CDMA 【Code Division Multiple Access】 符号分割多元接続
概要
CDMA(Code Division Multiple Access)とは、多元接続(多重アクセス)技術の一つで、複数の主体が送信データにそれぞれ異なるコード(ビットパターン)を掛け合わせて発信することで信号を区別できるようにする方式。携帯電話(移動体通信)の多元接続方式として広く普及している。同じ通信路を複数の通信主体で混信することなく共用することを「多元接続」(multiple access:多重アクセス)という。電波による無線通信では、伝送路を周波数で分割する方式(FDMA)、時間で分割する方式(TDMA)などがあり、CDMAは特殊な符号の計算により分割を行う。
CDMAでは数学的に互いに直行する符号をそれぞれの通信主体に割り当て、自らが送りたいデータに自分の符号を掛け合わせて送出する。複数の送信者が同じ時刻に同じ周波数で送信するため受信側には複数の信号が混在したものが届くが、これに個々の送信者の符号を用いて送信時と逆の演算を行うことでそれぞれのデータを取り出すことができる。
時間や周波数といった物理的な要素で通信路を明確に分割する必要が無いため、無駄なく通信路を共用することができる。信号を受信しても符号が分からなければ元のデータを取り出せないため、秘匿性を高めることもできる。信号は周波数帯全般に広く分散して送信される(スペクトラム拡散)ため、ノイズや妨害への耐性も強い。
歴史
スペクトラム拡散を用いた通信技術は1940年代に連合国軍がナチスドイツの通信傍受・妨害を避けるために利用した事例まで遡ることができるが、現代的なCDMA技術は1970年代に米軍が軍事用の通信技術として開発したものが基礎とされる。
GPS信号などで採用された後に民生用としての用途開発が本格化し、1990年代には携帯電話の通信方式の一部として採用された。第2世代(2G)携帯電話の「cdmaOne」(IS-95)や、第3世代(3G)の「W-CDMA」および「CDMA2000」などとして広く普及し、現在では無線LAN(Wi-Fi)やBluetoothなどでも利用されている。
(2024.2.7更新)
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 計測自動制御学会「計測と制御」48巻7号「計測制御のための無線通信技術の現状と展望」(PDFファイル)にて引用 (2009年7月)