WO2018055855A1

WO2018055855A1 - シート取付構造

Info

Publication number: WO2018055855A1
Application number: PCT/JP2017/022458
Authority: WO
Inventors: 貴之相馬
Original assignee: 本田技研工業株式会社
Priority date: 2016-09-21
Filing date: 2017-06-19
Publication date: 2018-03-29
Also published as: CN109789898B; CN109789898A

Abstract

車両フロアのシート支持剛性を高めて乗員の乗り心地を良くすること。本発明のシート取付構造は、トンネル部（１２）とサイドシル（１３）との間に配設されるフロアパネル（１１）と、フロアパネル（１１）に沿って車幅方向に延設されるクロスメンバ（１５）とを備える。クロスメンバ（１５）のトンネル部（１２）側の端部のトンネル部側シート取付ブラケット（１６）と、クロスメンバ（１５）のサイドシル（１３）側の端部のサイドシル側シート取付ブラケット（１７）とを備える。フロアパネル（１１）は、トンネル部（１２）及びサイドシル（１３）より下方側に突出し、クロスメンバ（１５）は、この両端部（１５ａ，１５ｂ）の高さがクロスメンバ（１５）の中央部（１５ｃ）よりも高くされ、両端部（１５ａ，１５ｂ）が第１及び第２ブラケット（１６，１７）に結合されている。

Description

シート取付構造

　本発明は、車両フロアのシート支持剛性を高めて乗員の乗り心地を良くするシート取付構造に関する。

　従来、上述した種の車両フロアのシート取付構造として、例えば特許文献１に記載の車体下部構造がある。この構造では、フロアパネル上部のトンネル部と、センタピラが結合されたサイドシルとの間に、車幅方向に延びるクロスメンバが設けられている。車両への側突時に、サイドシルからの荷重を高強度のクロスメンバの車幅方向外側部を介して、フロアパネル下部のフレーム部材で支えるようになっている。クロスメンバの両端部には、シート取付ブラケット（ブラケットともいう）を介して乗員用のシートが支持されている。

特許第５３９１７７１号公報

　ところで、特許文献１の構造において、車体の走行時の空気抵抗を下げるには、フロアパネルを下げ、地面との間隔を狭くすることが有効である。一方、シートから下方側の重量を軽量化する条件の下ではクロスメンバ本体の断面を大きくできない。言い換えれば、クロスメンバ本体の断面が小さい状態で、上記のようにフロアパネルを下げると、クロスメンバの両端をブラケットに結合する際に、クロスメンバは両端の断面が小さい上に、フロアパネルの下げと供に下がっているので、クロスメンバの両端をブラケットに結合するための面積がより少なくなる。この少ない構造で、シートから下方側へ所定以上の荷重が加わると、クロスメンバにおけるブラケットとの結合部分が折れ曲がってシート支持剛性が低下し、乗員の乗り心地が悪化するという問題が生じる。

　本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車両フロアのシート支持剛性を高めて乗員の乗り心地を良くすることができるシート取付構造を提供することを目的とする。

　前記の目的を達成するために、本発明は、トンネル部とサイドシルとの間に配設されるフロアパネルと、前記フロアパネルに沿って車幅方向に延設されるクロスメンバと、前記クロスメンバの前記トンネル部側の端部に設けられるシート取付用の第１ブラケットと、前記クロスメンバの前記サイドシル側の端部に設けられるシート取付用の第２ブラケットとを備え、前記フロアパネルは、前記トンネル部及び前記サイドシルより下方側に突出し、前記クロスメンバの両端部の高さは当該クロスメンバの中央部の高さよりも高く形成され、当該両端部が前記第１及び第２ブラケットに結合されていることを特徴とする。

　本発明では、車両フロアのシート支持剛性を高めて乗員の乗り心地を良くするシート取付構造を得ることができる。

本発明の実施形態に係る車両フロアのシート取付構造を示す斜視図である。本実施形態の車両左側のシート取付構造を示す斜視図である。図２のＡ－Ａ断面図である。トンネル部側シート取付ブラケットの取付構成を示す斜視図である。トンネル部側のクロスメンバの端部の形状を示す斜視図である。サイドシル側シート取付ブラケットの取付構成を示す斜視図である。サイドシル側のクロスメンバの端部の形状を示す斜視図である。トンネル部側シート取付ブラケットとクロスメンバの端部との接合構造を示す断面図である。サイドシル側シート取付ブラケットをシートレール取付ナットの中心位置で車両前後方向に切断した際のブラケットの斜視図である。シートレール固定部の構成を示す斜視図である。サイドシル側シート取付ブラケット部分へのシートベルト引き込み用プリテンショナーの取付構成を示す斜視図である。図３に示すクロスメンバ及びフロアフレームの中央部の付近の断面図である。

＜実施形態の構成＞
　本発明の実施形態について、図１～図１０を参照して詳細に説明する。説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図中において、「前後」は車両前後方向、「外、中央」は車幅外方向、車幅中央方向、「上下」は鉛直上下方向をそれぞれ示している。

　図１に示すように、車両１０のフロアのシート取付構造は、フロアパネル１１の上に車幅方向中央位置において車両前後方向に延設されたトンネル部１２と、車両両側の下方位置に前後方向に延設されたサイドシル１３との間に、車幅方向に延びる前後のクロスメンバ１４，１５が並列に設けられている。更に、シート取付構造は、後方のクロスメンバ１５の両端部にトンネル部側シート取付ブラケット（ブラケットともいう）１６及びサイドシル側シート取付ブラケット（ブラケットともいう）１７が配設され、これらブラケット１６，１７で乗員用のシート１が支持されている。なお、トンネル部側シート取付ブラケット１６は請求項記載の第１ブラケットを構成する。サイドシル側シート取付ブラケット１６は請求項記載の第２ブラケットを構成する。

　トンネル部１２は、断面凸形状を成し、左右の傾斜状の側面１２ａと、側面１２ａの間の上面１２ｂとが一体となった形状を成す。フロアパネル１１の上には、トンネル部１２とサイドシル１３との中間位置に、車両前後方向に延設された細長い板状のフロアフレーム１８が配設されている。このフロアフレーム１８は、前方のクロスメンバ１４の下を交差状（例えば直交状）に交わり、後方のクロスメンバ１５の上を交差状（例えば直交状）に交わって配設されている。

　車両１０のフロアのシート取付構造は、トンネル部１２を挟んで左右対称な構造となっているので、その車両左側のシート取付構造を図２に示して説明を行う。また、図２の後方のクロスメンバ１５に沿ってＡ－Ａ線で切断した際の断面図を図３に示す。
　図３に示すように、フロアパネル１１は、トンネル部１２の側面１２ａの下端と、サイドシル１３の水平状に延びるインナ下部材１３ａとの間に、トンネル部１２及びサイドシル１３よりも車両下方側に緩やかな湾曲状に突出する形状を成して配設されている。サイドシル１３のインナ下部材１３ａの上には、インナ上部材１３ｂが立設状に配設されている。

　クロスメンバ１５は、フロアパネル１１の上に当該フロアパネル１１に沿って車幅方向に延設されており、この延設された両端部１５ａ，１５ｂが両側のブラケット１６，１７に接合されている。クロスメンバ１５の両端部１５ａ，１５ｂは、この高さＨ１，Ｈ２が、中央部１５ｃの高さＨ３よりも高くなっており、両側のブラケット１６，１７への結合面積を広く取れるようになっている。

　両側のブラケット１６，１７は、同様な形状を成し、図４Ａにトンネル部側シート取付ブラケット１６を示し、図５Ａにサイドシル側シート取付ブラケット１７を示すように、前フランジＦＦｂ、前面Ｆｂ、上面Ｕｂ、後面Ｂｂ（図６）、及び後フランジＢＦｂ（図６）を一体に備え断面ハット形状（図６）を成す。

　後方のクロスメンバ１５の両端部１５ａ，１５ｂは、同様な形状を成し、図４Ｂにトンネル部１２側の端部１５ａを示し、図５Ｂにサイドシル１３側の端部１５ｂを示すように、前フランジＦＦｋ、前面Ｆｋ、上面Ｕｋ、後面Ｂｋ（図６）、及び後フランジＢＦｋを一体に備えた断面ハット形状（図６）を成す。

　このような形状の両側のブラケット１６，１７とクロスメンバ１５の両端部１５ａ，１５ｂとは、図６の断面図に示すように、ブラケット１６（又は１７）の内側にクロスメンバ１５の端部１５ａ（又は１５ｂ）が収容され、前フランジ（ＦＦｂ，ＦＦｋ）同士、前面（Ｆｂ，Ｆｋ）同士、後面（Ｂｂ，Ｂｋ）同士、及び後フランジ（ＢＦｂ，ＢＦｋ）同士が重ね合わされて結合されている。

　特に、上述したように中央部１５ｃ（図３）よりも高くしたクロスメンバ１５の一端部１５ａの前面Ｆｋ及び後面Ｂｋを、一方のブラケット１６の前面Ｆｂ及び後面Ｂｂに結合し、同クロスメンバ１５の他端部１５ｂの前面Ｆｋ及び後面Ｂｋを、他方のブラケット１７の前面Ｆｂ及び後面Ｂｂに結合する。

　このように高くして結合したため、図４Ａに示すように、ブラケット１６の配置位置の下方側のフロアパネル１１に下方へ窪む段差１１Ｄ（図３参照）があっても、この段差１１Ｄの上方位置で、クロスメンバ１５の端部１５ａとブラケット１６との前後面同士が結合されるので、互いに広い面積で結合可能となる。なお、段差１１Ｄは、フロアパネル１１の位置決め穴を形成するために設けられるものである。

　なお、トンネル部１２側のブラケット１６は、図４Ａに示すように、上面Ｕｂから突き出てトンネル部１２の側面１２ａに結合された上フランジＵＦと、前面Ｆｂから突き出て側面１２ｂに結合された前側面フランジＳＦｆと、後面Ｂｂから突き出て側面１２ｂに結合された後側面フランジＳＦｋとを備えている。サイドシル１３側のブラケット１７も、同様に、図５Ａに示すように、上面Ｕｂから突き出てサイドシル１３に結合された上フランジＵＦと、前面Ｆｂから突き出てサイドシル１３に結合された前側面フランジＳＦｆと、後面Ｂｂから突き出てサイドシル１３に結合された後側面フランジＳＦｋとを備えている。

　両側のブラケット１６，１７には、上述したように、図４Ａ及び図５Ｂに示す前フランジＦＦｂ、前面Ｆｂ、上面Ｕｂ、後面Ｂｂ、及び後フランジＢＦｂを備えると共に、前面Ｆｂ、上面Ｕｂ及び後面Ｂｂに繋がって延びる側面Ｓｂが形成されている。側面Ｓｂは、クロスメンバ１５の長手方向になだらかな傾斜状に延び、先端側に側フランジＳＦｂが設けられている。

　トンネル部側シート取付ブラケット１６の側フランジＳＦｂは、図４Ｂに示すように、クロスメンバ１５の端面１５ｔから車幅方向外側に所定の長さＤ１離間したクロスメンバ１５の上面位置に結合される。このように離れた位置に結合することでブラケット１６のクロスメンバ１５への接合強度が高まる。これと同様に、サイドシル側シート取付ブラケット１７の側フランジＳＦｂも構成してもよい。

　図７はサイドシル１３側のブラケット１７をシートレール取付ナット（ナットともいう）１９ｆの中心位置で車両前後方向に切断した際のブラケット１７の斜視図である。ブラケット１７（又は１６）は、内部側に図８に示すシートレール固定部１９を備える。シートレール固定部１９は、概略中央に貫通孔１９ａが形成された平面部１９ｂと、荷重伝達部１９ｃと、位置決め爪部１９ｄとが一体となって形成されたベース部１９ｅと、シートレール取付ナット（ナットともいう）１９ｆとから構成される。荷重伝達部１９ｃは、平面部１９ｂの一端部から所定の幅で後面側（又は前面側）に折れ曲がって延びる部位である。位置決め爪部１９ｄは、平面部１９ｂの他の端部から所定の幅で折れ曲がってサイドシル１３側方向に延びる部位である。

　シートレール固定部１９は、図７に示すように、ブラケット１７の内側に結合される。詳細には、ブラケット１７の上面Ｕｂ裏側にシートレール固定部１９の平面部１９ｂが結合され、ブラケット１７の後面裏側に荷重伝達部１９ｃが結合され、ブラケット１７のサイドシル１３側に位置決め爪部１９ｄが延びて配設される。また、平面部１９ｂの貫通孔１９ａにナット穴が合わされたナット１９ｆが平面部１９ｂに固定される。更に、位置決め爪部１９ｄの先端には、図８に示すように、半円状（凹状）に切欠かれた先端部１９ｄ１が形成されており、先端部１９ｄ１が図７に示すブラケット１７の貫通した位置決め穴１７ｃに合わされてネジ（図示せず）で固定される。このシートレール固定部１９は、図４Ａ及び図４Ｂに示すように、トンネル部１２側のブラケット１６においても同様に内部側に固定される。

　このように両側のブラケット１６，１７にシートレール固定部１９が固定された構造においては、図３に示すように、シートレール１ａの貫通穴が、ブラケット１６，１７のシート取付穴ｈ１及び貫通穴１９ａを介してナット１９ｆに合わされ、ナット１９ｆにボルト１Ｂが螺合されて、シートレール１ａが取り付けられる。

　サイドシル１３側のブラケット１７において、図３に示すように、シートレール１ａの取付部分（シート取付部分）であるシートレール固定部１９よりもサイドシル１３側（車両側面側）の上面Ｕｂを、車両側面に向かって下方側へ傾斜させた傾斜面１７ｄとしてある。このようなブラケット１７の車幅方向の断面形状は、図３に示すように、サイドシル１３側からトンネル部１２へ向かう方向では、傾斜面１７ｄの断面積が、シート取付部分に到達するまで徐々に拡がる形状となっている。

　後方のクロスメンバ１５は、図３に符号１５ｄで示すように、中央部分の上面を凹ませてある。この凹み部分１５ｄに、クロスメンバ１５と交差状（例えば直交状）のフロアフレーム１８を配設（図２参照）して結合した構造となっている。

　図１０は図３に示すクロスメンバ１５及びフロアフレーム１８の中央部１５ｃの付近の断面図である。図１０に示すように、クロスメンバ１５の上述した凹み部分１５ｄは、当該クロスメンバ１５と交差状（例えば直交状）のフロアフレーム１８を配設する第１凹部１５ｅと、フロアフレーム１８の長手方向に沿って下方側に凸状に折り曲げられて形成された補強ビード１８ａを収容する第２凹部１５ｆとから形成される構造となっている。

　図２に示すように、両側にブラケット１６，１７が配設された後方のクロスメンバ１５を備えたが、この前方に後方のクロスメンバ１５よりも断面形状の大きいクロスメンバ（前クロスメンバという）１４を備える。この前クロスメンバ１４は、フロアパネル１１に沿ってフロアフレーム１８と交差状（例えば直交状）に配設され、言い換えれば、後方のクロスメンバ１５と並列に配設され、両側がトンネル部１２及びサイドシル１３に結合されている。また、前クロスメンバ１４は、両側にシートレール１ａ（図３参照）を固定する貫通穴を設けたシートレール固定部１４ａ，１４ｂを備える。

＜実施形態の効果＞
　次に、上述した本実施形態のシート取付構造の特徴構成及びその効果について説明する。
　（１）シート取付構造は、図３に示すように、トンネル部１２とサイドシル１３との間に配設されるフロアパネル１１と、フロアパネル１１に沿って車幅方向に延設されるクロスメンバ１５（図２参照）とを備える。更に、クロスメンバ１５のトンネル部１２側の端部に設けられるシート取付用の第１ブラケット（トンネル部側シート取付ブラケット）１６と、クロスメンバ１５のサイドシル１３側の端部に設けられるシート取付用の第２ブラケット（サイドシル側シート取付ブラケット）１７とを備える。フロアパネル１１は、トンネル部１２及びサイドシル１３より下方側に突出し、クロスメンバ１５は、この両端部１５ａ，１５ｂの高さＨ１，Ｈ２が当該クロスメンバ１５の中央部１５ｃの高さＨ３よりも高くされ、当該両端部１５ａ，１５ｂが第１及び第２ブラケット１６，１７に結合されている構成とした。

　この構成によれば、クロスメンバ１５は、第１及び第２ブラケット１６，１７に結合される両端部１５ａ，１５ｂの高さＨ１，Ｈ２が中央部１５ｃの高さＨ３よりも高くされている。このため、第１及び第２ブラケット１６，１７への結合面積が拡がるので結合剛性を高くすることができる。従って、トンネル部１２及びサイドシル１３より下方側に突出させたフロアパネル１１に沿って配設されたクロスメンバ１５であっても、第１及び第２ブラケット１６，１７への結合剛性が高くなるので、シート１から下方側へ所定以上の荷重が加わっても、クロスメンバ１５の第１及び第２ブラケット１６，１７との結合部分が折れ曲がることが無くなる。このため、シート支持剛性が高まって、シート１への乗員の乗り心地を良くすることができる。また、フロアパネル１１は、トンネル部１２及びサイドシル１３より下方側に突出しているので、車両１０の走行時の空気抵抗を下げることができる。

　（２）図４及び図５に示すように、クロスメンバ１５の両端部１５ａ，１５ｂと両側のブラケット１６，１７とは、車両前方側の前フランジＦＦｋ，ＦＦｂ及び前面Ｆｋ，Ｆｂと、車両上面側の上面Ｕｋ，Ｕｂと、車両後面側の後面Ｂｋ，Ｂｂ及び後フランジＢＦｋ，ＢＦｂとを一体に備えた断面ハット形状である。そして、当該クロスメンバ１５の一端部１５ａとブラケット１６の双方の前面Ｆｋ，Ｆｂ同士及び後面Ｂｋ，Ｂｂ同士が結合されると共に、当該クロスメンバ１５の他端部１５ｂとブラケット１７の双方の前面Ｆｋ，Ｆｂ同士及び後面Ｂｋ，Ｂｂ同士が結合されている構成とした。

　この構成によれば、クロスメンバ１５の中央部１５ｃよりも高くしたクロスメンバ１５の両端部１５ａ，１５ｂの前面Ｆｋ及び後面Ｂｋが、両側のブラケット１６，１７の前面Ｆｂ及び後面Ｂｂに結合される。このため、ブラケット１６の配置位置の下方側のフロアパネル１１に下方へ窪む段差１１Ｄ（図２参照）があっても、この段差１１Ｄよりも高い位置のクロスメンバ１５の端部１５ａとブラケット１６の双方は前後面同士が結合されるので、互いに広い面積で結合可能となる。これにより結合剛性を高くすることができる。

　このように両端部１５ａ，１５ｂを高い位置で結合剛性で結合できるので、フロアパネル１１に段差１１Ｄがあっても、この段差１１Ｄを横切るクロスメンバ１５の部分を滑らかな形状に形成することができる。また、段差１１Ｄのあるフロアパネル１１であっても、段差１１Ｄの上を横切るクロスメンバ１５を介してブラケット１６，１７を配置することができる。更に、両端部１５ａ，１５ｂを高い結合剛性で結合できるので、クロスメンバ１５の中央部１５ｃの断面を小さくすることができ、これによりクロスメンバ１５の軽量化を図ることができる。更に、クロスメンバ１５の端部１５ａとブラケット１６とが高い結合剛性で結合されるので、シート１から下方側へ所定以上の荷重が加わっても、ブラケット１６，１７からクロスメンバ１５に滑らかに荷重伝達でき、乗員の乗り心地を良くすることができる。

　（３）図４及び図５に示すように、両側のブラケット１６，１７（図４及び図５参照）は、前フランジＦＦｂ、前面Ｆｂ、後面Ｂｂ及び後フランジＢＦｂが、クロスメンバ１５の両端部１５ａ，１５ｂに接合されると共に、各ブラケット１６，１７の前面Ｆｂ、上面Ｕｂ及び後面Ｂｂに繋がって延びる側面Ｓｂの先端側としての側フランジＳＦｂが、クロスメンバ１５の端面１５ｔから長手方向に予め定められた所定の長さＤ１離間した位置に結合されている構成とした。

　この構成によれば、クロスメンバ１５の両端部１５ａ，１５ｂに、前フランジＦＦｂ、前面Ｆｂ、後面Ｂｂ及び後フランジＢＦｂが接合されたブラケット１６，１７の側面Ｓｂの側フランジＳＦｂが、クロスメンバ１５の長手方向に長さＤ１離間した位置に接合されている。この接合構造によって、ブラケット１６，１７のクロスメンバ１５への接合強度が高まるので、強度剛性を高めてシートレール１ａを支持できる。また、ブラケット１６，１７の接合強度が高まるので、クロスメンバ１５自体を薄くして強度剛性を下げて軽量化が可能となる。また、上記の接合構造とすることで、シート１から下方側へ所定以上の荷重が加わっても、ブラケット１６，１７からクロスメンバ１５に滑らかに荷重伝達でき、乗員の乗り心地を良くすることができる。

　（４）両側のブラケット１６，１７は、この上面に固定されるシートレール１ａを取り付けるナット１９ｆを有するベース部１９ｅと、当該ベース部１９ｅの端部から折れ曲がってブラケット１６，１７の前面側又は後面側に固定される荷重伝達部１９ｃとを有するシートレール固定部１９（図８参照）を備える構成とした。

　この構成によれば、両側のブラケット１６，１７を断面ハット形状で軽量化してもシートレール固定部１９を組合せて備えることにより、シート１から下方側へ所定以上の荷重が加わっても、この荷重がシートレール固定部１９の荷重伝達部１９ｃからブラケット１６，１７の前面Ｆｂ又は後面Ｂｂに効率的に伝達される。このため、乗員のシート１の乗り心地を良くすることができる。

　（５）図８に示すシートレール固定部１９は、ベース部１９ｅの荷重伝達部１９ｃが折れ曲がる端部と異なる位置の端部から折れ曲がって延設され、凹状に切欠かれた先端部１９ｄ１が、第１又は第２ブラケット１６，１７の上面に形成された位置決め穴１７ｃの位置に配置される位置決め爪部１９ｄを更に備える構成とした（図７参照）。

　この構成によれば、第１及び第２ブラケット１６，１７にシートレール固定部１９を溶接する際に、位置決め爪部１９ｄの先端部にブラケット１６，１７の上面Ｕｂの位置決め穴１７ｃから冶具ピンを差込み位置決めできるので、荷重伝達部１９ｃを有するシートレール固定部１９を、ブラケット１６，１７の上面Ｕｂと前面Ｆｂ又は後面Ｂｂとの異なる２面に正確に合わせて結合できる。

　（６）図３に示すように、サイドシル側シート取付ブラケット１７は、シートレール固定部１９が配設されるシートレール１ａの取付部分よりも車両側面側の上面Ｕｂを、車両側面に向かって下方側へ傾斜させた傾斜面１７ｄを備える構成とした。

　この構成によれば、ブラケット１７の車幅方向の断面形状が、サイドシル１３からトンネル部１２へ向かう方向では、傾斜面１７ｄの部分で断面積が、シートレール１ａの取付部分に到達するまで徐々に拡がる形状となる。この形状により、サイドシル１３からトンネル部１２へ向かう方向では、傾斜面１７ｄの断面積が徐々に拡がり断面係数が大きくなるので、側突時の荷重を分散できる力が大きくなる。このため、側突によりブラケット１７が折れにくくなるので、サイドシル１３側に下った傾斜面１７ｄと、この傾斜面１７ｄの最下端からサイドシル１３までの断面形状を小さくした部分とから成る断面凹部分の上面Ｕｂに、図９に示すように、シートベルト引き込み用プリテンショナ（プリテンショナ）２１を配置可能となる。

　このようにプリテンショナ２１を断面凹部分の上面、即ち凹状に凹んだ面に配置できるので、配置スペースを削減することができる。プリテンショナ２１は、車両の衝突時にシートベルトの帯（ウェビング）のたるみをとり除くことにより、乗員が前方に動き出す前に確実に座席に固定し、乗員の保護性能を向上する目的で装備される機構である。なお、図９において、サイドシル１３の車両前後方向中央付近に、センターピラ２３が立設されている。

　（７）図３に示すように、クロスメンバ１５は、この上面に当該クロスメンバ１５と交差状のフロアフレーム１８を配設とする凹み部分１５ｄを備え、凹み部分１５ｄにフロアフレーム１８が配設されている構成とした。

　この構成によって、クロスメンバ１５の凹み部分１５ｄにフロアフレーム１８を交差状に配設して結合されるので、嵩上げ部材を前記クロスメンバ１５とフロアフレーム１８で区画された凹み領域に配置することで、車室の床部をフラットに形成できる。更に、車幅方向のクロスメンバ１５と前後方向のフロアフレーム１８がそれぞれ連続して交差状に結合されるので、シート１の支持剛性を高め、前突及び側突荷重を支持可能となる。

　（８）図１０に示すように、クロスメンバ１５の凹み部分１５ｄは、当該クロスメンバ１５と交差状のフロアフレーム１８を配設する第１凹部１５ｅと、フロアフレーム１８の長手方向に沿って凸状に折り曲げられて形成された補強ビード１８ａを収容する第２凹部１５ｆとを備え、第２凹部１５ｆに補強ビード１８ａが収容された状態で、第１凹部１５ｅにフロアフレーム１８が配設されている構成とした。

　この構成によれば、フロアフレーム１８に補強ビード１８ａが形成されていても、クロスメンバ１５の第２凹部１５ｆに補強ビード１８ａを収容して、第１凹部１５ｅに、クロスメンバ１５と交差状のフロアフレーム１８を配設するので、嵩上げ部材を前記クロスメンバ１５とフロアフレーム１８で区画された凹み領域に配置することで、車室の床部をフラットに形成できる。また、前記フロアフレーム１８がクロスメンバ１５との交差部分で、このようにフロアフレーム１８に補強ビード１８ａを形成できるので、車室の床部をフラットに形成のためフロアフレーム１８の板厚を薄くしても強度剛性を保持できる。

　（９）図２に示すように、クロスメンバ１５の車両前方に、クロスメンバ１５と並列に延設されると共に、クロスメンバ１５よりも断面形状が大きい前クロスメンバ１４を備える。前クロスメンバ１５は、両側にシートレール１ａを固定するシートレール固定部１４ａ，１４ｂを備える構成とした。

　この構成によれば、クロスメンバ１５の車両前方に、当該クロスメンバ１５よりも断面形状が大きな前クロスメンバ１４を備えるので、側突性能が向上する。また、後方のクロスメンバ１５は、断面形状を小さくできるので軽量化できる。このため、前後のクロスメンバ１４，１５を合わせて、軽量化と側突性能の向上との両立を図ることができる。

　以上、本実施形態に係る車体構造について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。

　１　シート
　１ａ　シートレール
　１０　車両
　１１　フロアパネル
　１２　トンネル部
　１３　サイドシル
　１４　前クロスメンバ
　１４ａ，１４ｂ，１９　シートレール固定部
　１５　後方のクロスメンバ
　１５ａ　クロスメンバの一端部
　１５ｂ　クロスメンバの他端部
　１５ｃ　クロスメンバの中央部
　１５ｄ　凹み部分
　１５ｅ　第１凹部
　１５ｆ　第２凹部
　Ｈ１　クロスメンバの一端部の高さ
　Ｈ２　クロスメンバの他端部の高さ
　Ｈ３　クロスメンバの中央部の高さ
　ＦＦｋ　クロスメンバの前フランジ
　Ｆｋ　クロスメンバの前面
　Ｕｋ　クロスメンバの上面
　Ｂｋ　クロスメンバの後面
　ＢＦｋ　クロスメンバの後フランジ
　１５ｔ　クロスメンバの端面
　Ｄ１　クロスメンバの端面からの所定の長さ
　１６　トンネル部側シート取付ブラケット（第１ブラケット）
　１７　サイドシル側シート取付ブラケット（第２ブラケット）
　１７ｃ　位置決め穴
　１７ｄ　サイドシル側シート取付ブラケットの上面の傾斜面
　ＦＦｂ　ブラケットの前フランジ
　Ｆｂ　ブラケットの前面
　Ｕｂ　ブラケットの上面
　Ｂｂ　ブラケットの後面
　ＢＦｂ　ブラケットの後フランジ
　ＳＦｂ　ブラケットの側フランジ
　Ｓｂ　ブラケットの側面
　１８　フロアフレーム
　１９ｃ　荷重伝達部
　１９ｄ　位置決め爪部
　１９ｄ１　位置決め爪部の先端部
　１９ｅ　ベース部
　１９ｆ　シートレール取付ナット（ナット）

Claims

　トンネル部とサイドシルとの間に配設されるフロアパネルと、
　前記フロアパネルに沿って車幅方向に延設されるクロスメンバと、
　前記クロスメンバの前記トンネル部側の端部に設けられるシート取付用の第１ブラケットと、
　前記クロスメンバの前記サイドシル側の端部に設けられるシート取付用の第２ブラケットと
　を備え、
　前記フロアパネルは、前記トンネル部及び前記サイドシルより下方側に突出し、前記クロスメンバの両端部の高さは当該クロスメンバの中央部の高さよりも高く形成され、当該両端部が前記第１及び第２ブラケットに結合されている
　ことを特徴とするシート取付構造。
　前記クロスメンバの両端部と前記第１及び第２ブラケットとは、
　車両前方側の前面及び前フランジと、車両上面側の上面と、車両後面側の後面及び後フランジとを一体に備えた断面ハット形状であって、当該クロスメンバの一端部と当該第１ブラケットの双方の前面同士及び後面同士が結合されると共に、当該クロスメンバの他端部と当該第２ブラケットの双方の前面同士及び後面同士が結合されている
　ことを特徴とする請求項１に記載のシート取付構造。
　前記第１又は第２ブラケットは、
　前記前フランジ、前記前面、前記後面及び前記後フランジが、前記クロスメンバの端部に接合されると共に、当該前面、当該上面及び当該後面に繋がって延びる側面の先端側が、当該クロスメンバの端面から長手方向に離間した位置に結合されている
　ことを特徴とする請求項２に記載のシート取付構造。
　前記第１又は第２ブラケットは、
　当該第１又は第２ブラケットの上面に固定されるシートのシートレールを取り付けるナットを有するベース部と、当該ベース部の端部から折れ曲がって当該第１又は第２ブラケットの前面側又は後面側に固定される荷重伝達部とを有するシートレール固定部
　を備えることを特徴とする請求項１に記載のシート取付構造。
　前記シートレール固定部は、
　前記ベース部の前記荷重伝達部が折れ曲がる端部と異なる位置の端部から折れ曲がって延設され、凹状に切欠かれた先端部が、前記第１又は第２ブラケットの上面に形成された位置決め穴の位置に配置される位置決め爪部
　を更に備えることを特徴とする請求項４に記載のシート取付構造。
　前記第２ブラケットは、
　前記シートレール固定部が配設される前記シートレールの取付部分よりも車両側面側の上面を、車両側面に向かって下方側へ傾斜させた傾斜面
　を備えることを特徴とする請求項４に記載のシート取付構造。
　前記クロスメンバは上面に凹み部分
　を備え、
　前記凹み部分には、前記クロスメンバと交差するフロアフレームが配設されている
　ことを特徴とする請求項１に記載のシート取付構造。
　前記凹み部分は、
　当該クロスメンバと交差状の前記フロアフレームを配設する第１凹部と、
　前記フロアフレームの長手方向に沿って凸状に折り曲げられて形成された補強ビードを収容可能とする第２凹部と
　を備えて構成され、
　前記第２凹部に前記補強ビードが収容された状態で、前記第１凹部に前記フロアフレームが配設されている
　ことを特徴とする請求項７に記載のシート取付構造。
　前記クロスメンバの車両前方に、当該クロスメンバと並列に延設されると共に当該クロスメンバよりも断面形状が大きい前クロスメンバを備え、
　前記前クロスメンバは、両側にシートレールを固定するシートレール固定部を備える
　ことを特徴とする請求項１に記載のシート取付構造。