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JP2000156785A - 画像処理方法および画像処理装置 - Google Patents

画像処理方法および画像処理装置

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JP2000156785A
JP2000156785A JP11126028A JP12602899A JP2000156785A JP 2000156785 A JP2000156785 A JP 2000156785A JP 11126028 A JP11126028 A JP 11126028A JP 12602899 A JP12602899 A JP 12602899A JP 2000156785 A JP2000156785 A JP 2000156785A
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image
lens
processing
image processing
intensity
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Atsushi Enomoto
淳 榎本
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】レンズ付きフィルムやコンパクトカメラ等の安
価なカメラで撮影された画像や、安価なデジタルカメラ
によって撮影された画像からであっても、高画質な画像
が再生された高品質のプリント(写真)を得ることがで
きる画像処理方法および画像処理装置を提供する。 【解決手段】光学的に撮影された画像から画像データを
得、少なくとも鮮鋭度強調処理を施して出力画像用の画
像データとするに際し、画像を撮影したレンズの情報を
得てレンズ種を判別して、レンズ種に応じて、対応する
画像の鮮鋭度強調処理の強度を変更することにより、上
記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタルの画像処
理方法および画像処理装置の技術分野に属し、詳しく
は、フィルム画像を光電的に読み取り、この画像が再現
されたプリント(写真)を得るデジタルフォトプリンタ
等において、レンズ付きフィルムや安価なコンパクトカ
メラや低コストなデジタルカメラ等の性能の高くないレ
ンズで撮影された画像であっても、高画質な画像を得る
ことができる画像処理方法および画像処理装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在、ネガフィルム、リバーサルフィル
ム等の写真フィルム(以下、フィルムとする)に撮影さ
れた画像の感光材料(印画紙)への焼き付けは、フィル
ムの画像を感光材料に投影して感光材料を露光する、い
わゆる直接露光(アナログ露光)が主流である。
【0003】これに対し、近年では、デジタル露光を利
用する焼付装置、すなわち、フィルムに記録された画像
を光電的に読み取って、読み取った画像をデジタル信号
とした後、種々の画像処理を施して記録用の画像データ
とし、この画像データに応じて変調した記録光によって
感光材料を走査露光して画像(潜像)を記録し、仕上が
りプリント(写真)とするデジタルフォトプリンタが実
用化された。
【0004】デジタルフォトプリンタでは、画像をデジ
タル画像データとして、画像処理によって焼付時の露光
条件を決定することができるので、逆光やストロボ撮影
等に起因する画像の飛びやツブレの補正、鮮鋭度強調処
理等を好適に行って、従来の直接露光では得られなかっ
た高品位なプリントを得ることができる。また、画像や
文字の合成等も画像処理で行うことができ、用途に応じ
て自由に編集/処理したプリントも出力可能である。
【0005】しかも、デジタルフォトプリンタによれ
ば、フィルムに撮影された画像以外にも、デジタルカメ
ラで撮影された画像やコンピュータで処理した画像もプ
リントとして出力でき、また、プリント以外にも、画像
データをコンピュータ等に供給したり、フロッピーディ
スク等の記録媒体に保存しておくこともできるので、画
像データを、写真以外の様々な用途に利用することがで
きる。
【0006】このようなデジタルフォトプリンタは、基
本的に、フィルムに読取光を入射して、その投影光を読
み取ることによって、フィルムに記録された画像を光電
的に読み取るスキャナ(画像読取装置)と、スキャナに
よって読み取られた画像データやデジタルカメラ等から
供給された画像データに所定の画像処理を施し、画像記
録のための画像データや露光条件を得る画像処理装置
と、画像処理装置から出力された画像データに応じて、
例えば光ビーム走査によって感光材料を走査露光して潜
像を記録するプリンタ(画像記録装置)と、プリンタに
よって露光された感光材料に現像処理を施して、画像が
再生されたプリントとするプロセサ(現像装置)とを有
して構成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般的なユ
ーザが通常の写真撮影を行なう場合には、一眼レフカメ
ラのような高価で高性能なカメラを使用することは少な
く、安価でかつ露光やピント合わせ等の操作が自動化さ
れた、いわゆるコンパクトカメラを使用するのが通常で
ある。また、近年では、手軽である等の理由から、いわ
ゆるレンズ付きフィルムを使用するユーザも非常に多
い。
【0008】一眼レフカメラ等のように、ある程度のコ
ストをかけられるカメラでは、精度の高いレンズを用
い、さらに複数枚のレンズを組み合わせることにより、
非常に高画質な画像を撮影することができる。これに対
し、レンズ付きフィルムや安価なコンパクトカメラで
は、レンズにコストをかけることができず、安価なレン
ズを1〜2枚しか用いることができないため、画質的に
十分な画像を撮影することができず、プリントに再生さ
れた画像は、必ずしも高画質と言うことはできない。
【0009】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、レンズ付きフィルムやコンパクト
カメラ等の安価なカメラで撮影された画像や、安価なデ
ジタルカメラによって撮影された画像からであっても、
高画質な画像が再生された高品質のプリント(写真)を
得ることができる画像処理方法および画像処理装置を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述のように、レンズ付
きフィルムやコンパクトカメラでは、レンズにコストを
かけることができないので、十分な画質の画像を撮影す
ることができず、高画質な画像が再生された高品質の仕
上がりプリントを得ることができない。従来、このよう
なレンズ性能に起因する画質低下、特に画像ボケを補正
するためには、画像の位相を考慮する、すなわちピント
ボケ(PSF:Point Spread Function)の逆変換を行な
う必要がある。ただし、この方法では、処理回路の規模
か大きくなり、また処理も難しいという問題点がある。
このような問題点について、本発明者が鋭意検討を重ね
た結果、レンズ付きフィルム等によって撮影された画像
であっても、鮮鋭度強調処理(シャープネス処理)の強
度を変更、特に通常(デフォルト)よりも強く掛けるこ
とにより、処理が難しいPSF補正を行わなくても、ピ
ントボケが是正された十分な画質のプリントを得られる
ことを見いだし、また、鮮鋭度強調処理機能を有する装
置であれば、このように鮮鋭度強調処理の強度を変更す
ることにより、製品等のコストを上昇させることなく、
レンズ性能に起因する画質低下をカバーすることができ
ることを見いだした結果、本発明に至ったものである。
【0011】すなわち、本発明の画像処理方法は、光学
的に撮影された画像から画像データを得、少なくとも鮮
鋭度強調処理を施して出力画像用の画像データとする画
像処理方法であって、前記画像を撮影したレンズの情報
を得てレンズ種を判別して、レンズ種に応じて、対応す
る画像の前記鮮鋭度強調処理の強度を変更することを特
徴とする。
【0012】ここで、前記鮮鋭度強調処理の強度を変更
するレンズ種の画像には、レンズ特性に起因する画質劣
化の補正も行なうのが好ましい。また、前記レンズ特性
に起因する画質劣化の補正は、前記レンズ特性に起因す
る歪曲収差補正、倍率色収差補正および周辺光量補正の
少なくとも1つであるのが好ましい。また、前記鮮鋭度
強調処理の強度は、1コマの画像全体で一律に変更され
る、もしくは前記1コマの画像を複数の画像に分割し、
その分割された画像領域毎に変更されるのが好ましい。
また、前記鮮鋭度強調処理の強度は、3原色の各色毎に
独立に、もしくは前記3原色の各色共通に一律に変更さ
れるのが好ましい。また、前記鮮鋭度強調処理の強度
は、さらにフィルム種によって変更されるのが好まし
い。
【0013】また、本発明の画像処理装置は、光学的に
撮影された画像から得られた画像データに画像処理を施
し、出力画像用の画像データとする画像処理装置であっ
て、前記画像を撮影したレンズの判別情報を取得し、そ
のレンズ種を判別する判別手段と、少なくとも画像の鮮
鋭度強調処理を行なう画像処理手段とを有し、かつ、前
記画像処理手段は、前記判別手段によるレンズ種の判別
結果に応じて、対応する画像の前記鮮鋭度強調処理の強
度を変更することを特徴とする。
【0014】ここで、前記画像処理手段は、レンズ種に
応じたレンズ特性を記憶する記憶手段と、対応するレン
ズ種のレンズ特性を前記記憶手段から受け取り、画像の
位置情報とレンズ特性とから画像の画質劣化の補正を行
なう画質劣化補正手段とを有し、前記鮮鋭度強調処理の
強度を変更する画像には、この画質劣化補正手段による
画質劣化の補正も行なうのが好ましく、前記画質劣化補
正手段は、前記レンズ特性に起因する歪曲収差補正、倍
率色収差補正および周辺光量補正の少なくとも1つを補
正するのが好ましい。また、前記画質劣化の補正の後に
鮮鋭度強調処理を行なうのが好ましい。さらに、前記画
質劣化補正手段は、レンズ特性による倍率色収差および
歪曲収差、あるいはさらに周辺光量を補正するものであ
り、倍率色収差に起因する3原色の基準となる色に対す
る他の色の画像位置のずれ量を算出し、この倍率色収差
に起因するずれ量と、歪曲収差に起因する前記基準とな
る色の画像位置のずれ量とを用いて、歪曲収差に加え倍
率色収差も補正した各画像の適正な位置を算出し、前記
各画像の適正な位置から画質劣化の補正を行い、あるい
は前記各画像の適正な位置を用いて画質劣化の補正およ
び電子変倍処理を行なうのが好ましい。
【0015】また、前記画像の鮮鋭度強調処理の強度を
変更するレンズ種は、レンズ付きフィルムのレンズであ
るのが好ましい。また、前記画像処理手段は、前記鮮鋭
度強調処理の強度を1コマの画像全体で一律に変更す
る、もしくは前記1コマの画像を複数の画像に分割し、
その分割された画像領域毎に変更するのが好ましい。ま
た、前記画像処理手段は、前記鮮鋭度強調処理の強度を
3原色の各色毎に独立に、もしくは前記3原色の各色共
通に一律に変更するのが好ましい。また、前記画像処理
手段は、前記鮮鋭度強調処理の強度を、さらにフィルム
種によって変更するのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の画像処理方法およ
び画像処理装置について、添付の図面に示される好適実
施例を基に詳細に説明する。
【0017】図1に、本発明の画像処理方法を実施する
本発明の画像処理装置を利用するデジタルフォトプリン
タの一実施例のブロック図が示される。図1に示される
デジタルフォトプリンタ(以下、フォトプリンタとす
る)10は、基本的に、フィルムFに撮影された画像を
光電的に読み取るスキャナ(画像読取装置)12と、読
み取られた画像データ(画像情報)の画像処理やフォト
プリンタ10全体の操作および制御等を行う画像処理装
置14と、画像処理装置14から出力された画像データ
に応じて変調した光ビームで感光材料(印画紙)を画像
露光し、現像処理してプリント(写真)として出力する
プリンタ16とを有する。また、画像処理装置14に
は、様々な条件の入力(設定)、様々な処理の選択や指
示、色/濃度補正などの指示等を入力するためのキーボ
ード18aおよびマウス18bを有する操作系18と、
スキャナ12で読み取られた画像、各種の操作指示、条
件の設定/登録画面等を表示するディスプレイ20とが
接続される。
【0018】スキャナ12は、フィルムF等に撮影され
た画像を1コマずつ光電的に読み取る装置で、光源22
と、可変絞り24と、フィルムFに入射する読取光をフ
ィルムFの面方向で均一にする拡散ボックス28と、フ
ィルムFを所定の位置に保持するスキャナ30と、結像
レンズユニット32と、R(赤)、G(緑)およびB
(青)の各画像読取に対応するラインCCDセンサを有
するイメージセンサ34と、アンプ(増幅器)36と、
A/D(アナログ/デジタル)変換器38とを有する。
【0019】また、フォトプリンタ10においては、新
写真システム(APS;AdvancedPhoto System )のフ
ィルムや135サイズのネガ(あるいはリバーサル)フ
ィルム等のフィルムの種類やサイズ、ストリップスやス
ライド等のフィルムの形態等に応じて、スキャナ12の
本体に装着自在な専用のキャリア30が用意されてお
り、キャリア30を交換することにより、各種のフィル
ムや処理に対応することができる。フィルムに撮影さ
れ、プリント作成に供される画像(コマ)は、このキャ
リア30によって所定の読取位置に搬送される。
【0020】スキャナ12において、フィルムFに撮影
された画像を読み取る際には、光源22から射出され、
可変絞り24によって光量調整された読取光が、キャリ
ア30によって所定の読取位置に位置されたフィルムF
に入射して、透過することにより、フィルムFに撮影さ
れた画像を担持する投影光を得る。
【0021】キャリア30は、図2(A)に示されるよ
うに、所定の読取位置にフィルムFを位置させつつ、イ
メージセンサ34のラインCCDセンサの延在方向(主
走査方向)と直交する副走査方向に、フィルムFの長手
方向を一致させて搬送する、読取位置を副走査方向に挟
んで配置される搬送ローラ対30aおよび30bと、フ
ィルムFの投影光を所定のスリット状に規制する、読取
位置に対応する位置において主走査方向に延在するスリ
ット40aを有するマスク40とを有する。フィルムF
は、このキャリア30によって読取位置に位置されて副
走査方向に搬送されつつ、読取光を入射される。これに
より、結果的にフィルムFが主走査方向に延在するスリ
ット40aによって2次元的にスリット走査され、フィ
ルムFに撮影された各コマの画像が読み取られる。
【0022】周知のように、新写真システムのフィルム
には、磁気記録媒体が形成されており、新写真システム
のフィルム(カートリッジ)に対応するキャリア30に
は、この磁気記録媒体に記録された情報を読み取り、ま
た必要な情報を記録する磁気ヘッド42が配置されてい
る。フィルムFの磁気記録媒体に記録された情報は、磁
気ヘッド42で読み取られて、スキャナ12本体から画
像処理装置14等の必要な部位に送られ、あるいは、各
種の情報が磁気ヘッド42によってフィルムFの磁気記
録媒体に記録される。また、図中符号44は、フィルム
に光学的に記録されるDXコード、拡張DXコード、F
NSコード等のバーコードや、フィルムに光学的に記録
された各種の情報を読み取るためのセンサ(バーコード
リーダ)であり、センサ44で読み取られた各種の情報
が画像処理装置14等の必要な部位に送られる。
【0023】前述のように、読取光は、所定の読取位置
において、キャリア30に保持されたフィルムFを透過
して、画像を担持する投影光となり、この投影光は、結
像レンズユニット32によってイメージセンサ34の受
光面に結像される。図2(B)に示されるように、イメ
ージセンサ34は、R画像を読み取るラインCCDセン
サ34R、G画像を読み取るラインCCDセンサ34
G、およびB画像を読み取るラインCCDセンサ34B
を有する、いわゆる3ラインのカラーCCDセンサで、
各ラインCCDセンサは、前述のように主走査方向に延
在している。フィルムFの投影光は、このイメージセン
サ34によって、R、GおよびBの3原色に分解されて
光電的に読み取られる。イメージセンサ34の出力信号
は、アンプ36で増幅され、A/D変換器38でデジタ
ル信号とされて、画像処理装置14に送られる。
【0024】スキャナ12においては、フィルムFに撮
影された画像の読み取りを、低解像度で読み取るプレス
キャンと、出力画像の画像データを得るための本スキャ
ンとの、2回の画像読取で行う。プレスキャンは、スキ
ャナ12が対象とする全てのフィルムの画像を、イメー
ジセンサ34が飽和することなく読み取れるように、あ
らかじめ設定された、プレスキャンの読取条件で行われ
る。一方、本スキャンは、プレスキャンデータから、そ
の画像(コマ)の最低濃度よりも若干低い濃度でイメー
ジセンサ34が飽和するように、各コマ毎に設定された
本スキャンの読取条件で行われる。プレスキャンおよび
本スキャンの出力信号は、解像度と出力レベルが異なる
以外は、基本的に同じである。
【0025】なお、本発明において、スキャナ12は、
このようなスリット走査によるものに限定されず、エリ
アCCDセンサを用い、1コマの画像の全面を一度に、
R,G,Bについて面順次で読み取る、面読取を利用す
るものであってもよい。また、フォトプリンタ10は、
ネガやリバーサル等のフィルムに撮影された画像を光電
的に読み取るスキャナ12以外にも、反射原稿の画像を
読み取る画像読取装置、デジタルカメラやデジタルビデ
オカメラ等の撮像デバイス、コンピュータ通信等の通信
手段、FD(フロッピーディスク)、MO(光磁気記録
媒体)、スマートメディア等の画像記録媒体などの各種
の画像データ供給源を利用することができ、これらを直
接またはその駆動装置を介して画像処理装置14に接続
することにより、これらの画像データ供給源から画像デ
ータを受け取って、プリントを作成することができる。
特に、本発明は、デジタルカメラやデジタルビデオカメ
ラなどのような撮像デバイスで被写体が直接光学的に撮
影された画像(デジタル画像データ)に好適に利用可能
であり、図示例のフォトプリンタ10においては、直接
被写体をデジタルカメラ等の撮像デバイスで撮影して得
られたデジタル画像データが記録された画像記録媒体2
5を駆動してデジタル画像データを読み出す記録媒体駆
動装置26が画像処理装置14に接続されている。もち
ろん、デジタルカメラ等を直接画像処理装置14に接続
して、撮影された画像データを直接画像処理装置14に
入力可能にしてもよい。
【0026】前述のように、スキャナ12や記録媒体駆
動装置26等からの出力信号(画像データ)は、画像処
理装置14に出力される。以下の説明では、主としてス
キャナ12から画像処理装置14に1コマの画像データ
が供給される場合を代表例として説明する。図3に画像
処理装置(以下、処理装置14とする)のブロック図を
示す。処理装置14は、データ処理部50、Log変換
器52、プレスキャンメモリ54、本スキャンメモリ5
6、プレスキャン処理部58、本スキャン処理部60、
および条件設定部62を有する。なお、図3は、主に画
像処理関連の部位を示しており、処理装置14には、こ
れ以外にも、処理装置14を含むフォトプリンタ10全
体の制御や管理を行うCPU、フォトプリンタ10の作
動等に必要な情報を記憶するメモリ等が配置される。ま
た、操作系18やディスプレイ20は、このCPU等
(CPUバス)を介して各部位に接続される。
【0027】スキャナ12から出力されたR,Gおよび
Bの各デジタル信号は、データ処理部50において、D
Cオフセット補正、暗時補正、シェーディング補正等の
所定のデータ処理を施された後に、Log変換器52で
変換されてデジタル画像(濃度)データとされ、プレス
キャン(画像)データはプレスキャンメモリ54に、本
スキャン(画像)データは本スキャンメモリ56に、そ
れぞれ記憶される。なお、プレスキャンデータと本スキ
ャンデータは、解像度(画素密度)と信号レベルが異な
る以外は、基本的に同じデータである。
【0028】プレスキャンメモリ54に記憶されたプレ
スキャンデータはプレスキャン処理部58において、本
スキャンメモリ56に記憶された本スキャンデータは本
スキャン処理部60において、それぞれ処理される。プ
レスキャン処理部58は、画像処理部64およびデータ
変換部66を有し、他方、本スキャン処理部60は、画
像処理部68、データ変換部70およびレンズ種判別部
74を有する。
【0029】プレスキャン処理部58の画像処理部64
と、本スキャン処理部60の画像処理部68は、共に、
後述する条件設定部62が設定した画像処理条件に応じ
て、スキャナ12によって読み取られた画像(画像デー
タ)に所定の画像処理を施す部位である。画像処理部6
4および68は、処理する画像データの画素密度が異な
り、また画像処理部64が収差補正部72を有さない以
外は、基本的に同じ処理を行なうものであるので、以下
の説明は、本スキャン処理部60の画像処理部68を代
表例として行なう。なお、本発明においては、プレスキ
ャン処理部58の画像処理部64にも、収差補正部を設
けて、必要に応じて、プレスキャン画像に後述する歪曲
収差や倍率色収差などの収差や周辺光量低下などの画質
劣化の補正を行なってもよい。
【0030】画像処理部68(64)のLUTは、LU
T(ルックアップテーブル)によって、画像の色バラン
ス調整、コントラスト調整(階調処理)、および明るさ
調整(濃度調整)を行なう部位であり、また、MTX
は、マトリクス演算によって、画像の彩度調整を行なう
部位である。
【0031】本スキャン処理部60の画像処理部68に
は、MTXとブロック68Aとの間に、歪曲収差および
倍率色収差などの収差や周辺光量低下などの画質劣化の
補正(以下、代表して収差補正という)ならびに電子変
倍処理を行う収差補正部72が配置される。また、収差
補正部72およびブロック68には、レンズ種判別部7
4が接続される。
【0032】後に詳述するが、本発明に係る処理装置1
4においては、フィルムFに被写体を撮影したレンズま
たは直接被写体を撮像デバイスで撮影したレンズのレン
ズ種を判別し、予め選択設定されている所定のレンズ種
で撮影された画像には、ブロック68Aで行なう鮮鋭度
強調処理(シャープネス処理)を強くかける。本発明に
おいては、これにより、レンズ付きフィルムやコンパク
トカメラやデジタルカメラような低コストのレンズで撮
影された画像からも、困難なPSF補正などをかけるこ
となく、高画質な画像を再生した高品質なプリントを出
力することを可能にしている。ここで、図示例の処理装
置14においては、好ましい態様として、所定のレンズ
種で撮影された、シャープネス処理を強くかける画像の
場合には、レンズ特性に起因する収差補正も施し、高強
度シャープネスとの相乗効果により、より高画質な画像
を得ている。言い換えれば、本発明においては、高画質
な画像を得るために収差補正が必要な、性能の低いレン
ズで撮影された画像には、シャープネス処理を強くか
け、あるいはさらに収差補正を行い、高画質な画像を得
ることを実現している。なお、本発明の高強度シャープ
ネス強調処理は、1コマの全画面に一律に同じ強度でか
けてもよいし、収差補正と同様に、レンズ特性に合わせ
て、すなわち画像の中心からの距離に応じて強度を変え
てもよい。こうすることで、レンズに起因するピントボ
ケも細かく補正でき、さらに適切なシャープネス処理が
かかった高画質画像を再生することができる。
【0033】レンズ種判別部74は、レンズ種を判別す
るためのレンズ情報を取得して、フィルムFに画像を撮
影したレンズ種を判別し、その結果から、高強度シャー
プネス処理および収差補正の要・不要を判断し、その結
果に基づく指示を収差補正部72およびブロック68A
に出し、さらに、判別したレンズ種のレンズ特性を収差
補正部72に供給する。なお、本発明においては、画像
にシャープネス処理を強くかけるレンズ種には限定はな
いが、少なくともレンズ付きフィルム(以下、LFとす
る)で撮影された画像には、シャープネス処理を強くか
けるのが好ましい。
【0034】フィルムFに画像を撮影したレンズ種を判
別するためのレンズ情報、およびその取得手段には特に
限定はなく、各種の方法が利用可能である。通常は、カ
メラの機種が判ればレンズ種が判別できるので、例え
ば、新写真システムのLFであれば、スキャナ12(キ
ャリア30)において、フィルムFに磁気記録されたカ
ートリッジIDおよび/またはフィルム種を読み取り、
これをカメラ機種すなわちレンズ種の判別に利用しても
よい。ところで、本発明において用いられるレンズ情報
としては、レンズ情報自体であってもよいし、レンズ情
報を間接的に示す情報、例えばカメラの機種などの情報
でもよいし、このようなレンズ情報をコード化したも
の、すなわちレンズ情報を直接または間接的に示すコー
ド、例えばレンズ種コードやカメラ機種コードであって
もよい。このようなコードとしては、上述したレンズ情
報を得ることのできるフィルムカートリッジIDやカメ
ラ機種であってもよい。ここで、レンズ情報とは、レン
ズそのものに関する情報やレンズの性能に関する情報で
あってもよいし、LFおよびカメラの機種に関する情報
であっても、さらにはレンズによる画質劣化量、例えば
歪曲収差、倍率色収差、周辺光量低下等に関する各劣化
量の情報などであってもよい。このようなレンズ情報を
フィルム製造時、またはフィルム装填時、あるいはデジ
タルカメラなどへの画像記録媒体挿入時、もしくは撮影
時に光学的または磁気的あるいはまた電気的に記録し、
スキャナ12(キャリア30)において、フィルムFに
記録されたレンズ情報を読み取り、これを用いてレンズ
種を判別してもよい。
【0035】すなわち、デジタルカメラなどのように、
フィルムを使用せずに、直接撮像デバイスで直接被写体
を撮影して、直接画像記録媒体に画像データを記録する
場合には、画像記録媒体挿入時あるいは撮影時にレンズ
情報を1連のコマの画像データや1コマの画像データの
ヘッダなどに電気的に記録しておき、これを読み出して
レンズ種を判別してもよい。また、LFの場合には、フ
ィルムFをカメラに装填する前(製造時)に、予めフィ
ルムFにレンズ種などのレンズ情報を磁気的に(新写真
システム(APS)−LFの場合)もしくは光学的に
(135−LF、APS−LFの場合)記録して、これ
を用いてレンズ種を判別してもよい。例えば135−L
F、APS−LFなどのLFであれば、レンズ情報をフ
ィルム製造時にDXコードや拡張DXコードとは別にフ
ィルムの非撮影領域(有効領域外)に予め光学的に記録
しておくことができるし、例えば、APS−LFであれ
ば、APSフィルムの先頭と最後の、フィルムメーカー
が自由に使用できるロッドコードに同様に予め光学的に
記録しておくこともできる。また、APS−LFであれ
ば、APSフィルムの磁気層にレンズ情報をフィルム製
造時に予め磁気的に記録しておくこともできる。さら
に、IC付フィルムカートリッジを用いる135−L
F、APS−LFの場合には、このカートリッジICに
レンズ情報をフィルム製造時に予め電気的に記録してお
くこともできる。
【0036】また、新写真システム(APS)のカメラ
やAPS−LFであれば、フィルムFにカメラの機種や
レンズ種などのレンズ情報をフィルムの装填時や撮影時
に磁気記録し、上記と同様に、これを利用してもよい。
また、カメラによっては、例えば通常の135フィルム
を用いるカメラ、APSカメラ、135−LF、APS
−LFの場合には、レンズ種(カメラの機種)などのレ
ンズ情報をフィルムの装填時や撮影時にカメラの側から
LED等を用いてフィルムの有効領域外に光学的に記録
しておくこともできる。あるいは、同様な各種のカメラ
おいて、撮影時にカメラの露光開口枠の開口縁部に設け
られたノッチをフィルムに露光・焼き付け、レンズ情報
として図6(A)および(B)に示すようなノッチマー
ク46をフィルムの有効領域外に光学的に記録もよい
し、撮影時にカメラのフィルムの撮影画面を規定するア
パーチャに設けられた凹凸をフィルムに露光し、図6
(C)および(D)に示すような凹凸48をフィルムの
有効領域外に記録してもよい。図6(A)および(B)
に示すノッチマーク46の場合には、ノッチマーク46
の数や形状やその間隔等を用いたコードにより、図6
(C)および(D)に示す凹凸48の場合にもその数や
形状やその間隔等を用いたコード、好ましくはバーコー
ドリーダで読取可能なバーコードにより、レンズ情報を
記録することができる。これらの場合には、スキャナ1
2(キャリア30)において画像の撮影領域(有効領
域)より大きい範囲を読み取り、読み取られたノッチマ
ーク46や凹凸48からレンズ情報を読み取りレンズ種
を判別すればよい。
【0037】なお、APSフィルムは、全てのコマが通
常一台のカメラで撮影されるが、APSカメラによって
は、途中交換(MRC)機能を備えたものもあるため、
APSカメラの途中交換機能を使い、一本のAPSフィ
ルムが異なるカメラで撮影された場合には、本発明のレ
ンズ種に応じたシャープネス強度の変更は、途中交換機
能を考慮して判別されたそれぞれのカメラのレンズ種を
用いて行うのは、もちろんである。また、受け付け時
に、LFの機種や135フィルムなどの撮影に用いたカ
メラの機種を顧客に聞きいて記録しておき、プリント作
成時にオペレータがこれをキーボード18a等で入力し
て、レンズ種を判別してもよい。
【0038】また、特にレンズ種を判別せず、ある特定
のフィルムF、例えば、LFで撮影されたフィルムFで
ある場合には、LFのフィルムであることの検出をもっ
てレンズ種の検出とし、一律の条件でシャープネス処理
を強くかけ、あるいはさらに収差補正を行なってもよ
い。なお、LFのフィルムFであることの判別は、前述
のレンズ種の判別方法に加え、レンズタイプの情報、フ
ィルム等に記録されるカメラ識別コード、フィルム製造
時に記録される新写真システムのSSU(SnapShooting
Unit)インジケータ等が利用できる。
【0039】レンズ種判別部74には、各種のレンズ種
に応じたレンズ特性の情報、具体的には、レンズの歪曲
収差および倍率色収差ならびに周辺光量低下の特性の情
報、シャープネス処理の強度を中心からの距離に応じて
変える場合にはそのための画像のボケ特性(例えば、ピ
ントボケ特性、すなわちPSF特性)の情報が記憶され
ている。あるいは、前述のように、LFであれば一律の
補正をかける場合には、LFの平均的なレンズ特性の情
報を持てばよい。レンズ種判別部74は、その画像が所
定のレンズ種で撮影された、シャープネス処理を強くか
け、また、収差補正が必要な画像であると判断した場合
には、判別したレンズ種に応じたレンズ特性の情報をメ
モリから読み出し、収差補正部72に供給する。
【0040】レンズ特性としては、特に限定はないが、
一般的に、レンズの歪曲収差の特性や倍率色収差や周辺
光量低下や必要に応じて画像のボケなどの特性は、レン
ズの光軸すなわちフィルムFに撮影された画像の中心か
らの距離(例えば、x−yで示される)をパラメータと
する3次関数で、ある程度まで近似することができるの
で、歪曲収差や倍率色収差や周辺光量低下や画像のボケ
などの補正が必要なレンズ種にについて、その歪曲収差
の特性を示す関数および倍率色収差の特性を示す関数な
らびに周辺光量低下の特性を示す関数や画像のボケ特性
を示す関数などを、レンズ特性として記憶しておけばよ
い。
【0041】収差補正部72は、レンズ種判別部74が
必要と判断した画像について、レンズ種判別部74から
供給されたフィルムFのレンズ特性と、画像データ(画
素)の位置情報、例えば、画像の中心からの座標位置
(中心の画素から何画素目か)とを用いて、歪曲収差、
倍率色収差の補正および周辺光量低下の補正、ならびに
電子変倍処理を行う。なお、この座標は、例えば、x−
y座標でも極座標でもよく、画像(画素)の位置が相対
的に検出できれば、各種の位置情報が利用可能である。
従って、レンズ種判別部74がシャープネス処理を強く
かけることは不要と判断した画像については、撮影レン
ズに起因する画質劣化はないものとして、収差補正部7
2では電子変倍処理のみが行なわれる。また、シャープ
ネス処理を強くかける必要があると判定した場合でも、
レンズ特性が記憶されていない場合には電子変倍処理の
みが行なわれる。
【0042】ここで、レンズ特性と画像の位置情報(以
下、画素位置とする)とを用いた倍率色収差および歪曲
収差の補正を別々に行うと、演算に時間がかかり、ま
た、補間演算も複数回行う必要が生じるため、画質が劣
化するという問題がある。そのため、好ましくは、R、
GおよびBの3原色の基準となる色、通常はGを基準と
して、RおよびBの像倍率を変換して、RおよびBの画
像をG画像に合わせることで倍率色収差を補正し、その
後、G画像の歪曲収差を補正して、画像の歪曲収差およ
び倍率色収差を補正する。これにより、各画素の適正位
置を算出し、これを用いて、各画素の画像データを補間
演算することによって、フィルムに撮影された画像の倍
率色収差および歪曲収差を補正した画像データを得るこ
とができる。従って、歪曲収差についてはG画像に対す
る演算のみを行えばよいので、演算量や補間演算を減ら
して、より好適な倍率色収差および歪曲収差の補正を行
うことができる。
【0043】また、画像処理装置では、通常、画像デー
タ処理による画像の拡大もしくは縮小、すなわち、電子
変倍処理を行って、画像(画像データ)を出力画像に応
じたサイズにして出力する。この電子変倍処理は、通
常、画像データを補間演算することにより行われる。と
ころが、前記倍率色収差および歪曲収差の補正でも補間
演算が必要であるため、結果的に、2回の補間が行われ
る結果となり、画質が劣化してしまう場合もある。
【0044】そのため、より好ましくは、前記レンズ特
性と画像データの画素位置とを用いて、倍率色収差に起
因する基準色(G)に対するRおよびBの画素位置のず
れ量と、歪曲収差に起因する基準色の画素位置のずれ量
とから、各画素毎の適正位置を算出し、算出された各画
素の適正位置の情報を用いて、各画素の画像データを補
間して画像の電子変倍処理を行う。言い換えれば、倍率
色収差および歪曲収差による画素位置のずれ量を算出す
ることにより、各画素が本来どの位置にあるべきである
かを検出し、この適正な位置に応じて画像データの補間
演算を行って電子変倍処理を行う。これにより、1回の
補間演算で、歪曲収差および倍率色収差の補正と、電子
変倍処理とを行うことができる。
【0045】図示例の収差補正部72は、上記処理方法
を実施する部位であり、図4の概念図に示されるよう
に、座標変換処理部72Aと、拡大縮小処理部72Bと
を有する。なお、図4において、ir,igおよびib
は、それぞれMTXから供給された画像データ(入力画
像データ)の画素位置(アドレス)を; Ir,Igお
よびIbは、倍率色収差および歪曲収差が補正された画
像データの画素位置を;ΔrおよびΔbは、それぞれ倍
率色収差によるGの画素位置に対するRおよびBの画素
位置のずれ量(すなわち補正量)を; Dは、歪曲収差
によるGの画素位置のずれ量を; それぞれ示す。
【0046】収差補正部72においては、MTXから画
像データが供給されると、座標変換処理部72Aにおい
て、レンズ種判別部74から供給されたレンズ特性を用
いて、RおよびBの画像データの各画素位置irおよび
ibにおける、Gの画像データigに対する倍率色収差
によるずれ量ΔrおよびΔbを算出し、さらに、Gの入
力画像データigの歪曲収差によるずれ量Dを算出す
る。
【0047】次いで、Rの入力画像データの各画素位置
irに前記ΔrとDを加えて、倍率色収差および歪曲収
差を補正されたRの画像データの画素位置Irを算出
し、Bの入力画像データの各画素位置ibに前記Δbと
Dを加えて、倍率色収差および歪曲収差を補正されたB
の画像データの画素位置Ibを算出し、Gの入力画像デ
ータの各画素位置igに前記Dを加えて、倍率色収差お
よび歪曲収差を補正されたBの画像データの画素位置I
bを算出する。すなわち、この計算では、G画像を基準
として、R画像およびB画像の倍率色収差を補正して、
全画像をG画像に位置合わせして、G画像の歪曲収差に
よるずれ量Dを用いて、全体の歪曲収差を補正して、
R,GおよびBの各画像の倍率色収差および歪曲収差を
補正された画素位置を算出している。
【0048】次いで、拡大縮小処理部72Bにおいて、
この倍率色収差および歪曲収差を補正された画素位置I
r,IgおよびIbを用いて、拡大/縮小倍率に応じた
画像データの補間処理(N倍補間)を行うことにより画
像の変倍を行い、倍率色収差および歪曲収差が補正さ
れ、かつ電子変倍処理が行われた画像データとして、ブ
ロック68Aに出力する。電子変倍処理の方法には特に
限定はなく、公知の方法が各種利用可能であり、例え
ば、バイリニア補間を用いる方法、スプライン補間を用
いる方法等が例示される。
【0049】なお、歪曲収差の補正を行なうと、再現領
域の画像が無くなる、いわゆるケラレを生じる場合があ
るので、歪曲収差の補正を行う場合には、通常よりも
0.1%〜5%程度高い変倍率で電子変倍処理(補間)
を行うのが好ましい。また、その際の電子変倍率は、レ
ンズ種に応じて各種設定してもよい。また、歪曲収差の
量は、画像の縦と横で異なる場合があるので、それに応
じて、縦と横で電子変倍処理の変倍率を変えてもよい。
【0050】図示例の装置においては、好ましい態様と
して、歪曲収差および倍率色収差の両者を補正している
が、いずれか一方のみを行なってもよい。この場合に
も、収差補正と電子変倍処理とを別々に行なうのではな
く、前述の方法と同様に、収差に起因するずれ量を補正
した適正位置を算出し、この適正位置の情報を用いて画
像データの補間を行って電子変倍処理を行うのが好まし
い。さらに、歪曲収差や倍率色収差のみならず、レンズ
に起因する周辺光量低下やピントボケ(PSF:Point S
pread Function)の特性も記憶しておき、前記収差補正
に加え、ピントボケ補正や周辺光量補正も行うようにし
てもよい。
【0051】画像処理部64のMTX、および収差補正
部72で処理された画像データは、次いで、ブロック6
4Aおよび68Aで処理される。
【0052】ブロック64Aおよび68Aは、シャープ
ネス処理に加え、覆い焼き処理(中間階調を維持した画
像ダイナミックレンジの圧縮)、文字や画像の合成等
の、前述の各種の処理以外の各種の画像処理を行なう部
位である。なお、プレスキャン処理部58にはブロック
64Aは無くてもよく、また、ブロック64Aではシャ
ープネス処理も行なわなくてもよい。以下の説明では、
シャープネス処理は、ブロック68Aのみで行なう。こ
こで、本発明にかかる処理装置14においては、前述の
ように、レンズ種判別部74による指示に応じて、特定
のレンズ種で撮影された画像には、ブロック68A(あ
るいはさらにブロック64A)でのシャープネス処理
を、通常よりも強くかける。
【0053】図5に、ブロック68Aにおいてシャープ
ネス処理を行う処理手段の一例のプロック図を示す。同
図に示されるように、(シャープネス)処理手段90
は、第1ローパスフィルタ(以下、LPFという)92
と、第1減算器94と、輝度算出手段96と、第2LP
F98と、第2減算器100と、第1アンプ102と、
第2アンプ104と、第1加算器106と、第2加算器
108とを有する。
【0054】処理手段90においては、所定の処理を終
えて入力された画像データ(以下、原信号という)SF
(R,G,B)を第1LPF92で処理して、原信号S
F (R,G,B)の低周波数成分RL ,GL ,BL を抽
出する。第1LPF92は、例えば、9×9のLPFで
ある。一方、第1減算器94は、原信号SF からこの低
周波数成分RL ,GL ,BLを減算して、中間・高周波
数成分RMH,GMH,BMHを抽出する。ここで、抽出され
た後の低周波数成分RL 、GL 、BL は、光学的に撮影
されたカラー画像中のエッジや細かいテクスチャやフィ
ルムの粒状によるザラツキを含まないものである。一
方、中間周波数成分RM 、GM 、BM はフィルム粒状に
よるザラツキを含むものであり、高周波数成分RH 、G
H 、BH は、カラー画像中のエッジや細かいテクスチャ
アを含むものである。
【0055】次いで、輝度算出手段96において、第1
減算器94によって得られた中間・高周波数成分RMH
MH,BMHから輝度成分が抽出される。この輝度成分
は、原信号SF の中間・高周波数成分RMH,GMH,BMH
をYIQ規定に変換した際の輝度(中間・高周波数)成
分YMHで、例えば、下記式によって算出される。 YMH=0.3R+0.59G+0.11B IMH=QMH=0 ここで、色成分である成分IMHおよび成分QMHは一般の
被写体を写した画像の場合は殆ど成分を持たないことが
経験的にわかっている。従って、成分IMHおよび成分Q
MHは、フィルム粒状に起因する色のザラツキとみなして
0とおくことにより、ザラツキを抑制した良好な再生画
像を得ることができる。
【0056】次いで、輝度成分YMHに対して、第2LP
F98によってフィルタリング処理を施して、輝度成分
MHの中間周波数成分YM を得る。第2LPF98は、
例えば、5×5のLPFである。さらに、第2減算器1
00において、輝度成分YMHから中間周波数成分YM
減算することにより輝度成分YMHの高周波数成分YH
得る。第2LPF98で得られた中間周波数成分Y
M に、第1アンプ102において中間周波数成分YM
対するシャープネスゲインであるゲインM(gainM)
を、他方、減算によって得られた高周波数成分YH に、
第2アンプ104において高周波数成分YH に対するシ
ャープネスゲインであるゲインH(gainH)を、それぞ
れ乗算し、処理済成分Y′M ,Y′H を得る。ここで、
処理手段90においては、シャープネス強調処理を行う
時、フィルム粒状によるザラツキを目立たせることな
く、画像中のエッジや細かいテクスチャアを強調できる
ように、粒状を抑制するためにフィルム粒状によるザラ
ツキを含む中間周波数成分RM 、GM 、BM (輝度成分
M )をあまり強調し過ぎないようにゲインMを設定
し、画像中のエッジや細かいテクスチャアを含む高周波
数成分RH 、GH 、BH (輝度成分YH )を強調するよ
うにゲインHを設定しておくのが好ましい。こうするこ
とにより、処理手段90において粒状抑制シャープネス
強調処理を行うことができる。
【0057】第1アンプ102および第2アンプ104
で得られた処理済成分Y′M およびY′H は、第1加算
器108で合成され、処理済輝度成分Y′MHが得られ
る。さらに、第2加算器108において、このようにし
て得られた処理済輝度成分Y′MHを前述した原信号SF
の低周波数成分RL ,GL ,BL と合成して、シャープ
ネス処理された画像データR′,G′,B′が得られ
る。この際、前述した成分IMHおよびQMHの値は0とさ
れているため、処理された輝度成分Y′MHを逆変換して
RGBのデータに対応させると、RGB3つのデータは
全て成分YMH’と同一の値となるので、処理された輝度
成分YMH’を逆変換しないで合成することにより処理を
簡便なものすることがとできる。
【0058】ここで、本発明は、前述のように、レンズ
種判別部74で判別される特定のレンズ種によって撮影
された画像は、通常のシャープネス強調処理、好ましく
は粒状抑制シャープネス強調処理よりもシャープネス処
理を強くかけるものであり、図示例においては、第2ア
ンプ104で乗算するゲインHを通常の設定値よりさら
に大きくすることにより、すなわち高周波数成分をより
強調することにより、シャープネス処理を強くかけるも
のである。この例では、高周波数成分のゲインHを大き
くすることによりシャープネス強調処理の強度を大きく
するので、高周波数成分のゲインHをシャープネス強調
処理の強度とすることができる。
【0059】処理手段90においては、フィルム種やプ
リントサイズ等に応じた好適なゲインMおよびゲインH
が、デフォルトとして設定されている。例えば、一眼レ
フカメラ等の特定のレンズ種に指定されていないレンズ
を有するカメラで撮影されたフィルムから2Lサイズの
プリントを作成する場合には、デフォルトとして、例え
ばゲインMにはデジタル値10(例えば、ゲイン1.2
5に相当)が、ゲインHにはデジタル値28(例えば、
ゲイン3.50に相当)が、それぞれ設定されており、
処理手段90は、通常は、これらのシャープネスゲイン
を用いて、シャープネス処理を行なう。これに対し、例
えば、LFで撮影されたフィルム等、特定のレンズ種で
撮影された、レンズ種判別部74がシャープネス処理を
強くかけることを指示した画像には、処理手段90は、
デフォルトよりも大きなゲインH、例えば、前述の例で
あれば、ゲインHをデジタル値32(例えば、ゲイン
4.50に相当)として、高強度のシャープネス処理を
行なう。
【0060】本発明において、シャープネス処理を通常
よりも強くかける方法は、上記方法に限定はされず、利
用するシャープネス処理の方法に応じた、各種の方法が
利用可能である。シャープネス処理を強くかける場合に
おける、シャープネス強度となるゲインHやゲインM等
のシャープネス処理条件は、レンズ種に係わらず一律で
あってもよいが、レンズ種のレンズ特性に応じて、それ
ぞれに最適な条件を設定してもよい。
【0061】また、上述した例では、高強度のシャープ
ネス処理を行なう際に、シャープネス強調処理の強度、
すなわち高周波数成分のゲインHを1コマの画像全体で
一律に変更しているが、本発明はこれに限定されず、1
コマの画像を複数の領域に分割して、その分割された領
域内の画像毎に変更してもよい。1コマの画像の複数の
領域への分割の仕方は、特に制限的ではなく、どのよう
に分割してもよいし、分割された領域の大きさや形状
も、特に制限的ではなく、どのような大きさ、形状であ
ってもよい。例えば、1コマの画像を、複数の矩形、具
体的には第1象限当たり、20×20の矩形領域に分割
してもよいし、画像の中心を中心とする同心円によって
中心円および複数の平板状円環(リング)に分割しても
よいし、1画素単位に分割してもよいし、画像中の主要
被写体を含む1つまたは2つ以上の領域と含まないいく
つかの領域に分割してもよいし、主要被写体領域とそれ
以外の領域に分割してもよい。もちろん、残りのシャー
プネス処理条件の1つである中周波数成分のゲインM
も、分割された領域内の画像毎に変更してもよい。な
お、この場合には、分割された各領域でのシャープネス
強調処理の強度(ゲインH)や条件(ゲインM)が異な
るので、各領域の境界における繋がりを滑らかにするた
めに、隣接する領域のシャープネス強度(ゲインH)や
条件(ゲインM)をその変化が滑らかになるように設定
するのが好ましい。
【0062】この時、レンズ特性に起因するピントのズ
レ、従って、撮影された画像のボケ(PSF)は、歪曲
収差や倍率色収差などの収差や周辺光量低下などの画質
劣化と同様に、画像の中心からの距離に応じて大きくな
る傾向にある。このため、この画像のボケ特性を歪曲収
差や倍率色収差などの収差の特性や周辺光量の特性の情
報とともに、レンズ種判別部74に、各種のレンズ種に
応じたレンズ特性の情報として記憶させておき、処理手
段90が本発明のシャープネス強調処理を行う場合に、
判別されたレンズ種に応じた画像のボケ特性の情報をメ
モリから読み出し、分割された各領域の位置とボケの大
きさから分割された領域毎のシャープネス強度(ゲイン
H)や条件(ゲインM)を決定してもよい。こうするこ
とにより、たとえ、収差補正部72においてPSF補正
を行わなくても、レンズに起因する画像のボケをその度
合いに応じて適切に補正することができるので、画像の
ボケのない、もしくは極めて少ない高画質画像を再生す
ることができる。この場合には、1コマの画像を、複数
の矩形、例えば第1象限あたり20×20の矩形領域に
分割したり、画像の中心を中心とする同心円によって中
心円および複数の平板状円環(リング)に分割するのが
好ましい。なお、1コマの画像を、複数の矩形領域に分
割する場合には、対称性を利用して1コマの画像全体の
1/4の領域のみにある各単位矩形領域、例えば40×
40の単位矩形領域に分割する場合には第一象限の20
×20の単位矩形領域のシャープネス強度(ゲインH)
や条件(ゲインM)を決定すればよい。
【0063】また、上述した例では、高強度のシャープ
ネス処理を行なう際に、シャープネス強度(ゲインH)
を3原色の画像データ、例えばRGB画像データで一律
に変更しているが、本発明はこれに限定されず、RGB
画像データ毎に独立に変更してもよい。もちろん、もち
ろん、残りのシャープネス処理条件(ゲインM)も、R
GB画像データ毎に独立に変更してもよい。シャープネ
ス強度(ゲインH)や条件(ゲインM)をRGB画像デ
ータ毎に独立に変更する場合には、例えば上述した図5
に示すシャープネス処理回路90をRGB毎に備え、ゲ
インHを、それぞれゲインHR、ゲインHGおよびゲイ
ンHBとして、ゲインMを、それぞれゲインMR、ゲイ
ンMGおよびゲインMBとして、RGB毎のシャープネ
ス処理回路の第1および第2アンプ(102、104に
相当)に独立に設定すればよい。
【0064】そうして、中間・高周波数成分RMH
MH,BMHから輝度成分YMHを求めるのではなく、それ
ぞれに第2LPF98によるフィルタリング処理を施し
中間周波数成分RM 、GM 、BM を求め、次いで、中間
・高周波数成分RMH,GMH,BMHからそれぞれ中間周波
数成分RM 、GM 、BM を減算して、高周波数成分
H ,GH ,BH を求める。この後、得られた中間周波
数成分RM 、GM 、BM にそれぞれゲインMR、ゲイン
MG、ゲインMBを乗算して、処理済中間周波数成分R
M ' 、GM ' 、BM ' を求め、得られた高周波数成分R
H ,GH ,BH にそれぞれゲインHR、ゲインHG、ゲ
インHBを乗算して、処理済高周波数成分RH ’、
H ’、BH ’を求める。こうして得られた処理済中間
周波数成分RM ' 、GM ' 、BM ' と処理済高周波数成
分RH ’、GH ’、BH ’とをそれぞれ加算し、処理済
輝度成分Y′MHの代わりに、中間・高周波数成分
MH’,GMH’,BMH’を求め、それぞれ低周波数成分
L ,GL ,BL と合成して、シャープネス処理された
画像データR′,G′,B′を得ることができる。
【0065】このように、シャープネス強度(ゲイン
H)や条件(ゲインM)をRGB画像データ毎に独立に
変更する場合に、RGB画像データ毎に全く独立に変更
してもよいが、3原色RGBに対するレンズ特性や人の
目の視感度特性等を考慮して、以下の2つの方法を行う
のが好ましい。第1の方法は、Gについてはデフォルト
強度とし、RおよびBについてはデフォルト強度より大
きい強度とする方法(G<R=B)である。これは、通
常、RとBとはGに比べて、ピントがあっておらず、シ
ャープネスが劣るからである。一方、第2の方法は、G
およびBについてはデフォルト強度とし、Rのみについ
てはデフォルト強度より大きい強度とする方法(G=B
<R)である。これは、人の目の視感度特性は、G>R
>Bであり、Gに比べてピントがあっておらず、シャー
プネスが劣るRとBのうち、Bは人の目には目立たない
からである。これらの方法を用いることにより、全体の
処理量を減らすことができる。
【0066】上述した例では、シャープネス強調の強度
を変更する際に、高周波数成分のゲインや中周波数成分
のゲインをRGB画像データに一律に、またはそれぞれ
に独立に変更しているが、本発明はこれに限定されず、
どのような方法で行ってもよい。例えば、それぞれのゲ
インは、変更せずに、高・中・低周波数成分に分解する
周波数領域(周波数帯)を変更してもよい。また、シャ
ープネス強調処理の方法自体を変更してもよく、その強
度の変更を行うようにしてもよい。例えば、アンープマ
スキングによるシャープネス強調処理の場合には、強調
係数を変更するようにすればよい。
【0067】また、上述した例では、レンズ種に応じて
シャープネス強調処理の強度を変更しているが、そのレ
ンズを備えたカメラで撮影されるフィルムが高感度であ
る場合には、シャープネスの強度を強くするとフィルム
の粒状も強調され、再生された画像にザラツキが目立つ
ようになる恐れもある。このため、シャープネスの強度
は、レンズ種に応じてのみならず、フィルム種によって
も変更してもよい。例えば、高感度フィルムの場合に
は、シャープネスの強度(ゲインH)を大きくする割合
を下げたり、限度を設けたり、さらには粒状を多く含む
中周波数成分のゲインMをデフォルトより下げたりし
て、粒状抑制を強くするのが好ましい。こうすることに
より、コンパクトカメラやLFのような特定のレンズで
高感度フィルムに撮影された画像であっても、粒状の荒
れや画像のボケの少ない高画質画像が再生された高品質
なプリントを得ることができる。ここで、LFのよう
に、レンズ種とフィルム種とが1対1に対応している場
合には、フィルム種はレンズ種から判別すればよい。ま
た、フィルム種は、一般的にフィルムに光学的に記録さ
れている情報、例えばDXコードや拡張DXコードなど
の情報や、さらにAPSフィルムの場合は磁気的に記録
されている情報を読み取ることによって、判別すること
ができるので、これらを利用すればよい。
【0068】また、図示例においては、収差補正を行な
った後にシャープネス処理を行なっているが、本発明は
これに限定はされず、シャープネス処理を行なった後に
収差補正を行なってもよい。ただし、画質的には、図示
例のように、収差補正を行なった後に、シャープネス処
理を行なった方が有利である。なお、本発明において
は、収差補正は必ずしも必要ではなく、特定のレンズ種
で撮影された画像に、シャープネス処理を強くかけるの
みであってもよい。
【0069】画像処理部64および68で処理された画
像データは、データ変換部66および70に送られる。
プレスキャン処理部58のデータ変換部66は、画像処
理部64によって処理された画像データを、3D(三次
元)−LUT等を用いて変換して、ディスプレイ20に
よる表示に対応する画像データにする。なお、必要に応
じて、このデータ変換部66で電子変倍処理を行なって
もよい。他方、本スキャン処理部60のデータ変換部7
0は、同様に、画像処理部68によって処理された画像
データを3D−LUTを用いて変換し、プリンタ16に
よる画像記録に対応する画像データとしてプリンタ16
に供給する。
【0070】プレスキャン処理部58および本スキャン
処理部60による各種の画像処理条件は、条件設定部6
2によって設定される。この条件設定部62は、セット
アップ部72、キー補正部78およびパラメータ統合部
80を有する。
【0071】セットアップ部76は、プレスキャンデー
タを用いて、本スキャンの読取条件を設定すると共に、
施す画像処理を選択して、画像処理部64および68や
データ変換部66および70における画像処理条件を設
定し、パラメータ統合部80に供給する。具体的には、
セットアップ部76は、プレスキャンデータから、濃度
ヒストグラムの作成や、平均濃度、ハイライト(最低濃
度)、シャドー(最高濃度)等の画像特徴量の算出等を
行い、加えて、必要に応じて行われるオペレータによる
指示に応じて、本スキャンの読み取り条件を設定し、ま
た、前述のグレイバランス調整等を行なうLUTや彩度
調整を行うマトリクス演算式の作成等の画像処理条件を
決定する。
【0072】キー補正部78は、キーボード18a等に
よる、明るさ、色、階調、彩度等の補正指示に応じて、
画像の補正量を算出して、パラメータ統合部80に供給
するものである。パラメータ統合部80は、セットアッ
プ部76が設定した画像処理条件を受け取り、供給され
た画像処理条件をプレスキャン処理部58の画像処理部
64および本スキャン処理部60の画像処理部68に設
定し、さらに、キー補正部78で算出された補正量に応
じて、この補正を行なうLUT等を作成して所定の部位
に設定し、また、各部位に設定した画像処理条件を補正
する。
【0073】以下、スキャナ12および処理装置14の
作用を説明する。オペレータがフィルムFに対応するキ
ャリア30をスキャナ12に装填し、キャリア30の所
定位置にフィルムF(カートリッジ)をセットし、作成
するプリントサイズ等の必要な指示を入力した後に、プ
リント作成開始を指示する。
【0074】前記プリント開始の指示により、スキャナ
12の可変絞り24の絞り値やイメージセンサ(ライン
CCDセンサ)34の蓄積時間がプレスキャンの読取条
件に応じて設定され、その後、キャリア30がフィルム
Fをプレスキャンに応じた速度で副走査方向に搬送し
て、プレスキャンが開始され、前述のように所定の読取
位置において、フィルムFがスリット走査されて投影光
がイメージセンサ34に結像して、フィルムFに撮影さ
れた画像がR,GおよびBに分解されて光電的に読み取
られる。
【0075】また、このフィルムFの搬送の際に、キャ
リア30の磁気ヘッド42によってフィルムFに磁気記
録された情報が読み取られ、また、センサ44によって
DXコード等の各種の情報が読まれ、必要な情報が処理
装置14等の所定の部位に送られ、例えば、処理装置1
4のレンズ種判別部74が判別情報を得る。なお、判別
情報は、オペレータによる入力等、各種の方法で提供さ
れてもよいのは、前述のとおりである。
【0076】本発明においては、プレスキャンおよび本
スキャンは、1コマずつ行ってもよく、全コマあるいは
所定の複数コマずつ、連続的にプレスキャンおよび本ス
キャンを行ってもよい。以下の例では、説明を簡潔にす
るために、1コマの画像読取を例に説明を行う。
【0077】プレスキャンによるイメージセンサ34の
出力信号は、アンプ36で増幅されて、A/D変換器3
8に送られ、デジタル信号とされ、処理装置14に送ら
れ、データ処理部50でデータ処理を施され、Log変
換器52でデジタル画像データであるプレスキャンデー
タとされ、プレスキャンメモリ54に記憶される。
【0078】プレスキャンメモリ54にプレスキャンデ
ータが記憶されると、条件設定部62のセットアップ部
76がこれを読み出し、濃度ヒストグラムの作成、ハイ
ライトやシャドー等の画像特徴量の算出等を行い、本ス
キャンの読取条件を設定してスキャナ12に供給し、ま
た、階調調整等の各種の画像処理条件を設定し、パラメ
ータ統合部80に供給する。パラメータ統合部76は、
供給された画像処理条件を、プレスキャン処理部56お
よび本スキャン処理部58の所定部位(ハードウエア)
に設定する。
【0079】検定を行う場合には、プレスキャン処理部
62によってプレスキャンデータがプレスキャンメモリ
54から読み出され、画像処理部64おいて設定された
画像処理条件で画像処理されさらに、データ変換部66
で変換され、シュミレーション画像としてディスプレイ
20に表示される。オペレータは、ディスプレイ20の
表示を見て、画像すなわち処理結果の確認(検定)を行
い、必要に応じて、キーボード18aに設定された調整
キー等を用いて色、濃度、階調等を補正する。この調整
の入力は、キー補正部78に送られ、キー補正部78は
補正入力に応じた補正量を算出し、これをパラメータ統
合部76に送る。パラメータ統合部76は、この補正量
に応じて、これを実行するための補正条件を設定し、ま
た、先に設定した画像処理条件の補正等を行う。従っ
て、この補正すなわちオペレータによる調整入力に応じ
て、ディスプレイ20に表示される画像も変化する。
【0080】オペレータは、このコマの画像が適正(検
定OK)であると判定すると、キーボード18a等を用
いてプリント開始を指示する。これにより、画像処理条
件が確定し、スキャナ12において可変絞り24の絞り
値等が設定された本スキャンの読取条件に応じて設定さ
れると共に、キャリア30が本スキャンに対応する速度
でフィルムFを搬送し、本スキャンが開始される。な
お、検定を行わない場合には、パラメータ統合部80に
よる本スキャン処理部60の画像処理部68への画像処
理条件の設定を終了した時点で画像処理条件が確定し、
本スキャンが開始される。このような検定の有無は、モ
ードとして選択可能にするのが好ましい。
【0081】本スキャンは、可変絞り24の絞り値等の
読取条件が設定された本スキャンの読取条件となる以外
はプレスキャンと同様に行われ、イメージセンサ34か
らの出力信号はアンプ36で増幅されて、A/D変換器
38でデジタル信号とされ、処理装置14のデータ処理
部50で処理されて、Log変換器52で本スキャンデ
ータとされ、本スキャンメモリ56に送られる。本スキ
ャンデータが本スキャンメモリ54に送られると、本ス
キャン処理部60によって読み出され、画像処理部68
のLUTおよびMTXで階調調整や彩度調整が施され、
次いで、収差補正部72に送られる。
【0082】一方、レンズ種判別部74は、取得した判
別情報からレンズ種を判別し、その画像が特定のレンズ
種で撮影された、シャープネス処理を強くかけ、かつ収
差補正を行なう必要がある画像か否かを判定し、必要と
判定した場合には、その旨の指示をブロック68Aおよ
び収差補正部72に送り、また、そのレンズ種のレンズ
特性を読み出し、これを収差補正部72に送る。
【0083】収差補正部72は、レンズ特性と画像デー
タの画素位置とから、前述のようにして、座標変換処理
部72Aにおいて、倍率色収差および歪曲収差を補正し
た画素位置Ir,IgおよびIbを算出して、拡大縮小
処理部72Bにおくる。拡大縮小処理部72Bでは、画
素位置Ir,IgおよびIbを用いて、画像データのN
倍補間を行って画像の電子変倍を行い、収差補正および
電子変倍処理を施された画像データとしてブロック68
Aに出力する。なお、レンズ種判別部74が、シャープ
ネス処理を強くかける必要がないと判断した画像は、座
標変換処理部72Aでは何の処理も行われず、拡大縮小
処理部72Bで電子変倍処理のみが行われる。
【0084】画像データは、さらに、ブロック68Aに
おいてシャープネス処理や覆い焼き処理等の必要な画像
処理を施され、データ変換部70に送られる。ここで、
レンズ種判別部74からシャープネス処理を強くかける
ことを指示された画像は、前述のように、ブロック68
Aにおいてシャープネス処理を行なう処理装置90にお
いて、高周波数成分に乗算するシャープネスゲインであ
るゲインHを、デフォルト(例えば、デジタル値28)
よりも高くして(例えば、デジタル値32)、シャープ
ネス処理を強くかける。
【0085】画像データは、次いで、画像データ変換部
70においてプリンタ16による画像記録に応じた画像
データに変換され、プリンタ16に送られる。
【0086】プリンタ16は、感光材料(印画紙)を画
像データに応じて露光して潜像を記録し、感光材料に応
じた現像処理を施して(仕上り)プリントとして出力す
るものである。例えば、感光材料をプリントに応じた所
定長に切断した後に、バックプリントの記録、感光材料
(印画紙)の分光感度特性に応じた、赤(R)露光、緑
(G)露光および青(B)露光Gの3種の光ビームを画
像データ(記録画像)に応じて変調すると共に、主走査
方向に偏向し、主走査方向と直交する副走査方向に感光
材料を搬送することによる潜像の記録等を行い、潜像を
記録した感光材料に、発色現像、漂白定着、水洗等の所
定の湿式現像処理を行い、乾燥してプリントとした後
に、仕分けして集積する。
【0087】以上、本発明の画像処理方法および画像処
理装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施例
に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲におい
て、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろん
である。
【0088】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、レンズ付きフィルムや安価なコンパクトカメラ
やデジタルカメラ等で撮影された画像であっても、高画
質な画像が再生された高品質のプリントを出力すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像処理装置を利用するデジタルフ
ォトプリンタの一例のブロック図である。
【図2】 (A)は、図1に示されるデジタルフォトプ
リンタのキャリアの概念図を、(B)は、図1に示され
るデジタルフォトプリンタのイメージセンサの概念図
を、それぞれ示す。
【図3】 図1に示されるデジタルフォトプリンタの画
像処理装置の一例のブロック図である。
【図4】 図3に示される画像処理装置の収差補正部の
概念図である。
【図5】 図3に示される画像処理装置においてシャー
プネスを行なう処理手段のブロック図である。
【図6】 (A)、(B)、(C)および(D)は、そ
れぞれ本発明の画像処理装置において利用されるレンズ
情報がコードとして記録されたフィルムの一例の平面図
である。
【符号の説明】
10 (デジタル)フォトプリンタ 12 スキャナ 14 (画像)処理装置 16 プリンタ 18 操作系 18a キーボード 18b マウス 20 ディスプレイ 22 光源 24 可変絞り 25 画像記録媒体 26 記録媒体駆動装置 28 拡散ボックス 30 キャリア 32 結像レンズユニット 34 イメージセンサ 36 アンプ 38 A/D変換器 40 マスク 42 磁気ヘッド 44 センサ 46 ノッチマーク 48 凹凸 50 データ処理部 52 Log変換器 54 プレスキャン(フレーム)メモリ 56 本スキャン(フレーム)メモリ 58 プレスキャン処理部 60 本スキャン処理部 62 条件設定部 64,68 画像処理部 66,70 データ変換部 72 収差補正部 72A 座標変換処理部 72B 拡大縮小処理部 74 レンズ種判別部 76 セットアップ部 78 キー補正部 80 パラメータ統合部 90 処理手段 92 第1LPF 94 第1減算器 96 輝度算出手段 98 第2LPF 100 第2減算器 102 第1アンプ 104 第2アンプ 106 第1加算器 108 第2加算器

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光学的に撮影された画像から画像データを
    得、少なくとも鮮鋭度強調処理を施して出力画像用の画
    像データとする画像処理方法であって、前記画像を撮影
    したレンズの情報を得てレンズ種を判別して、レンズ種
    に応じて、対応する画像の前記鮮鋭度強調処理の強度を
    変更することを特徴とする画像処理方法。
  2. 【請求項2】前記鮮鋭度強調処理の強度を変更するレン
    ズ種の画像には、レンズ特性に起因する画質劣化の補正
    も行なう請求項1に記載の画像処理方法。
  3. 【請求項3】前記レンズ特性に起因する画質劣化の補正
    は、前記レンズ特性に起因する歪曲収差補正、倍率色収
    差補正および周辺光量補正の少なくとも1つである請求
    項2に記載の画像処理方法。
  4. 【請求項4】前記鮮鋭度強調処理の強度は、1コマの画
    像全体で一律に変更される、もしくは前記1コマの画像
    を複数の画像に分割し、その分割された画像領域毎に変
    更される請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理方
    法。
  5. 【請求項5】前記鮮鋭度強調処理の強度は、3原色の各
    色毎に独立に、もしくは前記3原色の各色共通に一律に
    変更される請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理方
    法。
  6. 【請求項6】前記鮮鋭度強調処理の強度は、さらにフィ
    ルム種によって変更される請求項1〜5のいずれかに記
    載の画像処理方法。
  7. 【請求項7】光学的に撮影された画像から得られた画像
    データに画像処理を施し、出力画像用の画像データとす
    る画像処理装置であって、 前記画像を撮影したレンズの判別情報を取得し、そのレ
    ンズ種を判別する判別手段と、少なくとも画像の鮮鋭度
    強調処理を行なう画像処理手段とを有し、前記画像処理
    手段は、前記判別手段によるレンズ種の判別結果に応じ
    て、対応する画像の前記鮮鋭度強調処理の強度を変更す
    ることを特徴とする画像処理装置。
  8. 【請求項8】前記画像処理手段は、レンズ種に応じたレ
    ンズ特性を記憶する記憶手段と、対応するレンズ種のレ
    ンズ特性を前記記憶手段から受け取り、画像の位置情報
    とレンズ特性とから画像の画質劣化の補正を行なう画質
    劣化補正手段とを有し、前記鮮鋭度強調処理の強度を変
    更する画像には、この画質劣化補正手段による画質劣化
    の補正も行なう請求項7に記載の画像処理装置。
  9. 【請求項9】前記画質劣化補正手段は、前記レンズ特性
    に起因する歪曲収差補正、倍率色収差補正および周辺光
    量補正の少なくとも1つを補正する請求項8に記載の画
    像処理装置。
  10. 【請求項10】前記画質劣化の補正の後に鮮鋭度強調処
    理を行なう請求項8または9に記載の画像処理装置。
  11. 【請求項11】前記画質劣化補正手段は、レンズ特性に
    よる倍率色収差および歪曲収差、あるいはさらに周辺光
    量を補正するものであり、倍率色収差に起因する3原色
    の基準となる色に対する他の色の画像位置のずれ量を算
    出し、この倍率色収差に起因するずれ量と、歪曲収差に
    起因する前記基準となる色の画像位置のずれ量とを用い
    て、歪曲収差に加え倍率色収差も補正した各画像の適正
    な位置を算出し、前記各画像の適正な位置から画質劣化
    の補正を行い、あるいは前記各画像の適正な位置を用い
    て画質劣化の補正および電子変倍処理を行なう請求項8
    〜10のいずれかに記載の画像処理装置。
  12. 【請求項12】前記画像の鮮鋭度強調処理の強度を変更
    するレンズ種は、レンズ付きフィルムのレンズである請
    求項7〜11のいずれかに記載の画像処理装置。
  13. 【請求項13】前記画像処理手段は、前記鮮鋭度強調処
    理の強度を1コマの画像全体で一律に変更する、もしく
    は前記1コマの画像を複数の画像に分割し、その分割さ
    れた画像領域毎に変更する請求項7〜12のいずれかに
    記載の画像処理装置。
  14. 【請求項14】前記画像処理手段は、前記鮮鋭度強調処
    理の強度を3原色の各色毎に独立に、もしくは前記3原
    色の各色共通に一律に変更する請求項7〜13のいずれ
    かに記載の画像処理装置。
  15. 【請求項15】前記画像処理手段は、前記鮮鋭度強調処
    理の強度を、さらにフィルム種によって変更する請求項
    7〜14のいずれかに記載の画像処理装置。
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