WO2023276530A1

WO2023276530A1 - パンツ型吸収性物品

Info

Publication number: WO2023276530A1
Application number: PCT/JP2022/022154
Authority: WO
Inventors: 淳工藤; 遥市原; 英之木下; 規世子西村; 夕里子森実
Original assignee: ユニ・チャーム株式会社
Priority date: 2021-06-29
Filing date: 2022-05-31
Publication date: 2023-01-05
Also published as: TW202312958A; KR20240023508A

Abstract

吸収性本体（１０）と、前後方向に吸収性本体（１０）と重ねて配置された、前胴回り部（２０ｆ）及び後胴回り部（２０ｂ）を備え、前記左右方向に伸縮する胴回り部材（２０）と、前胴回り部（２０ｆ）の非肌側面に取り外し可能に係合する係合部材（３０）と、を有し、前胴回り部（２０ｆ）及び後胴回り部（２０ｆ）が接合された成人用のパンツ型吸収性物品（１）であって、係合部材（３０）は、前胴回り部（２０ｆ）に接合されており、前胴回り部（２０ｆ）の左右方向の両側縁（２０ｆｅ、２０ｆｅ）の間において、前胴回り部（２０ｆ）は、平面視において、係合部材（３０）と重なる重なり領域の少なくとも一部に、周囲よりも弾性係数が大きい高弾性部（２０ＮＡ）を有する。

Description

パンツ型吸収性物品

　本発明は、パンツ型吸収性物品に関する。

　パンツ型吸収性物品の胴回り部材の一部を切り離すことで、テープ型（展開型）としても使用可能なパンツ型吸収性物品が知られている例えば、特許文献１には、おむつの対向側部を接合したパンツ型又はその対向側部を締結片で接合する開放型のいずれかの使用方法を選択可能なおむつが開示されている。

　また、パンツ型吸収性物品の胴回り部材の一部を切り離すことで、テープ型（展開型）としても使用可能なパンツ型吸収性物品が知られている。例えば、特許文献２には、外装体の腹側部に、一対の破断誘導線を設け、該破断誘導線に沿って外装体を切断することによって観音開きに開放可能なパンツ型おむつが開示されている。このパンツ型おむつは、開放後に引き出されるファスニングテープを用いてテープ型おむつとしても使用可能な、両用型の使い捨ておむつである。

特開平０５－３１７３５６号公報特開２０１０－１３１１９７号公報

　本発明が解決しようとする課題は、以下の第１の課題～第３の課題のうちの少なくとも１つである。
　第１の課題は以下の通りである。特許文献１に記載のおむつは、前身頃と後身頃を対向側部で接合する接合部に近接する前身頃の部位に、前身頃を後身頃から切り離すための切断線を設けてあり、切断線に沿って切り離した後、後身頃の対向側から延出する締結片を介して前身頃と後身頃とを連結させることができる使い捨ておむつである。しかし、特許文献１のおむつは、着用者本人が自分で装着することを想定したおむつではなく、着用者に着用させることを前提とした仕様である。よって、仮にこのようなおむつを用いて着用者がトイレで座った状態、又は立った状態（中腰姿勢の状態）で、前身頃を構成する胴回り部材を自分で切断線に沿って切り離そうとすると、切断線に力が掛かりにくい場合や、胴回り部材が伸長して切りにくいことが考えられ、着用者が何度も持ち替えて破断を試みる手間等が発生する虞がある。また、切り離す際に必要以上の力を加えておむつの一部が破損してしまうことも考えられる。このように、テープ型としても使用可能なパンツ型吸収性物品を着用者が自分で装着する場合の装着しやすさについては、改良の余地がある。

　本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、テープ型としても使用可能であり、着用者による装着性の良いパンツ型吸収性物品を提供することにある。

　第２の課題は以下の通りである。上記のようなテープ型としても使用可能なパンツ型吸収性物品を、生理用のショーツ型ナプキンや軽失禁用のおむつに適用したり、軽度の要介護者を着用対象者としたりする場合、着用者自身がパンツ型吸収性物品の着脱を行う。その場合、着用者は、破断誘導線で切り離した胴回り部材を片側の太腿に巻き付けつつ、胴回り部材の切り離し部分を太腿の前側まで引っ張ってきて、太腿の上でファスニングテープ（係合部材）を係合する着用方法が想定される。そうすることで、ファスニングテープを安定して係合できる。
　しかし、特許文献２の使い捨ておむつでは、吸収性コアを具備する下帯部材（吸収性本体）の幅方向両側縁よりも内側に、破断誘導線が形成されている。そのため、着用者はファスニングテープを係合する際に下帯部材を持つことになるが、下帯部材は、おむつの背丈方向（上下方向）に長く後側まで連続するため持ち難い。また、着用者は、ファスニングテープを係合する際に、下帯部材の部分を太腿の前側まで引っ張ってくる必要があり、装着が難しい。或いは、太腿の間で不安定な下帯部材の部分にファスニングテープを係合しなければならない。このように、テープ型としても使用可能なパンツ型吸収性物品を着用者が自分で装着する場合の装着しやすさについては、改良の余地がある。

　第３の課題は以下の通りである。特許文献２には、上記のようなテープ型としても使用可能なパンツ型吸収性物品を、着用者がパンツ型の形態のまま着脱することで、高齢者等が自分でパンツを穿くリハビリ用に適していると記載されている。一方、パンツ型吸収性物品をテープ型にすることで、介助者が軽便におむつ交換できると記載されている。　
　しかし、テープ型としても使用可能なパンツ型吸収性物品を、着用者自身がテープ型にして装着することも可能である。その場合、着用者は、破断誘導線で切り離した胴回り部材を片側の太腿に巻き付けつつ、胴回り部材の切り離し部分を太腿の前側まで引っ張ってきて、太腿の上でファスニングテープ（係合部材）を係合する装着方法が想定される。そうすることで、ファスニングテープを安定して係合できる。
　ただし、着用者が、便器に座った状態、或いは、便器の近くにおいて中腰で立った状態で、片側の太腿にパンツ型吸収性物品を巻き付けた際に、太腿から垂れ下がったパンツ型吸収性物品の部位が便器に接触する恐れがある。そうすると、パンツ型吸収性物品の衛生状態が低下してしまう。

　本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、テープ型としても使用可能であり、着用者が自分で装着する場合にも衛生状態を良好に保って使用可能なパンツ型吸収性物品を提供することにある。

　上記第１の課題を達成するための主たる発明は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、吸収性本体と、前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された、前胴回り部及び後胴回り部を備え、前記左右方向に伸縮する胴回り部材と、前記前胴回り部の非肌側面に取り外し可能に係合する係合部材と、を有し、前記前胴回り部及び前記後胴回り部が接合された成人用のパンツ型吸収性物品であって、前記係合部材は、前記前胴回り部に接合されており、前記前胴回り部の前記左右方向の両側縁の間において、前記前胴回り部は、平面視において、前記係合部材と重なる重なり領域の少なくとも一部に、周囲よりも弾性係数が大きい高弾性部を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品である。　

　上記第２の課題を達成するための主たる発明は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、吸収性本体と、前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備え、前記左右方向に伸縮する胴回り部材と、前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部材と、を有し、前記前胴回り部及び前記後胴回り部が一対の接合部にて接合された成人用のパンツ型吸収性物品であって、前記係合部材は、前記左右方向の一方側の前記接合部において前記胴回り部材に接合されており、前記左右方向の位置が前記係合部材と重複する、前記前胴回り部の部位の、前記上下方向の最小長さは、８０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下であり、前記左右方向の前記一方側の前記接合部の前記上下方向の長さは、１００ｍｍ以上１６０ｍｍ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品である。　

　上記第３の課題を達成するための主たる発明は、互いに交差する縦方向と幅方向と前後方向とを有し、吸収性コアを備える吸収性本体と、前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備える胴回り部材と、前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部を備える係合部材と、を有する成人用のパンツ型吸収性物品であって、前記係合部の前記縦方向の一方側の端の、前記幅方向の中心と、前記係合部の前記縦方向の他方側の端の、前記幅方向の中心と、を繋ぐ中心線が、水平となるように、前記パンツ型吸収性物品を保持したときに、前記吸収性コアの最下端は、前記パンツ型吸収性物品の最下端よりも上側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品である。
　本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。

　第１の課題に対する本発明の効果は、テープ型としても使用可能であり、着用者による装着性の良いパンツ型吸収性物品を提供することができる。

　第２の課題に対する本発明の効果は、テープ型としても使用可能であり、着用者による装着性の良いパンツ型吸収性物品を提供することができる。

　第３の課題に対する本発明の効果は、テープ型としても使用可能であり、着用者が自分で装着する場合にも衛生状態を良好に保って使用可能なパンツ型吸収性物品を提供できる。

ナプキン１の概略斜視図である。展開かつ伸長状態のナプキン１を厚さ方向の肌側から見た概略平面図である。図２のＡ－Ａ断面模式図である。図４Ａ及び図４Ｂは、ナプキン１を胴回り開口１ａ側から見た断面模式図である。切り取り線２５に沿って前胴回り部２０ｆを後胴回り部２０ｂから分離させた状態のナプキン１の展開平面図である。図６Ａ～図６Ｃは、着用者がナプキン１を装着する方法の一例を説明する図である。図７Ａ～図７Ｄは、着用者がナプキン１を装着する方法の一例を説明する図である。パンツ型のナプキン１を前側から見た正面図である。パンツ型のナプキン１を前側から見た正面図である。切り取り線２５に沿って分離させた後、タブ３０を係合させた状態のナプキン１を前側から見た正面図である。展開かつ伸長状態のナプキン１を厚さ方向の肌側から見た概略平面図である。図１１のＡ－Ａ断面模式図である。図１３Ａ及び図１３Ｂはナプキン１を胴回り開口１ａ側から見た断面模式図である。切り取り線２６に沿って前胴回り部２０ｆを後胴回り部２０ｂから分離させた状態のナプキン１の展開平面図である。図１５Ａ～図１５Ｃは着用者がナプキン１を装着する方法の一例を説明する図である。図１６Ａ～図１６Ｄは着用者がナプキン１を装着する方法の一例を説明する図である。パンツ型のナプキン１を前側から見た正面図である。左右方向の一方側において前胴回り部２０ｆが後胴回り部２０ｂから分離されたナプキン１の正面図である。左右方向の一方側において前胴回り部２０ｆが分離され、タブ３０が外側に開いた状態の後胴回り部２０ｂの一部を示す図である。左右方向の両側において前胴回り部２０ｆが後胴回り部２０ｂから分離されたナプキン１の正面図である。切り取り線２６に沿って前胴回り部２０ｆを後胴回り部２０ｂから分離させた状態のナプキン１の展開平面図である。パンツ型のナプキン１を前側から見た正面図である。係合部３２の縦方向に沿う中心線ＣＬ１１が水平となるようにナプキン１を保持した状態の正面図である。変形例のナプキン１を図２３と同様に保持した状態の正面図である。

　本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
　互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、吸収性本体と、前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された、前胴回り部及び後胴回り部を備え、前記左右方向に伸縮する胴回り部材と、前記前胴回り部の非肌側面に取り外し可能に係合する係合部材と、を有し、前記前胴回り部及び前記後胴回り部が接合された成人用のパンツ型吸収性物品であって、前記係合部材は、前記前胴回り部に接合されており、前記前胴回り部の前記左右方向の両側縁の間において、前記前胴回り部は、平面視において、前記係合部材と重なる重なり領域の少なくとも一部に、周囲よりも弾性係数が大きい高弾性部を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品である。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用前に、一方の手で係合部材を持って左右方向の外側に広げ、前胴回り部のうち、広げる前に係合部材が重なっていた重なり領域に相当する部位を他方の手で持った状態で、互いに分離させるように左右方向外側へ引っ張る力を加えると、高弾性部は伸びにくいため、前胴回り部が該高弾性部で破れ易くなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前胴回り部は、前記係合部材と前記左右方向に重なる領域の少なくとも一部において、前記上下方向の上側縁を含む上側領域、もしくは下側縁を含む下側領域に前記高弾性部を有することが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、前胴回り部の上側縁もしくは下側縁は、前胴回り部を破る動作が行われる際に引き裂きの開始点となる部位である。高弾性部は伸びにくく破れ易い部分であるため、上側縁を含む上側領域、又は下側縁を含む下側領域がそのような高弾性部を有することで、引き裂きの開始点が破れ易くなり、着用者は破く動作をスムーズに行うことができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、自然状態において、前記前胴回り部と前記係合部材とが前記左右方向に重なる領域における前記前胴回り部の前記上下方向の長さの最小値は、８０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下であることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、前胴回り部の上下方向の長さを１５０ｍｍ以下とすることで、着用者が前胴回り部を破り易くなる。前胴回り部の上下方向の長さが短すぎると、着用者の体を覆う面積が小さくなりすぎて不安を煽る虞があるが、上下方向の長さを８０ｍｍ以上とすることでそのような不安を抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前胴回り部の前記高弾性部には、前記上下方向に長さを有する切り取り線が設けられていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、高弾性部は伸びにくく破れ易い部分であるため、そのような高弾性部に切り取り線を設けることで、前胴回り部をより破り易くなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前胴回り部及び前記後胴回り部それぞれの前記左右方向の両側部が一対の接合部にて接合され、自然状態において、前記上下方向における前記接合部の長さは、前記切り取り線の長さよりも長いことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、切り取り線の長さの方が短いことにより、破る際に一定の力をかけたときに接合部にかかる単位長さ当たりの力よりも、切り取り線部分にかかる単位長さ当たりの力の方が大きくなる。それにより、切り取り線部分を破り易くなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記係合部材は、前記前胴回り部の非肌側面に係合する係合部を有し、前記切り取り線に沿って前記前胴回り部の腹側当接部が前記後胴回り部から分離される前の状態において、前記係合部は、前記左右方向において前記切り取り線よりも内側に位置していることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、係合部よりも左右方向内側に切り取り線がある場合、破いた後で係合部材を取り付ける領域が減ってしまい、また、破かずに使用する場合であっても、着用時に製品を引き上げたときに切り取り線で破け易くなってしまう。
係合部が切り取り線よりも左右方向内側に位置していることにより、胴回りのサイズレンジを広く取ることができ、また、破かずに使用する場合の製品の引き上げ時における破断も抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記切り取り線に沿って前記前胴回り部の腹側当接部が前記後胴回り部から分離される前の状態において、前記係合部材は、前記切り取り線の少なくとも一部を覆うように配置され、前記切り取り線の上端は前記係合部材の上端よりも上側、或いは、前記切り取り線の下端は前記係合部材の下端よりも下側に位置することが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、係合部材を開く前に切り取り線を視認できることによって、使用者は、どの位置で前胴回り部を破くべきか判断し易くなり、操作性を向上することができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、自然状態において、前記高弾性部は、前記切り取り線から前記左右方向の内側に向かって１０ｍｍ以上の長さを有することが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、切り取り線で破った後、切り取り線よりも内側に配置されている高弾性部の部分は、係合部材と前胴回り部とを係合するときのつまみとなる部位である。当該つまみとなる部位が変形しにくい高弾性部であると丸まりにくく、着用者はつまみやすくなる。また、つまむ部分として親指の幅以上あることで、よりつまみ易くなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記左右方向において、前記係合部の内側端から前記係合部材の内側端までの長さは、５ｍｍ以上５０ｍｍ以下であることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、係合部の内側端から係合部材の内側端までの長さを５ｍｍ以上とすることで、指先で係合部の内側端よりも内側をつまんで、前胴回り部からタブ３０を剥離しやすくなる。一方、長さを５０ｍｍ以下とすることで、係合部材をつまんだ位置から切り取り線までの距離が長くなり過ぎず、切り取り線に沿って前胴回り部を破るときの操作性の低下を防ぐことができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記パンツ型吸収性物品は、一対の前記係合部材を有し、一対の前記係合部材は、それぞれ、前記左右方向の両側において前記前胴回り部に接合され、前記前胴回り部は、平面視において、一対の前記係合部材と重なる前記左右方向の両側の重なり領域のそれぞれの少なくとも一部に前記高弾性部を有し、前記前胴回り部の前記左右方向の両側の前記高弾性部の間には、前記高弾性部よりも弾性係数が小さい低弾性部が連続して設けられていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、左右にある伸びにくい高弾性部間に伸び易い低弾性部を設けることで、吸収性物品の胴回り部のフィット性を向上させることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記係合部材は、前記前胴回り部の非肌側面に係合する係合部を有し、前記係合部が前記前胴回り部に係合した状態、且つ、平面視において、前記低弾性部は、前記係合部の少なくとも一部と重なる部分を有することが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、係合部は、変形しにくい高弾性部よりも変形しやすい（伸縮しやすい）低弾性部の部分に係合しやすいため、係合する際に低弾性部が係合部の少なくとも一部と重なる部分を有することで、着用者は係合部をより係合しやすくなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記左右方向における前記係合部材の最大長さは、２０ｍｍ以上１２０ｍｍ以下であることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、上述の範囲の最大長さを有することで、係合部材を手で持って開き、前胴回り部を破いた後に、手を持ち替えることなく前胴回り部に係合しやすくなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前胴回り部は、前記左右方向の一方側の端部において、前記上下方向に長さを有する切り取り線を有し、前記切り取り線に沿って前記前胴回り部の腹側当接部を前記後胴回り部から分離した後、前記係合部材を前記前胴回り部の非肌側面に係合させた状態において、前記係合部材は、前記前胴回り部の下側縁よりも前記上下方向の下側に突出する突出部を有することが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、係合部材と重なる部分において、前胴回り部の下側縁が係合部材の突出部によって隠れることにより、破った後の前胴回り部の端（下側縁）が見えにくくなる。よって、より下着らしい外観に近づけることができる。

　互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、吸収性本体と、前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備え、前記左右方向に伸縮する胴回り部材と、前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部材と、を有し、前記前胴回り部及び前記後胴回り部が一対の接合部にて接合された成人用のパンツ型吸収性物品であって、前記係合部材は、前記左右方向の一方側の前記接合部において前記胴回り部材に接合されており、前記左右方向の位置が前記係合部材と重複する、前記前胴回り部の部位の、前記上下方向の最小長さは、８０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下であり、前記左右方向の前記一方側の前記接合部の前記上下方向の長さは、１００ｍｍ以上１６０ｍｍ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、テープ型で装着される場合に、腹側当接部の上下方向の長さが比較的に短く、着用者が腹側当接部を持ちやすくなる。また、接合部の上下方向の長さの範囲を腹側当接部よりも若干長くすることで、着用者が胴回り部材を太腿に巻き付ける際に、パンツ型吸収性物品の後方部全体を引き上げやすくなる。

　また、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、吸収性本体と、前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備え、前記左右方向に伸縮する胴回り部材と、前記胴回り部材の前記左右方向の一方側に設けられ、前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部材と、を有し、前記前胴回り部及び前記後胴回り部が一対の接合部にて接合されたパンツ型吸収性物品であって、前記左右方向の一方側の前記接合部の内側端に沿って前記前胴回り部の腹側当接部が前記後胴回り部から分離された状態、かつ、自然状態において、前記左右方向における前記腹側当接部の前記一方側の端から他方側の前記接合部の内側端までの長さは、前記左右方向における前記後胴回り部の前記一方側の端から前記他方側の前記接合部の内側端までの長さよりも長いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、テープ型で装着される場合に、腹側当接部の左右方向の長さが長くなりやすく、着用者が胴回り部材を太腿に巻き付ける際に、太腿の前側まで腹側当接部を引っ張りやすくなる。一方、後胴回り部の左右方向の長さが短くなりやすく、太腿に胴回り部材が巻き付けられる際に、パンツ型吸収性物品が垂れ下がり難く、便器への接触を抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前胴回り部は、前記左右方向の前記一方側の端部において、前記上下方向に長さを有する切り取り線を有し、前記切り取り線に沿って前記前胴回り部の腹側当接部が前記後胴回り部から分離された状態、かつ、自然状態において、前記左右方向における前記腹側当接部の前記一方側の端から他方側の前記接合部の内側端までの長さは、前記左右方向における前記後胴回り部の前記一方側の端から前記他方側の前記接合部の内側端までの長さよりも長いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体は吸収性コアを備え、前記切り取り線に沿って前記前胴回り部の腹側当接部が前記後胴回り部から分離され、前記係合部材が前記左右方向の前記一方側に広げられた状態、かつ、自然状態において、前記左右方向における前側の前記吸収性コアの前記一方側の端から前記腹側当接部の前記一方側の端までの長さは、５０ｍｍ以上２００ｍｍ以下であり、前記左右方向における後側の前記吸収性コアの前記一方側の端から前記係合部材の前記一方側の端までの長さは、１００ｍｍ以上３００ｍｍ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、テープ型で装着される場合に、腹側当接部の左右方向の長さが長くなりやすく、着用者が胴回り部材を太腿に巻き付ける際に、太腿の前側まで腹側当接部を引っ張りやすくなる。一方、左右方向の外側に開いた係合部材、及び、後胴回り部の左右方向の長さが短くなりやすく、太腿に胴回り部材が巻き付けられる際に、左右方向の外側に開いた係合部材の便器への接触を抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記分離された状態、かつ、自然状態において、前記腹側当接部の上端部よりも下端部の方が、前記左右方向の前記一方側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者が胴回り開口側から腹側当接部を持つ手の傾きと、腹側当接部の切れ端の傾きが一致し、着用者が腹側当接部を持ちやすくなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前胴回り部は、前記左右方向の前記一方側の端部において、前記上下方向に長さを有する切り取り線を有し、前記係合部材は、前記前胴回り部に係合する係合部を有し、前記切り取り線に沿って前記前胴回り部の腹側当接部が前記後胴回り部から分離され、前記係合部材が前記左右方向の前記一方側に広げられた状態、かつ、自然状態において、前記腹側当接部から分離された前記前胴回り部の部位は、前記係合部よりも前記左右方向の内側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、接合部側に残っている前胴回り部によって係合部が覆われないため、係合部により係合部材を前胴回り部に係合できる。また、接合部側に残っている前胴回り部と、前胴回り部とが擦れて、後胴回り部や係合部材に対して前胴回り部が位置ずれし難くなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前胴回り部は、前記左右方向に伸縮する伸縮領域と、前記伸縮領域よりも伸縮性の低い低伸縮領域と、前記上下方向に長さを有する切り取り線とを有し、前記低伸縮領域は、前記伸縮領域よりも前記左右方向の前記一方側に配置され、前記切り取り線は、前記左右方向における前記低伸縮領域の両側端の間に配置されていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、切り取り線に沿って前胴回り部を破りやすくなる。腹側当接部の切れ端が低伸縮領域によって丸まり難いので、係合部材を前胴回り部に安定して係合できる。また、腹側当接部の切れ端、及び、接合部側に残っている前胴回り部の部位が、低伸縮領域によって丸まり難いので、着用中の違和感を軽減できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記左右方向の前記一方側の前記接合部の内側端から前記切り取り線までの前記左右方向の長さよりも、前記切り取り線から前記低伸縮領域の前記左右方向の他方側の端までの長さの方が長いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、腹側当接部の丸まり難い端部（低伸縮領域）の左右方向の長さが長いため、着用者が胴回り部材を太腿に巻き付ける際に、太腿の前側まで腹側当接部を引っ張りやすい。また、腹側当接部の丸まり難い端部（低伸縮領域）によって、接合部側に残っている前胴回り部の部位を覆うことができ、着用中の違和感を軽減できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記パンツ型吸収性物品は、前記胴回り部材の前記左右方向の両側に、前記係合部材が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、テープ型で装着される場合に、着用者の両太腿に胴回り部材を巻き付けることができるため、ズボンや靴等を脱がなくても容易に着脱できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材の前記左右方向の両側に、前記係合部材が１つずつ設けられ、前記係合部材は、前記前胴回り部に係合する係合部を１つ有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、前胴回り部に係合部材を係合する動作が容易となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記係合部材は、前記前胴回り部に係合する係合部を有し、前記吸収性本体は、吸収性コアを有し、展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記前胴回り部の上端から前記吸収性コアの前側の上端までの前記上下方向の長さは、前記係合部の前記上下方向の長さよりも長いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、係合部材を前胴回り部に係合する際に、係合部と吸収性コアが上下方向にずれて位置しやすい。よって、吸収性コアにより胴回り部材の伸縮性が低下していない領域に係合部を係合でき、係合部材の係合強度が高まる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記後胴回り部の上端から前記吸収性コアの後側の上端までの前記上下方向の長さは、前記係合部の前記上下方向の長さよりも短いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性コアにより後胴回り部の上端部の剛性が高まるため、太腿に胴回り部材が巻き付けられる際に、後胴回り部が垂れ下がり難く、便器への接触を抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記係合部材は、前記前胴回り部の非肌側面に係合する係合部を有し、前記前胴回り部の非肌側面の色と、前記係合部材の非肌側面の色は、同系色であり、前記係合部材は、前記係合部が配された領域において、前記係合部材が厚さ方向に圧搾されている複数の圧搾部を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、外観が向上する。また、係合部材の非肌面側（外側）から係合部の位置が分かりやすくなり、前胴回り部に係合部材を係合しやすくなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記係合部材の上端及び下端の少なくとも一方は、前記左右方向の内側に向かうにしたがって、前記係合部材の前記上下方向の中心に向かって傾斜した傾斜部を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、係合部材の自由端部が先細りした形状となり、着用者が係合部材を持ち易くなる。また、呼吸時や脚上げ時等に係合部材が着用者に接触し難く、着用中の違和感を軽減できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記上下方向における前記パンツ型吸収性物品の一方側の端から中心までの長さが、２００ｍｍ以上３５０ｍｍ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、上下方向の長さが短いため、胴回り部材が太腿に巻き付けられる際に、パンツ型吸収性物品が垂れ下がり難く、便器への接触を抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記係合部材は、前記前胴回り部に係合する係合部を有し、前記左右方向における前記一方側の前記接合部の内側端の位置において、前記係合部材の上下方向の長さは、前記前胴回り部の前記上下方向の長さよりも長く、前記左右方向の位置が前記係合部と重複する、前記前胴回り部の部位の、前記上下方向の最小長さは、前記係合部の前記上下方向の最大長さよりも長いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、テープ型で装着される場合に、前胴回り部の上下方向の長さが短く、着用者が前胴回り部を持ちやすくなる。一方、係合部材の上下方向の長さが長いため、着用者が胴回り部材を太腿に巻き付ける際に、太腿の後側からパンツ型吸収性物品の後方部全体を引き上げやすくなる。また、係合部の上下方向の全域を前胴回り部に係合できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、少なくとも前記左右方向の位置が前記吸収性本体と重複する領域において、前記左右方向に伸縮する伸縮領域を連続して有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者が胴回り部材を太腿に巻き付ける際に、前胴回り部を太腿の前側に引っ張りやすくなる。胴回り部材が太腿に巻き付けられる際に、後胴回り部が垂れ下がり難く、便器への接触を抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記左右方向における前記係合部材の最大長さは、２０ｍｍ以上１２０ｍｍ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、係合部材の左右方向の長さが短すぎないため、着用者が係合部材を持ちやすい。係合部材の左右方向の長さが長すぎないため、係合部材が外側に広がっても、便器に接触し難い。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体は、吸収性コアを有し、前記係合部材は、前記前胴回り部に係合する係合部を有し、前記吸収性コアよりも前記左右方向の前記一方側に前記係合部が位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性コアと厚さ方向に重ならず、前胴回り部の伸縮性が低下していない領域に、係合部が係合されやすいため、係合部材の係合強度が高まる。

　互いに交差する縦方向と幅方向と前後方向とを有し、吸収性コアを備える吸収性本体と、前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備える胴回り部材と、前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部を備える係合部材と、を有する成人用のパンツ型吸収性物品であって、前記係合部の前記縦方向の一方側の端の、前記幅方向の中心と、前記係合部の前記縦方向の他方側の端の、前記幅方向の中心と、を繋ぐ中心線が、水平となるように、前記パンツ型吸収性物品を保持したときに、前記吸収性コアの最下端は、前記パンツ型吸収性物品の最下端よりも上側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、吸収性コアの最下端が製品の最下端となる場合に比べて、吸収性コアが垂れ下がり難く、パンツ型吸収性物品の便器への接触を抑制できる。よって、パンツ型吸収性物品の衛生状態を良好に保つことができる。

　また、互いに交差する縦方向と幅方向と前後方向とを有し、吸収性コアを備える吸収性本体と、前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備える胴回り部材と、前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部を備える係合部材と、を有し、２つ折り部にて前記前後方向に２つ折りされている成人用のパンツ型吸収性物品であって、前記係合部の前記縦方向の一方側の端の、前記幅方向の中心と、前記係合部の前記縦方向の他方側の端の、前記幅方向の中心と、を繋ぐ中心線が、水平となるように、前記パンツ型吸収性物品を保持したときに、前側の前記吸収性コアが有する前記幅方向の両側端のうち上側に位置する側端と、前記２つ折り部とが、交差する点を通る水平ラインから、前記パンツ型吸収性物品の最下端までの、鉛直方向の長さの方が、前記水平ラインか
ら前記パンツ型吸収性物品の最上端までの前記鉛直方向の長さよりも短いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、太腿の下（水平ライン）から垂れ下がるパンツ型吸収性物品の長さが短くなり、パンツ型吸収性物品の便器への接触を抑制できる。

　互いに交差する縦方向と幅方向と前後方向とを有し、吸収性コアを備える吸収性本体と、前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備える胴回り部材と、前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部を備える係合部材と、を有する成人用のパンツ型吸収性物品であって、前側の前記吸収性本体は、前記縦方向の一方側の端の、前記幅方向の中心である第１中心と、前側の前記吸収性本体を前記縦方向に二分する中央線の、前記幅方向の中心である第２中心と、前記縦方向の他方側の端の、前記幅方向の中心である第３中心と、を有し、前記係合部の前記縦方向の一方側の端の、前記幅方向の中心と、前記係合部の前記縦方向の他方側の端の、前記幅方向の中心と、を繋ぐ中心線が、水平となるように、前記パンツ型吸収性物品を保持したときに、前記第１中心と前記第２中心を繋ぐ線の水平方向に対する傾きと、前記第２中心と前記第３中心を繋ぐ線の前記水平方向に対する傾きとが、同一であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、縦方向における吸収性本体の股下側の部位が胴回り側の部位に対して折れ難い。よって、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、吸収性本体（吸収性コア）が垂れ下がり難く、吸収性本体の便器への接触を抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記中心線が水平となるように保持された前記パンツ型吸収性物品を前側から視認したときに、前記幅方向における前記吸収性本体の一対の側端のうちの下側の側端よりも下側に、後側の前記吸収性本体の肌側面が視認されることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付けた後に、太腿の間に吸収性本体を引き上げやすくなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記中心線が水平となるように保持された前記パンツ型吸収性物品を前側から視認したときに、前記幅方向における前記吸収性本体の一対の側端のうちの上側の側端よりも上側に、後側の前記吸収性本体の肌側面が視認されることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、便器に接触しやすい後側の吸収性本体を上側に位置させることができ、パンツ型吸収性物品の便器への接触をより抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記幅方向において前記係合部材の反対側の位置に他の係合部材が設けられており、前記中心線が、水平となるように、前記パンツ型吸収性物品を保持したときに、前記他の係合部材が備える係合部は、前記パンツ型吸収性物品の最下端よりも上側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付けた後に、反対側の係合部材（他の係合部材）が視認されやすいため、着用者は、反対側の係合部材を開いて前胴回り部を破る次の動作に移行しやすくなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記幅方向において前記係合部材の反対側の位置に他の係合部材が設けられており、前記中心線が、水平となるように、前記パンツ型吸収性物品を保持したときに、前記係合部材が備える前記係合部の前記縦方向における胴回り側の端を通る鉛直線に対して、前記他の係合部材が備える係合部の少なくとも一部が、胴回り側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付けた後に、反対側の係合部材（他の係合部材）が着用者の近くに位置する。そのため、反対側の係合部材が視認されやすく、また、着用者が太腿の下から反対側の係合部材を掴みやすくなる。

　また、互いに交差する縦方向と幅方向と前後方向とを有し、吸収性コアを備える吸収性本体と、前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備える胴回り部材と、前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部を備える係合部材と、を有する成人用のパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性コアが配されている前記パンツ型吸収性物品の部位の体積が１００ｃｍ^３以上２５０ｃｍ^３以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性コアの質量や寸法を小さくすることができ、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、吸収性コアが垂れ下がり難く、パンツ型吸収性物品の便器への接触を抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性コアの幅が５０ｍｍ以上１００ｍｍ未満であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、排泄液の漏れを抑制しつつ、吸収性コアの体積を小さくすることができ、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、パンツ型吸収性物品の便器への接触を抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記吸収性コアが配されている部位の前記パンツ型吸収性物品の厚みが５．５ｍｍ未満であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性コアの体積を小さくすることができ、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、パンツ型吸収性物品の便器への接触を抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性コアの質量が１０ｇ以上４０ｇ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記係合部材が備える前記係合部は、前側の前記吸収性本体よりも前記幅方向の外側の位置に設けられていることと、前側の前記吸収性本体よりも前記縦方向の胴回り側の位置に設けられていることと、のうちの少なくとも一方であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、係合部材を取り外す際に吸収性本体の破損を防止できる。また、吸収性本体により伸縮性が低下していない前胴回り部の部位に係合部を係合でき、係合強度を高めることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材の前記幅方向の一方側に、前記係合部を１つ有する前記係合部材が１つ設けられ、前記胴回り部材の前記幅方向の他方側に、係合部を１つ有する他の係合部材が１つ設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、係合部材を前胴回り部に容易に係合することができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前胴回り部は、前記縦方向に長さを有する切り取り線を有し、前記切り取り線に沿って前記前胴回り部が前記縦方向に破られていない状態において、前記前胴回り部の非肌面側から前記係合部材が視認可能であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、係合部材が着用者に認識されやすく、パンツ型吸収性物品がテープ型としても利用されやすくなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前胴回り部は、少なくとも前記幅方向の位置が前記吸収性本体と重複する領域において、前記幅方向に伸縮する伸縮領域を連続して有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、前胴回り部を着用者にフィットさせつつ、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、前側のパンツ型吸収性物品の垂れ下がりを抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前胴回り部及び前記後胴回り部それぞれの前記幅方向の両側部が一対の接合部にて接合されており、前記後胴回り部は、前記幅方向における前記一対の接合部間の領域において、前記幅方向に伸縮する伸縮領域を連続して有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、後胴回り部を着用者にフィットさせつつ、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、後側のパンツ型吸収性物品の垂れ下がりを抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記縦方向における前記パンツ型吸収性物品の一方側の端から中心までの長さが、２００ｍｍ以上３５０ｍｍ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、成人の着用者の身体に応じたサイズとしつつ、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、パンツ型吸収性物品の垂れ下がりを抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体は、前記吸収性本体の長手方向に沿って伸縮する吸収体弾性部材を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性本体を着用者の股下部にフィットさせつつ、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、吸収性本体の便器への接触を抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記パンツ型吸収性物品は、前記前胴回り部及び前記後胴回り部の少なくとも一方から、前記縦方向の股下側に延出する延出部材を有し、前記延出部材は、前記幅方向に伸縮する伸縮領域を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、延出部材の便器への接触をより抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記後胴回り部は、その非肌側面を形成する非肌側シートを有し、前記縦方向における前記非肌側シートの胴回り側の端部は、肌側に折り返されており、前記吸収性本体の前記縦方向の端部を肌側から覆っていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、後胴回り部の胴回り側の端部の剛性が高まるため、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、後側のパンツ型吸収性物品の垂れ下がりを抑制できる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体は、前記幅方向の側部において、前記吸収性コアが存在しない領域を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性本体の側部の剛性が低くなるため、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付けた後に、胴回り部材を太腿の周方向に沿って回転しやすくなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前胴回り部及び前記後胴回り部の少なくとも一方は、前記幅方向に伸縮する伸縮領域を有し、前記吸収性本体は、前記幅方向の側部において、前記吸収性本体の長手方向に沿って伸縮する側部弾性部材を有し、前記前胴回り部及び前記後胴回り部の少なくとも一方が有する前記伸縮領域における前記幅方向の応力は、前記側部弾性部材が配置されている領域における前記長手方向の応力よりも大きいことを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、胴回り部材を着用者にフィットさせつつ、着用者が、パンツ型吸収性物品をテープ型にして、太腿に胴回り部材を巻き付ける際に、パンツ型吸収性物品の垂れ下がりを抑制できる。また、吸収体の側部が伸び難いため、着用者が、太腿に胴回り部材を巻き付けた後に、胴回り部材を太腿の周方向に沿って回転しやすくなる。

＝＝＝第１実施形態＝＝＝
　以下、本発明に係るパンツ型吸収性物品の一例として、パンツ型（ショーツ型）ナプキン１（以下では、単に「ナプキン１」とも呼ぶ）について説明する。なお、パンツ型吸収性物品には、パンツ型おむつ等も含まれる。

　＜ナプキン１の基本的構造＞
　図１は、ナプキン１の概略斜視図である。図２は、展開かつ伸長状態のナプキン１を厚さ方向の肌側から見た平面図である。図３は、図２のＡ－Ａ断面模式図である。

　ナプキン１は、図１に示すように、互いに交差（直交）する「上下方向」と「左右方向」と「前後方向」とを有している。また、図３に示すように、各部材が積層された方向である「厚さ方向」を有している。上下方向のうち、着用者がナプキン１を着用した状態において着用者の胴回り側となる方を「上側」とし、着用者の股下側となる方を「下側」とする。また、前後方向のうち、着用時に着用者の腹側となる方を「前側」とし、着用者の背側となる方を「後側」とする。また、厚さ方向のうち、着用者がナプキン１を着用した状態において着用者の肌と接触する側を「肌側」とし、その反対側を「非肌側」とする。

　本実施形態のナプキン１は、経血等の排泄液を吸収する液吸収性の吸収性本体１０と、吸収性本体１０の非肌側に重ねて配置され、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂを備える胴回り部材２０と、胴回り部材２０の左右方向両側に設けられた一対のタブ３０（係合部材に相当）と、を備えている。

　図２に示されるナプキン１の展開状態とは、ナプキン１の左右方向の両側部に設けられている一対のサイド接合部４０を分離し、ナプキン１を開いて平面的に展開した状態である。換言すると、ナプキン１は、図２に示す展開状態から、上下方向における中央位置ＣＬで二つ折りされ、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂそれぞれの左右方向の両側部が一対のサイド接合部４０（接合部）にて接合されてパンツ型となる。サイト接合部４０における接合方法としては熱溶着や超音波溶着等の周知の接合方法が挙げられる。パンツ型のナプキン１（図１）では、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂが環状につながっており、１つの胴回り開口１ａ及び一対の脚回り開口１ｂが形成されている。

　ナプキン１の「伸長状態」とは、ナプキン１が備える各弾性部材（例えば、後述する吸収体弾性部材５０や、肌側シート２２，２３等）を伸長させることにより、ナプキン１全体（製品全体）を皺なく伸長させた状態である。具体的には、ナプキン１を構成する各部材（例えば、後述する非肌側シート２１及び肌側シート２２，２３等）の寸法がその部材単体の寸法（すなわち弾性部材の弾性特性が発現しない状態での寸法）と一致又はそれに近い寸法になるまで伸長させた状態のことを言う。なお、本実施形態において、吸収性本体１０部分を比較する場合には、タブ３０の係合をといた状態（剥離させた状態）、且つパンツ型の状態（切り取り線２５で破る前の状態）で測定及び比較を行うことが好ましい。タブ３０においては、ナプキン１の開封後もしくは係合を解いた状態のどちらで測定を行ってもよい。また、上述の測定方法は一例であって、他の測定方法によって測定してもよい。

　（吸収性本体１０）
　吸収性本体１０は、図２に示すように、その長手方向がナプキン１の上下方向に沿った平面視略長方形状である。そして、図３に示すように、吸収性本体１０は、長手方向（上下方向）に沿った吸収性コア１１と、吸収性コア１１よりも肌側に配置されたトップシート１２と、吸収性コア１１よりも非肌側に配置されたバックシート１３と、を有している。但し、吸収性本体１０が、これ以外のシート部材を備えていても良い。例えば、トップシート１２と吸収性コア１１との厚さ方向の間に、セカンドシート（不図示）を備えていてもよい。

　吸収性コア１１は、経血等の液体を吸収して保持する部材であり、例えば高吸収性ポリマー（ＳＡＰ）が混入したパルプ繊維等の液体吸収性繊維により形成される。なお、吸収性コア１１は、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性のシート部材（コアラップシート）によって、外周面が覆われていても良い。

　トップシート１２は、着用時において着用者の肌に接触し得る液透過性のシート部材であり、例えば親水性のエアスルー不織布やスパンボンド不織布等により形成される。

　バックシート１３は、吸収性コア１１に吸収された経血等の液体が外部に漏れ出すことを抑制するための液不透過性シート１３ａと、液不透過性シート１３ａの非肌側に配置された疎水性シート１３ｂと、を備えた二層構造で形成されている。液不透過性シート１３ａとしては、例えば樹脂フィルム等が用いられ、疎水性シート１３ｂとしては、例えば柔軟性を有する不織布等が用いられる。但し、疎水性シート１３ｂは必ずしも設けられていなくても良く、液不透過性シート１３ａのみによってバックシート１３が構成されていても良い。

　また、吸収性本体１０の左右方向両側に不図示の防漏壁部が設けられていても良い。防漏壁部は、所謂立体ギャザーに相当する部位であり、ナプキン１の着用時には、該防漏壁部が、吸収性本体１０の左右方向の両側から着用者の肌側に起立することにより、経血等の排泄液が吸収性本体１０の外側に漏出することを抑制する。

　また、吸収性本体１０には、その長手方向に沿って伸縮する吸収体弾性部材５０が複数設けられている。吸収体弾性部材５０は、例えば糸ゴムによって構成され、本実施形態では、液不透過性シート１３ａと疎水性シート１３ｂとの間に、長手方向に伸長した状態で配置されている（図３）。本実施形態のナプキン１では、左右方向に所定の間隔を空けて５本の吸収体弾性部材５０が設けられている（図２参照）。吸収体弾性部材５０の伸長倍率は１．４～３．３倍程度とすることが好ましい。なお、伸長倍率は、伸長状態の弾性部材の長さを自然状態の弾性部材の長さで除した値で表される。吸収体弾性部材５０の伸長倍率をある程度強い倍率に設定しておくとよい。そうすることで、後述の図８に示すように、吸収性本体１０が着用者の肌側に持ち上げられ、吸収性本体１０が着用者の股下部（膣口）に密着しやすくなり、排泄液の漏れを抑制できる。

　（胴回り部材２０）
　胴回り部材２０は、複数のシート部材によって構成された外装体であり、少なくとも非肌側シート２１と、肌側シート２２，２３とを備えている（図３参照）。また、以下の説明では、胴回り部材２０のうち、長手方向において、中央位置ＣＬよりも前側（腹側）の部分を前胴回り部２０ｆ、中央位置ＣＬよりも後側（背側）の部分を後胴回り部２０ｂとも呼ぶ。前胴回り部２０ｆは、ナプキン１の着用時に、着用者の身体の腹側に当たる部位である。また、後胴回り部２０ｂは、ナプキン１の着用時に、着用者の身体の背側に当たる部位である。

　非肌側シート２１は、ナプキン１の最も非肌側に配置される非伸縮性のシート部材であり、例えばスパンボンド不織布やＳＭＳ不織布等により形成される。本実施形態の非肌側シート２１は、図２で示されるように、縦方向の中央部において左右方向内側に向かって括れた形状を有している。

　肌側シート２２は、長手方向の前側（腹側）において非肌側シート２１の肌側に積層された伸縮性を有するシート部材である。肌側シート２２は、例えば、伸縮性不織布により形成される。「伸縮性不織布」とは、伸縮性を有する伸縮性繊維、及び伸縮性繊維よりも収縮性の低い伸長性繊維を含み、ギア延伸等の適宜な延伸処理が施された不織布である。
本実施形態の肌側シート２２は、伸縮性繊維として、弾性を有する熱可塑性エラストマーの一種であるポリウレタン系エラストマーの繊維を用いることが可能であり、伸長性繊維として、非弾性を有する熱可塑性樹脂の一種であるポリオレフィン系樹脂のポリプロピレン（ＰＰ）の繊維を用いることが可能である。

　肌側シート２２は、点在する複数のシート接合部（不図示）によって非肌側シート２１と接合されており、これにより、前胴回り部２０ｆに、少なくとも左右方向に沿った伸縮性が付与される。本実施形態において、シート接合部は、超音波溶着等の公知の接合手段を用いて形成される。

　肌側シート２３は、長手方向の後側（背側）において非肌側シート２１の肌側に積層された伸縮性を有するシート部材である。肌側シート２３は、肌側シート２２と同様の構成を有している。すなわち、肌側シート２３は、伸縮性不織布によって形成され、点在する複数のシート接合部（不図示）によって非肌側シート２１と接合されている。これにより、後胴回り部２０ｂに、少なくとも左右方向の伸縮性が付与される。

　なお、胴回り部材２０を構成するシート部材として、非肌側シート２１及び肌側シート２２，２３以外の他のシート部材が設けられていても良い。例えば、胴回り部材２０は、伸縮性の肌側シート２２，２３のさらに肌側に、非伸縮性不織布が配置され、伸縮不織布が非伸縮不織布によって挟まれた３層構造であっても良い。また、３層構造である場合は、肌側シート２２，２３が伸縮フィルムであってもよい。また、非肌側シート２１が前側と後側とで分離されていてもよい。その場合、前側の非肌側シート２１と後側の非肌側シート２１の間で、バックシート１３の非肌側面が露出していてもよいし、前側の非肌側シート２１と後側の非肌側シート２１を繋ぐ別体の非肌側シートが股下部に設けられていてもよい。

　（タブ３０）
　ナプキン１は、胴回り部材２０の左右方向の両側部において、前胴回り部２０ｆの非肌側面に取り外し可能に係合する一対のタブ３０（係合部材）を有する。なお、図２では、肌側から見たナプキン１において、前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合されているタブ３０を仮想的に示している。タブ３０は、基材シート３１と、係合部３２と、を有している。基材シート３１は、不織布等からなるシート部材である。基材シート３１の左右方向の外側端部が、サイド接合部４０によって胴回り部材２０に接合されている。つまり、サイド接合部４０によって、前胴回り部２０ｆと、後胴回り部２０ｂと、タブ３０とが一体的に接合されている。但し、サイド接合部４０とは異なる部位にてタブ３０が胴回り部材２０に接合されていてもよい。

　係合部３２は、左右方向においてサイド接合部４０で接合されている側とは反対側の基材シート３１の端部に設けられている。また、係合部３２は、基材シート３１の肌側面に設けられ、前胴回り部２０ｆの非肌側面と対向し、前胴回り部２０ｆの非肌側面に取り外し可能に係合する部材である。係合部３２としては、非肌側シート２１を構成する繊維に引っ掛かる突起（フック部材）を備えた面ファスナーの雄部材を例示できる。なお、非肌側シート２１の非肌側面に係合部３２が係合しやすい部材（例えば面ファスナーの雌部材）が設けられていてもよい。

　＜ナプキン１の装着方法について＞
　図４Ａ及び図４Ｂは、ナプキン１を胴回り開口１ａ側から見た断面模式図である。図４Ａはパンツ型で使用されるナプキン１の図であり、図４Ｂはテープ型で使用されるナプキン１の図である。図５は、切り取り線２５に沿って前胴回り部２０ｆを後胴回り部２０ｂから分離させた状態のナプキン１の展開平面図である。

　ナプキン１は、パッケージから取り出された初期状態においては、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂが環状で繋がれたパンツ型（図４Ａ）である。そのため、着用者は、ナプキン１をパンツ型のままで着脱することが可能である。

　また、ナプキン１の前胴回り部２０ｆは、左右方向の両側の端部において、上下方向に長さを有する切り取り線２５を有する。そのため、切り取り線２５に沿って前胴回り部２０ｆを上下方向に破り、前胴回り部２０ｆの一部を後胴回り部２０ｂから分離できる。分離後のナプキン１は、図５に示すように、後胴回り部２０ｂから一対のタブ３０が左右方向の両外側に延出したテープ型となる。そのため、着用者は、ナプキン１をテープ型にして着脱することも可能である。

　以下の説明では、左右方向の少なくとも片側が後胴回り部２０ｂから分離された前胴回り部２０ｆの部位を「腹側当接部２０ｆＡ」とも呼ぶ。また、後胴回り部２０ｂから分離されずに、サイド接合部４０側に残っている前胴回り部２０ｆの部位を「非分離部２０ｆＢ」とも呼ぶ。

　図６Ａ～図６Ｃ、及び、図７Ａ～図７Ｄは、着用者がナプキン１を装着する方法の一例を説明する図である。ナプキン１の着用対象者は一般にナプキン１を自分で着脱する。また、着用者は、図６Ｃ等に示すように不図示の便器等に座った状態、又は立った状態（中腰姿勢の状態）で、ナプキン１を着脱する。

　次に、ナプキン１をテープ型で装着する方法の一例を説明する。着用者は、まず、図６Ａに示すように、パンツ型のナプキン１の左右方向の一方側のタブ３０を左右方向の外側（一方側）に開き、切り取り線２５を露出させる。次に、着用者は、図６Ｂに示すように、切り取り線２５に沿って前胴回り部２０ｆの左右方向の一方側の端部を上下方向に破り、前胴回り部２０ｆの一部である腹側当接部２０ｆＡを後胴回り部２０ｂから分離する。
次に、着用者は、図６Ｃに示すように、胴回り部材２０の切り離し部分を太腿の前側まで引っ張ってきて、胴回り部材２０を片側の太腿に巻き付ける。そして、図７Ａに示すように、太腿の上で前胴回り部２０ｆ（腹側当接部２０ｆＡ）の非肌側面にタブ３０（係合部３２）を係合する。

　図７Ａの状態では、サイド接合部４０が太腿の上に位置し、吸収性本体１０（吸収性コア１１）が太腿の間で垂れ下がっている。そのため、着用者は、ナプキン１を太腿の周方向（図７Ａの右太腿上に示す方向）に沿って回転する。そうして、図７Ｂに示すように、サイド接合部４０を自分の脇に位置合わせし、吸収性本体１０を太腿の間に引き上げる。

　次に、図７Ｃに示すように、着用者は、反対側のタブ３０を左右方向の外側に開き、切り取り線２５に沿って前胴回り部２０ｆの左右方向の他方側の端部を上下方向に破り、前胴回り部２０ｆの一部である腹側当接部２０ｆＡを後胴回り部２０ｂから分離する。それと共に、着用者は、ナプキン１が巻き付けられている太腿側に傾いている吸収性本体１０の傾きを、太腿が延びる方向に沿うように直しながら、太腿の間（着用者の幅方向の中心）に吸収性本体１０を位置合わせする。そして、図７Ｄに示すように、胴回り部材２０の切り離し部分を太腿の前側まで引っ張ってきて、反対側の太腿にも胴回り部材２０を巻き付けて、太腿の上で前胴回り部２０ｆの非肌側面にタブ３０を係合する。

　そうすることで、図４Ｂに示すように、切り取り線２５で分離された前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡは、一対のタブ３０によって後胴回り部２０ｂと再び環状につながった状態となる。また、着用者の両太腿がナプキン１の一対の脚回り開口１ｂを通った状態となる。最後に、着用者はナプキン１を引き上げて、ナプキン１の装着が完了する。

　このように、前胴回り部２０ｆの非肌側面に取り外し可能に係合するタブ３０を有することで、着用者は、ナプキン１をテープ型にして使用する場合に、自分の前側においてタブ３０を視認しながら前胴回り部２０ｆにタブ３０を係合できる。よって、着用者が自分でナプキン１を装着する場合の装着性が良い。また、ナプキン１を取り外す場合にも、着用者は自分の前側においてタブ３０を視認しながら前胴回り部２０ｆからタブ３０を取り外すことができる。

　なお、パンツ型のままでナプキン１を装着した場合、パンツ型のままでナプキン１を脱ぐことも可能であるが、切り取り線２５にて前胴回り部２０ｆを破いてナプキン１を取り外すことも可能である。逆に、テープ型の状態にしてナプキン１を装着した場合に、タブ３０を取り外すことなくナプキン１を脱ぐことも可能である。

　本実施形態のナプキン１のように、パンツ型（ショーツ型）ナプキンをテープ型として自分で装着できる仕様にするために、着用者自身が胴回り部材の一部を破いて身体に配置した後、タブを胴回り部に固定する場合、胴回り部材が破きにくいと、着用者が何度も持ち替えて破断を試みる手間が発生する虞や、必要以上の力を加えてナプキンの一部が破損してしまう虞等がある。

　この点につき、本実施形態のナプキン１は、次のような構成を有する。図８及び図９は、パンツ型のナプキン１を前側から見た正面図である。まず、図２及び図５に示すように、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂは、それぞれ、左右方向に伸縮する肌側シート２２，２３、及び、胴回り弾性部材２４を有し、左右方向に伸縮性を有する。つまり、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂの少なくとも左右方向の中央部は、左右方向に伸縮する伸縮する領域（後述する低弾性部２０ＥＡ）によって左右方向に伸縮し、ナプキン１が着用者の胴回りにフィットする。さらに、図８（及び図２，図５）に示すように、前胴回り部２０ｆは、左右方向の両端部に、周囲よりも弾性係数が大きい高弾性部２０ＮＡを有している。本実施形態における高弾性部２０ＮＡは、図９に示すように、前胴回り部２０ｆの左右方向の両側において、側縁２０ｆｅから係合部３２の少なくとも一部と重なる位置まで、且つ、上下方向において前胴回り部２０ｆの上側縁２０ｆｕｐから下側縁２０ｆｄｗまで設けられている。なお、上述の範囲に限らず、高弾性部２０ＮＡは、前胴回り部２０ｆの左右方向の両側縁２０ｆｅ、２０ｆｅの間において、平面視において前胴回り部２０ｆとタブ３０とが重なる重なり領域２０ｆｃ（図８参照）の少なくとも一部に設けられていればよい。

　前胴回り部２０ｆの弾性係数は、例えば、自然状態で前胴回り部２０ｆから高弾性部２０ＮＡと、左右の高弾性部２０ＮＡ間の部分とをそれぞれ切り出してサンプルを作製し、引張試験機（例えば（株）島津製作所製のオートグラフ型引張試験機ＡＧ－１ＫＮ１等）を用いて引張試験を行い、引張弾性率を算出することで求めてもよい。

　本実施形態では、前胴回り部２０ｆの高弾性部２０ＮＡは、前胴回り部２０ｆを構成する肌側シート２２と非肌側シート２１との接合を超音波接合によって行う際、点在する複数のシート接合部（不図示）の接合パターンを高弾性部２０ＮＡと後述する低弾性部２０ＥＡとで異なるようにすることで形成される。具体的に、例えば、高弾性部２０ＮＡにおけるシート接合部の数を多くすることで、肌側シート２２の伸縮性を弱めて高弾性部２０ＮＡを形成してもよい。

　なお、超音波接合に限らず、ヒートシール等の別の接合方法を用いてもよい。また、高弾性部２０ＮＡは、別の方法によって形成されてもよく、一例として、高弾性部２０ＮＡを形成する部分に、不織布等の伸縮性を有さない別のもう一つのシート部材を貼り付け、高弾性部２０ＮＡ部分の肌側シート２２を伸縮しにくくさせることで、弾性係数が大きい高弾性部２０ＮＡを形成してもよい。また、例えば、前胴回り部２０ｆを構成する資材として伸縮性不織布を用いずに、伸縮しない２枚の不織布等のシート部材によって前胴回り部２０ｆを構成し、当該２枚のシート部材の間に糸ゴムからなる左右方向に伸縮する弾性部材を配置し、高弾性部２０ＮＡと低弾性部２０ＥＡとにおいて糸ゴムの太さを変えることによって、所望の弾性係数を有する高弾性部２０ＮＡを形成してもよい。

　ナプキン１をテープ型として使用する場合、着用者は、まず、図６Ｂに示すように、左右方向の外側に広げたタブ３０を一方の手で持ち、前胴回り部２０ｆのうち、図８に示すタブ３０と重なる重なり領域２０ｆｃに相当する部位を他方の手で持ち、互いに分離させるように左右方向外側へ引っ張る力を加える。前胴回り部２０ｆの高弾性部２０ＮＡは、変形しにくい（伸びにくい）性質を有しているため、前胴回り部２０ｆは、高弾性部２０ＮＡの部分で破れ易い。着用者が自分で装着する手順の最初の段階で前胴回り部２０ｆを容易に破ることができることにより、装着性が向上し、スムーズに次の手順に進むことができる。また、反対側のタブ３０を破る際（図７Ｃに示す動作の際）にも、同様に、着用者は、前胴回り部２０ｆを高弾性部２０ＮＡの部分で破り易く、座った状態での装着性も向上する。

　また、本実施形態における前胴回り部２０ｆの高弾性部２０ＮＡは、上下方向において、上側縁２０ｆｕｐから下側縁２０ｆｄｗまで設けられているが、高弾性部２０ＮＡは、タブ３０と左右方向に重なる領域の少なくとも一部において、上側縁２０ｆｕｐを含む上側領域、もしくは下側縁２０ｆｄｗを含む下側領域に前記高弾性部２０ＮＡが設けられている構成でもよい。前胴回り部２０ｆの上側縁２０ｆｕｐもしくは下側縁２０ｆｄｗは、図６Ｂ及び図７Ｃに示すような前胴回り部２０ｆを破る動作が行われる際に、引き裂きの開始点となる部位である。特に、図６Ｂに示すように、製品を取り出して、前胴回り部２０ｆの左右方向の一方側の端部を切り取り線２５に沿って上下方向に破るときは、使用者は、前胴回り部２０ｆの上側縁２０ｆｕｐ側から破ることが多い。そのような場合は、上側縁２０ｆｕｐを含む上側領域に高弾性部２０ＮＡが設けられていると、よりスムーズに破る動作を行いやすくなる。一方、図７Ｃに示すように、座った状態で左右方向の反対側（他方側）の端部を切り取り線２５に沿って上下方向に破るときは、使用者は、前胴回り部２０ｆの下側縁２０ｆｄｗ側から破ることが多い。そのような場合は、下側縁２０ｆｄｗを含む下側領域に高弾性部２０ＮＡが設けられていると、よりスムーズに破る動作を行いやすくなる。

　ナプキン１は、成人用のパンツ型吸収性物品であるが、例えば、介護者にパンツ型吸収性物品を装着してもらう被介護者を着用対象としたパンツ型の使い捨ておむつと比較して、前胴回り部２０ｆの上下方向の長さＬ１（図８）が短い構成である。具体的には、図８に示すように、サイド接合部４０に接合されたタブ３０が左右方向の内側に閉じられた状態で前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合している、自然状態のナプキン１において、前胴回り部２０ｆとタブ３０とが左右方向に重なる領域２０ｆｃにおける前胴回り部２０ｆの上下方向の長さＬ１の最小値は、８０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下とする。

　なお、ナプキン１をパッケージから取り出した初期状態が図８の状態である場合、初期状態、かつ、自然状態のナプキン１にて、測定を行う。初期状態が図８の状態でない場合（例えばタブ３０が折り畳まれている場合等）は、自然状態のナプキン１（自然状態の胴回り部材２０）に対して、サイド接合部４０から左右方向の内側に向かって広げたタブ３０を前胴回り部２０ｆに係合した状態で、測定を行う。

　タブ３０と重なる前胴回り部２０ｆの領域２０ｆｃは、図６Ｂ及び図７Ｃに示すようなタブ３０を開いて前胴回り部２０ｆを破くときに、着用者によって把持されやすい部位である。そのため、領域２０ｆｃの上下方向の長さＬ１を１５０ｍｍ以下とすることで、着用者が前胴回り部２０ｆを破り易くなる。一方、前胴回り部２０ｆの当該長さＬ１を短くし過ぎると、着用者の体を覆う面積が小さくなりすぎて着用者の不安を煽る虞があるが、領域２０ｆｃの上下方向の長さＬ１を８０ｍｍ以上とすることで、そのような不安を抑制できる。

　また、図９に示すように、上下方・BR>・ノ長さを有する切り取り線２５は、前胴回り部２０ｆの高弾性部２０ＮＡに設けられている。切り取り線２５は、着用者が前胴回り部２０ｆを破るときの引き裂きを誘導するラインであり、そのような切り取り線２５を、伸びにくく破れ易い高弾性部２０ＮＡに設けることで、前胴回り部２０ｆをより破り易くなる。

　また、図９に示すように、サイド接合部４０に接合されたタブ３０が左右方向の内側に閉じられた状態で前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合している、自然状態のナプキン１において、上下方向におけるサイド接合部４０の長さＬ２は、切り取り線２５の長さＬ３よりも長い。切り取り線２５の長さの方が短いことにより、図６Ｂ及び図７Ｃに示すような破る動作を行うために一定の力をかけたときに、サイド接合部４０にかかる単位長さ当たりの力よりも、切り取り線２５部分にかかる単位長さ当たりの力の方が大きくなる。よって、前胴回り部２０ｆを破る際に、切り取り線２５に沿って破り易くなる。

　また、図９に示すような、切り取り線２５に沿って前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡが後胴回り部２０ｂから分離される前の状態、且つ、タブ３０が前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合している状態において、係合部３２は、左右方向において切り取り線２５よりも内側に位置している。仮に、切り取り線２５の位置が、左右方向において係合部３２よりも内側に位置する場合、例えば図７Ｃに示す破る動作を行った後で図７Ｄに示す太腿に巻き付けて位置合わせを行う際に、前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡの左右方向の長さが短くなり、タブ３０を取り付ける領域が減ってしまう。つまり、切り離した後で、腹側当接部２０ｆＡ側の切り取り線２５を跨ぐようにタブ３０を左右方向の内側に引っ張り寄せて固定するため、使用できる胴回りのサイズレンジが狭まってしまう。また、破かずにナプキン１を使用する場合であっても、左右方向において係合部３２よりも内側の部分においては、前胴回り部２０ｆが左右方向に伸縮する部位であり、そのような位置に切り取り線２５が設けられると、着用時に製品（ナプキン１）を引き上げた際に切り取り線２５で破け易くなってしまう。よって、本実施形態のように、係合部３２が左右方向において切り取り線２５よりも内側に位置していることで、胴回りのサイズレンジを広く取りつつ、破かずに使用する場合の引き上げ時の破断も抑制することができる。

　また、同様に、切り取り線２５に沿って前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡが後胴回り部２０ｂから分離される前の状態、且つ、タブ３０が前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合している状態において、タブ３０は、切り取り線２５の少なくとも一部を覆うように配置されている。そして、切り取り線２５の上端２５ｕｐは、タブ３０の上端３０ｕｐよりも上側に位置する。タブ３０が前胴回り部２０ｆの切り取り線２５の全てを覆うように配置されていると、着用者は、タブ３０を左右方向の外側に開くまで切り取り線２５の位置を把握できないが、タブ３０を開く前に切り取り線２５の一部を視認できることによって、着用者はどの位置で前胴回り部２０ｆを破くべきか判断しやすくなり、装着性を向上することができる。なお、本実施形態では、切り取り線２５の下端はタブ３０によって覆われていて視認し難いが、切り取り線２５の下端がタブ３０の下端よりも下側に位置していてもよい。そうすることで、同様に、着用者は破くべき位置を判断しやすくなる。

　また、高弾性部２０ＮＡは、前胴回り部２０ｆの側縁２０ｆｅから切り取り線２５よりも左右方向の内側に延在しているが、自然状態において、高弾性部２０ＮＡは、切り取り線２５から左右方向の内側に向かって１０ｍｍ以上の長さ（図９の長さＷ２０）を有していることが好ましい。前胴回り部２０ｆを切り取り線２５に沿って破った後、切り取り線２５よりも内側に配置されている高弾性部２０ＮＡの部分は、着用者がタブ３０を前胴回り部２０ｆ（腹側当接部２０ｆＡ）の非肌面側に係合するときのつまみとなる部位である。高弾性部２０ＮＡは変形しにくいため、当該つまみとなる部分が高弾性部２０ＮＡであることで丸まりにくく、着用者はつまみ易くなる。また、長さＷ２０が１０ｍｍ以上あることで、着用者の親指の幅に近いか、或いは親指の幅以上となり、よりつまみ易くなる。

　着用者が前胴回り部２０ｆからタブ３０を剥離させる（係合を解く）ときには、着用者は、タブ３０の先端側を持って剥離させることが想定される。図９に示すように、左右方向において、係合部３２の内側端３２ｅからタブ３０の内側端３０ｅまでの長さＷ３０は、５ｍｍ以上５０ｍｍ以下であることが好ましい。係合部３２の内側端３２ｅからタブ３０の内側端３０ｅまでの長さＷ３０を５ｍｍ以上とすることで、指先で係合部３２の内側端３２ｅよりも内側をつまんで、前胴回り部２０ｆからタブ３０を剥離しやすくなる。一方、長さＷ３０を５０ｍｍ以下とすることで、タブ３０をつまんだ位置から切り取り線２５までの距離が長くなり過ぎず、切り取り線２５に沿って前胴回り部２０ｆを破るときの操作性の低下を防ぐことができる。

　また、図２に示すように、展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品１において、左右方向におけるタブ３０の最大長さＷ５は、２０ｍｍ以上１２０ｍｍ以下であることが好ましい。タブ３０の左右方向の長さＷ５を２０ｍｍ以上とすることで、着用者がタブ３０を前胴回り部２０ｆに係合する際に、タブ３０を持ち易くなる。一方、タブ３０の左右方向の長さＷ６を１２０ｍｍ以下とすることで、太腿にナプキン１を巻き付けた際に、外側に開いたタブ３０の便器への接触を抑制できる。また、タブ３０の左右方向の長さＷ５を長くし過ぎないことで、着用者は、タブ３０を開いて前胴回り部２０ｆを破いた後に、前胴回り部２０ｆに係合部３２を係合しやすくなるように係合部３２に近い位置にタブ３０を持ち替える必要がなくなる。

　また、本実施形態のタブ３０を構成する基材シート３１は、不織布等であり、実質的にはタブ３０自体が伸縮する要素を備えていない。タブ３０を前胴回り部２０ｆと比較すると、タブ３０は、前胴回り部２０ｆの高弾性部２０ＮＡよりもさらに弾性係数が大きい。
つまり、タブ３０は、高弾性部２０ＮＡよりもより変形しにくい（伸びにくい）。よって、図６Ｂ及び図７Ｃのようにタブ３０と前胴回り部２０ｆとを持って、切り取り線２５に沿って破るときに、タブ３０を引っ張る力が前胴回り部２０ｆの高弾性部２０ＮＡに伝わり易い。

　また、図２に戻り、展開かつ伸張状態であるナプキン１において、上下方向（左右方向に直交する方向であり、吸収性本体１０の長手方向に沿う方向）におけるナプキン１の一方側の端から中心ＣＬまでの長さＬ６が、２００ｍｍ以上３５０ｍｍ以下であることが好ましい。長さＬ６を２００ｍｍ以上とすることで、成人であるナプキン１の着用者のサイズに合わせることができる。一方、長さＬ６を３５０ｍｍ以下とすることで、太腿にナプキン１を巻き付けた際に、ナプキン１が垂れ下がり難く、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。

　本実施形態のナプキン１では、図８に示すように、前胴回り部２０ｆは平面視において、一対のタブ３０と重なる左右方向の両側の重なり領域２０ｆｃのそれぞれの少なくとも一部に高弾性部２０ＮＡ、２０ＮＡを有している。そして、前胴回り部２０ｆの左右方向の両側にある高弾性部２０ＮＡ、２０ＮＡの間には、高弾性部２０ＮＡよりも弾性係数が小さい低弾性部２０ＥＡが連続して設けられている。低弾性部２０ＥＡは、図５に示すように、肌側シート２２及び胴回り弾性部材２４によって左右方向に伸縮する部位である。
低弾性部２０ＥＡを有することで、ナプキン１が着用者の胴回りにフィットする。特に、ナプキン１がテープ型として使用される場合（図４Ｂ）、前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡが後胴回り部２０ｂから分離されるが、一対のタブ３０の間で腹側当接部２０ｆＡが左右方向の両外側に引っ張られ、着用者の胴回りにフィットしやすくなる。また、タブ３０を装着した後に、係合部３２よりも左右方向外側に高弾性部２０ＮＡ、２０ＮＡがそれぞれ設けられている。さらに、該高弾性部２０ＮＡ、２０ＮＡは、タブ３０よりも肌側に存在することとなる。高弾性部２０ＮＡは変形しにくいため、前胴回り部２０ｆの左右方向端部が丸まりにくくなり、そのような高弾性部２０ＮＡが装着時に肌と接する部分であることから、着用者の違和感を低減させることもできる。

　また、タブ３０の係合部３２が前胴回り部２０ｆに係合した状態、且つ、平面視において、低弾性部２０ＥＡは、係合部３２の少なくとも一部と重なる部分を有することが好ましい。係合部３２は、変形しにくい高弾性部２０ＮＡよりも、変形しやすい（伸縮しやすい）低弾性部２０ＥＡの部分に係合しやすい。すなわち、係合部３２が備える繊維に引っ掛かるための突起は、ピンと張った状態に近い部分に引っ掛けるよりも、収縮によって皺が寄っている部分に引っ掛ける方が、引っ掛かりやすい。よって、係合部３２を係合させるときに、低弾性部ＥＡと重なる部分を有することで、着用者は、係合部３２をより係合させやすくなる。

　図１０は、切り取り線２５に沿って分離させた後、タブ３０を係合させた状態のナプキン１を前側から見た正面図である。図１０に示すナプキン１は、切り取り線２５に沿って前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡを後胴回り部２０ｂから分離した後、分離後の腹側当接部２０ｆＡを自然状態で広げてタブ３０を前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合させた状態である。同図に示すように、タブ３０を係合させた状態において、タブ３０は、前胴回り部２０ｆの下側縁２０ｆｄｗよりも上下方向の下側に突出する突出部３０Ｔを有する。テープ型として使用するために、切り取り線２５に沿って前胴回り部２０ｆを破いて、再度タブ３０を係合させた状態においても、タブ３０の突出部３０Ｔによって、前胴回り部２０ｆの下側縁２０ｆｄｗの左右方向の両端が隠れることにより、破った後の前胴回り部２０ｆの端（下側縁２０ｆｄｗ）が見えにくくなる。そうすることで、ナプキン１をより下着らしい外観に近づけることができる。

＝＝＝その他＝＝＝
　上述の実施形態では、胴回り部材２０を構成する肌側シート２２，２３として、伸縮不織布等の伸縮性シートを用いることによって、胴回り部材２０に左右方向の伸縮性を付与していたが、胴回り部材２０に他の伸縮部材が設けられていても良い。例えば、図２のように、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂの上端部に、それぞれ糸ゴム等の胴回り弾性部材２４が左右方向に沿って伸縮可能に設けられていても良い。このような胴回り弾性部材２４が設けられることにより、胴回り開口１ａにおけるフィット性がより高まり、ナプキン１の着用時に、胴回り部材２０の位置ずれを抑制することができる。

　上述の実施形態では、タブ３０が胴回り部材２０の左右方向両側に設けられていたが、片側のみに設けられていても良い。そして、例えば使用時に、そのような片側のみに設けられているタブ３０を引っ張ることで、前胴回り部２０ｆにおいて剛性差が大きいサイド接合部４０の左右方向内側端に沿って容易に引き裂くことができる構成であっても良い。それにより、使用する際に、片側のみ展開可能なパンツ型ナプキンとなる。この場合、サイド接合部４０の左右方向内側端が本実施形態の切り取り線２５として機能するため、ミシン目等は必ずしも設けられなくてもよい。

＝＝＝第２実施形態、及び、第３実施形態＝＝＝
　本実施形態に係るパンツ型吸収性物品の一例として、パンツ型（ショーツ型）ナプキン１（以下、ナプキン１とも呼ぶ）について説明する。なお、パンツ型吸収性物品には、パンツ型おむつやパンツ型吸収パッド等も含まれる。

＜＜＜第２実施形態及び第３実施形態のナプキン１の基本的構造＞＞＞
　図１は、ナプキン１の概略斜視図である。図１１は、展開かつ伸長状態のナプキン１を厚さ方向の肌側から見た概略平面図である。図１２は、図１１のＡ－Ａ断面模式図である。

　ナプキン１は、図１に示すように、互いに交差（直交）する「上下方向（又は縦方向）」と「左右方向（又は幅方向）」と「前後方向」とを有している。また、図１２に示すように、各部材が積層された方向である「厚さ方向」を有している。上下方向（縦方向）のうち、着用者がナプキン１を着用した状態において着用者の胴回り側となる方を「上側」とし、着用者の股下側となる方を「下側」とする。また、前後方向のうち、着用時に着用者の腹側となる方を「前側」とし、着用者の背側となる方を「後側」とする。また、厚さ方向のうち、着用者がナプキン１を着用した状態において着用者の肌と接触する側を「肌側」とし、その反対側を「非肌側」とする。

　本実施形態のナプキン１は、経血等の排泄液を吸収する吸収性本体１０と、前後方向に吸収性本体１０と重ねて配置され（本実施形態では吸収性本体１０の非肌側に配置された）、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂを備える胴回り部材２０と、胴回り部材２０の左右方向（幅方向）の両側に設けられた一対のタブ３０と、を備えている。

　図１１に示されるナプキン１の展開状態とは、ナプキン１の左右方向（幅方向）の両側部に設けられている一対のサイド接合部４０を分離し、ナプキン１を開いて平面的に展開した状態である。換言すると、ナプキン１は、図１１に示す展開状態から、上下方向（縦方向）における中央位置ＣＬ（二つ折り部Ｆ）で前後方向に二つ折りされ、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂそれぞれの左右方向（幅方向）の両側部が一対のサイド接合部４０（接合部）にて接合されてパンツ型となる。サイト接合部４０における接合方法としては熱溶着や超音波溶着等の周知の接合方法が挙げられる。パンツ型のナプキン１（図１）では、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂが環状につながっており、１つの胴回り開口１ａ及び一対の脚回り開口１ｂが形成されている。

　ナプキン１の伸張状態とは、ナプキン１の皺が視認できなくなる程まで、ナプキン１が備える弾性部材を伸張させた状態である。具体的には、ナプキン１を構成する各部材の寸法が、その部材単体の寸法（すなわち弾性部材の弾性特性が発現しない状態での寸法）と一致又はそれに近い寸法になるまで伸張させた状態である。なお、本実施形態において、ナプキン１の本体部の長さ等を測定、比較する場合、タブ３０の係合を解いた状態（又はタブ３０を分離（剥離）した状態）で、かつ、切り取り線２６で胴回り部材２０を破る前の状態で測定、比較することが好ましい。一方、タブ３０（係合部材）の長さ等の測定は、タブ３０が胴回り部材２０に係合している状態であっても、係合を解いた状態であってもよいし、タブ３０を胴回り部材２０から分離した状態でもよい。ただし、この測定、比較の方法は一例であって、他の方法であってもよい。

　（吸収性本体１０）
　吸収性本体１０は、図１１に示すように、その長手方向がナプキン１の上下方向（縦方向）に沿った平面視長方形状の部材である。そして、図１２に示すように、吸収性本体１０は、吸収性コア１１と、吸収性コア１１よりも肌側に配置されたトップシート１２と、吸収性コア１１よりも非肌側に配置されたバックシート１３と、を有している。但し、吸収性本体１０が、これ以外のシート部材を備えていてもよい。例えば、トップシート１２と吸収性コア１１との厚さ方向の間に、セカンドシート（不図示）を備えていてもよい。

　吸収性コア１１は、経血等の液体を吸収して保持する部材であり、例えば高吸収性ポリマー（ＳＡＰ）が混入したパルプ繊維等の液体吸収性繊維により形成される。なお、吸収性コア１１は、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性のシート部材（コアラップシート）によって、外周面が覆われていてもよい。

　バックシート１３は、吸収性コア１１に吸収された経血等の液体が外部に漏れ出すことを抑制するための液不透過性シート１３ａと、液不透過性シート１３ａの非肌側に配置された疎水性シート１３ｂと、を備えた二層構造で形成されている。液不透過性シート１３ａとしては、例えば樹脂フィルム等が用いられ、疎水性シート１３ｂとしては、例えば柔軟性を有する不織布等が用いられる。但し、疎水性シート１３ｂは必ずしも設けられていなくても良く、液不透過性シート１３ａのみによってバックシート１３が構成されていてもよい。

　また、吸収性本体１０は、左右方向（幅方向）の両側部において、肌側に起立可能な防漏壁部１４を有する。例えば、疎水性シート１３ｂの左右方向（幅方向）の両側部が、トップシート１２の肌側面上に位置するように左右方向（幅方向）の内側に折り返されて、その折り返された部位に長手方向に伸縮する防漏壁弾性部材１４１（例えば糸ゴム）が設けられることにより、防漏壁部１４が形成される。防漏壁部１４によって排泄液の横漏れを抑制できる。但し、吸収性本体１０に防漏壁部１４が設けられていなくてもよい。

　また、吸収性本体１０には、その長手方向に沿って伸縮する吸収体弾性部材１５が複数設けられている。吸収体弾性部材１５は、例えば糸ゴムによって構成され、吸収性コア１１の非肌側に位置する液不透過性シート１３ａよりも非肌側（図１２では、液不透過性シート１３ａと疎水性シート１３ｂとの間）に、長手方向に伸長した状態で配置されている。本実施形態のナプキン１では、左右方向に所定の間隔を空けて５本の吸収体弾性部材１５が設けられている（図１１参照）。吸収体弾性部材１５の伸長倍率は１．４～３．３倍程度とすることが好ましい。なお、伸長倍率は、伸長状態の弾性部材の長さを自然状態の弾性部材の長さで除した値で表される。吸収体弾性部材１５の伸長倍率をある程度強い倍率に設定しておくとよい。そうすることで、後述の図１７に示すように、吸収性本体１０が着用者の肌側に持ち上げられ、吸収性本体１０が着用者の股下部（膣口）に密着しやすくなり、排泄液の漏れを抑制できる。

　（胴回り部材２０）
　胴回り部材２０は、複数のシート部材によって構成された外装体であり、少なくとも非肌側シート２１と、肌側シート２２，２３とを備えている（図１２参照）。以下の説明では、展開状態のナプキン１（図１１）を上下方向（縦方向）の中央位置ＣＬで２分割したときに、前側の胴回り部材２０のうち、上下方向（縦方向）の位置がサイド接合部４０と重複する部位を「前胴回り部２０ｆ」と呼び、それよりも下側（股下側）の部位を「前側延出部２０ｆe」と呼ぶ。同様に、中央位置ＣＬよりも後側の胴回り部材２０のうち、上下方向（縦方向）の位置がサイド接合部４０と重複する部位を「後胴回り部２０ｂ」と呼び、それよりも下側の部位を「後側延出部２０ｂe」と呼ぶ。

　非肌側シート２１は、ナプキン１の最も非肌側に配置される非伸縮性のシート部材であり、例えばスパンボンド不織布やＳＭＳ不織布等により形成される。本実施形態の非肌側シート２１は、図１１で示されるように、縦方向の中央部において左右方向（幅方向）内側に向かって括れた形状を有している。

　肌側シート２２，２３は、胴回り部材２０の前側と後側において、非肌側シート２１の肌側に積層された伸縮性のシート部材である。肌側シート２２，２３は、少なくともナプキン１の左右方向（幅方向）に伸縮性を有する。伸縮性のシート部材としては、伸縮性不織布や伸縮性フィルムが挙げられ、本実施形態の肌側シート２２，２３は伸縮性不織布とする。

　伸縮性不織布とは、伸縮性を有する伸縮性繊維、及び伸縮性繊維よりも収縮性の低い伸長性繊維を含み、ギア延伸等の適宜な延伸処理が施された伸縮性不織布とする。伸縮性繊維としては、弾性を有する熱可塑性エラストマーの一種であるポリウレタン系エラストマーの繊維を用いることが可能であり、伸長性繊維としては、非弾性を有する熱可塑性樹脂の一種であるポリオレフィン系樹脂のポリプロピレン（ＰＰ）の繊維を用いることが可能である。

　非肌側シート２１と肌側シート２２，２３は、点在する不図示の接合部（熱溶着や超音波溶着等による接合部）によって間欠に接合されている。よって、肌側シート２２，２３が配された胴回り部材２０の部位には、左右方向（幅方向）に沿った伸縮性が付与される。また、胴回り部材２０が収縮すると、接合部間において非肌側シート２１が撓み（凸形状となり）、胴回り部材２０の肌触りが向上し、視覚的にも柔らかい印象となる。

　なお、胴回り部材２０を構成するシート部材として、非肌側シート２１及び肌側シート２２，２３以外の他のシート部材が設けられていても良い。例えば、胴回り部材２０は、伸縮性の肌側シート２２，２３のさらに肌側に、非伸縮性不織布が配置され、伸縮性不織布が非伸縮性の不織布によって挟まれた３層構造であっても良い。また、非肌側シート２１が前側と後側とで分離されていてもよい。その場合、前側の非肌側シート２１と後側の非肌側シート２１の間で、バックシート１３の非肌側面が露出していてもよいし、前側の非肌側シート２１と後側の非肌側シート２１を繋ぐ別体の非肌側シートが股下部に設けられていてもよい。

　（タブ３０）
　ナプキン１は、胴回り部材２０の左右方向（幅方向）の両側部において、前胴回り部２０ｆの非肌側面に取り外し可能に係合する一対のタブ３０（係合部材）を有する。なお、図１１では、肌側から見たナプキン１において、前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合されているタブ３０を仮想的に示している。タブ３０は、基材シート３１と、係合部３２と、を有している。基材シート３１は、不織布等からなるシート部材である。基材シート３１の左右方向（幅方向）の外側端部が、サイド接合部４０によって胴回り部材２０に接合されている。つまり、サイド接合部４０によって、前胴回り部２０ｆと、後胴回り部２０ｂと、タブ３０とが一体的に接合されている。但し、サイド接合部４０とは異なる部位にてタブ３０が胴回り部材２０に接合されていてもよい。

　係合部３２は、左右方向（幅方向）においてサイド接合部４０で接合されている側とは反対側の基材シート３１の端部に設けられている。また、係合部３２は、基材シート３１の肌側面に設けられ、前胴回り部２０ｆの非肌側面と対向し、前胴回り部２０ｆの非肌側面に取り外し可能に係合する部材である。係合部３２としては、非肌側シート２１を構成する繊維に引っ掛かる突起（フック部材）を備えた面ファスナーの雄部材を例示できる。なお、非肌側シート２１の非肌側面に係合部３２が係合しやすい部材（例えば面ファスナーの雌部材）が設けられていてもよい。

＜＜＜第２実施形態及び第３実施形態のナプキン１の装着性について＞＞＞
　図１３Ａ及び図１３Ｂは、ナプキン１を胴回り開口１ａ側から見た断面模式図である。図１３Ａはパンツ型で使用されるナプキン１の図であり、図１３Ｂはテープ型で使用されるナプキン１の図である。図１４は、切り取り線２６に沿って前胴回り部２０ｆを後胴回り部２０ｂから分離させた状態のナプキン１の展開平面図である。

　ナプキン１は、パッケージから取り出された初期状態においては、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂが環状で繋がれたパンツ型（図１３Ａ）である。そのため、着用者は、ナプキン１をパンツ型のままで着脱することが可能である。

　また、ナプキン１の前胴回り部２０ｆは、左右方向（幅方向）の両側の端部において、上下方向（縦方向）に長さを有する切り取り線２６を有する。そのため、切り取り線２６に沿って前胴回り部２０ｆを上下方向（縦方向）に破り、前胴回り部２０ｆの一部を後胴回り部２０ｂから分離できる。分離後のナプキン１は、図１４に示すように、後胴回り部２０ｂから一対のタブ３０が左右方向（幅方向）の両外側に延出したテープ型となる。そのため、着用者は、ナプキン１をテープ型にして着脱することも可能である。

　以下の説明では、左右方向（幅方向）の少なくとも片側が後胴回り部２０ｂから分離された前胴回り部２０ｆの部位を「腹側当接部２０ｆＡ」とも呼ぶ。また、後胴回り部２０ｂから分離されずに、サイド接合部４０側に残っている前胴回り部２０ｆの部位を「非分離部２０ｆＢ」とも呼ぶ。

　図１５Ａ～図１５Ｃ、及び、図１６Ａ～図１６Ｄは、着用者がナプキン１を装着する方法の一例を説明する図である。ナプキン１の着用対象者は一般にナプキン１を自分で着脱する。また、着用者は、図１５Ｃ等に示すように不図示の便器等に座った状態、又は立った状態（中腰姿勢の状態）で、ナプキン１を着脱する。

　次に、ナプキン１をテープ型で装着する方法の一例を説明する。着用者は、まず、図１５Ａに示すように、パンツ型のナプキン１の左右方向（幅方向）の一方側のタブ３０を左右方向（幅方向）の外側（一方側）に開き、切り取り線２６を露出させる。次に、着用者は、図１５Ｂに示すように、切り取り線２６に沿って前胴回り部２０ｆの左右方向（幅方向）の一方側の端部を上下方向（縦方向）に破り、前胴回り部２０ｆの一部である腹側当接部２０ｆＡを後胴回り部２０ｂから分離する。次に、着用者は、図１５Ｃに示すように、胴回り部材２０の切り離し部分を太腿の前側まで引っ張ってきて、胴回り部材２０を片側の太腿に巻き付ける。そして、図１６Ａに示すように、太腿の上で前胴回り部２０ｆ（腹側当接部２０ｆＡ）の非肌側面にタブ３０（係合部３２）を係合する。なお、図１６Ｂは、図１６Ａのようにナプキン１が巻き付けられた太腿の内側を示す図である。

　図１６Ａ及び図１６Ｂの状態では、サイド接合部４０が太腿の上に位置し、吸収性本体１０（吸収性コア１１）が太腿の間で垂れ下がっている。そのため、着用者は、ナプキン１を太腿の周方向に沿って回転する。そうして、図１６Ｃに示すように、サイド接合部４０を自分の脇に位置合わせし、吸収性本体１０を太腿の間に引き上げる。

　次に、着用者は、反対側のタブ３０を左右方向（幅方向）の外側に開いて、反対側においても前胴回り部２０ｆを後胴回り部２０ｂから分離する。それと共に、着用者は、ナプキン１が巻き付けられている太腿側に傾いている吸収性本体１０の傾きを、太腿が延びる方向に沿うように直しながら、太腿の間（着用者の幅方向の中心）に吸収性本体１０を位置合わせする。そして、図１６Ｄに示すように、胴回り部材２０の切り離し部分を太腿の前側まで引っ張ってきて、反対側の太腿にも胴回り部材２０を巻き付けて、太腿の上で前胴回り部２０ｆの非肌側面にタブ３０を係合する。

　そうすることで、図１３Ｂに示すように、切り取り線２６で分離された前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡは、一対のタブ３０によって後胴回り部２０ｂと再び環状につながった状態となる。また、着用者の両太腿がナプキン１の一対の脚回り開口１ｂを通った状態となる。最後に、着用者はナプキン１を引き上げて、ナプキン１の装着が完了する。

　このように、本実施形態のナプキン１は、前胴回り部２０ｆの非肌側面に取り外し可能に係合するタブ３０を有する。そのため、着用者は、ナプキン１をテープ型にして使用する場合に、自分の前側においてタブ３０を視認しながら前胴回り部２０ｆにタブ３０を係合できる。よって、着用者が自分でナプキン１を装着する場合の装着性が良い。また、ナプキン１を取り外す場合にも、着用者は自分の前側においてタブ３０を視認しながら前胴回り部２０ｆからタブ３０を取り外すことができる。

　なお、本実施形態のナプキン１では、胴回り部材２０よりも非肌側（外側）にタブ３０が設けられ、タブ３０の肌側面に設けられた係合部３２が、前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合する。しかし、これに限定されず、胴回り部材２０の肌側（内側）にタブ３０が設けられ、胴回り部材２０が分離された後に、タブ３０の非肌側面に設けられた係合部３２が、前胴回り部２０ｆの肌側面に係合する形態であってもよい。

　また、パンツ型のままでナプキン１を装着した場合、パンツ型のままでナプキン１を脱ぐことも可能であるが、切り取り線２６にて前胴回り部２０ｆを破いてナプキン１を取り外すことも可能である。逆に、テープ型の状態にしてナプキン１を装着した場合に、タブ３０を取り外すことなくナプキン１を脱ぐことも可能である。

＜＜＜第２実施形態のナプキン１について＞＞＞
　図１７は、パンツ型のナプキン１を前側から見た正面図である。図１７は、左右方向の一方側において前胴回り部２０ｆが後胴回り部２０ｂから分離されたナプキン１の正面図である。なお、図１７では、分離された側のタブ３０は左右方向の内側に閉じられた状態で、前胴回り部２０ｆと後胴回り部２０ｂの間に位置している。図１９は、左右方向の一方側（切り取り線２６）において前胴回り部２０ｆが分離され、タブ３０が外側に開いた状態の後胴回り部２０ｂの一部を示す図である。図２０は、左右方向の両側において前胴回り部２０ｆが後胴回り部２０ｂから分離されたナプキン１の正面図である。

　ナプキン１は、成人用のパンツ型吸収性物品であるが（初潮を迎えた小中学生も着用対象者に含む）、前胴回り部２０ｆ、及び、サイド接合部４０の上下方向の長さＬ１，Ｌ２が比較的に短い。例えば、介護者にパンツ型吸収性物品を装着してもらう被介護者を着用対象としたパンツ型の使い捨ておむつに比べて、前胴回り部２０ｆの上下方向の長さが短い。

　具体的には、図１７に示すように、サイド接合部４０に接合されたタブ３０が左右方向の内側に閉じられた状態で前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合している、自然状態のナプキン１において、前胴回り部２０ｆ、及び、サイド接合部４０の上下方向の長さＬ１，Ｌ２を以下とする。まず、左右方向の位置がタブ３０と重複する、前胴回り部２０ｆの部位２０ｆＣの、上下方向の最小長さＬ１を、８０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下とする。また、タブ３０が接合されているサイド接合部４０の上下方向の長さＬ２を、１００ｍｍ以上１６０ｍｍ以下とする。

　なお、ナプキン１をパッケージから取り出した初期状態が図１７の状態である場合、初期状態、かつ、自然状態のナプキン１にて、測定を行う。初期状態が図１７の状態でない場合（例えばタブ３０が折り畳まれている場合等）は、自然状態のナプキン１（自然状態の胴回り部材２０）に対して、サイド接合部４０から左右方向の内側に向かって広げたタブ３０を前胴回り部２０ｆに係合した状態で、測定を行う。

　タブ３０と重なる前胴回り部２０ｆの部位２０ｆＣは、タブ３０を開いて前胴回り部２０ｆを破いた着用者によって、図１５Ｃに示すように把持されやすい部位である。そのため、その部位２０ｆＣの上下方向の長さＬ１を比較的に短くすることで、着用者はその部位２０ｆＣを把持しやすく、太腿の前に前胴回り部２０ｆを引っ張りやすくなる。また、図１６Ｄに示すように、太腿の上の前胴回り部２０ｆを上から手で押さえる際に、前胴回り部２０ｆの上下方向の広範囲を手で押さえることができ、前胴回り部２０ｆの位置が安定した状態でタブ３０を係合できる。

　人工知能研究センターによる日本人の手の寸法データの調査結果によると、親指と人差し指の付け根から、人差し指の先端までの長さの平均値が、女性の場合に１００．６ｍｍであり、男性の場合に１０９.７ｍｍであり、両性（男性及び女性）の場合に１０７ｍｍであった。そのため、前胴回り部２０ｆの上記の寸法Ｌ１を１５０ｍｍ以下とすることで、着用者は、前胴回り部２０ｆの上下方向の半分の長さ以上を把持したり押さえたりすることができる。よって、安定してタブ３０を係合でき、ナプキン１の装着性が向上する。

　一方で、胴回り部材２０は左右方向に伸縮する部材であり、着用者の胴回りにフィットする。そのため、前胴回り部２０ｆの上記の寸法Ｌ１を８０ｍｍ以上とし、短くし過ぎないことが好ましい。そうすることで、ナプキン１のずれ落ちを防止でき、着用者がナプキン１を安心して利用できる。

　また、サイド接合部４０の上下方向の長さＬ２も、前胴回り部２０ｆと同様に短くすることで、サイド接合部４０に接合されるタブ３０の上下方向の長さも短くなる。よって、図１５Ｃに示すように、着用者がタブ３０を把持しやすくなる。ただし、サイド接合部４０の上下方向の長さＬ２は、前胴回り部２０ｆの上下方向の長さＬ１よりも若干長くなることが好ましく、１００ｍｍ以上１６０ｍｍ以下の範囲とする。そうすることで、図１５Ｃに示すように着用者がタブ３０を持って太腿の下からナプキン１を引き上げる際に、上下方向に長いサイド接合部４０によって、ナプキン１の後方部の上下方向の広範囲に引き上げ力が伝わりやすくなる。よって、太腿の下からナプキン１の後方部を引き上げやすくなる。しかし、これに限定されず、前胴回り部２０ｆとサイド接合部４０の上下方向の長さＬ１，Ｌ２が等しくてもよい。

　このように、前胴回り部２０ｆ及びサイド接合部４０の長さＬ１，Ｌ２を短くすることで、着用者が自分でナプキン１を装着する場合の装着性が向上する。また、自分で装着する着用者を対象とした成人用のパンツ型吸収性物品（例えば本実施形態のナプキン１や軽失禁用のおむつ等）の場合、介護用のパンツ型吸収性物品に比べて、吸収性コア１１が小さく、排泄後の吸収性コア１１も軽い。そのため、前胴回り部２０ｆ及びサイド接合部４０の長さＬ１，Ｌ２を短くしても、パンツ型吸収性物品のずれ落ちの恐れが少ない。

　さらに、前胴回り部２０ｆ及びサイド接合部４０の長さＬ１，Ｌ２を短くすることで、図１６Ｂに示すように、太腿にナプキン１を巻き付けた際に、ナプキン１（特に吸収性本体１０）が垂れ下がり難くなる。よって、ナプキン１が便器に接触し難く、衛生的に使用できる。また、下着に近い形状となるため、ナプキン１の外観も向上する。

　また、ナプキン１が、図１８に示すように、左右方向の一方側のサイド接合部４０の内側端４０ａ（図１７参照）に沿って前胴回り部２０ｆの一部である腹側当接部２０ｆＡが後胴回り部２０ｂから分離された状態、かつ、自然状態であるときに、以下であることが好ましい。まず、左右方向における腹側当接部２０ｆＡの一方側の端Ｐ１から他方側のサイド接合部４０の内側端４０ａまでの長さＷ１は、左右方向における後胴回り部２０ｂの一方側の端Ｐ２から他方側のサイド接合部４０の内側端４０ａまでの長さＷ２よりも長いとよい。つまり、腹側当接部２０ｆＡの左右方向の一方側の端Ｐ１が、後胴回り部２０ｂの左右方向の一方側の端Ｐ２よりも左右方向の一方側（外側）に位置しているとよい。

　そうすることで、着用者がナプキン１を装着するために、胴回り部材２０の左右方向の片側端部を破った際に、腹側当接部２０ｆＡの左右方向の長さＷ１が長くなり、後胴回り部２０ｂの左右方向の長さＷ２が短くなりやすい。着用者がサイド接合部４０にて前胴回り部２０ｆを破った場合には、上記の長さの関係となる。

　腹側当接部２０ｆＡの左右方向の長さＷ１が長いと、胴回り部材２０を太腿に巻き付ける際に、着用者が腹側当接部２０ｆＡを太腿の前側に引っ張ってきやすくなる。よって、着用者は太腿の上で安定してタブ３０を腹側当接部２０ｆＡに係合でき、ナプキン１の装着性が向上する。一方、後胴回り部２０ｂの左右方向の長さＷ２が短いと、太腿にナプキン１を巻き付けた際に、ナプキン１（吸収性本体１０）が垂れ下がり難く、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。

　また、前胴回り部２０ｆが切り取り線２６を有する場合、切り取り線２６に沿って前胴回り部２０ｆの一部である腹側当接部２０ｆＡが後胴回り部２０ｂから分離された状態、かつ、ナプキン１の自然状態であるときに、以下であることが好ましい。なお、切り取り線２６で分離した状態は図示しないが、図１８のナプキン１において、切り取り線２６よりも左右方向の一方側の前胴回り部２０ｆの部位が分離された状態（視認されない状態）である。上記の状態において、左右方向における腹側当接部２０ｆＡの一方側の端Ｐ３から他方側のサイド接合部４０の内側端４０ａまでの長さＷ３は、左右方向における後胴回り部２０ｂの一方側の端Ｐ２から他方側のサイド接合部４０の内側端４０ａまでの長さＷ２よりも長いとよい。

　そうすることで、着用者が切り取り線２６にて前胴回り部２０ｆを破った場合に、腹側当接部２０ｆＡの左右方向の長さＷ３が長くなり、着用者が胴回り部材２０を太腿に巻き付ける際に、腹側当接部２０ｆＡを・BR>セ腿の前側に引っ張ってきやすくなる。一方、後胴回り部２０ｂの左右方向の長さＷ２が短くなり、太腿にナプキン１を巻き付けた際に、ナプキン１が垂れ下がり難く、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。

　本実施形態のナプキン１では、図１１に示すように、展開かつ伸張状態において、前胴回り部２０ｆと後胴回り部２０ｂの左右方向の長さが同じである。しかし、前胴回り部２０ｆでは、後胴回り部２０ｂに比べて、胴回り弾性部材２４の左右方向の長さが短くなっている。また、前胴回り部２０ｆには、左右方向の中央部の伸縮領域２０ＥＡよりも伸縮性の低い低伸縮領域２０ＮＡ（詳細は後述）が左右方向の両端部に設けられている。そのため、前胴回り部２０ｆの方が後胴回り部２０ｂに比べて、左右方向の収縮力が弱く、自然状態での長さＷ１，Ｗ３（縮み寸法）が短くなる。

　また、左右方向の一方側の切り取り線２６に沿って前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡが後胴回り部２０ｂから分離され、図１９に示すように、タブ３０が後胴回り部２０ｂから左右方向の外側（一方側）に広げられた状態、かつ、ナプキン１の自然状態における具体的な長さは、以下であることが好ましい。

　まず、図１８に示すように、左右方向における前側の吸収性コア１１の一方側の端１１ａから腹側当接部２０ｆＡの一方側の端Ｐ１までの長さＷ４を、５０ｍｍ以上２００ｍｍ以下にするとよい。そうして、前側の長さＷ４を５０ｍｍ以上と比較的に長くすることで、着用者が胴回り部材２０を太腿に巻き付ける際に、腹側当接部２０ｆＡを太腿の前側に引っ張ってきやすくなる。ただし、前側の長さＷ４を２００ｍｍ以下とし、長くし過ぎないことで、胴回り部材２０が着用者の胴回りにフィットでき、ナプキン１のずれ落ちを抑制できる。

　一方、図１９に示すように、左右方向における後側の吸収性コア１１の一方側の端１１ａから外側に開いたタブ３０の一方側の端までの長さＷ５を、１００ｍｍ以上３００ｍｍ以下にするとよい。そうして、後側の長さＷ５を３００ｍｍ以下と比較的に短くすることで、太腿にナプキン１を巻き付ける際に、外側に開いたタブ３０の便器への接触を抑制できる。ただし、後側の長さＷ５を１００ｍｍ以上とし、短くし過ぎないことで、着用者への胴回り部材２０の締め付けを抑制できる。

　また、図１１に示すように、展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、左右方向におけるタブ３０の最大長さＷ６は、２０ｍｍ以上１２０ｍｍ以下であることが好ましい。タブ３０の左右方向の長さＷ６を２０ｍｍ以上とすることで、着用者がタブ３０を前胴回り部２０ｆに係合する際に、タブ３０を持ち易くなる。一方、タブ３０の左右方向の長さＷ６を１２０ｍｍ以下とすることで、太腿にナプキン１を巻き付けた際に、外側に開いたタブ３０の便器への接触を抑制できる。また、タブ３０の左右方向の長さＷ６を長くし過ぎないことで、着用者は、タブ３０を開いて前胴回り部２０ｆを破いた後に、前胴回り部２０ｆに係合部３２を係合しやくなるように係合部３２に近い位置にタブ３０を持ち替える必要がなくなる。

　また、図１７に示すように、サイド接合部４０に接合されたタブ３０が左右方向の内側に閉じられた状態で前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合している、自然状態のナプキン１において、以下であることが好ましい。まず、タブ３０が設けられている側のサイド接合部４０の内側端４０ａの位置における、タブ３０の上下方向の長さＬ３は、同じサイド接合部４０の内側端４０ａの位置における、前胴回り部２０ｆの上下方向の長さＬ１よりも長いことが好ましい。そうすることで、着用者が把持しやすいように前胴回り部２０ｆの上下方向の長さを短くできる。一方で、着用者がタブ３０を持って太腿の下からナプキン１を引き上げる際に、上下方向に長いタブ３０によって、ナプキン１の後方部の上下方向の広範囲に引き上げ力が伝わり、引き上げやすくなる。

　ただし、左右方向の位置が係合部３２と重複する、前胴回り部２０ｆの部位の、上下方向の最小長さＬ４は、係合部３２の上下方向の最大長さＬ５よりも長いことが好ましい。
そうすることで、係合部３２の上下方向の全域を、前胴回り部２０ｆに係合でき、前胴回り部２０ｆにタブ３０をしっかりと係合できる。

　また、本実施形態のナプキン１のように、前胴回り部２０ｆは、左右方向の端部において、上下方向に長さを有する切り取り線２６（例えばミシン目）を有することが好ましい。そうすることで、着用者は前胴回り部２０ｆを容易に破ることができる。

　なお、本実施形態の切り取り線２６は、前胴回り部２０ｆの上下方向の全域に設けられているが、切り取り線２６は前胴回り部２０ｆの上下方向の一部に設けられているだけでもよい。また、切り取り線２６は、伸張状態のナプキン１（図１１）に示されるような上下方向に沿う直線形状であるに限らず、上下方向に対して傾斜した直線や曲線形状であってもよい。また、切り取り線２６は、前胴回り部２０ｆを上下方向に破りやすいものであればよく、前胴回り部２０ｆの上端部や下端部に設けられた切欠き部等であってもよい。

　但し、ナプキン１は切り取り線２６を有していなくてもよい。その場合にも、サイド接合部４０が溶着等によって形成されており、胴回り部材２０の他の領域と比較して剛性が高い。そのため、着用者は、サイド接合部４０の左右方向の内側端４０ａに沿って前胴回り部２０ｆを破ることができる。

　また、本実施形態のナプキン１のように、胴回り部材２０の左右方向の両側に一対のタブ３０が設けられている好ましい。そうすることで、図１５Ｃや図１６Ｄに示すように、胴回り部材２０を両太腿に巻き付けてナプキン１を装着できる。また、ナプキン１を取り外す際には、一対のタブ３０を前胴回り部２０ｆから取り外して、太腿の間からナプキン１を引き抜くことができる。よって、パンツ型のままでナプキン１を着脱する場合のように、ナプキン１の脚回り開口１ｂにつま先を通して着脱する必要がない。ゆえに、着用者がズボンや靴やストッキング等を脱がなくてもナプキン１を着脱でき、外出先でもナプキン１を容易に交換できる。

　また、ナプキン１が左右方向の両側にタブ３０を有する場合、図２０に示すように、左右方向の両側のサイド接合部４０の内側端４０ａに沿って前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡが後胴回り部２０ｂから分離された状態、かつ、自然状態であるときに、以下であるとよい。左右方向における腹側当接部２０ｆＡの一方側の端Ｐ１から他方側の端Ｐ５までの長さＷ７は、左右方向における後胴回り部２０ｂの一方側の端Ｐ２から他方側の端Ｐ６までの長さＷ８よりも長いとよい。つまり、腹側当接部２０ｆＡの左右方向の両端Ｐ１，Ｐ５が、後胴回り部２０ｂの左右方向の両端Ｐ２，Ｐ６よりも左右方向の外側に位置しているとよい。

　そうすることで、片側の太腿だけでなく反対側の太腿に胴回り部材２０を巻き付ける際にも、腹側当接部２０ｆＡを太腿の前側に引っ張ってきやすくなる。一方、それぞれの太腿にナプキン１を巻き付けた際に、ナプキン１が垂れ下がり難く、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。

　また、本実施形態のナプキン１のように、係合部３２を１つ有するタブ３０が、ナプキン１の左右方向の両側に１つずつ設けられていることが好ましい。そうすることで、着用者は、タブ３０（係合部３２）を左右方向の両側で１回ずつ係合するだけでよく、容易に装着でき、装着性が向上する。ナプキン１の外観も向上する。また、本実施形態のナプキン１のように、自分で装着する着用者を対象としたパンツ型吸収性物品の場合、介護用のものに比べて吸収性コア１１が小さく、排泄後の吸収性コア１１も軽い。そのため、本実施形態のナプキン１では、介護用のパンツ型吸収性物品のように例えば上下方向に係合部が２つ並んだタブを設けたり、係合部を１つ有するタブを上下方向に２つ並べて、左右方向の両側にタブを２つずつ（２対）設けたりして、タブを前胴回り部２０ｆに強固に固定しなくても、ナプキン１のずれ落ちの恐れが少ない。但し、係合部３２を１つ有するタブ３０が左右方向の両側に１つずつ設けられる形態に限定されない。

　また、胴回り部材２０の左右方向の一方側にのみタブ３０が設けられているナプキン１であってもよい。つまり、本実施形態のナプキン１は、少なくとも左右方向の片側をテープ型として使用可能なパンツ型吸収性物品であればよい。その場合も、着用者は、片側の脚のつま先のみを脚回り開口１ｂに通し、もう一方の脚の太腿に胴回り部材２０を巻き付けたり、片側の太腿から胴回り部材２０を取り外し、もう一方の脚のつま先のみを脚回り開口１ｂから抜いたりでき、ナプキン１を着脱しやすくなる。この場合にも、タブ３０が設けられている側の前胴回り部２０ｆの上下方向の長さＬ１を短くしたり、腹側当接部２０ｆＡの左右方向の長さＷ１を短くしたりすることで、着用者の片側の太腿に胴回り部材２０を巻き付ける際の装着性が向上する。

　また、図１１に示すように、展開かつ伸張状態であるナプキン１において、上下方向（左右方向に直交する方向であり、吸収性本体１０の長手方向に沿う方向）におけるナプキン１の一方側の端から中心ＣＬまでの長さＬ６が、２００ｍｍ以上３５０ｍｍ以下であることが好ましい。長さＬ６を２００ｍｍ以上とすることで、成人であるナプキン１の着用者のサイズに合わせることができる。一方、長さＬ６を３５０ｍｍ以下とすることで、太腿にナプキン１を巻き付けた際に、ナプキン１が垂れ下がり難く、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。

　また、左右方向の一方側のサイド接合部４０の内側端４０ａ又は切り取り線２６に沿って前胴回り部２０ｆが後胴回り部２０ｂから分離された状態、かつ、ナプキン１の自然状態において、図１８に示すように、腹側当接部２０ｆＡの上端部（Ｐ４）よりも下端部（Ｐ１）の方が、左右方向の一方側（外側）に位置していることが好ましい。

　そうすることで、腹側当接部２０ｆＡの切れ端（Ｐ１～Ｐ４）は、胴回り側から股下側に向かって左右方向の外側に傾斜した傾きとなる。そのため、着用者が自分でナプキン１を装着するために、図１５Ｃに示すように胴回り開口１ａ側から腹側当接部２０ｆＡを持つ手の傾く方向と、腹側当接部２０ｆＡの切れ端の傾く方向とが一致する。よって、着用者は腹側当接部２０ｆＡを持ち易くなり、装着性が向上する。

　本実施形態のナプキン１（図１４参照）では、腹側当接部２０ｆＡの上端部には、伸縮性の肌側シート２２に加えて、胴回り弾性部材２４が設けられている。そのため、腹側当接部２０ｆＡの上端部の方が下端部に比べて収縮力が高く、ナプキン１の自然状態において左右方向の内側に位置する。このように腹側当接部２０ｆＡの上端部の伸縮性を高めることで、着用者の胴回りへのナプキン１のフィット性も高まり、ナプキン１のずれ落ちを抑制できる。

　また、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂは、それぞれ、左右方向に伸縮する肌側シート２２，２３、及び、胴回り弾性部材２４を有し、左右方向に伸縮性を有する。図１１や図１４に示すように、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂは、少なくとも左右方向の位置が吸収性本体２０と重複する領域において、左右方向に伸縮する伸縮領域２０ＥＡを連続して有することが好ましい。

　そうすることで、ナプキン１が着用者の胴回りにフィットする。特に、ナプキン１がテープ型として使用される場合（図１３Ｂ）、前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡが後胴回り部２０ｂから分離されるが、一対のタブ３０の間で腹側当接部２０ｆＡが左右方向の両外側に引っ張られ、着用者の胴回りにフィットする。また、着用者が胴回り部材２０を太腿に巻き付ける際に、腹側当接部２０ｆＡを太腿の前側に引っ張ってきやすくなり、かつ、ナプキン１の前方部が垂れ下がり難くなる。同様に、後胴回り部２０ｂも着用者の胴回りにフィットでき、かつ、着用者が胴回り部材２０を太腿に巻き付ける際に、ナプキン１の後方部が垂れ下がり難くなる。

　ただし、伸縮領域２０ＥＡのうち、吸収性コア１１と厚さ方向に重なる領域では、伸縮力を軽減し、吸収性コア１１の平坦性を確保するようにしてもよい。例えば、吸収性コア１１と厚さ方向に重なる領域では、それ以外の領域に比べて、非肌側シート２１と肌側シート２２，２３の接合部（溶着部）の面積率を高めて、肌側シート２２，２３の弾性特性を抑制するとよい。そうすることで、吸収性コア１１の吸収面積を確保でき、また、吸収性コア１１と着用者の間に隙間が生じてしまうことを防止できる。

　また、前胴回り部２０ｆは、伸縮領域２０ＥＡよりも左右方向の外側（タブ３０が設けられている側）に、伸縮領域２０ＥＡよりも伸縮性の低い低伸縮領域２０ＮＡを有しているとよい。低伸縮領域２０ＮＡが設けられていることで、着用者が前胴回り部２０ｆを左右方向に引っ張って破る際に、その力が破断部に効率よく伝わり、小さい力で破ることができる。

　そのため、図１１に示すように、ナプキン１が切り取り線２６を有する場合、左右方向における低伸縮領域２０ＮＡの両側端の間に、切り取り線２６が配置されていることが好ましい。そうすることで、切り取り線２６の両外側が伸張し難いため、着用者が切り取り線２６に沿って前胴回り部２０ｆを容易に破ることができる。

　また、前胴回り部２０ｆが低伸縮領域２０ＮＡにて破られることで、前胴回り部２０ｆの切れ端の保形性が確保されて丸まり難い。つまり、分離される側である腹側当接部２０ｆＡの端部が丸まり難いため、着用者が腹側当接部２０ｆＡを把持しやすく、また、腹側当接部２０ｆＡに安定してタブ３０を係合できる。また、腹側当接部２０ｆＡの端部、及び、サイド接合部４０側に残っている非分離部２０ｆＢが丸まり難いことで、着用者がナプキン１の着用中に前胴回り部２０ｆの切れ端を異物として感じ難く、着け心地が向上する。

　なお、低伸縮領域２０ＮＡは、伸縮領域２０ＥＡよりも左右方向の伸縮性が低ければよく、伸縮性を有していてもよいし、伸縮性を有していなくてもよい。本実施形態のナプキン１では、低伸縮領域２０ＮＡにも伸縮性の肌側シート２２，２３が配されている。そのため、低伸縮領域２０ＮＡでは、伸縮領域２０ＥＡに比べて、非肌側シート２１と肌側シート２２，２３の接合部（溶着部）の面積率を高めて、肌側シート２２，２３の弾性特性を抑制するとよい。また、図１１に示すように、胴回り弾性部材２４の伸縮部は、低伸縮領域２０ＮＡまで左右方向の外側に延びていないため、これによっても低伸縮領域２０ＮＡの伸縮性が低下する。

　低伸縮領域２０ＮＡと伸縮領域２０ＥＡの伸縮性（伸縮応力）比較は、ヒトが各領域を引っ張って確認してもよいし、引っ張り試験機（例えば（株）島津製作所製のオートグラフ型引張試験機ＡＧ－１ＫＮ１等）を用いて確認してもよい。例えば、前胴回り部２０ｆから低伸縮領域２０ＮＡと伸縮領域２０ＥＡを切り出し、ナプキン１の左右方向及び縦方向の長さが同じである低伸縮領域（２０ＮＡ）のサンプルと伸縮領域（２０ＥＡ）のサンプルを作製する。そして、ナプキン１の左右方向（伸張方向）に対応するサンプルの両端部をチャックで挟み、サンプルが破断するまでチャック間距離を離してサンプルを伸長する。伸縮領域のサンプルの方が低伸縮領域のサンプルに比べて、サンプルが破断した時のチャック間距離が長いことで、伸縮性が高いことを確認できる。

　また、図１９に示すように、切り取り線２６に沿って前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡが後胴回り部２０ｂから分離され、タブ３０が左右方向の外側（一方側）に広げられた状態、かつ、ナプキン１の自然状態において、以下であることが好ましい。サイド接合部４０側に残っている前胴回り部２０ｆの非分離部２０ｆＢ（すなわち腹側当接部２０ｆＡから分離された前胴回り部２０ｆの部位）は、係合部３２よりも左右方向の内側に位置していることが好ましい。

　そうすることで、前胴回り部２０ｆの非分離部２０ｆＢが係合部３２を覆ってしまうことがなく、タブ３０を係合部３２によって前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡにしっかりと係合できる。また、タブ３０を腹側当接部２０ｆＡに係合する際に、非分離部２０ｆＢの切れ端の凹凸が腹側当接部２０ｆＡの非肌側面と擦れて、タブ３０や後胴回り部２０ｂに対する腹側当接部２０ｆＡの位置ずれを抑制できる。その結果、タブ３０を腹側当接部２０ｆＡに係合しやすくなり、着用中の位置ずれも抑制できる。

　さらに、図１１に示すように、展開かつ伸張状態であるナプキン１において、タブ３０が接合されている側（左右方向の一方側）のサイド接合部４０の内側端から切り取り線２６までの左右方向の長さＷ９よりも、切り取り線２６から低伸縮領域２０ＮＡの左右方向の内側（他方側）の端までの長さＷ１０の方が長いことが好ましい。

　そうすることで、前胴回り部２０ｆが切り取り線２６で破られた場合に、サイド接合部４０側に残っている前胴回り部２０ｆの非分離部２０ｆＢの左右方向の長さＷ９’（図１９）よりも、腹側当接部２０ｆＡにおける低伸縮領域２０ＮＡの左右方向の長さＷ１０’の方が長くなる。そのため、タブ３０を腹側当接部２０ｆＡに係合した状態において、サイド接合部４０に残っている非分離部２０ｆＢを、丸まり難い腹側当接部２０ｆＡの端部（低伸縮領域２０ＮＡ）で覆うことができる。よって、非分離部２０ｆＢが着用者の肌に当接し難く、着用中の違和感を軽減できる。また、Ｗ１０を長くすることで、腹側当接部２０ｆＡの丸まり難い端部の長さが長くなり、着用者が腹側当接部２０ｆＡを持ちやすくなり、また、腹側当接部２０ｆＡに安定してタブ３０を係合しやすくなる。

　また、胴回り部材２０は左右方向に伸縮性を有するが、剛性の高い吸収性コア１１と厚さ方向に重なる胴回り部材２０の部位では、伸縮性が低下する。前述したように、吸収性コア１１と重なる胴回り部材２０の部位の伸縮性を意図的に抑えてもよい。ただし、吸収性コア１１と重なり伸縮性が低下した胴回り部材２０の部位に、タブ３０の係合部３２を係合した場合、係合部３２が胴回り部材２０の繊維に絡まる度合が小さくなる。

　そこで、ナプキン１の展開かつ伸張状態において、前胴回り部２０ｆの上端から吸収性コア１１の前側の上端までの上下方向の長さＬ６（図１４参照）は、係合部３２の上下方向の長さＬ８よりも長いことが好ましい。

　そうすることで、タブ３０を前胴回り部２０ｆに係合する際に、係合部３２と吸収性コア１１が上下方向にずれやすく、厚さ方向に重なり難い。つまり、吸収性コア１１と厚さ方向に重ならずに伸縮性が低下していない前胴回り部２０ｆの部位に係合部３２が係合されやすい。そのため、係合部３２のフック材が胴回り部材２０の繊維に絡まりやすく、タブ３０の係合強度を高めることができる。

　一方で、ナプキン１の展開かつ伸張状態において、後胴回り部２０ｂの上端から吸収性コア１１の後側の上端までの上下方向の長さＬ７（図１４参照）は、係合部３２の上下方向の長さＬ８よりも短いことが好ましい。

　後側の吸収性コア１１が上側に長く延びていることで、後胴回り部２０ｂの上端部の剛性が高まる。よって、着用者が太腿に胴回り部材２０を巻き付ける際に、後胴回り部２０ｂが垂れ下がり難く、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。また、排泄物の後ろ漏れも抑制できる。また、タブ３０（係合部３２）は後胴回り部２０ｂには係合されないため、後側の吸収性コア１１が上側に長く延びていても、係合部３２の係合強度が弱くなる問題は生じない。

　また、図１７に示すように、サイド接合部４０に接合されたタブ３０が左右方向の内側に向かって広がった状態で前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合している、自然状態のナプキン１において、吸収性コア１１よりも左右方向の外側（一方側）に係合部３２が位置していることが好ましい。

　そうすることで、吸収性コア１１と厚さ方向に重ならずに伸縮性が低下していない前胴回り部２０ｆの部位に係合部３２が係合されやすい。そのため、係合部３２のフック材が胴回り部材２０の繊維に絡まりやすく、タブ３０の係合強度を高めることができる。

　また、タブ３０が左右方向の内側に閉じられた状態において（図１７参照）、タブ３０の上端及び下端の少なくとも一方は（本実施形態では上端及び下端の両方が）、左右方向の内側に向かうにしたがって、タブ３０の上下方向の中心に向かって傾斜した傾斜部３０Ａを有する形状であることが好ましい。つまり、サイド接合部４０で接合されている側とは反対側のタブ３０の自由端部が先細り形状であるとよい。

　そうすることで、着用者はタブ３０の自由端部（サイド接合部４０に接合されている側とは反対側の端部）を持ち易くなる。また、呼吸時にタブ３０の上端が着用者の腹部と接触し難くなり、脚上げ時にタブ３０の下端が着用者の脚に接触し難くなる。よって、ナプキン１の着用中に、着用者がタブ３０を異物として感じ難く、着け心地が向上する。

　また、本実施形態のナプキン１では、前胴回り部２０ｆ（全体）の非肌側面の色と、タブ３０（全体）の非肌側面の色を、同系色とする。例えば、本実施形態のナプキン１とは異なる介護用のおむつでは、白色のタブに青色や緑色の係合部が設けられ、おむつの外側から係合部の色が透けて視認され、前胴回り部とタブとで非肌側面の色が異なっていることが多い。そのため、本実施形態のナプキン１のように、前胴回り部とタブの非肌側面の色を同系色とすることで、おむつらしさが軽減され、ナプキン１の外観が向上する。

　ただし、上記の場合、着用者がナプキン１の非肌面側から係合部３２の位置を把握し難い。そこで、タブ３０は、係合部３２が配された領域において、タブ３０が厚さ方向に圧搾されている複数の圧搾部３３を有することが好ましい。そうすることで、タブ３０の非肌面側から係合部３２の位置が分かりやすく、タブ３０を前胴回り部２０ｆに係合しやすくなり、ナプキン１の装着性が向上する。なお、圧搾部３３は、タブ３０の肌側から圧搾されていても、非肌側から圧搾されていてもよく、何れの場合にも、タブ３０の外側（非肌側）から圧搾部３３を視認可能となる。

　また、係合部３２は、タブ３０を構成する基材シート３１に接着剤にて接合されることが多いが、圧搾部３３によってタブ３０と係合部３２の接合強度がより高まる。そのため、タブ３０から係合部３２が剥がれることなく、タブ３０を付け直すことが可能となる。
また、ナプキン１の着用中にタブ３０が外れてしまうことも防止できる。

　ただし、タブ３０に設けられている複数の圧搾部３３の方が、サイド接合部４０に設けられている複数の接合部（例えば不図示の溶着部）よりも、平均ピッチ（上下方向及び左右方向の少なくとも一方向の平均ピッチ）が大きくなるようにするとよい。圧搾部３３の平均ピッチを大きくして、圧搾部３３の面積率を抑えることで、係合部３２のフック材が圧搾部３３で潰れてしまうことを防止できる。一方、サイド接合部４０を構成する接合部の平均ピッチを小さくすることで、サイド接合部４０の接合強度が高まる。よって、ナプキン１の着用時に、着用者がタブ３０を引っ張っても、タブ３０が後胴回り部２０ｂから外れてしまうことを防止できる。

　なお、同系色とは、マンセル表色系（１００色相）において、色相が５未満、明度が１未満、又は、彩度が１未満、離れていることをいい、色が同一の場合を含む。　
　好ましくは、色差ΔＥが１未満であるとよい。色差は、以下のとおり測定される。
（１）Ｘ－Ｒｉｔｅ社製　Ｘ－Ｒｉｔｅ　ｅＸａｃｔ　Ｓｔａｎｄｅｒｄ（測定径：１．５ｍｍ）を準備する。
（２）サンプルの測定すべき部分（前胴回り部２０ｆの非肌側面）のＣＩＥ　Ｌ^*ａ^*ｂ^*座標を、位置を変えて１０点以上測定し、それらの平均値（Ｌ１^*，ａ１^*，ｂ１^*）を算出する。
（３）サンプルの対比すべき部分（タブ３０の非肌側面）のＣＩＥ　Ｌ^*ａ^*ｂ^*座標を、位置を変えて１０点以上測定し、それらの平均値（Ｌ２^*，ａ２^*，ｂ２^*）を算出する。
（４）上記結果から色差ΔＥを算出する（ΔＥ＝〔（Ｌ１^*－Ｌ２^*）^２+（ａ１^*－ａ２^*
）^２+（ｂ１^*－ｂ２^*）^２〕^１／２

＝＝＝その他＝＝＝
　例えば、前述の実施形態では、胴回り部材２０に伸縮性の肌側シート２２，２３が配されることで、胴回り部材２０に左右方向の伸縮性が付与されている。伸縮性のシートの代わりに、左右方向に伸縮する糸状の弾性部材（糸ゴム等）を上下方向に間隔を空けて複数配することで、胴回り部材２０に伸縮性を付与してもよい。

　また、タブ３０と重複する前胴回り部２０ｆの上下方向の最小長さＬ１が８０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下であり、サイド接合部４０の上下方向の長さＬ２が１００ｍｍ以上１６０ｍｍ以下であることと、サイド接合部４０にて前胴回り部２０ｆを破った場合に、前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡの方が後胴回り部２０ｂよりも左右方向の長さが長くなること（Ｗ１＞Ｗ２）との両方を満たすに限らず、少なくとも一方を満たすパンツ型吸収性物品であればよい。

＜＜＜第３実施形態のナプキン１について＞＞＞
　図２１は、切り取り線２６に沿って前胴回り部２０ｆを後胴回り部２０ｂから分離させた状態のナプキン１の展開平面図である。図２２は、パンツ型のナプキン１を前側から見た正面図である。図２３は、係合部３２の縦方向に沿う中心線ＣＬ１が水平となるようにナプキン１を保持した状態の正面図である。図２４は、変形例のナプキン１を図２３と同様に保持した状態の正面図である。

　前述したように第３実施形態のナプキン１は、前胴回り部２０ｆに取り外し可能に係合するタブ３０を有する。そのため、着用者は、ナプキン１をテープ型にして使用する場合に、自分の前側においてタブ３０を視認しながら前胴回り部２０ｆにタブ３０を係合できる。よって、着用者が自分でナプキン１を装着する場合の装着性が良い。また、ナプキン１を取り外す場合にも、着用者は自分の前側においてタブ３０を視認しながら前胴回り部２０ｆからタブ３０を取り外すことができる。

　また、本実施形態のナプキン１のように、前胴回り部２０ｆは、幅方向の端部において、縦方向に長さを有する切り取り線２６（例えばミシン目）を有することが好ましい。そうすることで、着用者は前胴回り部２０ｆを容易に破ることができる。

　なお、本実施形態の切り取り線２６は、前胴回り部２０ｆの縦方向の全域に設けられているが、切り取り線２６は前胴回り部２０ｆの縦方向の一部に設けられているだけでもよい。また、切り取り線２６は、伸張状態のナプキン１（図１１）に示されるような縦方向に沿う直線形状であるに限らず、縦方向に対して傾斜した直線や曲線形状であってもよい。また、切り取り線２６は、前胴回り部２０ｆを縦方向に破りやすいものであればよく、前胴回り部２０ｆの胴回り側の端部や股下側の端部に設けられた切欠き部等であってもよい。

　但し、ナプキン１は切り取り線２６を有していなくてもよい。その場合にも、サイド接合部４０は、溶着等によって形成されており、胴回り部材２０の他の領域と比較して剛性が高い。そのため、着用者は、サイド接合部４０の幅方向の内側端４０ａに沿って前胴回り部２０ｆを破ることができる。

　また、ナプキン１がパッケージから取り出された初期状態において、ナプキン１の非肌面側（外側）からタブ３０が視認可能であることが好ましい。例えば、本実施形態のナプキン１のように、前胴回り部２０ｆが切り取り線２６を有する場合、切り取り線２６に沿って前胴回り部２０ｆが縦方向に破られていない状態において、前胴回り部２０ｆの非肌面側からタブ３０が視認可能であることが好ましい。

　そうすることで、ナプキン１がパンツ型としてもテープ型としても使用可能であることを着用者が認識しやすくなる。よって、ナプキン１の着用者は、その時の状況に応じて、ナプキン１をパンツ型のままで着脱したり、テープ型にして着脱したりすることができ、ナプキン１の着脱しやすさが向上する。

　また、着用者がナプキン１をテープ型にして自分で装着する場合、図１５Ｃや図１６Ａに示すように、切り取り線２６等で切り離した胴回り部材２０を太腿に巻き付けつつ、太腿の上でタブ３０を係合する方法が想定される。そうすることで、前胴回り部２０ｆにタブ３０（係合部３２）を安定して係合できる。

　ただし、着用者が、便器に座った状態、或いは、便器の近くにおいて中腰で立った状態で、片側の太腿にナプキン１を巻き付けた状態では、図１６Ｂに示すようにナプキン１が垂れ下がりやすい。特に、ナプキン１の重さの大部分を占める吸収性コア１１が太腿から垂れ下がりやすい。太腿から垂れ下がったナプキン１の部位が便器に接触してしまうと、これから着用するナプキン１の衛生状態が低下してしまう。

　そこで、本実施形態のナプキン１では、タブ３０が備える係合部３２の縦方向の胴回り側（一方側）の端の幅方向の中心３２ａと、係合部３２の縦方向の股下側（他方側）の端の幅方向の中心３２ｂと、を繋ぐ中心線ＣＬ１（図２１，図２２参照）が水平となるように、ナプキン１を保持したときに（図２３）、吸収性コア１１の最下端１１Ｌを、ナプキン１（製品）の最下端１Ｌよりも上側に位置させる。

　図２３のようにナプキン１が太腿に巻き付けられた状態に近い状態において、ナプキン１の重さの大部分を占める吸収性コア１１がナプキン１の最下端よりも上側に位置しているということは、吸収性コア１１の最下端が製品の最下端となる場合に比べて、吸収性コア１１が垂れ下がっていないといえる。よって、胴回り部材２０が太腿に巻き付けられた際に（図１６Ｂ）、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。

　その結果、ナプキン１の衛生状態を良好に保つことができる。また、ナプキン１が便器に接触し難いことで、着用者は太腿に胴回り部材２０を巻き付ける動作に集中でき、ナプキン１の装着性が向上する。また、着用者は、前胴回り部２０ｆにタブ３０を係合した後に、ナプキン１を太腿の周方向に沿って回転し、図１６Ｃに示すように吸収性コア１１（吸収性本体１０）を太腿の間に引き上げる。そのため、吸収性コア１１の垂れ下がりが少ないことで、吸収性コア１１の引き上げ動作も容易となる。

　なお、胴回り部材２０が切り取り線２６等で分離されていないパンツ型のままのナプキン１を、図２３のように保持して観察する。また、パッケージから取り出した初期状態のタブ３０における係合部３２の中心線ＣＬ１が水平となるように、ナプキン１を保持する。本実施形態のナプキン１では、パッケージから取り出した初期状態が図２２の状態とする。ゆえに、タブ３０が胴回り部材２０に接合された位置（サイド接合部４０）から幅方向の内側に向かって広げられた状態で前胴回り部２０ｆに係合しており、そのタブ３０の位置における係合部３２の中心線ＣＬ１が水平となるように、ナプキン１を保持する。一方、パッケージから取り出した初期状態が図２２の状態ではなく、例えばタブ３０（係合部３２）が折り畳まれている場合は、その折り畳まれているタブ３０の位置における係合部３２の中心線ＣＬ１（係合部３２も折り畳まれている場合には折り畳まれている状態での係合部３２の中心線ＣＬ１）が水平となるようにナプキン１を保持する。

　また、係合部３２の中心線ＣＬ１が水平となるようにナプキン１を保持するために、ＪＩＳ１級に準拠した金尺定規（例えばシンワ測定社製の直尺シルバー（長さ３３５ｍｍ又は５００ｍｍ、幅２５ｍｍ、厚み１ｍｍ）、或いはそれと同等のもの）を用いて測定する。具体的には、まず、水平な作業台５０の面に定規５１の平面を沿わせて、作業台５０から定規５１を２００ｍｍ突出させる。次に、定規５１に、ナプキン１の脚回り開口１ｂ及び胴回り開口１ａを通す。そして、突出した定規５１の端から５０ｍｍ内側（作業台５０側）の位置に、ナプキン１の胴回り開口端を合わせる。また、定規５１の幅（２５ｍｍ）の中心位置に、ナプキン１の係合部３２の縦方向の中心線ＣＬ１を合わせる。そうして、定規５１から垂れ下がったナプキン１の状態を観察する（例えば吸収性コア１１とナプキン１の最下端の位置を比較する）。なお、両面テープ等を用いて、作業台５０と定規５１を固定したり、定規５１とナプキン１を固定したりするとよい。また、パンツ型吸収性物品の重さで定規５１が撓む場合には、定規５１をその厚さ方向に２～３枚重ねてパンツ型吸収性物品を保持するようにしてもよい。又は、作業台５０から突出する定規５１の長さを短くしてもよい。以下の測定や比較も同様に行うものとする。また、図２３の状態のナプキン１の測定や比較は、実際のナプキン１にて行ってもよいし、図２３の状態のナプキン１を前側から撮影した画像に基づいて行ってもよい。

　また、以下の説明では、ナプキン１の２つ折り部Ｆ（縦方向における股下側の端）よりも前側に位置する吸収性コア１１の部位を「前側の吸収性コア１１Ｆ」とも呼び、２つ折り部Ｆよりも後側に位置する吸収性コア１１の部位を「後側の吸収性コア１１Ｂ」とも呼ぶ。同様に、ナプキン１の２つ折り部Ｆよりも前側に位置する吸収性本体１０の部位を「前側の吸収性本体１０Ｆ」とも呼び、２つ折り部Ｆよりも後側に位置する吸収性本体１０の部位を「後側の吸収性本体１０Ｂ」とも呼ぶ。

　また、本実施形態のナプキン１では、係合部３２の中心線ＣＬ１が水平となるようにナプキン１を保持したときに（図２３）、以下であるとする。まず、前側の吸収性コア１１Ｆが有する幅方向の両側端のうち上側に位置する側端１１ＳＵと、ナプキン１の２つ折り部Ｆとが、交差する点Ｐ１を通る水平ラインＬＨ（鉛直方向における水平位置）を特定する。その水平ラインＬＨからナプキン１の最下端１Ｌまでの、鉛直方向（上下方向）の長さＬ４の方が、水平ラインＬＨからナプキンの最上端１Ｕ（すなわち定規５１の上面）までの鉛直方向の長さＬ３よりも短い。

　水平ラインＬＨの位置は、胴回り部材２０が巻き付けられた太腿の下面の位置に概ね相当する。そのため、上記のように水平ラインＬＨからナプキン１の最下端１Ｌまでの鉛直方向の長さＬ４を短くすることで、太腿に胴回り部材２０が巻き付けられた際のナプキン１の垂れ下がり量を少なくできる。具体的には、図２３のように保持されたナプキン１において、吸収性コアの最下端が製品の最下端となる吸収性物品に比べて、長さＬ４を短くでき、太腿に胴回り部材２０が巻き付けられた際のナプキン１の垂れ下がり量を少なくできる。よって、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。

　なお、上記の長さＬ３，Ｌ４の測定方法としては、以下の方法が挙げられる。まず、図２２に示す自然状態のナプキン１（例えば水平な台に平置きされた無負荷状態のナプキン１）の前側の非肌側面にペンで印を付ける。すなわち、ナプキン１の２つ折り部Ｆと、水平に係合部３２が保持される側の吸収性コア１１の側端１１ＳＵとの交点Ｐ１の位置に印をつける。次に、図２３の状態のナプキン１に対して、交点Ｐ１を通る水平ラインＬＨをペンで印す。そして、水平ラインＬＨからのナプキン１の最上端１Ｕ及び最下端１Ｌまでの
長さＬ３，Ｌ４を定規等で測定する。或いは、図２３の状態のナプキン１を前側から撮影した画像データ上において水平ラインＬＨを特定し、長さＬ３，Ｌ４の比較を行ってもよい。

　また、自然状態のナプキン１（図２２）において、前側の吸収性本体１０Ｆは、縦方向の胴回り側（一方側）の端の幅方向の中心である第１中心Ｃ１と、前側の吸収性本体１０Ｆを縦方向に二分する中央線の幅方向の中心である第２中心Ｃ２と、縦方向の股下側（他方側）の端の幅方向の中心である第３中心Ｃ３を有する。

　本実施形態のナプキン１では、係合部３２の中心線ＣＬ１が水平となるようにナプキン１を保持したときに（図２３）、第１中心Ｃ１と第２中心Ｃ２を繋ぐ線Ｌａの水平方向に対する傾きと、第２中心Ｃ２と第３中心Ｃ３を繋ぐ線Ｌｂの水平方向に対する傾きとが、同一である。なお、線Ｌａ，線Ｌｂの水平方向に対する傾きが同一であるとは、実質的に同一であればよく、０～５度以下程度の傾きの誤差が生じる場合も同一とする。

　線Ｌａ及び線Ｌｂの水平方向に対する傾きが同一であり、線Ｌａ及び線Ｌｂが同一線上に位置するということは、吸収性本体１０の縦方向における胴回り側の部位（Ｃ１～Ｃ２の範囲の部位）に対して、股下側の部位（Ｃ２～Ｃ３の範囲の部位）が傾いていないということである。つまり、ナプキン１が図２３の状態であっても、吸収性本体１０が縦方向の途中で折れることなく、吸収性本体１０の股下側の部位が垂れ下がっていないということである。よって、胴回り部材２０が太腿に巻き付けられた際に、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。

　なお、線Ｌａ，線Ｌｂの傾きの確認方法としては、以下の方法が挙げられる。まず、図２２に示す自然状態のナプキン１の前側の非肌側面に対して、第１中心Ｃ１～第３中心Ｃ３の位置にペンで印を付ける。次に、図２３の状態のナプキン１に対して、第１中心Ｃ１と第２中心Ｃ２を繋ぐ線Ｌａと、第２中心Ｃ２と第３中心Ｃ３を繋ぐ線Ｌｂをペンで印す。そして、線Ｌａと線Ｌｂの水平方向に対する傾きを、定規等を用いて確認する。或いは、図２３の状態のナプキン１を前側から撮影した画像データ上において、線Ｌａと線Ｌｂを特定して傾きを比較してもよい。

　また、係合部３２の中心線ＣＬ１が水平となるように保持されたナプキン１を前側から視認したときに、図２３に示すように、幅方向における吸収性本体１０の一対の側端のうちの下側の側端１０ＳＬよりも下側に（すなわち下側の脚回り開口１ｂから）、後側の吸収性本体１０の肌側面が視認されるとよい。例えば、前胴回り部２０ｆの幅方向の内側の位置にタブ３０が係合されるようにしたり、後胴回り部２０ｂの幅方向の伸縮性を低くしたりする。

　そうすることで、胴回り部材２０が太腿に巻き付けられた際に、前側の吸収性本体１０Ｆが上側に位置するため、ナプキン１を太腿の周方向に沿って回転し、太腿の間に吸収性本体１０を引き上げる動作が容易となる。つまり、着用者が、前側の吸収性本体１０Ｆの幅方向の両側部を持って引き上げる量が少なくなり、次の動作に移行しやすくなる。

　しかし、図２３とは逆に、図２４の変形例に示すように、係合部３２の中心線ＣＬ１が水平となるように保持されたナプキン１を前側から視認したときに、幅方向における吸収性本体１０の一対の側端のうちの上側の側端１０ＳＵよりも上側に（すなわち上側の脚回り開口１ｂから）、後側の吸収性本体１０Ｂの肌側面が視認されるようにしてもよい。例えば、前胴回り部２０ｆの幅方向の外側の位置にタブ３０が係合されるようにしたり、後胴回り部２０ｂの幅方向の伸縮性を高くしたりする。

　胴回り部材２０が太腿に巻き付けられる際に、ナプキン１の後方部は、前方部に比べて便器の近くに位置しやすく、また、太腿の下を通されて巻き付けられる。そのため、上記のように後側の吸収性本体１０Ｂを上側に位置させることで、ナプキン１の後方部の便器への接触をより抑制できる。

　また、図２４の場合、図２３の場合に比べて、水平方向に対する前側の吸収性本体１０Ｆの傾きが小さい。そのため、着用者が太腿の間に前側の吸収性本体１０Ｆを引き上げた際に（図１６Ｃ）、太腿が延びる方向に対する前側の吸収性本体１０Ｆの傾きが小さく、前側の吸収性本体１０Ｆを位置合わせする動作が容易となる。

　さらに、係合部３２の中心線ＣＬ１が水平となるようにナプキン１を保持したときに（図２３）、その係合部３２（３２Ａ）とは幅方向の反対側の位置に設けられている下側のタブ３０（他の係合部材）の係合部３２（３２Ｂ）が、ナプキン１の最下端１Ｌよりも上側に位置しているとよい。

　そうすることで、着用者が胴回り部材２０を太腿に巻き付けた際に、太腿の間から反対側のタブ３０（係合部３２Ｂ）が視認されやすい。よって、着用者は、次に反対側のタブ３０を開いて破る動作を行うことを意識しやすく、次の動作に移行しやすくなる。

　また、係合部３２の中心線ＣＬ１が水平となるようにナプキン１を保持したときに（図２３）、その係合部３２（３２Ａ）の縦方向における胴回り側の端３２Ａａを通る鉛直線ＬＶに対して、下側のタブ３０の係合部３２（３２Ｂ）の少なくとも一部が、胴回り側に位置しているとよい。

　そうすることで、着用者が胴回り部材２０を太腿に巻き付けた際に、反対側のタブ３０（係合部３２Ｂ）が着用者の近くに位置する。そのため、着用者は、前かがみの姿勢にならなくとも、目線を下に落とすだけで、反対側のタブ３０（係合部３２Ｂ）を見つけることができ、次の動作に移行しやすくなる。

　また、前述したナプキン１の装着方法では、胴回り部材２０が太腿に巻き付けられた後、図１６Ｃに示すようにナプキン１を引き上げた状態で、反対側のタブ３０を開いて前胴回り部２０ｆを破る方法を説明したが、これに限らない。例えば、図１６Ｂに示すように、反対側の太腿の下からタブ３０を掴み、太腿の下でタブ３０を開いて前胴回り部２０ｆを破るようにしてもよい。その場合、その前胴回り部２０ｆの破いた部分をそのまま下から太腿に巻き付けることができる。その場合、上記のように、反対側のタブ３０（係合部３２Ｂ）が着用者の近くに位置することで、着用者は太腿の下からタブ３０を掴みやすくなる。

　また、本実施形態のナプキン１は、成人用のパンツ型吸収性物品であるが（初潮を迎えた小中学生も着用対象者に含む）、吸収性コア１１の体積が比較的に小さい。厳密には、吸収性コア１１が配されているナプキン１の部位の体積が比較的に小さく、１００ｃｍ^３以上２５０ｃｍ^３以下とする。

　吸収性コア１１が配されているナプキン１の部位の体積とは、「吸収性コア１１の長手方向の長さ」と、「吸収性コア１１の幅」と、「吸収性コア１１が配されているナプキン１の部位の厚み（図１２のトップシート１１～非肌側シート２１までの厚み）」を、乗じることで得られる。ただし、吸収性コア１１に重ねられるシートの厚みは吸収性コア１１の厚みに比べて小さい。そのため、吸収性コア１１が配されているナプキン１の部位の体積は、吸収性コア１１の体積に近いので、本明細書では、吸収性コア１１が配されているナプキン１の部位の体積を、単に「吸収性コア１１の体積」ともいう。

　吸収性コア１１の体積を２５０ｃｍ^３以下と小さくすることで、吸収性コア１１の質量や寸法（長さ、幅、厚み等）を小さくできる。よって、着用者がナプキン１をテープ型にして装着するために胴回り部材２０を太腿に巻き付けた際に、ナプキン１の質量の大部分を占める吸収性コア１１が垂れ下がり難くなり、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。よって、ナプキン１の衛生状態を良好に維持でき、装着性も向上する。また、自分で装着する着用者を対象とした成人用のパンツ型吸収性物品（例えば本実施形態のナプキン１や軽失禁用のおむつ等）の場合、介護用のパンツ型吸収性物品に比べて、排泄量が少ない。そのため、吸収性コア１１の体積を１００ｃｍ^３以上２５０ｃｍ^３以下としても、排泄液の漏れを抑制できる。

　具体的には、吸収性コア１１の幅が５０ｍｍ以上１００ｍｍ未満であることが好ましい。吸収性コア１１の幅を１００ｍｍ未満とすることで、吸収性コア１１の体積を上記のように小さくできる。また、胴回り部材２０が太腿に巻き付けられた際の、吸収性コア１１の最下端の位置１１Ｌ（図２４参照）を上方に位置させることができる。よって、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。一方、吸収性コア１１の幅を５０ｍｍ以上とすることで、着用者に安心感を付与でき、排泄液の横漏れも抑制できる。

　また、展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、吸収性コア１１が配されている部位のナプキン１の厚み、つまり、吸収性コア１１と吸収性コア１１に重ねて配されるシートの合計厚みが５．５ｍｍ未満であることが好ましい。ただし、吸収性コア１１の体積と同様に、吸収性コア１１に重ねられるシートの厚みは吸収性コア１１の厚みに比べて小さいので、本明細書では、吸収性コア１１が配されている部位のナプキン１の厚みを、単に「吸収性コア１１の厚み」ともいう。

　吸収性コア１１の厚みを５．５ｍｍ未満とすることで、吸収性コア１１の体積を上記のように小さくでき、また、ナプキン１の前後方向の膨らみを抑えることができるため、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。

　また、吸収性コア１１の質量が１０ｇ以上４０ｇ以下であることが好ましい。吸収性コア１１の質量を４０ｇ以下とすることで、胴回り部材２０が太腿に巻き付けられた際の吸収性コア１１の垂れ下がりを抑制でき、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。一方、吸収性コア１１の質量を１０ｇ以上とすることで、排泄液の漏れを抑制できる。

　吸収性コア１１の体積、幅、厚み、質量の測定方法を以下に説明する。　
（１）図１１に示すように皺がない程度にナプキン１を展開かつ伸張状態にして、吸収性コア１１を平面的に広げた状態での長手方向（ナプキン１の縦方向）の最大長さを測定する。　
（２）次に、吸収性コア１１を長手方向に３分割した領域Ｒ１～Ｒ３に区画する（図２１参照）。そして、各領域Ｒ１～Ｒ３の長手方向の中心位置における、吸収性コア１１の幅Ｗ１～Ｗ３を測定する。その３つの幅Ｗ１～Ｗ３の平均値を吸収性コア１１の幅Ｗとする。
その幅Ｗが５０ｍｍ以上１００ｍｍ未満であることが好ましい。　
（３）次に、吸収性コア１１を長手方向に３分割した領域Ｒ１～Ｒ３の各中心（長手方向及び幅方向の中心）における、吸収性コア１１の厚みｔ１～ｔ３を測定する。その３つの厚みｔ１～ｔ３の平均値を吸収性コア１１の厚みｔ（吸収性コア１１が配されている部位のナプキン１の厚み）とする。その厚みｔが５．５ｍｍ未満であることが好ましい。　（４）そして、吸収性コア１１の長さと幅Ｗと厚みｔを乗じた値を、吸収性コア１１の体積（吸収性コア１１が配されているナプキン１の部位の体積）とする。その体積が１００ｃｍ^３以上２５０ｃｍ^３以下であることが好ましい。
（５）質量の測定は、上記寸法を測定した後に行う。まず、トルエンを用いてナプキン１を構成する資材を分離して、吸収性コア１１（コアラップシートも含む）を取り出す。分離した吸収性コア１１を、２４時間自然乾燥させた後に、吸収性コア１１（パルプ繊維やＳＡＰやコアラップシート等）の質量を測定する。その質量が１０ｇ以上４０ｇ以下であることが好ましい。

　また、吸収性コア１１の垂れ下がりを抑制するために、特に、ナプキン１の２つ折り部Ｆにおける、吸収性コア１１の幅方向の側縁の厚みが薄いことが好ましい。具体的には、吸収性コア１１の２つ折り部Ｆにおける、幅方向の側縁の厚みは、上記の測定方法にて測定した吸収性コア１１の厚み（すなわち幅方向中央部の厚み）よりも薄く、４ｍｍ以下であるとよい。なお、吸収性コア１１の側縁の厚みは、上記測定方法と同じ方法により、測定箇所を変えて測定する。また、１つのナプキン１につき２箇所（左右の側縁）の厚みを測定し、平均値を吸収性コア１１の側縁の厚みとする。

　なお、吸収性コア１１の厚さは、例えば、ミツトヨ（株）製のダイアルシックネスゲージＩＤ－Ｃ１０１２Ｃ又はそれと同等のものを使用し、対象部位を例えば３．０ｇｆ／ｃｍ^２で加圧して測定した値とする。

　また、吸収性コア１１の体積、幅、厚み、質量の測定は、複数（例えば５個）のナプキン１について測定し、その平均値が上記範囲に含まれていることを確認することが好ましい。測定対象のナプキン１は、同じパッケージに入っているナプキンであることが好ましいが、同じ段ボールに入っているナプキン又は製造日が同じであるナプキンであってもよい。

　また、図１１に示すように、展開かつ伸張状態であるナプキン１において、縦方向（幅方向に直交する方向であり、吸収性本体１０の長手方向に沿う方向）におけるナプキン１の一方側の端から中心ＣＬまでの長さＬ６が、２００ｍｍ以上３５０ｍｍ以下であることが好ましい。長さＬ６を３５０ｍｍ以下とすることで、胴回り部材２０から股下側に延びるナプキン１の部位の長さも適度に小さくなるため、胴回り部材２０が太腿に巻き付けられた際にナプキン１が垂れ下がり難く、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。一方、長さＬ６を２００ｍｍ以上とすることで、成人にフィットするサイズとなる。

　また、図１１に示すように、吸収性コア１１の幅は、吸収性本体１０の幅よりも狭く、吸収性本体１０は、幅方向の側部において、吸収性コア１１が存在しない領域を有することが好ましい。

　そうすることで、吸収性本体１０の幅方向の側部では剛性が低くなる。よって、太腿に胴回り部材２０が巻き付けられ後に、着用者が胴回り部材２０を回転させて吸収性本体１０を引き上げる際に、吸収性本体１０の側部が着用者の太腿の周方向に沿いやすく、胴回り部材２０を回転しやすくなる。よって、ナプキン１の装着性が向上する。

　また、本実施形態のナプキン１のように、胴回り部材２０の幅方向の両側に一対のタブ３０が設けられている好ましい。そうすることで、図１５Ｃや図１６Ｄに示すように、胴回り部材２０を両太腿に巻き付けてナプキン１を装着できる。また、ナプキン１を取り外す際には、一対のタブ３０を前胴回り部２０ｆから取り外して、太腿の間からナプキン１を引き抜くことができる。よって、パンツ型のままでナプキン１を着脱する場合のように、ナプキン１の脚回り開口１ｂにつま先を通して着脱する必要がない。ゆえに、着用者がズボンや靴やストッキング等を脱がなくてもナプキン１を着脱でき、外出先でもナプキン１を容易に交換できる。

　また、本実施形態のナプキン１のように、胴回り部材２０の幅方向の一方側に、係合部３２を１つ有するタブ３０（係合部材）が１つ設けられ、胴回り部材２０の幅方向の他方側に、係合部３２を１つ有するタブ３０（他の係合部材）が１つ設けられていることが好ましい。つまり、ナプキン１の幅方向の両側にタブ３０が１つずつ設けられていることが好ましい。

　そうすることで、着用者は、タブ３０（係合部３２）を幅方向の両側で１回ずつ係合するだけでよく、容易に装着できる。ナプキン１の外観も向上する。また、本実施形態のナプキン１のように、自分で装着する着用者を対象としたパンツ型吸収性物品の場合、排泄量が少なく、排泄後の吸収性コア１１も軽い。そのため、本実施形態のナプキン１では、介護用のパンツ型吸収性物品のように例えば縦方向に係合部が２つ並んだタブを設けたり、係合部を１つ有するタブを縦方向に２つ並べたりして、タブを前胴回り部２０ｆに強固に固定しなくても、ナプキン１のずれ落ちの恐れが少ない。

　但し、係合部３２及びタブ３０の数は幅方向の両側で１つずつに限定されるものではない。また、胴回り部材２０の幅方向の一方側にのみタブ３０が設けられているナプキン１であってもよい。つまり、本実施形態のナプキン１は、少なくとも幅方向の片側をテープ型として使用可能なパンツ型吸収性物品であればよい。

　また、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂは、幅方向に伸縮する肌側シート２２，２３を有し、かつ、縦方向の胴回り側の端部において、幅方向に伸縮する胴回り弾性部材２４（例えば糸ゴム）を複数有する。図１１や図２１に示すように、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂは、少なくとも幅方向の位置が吸収性本体１０と重複する領域において、幅方向に伸縮する伸縮領域２０ＥＡを連続して有することが好ましい。

　そうすることで、ナプキン１が着用者の胴回りにフィットする。特に、ナプキン１がテープ型として使用される場合（図１３Ｂ）、前胴回り部２０ｆの腹側当接部２０ｆＡが後胴回り部２０ｂから分離されるが、一対のタブ３０の間で腹側当接部２０ｆＡが幅方向の両外側に引っ張られ、着用者の胴回りにフィットする。

　また、着用者が胴回り部材２０を太腿に巻き付ける際に、腹側当接部２０ｆＡを太腿の前側に引っ張ってきやすくなり、太腿の上でタブ３０を腹側当接部２０ｆＡに係合しやすくなる。また、肌側シート２２，２３及び胴回り弾性部材２４によって、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂが幅方向に収縮し（太腿の周りにフィットし）、ナプキン１が垂れ下がり難くなる。よって、ナプキン１の便器への接触を抑制できる。

　また、前胴回り部２０ｆは、伸縮領域２０ＥＡよりも幅方向の外側（タブ３０が設けられている側）に、伸縮領域２０ＥＡよりも伸縮性の低い低伸縮領域２０ＮＡを有しているとよい。低伸縮領域２０ＮＡが設けられていることで、着用者が前胴回り部２０ｆを幅方向に引っ張って破る際に、その力が破断部に効率よく伝わり、小さい力で破ることができる。ナプキン１が切り取り線２６を有する場合、幅方向における低伸縮領域２０ＮＡの両側端の間に、切り取り線２６が配置されていることが好ましい。そうすることで、切り取り線２６の両外側が伸張し難いため、前胴回り部２０ｆを破りやすくなる。また、前胴回り部２０ｆの切れ端が低伸縮領域２０ＮＡにより丸まり難いため、前胴回り部２０ｆにタブ３０を係合しやすくなり、前胴回り部２０ｆの切れ端を着用者が異物として感じ難くなる。そのため、前胴回り部２０ｆは、少なくとも幅方向の位置が吸収性本体１０と重複する領域において、伸縮領域２０ＥＡを連続して有することが好ましい。

　一方、ナプキン１の後方部は、前方部に比べて便器の近くに位置しやすく、太腿の下を通されて巻き付けられるので便器に接触しやすい。そのため、後胴回り部２０ｂは、幅方向における一対のサイド接合部４０間の領域において、伸縮領域２０ＥＡを連続して有することが好ましい。そうすることで、後胴回り部２０ｂでは、幅方向のより広い範囲に伸縮性が付与され、着用者の太腿に胴回り部材２０が巻き付けられた際に、ナプキン１の後方部の垂れ下がりを抑制できる。

　また、後胴回り部２０ｂは、その非肌側面を形成する非肌側シート２１を有するが、図１１や図１２に示すように、縦方向における非肌側シート２１の胴回り側の端部は、肌側に折り返されている。そして、後側の吸収性本体１０の縦方向の端部を肌側から覆っている。

　そうすることで、後胴回り部２０ｂの上端部（胴回り側の端部）では、多くの資材が厚さ方向に重なり、剛性が高くなる。そのため、太腿に胴回り部材２０が巻き付けられる際に、より便器に接触しやすいナプキン１の後方部（後胴回り部２０ｂ）の剛性を高めることができ、ナプキン１の後方部の垂れ下がりを抑制できる。

　また、本実施形態のナプキン１では、図１１に示すように、吸収性本体１０が、幅方向の側部において、吸収性本体１０の長手方向に沿って伸縮する防漏壁弾性部材１４１（側部弾性部材）を有している。この場合、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂの少なくとも一方が有する伸縮領域２０ＥＡにおける幅方向の応力（伸縮応力）は、防漏壁弾性部材１４１が配置されている領域における長手方向の応力（伸縮応力）よりも大きいことが好ましい。

　前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂの伸縮応力を高めることで、着用者の胴回りへのナプキン１のフィット性を高めることができる。また、太腿に胴回り部材２０が巻き付けられる際の、ナプキン１の垂れ下がりを抑制できる。一方、吸収性本体１０の側部の伸縮応力を抑えることで、太腿に巻き付けた胴回り部材２０を太腿の周方向に沿って回転する際に、吸収性本体１０がその長手方向に伸び難いため、胴回り部材２０を回転しやすくなる。また、ナプキン１の場合、介護用のおむつに比べて、排泄量が少ないため、防漏壁弾性部材１４１の伸縮応力が弱くとも、排泄液を堰き止めることができ、横漏れを抑制できる。

　なお、前胴回り部２０ｆ又は後胴回り部２０ｂの幅方向の伸縮応力と、吸収性本体１０の側部の長手方向の伸縮応力との比較は、引っ張り試験機（例えば（株）島津製作所製のオートグラフ型引張試験機ＡＧ－１ＫＮ１等）を用いて確認できる。まず、胴回り部材２０ｆから、前胴回り部２０ｆの伸縮領域２０ＥＡの全て（低伸縮領域２０ＮＡを有する場合はそれを除く領域）、又は、後胴回り部２０ｂの伸縮領域２０ＥＡの全てを切り出す。
また、吸収性本体１０から、防漏壁弾性部材１４１の伸縮部の全てを含む領域を切り出す。切り出した伸縮領域２０ＥＡの幅方向（伸縮方向）の長さ×幅（伸縮方向に直交する方向の長さ）と、切り出した防漏壁弾性部材１４１の伸縮部の長手方向（伸縮方向）の長さ×幅が、同じとなるように（例えば２００ｍｍ×２５ｍｍとなるように）、サンプルを作製する。そして、各サンプルの伸縮方向の両端部をチャックで挟み、１００ｍｍ／ｍｉｎのスピードでチャック間隔を離し、最大伸長状態になるまでサンプルを伸長させた後に、反転させて８０％まで収縮したときの引張荷重（Ｎ／２５ｍｍ）を取得する。その引張荷重（Ｎ／２５ｍｍ）を各サンプルの応力（伸縮応力）として比較するとよい。なお、胴回り部２０ｆ，２０ｂの場所に応じて応力が異なる場合、少なくとも胴回り部２０ｆ，２０ｂの最大応力が、吸収性本体１０の側部の応力よりも大きければよく、より好ましくは、胴回り部２０ｆ，２０ｂの最小応力が、吸収性本体１０の側部の応力よりも大きいとよい。

　また、図１１に示すように、吸収性本体１０は、その長手方向に沿って伸縮する吸収体弾性部材１５を複数有する。吸収体弾性部材１５は、例えば糸ゴムによって構成され、吸収性コア１１の非肌側に位置する液不透過性シート１３ａよりも非肌側（図１２では、液不透過性シート１３ａと疎水性シート１３ｂとの間）に、長手方向に伸長した状態で配置されている。本実施形態のナプキン１では、幅方向に所定の間隔を空けて５本の吸収体弾性部材１５が設けられている。

　そうすることで、図２２に示すように、吸収性本体１０が収縮して着用者の肌側に持ち上げられ、吸収性本体１０が着用者の股下部（膣口）に密着しやすくなり、排泄液の漏れを抑制できる。また、吸収性本体１０が肌側に持ち上げられることで、胴回り部材２０が太腿に巻き付けられる際に、吸収性本体１０の便器への接触をより抑制できる。なお、吸収体弾性部材１５の伸長倍率は１．４～３．３倍程度とすることが好ましい。伸長倍率は、伸長状態の弾性部材の長さを自然状態の弾性部材の長さで除した値で表される。吸収体弾性部材１５の伸長倍率をある程度強い倍率に設定しておくとよい。

　また、本実施形態のナプキン１は、図１１に示すように、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂから、縦方向の股下側に延出する前側延出部２０ｆｅ及び後側延出部２０ｂｅ（延出部材）を有する。前側延出部２０ｆｅ及び後側延出部２０ｂｅによって、着用者の下腹部や臀部を覆うことができ、ナプキン１の外観も向上する。ただし、胴回り部材２０が太腿に巻き付けられる際に、前側延出部２０ｆｅ及び後側延出部２０ｂｅは胴回り部材２０（太腿）から垂れ下がる部分であり、便器に接触する恐れがある。

　そこで、前側延出部２０ｆｅ及び後側延出部２０ｂｅに、その脚回り開口１ｂに沿って伸縮する脚回り弾性部材２５（例えば糸ゴム等）を設けることが好ましい。脚回り弾性部材２５によって、前側延出部２０ｆｅ及び後側延出部２０ｂｅが幅方向及び縦方向に収縮する。そのため、胴回り部材２０が太腿に巻き付けられる際の、前側延出部ｆｅ及び後側延出部２０ｂｅの垂れ下がりを抑制し、便器への接触を抑制できる。

　また、本実施形態のナプキン１では、図２１に示すように、前胴回り部２０ｆ及び後胴回り部２０ｂ（サイド接合部４０）よりも股下側まで、伸縮性の肌側シート２２，２３が延びている。このように、前側延出部ｆｅ及び後側延出部２０ｂｅの少なくとも一部に、伸縮性の肌側シート２２，２３を配置して、幅方向に伸縮する伸縮領域を設けることが好ましい。そうすることで、胴回り部材２０が太腿に巻き付けられる際の、前側延出部ｆｅ及び後側延出部２０ｂｅの垂れ下がりを抑制し、便器への接触を抑制できる。

　以上のように、本実施形態のナプキン１では、その展開状態において、図２１に示すように、縦方向の一端部から他端部に亘り、何らかの弾性部材（伸縮領域）が配されている。そのため、自然状態のナプキン１では全体が収縮しており、ナプキン１の全体のサイズが小さくなる。よって、太腿に胴回り部材２０が巻き付けられる際に、ナプキン１の垂れ下がりを抑制できる。

　また、図２２に示すように、サイド接合部４０に接合されたタブ３０が幅方向の内側に向かって広がった状態で前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合している、自然状態のナプキン１において、以下であることが好ましい。タブ３０が備える係合部３２は、前側の吸収性本体１０Ｆよりも幅方向の外側の位置に設けられていることと、前側の吸収性本体１０Ｆよりも縦方向の胴回り開口側の位置に設けられていることと、のうちの少なくとも一方であることが好ましい。つまり、タブ３０の係合部３２は、前側の吸収性本体１０と厚さ方向に重ならず、前側の吸収性本体１０の外側に設けられていることが好ましい。本実施形態のナプキン１では、前側の吸収性本体１０Ｆの幅方向の外側に係合部３２が位置している。

　そうすることで、パンツ型のナプキン１をテープ型にするために、着用者がタブ３０（係合部３２）を取り外す際に、吸収性本体１０の一部が破損してしまうことを防止できる。そのため、吸収性本体１０の吸収機能の低下を防止できる。

　また、前胴回り部２０ｆは幅方向に伸縮性を有するが、剛性の高い吸収性本体１０と厚さ方向に重なる部位では、伸縮性が低下する（伸縮性が意図的に抑えられる場合もある）。伸縮性が低下した前胴回り部２０ｆに係合部３２を係合する場合、係合部３２のフック材が前胴回り部２０ｆの繊維に絡まる度合が小さくなる。そのため、上記のように係合部３２を配することで、吸収性本体１０と厚さ方向に重ならない前胴回り部２０ｆの部位に係合部３２が係合しやすくなり、係合部３２のフック材が前胴回り部２０ｆの繊維に絡まりやすく、タブ３０の係合強度を高めることができる。

　なお、ナプキン１をパッケージから取り出した初期状態が図２２の状態である場合、初期状態、かつ、自然状態のナプキン１にて、位置の比較を行う。初期状態が図２２の状態でない場合（例えばタブ３０が折り畳まれている場合等）は、自然状態のナプキン１（自然状態の胴回り部材２０）に対して、サイド接合部４０等から幅方向の内側に向かって広げたタブ３０を前胴回り部２０ｆに係合した状態で、位置の比較を行う。

　また、ナプキン１は成人用のパンツ型吸収性物品であるが、図２２に示すように、前胴回り部２０ｆ、及び、サイド接合部４０の縦方向の長さＬ１，Ｌ２が比較的に短い。具体的には、サイド接合部４０に接合されたタブ３０が幅方向の内側に閉じられた状態で前胴回り部２０ｆの非肌側面に係合している、自然状態のナプキン１において、前胴回り部２０ｆ、及び、サイド接合部４０の縦方向の長さＬ１，Ｌ２を以下とする。まず、幅方向の位置がタブ３０と重複する、前胴回り部２０ｆの部位２０ｆＣの、縦方向の最小長さＬ１を、８０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下とする。また、タブ３０が接合されているサイド接合部４０の縦方向の長さＬ２を、１００ｍｍ以上１６０ｍｍ以下とする。

　タブ３０と重なる前胴回り部２０ｆの部位２０ｆＣは、タブ３０を開いて前胴回り部２０ｆを破いた着用者によって、図１５Ｃに示すように把持されやすい部位である。そのため、その部位２０ｆＣの縦方向の長さＬ１を比較的に短くすることで、着用者はその部位２０ｆＣを把持しやすく、太腿の前に前胴回り部２０ｆを引っ張りやすくなる。また、図１６Ｄに示すように、太腿の上の前胴回り部２０ｆを上から手で押さえる際に、前胴回り部２０ｆの縦方向の広範囲を手で押さえることができ、前胴回り部２０ｆの位置が安定した状態でタブ３０を係合できる。

　人工知能研究センターによる日本人の手の寸法データの調査結果によると、親指と人差し指の付け根から、人差し指の先端までの長さの平均値が、女性の場合に１００．６ｍｍであり、男性の場合に１０９.７ｍｍであり、両性（男性及び女性）の場合に１０７ｍｍであった。そのため、前胴回り部２０ｆの上記の寸法Ｌ１を１５０ｍｍ以下とすることで、着用者は、前胴回り部２０ｆの縦方向の半分の長さ以上を把持したり押さえたりすることができる。よって、安定してタブ３０を係合でき、ナプキン１の装着性が向上する。

　一方で、胴回り部材２０は幅方向に伸縮する部材であり、着用者の胴回りにフィットする。そのため、前胴回り部２０ｆの上記の寸法Ｌ１を８０ｍｍ以上とし、短くし過ぎないことが好ましい。そうすることで、ナプキン１のずれ落ちを防止でき、着用者がナプキン１を安心して利用できる。

　また、サイド接合部４０の縦方向の長さＬ２も、前胴回り部２０ｆと同様に短くすることで、サイド接合部４０に接合されるタブ３０の縦方向の長さも短くなる。よって、図１５Ｃに示すように、着用者がタブ３０を把持しやすくなる。ただし、サイド接合部４０の縦方向の長さＬ２は、前胴回り部２０ｆの縦方向の長さＬ１よりも若干長くなることが好ましく、１００ｍｍ以上１６０ｍｍ以下の範囲とする。そうすることで、図１５Ｃに示すように着用者がタブ３０を持って太腿の下からナプキン１を引き上げる際に、縦方向に長いサイド接合部４０によって、ナプキン１の後方部の縦方向の広範囲に引き上げ力が伝わりやすくなる。よって、太腿の下からナプキン１の後方部を引き上げやすくなる。しかし、これに限定されず、前胴回り部２０ｆとサイド接合部４０の縦方向の長さＬ１，Ｌ２が等しくてもよい。

　このように、前胴回り部２０ｆ及びサイド接合部４０の長さＬ１，Ｌ２を短くすることで、着用者が自分でナプキン１を装着する場合の装着性が向上する。自分で装着する着用者を対象とした成人用のパンツ型吸収性物品（例えば本実施形態のナプキン１や軽失禁用のおむつ等）の場合、介護用のパンツ型吸収性物品に比べて、吸収性コア１１が小さく、排泄後の吸収性コア１１も軽い。そのため、前胴回り部２０ｆ及びサイド接合部４０の長さＬ１，Ｌ２を短くしても、パンツ型吸収性物品のずれ落ちの恐れが少ない。

＝＝＝その他＝＝＝
　例えば、前述の実施形態では、胴回り部材２０に伸縮性の肌側シート２２，２３が配されることで、胴回り部材２０に幅方向の伸縮性が付与されている。伸縮性のシートの代わりに、幅方向に伸縮する糸状の弾性部材（糸ゴム等）を縦方向に間隔を空けて複数配することで、胴回り部材２０に伸縮性を付与してもよい。

　また、吸収性コア１１の体積が１００ｃｍ^３以上２５０ｃｍ^３以下であることと、係合部３２の中心線ＣＬ１が水平となるように保持されたときに、吸収性コア１１の最下端が製品最下端よりも上側に位置していることと、水平ラインＬＨ（図２３参照）から製品最下端までの長さを製品最上端までの長さよりも短くすることと、第１中心Ｃ１と第２中心Ｃ２を繋ぐ線Ｌａと、第２中心Ｃ２と第３中心Ｃ３を繋ぐ線Ｌｂとの傾きが同一となることと、の全てを満たすに限らず、少なくとも１つを満たすパンツ型吸収性物品であればよい。

　また、前胴回り部２０ｆと後胴回り部２０ｂは、溶着等で形成されたサイド接合部４０にて接合されているに限らず、例えば、弱い接着力の接着剤で接着されていたり、胴回り部材２０とそれに係合するフック材、又は、フック材と面ファスナーの雌部材により係合されていたりしてもよく、さらに、そのフック材がタブ（係合部材）の係合部として利用されてもよい。

　以上、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。

１　ナプキン（パンツ型吸収性物品）（本実施形態）、
１ａ　胴回り開口、１ｂ　脚回り開口、
１０　吸収性本体、
１１　吸収性コア、
１２　トップシート、
１３　バックシート、
１３ａ　液不透過性シート、１３ｂ　疎水性シート、
１４　防漏壁部、１４１　防漏壁弾性部材（側部弾性部材）、
２０　胴回り部材、
２０ｆ　前胴回り部、２０ｆＡ　腹側当接部２０ｆＡ、
２０ｆＢ　非分離部、２０ｆｃ　重なり領域
２０ｆｅ　側縁、２０ｆｕｐ　上側縁、
２０ｆｄｗ　下側縁、２０ｂ　後胴回り部、
２０ＥＡ　低弾性部、伸縮領域、
２０ＮＡ　高弾性部、低伸縮領域、
２１　非肌側シート、２２　肌側シート、２３　肌側シート、
２４　胴回り弾性部材、２５　分離部、
２６　切り取り線、２７　脚回り弾性部材、
３０　タブ（係合部材、他の係合部材）、
３０Ｔ　突出部、
３１　基材シート、３２　係合部、３３　圧搾部、
４０　サイド接合部（接合部）
５０　吸収体弾性部材、
ＣＬ　中央位置

Claims

　互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
　吸収性本体と、
　前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された、前胴回り部及び後胴回り部を備え、前記左右方向に伸縮する胴回り部材と、
　前記前胴回り部の非肌側面に取り外し可能に係合する係合部材と、を有し、
　前記前胴回り部及び前記後胴回り部が接合された成人用のパンツ型吸収性物品であって、
　前記係合部材は、前記前胴回り部に接合されており、
　前記前胴回り部の前記左右方向の両側縁の間において、
　前記前胴回り部は、平面視において、前記係合部材と重なる重なり領域の少なくとも一部に、周囲よりも弾性係数が大きい高弾性部を有する
ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前胴回り部は、前記係合部材と前記左右方向に重なる領域の少なくとも一部において、前記上下方向の上側縁を含む上側領域、もしくは下側縁を含む下側領域に前記高弾性部を有する
ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１又は２に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　自然状態において、前記前胴回り部と前記係合部材とが前記左右方向に重なる領域における前記前胴回り部の前記上下方向の長さの最小値は、８０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下である
ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１から請求項３の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前胴回り部の前記高弾性部には、前記上下方向に長さを有する切り取り線が設けられている
ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項４に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前胴回り部及び前記後胴回り部それぞれの前記左右方向の両側部が一対の接合部にて接合され、
　自然状態において、前記上下方向における前記接合部の長さは、前記切り取り線の長さよりも長い
ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項４又は５に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記係合部材は、前記前胴回り部の非肌側面に係合する係合部を有し
　前記切り取り線に沿って前記前胴回り部の腹側当接部が前記後胴回り部から分離される前の状態において、
　前記係合部は、前記左右方向において前記切り取り線よりも内側に位置している
ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項４から請求項６の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記切り取り線に沿って前記前胴回り部の腹側当接部が前記後胴回り部から分離される前の状態において、
　前記係合部材は、前記切り取り線の少なくとも一部を覆うように配置され、
　前記切り取り線の上端は前記係合部材の上端よりも上側、或いは、前記切り取り線の下端は前記係合部材の下端よりも下側に位置する
ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項４から請求項７の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　自然状態において、前記高弾性部は、前記切り取り線から前記左右方向の内側に向かって１０ｍｍ以上の長さを有する
ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項６に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記左右方向において、前記係合部の内側端から前記係合部材の内側端までの長さは、５ｍｍ以上５０ｍｍ以下である
ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１から９の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記パンツ型吸収性物品は、一対の前記係合部材を有し、
　一対の前記係合部材は、それぞれ、前記左右方向の両側において前記前胴回り部に接合され、
　前記前胴回り部は、平面視において、一対の前記係合部材と重なる前記左右方向の両側の重なり領域のそれぞれの少なくとも一部に前記高弾性部を有し、
　前記前胴回り部の前記左右方向の両側の前記高弾性部の間には、前記高弾性部よりも弾性係数が小さい低弾性部が連続して設けられている
ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１０に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記係合部材は、前記前胴回り部の非肌側面に係合する係合部を有し
　前記係合部が前記前胴回り部に係合した状態、且つ、平面視において、前記低弾性部は、前記係合部の少なくとも一部と重なる部分を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１から請求項１１の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記左右方向における前記係合部材の最大長さは、２０ｍｍ以上１２０ｍｍ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１から請求項１２の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前胴回り部は、前記左右方向の一方側の端部において、前記上下方向に長さを有する切り取り線を有し、
　前記切り取り線に沿って前記前胴回り部の腹側当接部を前記後胴回り部から分離した後、前記係合部材を前記前胴回り部の非肌側面に係合させた状態において、
　前記係合部材は、前記前胴回り部の下側縁よりも前記上下方向の下側に突出する突出部を有する
ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
　吸収性本体と、
　前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備え、前記左右方向に伸縮する胴回り部材と、
　前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部材と、を有し、
　前記前胴回り部及び前記後胴回り部が一対の接合部にて接合された成人用のパンツ型吸収性物品であって、
　前記係合部材は、前記左右方向の一方側の前記接合部において前記胴回り部材に接合されており、
　前記左右方向の位置が前記係合部材と重複する、前記前胴回り部の部位の、前記上下方向の最小長さは、８０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下であり、
　前記左右方向の前記一方側の前記接合部の前記上下方向の長さは、１００ｍｍ以上１６０ｍｍ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
　吸収性本体と、
　前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備え、前記左右方向に伸縮する胴回り部材と、
　前記胴回り部材の前記左右方向の一方側に設けられ、前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部材と、を有し、
　前記前胴回り部及び前記後胴回り部が一対の接合部にて接合されたパンツ型吸収性物品であって、
　前記左右方向の一方側の前記接合部の内側端に沿って前記前胴回り部の腹側当接部が前記後胴回り部から分離された状態、かつ、自然状態において、
　前記左右方向における前記腹側当接部の前記一方側の端から他方側の前記接合部の内側端までの長さは、前記左右方向における前記後胴回り部の前記一方側の端から前記他方側の前記接合部の内側端までの長さよりも長いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１５に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前胴回り部は、前記左右方向の前記一方側の端部において、前記上下方向に長さを有する切り取り線を有し、
　前記切り取り線に沿って前記前胴回り部の腹側当接部が前記後胴回り部から分離された状態、かつ、自然状態において、
　前記左右方向における前記腹側当接部の前記一方側の端から他方側の前記接合部の内側端までの長さは、前記左右方向における前記後胴回り部の前記一方側の端から前記他方側の前記接合部の内側端までの長さよりも長いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１６に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体は吸収性コアを備え、
　前記切り取り線に沿って前記前胴回り部の腹側当接部が前記後胴回り部から分離され、前記係合部材が前記左右方向の前記一方側に広げられた状態、かつ、自然状態において、
　　前記左右方向における前側の前記吸収性コアの前記一方側の端から前記腹側当接部の前記一方側の端までの長さは、５０ｍｍ以上２００ｍｍ以下であり、
　　前記左右方向における後側の前記吸収性コアの前記一方側の端から前記係合部材の前記一方側の端までの長さは、１００ｍｍ以上３００ｍｍ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１５から１７の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記分離された状態、かつ、自然状態において、
　前記腹側当接部の上端部よりも下端部の方が、前記左右方向の前記一方側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１４から１８の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前胴回り部は、前記左右方向の前記一方側の端部において、前記上下方向に長さを有する切り取り線を有し、
　前記係合部材は、前記前胴回り部に係合する係合部を有し、
　前記切り取り線に沿って前記前胴回り部の腹側当接部が前記後胴回り部から分離され、前記係合部材が前記左右方向の前記一方側に広げられた状態、かつ、自然状態において、
　前記腹側当接部から分離された前記前胴回り部の部位は、前記係合部よりも前記左右方向の内側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１４から１９の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前胴回り部は、前記左右方向に伸縮する伸縮領域と、前記伸縮領域よりも伸縮性の低い低伸縮領域と、前記上下方向に長さを有する切り取り線とを有し、
　前記低伸縮領域は、前記伸縮領域よりも前記左右方向の前記一方側に配置され、
　前記切り取り線は、前記左右方向における前記低伸縮領域の両側端の間に配置されていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項２０に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記左右方向の前記一方側の前記接合部の内側端から前記切り取り線までの前記左右方向の長さよりも、前記切り取り線から前記低伸縮領域の前記左右方向の他方側の端までの長さの方が長いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１４から２１の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記パンツ型吸収性物品は、前記胴回り部材の前記左右方向の両側に、前記係合部材が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項２２に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材の前記左右方向の両側に、前記係合部材が１つずつ設けられ、
　前記係合部材は、前記前胴回り部に係合する係合部を１つ有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１４から２３の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記係合部材は、前記前胴回り部に係合する係合部を有し、
　前記吸収性本体は、吸収性コアを有し、
　展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記前胴回り部の上端から前記吸収性コアの前側の上端までの前記上下方向の長さは、前記係合部の前記上下方向の長さよりも長いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項２４に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記後胴回り部の上端から前記吸収性コアの後側の上端までの前記上下方向の長さは、前記係合部の前記上下方向の長さよりも短いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１４から２５の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記係合部材は、前記前胴回り部の非肌側面に係合する係合部を有し、
　前記前胴回り部の非肌側面の色と、前記係合部材の非肌側面の色は、同系色であり、
　前記係合部材は、前記係合部が配された領域において、前記係合部材が厚さ方向に圧搾されている複数の圧搾部を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１４から２６の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記係合部材の上端及び下端の少なくとも一方は、前記左右方向の内側に向かうにしたがって、前記係合部材の前記上下方向の中心に向かって傾斜した傾斜部を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１４から２７の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記上下方向における前記パンツ型吸収性物品の一方側の端から中心までの長さが、２００ｍｍ以上３５０ｍｍ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１４から２８の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記係合部材は、前記前胴回り部に係合する係合部を有し、
　前記左右方向における前記一方側の前記接合部の内側端の位置において、前記係合部材の上下方向の長さは、前記前胴回り部の前記上下方向の長さよりも長く、
　前記左右方向の位置が前記係合部と重複する、前記前胴回り部の部位の、前記上下方向の最小長さは、前記係合部の前記上下方向の最大長さよりも長いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１４から２９の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、少なくとも前記左右方向の位置が前記吸収性本体と重複する領域において、前記左右方向に伸縮する伸縮領域を連続して有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１４から３０の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記左右方向における前記係合部材の最大長さは、２０ｍｍ以上１２０ｍｍ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１４から３１の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体は、吸収性コアを有し、
　前記係合部材は、前記前胴回り部に係合する係合部を有し、
　前記吸収性コアよりも前記左右方向の前記一方側に前記係合部が位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　互いに交差する縦方向と幅方向と前後方向とを有し、
　吸収性コアを備える吸収性本体と、
　前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備える胴回り部材と、
　前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部を備える係合部材と、
を有する成人用のパンツ型吸収性物品であって、
　前記係合部の前記縦方向の一方側の端の、前記幅方向の中心と、前記係合部の前記縦方向の他方側の端の、前記幅方向の中心と、を繋ぐ中心線が、水平となるように、前記パンツ型吸収性物品を保持したときに、前記吸収性コアの最下端は、前記パンツ型吸収性物品の最下端よりも上側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　互いに交差する縦方向と幅方向と前後方向とを有し、
　吸収性コアを備える吸収性本体と、
　前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備える胴回り部材と、
　前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部を備える係合部材と、を有し、
　２つ折り部にて前記前後方向に２つ折りされている成人用のパンツ型吸収性物品であって、
　前記係合部の前記縦方向の一方側の端の、前記幅方向の中心と、前記係合部の前記縦方向の他方側の端の、前記幅方向の中心と、を繋ぐ中心線が、水平となるように、前記パンツ型吸収性物品を保持したときに、
　前側の前記吸収性コアが有する前記幅方向の両側端のうち上側に位置する側端と、前記２つ折り部とが、交差する点を通る水平ラインから、前記パンツ型吸収性物品の最下端までの、鉛直方向の長さの方が、前記水平ラインから前記パンツ型吸収性物品の最上端までの前記鉛直方向の長さよりも短いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　互いに交差する縦方向と幅方向と前後方向とを有し、
　吸収性コアを備える吸収性本体と、
　前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備える胴回り部材と、
　前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部を備える係合部材と、
を有する成人用のパンツ型吸収性物品であって、
　前側の前記吸収性本体は、
　　前記縦方向の一方側の端の、前記幅方向の中心である第１中心と、
　　前側の前記吸収性本体を前記縦方向に二分する中央線の、前記幅方向の中心である第２中心と、
　　前記縦方向の他方側の端の、前記幅方向の中心である第３中心と、を有し、
　前記係合部の前記縦方向の一方側の端の、前記幅方向の中心と、前記係合部の前記縦方向の他方側の端の、前記幅方向の中心と、を繋ぐ中心線が、水平となるように、前記パンツ型吸収性物品を保持したときに、前記第１中心と前記第２中心を繋ぐ線の水平方向に対する傾きと、前記第２中心と前記第３中心を繋ぐ線の前記水平方向に対する傾きとが、同一であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から３５の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記中心線が水平となるように保持された前記パンツ型吸収性物品を前側から視認したときに、前記幅方向における前記吸収性本体の一対の側端のうちの下側の側端よりも下側に、後側の前記吸収性本体の肌側面が視認されることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から３５の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記中心線が水平となるように保持された前記パンツ型吸収性物品を前側から視認したときに、前記幅方向における前記吸収性本体の一対の側端のうちの上側の側端よりも上側に、後側の前記吸収性本体の肌側面が視認されることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から３７の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記幅方向において前記係合部材の反対側の位置に他の係合部材が設けられており、
　前記中心線が、水平となるように、前記パンツ型吸収性物品を保持したときに、前記他の係合部材が備える係合部は、前記パンツ型吸収性物品の最下端よりも上側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から３８の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記幅方向において前記係合部材の反対側の位置に他の係合部材が設けられており、
　前記中心線が、水平となるように、前記パンツ型吸収性物品を保持したときに、前記係合部材が備える前記係合部の前記縦方向における胴回り側の端を通る鉛直線に対して、前記他の係合部材が備える係合部の少なくとも一部が、胴回り側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　互いに交差する縦方向と幅方向と前後方向とを有し、
　吸収性コアを備える吸収性本体と、
　前記前後方向に前記吸収性本体と重ねて配置された前胴回り部及び後胴回り部を備える胴回り部材と、
　前記前胴回り部に取り外し可能に係合する係合部を備える係合部材と、
を有する成人用のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性コアが配されている前記パンツ型吸収性物品の部位の体積が１００ｃｍ^３以上２５０ｃｍ^３以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から４０の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性コアの幅が５０ｍｍ以上１００ｍｍ未満であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から４１の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記吸収性コアが配されている部位の前記パンツ型吸収性物品の厚みが５．５ｍｍ未満であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から４２の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性コアの質量が１０ｇ以上４０ｇ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から４３の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記係合部材が備える前記係合部は、
　　前側の前記吸収性本体よりも前記幅方向の外側の位置に設けられていることと、
　　前側の前記吸収性本体よりも前記縦方向の胴回り側の位置に設けられていることと、のうちの少なくとも一方であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から４４の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材の前記幅方向の一方側に、前記係合部を１つ有する前記係合部材が１つ設けられ、
　前記胴回り部材の前記幅方向の他方側に、係合部を１つ有する他の係合部材が１つ設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から４５の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前胴回り部は、前記縦方向に長さを有する切り取り線を有し、
　前記切り取り線に沿って前記前胴回り部が前記縦方向に破られていない状態において、前記前胴回り部の非肌面側から前記係合部材が視認可能であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から４６の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前胴回り部は、少なくとも前記幅方向の位置が前記吸収性本体と重複する領域において、前記幅方向に伸縮する伸縮領域を連続して有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から４７の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前胴回り部及び前記後胴回り部それぞれの前記幅方向の両側部が一対の接合部にて接合されており、
　前記後胴回り部は、前記幅方向における前記一対の接合部間の領域において、前記幅方向に伸縮する伸縮領域を連続して有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から４８の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　展開かつ伸張状態であるパンツ型吸収性物品において、前記縦方向における前記パンツ型吸収性物品の一方側の端から中心までの長さが、２００ｍｍ以上３５０ｍｍ以下であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から４９の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体は、前記吸収性本体の長手方向に沿って伸縮する吸収体弾性部材を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から５０の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記パンツ型吸収性物品は、前記前胴回り部及び前記後胴回り部の少なくとも一方から、前記縦方向の股下側に延出する延出部材を有し、
　前記延出部材は、前記幅方向に伸縮する伸縮領域を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から５１の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記後胴回り部は、その非肌側面を形成する非肌側シートを有し、
　前記縦方向における前記非肌側シートの胴回り側の端部は、肌側に折り返されており、前記吸収性本体の前記縦方向の端部を肌側から覆っていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から５２の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体は、前記幅方向の側部において、前記吸収性コアが存在しない領域を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３３から５３の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前胴回り部及び前記後胴回り部の少なくとも一方は、前記幅方向に伸縮する伸縮領域を有し、
　前記吸収性本体は、前記幅方向の側部において、前記吸収性本体の長手方向に沿って伸縮する側部弾性部材を有し、
　前記前胴回り部及び前記後胴回り部の少なくとも一方が有する前記伸縮領域における前記幅方向の応力は、前記側部弾性部材が配置されている領域における前記長手方向の応力よりも大きいことを特徴とするパンツ型吸収性物品。