新聞「日経MJ」が発表した「2019年上期ヒット商品番付」にランクインするなど、「完全栄養食」がヒットのきざしを見せています。
完全栄養食は、グミやスープなど、さまざまなタイプで商品が続々と発売されていますが、その火付け役は実はパスタ。なかでも有名なのが、BASE FOODの「BASE NOODLE(旧名「BASE PASTA」)」と、日清食品の「All-in PASTA」。同じ麺料理ではあるものの、その中身を調べてみると大きな違いがあることが判明しました。
本稿では、両者の特徴に詳しく触れながら、実食レポートしていきます。
完全栄養食の厳密な定義はありませんが、厚生労働省が提示した基準をもとに、1日に必要な栄養素の1/3をすべて含む食品を指すのが一般的。つまり、日々の食事にこれらをとり入れることで、バランスが崩れがちな栄養素を上手に摂取できるのです。
BASE FOODも日清食品もソースが多彩。ひと通り食べて、ソースとの相性もチェックしました!
今回は、完全栄養食のパイオニアである、BASE FOODの「BASE PASTA」が「BASE NOODLE」としてリニューアルしたということで、新旧の違いをチェックするとともに、ライバルとなり得る日清食品の「All-in PASTA」との違いも比較していきます。
ちなみに本稿の対象ではありませんが、BASE FOODは「BASE BREAD」という商品もリニューアル(写真上が新で、下が旧)。冷凍保存だったのが常温保存可能になり、手軽さも味も進化しました
「BASE PASTA」は、“世界初の完全栄養の主食”という触れ込みで、2017年2月にリリース。小麦の全粒粉やチアシードなどをベースに、たった1分でゆで上がる風味豊かな生パスタです。発売直後から話題を呼び、健康が気になる20〜40代を中心に大ヒットしました。
「BASE PASTA」は、茶色っぽい色の麺
内容量は122g、エネルギー341kcal、糖質30.8g。ボリュームも多めです。
さすが完全栄養食。栄養成分表示の欄に、ビッシリと成分名が羅列されています
麺の種類はフェットチーネとスパゲッティーがラインアップされており、今回は後者をチェック。一般的なスパゲッティーよりも太く、表面がザラッとした印象です
比較相手は、2019年7月にリリースされた新作「BASE NOODLE」。「BASE PASTA」を食べた人たちの「雑穀感が強くアレンジしにくい」「合わせるソースが限られる」といった声を受けて、リニューアルした商品です。
従来の原料に卵黄粉末、卵白粉末、アマニ油を加えることで、栄養はそのままに、味のバランスが整えられました。
こちらが「BASE NOODLE」。パッケージも刷新されました
内容量は、130gと8g増加。エネルギー377kcal、糖質31.9gと、前作よりも少しガッツリめになりました。
麺は細くなった印象
並べてみると、麺の太さや色の違いがわかります
それでは、食べ比べてみましょう。鍋で水を沸騰させて、麺をゆでていきます。
ゆで時間は「BASE PASTA」が1分で、「BASE NOODLE」が3分
生パスタなので、ゆで時間は短め。袋から開封してゆでている時点で、穀物由来の香りがしてきます。この香りは、好みの分かれるポイントかもしれません。
ゆで上がりました。どちらも量がたっぷりで、食べ応えがありそう
「BASE NOODLE」のほうが細くなった代わりに(?)、1本が長くなりました
食べ比べてみると、新旧の違いがはっきりわかりました。「BASE PASTA」は比較的やわらかく、ボソッとした印象。くっつきやすいけど切れやすく、コシが弱くてもったりした食感で、加水率が高めかと思われます。そして、麺自体の味が濃いめ。
「BASE PASTA」はやわらかく、モサッとした食感
「BASE NOODLE」は、よりパラッとして味も食感もライトになった印象。コシも出ていて、あえてたとえるなら蕎麦に近くなった感じでしょうか。こちらのほうが嚙み応えと食べ応えがあって、量が多く感じました。
「BASE NOODLE」は、旧作の弱点をうまくカバーしましたが、どちらが好きかは人それぞれだと思われます
で、「どちらがおいしいか?」ですが、これは甲乙つけがたいところ。進化はしていますが、決して「BASE PASTA」が悪いとは思わないし、これはこれで魅力的です。ソースによっては、「BASE PASTA」のほうが合うものもありそうです。
さて、そのソースですが、いくつかのバリエーションがあって、お好みのものを麺と合わせることができます。また、麺と同様にソースもリニューアルされ、全4種のラインアップ。その中から、今回は2種を紹介していきます。
まずは、台湾まぜそば風のソース。まろやかな甘味があるうえに、花椒(ホアジャオ)がじわりとシビレをプラス。意外にあっさりとしていて、酸味も少々あります。
アレンジとして卵黄を別途プラスしましたが、これは絶対やったほうがイイ! 味の一体感が増すとともに、麺にソースがからみやすくなります。海苔やネギなどを入れるのもアリです。
「ピリ辛台湾まぜそばソース」。ラー油は袋が分けられていて、辛さを調節できます
卵黄をトッピングしてみましたが、これが大正解!
もうひとつは、アンチョビを使ったソース。ニンニクの香りを感じますが、思ったよりもあっさりめ。筆者としては、ニンニクもアンチョビももっと強くていいなと思いました。好みに応じて、追いオリーブオイルや追いニンニクしてもよさそうです。
「とろとろ玉ねぎとアンチョビのソース」
見た目はシンプルで、玉ねぎがペースト感を演出
どちらのソースも、味わい的には想像以上にあっさりしています。商品コンセプト的に、あまり濃厚でも身体によくない気がするので、完全栄養食としてはこれぐらいがちょうどいいのかもしれません。筆者のオススメは、ピリ辛台湾まぜそばソース。麺との相性もよかったです。
「All-in PASTA 」は、BASE FOODと同じく完全栄養食の麺類として、日清食品が2019年3月に発売しました。こちらも1日に必要な栄養素の1/3が摂取できるということで、健康が気になる層を中心に、話題になっています。
長期保存や麺をゆでる過程で失われる栄養素を、調理後までしっかりと保持しながら、味にもこだわった新しいパスタのカタチです。
こちらが「All-in PASTA」。麺の単品、ソース単品と、麺+ソースがセットになったパックがあり、今回はセットを入手。全部で3つの味がラインアップ
セットには、麺、ソース、ゆでた麺をほぐすためのオイルが同梱されています
麺は3セットとも同じものを使用しており、ソースで味を変えます。麺(1食88g)のみのエネルギーは331kcal、糖質は27gです。
麺のパッケージ。小麦の全粒粉、植物性たん白、卵粉などが入っています
麺のタイプは、ゆるくウェーブがかった乾麺。黄色っぽい色をしていて、パスタに近い印象です。特徴的なのは、「栄養ホールドプレス製法」によって生まれた麺の構造。麺の中心はわずかに苦めの栄養素の層。その周りを小麦ベースの層でコーティングすることで、苦みや臭みのないおいしさを追求しています。
麺の見た目はあまり身体によさそうに見えませんが、中に栄養素がギッシリと詰まっています!
ということで調理スタート。日清食品らしく、手軽に食べられる工夫が施されています。
カップに麺を開け、熱湯を注ぎます
待ち時間は6分。一般的なカップ麺よりは若干長めです。時間が経ったら、フタに開けられた穴から湯切りします。
フタの両サイドに熱さを緩和する凹凸を備えるなど、食べる人のことを考えた設計は、さすがの日清クオリティー!
湯切りが完了したら、麺が完成です。
一般的なスパゲッティーに比べると、麺はわずかに太め。食べ応えがありそう
付属のほぐしオイルを回しかけ、食べやすくします
麺だけで食べてみると、乾麺だからなのか、ムニュムニュした感じはありません。プツプツしていますが、嚙み応えがある、何とも独特な食感です。
この食感はなかなか斬新。麺自体に独特の風味が少しだけあります
麺の調理と並行して、ソースも準備。沸騰した鍋にソースの袋を入れて湯煎します。
レトルト食品と同じようなスタイルで、ソースを湯煎
味は3種類ラインアップされており、どれもパスタの代表的なソースをベースにしています。
ひとつめは、アラビアータ。エッジの立った辛みがあり、トマトのウマみとともに酸味もきいていておいしい! 個人的には今回の3つの中でこれが1番好きです。おつまみにしてもよさそう。
「完熟トマトに唐辛子を利かせたスパイシーアラビアータ」。麺+ソースでエネルギー479kcal、糖質41.2g
酸味と辛みのバランスが絶妙!
2つめは、挽き肉がたっぷり入ったボロネーゼ。麺とのからみはいいですが、全体的に味がぼけている印象なのは、期待値が高かっただけに残念。もう少し豊かなトマト感(甘味、酸味的な)が欲しいところ。別途チーズを入れると、もっとコクが増してまとまりそうですね。
「粗挽き牛肉のコクと旨みの濃厚ボロネーゼ」。麺+ソースでエネルギー487kcal、糖質36.9g
ゴロッとした肉感が楽しくてGood! あとはもう少しコクがあれば……
ラストは、国産のバジルペーストが香り高いジェノベーゼ。見た目に反して(?)これが1番高カロリー。いっぽうでバジルがたっぷり入っていて、さわやかなハーブフレーバーを感じます。ただ、ちょっとオイリーなので、食べ進めると重く感じるかもしれません。
「国産バジルを贅沢に使った香りとコクのジェノベーゼ」。エネルギー552kcal、糖質28.8g
バジルたっぷり、さわやかな香りが鼻腔をくすぐります
「All-in PASTA」は、まだ発売たばかりですが、全体的には今後の展開に期待といったところ。特にソースは、あの日清食品(日清スパ王も冷凍パスタもおいしいし)ならもっと頑張れると思います。
なお、筆者のオススメはアラビアータです。
さらなる味のブラッシュアップに期待大!
麺×ソースのバリエーションを含めると、ここまでのべ10種類の完全栄養食を食べ比べてきました。総評としては、このおいしさと食べ応えで栄養たっぷりなら、文句なしにうれしいと思います。
ひと口に完全栄養食と言っても、「BASE NOODLE」と「All-in PASTA」では麺の味わいがかなり異なります。通常のパスタに生麺派と乾麺派がいるように、好みで選んでみてください。完全栄養食を始めようと思っている人は、実際に食べ比べてみるのも手でしょう。
今夏「BASE NOODLE」への進化があったように、完全栄養食のジャンルはどんどんおいしくなっていくと思います。今後に大きな期待を抱きながら、健康的な食生活の一助としてお楽しみください!
こちらはオマケ。水分量のコントロールで冷凍不要になった「BASE BREAD」は、甘味とふんわり感、香ばしさがアップした印象です