長編小説「神の汚れた手」や「太郎物語」などで知られる作家で文化功労者の曽野綾子(その・あやこ、本名・三浦知寿子=みうら・ちずこ)さんが2月28日午後2時59分、老衰のため都内の病院で死去した。93歳。東京都出身。葬儀は近親者のみで行われた。お別れの会は未定。 聖心女子大英文科卒業。高校時代から創作活動を始め、文芸同人誌「新思潮」に参加。そこで三浦朱門氏と出会い、大学在学中の昭和28年に結婚。翌29年、占領軍の米軍人たちを日本人女性通訳の目から描いた短編「遠来の客たち」が芥川賞候補となり、23歳で文壇デビュー。夫の三浦氏や遠藤周作氏らとともに「第三の新人」と呼ばれた。 以後、長編「たまゆら」「午後の微笑」など話題作を次々に発表し、人気作家に。カトリックの信仰に基づき人の善悪両面を直視する人間観と、日常生活の細部にひそむ面白さを鋭くとらえる観察眼は小説以外でも発揮され、エッセー「誰のために愛す