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選び方・特集

本家「カール」vs「ジェネリックカール」! 一番似てるのは? ウマいのは?

2017年に東日本地域での販売が終了となった、明治の国民的スナック「カール」。ロスに悲しむ難民が出たいっぽうで、コンビニのPB(プライベートブランド)などで近しい味のチーズスナックが生まれ、「ジェネリックカール」として親しまれています。そこで今回は、フードアナリストである筆者が本家「カール(チーズあじ)」と類似品を食べ比べ! それぞれの特徴や違いを明らかにしてみましょう。

「カール」の定番味といえばチーズ。この「カール チーズあじ」と、それに似たスナックを食べ比べます

「カール」の定番味といえばチーズ。この「カール チーズあじ」と、それに似たスナックを食べ比べます

「カール」は日本初のスナック菓子としてデビュー

まずは「カール」の歴史や特徴を解説します。誕生は1968年の7月25日。当時日本にはまだ、スナック菓子という概念がなかったそうです。手本にしたのは、季節を問わず食べられ、小腹を満たせるポップコーン。味はいくつもの試作の結果、子供向けの「チーズがけ」、おつまみとしても食べられる大人向けの「チキンスープ」の2種類でスタートしました。

「カール」の公式サイトより。現在はこの2種類がラインアップ。詳しい歴史も公式サイトで紹介されています

「カール」の公式サイトより。現在はこの2種類がラインアップ。詳しい歴史も公式サイトで紹介されています

ネーミングの由来は、ぷっくり、くるりんとカールした形、また1950年代中頃に流行っていた「カール人形」というフィギュアが参考にされました。原材料は、じゃがいも、エンドウ豆、お米などを試したところ、うまくふくらまなかったり、ふくらみすぎてしまったり。その中で、大量に手に入り、風味豊かで色や形がいいもの、という条件にぴったり合ったのがコーンだったそう。

味付けに関してのこだわりは、たとえばチーズ味は本物のチーズを使うこと。また、できあがったばかりの生地に、味の調味料とスプレーオイルを混ぜたものを霧状にして均一になるように吹きかけているのも特徴。そのため、発売当初は「チーズあじ」ではなく「チーズがけ」という名称でした。かつて人気だったカレー味の「カール」が、「カレー味」ではなく「カレーがけ」だったこともここに関係しています。

ノンフライであることも「カール」の特徴です

ノンフライであることも「カール」の特徴です

「それにつけてもおやつはカール」のキャッチコピーで愛された「カール」。筆者をはじめ、誰もが永遠に残る名作だと思っていたことでしょう。しかし……それは突然のニュースでした。2017年5月25日に、同年8月生産分をもって「カールチーズあじ」と「カールうすあじ」は西日本地域のみの販売になることが発表されたのです。たとえるならそれはBUMP OF CHICKEN「supernova」の一節。「本当の大事さは居なくなってから知るんだ」ってやつです。

とはいえ、カールが消えたのは東日本地域のみ。今回はネット通販を駆使して「カールチーズあじ」を入手しました。ここからは、類似商品との違いを食べ比べて明らかにしていきます。

さすがの本家「カール」は飽きないおいしさが光る

まずは改めて本家の「カール チーズあじ」を深掘り。味の決め手はサクサクとした食感の生地と、深いうまみ。チーズは6種類を採用して絶妙にブレンドし、生地にもチーズを練り込むことでコク深い味に仕上げています。

1袋64gあたり324kcal

1袋64gあたり324kcal

本稿で比較の重要なポイントと目を付けたのが、チーズの種類。ただし「カール チーズあじ」にはチェダーやゴーダといった名称が載っておらず、ベールに包まれているのが悩ましいところです。表面のイラストを見た限り、カマンベールなどの白カビ、ゴルゴンゾーラなどの青カビ、チェダーなどのオレンジ系が描かれていますが、あくまでイメージかもしれませんし詳細はわかりません。

チーズのイラストを見る限りでは、きわめてバラエティに富んだリッチなセレクト。しかもケロ太(おじさんの隣にいるカエル)はカールではなくエメンタールっぽい穴あきのチーズを食べています。なんと贅沢な!

チーズのイラストを見る限りでは、きわめてバラエティに富んだリッチなセレクト。しかもケロ太(おじさんの隣にいるカエル)はカールではなくエメンタールっぽい穴あきのチーズを食べています。なんと贅沢な!

とはいえ6種類も使うということは、目指したい確固たるチーズ風味があるということでしょう。そして、それが国民的チーズスナック「カール チーズあじ」のおいしさを司っているのです。ということでいよいよ実食。

見慣れた形だからかもしれませんが、大きすぎず小さすぎずで絶妙なサイズ感です

見慣れた形だからかもしれませんが、大きすぎず小さすぎずで絶妙なサイズ感です

軽くサクサクした食感ながら、比較的にエアリーではなく生地の密度が高めなのが印象的。そして、肝心のチーズの風味は複雑さがありながらも奥行きがふくよかでちょうどいい濃さ。とにかく素材と味付けと食感のバランスがよく、飽きないおいしさがピカイチです。これはさすがのひと言。ビール業界ではおかわりしたくなるウマさのことを「ドリンカビリティ」と言いますが、「イータビリティ」がズバ抜けています。説得力のあるウマさを、改めて思い知らされました。

チーズ感やしょっぱさなど、各項目を採点したのでこちらも比較の参考に。



ファミマは「カール」に近いが少々ぼんやり

次は今回取り上げた類似商品の中で、最も「カール チーズあじ」に寄せているであろう商品。ファミリーマートコレクション(PBの名称)の「か〜るいチーズスナック」です。“かる〜い”ではなく“か〜るい”というネーミングからしてあざとさ満点。形も酷似していて、チーズも「カール チーズあじ」同様に6種類採用しています。ちなみに、百歩譲って製造元が明治であれば感動的なのですが、これがおもしろいのは、製造元が東ハトだという点。

1袋62gあたり381kcal。「カール チーズあじ」が64gあたり324kcalなので、「か〜るいチーズスナック」はやや高カロリーです

1袋62gあたり381kcal。「カール チーズあじ」が64gあたり324kcalなので、「か〜るいチーズスナック」はやや高カロリーです

これはその昔、UNICORNが発表した「PTA〜光のネットワーク〜」の曲調や歌い方がまるでTM NETWORKだったようなあの感じに似てます(厳密にはTM NETWORKと光GENJI)。まあそれはいいとして、「か〜るいチーズスナック」には、なんとチーズの種類が明記されています。原材料名を見ると、チェダー、カマンベール、エメンタール、ゴーダ、モッツァレラ、パルメザンが使われているようです。

形は実にカーリー。ただ、サイズは本家よりも大きいような

形は実にカーリー。ただ、サイズは本家よりも大きいような

「カール チーズあじ」と酷似しているものの、並べて交互に食べ比べてみるとどうなのか。まずは気になるサイズの違いをじっくり比べてみました。

単体では左の「カール チーズあじ」より、右の「か〜るいチーズスナック」のほうが大きい印象。それぞれの小皿に8個盛りつけましたがどうでしょう? 右のほうが多く見えますよね!?

単体では左の「カール チーズあじ」より、右の「か〜るいチーズスナック」のほうが大きい印象。それぞれの小皿に8個盛りつけましたがどうでしょう? 右のほうが多く見えますよね!?

サイズは「か〜るいチーズスナック」のほうが若干大きいことが判明。では肝心の味はどうでしょうか。食べてみるとチーズ風味の奥行きが十分で、確かに生地の味やシーズニング感は似ています。ただ「カール チーズあじ」と交互に食べると少々味がぼんやりしているような。個人的に思ったのは、食感の違いです。「か〜るいチーズスナック」は「カール チーズあじ」より生地の密度が低く、エアリーでサクサク感はいいのですが、味の凝縮度は下がってしまうのかもしれません。



「ニッポー」は濃い味が好きな人向き

次は「ニッポー」という、千葉を拠点にスナック菓子のOEM(他社の商品を製造する受託系企業)を得意とするメーカーの「チーズスナック」という商品。「カール チーズあじ」チックな黄緑色の袋に、チャレンジ精神を感じずにはいられません。なお、今は終売となってしまったジェネリックカールに、フリトレーの「カーリースナック」というものがあったのですが、「ニッポー」はその製造を手がけていたメーカーでもあるようです。

1袋51gあたり273kcal

1袋51gあたり273kcal

使用しているチーズは表面にしっかり書いてあり、チェダーとエメンタールを使っているとのこと。本家「カール チーズあじ」の6種類に比べて1/3ですが、それが味の変化にどう影響するのか気になるところです。

本家よりもひと周り大きく、なおかつ湾曲の角度はゆるめ。この、なんとなく寄せている感じにどこかほっこりしてしまいます

本家よりもひと周り大きく、なおかつ湾曲の角度はゆるめ。この、なんとなく寄せている感じにどこかほっこりしてしまいます

おぉ、これは2種のチーズどちらかの強みが前に出たのか、塩味が強めのチーズ感です。生地の密度は「か〜るいチーズスナック」と同程度なのですが、パウダーの量が多いのか味は濃いめ。本家と比べると雑な感じも否めませんが、濃い味が好きな人には最適です。



セブンは甘めの味付け

最後は「セブンプレミアム チーズリング 4種のチーズ」。こちらはルックス的には似ておらず、リング型になっています。商品クオリティの高さには定評があるセブン-イレブンですが、味は近いのか、そしてうまいのか。気になるところです。

1袋78gあたり417kcal。若干ながら、量は今回の中で最も多いです

1袋78gあたり417kcal。若干ながら、量は今回の中で最も多いです

商品名通り、使われているチーズは4種で、原材料名には詳細が記載されています。それはチェダー、ゴーダ、カマンベール、モッツァレラ。ちなみに製造元は、「ハートチップル」や「コーンポタージュ」などを主力とするリスカです。どんな意図をもってこの4種にしたのか、確かめるべくいよいよ実食です。

色は赤みが強い印象。これはチェダチーズが関係していると思われます

色は赤みが強い印象。これはチェダチーズが関係していると思われます

食べてみると、形だけではなく味も「カール チーズあじ」に近づけようという狙いは感じません。味で印象的なのは、比較的甘めなこと。また、生地が面積の多いリング型ながら、1つひとつのサイズは大きくないので、ボリューム感は普通です。そして生地の密度も浅めで食感はエアリー。ジェネリックカールではなく、独自路線でウマいチーズスナックを目指した――。そんな意気込みを感じます。味が濃いめなので、甘く濃厚なチーズスナックが好きな人向けと言えるでしょう。



一番カールに近いのは「か〜るいチーズスナック」

おいしさの感じ方は人それぞれですが、個人的には改めて「カール チーズあじ」のクオリティの高さを実感しました。また、そのほかのチーズスナックにもそれぞれ絶妙な独自性があったと思います。ということで、その特徴を発表しておきましょう。

◆カールのマイルド版:ファミマ「か〜るいチーズスナック」
◆濃い:ニッポー「チーズスナック」
◆甘め:「セブンプレミアム チーズリング 4種のチーズ」

どれが一番カールに近いかと聞かれれば、ファミマ「か〜るいチーズスナック」ですが、それぞれ独自のおいしさがありました。

4つを並べるとこのような感じ。形や色の絶妙な違いがわかると思います

4つを並べるとこのような感じ。形や色の絶妙な違いがわかると思います

「それにつけてもおやつはカール」ですが、チーズの効いた味はワインをはじめおつまみにも最適。ジェネリックカールを食べ比べて自分の好みを探すもよし、通販で本家を取り寄せるもよし。チーズ味スナック戦国時代を楽しみましょう!

中山秀明
Writer
中山秀明
グルメ、ファッション、カルチャー、ライフスタイルを得意とする編集プロダクションを経て独立し、フードアナリストの資格を取得。内食・外食のトレンドやカルチャーに詳しく、深掘りレビューやインタビューなどを得意とし、さまざまな雑誌やウェブメディアをメインに、編集と撮影を伴う取材執筆を行っている。酒類や調理家電、タバコ関連にも強い。時折、テレビ番組や大手企業サイトに食の有識者として企画協力することも。
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しえる(編集部)
Editor
しえる(編集部)
自称ポテチマスター。ポテトチップスを中心に、1日3袋のスナック菓子をたいらげるお菓子狂。お菓子関係のグッズやちょっと変わったアイテムをメインに紹介します。
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