背徳の瞳〜Eyes of Venus〜
「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」 | |
---|---|
V2 の シングル | |
初出アルバム『TK BEST SELECTION IN EPIC DAYS』 | |
B面 | Virginity |
リリース | |
規格 | 8cmシングルCD |
録音 | 1991年10月-12月 |
ジャンル | ロック、ヘヴィメタル |
時間 | |
レーベル | Epic/Sony |
作詞・作曲 | V2 |
ゴールドディスク | |
チャート最高順位 | |
| |
「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」(はいとくのひとみ アイズ・オブ・ヴィーナス)は、小室哲哉とYOSHIKIが結成した期間限定ユニットであるV2が、1992年1月18日にリリースしたシングルである[2]。
解説
[編集]V2として唯一リリースされたシングルで、オリコンチャート初登場2位を記録し(1位は大事MANブラザーズバンド「それが大事」[3])、47.7万枚を売り上げる。ジャケットにはV2ロケットが描かれている。エクスタシー音楽出版からバンドスコアも発売された。「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」は小室哲哉が2011年にリリースしたコンピレーション・アルバム『TK BEST SELECTION IN EPIC DAYS』にリマスターされたものが収録されているほか、小室哲哉の2012年のリミックス・アルバム『Digitalian is remixing』にピアノ・ソロ・バージョンが収録されている。
タイトルの「背徳の瞳」はYOSHIKIによって、「Virginity」は小室によって付けられた[4]。また、タイトルに全て「V」の文字を入れたいという小室の発案を受け、「Eyes of Venus」というサブタイトルもYOSHIKIが考えた[4]。
当初はYOSHIKIのエクスタシーレコード所属のバンドから誰かボーカリストを起用する予定だったが企画倒れに終わり、仮唄のつもりで録音された小室のボーカルでそのままCDリリースとなった[5]。
収録曲
[編集]全作詞・作曲・編曲: V2。 | ||
# | タイトル | 時間 |
---|---|---|
1. | 「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」 | |
2. | 「Virginity」 |
制作
[編集]- 背徳の瞳〜Eyes of Venus〜
- YOSHIKIがXのツアー『Violence In Jealousy Tour 1991 〜夢の中にだけ生きて〜』の8月23日の東京ドーム公演を終えるまでの間に、小室がお互いの音楽性に共通すると感じたコードを使用したデモ・テープをピアノで制作し、東京ドーム公演を終えたYOSHIKIに手渡した[6]。これが「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」イントロとなった[6]。このテープを受けたYOSHIKIが、テープに収録されていた一部のフレーズを題材にドラムとピアノが入ったサビの部分を制作し、これを録音した2番目となるテープを9月中旬に小室の元へ返した[6]。「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」は、YOSHIKIが制作した2番目のテープが大本になっているという[6]。
- イントロは最終的に小室とYOSHIKIのピアノ二重奏となったが、3台分のピアノが重ねられている[4]。中性的な声で歌うことを意識したと語っている[6]。
- Virginity
- 「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」と同時期に開始され、同じ手法で制作が進められた[6]。
- 少年的な声で歌うことを意識したと語っている[6]。
- レコーディングは10月24日にYOSHIKIがXのコンサートで倒れる中、最初に小室の歌入れが行われた[6]。YOSHIKIの回復後に今度は小室が倒れる中、YOSHIKIが先に小室によって制作された詞のモチーフ・展開の構成をヒントに書き上げた「Virginity」の英語によるナレーションのレコーディングを4-5時間かけて行い、[6][7]その後に小室が日本語詞を制作した[8]。
- パーカッション・パートはYOSHIKIによって全ての譜面が書き起こされ[8]、YOSHIKIが小室の所有するシンクラヴィアのディスクに収録されていた2000余りの音色を全て聴いて、生音と対比させながら選んだ[6]。音色の打ち込みは今までは他のマニピュレーターと小室が共同で直接関わっていたが、本作で始めて全ての打ち込み作業を他人に委ね、小室は飽くまでも第三者として相談に乗った上で「1音ずつ打ち込むように」と指示していた[8][9]。
- 当初ドラムパートは全て打ち込みを予定していたが、生音と対比する中で、生ドラムと打ち込みの混成となった[7]。
批評
[編集]市川哲史は「2曲とも非常に奇妙な曲になった。メロディをよぉーく聴いてると、ヨシキメロディと小室メロディが交互に登場するのがよくわかる。しかも違和感なくつながっているからおかしい。特に『背徳の瞳〜Eyes of Venus〜』は、ヨシキの『俺のツーバスと小室君のシンセ・アンサンブルの対決みたくなっちゃって(笑)』発言通り、どちらも押しまくりの賑々しい、『TMX』としか言い様がないキャッチーな楽曲だ。一方の『Virginity』は、小室発案のボレロなのだが、『ヨシキが打ち込みして遊んで、あんまり聴いた事がない打楽器のリズムだらけの曲になって、収拾がつかないへんてこりんな曲に(笑)』という小室の証言通り、雄大なんだかせせこましいんだか、よくわからない謎のナンバーとなっている。とにかく面白い事は確かなシングルだ」「作品自体には逆に戦略性は感じられない。あの2人が「どう受け取られるか考えてもなかった」と言う程なのだから、正に『純粋にアーティスティックな遊び』に他ならない。そしてこうした余裕こそが重要だと思うのである」と評している[10]。
脚注
[編集]- ^ 認定年月:1992年 3月 一般社団法人日本レコード協会 2022年7月1日閲覧
- ^ “「背徳の瞳」リリース情報”. ORICON STYLE. 2013年5月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月23日閲覧。
- ^ 1992.1.27付オリコン 1位 それが大事 17万6790枚 2位 背徳の瞳 16万0930枚
- ^ a b c 『PATi-PATi』(1992年2月号)ソニー・マガジンズ
- ^ 市川哲史『私も「ヴィジュアル系」だった頃。』(竹書房、2006年)p. 93
- ^ a b c d e f g h i j 『WHAT's IN?』(1992年1月号)ソニー・マガジンズ
- ^ a b 羽積秀明『NUDE』(フールズメイト、1992年)pp. 200-201
- ^ a b c ダイヤモンド社刊『FM STATION』1992年1月20日号14Pより。
- ^ 角川書店刊 『告白は踊る』 小室哲哉著より。
- ^ ロッキング・オン刊「ROCKIN'ON JAPAN」1991年12月号「YOSHIKIと小室哲哉、合体。本誌独占『V2』初インタヴュー」p.45より。