インタビューの前編では、日本が失われた30年から脱却し、インフレに突入していったプロセスについて、渡辺努氏(東京大学大学院経済学研究科教授)に話を聞いた。とはいえ、買い物に行くたびに値札を見ては腰を抜かしそうになっている人は少なくない。結局のところ「値上げは嫌だ」というのが消費者の本音である。 しかし、渡辺氏は「ある程度のインフレは正常な状態である」と言う。どの程度のインフレであれば許容範囲内なのか、私たち消費者はインフレに対してどのような姿勢をとるべきなのか──。『物価を考える デフレの謎、インフレの謎』(日本経済新聞出版)を上梓した渡辺氏に、話を聞いた。(聞き手:関瑶子、ライター&ビデオクリエイター) 【前編】なぜ日本は30年にわたるデフレからインフレ基調に転換したのか?構造変化を促した二つの理由 ──日本銀行のマイナス金利政策について、多くの研究者はネガティブな考えを持っているようで