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JP2000199809A - 前方散乱フィルム - Google Patents

前方散乱フィルム

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JP2000199809A
JP2000199809A JP11313895A JP31389599A JP2000199809A JP 2000199809 A JP2000199809 A JP 2000199809A JP 11313895 A JP11313895 A JP 11313895A JP 31389599 A JP31389599 A JP 31389599A JP 2000199809 A JP2000199809 A JP 2000199809A
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Hideki Etori
英樹 餌取
Toshihiro Koike
敏浩 小池
Yasunori Sugiyama
靖典 杉山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 白色表示がペーパーホワイトに近く黒色表示
がより黒い高コントラストで、画像表示がぼけない等の
視認性に優れた前方散乱フィルムを提供すると共に、極
めて容易に生産管理できる前方散乱フィルムを提供す
る。 【解決手段】 球状微粒子を含有する透明高分子バイン
ダーからなる光散乱層1、透明樹脂フィルム2、粘着層
3を有する前方散乱フィルム5であって、前記球状微粒
子の平均粒径が1.0μm〜10.0μmであり、前記
透明高分子バインダーに対する前記球状微粒子の相対屈
折率nが0.91<n<1.09であり、且つ前記前方
散乱フィルムとしてのヘーズを30.0%以上で、像鮮
明度を60.0%以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射型液晶表示装
置に用いられる前方散乱フィルムに関するものである。
特に、反射層として鏡面反射板を用いた液晶表示装置に
使用される前方散乱フィルムに関し、その光学特性を改
良した前方散乱フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】反射型液晶表示装置は、従来のバックラ
イトを使用する透過型液晶表示装置に比べ、コントラス
トが低い、表示が暗いといった短所があるものの、その
構成内にバックライト光源を必要としないため薄型軽量
で、消費電力を少なくできるといった特長がある。この
ような特長は、反射型液晶表示装置が特にノート型コン
ピュータのような携帯用情報端末用の表示素子として使
用される大きな理由となるものであり、非常に有用なも
のとして注目されている。
【0003】反射型液晶表示装置の低コントラストや表
示の暗さといった問題は、主に光の利用効率が低いこと
に起因しており、この問題を解決するために、いくつか
の方法が提案されている。
【0004】中でも、特開平8−201802号公報に
開示されている、鏡面反射電極、液晶層、透明電極、カ
ラーフィルタ、透明基板をこの順で重ね、その上に複屈
折フィルム、偏光子及び前方散乱板をこの順で重ねた構
造を有する反射型液晶表示素子は、コントラストが高く
視角依存性や二重像の問題が無い点で、有用な反射型液
晶表示素子である。
【0005】更に石鍋ら(信学技報,02,125〜130(199
6))によって、Mieの散乱理論やHartelの理論を用い
て、このようなR−OCB方式といわれる反射型液晶表
示素子に好適な透明媒質中に球状微粒子を分散している
光散乱フィルム(前方散乱板)を設計する目安となる幾
つかのパラメータについての報告がなされている。
【0006】しかし、ここで報告されているパラメータ
では、必ずしも白色表示がペーパーホワイトに近く黒色
表示がより黒い高コントラストで画像表示がぼけない等
の十分な表示性能をもった前方散乱フィルムを設計する
ことができなかった。
【0007】また、これら幾つかのパラメーターでは、
生産管理に適さず、白色表示がペーパーホワイトに近く
黒色表示がより黒い高コントラストで画像表示がぼけな
い前方散乱フィルムを得られたとしても、それが十分な
視認性能を有しているかの確認が極めて困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、白色
表示がペーパーホワイトに近く黒色表示がより黒い高コ
ントラストで画像表示がぼけない等の視認性に優れた前
方散乱フィルムを提供すると共に、極めて容易に生産管
理できる前方散乱フィルムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
研究を行った結果、以下の構成とすることにより、白色
表示がペーパーホワイトに近く黒色表示がより黒い高コ
ントラストで画像表示がぼけない等の視認性に優れた前
方散乱フィルムを提供することができることがわかっ
た。
【0010】即ち、本発明の前方散乱フィルムは、球状
微粒子を含有する透明高分子バインダーからなる光散乱
層を有する前方散乱フィルムであって、前記球状微粒子
の平均粒径が1.0μm〜10.0μmであり、前記透
明高分子バインダーの屈折率に対する前記球状微粒子の
相対屈折率nが0.91<n<1.09であり、且つ前
記前方散乱フィルムとしてのヘーズが30.0%以上
で、像鮮明度が60.0%以上のものである。
【0011】また、本発明の前方散乱フィルムは、前記
光散乱層の少なくとも一方の面に透明樹脂フィルムを有
することを特徴とするものである。
【0012】また、本発明の前方散乱フィルムは、少な
くとも一方の面が粘着性を有することを特徴とするもの
である。
【0013】また、本発明の前方散乱フィルムは、前記
透明高分子バインダーに粘着剤を用いたことを特徴とす
るものである。
【0014】尚、本発明においてヘーズとは、JIS−
K7105におけるヘーズの値のことであり、H=Td
/Tt×100(%)〔H:ヘーズ、Td:拡散光線透
過率、Tt:全光線透過率〕の式から求められる値であ
る。
【0015】また、本発明における像鮮明度とは、JI
S−K7105における像鮮明度の値のことであり、透
過法を用いて光学くし0.125mmの時の最高波高
〔M〕及び最低波高〔m〕を読み取って次式によって求
めた値である。 像鮮明度〔C(0.125)〕={M−m}/{M+
m}×100(%) 尚、本発明での像鮮明度の値は、試験片の縦方向と横方
向の測定結果の平均値である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の前方散乱フィルム5につ
いて、さらに詳細に説明する。
【0017】本発明の前方散乱フィルム5は、球状微粒
子を含有する透明高分子バインダーからなる光散乱層1
を有するものである。
【0018】ここで、前方散乱フィルム5は、透明高分
子バインダーからなる成形フィルム内部に球状微粒子を
分散した光散乱層1が単層である構造であっても良い
が、好ましくは透明高分子バインダー中に球状微粒子を
分散してなる光散乱層1の少なくとも一方の面に、透明
樹脂フィルム2や粘着層3等の他の層を有するものとす
ることが望ましい。このように光散乱層1が単層である
ような構造を避け、透明樹脂フィルム2や粘着層3を有
する構造をとることにより、フィルム表面から突出する
粒子の存在に起因する後方散乱光をなくすことができる
ようなる。
【0019】ここで透明樹脂フィルム2としては、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタ
クリレート等が使用できる。中でも加工適性や光学適性
の観点からはポリエチレンテレフタレート、ポリカーボ
ネート、ポリメチルメタクリレートが好適に使用でき
る。
【0020】透明樹脂フィルム2の厚みとしては、特に
制限するものではないが、取り扱いの点から、25〜2
00μmが好ましい。
【0021】また、界面での反射損失を防止するため
に、透明樹脂フィルム2を位相差フィルム、または偏光
フィルムとしても良い。
【0022】透明樹脂フィルム2の透明性についても特
に制限するものではないが、コントラストを向上させた
り、表示に変化をもたせるために必要に応じ着色しても
良い。
【0023】光散乱層1は、前述のように球状微粒子を
含有する透明高分子バインダーからなる。
【0024】透明高分子バインダーとしては、熱可塑
性、熱硬化性、紫外線硬化性のバインダーが使用でき
る。特に被着体に対して密着することができるような粘
着性を有する粘着剤を透明高分子バインダーに用いるこ
とにより、光散乱層1を粘着性光散乱層11とすること
ができ、後述する粘着層3を設けなくとも、前方散乱フ
ィルムの少なくとも一方の面が粘着性を有する構成とす
ることができ、他の部材に積層した際に空気界面が生じ
ないようにできる。これにより、空気界面での反射によ
って黒色表示の黒さが損なわれることに起因するコント
ラストの低下を防ぐことができるようになる。
【0025】ここでいう被着体に対して密着することが
できるような粘着性を有する粘着剤としては、天然ゴム
系、再生ゴム系、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム
系、スチレン・ブタジエン系等のエラストマー粘着剤、
エポキシ系、ウレタン系、アクリル系、シアノアクリレ
ート系等の合成樹脂粘着剤、その他、UV・EB硬化系
粘着剤、エマルジョン系粘着剤等の公知の粘着剤が使用
できる。
【0026】透明高分子バインダーと透明樹脂フィルム
2の屈折率の差が大きいと、界面で反射が発生して黒色
表示の黒さが損なわれ、コントラストを低下させるの
で、屈折率の差は0.3以内が好ましい。
【0027】球状微粒子としては、シリカ、アルミナ、
タルク、ジルコニア、酸化亜鉛、二酸化チタン等の無機
系の微粒子も使用可能であるが、球形の形状を得易いと
いう観点からポリメチルメタクリレート、ポリスチレ
ン、ポリウレタン、ベンゾグアナミン、シリコーン樹脂
等の有機系の微粒子が好適に使用される。
【0028】球状微粒子の粒子径としては、平均粒径で
1.0μm〜10.0μmであることが好ましく、より
好適には2.0μm〜6.0μmであることが望まし
い。平均粒径を1.0μm以上若しくは10.0μm以
下としたのは、散乱光線中の後方散乱光の占める割合を
十分少なくさせるためである。散乱光線中の後方散乱光
の占める割合を十分少なくさせることにより、反射型液
晶表示の黒表示をより黒くさせることができるようにな
る。
【0029】また、透明高分子バインダーの屈折率に対
する球状微粒子の相対屈折率(球状微粒子の屈折率を透
明高分子バインダーの屈折率で割った値で、以下単に相
対屈折率という)をnとしたときに、この相対屈折率n
が0.91<n<1.09であることが好ましい。相対
屈折率nを0.91よりも大きい値若しくは1.09よ
りも小さい値としたのも、やはり散乱光線中の後方散乱
光の占める割合を十分少なくさせるためである。
【0030】以上のような条件を満たす球状微粒子であ
れば、単独でも2種以上の混合でも使用できる。2種以
上の混合の場合には、屈折率の異なる2種以上の球状微
粒子であってもよく、単に粒子径の異なる2種以上の球
状微粒子であってもよい。
【0031】また、光散乱層1には、この他に分散剤、
レベリング剤、着色剤、可塑剤等を必要に応じ添加する
ことができる。
【0032】また、前方散乱フィルム5の少なくとも一
方の面が粘着性を有するようにするためには、前述した
ように透明高分子バインダーに粘着剤を用いて光散乱層
1自体に粘着性を持たせる他、光散乱層1とは別個に、
光散乱層1の少なくとも一方の面に粘着層3を有するこ
とにより実現できる。
【0033】この光散乱層1の少なくとも一方の面に有
することが望ましい粘着層3としては、前述した粘着性
光散乱層11の透明高分子バインダーに使用されるよう
な公知の粘着剤を用いることができる。
【0034】光散乱層1の少なくとも一方の面に粘着層
3を有することにより、前述した透明高分子バインダー
に粘着剤を用いたと同様に、他の部材に積層した際に空
気界面を無くすことができ、空気界面での反射によって
黒色表示の黒さが損なわれること及びそれによるコント
ラストの低下を防ぐことができるようになる。
【0035】また、光散乱層1とは別個に粘着層3を設
ける構造をとることにより、粘着性光散乱層11に比べ
て、光散乱層1に用いる透明高分子バインダーの屈折率
等の選択の自由度を上げることができるようになる。こ
のように光散乱層1に用いる透明高分子バインダーの屈
折率等の選択の自由度を上げることをできるようにする
ことにより、様々な散乱角度分布を持った前方散乱フィ
ルム5の設計が行い易くなる。
【0036】このように前方散乱フィルム5として、片
側表面が粘着性を有しているような場合には、必要に応
じてセパレーターフィルム4等を粘着性を有する面にラ
ミネートすることにより、前方散乱フィルム5の取り扱
い性を良くすることが好ましい。
【0037】また、本発明の前方散乱フィルム5の光学
特性としてはヘーズが30.0%以上、好ましくは4
0.0%以上であることが望ましい。ヘーズを30.0
%以上とすることにより、前方散乱光をある程度以上に
保つことができ、例えば、得られた前方散乱フィルム5
を鏡面反射物体に積層して測定した拡散光線反射率を極
めて高くすることができるようになり、反射層として鏡
面反射板を用いた液晶表示の白色表示をよりペーパーホ
ワイトに近づけることができるようになる。
【0038】更に、本発明の前方散乱フィルム5の光学
特性として、透過法における像鮮明度が60.0%以上
であることが好ましく、より好適には70.0%以上で
あることが望ましい。像鮮明度を60.0%以上とする
ことにより、液晶層で得られる画像をぼけることなく表
示でき、十分鮮明な画像表示を達成できるようになる。
【0039】またこのように前方散乱フィルム5として
の光学的性能をヘーズ30.0%以上及び像鮮明度6
0.0%以上とすることにより、初めて確実に前方散乱
フィルムとして十分な性能を持ったものを生産すること
が可能となり、且つ生産管理を極めて簡易に行い得るよ
うになる。このように生産管理が極めて容易に行い得る
ようになると、生産の際の不慮の事態を早急に検知する
ことができ、直ぐに対処が可能となり、歩留まり低下を
防止するのに極めて有効となる。
【0040】次に、前方散乱フィルム5の製造方法の一
例について説明する。
【0041】まず、前述の透明高分子バインダーを溶剤
等で適当な粘度に調整した後、前述の球状微粒子を、攪
拌、サンドミル、ジェットミル等の方法で分散し、光散
乱層塗布液を作製する。
【0042】次に、透明樹脂フィルム2の片面に、光散
乱層塗布液をダイコーター、コンマコーター、バーコー
ター、グラビヤコーター、リバースロールコーター等の
方法で、所定の膜厚になるように塗布後、塗布液に応じ
て熱風乾燥、UV硬化等の方法で乾燥、硬化させて光散
乱層1を形成した後、更にその光散乱層1上に、前述の
粘着剤等を用いて粘着層3を積層して、セパレーターフ
ィルム4と貼り合わせることにより本発明の前方散乱フ
ィルム5を得る。
【0043】尚、ハードコート性、反射防止性等の性能
を付与するために、透明樹脂フィルム2の外側の面に、
ハードコート層、反射防止層、ノングレア層、帯電防止
層等を設けることができる。これらは単独でも良いし、
複合して用いることもできる。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
これらの実施例は本発明に限定を加えるものではない。
尚、「部」、「%」は特記しない限り、重量基準であ
る。
【0045】[実施例1]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表1の組成の光散乱層塗布液a及び粘着層塗布液
を順次塗布し、乾燥することにより乾燥塗膜厚35μm
の光散乱層1と乾燥塗膜厚10μmの粘着層3を積層形
成して、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図1の
構造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0046】[実施例2]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表1の組成の光散乱層塗布液bを塗布し、乾燥す
ることにより乾燥塗膜厚35μmの粘着性光散乱層11
を形成して、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図
2の構造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0047】[実施例3]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表1の組成の光散乱層塗布液c及び粘着層塗布液
を順次塗布し、乾燥することにより乾燥塗膜厚35μm
の光散乱層1と乾燥塗膜厚10μmの粘着層3を積層形
成して、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図1の
構造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0048】[実施例4]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表1の組成の光散乱層塗布液dを塗布し、乾燥す
ることにより乾燥塗膜厚35μmの粘着性光散乱層11
を形成して、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図
2の構造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0049】[実施例5]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表1の組成の光散乱層塗布液eを塗布し、乾燥す
ることにより乾燥塗膜厚35μmの接着性を有する光散
乱層1を形成して、もう1枚の同じポリエチレンテレフ
タレートフィルム2と貼り合わせた。次いで、光散乱層
1を挟み込んだポリエチレンテレフタレートフィルム2
の一方の面に、表1の組成の粘着層塗布液を塗布し、乾
燥することにより乾燥塗膜厚10μmの粘着層3を形成
して、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図3の構
造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0050】[実施例6]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表1の組成の光散乱層塗布液fを塗布し、乾燥す
ることにより乾燥塗膜厚35μmの接着性を有する光散
乱層1を形成して、もう1枚の同じポリエチレンテレフ
タレートフィルム2と貼り合わせた。次いで、光散乱層
1を挟み込んだポリエチレンテレフタレートフィルム2
の一方の面に、表1の組成の粘着層塗布液を塗布し、乾
燥することにより乾燥塗膜厚10μmの粘着層3を形成
して、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図3の構
造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0051】[実施例7]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表1の組成の光散乱層塗布液g塗布し、乾燥する
ことにより乾燥塗膜厚80μmの接着性を有する光散乱
層1を形成して、もう1枚の同じポリエチレンテレフタ
レートフィルム2と貼り合わせた。次いで、光散乱層1
を挟み込んだポリエチレンテレフタレートフィルム2の
一方の面に、表1の組成の粘着層塗布液を塗布し、乾燥
することにより乾燥塗膜厚10μmの粘着層3を形成し
て、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図3の構造
の前方散乱フィルム5を作製した。
【0052】[実施例8]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表1の組成の光散乱層塗布液hを塗布し、乾燥す
ることにより乾燥塗膜厚35μmの粘着性光散乱層11
を形成して、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図
2の構造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0053】[実施例9]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表1の組成の光散乱層塗布液iを塗布し、乾燥す
ることにより乾燥塗膜厚35μmの接着性を有する光散
乱層1を形成して、もう1枚の同じポリエチレンテレフ
タレートフィルム2と貼り合わせた。次いで、光散乱層
1を挟み込んだポリエチレンテレフタレートフィルム2
の一方の面に、表1の組成の粘着層塗布液を塗布し、乾
燥することにより乾燥塗膜厚10μmの粘着層3を形成
して、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図3の構
造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0054】尚、表1中における透明高分子樹脂Aはポ
リエステル系樹脂(ケミット1249:東レ社)、透明
高分子樹脂Bはアクリル系粘着剤(オリバインBPS1
109〈固形分40%〉:東洋インキ製造社)、透明高
分子樹脂Cはウレタン系接着剤(タケラックA−971
〈固形分50%〉:武田薬品工業社)、硬化剤Fはイソ
シアネート硬化剤(オリバインBHS8515〈固形分
38%〉:東洋インキ製造社)、硬化剤Gはイソシアネ
ート硬化剤(タケネートA−3〈固形分75%〉:武田
薬品工業社)、球状微粒子Hはシリコーン樹脂粒子(ト
スパール120<平均粒径2.0μm>:東芝シリコー
ン社)、球状微粒子Kはポリスチレン樹脂粒子(テクポ
リマーSBX−6<平均粒径6.0μm>:積水化成品
工業社)、球状微粒子Lはアクリル樹脂粒子(テクポリ
マーMBX−5<平均粒径5.0μm>:積水化成品工
業社)を用いた。
【0055】また、得られた光散乱層の透明高分子バイ
ンダー(光散乱層塗布液から球状微粒子を除いた樹脂組
成物を成膜した際の(硬化剤を含むものは硬化後の)透
明高分子膜)の屈折率、及び使用した球状微粒子の屈折
率を、表1に併記する。但し、屈折率はアッベ屈折計
(NAR−1T型:アタゴ社)を用いて測定した。
【0056】
【表1】
【0057】[比較例1]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表2の組成の光散乱層塗布液jを塗布し、乾燥す
ることにより乾燥塗膜厚35μmの接着性を有する光散
乱層1を形成して、もう1枚の同じポリエチレンテレフ
タレートフィルム2と貼り合わせた。次いで、光散乱層
1を挟み込んだポリエチレンテレフタレートフィルム2
の一方の面に、表1の組成の粘着層塗布液を塗布し、乾
燥することにより乾燥塗膜厚10μmの粘着層3を形成
して、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図3の構
造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0058】[比較例2]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表2の組成の光散乱層塗布液kを塗布し、乾燥す
ることにより乾燥塗膜厚35μmの接着性を有する光散
乱層1を形成して、もう1枚の同じポリエチレンテレフ
タレートフィルム2と貼り合わせた。次いで、光散乱層
1を挟み込んだポリエチレンテレフタレートフィルム2
の一方の面に、表1の組成の粘着層塗布液を塗布し、乾
燥することにより乾燥塗膜厚10μmの粘着層3を形成
して、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図3の構
造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0059】[比較例3]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表2の組成の光散乱層塗布液l及び表1の組成の
粘着層塗布液を順次塗布し、乾燥することにより乾燥塗
膜厚35μmの光散乱層1と乾燥塗膜厚10μmの粘着
層3を積層形成して、セパレーターフィルム4と貼り合
わせて図1の構造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0060】[比較例4]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表2の組成の光散乱層塗布液m及び表1の組成の
粘着層塗布液を順次塗布し、乾燥することにより乾燥塗
膜厚35μmの光散乱層1と乾燥塗膜厚10μmの粘着
層3を積層形成して、セパレーターフィルム4と貼り合
わせて図1の構造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0061】[比較例5]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表2の組成の光散乱層塗布液nを塗布し、乾燥す
ることにより乾燥塗膜厚35μmの接着性を有する光散
乱層1を形成して、もう1枚の同じポリエチレンテレフ
タレートフィルム2と貼り合わせた。次いで、光散乱層
1を挟み込んだポリエチレンテレフタレートフィルム2
の一方の面に、表1の組成の粘着層塗布液を塗布し、乾
燥することにより乾燥塗膜厚10μmの粘着層3を形成
して、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図3の構
造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0062】[比較例6]厚み50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム2(ルミラーT-60:東レ社)の
片面に表2の組成の光散乱層塗布液oを塗布し、乾燥す
ることにより乾燥塗膜厚35μmの接着性を有する光散
乱層1を形成して、もう1枚の同じポリエチレンテレフ
タレートフィルム2と貼り合わせた。次いで、光散乱層
1を挟み込んだポリエチレンテレフタレートフィルム2
の一方の面に、表1の組成の粘着層塗布液を塗布し、乾
燥することにより乾燥塗膜厚10μmの粘着層3を形成
して、セパレーターフィルム4と貼り合わせて図3の構
造の前方散乱フィルム5を作製した。
【0063】尚、表2中における透明高分子樹脂C、硬
化剤G、球状微粒子H、球状微粒子K及び球状微粒子L
は表1に用いられているものと同じであり、透明高分子
樹脂Dはポリスチレン系樹脂(スタイロン666R:旭
化成工業社)、透明高分子樹脂Eはエチルセルロース樹
脂(EHEC LOW:Hercules社)、球状微粒子Iは
シリコーン樹脂粒子(トスパール105<平均粒径0.
5μm>:東芝シリコーン社)、球状微粒子Jはシリコ
ーン樹脂粒子(トスパール3120<平均粒径12.0
μm>:東芝シリコーン社)を用いた。
【0064】また、得られた光散乱層の透明高分子バイ
ンダー(光散乱層塗布液から球状微粒子を除いた樹脂組
成物を成膜した際の(硬化剤を含むものは硬化後の)透
明高分子膜)の屈折率、及び使用した球状微粒子の屈折
率を、表2に併記する。但し、屈折率はアッベ屈折計
(NAR−1T型:アタゴ社)を用いて測定した。
【0065】
【表2】
【0066】実施例1〜9、比較例1〜6で得たものを
サンプルとして、ヘーズ及び像鮮明度の値を確認した結
果、並びにコントラスト、画像表示のぼけの評価を行っ
た結果を表3に示す。また、球状微粒子の粒径及び相対
屈折率nも表3に併記する。
【0067】ヘーズの値の確認は、それぞれのサンプル
についてセパレーターフィルム4を剥離して、ヘーズメ
ーター(HGM−2K:スガ試験機社)を用いて測定し
た。
【0068】像鮮明度の値の確認は、それぞれのサンプ
ルについてセパレーターフィルム4を剥離して、写像性
測定器(ICM−1DP:スガ試験機社)を用いて測定
した。
【0069】コントラストの評価は、それぞれのサンプ
ルについてセパレーターフィルム4を剥離して、アルミ
蒸着フィルムと重ね合わせて光学的に密着させた場合の
拡散反射率(アルミ反射率Y)、および黒着色フィルム
と重ね合わせて光学的に密着させた場合の拡散反射率
(黒色反射率Y)を測色計(SM−4−SCH−GV5
−H2:スガ試験機社)を用いて三刺激値のYの値とし
て求め(JIS−Z8701)、コントラスト=(アル
ミ反射率Y)/(黒色反射率Y)とした。
【0070】また、画像表示のぼけの評価は以下のよう
に行った。 1.ベースフィルムが白色である銀塩フィルムに線幅9
0μmの線画を形成し、1mm厚の透明樹脂板を接着さ
せた評価基準サンプルを用意する。 2.当該評価基準サンプル上に、セパレーターフィルム
4を剥離した各実施例及び比較例のサンプルを貼り合わ
せ、測定サンプルを調製する。 3.各測定サンプルをマイクロデンシトメーターを用い
て光学スリット幅90μmで光学濃度を測定し図4のよ
うな測定チャートを得て、そのチャートの半値幅W(ピ
ークの半分の高さにおけるスペクトルの幅)を求める。 4.得られた測定サンプルの半値幅Wを、各実施例や比
較例のサンプルを貼り合わせずに評価基準サンプルだけ
で測定した結果の半値幅W0で割って、「W/W0」と
して画像表示のぼけの度合い(即ち画線の太り度合い)
を評価した。
【0071】
【表3】
【0072】表3からも明らかなように、実施例1〜5
のサンプルは、コントラスト及び画像表示のぼけ共に良
好な結果が得られ、高コントラストで画像表示がぼけな
い等の視認性に優れた前方散乱フィルム5が得られた。
また、実施例6のサンプルでは、画像表示のぼけが若干
劣るが、アルミ反射率Yを高くして白色表示をペーパー
ホワイトに近づけることができ、これにより特に高コン
トラストで視認性に優れた前方散乱フィルムを得ること
ができた。また、実施例7〜9のサンプルでは、コント
ラストこそ若干低いが、後方散乱光を更に少なくするこ
とによって黒色反射率Yを低くして黒色表示をより黒く
鮮明にすることができ、これにより特に画像表示が鮮明
で視認性に優れた前方散乱フィルム5を得ることができ
た。
【0073】一方、比較例1については、平均粒径0.
5μmの球状微粒子を使用しているために散乱光線中の
後方散乱光の占める割合を少なくすることができず、結
果として実施例と比べて黒色反射率の上昇を招いた。こ
れによりコントラストが低下すると共に黒色表示の黒さ
が損なわれてしまって画像表示の鮮明さが失われ、極め
て視認性に劣るものとなってしまった。
【0074】同様に、比較例2については平均粒径1
2.0μmの球状微粒子を使用しているために、比較例
3については相対屈折率nが0.91であるために、比
較例4については相対屈折率nが1.09であるため
に、それぞれ散乱光線中の後方散乱光の占める割合を少
なくすることができず、結果として実施例と比べて黒色
反射率の上昇を招いた。これによりコントラストが低下
すると共に黒色表示の黒さが損なわれてしまって画像表
示の鮮明さが失われ、極めて視認性に劣るものとなって
しまった。
【0075】比較例5については、平均粒径5.0μm
で相対屈折率nも0.99と共に条件を満たしている
が、ヘーズの値が低いサンプルであったが為に、前方散
乱光を十分なものとすることができず、結果として実施
例に比べてアルミ反射率の低下を招き、コントラストが
非常に低下してしまい、極めて視認性に劣るものとなっ
てしまった。
【0076】比較例6については、平均粒径が2.0μ
m、相対屈折率nが0.96、ヘーズが40.0%以上
と条件を満たしているが、像鮮明度の値が低いサンプル
であった為に、画像表示のぼけを抑えることができなく
なってしまい、極めて視認性に劣るものとなってしまっ
た。
【0077】
【発明の効果】本発明の前方散乱フィルムによれば、球
状微粒子を含有する透明高分子バインダーからなる光散
乱層を有する前方散乱フィルムであって、前記球状微粒
子の平均粒径が1.0μm〜10.0μmであり、前記
透明高分子バインダーの屈折率に対する前記球状微粒子
の相対屈折率nが0.91<n<1.09であり、且つ
前記前方散乱フィルムとしてのヘーズが30.0%以上
で、像鮮明度が60.0%以上のものとすることによ
り、白色表示がペーパーホワイトに近く黒色表示がより
黒い高コントラストで画像表示がぼけない等の視認性に
優れた前方散乱フィルムを提供することができる。
【0078】また、本発明によれば、極めて容易に生産
管理できる前方散乱フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の前方散乱フィルムの一実施例を示す
断面図
【図2】 本発明の前方散乱フィルムの他の実施例を示
す断面図
【図3】 本発明の前方散乱フィルムの他の実施例を示
す断面図
【図4】 本発明の像のぼけの評価における測定チャー
【符号の説明】
1・・・・光散乱層 11・・・粘着性光散乱層 2・・・・透明樹脂フィルム 3・・・・粘着層 4・・・・セパレーターフィルム 5・・・・前方散乱フィルム 6・・・・半値幅

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】球状微粒子を含有する透明高分子バインダ
    ーからなる光散乱層を有する前方散乱フィルムであっ
    て、前記球状微粒子の平均粒径が1.0μm〜10.0
    μmであり、前記透明高分子バインダーの屈折率に対す
    る前記球状微粒子の相対屈折率nが0.91<n<1.
    09であり、且つ前記前方散乱フィルムとしてのヘーズ
    が30.0%以上で、像鮮明度が60.0%以上である
    ことを特徴とする前方散乱フィルム。
  2. 【請求項2】前記前方散乱フィルムのヘーズが40.0
    %以上であることを特徴とする請求項1記載の前方散乱
    フィルム。
  3. 【請求項3】前記光散乱層の少なくとも一方の面に透明
    樹脂フィルムを有することを特徴とする請求項1または
    2記載の前方散乱フィルム。
  4. 【請求項4】前記前方散乱フィルムの少なくとも一方の
    面が粘着性を有することを特徴とする請求項1または2
    記載の前方散乱フィルム。
  5. 【請求項5】前記透明高分子バインダーに粘着剤を用い
    たことを特徴とする請求項1または2記載の前方散乱フ
    ィルム。
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