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ラオスの鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
世界の鉄道一覧 > ラオスの鉄道
ラオス
ラオス・中国鉄道の車両
運営
国営鉄道 ラオス鉄道公社
主要事業者 ラオス・中国鉄道
ラオス鉄道公社
統計
距離
総延長 433.4 km
電化距離 422.4 km
軌間
主な軌間 1,435 mm (4 ft 8+12 in)
ラオス・中国鉄道 1,435 mm (4 ft 8+12 in)
ラオス鉄道公社 1,000 mm (3 ft 3+38 in)
電化方式
交流電化 422.4km
非電化 11.0 km
設備
トンネル数 76
橋梁数 155
駅数 21
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ラオスの鉄道(ラオスのてつどう)では、ラオスにおける鉄道について記す。

概要

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2021年12月現在のラオスの鉄道は、タイ王国に接続するラオス鉄道公社(Lao Railway Authority)と、中華人民共和国に接続するラオス・中国鉄道の計2路線である。

歴史

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フランス領インドシナ時代の1893年に、メコン川の激流地帯であるチャンパーサック県シーパンドンにて、船舶による輸送の代わりにデット島・コーン島鉄道英語版が敷設されたのが始まりである。デット島 (Don Det) とコーン島 (Don Khon) を結ぶ6.5 kmが、600mm軌間(のちに1000mm改軌)の鉄道で結ばれた[1]。本鉄道は第二次世界大戦後廃止され、その廃線後の遺構は残されている[2]。その後の約60年間、ラオスには鉄道は存在していなかった。

1950年代、ラオスは、物資の輸送をより円滑にするためラオス・タイの国境であるメコン川を渡るタイ=ラオス友好橋鉄道道路併用橋)の建設をタイに提案し、オーストラリアの援助で設計・建設された。1994年4月8日に橋は開通したが、橋の中央を走る鉄道(併用軌道)は未完成であった。1995年にラオス鉄道公社(Lao Railway Authority)が設立され、1997年にはタイのShaviriyaグループとの合弁事業の協定が結ばれた。この合弁事業は、本路線に関わる60年間の運営権の譲渡、資産開発および通信網の権利、18年間の運営利益に対する税制上の優遇を有していたが、1999年に破棄された[3]。1997年の経済危機が収束した2000年、タイから鉄道建設の着工が、ラオスの負担分のうちの1億9,700万バーツについて無償援助ということで提案された。建設工事は2008年以前に終了し、2009年2月20日に双方から伸びてきた線路の結合式典がタイ=ラオス友好橋で挙行された。3月5日にターナレーン駅で開催された開通式には、ラオス代表してブンニャン・ウォーラチット副大統領が、タイ代表してシリントーン王女が出席した[4]。この路線は2024年7月、ヴィエンチャン市内に近いヴィエンチャン駅 (カムサワート)まで営業を開始した[5]

中国の昆明とラオスとを結ぶ鉄道の建設が計画され、2015年11月13日、中国とラオスの両国は、両国を結ぶ鉄道の建設で正式に調印した[6]。2016年12月25日、ラオスのルアンパバーン郡で着工[7]、2021年10月12日に昆明 - ヴィエンチャン間全線でレール敷設が完了し[8]、2021年12月3日に開業した[9]

事業者

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状況

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ラオス鉄道公社

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ラオス・タイ鉄道
ヴィエンチャン駅
(カムサワート)

タイノーンカーイ駅から、タイ=ラオス友好橋にて国境を通過、ターナレーン駅を経由しヴィエンチャン駅へ至る路線である。NEDAの協力のもとで建設された、全区間非電化単線路線軌間:1,000 mm)である。

第1フェーズとして、ノーンカーイ駅を南に移設し、この新駅から分岐してターナレーンを結ぶ6.15 kmの鉄道が計画された[3]2009年3月5日にターナレーン駅で開通式が行われ、ラオス独立後初めての鉄道が開業した[10][4]。旅客利用者数は2013年は32,000人、2014年は38,000人、うち80%が外国人と発表されている[11]。2019年8月1日より、貨物列車の運行が開始された[12]

第2フェーズとして、2013年9月からはターナレーン駅北側にてタナレーン・ドライポート、ビエンチャン・ロジスティクスパークが5.9億バーツの支援で建設され[13]、2021年12月に開業した。2023年10月30日、ヴィエンチャン駅へも延伸され、開業記念式典が行われた[14]

2024年7月19日より、ヴィエンチャン駅の旅客営業を開始した。タイバンコククルンテープ・アピワット中央駅)を結ぶ快速国際列車ウドーンターニー駅を結ぶ国際列車[15]が、それぞれ1日1往復の運行を開始した[16][17][5]。出入国管理はヴィエンチャン駅、ノーンカーイ駅で行われ、長時間停車する[18]

ヴィエンチャンからノーンカーイ駅までの国際列車を4往復運行する計画もあり、所要時間は約20分、運賃は60〜70バーツを予定している[19]。ほか、ナコンラチャシーマまでの普通列車を運行する計画もある[20]

ラオス・タイ鉄道 駅一覧
駅名 英語駅名 ノーンカーイ駅
からの距離
所在地 備考
ノーンカーイ駅 Nong Khai 0.00 km ノーンカーイ県 ムアンノーンカーイ郡 2000年5月28日移転
タイ=ラオス友好橋 2.65 km タイ王国の旗 タイ / ラオスの旗 ラオス国境 1994年4月8日開通
ターナレーン駅 (貨物駅) Thanaleng 6.15 km ヴィエンチャン都 ハートサーイフォング郡 2009年3月5日開業
ヴィエンチャン駅 (カムサワート) Vientiane
(Khamsavath)
13.65 km サイセター郡 2023年10月30日開業

ラオス・中国鉄道

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ラオスの首都ヴィエンチャンとボーテン(中国国境モーハン口岸)間を結ぶ鉄道である。ヴィエンチャンと中国・雲南省のシーサンパンナ(西双版納)間、421 kmを結び、軌間は標準軌で、76本のトンネルと154本の橋梁が建設された。旅客列車は最高速度160 km/h貨物列車は120 km/hで運転される計画である。ヴァンヴィエンルアンパバーンなど7つの主要駅を含む20駅がまず設置された。最終的には31駅となる予定である。 鉄道建設計画は当初、ラオスと中国の共同プロジェクトとして提案され、建設費は70億ドル、中国進出口銀行中国語版からのソフトローン(2%、30年間)と計画されていた[21][22]。2013年より、ラオス側による計画が進められ、2015年9月17日にラオスのソムサワート・レンサワット副首相が、資金面の問題が解決されたため2015年12月より着工予定と発表した[23]。2016年12月に着工し、2021年10月12日に昆明 - ヴィエンチャン間全線でレール敷設が完了し[8]、2021年12月3日に開業した[9]

将来計画

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サワンナケート・ラオバオ鉄道計画

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ラオスはタイ国境・サワンナケートとベトナム国境のラオバオ英語版Lao Bảo / 牢堡)間を結ぶ全長220kmの鉄道建設・運営について、マレーシア企業のGiant Consolidatedと契約調印した。路線は複線電化で、プロジェクトの総額は50億ドル(約4000億円)で、2017年の開業を目指していた[24]。 しかし2021年現在まだ建設は始まっていない。

ヴィエンチャン・ブンアン鉄道計画

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2022年2月、ヴィエンチャンから、カムムアン県マハサイ郡英語版を経由し、ベトナムのハティン省キーアイン県ブンアンベトナム語版までの鉄道(全長555km、最高速度150km/h、標準軌)建設を、ベトナムのFLCグループベトナム語版が提案[25]した。3月にはラオスのペトロリアム・トレーディング・ラオ(PTL)と覚書を締結した[26][27]。2022年10月までに着工される見通しである[28]

隣接国との鉄道接続状況

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脚注

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  1. ^ パクセ近郊 - ラオス政府観光局
  2. ^ 日経 アジア 中国 オセアニア. “南ラオスの旅 メコン川の滝と四千の島” (pdf). 2013年7月30日閲覧。[リンク切れ]
  3. ^ a b 松本尋夫、藤田崇義 著、(社)海外鉄道技術協力協会 編『最新 世界の鉄道』ぎょうせい、東京都、2005年7月1日。ISBN 978-4324076262 
  4. ^ a b 赤木攻 (2009年4月9日). “国境を越える「王室プロジェクト」”. NNA.ASIA(アジアの経済ビジネス情報). 2013年7月30日閲覧。[リンク切れ]
  5. ^ a b タイとラオスの首都を結ぶ 初の直通国際列車の運行始まる - NHK NEWS WEB 2024年7月20日
  6. ^ 中国とラオスが鉄道建設で調印、「中国からシンガポールまで結ぶ鉄道の一部になる」=中国メディア”. 2021年12月11日閲覧。[リンク切れ]
  7. ^ Everything You Need to Know about the Laos-China Railway”. 2021年12月4日閲覧。
  8. ^ a b “中国ラオス鉄道全線でレール敷設が完了”. 人民網日本語版. http://j.people.com.cn/n3/2021/1013/c94638-9906741.html 2021年10月16日閲覧。 
  9. ^ a b 川合秀紀. “「夢」か「わな」か、東南アジアに広がる“中華鉄道”の終着点は”. 西日本新聞. https://www.nishinippon.co.jp/item/n/778004.amp 2021年9月26日閲覧。 
  10. ^ ラオス鉄道開通、日本が物流拠点構想も”. NNA.ASIA(アジアの経済ビジネス情報) (2009年3月6日). 2013年7月30日閲覧。[リンク切れ]
  11. ^ “道乗客数”. パサソン社会経済紙. (2015年2月18日) 
  12. ^ “ラオス~タイ間の鉄道による越境貨物輸送を開始”. JETRO. (2019年8月7日). https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/08/c4742fa0b59adaaa.html 2021年12月9日閲覧。 
  13. ^ “鉄道が5ヶ月後からスタート”. パサソン社会経済紙. (2015年2月11日) 
  14. ^ ビエンチャン(カムサワート)駅が完成 - JETRO 2023年11月08日
  15. ^ ทีมพีอาร์การรถไฟแห่งประเทศไทย - Facebook
  16. ^ Bangkok-Vientiane train service begins July 19 - Bangkok Post, 3 JUL 2024
  17. ^ Thaland-Laos train service to begin on July 19 - Lao News Agency, 05/07/2024
  18. ^ ラオスとタイの首都間を結ぶ国際旅客鉄道の運行開始 - JETRO 2024年07月29日
  19. ^ Bangkok-Vientiane train to be reality by April - Bangkok Post, 25 Jan. 2024
  20. ^ Thailand -Laos rail project expected to be operational in mid-2023 - Lao News Agency, 10/10/2022
  21. ^ サンケイビズ (2013年5月31日). “高速鉄道の早期着工に意欲 ラオス-中国間で協議進む”. 2013年7月30日閲覧。
  22. ^ RailPlanet (2012年11月21日). “ラオス~中国間鉄道、来年着工か”. 2013年7月30日閲覧。[リンク切れ]
  23. ^ “中国 - ラオス鉄道は12月着工へ、「資金面の問題」解決”. newsclip.be. (2015年9月21日). http://www.newsclip.be/article/2015/09/21/26942.html 2015年9月27日閲覧。 [リンク切れ]
  24. ^ RailPlanet (2012年11月14日). “ラオス、タイ国境〜ベトナム国境間に鉄道建設へ”. 2013年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月30日閲覧。
  25. ^ “FLCグループ、ラオス~ハティン省間の鉄道建設を提案”. VIETJO. (2022年2月24日). https://www.viet-jo.com/news/economy/220223191755.html 
  26. ^ “ビエンチャン・ブンアン鉄道を建設へ、協力覚書を締結”. JETRO. (2022年4月4日). https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/04/893a50c426ed2818.html 
  27. ^ “FLC AND PETROTRADE SIGN INVESTMENT AND CONSTRUCTION CONTRACT FOR RAILWAY PROJECT”. FLC Group. (2022年3月23日). https://www.flc.vn/en/bai-viet/flc-and-petrotrade-sign-investment-and-construction-contract-for-railway-project-connecting-laos-and-vietnam/ 
  28. ^ “ビエンチャン~ブンアン港間の鉄道、11月に着工へ”. VIETJO. (2022年3月21日). https://www.viet-jo.com/news/economy/220317185228.html 

関連項目

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外部リンク

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