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JP2000240660A - ローラベアリング用リテーナ - Google Patents

ローラベアリング用リテーナ

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JP2000240660A
JP2000240660A JP4398599A JP4398599A JP2000240660A JP 2000240660 A JP2000240660 A JP 2000240660A JP 4398599 A JP4398599 A JP 4398599A JP 4398599 A JP4398599 A JP 4398599A JP 2000240660 A JP2000240660 A JP 2000240660A
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split
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Shinya Atsumi
信也 渥美
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リテーナを二分割したローラベアリングにお
いて、分割されたリテーナの運転時における外周形状の
変形に起因する焼き付きを防止する。 【解決手段】 所定の間隔を置いて各ローラ2をそれぞ
れ回転自在に保持するためのリテーナ3が、全体として
は環状となるように半円アーチ状に二分割されているよ
うなローラベアリング1において、リテーナ3の外周形
状を、二分割された各部分3a,3bの分割部の付近
で、分割部に近づくに従って徐々に外径が小さくなっ
て、全体として僅かに楕円形となるように形成すると共
に、そのように形成したリテーナ3の金属表面に対して
摩擦抵抗を減らすためのコーティング処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ローラ(径の小さ
いニードルを含む)ベアリングにおいて各ローラ(ニー
ドル)をそれぞれ回転自在に保持するための保持器であ
るリテーナに関し、特に、全体として環状となるように
半円アーチ状に二分割されているローラベアリング用リ
テーナに関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンのクランク軸(クランクピンの
部分)とコンロッド(大端部の部分)の間に介装される
ローラ(ニードル)ベアリングでは、クランクピンとク
ランクアームが一体的に形成されたクランク軸の場合、
各ローラを保持するリテーナ(保持器)の部分が環状に
一体化されているとクランクピンに装着することができ
ないことから、そのようなクランク軸に対しては、リテ
ーナの部分を全体としては環状となるように半円アーチ
状に二分割したようなローラベアリングが従来から一般
的に使用されている。
【0003】そのような二分割したリテーナによる従来
のローラベアリングでは、分割された各部分同士を合わ
せたリテーナ全体の外周形状が、リテーナを分割してい
ないローラベアリングの場合と同様に、略真円形となる
ように形成されており、そのように形成されたリテーナ
の金属表面に対して、リテーナの金属材料と馴染み性の
良い銀メッキ等により、摩擦抵抗を減らすためのコーテ
ィング処理が施されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来のローラベアリングでは、リテーナが二分割され
ていることから、エンジンの運転時には、分割されたリ
テーナの各部分は、分割面が外方に開くようにそれぞれ
変形して、リテーナの外周が分割部の付近で局部的にコ
ンロッドの内面に強く当たって線接触する形となり、そ
の結果、当該部分でリテーナの摩擦摩耗が早められるこ
ととなる。
【0005】特に、船外機用のエンジンでは、ケロシン
を燃料として使用した場合に、ケロシンがオイル分を洗
い流した無潤滑の状態で、上記のようなリテーナの摩擦
摩耗が起きると、リテーナの金属表面に摩擦抵抗を減ら
すためにコーティングされている銀メッキが短時間(5
0〜100時間位)で磨滅してリテーナが焼き付き、リ
テーナの柱折れからベアリング全体の焼き付きとなるこ
とがある。
【0006】本発明は、上記のような問題の解消を課題
とするものであり、具体的には、リテーナを二分割した
ローラベアリングにおいて、分割されたリテーナの運転
時における外周形状の変形に起因する焼き付きを防止で
きるようにすることを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
課題を解決するために、所定の間隔を置いて各ローラを
それぞれ回転自在に保持するためのリテーナが、全体と
しては環状となるように半円アーチ状に二分割されてい
るようなローラベアリングにおいて、リテーナの外周形
状を、二分割された各部分の分割部の付近で、分割部に
近づくに従って徐々に外径が小さくなって、全体として
僅かに楕円形となるように形成すると共に、そのように
形成したリテーナの金属表面に対して摩擦抵抗を減らす
ためのコーティング処理を施すことを特徴とするもので
ある。
【0008】上記のような構成によれば、(エンジン
の)運転時に、分割されたリテーナの各部分が、分割面
が外方に開くようにそれぞれ変形しても、変形して外方
に膨出する分だけ予め外径が小さくなるように形成され
ていることで、(コンロッドの内面に対して)リテーナ
の外周が分割部の付近で局部的に強く当たるようなこと
なく、リテーナの外周全体で略均等に面接触することと
なるため、コーティング層が短時間に磨滅してリテーナ
の焼き付きが起きるようなことはない。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明のローラベアリング
用リテーナの実施形態について、図面に基づいて説明す
る。
【0010】図1は、本発明の一実施形態に係るリテー
ナを備えたローラベアリングを示すもので、図1(A)
は、その回転軸線方向から見た全体の外観を示し、図1
(B)は、図1(A)のB−B線に沿った断面を示すも
のである。
【0011】ローラベアリング1は、回転軸線が互いに
平行となるように配置される複数のローラ2と、各ロー
ラ2を円周方向に沿って所定の間隔を保った状態でそれ
ぞれ回転自在に保持するためのリテーナ3とからなるも
のであって、リテーナ3は、全体としては環状(長さの
短い円筒状)となるように、半円アーチ状の各部分3
a,3bに二分割されている。
【0012】二分割された各部分3a,3bからなるリ
テーナ3の全体の外周形状について、本実施形態では、
各部分3a,3bの分割部の付近で、分割部に近づくに
従って徐々に外径が小さくなるように滑らかに削られた
状態で、全体としては僅かに楕円形となるように形成さ
れており、そのように形成されたリテーナ3の金属表面
に対して摩擦抵抗を減らすためのコーティング処理が施
されている。なお、リテーナ3の全体の外周形状の楕円
は真円と比べて僅かなものであり、図1(A)では明瞭
ではないが、極端な形で示すと図2(A)のようにな
る。
【0013】図2は、上記のような本実施形態のリテー
ナ3について、(A)使用する前の状態(エンジン停止
時の状態)と(B)使用中の状態(エンジン運転時の状
態)とをそれぞれ極端な形で比較して示すものであり、
また、図3は、従来のリテーナ31について、図2と同
様に各状態をそれぞれ示すものである。
【0014】本実施形態のリテーナ3では、使用する前
(エンジン停止時)には、図2(A)に示すように、そ
の全体としての外周形状が僅かに楕円形となっている
が、使用中(エンジン運転時)には、図2(B)に示す
ように、分割されたリテーナの各部分3a,3bが、分
割面が外方に開くようにそれぞれ変形することで、(変
形して外方に膨出する分だけリテーナ3の外周が予め滑
らかに削られていることから)リテーナ3の外周形状が
略真円形となって、(コンロッドの内面に対して)リテ
ーナ3の外周が分割部の付近で局部的に強く当たるよう
なことはない。
【0015】また、外周形状が楕円形に削られた状態
で、リテーナ3の金属表面には摩擦抵抗を減らすための
コーティング処理が施されていることから、変形して略
真円形となったリテーナ3の外周全体が(コンロッドの
内面に対して)コーティング層を介して略均等に面接触
することとなり、そのため、コーティング層が短時間で
急速に摩擦摩耗することはなく、長時間使用してもリテ
ーナ3の焼き付きが起きることはない。
【0016】これに対して、従来のリテーナ31では、
図3(A)に示すように、分割された各部分31a,3
1b同士を合わせたリテーナ31全体の外周形状が、リ
テーナを分割していないローラベアリングの場合と同様
に、略真円形となるように形成されており、そのように
形成されたリテーナ31の金属表面に対して摩擦抵抗を
減らすためのコーティング処理が施されている。
【0017】そのような従来のリテーナ31では、使用
中(エンジン運転時)には、図3(B)に示すように、
分割されたリテーナの各部分31a,31bが、分割面
が外方に開くようにそれぞれ変形することで、(コンロ
ッドの内面に対して)変形して外方に膨出した部分でリ
テーナ31の外周が局部的に強く当たることとなり、そ
の結果、当該部分での線接触による摩擦摩耗によりコー
ティング層が短時間に磨滅してリテーナ31が焼き付
き、そのような焼き付きによるリテーナの柱折れによっ
てベアリング全体の焼き付きが起きることとなる。
【0018】ところで、本実施形態では、リテーナ3の
金属表面に施されるコーティング処理が、テフロン加工
等による樹脂製コーティングであって、そのようなリテ
ーナ3を備えたローラベアリング1は、船外機に搭載さ
れている船外機用エンジンに使用されている。
【0019】図4は、そのようなローラベアリング1が
使用されているエンジンを搭載した船外機の一例を示す
もので、トップカウル6とアッパーケース7とロアーケ
ース8とからなるハウジング部分を有する船外機5に
は、そのトップカウル6内にエンジン9が収納され、ロ
アーケース8にスクリュー10が軸支されていて、船外
機5の操舵軸11を水平方向で回動可能に支持するスイ
ベルブラケット12と、船体の後尾板13に着脱可能に
固定されるクランプブラケット14とが、その上部でチ
ルト軸15により上下方向で回動可能に連結されている
ことで、船外機5は上下方向と水平方向でそれぞれ回動
可能なように船体の後尾板13に対して取り付けられて
いる。
【0020】そのような船外機5のトップカウル6内に
は、図5に示すように、クランク軸17の軸線が機体の
上下方向となるように、縦方向に各気筒が配列された多
気筒のエンジン9が設置されており、そのようなエンジ
ン9の各気筒において、クランク軸17のクランクピン
部分とコンロッド18の大端部との間に、本実施形態の
リテーナを備えたローラベアリング1がそれぞれ介装さ
れている。
【0021】上記のように船外機用エンジンに使用さ
れ、且つ、金属表面に施すコーティング処理を、テフロ
ン加工等による樹脂製コーティングとしているような本
実施形態のローラベアリング用リテーナ3によれば、既
に述べたような従来のリテーナ31との外周形状の違い
による効果を奏するだけでなく、更に、以下に述べるよ
うな船外機用としての格別の効果を奏することとなる。
【0022】すなわち、従来、船外機用のエンジンにお
いて、クランク軸のクランクピンとコンロッドの大端部
との間に介装されているローラベアリング(ニードルベ
アリング)に使用されるリテーナついては、通常、その
金属表面に施されるコーティング処理が、リテーナの金
属材料と馴染みのよい銀メッキであった。
【0023】ところが、そのような銀メッキによるコー
ティングでは、船外機内に海水が入ってベアリングの部
分に塩水が付着すると、リテーナの銀メッキとローラ
(ニードル)の鉄との電位差により、塩水による電蝕で
クランク軸の軸受面を腐食させてその耐久性を著しく損
なうと共に、クランク軸の軸受面の腐食により、結果的
にはベアリング自体の耐久性も低下することとなる。
【0024】また、ケロシンを燃料として使用すること
のある船外機用のエンジンでは、燃料のケロシンがクラ
ンク軸の軸受部に流れて、ケロシンが軸受部のオイル分
を洗い流してしまうことがあり、そうなるとクランク軸
の軸受部が無潤滑に近い状態となって、銀メッキによる
コーティング処理のようなものでは、短時間にコーティ
ングが摩擦摩耗して焼き付きを起こすこととなる。
【0025】そのような船外機に特有の問題に対して、
リテーナの金属表面に施すコーティング処理を、テフロ
ン加工等による樹脂製コーティングとすることにより、
上記のような塩水による電蝕の問題や、ケロシンによる
無潤滑の問題を解消することができると共に、既に述べ
たような従来のリテーナとの外周形状の違いによる効果
が加わることで、船外機におけるローラベアリング(ニ
ードルベアリング)の寿命を大幅に延ばすことができる
ようになる。
【0026】以上、本発明のローラベアリング用リテー
ナの一実施形態について説明したが、本発明は、上記の
実施形態に示したような船外機用エンジンのローラベア
リングでの使用に限らず、その他の様々な分野で広く使
用可能なものであり、また、そのコーティング処理につ
いても、船外機用エンジンでは樹脂製コーティングが特
に効果的ではあるが、他の分野で使用する場合には、そ
のような樹脂製コーティングに限らず、従来からの銀メ
ッキ処理を含むその他のコーティング処理を施すことに
よって実施することも可能であることはいうまでもな
い。
【0027】
【発明の効果】以上説明したような本発明のローラベア
リング用リテーナによれば、分割されたリテーナの各部
分が運転時に変形しても、リテーナの外周は、局部的に
強く当たるようなことなく全体がコーティング層を介し
て略均等に面接触するため、運転時の外周形状の変形に
起因するリテーナの焼き付きを防止することができて、
ローラベアリングの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリテーナを備えたローラベアリングに
ついて、(A)回転軸線方向から見たベアリングの外観
全体を示す平面図、および(B)図1(A)のB−B線
に沿った断面図。
【図2】本発明のリテーナについて、(A)使用する前
の状態(エンジン停止時の状態)、および(B)使用中
の状態(エンジン運転時の状態)のそれぞれを極端な形
で比較して示す説明図。
【図3】従来の(二分割した)リテーナについて、
(A)使用する前の状態(エンジン停止時の状態)、お
よび(B)使用中の状態(エンジン運転時の状態)のそ
れぞれを極端な形で比較して示す説明図。
【図4】本発明のリテーナを備えたローラベアリングが
使用されているエンジンを搭載した船外機の外観を示す
側面図。
【図5】図5に示した船外機のエンジンにおけるローラ
ベアリングの使用部分を示す部分断面側面図。
【符号の説明】
1 ローラベアリング 2 ローラ 3 リテーナ 3a,3b 二分割されたリテーナの各部分

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の間隔を置いて各ローラをそれぞれ
    回転自在に保持するためのリテーナが、全体としては環
    状となるように半円アーチ状に二分割されているような
    ローラベアリングにおいて、リテーナの外周形状が、二
    分割された各部分の分割部の付近で、分割部に近づくに
    従って徐々に外径が小さくなって、全体として僅かに楕
    円形となるように形成されていると共に、そのように形
    成されたリテーナの金属表面に対して摩擦抵抗を減らす
    ためのコーティング処理が施されていることを特徴とす
    るローラベアリング用リテーナ。
  2. 【請求項2】 ローラベアリングが船外機用エンジン
    に使用されるものあり、摩擦抵抗を減らすためのコーテ
    ィング処理が、樹脂製コーティング材によるものである
    ことを特徴とするローラベアリング用リテーナ。
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