WO2012063880A1

WO2012063880A1 - 内視鏡

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Publication number: WO2012063880A1
Application number: PCT/JP2011/075863
Authority: WO
Inventors: 恵二朗尾本; 豊正木
Original assignee: オリンパスメディカルシステムズ株式会社
Priority date: 2010-11-10
Filing date: 2011-11-09
Publication date: 2012-05-18

Abstract

　本発明の内視鏡は、湾曲部が設けられた挿入部と、挿入部に連設された操作部と、操作部に配設され、湾曲部を第１の方向に湾曲操作するための第１の湾曲操作部と、第１の湾曲操作部に着脱自在に重畳配置され、湾曲部を第１の方向とは異なる第２の方向に湾曲操作するための第２の湾曲操作部と、第２の湾曲操作部と選択的に取替え自在として、第１の湾曲操作部に着脱自在に重畳配置でき、湾曲部を第２の方向に湾曲操作するための第３の湾曲操作部と、を具備する。

Description

内視鏡

　本発明は、内視鏡の挿入部に設けられた湾曲部を湾曲操作する湾曲操作部を備えた内視鏡に関する。

　内視鏡は、例えば被検体内の病変部を観察、処置などするために被検体内に挿入される可撓性を有する挿入部と、この挿入部をＵＤ方向（上下方向）及びＲＬ方向（左右方向）に湾曲させるための操作を行なう湾曲操作部と、を有する。湾曲操作部は、ＵＤ方向の操作を行うためのＵＤアングルノブと、ＲＬ方向の操作を行うためのＲＬアングルノブとが設けられている。医師である操作者は、病変部の観察、処置などを行う場合、ＵＤアングルノブとＲＬアングルノブとを操作して挿入部の湾曲部を上下左右方向に湾曲させることになる。

　このような挿入部の湾曲部を操作する湾曲操作部に関して、例えば、日本国特開昭５８－２２０２３号公報には、任意の湾曲操作ノブを操作部の回転軸に対して磁力により吸着させて着脱自在にした技術が開示されている。この従来の内視鏡では、操作部に２つ以上重ねて湾曲操作ノブが取り付けられていても、任意の湾曲操作ノブだけを取り外すことで、内視鏡本体の洗浄消毒などの作業を容易に行うことができるようになっている。

　なお、磁力によって２つの部材を着脱自在とする技術に関し、例えば、日本国特開２００２－３５４６７８号公報には、電磁石によって、緊急時に極の切り替えおこなうことで、アダプタ部とプラグ部との接続を分離する発電装置の技術が開示されている。

　ところで、内視鏡の湾曲操作時において、熟練または手の大きな操作者は、内視鏡の操作部を片手で把持した状態で、ＵＤアングルノブとＲＬアングルノブとの両方を操作可能である。これに対して操作の経験の少ない初心または手の小さな操作者などは、熟練の操作者のように湾曲操作部を片手で把持した状態でＵＤアングルノブとＲＬアングルノブとの両方を操作することが困難であり、両手でＵＤアングルノブとＲＬアングルノブとを操作したほうが扱い易い場合がある。

　例えば、被検体内の大腸などの屈曲部が複数存在し、かつ複雑な形状の体腔内での観察、処置などの場合、操作者は、体内の管腔の位置を確保するために例えば右手で挿入部を抑えながら左手で湾曲操作部を把持し、この左手の片手のみで湾曲操作部のＵＤアングルノブとＲＬアングルノブとの両方を操作する必要がある。このような操作が必要とされた場合、初心または手の小さな操作者は、上述したように片手でＵＤアングルノブとＲＬアングルノブとを操作することが困難であり、初心または手の小さな操作者に対する内視鏡の湾曲操作の操作性の向上が望まれていた。

　そこで本発明は、操作者の熟練度または手の大小を問わず、当該操作者の所望の湾曲操作部が使用できるようにして、湾曲部の操作性を向上させることができる内視鏡を提供する。

　本発明の一態様による内視鏡は、湾曲部が設けられた挿入部と、前記挿入部に連設された操作部と、前記操作部に配設され、前記湾曲部を第１の方向に湾曲操作するための第１の湾曲操作部と、前記第１の湾曲操作部に着脱自在に重畳配置され、前記湾曲部を前記第１の方向とは異なる第２の方向に湾曲操作するための第２の湾曲操作部と、前記第２の湾曲操作部と選択的に取替え自在として、前記第１の湾曲操作部に着脱自在に重畳配置でき、前記湾曲部を前記第２の方向に湾曲操作するための第３の湾曲操作部とを具備する。

　また、本発明の他の態様による内視鏡は、挿入部と、前記挿入部の基端側に設けられた操作部と、前記操作部に所定の回動軸周りに回動可能に設けられた湾曲操作ノブと、前記挿入部に設けられ、前記湾曲操作ノブの回動角度に応じて湾曲変形する湾曲部と、を具備する内視鏡であって、前記湾曲操作ノブに前記回動軸の径方向外側から係合し、前記湾曲操作ノブを回動させる動力を発生する駆動部と、前記湾曲操作ノブを回動させる方向に加えられる操作トルク及び前記操作トルクの方向を検出する検出部と、前記操作トルクに応じて前記操作トルクと同方向に前記被駆動歯車を回動させる動力を発生するように前記駆動部を制御する制御部とを具備する。

第１の実施形態に係る内視鏡システムの全体構成図である。選択的に取替え自在な湾曲操作部を有する内視鏡の構成を示す斜視図である。ＲＬアングルノブの構成を示す斜視図である。ＲＬアングルノブの構成を示す平面図である。ＲＬ駆動装置の構成を示す分解斜視図である。ＲＬ駆動装置の構成を示す平面図である。ＵＤアングルノブの構成を示す平面図である。操作部に設けられたＵＤアングルノブの構成を示す斜視図である。スプロケットに接続されるＲＬ駆動シャフトを磁化する機構を示す分解斜視図である。ＲＬ駆動装置またはＲＬアングルノブがＲＬ駆動シャフトのジョイントベースに接合させた状態を示す断面図である。ＲＬ駆動装置がＵＤアングルノブに重畳配置された状態を示す平面図である。ＲＬ駆動装置がＵＤアングルノブに重畳配置された状態を示す斜視図である。ＲＬアングルノブがＵＤアングルノブに重畳配置された状態を示す平面図である。ＲＬアングルノブがＵＤアングルノブに重畳配置された状態を示す斜視図である。第２の実施形態に係る内視鏡の全体の構成を説明する図である。操作部を、湾曲操作ノブの回動軸に沿う方向から見た図である。操作部を、湾曲操作ノブの回動軸に直交する方向から見た図である。第１ドリブンギヤ及び第１ドリブンギヤに係合する駆動部を説明する図である。第２ドリブンギヤ及び第２ドリブンギヤに係合する駆動部を説明する図である。駆動部の概略的な構成を説明する図である。湾曲操作ノブの回動角度と、角速度及び角加速度の関係を示す図である。湾曲操作ノブの角度と、補助動力に伴うトルクの関係を示す図である。

　以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。

（第１の実施形態）　
　以下に、本発明の実施形態の一例を説明する。内視鏡装置１は、図１に示すように、内視鏡２と、制御装置３と、光源装置４と、画像撮影装置５と、送水装置６と、キーボード７と、モニタ８とを有する。制御装置３は、光源装置４を点灯制御すると共に送水装置６により内視鏡２への送水を制御し、画像撮影装置５により内視鏡２を通して撮影された被検体の画像を画像処理してモニタ８に表示する。

　内視鏡２は、ユニバーサルコード２１と、操作部２２と、挿入部２３と、を有して構成されている。この内視鏡２は、ユニバーサルコード２１を介して制御装置３、光源装置４、画像撮影装置５及び送水装置６に接続されている。

　操作部２２は、医師である操作者の操作を受けて挿入部２３の湾曲部２３ａを第１の方向及び第１の方向とは異なる第２の方向に操作する。本実施形態では一例として、第２の方向は第１の方向に対して略直交している。より具体的には、第１の方向は、観察像における上下方向（ＵＤ方向）であり、第２の方向は観察像における左右方向（ＲＬ方向）である。

　挿入部２３は、被検体内に挿入されるもので、可撓性部材により形成され、操作部２２に設けられた湾曲操作部の操作を受けて湾曲部２３ａが観察像におけるＵＤ方向及びＲＬ方向に湾曲する。

　図２に示すように、内視鏡２の操作部２２は、操作部本体２４及びグリップ２５を同軸上に一体的に連設して構成されている。なお、操作部２２は、ユーザである操作者が片手で当該操作部２２を把持した状態において、操作部本体２４を上方側とし、グリップ２５を下方側とする。操作部本体２４には、ユニバーサルコード２１が接続されている。

　グリップ２５には、挿入部２３が接続されている。これら操作部本体２４及びグリップ２５は、操作者が片手で主にグリップ２５を把持した状態に、片手の掌内に収まるような形状、例えば操作部本体２４からグリップ２５に向かって太さが次第に小さくなるように形成されている。グリップ２５は、略円錐状で、操作部本体２４の下端から挿入部２３に向かって次第に径が細くなるように形成されている。

　操作部本体２４の一側面には、操作者の手動による回転操作により挿入部２３の湾曲部２３ａを観察像における上下方向に湾曲させるＵＤアングルノブ（ＵＤ湾曲操作部、第１の湾曲操作部）２６と、このＵＤアングルノブ２６の回動位置を固定して湾曲部２３ａの湾曲角度を固定／解除するＵＤ解除ノブ４２と、が設けられている。

　ＵＤアングルノブ２６及びＵＤ解除ノブ４２は、操作部本体２４から延出しているユニバーサルコード２１の取り付け方向とグリップ２５の取り付け方向とから成る平面に平行な側面上に設けられている。このＵＤアングルノブ２６は、操作者が片手の掌内に主にグリップ２５を把持した状態に、例えば親指と人差し指、操作者によっては親指と中指などにより回転操作される。なお、ＵＤ解除ノブ４２は、例えば人差し指によって操作される。

　また、ＵＤアングルノブ２６には、回転中心上に着脱自在な、後述のＲＬアングルノブ（ＲＬ湾曲操作部、第３の湾曲操作部）２８またはＲＬ駆動装置（第２の湾曲操作部）２７を操作者が選択的に取り付け可能となっている。すなわち、操作部本体２４には、ＵＤアングルノブ２６上に、ユーザである操作者が選択自在なＲＬアングルノブ２８またはＲＬ駆動装置２７が重畳配置される。

　また、操作部本体２４の上部には、ＲＬ駆動装置２７との電気的接点となるコネクタ部４０が配設されている。このコネクタ部４０には、ＲＬ駆動装置２７のコネクタ端子部５４が挿入する雌型コネクタ部４１が設けられている。

　さらに、操作部本体２４には、撮像系を操作するスイッチ２９と、吸引ボタン３０と、送気／送水ボタン３１と、ＲＬ操作子３２と、が設けられている。これらスイッチ２９と、吸引ボタン３０と、送気／送水ボタン３１は、それぞれＵＤアングルノブ２６の側方で、操作者が片手の掌内に主にグリップ２５を把持した状態に、例えば人差し指、中指などにより操作可能な範囲に設けられている。これらスイッチ２９と吸引ボタン３０と送気／送水ボタン３１とは、操作部本体２４の上下方向に一列に整列して設けられている。

　また、ＲＬ操作子３２は、グリップ２５の上部、例えば操作部本体２４とグリップ２５との境界部分に設けられている。このＲＬ操作子３２は、ＲＬ操作ダイヤル３３を有している。

　このＲＬ操作ダイヤル３３は、操作者により回動操作され、ＵＤアングルノブ２６に重畳配置されるＲＬ駆動装置２７を駆動させる駆動指示操作部となる。なお、ＲＬ操作子３２は、操作者がグリップ２５を例えば左手の片手で把持した状態で、ＵＤアングルノブ２６を例えば親指により操作中に、当該片手の親指以外の指、例えば人差し指、中指、薬指または小指のうちいずれかの指によりＲＬ操作ダイヤル３３を回動操作できる位置に設けられている。

　図２、図３及び図４に示すように、ＲＬアングルノブ２８は、略円板状のＲＬノブ本体５０と、このＲＬノブ本体５０の中央に重畳配置された、ＲＬアングルノブ２８の回動位置を固定して湾曲部２３ａのＲＬ方向の湾曲角度を固定／解除するＲＬ解除ノブ５１と、を有している。ＲＬノブ本体５０の背面中央には、略円板状のジョイントベース６０が嵌着されている。

　ジョイントベース６０は、中央に配設された円環状の磁性部材６１と、この磁性部材６１の外方側に点対称位置に配設された２つの位置決めピン６２と、を有している。なお、ジョイントベース６０の表面中央には、磁性部材６１の中央の孔部によって凹部６０ａを有している。さらに、ジョイントベース６０は、全体が磁性体により形成されていてもよい。

　図２、図５および図６に示すように、ＲＬ駆動装置２７は、ＲＬ駆動用モータ５２と、このＲＬ駆動用モータ５２を支持固定する断面略Ｌ字状のベース板５３と、このベース板５３の上面部分からＲＬ駆動用モータ５２に沿って延設された断面略Ｌ字状のコネクタ端子部５４と、ベース板５３を覆うカバー体５７と、ベース板５３およびコネクタ端子部５４に固定されてＲＬ駆動用モータ５２を支持するフレーム５８と、このフレーム５８とベース板５３を掛け渡すようにビス留めされて補強する補強板５８ａと、ベース板５３とフレーム５８との間でＲＬ駆動用モータ５２を収容して保持するジョイント（カップリング）５２ａと、ベース板５３の一面で回動支持された、上述のジョイントベース６０と、を有している。なお、ここでのジョイントベース６０は、ＲＬアングルノブ２８に設けられるものと同一構成であるため、その詳細な説明を省略する。

　また、ベース板５３には、ＲＬ駆動用モータ５２のモータ軸またはジョイントベース６０に接続されている２つのベベルギヤ５５，５６が配設されている。つまり、ＲＬ駆動用モータ５２のモータ軸に接続されたベベルギヤ５５は、ジョイントベース６０に接続されたベベルギヤ５６に噛合され、ＲＬ駆動用モータ５２の動力の伝達方向を同一平面上の直交するベベルギヤ５６の伝達軸へ変換してジョイントベース６０を回動する動力が伝達される。

　また、コネクタ端子部５４の端部には、操作部本体２４上部のコネクタ部４０の雌型コネクタ部４１に挿嵌して、電気的に接続される雄型端子部５４ａが配設されている。これにより、ＲＬ駆動装置２７は、内視鏡２から電力供給およびＲＬ操作子３２からの信号が入力される。

　図７および図８に示すように、ＵＤアングルノブ２６の中央には、当該ＵＤアングルノブ２６に対して回動自在な操作部側のジョイントベース７０が配設されている。

　この操作部側のジョイントベース７０は、図９および図１０に示すように、磁性管のＲＬ駆動シャフト７１の一端部に設けられ、ここでは当該ＲＬ駆動シャフト７１と一体形成された円板形状の磁性体である。このジョイントベース７０は、表面中央にＲＬ駆動シャフト７１の孔部に連通する開口部７０ａを有し、この開口部７０ａの外方側に点対称位置に配設された２つの位置決め孔部７２が形成されている。

　そして、ＲＬ駆動シャフト７１は、他端部が操作部本体２４内に配設された湾曲部２３ａまで延設された湾曲操作ワイヤを牽引弛緩するスプロケット７５に接続される。このスプロケット７５は、一面中央から円環状に突出する接続部７５ａを有し、この接続部７５ａにＲＬ駆動シャフト７１の端部がビス固定と共に嵌着される。

　また、スプロケット７５は、その他面に当接されるフランジ７６と一端が、例えば螺着固定された管状の軸体７３が挿通配置される。なお、スプロケット７５は、軸体７３に対するスムーズな回動のためにベアリングなどを配設してもよい。

　軸体７３の他端には、外径が大きく形成された軸頭７３ａが一体形成されて設けられている。軸体７３には、軸頭７３ａからスプロケット向けた外周部に金属コイル７４が巻回されている。また、金属コイル７４の素線両端には、配線７４ａが接続されている。この金属コイル７４が巻回されたＲＬ駆動シャフト７１が磁性芯となり、金属コイル７４へ配線７４ａからの通電によって電磁石が構成される。

　なお、金属コイル７４が巻回された軸体７３にジョイントベース７０が設けられたＲＬ駆動シャフト７１が外挿された後、軸体７３の頭部７３ａには、ジョイントベース７０が設けられたＲＬ駆動シャフト７１に対する外向フランジを構成するビス７７が螺着される。

　このようにして、ジョイントベース７０およびＲＬ駆動シャフト７１は、接続されるスプロケット７５と共に軸体７３回りに回動自在となっている。なお、ジョイントベース７０は、ＵＤアングルノブ２６の中央位置で、ＵＤアングルノブ２６に対しても回動自在な構成である。

　以上のように構成された本実施の形態の内視鏡２は、図１０に示すように、ＵＤアングルノブ２６の中央に配設された操作部側のジョイントベース７０にＲＬ駆動装置２７またはＲＬアングルノブ２８に配設されたジョイントベース６０を磁気的作用によって接合させて、操作者が所望の湾曲操作部を選択的に取り替え自在な構成となっている。このとき、操作者は、ジョイントベース７０の各位置決め孔部７２にジョイントベース６０の位置決めピン６２を挿入する。これにより、各ジョイントベース６０，７０がずれることなく、ＲＬ駆動装置２７またはＲＬアングルノブ２８の回動による駆動力がジョイントベース７０を介してＲＬ駆動シャフト７１に伝達される。

　なお、操作者は、各ジョイントベース６０，７０を接合させた後、操作部本体２４に配設された図示しないスイッチを操作すると、操作部側のジョイントベース７０が金属コイル７４へ通電がなされて磁化される。そして、磁化したジョイントベース７０は、接合されたジョイントベース６０の磁性部材６１を磁気引力で吸着する。このように、内視鏡２は、各ジョイントベース６０，７０を磁気的着脱方式として、ＵＤアングルノブ２６に選択的にＲＬ駆動装置２７またはＲＬアングルノブ２８を重畳配置することができる構成となっている。

　例えば、図１１および図１２に示すように、内視鏡２は、ＲＬ駆動装置２７をＵＤアングルノブ２６に重畳配置して使用する場合、当該ＲＬ駆動装置２７のＲＬ駆動用モータ５２の駆動により電動で挿入部２３をＲＬ方向に湾曲させることができる。つまり、操作者は、ＲＬ操作子３２のＲＬ操作ダイヤル３３を所定方向へ回転操作することで、ＲＬ駆動装置２７により電動で挿入部２３の湾曲部２３ａをＲＬ方向に湾曲させることができる。

　ところで、ＲＬ駆動装置２７のＲＬ操作ダイヤル３３は、ＲＬ操作子３２の回転軸に連結されている。このＲＬ操作子３２は、ＲＬ操作ダイヤル３３の回転量に応じた電気量の信号を出力する。ＲＬ駆動装置２７は、ＲＬ操作子３２からの電気信号が入力され、この信号の電気量に応じてＲＬ駆動用モータ５２を駆動して挿入部２３をＲＬ方向に湾曲する。すなわち、ＲＬ操作ダイヤル３３は、回転量に応じて挿入部２３の湾曲部２３ａのＲＬ方向の湾曲量を調整可能である。このＲＬ操作ダイヤル３３は、例えば内視鏡２の上方から見て右回りに回転させると、挿入部２３をＲ方向に湾曲し、左回りに回転させると、挿入部２３をＬ方向に湾曲させる。なお、ＲＬ操作子３２には、ポテンショメータ、エンコーダなどの回転量に応じた信号を出力する素子を採用する。

　このように、ＲＬ駆動装置２７を装着した内視鏡２は、操作の経験の少ない初心または手の小さな操作者であっても、熟練または手の大きな操作者のように内視鏡２に用いた操作部２２を片手で把持した状態で、ＵＤアングルノブ２６を操作すると共に、ＲＬ操作子３２のＲＬ操作ダイヤル３３を回転操作することができる。これらの操作により、操作者は、挿入部２３の湾曲部２３ａをＵＤ方向に湾曲すると共に、同湾曲部２３ａをＲＬ方向に片手のみで湾曲操作できる。

　例えば、被検体内の大腸などの屈曲部が複数存在し、かつ複雑な形状を呈する管路における観察、処置などを行う場合、操作者は、管腔の位置を確保するために例えば右手でシースを抑えながら左手で内視鏡２の操作部２２を把持し、この左手の片手のみで挿入部２３をＵＤ方向とＲＬ方向との両方に湾曲する必要がある。

　本実施の形態の内視鏡２であれば、ＵＤ方向とＲＬ方向との操作性をより向上でき、初心または手の小さな操作者であっても、熟練または手の大きな操作者のように内視鏡２をＵＤ方向とＲＬ方向との両方向に操作することができる。これにより、操作者は、管腔の位置を確保するために、例えば右手でシースを抑えながら左手で内視鏡２の操作部２２を把持し、この左手の片手のみで挿入部２３をＵＤ方向とＲＬ方向との両方に湾曲することが可能である。なお、操作の経験の少ない初心または手の小さな操作者に限ったものでなく、勿論、熟練または手の大きな操作者がＲＬ駆動装置２７をＵＤアングルノブ２６に重畳配置して使用しても、上述の同様な利点がある。

　一方、例えば、図１３および図１４に示すように、内視鏡２は、ＲＬアングルノブ２８をＵＤアングルノブ２６に重畳配置して使用する場合、従来の内視鏡２の構成となり、ＲＬアングルノブ２８の回動操作で挿入部２３の湾曲部２３ａをＲＬ方向に湾曲させることができる。この場合、熟練の操作者にとっては、従来の内視鏡２の湾曲操作部に慣れているため、今まで通りに、ＲＬアングルノブ２８により手動で挿入部２３の湾曲部２３ａをＲＬ方向に湾曲させることができ、今までの使用感を阻害することがない。

　以上に説明したように、本実施の形態の内視鏡２は、挿入部２３の湾曲部２３ａをＲＬ方向に湾曲操作するＲＬ駆動装置２７またはＲＬアングルノブ２８のいずれかを操作者が所望とする使い勝手の良い方を選択的に取り替えられる構成となっている。その結果、内視鏡２は、操作者の熟練度または手の大小を問わず、当該操作者の所望の湾曲操作部が使用できるようにして、挿入部に設けられる湾曲部の湾曲操作性を使い勝手の良いものとなる。

　なお、ジョイントベース６０の磁性部材６１を永久磁石にして、金属コイル７４への通電方向を切替え自在なスイッチ構成として、当該永久磁石の極性と異極に磁化させたジョイントベース７０としてジョイントベース６０を磁気引力で吸着させたり、当該永久磁石の極性と同極に磁化させたジョイントベース７０としてジョイントベース６０を磁気斥力で離脱させたりできるようにしてもよい。

（第２の実施形態）　
　以下に、本発明の第２の実施形態を説明する。日本国特開平５－３００８７３号公報には、手動によって湾曲操作を行う内視鏡に装着することによって、湾曲操作を電動で行うことができるようにするための内視鏡用湾曲制御装置が開示されている。この日本国特開平５－３００８７３号公報に開示されている装置が装着された内視鏡は、使用者がスイッチを操作することで電動モータにより湾曲操作ノブが回動される。

　日本国特開平５－３００８７３号公報に開示されている技術では、操作に伴う使用者の身体的負担が軽減されるものの、スイッチのオンオフによって湾曲部の湾曲操作を行うため、従来の手動によって湾曲操作を行う内視鏡と操作方法が大きく異なることから、使用者が違和感を覚えたり習熟に時間がかかる場合がある。

　以下に説明する本実施形態の内視鏡１０１は、湾曲操作における使用者の身体的負担を軽減することができ、かつ従来と同様の操作感を有する、使い勝手の良い内視鏡を提供する。

　本実施形態の内視鏡１０１は、一例として、人体等の被検体内に導入可能であって被検体内の所定の観察部位を光学的に撮像する構成を有する。なお、内視鏡１０１は、被検体の所定の観察部位の超音波断層像を撮像する、いわゆる超音波内視鏡と称される形態であってもよい。また、内視鏡１０１が導入される被検体は、人体に限らず、他の生体であってもよいし、機械や建造物等の構造物であってもよい。

　内視鏡１０１は、被検体の内部に導入可能な挿入部１０２と、挿入部１０２の基端側に設けられた操作部１０３と、操作部１０３の側部から延出するユニバーサルコード１０４とを具備して主に構成されている。

　挿入部１０２は、先端側に設けられた先端部１０５、先端部１０５の基端側に配設される湾曲自在な湾曲部１０６、及び湾曲部１０６の基端側に設けられ操作部１０３の先端側に接続される可撓性を有する可撓管部１０７が連設されて構成されている。挿入部１０２は、挿入軸方向Ｓに沿って細長に形成されている。

　挿入部１０２の先端部１０５には、光学像を撮像するための撮像装置及び照明装置が設けられている。また、図示しないが先端部１０５には開口部である流体送出口及び処置具挿通口が設けられている。先端部１０５に設けられた開口部は、挿入部１０２に挿通される管路に連通している。

　湾曲部１０６は、後述する操作部１０３に設けられた操作部材である第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２の回動に伴って、湾曲変形するように構成されている。本実施形態では一例として、第１湾曲操作ノブ１２１の回動に伴って挿入部１０２に挿通されたワイヤが牽引されることにより、湾曲部１０６は、図１５中の矢印Ｕ又は矢印Ｄで示す上方向Ｕ又は下方向Ｄに湾曲する。また、本実施形態では一例として、第２湾曲操作ノブ１２２の回動に伴って挿入部１０２に挿通されたワイヤが牽引されることにより、湾曲部１０６は、図１５中の矢印Ｌ又は矢印Ｒで示す左方向Ｌ又は右方向Ｒに湾曲する。

　なお、本実施形態では、湾曲部１０６は互いに直交する４方向に湾曲する構成としているが、湾曲部１０６は対向する２方向に湾曲する構成であってもよい。第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブの回動に伴って湾曲部１０６を湾曲させる構成は周知のものであるので、詳細な説明は省略するものとする。

　操作部１０３には、上述したように湾曲部１０６の湾曲を操作するための第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブが設けられている。第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２は、同じ軸周りにそれぞれ独立して回動可能に設けられている。内視鏡１０１の使用者は、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２を回動させることによって、湾曲部１０６を湾曲変形させることができる。

　また、操作部１０３には、先端部１０５に設けられた開口部からの流体の送出動作の制御を行うための送気・送水ボタン１０９、処置具挿通口からの吸引動作の制御を行うための吸引ボタン１１０、及び処置具挿通口に連通する管路口金１１１等が設けられている。また、図１５には示されていないが、操作部１０３には、内視鏡１０１の撮像装置による録画動作やズーム動作を操作するための、複数のボタンスイッチからなる撮像装置操作スイッチ１１３が設けられている。

　操作部１０３には、詳しくは後述する駆動部１３０が着脱可能に配設されている。駆動部１３０は、電気ケーブル１３１を介して制御部１３２及び電源部１３３に電気的に接続されている。制御部１３２は、演算装置（ＣＰＵ）、記憶装置（ＲＡＭ）、入出力装置及び電力制御装置等を具備して構成されており、駆動部１３０の動作を、所定のプログラムに基づいて制御する構成を有している。

　また、電源部１３３は、駆動部１３０及び制御部１３２に電力を供給する構成を有している。電源部１３３は、商用電源から電力を得て駆動部１３０及び制御部１３２に電力を供給する構成であってもよいし、一次電池又は二次電池から電力を得て駆動部１３０及び制御部１３２に電力を供給する構成であってもよい。

　ユニバーサルコード１０４の基端部には図示しない光源装置に接続される内視鏡コネクタ１１２が設けられている。光源装置から発せられた光は、ユニバーサルコード１０４、操作部１０３及び挿入部１０２に挿通された光ファイバーケーブルを伝わって、先端部１０５の照明装置から出射される。なお、内視鏡１０１は、ＬＥＤ等の光源装置を先端部１０５に備える構成であってもよい。

　内視鏡コネクタ１１２には、ビデオケーブルが接続されるビデオコネクタが設けられている。ビデオコネクタは、図示しないビデオケーブルを介して画像処理装置に電気的に接続される。画像処理装置は、ビデオケーブルを介して、先端部１０５に設けられた撮像装置に電気的に接続される。画像処理装置は、図示しない画像表示装置に電気的に接続され、撮像装置によって撮像された画像を画像表示装置に出力する。

　次に、内視鏡１０１の操作部１０３の詳細な構成を説明する。図１６及び図１７に示すように、操作部１０３は、使用者が把持する操作部１０３の外装部材１０３ａの外側に、前述した送気・送水ボタン１０９、吸引ボタン１１０、撮像装置操作スイッチ１１３、第１湾曲操作ノブ１２１、第２湾曲操作ノブ１２２及び駆動部１３０が配設されて構成されている。

　第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２は、外装部材１０３ａに対して、所定の回動軸Ｃ周りにそれぞれ独立して回動可能なハンドル状の部材である。本実施形態では、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２は、回動軸Ｃに沿う方向に重なるように配設されている。本実施形態では、第１湾曲操作ノブ１２１が、第２湾曲操作ノブ１２２よりも外装部材１０３ａに近い位置に配設されている。

　なお、本実施形態では一例として、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２は、回動軸Ｃに沿う方向から見た場合（図１６の視点）に、それぞれ略五芒星形状（略正五角形）及び略六芒星形状（略正六角形）の外形を有しているが、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２の形状は本実施形態に限られるものではない。例えば、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２は、略円形状であってもよい。

　図１７に示すように、操作部１０３には、第１湾曲操作ノブ１２１と一体に回動軸Ｃ周りに回動する第１ドリブンギヤ１２３と、第２湾曲操作ノブ１２２と一体に回動軸Ｃ周りに回動する第２ドリブンギヤ１２４が設けられている。第１ドリブンギヤ１２３及び第２ドリブンギヤ１２４は、後述する駆動部１３０が発生する駆動力によって駆動される平歯車である。

　第１ドリブンギヤ１２３は、第１湾曲操作ノブ１２１よりも、外装部材１０３ａに近い位置に配設されている。また、第１ドリブンギヤ１２３は、回動軸Ｃに沿う方向から見た場合における、第１湾曲操作ノブ１２１の外形の輪郭線（図１８中、二点鎖線で示す）が最も回動軸Ｃに近づく点と回動軸Ｃとの距離よりも、小さな値の外径を有している。言い換えれば、第１ドリブンギヤ１２３は、回動軸Ｃに沿う方向から見た場合における第１湾曲操作ノブ１２１の外形の輪郭線よりも径方向外側に突出しない歯先円直径を有している。

　すなわち本実施形態においては、図１６に示すように、第１ドリブンギヤ１２３は、操作部１０３を回動軸Ｃに沿う方向から見た場合に、第１湾曲操作ノブ１２１に完全に隠れるように配設されている。

　一方、第２ドリブンギヤ１２４は、第２湾曲操作ノブ１２２と第１湾曲操作ノブ１２１との間に配設されている。すなわち、第２ドリブンギヤ１２４は、第２湾曲操作ノブ１２２よりも外装部材１０３ａに近い位置に配設されている。

　第２ドリブンギヤ１２４は、回動軸Ｃに沿う方向から見た場合における、第２湾曲操作ノブ１２２の外形の輪郭線（図１９中、二点鎖線で示す）が最も回動軸Ｃに近づく点と回動軸Ｃとの距離よりも、小さな値の外径を有している。言い換えれば、第２ドリブンギヤ１２４は、回動軸Ｃに沿う方向から見た場合における第２湾曲操作ノブ１２２の外形の輪郭線よりも径方向外側に突出しない歯先円直径を有している。

　すなわち本実施形態においては、図１６に示すように、第２ドリブンギヤ１２４は、操作部１０３を回動軸Ｃに沿う方向から見た場合に、第２湾曲操作ノブ１２２に完全に隠れるように配設されている。なお、本実施形態では一例として、第１ドリブンギヤ１２３及び第２ドリブンギヤ１２４は、略同一の外径を有している。

　以上に説明したように、本実施形態では、第１ドリブンギヤ１２３及び第２ドリブンギヤ１２４は、回動軸Ｃに沿う方向から見た場合に、それぞれが一体に回動する第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２よりも、径方向外側に露出しないように配設されている。このため、使用者が第１湾曲操作ノブ１２１又は第２湾曲操作ノブ１２２を操作する場合に、使用者の手指が第１湾曲操作ノブ１２１又は第２湾曲操作ノブ１２２と干渉してしまうことがない。したがって、使用者は、内視鏡１０１の湾曲操作を従来の内視鏡と同様の操作感で行うことができる。

　駆動部１３０は、上述した第１ドリブンギヤ１２３及び第２ドリブンギヤ１２４に径方向外側から係合し、第１ドリブンギヤ１２３及び第２ドリブンギヤ１２４のそれぞれに対して、回動軸Ｃ周りに回動させる方向の力を与える構成を有している。また、駆動部１３０は、操作部１０３に着脱可能な構成を有している。

　具体的に本実施形態では、駆動部１３０は、外装部材１０３ａに設けられた図示しないネジ穴に螺合する固定ネジ１１４によって、操作部１０３に対して着脱自在に設けられている。なお、駆動部１３０を操作部１０３の外装部材１０３ａに対して位置決めして固定する構成はネジによるものに限られるものではなく、例えば永久磁石や電磁石のような磁力を用いる方法であってもよいし、クリップのように弾性力を用いる方法であってもよい。なお、以下の説明では、駆動部１３０は操作部１０３に装着された状態にあるものとする。

　図１８から図２０に示すように、駆動部１３０は、第１ドリブンギヤ１２３を回動させる動力を発生する動力発生部である第１電動モータ１３５と、第２ドリブンギヤ１２４を回動させる動力を発生する動力発生部である第２電動モータ１３６とを具備して構成されている。本実施形態では、第１電動モータ１３５及び第２電動モータ１３６は、回動可能に設けられた出力軸１３７及び１３８を備え、当該出力軸１３７及び１３８を回動駆動する構成を有する。第１電動モータ１３５及び第２電動モータ１３６は、出力軸１３７及び１３８が、第１ドリブンギヤ１２３及び第２ドリブンギヤ１２４の回動軸Ｃと略平行となるように配設されている。

　また、駆動部１３０には、第１ドリブンギヤ１２３及び第２ドリブンギヤ１２４に径方向外側から係合し、第１電動モータ１３５及び第２電動モータ１３６の動力を、第１ドリブンギヤ１２３及び第２ドリブンギヤ１２４に伝達する動力伝達部が設けられている。

　動力伝達部の構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では、動力伝達部は、出力軸１３７及び１３８に固定された平歯車である第１ドライブギヤ１４１及び第２ドライブギヤ１４２と、第１ドライブギヤ１４１及び第１ドリブンギヤ１２３の間に配設されて双方に噛合する第１アイドルギヤ１４３と、第２ドライブギヤ１４２及び第２ドリブンギヤ１２４の間に配設されて双方に噛合する第２アイドルギヤ１４４と、を具備して構成されている。

　第１アイドルギヤ１４３及び第２アイドルギヤ１４４は、回動軸Ｃに平行な軸周りにそれぞれ独立して自由回動可能に配設された平歯車である。なお、動力伝達部は、第１ドライブギヤ１４１及び第２ドライブギヤ１４２が、第１ドリブンギヤ１２３及び第２ドリブンギヤ１２４に直接噛合する構成であってもよく、この場合には第１アイドルギヤ１４３及び第２アイドルギヤ１４４は不要である。

　以上のような構成の動力伝達部によって、第１電動モータ１３５及び第２電動モータ１３６の動力が、第１ドリブンギヤ１２３及び第２ドリブンギヤ１２４を回動軸Ｃ周りに回動させる力として、第１ドリブンギヤ１２３及び第２ドリブンギヤ１２４に供給される。

　以上のような本実施形態では、駆動部１３０が、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２に対して回動軸Ｃの径方向外側から係合する構成を有することによって、駆動部１３０の操作部１０３への着脱を容易に行うことができる。

　また、駆動部１３０には、内視鏡１０１の操作者によって加えられる、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２を回動軸Ｃ周りに回動させる操作トルクと、操作トルクの方向を検出する検出部が設けられている。

　本実施形態では、検出部は、第１電動モータ１３５及び第２電動モータ１３６の出力軸１３７及び１３８に加えられるトルク及びその方向を検出し、該検出結果から操作トルク及びその方向を算出する構成を有する。

　出力軸１３７及び１３８に加えられるトルクを検出する検出部の構成は特に限定されるものではなく、例えば出力軸１３７及び１３８にトルクセンサを設ける構成や、第１電動モータ１３５及び第２電動モータ１３６を駆動する電流値の変動に基づいてトルクを検出する構成等が適用され得る。

　本実施形態では一例として、検出部は、出力軸１３７及び１３８の回動角度を検出し、該回動角度に基づいて出力軸１３７及び１３８に加えられるトルクを算出する構成を有する。具体的に本実施形態では、第１電動モータ１３５及び第２電動モータ１３６に、出力軸１３７及び１３８の回動角度θ１及びθ２を検出する第１回動角検出部１４５及び第２回動角検出部１４６が配設されている。第１回動角検出部１４５及び第２回動角検出部１４６は、例えばポテンショメータ又はロータリーエンコーダ等によって構成されている。

　以下に、本実施形態の検出部において、出力軸１３７に加えられるトルクＴ１を検出する方法を説明する。周知のように、回転する物体に加えられるトルクＴは、回転する物体の慣性モーメントＪと回転する物体の角加速度αとの積によって求められる（Ｔ＝Ｊ・α）。したがって、本実施形態においては、出力軸１３７の慣性モーメントＪ１及び出力軸１３７の角加速度α１を求めることによって、トルクＴ１を算出することができる。

　ここで、出力軸１３７の慣性モーメントＪ１は、出力軸１３７自体の慣性モーメントと、内視鏡１０１において出力軸１３７に機械的に接続され出力軸１３７の回動に従動する部材の慣性モーメントとの和である。出力軸１３７の回動に従動する部材とは、第１ドライブギヤ１４１、第１アイドルギヤ１４３、第１ドリブンギヤ１２３、第１湾曲操作ノブ１２１及び湾曲部１０６等であり、これらの部材の慣性モーメントは、形状及び重量等の設計値から予め知ることができる。すなわち、慣性モーメントＪ１は既知の値である。一方、出力軸１３７の角加速度α１は、図２１に示すように、第１回動角検出部１４５によって検出される出力軸１３７の回動角度θ１を２回、時間微分することによって求められる。

　したがって、本実施形態において、検出部は、第１回動角検出部１４５による出力軸１３７の回動角度θ１の検出結果から出力軸１３７の角加速度α１を算出し、角加速度α１と予め記憶している定数である慣性モーメントＪ１との積を求めることによって、出力軸１３７に加えられるトルクＴ１を算出することができる。

　また、出力軸１３７に加えられるトルクＴ１の方向は、第１回動角検出部１４５による出力軸１３７の回動角度θ１を１回、時間微分することによって得られる、出力軸１３７の回転角速度ｖ１の値の正負に基づいて判定することができる。

　出力軸１３７は、所定の減速比の歯車機構によって第１湾曲操作ノブ１２１と機械的に接続されていることから、トルクＴ１の値と第１湾曲操作ノブ１２１に加えられる操作トルクとは比例関係にある。したがって、駆動部１３０は、トルクＴ１の値及び方向から、操作者によって加えられる、第１湾曲操作ノブ１２１を回動軸Ｃ周りに回動させる操作トルクと、操作トルクの方向を算出することが可能である。

　同様に、検出部は、第２回動角検出部１４６による出力軸１３８の回動角度θ２の検出結果に基づいて、操作者によって加えられる、第２湾曲操作ノブ１２２を回動軸Ｃ周りに回動させる操作トルクと、操作トルクの方向を算出することが可能である。

　以上のように、本実施形態においては、トルクセンサのような複雑な構成を用いることなく、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２を回動軸Ｃ周りに回動させる操作トルクと、操作トルクの方向を検出することができる。

　そして本実施形態においては、制御部１３２は、第１湾曲操作ノブ１２１を回動させる操作トルクを検出した場合に、当該操作トルクと同方向に第１湾曲操作ノブ１２１を回動させる動力である補助動力を第１電動モータ１３５に発生させる。同様に、制御部１３２は、第２湾曲操作ノブ１２２を回動させる操作トルクを検出した場合に、当該操作トルクと同方向に第２湾曲操作ノブ１２２を回動させる動力である補助動力を第２電動モータ１３６に発生させる。

　本実施形態においては一例として、制御部１３２は、第１湾曲操作ノブ１２１又は第２湾曲操作ノブ１２２を回動させる操作トルクが所定の閾値以上である場合に、補助動力を発生するように駆動部１３０を制御する。

　上述したように、第１湾曲操作ノブ１２１を回動させる操作トルクは、出力軸１３７に加えられるトルクＴ１と比例関係にある。また、トルクＴ１は、出力軸１３７の角加速度α１と比例関係にある。したがって、本実施形態においては、出力軸１３７の角加速度α１が所定の閾値αｔｈ以上である場合を、操作トルクが所定の閾値以上であると判定する。

　例えば、図２１に示すように、出力軸１３７の角加速度α１が所定の閾値αｔｈ以上である期間Ｐ１～Ｐ２において、駆動部１３０は、第１電動モータ１３５を動作させて補助動力を発生する。第２湾曲操作ノブ１２２に関しても同様に、出力軸１３８の角加速度α２が所定の閾値αｔｈ以上である期間において、駆動部１３０は、第２電動モータ１３６を動作させて補助動力を発生する。

　なお、補助動力に伴う第１湾曲操作ノブ１２１又は第２湾曲操作ノブ１２２を回動させるトルクＴａの値は特に限定されるものではなく、例えば一定の値であってもよいし、例えばボリュームスイッチやダイヤルスイッチ等の入力装置によって使用者の好みの値に変更可能な構成であってもよい。

　また例えば、図２２に示すように、補助動力に伴うトルクＴａの値は、第１湾曲操作ノブ１２１又は第２湾曲操作ノブ１２２の回動角度θ１又はθ２の絶対値に正比例するように制御部１３２によって定められる構成であってもよい。一般的に、内視鏡の湾曲部１０６は周囲をゴム等の弾性を有する部材によって被覆されているため、湾曲部１０６の湾曲が大きくなるほど必要な操作力が大きくなる。図２２に示すように、回動角度θ１及びθ２の絶対値が大きくなるとともに補助動力に伴うトルクＴａを大きくすれば、湾曲部１０６の湾曲が大きい場合に必要な操作力を小さくすることができる。

　また、補助動力に伴うトルクＴａの値は、操作トルクに対して所定の比率となるように自動的に変更される構成であってもよい。操作トルクと補助動力に伴うトルクＴａとの比率は特に限定されるものではなく、一定の値であってもよいし、例えばボリュームスイッチやダイヤルスイッチ等の入力装置によって使用者の好みの値に変更可能な構成であってもよい。

　以上に説明した本実施形態の内視鏡１０１によれば、使用者が湾曲部１０６の湾曲角度を変更するために第１湾曲操作ノブ１２１又は第２湾曲操作ノブ１２２を回動させる場合に、駆動部１３０が操作トルクを軽減するように補助動力を発生する。このため、本実施形態によれば、使用者は内視鏡１０１の湾曲操作を軽い力で行うことができるため、使用者の身体的負担が軽減される。

　また、本実施形態においては、駆動部１３０は、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２に対して、回動軸Ｃの径方向外側から係合し、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２に対して補助動力を加える構成を有している。この構成によって、本実施形態の内視鏡１０１では、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２が使用者の手指によって操作可能なように露出している。このため、本実施形態の内視鏡１０１では、従来の内視鏡の操作方法と同様に、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２を回動させることによって湾曲部１０６の湾曲角度を変更することができ、使用者は違和感なく素早く習熟して使用することができる。

　また、本実施形態の内視鏡１０１は、駆動部１３０が操作部１０３に対して着脱可能であるから、使用者の好みに応じて、駆動部１３０による補助動力の使用の有無を選択することができる。また、駆動部１３０を操作部１０３から取り外した場合には、上述したように第１ドリブンギヤ１２３及び第２ドリブンギヤ１２４は、第１湾曲操作ノブ１２１及び第２湾曲操作ノブ１２２よりも径方向外側に露出しないため、使用者は従来の内視鏡と全く同一の操作感を得ることができる。

　以上の第１及び第２の実施形態に記載した発明は、記載された実施形態及び変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。

　例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。

　本出願は、２０１０年１１月１０日に日本国に出願された特願２０１０－２５２２４９号及び２０１１年２月２１日に日本国に出願された特願２０１１－０３４８４０号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。

Claims

　湾曲部が設けられた挿入部と、
　前記挿入部に連設された操作部と、
　前記操作部に配設され、前記湾曲部を第１の方向に湾曲操作するための第１の湾曲操作部と、
　前記第１の湾曲操作部に着脱自在に重畳配置され、前記湾曲部を前記第１の方向とは異なる第２の方向に湾曲操作するための第２の湾曲操作部と、
　前記第２の湾曲操作部と選択的に取替え自在として、前記第１の湾曲操作部に着脱自在に重畳配置でき、前記湾曲部を前記第２の方向に湾曲操作するための第３の湾曲操作部と、
　を具備することを特徴とする内視鏡。
　前記第２の湾曲操作部が前記湾曲部を観察像における左右方向に電動で湾曲操作する駆動装置であって、
　前記第３の湾曲操作部が前記湾曲部を前記左右方向に手動で湾曲操作するアングルノブであることを特徴とする請求項１に記載の内視鏡。
　操作者が前記操作部を前記片手で把持した状態で、前記駆動装置による前記湾曲部を前記左右方向に湾曲させるため、前記片手のいずれかの指による操作範囲内に設けられた操作子が前記操作部に配設されていることを特徴とする請求項２に記載の内視鏡。
　前記第２の湾曲操作部または前記第３の湾曲操作部の前記第１の湾曲操作部への重畳配置を磁気的着脱方式としたことを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の内視鏡。
　前記第２の湾曲操作部及び前記第３の湾曲操作部が磁性体を備えて、
　前記磁性体が前記湾曲部まで延設する湾曲操作ワイヤを牽引弛緩するスプロケットを回動する駆動シャフトのベースに磁気引力により吸着されることを特徴とする請求項４に記載の内視鏡。
　前記ベースを磁化する電磁石を備えたことを特徴とする請求項５に記載の内視鏡。
　前記電磁石の極性を変えて、前記ベースを前記永久磁石と異極に磁化して吸着し、前記ベースを前記永久磁石と同極に磁化して離脱できるように、前記磁性体を永久磁石としたことを特徴とする請求項６に記載の内視鏡。
　挿入部と、
　前記挿入部の基端側に設けられた操作部と、
　前記操作部に所定の回動軸周りに回動可能に設けられた湾曲操作ノブと、
　前記挿入部に設けられ、前記湾曲操作ノブの回動角度に応じて湾曲変形する湾曲部と、
　を具備する内視鏡であって、
　前記湾曲操作ノブに前記回動軸の径方向外側から係合し、前記湾曲操作ノブを回動させる動力を発生する駆動部と、
　前記湾曲操作ノブを回動させる方向に加えられる操作トルク及び前記操作トルクの方向を検出する検出部と、
　前記操作トルクに応じて前記操作トルクと同方向に前記被駆動歯車を回動させる動力を発生するように前記駆動部を制御する制御部と、
　を具備することを特徴とする内視鏡。
　前記駆動部は、前記操作部に着脱可能であって、前記操作部に装着された状態において前記湾曲操作ノブに前記回動軸の径方向外側から係合することを特徴とする請求項８に記載の内視鏡。
　前記湾曲操作ノブと一体に回動する歯車であって、前記湾曲操作ノブよりも前記操作部側に配設され、前記回動軸に双方向から見た場合に、前記湾曲操作部よりも径方向外側に露出しない外径を有するドリブンギヤを具備し、
　前記駆動部は、前記ドリブンギヤに径方向外側から係合することを特徴とする請求項８又は９に記載の内視鏡。
　前記駆動部は、回動する出力軸を有する電動モータを具備し、
　前記検出部は、前記出力軸に加えられるトルクに基づいて前記操作トルクを算出することを特徴とする請求項８から１０のいずれか一項に記載の内視鏡。
　前記検出部は、前記出力軸の回動角度を検出し、前記回動角度に基づいて前記出力軸に加えられるトルクを算出することを特徴とする請求項１１に記載の内視鏡。