WO2007122938A1

WO2007122938A1 - 吸収体及びその製造方法

Info

Publication number: WO2007122938A1
Application number: PCT/JP2007/055564
Authority: WO
Inventors: Takao Kasai; Masahiko Niinomi; Takuya Kouta; Rumiko Kasahara; Akira Noda
Original assignee: Kao Corporation
Priority date: 2006-03-23
Filing date: 2007-03-19
Publication date: 2007-11-01
Also published as: KR101400703B1; CN101404970B; US20100022978A1; US8373016B2; TW200744545A; EP2005926A4; EP2005926B1; KR20090007691A; EP2005926A1; CN101404970A

Description

明細書

吸収体及びその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、各種吸収性物品、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等に好ましく用いられる吸収体及びその製造方法に関する。更に本発明は、該吸収体を備えた級数性物品に関する。

背景技術

[0002] 連続フィラメントの開繊トウを用いた吸収性物品の吸収体が知られている。例えば、捲縮性アセテート繊維のトウ層と、この層の片面に積層した粉枠パルプ層とからなる吸収体であって、該吸収体の厚さ方向に両層をプレスで一体ィ匕したものが知られている（特許文献 1参照)。この吸収体によれば、体液の拡散性が向上するとされているしかし、アセテート繊維はパルプよりも吸水能力が劣るので、この吸収体の吸収容量を高めるためには、多量の粉砕パルプを使用しなければならない。その結果、吸収体が厚くなり、柔軟性が低下し吸収性物品の着用感が低下してしまう。

[0003] また、連続フィラメントからなるトウ層は、肌当接面に供給された液を、狭い範囲から吸収すると、うスポット吸収性の観点からは好ましくな、。

また、アセテート繊維力もなるトウ層は、その一部にカ卩えられた力が全体に及び易いため、着用者の動きにより、該トウ層に破壊やョレが起こりやすい。粉砕パルプ層が厚ければ、破壊やよれがある程度防止されるが、その場合には、吸収体が厚くなり、柔軟性が低下し吸収性物品の着用感が低下してしまう。

[0004] また、吸水コアを上層、下層及び両層間に位置する吸収層から構成し、該吸収層として、高吸収性ポリマーの散布層上にアセテート繊維のトゥカもなる繊維層を配したものが知られている (特許文献 2参照)。高吸収性ポリマーはその一部が接着剤によつて下層に結合されており、また別の一部はトウの繊維層内に収容されている。この吸水コアでは、高吸収性ポリマーの一部がトウの繊維層内に収容されてはいるものの、大部分の高吸収性ポリマーは下層に結合された状態になっている。つまりトウの繊維層と高吸収性ポリマーの散布層とが別個に存在している。その結果、着用者の動作に起因して、吸収性物品の着用中に吸水コアが変形した場合、その構造が壊れやすい。

[0005] ところで、使、捨ておむつにおける横漏れを防止する技術として、例えば、吸収体の両側部に着用者の肌側に向かって突出する凸条部を形成することが知られている。しかし、凸条部を形成するために、製造工程が複雑ィ匕したり、製造コストが上昇したりする。

[0006] これらの技術とは別に、本出願人は先に、パルプ繊維、高吸水性ポリマー、及び該パルプ繊維より繊維長の長い親水性繊維よりなる多数の小塊より形成された吸収体を有する吸収性物品を提案して、る (特許文献 3参照)。

[0007] 特許文献 1：特開昭 57— 160457号公報

特許文献 2 :W099Z49826A1

特許文献 3 :特開平 07— 024003号公報

発明の開示

[0008] 本発明は、長繊維と合成又は半合成繊維である短繊維とを含む繊維集合体を含んでなる吸収体を提供するものである。

[0009] 本発明は、長繊維のウェブと該ウェブ中に含まれる塊状の粒子とを有する吸収体であって、前記ウェブの平面方向における前記粒子が分布する範囲の少なくとも一部に、前記長繊維が切断されて多数の短繊維が生じている吸収体を提供するものである。

[0010] 本発明は、長繊維のウェブと該ウェブ中に含まれる塊状の粒子とを有し、該ウェブの一部に、前記長繊維が切断されて多数の短繊維が生じている吸収体の製造方法であて、親水性を有する長繊維のウェブの塊状の粒子を散布した後、該粒子を散布した範囲の少なくとも一部を厚み方向に加圧し、該一部における前記長繊維を前記粒子に押し当てて切断させる、吸収体の製造方法を提供するものである。

[0011] 本発明は、前記吸収体を具備する吸収性物品であって、着用時に着用者の排泄部に対向配置される部位に、前記短繊維が存在する吸収性物品を提供するものである。 [0012] 本発明は、繊維ウェブを含む吸収性コアを具備し、該繊維ウェブは、合成又は半合成繊維を主体として構成されており、合成又は半合成繊維である構成繊維を、該吸収性コアの全長に対する繊維長の比に応じて、該比が 1Z4未満である第 1の繊維群と、該比が 1Z4以上 2Z4未満である第 2の繊維群と、該比が 2Z4以上 3Z4未満である第 3の繊維群と、該比が 3Z4以上である第 4の繊維群とに区分したとき、第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維を含んでいる吸収体を提供するものである（以下、第 1発明というときは、この発明をいう）。

[0013] 本発明は、繊維ウェブを含む吸収性コアを具備し、該繊維ウェブは、合成又は半合成繊維を主体として構成されており、合成又は半合成繊維である構成繊維を、繊維長が 25mm未満である第 1の繊維群と、繊維長が 25mm以上 50mm未満である第 2の繊維群と、繊維長が 50mm以上 100mm未満である第 3の繊維群と、繊維長力 SlOOmm以上である第 4の繊維群とに区分したとき、第 1〜第 4の繊維群のうちの 3 以上の繊維群の繊維を含んでいる吸収体を提供するものである（以下、第 2発明というときは、この発明をいう）。

[0014] 本発明は、第 1及び Z又は第 2発明の吸収体の製造方法であって、長繊維のゥェブに粒子を散布した後、該ウェブを厚み方向に加圧する切断工程を具備し、該切断工程においては、前記長繊維を、前記粒子に押し当て、前記第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維が生じるように様々な長さに切断する、吸収体の製造方法を提供するものである。

[0015] また、本発明は、第 1及び Z又は第 2発明の吸収体の製造方法であって、長繊維のウェブに、複数の第 1切断部を形成する第 1切断工程、第 1切断部を形成したゥェブに、第 1切断部とは異なるパターンで複数の第 2切断部を形成する第 2切断工程を具備する、吸収体の製造方法を提供するものである。

更に、本発明は、第 1及び Z又は第 2発明の吸収体の製造方法であって、長繊維のウェブに、切断用突起がランダムに配置されてなる切断部材を押し付け、該長繊維を、様々な長さの繊維が生じるように切断する切断工程を具備する、吸収体の製造方法を提供するものである。

[0016] 本発明は、短繊維及び長繊維を含むウェブを備えた吸収体であって、該短繊維は吸収体の平面内の一方向に配向しており、且つ該ウェブの構成繊維全体の配向度が 1. 2以上である吸収体を提供するものである（以下、第 3発明というときは、この発明をいう)。

図面の簡単な説明

[図 1]本発明の吸収体の一実施形態を一部破断して示す斜視図である。

[図 2]図 1の吸収体の II II線断面を示す模式断面図である。

[図 3]図 1の吸収体の効果を説明する説明図 (模式平面図)である。

[図 4]本発明の吸収体の製造方法の一実施形態による工程を装置とともに模式的に示す斜視図である。

[図 5]長繊維が吸収性ポリマーにより切断される様子を示す概念図である。

[図 6]図 6 (a)〜図 6 (e)は、それぞれ、本発明の吸収体の他の実施形態を示す模式平面図である。

[図 7]本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す断面図（図 2相当図）である。

[図 8]本発明の吸収体の更に他の実施形態を用いた使い捨ておむつ (本発明の吸収性物品の一実施形態)を示す展開平面図である。

[図 9]図 8の I-I線断面を示す模式断面図である。

[図 10]使用状態における図 8の III— III線断面を示す模式断面図である。

[図 11]本発明の吸収性物品の他の実施形態における幅方向の断面構造を示す模式図である。

[図 12]本発明の吸収性物品の更に他の実施形態における幅方向の断面構造を示す模式図（図 11相当図）である。

[図 13]図 13 (a)及び図 13 (b)は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す図で

、図 13 (a)は平面図、図 13 (b)は図 13 (a)の IV— IV線断面図である。

[図 14]図 14 (a)及び図 14 (b)は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す図で

、図 14 (a)は平面図、図 14 (b)は図 14 (a)の V— V線断面図である。

[図 15]図 15 (a)及び図 15 (b)は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す図で

、図 15 (a)は平面図、図 15 (b)は図 15 (a)の VI— VI線断面図である。

[図 16]図 16 (a)及び図 16 (b)は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す図で、図 16 (a)は平面図、図 16 (b)は図 16 (a)の VII— VII線断面図である。

[図 17]図 17 (a)〜図 17 (c)は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す図で、図 17 (a)は平面図、図 17 (b)は図 17 (a)の VIII— VIII線断面図である。

[図 18]図 18 (a)及び図 18 (b)は、本発明の吸収体の製造方法の更の例を示す図である。

[図 19]図 18 (b)に示す製造方法に用いた切断用突起の配置の例を示す加圧ロールの展開平面図である。

[図 20]本発明の他の実施形態の吸収体の製造方法を示す図である。

[図 21]図 21 (a)及び図 21 (b)は、繊維断面の形状の評価方法の説明図である。

[図 22]本発明（第 2又は第 3)の吸収体の一実施形態を一部破断して示す斜視図である。

圆 23]本発明の吸収体の製造方法の一実施形態を装置とともに模式的に示す斜視図である。

圆 24]本発明の吸収体の製造方法の他の実施形態を示す斜視図である。

圆 25]図 24に示す実施形態における第 1及び第 2切断部の形成パターンを示す図である。

圆 26]本発明の吸収体の製造方法の更に他の実施形態を示す模式図である。

[図 27]図 26の製造方法に用い得る押圧ロールの一例を拡大して示す斜視図である

[図 28]図 28 (a)〜図 28 (c)は、実施例 11における高吸収性ポリマーの散布パターンを示す図で、図 28 (a)は平面図、図 28 (b)は吸収体の長手方向に沿う断面図、図 2

8 (c)は吸収体の長手方向における高吸収性ポリマーの分布態様を示すグラフである。

[図 29]図 29 (a)〜図 29 (c)は、実施例 12における高吸収性ポリマーの散布パターンを示す図で、図 29 (a)は平面図、図 29 (b)は吸収体の長手方向に沿う断面図、図 2

9 (c)は吸収体の長手方向における高吸収性ポリマーの分布態様を示すグラフである。

[図 30]図 30は、本発明の吸収体の一実施形態を一部破断して示す斜視図である。 [図 31]図 31は、図 30に示す吸収体の Π— II線断面を示す模式断面図である。

[図 32]図 32は、図 30に示す吸収体の効果を説明する説明図 (模式平面図)である。

[図 33]図 33は、本発明の吸収体の製造方法の一実施形態による工程を装置とともに模式的に示す斜視図である。

圆 34]図 34 (a)〜図 34 (e)は、本発明（第 3発明）の吸収体の他の実施形態を示す模式平面図である。

[図 35]図 35 (a)は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す平面図であり、図 3 5 (b)は図 35 (a)の b— b線断面図である。

[図 36]図 36は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を用いた使い捨ておむつ (本発明の吸収性物品の一実施形態)を示す展開平面図である。

圆 37]本発明の吸収体の一実施形態を一部破断して示す斜視図である。

[図 38]図 37の吸収体の Π— II線断面を示す模式断面図である。

[図 39]図 39 (a)及び図 39 (b)は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す図で

、図 39 (a)は平面図、図 39 (b)は図 39 (a)の IV— IV線断面図である。

[図 40]図 40 (a)及び図 40 (b)は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す図で

、図 40 (a)は平面図、図 40 (b)は図 40 (a)の V— V線断面図である。

[図 41]図 41 (a)及び図 41 (b)は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す図で

、図 41 (a)は平面図、図 41 (b)は図 41 (a)の VI— VI線断面図である。

[図 42]図 42 (a)及び図 42 (b)は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す図で

、図 42 (a)は平面図、図 42 (b)は図 42 (a)の VII— VII線断面図である。

[図 43]図 43 (a)及び図 43 (b)は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す図で

、図 43 (a)は平面図、図 43 (b)は図 43 (a)の VIII— VIII線断面図である。

[図 44]図 44 (a)は、本発明の吸収体の製造方法の更の例を示す図である。図 44 (b) は、本発明の吸収体の製造方法の更の例を示す図である。

[図 45]図 44 (b)に示す製造方法に用いた切断用突起の配置の例を示す加圧ロールの展開平面図である。

[図 46]図 46は、本発明の他の実施形態の吸収体の製造方法を示す図である。

[図 47]図 47は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す断面図である。 [図 48]図 48は、本発明の吸収体の更に他の実施形態を示す断面図である。

[図 49]図 49は、接合部の配置の例を示す吸収体の平面図である。

[図 50]図 50 (a)は、塊状の吸収性ポリマーの一例を示す電子顕微鏡写真であり、該吸収性ポリマーは、水溶液重合法により重合した吸収性ポリマー含水ゲルを板状にキャストし乾燥後に粉砕して得られたものである。図 50 (b)は、塊状の吸収性ポリマ一の他の一例を示す電子顕微鏡写真であり、該吸収性ポリマーは、逆相けん濁重合法で界面活性剤の種類や攪拌力を制御することにより不定形粒子が凝集してできたものである。

発明の詳細な説明

[0018] 以下、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明する。

第 1実施形態の吸収体 10は、図 1及び図 2に示すように、親水性を有する長繊維のウェブ 12と該ウェブ 12中に含まれる塊状の吸収性ポリマー 13 (塊状の粒子)力もなる吸収性コア 11と、該吸収性コア 11を被覆するラップシート 14とからなる。

吸収体 10は、平面視して長方形状であり、吸収性物品に組み込まれた状態においては、該吸収体の長手方向と、着用時における着用者の前後方向とがー致する。

[0019] 長繊維のウェブ 12は、元々はその全体が長繊維力なるものであった力吸収体 1 0として完成した状態においては、ウェブ 12の一部における長繊維は、切断されて短繊維となっている。本発明においては、長繊維力もなる部分と同一の長繊維が切断されて生じた短繊維カゝらなる部分も、長繊維のウェブの一部とする。

本実施形態の吸収体 10においては、長繊維が切断されて生じた短繊維を含む長繊維のウェブ 12が、長繊維と合成又は半合成繊維である短繊維を含む繊維集合体である。

[0020] 吸収体 10における吸収性ポリマー 13は、吸収体 10の平面方向の一部に偏在している。具体的には、図 1及び図 2に示すように、長繊維のウェブ 12の平面方向における、吸収体 10の幅方向中央の所定幅の領域 M (以下、中央領域 Mともいう）に位置する部分に偏在している。吸収性ポリマー 13は、前記中央領域 Mに位置する部分に、略一様に分布している一方、該中央領域 Mの両外方の側部領域 S, Sに位置する部分には実質的に存在して、な、。 [0021] そして、ウェブ 12の平面方向における、吸収性ポリマー 13が分布する範囲、即ち前記中央領域 Mに位置する部分には、側部領域 S, Sに位置する部分を構成する長繊維 121と同一の長繊維が切断されて生じた多数の短繊維 122が存在して、る。他方、ウェブ 12における、側部領域 S, Sに位置する部分を構成する長繊維 121は、長繊維の形態を維持している。側部領域 S, Sに位置する部分の長繊維 121は、ウェブ 12の長手方向に配向して、る。

[0022] 長繊維のウェブ 12は、長繊維として、捲縮した長繊維を含むことが好まヽ。長繊維の捲縮率 (JIS L0208)は好ましくは 10〜90%であり、より好ましくは 10〜60% であり、更に好ましくは 10〜50%である。長繊維が捲縮していることで、吸収体 10が全体的に柔軟に変形しやすいものとなり、吸収性物品に組み込まれたときの、着用者に対するフィット性や、凹形状に変形させて防漏性を向上させる場合の凹形状への変形性を高めることができる。

長繊維のウェブ 12は、長繊維が切断されて生じた短繊維 122 (以下、長繊維由来の短繊維ともいう）として、捲縮した短繊維を含むことが好ましい。捲縮した短繊維は、上述した捲縮した長繊維と同程度の捲縮率を有していることが好ましい。短繊維が捲縮していることによって、ウェブ中に吸収性ポリマーがより安定に保持され、吸収性ポリマーが該ウェブ内を移動したり、該ウェブ力脱落したりすることが抑制される。

[0023] 長繊維及び短繊維の前記捲縮は、二次元的でも三次元的でもよ!ヽ。また、長繊維の捲縮率は、長繊維を引き伸ばしたときの長さ Aと、元の長繊維の長さ Bとの差の、伸ばしたときの長さ Aに対する百分率で定義され、以下の式から算出される。

捲縮率 = ( (A—B) ZA) X 100 (%)

[0024] 元の長繊維の長さとは、長繊維が自然状態にお!、て、長繊維の両端部を直線で結んだ長さをいう。自然状態とは、長繊維の一方の端部を水平な板に固定し、繊維の自重で下方に垂らした状態をいう。長繊維を引き伸ばした時の長さとは、長繊維の捲縮がなくなるまで伸ばした時の最小荷重時の長さを、う。長繊維の捲縮率は前述の通りであり、捲縮数は lcm当たり 2〜25個、特に 4〜20個、とりわけ 10〜20個であることが好ましい。短繊維の捲縮率も同様にして測定される。ただし、捲縮率の測定は、長さ 10mm以上の繊維で行う。 [0025] 親水性の長繊維 (長繊維由来の短繊維も同様）には、本来的に親水性を有する繊維、及び本来的には親水性を有さないが、親水化処理が施されることによって親水性が付与された繊維の双方が包含される。好ましくは本来的に親水性を有する繊維であり、より好ましくはアセテートやレーヨン力なる繊維であり、とりわけアセテートはウェブが湿潤しても嵩高性が保持されるので好ましい。アセテートとしては、セルローストリアセテート及び z又はセルロースジアセテートを用いることが好まし、。

ウェブを構成する長繊維 (長繊維由来の短繊維も同様)として、ナイロンやアクリル繊維等を用いることもできる。

[0026] 親水性の長繊維 (長繊維由来の短繊維も同様）は、その水分率が 10%未満、特に 1〜8%であることが、通液性を確保する観点、即ち吸水しても可塑ィ匕されないために柔軟化せず、あるいは繊維が膨潤しな、ために目詰まりを起こさな、観点力好ましい。また、水分率が高い繊維は繊維が吸湿して、あるいは繊維自体の親水性が強 Vヽために、繊維一繊維間や同一繊維の異なる部位間にお、て水素結合によって、特に吸収性物品の製造工程において厚みを制御するために圧縮する際、あるいはまた、パック内などにおいて吸収性物品が長期圧縮された状態に置かれたときになどに、製品が硬くなり装着感の低下やこすれ等による身体トラブルを起こす可能性がある。

水分率は、特許文献 2の段落〔0025〕に記載の方法で測定する。

[0027] 本発明において長繊維とは、繊維長を JIS L1015の平均繊維長測定方法 (C法）で測定した場合、好ましくは 70mm以上、更に好ましくは 80mm以上、一層好ましくは 100mm以上である繊維のことをいう。ただし、測定対象とするウェブの全長 L (図 1 参照）が 100mm未満である場合には、当該ウェブ中の繊維の好ましくは 50%以上、更に好ましくは 70%以上、一層好ましくは 80%以上がウェブ全長にわたって延びている場合に、当該ウェブの繊維は長繊維であるとする。本発明で用いられる長繊維は一般に連続フィラメントと呼ばれるものである。また、連続フィラメントの束は一般にトウと呼ばれている。従って、本発明における長繊維とは、連続フィラメントを含む概念のものである。

また、本発明において短繊維とは、長繊維と同様の測定方法によりに測定した繊維長が 70mm未満、より好ましくは 5〜70mm、更に好ましくは 10〜 50mmである繊維のことをいう。

また、本発明の吸収体には、 JIS L1015の測定法で測定するのが困難と思われる、あるいは大きな誤差を含みうるような、非常に短い繊維 (長さ 5mm未満)や粉状に近!、ものが含まれることがある。

[0028] 本発明における長繊維は、吸収体の製造時に、長繊維のウェブの一部を、塊状の粒子 (塊状の吸収性ポリマー等)の存在下に加圧圧縮して切断する観点から、繊維強度が、 3gZd以下であることが好ましぐ 0. 5〜2. 5gZdであることが好ましい。繊維強度は、以下のようにして測定する。

〔繊維強度の測定方法〕

JIS L1015化学繊維ステープル試験法引張り強さの項に準拠して行った。すなわち、コピー用紙に、繊維 1本を、該繊維の固定されていない部分の長さ (空間距離）が 20mm (繊維が短い場合は 10mm)となるように貼り付けた。具体的には、貼り付けテープ間の距離が 20mm (繊維が短い場合は 10mm)となるように、繊維の両端部それぞれを幅 18mmの貼り付けテープ〔ニチバン株式会社のスコッチテープ (商品名）〕を用いてコピー用紙に固定した。

この試料を、引張り試験機のチャックに取り付け、上下の貼り付けテープ部近傍で紙を切断し、引張り試験に供した。

装置は、 ORIENTEC RTC—1150A型テンシロン引張り試験機を用いた。フルスケール 5kgのロードセルを用いて適宜測定レンジを切り替えて行った。引張り速度は、 300mmZminであった。測定は 10点行い、その平均値を測定値とした。平均値に対して 20%以上値が振れた測定値は除き、測定を追加した。

尚、長繊維の繊度は 1. 0〜10dtex、特に 1. 5〜8dtexであることが好ましい。

[0029] 本発明における長繊維は、吸収体の製造時に、長繊維のウェブの一部を、塊状の粒子 (塊状の吸収性ポリマー等)の存在下に加圧圧縮して切断する観点から、繊維強度が、 3gZd以下であることが好ましぐ 0. 5〜2. 5gZdであることが好ましい。

[0030] 長繊維を塊状の粒子で切断して得られた短繊維は、通常、該繊維の末端の断面形状と繊維中央部の断面形状が異なる。末端の断面形状と繊維中央部の断面形状が異なる力否かは以下のようにして判断することができる。

(断面形状の異同の判断方法）

繊維端部および繊維中央部の断面形状を、電子顕微鏡を用いて観察する。

倍率は 500倍以上で観察し、無作為に抽出した短繊維 10本の観察結果を持って判断する。繊維端部の断面形状は、試料台に繊維を垂直に貼り付けて繊維長軸方向の断面方向から観察する。断面形状は電子顕微鏡の焦点深度内の輪郭を採用するものとし、末端断面の投影図ではない。そして、両端部のどちらか一方の断面形状を、該繊維の末端の断面形状とする。繊維中央部は、繊維の見かけの長さの中央部を、榭脂の尾引きが起こらないように力ミソリで切断し、同様に観察する。繊維の見かけの長さは、繊維が伸張しないように最低限の荷重で厚紙等の上に両端を固定する形で貼り付けたときの両端間の距離である。

[0031] そして、端部断面の映像と繊維中央部断面の映像とを比較し、両者の形状がほぼ同じであり且つ面積もほぼ同じである場合には、「繊維の末端の断面形状と繊維中央部の断面形状とが同じ」と判断し、それ以外の場合は、「繊維の末端の断面形状と繊維中央部の断面形状とが同じ」ではないと判断する。

ここで、断面積がほぼ同じとは、図 21 (a)に示すように、端部断面の映像と繊維中央部断面の映像とを重ね合わせたときに、一方の映像と他方の映像とが重なっていない部分 aの合計面積 S1が、両映像が重なっている部分 bの面積 S2の 3割以下〔（S 1ZS2)が 0. 3以下〕である場合をいう。

尚、端部断面の映像と繊維中央部断面の映像とを重ね合わせる際には、一方又は両方の映像をその中心点の回りに回転させたり、中心点を移動させたりして、できるだけ両映像が重なる部分 bの面積 S2が大きくなるようにする。

図 21 (a)は、端部断面と繊維中央部断面とが、形状が「ほぼ同じ」であり且つ断面積も「ほぼ同じ」である場合を示し、図 21 (b)は、端部断面と繊維中央部断面とが、形状が「ほぼ同じ」に該当せず、また、断面積も「ほぼ同じ」に該当しない場合を示している。

[0032] 長繊維由来の短繊維は、良好なスポット吸収性を得る観点から、個々の短繊維の長手方向両端 (切断端部）の位置が、吸収体の長手方向においてランダムに位置していることが好ましい。

[0033] 本発明においては、塊状の粒子を用いることが好ましい。塊状とは、不定形で且つ角張った形状、又は、不定形で且つ表面に複数の凸部を不規則に有する形状である。

図 50 (a)は、不定形で且つ角張った形状の吸収性ポリマーの例を示す電子顕微鏡写真であり、図 50 (b)は、不定形で且つ表面に複数の凸部を不規則に有する形状の吸収性ポリマーの例を示す電子顕微鏡写真である。

塊状の粒子としては、塊状の吸収性ポリマーが好ましい。塊状の吸収性ポリマーとは、水溶液重合法により重合した吸収性ポリマー含水ゲルを板状にキャストし乾燥後に粉砕したものや、逆相けん濁重合法で界面活性剤の種類や攪拌力を制御することにより不定形粒子が凝集してできたものである。これに対して、非塊状の吸収性ポリマーとしては、球状のものや、複数の球状の凝集体、繊維状、鱗片状のものがある。塊状の吸収性ポリマーの力さ密度は 0. 5〜0. 8gZcm³が好ましぐ 0. 55-0. 7g /cm³がより好ましい。

塊状の吸収' 14ポジマーの平均粒径は、 150〜600 m、特に 200〜500 mであることが好ましい。

[0034] 吸収性ポリマーの材料としては、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収体に従来使用されている各種公知のポリマー材料を用いることができ、例えば、ポリアタリル酸ソーダ、（アクリル酸ビニルアルコール）共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、（デンプン—アクリル酸)グラフト重合体、（イソブチレン無水マレイン酸）共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられる。

吸収性ポリマーは、自重の 20倍以上の水又は生理食塩水を吸収し保持し得る性能を有するものが好ましい。

[0035] 塊状の粒子としては、塊状の吸収性ポリマーの他に、例えば、セルロースパウダーや活性炭、シリカ、アルミナ各種粘土鉱物（ゼオライト、セピオライト、ベントナイト、力ンクリナイト等)等の有機、無機粒子 (消臭剤や抗菌剤)を用いることができる。これらは一種を単独で又は 2種以上を組み合わせて用いることができる。無機粒子は一部金属サイトを置換したものを用いることができる。これらは凝集体として用いても良、し、別の担体と複合ィ匕して用いてもよい。これら塊状の粒子は、 2種以上を併用することもできる。活性炭やシリカゲルなどの多孔質粒子の平均粒径は、 20〜300 m、特に 50〜150 μ mであることが好ましい。凝集体あるいは担体との複合体の平均径は、 150〜600 /ζ πι、特に 200〜500 mであること力好ましい。これら成分の働きは、吸収体に吸収された排泄物のにおいや素材由来のにおいを抑制することである。

[0036] 吸収性ポリマーとして、塊状のポリマーと非塊状のポリマーとを併用することができる。また、塊状の粒子を用いずに長繊維を切断する場合、非塊状のポリマーのみを用いることちでさる。

非塊状のポリマーとしては、モノマーと重合開始剤、架橋剤等を混合したものと噴霧乾燥する方法、逆相けん濁重合法で溶媒の種類や界面活性剤の種類を調整する方法 (おおむね、ポリマーと溶媒の sp値の差を小さくすることにより、表面のでこぼこがない球状のポリマーを得ることができる）等によって得られた球状の粒子等を用いることがでさる。

[0037] 本発明の吸収体は、ロール等によって吸収性ポリマーを圧縮し、長繊維の一部を切断する場合、吸収性ポリマーの一部が破砕され、粒径が細カゝくなる可能性を含む。粒径の細かい吸収性ポリマーは、粒径が大きい吸収性ポリマーに比べて最密充填されやす!/、ため、ゲルブロッキングや吸収体への液の取り込み速度の低下を起こす可能性がある。また、表面架橋を施した吸収性ポリマーを用いた場合、粉砕によって内部の架橋の弱い部分が露出することになり、同様にゲルブロッキングの危険性をはらむ。ゲルブロッキングは表面の液残りや液戻りにつながる。よって、このような万一の状態に備えて、本発明の吸収体では吸収体に排泄物が吸収された場合に緩衝系が成り立つように、各種緩衝剤を含ませることができる。すなわち、各種有機、無機緩衝剤、即ち、酢酸、リン酸、クェン酸、コハク酸、アジピン酸、リンゴ酸、乳酸又はこれらの塩を単独あるいは組み合わせて用いたり、各種アミノ酸を用いることができる。また、各種有機、無機緩衝剤は、排泄物、例えば尿の分解による発生するアンモニアを中和し、おむつを中性〜弱酸性に保つ効果があり、それによつて、万一おむつから肌への排泄物の液戻りがあっても、肌への影響を少なくすることができる。更に、各種有機、無機緩衝剤は、アンモニア等のアルカリを中和する働きがあるので、ウェブ

12を構成する長繊維としてアセテート繊維のような分子構造内にエステル結合を有する繊維を用いた場合には、アルカリによるエステル結合の分解に起因する繊維の損傷が防止される効果も期待できる。

[0038] また、本発明の効果であるスポット吸収性を高めるため、また、液保持性と吸収速度の向上、ドライの向上を目的に、親水性の微粉又は短繊維をウェブ中に共存させることができる。親水性の微粉又は短繊維としては、フィブリルィ匕されているか又はフィブリル化されて、な、セルロースパウダー、カルボキシメチルセルロース及びその金属塩、カルボキシェチルセルロース及びその金属塩、ヒドロキシェチルセルロース及びその誘導体、シルクパウダー、ナイロンパウダー、レーヨン、コットン、羊毛などの短繊維が挙げられる。これらのうち、セルロースパウダーを用いると、前記の効果を最大限向上させ得るので好ましい。親水性の微粉又は短繊維は、吸収性ポリマーの散布前にウェブに散布してもよぐ或いは吸収性ポリマーと混合しておき、両者を同時にゥエブに散布してもよい。

[0039] また、本発明の切断された短繊維の繊維長が短くなつた場合は、ウェブの形態保持性を向上させて、ウェブの圧縮回復性を高め、またウェブのよれを起こりにくくし、更にウェブの搬送性を良好にすることを目的として、ウェブを構成する長繊維どうしを接合することが好ましい。長繊維どうしの接合には、例えばポリ酢酸ビニル、アタリルェマルジヨンのような水溶性接着剤を用いることができる。

[0040] 長繊維がアセテートからなる場合には、アセテートを溶解 ·可塑ィ匕し得る剤、例えばトリァセチンを、吸収性ポリマー散布後のウェブに散布してアセテートを溶解'可塑ィ匕させ、長繊維どうしを接合させることができる。

[0041] 長繊維どうしの接合の他の方法には、熱可塑性榭脂の合成パルプをウェブ中に分散させ、次いで加熱して合成パルプを溶融させる方法が挙げられる。合成パルプは、吸収性ポリマーの散布と同時に又はその前後にウェブに散布することができる。散布に際しては、ウェブにおける散布面と反対側の面から吸引を行い、合成ノルプ及び吸収性ポリマーがウェブ中に十分に行き渡るようにすることが好ま、。長繊維が熱可塑性榭脂からなる場合には、該熱可塑性榭脂の融点よりも低ヽ融点を有する熱可塑性榭脂からなる合成パルプを用いることが好まし、。

[0042] 上記吸収体にエンボス力卩ェを施した場合、エンボスカ卩ェによってウェブが圧密化した部分が多数形成される。その結果、ウェブ中に繊維密度の高い部分と低い部分とが存在するようになる。従って、繊維密度の高い部分と低い部分とで毛管力に差が生じ、吸収体 1は液の引き込み性がより高くなる。

[0043] さらに液のスポット吸収性を高めるために、さらにまた、ウェブの形態保持性を向上させるために、ウェブの上及び Z又は下に、或いはこれに加えて又はこれに代えて、ウェブの側部に、紙ゃ不織布などのシート材料を一枚又は複数枚重ね合わせるか又は覆い、ウェブとシート材料とを該シートに塗られた接着剤によって接合するカゝ、又は熱融着する方法が挙げられる。この方法によれば、一対のシート材料間にウェブが挟持固定されてなるシート状の吸収体が得られる。そのようなシート状の吸収体は、シート材料との接合及びシート材料そのものの剛性に起因して剛性が高くなり、それによってハンドリング性が良好になるので、それ単独で容易に搬送させることができる。また、このシート状の吸収体は、所望の形状に容易に裁断あるいはくり抜くことができるので、吸収性物品の形状に応じた吸収体を容易に製造できる。

[0044] 前記のシート材料とウェブとを接着剤によって接合して、ウェブの保形性を高める場合には、ウェブの透水性、柔らかさ、通気性を損なわないように接着剤を塗布することが好ましい。そのためには、接着剤をできるだけ細い繊維状にして且つ断続的に (例えばスパイラル状、線状、連続した Ω形状に)塗布することが有利である。それによってウェブの特性を損なわずに繊維どうしを多数の接合点で接合することが可能になる力もである。例えばホットメルト塗布装置の一種である UFDファイバー（商品名 )を用いることで、これを達成することができる。接着剤の種類に特に制限はなぐ親水性接着剤及び疎水性接着剤の何れも用いることができる。特に好ま、ものは親水性の接着剤である。親水性の接着剤としては例えば親水性ホットメルト粘着剤である cycloflex (米国デラウェア州、ナショナル 'スターチ ·アンド ·ケミカル社の登録商標 )が挙げられる。

なお、シート材料とウェブの接着は主に互いの表面同士が接着される力一部の接着剤はウェブ中にもぐりこみ、ウェブの厚み方向内部の繊維同士を接着する場合を含む。

[0045] 前記のシート材料をウェブの上及び Z又は下に重ねることは、吸収体の吸収性能を高める点からも有利である。吸収体の吸収性能を高めるためには、該シート材料として、各種繊維シートや繊維ウェブを用いることが好ましい。その例としては、エアスルー不織布、エアレイド不織布、乾式パルプ不織布、架橋ノルプおよび架橋パルプを含む紙、及びそれらの複合体などが挙げられる。これらのシート材料は、 1枚で用いてもよぐ或いは複数枚を重ねて用いてもよい。これらのシート材料を構成する繊維は、その繊維径カ 1. 7〜12dtex、特に 2. 2〜7. 8dtex、とりわけ 3. 3〜5. 6dte Xであること力子ましい。评量は 15〜200g/m²、特に 20〜150g/m²、とりわけ 25 〜120gZm²であることが好ましい。特に、液の取り込み速度を向上させたい場合、液戻りを防止したい場合、シート材料中での液拡散を促進させたい場合には、坪量を 15〜： LOOgZm²、特に 20〜80gZm²、とりわけ 25〜50g/m²とすることが好ましい。一方、吸収体のクッション性を高めたい場合、吸収体のョレを起こりにくくしたい場合、吸収体に圧縮回復性を付与したい場合、吸収体からの水蒸気の蒸散を抑制したい場合には、评量を 25〜200g/m²、特に 30〜150g/m²、とりわけ 40〜120 g/m²とすることが好ましい。

[0046] 本実施形態の吸収体 10によれば、図 3に示すように、短繊維が生じている中央領域 Mが、着用者の液排泄部に対向する部位 Pに位置するようにして、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に組み込んで使用することにより、液排泄部から排泄された液 (尿や経血等）が、短繊維による優れたスポット吸収性により、吸収体 10の狭い範囲から吸収体 10内にスムーズに吸収される。そして、吸収体 10に吸収された液は、その部位に偏在する吸収性ポリマー 13により吸収され、吸収体 10内に安定に保持される。

吸収体 10上に短時間に多量の液が供給されたり、長時間の使用等により多量の液が吸収体 10に吸収されたりした場合には、液が、側部領域 S, Sまで拡散することがある。しかし、側部領域 S, Sそれぞれには長繊維がその形態を維持したまま存在し、それらは吸収体の長手方向に配向しているため、側部領域 s, Sに達した液は、吸収体 10の長手方向 (着用者の前後方向）に良好に拡散し、側部領域 S, Sを横切る方向への拡散は抑制される。これにより、吸収体 10の両側縁からの液の漏れ出しが効果的に防止されると共に、吸収体の広い範囲が有効に活用される。

[0047] 本実施形態の吸収体 10における吸収性ポリマー 13及び長繊維由来の短繊維 12 2は、何れも、吸収体 10の前記中央領域 Mに存在しており、吸収性ポリマー (粒子） 1 3が分布する範囲と短繊維 122が生じて、る範囲とがー致して、る。

吸収性物品に組み込まれて使用されるときの側部漏れを防止する観点から、吸収体 10の幅方向における、短繊維 13が生じている範囲の幅（中央領域 Mの幅に同じ） W1 (図 1参照）は、吸収体 10の全幅 W (図 1参照）の 20〜95%、特に 50〜85%であることが好ましぐ短繊維が実質的に存在しない範囲の幅 (側部領域 Sの幅に同じ) W2 (図 1参照）は、吸収体 10の全幅 Wの 5〜80%、特に 15〜50%であることが好ましい。

[0048] 尚、ラップシート 14としては、ティッシュペーパー等のパルプシートや透水性の不織布等の透水性のシート材が好ましく用いられる。ただし、吸収性ポリマー 13および短繊維 122が実質的に含まれてヽなヽ W2の部分はラップシートで覆われて、なくても良い。

[0049] 本発明の好ま、実施形態で用いられる吸収性ポリマーは、その遠心脱水法による生理食塩水の吸水量が 30gZg以上、特に 30〜50gZgであること力ポリマーの使用量の点や、液吸収後のゲル感が低下することを防止する点力好ましい。

吸収性ポリマーの遠心脱水法による吸収量の測定は以下のようにして行う。すなわち、吸収性ポリマー lgを生理食塩水 150mlで 30分間膨潤させた後、 250メッシュのナイロンメッシュ袋に入れ、遠心分離機にて 143G (800rpm)で 10分間脱水し、脱水後の全体重量を測定する。ついで、以下の式に従って遠心脱水法による吸水量（ gZg)を算出する。

遠心脱水法による吸水量 = (脱水後の全体重量ナイロンメッシュ袋重量乾燥時吸収性ポリマー重量ナイロンメッシュ袋液残り重量) Z乾燥時吸収性ポリマー重量 [0050] さらに、吸収性ポリマーは、以下の方法で測定される液通過時間が 20秒以下、特に 2〜15秒、とりわけ 4〜10秒であることがゲルブロッキングの発生及びそれに起因する吸収性能の低下を防止し、また、吸収が間に合わないことに起因する液の素抜けによるもれの防止の点力好ましい。液通過時間の測定は以下の通りである。即ち

、断面積 4. 9 lcm² (内径 25mm φ )で底部に開閉自在のコック（内径 4mm φ )が設けられた円筒管内に、該コックを閉鎖した状態で、該吸収性ポリマー 0. 5gを生理食塩水とともに充填し、該生理食塩水により該吸収性ポリマーを飽和状態に達するまで膨潤させる。膨潤した該吸収性ポリマーが、沈降した後、該コックを開き、生理食塩水 50mlを通過させる。該生理食塩水 50mlが通過するのに要した時間を測定し、この時間を液通過時間とする。液通過時間は、吸収性ポリマーのゲル強度を反映する指標のひとつである。液通過時間が短、ものほどゲル強度は強くなる。

[0051] 上記吸収性ポリマーとしては、加重下での通液性の高い吸収性ポリマーを用いることがさらに好ま、。吸収性ポリマーのゲルブロッキングを効果的に防止する観点から、吸収性ポリマーは、その通液速度の値が好ましくは 30〜300mlZmin、より好ましくは 32〜200mlZmin、更に好ましくは 35〜： LOOmlZminである。通液速度の値が 30mlZmin未満である場合、吸液によって飽和膨潤した吸収性ポリマーどうしが荷重下に付着し合って、液の通過を妨げてしま、ゲルブロッキング発生が起こりやすくなる。通液速度の値は大きければ大き、ほどゲルブロッキングの発生を防止する観点から好ましい。尤も、通液速度の値力 OmlZmin程度に高ければ、ゲルブロッキングの発生はほぼ確実に防止される。通液速度が 300mlZminを超える場合は、吸収体中の液の流れ性が高すぎて、特に一度にたくさんの排泄物が排泄されたときや、月齢の高い乳幼児、あるいは大人の例に見られるように排泄速度が速い場合、さらに吸収体の薄型化を図った場合に液の固定が十分でなぐもれを生じる可能性がある。また、一般に、通液速度を高めることは吸収性ポリマーの架橋度を高くすることになり、吸収性ポリマーの単位重量あたりの吸収容量が低くなり、多量の吸収性ポリマ一を使用しなければならな、。これらの観点力通液速度の上限値は決定される。

[0052] 〔通液速度の測定方法〕

垂直に立てた円筒（内径 25. 4mm)の開口部の下端に、金網（目開き 150 m)と、コック（内径 2mm)付き細管（内径 4mm、長さ 8cm)とが備えられた濾過円筒管を用意する。コックを閉鎖した状態で、該円筒管内に、 850〜150 ;ζ ΐηの粒度に調整した測定試料 0. 32gを投入する。次に該円筒管内に 0. 9重量％の生理食塩水 50ml を注ぐ。生理食塩水を注ぎ始めてから 30分間静置した後、目開きが 150 mで、直径が 25mmである金網を先端に備えた円柱棒 (21. 2g)を、濾過円筒管内に挿入し、該金網と測定試料が接するようにする。 1分経過後に、 77. Ogのおもりを円柱棒に取り付けて測定試料に荷重を加える。更に 1分間静置した後にコックを開く。生理食塩水の液面が 40mlの目盛り線から 20mlの目盛り線に達するまでの時間（T1) (秒）を計測する。計測された時間 T1 (秒)を用い、次式から通液時間を算出する。なお式中、 TOは濾過円筒管内に測定試料を入れなヽで計測された時間である。

通液速度（mlZmin) = 20 X 60/ (T1 TO)

[0053] また、本発明の好ま、実施形態で用い得る吸収性ポリマーとしては、前記の各特性を満足するものが好ましぐ具体的には例えば、ポリアクリル酸ソーダ、（アクリル酸ビニルアルコール）共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、（デンプンーアクリル酸)グラフト重合体、（イソブチレン無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられる。尚、前記の各特性を満たすようにするためには、例えば、吸収性ポリマーの粒子表面に架橋密度勾配を設ければょ、。或いは吸収性ポリマーの粒子を非球形状の不定形粒子とすればよい。具体的には特開平 7— 184956号公報の第 7欄 28行〜第 9欄第 6行に記載の方法を用いることができる。

[0054] 長繊維のウェブを有する本発明の吸収体は、フラップパルプを主体とする従来の吸収体に比較して繊維間の空隙の大きな疎な構造になって、るので、該吸収体は液の透過性の良好なものでもある。従って、吸収性ポリマーの吸収速度が遅い場合は、液が吸収性ポリマーに吸収される前に吸収体を通過してしまい、該吸収体に十分吸収されない場合が起こりうる。この観点から、ウェブに含まれる吸収性ポリマーは、充分に吸収速度の速いものであることが好ましい。それによつて、吸収体に液を確実に保持できるようになる。吸収性ポリマーの吸収速度は、当該技術分野においては一般に DW法の測定値によって表現される。 DW法による吸収速度 (mlZO. 3g- 3 Osec)は、 DW法を実施する装置として一般的に知られている装置（Demand Wett ability Tester)を用いて測定される。具体的には、生理食塩水の液面を等水位にセットしたポリマー散布台〔70πιπι φ、Νο. 2濾紙をガラスフィルター No. 1上に置いた台〕上に、測定対象の吸収性ポリマーを 0. 3g散布する。吸収性ポリマーを散布した時点の吸水量を 0とし、 30秒後の吸水量 (この吸収量は、生理食塩水の水位の低下量を示すビュレットの目盛りで測定される）を測定する。得られた吸収量の値を吸水速度とする。吸収速度は吸収性ポリマーの形状、粒径、かさ密度、架橋度等によつて設計することができる。

[0055] 吸収体がパルプを含まないか又は吸収体中のパルプの含有量が 30重量％以下である実施形態においては、 DW法に従い測定された吸収速度が 2〜： LOmlZO. 3g- 30sec、特に 4〜8mlZ0. 3g' 30secである吸収性ポリマーが好ましく用いられる。なお、このような吸収速度を有する吸収性ポリマーは、フラッフノルプを主体とする従来の吸収体においては、ゲルブロッキング、ひいては液漏れを発生させる原因になるとしてその使用が避けられていたものである。これに反して、本実施形態においてはゥエブが疎な構造を有して!/、ることに起因して、ウェブ内への液の取り込みと取り込まれた液の通過速度が高いため、高吸収速度を有する吸収性ポリマーを用いてもゲルブロッキングが起こりにくぐ逆に液漏れが効果的に防止される。

[0056] 上述のように、液通過時間が短い吸収性ポリマーや、吸収速度の高い吸収性ポリマーは単独で用いてもよ!、が、液通過時間や吸収速度が上述の望ま、範囲内にある別の吸収性ポリマーを混合あるいは共存させて用いてもよい。例えば、相対的に液通過時間の短い吸収性ポリマー S1と相対的に液通過時間の長い吸収性ポリマー S2を混合して用いる場合が挙げられる。この場合、吸収性ポリマー S1と吸収性ポリマー S2を比較すると、吸収性ポリマー S2の方が吸収倍率や吸収速度が高い反面、ゲルブロッキングに対する耐性は低い。吸収性ポリマー S1と吸収性ポリマー S2を共存させることで、吸収性能の高い吸収性ポリマー S2の間に、硬い（つまりゲルブロッキングが起こりくい）吸収性ポリマー S1が入り込むので、吸収体をより効率的に利用することができる。別の例としては、相対的に吸収速度の高い吸収性ポリマー S3と相対的に吸収速度の低い吸収性ポリマー S4を共存させる方法がある。この場合、吸収性ポリマー S3を裏面シート側に配し、吸収性ポリマー S4を表面シート側に配することで、吸収体の液の取り込み速度を一層高めた上で、液の固定能力も高めることができる。更に別の例としては、液通過時間の短い吸収性ポリマー S1を表面シート側に配し、吸収速度の高い吸収性ポリマー S3を裏面シート側に配しても同様の効果が得られる。

[0057] 上述の特定の吸収性能を有する吸収性ポリマーを用いることで、本発明の吸収体は薄くて柔らかいにもかかわらず、液戻りの量が一層少なくなる。液戻りの量は、好ましくは lg以下、更に好ましくは 0. 5g以下、一層好ましくは 0. 25g以下となる。液戻り量の測定方法は次の通りである。乳幼児用紙おむつ（Mサイズ)の場合、おむつの腹側の端縁部から 150mmの位置の幅方向中央部に、着色した生理食塩水 160gを、ロートを用いて注入する。着色には赤色 1号を用い、色素の添力卩量は 50ppmとする (生理食塩水 10リットルに対して 0. 5g)。注入完了から 10分後に、アドバンテック社製のろ紙 No. 4Aを 10枚重ねたものをおむつ上に置く。ろ紙の上から 3. 43kPaの圧力を 2分間加えて、ろ紙に生理食塩水を吸収させる。ろ紙の重量を測定し、重量の増加分を液戻り量とする。測定は 3点行う。おむつのサイズが異なる場合は、生理食塩水の注入量、ろ紙の加圧条件を次のように変更する。ベビー用おむつの場合は、ろ紙の加圧は 3. 43kPaで統一し、生理食塩水の注入量をおむつのサイズによって変化させる（新生児、 Sサイズは 120g、その他のサイズは 160g)。一方、生理用品も含め大人用の吸収性物品の場合には、ろ紙の加圧は 5. 15kPaで統一する。注入する液は、生理用品の場合には生理食塩水に代えて馬血 10gとする。

[0058] 次に、吸収体 10の好ましい製造方法 (本発明の吸収体の製造方法の一実施形態）について、図 4を参照して説明する。

図 4に示す吸収体の製造装置は、長繊維力もなるトウ 12aを、連続搬送しつつ長手方向に伸長させて開繊させ、長繊維のウェブ 12を得る開繊機構 2、開繊機構 2により開繊されたウェブ 12を、張力を緩和した状態として、ポリマー 13の供給位置まで搬送する張力緩和機構 3、長繊維のウェブ 12の片面にラップシート 14を供給するラップシート供給機構 4、ラップシート 14上のウェブ 12に、ラップシート 14側とは反対側の面側から吸収性ポリマー 13を供給する吸収性ポリマー供給機構 6、ラップシート 14 の、ウェブ 12の両側縁より延出した部分 14a, 14aを折り返して、ウェブ 12の両面を該ラップシート 14で被覆する折り返し機構 7、両面をラップシートで被覆されたウェブ 12をラップシートと共に厚み方向に加圧して圧縮し、該ウェブ 12の一部における長繊維を切断する長繊維切断機構 8を具備してヽる。

[0059] 開繊機構 2は、折り畳まれて圧縮された状態の原反から帯状のトウ 12aを連続的に引き出し、そのトウ 12aを搬送途中で順次開繊するように構成されている。開繊機構 2 は、開繊機 (バンデイングジェット） 21〜23を備えている。また、開繊機 21と 22との間には、トウ 11をー且上方に送った後に降下させるためのガイド 24を備え、開繊機 22 、 23の間には、プレテンショニングロール 25及びブルミンダロール 26を備えている。開繊機 21〜23は、エアーを吹き付けて搬送中のトウを開繊させてその幅を拡げる装置である。プレテンショユングロール 25は、開繊機 21で開繊されたトウ 12aを-ップして所定の速度で繰り出す一対のロール 250, 251を備えている。ブルミンダロール 26 は、周方向に延びる多数の溝及び凸条部を備えた金属製の溝ロール 260と、周面がゴムで形成されたアンビルロール 261とを備えており、プレテンショニングロール 25との間に速度差を設け、溝ロール 260の凸条部が押圧して張力を与える部分と溝ロール 260の溝部に位置して張力を与えな!/、部分とを生じさせることで、トウ 12aを開繊させる。

[0060] 張力緩和機構 3は、開繊機 23の下流に配されたフィードロール 31及びバキュームコンベア 32を備えている。フィードロール 31は、ブルミンダロール 26の周速度 V2よりも遅い周速度で回転駆動される一対のロール 310, 311を備えている。フィードロール 31は、開繊機構 2によりトウ 12aを開繊して得られた長繊維のウェブ 12を、プレテンショニングロール 25とブルミンダロール 26との間で伸長され張力を高められた状態のトウないしウェブよりも、張力を緩和した状態として、バキュームコンベア 32上に供給されたラップシート 14上に供給する。バキュームコンベア 32は、フィードロール 31 の送り速度 V3 (—対のロール 310, 311の周速度)よりも更に遅い搬送速度 V4で駆動される通気性の無端ベルト 320と、バキュームボックス 321とを備えている。バキュ一ムコンベア 32上のラップシート 14上に供給されたウェブ 12は、張力を緩和された状態のまま、無端ベルト 320によって更に搬送され、ポリマーの供給位置まで搬送される。

[0061] ラップシート供給機構 4は、ラップシート 14を、長繊維のウェブ 12の片面側に供給する。ラップシート供給機構 4は、ラップシート 14の卷出手段と、巻き出されたラップシート 14をバキュームコンベア 32に案内する案内ロール（図示せず）と力なり、卷出手段は、ラップシート 14が卷回されたロール 41と該ロール 41を駆動させる駆動装置 (図示せず)とを備えている。

[0062] 吸収性ポリマー供給機構 6は、長繊維のウェブ 12の上面側（ラップシート 14側とは反対側の面側）に配されたポリマー供給口から吸収性ポリマー 13を散布する。無端ベルト 320を挟んで、前記ポリマー供給口の反対側には、バキュームボックス 321が位置しており、バキュームボックス 321によりウェブ 12の裏面側から吸引した状態下に吸収性ポリマーの散布も行うことができる。ポリマー供給口は、ウェブ 12の搬送方向（長手方向）に直交する方向の幅がウェブの幅よりも狭くなつており、ウェブ 12の幅方向中央の所定幅の領域にのみポリマー 13を散布するようになされている。

[0063] 折り返し機構 7は、流れ方向の両側に折曲用のガイド 71を備えている。ラップシート 14は、長繊維切断機構 8を構成する一対のロール 80, 81により引っ張られて、連続的に搬送されながら、該ラップシート 14の、ウェブ 12の両側縁より外方に延出した部分 14a, 14a力それぞれ、ガイド 71によってウェブ 12の上面側に折り返される。この折り返しにより、ウェブ 12の上面側もラップシート 14で被覆され、その結果、ウェブ 1 2の上下両面がラップシート 14により被覆された状態となる。

[0064] 長繊維切断機構 8は、両面をラップシートで被覆された長繊維のウェブ 12 (以下、ポリマーが散布された長繊維のウェブ 12及び該ウェブを被覆するラップシート 14からなる複合体を吸収体連続体 100ともヽぅ）を挟んで厚み方向に加圧圧縮する一対のロール 80, 81を備えている。

一方のロール 80は、軸長方向の中央の所定幅の部分の外周面 80Mが、ゴム、シリコン等の弾性素材力なり、軸長方向における該中央領域の両側に位置する部分の外周面 80Sがスチール等の金属等の硬質素材 (非弾性素材)からなる。ロール 80における、弾性素材からなる外周面 80Mの、ウェブ 12に直交する方向の幅は、ポリマ一供給口の同方向の幅と略同じである。

長繊維切断機構 8より下流には、吸収体連続体の切断機構 5を備えている。吸収体連続体の切断機構 5は、軸長方向に延びる切断刃 51aを備えたカッターロール 51とアンビルロール 52とを備え、吸収体連続体 100を、吸収性物品に組み込まれる個々の吸収体の長さに切断する。

[0065] 上述した製造装置を使用して吸収体 10を製造するには、図 4に示すように、開繊機構 2によって、原反から帯状のトウ 12aを連続的に引き出し、開繊機 21〜23の圧搾空気によるトウ 12aの幅の拡幅及びプレテンショユングロール 25とブルミンダロール 2 6の周速度差によるトウ 12aの延伸によって、該トウ 12aを開繊し、長繊維力なるゥエブ 12を得る。

[0066] そして、得られたウェブ 12を、フィードロール 31を介して、バキュームコンベア 32上に供給されたラップシート 14上に供給する。

そして、ウェブ 12を、ノキュームコンベア 32によって、ラップシート 14と共に搬送しながら、そのウェブ 12に対して、吸収性ポリマー供給機構 6により吸収性ポリマー 13 を散布する。

[0067] 本実施形態においては、吸収性ポリマー 13を、ウェブ 12の幅方向中央の所定幅の領域のみに散布している。また、吸収性ポリマー 13を、ウェブ 12の長手方向に連続的に散布している。吸収性ポリマー 13の散布量は、後述する長繊維の切断において、長繊維が良好に切断されるようにする観点から、ウェブ 12の坪量と同等以上であることが好ましぐより好ましくは 2倍以上、更に好ましくは 3倍以上である。例えば、ウェブ 12の坪量が 30gZm²であった場合、吸収性ポリマー 13の散布量は、 30〜 400g/m²、特に 60〜300g/m²とすること力好ましヽ。

[0068] 本実施形態においては、トウ 12aを開繊して得たウェブ 12を、トウ 12aを開繊させた際の最大伸長状態よりも収縮させた状態で、ラップシート 14上に積層している。より具体的には、ブルミンダロール 26の周速度 V2をプレテンショユングロール 25の周速度 VIよりも速くして、トウ 12aを開繊させる一方、ブルミンダロール 26の周速度 V2よりも、ラップシート 14の搬送速度 V4 (バキュームコンベア 32の無端ベルト 320の搬送速度に同じ）を遅くすることによって、バキュームコンベア 32上でのウェブ 12の張力を緩めて捲縮性を発現させている。これにより、上述した長繊維及び短繊維の好ましい捲縮率を効率よく発現させることができる。本実施形態において、トウ 12aを開繊させる際の最大伸長状態は、プレテンショユングロール 25とブルミンダロール 26との間の伸長状態である。

[0069] 本実施形態においては、ラップシート 14として、ウェブ 12の上下両面を被覆するに充分な幅を有するラップシート 14を用いている。ラップシート 14は、図 4に示すように、吸収性ポリマー 13がウェブ 12に供給された後、該ウェブ 12の両側縁より延出した部分 14a, 14aが、折り返し機構 7によって該ウェブ 12の上面側に折り返され該上面側もラップシートによって被覆される。ラップシート 14としては、従来、吸収性コアを包み込むときに用いられている各種の材料を特に制限なく用いることができる。

[0070] 次いで、吸収体連続体 100に対して、上述した長繊維切断機構 8による加圧圧縮及びそれによる長繊維の切断が行われる。この加圧圧縮及びそれによる長繊維の切断は、吸収体連続体 100を、一対のロール 80, 81に揷通し、ウェブ 12における、吸収性ポリマー 13を散布した範囲の全域又は一部を厚み方向に加圧して行う。

長繊維の切断は、吸収性ポリマー 13が散布されている範囲であって、しかも一方のロール 80の弾性素材からなる外周面 80Mと、他方のロール 81の硬質素材からなる外周面との間に挟まれて加圧された部分に生じる。この長繊維の切断は、図 5に示すように、長繊維 121が、塊状の吸収性ポリマー 13に押し当てられることにより生じるそして、ウェブ 12の一部における長繊維が切断された吸収体連続体 100は、吸収体連続体の切断機構 5によって、それが組み込まれる吸収性物品の種類や寸法等に応じた所望の寸法に切断されて、吸収体 10とされる。

本実施形態の製造方法によれば、このようにして、上述した形態の吸収体 10を効率よく連続生産することができる。

[0071] 本発明における吸収体が組み込まれる吸収性物品としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー（おりものシート）、失禁パッド等が挙げられる。吸収性物品は、一般には、液透過性の表面シート、液不透過性又は撥水性の裏面シート、及びこれらの両シート間に介在された吸収体を具備している。

[0072] 本実施形態の吸収体 10の製造方法によれば、塊状の吸収性ポリマーを散布する範囲と、加圧圧縮により長繊維を切断する範囲とを適宜に調節することで、所望の部位にスポット吸収性に優れた領域を有する吸収体を効率よく製造することができる。 [0073] 上述した吸収体の製造法では、長繊維のウェブと吸収性ポリマーを複合ィ匕した後に、圧縮ロールによって長繊維を切断した力予め切断した繊維上に吸収性ポリマ一を散布し複合ィ匕しても同様の効果が得られる。繊維の切断方法は例えば多数のスリットが刻まれた複数のロールにかみこませて切断する方法や、カッター刃による方法、その他、水流やレーザーを使うなど、公知の方法を使うことができる。長繊維は捲縮を有するため、一部の繊維が切断されていても互いの繊維が絡み合い、コンベア等に乗せて搬送することも可能である。

[0074] 図 6 (a)〜図 6 (e)は、本発明の他の実施形態の吸収体を模式的に示す図である。

図 6 (a)〜図 6 (e)においては、右下がりの実線の斜線を付した領域 RA力吸収性ポリマーを散布した範囲（吸収性ポリマーが分布する範囲に同じ)であり、左下がりの点線の斜線を付した領域 RBが、ウェブ 12を加圧圧縮して、長繊維由来の短繊維を生じさせた範囲である。

[0075] 図 6 (a)に示す吸収体は、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAに短繊維が生じてヽる範囲 RBが含まれている。具体的には、吸収体の長手方向及び幅方向の何れの方向にお、ても、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAに比べて短繊維が生じて、る範囲 RBが狭い。

図 6 (a)に示す吸収体は、上述した吸収体の製造方法において、上述したロール 8 0として、外周面の周方向に、弾性素材からなる切断部と金属等の硬質素材 (非弾性素材)からなる非切断部とが交互に形成されており且つ該切断部のウェブ 12に直交する方向の幅がポリマー供給口の同方向の幅より狭いロールを用いることにより製造することができる。この場合、ロール 80の弾性素材カゝらなる切断部とロール 81の硬質素材力なる外周面との間で加圧圧縮された箇所の長繊維が切断される。金属からなる非切断部に代えて、切断部間に凹部を形成し、該凹部を、長繊維を切断させな V、非切断部とすることもできる。

[0076] 図 6 (b)に示す吸収体も、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAに短繊維が生じている範囲 RBが含まれている。具体的には、吸収体の幅方向においては、吸収性ポリマ一が分布する範囲 RAより短繊維が生じている範囲 RBの幅が狭ぐ吸収体の長手方向にお、ては、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAと短繊維が生じて、る範囲 RBの長さが同じである。

図 6 (b)に示す吸収体は、上述した吸収体の製造方法において、上述したロール 8 0として、弾性素材力もなる外周面 80Mのウェブ 12に直交する方向の幅力ポリマー供給口の同方向の幅より狭いロールを用いることにより製造することができる。

[0077] 図 6 (c)に示す吸収体は、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAと短繊維が生じてヽる範囲 RBとが一致している。図 6 (c)に示す吸収体は、上述した吸収体の製造方法において、吸収性ポリマーを間欠的に散布すると共に、上記ロール 80として、外周面の周方向に、弾性素材からなる切断部と、硬質素材 (非弾性素材)からなる非切断部又は凹部である非切断部とが交互に形成されており且つ該切断部のウェブ 12に直交する方向の幅がポリマー供給口の同方向の幅と同じロールを用いることにより製造することができる。

[0078] 図 6 (d)及び図 6 (e)に示す各吸収体は、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAよりも短繊維が生じている範囲 RBが狭い。図 6 (d)示す吸収体は、上述した吸収体の製造方法において、吸収性ポリマーをウェブ全面に散布すると共に、上記ロール 80として、外周面の周方向に、弾性素材からなる切断部と、硬質素材 (非弾性素材)からなる非切断部又は凹部である非切断部とが交互に形成されており且つ該切断部のウェブ 1 2に直交する方向の幅がポリマー供給口の同方向の幅と同じロールを用いることにより製造することができる。図 6 (e)に示す吸収体は、上述した吸収体の製造方法において、吸収性ポリマーをウェブ全面に散布すると共に、上記ロール 80として、外周面の周方向に、弾性素材力なる切断部が連続的に形成されており且つ該切断部のゥエブ 12に直交する方向の幅がポリマー供給口の同方向の幅と同じロールを用いることにより製造することができる。尚、図 6 (d)と図 6 (e)においては、長繊維は範囲 RB で示された以外の領域に存在する。

[0079] 本発明の吸収体は、例えば、図 6 (a)、図 6 (c)及び図 6 (d)に示す各吸収体のように、吸収体の長手方向の前後端部それぞれに長繊維力なる部分を有する一方、それらの間に長繊維由来の多数の短繊維が存在する部分を有しているものであっても良い。その場合、図 6 (a)、図 6 (c)及び図 6 (d)に示す吸収体のように、吸収体の左右両側部にも長繊維カゝらなる部分を有し、全体として、長繊維カゝらなる部分が、短繊維が生じて、る範囲を囲んで、ることが好まし、が、吸収体の左右両側部に長繊維力もなる部分を有しな、ものであっても良、。

図 6 (a)〜図 6 (e)に示す吸収体においても、短繊維が生じている範囲 RBが優れたスポット吸収性を示すので、該範囲 RBを、着用者の液排泄部に対向する部位に位置するようにして、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に組み込んで使用することにより、液排泄部力排泄された液 (尿や経血等）が、吸収体 10の狭い範囲からスムーズに吸収され、その部分に存在する吸収性ポリマーに安定的に保持される。また、多量の液が供給されたり、多量の液が吸収体に吸収されたりした場合に、液が吸収体の長手方向両側部に達すると、吸収体の長手方向に配向している長繊維により、液は吸収体の長手方向（着用者の前後方向）に良好に拡散して吸収体の広い範囲が有効に利用される一方、吸収体の幅方向への拡散は抑制される。

[0080] 図 7は、本発明の更に他の実施形態の吸収体を示す図である。

図 7に示す吸収体 10Aにおいては、吸収体の厚み方向の一部、即ち上下両面の内の一方の面側に塊状の吸収性ポリマー 13が偏在している。そして、ウェブ 12の平面方向における、吸収性ポリマー 13が分布する範囲の略全域に、長繊維が切断されて多数の短繊維 122が生じている。

吸収体 10Aは、該吸収体 10Aの幅の略 2倍の幅を有する帯状の長繊維ウェブの幅方向の中央領域に吸収性ポリマー 13を散布し、該中央領域を、弾性材料と金属との間に挟んで加圧圧縮して該中央領域の長繊維を切断して短繊維 122とした後、該中央領域の両外方に位置する部分それぞれを、該中央領域上に折り返して積層させること〖こより得られる。

吸収体 10Aは、上下両面の内の塊状の吸収性ポリマー 13が偏在している面側力着用者の肌側に位置するようにして、吸収性物品に組み込むことが好ましい。

[0081] 図 8〜図 10は、本発明の更に他の実施形態である吸収体 104を、パンツ型の使い捨ておむつ 101に組み込んだ状態を示す図である。この使い捨ておむつ 101は、本発明の吸収性物品の一実施形態である。

使い捨ておむつ 101は、液透過性の表面シート 102、液不透過性又は撥水性の裏面シート 103及び両シート 102, 103間に位置する液保持性の吸収体 104を有する吸収性本体 105と、該吸収性本体 105の外側 (非肌当接面側）に位置して該吸収性本体 105を接合固定している外装体 110とを具備する。外装体 110は、腹側部 Aに位置する部分の両側縁部と背側部 Bに位置する部分の両側縁部とが接合されて、ゥェスト開口部及び一対のレッダ開口部を有するパンツ型の形態をなしている。図 8は

、その接合部を剥離しておむつを平面状に展開し且つ各部の弾性部材を伸長させた状態を示している。

外装体 110は、 2枚のシート 111, 112と、これら 2枚のシート間に固定された各部の弾性部材とカもなる。使い捨ておむつ 101においては、図 8に示すように、 2枚のシ -M i l, 112間〖こ、ウェスト開口部の周縁部にウェストギャザーを形成するウェスト部弾性部材 171 ,レッダ開口部の周縁部にレッダギャザーを形成するレッダ部弾性部材 181,及びウェスト開口部の周縁端から下方に 20mm離間した位置力もレッダ開口部の上端までの領域である胴回り部 Dに左右に分割された状態の胴回りギヤザ一を形成する胴回り弾性部材 191がそれぞれ伸張状態で固定されている。各弾性部材 71、 81、 91はホットメルト型接着剤等の接合手段により接合されている。シート 11 1は、おむつ前後方向において、シート 112の前後端縁から延出した延出部を有し、それらの延出部はそれぞれ、外装体 110のシート 112上に吸収性本体 105が配置された後、該吸収性本体 105の前後端を覆うように該吸収性本体 105側に折り返されて接着されている。

本実施形態の吸収体 104は、図 8〜図 10に示すように、吸収体 104の非肌当接面側を構成する第 1吸収コア 141と該吸収体 104の肌当接面側を構成する第 2吸収コァ 142とを具備してなる。第 1吸収コア 141は、第 2吸収コア 142の非肌当接面側に配されている。

本実施形態の吸収体 104においては、第 2吸収コア 142中に、長繊維のウェブと該ウェブ中に含まれる塊状の粒子とが含まれており、該ウェブの平面方向における該粒子が分布する範囲の少なくとも一部に、該長繊維が切断されて多数の短繊維が生じている。

尚、第 2吸収コア 142は、平面視矩形状であり、吸収体 104を含む吸収性本体 105 の長手方向の略全長に亘る長さ及び該吸収性本体 105の幅より若干狭い幅を有している。

[0083] 第 1吸収コア 141は、平面視したときの概略形状はほぼ矩形状であるが、おむつ 10 1の股下部 Cに配される部分の左右に、吸収体 104の立体形状への変形を容易とする欠落部 144, 144を有している。吸収体 104の立体形状への変形には、吸収体 10 4がおむつ幅方向の断面 (例えば図 10に示す断面）において凹状をなすように変形する幅方向の変形、吸収体 104がおむつ長手方向の断面において凹状をなすように変形する縦方向の変形、及びこれら両方向の変形が組み合わされた複合型の変形が代表例である。

本実施形態における欠落部 144は、図 8及び図 10に示すように、股下部 Cにおける吸収体 104の側縁部 143から離間した部位に、該吸収体 104の長手方向に沿つて延びるように形成されて、る。

股下部 Cに形成された欠落部 144の形成部位に関し、吸収体 104の側縁部 143から離間しているとは、少なくとも、おむつ長手方向中央位置において離間していることを意味する。おむつ長手方向中央位置とは、展開且つ伸長状態としたおむつの長手方向の全長を 2等分する位置であり、図 8中の III III線の位置である。

[0084] 第 1吸収コア 141における欠落部 144は、その長手方向の両端 144a, 144bが、図 8に示すように、何れも吸収体 104の側縁部 143に開口している。そのため、第 1吸収コア 141は、複数に分割されている。即ち、股下部 Cにおいて、吸収体 104の幅方向中央に位置する中央片 141Mと、股下部 Cにおいて、該中央片 141Mの両側に位置する左右の側部片 141S, 141Sとに分割されている。吸収コアが欠落部を有するという場合の欠落部には、本実施形態の欠落部 144のように、複数の分割片間に生じた隙間も含まれる。

[0085] 本実施形態の吸収体 104においては、おむつ 101の排泄部対向部である、おむつ 101の股下部 Cにおける幅方向中央部分における第 2吸収コア 142に、長繊維由来の短繊維 122が多数生じている。より具体的には、第 1吸収コア 141における左右の欠落部 144, 144間に位置する部分（中央片 141M力もなる部分）と重なっている部分に、長繊維由来の短繊維が生じている。排泄部対向部のスポット吸収性を高めることで、おむつ 101の漏れ防止性が向上し、また、おむつのベたつきを低減することができる。他方、長繊維のウェブにおける、側部片 141S, 141Sと重なっている部分においては、ウェブを構成する長繊維 121が長繊維の形態を維持しており、おむつ幅方向への液の拡散が抑制されて横漏れ防止性が向上している。

[0086] また、別の実施形態においては、第 1吸収コア 141における左右の欠落部 144, 1 44間に位置する部分（中央片 141M力もなる部分）と重なっている部分、ならびに側部片 141S, 141Sと重なっている部分に長繊維由来の短繊維が生じている。一方、左右の欠落部 144, 144に重なる部分においては、ウェブを構成する長繊維 121が長繊維の形態を維持する形態をとつた場合においても、上記おむっと同様の効果を発現することができる。

[0087] 本実施形態における第 1吸収コア 141は、図 9及び図 10に示すように、第 2吸収コァ 142の非肌当接面側に重ねて配されており、第 1吸収コア 41の欠落部 144, 144 は、何れも第 2吸収コア 142下に位置している。吸収体の肌当接面側とは、吸収体の両面のうち、着用時に着用者の肌側に向けられる面側であり、吸収体の非肌当接面側とは、吸収体の両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面側である。

[0088] 本実施形態における吸収体 104は、第 1吸収コア 141が欠落部 144を有することにより、該吸収体の立体形状への変形性が向上しており、図 10に示すように、吸収体 1 04の両側部、具体的には、第 1吸収コア 141の中央片 141Mの両側に位置する部分が、おむつ着用時に、着用者の肌側に向けて容易に起立する。

[0089] 吸収体 104の両側部を良好に起立させ、排尿部を包み込む理想的な立体形状を形成させる観点及び吸収体 104の幅方向中央に位置する中央片 141Mの作用により股間部における吸収体のよれを防止する観点から、おむつ幅方向における、吸収体の側縁部 143と欠落部 144 (欠落部のおむつ幅方向中央寄り端部の位置）との間の距離 W3 (図 8参照）は、吸収体 104の幅 W (図 8参照）の 10〜40%であることが好ましぐ 20〜30%であることが好ましい。左右の欠落部 144間の幅 W4 (図 8参照）は、 20〜120mm、特に 40〜： L OOmm力 ^好まし!/ヽ。

欠落部 144の幅（おむつ幅方向の寸法）は、 3〜20mm、特に 5〜15mmが好ましい。また、欠落部 144のおむつ長手方向の長さ（本実施形態においては側部片 141 Sのおむつ長手方向の長さと同じ）は、幼児用のおむつにおいては、 10〜35cm、特に 15〜30cm力好ましく、成人用のおむつにおヽて ίま、 15〜55cm、特に 20〜50c mが好ましい。

[0090] 第 1吸収コア 141と第 2吸収コア 142のおむつ幅方向における曲げ剛性は、第 1吸収コア 41よりも第 2吸収コア 142の方が小さ、。

第 2吸収コア 142は、おむつ幅方向の曲げ剛性が、第 1吸収コア 141よりも、 10〜5 Og、特に 20〜40g小さいことが好ましい。また、第 2吸収コア 142は、おむつ幅方向の曲げ剛性が、 50g以下、特に 40g以下であることが好ましぐ第 1吸収コア (第 1吸収コア） F41は、おむつ幅方向の曲げ剛性が 30〜80g、特に 40〜70gであること力 S 好ましい。

第 1吸収コア及び第 2吸収コアのおむつ幅方向の曲げ剛性は、以下のようにして測定することができる。

[0091] <おむつ幅方向の曲げ剛性の測定方法 >

曲げ剛性値はハンドルォ 'メーターにより測定することができる。ハンドルォ 'メータ一による測定方法は日本工業規格「JIS L— 1096 (—般織物試験方法)」に準じる。幅 30mm溝を刻んだ支持台上に、長手方向に 150mm、幅方向に 100mmに切断した吸収体を、溝と直行する方向に配置する。吸収体の中央を厚み 2mmのブレードで押し、吸収体が 8mm押し込まれる時の抵抗値 (g)をロードセルにて測定する。本発明で用いた装置は、大栄科学精器製作所製、風合い試験機 (ハンドルォ 'メーター法) HOM— 2型である。 3点の平均値を測定値とする。

[0092] 尚、本実施形態における吸収体 104は、全体として、おむつ前後方向に縦長の矩形状の平面視形状を有している。また、吸収体 104は、その全体が、ティッシュぺーパーや透水性の不織布力なる透水性のラップシート（図示略)で被覆された状態で、表面シート 102と裏面シート 103との間に固定されている。

また、本実施形態に係るおむつ 101における表面シート 102は、吸収体 104の両側縁部よりも延出する部分が、吸収体 104の非肌当接面に巻き下げられており、吸収体の非肌当接面側において、裏面シート 103に図示しない接着剤等により固定されている。第 1吸収コア 141及び第 2吸収コア 142は、そのそれぞれが各々ラップシートで被覆されていても良い。第 1吸収コア 141と第 2吸収コア 142との間は接着剤等により部分的に接着されてヽても良、し、接着されて、なくても良、。

[0093] 使い捨ておむつ 101における、吸収性本体 105の長手方向の両側それぞれには、おむつ長手方向へ延びるように防漏カフ 106が設けられて、る。

防漏カフ 106は、図 9及び図 10に示すように、防漏カフ形成用シート 160、及び該防漏カフ形成用シート 160に伸張状態で固定された弾性部材 161によって形成されている。

[0094] 防漏カフ形成用シート 160は、吸収性本体 105の両側縁部 105cを覆うように配されていることが好ましい。ここで、吸収性本体 105の両側縁部を覆うようにとは、股下部に起立性を有する防漏カフを形成でき、該防漏カフの存在によって、吸収性本体の側縁部が装着者の肌に直接接触しに《なっていることをいう。

より具体的には、防漏カフ形成用シート 160は、展開且つ伸張状態（図 8参照)のおむつ 101における腹側部 A及び背側部 B (好ましくは更に股下部 C)にお、て、おむつの吸収性本体 105の肌当接面側 105aから非肌当接面側 105bに亘るように配されていることが好ましい。また、防漏カフ形成用シート 160は、腹側部 A及び背側部 B それぞれにおいて、吸収性本体 105の肌当接面側 105bに固定されていることが好ましい。このような構成により、防漏カフが吸収性本体の両側部を包み込み易くなつて防漏性が向上する。肌当接面側 105aとは、吸収性本体 105の両面のうち、着用時に着用者の肌側に向けられる面側であり、吸収性本体 105の非肌当接面側 105b とは、吸収性本体 105の両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面側である。

[0095] 防漏カフ 106は、図 10に示すように、少なくとも股下部 Cにおいて起立可能である。

防漏カフ 106の自由端 162近傍には、複数本の弾性部材 161が自由端 162に沿つて固定されている。防漏カフ形成用シート 160は、腹側部 A及び背側部 Bそれぞれにおいて、 2ケ所の折り曲げ部 163、 164で折り曲げられて三つ折り状態で、吸収性本体 105の肌当接面側の面上に公知の接合手段 (ヒートシール、接着剤等）により固定されている。 [0096] 使い捨ておむつ 101においては、防漏カフ形成用シート 160として、所定幅の帯状の撥水性シート一枚を、その長手方向に沿う折り曲げ線で二つ折りして、相対向する層間をホットメルト型接着剤又は部分的な熱又は超音波シール等で接合した 2層構造のシートを用いている。弾性部材 161は、この 2層構造シートの層間に伸張状態で固定されている。

[0097] 股下部 Cにおける吸収性本体 105は、図 10に示すように、該吸収性本体 105幅方向の両側縁部 105cよりもおむつ幅方向に対して内側の部位に、防漏カフ 106の固定端を形成する、防漏カフ形成用シート 160との固定部 167を有する。固定部 167 は、ヒートシール、高周波シール、超音波シール、ホットメルト型の接着剤等の公知の接合手段により、防漏カフ形成用シート 160と巻き下げられた表面シート 102の延出部とを接合して形成されて、る。

[0098] また、吸収性本体 105における、固定部 167よりもおむつ幅方向外側の部位に、該吸収性本体の側部立ち上げ用の弾性部材 166が伸張状態で配されている。

弾性部材 166は、吸収性本体 105の両側縁部に、各側縁部に沿って且つ腹側部 Aと背側部 Bとの間に亘るように配されている。本実施形態に係る使い捨ておむつ 10 1における弾性部材 166は、吸収性本体 105の両側縁部に配されている力固定部 167よりも外側であれば、配設部位は特に制限されず、吸収体 104とその肌当接面側に位置する表面シート 102との間、吸収体 104と裏面シート 103との間、吸収体 10 4のラップシート（図示略）内部等に配することもできる。これらの 2力所以上に配することもできる。但し、吸収性本体 105の両側縁部又はその近傍に配することが好ましい。

固定部 167は、吸収性本体 105の両側縁部 105cから 5〜50mm、特に 10〜30m m程度、おむつ幅方向内側に入り込んだ部位に存在することが好ま、。

[0099] 図 10に示すように、おむつ 101の股下部 Cの幅方向において、防漏カフ 106の固定端の位置 P1は、欠落部 144の位置 (欠落部 144のおむつ幅方向中央寄り端部の位置) P2と略一致していることが好ましい。防漏カフ 106の固定端は、防漏カフ 106 の自由端とは反対側に存する、吸収性本体 105と防漏カフ形成シート 160とが接合されている箇所である。位置 P1と P2とが略一致していることによって、吸収性本体 5 の両側部の立ち上がり性が一層向上し、吸収体本体は排尿部を包み込む理想的な立体形状をより形成し易くなることから漏れ防止性能が一層向上する。

位置 P1と P2とが略一致しているという表現には、位置 P1と位置 P2とが完全に一致している場合の他、製造時の精度誤差も考慮し、両位置 PI, P2間の距離 L (図 10参照）が 10mm以内である場合も含まれる。

上述した吸収体 104の側縁部 141と欠落部 144との間の距離 W4、吸収体の幅 W 、左右の欠落部 144間の幅 W3、欠落部の幅、固定部 167の吸収性本体 105の両側縁部 105cからの距離、前記位置 PI, P2間の距離の距離等の好ましい数値範囲は、おむつの長手方向中央位置において、測定するものとする。

[0100] 本実施形態に係る使い捨ておむつ 101によれば、吸収体 104の両側部が容易に屈曲して起立することにカ卩えて、弾性部材 166の存在及び吸収性本体 105と防漏力フ形成シート 160との固定部が特定の位置にあること等によって、図 10に示すように、吸収体 104の起立した両側部ないし起立した吸収性本体の両側部間に、肌当接面側に向けて凹状のポケット構造が形成される。そのポケット構造は、排泄物の漏れだしが生じにくぐまた、多量の尿が短時間にまとまって排泄されたり、吸収されにくい水状便や軟便等が排泄された場合等にも、その凹状のポケット構造から排泄物が漏れだし難い。また、凹状のポケットから漏れ出した場合であっても、吸収性本体 105 の側縁部を覆う防漏カフ 106が存在するため、おむつからの漏れだしが阻止される。即ち、排泄物が、股下部において起立した吸収性本体の側縁部を超えてしまった場合でも、この防漏カフがその外側に位置して、それ以上の排泄物の漏れを防止することができるので漏れ性能に優れている。また、防漏カフ 106によって、吸収性本体の側縁部が着用時に装着者の肌に直接接触しに《なっているため、装着時の違和感を防止することもできる。

[0101] また、股下部 Cは、装着者の動き等によって左右力もの圧迫を特に受け易い部分であるため、当該部分において装着者の動きによって左右から加わった圧迫力が、吸収体 104の両側部が起立することにより緩和されるため、吸収体 104のパッドスタピリティ (ョレ防止効果など)も向上させることができる。

更に、装着者が脚を広げる動きや上半身を捩る動きなどにより欠落部 144が開き、第 1吸収体 141の幅方向中央に位置する中央片 141Mと吸収体の側縁部とが離間するような場合において、第 1吸収コア 141の欠落部 44が低剛性の第 2吸収コア 14 2と重なっていることにより、第 1吸収コア 141の中央片 141Mと側縁部の間に生じた隙間を第 2吸収コア 142が覆い、この隙間より排泄物が漏れ出ることを防止する。

[0102] また、本実施形態に係る使い捨ておむつ 101によれば、横漏れ防止性能を飛躍的に向上させることができるため、防漏性能を向上させ、或いは低下を抑制しつつ、吸収性本体の幅や股下部の幅を狭くしてフィット性の向上を図ることができる。このような効果は、股下部 Cにおける防漏カフ 106が、着用者の肌に向力つて大きく起立し、充分な高さを確保することができると共に、潰れても実質的な液吸収面を狭くしにくいことと相俟って一層確実に奏される。

また、第 2吸収コアに含まれる繊維が連続である場合に比べて、繊維同士の引きつれがないので、吸収体両側領域が立ち上がりやすくなるとともに、吸収体中央部にスポット吸収性が付与できるので、横モレ防止性がよりいつそう向上する。そのため、第 2吸収コアに含まれる短繊維や、該短繊維を生じさせるために散布する塊状の粒子は、幅方向中央部に偏寄して存在することが好ましい。

[0103] 股下部の幅を狭くした使い捨ておむっとしては、例えば、以下に示す条件を満たす使、捨ておむつを特に好ま、例として例示できる。吸収体 104の幅；背側部 B及び腹側部 Aそれぞれにおける最大幅が 60〜140mm、特に 80〜120mm、股下部こおける最大幅が 50〜140mm、特〖こ 70〜120mm。図 9及び図 10中の符号 109は、吸収性本体 105と外装体 110とを接合する接着剤である。

[0104] 本実施形態で用いた第 1吸収コア 141は、おむつ幅方向における液の拡散速度が、おむつ長手方向における液の拡散速度よりも速いことが、おむつ前端部にまで液が到達するまでに時間が力かり前漏れ防止性能が向上するとの点から好ましい。特定方向の液の拡散速度を高めるには、方向性のある溝などをエンボス加工等により形成することもできる力構成繊維が当該方向に配向しているものを用いることが好ましい。液の拡散速度がおむつ幅方向とおむつ長手方向の何れが高いかは、例えば、各方向に長い試験片を切り出し、それぞれのそのクレム吸水高さを測定して比較すること〖こより半 IJ断できる。 [0105] 図 13〜17は、本発明の更に他の実施形態である吸収体を示す図である。図 13〜図 17に示す各吸収体 10B〜： LOFは、各図において斜線を付した部分に短繊維を含んでいる。

[0106] 図 13 (a)及び図 13 (b)に示す吸収体 10Bは、短繊維を主体として構成される上部繊維層 91と、長繊維を主体として構成される下部繊維層 92とが積層された 2層構造の繊維集合体力なる吸収性コア 9と、該吸収性コア 9を被覆するラップシート（図示略）と力もなる。ラップシートは、図 1及び図 2に示す吸収体 10と同様に、吸収性コア 9 の上下面及び長手方向両側部を被覆してヽる。「長繊維と合成又は半合成繊維である短繊維を含む繊維集合体を含んでなる吸収体」は、例えば、この吸収体 10Bのように、繊維集合体力もなる吸収性コアが、このようなラップシートにより被覆されているものであっても良い。

吸収体 10Bにおける短繊維は、吸収性物品に組み込まれたときに着用者の肌側に配置される上部繊維層 91に偏在し、長繊維は、吸収性物品に組み込まれたときに着用者の肌側とは反対側に配置される下部繊維層 92に偏在している。即ち、長繊維と短繊維は、吸収体の厚み方向における異なる部位に偏在して、る。

上部吸収層 91は、その構成繊維中、繊維長 70mm未満の短繊維の割合が、重量基準で 50〜100%であることが好ましぐより好ましくは 60〜100%、更に好ましくは 80〜： LOO%である。

下部吸収層 92は、その構成繊維中、繊維長 70mm超の長繊維の割合が、重量基準で 50〜100%であることが好ましぐより好ましくは 60〜100%、更に好ましくは 80 〜 100%である。

[0107] 図 13 (a)及び図 13 (b)に示す吸収体 10Bによれば、短繊維を含む上部繊維層 91 が優れたスポット吸収性を示すので、上部繊維層 91を、着用者の液排泄部に対向する部位に位置するようにして、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に組み込むことにより、液排泄部力も排泄された液 (尿や経血等)を、狭い範囲カもスムーズに吸収体に吸収させることができる。また、多量の液が供給されたり、多量の液が吸収体に吸収されたりした場合に、液が吸収体の長手方向両側部、あるいは上部繊維層 91の非肌当接面側に配された部分に達すると、吸収体の長手方向に配向している長繊維により、液が吸収体の長手方向（着用者の前後方向）に良好に拡散して吸収体の広い範囲が有効に利用される一方、吸収体の幅方向への拡散は抑制されて優れた横漏れ防止性能が得られる。

尚、吸収体 10Bにおいては、上部繊維層 91の幅が下部繊維層 92の幅より狭くなつているが、上部繊維層 91の幅を下部繊維層 92の幅と略同じとすることもできる。

[0108] 図 14〜図 17に示す各吸収体 10C〜： LOFは、単層の繊維集合体 93からなる吸収性コア 9と、該吸収性コア 9を被覆するラップシート（図示略）と力らなる。ラップシートは、吸収性コア 9の上下面を被覆している。ラップシートは、吸収性コア 9の少なくとも短繊維が偏在して、る部分 9Sにおける上下面を被覆して、ることが好ま、。

図 14〜図 17に示す各吸収体 10C〜： LOFにおいては、各図において斜線を付した部分に短繊維が偏在しており、斜線を付して！/ヽな！、部分に長繊維が偏在して！/ヽる。即ち、長繊維と短繊維は、各吸収体の平面方向における異なる部位に偏在している

[0109] 図 14 (a)及び図 14 (b)に示す吸収体 10Cは、繊維集合体 93からなる吸収性コア 9 の長手方向の一端側に、短繊維が偏在する部分 9Sを有し、長手方向の他端側に、長繊維が偏在する部分 9Lを有する。短繊維が偏在する部分 9Sを、使い捨ておむつの股下部力も腹側部にかけて配置し、長繊維が偏在する部分 9Lをおむつの背側部に配置することで、おむつの股下部に優れたスポット吸収性が得られると共に、いわゆる前漏れ (腹側部側力もの漏れ)を効果的に防止することができる。他方、吸収体の前後を逆にして配置すれば、いわゆる後漏れを効果的に防止することができる。

[0110] 図 15 (a)及び図 15 (b)に示す吸収体 10Dは、繊維集合体 93からなる吸収性コア 9 の長手方向の一端側に、短繊維が偏在する馬蹄形状の部分 9Sを有し、長手方向の他端側に、長繊維が偏在する部分 9Lを有する。この吸収体 10Dにおいては、その長手方向における前記部分 9S側に吸収性ポリマーが偏在している。この吸収体 10 Dは、長手方向における前記部分 9L側を、着用者の後側（背側）に向けておむつに組み込むことで、腹側にぉ、て尿を優先的に吸収して吸収性ポリマーに保持させることができ、その部分の厚みが増すことによって、軟便がおしり側力も股下部を超え前側に流れるのを防止することできる。 [0111] 図 16 (a)及び図 16 (b)に示す吸収体 10Eは、繊維集合体 93からなる吸収性コア 9 の幅方向中央部に、短繊維が偏在した部分 9Sを有し、該部分 9Sの両側に、長繊維が偏在した部分 9Lを有して、る。

吸収性コア 9を構成する繊維集合体 93のうち、短繊維が偏在する部分 9Sは、その構成繊維中、繊維長 70mm未満の短繊維の割合が、重量基準で 50〜： L00%であることが好ましぐより好ましくは 60〜100%、更に好ましくは 80〜100%である。尚、この好ましい短繊維の割合 (より好ましい割合、更に好ましい割合を含む）は、図 1及び図 2に示す吸収体 10の長繊維のウェブ 12における、長繊維由来の短繊維を含む部分（中央領域 Mに位置する部分)や、上述した吸収体 IOC, 10Dにおいても同様である。

また、前記繊維集合体 93のうち、長繊維が偏在し、短繊維を実質的に含まないか又は短繊維を前記部分 9Sに比べて少量し力含まない部分 9Lは、その構成繊維中、繊維長 70mm超の長繊維の割合力重量基準で 50〜 100%であることが好ましぐより好ましくは 60〜： L00%、更に好ましくは 80〜： L00%である。

[0112] 図 16 (a)及び図 16 (b)に示す吸収体 10Eによれば、上述した図 1及び図 2に示す吸収体 10と同様の効果が奏される。また、上述した吸収体 104と同様に、その長手方向をおむつの前後方向に一致させておむつ等に組み込まれてときに、弾性部材により、その両側部を着用者の肌側に向力つて立ち上げ易ぐ横漏れ防止壁を容易に形成可能である。吸収体 10Eの両側部を起立させるための弾性部材は、該吸収体 10Eの肌当接面側、非肌当接面側、該吸収体 10Eの側縁部近傍、該吸収体 10 の内部等を挙げることができる。

[0113] 図 17 (a)〜図 17 (c)に示す吸収体 10Fは、繊維集合体 93からなる吸収性コア 9中に、短繊維が存在する部分 9Sが分散して配置されている。短繊維を含む複数の部分がランダム又は規則的パターンで存在することによって、短繊維を含む部分が素早く吸収して膨潤し、その膨潤により生じた隆起により、膨潤後も肌とおむつとの間の通気性が良好に維持される。尚、図 17 (b)に示すように、短繊維が存在する部分 9S を、単層からなる繊維集合体中に散在させるのに代えて、図 17 (c)に示すように、複数の繊維層 91, 92から吸収性コア 9を構成し、一方の層 92を、長繊維を主体とする層とし、他方の層 91を、多数の分割片カもなる短繊維主体の層とすることもできる。短繊維を含む部分 9Sは、短繊維を少量しか含まな!/ヽ部分 9Lに比べて多量の吸収性ポリマーを含む。吸収性ポリマーの存在量は重量比で、 9S/9L= 10/1〜1. 5 Zlである。あるいは短繊維を少量し力含まない部分 9Lには吸収性ポリマーが実質的に含まれていないことが好ましい。実質的にとは、 9Sに含まれる吸収性ポリマーの量に比べて、 9Lの吸収性ポリマー量が 1Z10未満の状態を言い、また、製造の過程で 9S部分に配置しょうとした吸収性ポリマーが意図せずして少量 9L部分に混ざってしまう場合を含む。

このように吸収性ポリマーを配置することにより、 9L部分に比べて 9S部分が隆起し、通気性を確保することができる。

[0114] 上記の吸収体 10B〜10Fにおける短繊維は、何れも合成又は半合成繊維である。

吸収体には、従来、パルプ繊維が汎用されている力パルプ繊維ではない短繊維を用いることで、ぬれてもへたりがなぐ繰り返しの吸収に対してもスポット吸収性が確保できる。

短繊維として用い得る合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ナイロン、アクリル繊維、ビニロン等を単独あるいは複合 (偏芯および同芯の芯鞘型、サイドバイサイド型など）で用いることができる。

短繊維として用い得る半合成繊維ととしては、レーヨン、セルローストリアセテート及び Z又はセルロースジアセテート等が挙げられる。

合成及び半合成繊維は、それぞれ、上述のもの等を一種単独で又は 2以上を組み合わせて使用することができる。また、合成又は半合成繊維という表現には、合成繊維と半合成繊維との併用も含まれる。

[0115] 吸収体 10B〜： LOFは、それぞれに含まれる短繊維が、長繊維を塊状の粒子で切断して生じさせたものでな、点で、上述した第 1実施形態の吸収体 10と異なって、る。図 13 (a)及び図 13 (b)に示す吸収体 10Bにおける上部繊維層 91は、カード機を用いて製造したカードウェブ、空気を利用したエアレイドウェブ、又は、水を利用した湿式ウェブ等力も構成することができる。カードウェブを構成する繊維は、カード機に供給する原綿の段階で既に短繊維である。他方、吸収体 10Bにおける下部繊維層 9 2は、上述した吸収体の製造方法と同様にトウを開繊して得たウェブ力構成することができる。また、スパンボンドなど溶融紡糸して得たウェブや榭脂を溶融'押し出しして成型 (必要に応じて延伸）したフィルムを引き裂いて得たウェブ力構成することちでさる。

[0116] 図 18 (a)は、吸収体 10Bの製造方法の一例を示す図である。

図 18 (a)に示す方法においては、ホッパ 94で計量した短繊維 122Aを、カード機 9 5に供給して帯状のカードウェブ 91 Aを得、該ウェブ 91 A上に非塊状の吸収性ポリマー 13を所定箇所に散布した後、該ウェブ 91Aのポリマー散布面上に、トウを開繊して得た長繊維のウェブ 12を重ね、ついで、その積層体を一対のローラー 96, 96間に挿通して厚み方向に加圧する。一対のローラー 96, 96による加圧は、前記積層体の厚みが減少して保形性が向上する一方、長繊維の切断が実質的に起こらない条件にて行う。一対のローラー 96, 96による加圧後、図示しないラップシート供給機構によりラップシートを供給して積層体を被覆し、次いで、吸収体一枚分の長さに順次切断することにより、上述した吸収体 10Bが多数連続的に得られる。

[0117] この実施形態の製造方法においては、吸収性ポリマー 13を、カードウェブ 91Aと長繊維のウェブ 12との間に挟まれるように供給しており、得られた吸収体 10Bにおいては、吸収体の厚み方向における、上部吸収層 91と下部吸収層 92との境界部付近に吸収性ポリマーが偏在して、る。

[0118] 図 18 (b)は、吸収体 10C〜： LOFの製造方法の一例を示す図である。

図 18 (b)に示す方法においては、トウを開繊して得た長繊維のウェブ 12を連続的に搬送し、該ウェブ 12を、伸長可能なシート 14aに重ねた状態で、該ウェブ 12上に非塊状の吸収性ポリマー 13を散布する。そして、吸収性ポリマー 13を散布したゥェブ 12を、一対のローラー 97, 97間に通し、該ウェブ 12内に吸収性ポリマー 13を押し込む。次いで、ウェブ 12における、ポリマーの散布面（シート 14a側とは反対側の面）とは反対側にも伸長可能なシート 14bを重ね、両シート 14a, 14bに挟まれた状態のウェブ 12を、長繊維の切断装置 98に通して、該ウェブ 12における長繊維を部分的に切断する。 [0119] 長繊維の切断装置 98は、塊状の粒子の有無に拘わらずに長繊維を切断可能なものであり、例えば、周面又は表面に切断用突起を備えた加圧部を備え、該加圧部を、シート 14a, 14bに挟んだ状態のウェブ 12に押し当てたとき、切断用突起に加圧された部分の長繊維を切断するように構成されたものを用いることができる。長繊維の切断装置 98は、伸長するシート 14a, 14bについては、該切断用突起で加圧しても、該シートに孔を開けにくいものが好まし、。

図 19は、図 16 (a)及び図 16 (b)に示す吸収体 10Eを製造する場合の、切断装置 9 8の切断用突起の配置の例を示すものであり、加圧ロールの周面 (加圧部の表面）に形成された切断用突起の配置を、該ロールを展開して示してある。図 19に示す通り、ウェブ 12の幅方向中央部に対応する部分 98Mには、切断用突起が千鳥配置に形成されており、該部分 98Mでウェブ 12を加圧することにより、該ウェブ 12の中央領域に多数の短繊維を生じさせることができる。他方、ウェブ 12の両側部に対応する部分 98S, 98Sには、切断用突起が形成されておらず、該ウェブ 12左右の側部領域には実質的に短繊維が生じない。吸収体 IOC, 10D及び 10Fは、加圧部の表面に形成する切断用突起の配置を代える以外は同様にして製造することができる。

また、本発明の吸収体の更に他の実施形態として、図 4に示す製造方法における塊状の粒子の散布パターンを変更し、図 14〜図 17に示す吸収体の各図中の斜線部の範囲に長繊維由来の短繊維を生じさせた吸収体が挙げられる。

[0120] 図 20は、本発明の更に他の実施形態の吸収体の製造する方法を示す図である。

図 20に示す方法においては、トウを開繊して得た長繊維のウェブ 12を、長繊維の切断装置 99に供給し、該切断装置 99によりその長繊維を部分的に切断して、長繊維由来の短繊維を部分的に生じさせた後、その短繊維と、切断されな力た長繊維と力もなるウェブを、一対のロール 310, 311と切断装置 99との速度比によるウェブが引っ張られ延伸させる。このとき、不完全に切断されていた繊維が切断され短繊維が形成される。次いで、そのウェブの伸長状態を、一対のロール 310, 311とバキュ一ムコンベア 32との間で緩和し、その緩和状態のウェブ上に、ノキュームコンベア 3 2で反対側から吸引しつつ、吸収性ポリマー 13を供給する。そして、図示しないラップシート供給機構によりラップシートを供給して積層体を被覆し、次いで、吸収体一枚分の長さに切断する。

切断装置 99は繊維を切断できるものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、ロータリーダイカッターや押し切り刃、あるいはレーザー等を用いることができる

[0121] この製造方法によれば、長繊維と長繊維由来の短繊維を含む繊維集合体からなり、長繊維と短繊維とが混在している吸収体が得られる。

本発明における、短繊維を含む繊維集合体中又は長繊維のウェブ中にぉヽては、構成繊維同士が結合されていないことが、吸収性ポリマーの膨潤を阻害しない点で好ましい。ここで「結合」とは、繊維同士が融着して一体ィ匕しており、吸水ポリマーの膨潤によっても結合が外れない状態を指し、繊維同士が絡み合い、ひっかかつている状態や水溶性のノインダ一によつて繊維がくっついていて、排泄によって結合がゆるみあるいははずれ、また、吸水ポリマーの膨潤によって繊維同士が移動可能である状態は「結合」に含まれな、。

[0122] 以上、本発明の好ましい実施形態について説明した力本発明は適宜変更可能である。

例えば、長繊維由来の短繊維及び吸収性ポリマーを含む長繊維のウェブは、フラッフパルプを含む積繊物と積層されていても良い。例えば、図 1, 2に示す吸収体や図 6 (a)〜図 6 (e)に示す吸収体における長繊維のウェブ 12を、フラッフパルプを含む積繊物に積層し、これらの全体をラップシートで被覆して吸収体とすることもできる。そのような吸収体は、長繊維のウェブ 12が、着用者の肌側に位置するように、吸収性物品に組み込んで使用することが好ましい。上述した吸収体 104における第 1吸収コア 141は、フラッフパルプを含む積繊物カもなる。

[0123] フラッフパルプを含む積繊物としては、フラップパルプのみの積繊物、フラッフパルプと吸収性ポリマーの粒子との混合積繊物、フラッフノルプと熱融着性合成繊維を混合し熱処理により一体化した混合積繊物、フラッフパルプ、吸収性ポリマーの粒子と熱融着性合成繊維を混合し熱処理により一体化した混合積繊物、エンボス処理を施したフラッフパルプの積繊物、エンボス処理を施したフラッフパルプと吸収性ポリマ一の粒子との混合積繊物、水散布処理を施したフラッフパルプと吸収性ポリマーの粒子との混合積繊物等を用いることができる。フラッフパルプを含む積繊物中のフラップパルプの含有量は、例えば 50〜： LOO質量％とすることができる。

[0124] また、図 7に示す吸収体 10Aのように、幅広のウェブの両側部を折り返して 2層構造のウェブとするのに代えて、一部を切断して短繊維化した長繊維のウェブと、短繊維化していない長繊維のウェブとを積層して 2層構造の吸収体とすることもできる。

[0125] 本発明の吸収性物品は、上述した吸収体 104に代えて、上述した他の吸収体を含むものであっても良い。また、パンツ型の使い捨ておむつに代えて、展開型の使い捨ておむつであっても良い。また、本発明の吸収体は、従来の使い捨ておむつ等における一般的な構成の吸収体と表面シートとの間に配し、いわゆるサブレイヤーないしセカンドシートとして使用するものであっても良い。

以上の各実施形態の吸収体を具備する本発明の吸収性物品は、相対向する一対の立体ギャザーを 2組以上有していてもよい。例えば図 11に示すように、吸収体 201 の側縁から側方に延出したレツダフラッフ 220の側縁部に、吸収性物品の長手方向に延びる弾性ストランド 221を伸長状態で配してレッダギャザー 222を形成し、更に、レッダギャザー 222と吸収体 201の側縁部との間に基端部を有する第 1立体ギヤザ一 223及び第 2立体ギャザー 224を配している。第 1立体ギャザー 223はレッダギヤザ一寄りに配されており、第 2立体ギャザー 224は吸収体寄りに配されている。

[0126] レッダフラップ 222に位置するこれら 3つのギャザーは、最も外方に位置するギヤザ一の収縮力が、それよりも内方に位置するギャザーの収縮力よりも大きくなるように各ギャザーの収縮力を調整することが好ましい。即ち、レッダギャザー 222の収縮力を L 1、第 1立体ギャザー 223の収縮力を L2、第 2立体ギャザー 224の収縮力を L3としたとき、 L1 >L2, L3となることが好ましい。特に、最も外方に位置するギャザーから内側に向力つてギャザーの収縮力が次第に小さくなることが好ましい。つまり L1 >L2> L3となることが好ましい。この理由は次の通りである。

[0127] 従来の吸収性物品の設計手法は、吸収性物品を薄くして、し力も液漏れしに《するために、ギャザーの収縮力を強くし、着用者の身体と吸収性物品との間に隙間を空けないようにするという考えに基づいていた。し力しながら、ギャザーの収縮力が強すぎると、その跡が肌につきやすくなる。また、本発明のように薄くて柔軟や吸収体を用いた場合には、ギャザーの収縮力によって吸収性物品が収縮してしまい装着しづらくなってしまう。また、ギャザーの収縮力が強すぎると、吸収性物品の装着中に、該収縮力に起因する下向きの力が吸収性物品に働き、ずれが生じやすくなる。これに対して、レッダギャザー及び相対向する一対の立体ギャザーを 2組以上用い、その収縮力を前述した関係とすることで、従来の吸収性物品に生じる前述の不都合を回避することがでさる。

[0128] ギャザーの収縮力は次の方法で測定される。吸収性物品からギャザーを切り取り測定試料とする。テンシロン ORIENTEC RTC— 1150Aを用いて測定試料のヒステリシス曲線を描かせる。このヒステリシス曲線の戻り時の応力を収縮力とする。引っ張りと戻しの速度は 300mmZminとする。試料の初期長は 100mm、最大伸びは 100m m (元の長さの 2倍）とする。ヒステリシス曲線の戻り時の応力は、試料を最大伸びから 50mm戻したときの測定値とする。測定は 5点の平均値とする。最大伸びが 100mm に満たない試料の場合は、伸びを 50mmまでとし、そのときの値を測定値とする。

[0129] 各ギャザーの収縮力を調整するためには、例えば弾性体の太さを変える、弾性体の伸長率を変える、弾性体の本数を変える等の方法を、単独で、或いは組み合わせる。また、レッダギャザー 22の伸縮域は、吸収性物品の股下部のみとすることが好ましい。

[0130] 図 11に示す吸収性物品においては、レッダギャザー及び相対向する一対の立体ギャザーが 2組用いられている。これに代えて、各実施形態の吸収体を具備する本発明の吸収性物品では、レッダギャザーは用いずに、相対向する一対の立体ギヤザ一を 2組以上用いてもよい。例えば図 12では、第 1立体ギャザー 223及び第 2立体ギャザー 224の 2組の立体ギャザーを用いている。この場合にも、吸収性物品の幅方向外方から内側に向かうに連れて立体ギャザーの収縮力を次第に小さくすることが、前述した理由と同様の理由により好ま、。

[0131] 以下、第 1及び第 2発明の実施形態について説明する。

図 22に示す吸収体 10Gは、繊維ウェブ 12を含む吸収性コア 11を具備し、該繊維ウェブ 12は、合成又は半合成繊維を主体として構成されており、合成又は半合成繊維である構成繊維を、該吸収性コア 11の全長 Lに対する繊維長の比に応じて、該比力未満である第 1の繊維群と、該比が 1Z4以上 2Z4未満である第 2の繊維群と、該比が 2Z4以上 3Z4未満である第 3の繊維群と、該比が 3Z4以上である第 4の繊維群とに区分したとき、第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維を含んでいる。図 22に示す吸収体 10の Π— II線模式断面図は、図 2と同じである。

[0132] 以下、吸収体 10Gについてより詳細に説明する。

吸収体 10Gは、吸収性コア 11と、該吸収性コア 11を被覆するラップシート 14とからなる。吸収性コア 11は、繊維ウェブ 12と該繊維ウェブ 12中に含まれる吸収性ポリマ一 13力もなる。繊維ウェブ 12は、吸収性コア 11の全長 Lに対して長さが十分に短い繊維から、該全長 Lと略同様の長さの繊維まで、多様な長さの繊維を含んでいる。また、繊維ウェブ 12は、合成又は半合成繊維を主体として構成されている。

[0133] 繊維ウェブ 12が、多様な長さの繊維を含んでいるか否かの指標として、第 1発明においては、合成又は半合成繊維である構成繊維を、該吸収性コア 11の全長 Lに対する繊維長の比に応じて、該比が 1Z4未満である第 1の繊維群と、該比が 1Z4以上 2Z4未満である第 2の繊維群と、該比が 2Z4以上 3Z4未満である第 3の繊維群と、該比が 3Z4以上である第 4の繊維群とに区分したとき、第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維を含んで、るか否かと、う基準を用いて、る。

[0134] 吸収性コア 11を構成する繊維ウェブ 12が、上記第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維を含んでいると、吸収体 10G力スポット吸収性に優れ、使用中に加わる外力によっても破壊やョレが生じにくいものとなる。繊維ウェブ 12は、第 1〜第 4の繊維群のうちの総ての繊維群の繊維を含んでいることがより好ましい。

第 1の繊維群に区分される繊維を含んで、ると、スポット吸収性の発現とそれによる吸収速度の向上を発揮することができる。

第 2の繊維群に区分される繊維を含んでいると、スポット吸収性の発現にカ卩えて、ある程度の長さの繊維同士が絡み合うことで吸収体の強度が増し、使用中に加わる外力に対する破壊を抑えることができる。

第 3の繊維群に区分される繊維を含んでいると、吸収体の平面方向で、より広範囲に液を拡散することによって吸収体が部分的に膨潤することを防ぎ、液戻りおよびそれに伴う肌トラブルの抑制、部分的な容量オーバーによるもれを防ぐことができる。第 4の繊維群に区分される繊維を含んでいると、吸収体全体の構造の安定化 (ョレの防止）や製造工程でのライン搬送性が向上するといつたメリットがある。

[0135] 〔スポット吸収性と液の拡散性とを両立する設計〕

吸収に関るスポット吸収性と拡散性の両立，共存は、以下のような考え方に基づいた設計を行うことで可能となる。まず、吸収体における液の吸収に関る力は、繊維集合体の毛管力（もちろん、高吸収性ポリマーの吸収力および高吸収性ポリマ一一高吸収性ポリマー間に働く毛管力、高吸収性ポリマ一一繊維間に働く毛管力も存在する）と外力（例えば排尿の圧力、体重など）が存在する。吸収体の吸収はこれら毛管力と外力の影響が絡み合って成されると考えられる。すなわち、排泄中は、液の吸収に関る力として排尿の圧力が加わるため、繊維を短くすることでスポット吸収性とすばやい吸収が可能となる。排泄が終わった後は、液の吸収は繊維集合体の毛管力が支配的となるため、長い繊維による拡散力の存在が上述のようなメリット（吸収体が部分的に膨潤することを防ぎ、液戻りおよびそれに伴う肌トラブルの抑制、部分的な容量オーバーによるもれを防ぐ)を発現することができる。

[0136] 繊維ウェブ 12が、上記第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維を含むか否かは、以下のようにして判断することができる。

即ち、図 22に示すように、吸収性コア 11を構成する繊維ウェブ 12上に、例えば、 2 00 X 100mm (長手方向 X幅方向）の領域 Rを設定し、該領域 R内から、ピンセットを用いて無作為に 30本の繊維を取り出す。そして、それぞれの繊維の繊維長を測定し、その測定値に基づき、それぞれの繊維を、第 1〜第 4の繊維群の何れかの繊維群に区分する。

そして、第 1〜第 4の繊維群のそれぞれについて、その繊維群に区分された繊維が複数本である場合、その繊維群の繊維を含むと判断する。そして、第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群のそれぞれについて、その繊維群の繊維を含むと判断できる場合に、「第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維を含んでいる」と判断する。また、第 1〜第 4の繊維群のうちの総ての繊維群のそれぞれについて、その繊維群の繊維を含むと判断できる場合に、「第 1〜第 4の繊維群のうちの総ての繊維群の繊維を含んで、る」と判断する。 [0137] なお、領域 Rの寸法は、吸収体の大きさや形状 (繊維ウェブが吸収体の一部に配されて、る場合は繊維ウェブの大きさや形状）によって適宜変更する。

長手方向の寸法は少なくとも吸収体 (あるいは繊維ウェブ)の全長の 1Z2を超える寸法を設定する。より具体的には、

領域 Rの長手方向の寸法 (mm) = [ (吸収体全長） X 1/2+ 10] (mm) とする。

幅方向の寸法は吸収体 (あるいは繊維ウェブ)の全長に渡って取りうる最大幅を領域 Rの長さとする。例えば、吸収体 (あるいは繊維ウェブ）が全長にわたって均一な幅を有している場合はその幅を、また、吸収体 (あるいは繊維ウェブ）が長手方向で幅が異なる（例えば、 T字状、 I字状など)場合は、もっとも狭い部分の幅を領域 Rの幅とする。吸収体 (あるいは繊維ウェブ）におけるサンプリングの位置は、装着時の股下部（身体で最も下になる部分)を領域 Rの中心となるようにする。

まれに、吸収体 (あるいは繊維ウェブ)の当該位置に欠落部が形成されている場合は、欠落部を吸収体 (あるいは繊維ウェブ)の前側に向力つて避けて、領域 Rを設定する。この場合の領域 Rの寸法設定は、欠落部を除いて上記指標に基づき設定するここで、吸収体 (あるいは繊維ウェブ)の長手方向とは、繊維ウェブを構成する最も長 V、繊維群が配向して、る方向を、繊維が特定の方向に配向してヽな、場合は吸収性物品の長手方向を指す。

もし、吸収体内で繊維長の分布に偏りがある場合、すなわち第 1〜第 4の繊維群の繊維が繊維ウェブ 12の平面方向ある、は厚み方向で全く重なって、な、場合、あるいは一部重なっている場合は、領域 R内を縦横各 3ブロック、系 9ブロックに区切り、各ブロックより 3本づっ繊維をサンプリングし、吸収体全体の繊維長分布をもって、該吸収体は第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維を含むかどうかを判断する。

[0138] スポット吸収性の観点から、特に第 1の繊維群に区分される繊維を含有していることが好ましい。また、吸収体全体の構造の安定ィ匕 (ョレの防止）や製造工程でのライン搬送性が向上するといつた観点から第 4の繊維群に区分される繊維を含有していることが好ましい。総合力の観点からは、第 1〜第 4の繊維群の全ての区分の繊維が含まれているのが好ましい。

[0139] 繊維ウェブ 12において、第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維が混在している場合、繊維ウェブ 12の構成繊維中、第 1〜第 4繊維群に区分される繊維の割合は、この順に、 0〜80%、 0〜80%、 0〜80%及び 0〜50%であることが好ましく、 10〜60%、 10〜60%、 10〜60%及び 5〜30%であること力より好まし!/、。なお、繊維ウェブ 12において、第 1〜第 4繊維の群から選択される 3以上の群の繊維が偏在して!/、る場合はこの限りではな!/、。

[0140] 吸収性コア 11の大きさは、吸収体 4の用途等に応じて適宜に決定され、特に制限されないが、吸収性コアの全長 Lは、幼児用のおむつの場合、 100〜600mm、特に 150〜500mm力 S好ましく、成人用おむつの場合、 250〜900mm、特に 300〜800 mmが好ましぐ生理用ナプキンや軽失禁パッドの場合、 50〜500mm、特に 70〜4 50mmが好ましい。

[0141] 本実施形態における繊維ウェブ 12は、後述する製造方法において説明するように、捲縮した長繊維のウェブ 12Aから得られたものである。従って、繊維ウェブから取り出した繊維には、捲縮している繊維が含まれるが、そのような繊維の繊維長を測定する際には、捲縮を含んだ状態で測定する。即ち、捲縮している繊維の繊維長は、後述する、捲縮率の測定方法における「元の繊維の長さ」と同じである。

[0142] 繊維ウェブ 12は、本実施形態におけるように、捲縮した繊維を含むことが好ましい。繊維の捲縮率 (JIS L0208)は好ましくは 10〜90%であり、より好ましくは 10〜60 %であり、更に好ましくは 10〜50%である。

繊維ウェブ 12の構成繊維が捲縮していることで、吸収体 10Gが全体的に柔軟に変形しやすいものとなり、例えば、吸収性物品に組み込まれたときの、着用者に対するフィット性や、凹形状に変形させて防漏性を向上させる場合の凹形状への変形性を高めることができる。また、繊維ウェブ 12が、捲縮した繊維を含むことで、繊維ウェブ中に吸収性ポリマー等がより安定に保持され、吸収性ポリマーが該ウェブ内を移動したり、該ウェブ力も脱落したりすることも抑制される。

上述した好まヽ捲縮率は、少なくとも第 1の繊維群の繊維が満たしてヽることが好ましぐより好ましくは第 1及び該吸収体に含まれる最も長い繊維、更に好ましくは吸収体に含まれるすべての繊維群の繊維が満たして、ることが好まし、。

[0143] 繊維の捲縮は、二次元的でも三次元的でもよ!/ヽ。また、繊維の捲縮率は、繊維を引き伸ばしたときの長さ Aと、元の繊維の長さ Bとの差の、伸ばしたときの長さ Aに対する百分率で定義され、以下の式から算出される。

捲縮率 = ( (A—B) ZA) X 100 (%)

[0144] 元の繊維の長さとは、繊維が自然状態にお!ヽて、繊維の両端部を直線で結んだ長さをいう。自然状態とは、繊維の一方の端部を水平な板に固定し、繊維の自重で下方に垂らした状態をいう。繊維を引き伸ばした時の長さとは、繊維の捲縮がなくなるまで伸ばした時の最小荷重時の長さをいう。繊維の捲縮率は前述の通りであり、捲縮数は lcm当たり 2〜25個、特に 4〜20個、とりわけ 10〜20個であることが好ましい。

[0145] 本実施形態の吸収体 10Gについて更に説明すると、吸収体 10Gは、平面視して長方形状であり、吸収性物品に組み込まれた状態においては、該吸収体の長手方向と、着用時における着用者の前後方向とがー致する。本実施形態の吸収体 10Gにおいては、繊維ウェブ 12の構成繊維力概ね、平面内の特定方向（図 22中 X方向）に配向している。

吸収性コア 11の全長 Lは、本実施形態におけるように、繊維ウェブ 12の構成繊維（特に吸収体に含まれる繊維で最も長い繊維群の繊維）が、概ね、平面内の特定方向 (図 22中 X方向）に配向している場合には、その配向方向（X方向）における長さであり、繊維ウェブ 12の構成繊維が、特定方向に配向していないような場合には、着用時における着用者の前後方向とがー致する方向における吸収性コア 11の長さである。尚、仮に、図 22の吸収体において、繊維ウェブ 12の構成繊維が X方向と直交する Y方向に配向していた場合には、吸収性コア 11の幅方向の寸法（吸収体の幅 W と略同じ)が、吸収性コア 11の全長となる。

[0146] 本実施形態における第 1〜第 4の繊維群の繊維は、何れも、合成又は半合成繊維からなる。

合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ナイロン、アクリル等が挙げられる。半合成繊維としては、レーヨン、アセテート（セルローストリアセテート及びセルロースジアセテート）、リヨセル、テンセル、キュプラ等が挙げられる。合成及び半合成繊維は、それぞれ、上述のもの等を一種単独で又は 2以上を組み合わせて使用することができる。また、合成又は半合成繊維という表現には、合成繊維と半合成繊維との併用も含まれる。

繊維ウェブが、合成又は半合成繊維を主体として構成されていることによって、従来汎用されているパルプ繊維を主体とする吸収体に対して、繊維長や繊維径、親水性の制御が広範囲で可能であり、液のこりや液戻りの少な、吸収体の設計が可能となり、あるいは湿潤時のへたりがなぐ繰り返しの吸収に対して速度の低下が少ない、湿潤時の圧縮強度が高!、ために液戻りが少な、、繊維長や繊維径の制御が可能であるため、薄型にしても壊れ難い、吸収性物品を構成する他の部材との接合が容易であるという利点がある。

[0147] 本実施形態における繊維ウェブ 12は、繊維ウェブ 12中の合成又は半合成繊維の含有率が 100%であるが、繊維ウェブ 12は、合成又は半合成繊維以外の繊維を含んでいても良い。但し、繊維ウェブ 12の構成繊維中、合成又は半合成繊維の含有率は 80〜： L00重量％、特に 90〜100%であることが好ましい。合成又は半合成繊維以外の繊維としては、パルプ繊維、コットン繊維等が挙げられる。

[0148] 繊維ウェブ 12を構成する第 1〜第 4の繊維群の繊維は、親水性の繊維であることが好ましい。親水性の繊維には、本来的に親水性を有する繊維、及び本来的には親水性を有さないが、親水化処理が施されることによって親水性が付与された繊維の双方が包含される。好ましくは本来的に親水性を有する繊維であり、より好ましくはァセテートやレーヨンからなる繊維であり、とりわけアセテートはウェブが湿潤しても嵩高性が保持されるので好ましい。アセテートとしては、セルローストリアセテート及び Z又はセルロースジアセテートを用いることが好まし、。

[0149] 本実施形態の吸収体 10Gにおける吸収性ポリマー 13は、吸収体 10Gの平面方向の一部に偏在している。具体的には、図 22及び図 2に示すように、繊維ウェブ 12の平面方向における、吸収体 10Gの幅方向中央の所定幅の領域 M (以下、中央領域 Mともいう）に位置する部分に偏在している。吸収性ポリマー 13は、前記中央領域 M に位置する部分に、略一様に分布している一方、該中央領域 Mの両外方の側部領域 S, Sに位置する部分には実質的に存在していない。

[0150] そして、吸収体 10Gの中央領域 Mにおける繊維ウェブ 12には、上述した第 1の繊維群に区分される繊維 122が略一様に分布しており、第 1の繊維群に区分される繊維 122の分布範囲と略同一の範囲に、第 2〜第 4の繊維群に区分される繊維（図示せず)も分布している。即ち、中央領域 Mに、第 1〜第 4の繊維群に区分される繊維 1 21が混在している。

第 1〜第 4の繊維群の繊維が混在していることで、スポット吸収性の発現とそれによる吸収速度の向上、吸収体強度、液の拡散性に一層優れた吸収体となる。スポット吸収性と液の拡散性の両立は、上述した〔スポット吸収性と液の拡散性とを両立する設計〕による。

尚、吸収体 10Gの側部領域 Sにおける繊維ウェブ 12は、その構成繊維のほぼ総て力吸収性コア 11の全長に亘つており、上述した第 4の繊維群に区分される繊維 12 1である。

[0151] 繊維ウェブ 12が第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維を含む態様には、例えば、第 1〜第 4の繊維群に区分される繊維の分布範囲が、繊維ウェブ 12の平面方向あるいは厚み方向にぉ、て全く重なって!/、な、場合も含まれるが、第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維の分布範囲力繊維ウェブ 12の平面方向あるいは厚み方向の少なくとも一部にぉ、て重なって!/、ることが好まし、。本実施形態においては、第 1〜第 4の繊維群の繊維の総て力中央領域 Mに分布している力中央領域 Mに、第 1〜第 3の繊維群の繊維のみを混在させることもできる。第 1〜第 3の繊維群の繊維が存在する範囲、あるいは第 1〜第 4の繊維群の繊維の総てが存在する範囲 (本実施形態にぉヽては中央領域 M)の幅 W1は、吸収体 4の全幅 W の 20〜100%であることが好ましぐ 50〜90%であることが好ましい。

[0152] 吸収性ポリマー 13としては、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収体に従来使用されている各種公知の吸収性ポリマーを用いることができる。吸収性ポリマー 13 の材料としては、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、（アクリル酸ビュルアルコール）共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、（デンプンーアクリル酸)グラフト重合体、（イソブチレン無水マレイン酸）共重合体及びそのケンィ匕物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられる。

[0153] 吸収性ポリマー 13は、上述したように、その遠心脱水法による生理食塩水の吸水量が 30gZg以上、特に 30〜50gZgであること力ポリマーの使用量の点や、液吸収後のゲル感が低下することを防止する点力も好ましい。

また、上述したように、吸収性ポリマーとして、液通過時間が 20秒以下、特に 2〜15 秒、とりわけ 4〜10秒であることがゲルブロッキングの発生及びそれに起因する吸収性能の低下を防止し、また、吸収が間に合わないことに起因する液の素抜けによるもれの防止の点から好まし!/、。

更に、上述したように、吸収性ポリマーとして、加重下での通液性の高い吸収性ポリマーを用いることがさらに好まし、。

[0154] 本実施形態の吸収体 10Gによれば、図 3を参照して説明した上記の吸収体 10の効果と同様の効果が奏される。

[0155] また、使用条件によっては、吸収体の一部あるいは複数部分に圧力がかかり、その部分で繊維が固定される。繊維が長ければ繊維の両端が固定されてしまい、吸収体 (高吸収性ポリマー）が膨潤しようとしても繊維が引きつれ、構造が固定されてしまうことにより、膨潤が阻害されてしまう。

そこで、吸収性物品に組み込まれて使用されている際に、圧力下において、高吸収性ポリマーの周りに絡みつ、た繊維の弓 Iきつれとそれに伴う高吸収性ポリマーの膨潤阻害を起こしにくいため、繊維ウェブ 12は繊維長の短い第 1または第 2の繊維群に区分される繊維を含んでヽることが好ま、。

[0156] また、吸収体のよれは、安定した性能発現を阻害し装着時の違和感につながる。よれは、吸収体が応力を受けて、応力を緩和できな力つた場合に生じる。繊維ウェブ 1 2全体が長繊維で構成されているときは、吸収体の一部に受けた応力が繊維を通して吸収体全体に及ぶため、吸収体全体に渡ってよれが生じてしまう。

そこで、繊維ウェブ 12が第 1〜第 3の繊維群の繊維を含んでいると、吸収体 10Gの使用中に該吸収体 10Gの一部に引っ張り力や圧縮力が加わったときに、その力が吸収体の全体に及ばず、よれが生じに《なる。 [0157] 尚、ラップシート 14としては、ティッシュぺーパや透水性の不織布等の透水性のシ一ト材が好ましく用いられる。

[0158] 次に、上述した吸収体 10Gの好ましい製造方法 (本発明の吸収体の製造方法の一実施形態）について、図 23を参照して説明する。本実施形態の製造方法においては、図 23に示す吸収体の製造装置を用い、上述した吸収体 10の製造方法と同様にして、吸収体 10Gを製造する。図 23に示す吸収体の製造装置及びそれを用いた吸収体 10Gの製造方法について特に説明しない点は、図 4に示す吸収体の製造装置及びそれを用いた吸収体 10の製造方法と同様である。

[0159] 本実施形態においては、トウ 12aを開繊して得た、長繊維力もなるウェブ 12Aに吸収性ポリマーを散布している。即ち、粒子として、吸収性ポリマー 13を用いている。高吸収性ポリマーは少なくとも一部に塊状のものを用いることが好ましい。塊状の吸収性ポリマーとは、水溶液重合法により重合した吸収性ポリマー含水ゲルを板状にキャストし乾燥後に粉砕したものや、逆相けん濁重合法で界面活性剤の種類や攪拌力を制御することにより不定形粒子が凝集してできたものである。これに対して、球状や複数の球状の凝集体や繊維状、鱗片状のものがある。

塊状の吸収性ポリマー（吸収性ポリマー以外の塊状の粒子も同様)の平均粒径は、 150〜600 μ m、特に 200〜500 μ mであること力子まし!/、。

[0160] 粒子としては、吸収性ポリマーの他に、例えば、セルロースパウダーや活性炭、シリ力、アルミナ他各種粘土鉱物（ゼオライト、セピオライト、ベントナイト、カンタリナイト、ヘクトライト、スメクタイト等)等の有機、無機粒子 (消臭剤や抗菌剤)を用いることもできる。無機粒子は一部金属サイトを置換したものを用いることができる。これらは凝集体として用いても良いし、別の担体と複合ィ匕して用いてもよい。これら粒子は、 2種以上を併用することもできる。凝集体あるいは担体との複合体の平均径は、 150〜600 μ m、特に 200〜500 μ mであること力子まし!/、。

[0161] 本実施形態においては、吸収性ポリマー 13を、ウェブ 12Aの幅方向中央の所定幅の領域のみに散布している。また、吸収性ポリマー 13を、ウェブ 12Aの長手方向に連続的に散布している。

吸収性ポリマー 13の力さ密度は、後述する長繊維の切断において、長繊維を様々な長さに切断して、上述した第 1〜第 3の繊維群に区分される繊維を生じさせる観点力ら、 0. 5〜0. 8g/cm³力好ましく 0. 55〜0. 7g/cm³力 ^より好まし!/ヽ。

また、吸収性ポリマー 13の粒径分布は、後述する長繊維の切断において、長繊維を様々な長さに切断して、上述した第 1〜第 3の繊維群の繊維を生じさせる観点から、平均粒径は 250〜450 μ mの範囲に存在し、かつ、 425 μ m以上の粒子の存在割合が 5〜40%であることが好ましぐさらに、前記 425 μ m以上の粒子の存在割合が 10〜35%であることが、繊維を効率的に切断し、吸収体のざらつきを抑えるためにより好ましい。粒径の大きな粒子は細密充填がされにくいため、高吸収性ポリマ一一高吸収性ポリマー同士間や高吸収性ポリマ一—ロール間に繊維が挟まれた際に、繊維が切断されやすくなる。

また、高吸収性ポリマー 13の散布は、長手方向に連続ではあるが坪量分布を持たせる方法、あるいは長手方向に不連続に散布する方法が挙げられる。長繊維を効率的に切断するためには、長繊維に対する高吸収性ポリマーの比率が少なくとも同量以上、好ましくは 2倍以上、より好ましくは 3倍以上である。そのため、連続かつ坪量分布を持たせる場合は、長手方向で、長繊維に対する高吸収性ポリマーの比率を同量未満とする領域 Aと同量以上、好ましくは 2倍以上、より好ましくは 3倍以上とする領域 Bに分けて分布させる。高吸収性ポリマーの坪量が高ければ高いほど繊維の切断の確率が上がり、より短い繊維が生じることになる。領域 Aと領域 Bの分布を制御することにより、第 1〜第 3の繊維群の繊維の存在比率、分布を制御することができる。前述のように、短い繊維、例えば第 1の繊維群の繊維を含んでいると、スポット吸収性の発現とそれによる吸収速度の向上を発揮することができる力 S、一方で液が集中してし、液戻りが増大してしまう懸念がある。そのため、第 1の繊維群の繊維の存在領域に多くの高吸収性ポリマーを分布させることによりこの問題を解決することができる。一方、より長い繊維、例えば、第 3の繊維群の繊維の存在領域では、吸収体の平面方向で、より広範囲に液を拡散する機能を担うため、高吸収性ポリマーの量を減らし、繊維の配向を利用したより拡散性を高める設計をすることが有効である。

また、塊状の高吸収性ポリマーに比べて、粒状の高吸収性ポリマーは繊維を切断しにくいため、塊状の高吸収性ポリマーと粒状の高吸収性ポリマーを混合して用いる、あるいは、塊状の高吸収性ポリマーを散布する領域と粒状の高吸収性ポリマーを散布する領域を分けることによつても、繊維長の分布を制御することができる。

[0163] 繊維の切断は高吸収性ポリマーと繊維の比率で制御できるので、同様に、高吸収性ポリマーの量が一定の場合、繊維の量を変化させることによつても繊維長分布を制御することができる。すなわち繊維量を高吸収性ポリマーに対して同量未満 (繊維が切断されやす!ヽ領域)とする領域と同量以上 (繊維が切断されにく!ヽ領域)とする領域を設定することで、一部領域の繊維が切断され、一部が切断されていない領域を設けることができる。

[0164] 相対的に短い繊維をたくさん存在させる方法には、次のような方法があげられる。

例えば、ロール表面の硬度を低く設定 (例えば、ゴムの JIS硬度を下げる。測定には例え «JIS K 6253準拠のタイプ Aデュロメータ、ァスカー A型を用いる）したり、口一ルの径を小さくして線圧を高めるなどの方法、あるいはこれらのロールを組み合わせる方法、ロールを複数回通す方法等があげられる。ロール硬度を下げることにより、繊維あるいは高吸収性ポリマーがロール面に食い込み切断が助長される。

[0165] 本実施形態においては、ラップシート 14として、ウェブ 12Aの上下両面を被覆するに充分な幅を有するラップシート 14を用いている。ラップシート 14は、図 23に示すように、吸収性ポリマー 13がウェブ 12に供給された後、該ウェブ 12の両側縁より延出した部分 14a, 14aが、折り返し機構 7によって該ウェブ 12の上面側に折り返され該上面側もラップシートによって被覆される。ラップシート 14としては、従来、吸収 ¾コアを包み込むときに用いられて、る各種の材料を特に制限なく用いることができる。

[0166] 本実施形態においても、吸収体連続体 100に対して、上述した長繊維切断機構 8 による加圧圧縮及びそれによる長繊維の切断が行われる。この加圧圧縮及びそれによる長繊維の切断は、吸収体連続体 100を、一対のロール 80, 81に揷通し、ウェブ 12Aにおける、吸収性ポリマー 13を散布した範囲の全域又は一部を厚み方向にカロ圧して行う。

長繊維の切断は、吸収性ポリマー 13が散布されている範囲であって、しかも一方のロール 80の弾性素材からなる外周面 80Mと、他方のロール 81の硬質素材からなる外周面との間に挟まれて加圧された部分に生じる。この長繊維の切断は、図 5に示すように、長繊維 121が、塊状の吸収性ポリマー 13に押し当てられることにより生じるそして、ウェブ 12Aの一部における長繊維が切断された吸収体連続体 100は、吸収体連続体の切断機構 5によって、それが組み込まれる吸収性物品の種類や寸法等に応じた所望の寸法に切断されて、吸収体 10Gとされる。

本実施形態の製造方法によれば、このようにして、上述した形態の吸収体 10Gを効率よく連続生産することができる。

[0167] 本実施形態の製造方法は、このように長繊維のウェブに塊状の吸収性ポリマー (粒子)を散布した後、該ウェブを厚み方向に加圧し、該ウェブ中の長繊維をさまざまな長さに切断している。

本発明にお、て長繊維のウェブと ¾JIS L1015の平均繊維長測定方法 (C法)で測定した長さが、吸収性コア 11の全長と同じか又はそれを超える長さの繊維力もなるウェブをいう。本発明で用いられる長繊維は一般に連続フィラメントと呼ばれるものである。また、連続フィラメントの束は一般にトウと呼ばれている。従って、本発明における長繊維とは、連続フィラメントを含む概念のものである。

本実施形態の製造方法のように、長繊維のウェブを、塊状の粒子 (塊状の吸収性ポリマー等）の存在下に加圧圧縮して長繊維を切断する観点から、繊維強度が、 3g

Zd以下であることが好ましぐ 0. 5〜2. 5gZdであることが好ましい。

[0168] 繊維強度は、以下のようにして測定する。

〔繊維強度の測定方法〕

この試料を、引張り試験機のチャックに取り付け、上下の貼り付けテープ部近傍で紙を切断し、引張り試験に供した。装置は、 ORIENTEC RTC—1150A型テンシロン引張り試験機を用いた。フルスケール 5kgのロードセルを用いて適宜測定レンジを切り替えて行った。引張り速度は、 300mmZminであった。測定は 10点行い、その平均値を測定値とした。平均値に対して 20%以上値が振れた測定値は除き、測定を追加した。

尚、長繊維の繊度は 1. 0〜： LOdtex、特に 1. 5〜8dtexであることが好ましい。

[0169] 尚、本実施形態の製造方法により得られた第 1〜第 4の繊維群の繊維は、それぞれ、長手方向両端 (切断端部）の位置が吸収体の長手方向において揃っておらず、ランダムに位置している。

また、本実施形態の製造方法により得られた第 1〜第 4の繊維群の繊維は、相互間が接合されていないが、接合させることもできる。接合させる方法としては、長繊維の切断工程後又は前に、エアスルー法等の熱風処理により繊維の交点を熱融着させる方法、ヒートエンボス加工を施す方法、各種バインダーや可塑剤を散布あるいは塗工する等が挙げられる。

繊維どうしの接合には接着剤を用いることもできる。

[0170] 次に、第 1及び Z又は第 2発明の吸収体を製造する他の方法について、図 24及び図 25を参照して説明する。

図 24に示す製造方法においては、図 23に示す実施形態と同様にして得た長繊維のウェブ 12Aに、ラップシート 14を合流させた後、第 1切断機構 308Aと第 2切断機構 308Bとにより、順次、長繊維の切断を行う。

第 1切断機構 8Aは、周面に多数の刃 382を備えたカッターロール 383と、該ロール 382の刃を周面に受けるアンビルロール 384とを備え、両ロール間に導入されたゥェブ 12Aに、長繊維が切断された、多数の第 1切断部 385を形成する（第 1切断工程）第 1切断機構 308Bは、周面に多数の刃 386を備えたカッターロール 387と、該ロール 387の刃を周面に受けるアンビルロール 388とを備え、両ロール間に導入されたウェブ 12A'に、長繊維が切断された、多数の第 2切断部 389を形成する（第 2切断工程)。

[0171] 本実施形態においては、第 1切断工程で形成する多数の第 1切断部 385と第 2切断工程で形成する多数の第 2切断部 389とで、形成パターンを異ならせている。より具体的には、図 25に示すように、第 1切断部 385は、ウェブ 12Aの幅方向に直列した複数の切断部力もなる切断部列 385Lが、ウェブ 12Aの流れ方向に一定間隔で生じるように形成されており、隣接する切断部列の切断部同士は、ウェブ 12Aの幅方向の位置が、各切断部列における切断部のピッチの半ピッチ分ずれている。第 2切断部 389は、ウェブ 12Aの長手方向に対して斜めに並んだ複数の切断部力なる切断部列 3981^、ウェブ 12Aの流れ方向に一定間隔で生じるように形成されており、隣接する切断部列の切断部同士は、第 1切断部の切断部列の切断部の半ピッチ分よりも短い距離だけ、ウェブ 12Aの幅方向の位置がずれている。

このように、切断部の形成パターンが異なる第 1及び第 2切断工程により、長繊維のウェブにおける長繊維を順次切断することで、長繊維を様々な長さに切断することができ、第 1〜第 3の繊維群の繊維を含む繊維ウェブ 12を容易に得ることができる。

[0172] そして、得られた繊維ウェブ 12に、塊状又は非塊状の吸収性ポリマー 13を散布した後、吸収性物品一枚分の長さに切断すれば、本発明の一実施形態である吸収体 ( 図示略）が得られる。尚、本実施形態においては、長繊維のウェブの切断前に、該ゥエブの片面に一枚のラップシート 14を合流させ、吸収性ポリマー 13の散布後に、更に他のラップシート（図示略)を合流させ、これら 2枚のラップシートで、繊維ウェブ 12 を被覆した後、吸収性物品一枚分の長さに切断している。

本実施形態の吸収体 10Gの製造方法によれば、繊維長や分布の制御が容易である。

[0173] 次に、本発明の吸収体の製造方法の更に他の一実施形態について、図 26及び図 27を参照して説明する。

図 26に示す製造方法においては、図 23に示す実施形態と同様にして得た長繊維のウェブ 12Aの片面側にラップシート（図示略)を合流させた後、この積層体に対して、切断機構 308Cにより、長繊維の切断処理を施す。

切断機構 38Cは、周面に多数の凸部 391を備えた押圧ロール 392と、該ロールに対向配置された周面平滑な受けロール 393とを備え、両ロール間に導入されたゥェブ 12Aを、凸部 391とロール 393の周面との間で加圧すること〖こより、その部分に位置する長繊維を切断する。

押圧 p—ノレ 392の凸咅 391ίま、図 27【こ示す Jう【こ、 Ρ一ノレ 392の周 ®【こ、ネ目互の距離がまちまちになるようにランダムに配置されている。このようにランダムに配置された切断用の凸部により、長繊維を様々な長さに切断することで、第 1〜第 3の繊維群の繊維を含む繊維ウェブ 12を容易に得ることができる。

[0174] そして、得られた繊維ウェブ 12に、塊状又は非塊状の吸収性ポリマー 13を散布した後、吸収性物品一枚分の長さに切断すれば、本発明の一実施形態である吸収体 ( 図示略）が得られる。尚、本実施形態においては、長繊維のウェブの切断前に、該ゥエブの片面に一枚のラップシート 14を合流させ、吸収性ポリマー 13の散布後に、更に他のラップシート（図示略)を合流させ、これら 2枚のラップシートで、繊維ウェブ 12 を被覆した後、吸収性物品一枚分の長さに切断している。

本実施形態の吸収体の製造方法によれば、高吸収性ポリマーの分布と繊維の分布をおのおの独立して制御することが可能となる。

[0175] 第 2発明の吸収体については、構成繊維である合成又は半合成繊維を、第 1〜第 4の繊維群に区分するときの基準が第 1発明の吸収体と異なる。即ち、第 2発明においては、第 1発明と同様にしてサンプリングした繊維ウェブの構成繊維 (合成又は半合成繊維）を、繊維長が 25mm未満である第 1の繊維群と、繊維長が 25mm以上 50 mm未満である第 2の繊維群と、繊維長が 50mm以上 100mm未満である第 3の繊維群と、繊維長が 100mm以上である第 4の繊維群とに区分する。第 2発明の吸収体は、このように区分した第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維を含んでいる。

第 2発明の実施形態としての吸収体やその製造方法としては、第 1発明の実施形態としての吸収体やその製造方法において、第 1発明における基準で区分した第 1 〜第 4の繊維群の繊維を含ませたり生じさせるのに代えて、第 2発明の基準で区分した第 1〜第 4の繊維群の繊維を含ませたり生じさせたりするものが挙げられる。第 2発明は、合成又は半合成繊維である構成繊維を第 1〜第 4の繊維群に区分の基準を代える以外は、第 1発明と同様であり、同様の点については、好ましい構成等を含めて、上述した第 1発明又はその実施形態の説明が同様に適用される。 [0176] 第 1及び第 2発明の吸収体及びそれらの製造方法は、上記の実施形態に制限されず、種々変更可能である。

例えば、上述した吸収体 10Gは、中央領域 Mにおける繊維ウェブ 12に、第 1〜第 4繊維が混在していた力吸収体 10Gの幅方向の全幅に亘る繊維ウェブ 12に、第 1 〜第 4繊維が混在して、ても良、。

また、繊維ウェブ 12を、各々のウェブが第 1〜第 4繊維のうちの少なくとも 1種類の繊維を含む複数のウェブカゝら構成することによって、厚み方向に繊維の分布を有する繊維ウェブ 12を形成することができる。

また、繊維ウェブ 12は、フラッフパルプを含む積繊物と積層されていても良い。この場合、繊維ウェブ 12とフラッフノルプを含む積繊物とは、それぞれをラップシートで包んだ状態で、それらが積層されていても良いし、繊維ウェブ 12とフラッフパルプを含む積繊物とを積層し、これらの全体をラップシートで被覆して吸収体とすることもできる。

このような吸収体は、繊維ウェブ 12が、着用者の肌側に位置するように、吸収性物品に組み込んで使用することが好ま、。

[0177] フラッフパルプを含む積繊物としては、フラップパルプのみの積繊物、フラッフパルプと吸収性ポリマーの粒子との混合積繊物、フラッフノルプと熱融着性合成繊維を混合し熱処理により一体化した混合積繊物、フラッフパルプ、吸収性ポリマーの粒子と熱融着性合成繊維を混合し熱処理により一体化した混合積繊物、エンボス処理を施したフラッフパルプの積繊物、エンボス処理を施したフラッフパルプと吸収性ポリマ一の粒子との混合積繊物、水散布処理を施したフラッフパルプと吸収性ポリマーの粒子との混合積繊物等を用いることができる。フラッフパルプを含む積繊物中のフラップパルプの含有量は、例えば 50〜： LOO質量％とすることができる。

[0178] 図 26及び図 27に示す実施形態における押圧ロール 392に代えて、図 24及び図 2 5に示す実施形態において用いたような、カッターロールであって、その刃の位置を押圧ロール 392の凸部と同様にランダムに設けたものを用いることができる。図 24及び図 25に示す実施形態におけるカッターロール及びアンビルロールに代えて、図 2 6及び図 27に示す実施形態において用いたような、押圧ロールと受けロールであつて、第 1切断工程と第 2切断工程とで、形成される切断部の形成パターンが異なるようにしたものを用いることができる。

[0179] 本発明における吸収体が組み込まれる吸収性物品としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー（おりものシート）、失禁パッド等が挙げられる。吸収性物品は、一般には、液透過性の表面シート、液不透過性又は撥水性の裏面シート、及びこれらの両シート間に介在された吸収体を具備している。

[0180] 以下第 3発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。

図 30には本発明の吸収体の一実施形態を示す部分破断斜視図が示されている。図 31は、図 30における Π— II線断面図である。図 30に示す吸収体 10Hは、図 30及び図 31に示すように、長繊維 411及び短繊維 412を含むウェブ 413と、該ウェブ 41 3中に含まれる粒子 414からなる吸収性コア 415、並びに該吸収性コア 415を被覆するラップシート 416と力もなる。つまり本実施形態の吸収体 10Hにおけるコア 415 は単層のものである。吸収体 10Hは、平面視して長方形状であり、吸収性物品に組み込まれた状態において、吸収体 10Hの長手方向と、着用時における着用者の前後方向とがー致する。

[0181] ウェブ 413に含まれる粒子 414は、本実施形態においては吸収性ポリマーの粒子である。吸収性ポリマーの粒子 414は、吸収体 10Hの平面方向の一部に偏在している。具体的には、図 30及び図 31に示すように、吸収体 10Hの平面方向における、吸収体 10Hの幅方向中央の所定幅の領域 M (以下「中央領域 M」とも、う）に偏在している。吸収性ポリマー 414は、中央領域 Mに略一様に分布している力中央領域 M の両外方の側部領域 S , Sには実質的に存在して、な、。

[0182] そして、ウェブ 413の平面方向における、吸収性ポリマー 414が分布する範囲、即ち中央領域 Mに位置する部分には短繊維 412が存在している。他方、ウェブ 413における、側部領域 S, Sに位置する部分には長繊維 411が存在している。このように、長繊維 411と短繊維 412は、吸収体 10Hの平面方向における異なる部位に偏在している。尤も、中央領域 Mに少量の長繊維 411が存在していることや、側部領域 S, Sに少量の短繊維 412が存在して!/、ることは何ら妨げられな！/、。

[0183] 中央領域 Mに存在する短繊維 412は、吸収体 10Hの平面内の一方向に配向している。側部領域 S, Sに位置する長繊維 411も、短繊維 412と同様に吸収体 10Hの平面内の一方向に配向している。長繊維 411及び短繊維 412は、その配向方向が一致している。具体的には、長繊維 411及び短繊維 412は何れも、吸収体 10Hの長手方向に配向している。

[0184] 吸収体 10Hは、図 32に示すように、短繊維が存在している中央領域 Mが、着用者の液排泄部に対向する部位 Pに位置するように、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に組み込んで使用される。したがって、吸収体 10Hの中央領域 M に存在している構成繊維が吸収体 10Hの長手方向に配向していると、中央領域 M に排泄された液は、吸収体 10Hの狭い範囲から吸収体 10H内にスムーズに吸収される。そして、吸収体 10Hに吸収された液は、その部位に偏在する吸収性ポリマー 4 14により吸収され、吸収体 10H内に安定に保持される。この観点から、吸収体 10H の中央領域 Mにおける構成繊維はその全体の配向度が 1. 2以上に設定され、好ましくは 1. 4以上に設定される。この配向度の値は、例えばステーブルファイバを原料としてカード機によって製造されたウェブ中における該ステーブルファイバの配向度よりも高いものである。特に中央領域 Mに存する短繊維 412が吸収体 10Hの長手方向に配向していると、短繊維 412による優れたスポット吸収性により、中央領域 Mに排泄された液は、吸収体 10Hの狭い範囲から吸収体 10H内に一層スムーズに吸収される。この観点から、短繊維 412はその配向度を好ましくは 1. 2以上に設定し、更に好ましくは 1. 3以上、一層好ましくは 1. 4以上に設定する。

[0185] ウェブ全体の配向度を測定する場合、配向度は KANZAKI社の Microwave mo lecular orientation analyzer MOA—2001Aを用いて測定する。測定に際しては、予め 24. 5kPaの荷重を 12時間掛けて、厚みの回復、しわ等の影響を除いた状態の吸収体を用意する。製品から吸収体を取り出す場合は、製品に前記の荷重を掛けた状態の製品から吸収体を取り出し、取り出した後の吸収体に同様に荷重をかけておく。このとき、配向度の測定値に誤差が生じないように構造を極力維持しながら吸収体を取り出す必要がある。そのために例えば、予め製品にサンプリングするサィズの枠を書、ておき、その枠がゆがまな!/、ように吸収体を取り出す。

[0186] 吸収体は長手方向に沿ってサンプリングし、吸収体長手方向を、装置内のサンプル装着部の上下方向になるようにセットする。サンプリングサイズは装置に合わせて行う。このとき、製品の設計によっては繊維が吸収体の長手方向、幅方向、どちらかに配向している場合が起こりうるが、その場合は繊維配向の方向を装置のサンプル装着部の上下方向に合わせて測定を行う。そして、測定値が前記範囲内にあれば、繊維は配向して、るものとする。

[0187] 測定に際し、吸収体中の高吸収性ポリマーが妨害となる場合が想定される。その場合は、吸収体全体を上下力も金網等で挟み込んで構造を固定した上で、吸収体をァスコルビン酸溶液に浸漬し、日光暴露させることで高吸収性ポリマーを溶解させ、水洗後の残存繊維の配向を求める。

[0188] 短繊維のみ又は長繊維のみの配向度は次の方法で測定される。予めウェブの配向度を測定した後、測定対象箇所の短繊維及び長繊維の存在比率を測定する。短繊維又は長繊維が 80%を超える割合で存在して、る場合は、該部位のウェブ全体の配向度をもって、 80%を超える繊維の配向度とみなす。長繊維の存在割合 Z短繊維の存在割合 = 20Z80〜80Z20である場合は、試料片より短繊維を吸収体の平面内で均等になるように適宜抜き取り、配向度の測定を行うことを繰り返す。この時、各測定段階で繊維の抜き取った量から各測定段階ごとに長繊維の存在割合 Ζ短繊維の存在割合を算出し、長繊維の存在割合 Ζ短繊維の存在割合対配向度をプロットする。得られたプロットから外挿して、短繊維又は長繊維の配向度を算出する。

[0189] 吸収体 10H上に短時間に多量の液力排泄されたり、長時間の使用等により多量の液が吸収体 10Hに吸収されたりした場合には、液が、側部領域 S, Sまで拡散すること力ある。しかし、側部領域 S, Sそれぞれには長繊維 412が存在し、それらは吸収体 10Hの長手方向に配向しているので、側部領域 S, Sに達した液は、図 3に示すように吸収体 10Hの長手方向（着用者の前後方向）に良好に拡散し、側部領域 S, Sを横切る方向への液の拡散は抑制される。これにより、吸収体 10Hの両側縁からの液の漏れ出しが効果的に防止されると共に、吸収体の広い範囲が有効に活用される。この観点から、長繊維 411はその配向度を好ましくは 1. 2以上、更に好ましくは 1. 4 以上に設定する。長繊維 411の配向度の測定方法は、短繊維 412の配向度の測定方法と同様である。 [0190] 長繊維 411及び短繊維 412を配向させるための具体的な手段については、吸収体 10Hの製造方法に説明にお、て述べる。

[0191] 上述の効果を一層確実にする観点から、吸収体 10Hにおける長繊維 411の坪量は、 10〜100gZm²であることが好ましい。一方、短繊維 412の坪量は、 10〜： LOOg Zm²であることが好ましい。長繊維 411と短繊維 412の重量比（前者 Z後者）は、 5 /95〜80/20、特に 20/80〜50/50であること力子まし!/、。

[0192] 同様の観点から、吸収性ポリマーの坪量は、 10〜500gZm²であることが好ましい。長繊維 411及び短繊維 412を含むウェブ 413と吸収性ポリマーの重量比（前者 Z 後者）は、 1Z0. 5〜1Z15、特に 1Z2〜1Z10であることが好ましい。

[0193] 吸収体 10Hの幅方向における吸収性ポリマー 414が含有されている範囲の幅（中央領域 Mの幅に同じ) W1 (図 30参照）は、吸収性物品に組み込まれて使用されるときの側部漏れを防止する観点から、吸収体 10Hの全幅 W (図 30参照）の 20〜95% 、特に 50〜85%であることが好ましい。また、吸収体 10Hの幅方向における吸収性ポリマー 414が含有されていない範囲の幅（側部領域 Sの幅に同じ) W2 (図 30参照）は、吸収体 10Hの全幅 Wの 5〜80%、特に 15〜50%であることが好ましい。

[0194] 長繊維 411は、捲縮していることが好ましい。長繊維 411の捲縮率 (JIS L0208) は好ましくは 10〜90%であり、更に好ましくは 10〜60%であり、一層好ましくは 10 〜50%である。長繊維 411が捲縮していることで、吸収体 10Hが全体的に柔軟に変形しやすいものとなり、吸収性物品に組み込まれたときの、着用者に対するフィット性や、凹形状に変形させて防漏性を向上させる場合の凹形状への変形性を高めることができる。

[0195] 同様に、短繊維 412も捲縮していることが好ましい。捲縮した短繊維 412は、上述の捲縮した長繊維 411と同程度の捲縮率を有してヽることが好まヽ。短繊維 412が捲縮していることによって、ウェブ 413中に吸収性ポリマー 414がより安定に保持され、ポリマー 414がウェブ 413内を移動したり、ウェブ 413から脱落したりすることが効果的に抑制される。

[0196] 長繊維 411及び短繊維 412の捲縮は、二次元的でも三次元的でもよい。また、捲縮率は、繊維を引き伸ばしたときの長さ Aと、元の繊維の長さ Bとの差の、伸ばしたときの長さ Aに対する百分率で定義され、以下の式から算出される。

捲縮率 = ( (A— B) ZA) X 100 (%)

[0197] 元の繊維の長さとは、繊維が自然状態にお!ヽて、繊維の両端部を直線で結んだ長さをいう。自然状態とは、繊維の一方の端部を水平な板に固定し、繊維の自重で下方に垂らした状態をいう。繊維を引き伸ばした時の長さとは、繊維の捲縮がなくなるまで伸ばした時の最小荷重時の長さをヽぅ。長繊維 411及び短繊維 412の捲縮率は前述の通りであり、捲縮数は lcm当たり 2〜25個、特に 4〜20個、とりわけ 10〜20個であることが好ましい。

[0198] 長繊維 411は親水性を有していることが好ましい。親水性の長繊維 411には、本来的に親水性を有する繊維、及び本来的には親水性を有さないが、親水化処理が施されることによって親水性が付与された繊維の双方が包含される。本来的に親水性を有する好ましい繊維はアセテートやレーヨン力もなる繊維であり、とりわけアセテートはウェブが湿潤しても嵩高性が保持されるので好ましい。アセテートとしては、セル口一ストリアセテート及び z又はセルロースジアセテートを用いることが好まし、。親水性の長繊維 411としては、ナイロンやアクリル繊維等を用いることもできる。

[0199] 短繊維 412も、長繊維 411と同様に親水性を有していることが好ましい。短繊維 41 2の構成材料等については、長繊維 411に関して上述した説明が適用される。短繊維 412はその構成材料が長繊維 411と同じでもよく、或いは異なって、てもよ、。

[0200] 長繊維 411及び Z又は短繊維 412が親水性を有する場合、その水分率は 10%未満、特に 1〜8%であることが、通液性を確保する観点、即ち吸水しても可塑化されな V、ために柔軟化せず、或!、は繊維が膨潤しな!/、ために目詰まりを起こさな!/、観点から好ましい。また、水分率が過度に高い繊維は、繊維が吸湿して、或いは繊維自体の親水性が強、ために、繊維繊維間や同一繊維の異なる部位間にお、て水素結合によって、特に吸収性物品の製造工程において厚みを制御するために圧縮する際、或いはまた、パック内などにおいて吸収性物品が長期圧縮された状態に置かれたときになどに、製品が硬くなり装着感の低下やこすれ等による身体トラブルを起こす可能性がある。水分率は、特開平 7— 24003号公報の段落〔0025〕に記載の方法で測定する。 [0201] 第 3発明において長繊維とは、繊維長を JIS L1015の平均繊維長測定方法 (C法 )で測定した場合、好ましくは 70mm以上、更に好ましくは 80mm以上、一層好ましくは 100mm以上である繊維のことをいう。但し、測定対象とするウェブの全長 L (図 30 参照）が 100mm未満である場合、例えば吸収性物品の全長が 100mmに満たない場合などには、ウェブ全長 Lに対して 50%以上、更に好ましくは 70%以上、一層好ましくは 80%以上の長さの繊維を長繊維であるとする。本発明で用いられる長繊維は一般に連続フィラメントと呼ばれるものである。また、連続フィラメントの束は一般にトウと呼ばれている。したがって、本発明における長繊維とは、連続フィラメントを含む概念のものである。

[0202] 第 3発明において短繊維とは、長繊維と同様の測定方法によりに測定した繊維長力 S 70mm未満、より好ましくは 5mm以上 70mm未満、更に好ましくは 10mm以上 50 mm以下である繊維のことを、う。吸収性物品の吸収体として当該技術分野にお!、て通常用いられているパルプ繊維は、本発明における短繊維に含まれない。つまり、本発明における短繊維とは、パルプ繊維以外の繊維を、う。

[0203] ウェブ 413に含まれる短繊維及び長繊維は、短繊維どうし、長繊維どうし又は短繊維と長繊維とが接合されていないほうが好ましい。ここにおいて、接合とは、ウェブのほぼ全体にわたって、繊維同士が融着ゃ接着剤を用いた接着などによって互いに結合しており、かつ液を吸収後に湿潤状態となってもその結合が維持された状態をいう。水溶性のバインダーのように、乾燥時には繊維どうしが結合した状態にある力湿潤状態によってバインダーが溶解し、繊維どうしが自由に動ける状態になる場合は接合とは言わない。また、ウェブが他の部材と組み合わされる場合において、ウェブと他の部材との界面に接着剤が存在し、ウェブのごく一部が接着剤によって接合されている場合も接合とは言わない。また、ウェブ 413に含まれる短繊維及び長繊維は、短繊維どうし、長繊維どうし又は短繊維と長繊維とが、交絡していてもよぐ或いは交絡していなくてもよい。交絡の手段としては、高圧水流（ウォータージェット）を用いた交絡や、ニードルを用いた交絡などが挙げられる。

[0204] 本実施形態においては、長繊維 411及び短繊維 412の繊度に特に制限はない。

長繊維 411及び短繊維 412はその繊度が 1. 0〜： LOdtex、特に 1. 5〜8dtexであることが好ましい。長繊維 411及び短繊維 412の繊度は同じでもよぐ或いは異なっていてもよい。

[0205] 次に粒子 414について詳述する。本実施形態における粒子 414としては、好ましくは吸収性ポリマーの粒子が用いられる。好ましくは塊状の高吸収性ポリマーである。本発明のウェブは高度に配向しているので、繊維と高吸収性ポリマーの引っ掛かりが生じにくぐ繊維に対する高吸収性ポリマーの割合が高くなりにくい。そこで、高吸収性ポリマーの形状を塊状 (角のある形状。凝集体を含む。力さ密度で表すと好ましくは 0. 5〜0. 8g/cm³、より好ましくは 0. 6〜0. 8g/cm³のもの）にすることで、繊維との絡み合いが増してウェブに高濃度で高吸収性ポリマーを担持させることができる。塊状の吸収性ポリマーの粒子は、水溶液重合法により重合した吸収性ポリマー含水ゲルを板状にキャストし、乾燥後に粉砕したものや、逆相けん濁重合法で界面活性剤の種類や攪拌力を制御することにより不定形粒子が凝集したものカゝら構成されてヽる。塊状の吸収' 14ポジマーの平均粒径は、 150〜600 /ζ πι、特に 200〜500 mであることが好ましい。

[0206] また、別の実施形態として、粒子 414に活性炭やシリカゲルなどの多孔質体を用いる場合 ίま、その塊状の粒子 414の平均粒径 ίま、 20〜300 μ m、特に 50〜150 μ m であることが好ましい。

[0207] 吸収性ポリマーの材料としては、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収体に従来力も使用されている各種公知のポリマー材料を用いることができる。例えば、ポリアクリル酸ソーダ、（アクリル酸ビニルアルコール）共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、（デンプン—アクリル酸)グラフト重合体、（イソブチレン無水マレイン酸)共重合体及びそのケンィ匕物、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸セシウム等が挙げられる。

[0208] 吸収性ポリマーは、その使用量の低減や液吸収後のゲル感の低下を防止する点から、その遠心脱水法による生理食塩水の吸水量が 30gZg以上、特に 30〜50gZ gであることが好ま、。吸収性ポリマーの遠心脱水法による吸収量の測定方法は、上述した通りである。

[0209] 第 3発明のように、高度に配向した繊維ウェブを有する吸収体は液の拡散性に優れるが、その効果を更に高めるためには、高吸収性ポリマーとしてその通液性が高いものを用いることが好ましい。吸収性ポリマーとしては、そのゲルブロッキングを効果的に防止する観点から、加重下での通液性の高いものが更に好ましい。具体的には

、吸収性ポリマーは、その通液速度の値が好ましくは 30〜300ml/min、より好ましくは 32〜200mlZmin、更に好ましくは 35〜： LOOmlZminである。吸収性ポリマーの通液速度の値をこの範囲内とすることで、吸液によって飽和膨潤した吸収性ポリマ一同士が荷重下に付着し合って、液の通過を妨げてしまい、ゲルブロッキング発生が起こりやすくなるという不都合が起こりづらくなる。また、一度に多量の排泄物が排泄されたとき、月齢の高い乳幼児又は大人の例に見られるように排泄速度が速いとき、更に吸収体の薄型化を図ったときでも、液の固定を十分に行うことができ、液漏れが起こりづらくなる。通液速度の測定は、 2. OkPa荷重下で行われる。この荷重は、吸収性物品を着用している間に吸収体に加わる体圧にほぼ相当する。通液速度の具体的な測定方法は、例えば特開 2003— 235889号公報の段落 0005に記載されている。本発明においては、この公報に記載されている測定方法で用いられる試料の重量である 0. 200gを 0. 32gに変更して測定を行う。具体的には以下の手順で通液速度を測定する。

〔通液速度の測定方法〕

垂直に立てた円筒（内径 25. 4mm)の開口部の下端に、金網（目開き 150 m)と、コック（内径 2mm)付き細管（内径 4mm、長さ 8cm)とが備えられた濾過円筒管を用意する。コックを閉鎖した状態で、該円筒管内に、 850〜150 ;ζ ΐηの粒度に調整した測定試料 0. 32gを投入する。次に該円筒管内に 0. 9重量％の生理食塩水 50ml を注ぐ。生理食塩水を注ぎ始めてから 30分間静置した後、目開きが 150 mで、直径が 25mmである金網を先端に備えた円柱棒 (21. 2g)を、濾過円筒管内に挿入し、該金網と測定試料が接するようにする。 1分経過後に、 77. Ogのおもりを円柱棒に取り付けて測定試料に荷重を加える。更に 1分間静置した後にコックを開く。生理食塩水の液面が 40mlの目盛り線から 20mlの目盛り線に達するまでの時間（T1) (秒）を計測する。計測された時間 T1 (秒)を用い、次式から通液時間を算出する。なお式中、 TOは濾過円筒管内に測定試料を入れなヽで計測された時間である。通液速度（mlZmin) = 20 X 60/ (T1 TO)

[0211] 通液速度の更に詳細な測定方法は特開 2003— 235889号公報の段落 0008及び 0009に記載されている。測定装置は同公報の図 1及び図 2に記載されている。

[0212] 吸収性ポリマーは、充分に吸収速度の速、ものであることが好まし、。それによつて、配向した繊維に起因する液の拡散性を高めた吸収体 10Hにおいても液を確実に保持できるようになる。吸収性ポリマーの吸収速度は、 VORTEX法による測定値によって表現される。 VORTEX法は高吸収性ポリマーが強制的に液体にさらされるときの液の固定能力を示す方法として知られている。高吸収性ポリマーの吸収速度を表す方法としては、 DW法（Demand Wettability)法が知られている。 DW法は、液体を吸い上げる力と高吸収性ポリマーがゲル内に取り込む力の両方を一度に評価する方法であり、本発明のように繊維が高度に配向されたウェブ内においては、液の拡散性は十分確保できるため、液体を吸い上げる力よりも強制的に液体にさらされる評価法である VORTEX法で表現する方が好ましい。具体的には、 VORTEX法に従って測定された吸収速度が 5〜60秒、好ましくは 10〜50秒、更に好ましくは 15〜 40秒である。 VORTEXの値が 5秒よりも短いと、高吸収性ポリマーの吸収速度が高すぎるために、本発明の特徴である液の拡散性が十分発揮されない。また、 VORT EXの値が 60秒を超えると、吸収体中で液を留めることがしに《なり漏れを生じやすくなる場合がある。

[0213] VORTEX法は、 JIS K7224— 1996に準拠して行った。すなわち、ビーカーに 0 . 9重量％塩ィ匕ナトリウム水溶液 (生理食塩水、大塚製薬製) 50gを秤取り、マグネテイツタスターラーを用いて、毎分 600 ±60回転で攪拌を行った。高吸収性ポリマー 2 . 0gを渦の中心部で液中に投入し、スターラーチップが覆われるまでの時間を測定した。なお、本発明においては VORTEX法による吸収速度の評価を、時間を測定することで評価しているため、測定時間が短いほど吸収速度が速いとみなされる。本明細書においては、吸収速度と吸収時間は同じ意義を持って記載され、適宜読み替えるものとする。吸収速度は高吸収ポリマーの形状、粒径、嵩密度、架橋度等によつて設計することができる。

[0214] 前記の各特性を満たすようにするためには、例えば、吸収性ポリマーの粒子表面に架橋密度勾配を設ければょ、。或いは吸収性ポリマーの粒子を非球形状の不定形粒子とすればよい。具体的には特開平 7— 184956号公報の第 7欄 28行〜第 9欄第 6行に記載の方法を用いることができる。

[0215] 上述のように、通液速度が高ぐかつ吸収速度の高い高吸収性ポリマーを単独で用いてもよ!、が、通液速度や吸収速度が上述の望ま、範囲内にある別の吸収性ポリマーを混合させて又は共存させて用いてもよい。例えば、相対的に通液速度の高 V、吸収性ポリマー S 1と相対的に吸収速度の高、吸収性ポリマー S2を混合して用いる場合が挙げられる。この場合、吸収性ポリマー S1と吸収性ポリマー S2を比較すると、吸収性ポリマー S2の方が吸収倍率や吸収速度が高い反面、ゲルブロッキングに対する耐性は低い。吸収性ポリマー S1と吸収性ポリマー S2を共存させることで、吸収性能の高い吸収性ポリマー S2の間に、硬い（つまりゲルブロッキングが起こりくい）吸収性ポリマー S1が入り込むので、吸収体をより効率的に利用することができる。

[0216] 別の例としては、相対的に通液速度の高い吸収性ポリマー S3と相対的に吸収速度の高い吸収性ポリマー S4を共存させる方法がある。この場合、通液速度の高い吸収性ポリマー S3を、吸収性物品における排尿部付近 (吸収体を長さ方向に概ね五等分したとき、腹側から 2〜4番目付近）に配し、高吸収性ポリマー S4を前端部およ後端部付近に配することで、吸収体の液の取り込み速度を一層高めた上で、液の固定能力も高めることができる。更に別の例としては、通液速度の高い高吸収性ポリマー S3を吸収体中央部（吸収体を長さ方向に概ね五等分したとき、腹側から 2〜4番目付近かつ、吸収体を幅方向に五等分したとき、両端部を除く中央部 2〜4番目付近）に配し、吸収速度の高!、高吸収性ポリマー S4を液速度の高、高吸収性ポリマー S3 を取り囲むように配することもできる。更に別の例としては、液速度の高い高吸収性ポリマー S3を表面シート側に配し、吸収速度の高い高吸収性ポリマー S4を裏面シート側に配しても同様の効果が得られる。

[0217] 本実施形態の吸収体 10Hには、吸収体 10Hに排泄物が吸収された場合に緩衝系が成り立つように、各種緩衝剤を含ませることができる。即ち、各種有機、無機緩衝剤、即ち、酢酸、リン酸、クェン酸、コハク酸、アジピン酸、リンゴ酸、乳酸又はこれらの塩を単独或いは組み合わせて用いたり、各種アミノ酸を用いたりすることができる。また、各種有機、無機緩衝剤は、排泄物、例えば尿の分解による発生するアンモニアを中和し、おむつを中性〜弱酸性に保つ効果があり、それによつて、万一おむつから肌への排泄物の液戻りがあっても、肌への影響を少なくすることができる。更に、各種有機、無機緩衝剤は、アンモニア等のアルカリを中和する働きがあるので、長繊維

411としてアセテート繊維のような分子構造内にエステル結合を有する繊維を用いた場合には、アルカリによるエステル結合の分解に起因する繊維の損傷が防止される効果も期待できる。

[0218] 粒子 414としては、上述した吸収性ポリマーの粒子に代えて、又はそれにカ卩えて、例えば、セルロースパウダーや活性炭、シリカ、アルミナ各種粘土鉱物（ゼオライト、セピオライト、ベントナイト、カンタリナイト等)等の有機、無機粒子 (消臭剤や抗菌剤）を用いることができる。無機粒子としては一部金属サイトを置換したものを用いることができる。これらは、凝集体として用いてもよぐ別の担体と複合ィ匕して用いてもよい。これらの粒子は、 2種以上を併用することもできる。凝集体又は担体との複合体の平均径は、 150〜600 /ζ πι、特に 200〜500 mであること力子ましい。これらの成分の働きは、吸収体 10Hに吸収された排泄物の臭いや素材由来の臭いを抑制することである。

[0219] 吸収体 10Hの吸収速度の向上効果を高めることを目的として、また液保持性の向上、ドライ性の向上等を目的として、ウェブ 413中に親水性の微粉を共存させることができる。親水性の微粉としては、例えば、フィブリルィ匕されているか又はフィブリルィ匕されてヽな、セルロースパウダー、カルボキシメチルセルロース及びその金属塩、カルボキシェチルセルロース及びその金属塩、ヒドロキシェチルセルロース及びその誘導体、シルクパウダー、ナイロンパウダーが挙げられる。これらのうち、セルロースパウダーを用いると、前記の効果を最大限向上させ得るので好ましい。親水性の微粉は、吸収性ポリマーの散布前にウェブに散布してもよぐ吸収ポリマーと混合しておき、両者を同時にウェブに散布してもよい。

[0220] 吸収体 10Hにエンボス加工を施すと、エンボス加工によってウェブ 413が圧密化した部分が多数形成される。その結果、ウェブ 413中に繊維密度の高い部分と低い部分とが存在するようになる。したがって、繊維密度の高い部分と低い部分とで毛管力に差が生じ、吸収体は液の引き込み性がより高くなる。エンボスによって圧密化した部分は、短繊維存在領域に多く存在することが、短繊維存在領域での液の引き込み性を高め、スポット吸収性 (液広がり面積の小さい）を発現することができる点で好ましい。液の引き込み性が向上した短繊維存在領域は、表面の液残りを少なくし、肌をドライに保つ効果がある。エンボス部の形は円、長方形、正方形、線状など、液の引き込み性と意匠性等から決定される。一方、液の拡散性を促す点で、長繊維存在領域には、液の拡散性を遮るようなエンボス処理、例えば、繊維の配向する方向に対して直交する方向に延びる線状のエンボス処理を施さな、ことが好ま、。

[0221] 液のスポット吸収性を高めるために、またウェブ 413の形態保持性を向上させるために、ウェブ 413の上及び Z又は下に、或いはこれに加えて又はこれに代えてゥェブ 413の側部に、紙ゃ不織布等のシート材料を一枚又は複数枚重ね合わせるか又は覆い、ウェブ 413とシート材料とを接着剤によって接合するカゝ、又は熱融着する方法が挙げられる。この方法によれば、一対のシート材料間にウェブ 413が挟持固定されてなるシート状の吸収体が得られる。そのようなシート状の吸収体は、シート材料との接合及びシート材料そのものの剛性に起因して剛性が高くなり、それによつてハンドリング性が良好になるので、それ単独で容易に搬送させることができる。また、このシート状の吸収体は、所望の形状に容易に裁断したり、又は剖り抜いたりすることができるので、吸収性物品の形状に応じた吸収体を容易に製造できる。

[0222] 前記のシート材料とウェブ 413とを接着剤によって接合して、ウェブ 413の保形性を高める場合には、ウェブ 413の透水性、柔らかさ、通気性を損なわないように接着剤を塗布することが好ましい。そのためには、接着剤をできるだけ細い繊維状にして且つ断続的に（例えばスパイラル状、線状、連続した Ω形状に）塗布することが有利である。それによつてウェブ 413の特性を損なわずに繊維同士を多数の接合点で接合することが可能になるからである。例えばホットメルト塗布装置の一種である UFDフアイバー（商品名）を用いることで、これを達成することができる。接着剤の種類に特に制限はなぐ親水性接着剤及び疎水性接着剤の何れも用いることができる。特に好ましいものは親水性の接着剤である。親水性の接着剤としては、例えば親水性ホットメルト粘着剤である cycloflex (米国デラウェア州、ナショナル 'スターチ ·アンド ·ケミカル社の登録商標）が挙げられる。なお、シート材料とウェブ 413との接着では、主に互いの表面同士が接着されるが、一部の接着剤はウェブ 413中に潜り込み、ウェブ 413の厚み方向内部の繊維同士を接着する場合がある。

[0223] 前記のシート材料をウェブ 413上及び Z又は下に重ねることは、吸収体 10Hの吸収性能を高める点からも有利である。吸収体 10Hの吸収性能を高めるためには、該シート材料として、各種繊維シートや繊維ウェブを用いることが好ましい。その例としては、エアスルー不織布、エアレイド不織布、乾式パルプ不織布、架橋パルプ及び架橋パルプを含む紙、並びにそれらの複合体が挙げられる。これらのシート材料は、 1枚で用いてもよぐ複数枚を重ねて用いてもよい。

[0224] これらのシート材料を構成する繊維は、その繊維径が 1. 7〜12dtex、特に 2. 2〜 7. 8dtex、とりわけ 3. 3〜5. 6dtexであること力 ^好ましい。评量は、 15〜200g/m² 、特に 20〜150g/m²、とりわけ 25〜120g/m²であること力好ましい。特に、液の取り込み速度を向上させたい場合、液戻りを防止したい場合、シート材料中での液拡散を促進させたい場合には、坪量を 15〜： LOOgZm²、特〖こ 20〜80gZm²、とりわけ 25 〜50g/m²とすることが好ましい。一方、吸収体 10Hのクッション性を高めたい場合、吸収体 10Hのョレを起こりに《したい場合、吸収体 10Hに圧縮回復性を付与したい場合、吸収体 10Hからの水蒸気の蒸散を抑制したい場合には、坪量を 25〜200g 特に 30〜150g/m²、とりわけ 40〜120g/m²とすること力子ましい。

[0225] 吸収体 10Hにおけるラップシート 16としては、ティッシュペーパー等のパルプシートや透水性の不織布等の透水性のシート材が好ましく用いられる。

[0226] 次に、吸収体 10Hの好ましい製造方法について、図 33を参照して説明する。同図に示す吸収体の製造装置は、連続フィラメントのトウ 41 laを、連続搬送しつつ長手方向に伸長させて開繊させ、開繊トウ 41 lbを得る開繊機構 2、開繊トウ 41 lbを、張力を緩和した状態として、ポリマー 414の供給位置まで搬送する張力緩和機構 3、開繊トウ 41 lbの一部における連続フィラメントを切断する繊維切断機構 408、開繊トウ 41 lbの片面にラップシート 416を供給するラップシート供給機構 404、ラップシート 416 上の開繊トウ 41 lbに、ラップシート 416側とは反対側の面側から吸収性ポリマー 414 を供給する吸収性ポリマー供給機構 6、ラップシート 416の、開繊トウ 41 lbの両側縁より延出した部分 416a, 416aを折り返して、開繊トウ 41 lbの両面を該ラップシート 4 16で被覆する折り返し機構 7を具備してヽる。

[0227] 開繊機構 402は、上述した図 4や図 23に示す吸収体の製造装置におけるのと同様の構成を有し、同様にして、トウ 41 laを開繊させる。

[0228] 開繊トウ 41 lbを構成する長繊維は、互いに絡み合い、高度に配向した状態にある。長繊維切断機構 408は、開繊トウ 41 lbを挟んで厚み方向に加圧圧縮する一対のローノレ 480, 481を備えて!/ヽる。ローノレ 480, 481 ίま幅方向中央咅分【こお!/ヽて、互!ヽにかみ合いギア状をなし、ギアの間にウェブが挟まれることでウェブの一部繊維が切断され短繊維を形成する。ロール 480, 481におけるかみ合い部の、吸収体連続体 100に直交する方向の幅は、ポリマー供給口の同方向の幅と略同じである。このとき、ウェブの幅方向両端部分には切断されていない長繊維が残り、ウェブ全体の張力を受け持つ。なお、後述する張力緩和機構 403は、長繊維切断機構 408の影響も合わせて調整される。

[0229] 連続フィラメントの切断方法は例えば上述のように多数のスリットが刻まれた複数のロールに開繊トウを嚙み込ませて切断する方法や、カッター刃による方法、その他、水流やレーザーを使うなど、公知の方法を使うことができる。連続フィラメント Fは捲縮を有するため、その一部が切断されていても互いの繊維が絡み合うので、コンベア等に乗せて搬送することも可能である。

[0230] 張力緩和機構 403は、開繊機 23の下流に配されたフィードロール 31及びバキュームコンベア 32を備えている。フィードロール 31は、ブルミンダロール 26の周速度 V2 よりも遅い周速度で回転駆動される一対のロール 310, 311を備えている。フィード口ール 31は、開繊機構 2によりトウ 41 laを開繊して得られた開繊トウ 41 lbを、プレテンショニングロール 25とブルミンダロール 26との間で伸長され張力を高められた状態のトウよりも、張力を緩和した状態として、バキュームコンベア 32上に供給されたラップシート 416上に供給する。バキュームコンベア 32は、フィードロール 31の送り速度 V3 (一対のロール 310, 311の周速度)よりも更に遅い搬送速度 V4で駆動される通気性の無端ベルト 320と、バキュームボックス 321とを備えている。ノキュームコンベア 3 2上のラップシート 416上に供給された開繊トウ 41 lbは、張力を緩和された状態のまま、無端ベルト 320によって更に搬送され、ポリマーの供給位置まで搬送される。

[0231] ラップシート供給機構 4は、ラップシート 416を、開繊トウ 41 lbの片面側に供給する。ラップシート供給機構 4は、ラップシート 416の卷出手段と、巻き出されたラップシート 416をバキュームコンベア 32に案内する案内ロール（図示せず）とからなり、卷出手段は、ラップシート 416が卷回されたロール 441と該ロール 441を駆動させる駆動装置（図示せず)とを備えている。

[0232] 吸収性ポリマー供給機構 6は、開繊トウ 41 lbの上面側（ラップシート 416側とは反対側の面側）に配されたポリマー供給口から吸収性ポリマー 414を散布する。無端べルト 320を挟んで、前記ポリマー供給口の反対側には、バキュームボックス 321が位置しており、バキュームボックス 321により開繊トウ 411bの裏面側から吸引した状態下に吸収性ポリマー 414の散布も行うことができる。ポリマー供給口は、開繊トウ 411 bの搬送方向（長手方向）に直交する方向の幅が開繊トウ 41 lbの幅よりも狭くなつており、開繊トウ 41 lbの幅方向中央の所定幅の領域にのみポリマー 414を散布するようになされている。

[0233] 折り返し機構 7は、流れ方向の両側に折曲用のガイド 71を備えている。ラップシート 416は、長繊維切断機構 408を構成する一対のロール 480, 481により引っ張られて、連続的に搬送されながら、該ラップシート 416の、開繊トウ 41 lbの両側縁より外方に延出した部分 416a, 416aが、それぞれ、ガイド 71によって開繊トウ 41 lbの上面側に折り返される。この折り返しにより、開繊トウ 41 lbの上面側もラップシート 416 で被覆され、その結果、開繊トウ 41 lbの上下両面がラップシート 416により被覆された状態となる。

[0234] 折り返し機構 7より下流には、吸収体連続体 100の切断機構 5が備えられている。

吸収体連続体 100の切断機構 5は、軸長方向に延びる切断刃 51aを備えたカッターロール 51とアンビルロール 52とを備え、吸収体連続体 100を、吸収性物品に組み込まれる個々の吸収体の長さに切断する。

[0235] 上述した製造装置を使用して吸収体 10Hを製造するには、図 33に示すように、開繊機構 2によって、捲縮を有する連続フィラメントのトウ 41 laを連続的に引き出し、開繊機 21〜23の圧搾空気によるトウ 411aの幅の拡幅及びプレテンショニングロール 2 5とブルミンダロール 26の周速度差によるトウ 41 laの延伸によって、該トウ 41 laを開繊する。そして、得られた開繊トウ 41 lbを、フィードロール 31を介して、ノキュームコンベア 32上に供給されたラップシート 416上に供給する。

[0236] フィードロール 31とバキュームコンベア 32の間で、上述した繊維切断機構 8によつて、連続フィラメントの切断及び短繊維の形成が行われる。連続フィラメントの切断は、少なくとも吸収性ポリマー 414が散布される範囲であって、しかもロール 480, 481 におけるかみ合い部に挟まれて加圧された部分に生じる。この連続フィラメントの切断は、連続フィラメント F力ギアのエツヂに押し当てられることにより生じ、それによつて短繊維 412が形成される。この場合、連続フィラメント Fの切断によって生じた短繊維 412の配向方向は、切断前の連続フィラメント Fの配向方向からほとんど変化せず、切断前の連続フィラメント Fの配向方向が保持される。その結果、連続フィラメント F が切断されずにそのまま保持された状態になっている長繊維 411と、連続フィラメント Fの切断によって生じた短繊維 412と力なるウェブ 413が、開繊トウ 41 lbから形成される。

[0237] 開繊トウ 41 lbを、バキュームコンベア 32によって、ラップシート 416と共に搬送しながら、開繊トウ 411bに対して、吸収性ポリマー供給機構 6により吸収性ポリマー 414 を散布する。吸収性ポリマー 414は、開繊トウ 41 lbの幅方向中央の所定幅の領域のみに散布している。また、吸収性ポリマー 414を、開繊トウ 41 lbの長手方向に連続的に散布している。吸収性ポリマー 414の散布量は、開繊トウ 41 lbの坪量と同等以上であることが好ましぐより好ましくは 2倍以上、更に好ましくは 3倍以上である。例えば、開繊トウ 41 lbの坪量が 30gZm²である場合、吸収性ポリマー 414の散布量は、 30〜400g/m²、特に 60〜300g/m²とすること力子まし!/、。

[0238] 本実施形態においては、トウ 41 laを開繊して得た開繊トウ 41 lbを、トウ 41 laを開繊させた際の最大伸長状態よりも収縮させた状態で、ラップシート 416上に積層している。より具体的には、ブルミンダロール 26の周速度 V2をプレテンショユングロール 25の周速度 VIよりも速くして、トウ 41 laを開繊させる一方、ブルミンダロール 26の周速度 V2よりも、ラップシート 14の搬送速度 V4 (バキュームコンベア 32の無端ベルト 3 20の搬送速度に同じ)を遅くすることによって、バキュームコンベア 32上での開繊トウ 41 lbの張力を緩めて捲縮性を発現させている。これにより、上述した長繊維 411及び短繊維 412の好ましい捲縮率を効率よく発現させることができる。本実施形態において、トウ 41 laを開繊させる際の最大伸長状態は、プレテンショユングロール 25とブルミングロール 26との間の伸長状態である。

[0239] 本実施形態においては、ラップシート 416として、開繊トウ 41 lbの上下両面を被覆するに充分な幅を有するものを用いている。ラップシート 416は、図 33に示すように、吸収性ポリマー 414が開繊トウ 41 lbに供給された後、該開繊トウ 41 lbの両側縁より延出した部分 416a, 416aが、折り返し機構 7によって該開繊トウ 41 lbの上面側に折り返され該上面側もラップシート 416によって被覆される。

[0240] 次いで吸収体連続体 100は、吸収体連続体の切断機構 5によって、それが組み込まれる吸収性物品の種類や寸法等に応じた所望の寸法に切断されて、吸収体 10H とされる。本製造方法によれば、このようにして、上述した形態の吸収体 10Hを効率よく連続生産することができる。

[0241] 短繊維の配向を制御する別な方法としては次のような方法が挙げられる。上述した吸収体の製造方法では、開繊トウ 41 lbの張力を制御する過程でウェブの配向性を残した状態で圧縮ロールによって連続フィラメント Fを切断した力これに代えて短繊維 412から作製した、配向を制御したウェブ上に吸収性ポリマー 414を散布しても同様の効果が得られる。

[0242] 詳細には、初めに配向度の制御されたウェブを作製する。即ち、初めに通常用いられるカード機に予め切断した短繊維を通し、ウェブを作製した後に熱処理を行う。この状態のウェブはその配向度が 1. 2未満である。そこで更にウェブにテンションを掛けた状態で (例えば、 2つのロール間にウェブを挟み、ロールの回転速度比を利用してウェブを長さ方向に引き伸ばすことができる）ヒートエンボス処理を施すことにより、繊維がより配向した状態のウェブを得る。テンションを掛けた状態で巻き取ることにより、徐々に応力緩和が起こり不織布の構造が固定されるので、ヒートエンボス処理は必ずしも施す必要はない。延伸の倍率は配向度が 1. 2以上となるように適宜加工条件を調整して行う。なお、この短繊維ウェブは横伸張が可能である。

[0243] 図 34 (a)〜図 34 (e)には、第 3発明の他の実施形態の吸収体が模式的に示されている。図 34においては、右下がりの実線の斜線を付した領域 RA力吸収性ポリマーを散布した範囲（吸収性ポリマーが分布する範囲に同じ)であり、左下がりの点線の斜線を付した領域 RB力開繊トウ 4 l ibを加圧圧縮して、連続フィラメント F由来の短繊維 412を生じさせた範囲である。

[0244] 図 34 (a)に示す吸収体は、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAに、吸収体の長手方向に配向した短繊維が分布している範囲 RBが含まれている。具体的には、吸収体の長手方向及び幅方向の何れの方向においても、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAに比べて短繊維が分布している範囲 RBが狭い。図 34 (a)に示す吸収体は、上述した吸収体の製造方法において、上述したロール 480として、外周面の周方向に、かみ込み部からなる切断部と金属等の硬質素材 (非弾性素材)からなる非切断部とが交互に形成されており且つ該切断部の開繊トウ 411bに直交する方向の幅がポリマー供給口の同方向の幅より狭いロールを用いることにより製造することができる。この場合、ロール 480, 481の嚙み込みの間で加圧圧縮された箇所の連続フィラメントが切断される。

[0245] 図 34 (b)に示す吸収体も、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAに、吸収体の長手方向に配向した短繊維が分布している範囲 RBが含まれている。具体的には、吸収体の幅方向においては、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAより短繊維が分布している範囲 RBの幅が狭ぐ吸収体の長手方向においては、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAと短繊維が分布している範囲 RBの長さが同じである。図 34 (b)に示す吸収体は、上述した吸収体の製造方法において、上述したロール 480、 481の嚙み込みの開繊トウ 41 lbに直交する方向の幅力ポリマー供給口の同方向の幅より狭、口ールを用いることにより製造することができる。

[0246] 図 34 (c)に示す吸収体は、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAと、吸収体の長手方向に配向した短繊維が分布している範囲 RBとが一致している。図 34 (c)に示す吸収体は、上述した吸収体の製造方法において、吸収性ポリマーを間欠的に散布すると共に、前記ロール 480, 481が互いに嚙み込む切断部と、非かみ込み部からなる非切断部又は凹部である非切断部とが交互に形成されており且つ該切断部の開繊ウェブ 41 lbに直交する方向の幅がポリマー供給口の同方向の幅と同じロールを用、ることにより製造することができる。

[0247] 図 34 (d)と図 34 (e)に示す吸収体は、吸収性ポリマーが分布する範囲 RAよりも短繊維が生じている範囲 RBが狭い。図 34 (d)と図 34 (e)に示す吸収体は、上述した吸収体の製造方法において、前記ロール 80, 81が互いに嚙み込む切断部と、非かみ込み部からなる非切断部又は凹部である非切断部とが交互に形成されており且つ該切断部の開繊ウェブ 41 lbに直交する方向の幅がポリマー供給口の同方向の幅と同じロールを用いることにより製造することができる。吸収性ポリマーをウェブ全面に散布すると共に、なお、図 34 (d)と図 34 (e)においては、長繊維は範囲 RBで示された以外の領域に存在する。

[0248] 本発明の吸収体は、例えば、図 34 (a)及び図 34 (c)、図 34 (d)に示す吸収体のように、吸収体の長手方向の前後端部それぞれに長繊維 411からなる部分を有する一方、それらの間に短繊維 412が存在する部分を有しているものであっても良い。その場合、図 34 (a)及び図 34 (c)、図 34 (d)に示す吸収体のように、吸収体の左右両側部にも長繊維 411からなる部分を有し、全体として、長繊維 411からなる部分が、短繊維 412が存在して、る範囲を囲んで、ることが好ま、が、吸収体の左右両側部に長繊維 411からなる部分を有しな、ものであっても良、。

[0249] 図 34 (a)〜図 34 (e)に示す吸収体においても、長手方向に配向した短繊維 412が存在している範囲 RBが優れたスポット吸収性を示すので、該範囲 RBを、着用者の液排泄部に対向する部位に位置するようにして、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に組み込んで使用することにより、液排泄部力排泄された液 (尿や経血等）が、吸収体 10の狭い範囲からスムーズに吸収され、その部分に存在する吸収性ポリマーに安定的に保持される。また、多量の液が供給されたり、多量の液が吸収体に吸収されたりした場合に、液が吸収体の長手方向両側部に達すると、吸収体の長手方向に配向している長繊維により、液は吸収体の長手方向（着用者の前後方向）に良好に拡散して吸収体の広い範囲が有効に利用される一方、吸収体の幅方向への拡散は抑制される。

[0250] 図 35に示す吸収体 101は、短繊維を主体として構成される上部ウェブ 91と、長繊維を主体として構成される下部ウェブ 92とが積層された 2層構造のウェブ力もなる吸収性コア 9と、該吸収性コア 9を被覆するラップシート（図示略）と力らなる。ラップシートは、図 30及び図 31に示す吸収体 10Hと同様に、吸収性コア 9の上下面及び長手方向両側部を被覆している。吸収体 101における短繊維は、吸収性物品に組み込まれたときに着用者の肌側に配置される上部ウェブ 91に偏在している。一方、長繊維は、吸収性物品に組み込まれたときに着用者の肌側とは反対側に配置される下部ゥエブ 92に偏在している。即ち、長繊維と短繊維は、吸収体 101の厚み方向における異なる部位に偏在している。短繊維は、吸収体 101の平面内において、吸収体の長手方向に配向している。同様に長繊維も、吸収体 101の平面内において、吸収体の長手方向に配向している。

[0251] 上部ウェブ 91は、その構成繊維中、短繊維の割合が、重量基準で 50〜： L00%であることが好ましぐより好ましくは 60〜100%、更に好ましくは 80〜100%である。一方、下部ウェブ 92は、その構成繊維中、長繊維の割合が、重量基準で 50〜100% であることが好ましぐより好ましくは 60〜100%、更に好ましくは 80〜100%である。

[0252] 吸収体 101中には、粒子としての吸収性ポリマーの粒子（図示せず）が含まれている。吸収性ポリマーの粒子は、上部ウェブ 91の全体及び下部ウェブ 92の全体に含まれていてもよい。或いは、上部ウェブ 91にのみ、又は下部ウェブ 92にのみ含まれていてもよい。即ち、吸収性ポリマーの粒子は、吸収体 101の厚み方向における特定の部位に偏在して、てもよ、。

[0253] 図 35に示す吸収体 101によれば、短繊維を含む上部ウェブ 91が優れたスポット吸収性を示すので、上部ウェブ 91を、着用者の液排泄部に対向する部位に位置するようにして、使、捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に組み込むことにより、液排泄部力排泄された液 (尿や経血等）を、狭い範囲力スムーズに吸収体に吸収させることができる。また、多量の液力 S排泄されたり、多量の液が吸収体に吸収されたりした場合に、液が吸収体の長手方向両側部、或いは上部ウェブ 91の非肌当接面側に配された部分に達すると、吸収体の長手方向に配向して、る長繊維により、液が吸収体の長手方向（着用者の前後方向）に良好に拡散して吸収体の広い範囲が有効に利用される。一方、吸収体の幅方向への拡散は抑制されて優れた横漏れ防止性能が得られる。なお、吸収体 101においては、上部ウェブ 91の幅が下部ゥエブ 92の幅より狭くなつている力上部ウェブ 91の幅を下部ウェブ 92の幅と略同じとすることもできる。或いは上部ウェブ 91の幅を下部ウェブ 92の幅よりも広くすることもできる。

[0254] 図 35に示す吸収体 101は、図 30及び図 31に示す吸収体の製造方法に準じて製造することができる。例えば上部ウェブ 91にのみ吸収性ポリマーが含まれている吸収体を製造する場合には、図 33に示す製造装置を用い、かみ込み式のギアによつて、開繊トウを構成する連続フィラメントを該開繊トウの全幅にわたり切断して短繊維を生じさせる。そして短繊維力もなるウェブに対しその全幅にわたり吸収性ポリマーを散布する。これによつて上部ウェブ 91を得る。上部ウェブ 91とは別に、連続フィラメントからなるトウを開繊して開繊ウェブを形成する。これによつて下部ウェブ 92を得る。下部ウェブ 92上に上部ウェブ 91を重ね合わせ、これら全体をラップシートで被覆することで、目的とする吸収体 101が得られる。

[0255] 図 36は、第 3発明の更に他の実施形態である吸収体 104を、吸収性物品としてのパンツ型の使、捨ておむつ 101に組み込んだ状態を示す図である。この使、捨ておむつ 101Aについて、特に説明しない点は、上述した使い捨ておむつ 101と同様であり、おむつ 101についての説明が、その好ましい構成も含めて、適宜適用される。尚、図 36に示すおむつの I—I線断面を示す模式断面図は、図 9と同一であり、図 36 に示すおむつの使用状態における ΠΙ— III線断面を示す模式断面図は、図 10と同一である。

[0256] 本実施形態の吸収体 104においては、第 2吸収コア 142が、図 30及び図 31に示す吸収体 10Hにおける吸収性コア 415から構成されている。即ち第 2吸収コア 142 は、それぞれ吸収体 104の長手方向に配向した長繊維及び短繊維を含み、更に吸収性ポリマーを含んでいる。第 2吸収コア 142は、平面視矩形状であり、吸収体 104 を含む吸収性本体 105の長手方向の略全長にわたる長さ及び該吸収性本体 105の幅より若干狭い幅を有している。一方、第 1吸収コア 141は、吸収体 104の長手方向に配向した長繊維力も構成されている。第 1吸収コア 141には吸収性ポリマーが含まれていてもよぐ或いは含まれていなくてもよい。

[0257] 本実施形態における吸収体 104は、全体として、おむつ前後方向に縦長の矩形状の平面視形状を有している。また、吸収体 104は、その全体が、ティッシュペーパーや透水性の不織布からなる透水性のラップシート（図示略)で被覆された状態で、表面シート 102と裏面シート 103との間に固定されている。第 1吸収コア 141及び第 2吸収コア 142は、そのそれぞれが各々ラップシートで被覆されていても良い。第 1吸収コア 141と第 2吸収コア 142との間は接着剤等により部分的に接着されてヽても良!ヽし、接着されていなくても良い。

[0258] また、別の実施形態においては、第 1吸収コア 141における左右の欠落部 144, 1 44間に位置する部分（中央片 141M力もなる部分）と重なっている部分、並びに側部片 141S, 141Sと重なっている部分に短繊維が含まれている。一方、左右の欠落部 144, 144に重なる部分にては、長繊維が含まれている。このような構成を採用した場合においても、前記のおむっと同様の効果を発現することができる。

[0259] 本実施形態に係るおむつ 101Aにおける表面シート 102は、吸収体 104の両側縁部よりも延出する部分が、吸収体 104の非肌当接面に巻き下げられており、吸収体の非肌当接面側において、裏面シート 103に図示しない接着剤等により固定されている。

[0260] 本実施形態に係る使い捨ておむつ 101によれば、横漏れ防止性能を飛躍的に向上させることができるため、防漏性能を向上させ、或いは低下を抑制しつつ、吸収性本体の幅や股下部の幅を狭くしてフィット性の向上を図ることができる。このような効果は、股下部 Cにおける防漏カフ 106が、着用者の肌に向力つて大きく起立し、充分な高さを確保することができると共に、潰れても実質的な液吸収面を狭くしにくいことと相俟って一層確実に奏される。

[0261] また、第 2吸収コアに含まれる繊維が短繊維なので、連続繊維である場合に比べて、繊維同士の引きつれがなぐ吸収体両側領域が立ち上がりやすくなると共に、吸収体中央部にスポット吸収性が付与できるので、横モレ防止性がよりいつそう向上する。そのため、第 2吸収コアに含まれる短繊維や、該短繊維を生じさせるために散布する粒子は、幅方向中央部に偏寄して存在することが好ましい。

[0262] 以上、第 3発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、第 3発明も前記実施形態に制限されない。例えば前記の各実施形態においては、長繊維と短繊維とは、吸収体の平面方向又は厚み方向における異なる部位に偏在していた力これに代えて、単一のウェブ中に短繊維と長繊維とが混在して、てもよ!/、。

[0263] また、前記の各実施形態においては、長繊維及び短繊維の配向方向は吸収体の長手方向と一致していた力これらの繊維の配向方向はこれに限られない。例えば、長繊維及び短繊維の配向方向を吸収体の長手方向と交差する方向としてもよい。具体的には、長繊維及び短繊維の配向方向を吸収体の長手方向と直交する方向とすることがでさる。

[0264] また、前記の各実施形態においては、長繊維と短繊維の配向方向が一致していた力これらの繊維の配向方向は異なっていてもよい。例えば短繊維の配向方向を吸収体の長手方向と一致する方向とし、長繊維の配向方向を吸収体の長手方向と直交する方向とすることができる。逆に、例えば長繊維の配向方向を吸収体の長手方向と一致する方向とし、短繊維の配向方向を吸収体の長手方向と直交する方向とすることがでさる。

[0265] 本発明の吸収性物品は、上述した吸収体 104に代えて、上述した他の吸収体を含むものであっても良い。また、パンツ型の使い捨ておむつに代えて、展開型の使い捨ておむつであっても良い。また、本発明の吸収体は、従来の使い捨ておむつ等における一般的な構成の吸収体と表面シートとの間に配し、いわゆるサブレイヤーないしセカンドシートとして使用するものであっても良い。

[0266] 以上の各実施形態の吸収体を具備する本発明の吸収性物品は、相対向する一対の立体ギャザーを 2組以上有していてもよい。そのような吸収性物品の例、それによる効果、更にその場合の好ましい構成は、図 10又は図 11を参照して上述した通りである。

[0267] 本発明を更に他の実施形態について説明する。

本発明の一実施形態である吸収体 10Jは、図 37及び図 38に示すように、互いに結合した短繊維 122を含み且つ長繊維 121を含む繊維集合体 12と、該繊維集合体 1 2中に含まれる塊状の吸収性ポリマー 13 (塊状の粒子）とからなる吸収性コア 11と、該吸収性コア 11を被覆するラップシート 14とからなる。繊維集合体 12は不織布でもよい。不織布を用いることで、繊維集合体全体に強度を持たせることができ、あるいは折り加工を加えることで吸収体の構造を大きく変化させうことができる。

[0268] 本実施形態の吸収体 10Jには、図 37及び図 38に示すように、熱エンボスカ卩ェにより、短繊維 122同士が接合された多数の接合部 15が形成されて、る。

[0269] 特に薄型の吸収体においては、着用者の活動によって製品および吸収体にョレが生じやすくなる。また、活動によっては、吸収体が破壊されて、吸収量の極端に低下した部分が生じることがある。吸収体の破壊は、排泄物がたまりやすく吸収体に外力力 Sかかりやすい股下周辺に多く生じることから、この現象によって漏れを生じる場合がある。

そこで、吸収体の強度を向上させ、防漏性の低下やョレが生じにくくするためには、本実施形態の吸収体 10Jや後述する吸収体 10B'〜： LOF'等におけるように、短繊維が互いに結合した状態を形成することが好ましい。より好ましくは、着用時に着用者の排泄部に対向配置される部位に、前記結合した短繊維が存在することが好まし、

[0270] 短繊維の結合は、例えば熱エンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等により形成することもできる。熱エンボス、超音波エンボス又は高周波エンボスの場合、短繊維は熱融着している。また、ホットメルトや低融点の熱可塑性榭脂、アクリルェマルジヨン、酢酸ビュルエマルジョンなどの各種バインダー、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩やポリビュルアルコールなどの水溶性バインダー等と組み合わせて用いることちでさる。

[0271] 多数の接合部 15は、平面方向に分散した状態に形成されており、吸収体 10の長手方向及び幅方向それぞれにおいて相互に離間している。より具体的には、吸収体 10の長手方向に複数の接合部 15が等間隔に直列に配置されており、その長手方向に直列した複数の接合部力なる接合部の列が、横方向に等間隔に複数列形成されている。隣接する列と列は、接合部のピッチが半ピッチずれており、接合部 15は全体として千鳥状をなして、る。

各接合部 15においては、繊維集合体 12が厚み方向に加圧されると共に加熱されており、複数本の短繊維 122同士が熱融着している。

[0272] 接合部 15は、ドット状や線状など、規則性を持ったパターンを採用する場合は、スポット吸収性の維持及び強度の向上の観点から、一つ当たりの面積が 0. 1〜1. 2c m2であることが好ましぐ 0. 07-0. 8cm²であることがより好ましい。また、接合部 1 5は、 2cm²当たりの数が、 1〜9個が好ましぐ 1〜4個がより好ましい。接合部 15は、動物柄や花柄など、意匠性を考慮したパターンを用いてもよ!、。

接合部 15の面積は、吸収性物品全面にわたって一様の分布をなしている必要はなぐまた、意匠性を重視して絵柄等を付加する場合は、吸収性能やその他目的に応じて変更可能である。

[0273] 吸収体 10Jにおいては、長繊維 121と短繊維 122は、吸収体の平面方向における異なる部位に偏在している。具体的には、短繊維 122は、吸収体 10Jの幅方向中央の所定幅の領域 M (以下、中央領域 Mともいう）に偏在している。短繊維 122は、前記中央領域 Mに、略一様に分布している一方、該中央領域 Mの両外方の側部領域 S, Sには実質的に存在していない。他方、長繊維 121は、側部領域 S, Sに偏在し、該側部領域 S, Sに略一様に分布している一方、前記中央領域 Mには、該側部領域 S, Sに比して少量の長繊維しか存在していない。

[0274] 本実施形態の吸収体 10Jにおヽては、前記中央領域 Mに、短繊維となった繊維の他に、長繊維の形態を維持したものが残っており、該中央領域 Mには、長繊維と短繊維とが混在している。長繊維と短繊維とが混在している場合には、短繊維からなる層と長繊維からなる層とが積層され短繊維からなる層を構成する何本かの短繊維の長さ方向の一部が長繊維力もなる層内に入り込んで、る程度は含めな、。長繊維と短繊維とが混在している状態は、短繊維の長さ方向の一部が長繊維に絡んだ状態となっていることが好ましい。

本実施形態の吸収体 10Jの接合部 15においては、短繊維同士のみならず、長繊維と短繊維との間も熱融着して！/ヽる。

本実施形態における接合部 15は、吸収体 10Jの中央領域 Mのみに形成されているが、側部領域 S, Sにも同様の加工を施し、長繊維同士が互いに熱融着した接合部を形成しても良い。例えば、側部領域 S, Sにも、熱エンボス加工を施し、中央領域 M と同様のパターンの接合部を側部領域 S, Sに形成しても良!、。

[0275] さらに液のスポット吸収性を高める方法、さらにまた、ウェブの形態保持性を向上させる方法としては、ウェブの上及び Z又は下に、或いはこれにカ卩えて又はこれに代えて、ウェブの側部に、紙ゃ不織布などのシート材料を一枚又は複数枚重ね合わせるか又は覆ヽ、ウェブとシート材料とを該シートに塗られた接着剤によって接合する力又は熱融着する方法が挙げられる。この方法によれば、一対のシート材料間にゥエブが挟持固定されてなるシート状の吸収体が得られる。そのようなシート状の吸収体は、シート材料との接合及びシート材料そのものの剛性に起因して剛性が高くなり、それによつてハンドリング性が良好になるので、それ単独で容易に搬送させることができる。また、このシート状の吸収体は、所望の形状に容易に裁断あるいはくり抜くことができるので、吸収性物品の形状に応じた吸収体を容易に製造できる。

[0276] 前記のシート材料とウェブとを接着剤によって接合して、ウェブの保形性を高める場合には、ウェブの透水性、柔らかさ、通気性を損なわないように接着剤を塗布することが好ましい。そのためには、接着剤をできるだけ細い繊維状にして且つ断続的に (例えばスパイラル状、線状、連続した Ω形状に)塗布することが有利である。それによってウェブの特性を損なわずに繊維どうしを多数の接合点で接合することが可能になる力もである。例えばホットメルト塗布装置の一種である UFDファイバー（商品名 )を用いることで、これを達成することができる。接着剤の種類に特に制限はなぐ親水性接着剤及び疎水性接着剤の何れも用いることができる。特に好ま、ものは親水性の接着剤である。親水性の接着剤としては例えば親水性ホットメルト粘着剤である cycloflex (米国デラウェア州、ナショナル 'スターチ ·アンド ·ケミカル社の登録商標 )が挙げられる。

[0277] 前記のシート材料をウェブの上及び Z又は下に重ねることは、吸収体の吸収性能を高める点からも有利である。吸収体の吸収性能を高めるためには、該シート材料として、各種繊維シートや繊維ウェブを用いることが好ましい。その例としては、エアスルー不織布、エアレイド不織布、乾式パルプ不織布、架橋ノルプおよび架橋パルプを含む紙、及びそれらの複合体などが挙げられる。これらのシート材料は、 1枚で用いてもよぐ或いは複数枚を重ねて用いてもよい。これらのシート材料を構成する繊維は、その繊維径カ 1. 7〜12dtex、特に 2. 2〜7. 8dtex、とりわけ 3. 3〜5. 6dte Xであること力子ましい。评量は 15〜200g/m²、特に 20〜150g/m²、とりわけ 25 〜120gZm²であることが好ましい。特に、液の取り込み速度を向上させたい場合、液戻りを防止したい場合、シート材料中での液拡散を促進させたい場合には、坪量を 15〜： LOOgZm²、特に 20〜80gZm²、とりわけ 25〜50g/m²とすることが好ましい。一方、吸収体のクッション性を高めたい場合、吸収体のョレを起こりにくくしたい場合、吸収体に圧縮回復性を付与したい場合、吸収体からの水蒸気の蒸散を抑制したい場合には、评量を 25〜200g/m²、特に 30〜150g/m²、とりわけ 40〜120 g/m²とすることが好ましい。

[0278] 本実施形態の吸収体 10Jによれば、図 3に示すように、短繊維が生じている中央領域 Mが、着用者の液排泄部に対向する部位 Pに位置するようにして、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に組み込んで使用することにより、液排泄部から排泄された液 (尿や経血等）が、短繊維による優れたスポット吸収性により、吸収体 10Jの狭い範囲から吸収体 10J内にスムーズに吸収される。そして、吸収体 10Jに吸収された液は、その部位に偏在する吸収性ポリマー 13により吸収され、吸収体 10J 内に安定に保持される。

吸収体 10J上に短時間に多量の液が供給されたり、長時間の使用等により多量の液が吸収体 10Jに吸収されたりした場合には、液が、側部領域 S, Sまで拡散すること力 Sある。しかし、側部領域 S, Sそれぞれには長繊維がその形態を維持したまま存在し、それらは吸収体の長手方向に配向しているため、側部領域 S, Sに達した液は、吸収体 10Jの長手方向 (着用者の前後方向）に良好に拡散し、側部領域 S, Sを横切る方向への拡散は抑制される。これにより、吸収体 10Jの両側縁からの液の漏れ出しが効果的に防止されると共に、吸収体の広い範囲が有効に活用される。

[0279] また、吸収体 10Jは、短繊維 122同士が接合された接合部 15を有しているため、短繊維 122が偏在する中央領域 Mにおいても、繊維集合体 12、延いては吸収体 10J が強度に優れており、防漏性の低下やョレが生じにくい。即ち、着用者の動きによつて吸収体 10Jに圧縮や曲げといった力が加わっても、短繊維 122同士が接合部 15を介して力を分散しあうため、繊維集合体 12、延いては吸収体 10Jに破壊'偏りが生じづらぐよつて該繊維集合体 12中に含まれる塊状の吸収性ポリマー 13も偏りづらいため防漏性の低下が生じにくい。

更に、本実施形態においては、接合部 15において、短繊維と長繊維も熱融着しているため、吸収体 10Jに力かる力がより広範囲にわたって分散され、上記効果が更に期待できる。

また、接合部 15が吸収体 10Jの表面に凹形状を形成するため、液が流れ込みやすくなり、スポット吸収性が向上する。

[0280] 本実施形態の吸収体 10Jにおける吸収性ポリマー 13及び長繊維由来の短繊維 12 2は、何れも、吸収体 10Jの前記中央領域 Mに存在しており、吸収性ポリマー (粒子） 13が分布する範囲と短繊維 122が生じている範囲とがー致している。

吸収性物品に組み込まれて使用されるときの側部漏れを防止する観点から、吸収体 10の幅方向における、短繊維 13が生じている範囲の幅（中央領域 Mの幅に同じ） W1 (図 37参照）は、吸収体 10Jの全幅 W (図 37参照）の 20〜95%、特に 50〜85% であることが好ましぐ短繊維が実質的に存在しない範囲の幅 (側部領域 Sの幅に同じ) W2 (図 37参照）は、吸収体 10Jの全幅 Wの 5〜80%、特に 15〜50%であることが好ましい。

[0281] 図 39〜図 43は、本発明の更に他の実施形態である吸収体を示す図である。図 39 〜図 43に示す各吸収体 10B '〜： LOF'は、各図において斜線を付した部分に短繊維を含んでいる。

[0282] 図 39 (a)及び図 39 (b)に示す吸収体 10B'は、短繊維を主体として構成される上部繊維層 91と、長繊維を主体として構成される下部繊維層 92とが積層された 2層構造の繊維集合体力なる吸収性コア 9と、該吸収性コア 9を被覆するラップシート（図示略）とからなる。ラップシートは、図 37及び図 38に示す吸収体 10と同様に、吸収性コア 9の上下面及び長手方向両側部を被覆している。

吸収体 10B'における短繊維は、吸収性物品に組み込まれたときに着用者の肌側に配置される上部繊維層 91に偏在し、長繊維は、吸収性物品に組み込まれたときに着用者の肌側とは反対側に配置される下部繊維層 92に偏在している。即ち、長繊維と短繊維は、吸収体の厚み方向における異なる部位に偏在している。

本実施形態の吸収体 10B'においては、上部繊維層 91に、熱エンボスカ卩ェによる接合部 15が形成されており、各接合部 15においては、短繊維同士が熱融着している。

[0283] 吸収体 10B'によれば、短繊維を含む上部繊維層 91が優れたスポット吸収性を示すので、上部繊維層 91を、着用者の液排泄部に対向する部位に位置するようにして、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に組み込むことにより、液排泄部から排泄された液 (尿や経血等）を、狭、範囲からスムーズに吸収体に吸収させることができる。また、多量の液が供給されたり、多量の液が吸収体に吸収されたりした場合に、液が吸収体の長手方向両側部、あるいは上部繊維層 91の非肌当接面側に配された部分に達すると、吸収体の長手方向に配向している長繊維により、液が吸収体の長手方向（着用者の前後方向）に良好に拡散して吸収体の広い範囲が有効に利用される一方、吸収体の幅方向への拡散は抑制されて優れた横漏れ防止性能が得られる。

尚、吸収体 10B'においては、上部繊維層 91の幅が下部繊維層 92の幅より狭くなつているが、上部繊維層 91の幅を下部繊維層 92の幅と略同じにすることもできる。また、上部繊維層 91の長手方向の長さが下部繊維層 92の長さと同じとなっているが、上部繊維層 91の長さを、下部繊維層 92の長さより短くすることもできる。

[0284] 図 40〜図 43に示す各吸収体 10C '〜： LOF'は、単層の繊維集合体 93からなる吸収性コア 9と、該吸収性コア 9を被覆するラップシート（図示略）と力らなる。ラップシートは、吸収性コア 9の上下面を被覆している。ラップシートは、吸収性コア 9の少なくとも短繊維が偏在して、る部分 9Sにおける上下面を被覆して、ることが好ま、。吸収体 10C '〜： LOF'においては、各図において斜線を付した部分に短繊維が偏在しており、斜線を付していない部分に長繊維が偏在している。即ち、長繊維と短繊維は、各吸収体の平面方向における異なる部位に偏在している。また、各吸収体 10 C '〜： LOF'においては、ラップシートに挟まれた状態の繊維集合体 93に熱エンボス加工が施され、繊維同士が接合された接合部 15, 15Aが形成されている。接合部 1 5, 15Aは、各吸収体の略全域に分散配置されている。そして、斜線を付した部分に位置する接合部 15においては、短繊維同士が熱融着している。斜線を付していない部分に位置する各接合部 15Aにおいては、長繊維同士が熱融着している。

[0285] 図 40 (a)及び図 40 (b)に示す吸収体 10C'は、繊維集合体 93からなる吸収性コア 9の長手方向の一端側に、短繊維が偏在する部分 9Sを有し、長手方向の他端側に、長繊維が偏在する部分 9Lを有する。短繊維が偏在する部分 9Sを、使い捨ておむつの股下部力腹側部にかけて配置し、長繊維が偏在する部分 9Lをおむつの背側部に配置することで、おむつの股下部に優れたスポット吸収性が得られると共に、いわゆる前漏れ (腹側部側力の漏れ)を効果的に防止することができる。他方、吸収体の前後を逆にして配置すれば、いわゆる後漏れを効果的に防止することができる。

[0286] 図 41 (a)及び図 41 (b)に示す吸収体 10D'は、繊維集合体 93からなる吸収性コア 9の長手方向の一端側に、短繊維が偏在する馬蹄形状の部分 9Sを有し、長手方向の他端側に、長繊維が偏在する部分 9Lを有する。この吸収体 10D'においては、その長手方向における前記部分 9L側に吸収性ポリマーが偏在している。この吸収体 1 0D'は、長手方向における該部分 9L側を、着用者の後側（背側）に向けておむつに組み込むことで、腹側において優れたスポット吸収性が得られるとともに、就寝時、あおむけの状態で多量に排尿されても、尿を効果的に拡散し、多くの吸収性ポリマーに保持させるため、漏れを効果的に防止することができる。

また、吸収体の前側が優先的に膨らみ段差を形成することで、背側の排泄物 (例えば便）が身体の前側に流れるのを防ぐ堰の役割を担う。

[0287] 図 42 (a)及び図 42 (b)に示す吸収体 10E'は、繊維集合体 93からなる吸収性コア 9の幅方向中央部に、短繊維が偏在した部分 9Sを有し、該部分 9Sの両側に、長繊維が偏在した部分 9Lを有して、る。

[0288] 吸収体 10E'によれば、上述した図 37及び図 38に示す吸収体 10Jと同様の効果が奏される。また、その長手方向をおむつの前後方向に一致させておむつ等に組み込まれたときに、その両側部又はその近傍に配した弾性部材により、その両側部を着用者の肌側に向かって立ち上げ易ぐ横漏れ防止壁を容易に形成可能である。吸収体 10E'の両側部を起立させるための弾性部材は、該吸収体 10E'の肌当接面側、非肌当接面側、該吸収体 10E'の側縁部近傍、該吸収体 10E'の内部等を挙げることができる。

[0289] 図 43 (a)及び図 43 (b)に示す吸収体 10F'は、繊維集合体 93からなる吸収性コア 9中に、短繊維が存在する部分 9Sが分散して配置されている。短繊維を含む複数の部分がランダム又は規則的パターンで存在することによって、短繊維を含む部分が素早く吸収して膨潤し、その膨潤により生じた隆起が形成され、隆起しない部分の作用により、肌とおむつとの間の通気性が良好に維持される。さらに、肌とおむつの接触面積が低下するため、こすれ等の肌への負担が低減される。

[0290] 上記の吸収体 10B'〜： LOF'における短繊維は、何れも合成又は半合成繊維であることが好ましい。吸収体には、従来、ノルプ繊維が汎用されている力パルプ繊維ではない短繊維を用いることで、繊維自体が吸水しづらぐへたりにくいため、吸収体の嵩高性が維持されて吸収性ポリマーが膨潤しゃすい環境が維持できる。

短繊維として用い得る合成繊維としては、ポリエチレン 'ポリプロピレンに代表されるポリオレフイン、ポリエチレンテレフタラートに代表されるポリエステル、アクリルに代表されるポリアクリロニトリル、ナイロンに代表されるポリアミド、ビニロンに代表されるポリビュルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。

短繊維として用い得る半合成繊維ととしては、レーヨン、キュブラ、アセテート等が挙げられる。

合成及び半合成繊維は、それぞれ、上述のもの等を 1種単独で又は 2以上を組み合わせて使用することができる。また、合成又は半合成繊維という表現には、合成繊維と半合成繊維との併用も含まれる。

本発明における短繊維は、パルプ繊維であっても良い。短繊維がパルプ繊維である場合、パルプ繊維として、叩解度の低いものを用い、パルプ繊維同士が結合された接合部を、加圧エンボスや水流交絡、化学反応によって形成することができる。

[0291] 吸収体 10B'〜： LOF'は、それぞれに含まれる短繊維が、長繊維を塊状の粒子で切断して生じさせたものでな!、。

図 39 (a)及び図 39 (b)に示す吸収体 10B'における上部繊維層 91は、カード機を用いて製造したカードウェブ、ガーネット機を用いて製造したガーネットウェブ、風で飛ばして積層したエアレイドウェブ等力も構成することができる。カードウェブを構成する繊維は、カード機に供給する原綿の段階で既に短繊維である。

他方、吸収体 10B'における下部繊維層 92は、上述した吸収体の製造方法と同様にトウを開織して得たウェブ力も構成することができる。また、溶融した榭脂を直接紡糸するスパンボンド法で得られたウェブ力も構成することもできる。該ウェブは親水化処理や 2次カ卩ェにより捲縮を付与しても良い。

[0292] 図 44 (a)は、吸収体 10B'の製造方法の一例を示す図である。

図 44 (a)に示す方法においては、ホッパ 94で計量した短繊維 122Aを、カード機 9 5に供給して帯状のカードウェブ 91 Aを得、該ウェブ 91 Aを、エンボスロール 50とァンビルロール 51との間に導入して熱エンボス加工を施し、短繊維 122A, 122A同士が接合された接合部 15を形成する。

そして、接合部 15形成したウェブ 91 A上に非塊状の吸収性ポリマー 13を散布した後、該ウェブ 91Aのポリマー散布面上に、トウを開繊して得た長繊維のウェブ 12を重ね、ついで、その積層体を一対のローラー 96, 96間に揷通して厚み方向に加圧する。一対のローラー 96, 96による加圧は、前記積層体の厚みが減少して保形性が向上する一方、長繊維の切断が実質的に起こらない条件にて行う。一対のローラー 9 6, 96による加圧後、図示しないラップシート供給機構によりラップシートを供給して積層体を被覆し、次いで、吸収体一枚分の長さに順次切断することにより、上述した吸収体 10B'が多数連続的に得られる。

[0293] この実施形態の製造方法においては、吸収性ポリマー 13を、カードウェブ 91 Aと長繊維のウェブ 12との間に挟まれるように供給しており、得られた吸収体 10B'においては、吸収体の厚み方向における、上部吸収層 91と下部吸収層 92との境界部付近に吸収性ポリマーが偏在して、る。

[0294] 図 44 (b)は、吸収体 10C '〜： L0F'の製造方法の一例を示す図である。

図 44 (b)に示す方法においては、トウを開繊して得た長繊維のウェブ 12を連続的に搬送し、該ウェブ 12を、伸長可能なシート 14aに重ねた状態で、該ウェブ 12上に非塊状の吸収性ポリマー 13を散布する。そして、吸収性ポリマー 13を散布したゥェブ 12を、一対のローラー 97, 97間に通し、該ウェブ 12内に吸収性ポリマー 13を押し込む。次いで、ウェブ 12における、ポリマーの散布面（シート 14a側とは反対側の面）とは反対側にも伸長可能なシート 14bを重ね、両シート 14a, 14bに挟まれた状態のウェブ 12を、長繊維の切断装置 98に通して、該ウェブ 12における長繊維を部分的に切断する。そして、そのウェブ 12を、エンボスロール 50とアンビルロール 52との間に導入して熱エンボス加工を施し、短繊維同士が接合された接合部 15を形成する。そして、図示しない切断機構により、吸収体一枚分の長さに切断する。

[0295] 長繊維の切断装置 98は、塊状の粒子の有無に拘わらずに長繊維を切断可能なものであり、例えば、周面又は表面に切断用突起を備えた加圧部を備え、該加圧部を、シート 14a, 14bに挟んだ状態のウェブ 12に押し当てたとき、切断用突起に加圧された部分の長繊維を切断するように構成されたものを用いることができる。長繊維の切断装置 98は、伸長するシート 14a, 14bについては、該切断用突起で加圧しても、該シートに孔を開けにくいものが好まし、。

図 45は、図 42に示す吸収体 10E'を製造する場合の、切断装置 98の切断用突起の配置の例を示すものであり、加圧ロールの周面 (加圧部の表面）に形成された切断用突起の配置を、該ロールを展開して示してある。図 45に示す通り、ウェブ 12の幅方向中央部に対応する部分 98Mには、切断用突起が千鳥配置に形成されており、該部分 98Mでウェブ 12を加圧することにより、該ウェブ 12の中央領域に多数の短繊維を生じさせることができる。他方、ウェブ 12の両側部に対応する部分 98S, 98S には、切断用突起が形成されておらず、該ウェブ 12左右の側部領域には実質的に短繊維が生じない。吸収体 IOC' , 10D'及び 10F'は、加圧部の表面に形成する切断用突起の配置を代える以外は同様にして製造することができる。

また、本発明の吸収体の更に他の実施形態として、長繊維を切断可能な塊状の粒子の散布パターンを変更し、図 40〜図 43に示す吸収体の各図中の斜線部の範囲に長繊維由来の短繊維を生じさせた吸収体が挙げられる。

[0296] 図 46は、本発明の更に他の実施形態の吸収体の製造する方法を示す図である。

図 46に示す方法においては、トウを開繊して得た長繊維のウェブ 12を、長繊維の切断装置 99に供給し、該切断装置 99によりその長繊維を部分的に切断して、長繊維由来の短繊維を部分的に生じさせた後、その短繊維と、切断されな力た長繊維と力もなるウェブを、一対のロール 310, 311による引っ張りにより延伸させる。次いで、そのウェブの伸長状態を、一対のロール 310, 311とバキュームコンベア 32との間で緩和し、その緩和状態のウェブ上に、バキュームコンベア 32で反対側から吸引しつつ、吸水性ポリマー 13を供給する。そして、図示しないラップシート供給機構によりラップシートを供給して積層体を被覆した後、図示しな!、熱エンボス装置により接合部を形成し、次いで、吸収体一枚分の長さに切断する。

[0297] この製造方法によれば、長繊維と長繊維由来の短繊維を含む繊維集合体からなり、長繊維と短繊維とが混在している吸収体が得られる。この吸収体においては、短繊維同士が接合された接合部において短繊維と長繊維とも接合されている。

[0298] 本発明における繊維集合体に不織布を用いる場合、該繊維集合体は、その全体が不織布であっても、不織布と不織布でな、繊維の組み合わせであっても良、。短繊維を主体として構成される不織布と、長繊維を主体として構成される不織布でない繊維層との組み合わせ力吸収性ポリマーの担持性、すなわち吸収体の薄型化や吸収体の強度、液の拡散性等の点で好まし、。

図 47は、短繊維からなる不織布（上部繊維層） 91を長繊維 121からなる下部繊維層 92の肌側に積層した例であり、短繊維は熱融着により不織布化されているとともに、エンボス処理が施されている。短繊維がエンボス処理された部分 15は繊維が圧密化し、液の引き込み性を向上させる。

図 48は、図 47における不織布（上部繊維層） 91を、帯状にして配した例である。長繊維 121からなる下部繊維層 92中の吸収性ポリマー 13は主に不織布 91の存在する部分に配置されている。

図 47及び図 48の下部繊維層 92は、何れも不織布化されていない繊維ウェブからなる。図 47及び図 48のにおいては、各図の左右方向が、長繊維の繊維の配向方向 (繊維集合体の長手方向）に直交する方向である。図 47及び図 48の実施形態の何れも、短繊維存在部にスポット吸収性を発現し、長繊維部で液を拡散する効果が期待できる。これによつて、吸収体全体を効率的に使うとともに、短繊維部分が液を着用者の肌力も遠ざける効果が期待できる。また、短繊維は不織布化されているので、吸収体全体の強度を高め、よれや吸収体の破壊が起こるのを防ぐ効果がある。 [0299] 本発明における短繊維同士の結合は、上述した熱エンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等に代えて、他の結合手段により短繊維同士を結合させたものであつても良い。例えば、短繊維を含む繊維集合体にエアスルー法による熱風処理を施すことにより短繊維同士を熱融着させても良い。具体的には、例えば、図 44に示す製造方法におけるエンボス装置 5の配置位置に、エンボス装置 5に代えてエアスルー方式の熱風処理機を配置し、それを用いた熱風処理により短繊維同士を熱融着させることちでさる。

また、上述したホットメルトや低融点の熱可塑性榭脂、各種バインダー等を用いて結合させることちでさる。

[0300] 本発明の吸収体は、液透過性の表面シートと、防漏性 (液透過性な！/ヽし撥水性)の裏面シートとの間に配して、使い捨ておむつ等の吸収性物品の吸収体として用いることが好ましい。また、本発明の吸収体は、従来の使い捨ておむつ等における一般的な構成の吸収体と表面シートとの間に配し、いわゆるサブレイヤーないしセカンドシートとして使用するものであっても良い。

また、エンボス加工により形成する接合部の平面視形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、星型等の任意の形状とすることができる。また、多数の接合部 15 の配置は、千鳥状に限られず、例えば、図 49に示すような配置であっても良い。図 49に、接合部の平面視形状及び配置について幾つかの例を示した。図 49中、 X方向が長繊維の配向方向である。

[0301] 上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。

[0302] 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。し力しながら本発明の範囲はか力る実施例に制限されるものではな、。

[0303] 〔実施例 1〕

先ず、捲縮したアセテート長繊維のトウを用意した。この長繊維の繊維径は 2. ldte Xであった。トウの全繊維量は 2. 5万 dtexであった。このトウを、伸張下に搬送し空気開繊装置を用いて開繊し、開繊ウェブを得た。次いで、多数の円盤が軸周りに所定間隔おきに組み込まれたロールと、平滑な受けロールとの間に開繊ウェブを通して、該ウェブを梳いた。その後、幅 100mmに調節し、その搬送速度を減速した状態でバキュームコンベア上に転写し、当該バキュームコンベア上でのウェブの張力を緩めて捲縮を発現させた。ウェブ中の繊維の捲縮率は 30%、 1cm当たりの捲縮数は 15個であった。これによつて長繊維間の空間を広げ、吸収性ポリマーを入り込ませ易くし、またウェブを厚くして吸収性ポリマーの埋没担持性を向上させた。ウェブ上に幅 80m mで吸収性ポリマーを散布し、該吸収性ポリマーを開繊ウェブ中に埋没担持させた。ウェブの坪量は 25gZm²、吸収性ポリマーの坪量は 132gZm²であった。

[0304] 次に、開繊したフラッフパルプ 100重量部と吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合したものを T字状の型の上に積繊し、合計坪量 300gZm²の積繊体を得た

T字状の型は、脚部の幅が 100mmで、長さが 100mm、横架部の幅が 125mmで、長さが 100mmあった。積繊体におけるフラッフパルプ及び吸収性ポリマーの坪量はそれぞれ 150g/m²であった。積繊体上にウェブを重ね、これら全体をホットメルト粘着剤をスプレー塗工した坪量 16g/m²のティッシュペーパーで包みこんだ。その後、金属ロールゴムロール間で圧縮を行い（2つのロール間のクリアランスは Omm に設定した。）、ウェブとティッシュペーパーを一体ィ匕するとともに、ウェブが圧縮され、吸収性ポリマーによってウェブの構成繊維を切断し、吸収体を得た。

このウェブ (繊維集合体ないし長繊維のウェブ）は、塊状の吸収性ポリマーと短繊維を含有しており、それらは、概ね図 6 (d)に示す態様で分布していた。

吸収体における短繊維の分布は、幅方向中央部 80mm (吸収性ポリマーを散布した位置）に偏って存在した。ウェブ幅方向中央領域の短繊維の存在割合は 86% (長繊維が 14%)、ウェブ幅方向両端部の短繊維の存在割合は 18%であった。

[0305] (繊維分部の測定法）

吸収体長手方向中央部付近、肌当接面力も無作為に 100本の繊維を引き出し、 JIS L1015の平均繊維長測定方法 (C法）にしたがって繊維長を測定した。得られた測定データからヒストグラムを作成し、繊維長 70m未満の繊維の割合を短繊維の存在割合として算出した。 [0306] 〔実施例 2〕

実施例 1におけるウェブへの吸収性ポリマーの散布位置を長手方向に間欠に散布 (長手方向前側から 100mmの位置から、 350mmの位置に至るまでの範囲に、幅方向中央部 80mmの幅で散布した。すなわち、散布面積は幅 80mm X長さ 250mm) し以外は実施例 1と同様にして、吸収性ポリマーを開繊ウェブ中に埋没担持させた。次に、開繊したフラッフノルプを T字状の型の上に積繊し、坪量 lOOgZm²の積繊体を得た。 T字状の型は、実施例 1と同様のものである。積繊体上にウェブを重ね、これら全体を親水化処理した坪量 16gZm²のスパンボンドメルトブローンメルトブローンースパンボンド不織布（SMMS)を用いて包み込み、吸収体を得た。該吸収体は実施例 1と同様に金属ロールゴムロール間で圧縮を行い、ウェブの圧縮に伴つて吸収性ポリマーでウェブの構成繊維が切断されている。

このウェブ (繊維集合体ないし長繊維のウェブ）は、塊状の吸収性ポリマーと短繊維を含有しており、それらは、概ね図 6 (a)に示す態様で分布していた。

吸収体における短繊維は、吸収性ポリマーを散布した位置で 78% (長繊維が 22% )、ポリマー非散布領域で 12%であった。

[0307] 〔実施例 3〕

実施例 1で用いたものと同じ吸収性ポリマーを埋没担持させたウェブ P1を作成した次に、芯がポリプロピレン、鞘がポリエチレン力もなる複合繊維（3. 3dtex、 51mm カット、繊維表面には表面を親水化し、静電気の発生を抑えるための界面活性剤処理が施されている。）をカードにかけて、坪量が 30gZm²となるようにウェブ化（P2)した。得られた合成繊維ウェブ P2を、吸収性ポリマーを埋没担持させたウェブ P1に重矛 /こ。

[0308] 次に、ホットメルト粘着剤をスプレー塗工した坪量 16gZm²のティッシュペーパー上に、フラッフパルプ 100重量部と吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合したものを T字状の型の上に積繊して得られた、合計坪量 300gZm²の積繊体 (実施例 1で用いたものと同じもの）を重ねた。

さらに、上記、 P1と P2の積層体を重ね、さらに上力もホットメルト粘着剤をスプレー塗ェした坪量 16g/m²のティッシュペーパーを重ねて、全体を包みこんだ。

吸収体における短繊維の分布は、厚み方向肌側の短繊維の存在割合は 100%、ウェブ厚み方向裏面材側の短繊維の存在割合は 4% (加工工程で意図せずに切断されたものと考えられる）であった。

[0309] 〔比較例 1〕

開繊したフラッフパルプ 100重量部と吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量 520gZm²の積繊体を得た。フラッフパルプ及び吸収性ポリマーの坪量はそれぞれ 260g/m²であった。得られた積繊体を坪量 16g/m²のティッシュペーパーで包み吸収体を得た。積繊体とティッシュペーパーの間に、ホットメルト粘着剤 5gZm²をスプレー塗工し、両者を接着した。これら以外は実施例 1と同様にして吸収体を得た。

[0310] 〔比較例 2〕

比較例 1と同様に、開繊したフラッフパルプ 100重量部と吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量 300gZm²の積繊体を得た。フラッフパルプ及び吸収性ポリマーの坪量はそれぞれ 150gZm²であった。それ以外は比較例 1と同様にして吸収体を得た。これら以外は実施例 1と同様にして吸収体を得た。

[0311] 〔比較例 3〕

実施例 1において、ロールでの圧縮、すなわち、繊維の切断を行わな力つた以外は、実施例 1と同様に吸収体を作成した。

[0312] 〔性能評価〕

実施例及び比較例で得られた吸収体について以下の方法で吸収容量を測定し、また構造安定性及び柔軟性を評価した。それらの結果を以下の表 1に示す。

[0313] 〔吸収容量〕

得られた吸収体を 45° の傾斜版に固定し、吸収体の上方側の端部から 200mmの位置に生理食塩水を一定量、一定間隔ごとに繰り返し注入し、吸収体の下方側の端部からもれだすまでの注入量を比較した。比較例 1の吸収容量を 1. 0とした時の相対値を以下の計算式を用いて算出した。

吸収容量 (相対値） = (サンプルの吸収容量) Z (比較例 1の吸収容量） [0314] 〔構造安定性〕

(1)ドライ時

100 X 200mmに作製した吸収体の中央部を切断し、 100 X 100mmの吸収体を得た。切断面を真下にして、振幅 5cmで 1回 Z1秒の速度で 20回振動を与えたとき、切断面からの落下したポリマーの量を測定した。以下の判断基準に従って吸収性ポリマーの埋没担持性を評価した。

混合した吸収性ポリマーのうち、

〇：脱落した吸収性ポリマーの割合が 10%以下である。

△：脱落した吸収性ポリマーの量が 10%を超え、 25%以下である。

X：脱落した吸収性ポリマーの量が 25%を超える。

(2)ウエット時

100 X 200mmに切断した吸収体全面に、生理食塩水 200gをほぼ均等に吸収させた後、静かに吸収体を持ち上げたとき、吸収体が破壊しないかどうかを目視判定した。また、脱落した吸収性ポリマーの重量を測定し、別途測定しておいた脱落した吸収性ポリマー単位重量あたりの遠心保持量で除することで脱落した吸収性ポリマーのドライ時の重量を算出する。さらに、吸収性ポリマーの配合量との関係から脱落した吸収性ポリマーの割合を算出する。なお、吸収性ポリマーの配合量は、あらかじめ重量を測定してぉ、た分析対象の吸収体をァスコルビン酸の水溶液に浸漬させ、十分な時間日光暴露をして、吸収性ポリマーを完全に分解させる。水洗と分解を繰り返し、吸収性ポリマーが完全に溶解した後乾燥させ、前記分解前の吸収体重量の差から吸収性ポリマーの配合量を見積もることができる。

〇：脱落した吸収性ポリマーの割合が 10%以下であり、吸収体の破壊がない。 △:脱落した吸収性ポリマーの割合が 10%を超え、 25%以下であり、吸収体の破壊がない。

X：脱落した吸収性ポリマーの割合が 25%を超える、あるいは吸収体が破壊する。

[0315] 〔柔軟性〕

ハンドルォ 'メーターを用いて吸収体の柔軟性を評価した。ハンドルォ 'メーターの測定値は、その数値が小さい程、装着しやすさやフィット性が良好であることを示す。ハンドルォ 'メーターによる測定方法は次の通りである。 JIS L1096 (剛軟性測定法 )に準じて測定を行う。幅 60mmの溝を刻んだ支持台上に、長手方向に 150mm、幅方向に 50mm切断した吸収体を、溝と直交する方向に配置する。吸収体の中央を厚み 2mmのブレードで押した時に要する力を測定する。本発明で用いた装置は、大栄科学精機製作所製、風合い試験機 (ハンドルォ 'メーター法)、 HOM— 3型である。 3 点の平均値を測定値とする。得られた測定値に基づき、以下の基準に従って柔軟性を評価した。

〇：ノヽンドルォ 'メーターの測定値が 2N以下である。

△：ノヽンドルォ 'メーターの測定値が 2Nを超え、 4N以下である。

X：ハンドルォ 'メーターの測定値力 Νを超える。

[0316] 〔拡散異方性〕

吸収体を平面において、吸収体中央部より液を注入したときの拡散の形状を、長軸側と短軸側の距離の違いで評価した。液の注入は、所定の量 (40gZ回、 5g/sec) を注入し、吸収終了後 5分後に拡散面積の長軸側と短軸側の長さを測定した。

また、肌当接面と吸収体内部あるいは、吸収体中央部と吸収体短部など、吸収体の部分部分で拡散性が異なる場合は両方の値を測定した。

得られた測定値のうち最も拡散性の異なった測定値をもとに、下記基準に基づき判定を行った。

〇：拡散面積の長軸側と短軸側の長さの比が、長軸側 Z短軸側で 1. 5以上である △:拡散面積の長軸側と短軸側の長さの比が、長軸側 Z短軸側で 1. 2以上 1. 5未満である

X：拡散面積の長軸側と短軸側の長さの比が長軸側 Z短軸側が 1. 0以上 1. 2未満である

[0317] [表 1]

[0318] 以上のように、実施例の吸収体は拡散異方性を有し、あるいはまた、それぞれ拡散性が異なる部分有する吸収体であることが判る。

[0319] 〔実施例 11〕

先ず、捲縮したアセテート長繊維のトウを用意した。この長繊維の繊維径は 2. ldte

Xであった。トウの全繊維量は 2. 5万 dtexであった。このトウを、伸張下に搬送し空気開繊装置を用いて開繊し、開繊ウェブを得た。次いで、多数の円盤が軸周りに所定間隔おきに組み込まれたロールと、平滑な受けロールとの間に開繊ウェブを通して、該ウェブを梳いた。その後、幅 100mmに調節し、その後、ウェブの搬送速度を減速した状態でバキュームコンベア上に転写し、当該バキュームコンベア上でのウェブの張力を緩めて捲縮を発現させた。ウェブ中の繊維の捲縮率は 30%、 1cm当たりの捲縮数は 15個であった。これによつて長繊維間の空間を広げ、高吸収性ポリマー（ポリアクリル酸系高吸収性ポリマー。花王製、平均粒径 350 m、塊状、力さ密度 0. 68g /cm )を入り込ませ易くし、またウェブを厚くして高吸収性ポリマーの埋没担持性を向上させた。図 28(a)〜図 28 (c)に示すように、ウェブ上に幅 80mmで高吸収性ポリマーを散布量を変化させながら散布し、該高吸収性ポリマーを開繊ウェブ中に埋没担持させた。ウェブの坪量は 35gZm²とし、高吸収性ポリマーの坪量は 25〜135g Zm²の範囲で連続的に変化させた〔図 28 (c)参照〕。より詳しくは、吸収体長手方向腹側端部が最も坪量の低い 25gZm²となるように設定し、最も坪量の高い 135gZm ²の部分が 200mm背側に設定、その後、徐々に坪量を落とし、吸収体長手方向背側端部で最も坪量の低、25gZm²と

なるように設定した。

次に、開繊したフラッフパルプ 100重量部と高吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合したものを略 T字状の型の上に積繊し、合計坪量 300gZm²の積繊体を得た。 T字状の型は、脚部の幅が 100mm (股下部のみ 70mm、横架橋部から 100m mの長さ）で、長さ力 300mm、横架部の幅が 125mmで、長さが 100mmあった。積繊体におけるフラッフノルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ 150gZm²であつた。積繊体上にウェブを重ね、これら全体をホットメルト粘着剤をスプレー塗工した坪量 16gZm²のティッシュペーパーで包みこんだ。その後、金属ロールゴムロール間で圧縮を行い（2つのロール間のクリアランスは Ommに設定した。）、ウェブとテイツシュペーパーを一体ィ匕するとともに、ウェブが圧縮され、高吸水性ポリマーによってゥエブの構成繊維を切断した。

得られた吸収体肌当接面側からティッシュベーを剥がし、前記繊維長の測定方法に則り、繊維の長さを測定した。得られた吸収体中の繊維を、第 1発明の基準により第 1 〜第 4の繊維群に区分したときに各繊維群に区分される繊維の割合は、以下の通りであった。

第 1の繊維群に区分される繊維 (繊維長 100mm未満）： 10%

第 2の繊維群に区分される繊維 (繊維長 100mm以上 200mm未満）： 30% 第 3の繊維群に区分される繊維 (繊維長 200mm以上 300mm未満） :43% 第 4の繊維群に区分される繊維 (繊維長 300mm以上）： 17%

[0321] 〔実施例 12〕

実施例 11におけるウェブへの高吸収性ポリマーの散布位置を図 29に示したパターンで散布した（長さ X幅 =60 X 30mmのユニットを基本構造とし、長手方向は 20 mm、幅方向は 10mmピッチをあけて複数の基本ユニットを配した)。高吸収性ポリマ一の散布坪量は 150gZm²であった。それ以外は実施例 11と同様にして、高吸収性ポリマーを開繊ウェブ中に埋没担持させた。次に、開繊したフラッフノルプを略丁字状の型の上に積繊し、坪量 lOOgZm²の積繊体を得た。 T字状の型は、実施例 11と同様のものである。積繊体上にウェブを重ね、これら全体を親水化処理した坪量 16g Zm²のスパンボンドメルトブローンメルトブローンスパンボンド不織布（SMM S)を用いて包み込み、吸収体を得た。該吸収態は実施例 11と同様に金属ロールゴムロール間で圧縮を行、、ウェブの圧縮に伴って高吸水性ポリマーでウェブの構成繊維が切断された。

得られた吸収体中の繊維を、実施例 11と同様の基準で区分した。各繊維群に区分される繊維の割合を表 1中に示した。

[0322] 〔実施例 13〕

実施例 11と同様のウェブを幅 100mmを調整した後、互ヽにピッチの異なる 2組のギアを通し、繊維を 2度にわたり切断した。その後、ウェブの搬送速度を減速し、以後、実施例 11と同様にして吸収体を得た。

[0323] 次に、ホットメルト粘着剤をスプレー塗工した坪量 16gZm²のティッシュペーパー上に、フラッフパルプ 100重量部と高吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合したものを T字状の型の上に積繊して得られた、合計坪量 300gZm²の積繊体 (実施例 11で用いたものと同じもの）を重ねた。

[0324] 〔比較例 11〕

開繊したフラッフパルプ 100重量部と高吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量 520gZm²の積繊体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ 260g/m²であった。得られた積繊体を坪量 16g/m²のティッシュペーパーで包み吸収体を得た。積繊体とティッシュペーパーの間に、ホットメルト粘着剤 5g,m²をスプレー塗工し、両者を接着した。繊維長は、平均 3mmであった。

[0325] 〔比較例 12〕

比較例 11と同様に、開繊したフラッフパルプ 100重量部と高吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量 300gZm²の積繊体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ 150gZm²であった。それ以外は比較例 11と同様にして吸収体を得た。繊維長は、平均 3mmであった。

[0326] 〔比較例 13〕

実施例 11の吸収体において、と同様に作成した吸収体において、ロールでの圧縮、すなわち、繊維の切断を行わな力た (短繊維を実質的に含まない構成とした)以外は、実施例 11と同様に吸収体を作成した。

[0327] 〔性能評価〕

実施例及び比較例で得られた吸収体について以下の方法で吸収容量及び表面液流れ距離を測定し、また、上述した方法で、構造安定性及び柔軟性を評価した。更に、以下の方法で、吸収体表面の拡散面積を測定した。それらの結果を以下の表 2 に示す。

[0328] 〔吸収容量と表面液流れ距離〕

得られた吸収体を 45° の傾斜板に固定し、吸収体の上方側の端部から 200mmの位置に生理食塩水を一定量、一定間隔ごとに繰り返し注入し、吸収体の下方側の端部からもれだすまでの注入量を比較した。比較例 11の吸収容量を 1. 0とした時の相対値を以下の計算式を用いて算出した。

吸収容量 (相対値） = (サンプルの吸収容量) Z (比較例 11の吸収容量）また、吸収毎に吸収体表面を流れた距離 (吸収の途中で液流れの距離が変化した場合は最大の距離)を求め、平均値を算出した。吸収容量は値が大きいほどより高性能である。また、液流れ距離は短いほどスポット吸収性が高いことを表す。

[0329] 〔吸収体表面の拡散面積〕

吸収体表面の拡散面積 (液拡がり面積)は、液注入終了 5分後に、その輪郭を透明シートに写し取って記録する。このとき、吸収体表面の液の拡がり方（実施例及び比較例においてはティッシュペーパー上の液の拡がり方）と吸収体内部での液拡がり方とが異なる場合には両方を記録する。必要に応じて、得られた画像を、画像解析処理ソフト（Image— Pro plus, Media Cybernetics社）を用いて処理し、拡散面積を求めた。拡散面積の評価は、比較例 11の拡散面積に対する相対値で表した。なお、着用者の肌への影響を考え、吸収体表面での拡散面積を評価値とした。

[0330] [表 2]

[0331] 〔実施例 21〕

先ず、捲縮したアセテート長繊維のトウを用意した。この長繊維の繊維径は 2. ldte Xであった。トウの全繊維量は 2. 5万 dtexであった。このトウを、伸長下に搬送し空気開繊装置を用いて開繊し、開繊ウェブを得た。次いで、多数の円盤が軸周りに所定間隔おきに組み込まれたロールと、平滑な受けロールとの間に開繊ウェブを通して、該ウェブを梳いた。その後、幅 100mmに調節し、かみ込み式のギアを用いてウェブの幅方向中央部（幅方向左右両端部を各 15mmを残した中央部分)を切断し、その後、ウェブの搬送速度を減速した状態でバキュームコンベア上に転写し、当該バキュ一ムコンベア上でのウェブの張力を緩めて捲縮を発現させた。ウェブ中の繊維の捲縮率は 30%、 1cm当たりの捲縮数は 15個であった。これによつて長繊維間の空間を広げ、高吸収性ポリマー（ポリアクリル酸系の塊状高吸収性ポリマー。花王製、平均粒径 350 m、力さ密度 0. 68g/cm³)を入り込ませ易くし、またウェブを厚くして高吸収性ポリマーの埋没担持性を向上させた。ウェブ上に幅 80mmで高吸収性ポリマ一を散布し、該高吸収性ポリマーを開繊ウェブ中に埋没担持させた。ウェブの坪量は 25gZm²、高吸収性ポリマーの坪量は 132gZm²であった。

[0332] 次に、開繊したフラッフパルプ 100重量部と高吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合したものを略 T字状の型の上に積繊し、合計坪量 300gZm²の積繊体を得た。 T字状の型は、脚部の幅が 100mm (股下部のみ 70mm、横架橋部から 100m mの長さ）で、長さ力 300mm、横架部の幅が 125mmで、長さが 100mmあった。積繊体におけるフラッフノルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ 150gZm²であつた。積繊体上にウェブを重ね、これら全体をホットメルト粘着剤をスプレー塗工した坪量 16gZm²のティッシュペーパーで包み込んだ。その後、金属ロールゴムロール間で圧縮を行い（2つのロール間のクリアランスは Ommに設定した。）、ウェブとテイツシュペーパーを一体化した。

[0333] 得られた吸収体から、フラッフパルプと高吸収性ポリマーの混合体を取り除き、長繊維と短繊維を含むウェブの配向度を、前記配向度の測定方法で測定した結果、繊維の配向度は 1. 34であった。吸収体における短繊維は、幅方向中央部 80mm (高吸収ポリマーを散布した位置）に偏って存在していた。ウェブ幅方向中央領域の短繊維の存在割合は 86% (長繊維が 14%)、ウェブ幅方向両端部の短繊維の存在割合は 18%であった。短繊維及び長繊維の分布は以下の方法で測定した。

[0334] 〔繊維分布の測定法〕

吸収体長手方向中央部付近の肌当接面力無作為に 100本の繊維を引き出し、 JI S L1015の平均繊維長測定方法 (C法）に従って繊維長を測定した。得られた測定データからヒストグラムを作成し、繊維長 70m未満の繊維の割合を短繊維の存在割合として算出した。

[0335] 表面シートとして坪量 25gZm²のエアスルー不織布を用いた。エアスルー不織布は、芯がポリプロピレン、鞘が直鎖状低密度ポリエチレン力もなる芯鞘型複合繊維（太さ 2. 3dtex、界面活性剤で表面を親水処理し液透過性を有する）から構成されていた。裏面シートとして坪量 20gZm²の多孔質フィルムに、坪量 20gZm²のポリプロピレン製スパンボンド不織布をホットメルト 1. 5g/m²で接着して複合ィ匕したものを用いた。多孔質フィルムは、密度 0. 925g/cm²の直鎖状低密度ポリエチレン榭脂 100 重量部に、炭酸カルシウム 150重量部、及び第三成分としてエステル化合物 4重量部を均一混合したものを、インフレーション成形した後、縦方向に 2倍に一軸延伸したフィルムであった。それ以外は通常の使!、捨ておむつの製造方法に従ヽ使、捨ておむつを得た。吸収体は、ウェブの配向方向力おむつの長手方向に一致するように、且つ長繊維のウェブの側が着用者の肌に対向するように配した。

[0336] 〔実施例 22〕

実施例 21におけるウェブへの高吸収性ポリマーの散布位置を長手方向に間欠にした（長手方向前側から 100mmの位置から、 350mmの位置に至るまでの範囲に、幅方向中央部 80mmの幅で散布した。すなわち、散布面積は幅 80mm X長さ 250 mm)以外は実施例 21と同様にして、高吸収性ポリマーを開繊ウェブ中に埋没担持させた。その後、実施例 21と同じようにかみ込み式のギアを用いてウェブの幅方向中央部（幅方向左右両端部を各 15mmを残した中央部分)を切断した。次に、開繊したフラッフパルプを略 T字状の型の上に積繊し、坪量 100g/m²の積繊体を得た。 T字状の型は、実施例 21と同様のものである。積繊体上にウェブを重ね、これら全体を親水化処理した坪量 16gZm²のスパンボンドメルトブローンメルトブローンスパンボンド不織布（SMMS)を用いて包み込み、吸収体を得た。該吸収体を、実施例 21と同様に金属ロール—ゴムロール間で圧縮した。

[0337] 得られた吸収体から、フラッフパルプと高吸収性ポリマーの混合体を取り除き、長繊維と短繊維を含むウェブの配向度を、前記配向度の測定方法に測定した結果、繊維の配向度は 1. 29であった。吸収体における短繊維は、高吸収ポリマーを散布した位置で 78% (長繊維が 22%)、ポリマー非散布領域で 12%であった。それ以外は実施例 21と同様にして使い捨ておむつを得た。

[0338] 〔実施例 23〕

実施例 21で用いたものと同じ高吸収性ポリマーを埋没担持させたウェブ P1を作製した。ウェブ P1の繊維の配向度は 1. 41であった。次に、芯がポリプロピレン、鞘がポリエチレンカゝらなる複合繊維（3. 3dtex、 5 lmmカット、繊維表面には表面を親水化し、静電気の発生を抑えるための界面活性剤処理が施されている。）をカード機にかけて、坪量が 30gZm²となるようにウェブ化（P2)した。得られたウェブ P2は、 135°C の熱風で処理し、繊維同士を融着、その後、 2つのロール間の速度比を利用して長手方向に延伸した状態で高吸収性ポリマーを埋没担持させたウェブ P1に重ねた。

[0339] 次に、ホットメルト粘着剤をスプレー塗工した坪量 16gZm²のティッシュペーパー上に、フラッフパルプ 100重量部と高吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合したものを T字状の型の上に積繊して得られた、合計坪量 300gZm²の積繊体 (実施例 21で用いたものと同じもの）を重ねた。更に、前記の P1と P2の積層体を重ね、その上からホットメルト粘着剤をスプレー塗工した坪量 16gZm²のティッシュペーパーを重ねて、全体を包み込んだ。ウェブ P1と P2の積層体の繊維の配向度は 1. 33であった。また、吸収体における短繊維の分布は、厚み方向肌側の短繊維の存在割合は 100%、ウェブ厚み方向裏面材側の短繊維の存在割合は 4% (加工工程で意図せずに切断されたものと考えられる）であった。この吸収体は、ウェブ P1の側が着用者の肌に対向するようにおむつに組み入れられた。それ以外は実施例 21と同様にして使、捨ておむつを得た。

[0340] 〔比較例 21〕

開繊したフラッフパルプ 100重量部と高吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量 520gZm²の積繊体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ 260g/m²であった。得られた積繊体を坪量 16g/m²のティッシュペーパーで包み吸収体を得た。積繊体とティッシュペーパーの間に、ホットメルト粘着剤 5gZm²をスプレー塗工し、両者を接着した。吸収体全体の坪量は 562gZm²、厚さは 4. 3mmであった。吸収体中の繊維の配向度は 1. 05であった。これら以外は実施例 21と同様にして使い捨ておむつを得た。

[0341] 〔比較例 22〕

比較例 21と同様に、開繊したフラッフパルプ 100重量部と高吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量 300gZm²の積繊体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ 150gZm²であった。それ以外は比較例 1と同様にして吸収体を得た。吸収体全体の坪量は 342gZm²、厚さは 2. 6mmであつた。これら以外は実施例 21と同様にして使い捨ておむつを得た。吸収体中の繊維の配向度は 1. 10であった。

[0342] 〔比較例 23〕

実施例 21と同様に作製した吸収体において、ロールでの圧縮、即ち繊維の切断を行わな力た (短繊維を実質的に含まない構成とした)以外は、実施例 21と同様に吸収体を作製した。これら以外は実施例 21と同様にして使い捨ておむつを得た。

[0343] 〔性能評価〕

実施例及び比較例で得られた吸収体について上述した方法で吸収容量及び表面液流れ距離を測定した。但し、吸収容量は、比較例 21の吸収容量を 1. 0とした相対値を求めた。また、上述した方法で、各吸収体の構造安定性及び柔軟性を評価した。それらの結果を以下の表 3に示す。

[0344] [表 3]

[0345] 〔実施例 31〕

先ず、捲縮したアセテート長繊維のトウを用意した。この長繊維の繊維径は 2. ldte x、トウの全繊維量は 2. 5万 dtexであった。このトウを、伸長下に空気開繊装置を用いて開繊して開繊ウェブを得た。更に、多数の円盤が軸周りに所定間隔おきに組み込まれたロールと、平滑な受けロールとの間に開繊ウェブを通して、該ウェブを梳ぃた。その後、ウェブを幅 100mmに調節し、その搬送速度を減速した状態でバキュームコンベア上に転写し、当該バキュームコンベア上でのウェブの張力を緩めて捲縮を発現させた。ウェブの捲縮率は 30%、 1cm当たりの捲縮数は 15個であった。ウェブ上に吸収性ポリマー 130gZm²を幅方向中央の 70mm幅の領域に散布し、該ポリマ一の粒子が開繊ウェブ中に埋設担持された第 1ウェブ piを得た。吸収性ポリマーは、サンダイヤポリマー (株）の塊状のもの（IM930)を用いた。

以後、この操作と同様の操作をもう一度繰り返して、吸収性ポリマーの粒子が埋没担持されたウェブ力もなる第 2ウェブ p2を得た。このようにして得られた第 1ウェブ pi と第 2ウェブ p2の間に、坪量 50g/m²のフラッフパルプ層を挟み、更に、第 2ウェブ p 2の下に坪量 100g/m²のフラッフパルプ層を配した。第 2ウェブ及び 2つのフラップパルプ層それぞれの幅は、第 1ウェブと同じ 100mmとした。

[0346] これら全体を、ホットメルト粘着剤 5gZm²をスプレー塗工した坪量 16gZm²のテイツシュペーパーで包み、吸収体 p3を得た。吸収体においては、肌から最も遠い面側に、坪量 lOOgZm²のフラッフパルプ層が位置している。吸収体全体の坪量は 390gZ m²、厚さは 2. 2mmであった。また各開繊ウェブの坪量は 13g/m²であった。一方が弾性素材、もう一方が硬質素材力なる一対の平滑ロールの間に、該吸収体 p3を通し、幅方向中央の 70mm幅の部分のみ長繊維トウを切断した。その後、外周面に多数の凸部を有する加熱されたエンボスロールと平滑な受けロールとの間を通して熱ェンボス加工を施し、切断されて生じた短繊維同士を互いに結合させた。各エンボスの形状は円形で直径 0. 5cm、千鳥状に 0. 5cmのピッチでエンボスを施した。

[0347] 吸収体は、ウェブの配向方向力おむつの長手方向に一致するように想定して評価を行った。

[0348] 〔実施例 32〕吸収性ポリマーの散布坪量を l lOgZm²とした以外は実施例 31と同様に吸収性ポリマーの粒子が開繊ウェブ中に埋没担持されたウェブ piを得た。次に、開繊したフラッフパルプ 100重量部と吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量 300gZm²の混合体 mを得た。混合体におけるフラッフノルプ及び高吸収ポリマ一の坪量はそれぞれ 150gZm²であった。ウェブ piに混合体 mを重ね、これらを親水化処理した坪量 16gZm²のスパンボンドメルトブローンスパンボンド不織布（S MS)を用いて包み込み、吸収体を得た。吸収体全体の坪量は 362gZm²、厚さは 2 mmであった。それ以外は実施例 31と同様にして吸収体を得た。

[0349] 〔実施例 33〕

実施例 32において、長繊維の繊維径を 6. 7dtex、トウの全繊維量を 1. 7万 dtex、ウェブ中の長繊維の捲縮率を 24%、 1cm当たりの捲縮数を 10個にし、ウェブの平均坪量を 30gZm²とした以外は実施例 32と同様にして積層体を得た。それ以外は実施例 32と同様にして吸収体を得た。

[0350] 〔比較例 31〕

開繊したフラッフパルプ 100重量部と吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量 520gZm²の積繊体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ 260g/m²であった。得られた積繊体を坪量 16g/m²のティッシュペーパーで包み吸収体を得た。積繊体とティッシュペーパーの間に、ホットメルト粘着剤 5gZm2をスプレー塗工し、両者を接着した。これら以外は実施例 31と同様にして吸収体を得た。

[0351] 〔比較例 32〕

比較例 31と同様に、開繊したフラッフパルプ 100重量部と吸収性ポリマー 100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量 300gZm²の積繊体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ 150gZm²であった。それ以外は比較例 31と同様にして吸収体を得た。これら以外は実施例 31と同様にして吸収体を得た。

[0352] 〔比較例 33〕

実施例 31において、ロールでの圧縮、すなわち、繊維の切断を行わな力つた以外は、実施例 31と同様に吸収体を作成した。 [0353] 〔性能評価〕

実施例及び比較例で得られた吸収体について以下の方法で吸収容量を測定し、また構造安定性及び柔軟性を評価した。

[0354] 〔吸収容量〕

上述した方法により測定した。但し、比較例 31の吸収容量を 1. 0とした時の相対値を求めた。

[0355] 〔構造安定性〕

(1)ドライ時

上述した方法により測定し評価した。

[0356] (2)ウエット時

上述した方法により測定し評価した。

[0357] (3)吸収体の破壊強度 (ウエット時）

吸収体を長手方向 X幅方向 = 100mm X 70mmに切断し、生理食塩水を 1. OgZ cm2の割合で吸収させる。吸収性ポリマーにより吸収が完了した後、（概ね表面が白色化した後）、両端をクリップで挟んで、テンシロン (オリエンテック、 RTC— 1150A型 )にて引張り速度 300mmZminで破断強度を測定した。測定は 5点行い、その平均値を測定値とした。このとき、台紙はカッター等で切断しておき、台紙の強度が測定値に反映されな、ようにする。

[0358] 〔表面の拡散性〕

表面材を配した吸収体を平面に置、て、吸収体中央部より液を注入したときの表面材表面の拡散の形状を評価した。液の注入は、所定の量 (40gZ回、 5gZsec)を注入し、吸収終了後 5分後に拡散の状態を透明シートに写し取り、画像解析処理を行うことで拡散面積を測定した。

また、肌当接面と吸収体内部あるいは、吸収体中央部と吸収体短部など、吸収体の部分部分で拡散性が異なる場合は肌当接面の値を測定した。

得られた測定値を、比較例 1の吸収体の拡散面積で除して、すなわち、比較例 31の値を 1. 0としたときの値の相対値で表した。 1. 0よりも大きな値となった場合は拡散面積がより広くなつたものとする。下記基準に基づき判定を行った。〇：拡散面積が比較例 31の値に対して 0. 8以下である

△:拡散面積が比較例 31の値に対して 0. 8を超え、 1. 0未満である

X：拡散面積が比較例 31の値に対して 1. 0以上である（同等以上の拡散性を有する

)

[表 4]

w」」 Φ * s「1。

表 4から、実施例の吸収体は拡散異方性を有し、あるいはまた、それぞれ拡散性が異なる部分を有する吸収体であることが判る。産業上の利用可能性

[0361] 本発明の吸収体は、柔軟で吸収性能に優れ、液の拡散を制御して液漏れを効率よく防止することができ、製造も容易である。

本発明の吸収体の製造方法によれば、そのような吸収体を効率よく製造可能である。

[0362] 第 1又は第 2発明の吸収体は、柔軟であり、スポット吸収性に優れ、使用中の加わる外力により破壊やョレが生じにくい。また、本発明の吸収体の製造方法は、そのような吸収体を効率よく製造可能である。

[0363] 第 3発明の吸収体は、液の拡散を制御して液漏れを効率よく防止することができる

Claims

請求の範囲

[I] 長繊維と合成又は半合成繊維である短繊維を含む繊維集合体を含んでなる吸収体。

[2] 長繊維と短繊維とが混在している請求の範囲第 1項記載の吸収体。

[3] 長繊維と短繊維は、前記吸収体の平面方向又は厚み方向における異なる部位に偏在している請求の範囲第 1項又は第 2項記載の吸収体。

[4] 吸収性ポリマーを含有し、該吸収性ポリマーは、前記吸収体の平面方向又は厚み方向における特定の部位に偏在している請求の範囲第 1項〜第 3項の何れかに記載の吸収体。

[5] 塊状の粒子を含有し、該粒子は、前記吸収体の平面方向又は厚み方向における特定の部位に偏在しており、

前記粒子は、前記短繊維と同じ部位に存在している請求の範囲第 1項〜第 3項の何れかに記載の吸収体。

[6] 前記短繊維は、前記長繊維が切断されて形成された請求の範囲第 1項〜第 4項の何れかに記載の吸収体。

[7] 前記短繊維は、繊維強度が、 3gZd以下である請求の範囲第 6項記載の吸収体。

[8] 前記短繊維は、該繊維の末端の断面形状と、繊維中央部の断面形状が異なる請求の範囲第 6項又は第 7項記載の吸収体。

[9] 長繊維のウェブと該ウェブ中に含まれる塊状の粒子とを有する吸収体であって、前記ウェブの平面方向における前記粒子が分布する範囲の少なくとも一部に、前記長繊維が切断されて多数の短繊維が生じている吸収体。

[10] 前記粒子は、前記吸収体の平面方向又は厚み方向の一部に偏在している請求の範囲第 9項記載の吸収体。

[II] 前記粒子が、吸収性ポリマーである請求の範囲第 9項又は第 10項記載の吸収体。

[12] 前記吸収体の平面方向において、前記粒子が分布する範囲と前記短繊維が生じている範囲とがー致している力、又は該粒子が分布する範囲に前記短繊維が生じて V、る範囲が含まれて、る、請求の範囲第 9項〜第 11項の何れか記載の吸収体。

[13] 前記繊維集合体、又は塊状の粒子を含む前記長繊維のウェブに、構成繊維が短繊維のみ力もなる繊維集合体が更に積層されている請求の範囲第 1項〜第 12項の何れかに記載の吸収体。

[14] 構成繊維が短繊維のみからなる前記繊維集合体が、更に吸収性ポリマーを含むことを特徴とする請求の範囲第 13項記載の吸収体。

[15] 長繊維と合成又は半合成繊維である短繊維を含む前記繊維集合体中又は塊状の粒子を含む前記長繊維のウェブ中にぉ、ては、構成繊維同士が結合されて、なヽ請求の範囲第 1項〜第 14項の何れか記載の吸収体。

[16] 長繊維のウェブと該ウェブ中に含まれる塊状の粒子とを有し、該ウェブの一部に、前記長繊維が切断されて多数の短繊維が生じている吸収体の製造方法であって、親水性を有する長繊維のウェブの塊状の粒子を散布した後、該粒子を散布した範囲の少なくとも一部を厚み方向に加圧し、該一部における前記長繊維を前記粒子に押し当てて切断させる、吸収体の製造方法。

[17] 請求の範囲第 1項〜第 15項の何れかに記載の吸収体を具備する吸収性物品であつて、

着用時に着用者の排泄部に対向配置される部位に、前記短繊維が存在する吸収性物品。

[18] 繊維ウェブを含む吸収性コアを具備し、該繊維ウェブは、合成又は半合成繊維を主体として構成されており、合成又は半合成繊維である構成繊維を、該吸収性コアの全長に対する繊維長の比に応じて、該比が 1Z4未満である第 1の繊維群と、該比力 1Z4以上 2Z4未満である第 2の繊維群と、該比が 2Z4以上 3Z4未満である第 3 の繊維群と、該比が 3Z4以上である第 4の繊維群とに区分したとき、第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維を含んでいる吸収体。

[19] 繊維ウェブを含む吸収性コアを具備し、該繊維ウェブは、合成又は半合成繊維を主体として構成されており、合成又は半合成繊維である構成繊維を、繊維長が 25m m未満である第 1の繊維群と、繊維長が 25mm以上 50mm未満である第 2の繊維群と、繊維長が 50mm以上 100mm未満である第 3の繊維群と、繊維長が 100mm以上である第 4の繊維群とに区分したとき、第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維を含んで、る吸収体。

[20] 前記繊維ウェブに含まれる 1以上の繊維群の繊維が捲縮している請求の範囲第 1

8項又は第 19項記載の吸収体。

[21] 前記繊維ウェブに含まれる 3以上の繊維群の繊維が混在している請求の範囲第 1

8項〜第 20項の何れか記載の吸収体。

[22] 前記繊維ウェブに含まれる 3以上の繊維群の繊維は、各繊維群中に繊維長の分布を有している請求の範囲第 18項〜第 21項の何れかに記載の吸収体。

[23] 前記繊維ウェブが更に高吸収性ポリマーを含む請求の範囲第 18項〜第 22項の何れかに記載の吸収体。

[24] 請求の範囲第 18項〜第 23項の何れかに記載の吸収体の製造方法であって、長繊維のウェブに粒子を散布した後、該ウェブを厚み方向に加圧する切断工程を具備し、該切断工程においては、前記長繊維を、前記粒子に押し当て、前記第 1〜第 4の繊維群のうちの 3以上の繊維群の繊維が生じるように様々な長さに切断する、吸収体の製造方法。

[25] 請求の範囲第 18項〜第 23項の何れかに記載の吸収体の製造方法であって、長繊維のウェブに、複数の第 1切断部を形成する第 1切断工程、第 1切断部を形成したウェブに、第 1切断部とは異なるパターンで複数の第 2切断部を形成する第 2切断工程を具備する、吸収体の製造方法。

[26] 請求の範囲第 1項〜第 6項の何れかに記載の吸収体の製造方法であって、

長繊維のウェブに、切断用突起がランダムに配置されてなる切断部材を押し付け、該長繊維を、様々な長さの繊維が生じるように切断する切断工程を具備する、吸収体の製造方法。

[27] 短繊維及び長繊維を含むウェブを備えた吸収体であって、該短繊維は吸収体の平面内の一方向に配向しており、且つ該ウェブの構成繊維全体の配向度が 1. 2以上である吸収体。

[28] 短繊維の配向度が 1. 2以上である請求の範囲第 27項記載の吸収体。

[29] 長繊維が吸収体の平面内の一方向に配向しており、長繊維の配向方向と短繊維の配向方向とがー致している請求の範囲第 27項又は第 28項記載の吸収体。

[30] 長繊維の配向度が 1. 2以上である請求の範囲第 29記載の吸収体。

[31] 短繊維と長繊維とが混在している請求の範囲第 27項ないし第 30項の何れかに記載の吸収体。

[32] 長繊維と短繊維は、吸収体の平面方向又は厚み方向における異なる部位に偏在して、る請求の範囲第 27項な、し第 30項の何れかに記載の吸収体。

[33] 粒子を更に含み、該粒子は、吸収体の平面方向又は厚み方向における特定の部位に偏在して、る請求の範囲第 27項な、し第 30項の何れかに記載の吸収体。

[34] 粒子が吸収性ポリマーの粒子である請求の範囲第 33記載の吸収体。

[35] 吸収体の平面方向にお！、て、前記粒子が分布する範囲と短繊維が分布して！/ヽる範囲とがー致している力又は該粒子が分布する範囲に短繊維が分布している範囲が含まれている請求の範囲第 33項又は第 34項記載の吸収体。

[36] 請求の範囲第 27項な、し第 35項の何れかに記載の吸収体を備えた吸収性物品。

[37] 互いに結合した短繊維を含み且つ長繊維を含む繊維集合体と、該繊維集合体中に含まれる塊状の粒子とを有する吸収体。

[38] 前記長繊維と前記短繊維とが互いに結合している部分を有する請求の範囲第 37 項記載の吸収体。

[39] 前記吸収体の平面方向において、前記粒子が分布する範囲と前記短繊維が分布する範囲とがー致している力、又は該粒子が分布する範囲に前記短繊維が分布する範囲が含まれている、請求の範囲第 37項又は第 38項記載の吸収体。

[40] 請求の範囲第 37項〜第 39項の何れかに記載の吸収体を具備する吸収性物品であって、