
む)、0≦y),R5SrCu6O15(ここで、R:一種類以上の希
土類(ScおよびYを含む)),R2SrCu2O6.2(ここで、R:
一種類以上の希土類(ScおよびYを含む)),R1-xSrxVO
3(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含
む)),CaCrO3,SrCrO3,RMnO3(ここで、R:一種類以上の
希土類(ScおよびYを含む)),R1-xSrxMnO3(ここで、
R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含む),0≦x≦
1),R1-xBaxMnO3(ここで、R:一種類以上の希土類(Sc
およびYを含む),0≦x≦1),Ca1-xRxMnO3-y(ここで、
R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含む),0≦x≦
1,0≦y),CaFeO3,SrFeO3,BaFeO3,SrCoO3,BaCoO3,RCoO
3(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含
む)),R1-xSrxCoO3(ここで、R:一種類以上の希土類
(ScおよびYを含む),0≦x≦1),R1-xBaxCoO3(ここで、
R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含む),0≦x≦
1),RNiO3(ここで、R:一種類以上の希土類(Scおよび
Yを含む)),RCuO3(ここで、R:一種類以上の希土類(S
cおよびYを含む)),RNbO3(ここで、R:一種類以上の希
土類(ScおよびYを含む)),Nb12O29,CaRuO3,Ca1-xRxRu
1-yMnyO3(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY
を含む),0≦x≦1,0≦y≦1),SrRuO3,Ca1-xMgxRuO3(こ
こで、0≦x≦1), Ca1-xSrxRuO3(ここで、0<x<1),Ba
RuO3,Ca1-xBaxRuO3(ここで、0<x<1),(Ba,Sr)RuO3,Ba
1-xKxRuO3(ここで、0<x≦1),(R,Na)RuO3(ここで、
R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含む)),(R,M)Rh
O3(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含
む),M=Ca,Sr,Ba),SrIrO3,BaPbO3,(Ba,Sr)PbO3- y(ここ
で、0≦y<1),BaPb1-xBixO3(ここで、0<x≦1),Ba1-xKx
BiO3(ここで、0<x≦1),Sr(Pb,Sb)O3-y(ここで、0≦y<
1),Sr(Pb,Bi)O3-y(ここで、0≦y<1),Ba(Pb,Sb)O3-y(こ
こで、0≦y<1),Ba(Pb,Bi)O3-y(ここで、0≦y<1),MMoO
3(ここで、M=Ca,Sr,Ba),(Ba,Ca,Sr)TiO3-x(ここで、0≦
x),等。
【0061】層状ペロブスカイト型酸化物(K2NiF4型を
含む):Rn+1NinO3n+1(ここで、R:Ba,Sr,希土類(Sc
およびYを含む)のうち一種類以上,n=1〜5の整数),
Rn+1CunO3n+1(ここで、R:Ba,Sr,希土類(ScおよびYを
含む)のうち一種類以上,n=1〜5の整数),Sr2RuO4,S
r2RhO4,Ba2RuO4,Ba2RhO4,等。
【0062】これらのうち特に、RCoO3、RMn
3、RNiO3、R2CuO4、(R,Sr)CoO3
(R,Sr,Ca)RuO3、(R,Sr)RuO3、S
rRuO3、(R,Sr)MnO3(Rは、YおよびSc
を含む希土類)、およびそれらの関連化合物が好まし
い。
【0063】ペロブスカイト型酸化物薄膜の厚さは用途
により異なるが、好ましくは10〜500nm、より好ま
しくは50〜150nmであり、結晶性、表面性を損なわ
ない程度に薄いことが好ましい。より具体的には、バッ
ファ層のファセット面により構成される凹凸を埋めるた
めには、厚さを30nm以上とすることが好ましく、10
0nm以上の厚さとすれば、十分な表面平坦性が得られ
る。
【0064】結晶性および表面性 バッファ層、ペロブスカイト型酸化物薄膜および下地層
の結晶性は、XRD(X線回折)における反射ピークの
ロッキングカーブの半値幅や、RHEED像のパターン
で評価することができる。また、表面性は、RHEED
像のパターンおよび透過型電子顕微鏡で評価することが
できる。なお、RHEEDとは、反射高速電子線回折
(Reflection High Energy Electron Diffraction)で
ある。
【0065】バッファ層および下地層では、X線回折に
おいて(200)面または(002)面[希土類c型構
造のバッファ層では(400)面]の反射のロッキング
カーブの半値幅が、また、ペロブスカイト型酸化物薄膜
では、例えば(111)配向の場合には(111)面反
射のロッキングカーブの半値幅が、いずれも1.50°
以下となる程度の結晶性を有していることが好ましい。
なお、ロッキングカーブの半値幅の下限値は特になく、
小さいほど好ましいが、現在のところ、前記下限値は一
般に0.7°程度、特に0.4°程度である。また、R
HEEDにおいては、像がスポット状である場合、表面
に凹凸が存在していることになり、ストリーク状である
場合、表面が平坦であることになる。そして、いずれも
場合でも、RHEED像がシャープであれば、結晶性に
優れていることになる。
【0066】本発明の積層薄膜において、バッファ層お
よび下地層は、エピタキシャル膜であることが好まし
い。本明細書におけるエピタキシャル膜は、第一に、単
一配向膜である必要がある。この場合の単一配向膜と
は、X線回折による測定を行ったとき、目的とする面以
外のものの反射のピーク強度が目的とする面の最大ピー
ク強度の10%以下、好ましくは5%以下である膜であ
る。例えば、(k00)単一配向膜、すなわちa面単一
配向膜では、膜の2θ−θX線回折で(k00)面以外
の反射ピークの強度が、(k00)面反射の最大ピーク
強度の10%以下、好ましくは5%以下である。なお、
本明細書において(k00)は、(100)系列の面、
すなわち(100)や(200)などの等価な面を総称
する表示である。本明細書におけるエピタキシャル膜の
第二の条件は、膜面内をx−y面とし、膜厚方向をz軸
としたとき、結晶がx軸方向、y軸方向およびz軸方向
に共に揃って配向していることである。このような配向
は、RHEED評価でスポット状またはストリーク状の
シャープなパターンを示すことで確認できる。例えば、
表面に凹凸が存在するバッファ層において結晶配向に乱
れがある場合、RHEED像はシャープなスポット状と
はならず、リング状に伸びる傾向を示す。上記した二つ
の条件を満足すれば、エピタキシャル膜といえる。
【0067】また、本発明においてペロブスカイト型酸
化物薄膜は、エピタキシャル膜とすることが可能であ
る。
【0068】基板 本発明で用いる基板は、Si、MgO、SrTiO3
の各種単結晶から選択することができるが、Si(10
0)単結晶表面を有する基板が最も好ましい。
【0069】製造方法 バッファ層、ペロブスカイト型酸化物薄膜および下地層
の形成方法は特に限定されず、基板上、特にSi単結晶
基板上に、これらをエピタキシャル膜として形成可能な
方法から適宜選択すればよいが、好ましくは蒸着法、特
に、前記特開平10−223476号公報などに開示さ
れている蒸着法を用いることが好ましい。
【0070】以下、製造方法の具体例として、安定化ジ
ルコニアからなるバッファ層の形成について説明する。
【0071】この製造方法を実施するにあたっては、例
えば図11に示すような構成の蒸着装置1を用いること
が望ましい。
【0072】この蒸着装置1は、真空ポンプPが設けら
れた真空槽1aを有し、この真空槽1a内には、下部に
基板2を保持するホルダ3が配置されている。このホル
ダ3は、回転軸4を介してモータ5に接続されており、
このモータ5によって回転され、基板2をその面内で回
転させることができるようになっている。上記ホルダ3
は、基板2を加熱するヒータ6を内蔵している。
【0073】蒸着装置1は、酸化性ガス供給装置7を備
えており、この酸化性ガス供給装置7のノズル8は、上
記ホルダ3の直ぐ下方に配置されている。これによっ
て、酸化性ガスは、基板2近傍でその分圧が高くされる
ようになっている。ホルダ3のさらに下方には、Zr蒸
発部9および希土類元素蒸発部10が配置されている。
これら各蒸発部には、それぞれの蒸発源の他に、蒸発の
ためのエネルギーを供給するエネルギー供給装置(電子
線発生装置、抵抗加熱装置等)が配置されている。
【0074】まず、上記ホルダに基板をセットする。こ
の製造方法では、均質な薄膜を大面積基板、例えば10
cm2以上の面積を持つ基板上に形成することができる。
これにより、本発明の積層薄膜を有する電子デバイス
を、従来に比べて極めて安価なものとすることができ
る。なお、基板の面積の上限は特にないが、現状では4
00cm2程度である。現状の半導体プロセスは2〜8イ
ンチのSiウエハ、特に6インチタイプのウエハを用い
たものが主流であるが、この方法ではこれに対応が可能
である。また、ウエハ全面ではなく、部分的にマスク等
で選択して積層薄膜を形成することも可能である。
【0075】Si単結晶基板を用いる場合、バッファ層
の形成前に、基板に表面処理を施すことが好ましい。基
板の表面処理は、例えば前記特開平9−110592号
公報や、本出願人による特願平9−106776号など
に記載された処理方法を利用することが好ましい。
【0076】このような表面処理後、基板表面のSi結
晶はSi酸化物層により被覆されて保護された状態とな
っている。そして、このSi酸化物層は、バッファ層形
成の際に基板表面に供給されるZr等の金属によって還
元され、除去される。
【0077】次に、基板を真空中で加熱し、Zrおよび
希土類元素と、酸化性ガスとを基板表面に供給すること
により、バッファ層を形成していく。加熱温度は、良好
な結晶性が得られ、かつファセット面が形成されるよう
に適宜設定すればよい。具体的には、結晶化するために
は400℃以上であることが望ましく、750℃以上で
あれば結晶性に優れた膜が得られる。また、ファセット
面の寸法は、加熱温度によって制御できる。加熱温度の
上限は、基板の耐熱性によっても異なるが、通常、13
00℃程度である。ここで用いる酸化性ガスとしては、
酸素、オゾン、原子状酸素、NO2、ラジカル酸素等の
いずれであってもよいが、以下の説明では、酸素を例に
挙げる。
【0078】バッファ層の形成に際しては、真空ポンプ
で継続的に真空槽内を排気しながら、酸素ガスを真空蒸
着槽内に継続的に供給する。基板近傍における酸素分圧
は、10-3〜10-1Torr程度であることが好ましい。酸
素分圧の上限を10-1Torrとしたのは、真空槽内にある
蒸発源中の金属を劣化させることなく、かつその蒸発速
度を一定に保つためである。真空蒸着槽に酸素ガスを導
入するに際しては、基板の表面にその近傍からガスを噴
射し、基板近傍だけに高い酸素分圧の雰囲気をつくると
よく、これにより少ないガス導入量で基板上での反応を
より促進させることができる。このとき真空槽内は継続
的に排気されているので、真空槽のほとんどの部分は1
-4〜10-6Torrの低い圧力になっている。酸素ガスの
供給量は、好ましくは2〜50cc/分、より好ましくは
5〜25cc/分である。酸素ガス供給量を制御すること
により、ファセット面を容易に形成することが可能とな
り、また、ファセット面の寸法を変更することができ
る。酸素ガスの最適供給量は、真空槽の容積、ポンプの
排気速度その他の要因により決まるので、あらかじめ適
当な供給量を求めておく。
【0079】各蒸発源は、電子ビーム等で加熱して蒸発
させ、基板に供給する。均質でかつファセット面を有す
る薄膜を形成するために、成膜速度は、0.05〜1.
00nm/s、特に0.100〜0.500nm/sとすること
が好ましい。成膜速度を制御することにより、ファセッ
ト面を容易に形成することが可能となり、また、ファセ
ット面の寸法を変更することができる。
【0080】成膜面積が10cm2程度以上である場合、
例えば直径2インチの基板の表面に成膜するときには、
図11に示すように基板を回転させ、酸素ガスを基板表
面の全域に万遍なく供給することにより、成膜領域全域
で酸化反応を促進させることができる。これにより、大
面積でしかも均質な膜の形成が可能となる。このとき、
基板の回転数は10rpm以上であることが望ましい。回
転数が低いと、基板面内で膜厚の分布が生じやすい。基
板の回転数の上限は特にないが、通常は真空装置の機構
上120rpm程度となる。
【0081】希土類元素酸化物からなる薄膜や酸化ジル
コニウムからなる薄膜についても、上記した安定化ジル
コニア薄膜の場合に準じて形成すればよい。また、例え
ば、酸化ジルコニウム薄膜上に希土類元素酸化物薄膜を
形成する際に、両薄膜において同一の希土類元素を使用
する場合には、酸化ジルコニウム薄膜が所定の厚さに形
成されたときにZrの供給を停止し、希土類元素だけを
引き続いて供給することにより、連続して両薄膜を形成
することができる。また、バッファ層を傾斜組成構造と
する場合には、Zrの供給量を徐々に減らし、最後には
ゼロとして、希土類元素酸化物薄膜の形成に移行すれば
よい。
【0082】上記した製造方法は、従来の真空蒸着法、
スパッタリング法、レーザーアブレージョン法などとの
比較において特に明確なように、不純物の介在の余地の
ない、しかも制御しやすい操作条件下で実施しうるた
め、再現性よく完全性が高い目的物を大面積で得るのに
好適である。
【0083】なお、この方法においてMBE装置を用い
た場合でも、全く同様にして目的とする薄膜を得ること
ができる。
【0084】ペロブスカイト型酸化物薄膜の形成の際に
は、蒸着時の基板温度を500〜750℃とすることが
好ましい。基板温度が低すぎると結晶性の高い膜が得ら
れにくく、基板温度が高すぎると再蒸発による組成ずれ
を生じたり膜の表面の凹凸が大きくなったりしやすい。
なお、蒸着時に真空槽内に微量の酸素ラジカルを導入す
ることにより原料の再蒸発を低減することができる。具
体的には、例えばPbTiO3薄膜において、Pbまた
はPbOの再蒸発を抑制する効果がある。
【0085】本発明では、ペロブスカイト型酸化物薄膜
表面の平坦度は一般に良好となるが、薄膜の厚さや形成
方法によっては十分な平坦度が得られないこともある。
そのような場合には、薄膜表面を研磨して平坦化するこ
とができる。研磨には、アルカリ溶液等を用いる化学的
研磨、コロイダルシリカ等を用いる機械的研磨、化学的
研磨と機械的研磨との併用などを用いればよい。なお、
積層薄膜表面を研磨すると、研磨歪が残留することがあ
る。研磨歪を除去する必要がある場合、積層薄膜にアニ
ールを施すことが好ましい。アニールは、好ましくは3
00〜850℃、より好ましくは400〜750℃で、
好ましくは1秒間〜30分間、より好ましくは5〜15
分間行う。
【0086】積層薄膜の応用 本発明では、Si基板上に高特性の機能膜が形成でき
る。したがって、本発明の積層薄膜は、前記した各種電
子デバイスに好適である。
【0087】電子デバイスに適用する際に、ペロブスカ
イト型酸化物薄膜を電極層として利用する場合には、通
常、その上に各種機能膜を形成する。また、ペロブスカ
イト型酸化物薄膜を各種機能膜として利用する場合に
は、通常、その上に電極層を形成する。ペロブスカイト
型酸化物薄膜上に形成する電極層を構成する金属として
は、Au、Pt、Ir、Os、Re、Pd、Rhおよび
Ruの少なくとも1種を含有する金属単体または合金が
好ましい。
【0088】
【実施例】実施例1 Si(100)単結晶基板上に、ZrO2薄膜、Y23
薄膜、PbTiO3薄膜がこの順で積層された積層薄膜
を、以下の手順で形成した。
【0089】まず、表面が(100)面となるように切
断して鏡面研磨したSi単結晶ウエハ(直径2インチ、
厚さ250μmの円板状)を用意した。このウエハ表面
を40%フッ化アンモニウム水溶液により、エッチング
洗浄した。
【0090】次に、図11に示す蒸着装置1を用い、真
空槽1a内に設置された回転および加熱機構を備えた基
板ホルダ3に上記単結晶基板2を固定し、真空槽を10
-6Torrまで油拡散ポンプにより排気した後、基板洗浄面
をSi酸化物を用いて保護するため、基板を20rpmで
回転させ、酸素を基板付近にノズル8から10cc/分の
割合で導入しつつ、600℃に加熱した。これにより基
板表面が熱酸化され、基板表面に厚さ約1nmのSi酸化
物膜が形成された。
【0091】次いで、基板を900℃に加熱し、回転さ
せた。回転数は20rpmとした。このとき、ノズルから
酸素ガスを10cc/分の割合で導入すると共に、金属Z
rを蒸発源から蒸発させて前記基板表面に供給し、前工
程で形成したSi酸化物の還元と薄膜形成とを行った。
なお、金属Zrの供給量は、ZrO2の膜厚に換算して
10nmとした。この薄膜は、X線回折においてZrO2
の(002)ピークが明瞭に観察され、(001)単一
配向で高結晶性のZrO2薄膜であることが確認され
た。また、このZrO2薄膜は、図4に示すように、R
HEEDにおいて完全なストリークパターンを示し、表
面が分子レベルで平坦であって、かつ高結晶性のエピタ
キシャル膜であることが確認された。
【0092】次に、このZrO2薄膜を形成した単結晶
基板を基板とし、基板温度900℃、基板回転数20rp
m、酸素ガス導入量10cc/分の条件で、基板表面に金
属Yを供給することにより、Y23薄膜を形成した。金
属Yの供給量は、Y23に換算して40nmとした。この
23薄膜のRHEED像は、図5に示されるようにシ
ャープなスポット状であった。このことから、このY2
3薄膜は、結晶性が良好なエピタキシャル膜であり、
かつ、表面に凹凸が存在することがわかる。このY23
薄膜の断面を、透過型電子顕微鏡により観察したとこ
ろ、高さ10nmのファセット面が存在し、ファセット面
の比率は95%以上であった。
【0093】次に、Y23薄膜上に厚さ300nmのPb
TiO3薄膜を形成した。基板温度は600℃、基板回
転数は20rpmとした。膜形成中には、Pbの再蒸発を
抑制するため、ラジカル酸素を流量10sccmで供給し
た。このPbTiO3薄膜のRHEED像は、図6に示
されるようにシャープなストリーク状であった。このこ
とから、このPbTiO3薄膜は、結晶性が良好であ
り、かつ、表面が分子レベルで平坦であることがわか
る。
【0094】このようにして得られたPbTiO3/Y2O3/ZrO2
/Si(100)積層構造体のX線回折チャートを、図7に示
す。図7には、PbTiO3(001)に等価な面のピ
ークおよびPbTiO3(100)に等価な面のピーク
だけが認められる。PbTiO3は室温では正方晶とな
るため、(001)配向結晶と(100)配向結晶とか
らなる正方晶ドメイン構造膜であることがわかる。この
PbTiO3薄膜を透過型電子顕微鏡により観察したと
ころ、ドメイン構造となっていることが確認された。成
長中のPbTiO3は立方晶なので、成長中には立方晶
(100)配向膜が形成されていたことがわかる。
【0095】実施例2 Si(100)単結晶基板上に、実施例1と同様にして
ZrO2薄膜とY23薄膜とを形成し、この上に、Pb
(Zr0.25Ti0.75)O3で表されるPZT薄膜を蒸着
法により形成した。基板温度は600℃、基板回転数は
20rpmとした。膜形成中には、Pbの再蒸発を抑制す
るため、ラジカル酸素を流量10sccmで供給した。
【0096】このようにして得られたPZT/Y2O3/ZrO2/Si
(100)積層構造体のX線回折チャートを、図8に示す。
図8には、PZT(111)に等価な面のピークだけが
認められる。なお、PZT(111)反射のロッキング
カーブの半値幅は1.29°であり、配向性に優れてい
ることが確認された。
【0097】実施例3 ZrO2薄膜およびY23薄膜に替えて安定化ジルコニ
ア薄膜を形成したほかは実施例1と同様にして、安定化
ジルコニア/Si(100)積層構造体を作製した。安定化ジル
コニア薄膜の組成は、Zr0.70.32-δとし、安定化
ジルコニア薄膜を形成する際の基板温度、基板回転数お
よび酸素導入量は、実施例1におけるZrO2薄膜形成
の際と同じとした。
【0098】この安定化ジルコニア薄膜のRHEED像
は、図9に示されるようにシャープなスポット状であっ
た。このことから、この安定化ジルコニア薄膜は、結晶
性が良好なエピタキシャル膜であり、かつ、表面に凹凸
が存在することがわかる。この安定化ジルコニア薄膜断
面の透過型電子顕微鏡写真を、図10に示す。図10に
おいて、右側がSi単結晶基板側である。バッファ層の
金属薄膜との界面は、基板表面に平行な面(図中におい
て垂直な面)がほとんどなく、大部分がファセット面か
ら構成されていることがわかる。この安定化ジルコニア
薄膜のファセット面の比率は、90%以上であった。
【0099】この安定化ジルコニア薄膜上に、上記各実
施例とそれぞれ同様にしてペロブスカイト型酸化物薄膜
を形成したところ、上記各実施例と同様に結晶性の良好
な薄膜が形成できた。
【0100】
【発明の効果】バッファ層表面にファセット面を存在さ
せ、このファセット面上に、ペロブスカイト型酸化物薄
膜を形成したときに、この薄膜が立方晶もしくは正方晶
の(100)配向、正方晶(001)配向、または立方
晶もしくは菱面体晶の(111)配向となることは従来
報告されておらず、本発明において初めて見いだされた
ことである。前述したように、従来もZrO2薄膜や希
土類元素酸化物薄膜をバッファ層として用いることは知
られていたが、平坦なバッファ層上にペロブスカイト型
酸化物薄膜を直接形成した場合、(110)配向や(1
01)配向となりやすい。本発明ではこれを利用し、ペ
ロブスカイト型酸化物を、その(110)面または(1
01)面がファセット面と平行となるように成長させる
ことにより、(100)配向、(001)配向または
(111)配向を有し、かつ結晶性の良好なペロブスカ
イト型酸化物薄膜を容易に形成可能とする。また、本発
明では、バッファ層およびペロブスカイト型酸化物薄膜
において格子定数を選択することにより、各結晶系にお
いて(100)配向、(001)配向および(111)
配向から選択した任意の配向をとらせることが可能であ
る。
【0101】本発明におけるペロブスカイト型酸化物薄
膜を、強誘電体、圧電体、超伝導体等の機能膜として用
いることにより、不揮発性メモリ、赤外線センサ、光変
調器、光スイッチ、OEIC、SAW素子、VCO、コ
ンボルバ、コリメータ、メモリ素子、イメージスキャ
ナ、薄膜バルク共振子、フィルタ、SQUID、ジョセ
フソン素子、超伝導トランジスタ、電磁波センサ、超伝
導配線LSIなどが作製可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、バッファ層表面の{111}ファセ
ット面の模式図であり、(b)は、{111}ファセッ
ト面上に成長することにより立方晶(100)配向膜と
なるABO3型ペロブスカイト結晶を表す模式図であ
り、(c)は、(a)のファセット面上にABO3薄膜
を形成した状態を示す模式図である。
【図2】{111}ファセット面上に成長することによ
り正方晶(001)配向膜となるABO3型ペロブスカ
イト結晶を表す模式図である。
【図3】{111}ファセット面上に成長することによ
り(111)配向膜となるABO3型ペロブスカイト結
晶を表す模式図である。
【図4】結晶構造を示す図面代用写真であって、Si単
結晶基板上に形成されたZrO 2薄膜のRHEED像で
ある。
【図5】結晶構造を示す図面代用写真であって、図4に
RHEED像を示すZrO2薄膜上に形成されたY23
薄膜のRHEED像である。
【図6】結晶構造を示す図面代用写真であって、図5に
RHEED像を示すY23薄膜上に形成されたPbTi
3薄膜のRHEED像である。
【図7】PbTiO3/Y2O3/ZrO2/Si(100)積層構造体のX線回
折チャートである。
【図8】PZT/Y2O3/ZrO2/Si(100)積層構造体のX線回折
チャートである。
【図9】結晶構造を示す図面代用写真であって、Si単
結晶基板上に形成された安定化ジルコニア薄膜のRHE
ED像である。
【図10】結晶構造を示す図面代用写真であって、Si
単結晶基板上に形成された安定化ジルコニア薄膜の断面
の透過型電子顕微鏡写真である。
【図11】本発明の積層薄膜の形成に用いられる蒸着装
置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 蒸着装置 1a 真空槽 2 基板 3 ホルダ 4 回転軸 5 モータ 6 ヒータ 7 酸化性ガス供給装置 8 ノズル 9 Zr蒸発部 10 希土類元素蒸発部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/8242 H01L 39/02 ZAAB 5F083 21/8247 ZAAD 29/788 27/10 651 29/792 29/78 371 37/02 27/14 K 39/02 ZAA // H01L 27/14 Fターム(参考) 4G077 AA03 AA07 BB10 BC41 BC43 BC60 DA02 EC09 ED05 ED06 EF02 EF04 HA05 HA11 HA12 SA04 4M114 AA29 BB05 CC09 4M118 AB01 CA16 CB12 FC18 5F001 AA17 5F058 BA20 BD01 BD05 BD18 BF12 BF17 BF20 BJ01 5F083 FR05 GA27 GA30 JA02 JA12 JA13 JA14 JA15 JA17 JA43 JA44 JA45 PR05 PR22

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バッファ層と、この上に成長したペロブ
    スカイト型酸化物薄膜とを有し、前記バッファ層の前記
    ペロブスカイト型酸化物薄膜との界面が{111}ファ
    セット面から構成されており、前記ファセット面とほぼ
    平行に、前記ペロブスカイト型酸化物薄膜の立方晶、菱
    面体晶、正方晶もしくは斜方晶の{110}面、正方晶
    もしくは斜方晶の{101}面、または斜方晶の{01
    1}面が存在する積層薄膜。
  2. 【請求項2】 前記ペロブスカイト型酸化物薄膜が、
    (100)配向、(001)配向および(010)配向
    の1種または2種からなる配向膜である請求項1の積層
    薄膜。
  3. 【請求項3】 前記ペロブスカイト型酸化物薄膜が、
    (111)単一配向膜である請求項1の積層薄膜。
  4. 【請求項4】 前記ペロブスカイト型酸化物薄膜が、チ
    タン酸鉛、ジルコン酸鉛またはこれらの固溶体を主成分
    とする請求項1〜3のいずれかの積層薄膜。
  5. 【請求項5】 前記バッファ層が、希土類元素酸化物、
    酸化ジルコニウム、またはZrの一部を希土類元素もし
    くはアルカリ土類元素で置換した酸化ジルコニウムを含
    有する請求項1〜4のいずれかの積層薄膜。
  6. 【請求項6】 希土類元素およびアルカリ土類元素をR
    で表したとき、前記バッファ層において原子比R/(Z
    r+R)が0.2〜0.75である請求項5の積層薄
    膜。
  7. 【請求項7】 前記バッファ層を挟んで前記ペロブスカ
    イト型酸化物薄膜の反対側に下地層を有し、この下地層
    が、酸化ジルコニウム、またはZrの一部を希土類元素
    もしくはアルカリ土類元素で置換した酸化ジルコニウム
    を含有し、希土類元素およびアルカリ土類元素をRで表
    したとき、この下地層における原子比R/(Zr+R)
    が、前記バッファ層における原子比R/(Zr+R)よ
    りも小さい請求項5の積層薄膜。
  8. 【請求項8】 表面がSi(100)単結晶から構成さ
    れる基板上に存在する請求項1〜7のいずれかの積層薄
    膜。
JP06286499A 1998-04-28 1999-03-10 積層薄膜 Expired - Lifetime JP3669860B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06286499A JP3669860B2 (ja) 1999-03-10 1999-03-10 積層薄膜
US09/300,452 US6258459B1 (en) 1998-04-28 1999-04-28 Multilayer thin film

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06286499A JP3669860B2 (ja) 1999-03-10 1999-03-10 積層薄膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000256098A true JP2000256098A (ja) 2000-09-19
JP3669860B2 JP3669860B2 (ja) 2005-07-13

Family

ID=13212598

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06286499A Expired - Lifetime JP3669860B2 (ja) 1998-04-28 1999-03-10 積層薄膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3669860B2 (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005251843A (ja) * 2004-03-02 2005-09-15 Nec Electronics Corp 半導体装置、その製造方法及び記憶装置
US7057244B2 (en) 2002-07-19 2006-06-06 International Business Machines Corporation Dielectric materials
JP2006173646A (ja) * 2003-02-07 2006-06-29 Canon Inc 強誘電体薄膜素子、圧電アクチュエーター、液体吐出ヘッド
JP2006324624A (ja) * 2005-05-18 2006-11-30 Samsung Electronics Co Ltd 強誘電体薄膜の製造方法及びこれを用いた半導体装置の製造方法
US7215067B2 (en) 2003-02-07 2007-05-08 Canon Kabushiki Kaisha Ferroelectric thin film element, piezoelectric actuator and liquid discharge head
JP2008050206A (ja) * 2006-08-24 2008-03-06 Seiko Epson Corp 圧電材料およびその製造方法、並びに、圧電素子
JP2008294412A (ja) * 2007-03-28 2008-12-04 Siltronic Ag 半導体ウェハ及びその製造法
JP2013219332A (ja) * 2012-03-14 2013-10-24 Tdk Corp ヘテロエピタキシャルpn接合酸化物薄膜を有する積層薄膜
WO2017082081A1 (ja) * 2015-11-09 2017-05-18 浜松ホトニクス株式会社 放射線検出器、及び放射線検出器の製造方法
WO2018003328A1 (ja) * 2016-06-30 2018-01-04 浜松ホトニクス株式会社 放射線検出器及びその製造方法
CN111344876A (zh) * 2017-11-13 2020-06-26 前进材料科技株式会社 膜结构体及其制造方法
WO2020179210A1 (ja) * 2019-03-07 2020-09-10 アドバンストマテリアルテクノロジーズ株式会社 膜構造体、圧電体膜及び超伝導体膜
CN112313813A (zh) * 2018-06-19 2021-02-02 花王株式会社 层状钙钛矿、光吸收层、附有光吸收层的基板、光电转换元件和太阳能电池
CN114716157A (zh) * 2022-05-11 2022-07-08 南京卡巴卡电子科技有限公司 一种用于高温加速度传感器的铁电薄膜及其制备方法

Cited By (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7057244B2 (en) 2002-07-19 2006-06-06 International Business Machines Corporation Dielectric materials
JP4689482B2 (ja) * 2003-02-07 2011-05-25 キヤノン株式会社 圧電アクチュエーター、圧電アクチュエーターの製造方法、液体吐出ヘッド
JP2006173646A (ja) * 2003-02-07 2006-06-29 Canon Inc 強誘電体薄膜素子、圧電アクチュエーター、液体吐出ヘッド
US7215067B2 (en) 2003-02-07 2007-05-08 Canon Kabushiki Kaisha Ferroelectric thin film element, piezoelectric actuator and liquid discharge head
JP2005251843A (ja) * 2004-03-02 2005-09-15 Nec Electronics Corp 半導体装置、その製造方法及び記憶装置
JP2006324624A (ja) * 2005-05-18 2006-11-30 Samsung Electronics Co Ltd 強誘電体薄膜の製造方法及びこれを用いた半導体装置の製造方法
JP2008050206A (ja) * 2006-08-24 2008-03-06 Seiko Epson Corp 圧電材料およびその製造方法、並びに、圧電素子
JP2008294412A (ja) * 2007-03-28 2008-12-04 Siltronic Ag 半導体ウェハ及びその製造法
JP2013219332A (ja) * 2012-03-14 2013-10-24 Tdk Corp ヘテロエピタキシャルpn接合酸化物薄膜を有する積層薄膜
WO2017082081A1 (ja) * 2015-11-09 2017-05-18 浜松ホトニクス株式会社 放射線検出器、及び放射線検出器の製造方法
JP2017090186A (ja) * 2015-11-09 2017-05-25 浜松ホトニクス株式会社 放射線検出器、及び放射線検出器の製造方法
KR102480425B1 (ko) 2015-11-09 2022-12-23 하마마츠 포토닉스 가부시키가이샤 방사선 검출기, 및 방사선 검출기의 제조 방법
US10816681B2 (en) 2015-11-09 2020-10-27 Hamamatsu Photonics K.K. Radiation detector and manufacturing method for radiation detector
KR20180081742A (ko) * 2015-11-09 2018-07-17 하마마츠 포토닉스 가부시키가이샤 방사선 검출기, 및 방사선 검출기의 제조 방법
JP2018004396A (ja) * 2016-06-30 2018-01-11 浜松ホトニクス株式会社 放射線検出器及びその製造方法
US11041967B2 (en) 2016-06-30 2021-06-22 Hamamatsu Photonics K.K. Radiation detector and method for manufacturing same
WO2018003328A1 (ja) * 2016-06-30 2018-01-04 浜松ホトニクス株式会社 放射線検出器及びその製造方法
CN111344876A (zh) * 2017-11-13 2020-06-26 前进材料科技株式会社 膜结构体及其制造方法
CN111344876B (zh) * 2017-11-13 2023-10-17 日商爱伯压电对策股份有限公司 膜结构体及其制造方法
CN112313813A (zh) * 2018-06-19 2021-02-02 花王株式会社 层状钙钛矿、光吸收层、附有光吸收层的基板、光电转换元件和太阳能电池
WO2020179210A1 (ja) * 2019-03-07 2020-09-10 アドバンストマテリアルテクノロジーズ株式会社 膜構造体、圧電体膜及び超伝導体膜
JP7527658B2 (ja) 2019-03-07 2024-08-05 I-PEX Piezo Solutions株式会社 膜構造体、圧電体膜及び超伝導体膜
CN114716157A (zh) * 2022-05-11 2022-07-08 南京卡巴卡电子科技有限公司 一种用于高温加速度传感器的铁电薄膜及其制备方法
CN114716157B (zh) * 2022-05-11 2023-10-31 南京卡巴卡电子科技有限公司 一种用于高温加速度传感器的铁电薄膜及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3669860B2 (ja) 2005-07-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6258459B1 (en) Multilayer thin film
US5753934A (en) Multilayer thin film, substrate for electronic device, electronic device, and preparation of multilayer oxide thin film
JP3193302B2 (ja) 膜構造体、電子デバイス、記録媒体および強誘電体薄膜の製造方法
JP4483849B2 (ja) 強誘電体薄膜
US6709776B2 (en) Multilayer thin film and its fabrication process as well as electron device
JP3310881B2 (ja) 積層薄膜、電子デバイス用基板、電子デバイスおよび積層薄膜の製造方法
US6096434A (en) Film structure, electronic device, recording medium, and method for forming conductive oxide thin films
JP4734823B2 (ja) 膜多層構造体及びこれを用いるアクチュエータ素子、容量素子、フィルタ素子
JP5019247B2 (ja) 電子デバイス用基板
CN1312728C (zh) 电子器件基片结构和电子器件
JP3137880B2 (ja) 強誘電体薄膜、電子デバイスおよび強誘電体薄膜の製造方法
JP3999300B2 (ja) 強誘電体薄膜およびその製造方法
JP2001313429A (ja) 積層薄膜その製造方法および電子デバイス
JP3669860B2 (ja) 積層薄膜
JP3817068B2 (ja) 積層薄膜
JP4427925B2 (ja) 積層薄膜その製造方法および電子デバイス
JP4401300B2 (ja) (001)配向したペロブスカイト膜の形成方法、およびかかるペロブスカイト膜を有する装置
JP4142128B2 (ja) 積層薄膜およびその製造方法
JP2004505444A (ja) 薄膜金属酸化物構造体およびその製造方法
JP2003086586A (ja) 配向性強誘電体薄膜素子及びその製造方法
JP4142127B2 (ja) 積層薄膜およびその製造方法
KR100795664B1 (ko) (001) 배향된 페로브스카이트막의 형성 방법, 및 이러한페로브스카이트막을 갖는 장치
JP4148624B2 (ja) 誘電体薄膜及びその電子部品
JP3562120B2 (ja) 安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体およびその製造方法
JPH11231153A (ja) 強誘電体薄膜素子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040517

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20040601

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040803

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050412

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3669860

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080422

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090422

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090422

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100422

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110422

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110422

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120422

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130422

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140422

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D02

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term