明 細 書 ァセナピン合成中間体の製造方法 技術分野
本発明は統合失調薬として有用なァセナピン (A s e n a p i n e) の合成 中間体の新規製造方法に関する。 背景技術
ァセナピン [化学名 : トランス— 5—クロ口一 2—メチル一 2, 3, 3 a, 1 2 b—テトラヒドロ一 1 H—ジベンゾ [2, 3 : 6, 7] ォキセピノ [4, 5 - c ] ピロ一ル] は、 式 [ I X]
で示される化合物であり、 統合失調薬として有用な化合物である。 特許文献 1には、 下記反応ルートによりァセナピン [ I X] を製造する方法 が記載されている。
上記ルートを採用して、 最終目的物であるァセナピン (化合物 [ I X] ) を 合成する場合、 入手が容易でなく、 製造が煩雑な 2—ブロモフエニル酢酸メチ ルを用いる必要があるという問題があった。
[特許文献 1 ] 国際公開 2006 / 1 06 1 36号パンフレッ ト 発明の開示
本発明の目的は、 安価な原料を用いて、 ァセナピンの合成中間体を効率的か
つ安価に製造する方法を提供することにある。 特許文献 1において、 2—ブロモフエニル酢酸メチル 'に代えて、 安価に入手 できる 2—クロ口フエニル酢酸を用いれば、 意外にも良好に反応が進行するこ とを見出した。 さらに、 下記反応ルートで示されるように、 安価に入手できる 2—クロ口フエニル酢酸 (化合物 [ I ] ) と 4—クロ口フエノールを出発原料 とし、 医薬品として有用なァセナピンの中間体である化合物 [ I V] が製造で きることを見出した。
(式中、 Rは炭素数 1〜6のアルキル基を意味する。 ) 即ち、 本発明は以下の [1] ~ [8] を提供するものである,
I
で示される化合物と 4—クロ口フエノールとを反応させる式 [ I I
で示される化合物の製造方法。
[2] . 式 [ I ]
で示される化合物と 4一クロ口フエノールとを反応させ、 式 [ I I
OCT
^CI
Π
で示される化合物とし、 得られる化合物 [ I I ] と式 [ I I I ]
H.c.N^C02R in
(式中、 Rは炭素数 1〜6のアルキル基を表す)
で示される化合物を縮合させる式 [ I V] :
IV
(式中、 Rは前記と同じ意味を表す)
で示される 2—ァセトアミド酢酸エステル誘導体の製造方法。
で示される化合物の力ルポキシル基における反応性誘導体と式 [ I I I ] :
H3e-N»-C0^
m
(式中、 Rは炭素数 1〜6のアルキル基を表す)
で示される化合物とを反応させることにより行う [2] に記載の製造方法。 [4] . 式 [ I I ]
で示される化合物の力ルポキシル基における反応性誘導体が対応する酸ハライ ドである [3] に記載の製造方法。
I
で示される化合物と 4—クロ口フエノールとの反応をジグライムまたはトルェ ン溶媒中で行う [1] または [2] に記載の製造方法。
[6] . 式 [ I I ]
で示される化合物の酸ハライ ドと式 [ I I I ]
H,GN^G°2R (式中、 Rは炭素数 1~6のアルキル基を表す)
で示される化合物との反応を炭酸水素ナトリゥムの存在下にトルエンと水との 混合溶液中で行う [ 3 ] に記載の製造方法。
[7] . 式 [ I I ]
で示される化合物を単離することなく行う [2] 〜 [6] のいずれかに記載の 製造方法。
[8] . Rがメチル基またはェチル基である [1] 〜 [7] のいずれかに記載 の製造方法。 発明を実施するための形態
本発明によれば、 前記反応ルー卜により、 ァセナピンの合成中間体を製造す ることができる。 以下、 各工程について説明する。
(工程 1) 化合物 [ I ] →化合物 [ I I ]
化合物 [ I I ] は化合物 [ I ] と 4—クロ口フエノールとを反応させること により製造することができる。 本反応は、 触媒存在下で行うことが好ましい。 なお、 4—クロ口フエニル酢酸と 4—クロ口フエノールの反応はほとんど進行 せず、 クロ口基が 2位の場合のみ、 置換反応が進行する。 本反応は、 塩基を必ずしも添加しなくてもよいが、 塩基 (例えば、 トリェチ ルァミン、 トリ— n—プロピルァミン、 トリ— n—プチルァミン、 ジイソプロ ピルェチルァミン、 N—メチルモルホリン、 ピリジン、 2, 6—ジ一 t e r t 一ブチルピリジン、 イミダゾール、 1—メチルイミダゾールなどの有機塩基、 水酸化カリウム、 水酸化ナトリウム、 水酸化リチウム、 炭酸カリウム、 炭酸ナ トリウム、 炭酸リチウム、 炭酸セシウム、 炭酸水素ナトリウム、 炭酸水素カリ ゥム、 炭酸水素リチウムなどの無機塩基) を添加してもよい。 塩基を使用する 場合の使用量は、 化合物 [ I ] 1モルに対し、 通常 1モル〜 5モル、 好ましく は 1. 2モル〜 2. 5モルである。
塩基が液状である場合、.溶媒を兼ねさせることができる。 該溶媒としては、 例えば、 エステル溶媒 (例えば、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 酢酸プチル、 プ 口ピオン酸ェチル、 プロピオン酸プロピル、 プロピオン酸ブチルなど) 、 エー テル溶媒 (例えば、 ジェチルエーテル、 t e r t —ブチルメチルエーテル、 ジ グライム (例えば、 ジエチレングリコールジメチルエーテル、 ジエチレングリ コールジブチルエーテル、 ジエチレングリコールジェチルエーテル) 、 1, 2 ージメ トキシェタン、 テトラヒドロフランなど) 、 アミ ド溶媒 (例えば、 N, N—ジメチルホルムアミ ド、 N, N.—ジメチルァセトアミ ド、 N—メチルピロ リ ドン、 1, 3—ジメチル— 2—イミダゾリジノンなど) 、 ケトン溶媒 (例え ば、 メチルイソプチルケトン、 メチルエヂルケトン、 シクロへキサノン、 シク 口ペン夕ノンなど) 、 二トリル溶媒 (例えば、 ァセトニトリル、 プロピオニト リルなど) 、 アルコール溶媒 (例えば、 メタノール、 エタノール、 1一プロパ ノール、 2—プロパノール、 1ーブ夕ノール、 2—ブタノールなど) 、 ハロゲ ン化溶媒 (例えば、 塩化メチレン、 クロ口ホルムなど) 、 芳香族溶媒 (例えば 、 トルエン、 キシレン、 クロ口ベンゼン、 ニトロベンゼンなど) 、 水、 あるい はそれらの混合溶媒などが挙げられるが、 好ましくはトルエンまたはジグライ ムである。 溶媒の使用量は、 化合物 [ I ] 1 k gに対し、 通常 1 L〜30 L、 好ましくは 2 L〜: 1 0 Lである。
4—クロ口フエノールの代わりに、 4—クロ口フエノールと上記の塩基とを 先に反応させることにより調製した 4—グロ口フエノキシ金属塩を用いること もできる。 金属塩としては、 セシウム塩、 カリウム塩、 ナトリウム塩、 リチウ ム塩などが挙げられるが、 セシウム塩、 カリウム塩が好ましい。 4ークロロフ エノ一ル (またはその金属塩) の使用量は、 化合物 [ I ] 1モルに対し、 通常 1モル〜 1 0モル、 好ましくは 1モル〜 2モルである。 本発明に用いる触媒としては、 遷移金属を含む化合物、 アミノ酸またはその 誘導体が挙げられる。 遷移金属を含む化合物としては、 例えば、 ロジウム、 二 ッケル、 鉄、 銅などの遷移金属を含む化合物などがあげられ、 銅 (0) または 銅 ( I ) を含む化合物が好ましい。 銅 ( I ) を含む化合物としては、 銅 ( I ) のハロゲン化物 (例えば、 塩化銅 ( I ) 、 臭化銅 ( I ) 、 ヨウ化銅 ( I ) など
) 、 酸化物、 鉱酸塩 (例えば、 硫酸塩、 硝酸塩、 燐酸塩、 炭酸塩など) 、 有機 酸塩、 銅 (0) と銅 ( I ) との錯体などが挙げられるが、 銅 ( I ) のハロゲン 化物が特に好ましい。 触媒の使用量は、 化合物 [ I ] 1モルに対し、 通常 0. 0 1モル〜 0. 5モル、 好ましくは 0. 02モル〜 0. 1モルである。 アミノ酸またはその誘導体としては、 例えば、 グリシン、 N—メチルダリシ ン、 N、 N—ジメチルダリシン、 ァラニン、 フエ二ルァラニンなどが挙げられ るが、 N—メチルグリシンが好ましい。 アミノ酸またはその誘導体の使用量と しては、 化合物 [ I ] 1モルに対し、 通常 0. 005モル〜0. 5モル、 好ま しくは 0. 0 1モル〜 0. 1モルである。
4—クロ口フエノールの使用量は、 化合物 [ I ] 1モルに対し、 通常 1モル 〜2モル、 好ましくは 1モル〜 1. 5モルである。
,
反応温度は通常 80で〜 1 80T:、 好ましくは 1 20で〜 1 60でである。
反応時間は反応温度、 原材料の使用量などにもよるが、 通常 1時間〜 24時間 、 好ましくは 3時間〜 1 2時間である。 反応時間が長くなると収率が低下する 傾向がある。 化合物 [ I ] 、 4一クロ口フエノール (またはその金属塩) 、 塩基、 触媒の 仕込み順には特に制限がない。 ' このようにして生成した化合物 [ I I ] は、 単離してもよいが、 単離するこ となく次工程に用いることができる。
(工程 2) 化合物 [ I I ] +化合物 [ I I I ] —化合物 [ I V]
化合物 [ I I ] と化合物 [ I I I ] を縮合させて化合物 [ I V] を製造す る方法は、 化合物 [ I I ] またはそのカルボキシル基における反応性誘導体と 化合物 [ I I I ] とを反応させることにより実施することができる。
なお、 化合物 [ I I I ] において、 記号 Rで示される炭素数 1 ~ 6のアルキ ル基は、 直鎖状でも分岐状でもよく、 メチル基、 ェチル基が好ましい。 化合物 [ I I ] と化合物 [ I I I ] との反応は縮合剤の存在下に実施するこ とが好ましい。 化合物 [ I I I ] の使用量は、 化合物 [ I I ] 1モルに対し、 通常 1モル〜 2モル、 好ましくは 1モル〜 1. 5モルである。
縮合剤としては、 カルポジイミ ド縮合剤 (例えば、 N, N' —ジシクロへキ シルカルポジイミ ド (DCC) 、 N- (3—ジェチルァミノ— 1—プロピル) -N' —エヂルカルポジイミ ド塩酸塩 (WS C I · HC 1 ) など) 、 5価の有 機リン縮合剤 (例えば、 ジフエ二ルホスホリルアジド (DPPA) 、 シアノリ ン酸ジェチル (DEPC) 、 N, N' —ビス ( 2—ォキソ— 3—ォキサゾリジ ニル) ホスフィニッククロライ ド (BOP— C 1 ) など) 、 クロ口炭酸エステ ル類 (例えば、 クロ口炭酸メチル、 クロ口炭酸ェチル、 クロ口炭酸イソプロピ ルなど) 、 ピバロイルク口リ ド、 塩化チォニル、 ォキシ塩化リンなどが挙げら れる。 縮合剤の使用量は、 化合物 [ I I ] 1モルに対し、 通常 1モル〜 2モル 、 好ましくは 1モル〜 1. 5モルである。 本反応は、 塩基を必ずしも添加しなくてもよいが、 塩基 (例えば、 トリエヂ ルァミン、 トリ— n—プロピルァミン、 トリ— n—ブチルァミン、 ジイソプロ ピルエヂルァミン、 N—メチルモルホリン、 ピリジン、 2, 6—ジー t e r t 一ブチルピリジン、 イミダゾール、 1—メチルイミダゾ一ルなどの有機塩基、 水酸化カリウム、 水酸化ナトリウム、 水酸化リチウム、 炭酸カリウム、 炭酸ナ トリウム、 炭酸リチウム、 炭酸セシウム、 炭酸水素ナトリウム、 炭酸水素カリ ゥム、 炭酸水素リチウムなどの無機塩基) を添加してもよい。 塩基を使用する 場合の使用量は化合物 [ I I ] 1モルに対し、 通常 1モル〜 1 0モル、 好まし くは 1モル〜 5モルである。 溶媒としては、 例えば、 エステル溶媒 (例えば、 酢酸エヂル、 酢酸プロピル 、 酢酸プチル、 プロピオン酸ェチル、 プロピオン酸プロピル、 プロピオン酸ブ チルなど) 、 エーテル溶媒 (例えば、 ジェチルエーテル、 t e r t一プチルメ チルェ一テル、 ジグライム (例えば、 ジエチレングリコールジメチルエーテル 、 ジエチレングリコールジブチルェ一テル、 ジエチレングリコールジェチルェ
一テル) 、 1, 2—ジメ トキシェタン、 テトラヒドロフランなど) 、 アミ ド溶 媒 (例えば、 N, N—ジメチルホルムアミ ド、 N, N—ジメチルァセトアミ ド 、 N—メチルピロリ ドン、 1, 3—ジメチル一 2—イミダゾリジノンなど) 、 ケトン溶媒 (例えば、 メチルイソプチルケトン、 メチルエヂルケトン、 シクロ へキサノン、 シクロペンタノンなど) 、 二トリル溶媒 (例えば、 ァセトニトリ ル、 プロピオ二トリルなど) 、 ハロゲン化溶媒 (例えば、 塩化メチレン、 クロ 口ホルムなど) 、 芳香族溶媒 (例えば、 トルエン、 キシレン、 クロ口ベンゼン 、 ニトロベンゼンなど) 、 水、 あるいはそれらの混合溶媒などが挙げられるが 、 好ましくはトルエンと である。 溶媒の使用量は、 化合物 [ I I ] 1 k gに 対し、 通常 1 L〜50 L、 好ましくは 2 L〜20 Lである。 一方、 化合物 [ I I ] の力ルポキシル基における反応性誘導体を用いる場合 、 反応性誘導体としては、 例えば化合物 [ I I ] に対応する酸八ライ ド、 活性 エステルなどが挙げられるが、 酸ハライ ドが好ましい。 対応する酸ハライ ドを 使用する場合、 酸ハライ ドとしては、 酸クロリ ド、 酸プロミ ドなどがあげられ 、 酸クロリ ドが好ましい。 前記酸ハライ ドは化合物 [ I I ] にハロゲン化剤を 作用させることにより製造することができる。 ハロゲン化剤としては、 例えば 、 塩化チォニル、 五塩化リン、 三塩化リン、 ォキシ塩化リン、 ォキザリルクロ リ ド、 臭化チォニル、 三臭化リンなどが挙げられ、 塩化チォニルが好ましい。 ハロゲン化剤として塩化チォニルを使用する場合、 塩化チォニルの使用量は、 化合物 [ I I ] 1モルに対し、 通常 1モル〜 2モル、 好ましくは 1モル〜 1. 5モルである。 溶媒は必ずしも用いなくてもよいが、 ハロゲン化溶媒 (例えば 、 塩化メチレン、 クロ口ホルムなど) や芳香族溶媒 (例えば、 ベンゼン、 トル ェン、 キシレン、 クロ口ベンゼン、 ニトロベンゼンなど) などの溶媒を用いて もよく、 好ましくはトルエンである。 溶媒の使用量は、 化合物 [ I I ] 1 k g に対し、 通常 1 L〜50 L、 好ましくは 2 L〜20 Lである。 化合物 [ I I ] の酸ハロゲン化物と化合物 [ I I I ] との反応において、 化 合物 [ I I I ] の使用量は、 化合物 [ I I ] 1モルに対し、 通常 1モル〜 2モ ル、 好ましくは 1モル〜 1. 5モルである。 本反応は、 反応性誘導体として酸ハライ ドを用いる場合、 塩基の存在下に実 施することが好ましい。 塩基としては、 例えば、 トリェチルァミン、 トリ— n —プロピルァミン、 トリ— n—プチルァミン、 ジイソプロピルェチルァミン、 N—メチルモルホリン、 ピリジン、 2, 6—ジ一 t e r t—ブチルピリジン、 イミダゾール、 1—メチルイミダゾールなどの有機塩基、 水酸化カリウム、 水 酸化ナトリウム、 水酸化リチウム、 炭酸カリウム、 炭酸ナトリウム、 炭酸リチ ゥム、 炭酸セシウム、 炭酸水素ナトリウム、 炭酸水素カリウム、 炭酸水素リチ ゥムなどの無機塩基などが挙げられ、 特に炭酸水素ナトリウムが好ましい。 塩 基の使用量は、 化合物 [ I I ] 1モルに対し、 通常 1モル〜 1 0モル、 好まし くは 1モル〜 5·モルである。 塩基が液状である場合、 溶媒を兼ねさせることができる。 該溶媒としては、 エステル溶媒 (例えば、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 酢酸プチル、 プロピオン 酸エヂル、 プロピオン酸プロピル、 プロピオン酸ブチルなど) 、 エーテル溶媒 (例えば、 ジェチルエーテル、 t e r t一ブチルメチルエーテル、 ジグライム
(例えば、 ジエチレングリコールジメチルエーテル、 ジエチレングリコールジ ブチルエーテル、 ジエチレングリコールジェチルエーテル) 、 1, 2—ジメ ト キシェタン、 テトラヒドロフランなど) 、 アミ ド溶媒 (例えば、 N, N—ジメ チルホルムアミ ド、 N, N—ジメチルァセトアミ ド、 N—メチルピロリ ドン、 1, 3—ジメチル— 2—イミダゾリジノンなど) 、 ケトン溶媒 (例えば、 メチ ルイソブチルケトン、 メチルェチルケトン、 シクロへキサノン、 シクロペンタ ノンなど) 、 二トリル溶媒 (例えば、 ァセトニトリル、 プロピオ二トリルなど ) 、 ハロゲン化溶媒 (例えば、 塩化メチレン、 クロ口ホルムなど) 、 芳香族溶 媒 (例えば、 トルエン、 キシレン、 クロ口ベンゼン、 ニトロベンゼンなど) 、 水、 あるいはそれらの混合溶媒などが挙げられるが、 好ましくはトルエンと水 との混合溶媒である。 化合物 [ I V] の精製は、 反応液を常法による後処理 (例えば、 中和、 抽出 、 洗浄、 乾燥、 濃縮、 クロマトグラフィーなど) により行なうことができるが 、 特に精製することなしに次工程に用いることができる。 本発明の方法によって得られた化合物 [ I V] は、 国際公開 2006Z1 0 6 1 36号パンフレツ ト記載の方法により、 下記スキームで示されるように化 合物 [V] 、 [V I ] 、 [V I I ] 、 [V I I I ] を経由して、 ァセナピン ( トランス一 5—クロロー 2, 3, 3 a, 1 2 b—テトラヒドロ一 2—メチル一 1 H—ジベンゾ [2, 3 : 6, 7] ォキセピノ [4, 5 - c ] ピロ一ル) に導 くことができる。
本発明の方法によれば、 安価に入手可能な化合物 [ I ] および 4ークロロフ ェノールを出発原料とし、 医薬として有用なァセナピンの合成中間体を効率的 かつ安価に製造することが可能となる。 実施例
以下、 本発明を実施例に基いて具体的に説明するが、 本発明がこれらの実施 例により何ら限定されるものではないことは言うまでもない。
[実施例]
( 1 - a) 2— (2 - (4—クロロフエノキシ) フエニル) 酢酸 [ I I ] の
合成
2—クロ口フエニル酢酸 [ I ] (l . O g, 5. 9 mmo 1 ) 、 4—クロ口 フエノール (0. 78 g, 6. 5mmo 1 ) 、 炭酸セシウム (3. 8 g, 1 1 . 7 mm o 1 ) , 臭化銅 ( I ) (42mg, 0. 29 mm o 1 ) 及びジェチレ ングリコールジメチルエーテル (5m 1 ) を混合し、 145でで 8時間加熱し た。 冷却後、 反応マスに水 (1 5m l ) を流入した後、 濃塩酸 (約 2 g) を加 え酸性とし、 トルエン (20m l X 2) にて抽出を行った。 トルエン層を水 ( 20m l ) 、 飽和食塩水 (20m l ) で洗浄後、 無水硫酸マグネシウムで脱水 し、 その後硫酸マグネシウムを濾過により除去し、 [ I I ] のトルエン溶液を 得た (標品を用いた定量収率 59 %) 。 一部スペク トルデータ用に濃縮後シリ 力ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製をおこない化合物 [ I I ] を得た 炭酸セシウムの代わりに炭酸カリウム (1. 6 g, 1 1. 7mmo l ) を用 いて上記と同条件で行った場合の収率は 62 %、 また、 臭化銅 ( I ) の代わり に塩化銅 ( I ) (29mg, 0. 29 mm o 1 ) を用いて上記と同条件で反応 を行った場合の収率は 59 %であった。 上記化合物 [ I I ] の1 H— NM Rデータ ( p p m i n C D C 1 a ) : δ 7. 23 ( 1 H, d d, J = 7. 6 , 1. 6Hz) , 7. 27〜 7. 24 (3 H, m) 、 7. 1 1 ( 1 H, t , J = 8. 4 H z ) 、 6. 89 (2 H, d d, J = 6. 4, 2. 4 H z ) 、 3. 70 (2 H, s )
( 1 - b) 2 - ( 2 - (4—クロロフエノキシ) フエニル) 酢酸 [ I I ] の 合成
2—クロ口フエニル酢酸 [ I ] (1 0. 0 g, 58. 6 mmo 1 ) 、 4—ク ロロフエノール (7. 8 g, 64. 5mmo 1 ) 、 炭酸カリウム ( 1 6. 2 g , 1 1 7. 2 mmo 1 ) 、 N, N—ジメチルダリシン (0. 41 g, 2. 9m mo 1 ) , 臭化銅 ( I ) (0. 42 g, 2. 9 mmo 1 ) 及びジエチレングリ コールジメチルェ一テル (30m l ) を混合し、 140でで 4時間加熱した。 冷却後、 反応マスに水 (50m l ) を流入した後、 濃塩酸 (1 8 g) を加え酸 性とし、 トルエン (30m 1 X 2) にて抽出を行った。 トルエン層を水 (30 m 1 X 2 ) 、 飽和食塩水 (30m l ) で洗浄後、 無水硫酸マグネシウムで脱水 し、 その後硫酸マグネシウムを濾過により除去し、 化合物 [ I I ] のトルエン 溶液を得た。 この溶液をそのまま次の工程に使用した。 一部スペク トルデータ 用に濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、 化合物 [ I I ] を得た。
(2) 2 - (2— (2 - (4—クロロフエノキシ) フエニル) 一 N—メチル ァセトアミ ド) 酢酸ェチル [ I V] の合成
上記実施例 (1ー13) で得た化合物 [ I I ] のトルエン溶液に N, N—ジメ チルホルムアミ ド (0. 5m l ) を加えた後、 50で〜 65でに温度を保ちな がら、 塩化チォニル (8. 4 g, 70. 3 mmo 1 ) を約 30分かけて滴下し た。 滴下終了後さらに 2時間、 50で〜 65でで反応を行った。 冷却後、 トル ェン (約 25m l ) を減圧留去し、 化合物 [ I I ] の酸クロライ ドのトルエン 溶液を得た。 トルエン ( 1 0m 1 ) 、 水 (30m 1 ) 及び炭酸水素ナトリウム (14. 8 g, 1 7 5. 8mmo 1 ) の混合溶液に N—メチルグリシンェチル
エステル塩酸塩 (1 0. 4 g, 67. 4mmo 1 ) を水 (1 5m l ) に溶解さ せた液を加えた後、 上記で得た化合物 [ I I ] の酸クロライドのトルエン溶液 を 0〜1 0でに保ちながら滴下した。
滴下終了後、 0~ 1 0でで 4時間攪拌した後、 水 (30m l ) 及びトルエン (30m l ) を流入し抽出を行った。 トルエン層を飽和食塩水 (30m l ) で' 洗浄後、 無水硫酸マグネシウムで脱水した。 硫酸マグネシウムを濾過により除 去後、 減圧濃縮によりトルエンを留去 (約 1 0 Om 1 ) し、 化合物 [ I V] の トルエン溶液を得た。 この溶液をそのまま次の工程に使用した。 一部スぺクト ルデータ用に濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製をおこな い化合物 [ I V] を得た。 上記化合物 [ I V] の1 H— NMRデータ (5 p pm i n CD C 13 ) : 7. 4 1〜 7. 12 ( 5 H, m, ) , 6. 9 1〜 6. 85 (3Η, m) 、 4. 1 6 ( 2 H, q, 2 J = 7Hz) 、 4. 08 (2 H, s) 、 3. 76 ( 2 H, s) 、 3. 06 (3H, s) 、 1. 2 5 ( 3 H, t , J = 7 H z )
[比較例]
(1) 2—クロ口フエニル酢酸メチルエステル 1. 85 g、 1 Ommo 1 ) と 4—クロ口フエノール ( 1.. 29 g, 1 Ommo 1 ) とジグライム (30m 1 ) と炭酸カリウム (2. 76 g、 2 Ommo 1 ) を混合させた後、 反応容器 を窒素置換し、 臭化銅 ( I ) (72mg、 0. 5 mm o l ) を加え、 1 20で で 24時間加熱した。 高速液体クロマトグラフィーにて分析したところ、 化合 物 [ I I ] のメチルエステルの生成は認められなかった。 2—クロ口フエニル 酢酸ェチルエステルが 9 1 %残存し、 化合物 [ I I ] が 4%生成していた。 ( 2 ) 4—クロ口フエニル酢酸 (3. 4 g , 2 Ommo 1 ) 、 4—クロロフ エノ一ル ( 3. 1 g, 24mmo 1 ) 、 炭酸力リウム (5. 5 g, 40 mmo
1 ) 、 臭化銅 ( I ) ( 57 mg, 0. 4 mmo 1 ) ¾びジグライム (1 7m l ) を混合し、 1 30でで 6時間加熱した。 冷却後、 反応マスを高速液体クロマ トグラフィ一で分析したところ、 原料以外の生成物のピークは認められなかつ た。
[参考例]
(1) 3 - (2 - (4—クロロフエノキシ) フエニル) 一4—ヒドロキシ一 1—メチル— 1 H—ピロール— 2 ( 5 H) —オン [V] の合成
上記実施例 (2) で得られた化合物 [ I V] の.トルエン溶液 (こ 20 %ナトリ ゥムメチラ一トメタノ一ル溶液 (1 3. 4 g, 70. 3 mmo 1 ) を加え、 5 0〜65でで1. 5時間攪拌した。 その後、 水 (50m l ) を加えた後、 .濃塩 酸 (8 g) により pH 1以下とした。 析出した結晶を濾過し、 水 (50m 1 X
2) で洗浄を行った後、 減圧乾燥し淡黄色結晶の化合物 [V] を 3. 9 g得た 。 上記化合物 [V] の1 H— NMRデータ (p pm i n CD C 13 ) : 3. 02 ( 3 H, s) , 3. 2 1 ( 1 H, s) , 3. 82 ( 2 H, s) , 6. 82 ( 2 H, d, J = 2 H z ) , 7. 0 1〜 7. 02 ( 1 H, m) , 7. 23〜 7 . 33 ( 3 H, m) , 8. 07〜8. 1 3 ( 2 H, m) .
( 2 ) 5—クロ口一 2, 3—ジヒドロ一 2—メチル一 1 H—ジベンゾ [2, 3 : 6, 7] ォキセピノ [4, 5— c] ピロ一ルー 1—オン [V I ] の合成 上記 (1) で得た化合物 [V] (1 0. 0 g, 3 1. 7mmo 1 ) と 1 05 %リン酸 (44 g) を混合し、 145〜1 5 5T:で 14時間加熱した。 原料が 残留していたため、 五酸化二リン ( 1 0 · 7 g) を加え、 145〜: 1 55でで 4時間加熱した。 まだ原料が残留していたため、 さらに五酸化二リン (1 0. 7 g) を加え、 1 55〜 1 65 ¾で 3時間加熱した。 反応マスに水 (3m l ) とアセトン (57m l ) の混合液を 60 ~ 80でで滴下し、 さらに水 (50m 1 ) を滴下した。 滴下終了後、 さらに、 水 (20011 ) を流入し 5でまで冷却 後、 濾過を行った。 得られた結晶を水 (20m 1 X 5) で洗浄後、 減圧乾燥し 淡緑色固体の生成物 [V] を 8. 4 g得た。 収率 88 %。
1 H— NMRデータ (p pm i n DMSO— d6 ) : 3. 09 ( 3 H, d , J = 2 H z ) , 4. 6 1 ( 2 H, d, J = 4 H z ) , 7. 30〜 7. 60 ( 6 H, m) , 8. 04 ( 1 H, t— l i k e, J = c a. 3 H z ) .
(3) ァセナピン (トランス一 5—クロ口一 2, 3, 3 a, 1 2 b—テトラ ヒドロ一 2—メチルー 1 H—ジベンゾ [2, 3 : 6, 7] ォキセピノ [4, 5 - c ] ピロ一ル) [ I X] の合成
上記 ( 2 ) で得られた 5—クロ口— 2 , 3—ジヒドロ一 2—メチル— 1 H— ジベンゾ [2, 3 : 6, 7] ォキセピノ [4, 5 - c ] ピロ一ル一 1—オン E V I ] を国際公開 2006/1 06 1 36号パンフレツト記載の方法により、 化合物 [V I I ] および化合物 [V I I I ] を経て、 ァセナピン (トランス— 5—クロロー 2, 3, 3 a, 1 2 b—テトラヒドロー 2—メチルー 1 H—ジべ ンゾ [2, 3 : 6, 7] ォキセピノ [4, 5 - c ] ピロ一ル) を得る。
(4) トランス一 5—クロ口一 2, 3, 3 a , 1 2 b—テトラヒドロ一 2— メチル一 1 H—ジベンゾ [2, 3 : 6, 7 ] ォキセピノ [4, 5 - c ] ピロ一 ル マレエートの合成 上記 (3) で得られたトランス一 5—クロ口— 2, 3 , 3 a, 1 2 b—テトラヒドロー 2—メチル一 1 H—ジベンゾ [ 2 , 3 : 6, 7 ] ォキセピノ [4, 5 - c ] ピロ一ルを 99. 5 %エタノールに溶解させ、 マレイン酸のエタノール溶液を室温で滴下する。 析出する固体をろ過、 乾燥し て、 トランス一 5—クロロー 2, 3, '3 a, 1 2 b—テトラヒドロ一 2—メチ ル一 1 H—ジベンゾ [2, 3 : 6, 7] ォキセピノ [4, 5 - c ] ピロール マレエートを得る。 mp. 141.で , 産業上の利用可能性
本発明によれば、 医薬として有用なァセナピンの合成中間体を効率的にかつ 安価に製造することが可能となる。