今回比較する「レッドブル」のラインアップ。容量はすべて、1本250mL
「レッドブル」といえば、エナジードリンクのグローバルブランドであり、日本でも「モンスター エナジー」との二大巨頭として君臨しています。フレーバーは、定番の「レッドブル・エナジードリンク」とヘルシーな「レッドブル・エナジードリンク シュガーフリー」を筆頭に、フルーツ系や季節限定などのエクステンション(ブランド内の別ライン)も存在しますが、味わいはそれぞれどう違うのでしょうか。
そこで本稿では、過去の限定も含めたラインアップの計7商品を飲み比べ。それぞれフレーバーの違いに加え、カフェイン量やカロリーなどのスペックもレポートします。
まずは簡単に、「レッドブル」ブランドを解説します。誕生は1987年のオーストリア。そのモチーフとなったのは、タイのエナジードリンク「クラティンデーン(KRATING DAENG)」であり、この「クラティンデーン」とはタイ語で赤い牛のこと。つまり“レッドブル”なのです。
ロゴもそっくりな「クラティンデーン」(公式サイトより)
より具体的には、後に「レッドブル」の生みの親となるオーストリア人が「クラティンデーン」に感銘。その開発者と共同でレッドブル社を設立し、やがて世界的ブランドへと成長していったのです。
左から、定番の「レッドブル・エナジードリンク」と「レッドブル・エナジードリンク シュガーフリー」
ちなみに、実は「クラティンデーン」は日本の「リポビタンD」に着想を得たと言われ、1976年に誕生しています。そう考えると、ちょっとエモーショナルですよね。そして「レッドブル」は2005年の12月に日本上陸し、クラブやバーなどを皮切りに展開。
また、スポーツイベントや音楽フェスなどの会場、さらには街中でのサンプリングも積極的に展開して知名度を高めていきました。この販促については実体験した人も多いでしょう。「レッドブル」の巨大な缶を背負ったサンプリングカーや、“翼をさずける”というキャッチコピーも有名であり、こうした活動を経て若者を中心に浸透して今にいたります。
「レッドブル」のサンプリングカー(公式サイトより)
ここからは、筆者が入手できた「レッドブル」の各商品を深掘りレポートしていきます。まずは大定番の「レッドブル・エナジードリンク」から。言わずもがな、飲み慣れたあの味と言ってしまえばそれまでですが、改めてじっくりチェックします。
「レッドブル・エナジードリンク」の主なスペックは、100mLあたり46kcal、炭水化物10.7g、カフェイン32mg
うんうん、甘さはありながらキレが強く、スッと抜けてベタッとしないドンシャリ感が特徴です。こうした味のキャラクターは、そのほかの多くのフレーバーにも共通して感じました。「オロナミンC」や「デカビタC」に通じる要素もありつつ、あえて果実で例えるなら、ベリーやブラックチェリーほか、パインやメロンといったパンチ強めのミックスフルーツのニュアンスを感じます。
そして、これもブランド共通の特徴ですが、炭酸は強くなく、標準と微炭酸の中間ぐらい。飲もうと思えば、ゴクゴクいけるカジュアルさです
個人的に、この「レッドブル・エナジードリンク」の香りの特徴として感じたのは、駄菓子にありそうなドリンクパウダー的(「シャンペンサイダー」など)フレーバー。もしくは「スキットルズ」のような、舶来ソフトキャンディのような風味。先述した、パンチ強めのミックスフルーツ感は、この風味とも共通していると言えます。
その名のとおり、無糖仕立てになっているのが「レッドブル・エナジードリンク シュガーフリー」。パッケージ上部には「無糖の翼、さずかっちゃう?」と書かれています。
「レッドブル・エナジードリンク シュガーフリー」は100mLあたり0kcal、炭水化物0g(糖類0g)、カフェイン32mg
カロリーも糖類もゼロながら、カフェインはスタンダードな「レッドブル・エナジードリンク」と同じ量。ということで飲んでみると、やはりその甘さには「コカ・コーラ ゼロ」などのゼロ系に通じるビハインドを感じます。具体的には、本家と遜色ない甘さはあってもキレがより鋭く、余韻が超すっきりした感じ。
色はやや薄め。味の方向性、炭酸の強さや香りの要素は定番と同じです
甘さがサっと消えていく感じは、やっぱり無糖っぽい。とはいえ、気づかないしまったく違和感を覚えない人もいるでしょう。また、無糖な分、全体的な味のボリュームはライト。香りもベリーやチェリーの要素は控えめで、パインが前に出てきている気もします。でも繰り返しますが、基本的な世界観は定番と同じです。
「レッドブル」には○○エディションという名称でエクステンションがあり、日本の現行商品で最も長く販売されているのが「レッドブル・エナジードリンク イエローエディション」。トロピカルフルーツフレーバーです。
「レッドブル・エナジードリンク イエローエディション」は100mLあたり47kcal、炭水化物11.0g、カフェイン32mg
飲んだ感想は、トロピカルにはちみつレモンを混ぜたような印象です。そして、個人的にかなり好きな味。定番とは違う方向性ですが、ここにも駄菓子のパウダードリンク的なキッズ感があり、このニュアンスもナイス。ロングセラーにも納得です。
はちみつレモンやホットレモンを想起させる、ぽってりした温かみのある甘酸っぱい柑橘感に思わずニヤリ
別の角度から言及しましょう。トロピカルといえば確かに南国調の温かみはあるのですが、マンゴー、パッションフルーツ、パインのようなわかりやすい果実味がどっしり来るのではなく、いい意味で幼い感じ。香りの強さは普通で、甘さはしっかりめ、酸味はほどほどで、このバランスもいいなと思いました。
カラー系のエディションは過去にも数種発売されていますが、イエローと同様に人気の高い味が「レッドブル・エナジードリンク パープルエディション」。ブドウ系のフルーツ味ですが、日本の巨峰フレーバーを打ち出しているのも見逃せないポイントです。
「レッドブル・エナジードリンク パープルエディション」は100mLあたり47kcal、炭水化物11g、カフェイン32mg
ぶっちゃけちゃいましょう。「ファンタ グレープ」をエナジードリンクにしたらこの味になるだろうなというぐらい、「あっ、これは!」と「ファンタ グレープ」を思い出すはず。ただ、炭酸感やキレの強さはやはり「レッドブル」的で、開発者の意図はわかりませんが、非常に絶妙なオマージュを感じます。
老若男女に愛されそうな、間違いのないおいしさに仕上がっています
本家「ファンタ グレープ」ほどのジューシーさはなく、「レッドブル」らしいキレもあるため、そのあたりが明確な違いと言えます。やはり余韻がサラッとしていて、元気な要素はしっかりあっても、大人な表情が見え隠れ。いい意味でエナジードリンク感が薄いので、「レッドブル」の入門にもいいかもしれません。
ここからは、季節限定エディションを紹介します。まずは2024年の春に発売された「レッドブル・エナジードリンク スプリングエディション」。トロピカルピンクグレープフルーツフレーバーです。
「レッドブル・エナジードリンク スプリングエディション」は100mLあたり45kcal、炭水化物10.7g、カフェイン32mg。限定品のため現在は購入できない可能性あり
名称にグレープフルーツとあるものの、シトラス感以上にトロピカルのほうが前に出てくる印象。果実で言えば、パッションフルーツやグアバが近しく、アッパーな甘酸っぱさがいい感じです。
パッションフルーツのリキュール「パッソア」のグレープフルーツカクテルが好きな人なら、きっとハマる味。筆者もこの味、すごく好きです
ちなみに「トロピカルピンクグレープフルーツってどこが春やねん?」と思いきや、飲んでみると小梅のようなキュートなサワーテイストが見え隠れし、ちゃんと春っぽさも感じます。全体としては比較的にキレがゆるめで、いい意味で幼いフレーバー。こちらもエナジードリンクっぽさは薄いので、入門にもよさそうです。
2024年の夏に発売された「レッドブル・エナジードリンク サマーディション」。こちらは、2021年に数量限定発売し、再販希望の声が多かったライムフレーバーの「レッドブル・エナジードリンク グリーンエディション」のリバイバルです。
「レッドブル・エナジードリンク サマーエディション」は100mLあたり46kcal、炭水化物10.7g、カフェイン32mg。限定品のため現在は購入できない可能性あり
2021年当時話題となったライムフレーバーと同様のレシピを使用し、日本限定用に独自開発されたこちら。ライムのほかにレモンやシトラスの酸味も感じられ、あえてオマージュをあげるなら炭酸飲料の「マウンテンデュー」でしょう!
ライムが持つビターテイストはかなり控えめ。キッズ向けの、カジュアルでライトなライム系エナジードリンクという印象です。そして、液色は最もクリア
甘さは比較的に控えめで、夏らしくライトでクールな表情も。スポーツなど汗をかくシーンにもマッチするはずです。あとは、ホワイトラムをベースに混ぜれば、モヒート的な味わいになる気もします。
記憶では、過去に「レッドブル」の秋向け限定フレーバーは出ていましたが、名称としてのオータムエディションはなかったような。そんなこんなで、次は2024年11月末に発売された「レッドブル・エナジードリンク ウィンターエディション」を飲んでみます。
「レッドブル・エナジードリンク ウィンターエディション」は100mLあたり46kcal、炭水化物10.7g、カフェイン32mg。限定品のため現在は購入できない可能性あり
04でご紹介した「パープルエディション」は「ファンタ グレープ」的でしたが、こちらが「ファンタ オレンジ」かというと、そんなことはありませんでした。その理由は、オレンジではなくみかんモチーフということもありそう。オレンジ以上に温かくまろやかな甘みがあり、確かに和柑橘系な味のニュアンスです。
プレスリリースによると「みかんをメインに、ほかの柑橘風味を加えることで甘味と酸味のバランスが取れた、冬にぴったりの味わい」とのこと
香りはオレンジ味のパウダードリンク的な要素が強く、あとはオレンジ系キャンディのような風味も。また、味わいにはほんのりミルキーというか、乳酸のような面影が。こちらもエナジーエナジーしておらず、やさしいテイストなので、入門や朝の元気注入にも適していると感じました。
今回さまざまな「レッドブル」を飲んでみてわかったのは、味のバリエーョンが豊かということ。定番の「レッドブル・エナジードリンク」や「シュガーフリー」は王道のエナジードリンク味ですが、そのほかのフレーバーはフルーティーなテイストが多く、よりカジュアルに飲める印象。ケミカルな感じが苦手という人でも、とっつきやすいと思います。
そして気になるカフェイン量は、どのフレーバーでも共通の、100mLあたり32mgでした。1缶(250mL)あたりでは80mgの計算になります。
※今回の検証にあたっては、1日のカフェイン摂取量に十分注意しながら飲み比べを行いました
「イエローエディション」と「パープルエディション」は通年販売のエクステンション。ぜひお試しを!
そして、個人的に好みだったのは「イエローエディション」と「スプリングエディション」。後者は限定品ですが、前者は通年化されているので、今後は「イエローエディション」を積極的に選びたいですね。加えて、今後の新たなフレーバーにも期待です!