明 細 書
半導体発光素子および半導体発光素子モジュール 技術分野
本発明は半導体発光素子に関するものである。 本発明は、 光ファイバ一増幅器 用励起光源や光情報処理用の光源、 医療用半導体レーザ等のように、光学系との 高い結合効率が望まれる場合に好適に利用することができる。 背景技術
近年における光情報処理技術、 光通信技術の進展は枚挙に暇がない。
例えば、 通信分野においては、 今後の情報通信 (IT) B寺代に本格的に対応する 大容量の光ファイバ一伝送路とともに、その伝送方式に対する柔軟性を持つ信号 増幅用のアンプとして、 E r 3 +等の希土類をドープした光ファイバ一増幅器 (E D F A) の研究が各方面で盛んに行なわれている。 そして、 E D F Aのコンポ一 ネントとして不可欠な要素である、高効率な励起光源用の半導体レーザの開発が 待たれている。
E D F A応用に供することのできる励起光源の発振波長は、原理的に 8 0 0 n m、 9 8 0 n m、 1 4 8 0 n mの 3種類存在する。 このうち増幅器の特性から見 れば 9 8 0 n mでの励起力 利得やノイズ等を考慮すると最も望ましいことが知 られている。このような 9 8 0 n mの発振波長を有する半導体レ一ザ(L D)は、 励起光源として高出力でありながら長寿命であるという相反する特性を満たす ことが要求されている。 さらに、 光増幅器用の励起光源は光ファイバ一と良好な 結合を実現することも必須であるために、 一般に、 単一横モード発振することが 望まれる。 このため、 特に高出力動作をさせた場合には、 発熱の影響による素子 の寿命特性の悪化が懸念されることとなる。 さらに、高出力動作時の光密度は非 常に高いため、 光による悪影響も無視できない。
例えばこれまで報告されている 9 8 O n m帯 L Dの多くは、 クラッド層、光ガ イド層に A 1 G a A s系材料を使用し、 また、活性層には I n G a A s系材料を
用いている。 この際、 多くの L Dの A 1 G a A sクラッド層の A 1糸且成は 0 · 4 0程度より大きいのが普通であった。 例えば M. Okayasu et al. , Electronics letters, vol. 25, No. 23 (1989) p. 1563あるいは R. J. Fu et al. , IEEE photonics technology letters, vol. 3, No. 4 (1991) p. 308 にはクラッド層の A 1組成 が 0 . 6である 9 8 O n m帯 L Dが記述されている。 また A. Shima et al. , ΙΕΕΕ Journal of elected topics in quantum electronics, vol. 1 No. 2 (1995) p. 102 には、 クラッド層の A 1組成が 0 . 4 8である 9 8 0 n m帯 L Dが記述されてい る。 この様なクラッド層の A 1組成が選択されるのは、活性層とクラッド層との 間で十分な光閉じ込めを実現し、 かつ、 光ガイド層とクラッド層の間のバンドォ フセットも確保するためである。
しかし一方でこれらの A 1 G a A sクラッドを有する L Dには、以下の様な問 題があった。
M. A. Afomowitz, Journal of applied physics, vol. 44, No. 3 (1973) p. 1292 で指摘されている様に、 A 1 G a A s系材料の熱抵抗率は A 1組成が 0 . 5近傍 で約 8 c m · d e g /w a t tと最大となる。 これに対して、 G a A sあるいは A 1 A sにおける熱抵抗率は約 1 Z 4力、ら 1 Z 5である。 この観点で前記の L D はその構成要素の中の最も厚いクラッド層に、 A 1 G a A s系材料の中でも最も 熱抵抗率の高い材料を用いた構造となっていたと言える。 すなわち、 これら旧来 の L Dは必ずしも高出力動作に適した構造となっているとは言えない。
これらの技術状況を勘案して、本発明は、 光ファイバ一等との容易な光学的結 合が可能で、高出力動作特性に優れた半導体発光素子を提供することを主たる目 的とした (主目的)。
また本発明は、半導体発光素子の主たる層構成部分を比較的優れた放熱性を有 する材料で構成しながら、高出力動作時の非常に高い光密度を緩和した半導体発 光素子を提供し、 かつ、 高出力動作時の非常に高い電流注入密度の低減をも実現 することを従たる目的とした (第 1の従目的)。
ところで、 半導体レーザから出射される光の遠視野像 (far field pattern:
FFP) は基板に垂直な方向 (縦方向) と基板に平行な方向 (横方向) の縦横比 が 1に近く、 さらに放射角の絶対値も狭いことが望まれる。 半導体レーザは、 通 信分野、 SHG光源、 レーザプリンタ用の熱源、 医療分野において各種の応用が なされている力 これらの分野でも多くの場合半導体レーザから出射された光は 各種光学系と結合される場合が多く、 その縦方向、横方向の FFPの絶対値が狭 いことと、 その縦横比が 1に近レ、ことは非常に重要な特性となっている。
縦方向に関して基本モードのみの伝播が許容されている設計を有する半導体 レーザ、すなわち、 その縦方向の規格化周波数が πΖ2以下である半導体レーザ において、 その光閉じ込めは縦方向と横方向では極端に異なっている。横方向の 光閉じ込めはその電流注入領域の幅が数// mから数百/ i mであって、導波路構造 も同程度の寸法を有していることから、発振波長に比べて比較的広く、端面近傍 の発光パターン (近視野像: near field pattern: NFP) に対して、 出射され る光の横方向の FFP (FFPH) には回折の効果が比較的少ないのが一般的で ある。 これに対して、縦方向の光閉じ込めは発振波長よりも極端に薄い活性層構 造により実現されるため、 出射される光の縦方向の FFP (FFPV) には極端 な回折の効果が現れ、 その半値全幅は F F PHよりも広くなるのが普通である。 このため、 外部の光学系との結合特性を向上させるためには、 FFPVの実効的 な半値全幅を狭くすることが望まれる。
また、 この様な半導体レーザが実現されれば、 結果として縦方向の NFP (N FPV) のサイズが拡大することとなるため、 端面における光密度が低下し、 半 導体レーザの高出力動作特性も改善されると考えられる。
H. C. Casey, Jr., M. B. Panish ¾ Heterostructure lasers (Academic press, 1978) の Chapter 2で議論されている通り、 F F Pvは活性層あるいは光ガイド 層の厚みに依存することが知られている。 し力 し、 これらの厚みを単に薄くする 方法で FFPVが狭い半導体レーザを実現しても、 その他の素子特性が悪化して しまう等の問題があった。
これらの技術状況を勘案して、本発明は、 半導体レーザの主要な特性を極端に
悪化させることなく FFPVの半値全幅を実効的に低減させ、 光ファイバ一とレ ンズで構成された光学系などと半導体レーザとの良好な結合を実現し、 かつ、 半 導体レーザそのものの高出力動作特性も向上させることを従たる目的とした(第
2の従目的)。 発明の開示
本発明者らは鋭意検討を進めた結果、本発明の半導体発光素子によれば主たる 目的を達成しうることを見いだした。 .
本発明の半導体発光素子は、 第一導電型である基板上に、 少なくとも、 第一導 電型第一クラッド層、 第一導電型第二クラッド層、 活性層構造、 第二導電型第二 クラッド層、第二導電型第一クラッド層の順に積層された構造を有する発光波長 λ (nm) の半導体発光素子において、 以下の条件 1〜3の少なくとも 1っを満 たすことを特 とする。
ぐ条件 1 >
第一導電型第一クラッド層が厚み t xn (nm) の A 1 xnGa s層 (0
< x n< 0. 40) であり、
第一導電型第二クラッド層が厚み t sn (nm) の A l snGa i_snAs層 (0
< s n≤ 1) であり、
第一導電型第二クラッド層と活性層構造の間に、 Al gnGa i_gnAs (0≤ g n<0. 40) からなる厚み tgn (nm) の第一光ガイド層を有し、
活性層構造と第二導電型第二クラッド層の間に、 Al gpGa i_gpAs (0≤ g p<0. 40) からなる厚み tgp (nm) の第二光ガイド層を有し、 、 第二導電型第二クラッド層が厚み t sp (nm) の A l spGa i_spAs層 (0
< s p≤ 1) であり、
第二導電型第一クラッド層が厚み t xp (nm) の Al xpGa i— xpAs層 (0
< x p< 0. 40) からなり、
以下の式を満たす。
g n < x n < s n g p < x p < s p 0. 08 < s n-x n 0. 08 < s p - x p
s n/ t gn < 1· 0 t s p/ t g p < 1. 0
ぐ条件 2>
半導体発光素子が縦方向に関して基本モードの伝播のみが許容されている半 導体レーザであって、
当該半導体レーザから出射される光の放射パターンにおいて、基板に垂直な方 向の遠視野像 (FFPV) の中に、 最大強度が I Vma i nである主ピークと、 極大 強度がそれぞれ I v s u b_と I V s u b+である 2つの副ピークが存在し、
以下の式を満たす。
0 く iVsubZiVma < 0. 5
(上式において、 I VsuJ3l v ub—と I Vsub +のうち強度が大きい方を表す。) ぐ条件 3>
第一導電型第一クラッド層の平均屈折率が nn lで厚みが tnl (nm)であり、 第一導電型第二クラッド層の平均屈折率が nn2で厚みが t n2 (nm)であり、 第一導電型第二クラッド層と活性層構造の間に、 平均屈折率が nngで厚みが t ng (nm) である第一光ガイド層を有し、
活性層構造の平均屈折率が naで総厚が t a (nm) であり、
活性層構造と第二導電型第二クラッド層の間に、 平均屈折率が npgで厚みが t pg (nm) である第二光ガイド層を有し、
第二導電型第二クラッド層の平均屈折率が np2で厚みが t p2 (nm)であり、 第二導電型第一クラッド層の平均屈折率が np lで厚みが t pl (nm)であり、 波数 k、 Vn、 Vp、 Rnおよび Rpを (式 1) :
k = 2 π/λ
Vn = kZ2 X (t a+ tng+ t pg) X (nng 2— nnl 2) 1/2 Vp = kZ2 X (t a+ tng+ t pg) X (npg 2-npl 2) 1/2
= 9/ t„。
RP = t p2/tpg (式 l) のように定義するとき、 (式 2) :
nn2 < nnl < nng < na
np2 ぐ npl < npg < na
0. 35 < Vn < 0. 75
0. 35 < Vp < 0. 75
0. 3 < Rn < 0. 7
0. 3 < Rp < 0. 7 (式 2) の各関係を満足すること。
条件 1を満たす本発明の半導体発光素子は、特に第 1の従目的を効果的に達成 しうるものであり、条件 2を満たす本発明の半導体発光素子と条件 3を満たす本 発明の半導体発光素子は、 特に第 2の従目的を効果的に達成しうるものである。 本発明の半導体発光素子は、条件 1〜 3の 2つ以上を満たすものであることが好 ましく、 条件 1〜 3のすベてを満たすものであることがより好ましレ、。 図面の簡単な説明
第 1図は、本発明の半導体発光素子の一態様を光の出射方向から見た断面図で ある。
第 2図は、本発明の半導体発光素子の一態様を光の出射方向から見た断面図で ある。
第 3図は、 本発明の半導体発光素子の一態様を示す斜視図である。
第 4図は、 FFPの位置の規定を説明する図である。
第 5図は、本発明の半導体発光素子の一態様を光の出射方向から見た断面図で ある。
第 6図は、 従来の半導体発光素子の FFPVを示す図である。
第 7図は、 本発明の半導体発光素子の F F P vを示す図である。
第 8図は、本発明の半導体発光素子の一態様を光の出射方向から見た断面図で
ある。
第 9図は、本発明の半導体発光素子の一態様を光の出射方向から見た断面図で ある。
第 1 0図は、本発明の半導体発光素子の一態様を光の出射方向から見た断面図 である。
第 1 1図は、実施例 1と比較例 1の半導体発光装置の電流光出力特性を比較し たグラフである。
第 1 2図は、実施例 1と比較例 1の半導体発光装置の駆動時間と駆動電流の関 係を比較したグラフである。
第 1 3図は、実施例 3の半導体発光装置の電流光出力特性を示すグラフである。 発明の詳細な説明
まず、 本明細書で使用しているいくつかの表記について説明する。
本明細書において 「A層の上に形成された B層」 という表現は、 A層の上面に B層の底面が接するように B層が形成されている場合と、 A層の上面に 1以上の 層が形成されさらにその層の上に B層が形成されている場合の両方を含むもの である。 また、 A層の上面と B層の底面が部分的に接していて、 その他の部分で は A層と B層の間に 1以上の層が存在している場合も、 前記表現に含まれる。 具 体的な態様にっレ、ては、 以下の各層の説明と実施例の具体例から明らかである。 また、本明細書における各層の屈折率は、 基本的に素子の発振波長における屈 折率を意味するものである。 し力 し、発振波長そのものが素子の駆動温度、 光出 力等で変化するため、発振波長近傍の特定の波長によって、 屈折率を定義する波 長を代表させることもある。 本内容も実施例等の具体例から明らかである。
また、 単一の機能を複数の層で発現させる場合などにおいては、 これを単一の 名称で示すことがあるが、この場合における屈折率などは平均の屈折率をもって これを定義することとする。 例えば、 クラッド層が m個の層からなり、 その n番 目の層の屈折率が n n、 厚みを 1^ ( n m) とすると、 このクラッド層の平均屈折
率 n∞eanは以下の式により定義されるものとする。
n 1 t i + n2 t 2 + "'+nm tm
n„ „ =
+ +…+
また、本明細書では、第 1図下側に図示されるように、 基板に垂直な方向を縦 方向と定義し、 基板に水平な方向を横方向と定義する。
また、 FFPを記述する際の位置の定義は、本明細書においても通常の方法に 従うものとする。 これを第 4図を用いて説明する。 先ず、 基板に垂直な方向 (縦 方向)と水平な方向(横方向)にあって、互いに直行しあう 2つの円を仮定する。 さらに、これら 2つの円の中心が素子構造上の発光中心 Cとなる様にデバイスを 配する。 ここで、素子構造上の発光中心 Cから物理的な鉛直方向に伸ばした直線 が当該 2つの円の弧と共に交わる点が FFPを記述する際の 0度となる。すなわ ち、 これを原点に、 FFPを記述するための位置は、 0度と素子構造上の発光中 心をつなぐ直線が、それぞれの円弧上の点となす角度で定義される。第 1図は縦 の FFPが +φ度、横の FFPが +0度である位置を示したものである。 これら 角度で定義される位置の関数としてプロットされた光の強度分布が、 F F Pその ものである。 なお、 図中に示した +—の方向は相対的なものであって、 一般には 方向が逆であっても構わない。
本明細書において 「〜」 を用いて表される数値範囲は、 「〜」 の前後に記載さ れる数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。 また、本明細書に添 付する図面は、本発明の構造を把握しやすくするために、敢えて寸法を変えてい る部分があるが、 実際の寸法は本明細書に記載されているとおりである。
以下において、本発明の半導体発光素子の好ましい構成例およびその製造法に ついて具体的に説明する。
条件 1を満たす半導体発光素子
先ず、条件 1を満たす本発明の半導体発光素子の主たる特徴を、第 1図に示す
LDを参照しながら説明する。第 1図左には各層構造により実現される屈折率の 縦方向の空間分布を示し、また第 1図下には本図中で使用する方向の呼び方を示 した。
第 1図は、 n型基板 (101) 上に、 Al
xnGa
からなる厚み t
xn (nm) の n型第一クラッド層 (102)、 A 1
snG a
snA sからなる厚み t
sn (nm) の n型第二クラッド層 (103)、 アンドープ A 1
gnGa
gnAs からなる厚み t
gn (nm) の第一光ガイド層 (104)、 活性層構造 (105)、 アンドープ A 1
gpGa npAsからなる厚み t
gp (nm)の第二光ガイド層( 1 06)、A1 spGa
からなる厚み t
sp (nm)の p型第二クラッド層( 1 07)、 Al
xpGa
xp A sからなる厚み t
xp (nm)の p型第一クラッド層( 1 08) を有しており、 さらに電極との接触抵抗を下げるためのコンタクト層 (1 09)、 また横方向に対して電流注入領域を限定するための S i N層 (1 10) と P側電極 (1 1 1)、 n側電極 (1 12) より構成されているブロードエリア 型 LDである。 また、 第 1図の LDでは、 以下の式を満たす。
X n = X p = X , t x n = ΐ χ ρ =
S n = S p = S, t sn = t sp = t s
g n = g p = g, t g„ = t gp = t g
また活性層構造 (105) は、 基板側から、 厚み 6 nmの I n0. 16Ga 0. 84A s歪み量子井戸層(121)、厚み 8 nmの Ga A s障壁(バリア)層(122)、 厚み 6 nmの I n0. 16Ga 0.84 As歪み量子井戸層 (123) が積層されてい る歪み二重量子井戸構造であり、 その発振波長は λ (nm) である。
LDの光閉じ込めの基本となる活性層構造 (105) に対する縦方向の閉じ込 めは、 活性層の上下に位置する 2つの A 1 XG a 第一クラッド層 (10
2, 108) と、 活性層構造 (105) を含む 2つの A 1 gGa i_gA s光ガイ ド層 (104, 106) との間の屈折率差によって実現するものである。 本発明 においては A 1 XG a sからなる第一クラッド層 (102, 108) の A
1組成 Xは 0. 4よりも小さいことが必要であり、 0, 3より小さいことが好ま
しく、 0. 2よりも小さいことがより好ましい。 これは基板 (101) とコント クト層 (109) を除く LD構成層の中で最も厚いクラッド層の A 1組成を下げ ることで素子全体の熱抵抗を下げることが可能であり、高出力動作に適した構造 とすることができるからである。
第一クラッド層 (102, 108) の厚みは、 その層の活性層側から離れる方 向に対して光を十分に減衰させる必要があることから発振波長 λ (nm) に対し て以下の式を満たすことが好ましい。
λ < tx
特に 98011111帯し0などの様に、 基板 (101) が発振波長に対して透明であ り、 かつ n型第一クラッド層 (102) および n型第二クラッド層 (103) よ りも屈折率が大きい場合には、 クラッド層 (102, 103) から基板 (101) 側にもれ出した光が基板中を伝播することから基板モードが L D本来のモード に重畳することが知られているが、 これを抑制するためには、 n型第一クラッド 層 (102) の厚みを波長に対して厚くしておくことが望ましレ、。
また、 光閉じ込めを実現するためには、 光ガイド層 (104, 106) は第一 クラッド層 (102, 108) よりも屈折率の大きな、 すなわち第一クラッド層 (102, 108) より A 1組成の小さな材料で構成する必要がある。 さらに光 ガイド層 (104, 106) においてもその A 1組成は 0. 4よりも小さいこと が必要であり、 0. 2より小さいことが好ましく、 0. 1よりも小さいことがよ り好ましレ、。また最も望ましいのは A 1を含まない Ga Asを用いる場合である。 特に信頼性の観点から、 A 1を含まない光ガイド層が望まれる。 また光ガイド層 (104, 106) の厚み tg (nm) は、 後述する第二クラッド層 (103, 107) にその機能を十分に発揮させるために、 以下の式を満たすことが好まし レ、。
0.5X [λ/(4Χη„)] nm <t„< 1.5X [λ/(4Χη„)] nm
上式において、 ngは光ガイド層 (104, 106) の屈折率である。 光ガイド 層 (104, 106) の厚み t eを上式の上限未満にすることによって、 特に後
述する第二クラッド層 (103, 107) のキャリアのオーバーフロー抑制効果 を十分に発揮させるとともに、キンクレベルの低下等を有効に回避することがで きる。 また、 光ガイド層 (104, 106) の厚み t gを上式の下限より大きく することによって、 後述する第二クラッド層 (103, 107) の反導波的な特 性が過度にならないようにすることができる。
通常の S C H (Separated Confinement Hetero - structure)構造を A 1 G a A s 系材料で構成した場合においては、前記第一クラッド層と光ガイド層は直接的に 接しているが、 本発明においてはこれらの層の間に A 1 sGa i_sAsからなる 厚み t sの第二クラッド層 (103, 107) を有している点に特徴がある。 こ の層は光ガイド層 (104, 106)、 さらには第一クラッド層 (102, 10 8) よりも A 1組成が高く設定される必要があり、 以下の式を満たす。
g X s
この結果、 第 1図左に示される通り、 第二クラッド層 (103, 107) は、 屈折率としては最も小さい値を有する層となる。 nの下に記載される矢印の向き は屈折率が大きくなる方向を意味する。 また、 伝導帯側の電子に対しては ほた ここには示されていないが荷電子帯のホールに対しても)、 第二クラッド層 (1 03, 107) は障壁となる機能を有する。 Egの上に記載される矢印の向きは 電子に対してポテンシャルが大きくなる方向を意味する。
すなわちこの第二クラッド層 (103, 107) は、 高温で LD駆動を駆動し ている場合、あるいは高出力動作中で LDの自己発熱によって活性層の温度が相 当に上がってしまう場合などに I 110.160&0.84 5歪み量子井戸層(121, 123) から第一クラッド層 (102, 108) 中へのキャリアの熱的な漏れ出 し (オーバーフロー) を抑制する機能を有している。 本発明においては、 素子全 体の熱抵抗低減のために第一クラッド層 ( 102 , 108 ) の A 1組成は、 前述 の通り、 0. 4よりも小さいことが先ず重要であり、 0. 3より小さいことが好 ましく、 0. 2よりも小さいことがより好ましい。 このために A 1 SG aい SA s第二クラッド層 (103, 107) は、 活性層構造 (105) 側から光ガイド
層(104, 106)を通ってもれ出すキャリアから見て、光ガイド層(104, 106) と第一クラッド層 (102, 108) の間の障壁の低さを補う様に、 A 1組成は 0より大きく 1以下となる範囲から選択される。 し力 し、 第二クラッド 層 (103, 107) においても熱抵抗の観点、 あるいはさらに高い A 1組成の A 1 G a A s系材料一般に見られる酸化による劣化、ひいては素子の寿命の悪ィ匕 等を避ける目的で、その A 1組成 sは 0. 5よりも低いことが望ましい。さらに、 通常半導体レーザが使用される 100°C程度までの範囲で第二クラッド層(10 3, 107) によって活性層構造 (105) 側から第一クラッド層 (102, 1 08)側にキャリアがオーバーフローするのを十分に抑制するためには、 以下の 式を満たすことが必要である。
0. 08 < s— X
しかし、極端に大きな障壁は第一クラッド層側から活性層構造側へ注入されるキ ャリアに対して、 その注入を阻害してしまうことから、 以下の式を満たすことが 好ましい。
s - X < 0. 4
さらに、 この第二クラッド層 (103, 107) は以下の様に縦方向の光閉じ 込めに関して非常に重要な機能を有している。 前述の通りこの第二クラッド層 (103, 107) は光ガイド層 (104, 106) よりも、 また、 第一クラッ ド層 (102, 108) よりも屈折率の低い A 1 SG aぃ5 Asが選択されるた め、 LD端面における縦方向の近視野像 (Near Field Pattern: NFP) が広がり、 光密度が低減され、 遠視野像 (Far Field Pattern: FFP) が狭くなり、 ひいては 高出力動作に適した素子にすることが可能であり、 寿命特性等の改善も望める。 第二クラッド層(103, 107)は、前記の様な相対的な屈折率の関係から、 その層の外側に光の分布を押しやる機能を発現する。 このため、 LD端面におけ る縦方向の近視野像は上下方向に広げられることとなり、結果として光密度は低 減されるため、高出力動作上非常に望ましい。 しかし、極端に第二クラッド層(1 03, 107) の屈折率を下げること、 あるいは厚みを増すことは、 導波路が過
度に反導波的になり L D構造中の縦方向の光閉じ込めがあまりに弱くなり過ぎ、 結果として極端な発振しきい値の増大、 スロープ効率の低下、駆動電流の増大な どを招く結果となり望ましくない。 このため、第二クラッド層(103, 107) の厚み t sは、 光ガイド層 ( 104, 106) の厚み t gとの相対的な関係におい. て、 以下の式を満たさなければならない。
tノ tg < 1. 0
また適切に縦方向の NF P拡大効果を得るためには、以下の式を満たさすことが 好ましい。
0. 3 < t s/tg
また第二クラッド層 (103, 107) においては、 光ガイド層 (104, 1 06) との相対的な厚みの関係だけでなく、絶対値として以下の関係を満足する ことが望ましい。
10 nm < t s < 100 nm
これは、 第二クラッド層 (103, 107) が極端に薄い場合には特に光学的な 効果が薄れてしまい、また極端に厚い場合には光閉じ込めが極端に弱くなり LD が発振しなくなってしまうからである。
次に、条件 1を満たす本発明の半導体発光素子の一例である単一横モード動作 可能な半導体レーザについて第 2図を参照しながら説明する。 第 2図は、本発明 の半導体レーザにおけるェピタキシャル構造の一例として埋め込みストライプ 型の半導体レーザの構成を示した概略断面図である。
この半導体レーザは半導体基板 (1) 上に形成され、 屈折率導波構造を有し、 第二導電型第一クラッド層が第二導電型上側第一クラッド層 (10) と第二導電 型下側第一クラッド層( 9 )の二層に分かれ、第二導電型上側第一クラッド層( 1 0) と電流ブロック層(11) キャップ層 (12) とで電流注入領域を形成し、 さらに電極との接触抵抗を下げるためのコンタクト層 (13) を有する半導体レ 一ザである。 この例を始めとする様々なレーザの基本的ェピタキシャノレ構造の製 法については、例えば特開平 8— 130344号公報を参考にすることができる。
この種のレーザは光通信に用いられる光ファイバ一増幅器用の光源や、情報処理 用の大規模光磁気メモリーのピックアツプ光源として用いられ、層構成や使用材 料等を適宜選択することによってさらに様々な用途へ応用することもできる。 基板(1) には、本発明では G a A s基板を使用するのが望ましい。基板(1) はいわゆるジャスト基板だけではなく、ェピタキシャル成長の際の結晶性を向上 させる観点から、 いわゆるオフ基板 (miss oriented substrate) の使用も可能 である。 オフ基板は、 ステップフローモードでの良好な結晶成長を促進する効果 を有しており、 広く使用されている。 オフ基板は 0. 5度〜 2度程度の傾斜を持 つものが広く用いられるが、量子井戸構造を構成する材料系によっては傾斜を 1 0度前後にすることもある。
基板 (1) は、 MB Eあるいは MOCVD等の結晶成長技術を利用して発光素 子を製造するために、あらかじめ化学エッチングや熱処理等を施しておいてもよ レ、。 使用する基板 (1) の厚みは通常 35 O /zm程度のものであり、 素子作製の プロセス中の機械的強度が確保されるようにするのが普通であり、半導体発光素 子の端面を形成するために、プロセス途中で 100 μπι程度に薄くポリッシング されるのが普通である。
バッファ層 (2) は、 基板バルク結晶の不完全性を緩和し、 結晶軸を同一にし たェピタキシャル薄膜の形成を容易にするために設けることが好ましレ、。バッフ ァ層 (2) は、 基板 (1) と同一の化合物で構成するのが好ましく、 基板 (1) が Ga Asの場合は通常、バッファ層(2)には Ga Asが使用される。 し力 し、 超格子層をバッファ層 (2) に使用することも広く行われており、 同一の化合物 で形成されない場合もある。 一方、誘電体基板を用いた場合には必ずしも基板と 同一の物質ではなく、 その所望の発光波長、 デバイス全体の構造から、 適宜、 基 板と異なった材料が選ばれる場合もある。
第一導電型第一クラッド層 (3) は、 A 1
xnGa
sからなる。 素子全 体の熱抵抗を下げ、 高出力動作に適した構造とするために、 第一導電型第一クラ ッド層 (3) の A 1組成 X nは 0く X nく 0. 40を満たす様に構成される。 x
nは 0. 3以下であることが好ましく、 0. 2以下であることがより好ましレ、。 また、 第一導電型第一クラッド層 (3) の厚み t
xn (nm) は、活性層構造 (6) 力 ら離れる方向に対して光を十分に減衰させる必要があることから、発振波長 λ (nm) よりも大きくすることが好ましい。
また前記の様に、 本発明の第一導電型第一クラッド層 (3) においては A l x 。03 1_3^八5層の 1組成が、 通常の SCH構造、 あるいは GR I N— SCH 構造を有するし よりも低いため、 ドーパントの活性化率を高くできる効果も期 待できる。特に第一導電型が n型であり S iをドーパントとする場合などにおい て、 MB E法によって結晶成長をすることを想定すると、 N. Chand et al. , Physical review B vol.30 (1984) P.4481 にある通り、 S i ドナーのイオン化 エネルギーは A 1糸且成に大きく依存することが知られており、低 A 1組成の A 1 Ga Asにおいてはドーピングレベルを比較的少なめに設定しても十分に抵抗 の小さい層を形成することができるために非常に望ましい。 よって、第一導電型 第一クラッド層 (3) のドーピングレベルは 1. 0 X 1017 cm— 3〜: 1. 0X 1018 cm— 3であることが望ましく、 3. 0 X 1017 cm_3〜7. 5 X 1017 cm_3であることがより望ましい。
さらにドーピングは第一導電型第一クラッド層 (3) 内で一様に行われる必要 はなく、 基板 (1) 側ほど高く、 また活性層構造 (6) に近い側ほど低く設定さ れることが望ましレ、。 これは光密度の高レ、部分にぉレ、て自由電子による吸収を抑 制するために有効な方法である。
第一導電型第二クラッド層 (4) は、 A l snGa i— snAs (0< s n≤ 1) からなる。 s nは好ましくは 0. 5未満である。第一導電型第二クラッド層 (4) の A 1組成 s nは、 隣接する第一導電型第一クラッド層 ( 3 ) の A 1組成 x nと 第一光ガイド層 (5) の A 1組成 gnよりも大きくなければならない。 このよう な構成を採用することによって、 第一導電型第二クラッド層 (4) は最も屈折率 が小さな層となり、伝導帯側の電子や荷電子帯のホールに対して障壁となる機能 を持つことになる。 また、 第一導電型第二クラッド層 (4) の A1組成 s nと、
第一導電型第一クラッド層 (3) の A 1組成 X nとの差 s n_x ηは、 0. 08 より大きくする。 これによつて、 活性層構造 (6) から第一導電型第一クラッド 層 (3) へキャリアがオーバーフローするのを第一導電型第二クラッド層 (4) が十分に抑制することができる。 ただし、 第一導電型第一クラッド層 (3) から 活性層構造(6)へのキャリア注入を過度に阻害しないように、 s η— χηは 0. 4未満にしておくことが好ましレ、。
第一導電型第二クラッド層 (4) の厚み t sn (nm) は、第一光ガイド層 (5) の厚み tgn (nm) よりも小さレ、。 このような構成を採用することによって、極 端な発振しきい値の増大、 スロープ効率の低下、駆動電流の増大を回避すること ができる。適度な縦方向の NFP拡大効果を得るためには、 以下の式を満たすこ とが好ましい。
0. 3 < t sn/t gn
また、 第一導電型第二クラッド層 (4) の厚み t snは、 10nmよりも厚く、 1 00 nmよりも薄いことが好ましい。 第一導電型第二クラッド層 (4) の厚み t snが 10 nm以下であると光学的な効果が薄れる場合があり、逆に 100 nm 以上であると光閉じ込めが極端に弱くなって LDが発振しなくなる場合がある。 また第一導電型第二クラッド層 (4) においては A 1 snGa i— ^As層の A 1組成 s nが、本発明の LD構造の中で比較的高いために、 ドーパントのドーピ ングレベルは第一導電型第一クラッド層 (3) と比較して高く設定することが望 ましい。特に第一導電型が n型であり S iをドーパントとする場合などにおいて、 MB E法によって結晶成長をすることを想定すると、そのドーピングレベルは 3. 0 X 1017 cm一3〜 1. OX 1018cm— 3であることが望ましく、 4. 0 X 1 017 cm一3〜 7. 5X 1017 cm一3であることがより望ましい。
第 2図には示されていないが、 第一導電型第一クラッド層 (3) と第一導電型 第二クラッド層 (4) の間には、 A 1 tGa i— tAs系材料からなり、 その組成 tが第一導電型第一クラッド層 ( 3 ) 側では t = X nであり、 また第一導電型第 ニクラッド層 (4) 側では t = s nとなるように徐々に A 1糸且成を単調に変化さ
せた層を挿入することも可能である。 この様な遷移層は第一導電型第一クラッド 層 (3) 側から第一導電型第二クラッド屑 (4) を通じて活性層構造 (6) にキ ャリァを注入する際の電気抵抗を低減できるために非常に好ましい。 また、遷移 層には様々な組成変化をつけることが可能であり、例えば A 1組成 tが第一導電 型第一クラッド層 (3) 側から第一導電型第二クラッド層 (4) 側に向けて直線 的に増加している態様や、曲線的に単調増加している態様などを採ることが可能 である。
第一導電型第二クラッド層 (4) 上の第一光ガイド層 (5) は、 Al gnGa i _gnAs (0≤gn<0. 40) からなる。 光閉じ込めを実現するためには、 第 一光ガイド層 (5) は第一導電型第一クラッド層 (3) よりも屈折率の大きな、 すなわち第一導電型第一クラッド層 (3) より A 1組成の小さな材料で構成する 必要がある。 さらに第一光ガイド層 (5) においてもその A 1組成は 0. 4より も小さいことが必要であり、 0. 2より小さいことが好ましく、 0. 1よりも小 さいことがより好ましレ、。また最も望ましいのは A 1を含まない Ga Asを用い る場合である。 特に信頼性の観点から、 A 1を含まない光ガイド層が望まれる。 また第一光ガイド層 (5) の厚み tgn (nm) は、 第一導電型第二クラッド層 (4)にその機能を十分に発揮させるために、以下の式を満たすことが好ましい。
0.5X [λ/(4Χη6η)] nm <tgn< 1.5X [^/(4Xngn)] nm
上式において、 ngnは第一光ガイド層(5)の屈折率である。第一光ガイド層(5) の厚み t gnを上式の上限未満にすることによって、特に第一導電型第二クラッド 層 (4) のキャリアのオーバーフロー抑制効果を十分に発揮させるとともに、 キ ンクレベルの低下等を有効に回避することができる。また、第一光ガイド層(5) の厚み t gnを上式の下限より大きくすることによって、第一導電型第二クラッド 層 (4) の反導波的な特性が過度にならないようにすることができる。
A 1 gnGa ^^A s (0≤ g n< 0. 40) からなる厚み t gnの第一光ガイ ド層 (5) は必ずしも単一の A 1組成を有する層である必要はなく、 第一光ガイ ド層 (5) の中で A 1組成を変化させることも可能である。 このように第一光ガ
イド層 (5) の中で A 1組成の異なる領域が存在する場合の屈折率は平均的な屈 折率をもって第一光ガイド層の屈折率と考えることができる。
第一光ガイド層 (5) の導電型は p型、 n型、 あるいはアンドープであっても 本発明の効果は変わらない。
本発明で言う活性層構造 (6) は、 I n、 Ga、 A sを含み基板に格子整合し ない歪み量子井戸層を含むことが好ましい。多くの場合においては当該歪み量子 井戸層の両側には、量子井戸層よりも大きなバンドギヤップを有する障壁層が具 備される。
活性層構造 (6) の構成としては光ガイド層 (5, 7) に障壁層としての役割 を担わせた単層の I n G a A s歪み量子井戸層 (Strained Single Quantum Well: S-SQW) である場合や、 同じ S QW構造でも G a A s障壁層、 I n G a A s歪み 量子井戸層、 Ga As障壁層と積層された場合もあり得る。 あるいは第 2図に示 すように活性層構造 (6) 1S 基板 (1) 側から GaAs障壁層 (21)、 I n Ga As歪み量子井戸層 (22)、 GaAs障壁層 (23)、 1 nGa As歪み量 子井戸層 (24)、 GaAs障壁層 (25) と積層されたいわゆる歪み二重量子 井戸構造 (Strained Double Quantum Well: S-DQW) であっても良い。 さらに、 量子井戸層を 3層以上多重に用いた多重量子井戸構造が用いられる場合もある。 さらには GaAs障壁層、 I nGa As歪み量子井戸層、 I nGa As P歪み補 償障壁層、 nGa As歪み量子井戸層、 GaAs障壁層が積層され、 歪み量子 井戸層と障壁層の有する歪みが逆方向の歪みとなっている構造でも良い。
歪み量子井戸層の具体的な材料としては、 I nGaAs、 Ga I nNAs等を 挙げることができる。歪みを有する量子井戸層は、その歪みの効果によって光学 利得の増大等を期待することができる。 このため低 A 1組成の第一クラッド層 (3, 9, 10) と活性層構造 (6) の間で適度に弱い縦方向の光閉じ込めであ つても、十分な LD特性を実現できる。 このため、歪み量子井戸層は本発明には 欠かせない。
障壁層 (21, 23, 25) の導電型は p型、 n型、 あるいはアンドープであ
つても本発明の効果は変わらないが、 P章壁層 (2 1, 23, 25) は n型の導電 型を示す部分を有することが望ましい。この様な状況においては、障壁層(2 1, 23, 25) から電子が活性層構造 (6) 内の量子井戸層 (22, 24) に供給 されることから L Dの利得特性を効果的に広帯域ィヒすることができて望ましい。 このような素子は後述する様にグレーティングファイバ一等の外部共振器によ つて効果的に発振波長を固定ィヒすることができる。 また、 この際に n型のドーパ ントは S iであることが望ましレ、。 さらに、 S iの様な n型のドーパントが障壁 層 (2 1, 23, 25) 内に一様にドーピングされているのではなく、 歪み量子 井戸層 (22, 24) 等の他の層との界面近傍にはドーピングが施されず、 障壁 層 (2 1, 23, 25) の中心付近に選択的にドーピングされていることが最も 望ましい。
第二光ガイド層 (7) は、 A l gpGa ^ gpA s (0≤g p<0. 40) から なる。 光閉じ込めを実現するためには、 第二光ガイド層 (7) は第二導電型第一 クラッド層 (9, 1 0) よりも屈折率の大きな、 すなわち第二導電型第一クラッ ド層 (9, 10) より A 1組成の小さな材料で構成する必要がある。 さらに第二 光ガイド層 (7) においてもその A 1組成は 0. 4よりも小さいことが必要であ り、 0. 2より小さレヽことが好ましく、 0. 1よりも小さいことがより好ましい。 また最も望ましいのは A 1を含まない G a A sを用いる場合である。特に信頼性 の観点から、 A 1を含まない光ガイド層が望まれる。
また第二光ガイド層 (7) の厚み t gp (nm) は、 第二導電型第二クラッド層 ( 8 )にその機能を十分に発揮させるために、以下の式を満たすことが好ましい。
0.5X [λ/(4Χη8Ρ)] nm <tgp< 1.5X [l/(4Xngp)] nm
上式において、 ngpは第二光ガイド層(7)の屈折率である。第二光ガイド層(7) の厚み t g pを上式の上限未満にすることによって、特に第二導電型第二クラッド 層 (8) のキャリアのオーバーフロー抑制効果を十分に発揮させるとともに、 キ ンクレベルの低下等を有効に回避することができる。また、第二光ガイド層(7) の厚み t E Dを上式の下限より大きくすることによって、第二導電型第二クラッド
層 (9, 10) の反導波的な特性が過度にならないようにすることができる。 第二光ガイド層(7)は必ずしも単一の A 1組成を有する層である必要はなく、 第二光ガイド層 (7) の中で A 1組成を変化させることも可能である。 このよう に第二光ガイド層 (7) の中で A 1組成の異なる領域が存在する場合の屈折率は 平均的な屈折率をもって光ガイド層の屈折率と考えることができる。第二光ガイ ド層 (7) の糸且成は、 第一光ガイド層 (5) の糸且成と同一であっても異なってい てもよレ、。 本発明の好ましい実施態様では、 第二光ガイド層 (7) の A 1組成 g Pと、 第一光ガイド層 (5) の A 1組成 g nがともに 0である場合である。 第二光ガイド層 (7) の導電型は p型、 n型、 あるいはアンドープであっても 本発明の効果は変わらない。
第二導電型第二クラッド層 (8) は、 Al spGa i— spAs (0< s p≤l) からなる。 s pは好ましくは 0. 5未満である。第二導電型第二クラッド層(8) の A 1組成 s pは、 隣接する第二導電型下側第一クラッド層 (9) の A 1組成 X と第二光ガイド層 (7) の A 1組成 g よりも大きくなければならない。 この ような構成を採用することによって、 第二導電型第二クラッド層 (8) は最も屈 折率が小さな層となり、伝導帯側の電子や荷電子帯のホールに対して障壁となる 機能を持つことになる。 また、 第二導電型第二クラッド層 (8) の A1組成 s p と、 第二導電型下側第一クラッド層 ( 9 ) の A 1組成 X pとの差 s p _ X pは、 0. 08より大きくする。 これによつて、 活性層構造 (6) から第二導電型下側 第一クラッド層 (9) へキャリアがオーバーフローするのを第二導電型第二クラ ッド層 (8) が十分に抑制することができる。 ただし、 第二導電型下側第一クラ ッド層(9)から活性層構造(6)へのキヤリァ注入を過度に阻害しないように、 s p— xpは 0. 4未満にしておくことが好ましレ、。
第二導電型第二クラッド層 (8) の厚み t sp (nm) は、第二光ガイド層 (7) の厚み tgp (nm) よりも小さレ、。 このような構成を採用することによって、 極 端な発振しきい値の増大、 スロープ効率の低下、駆動電流の増大を回避すること ができる。適度な縦方向の NFP拡大効果を得るためには、 以下の式を満たすこ
とが好ましレ、。
0· < t sp/tgp
また、 第二導電型第二クラッド層 (8) の厚み t spは、 l Onmよりも厚く、 1 00 nmよりも薄いことが好ましレ、。 第二導電型第二クラッド層 (8) の厚み t spが 10 nm以下であると光学的な効果が薄れる場合があり、逆に 1 OOnm 以上であると光閉じ込めが極端に弱くなって L Dが発振しなくなる場合がある。 第二導電型第二クラッド層 (8) は、必ずしも第一導電型第二クラッド層 (4) と同じ A 1組成を有する必要はないが、縦方向のビームの対称性を確保する目的 としては A 1組成が同じであることが望ましい。
特に第二導電型が p型であり B eをドーパントとする場合などにおいて、 MB E法によって結晶成長をすることを想定すると、第二導電型第二クラッド層( 8 ) のドーピングレベルは 3. 0 X 1017 cm-3〜: 1. 0 X 1018 c m— 3であるこ とが望ましく、 4. 0 X 1017 cm_3〜7. 5 X 1017 c m一3であることがよ り望ましい。
第 2図には示されていないが、 第二導電型第二クラッド層 (8) と第二導電型 下側第一クラッド層 (9) の間には、 A 1
tGa
系材料からなり、 その 組成 tが第二導電型第二クラッド層 ( 8 ) 側では t = s pで、 第二導電型下側第 ークラッド層 ( 9 ) 側では t = X pであるように徐々に A 1組成を単調に変化さ せた層を挿入することも可能である。 また、遷移層には様々な組成変化をつける ことが可能であり、 例えば A 1組成 tが第二導電型第二クラッド層 ( 8 ) 側から 第二導電型下側第一クラッド層 (9) 側に向けて直線的に増加している態様や、 曲線的に単調増加している態様などを採ることが可能である。
第二導電型第一クラッド層は、 第 2図では、 第二導電型下側第一クラッド層 (9) と第二導電型上側第一クラッド層 (10) の二層に分かれている。 この場 合には素子作製を容易にするために、これら二層の間にエッチング停止層を有し ていてもかまわない。
第二導電型第一クラッド層 (9, 10) は、 Al xpGa i_xpAs (0<x p
<0. 40) からなる。 素子全体の熱抵抗を下げ、 高出力動作に適した構造とす るために、 第二導電型第一クラッド層 (9, 10) の A 1組成 X pは 0く X pく 0. 40を満たす様に構成される。 は0. 3以下であることが好ましく、 0. 2以下であることがより好ましい。 また、第二導電型第一クラッド層(9, 1 0) 全体の厚み t xpは、活性層構造 (6) 力 離れる方向に対して光を十分に減衰さ せる必要があることから、 発振波長 λよりも大きくすることが好ましい。
第二導電型下側第一クラッド層 (9) の厚みは、 活性層構造 (6) への電流注 入経路が、電流の横方向への広がりによって極端に広くならないようにするため に、 10 nm〜200 n m程度であることが望ましレ、。 またより望ましくは 20 ηπ!〜 70 nm程度であることが望ましい。
また、 第二導電型下側第一クラッド層 (9) と第二導電型上側第一クラッド層 (10) のドーピングレベルは、 1. 0 X 1017 cm— 3〜1. 0 X 1018 cm_ 3であることが望ましく、 3. 0 X 1017 cm一3〜 7. 5 X 1017 c m一3である ことがより望ましい。
さらにドービングは、 第二導電型下側第一クラッド層 ( 9 ) や第二導電型上側 第一クラッド層 (10) 内で一様に行われる必要はなく、 コンタクト層 (1 3) 側ほど高く、また活性層構造( 6 )に近レ、側ほど低く設定されることが望ましレ、。 これは光密度の高い部分において自由電子による吸収を抑制するために有効な 方法である。 本発明では、 第一導電型第一クラッド層 (3) か第二導電型第一ク ラッド層 ( 9 , 10 ) の少なくとも一方のドービングレベルが層内で一様でない ことが好ましい。
第二導電型上側第一クラッド層 (10) は、 その側壁に形成されている電流ブ ロック層 (1 1) とともに、 電流閉じ込めと横方向の光閉じ込めの 2つの機能を 実現する。 これは本発明を単一横モード動作する LDに適応する時に望ましい構 成である。 このために、横方向に対する電流閉じ込めの観点では、 電流ブロック 層 (1 1) の導電型は第一導電型かあるいはアンドープとすることが好ましレ、。 また、横方向の光閉じ込めの観点、 特に屈折率導波を基礎とした導波路としての
特性を満足するためには、 電流ブロック層 (1 1) は第二導電型第一クラッド層 (9, 10) よりも小さな屈折率を有する材料で形成される。 また、 本発明では A 1 G a A s系材料で電流プロック層 ( 1 1 ) を形成することが望ましく、 これ を A l zGa
(0≤ z≤ 1) とすると、 その A 1組成は z > x pになる ことが好ましい。 また、 本発明は、 おもに単一横モード動作する半導体レーザに 好適に利用されるが、 この観点では、 電流ブロック層 (11) と第二導電型上側 第一クラッド層 (10) との屈折率差によって主に規定される横方向の有効屈折 率差は 10—
3のオーダであることが望ましレ、。 さらには電流注入路の幅であり、 かつ、 導波路の幅に相当する、 第二導電型下側第一クラッド層 (9) と第二導電 型上側第一クラッド層 (10) が接する部分の横方向の幅 Wは、 LDを単一横モ 一ド動作させる観点では、紙面に垂直な共振器方向に誤差の範囲で一様であって、 その幅は 6 m以下であることが望ましく、 3 / m以下であることがより望まし レ、。 し力 し、 高出力動作と単一横モード動作の両立を目指すためには、 必ずしも 共振器方向に一様な導波路である必要はなく、半導体レーザの主たる光の出射方 向である前端面側においては、その導波路の幅を相対的に広くして高出力動作に 適する様にし、 一方、 後端面側においてはその導波路の幅を狭くして、 単一横モ ード動作可能である様にすることが望ましい。 また、 この様な場合においては、 一方の発光点近傍における電流注入路の幅を W
e x p、 素子中の最も狭レ、電流注入 路の幅 W
s tdとしたときに、 以下の式を満たすことが望ましい。
1. 5<Wexp/Ws td<5. 0
さらに、 以下の式を満たすことがより望ましい。
2. 5<Wexp/Ws ld<3. 5
一方 A 1 ZG a sからなる電流ブロック層 (1 1) は、 光閉じ込めの観 点だけからは、 その A 1糸且成は z > X pであれば良いが、他の A 1 G a A sから なる層と同様の理由によって、その A 1組成は 0. 5より小さいことが望ましく、 さらには 0. 4より小さいことが望ましく、 最も望ましいのは A1組成が 0. 2 5より小さい場合である。
キャップ層 (12) は、 第 1回目の成長において電流ブロック層の保護層とし て用いられると同時に第二導電型上側第一クラッド層 (10) の成長を容易にす るために用いられ、 素子構造を得る前に、 一部または全て除去される。
第二導電型上側第一クラッド層 (10) の上には、 電極 (14) との接触抵抗 率を下げるため等の目的で、 コンタクト層 (13) を設けるのが好ましい。 コン タクト層 (13) は、 通常、 Ga As材料にて構成される。 この層は、 通常電極 (14) との接触抵抗率を低くするためにキャリア濃度を他の層より高くする。 また導電型は第二導電型である。
半導体レーザを構成する各層の厚みは、それぞれの層の機能を効果的に奏する 範囲内で適宜選択される。
また本発明の半導体発光素子においては、第一導電型は n型であることが望ま しく、第二導電型は p型であることが望ましい。 これは n型の基板の方が良質で ある場合が多いからである。
第 2図に示す半導体レーザは、 さらに電極 (14) および (15) を形成する ことにより作製される。 ェピタキシャル層側電極 (14) は、 例えば第二導電型 が P型の場合、 コンタクト層 (13) 表面に T iZP tZAuを順次に蒸着した 後、 合金ィ匕処理することによって形成される。 一方、 基板側電極 (15) は基板 (1) 表面に形成され、 第一導電型が n型の場合、 例えば AuGe/N i/Au を基板 (1) 表面に順に蒸着した後、 合金化処理することによって形成される。 製造した半導体ウェハーには、光の出射面である端面を形成する。端面は共振 器を構成する鏡となる。 好ましくは、 劈開により端面を形成する。 劈開は広く用 レ、られる方法であり、劈開によって形成される端面は使用する基板の方位によつ て異なる。 例えば、 好適に利用される nominally (100) と結晶学的に等価な 面をもつ基板を使用して端面発光型レーザ等の素子を形成する際には、 (1 1 0) もしくはこれと結晶学的に等価な面が共振器を形成する面となる。 一方、 ォ フ基板を使用するときには、傾斜させた方向と共振器方向の関係によっては端面 が共振器方向と 90度にならない場合もある。 例えば (100) 基板から、 (1
-10)方向に向けて角度を 2度傾けた基板を使用した場合には端面も 2度傾く ことになる。 ·
劈開によつて素子の共振器長も決定される。一般に共振器長は長レヽ方が高出力 動作に適するが、 本発明が適応される半導体レーザにおいては、 600 μπι以上 であることが望ましレ、。またさらに望ましくは 900 //m〜3000 μπιである ことが望ましい。 このように共振器長の上限があるのは、極端に長い共振器長を 有する半導体レーザは、 逆に、 しきい値電流の上昇、 効率の低下等、 特性劣化を きたす恐れがあるからである。
本発明では、 露出した半導体端面上に、誘電体、 または誘電体および半導体の 糸且合せからなるコーティング層(16, 17)を形成するのが好ましレ、(第 3図)。 コーティング層 (16, 17) は、 主に半導体レーザからの光の取り出し効率を 上げる目的と、 端面の保護という 2つの目的のために形成される。 また、 素子か らの光出力を片側の端面から効率良く取り出すためには、発振波長に対して反射 率の低い (例えば反射率 10%以下) コーティング層を主たる光の出射方向であ る前端面に施し、 また、 発振波長に対して反射率の高い (例えば 80%以上) の コーティング層をもう一方の後端面に施す非対称コーティングを行うのが望ま しい。 これは、 単に素子の高出力化を進めるだけではなく、 波長安定化のために 使用されるグレーティングファイバーなどの外部共振器から戻ってくる光を積 極的にレーザ内部に取り込み、波長の安定化を促進する点でも非常に重要である。 また、これらの目的のためには前端面の反射率は 5%以下であることが好ましく、 2. 5%以下であることがより好ましい。
コーティング層 (16, 17) には、 さまざまな材料を用いることができる。 例えば、 A10x、 T i Ox、 S i Ox、 S i N、 S iおよび Z n Sからなる群 力 ら選ばれる 1種または 2種以上の組合せを用いることが好ましい。低反射率の コーティング層としては A 1 Ox、 T i Ox、 S i Ox等が、 また高反射率のコ 一ティング層としては A 1 Ox/S iの多層膜、 T i Ox/S i Oxの多層膜等 力 いられる。 それぞれの膜厚を調節することによって、所望の反射率を実現す
ることができる。 し力 し、 一般に低反射率のコーティング層とする A 1 O x、 T i O x , S i O x等の膜厚は、 その波長えでの屈折率の実数部分を nとしてえ/ 4 n近傍になるように調整するのが一般的である。また、高反射多層膜の場合も、 膜を構成する各材料が; I 4 n近傍になるように調整するのが一般的である。 コーティングが終了したレーザバーを再度劈開することによって、各素子を分 離し、 半導体レーザとすることができる。
このようにして製造した半導体レーザを始めとする本発明の半導体発光素子 の光の出射端側に光ファイバ一を設置して、半導体発光素子モジュールを形成す ることができる。 光ファイバ一の先端は、 集光効果を示し、 かつ、 半導体発光素 子の前端面と直接光学的に結合するように加工されていることが好ましレ、。 半導体レーザを始めとする本発明の半導体発光素子に対して波長の安定化を 図るために、外部に波長選択性のある鏡を準備し、外部共振器と本発明の半導体 発光素子を結合させることが望ましい。特にファイバーグレーティングを用いて 外部共振器を形成させること望ましい。 またこの場合には、 半導体発光素子の他 にファイバーグレーティング、温度安定化用のクーラ等を内臓した半導体発光素 子モジュールを形成することも可能である。ファイバ一グレーティングはその目 的に応じて中心波長、反射あるいは透過帯域、 ファイバ一グレーティングが有す る半導体発光素子側への光の反射率等を適宜選択可能である。特に前記ファイバ 一グレーティングの半導体発光素子側への光の反射率は、半導体発光素子の発光 波長において 2〜1 5 %であることが好ましく、 5〜1 0 %であることがより好 ましく、 かつ、 その反射帯域が中心波長に対して 0 . 1〜5 . O n mであること が好ましく、 0 . 5〜1 . 5 n mであることがより好ましい。 条件 2を満たす半導体発光素子
次に、条件 2を満たす本発明の半導体発光素子の主たる特徴を、第 5図に示す L Dを参照しながら説明する。第 5図左には各層構造により実現される屈折率の 縦方向の空間分布を示し、また第 5図下には本図中で使用する方向の呼び方を示
した。
第 5図は、 n型基板(101) 上に、 A 1 25Ga 0. 75Asからなる厚み tx n (nm) の n型第一クラッド層 (102)、 I n 0.49G a 0. 5 i Pからなる厚み t sn (nm) の η型第二クラッド層 (103)、 アンドープ G a A sからなる厚 み t gn (nm) の第一光ガイド層 (104)、 厚み ta (nm) の活性層構造 (1 05)、 アンドープ GaAsからなる厚み tgp (nm) の第二光ガイド層 (10 6)、 I n0.49Ga0.51 P力 らなる厚み t sp (nm) の p型第二クラッド層 (1 07)、 A 10. 25Ga0.75Asからなる厚み t xp (nm)の p型第一クラッド層 (108) を有しており、 さらに電極との接触抵抗を下げるためのコンタクト層 (109)、 また横方向に対して電流注入領域を限定するための S i N層 (11 0) と p側電極 (111)、 n側電極 (1 12) より構成されているブロードエ リア型 LDを示すものである。 本発明では、 n型第一クラッド層 (102) と 型第一クラッド層 (108) などの対をなす層が必ずしも対称である必要はない 力 第 5図では同じ屈折率を有する材料で構成され、 また厚みも以下の条件を満 たしている。
xn = t xp = t x
u s n u s p υ s
L gn — t g p — t g
また活性層構造 (105) は、 基板 (101) 側から、 厚み 6 nmの I n0.丄 6Ga o. 84 As歪み量子井戸層 (121)、 厚み 8 nmの GaAs障壁 (バリア) 層 (122)、 厚み 6 nmの I n。. ]6Ga。.84 As歪み量子井戸層 (123) が 積層された歪み二重量子井戸構造であり、 その発振波長は λ (nm) である。 本発明においては、 LDの光閉じ込めの基本となる活性層構造 (105) に対 する縦方向の閉じ込めは、活性層構造(105) の上下に位置する 2つの A 10. 25Ga0. 75As第一クラッド層 (102, 108 ) と、 活性層構造 ( 105 ) を含む 2つの GaAs光ガイド層 (104, 106) との間の屈折率差によって 実現する。 基板 ( 101 ) が G a A sであり、 格子整合性の観点から第一クラッ
ド層 (102, 108) を A 1 G a A sで構成する場合には、 A1組成は 0. 4 よりも小さいことが好ましく、 0. 3より小さいことがより好ましく、 0. 2よ りも小さいことがさらに好ましレ、。 これは LD全体を構成する層の中で基板 (1 01) とコンタクト層 (109) を除いて最も厚いクラッド層 (102, 108) の A 1組成を下げることで素子全体の熱抵抗を下げることが可能であり、高出力 動作に適した構造とすることができるからである。 また、 第一クラッド層 (10 2, 108) は、 基板 (101) が GaAsである場合には I n0.49Ga0.51 Pを適応することも可能である。 さらに、 第一クラッド層 (102, 108) は 単一の材料から構成される必要はなく、光に対して単一の層と等価に作用するよ うな、 複数の層から構成されてもかまわない。 この場合、 光はこれら複数の層の 平均的な屈折率によって制御されることになる。
第一クラッド層 (102, 108) の厚み t x (nm) は、 その層の活性層側 力 ら離れる方向に対して光を十分に減衰させる必要があることから発振波長; L (nm) に対して以下の関係を有することが好ましい。
λ < t χ
特に 98011111帯1^0などの様に、基板が発振波長に対して透明であり、 力つ第 ークラッド層 (102, 108) および第二クラッド層 (103, 107) より も屈折率が大きい場合には、 クラッド層 (102, 103) から基板 (101) 側にもれ出した光が基板中を伝播することから、基板モードが LD本来のモード に重畳することが知られている。 これを抑制するためには、 第一クラッド層 (1 02, 108) の厚みを波長に対して適切に厚くしておくことが望ましい。 また、 光閉じ込めを実現するためには、 光ガイド層 (104, 106) は第一 クラッド層 (102, 108) よりも屈折率の大きな材料で構成される必要があ る。 基板 (101) が GaAsであって、 光ガイド層 (104, 106) を A 1 GaAs系材料で構成する場合には、 さらに光ガイド層 ( 104, 106 ) にお いてもその A 1組成は 0. 4よりも小さいことが好ましく、 0. 2より小さいこ とがより好ましく、 0. 1よりも小さいことがさらに好ましレ、。 また最も望まし
いのは A 1を含まない G a A sを用いる場合である。 特に信頼性の観点から、 A 1を含まない光ガイド層が望まれる。
通常の S C H (Separated Confinement Hetero - structure)構造を A 1 G a A s 系材料で構成した場合においては、 前記第一クラッド層 (102, 108) と光 ガイド層 (104, 106) は直接的に接しているが、 本発明においてはこれら の層の間に第二クラッド層 (103, 107) を有している点に特徴がある。 こ の層は光ガイド層 (104, 106)、 さらには第一クラッド層 (102, 10 8) よりも屈折率が低く設定される必要がある。
この結果、 第 5図左に示される通り、 第二クラッド層 (103, 107) は、 屈折率としては最も小さい値を有する層となる。 第 5図左では、 nの下に記載さ れる矢印の向きは屈折率が大きくなる方向を意味する。 また、伝導帯側の電子に 対しては (またここには示されていないが荷電子帯のホールに対しても)、 第二 クラッド層 (103, 107) は障壁となる機能を有する。 第 5図左の Egの上 に記載される矢印の向きは電子に対してポテンシャルが大きくなる方向を意味 する。
第二クラッド層 (103, 107) は、 このため、 次に述べる通り、 縦方向の 光閉じ込めに関して非常に重要な機能を有している。 この第二クラッド層 (10 3 , 107) は光ガイド層 ( 104, 106 ) よりも、 また、第一クラッド層 ( 1 02, 108) よりも屈折率が低くなる様に選択されるため、 この相対的な屈折 率の関係から、 第二クラッド層 (103, 107) は、 その外側、 すなわち第一 クラッド層 ( 102, 108) 側とまた光ガイド層 ( 104 , 106) 側の両側 に光の分布を押しやる機能を発現する。 このため、 第一クラッド層 (102, 1 08) 側に適度に分布が広げられた NFPVの成分は、 比較的狭い FFPを実現 することに寄与する。 すなわち、 第二クラッド層 (103, 107) の反導波的 な特性が適度に作用する場合には、 この存在によって、 比較的狭い FFPを実現 することが可能となる。 さらに、 この様に第二クラッド層 (103, 107) の 反導波的な特性が適切に作用している場合には、素子の F F Pには非常に特¾¾的
な形状が現れる。一般的に縦方向に基本モードのみが伝播する様に設計されてい る半導体レーザ、すなわちその縦方向の規格化周波数が πΖ 2以下である半導体 レーザの FFPVは、 ノイズの重畳、 光の干渉パターン等の副次的な事例を除け ば、 第 6図に示される様に単峰性のピークとなる。 し力 し、 本発明においては、 第 7図に示される様に 1つの主ピーク (強度が I Vma i n) と 2つの副ピーク (強 度が I Vsub と I Vsub +であり、 強度の大きな一方を改めて I Vsubとも記述す る) が観測され、 かつ、 0< I Vsub/ I vmain< . 5を満たすことが特徴であ る。 この副ピークは第二クラッド層 (103, 107) が光ガイド層 (1 04, 106)側に光を押しやることによって、比較的活性層に近い部分に集中させら れた NFPVの成分が、 大きな回折を起こして発生するものである。 このため、 第二クラッド層 (103, 1 07) の存在は単に第一クラッド層 (102, 10 8)側に向けて NFPの分布を広げるだけでは無く、 半導体レーザに欠かすこと ができなレ、活性層近傍における光の閉じ込めを保つ効果もある。そして本発明に よれば、 FFPを狭く (NFPを広く) した際に発生する LDのしきい値上昇、 スロープ効率の低下、駆動電流の上昇等の副作用なしに FFPを狭くすることが 可能である。 このためには、 縦方向における光閉じ込めにおいて、 活¾£層近傍に 付近に集中させる度合レ、、すなわち、 FFPに見られる 2つの副ピークの存在こ そが非常に重要である。 本発明においては、 0く I VsubZl v∞a i n<0. 5であ ることが必須であって、 望ましくは 0く I VsubZlVma i n<0. 3、 より望まし くは 0. 05く I VsubZl Vma inく 0. 2である。 これら指標は、 第一クラッド 層 (102, 108)、第二クラッド層 (103, 107)、光ガイド層 (104, 106)、 活性層構造 (105) の (平均的) 屈折率、 あるいは厚みなどの、 絶 対的、 また、 相対的な関係で規定されるものである。 例えば、 極端に第二クラッ ド層 (103, 107) の屈折率を下げること、 あるいは厚みを増すこと、 また 光ガイド層 (1 04、 1 06) の厚みを極端に薄くすることなどは、 導波路が過 度に反導波的になり L D構造中の縦方向の光閉じ込めがあまりに弱くなり過ぎ、 結果として、 極端な発振しきい値の増大、 スロープ効率の低下、 駆動電流の増大
などを招く結果となり望ましくない。
また、 主ピークがあらわれる角度を P (IVma i n)、 強度が IVsub_と IVsub +である 2つの副ピークがあらわれる角度をそれぞれ P (IVsub -)、 P (I vsu b+) とすると、 本発明においては、 以下の関係を満たすことが望ましい。
I P (IVma in) -P (I vsnb-) I 〉 40度
I P (I vsUb+) -P (I vma i„) I > 40度
I P (I V s u b+) -P (I V s ub-) I > 80度
これは、 NF Pvの成分の中で活性層近傍に集中される度合いを示す重要な指 標であって、 以下の関係を満たすことがより望ましい。
I P (lVma in) - (Ivsub-) I > 50度
I P (I vsub+) — P (I vma i„) I 〉 50度
I P (ivsub+) -P dvsub-) I 〉 l oo度
さらに望ましいのは、 以下の関係を満たす場合である。
60度 〉 I P (IVma in) — P (IVsub— ) I 〉 55度
60度 〉 I P (I Vsub+) -P (I Vma in) I > 55度
120度 > I P (I Vsub+) — P (I Vsub ) I > 1 10度
第二クラッド層 ( 103 , 107) が有するもう一つの機能は、 高温で LD駆 動を駆動している場合、あるいは高出力動作中で L Dの自己発熱によつて活性層 の温度が相当に上がってしまう場合などに、 I n。. ] 6Ga 0. 84As歪み量子井 戸層 (121, 123) から第一クラッド層 (102, 108) 中へのキャリア の熱的な漏れ出し(オーバーフロー)を抑制する機能である。本構造においては、 第 5図に示される様に活性層構造(105)側から光ガイド層 (104, 106) を通って第一クラッド層 (102, 108) 側にもれ出すキャリアから見て、 光 ガイド層 (104, 106) と第一クラッド層 (102, 108) の間の障壁の 高さよりも第二クラッド層 (103, 107) の障壁が高いために、 キャリアの オーバーフローを抑制する観点でも望ましい。 し力 し、極端に大きな障壁は第一 クラッド層 (102, 108) 側から活性層構造 (105) 側へ注入されるキヤ
リアに対して、 その注入を阻害してしまうことから第一クラッド層 (102, 1 08) と第二クラッド層 (103, 107) のバンドギャップの差は 0. 05 e V〜0.45 eV程度であることが望ましく、さらに望ましくは 0. 1 e V〜0. 3 e V程度であることが望ましレ、。
次に、本発明の半導体レーザの一例である単一横モード動作可能な半導体レー ザについて第 8図を参照しながら説明する。 第 8図は、本発明の半導体レーザに おけるェピタキシャル構造の一例として埋め込みストライプ型の半導体レーザ の構成を示した概略断面図である。
この半導体レーザは半導体基板 (1) 上に形成され、 屈折率導波構造を有し、 第二導電型第一クラッド層が第二導電型上側第一クラッド層 ( 10 ) と第二導電 型下側第一クラッド層 (9) の二層に分かれ、 この第二導電型上側第一クラッド 層 (10) と電流ブロック層 (1 1) キャップ層 (12) とで電流閉じ込めと 光閉じ込めを共に実現し、さらに電極との接触抵抗を下げるためのコンタクト層 (13) を有する半導体レーザである。 この種のレーザは光通信に用いられる光 フアイバー増幅器用の光源や、情報処理用の大規模光磁気メモリーのピックアツ プ光源、 医療用高出力半導体レーザとして用いられ、層構成や使用材料等を適宜 選択することによって、 さらに様々な用途へ応用することもできる。
基板 (1) としては、 半導体基板であれば G a A s、 I nP、 Ga P、 Ga N 等、 また誘電体基板であれば A 1 Ox等を使用することができる。 基板 (1) は いわゆるジャスト基板だけではなく、ェピタキシャル成長の際の結晶性を向上さ せる観点から、 いわゆるオフ基板 (miss oriented substrate) の使用も可能で ある。 オフ基板は、 ステップフローモードでの良好な結晶成長を促進する効果を 有しており、 広く使用されている。 オフ基板は 0. 5度〜 2度程度の傾斜を持つ ものが広く用いられるが、後述する量子井戸構造を構成する材料系によっては傾 斜を 10度前後にすることもある。
基板 (1) は、 MB Eあるいは MOCVD等の結晶成長技術を利用して半導体 レーザを製造するために、あらかじめ化学エッチングや熱処理等を施しておいて
もよレ、。 使用する基板 (1) の厚みは通常 350 μπ程度のものであり、 素子作 製のプロセス中の機械的強度が確保されるようにするのが普通であり、半導体レ 一ザの端面を形成するために、プロセス途中で 100 μπι程度に薄くポリッシン グされるのが普通である。
バッファ層 (2) は、 基板バルク結晶の不完全性を緩和し、 結晶軸を同一にし たェピタキシャル薄膜の形成を容易にするために設けることが好ましレ、。バッフ ァ層 (2) は、 基板 (1) と同一の化合物で構成するのが好ましく、 基板 (1) が G a A sの場合は通常、 G a A sが使用され、基板が I n Pである場合には I nPが使用される。 し力 し、 超格子層をバッファ層 (2) に使用することも広く 行われており、 同一の化合物で形成されず G a A s基板上では、 例えば、 A 1 G a A sZGa Asの超格子構造が使用される場合もある。 またバッファ層 (2) の組成を徐々に層内で変化させることもできる。 一方、誘電体基板を用いた場合 には必ずしも基板 (1) と同一の物質ではなく、 その所望の発光波長、 デバイス 全体の構造から、 適宜、 基板と異なった材料が選ばれる場合もある。
第一導電型第一クラッド層 (3) は各種材料によって構成することが可能であ つて、 実現したい発振波長によって選択される活性層構造 (6)、 あるいは基板 ( 1 ) 等に合わせて適宜選択される。 例えば本発明を G a A s基板上で実現した 場合には、 A 1 G a A s系材料、 I n G a P系材料、 A 1 G a I n P系材料など を使用することが可能であって、 また、 例えば I nP基板上で実現した場合には nGa As P系材料などを使用することができる。
また、 特に A 1 G a A s系材料を用いた場合には、 素子全体の熱抵抗を下げ、 高出力動作に適した構造とするために、 第一導電型第一クラッド層 (3) の A 1 組成は 0. 40未満であることが好ましく、 0. 3以下であることがより好まし く、 0. 2以下であることがさらに好ましい。 また、 第一導電型第一クラッド層 (3) の厚み txn (nm) は、 活性層構造 (6) 力 ^離れる方向に対して光を十 分に減衰させる必要があることから、 発振波長え (nm) よりも大きくすること が好ましい。
また前記の様に、 第一導電型第一クラッド層 (3) に Al GaAsを用いた場 合には、 A 1 xnGa s層の A 1組成が、 通常の SCH構造、 あるいは G
R I N— SCH構造を有する LDよりも低いため、 ドーパントの活性化率を高く できる効果も期待できる。特に第一導電型が n型であり S iをドーパントとする 場合などにおいて、 MB E法によって結晶成長をすることを想定すると、 N. Chand et al., Physical review B vol.30 (1984) P.4481 にある通り、 S i ド ナ一のイオン化エネルギーは A 1組成に大きく依存することが知られており、低 A 1組成の A 1 G a A sにおいてはドーピングレベルを比較的少なめに設定し ても十分に抵抗の小さい層を形成することができるために非常に望ましい。よつ て、 第一導電型第一クラッド層 (3) のドーピングレベルは 1. 0 X 1017cm 一3〜 1. 0 X 1018 cm— 3であることが望ましく、 3. 0 X 1 017 cm— 3〜7. 5 X 1017 cm一3であることがより望ましレヽ。
さらにドーピングは第一導電型第一クラッド層 (3) 内で一様に行われる必要 はなく、 基板 (1) 側ほど高く、 また活性層構造 (6) に近い側ほど低く設定さ れることが望ましい。 これは光密度の高い部分において自由電子による吸収を抑 制するために有効な方法である。
第一導電型第二クラッド層 (4) は各種材料によって構成することが可能であ つて、 実現したい発振波長によって選択される活性層構造 (6)、 あるいは基板 等に合わせて適宜選択される。例えば本発明を G a A s基板上で実現した場合に は、 A 1 G a A s系材料、 I n G a P系材料、 A 1 G a I n P系材料などを使用 することが可能であって、 また、例えば I nP基板上で実現した場合には I nG a As P系材料などを使用することができる。
また、 第一導電型第二クラッド層 (4) を A 1 Ga As系材料で構成し、 これ を A 1 snG aト snA sとした場合は、 その A1組成 s nは 0. 5未満であるこ とが好ましい。 また、 第一導電型第二クラッド層 (4) の A 1組成は、 隣接する 第一導電型第一クラッド層 (3) の A 1組成と第一光ガイド層 (5) の A 1組成 よりも大きくする。 このような構成を採用することによって、 第一導電型第二ク
ラッド層 (4) は最も屈折率が小さな層となり、 伝導帯側の電子や荷電子帯のホ ールに対して障壁となる機能を持つことになる。 また、第一導電型第二クラッド 層 (4) の A1組成と、 第一導電型第一クラッド層 (3) の A1糸且成との差は、 0. 08より大きいことが望ましい。 これによつて、 活性層構造 (6) から第一 導電型第一クラッド層 (3) へキャリアがオーバーフローするのを第一導電型第 ニクラッド層 (4) が十分に抑制することができる。 ただし、 第一導電型第一ク ラッド層 (3) から活性層構造 (6) へのキャリア注入を過度に阻害しないよう に、 これら 2つの層の A 1組成の差は 0. 4未満にしておくことが好ましい。 第一導電型第二クラッド層 (4) の厚み t sn (nm) は、第一光ガイド層 (5) の厚み tgn (nm) よりも小さいことが好ましい。 このような構成を採用するこ とによって、 極端な発振しきい値の増大、 スロープ効率の低下、 駆動電流の増大 を回避することができる。 適度な縦方向の NFP拡大効果を得るためには、 t s nZtg S0. 3より大きいことが好ましい。 また、 第一導電型第二クラッド層 (4) の厚み t snは、 10nmよりも厚く、 100 n mよりも薄いことが好まし レ、。 第一導電型第二クラッド層 (4) の厚み t snが 1 Onm以下であると光学的 な効果が薄れる場合があり、逆に 10 Onm以上であると光閉じ込めが極端に弱 くなって LDが発振しなくなる場合がある。
また、 第一導電型第二クラッド層 (4) において、 これを A I Ga As系材料 で構成し、 A l
とした場合は、 この A 1組成 s nが本発明の L D構造の中で比較的高いために、 ドーパントのドーピングレベルは第一導電型第 ークラッド層 (3) と比較して高く設定することが望ましい。 特に第一導電型が n型であり S iをドーパントとする場合などにおいて、 MB E法によって結晶成 長をすることを想定すると、 そのドーピングレベルは 3. OX 10
17cm一
3〜 1. OX 10
18cm-
3であることが望ましく、 4. OX 10
17cm一
3〜 7. 5 X 10
17 cm—
3であることがより望ましレヽ。
ここで、 前記の第一導電型第一クラッド層 (3) の平均屈折率を Nxn、 第一導 電型第二クラッド層 (4) の平均屈折率を Nsn、 後述する活性層構造 (6) の平
均的屈折率を Naとすると、 これら屈折率が Nsn<Nxn<Naを満たすことが望 ましい。 これは完成した素子の F F P vの中に本質的に 3つの極大値が存在し、 その強度が I Vma i nである最大値を有する主ピークと、その強度がそれぞれ I Vs ub_と I Vsub+である極大値を有する 2つの副ピークから構成されており、 0く I Vsub I Vma in<0. 5を実現するための 1つの手段である (IVsubは I Vs ub_と I Vsub+で強度の大きな方)。
第 8図には示されていないが、 第一導電型第一クラッド層 (3) と第一導電型 第二クラッド層 (4) の間には、 基板 (1) との格子整合性等の観点、 あるいは 逆に意図的に導入する歪みの観点などから適宜選択された A 1 G a A s系、 I n G a P系等の材料からなり、 そのバンドギヤップが第一導電型第一クラッド層 (3) 側では、 第一導電型第一クラッド層 (3) に接近しており、 また第一導電 型第二クラッド層 (4) 側では第一導電型第二クラッド層 (4) に接近している 様な層を挿入することも可能である。 この様な遷移層は第一導電型第一クラッド 層 (3) 側から第一導電型第二クラッド層 (4) を通じて活性層構造 (6) にキ ャリァを注入する際の電気抵抗を低減できるために非常に好ましい。
第一導電型第二クラッド層 (4) 上の第一光ガイド層 (5) は、 各種材料によ つて構成することが可能であって、実現したレ、発振波長によって選択される活性 層構造 (6)、 あるいは基板 (1) 等に合わせて適宜選択される。 例えば本発明 を G a A s基板上で実現した場合には、 A 1 G a A s系材料、 1 nGa P系材料、 A 1 Ga n P系材料などを使用することが可能であって、 また、例えば I n P 基板上で実現した場合には I n G a A s P系材料などを使用することができる。 第一光ガイド層 (5) を A 1 Ga As系材料で構成する場合、 光閉じ込めを実 現するために、 第一光ガイド層 (5) は第一導電型第一クラッド層 (3) より A 1組成の小さな材料で構成する必要がある。 具体的には、 第一光ガイド層 (5) の A 1組成は 0. 4よりも小さいことが好ましく、 0. 2より小さいことがより 好ましく、 0. 1よりも小さいことがさらに好ましレ、。 また最も望ましいのは A 1を含まない G a A sを用いる場合である。 特に信頼性の観点から、 A 1を含ま
ない光ガイド層が望まれる。
また第一光ガイド層 (5) の厚み tgn (nm) は、 第一導電型第二クラッド層 (4)にその機能を十分に発揮させるために、以下の式を満たすことが好ましい。
0.5X [X/(4XNgn)] nm <tgn< 1.5X [l/(4XNgn)] nm
上式において、 Ngnは第一光ガイド層(5)の屈折率である。第一光ガイド層(5) の厚み t gnを上式の上限未満にすることによって、特に第一導電型第二クラッド 層 (4) のキャリアのオーバーフロー抑制効果を十分に発揮させるとともに、 キ ンクレベルの低下等を有効に回避することができる。また、第一光ガイド層(5) の厚み t gnを上式の下限より大きくすることによって、第一導電型第二クラッド 層 (4) の反導波的な特性が過度にならないようにすることができる。
特に A 1 Ga As系材料によって第一光ガイド層 (5) を構成した場合におい ては、 A 1 Ga Asからなる厚み tgnの第一光ガイド層 (5) はかならずしも単 一の A 1組成を有する層である必要はなく、 第一光ガイド層 (5) の中で A 1組 成を変化させることも可能である。 このように第一光ガイド層 (5) の中で A1 組成の異なる領域が存在する場合の屈折率は平均的な屈折率をもって第一光ガ イド層 (5) の屈折率と考えることができる。
第一光ガイド層 (5) の導電型は p型、 n型、 あるいはアンドープであっても 本発明の効果は変わらなレ、。
前記の事情は活性層構造 (6) の上に位置する第二光ガイド層 (7) において も同様である。
本発明で言う活性層構造 (6) とは、 量子効果の現れないほどに十分な膜厚を 有する単層のバルク活性層である場合、 あるいは、 量子効果が顕著になるほどに 薄い薄膜からなり、光ガイド層に障壁層としての役割を担わせた単層の量子井戸 活性層 (Single Quantum Well: SQW) である場合がある。 また、 多くの場合にお いては当該量子井戸層の両側には、量子井戸層よりも大きなバンドギヤップを有 する障壁層が具備されることから、 同じ SQW構造でも障壁層、 量子井戸層、 障 壁層と積層された場合もあり得る。 さらに、 活性層構造が、 第 8図に示されるよ
うに、 基板 (1) 側から障壁層 (21)、 量子井戸層 (22)、 障壁層 (23)、 量子井戸層 (24)、 障壁層 (25) と積層されたいわゆる二重量子井戸構造 (Strained Double Quantum Well: S-DQW) であっても良い。 さらに、 量子井戸 層を 3層以上多重に用いた多重量子井戸構造が用いられる場合もある。 また、 こ れら量子井戸層には意図的に歪みが導入される場合もあり、例えば、 しきい値を 低下させるために圧縮性の応力を内在させることなどは広く行われている。また、 本発明で好ましく応用される 900η π!〜 1350 n m程度の波長を有する半 導体レーザにあっては、 GaAs基板上に I n、 G aおよび A sを含み基板に格 子整合しない歪み量子井戸層を含むことで実現されるのが望ましレ、。
歪み量子井戸層の具体的な材料としては、 I nGaAs、 Ga I nNAs等を 挙げることができる。 歪みを有する量子井戸層は、 その歪みの効果によって光学 利得の増大等を期待することができる。 このため第一クラッド層 (3, 9, 10) と活性層構造 (6) の間が、 適度に弱い縦方向の光閉じ込めであっても、 十分な LD特性を実現できる。このため、歪み量子井戸層は本発明においては望ましい。 障壁層 (21, 23, 25) の導電型は p型、 n型、 あるいはアンドープであ つても本発明の効果は変わらないが、 障壁層 (21, 23, 25) は n型の導電 型を示す部分を有することが望ましい。この様な状況においては、障壁層(21, 23, 25) から電子が活性層構造内の量子井戸層 (22, 24) に供給される ことから LDの利得特性を効果的に広帯域ィヒすることができて望ましい。 このよ うな素子は後述する様にグレーティングフアイバー等の外部共振器によって効 果的に発振波長を固定ィヒすることができる。 また、 この際に n型のドーパントは S iであることが望ましい。 さらに、 S iの様な n型のドーパントが障壁層 (2 1, 23, 25) 内に一様にドーピングされているのではなく、 歪み量子井戸層 (22, 24) 等の他の層との界面近傍にはドーピングが施されず、 障壁層 (2 1, 23, 25) の中心付近に選択的にドーピングされていることが最も望まし レ、。
第二導電型第二クラッド層 (8) は、 各種材料によって構成することが可能で
あって、 実現したい発振波長によって選択される活性層構造 (6)、 あるいは基 板 ( 1 ) 等に合わせて適宜選択される。 例えば本発明を G a A s基板上で実現し た場合には、 A 1 G a A s系材料、 I n G a P系材料、 A 1 Ga I n P系材料な どを使用することが可能であって、 また、 例えば I nP基板上で実現した場合に は I nGa As P系材料などを使用することができる。
第二導電型第二クラッド層 (8) を A 1 Ga As系材料を用いて構成する場合 には、 その A 1組成は 0. 5未満であることが好ましい。 第二導電型第二クラッ ド層 (8) の A 1組成は、 隣接する第二導電型下側第一クラッド層 (9) の A 1 組成と第二光ガイド層 (7) の A 1組成よりも大きくなければならない。 このよ うな構成を採用することによって、 第二導電型第二クラッド層 (8) は最も屈折 率が小さな層となり、伝導帯側の電子や荷電子帯のホールに対して障壁となる機 能を持つことになる。 また、 第二導電型第二クラッド層 (8) の A 1組成と、 第 二導電型下側第一クラッド層 (9) の A 1糸且成との差は、 0. 08より大きくす ることが好ましい。 これによつて、 活性層構造 (6) から第二導電型下側第一ク ラッド層 (9) へキャリアがオーバーフローするのを第二導電型第二クラッド層
(8) が十分に抑制することができる。 ただし、 第二導電型下側第一クラッド層
(9) 力 ら活性層構造 (6) へのキャリア注入を過度に阻害しないように、 A 1 組成の差は 0. 4未満にしておくことが好ましレ、。
第二導電型第二クラッド層 (8) の厚み t sp (nm) は、第二光ガイド層 (7) の厚み tgp (nm) よりも小さいことが好ましい。 このような構成を採用するこ とによって、 極端な発振しきい値の増大、 スロープ効率の低下、 駆動電流の増大 を回避することができる。 適度な縦方向の NFP拡大効果を得るためには、 t s pZtgpが 0. 3より大きいことが好ましい。 また、 第二導電型第二クラッド層 (8) の厚み t spは、 10 nmよりも厚く、 100 n mよりも薄いことが好まし レ、。 第二導電型第二クラッド層 (8) の厚み t spが 10 nm以下であると光学的 な効果が薄れる場合があり、逆に 100 nm以上であると光閉じ込めが極端に弱 くなって LDが発振しなくなる場合がある。
第二導電型第二クラッド層(8) は、必ずしも第一導電型第二クラッド層(4) と同じ屈折率、 同じ厚み、 同じ材料で構成される必要はなレ、が、 縦方向のビーム の対称性を確保するためには、 光学的に等価である屈折率を有し、 かつ同じ厚み であることが望ましい。
また、活性層構造 (6)の平均的屈折率を Na、第二導電型第二クラッド層(8) の屈折率 Nsp、 後述する第二導電型第一クラッド層 (9, 10) の平均屈折率を Nxpとするとき、 これら屈折率が Nsp<Nxp<Naを満たすことが望ましい。 こ れは完成した素子の F F Pvの中に存在する最大強度が I Vma inである主ピーク と、 極大強度がそれぞれ I Vsub_と IVsub+である 2つの副ピークについて、 0 < I vsub l vma in< . 5を実現するための 1つの手段である (I Vsubは I v sub—と I Vsub+のうち強度が大きい方を表す)。
特に第二導電型が p型であり B eをドーパントとする場合などにおいて、 MB E法によって結晶成長をすることを想定すると、 そのドーピングレベルは 3. 0 X 1017cm— 3〜1. OX 1018cm一3であることが望ましく、 4. 0 X 101 7cm— 3〜7. 5X 1017cm一3であることがより望ましい。
第 8図には示されていないが、 第二導電型第二クラッド層 (8) と第二導電型 下側第一クラッド層 (9) の間には、 基板 (1) との格子整合性等の観点、 ある いは逆に意図的に導入する歪みの観点などから適宜選択された A 1 G a A s系、 I n G a P系等の材料からなり、そのバンドギヤップが第二導電型第二クラッド 層 (8) 側では、 第二導電型第二クラッド層 (8) に接近しており、 また第二導 電型下側第一クラッド層 (9) 側では第二導電型下側第一クラッド層 (9) に接 近している様な層を挿入することも可能である。 この様な遷移層は第二導電型第 ークラッド層 (9, 10) 側から第二導電型第二クラッド層 (8) を通じて活十生 層構造(6) にキャリアを注入する際の電気抵抗を低減できるために非常に好ま しレヽ。
第二導電型第一クラッド層は、第 8図の態様では、 第二導電型下側第一クラッ ド層 (9) と第二導電型上側第一クラッド層 (10) の二層に別れている。 この
場合には素子作製を容易にするために、 これら二層の間にエッチング停止層を有 していてもかまわない。
第二導電型第一クラッド層 (9, 10) の材料は、 前記の第二導電型第二クラ ッド層(8)と同様に選択することができる。特に第二導電型第一クラッド層(9, 10) の材料として A 1 Ga As系材料を用いた場合には、 素子全体の熱抵抗を 下げ、 高出力動作に適した構造とするために、 第二導電型第一クラッド層 (9, 10) の A 1組成は 0. 40未満であることが好ましく、 0. 3以下であること がより好ましく、 0. 2以下であることがさらに好ましい。 また、 第二導電型下 側第一クラッド層 (9) と第二導電型上側第一クラッド層 (10) の総厚みは、 活性層構造 (6) 力 ら離れる方向に対して光を十分に減衰させる必要があること から、 発振波長; Lよりも大きくすることが好ましレ、。
第二導電型下側第一クラッド層 (9) の厚みは、 活性層への電流注入経路が、 電流の横方向への広がりによって極端に広くならないようにするために、 1 On m〜 200 n m程度であることが望ましレ、。またより望ましくは 20 n m〜 70 nm程度であることが望ましレ、。
また、 第二導電型下側第一クラッド層 (9) また第二導電型上側第一クラッド 層 (10) のドーピングレベルは 1. 0 X 1017 cm— 3〜1. 0 X 1018 cm— 3であることが望ましく、 3. 0 X 1017 cm一3〜 7. 5 X 1 017 c m— 3である ことがより望ましい。
さらにドーピングは第二導電型下側第一クラッド層 ( 9 ) また第二導電型上側 第一クラッド層 (1 0) で一様に行われる必要はなく、 コンタクト層 (1 3) 側 ほど高く、 また活性層構造 (6) に近い側ほど低く設定されることが望ましい。 これは光密度の高い部分において自由電子による吸収を抑制するために有効な 方法である。
第二導電型上側第一クラッド層 ( 10) はその側面に形成されている電流プロ ック層 (1 1) とともに、 電流閉じ込めと横方向の光閉じ込めの 2つの機能を実 現する。 これは本発明を単一横モード動作する LDに適応する時に望ましい構成
である。 このために、横方向に対する電流閉じ込めの観点では、 電流ブロック層
(1 1) の導電型は第一導電型かあるいはアンドープとすることが好ましレ、。 ま た、横方向の光閉じ込めの観点、 特に屈折率導波を基礎とした導波路としての特 性を満足するためには、電流ブロック層(1 1)は第二導電型第一クラッド層(9, 10) よりも小さな屈折率を有する材料で形成される。 この場合には、 主ピーク の放射パターンにおいて FFPHは基本的に 1つの極大値を持つこととなり、 本 発明において望ましい。 また、横方向の光閉じ込めを、 いわゆるロスガイド型に することも可能であって、 この場合には、 電流ブロック層 (11) を構成する材 料の実効的なバンドギヤップが発振波長を吸収する様にすることで、主ピークの 放射パターンにおいて横方向の F F PHが基本的に 1つの極大値を持つ様にでき るため、 本発明において望ましい。
また、 本発明では電流ブロック層 (1 1) を構成する材料は、 基板 (1)、 活 性層構造 (6)、 あるいはどのような横方向の導波構造とするかによつて適宜選 択することが可能である。 例えば、 第二導電型第一クラッド層 (9, 10) とと もに、 電流プロック層 (11) も Al GaAs系材料で形成し、 それぞれ A 1 x pGa !_xpA s , A 1 zGa i— zA sであるとしたとき、その A 1組成を z > x p にすることで実屈折率導波構造が実現できる。 実屈折率導波型であり、 単一横モ ード動作する半導体レーザを作製する場合においては、 電流ブロック層 (1 1) と第二導電型上側第一クラッド層 (10) との屈折率差によって主に規定される 横方向の有効屈折率差は 10一3のオーダであることが望ましい。さらには電流注 入路の幅であって、 かつ、 導波路の幅に相当する、 第二導電型上側第一クラッド 層 (10) と第二導電型下側第一クラッド層 (9) が接する部分の横方向の幅 W は、 LDを単一横モード動作させる観点では、紙面に垂直な共振器方向に誤差の 範囲で一様であって、 その幅は 6 /m以下であることが望ましく、 より望ましく は 3 μιη以下であることが望ましい。 しかし、 高出力動作と単一横モード動作の 両立を目指すためには、 必ずしも共振器方向に一様な導波路である必要はなく、 半導体レーザの主たる光の出射方向である前端面側においては、その導波路の幅
を相対的に広くして高出力動作に適する様にし、 一方、 後端面側においてはその 導波路の幅を狭くして、 単一横モード動作可能である様にすることが望ましい。 また、 この様な場合においては、一方の発光点近傍における電流注入路の幅を W exp、 素子中の最も狭い電流注入路の幅 ws tdとした場合に以下の式を満たすこ とが好ましレ、。
1· 5<Wexp/Ws t d< 5. 0
さらに、 以下の式を満たすことがより好ましい。
2. 5 < Wexp/Ws t d < 3. 5
キャップ層 (1 2) は、 第 1回目の成長において電流ブロック層 (1 1) の保 護層として用いられると同時に第二導電型上側第一クラッド層 (10) の成長を 容易にするために用いられ、 素子構造を得る前に、 一部または全て除去される。 第二導電型上側第一クラッド層 (10) の上には、 電極 (14) との接触抵抗 率を下げるため等の目的で、 コンタクト層 (1 3) を設けるのが好ましい。 コン タクト層 (1 3) は、 通常、 Ga As材料にて構成される。 この層は、 通常電極 (14) との接触抵抗率を低くするためにキャリア濃度を他の層より高くする。 また導電型は第二導電型である。
半導体レーザを構成する各層の厚みは、それぞれの層の機能を効果的に奏する 範囲内で適宜選択される。
また、本発明の半導体レーザにおいては、第一導電型は n型であることが望ま しく、 第二導電型は p型であることが望ましい。 これは n型の基板の方が良質で ある場合が多いからである。
第 8図に示す半導体レーザは、 さらに電極 (14) および (1 5) を形成する ことにより作製される。 ェピタキシャル層側電極 (14) は、 例えば第二導電型 が P型の場合、 コンタクト層 (1 3) 表面に T i/P tZAuを順次に蒸着した 後、 合金化処理することによって形成される。 一方、 基板側電極 (1 5) は基板 (1) 表面に形成され、 第一導電型が n型の場合、 例えば AuGeZN iZAu を基板表面に順に蒸着した後、 合金化処理することによって形成される。
製造した半導体ウェハーには、 光の出射面である端面を形成する。端面は共振 器を構成する鏡となる。 好ましくは、劈開により端面を形成する。 劈開は広く用 いられる方法であり、 劈開によって形成される端面は使用する基板 (1) の方位 によって異なる。 例えば、 好適に利用される nominally (1 00) と結晶学的に 等価な面をもつ基板を使用して端面発光型レーザ等の素子を形成する際には、 (1 1 0) もしくはこれと結晶学的に等価な面が共振器を形成する面となる。一 方、 オフ基板を使用するときには、傾斜させた方向と共振器方向の関係によって は端面が共振器方向と 90度にならない場合もある。例えば(1 00)基板から、 (1 - 1 0) 方向に向けて角度を 2度傾けた基板 (1) を使用した場合には端面 も 2度傾くことになる。
劈開によって素子の共振器長も決定される。一般に共振器長は長い方が高出力 動作に適するが、 本発明が適応される半導体レーザにおいては、 これは 600 μ m以上あることが望ましい。またさらに望ましくは 900 /ζπ!〜 3000 / mで あることが望ましい。 このように共振器長の上限があるのは、極端に長い共振器 長を有する半導体レーザは、 逆に、 しきい値電流の上昇、 効率の低下等、 特性劣 化をきたす恐れがあるからである。
本発明では、 露出した半導体端面上に、 第 3図に示すように、 誘電体、 または 誘電体および半導体の糸且合せからなるコーティング層 ( 1 6, 1 7) を形成する のが好ましレ、。 コーティング層 (1 6, 1 7) は、 主に半導体レーザからの光の 取り出し効率を上げる目的と、端面の保護という 2つの目的のために形成される。 また、 素子からの光出力を片側の端面から効率良く取り出すためには、発振波長 に対して反射率の低い (例えば反射率 1 0%以下) コーティング層を主たる光の 出射方向である前端面に施し、 また、発振波長に対して反射率の高い (例えば 8 0%以上)のコーティング層をもう一方の後端面に施す非対称コーティングを行 うのが望ましい。 これは、 単に素子の高出力化を進めるだけでは無く、 波長安定 化のために使用されるダレ一ティングファイバーなどの外部共振器から戻って くる光を積極的にレーザ内部に取り込み、波長の安定化を促進する点でも非常に
重要である。 また、 これらの目的のためには前端面の反射率は 5 %、 より望まし くは 2. 5%以下であることが好ましレ、。
コーティング層 (16, 17) には、 さまざまな材料を用いることができる。 例えば、 A 10x、 T i Ox、 S i Ox、 S i N、 S iおよび Z n Sからなる群 から選ばれる 1種または 2種以上の組合せを用いることが好ましい。低反射率の コーティング層としては A 1 Ox、 T i Ox、 S i Ox等が、 また高反射率のコ —ティング層としては A 1 Ox/S iの多層膜、 T i Ox/S i Oxの多層膜等 が用いられる。 それぞれの膜厚を調節することによって、所望の反射率を実現す ることができる。 しかし、 一般に低反射率のコーティング層とする A 1 Ox、 T i Ox, S i Ox等の膜厚は、 その波長 λでの屈折率の実数部分を ηとして; I Ζ 4 η近傍になるように調整するのが一般的である。また、高反射多層膜の場合も、 膜を構成する各材料が; I 4 η近傍になるように調整するのが一般的である。 コーティングが終了したレーザバーを再度劈開することによって、各素子を分 離し、 半導体レーザとすることができる。
この様にして作製された素子、あるいは他の層をさらに有する素子においても、 本発明を用いることで、半導体レーザの主要な特性を極端に悪ィ匕させることなく、 その FFPVの半値全幅を実効的に低減させ、 光ファイバ一、 レンズで構成され た光学系などと半導体レーザの良好な結合を実現できる。 言い換えると、 第一ク ラッド層 (3, 9, 10)、 第二クラッド層 (4, 8)、 光ガイド層 (5, 7)、 活性層構造 (6) 等の屈折率、 厚み等が適切に設定され、 かつ、 縦方向に関して 基本モードの伝播のみが許容される様に規格化周波数が π,2以下である半導 体レーザにぉレヽては、当該半導体レーザから出射される光の放射パターンにおレヽ て、 FFPVの中に存在する最大強度が I Vma i nである主ピークと、 極大強度が それぞれ I Vsub一と I Vsub+である 2つの副ピークについて、 0く IVsubZlv ma i n<0. 5を実現することができる (I Vsubは I Vsub_と I Vsub +のうち強 度が大きい方を表す)。 本発明においては、 0く IVsubZl Vma inく 0. 5であ ることが必須であって、望ましくは0< 1 ノ1 „1 11<0. 3、 より望まし
くは 0. 05く I VsubZ l Vma in<0. 2である。 これら指標は、 第一クラッド 層 (3、 9, 10)、 第二クラッド層 (4, 8)、 光ガイド層 (5, 7)、 活性層 構造 (6) の (平均的) 屈折率、 あるいは厚みなどの、 絶対的、 また、 相対的な 関係で規定されるものである。 例えば、.極端に第二クラッド層 (4, 8) の屈折 率を下げること、 あるいは厚みを増すこと、 また光ガイド層 (5, 7) の厚みを 極端に薄くすることなどは、導波路が過度に反導波的になり LD構造中の縦方向 の光閉じ込めがあまりに弱くなり過ぎ、結果として、極端な発振しきい値の増大、 ス口ープ効率の低下、 駆動電流の増大などを招く結果となり望ましくない。 また、本発明によって、第一クラッド層(3, 9, 10)、第二クラッド層(4, 8)、 光ガイド層 (5, 7)、 活性層構造 (6) 等の屈折率、 厚み等が非常に適切 に設定され、 かつ、縦方向に関して基本モードの伝播のみが許容されている半導 体レーザにおいては、 1つの主ピークがあらわれる角度を P (IVma i n)、 強度 が IVsub_と IVsub+である 2つの副ピークがあらわれる角度をそれぞれ P (I
Vsub -), P (I Vsub+) とするとき、 以下の関係を満たすことが好ましい。 より 好ましい範囲は、 前記の第 5図の説明における好ましい範囲と同じである。
I p (I Vma in) -P dvsub-) I 〉 40度
I P (I vsub+) -P (I Vma i J I > 40度
I P (iVsub+) — P dvsub-) I > s o度
また、 この場合においても、 前記の様な適切な縦方向の設計を実施しており、 かつ実屈折率導波構造を有する結果として、 ?„の最大値を 1^^^„、 これ があらわれる角度を P (I„ma in) として、 以下の関係も満たすことが最も望ま しい。
I P ( l Vma i n) -P ( l Hm a i n) I < 5度
本発明の半導体レーザに対して波長の安定化を図るためにレーザ外部に波長 選択性のある鏡を準備し、外部共振器と本発明のレーザを結合させることが望ま しい。特にファイバーグレーティングを用いて外部共振器を形成させること望ま しい。 またこの場合には、 半導体レーザの他にファイバーグレーティング、 温度
安定化用のクーラ等を内臓した半導体レーザモジュ一ルを形成することも可能 である。 ファイバーグレーティングはその目的に応じて中心波長、反射あるいは 透過帯域、ファイバーグレーティングが有するレーザ側への光の反射率等を適宜 選択可能である。特に前記ファイバーグレーティングのレーザ側への光の反射率 がレーザの発振波長にぉレ、て 2〜 15 %、 好ましくは 5〜 10 %であり、 かつ、 その反射帯域が中心波長に対して 0. 1〜5. 01 111、 好ましくは0. 5〜1. 5 nmであることが望ましい。 条件 3を満たす半導体発光素子
次に、条件 3を満たす本発明の半導体発光素子の主たる特徴を、 第 9図に示す LDを参照しながら説明する。第 9図左には各層構造により実現される屈折率の 縦方向の空間分布を示し、また第 9図下には本図中で使用する方向の呼び方を示 した。
第 9図は、 n型基板 (101)上に、 A1 25Ga 0. 75 A sからなる厚み , (nm) の n型第一クラッド層 (102)、 I n 0 49G a 0. 5 i Pからなる厚み t n2 (nm) の n型第二クラッド層 (103)、 アンドープ G a A sからなる厚 み tng (nm) の第一光ガイド層 (104)、 厚み (nm) の活性層構造 (1 05)、 アンドープ Ga Asからなる厚み tpg (nm) の第二光ガイド層 (10 6)、 A10. 47Ga0.53 Asからなる厚み tp2 (nm)の p型第二クラッド層( 1 07)、 A10. 23Ga 0. 77 A sからなる厚み t p i (nm) の p型第一クラッド層 (108) を有しており、 さらに電極 (111) との接触抵抗を下げるためのコ ンタクト層 (109)、 また横方向に対して電流注入領域を限定するための S i N層 (110) と、 さらに、 p側電極 (111)、 n側電極 (1 12) より構成 されているブロードエリア型 LDである。 本発明の半導体発光素子は、 η型第一 クラッド層 ( 102 ) と ρ型第一クラッド層 (108) などの対をなす層が対称 であってもかまわないが、 ここでは非対称の場合について説明する。
また活性層構造 (105) は、 基板 (101) 側から、 厚み 5 nmの GaAs
障壁 (バリア) 層 (121)、厚み 6nmの I n 0. 16Ga0.84As歪み量子井戸 層 (122)、 厚み 8 n mの G a A s障壁層 (123)、 厚み 6 n mの I n。. i 6 Ga o. 84As歪み量子井戸層(124)、厚み 5 n mの G a A s障壁層(125) が積層された構造を有している歪み二重量子井戸構造であり、その発振波長は又 (nm) である。
本発明においては、半導体レーザの素子内の導波機構の基礎となる活性層構造 (105) に対する縦方向の閉じ込めは、 活性層構造 (105) の上下に位置す る A10.25Ga0. 75Asの n型第一クラッド層 (102)、 Al 0.23Ga0. 77 Asの p型第一クラッド層 (108) と、 活性層構造 (105) を含む 2つの G a As光ガイド層 (104, 106) との間の屈折率差によって実現するもので ある。 G a A sの基板 (101) を採用し、 格子整合性の観点から第一クラッド 層 (102) を A 1 xGa xAsで構成する場合には、 八1組成 は0. 4よ りも小さいことが好ましく、 0. 3より小さいことがより好ましく、 0. 2より も小さいことがさらに好ましい。 このようにして、 半導体レーザ全体を構成する 層の中で基板 (101) とコンタクト層 (109) を除いて最も厚いクラッド層 の A 1組成を下げることによって、素子全体の熱抵抗を下げることが可能であり、 高出力動作に適した構造とすることができる。 また、 GaAsの基板 (101) を採用する場合には、 格子整合性の観点からは、 n型第一クラッド層 (102) に I n。.49Ga0. 51Pを適応することも可能である。 さらに、 第一クラッド層 (102, 108) は単一の材料から構成される必要はなく、.光に対しては単一 の層と等価に作用するような、複数の層から構成されてもかまわなレ、。この場合、 光はこれら複数の層の平均的な屈折率によつて制御されることとなる。
第一クラッド層 (102, 108) の厚み tnl (nm), t pl (nm) は、 そ の層の活性層構造(105) 側から離れる方向に対して光を十分に減衰させる必 要があることから、 発振波長 λ (nm) に対して以下の式を満たすことが好まし レ、。
λ < A < t nl
特に 98011111帯1^0などの様に、 基板 (101) が発振波長に対して透明であ り、 かつ n型第一クラッド層 (102) および n型第二クラッド層 (103) よ りも屈折率が大きい場合には、 クラッド層 (102, 103) から基板(101) 側にもれ出した光が基板中を伝播することから、基板モードが LD本来のモード に重畳することが知られている。 これを抑制するためには、 n型第一クラッド層 (102) の厚みを波長に対して厚くしておくことが望ましい。
また、 活性層構造 (105) 近傍において縦方向の導波構造を実現するために は、 第二光ガイド層 (106)、 第一光ガイド層 (104) とも第一クラッド層 (102, 108)よりも屈折率の大きな材料で構成される必要がある。基板(1 01) が Ga Asであって、 クラッド層 (102, 103, 107, 108) を A 1 G a A s系材料で構成する場合には、 光ガイド層 (104, 106) も A 1 Ga As系材料で構成することが望ましレ、。 また、 その A 1組成は 0. 4よりも 小さいことが好ましく、 0. 2より小さいことがより好ましく、 0. 1よりも小 さいことがさらに好ましい。また最も望ましいのは A 1を含まない Ga Asを用 いる場合である。 特に信頼性の観点から、 A 1を含まない光ガイド層 (104, 106) が望まれる。 一方基板 (101) が Ga Asである場合には、 格子整合 性の観点と A 1を構成元素として含まない観点から I n。.49Ga。.5 L Pを選択 することもできる。
本発明で言う活性層構造 (105) とは、 量子効果が顕著になるほどに薄い薄 膜からなる量子井戸を含む活性層構造を指し、例えば、 光ガイド層に障壁層とし ての役割を担わせた単層の量子井戸活性層 (Single Quantum Well: SQW) である 場合がある。 また、 多くの場合においては当該量子井戸層の両側には、 量子井戸 層よりも大きなバンドギヤップを有する障壁層が具備されること力、ら、 同じ SQW 構造でも障壁層、 量子井戸層、 障壁層と積層された場合もあり得る。 さらに、 第 9図に示すように、 活性層構造が、 基板 (101) 側から障壁層 (121)、 量 子井戸層 (122)、 P章壁層 (123)、 量子井戸層 (124)、 障壁層 (125) と積層されたいわゆる二重量子井戸構造(Strained Double Quantum Well: S-DQW)
であっても良い。 さらに、 量子井戸層を 3層以上多重に用いた多重量子井戸構造 力用いられる場合もある。 また、 量子井戸層には意図的に歪みが導入される場合 もあり、例えば、 しきい値を低下させるために圧縮性の応力を内在させることな どが広く行われている。 また、本発明で好ましく応用される 900 nm〜l 35 0 nm程度の波長を有する半導体レーザにあっては、 GaAs基板上に I n、 G aおよび A sを含み基板に格子整合しない歪み量子井戸層を含むことで実現さ せるのが望ましい。
本発明においては第一クラッド層 (102, 108) と光ガイド層 (104, 106)、 活性層構造 (105) から計算される以下の 2つの値が、 所望の範囲 となっていることが必須である。具体的には本説明の半導体発光素子においては、 n側第一クラッド層 (102) 力 実際に存在する n側にだけではなく、 p側第 ークラッド層 (108) に変わって p側においても存在するものとして計算され る Vnが、 0. 35<Vn< 0. 75を満たし、 かつ、 これとは独立に、 p側第一 クラッド層 (108) 1 実際に存在する p側にだけではなく、 η側第一クラッ ド層 (102) に変わって η側においても存在すると仮定して計算される Vpが 0. 35<Vn<0. 75を満たすことに特徴がある。 ここで、 Vnと Vpはそれ ぞれ以下の式により定義され (kは波数で 2 πΖえ)、 以下に説明する物理的な 意味を持たせるものである。
Vn=k/2 X (t a+ t ng+ t pg) X (nng 2-nn l 2) 1/2
Vp=k/2 X (t a+ t ng+ t pg) X (npg 2-np l 2) 1/2
活性層構造 (105) と光ガイ ド層 (104, 106) などは、 クラッド層 (1 02, 103, 107, 108) に対して屈折率が相対的に高いことから導波機 能を発現する。 ここで、 Vnと Vpは、 第一クラッド層 (102, 108) と光ガ イド層 (104, 106) の屈折率差も考慮した上で、 導波機能を有する層の全 ての厚みを、 素子の発振波長で一種規格化したものである。 すなわち、 Vnと Vp は活性層近傍における光の閉じ込めを規定する指標であるとも言える。 ここで、 前記の vnと vpの定義において、活性層構造の平均的屈折率が含まれていないの
は、 本発明の活性層構造 (105) が基本的に量子井戸構造を有するためにその 厚みが発振波長に対して十分に薄く、 導波機能を記述する上では光ガイド層 (1 04, 106) と第一クラッド層 (102, 108) の屈折率の差が主たる要素 となるからである。 この観点で活性層構造を構成する障壁層、 特に活性層構造の 最外層となる障壁層 (121、 125) の厚みが極端に厚く設定され、 導波機能 が無視できない場合には、 これを光ガイド層の厚みと考えるものとする。
発光素子の構造が縦方向に非対称である場合には、 V nと V pはそれぞれ異なる 値となるが、 共に 0. 35よりも大きく、 かつ 0. 75よりも小さいことが必須 である。また縦方向に対称な構造である場合には Vn = Vpであるが、 この場合に おいても Vnと Vpは共に 0. 35よりも大きく、 かつ 0. 75よりも小さいこと が必須である。
また、 Vnは 0. 4く Vn<0. 6である場合がさらに望ましく、 同様に Vpは 0. 4<Vp<0. 6である場合がさらに望ましい。 これら範囲は、 後述する第 ニクラッド層 (103, 107) による反導波的な要素とのバランスの上で、 半 導体発光素子の特性を悪ィ匕させることなく、 素子の FFPVを狭めるため必要な 要件である。
通'吊'の S CH (Separated Confinement Hetero— structureノ構造【こおレヽ飞 fi、 目 ij 記第一クラッド層 (102, 108) と光ガイド層 (104, 106) は直接的 に接している力 本発明においてはこれらの層の間に第二クラッド層 (103, 107)を有しているという特徴がある。この層は光ガイド層(104, 106)、 さらには第一クラッド層 (102, 108) よりも屈折率が低く設定されなけれ ばならない。
この結果、 第 9図左に示される通り、 第二クラッド層 (103, 107) は、 屈折率としては最も小さい値を有する層となる。 第 9図左では、 nの下に記載さ れる矢印の向きは屈折率が大きくなる方向を意味する。 また、伝導帯側の電子に 対しては (またここには示されていないが荷電子帯のホールに対しても)、 第二 クラッド層 (103, 107) は障壁となる機能を有する。 第 9図左の Egの上
に記載される矢印の向きは電子に対してポテンシャルが大きくなる方向を意味 する。
第二クラッド層 (103, 107) は、 このため、 次に述べる通り、 縦方向の 光閉じ込めに関して非常に重要な機能を有している。 この第二クラッド層 (10 3, 107) は光ガイド層 ( 104 , 106 ) よりも、 また、第一クラッド層 ( 1 02, 108) よりも屈折率が低くなる様に選択されるため、 この相対的な屈折 率の関係から、 第二クラッド層 (103, 107) は、 その外側、 すなわち第一 クラッド層 (102, 108) 側とまた光ガイド層 ( 104 , 106) 側の両側 に光の分布を押しやる機能を発現する。 このため、 第一クラッド層 (102, 1 08)側に適度に分布が広げられた NF Pvの成分は、比較的狭い F F Pvを実現 することに寄与する。 すなわち、 第二クラッド層 ( 1◦ 3 , 107) の反導波的 な特性が適度に作用する場合には、半導体レーザの特性を悪ィ匕させることなく比 較的狭い F F Pを実現することが可能となる。
ここで、 本発明において重要な点は、 活性層近傍における導波的な機能が 0. 35<Vn<0. 75と 0. 35く Vp<0. 75を満たす様に選択され、 かつ、 第二クラッド層 (103, 107) によって発現される反導波的な機能が次に示 す 2つの要件を満たすことである。 1つは、 n側第二クラッド層 (103) の第 一ガイド層 (104) に対する相対的な厚み tn2Ztngが 0. 3く Rn<0. 7 であることであり、 もうひとつは p側第二クラッド層 (107) の第二ガイド層 (106) に対する相対的な厚み t p2Zt pgが 0. 3く Rp<0. 7であること である。すなわち、 これら後者 2つの要件の上限は半導体レーザ内に作り付けら れる縦方向の導波構造が、全体として反導波とならないために必須であり、 下限 は実効的に F F Pvの幅を狭くするために必要な厚みを示すものである。
さらに、 これら第二クラッド層 (103, 107) の光ガイド層 (104, 1 06) に対する相対的な厚みは 0. 35 <Rn< 0. 55を満たし、 また、 0. 35<Rp<0. 55を満たす様に選択することがより望ましい。
第二クラッド層 (103, 107) が有するもう一つの機能は、 高温で LD駆
動を駆動している場合、あるいは高出力動作中で LDの自己発熱によって活性層 の温度が相当に上がってしまう場合などに I n。. 16Ga。.84 As歪み量子井戸 層 (122, 124) から第一クラッド層 (102, 108) 中へキャリアが熱 的な漏れ出し (オーバーフロー) をするのを抑制することである。 本構造におい ては、 第 9図に示される様に活性層構造 (105) 側から光ガイド層 (104、 106) を通って第一クラッド層 (102, 108) 側にもれ出すキャリアから 見て、 光ガイド層 ( 104 , 106) と第一クラッド層 ( 102, 108 ) の間 の障壁の高さよりも第二クラッド層 (103, 107) の障壁が高いために、 キ ャリアのオーバーフローを抑制する観点でも望ましい。 しかし、 極端に大きな障 壁は第一クラッド層 ( 102, 108) 側から活性層構造 (105) 側へ注入さ れるキャリアに対して、 その注入を阻害してしまうことから第一クラッド層 (1 02, 108) と第二クラッド層(103, 107)のバンドギャップの差は 0. 05 eV〜0. 45 eV程度であることが望ましく、 0. l eV〜0. 3 e V程 度であることがより望ましい。
また、 この観点では n側第二クラッド層 (103)、 p側第二クラッド層 (1 07) を、 屈折率は同程度である異種材料で構成することも望ましい。 ここで例 示した様に n側第二クラッド層 (103) に用いた I n0.49Ga0.51Pと、 p 側第二クラッド層 (107) に用いた A 10.47Ga 0. 53A sは、 980 nmに おいてほぼ同程度の屈折率 (それぞれ、 3. 259と 3. 268) であるが、 活 性層構造 (105) の最外層である G a A s障壁層 (121, 125) または光 ガイド層 (104, 106) である Ga Asに対してバンドオフセットが形成さ れる状態は大きく異なっている。 A1 47Ga。. 53 A sにおいては G a A sに 対して伝導帯側に障壁の 70~ 80%程度が配分されると考えられているが、 I n0.49Ga0. 5 Pにおいては逆に荷電子帯側に 60 %程度の障壁が配分される と考えられている。 このため、 キャリアのオーバーフローを抑制するためには、 第二クラッド層 (103, 107) として、 n側には I n G a P系材料を、 p側 には A 1 Ga As系材料を用いることが望ましい。
さらに第二クラッド層 (103, 107) によってキャリアオーバーフローを 抑制するためには、 第二クラッド層 ( 103, 107) は活性層構造 (105) 力 ^極端に離れて位置することは望ましくなく、 この結果として光ガイド層 (1 04, 106) の厚み tngと t pgは、 その絶対値として 40 nmく t ng< 10 Onm、 40 nm< t pg< 100 nmであることが望ましレヽ。
次に、本発明の半導体発光素子の一例である単一横モード動作可能な半導体レ 一ザに関して第 10図を参照しながら説明する。 第 10図は、 本発明の半導体レ 一ザにおけるェピタキシャル構造の一例として埋め込みストライプ型の半導体 レーザの構成を示した概略断面図である。
この半導体レーザは第一導電型基板 (1) 上に形成され、 屈折率導波構造を有 し、 第二導電型第一クラッド層が第二導電型上側第一クラッド (10) と第二導 電型下側第一クラッド (9) の二層に分力れ、 この第二導電型上側第一クラッド 層 (10) と電流ブロック層 (1 1) Zキャップ層 (12) とで電流閉じ込めと 光閉じ込めを共に実現し、 さらに電極 (14) との接触抵抗を下げるためのコン タクト層 (13) を有する半導体レーザである。 この種のレーザは光通信に用い られる光ファイバ一増幅器用の光源や、情報処理用の大規模光磁気メモリ一のピ ックアップ光源、 医療用高出力半導体レーザとして用いられ、 層構成や使用材料 等を適宜選択することによって、 さらに様々な用途へ応用することもできる。 基板 ( 1 ) としては、 半導体基板であれば G aAs、 I nP、 Ga P、 Ga N 等、 また誘電体基板であれば A 1 O X等を使用することができる。 基板 ( 1 ) は いわゆるジャスト基板だけではなく、ェピタキシャル成長の際の結晶性を向上さ せる観点から、 いわゆるオフ基板 (miss oriented substrate) の使用も可能で ある。 オフ基板は、 ステップフローモードでの良好な結晶成長を促進する効果を 有しており、 広く使用されている。 オフ基板は 0. 5度から 2度程度の傾斜を持 つものが広く用いられるが、後述する量子井戸構造を構成する材料系によっては 傾斜を 10度前後にすることもある。
基板 (1) は、 MB Eあるいは MOCVD等の結晶成長技術を利用して半導体
レーザを製造するために、あらかじめ化学ェッチングゃ熱処理等を施しておいて もよレ、。 使用する基板 (1) の厚みは通常 350 m程度のものであり、 素子作 製のプロセス中の機械的強度が確保されるようにするのが普通であり、半導体発 光素子の端面を形成するために、プロセス途中で 100 μπ程度に薄くポリッシ ングされるのが普通である。
バッファ層 (2) は、 基板バルタ結晶の不完全性を緩和し、 結晶軸を同一にし たェピタキシャル薄膜の形成を容易にするために設けることが好ましレ、。バッフ ァ層 (2) は、 基板 (1) と同一の化合物で構成するのが好ましく、 基板 (1) が G a A sの場合は通常、 G a A sが使用され、 基板 (1) が I n Pである場合 には I nPが使用される。 し力 し、 超格子層をバッファ層 (2) に使用すること も広く行われており、 同一の化合物で形成されず G a As基板上では、 例えば、 A 1 Ga A s/Ga Asの超格子構造が使用される場合もある。またバッファ層
(2) の組成を徐々に層内で変化させることもできる。 一方、誘電体基板を用い た場合には必ずしも基板と同一の物質ではなく、 その所望の発振波長、 デバイス 全体の構造から、 適宜、 基板と異なった材料が選ばれる場合もある。
第一導電型第一クラッド層 (3) は各種材料によって構成することが可能であ つて、 実現したい発振波長によって選択される活性層構造 (6)、 あるいは基板 (1) 等に合わせて適宜選択される。 例えば本発明を G a As基板 (1) 上で実 現した場合には、 A 1 G a A s系材料、 I n G a P系材料、 A 1 G a I n P系材 料などを使用することが可能であって、 また、 例えば I n P基板上で実現した場 合には I nGa A s P系材料などを使用することができる。
また、 特に A 1 G a A s系材料を用いた場合には、 素子全体の熱抵抗を下げ、 高出力動作に適した構造とするために、 第一導電型第一クラッド層 (3) の A 1 糸且成は 0. 40未満であることが好ましく、 0. 3以下であることがより好まし く、 0. 2以下であることがさらに好ましい。 また、 第一導電型第一クラッド層
(3) の厚み tnl (nm) は、 活性層構造 (6) から離れる方向に対して光を十 分に減衰させる必要があることから、 発振波長 λ (nm) よりも大きくすること
が好ましい。
また前記の様に、 第一導電型第一クラッド層 (3) に Al GaAsを用い、 か つ A 1組成を低く設定した場合においてはドーパントの活性化率を高くできる 効果も期待できる。特に第一導電型が n型であり S iをドーパントとする場合な どにおいて、 MB E法によって結晶成長をすることを想定すると、 N. Chand et al. , Physical review B vol.30 (1984) P.4481にある通り、 S i ドナーのィォ ン化エネルギーは A 1組成に大きく依存することが知られており、低 A 1組成の A l GaAsにおいてはドーピングレベルを比較的少なめに設定しても十分に 抵抗の小さい層を形成することができるために非常に望ましい。 よって、 第一導 電型第一クラッド層 ( 3 ) のドービングレベルは 1. 0 X 1017cm— 3〜: . OX 1018cm— 3であることが望ましレ、。 また、 より望ましくは 3. 0 X 101 7cm— 3〜7. 5X 1017 cm一3であることが望ましい。
さらにドーピングは第一導電型第一クラッド層 (3) 内で一様に行われる必要 はなく、 基板 (1) 側ほど高く、 また活性層構造 (6) に近い側ほど低く設定さ れることが望ましレ、。 これは光密度の高い部分において自由電子による吸収を抑 制するために有効な方法である。
第一導電型第二クラッド層 (4) は各種材料によって構成することが可能であ つて、 実現したい発振波長によって選択される活性層構造 (6)、 あるいは基板 (1) 等に合わせて適宜選択される。 例えば本発明を G a As基板上で実現した 場合には、 A l GaAs系材料、 I n G a P系材料、 A 1 G a I n P系材料など を使用することが可能であって、 また、例えば I nP基板上で実現した場合には I nGa A s P系材料などを使用することができる。
また、 第一導電型第二クラッド層 (4) を A 1 G a A s系材料で構成した場合 は、 その A 1組成は 0. 5未満であることが好ましレ、。 また、 第一導電型第二ク ラッド層 (4) の A 1組成は、 隣接する第一導電型第一クラッド層 (3) の A 1 組成と第一光ガイド層 (5) の A 1組成よりも大きくする。 このような構成を採 用することによって、 第一導電型第二クラッド層 (4) は最も屈折率が小さな層
となり、伝導帯側の電子や荷電子帯のホールに対して障壁となる機能を持つこと になる。 また、 第一導電型第二クラッド層 (4) の A 1糸且成と、 第一導電型第一 クラッド層(3)の A 1組成との差は、 0. 08より大きくすることが望ましい。 これによつて、 活性層構造 (6) から第一導電型第一クラッド層 (3) へキヤリ ァがォ一バーフローするのを第一導電型第二クラッド層 (4) が十分に抑制する ことができる。 ただし、 第一導電型第一クラッド層 (3) から活性層構造 (6) へのキャリア注入を過度に阻害しないように、これら 2つの層の A 1組成の差は 0. 4未満にしておくことが好ましい。
第一導電型第二クラッド層 (4) の厚み tn2 (nm) は、第一光ガイド層 (5) の厚み tng (nm) よりも小さレ、。 このような構成を採用することによって、極 端な発振しきい値の増大、 スロープ効率の低下、駆動電流の増大を回避すること ができる。 本発明では tn2 tngを 0. 3より大きくするため、 適度な縦方向 の NFP拡大効果を得ることができる。 また、 第一導電型第二クラッド層 (4) の厚み tn2は、 1 Onmよりも厚く、 10 Onmよりも薄いことが好ましレヽ。 第 一導電型第二クラッド層(4)の厚み tn2が 10 nm以下であると光学的な効果 が薄れる場合があり、逆に 100 nm以上であると光閉じ込めが極端に弱くなつ て: LDが発振しなくなる場合がある。
また第一導電型第二クラッド層 (4) を A 1 G a A s系材料で構成した場合に おいては、本発明の LD構造の中で A 1組成が比較的高くなるために、 ドーパン トのドービングレベルは第一導電型第一クラッド層 ( 3 ) と比較して高く設定す ることが望ましレ、。特に第一導電型が n型であり S iをドーパントとする場合な どにおいて、 MB E法によって結晶成長をすることを想定すると、 そのドーピン グレベルは 3. 0 X 1017 cm— 3〜1. 0 X 1018 cm—3であることが望まし く、 4. 0X 1017cm— 3〜7. 5X 1017 c m— 3であることがより望ましい。 第一導電型第一クラッド層 (3) と第一導電型第二クラッド層 (4) のバンドギ ヤップの差は 0. 05 eV〜0. 45 eV程度であることが望ましく、 0. l e V〜0. 3 eV程度であることがより望ましレ、。
本発明においては、 第一導電型第二クラッド層 (4) と第二導電型第二クラッ ド層 (8) とを、 互いに屈折率が同程度である異種材料で構成することも好まし い。 キャリアのオーバーフローを抑制するためには、第一導電型第二クラッド層 (4) を I nGa P系材料で構成し、 第二導電型第二クラッド層 (8) を A 1 G a As系材料で構成することが望ましレ、。 例えば、 前記の I n 0. 49G a 0. 5 i P と A 1 o.47Ga o. 53 Asの組み合わせを例示することができる。
本発明では、 上で定義される Vnが、 0. 35<Vn< 0. 75を満たすように 選択される。 また、 第一導電型第二クラッド層 (4) の第一ガイド層 (5) に対 する相対的な厚み tn2/tngである Rnが 0. 3<Rn<0. 7を満たすように 選択され、 0. 35<Rn<0. 55を満たすように選択されることが好ましい。 上限は半導体レーザ内に作り付けられる縦方向の導波構造が、全体として反導波 とならないために必須であり、 下限は実効的に F F Pvの幅を狭くするために必 要な厚みを示すものである。
第 10図には示されていないが、 第一導電型第一クラッド層 (3) と第一導電 型第二クラッド層 (4) の間には、 基板 (1) との格子整合性等の観点、 あるい は逆に意図的に導入する歪みの観点などから適宜選択された A 1 G a A s系、 I nGa P系等の材料からなり、そのバンドギヤップが第一導電型第一クラッド層 (3) 側では、 第一導電型第一クラッド層 (3) に接近しており、 また第一導電 型第二クラッド層 (4) 側では第一導電型第二クラッド層 (4) に接近している 様な層を挿入することも可能である。 この様な遷移層は第一導電型第一クラッド 層 (3) 側から第一導電型第二クラッド層 (4) を通じて活性層構造 (6) にキ ャリァを注入する際の電気抵抗を低減できるために非常に好ましい。
第一導電型第二クラッド層 (4) 上の第一光ガイド層 (5) は、 各種材料によ つて構成することが可能であって、実現したい発振波長によって選択される活性 層構造 (6)、 あるいは基板 (1) 等に合わせて適宜選択される。 例えば本発明 を G a A s基板上で実現した場合には、 A 1 Ga As系材料、 I n G a P系材料、 A 1 Ga 1 nP系材料などを使用することが可能であって、 また、 例えば I nP
基板上で実現した場合には I nGaAs P系材料などを使用することができる。 第一光ガイド層 (5) を A 1 G a A s系材料で構成する場合、 光閉じ込めを実 現するために、 第一光ガイド層 (5) は第一導電型第一クラッド層 (3) より A 1組成の小さな材料で構成する必要がある。 具体的には、 第一光ガイド層 (5) の A 1組成は 0. 4よりも小さいことが好ましく、 0. 2より小さいことがより 好ましく、 0. 1よりも小さいことがさらに好ましレ、。 また最も望ましいのは A 1を含まない G a A sを用いる場合である。 特に信頼性の観点から、 A 1を含ま ない光ガイド層が望まれる。
また第一光ガイド層 (5) の厚み tng (nm) は、 第一導電型第二クラッド層 (4)にその機能を十分に発揮させるために、以下の式を満たすことが好ましい。
0.5X [X/(4Xnng)J nm <tng< 1.5X [l/(4Xnng)] nm
上式において、 nngは第一光ガイド層(5)の屈折率である。第一光ガイド層(5) の厚み t n gを上式の上限未満にすることによって、特に第一導電型第二クラッド 層 (4) のキャリアのオーバーフロー抑制効果を十分に発揮させるとともに、 キ ンクレベルの低下等を有効に回避することができる。また、第一光ガイド層( 5 ) の厚み t n gを上式の下限より大きくすることによって、第一導電型第二クラッド 層 (4) の反導波的な特性が過度にならないようにすることができる。
特に A 1 Ga As系材料によって第一光ガイド層 (5) を構成した場合におい ては、 A 1 Ga Asからなる厚み tngの第一光ガイド層 (5) はかならずしも単 一の A 1組成を有する層である必要はなく、 第一光ガイド層 (5) の中で A 1組 成を変化させることも可能である。 このように第一光ガイド層 (5) の中で A 1 組成の異なる領域が存在する場合の屈折率は平均的な屈折率をもって第一光ガ イド層 (5) の屈折率と考えることができる。
第一光ガイド層 (5) の導電型は p型、 n型、 あるいはアンドープであっても 本発明の効果は変わらない。
上記の事情は活性層構造 (6) の上に位置する第二光ガイド層 (7) において も同様である。
本発明における活性層構造 (6) とは、 量子効果が顕著になるほどに薄い薄膜 からなる量子井戸を含む構造を指し、 例えば、 単層の量子井戸活性層 (Single Quantum Well: SQW) である場合、 あるいは、 2つの量子井戸間の分離、 結合の ために具備される障壁層を具備し、 量子井戸層、 障壁層、 量子井戸層と積層され た二重量子井戸構造 (Double Quantum Well: DQW)、 さらに 3つ以上の量子井戸 層とそれぞれの量子井戸を適度に分離する障壁層からなる構造を有する多重量 子井戸構造であつても良い。量子井戸層には意図的に歪みが導入される場合もあ り、例えば、 しきレ、値を低下させるために圧縮性の応力を内在させることなどが 広く行われている。 また、本発明で好ましく応用される 900n m〜 1350η m程度の波長を有する半導体レーザにあっては、 G a A s基板上に I n、 G aお よび A sを含み基板に格子整合しない歪み量子井戸層を含むことで実現される のが望ましい。
歪み量子井戸層の具体的な材料としては、 I nGaAs、 Ga I nNAs等を 挙げることができる。歪みを有する量子井戸層は、 その歪みの効果によって光学 利得の増大等を期待することができる。 このため第一クラッド層 (3, 9, 10) と活性層構造 (6) の間が、 適度に弱い縦方向の光閉じ込めであっても、 十分な LD特性を実現できる。このため、歪み量子井戸層は本発明においては望ましレ、。 障壁層 (21, 23, 25) の導電型は p型、 n型、 あるいはアンドープであ つても本発明の効果は変わらないが、 障壁層 (21, 23, 25) は n型の導電 型を示す部分を有することが望ましい。この様な状況においては、障壁層(21, 23, 25) 力 電子が活性層構造 (6) 内の量子井戸層 (22, 24) に供給 されることから LDの利得特性を効果的に広帯域ィ匕することができて望ましい。 このような素子は後述する様にグレーテイングフアイバー等の外部共振器によ つて効果的に発振波長を固定化することができる。 また、 この際に n型のドーパ ントは S iであることが望ましレ、。 さらに、 S iの様な n型のドーパントが障壁 層内に一様にドーピングされているのではなく、 歪み量子井戸層 (22, 24) 等の他の層との界面近傍にはドーピングが施されず、障壁層 (21, 23, 25)
の中心付近に選択的にドーピングされていることが最も望ましい。
第二導電型第二クラッド層 (8) は、 各種材料によって構成することが可能で あって、 実現したい発振波長によって選択される活性層構造 (6)、 あるいは基 板 ( 1 ) 等に合わせて適宜選択される。 例えば本発明を G a A s基板上で実現し た場合には、 A 1 G a A s系材料、 I n G a P系材料、 A 1 G a I n P系材料な どを使用することが可能であって、 また、例えば I nP基板上で実現した場合に は I nGa As P系材料などを使用することができる。
第二導電型第二クラッド層 (8) を A 1 G a A s系材料を用いて構成する場合 には、 その A 1組成は 0. 5未満であることが好ましい。 第二導電型第二クラッ ド層 (8) の A 1組成は、 隣接する第二導電型下側第一クラッド層 (9) の A 1 組成と第二光ガイド層 (7) の A 1組成よりも大きくなければならない。 このよ うな構成を採用することによって、 第二導電型第二クラッド層 (8) は最も屈折 率が小さな層となり、伝導帯側の電子や荷電子帯のホールに対して障壁となる機 能を持つことになる。 また、 第二導電型第二クラッド層 (8) の A 1組成と、 第 二導電型下側第一クラッド層 ( 9 ) の A 1組成との差は、 0. 08より大きくす ることが好ましい。 これによつて、 活性層構造 (6) から第二導電型下側第一ク ラッド層 (9) へキャリアがオーバーフローするのを第二導電型第二クラッド層
(8) が十分に抑制することができる。 ただし、 第二導電型下側第一クラッド層
(9) から活性層構造 (6) へのキャリア注入を過度に阻害しないように、 A 1 組成の差は 0. 4未満にしておくことが好ましい。
第二導電型第二クラッド層 (8) の厚み tp2 (nm) は、第二光ガイド層 (7) の厚み tpg (nm) よりも薄くする。 このような構成を採用することによって、 極端な発振しきい値の増大、 スロープ効率の低下、駆動電流の増大を回避するこ とができる。本発明では t p2Zt pgを 0. 3より大きく設定することによって、 適度な縦方向の NFP拡大効果を得ることができる。 また、 第二導電型第二クラ ッド層 (8) の厚み t p2は、 10nmよりも厚く、 100 n mよりも薄いことが 好ましレ、。 第二導電型第二クラッド層 (8) の厚み t p2が 10 nm以下であると
光学的な効果が薄れる場合があり、逆に 100 nm以上であると光閉じ込めが極 端に弱くなって LDが発振しなくなる場合がある。
第二導電型第二クラッド層(8)は、必ずしも第一導電型第二クラッド層 (4) と同じ屈折率、 同じ厚み、 同じ材料で構成される必要はなレ、が、 縦方向のビーム の対称性を確保するためには、光学的に等価である屈折率を有し、 力つ同じ厚み であることが望ましレ、。ただし、前記のように、第一導電型第二クラッド層 (4) と第二導電型第二クラッド層 (8) とを、 互いに屈折率が同程度である異種材料 で構成することも好ましい。
特に第二導電型が p型であり B eをドーパントとする場合などにおいて、 MB E法によって結晶成長をすることを想定すると、 そのドーピングレベルは 3. 0 X 1017cm-3〜1. OX 1018 cm— 3であることが望ましく、 4. 0 X 101 7 cm一3〜 7. 5X 1017 cm— 3であることがより望ましい。
本発明では、 上で定義される Vpが、 0. 35<Vp<0. 75を満たすように 選択される。 また、 第二導電型第二クラッド層 (8) の第二ガイド層 (7) に対 する相対的な厚み t p2Zt pgである Rpが 0. 3<Rp<0. 7を満たすように 選択され、 0. 35<Rp<0. 55を満たすように選択されることが好ましレ、。 上限は半導体レーザ内に作り付けられる縦方向の導波構造が、全体として反導波 とならないために必須であり、 下限は実効的に F F Pvの幅を狭くするために必 要な厚みを示すものである。
第 10図には示されていないが、 第二導電型第二クラッド層 (8) と第二導電 型下側第一クラッド層 (9) の間には、 基板との格子整合性等の観点、 あるいは 逆に意図的に導入する歪みの観点などから適宜選択された A 1 G a A s系、 I n G a P系等の材料からなり、 そのバンドギヤップが第二導電型第二クラッド層 (8) 側では、 第二導電型第二クラッド層 (8) に接近しており、 また第二導電 型下側第一クラッド層 ( 9 ) 側では第二導電型下側第一クラッド層 ( 9 ) に接近 している様な層を挿入することも可能である。 この様な遷移層は第二導電型第一 クラッド層 ( 9, 10) 側から第二導電型第二クラッド層 ( 8 ) を通じて活性層
構造(6) にキャリアを注入する際の電気抵抗を低減できるために非常に好まし レ、。
第二導電型第一クラッド層は、 第 10図の態様では、 第二導電型下側第一クラ ッド層 (9) と第二導電型上側第一クラッド層 (10) の二層に別れている。 こ の場合には素子作製を容易にするために、これら二層の間にエッチング停止層を 有していてもかまわない。
第二導電型第一クラッド層 (9, 10) の材料は、 前記の第二導電型第二クラ ッド層( 8 )と同様に選択することができる。特に第二導電型第一クラッド層( 9, 1 0) の材料として A 1 G a A s系材料を用いた場合には、 素子全体の熱抵抗を 下げ、 高出力動作に適した構造とするために、 第二導電型第一クラッド層 (9, 1 0) の A 1組成は 0. 40未満であることが好ましく、 0. 3以下であること がより好ましく、 0. 2以下であることがさらに好ましい。 また、 第二導電型下 側第一クラッド層 (9) と第二導電型上側第一クラッド層 (10) の総厚みは、 活性層構造(6) 力 ら離れる方向に対して光を十分に減衰させる必要があること から、 発振波長えよりも大きくすることが好ましい。
第二導電型下側第一クラッド層 (9) の厚みは、 活性層構造 (6) への電流注 入経路が、電流の横方向への広がりによって極端に広くならないようにするため に、 1 0 nm~200 n m程度であることが望ましい。 またより望ましくは 20 η π!〜 70 n m程度であることが望ましレ、。
また、 第二導電型下側第一クラッド層 ( 9 ) また第二導電型上側第一クラッド 層 (10) のドーピングレベルは 1. O X 1017cm—3〜: 1. 0 X 1018cm— 3であることが望ましく、 3. 0 X 1017 cm-3〜7. 5 X 1017 c m一3である ことがより望ましい。
さらにドーピングは第二導電型下側第一クラッド層 (9) また第二導電型上側 第一クラッド層 (10) 内で一様に行われる必要はなく、 活性層構造 (6) から 離れるほど高く、 また活性層構造 (6) に近づくほど低く設定されることが望ま しい。 これは光密度の高い部分において自由電子による吸収を抑制するために有
効な方法である。
第二導電型上側第一クラッド層 (10) はその側面に形成されている電流プロ ック層 (11) とともに、 電流閉じ込めと横方向の光閉じ込めの 2つの機能を実 現する。 これは本発明を単一横モード動作する LDに適応する時に望ましい構成 である。 このために、 横方向に対する電流閉じ込めの観点では、 電流ブロック層 (11) の導電型は第一導電型かあるいはアンドープとすることが好ましい。 ま た、横方向の光閉じ込めの観点、特に屈折率導波を基礎とした導波路としての特 性を満足するためには、電流ブロック層(11)は第二導電型第一クラッド層(9, 10) よりも小さな屈折率を有する材料で形成される。 また、 横方向の光閉じ込 めを、 いわゆるロスガイド型にすることも可能であって、 この場合には、 電流ブ ロック層 (1 1) を構成する材料の実効的なバンドギャップが発振波長を吸収す る様にすることで、 横方向の光閉じ込めが実現可能である。
また、 本発明では電流ブロック層を構成する材料は、 基板 (1)、 活性層構造 (6)、 あるいはどのような横方向の導波構造とするかによつて適宜選択するこ とが可能である。 例えば、 第二導電型第一クラッド層 (9, 10) とともに、 電 流ブロック層 (10) も A 1 Ga A s系材料で形成し、 それぞれ A 1 xpG a pA s、 A 12Ga !_ZA sとした場合には、 その A 1組成を z > x pにすること で実屈折率導波構造が実現できる。 実屈折率導波型であり、 単一横モード動作す る半導体レーザを作製する場合においては、 電流ブロック層 (1 1) と第二導電 型上側第一クラッド層 (10) との屈折率差によって主に規定される横方向の有 効屈折率差は 10一3のオーダであることが望ましい。さらには電流注入路の幅で あって、 かつ、 導波路の幅に相当する、 第二導電型上側第一クラッド層 (10) と第二導電型下側第一クラッド層 (9) が接する部分の横方向の幅 Wは、 LDを 単一横モード動作させる観点では、紙面に垂直な共振器方向に誤差の範囲で一様 であって、 その幅は 6 μπι以下であることが望ましく、 より望ましくは 3 μπι以 下であることが望ましい。 し力 し、 高出力動作と単一横モード動作の両立を目指 すためには、必ずしも共振器方向に一様な導波路である必要はなく、 半導体レー
ザの主たる光の出射方向である前端面側においては、その導波路の幅を相対的に 広くして高出力動作に適する様にし、 一方、後端面側においてはその導波路の幅 を狭くして、 単一横モード動作可能である様にすることが望ましい。 また、 この 様な場合においては、 一方の発光点近傍における電流注入路の幅を wexp、 素子 中の最も狭い電流注入路の幅 Ws tdとした場合に以下の式を満たすことが好まし レ、。
1- 5 < Wexp/Ws td < 5. 0
さらに、 以下の式を満たすことがより好ましい。
2. 5 < Wexp/Ws td < 3. 5
本発明の半導体発光素子は、 前記の (式 2) で示した条件を満たすことを特徴 とする。 これら条件を逸脱した場合においては半導体レーザの各種特性を悪ィ匕さ せることなく F F Pvの半値全幅を狭めることができなくなってしまう。例えば、 Vnおよび Vpが 0. 35以下であって、 かつ Rnおよび Rpが 0. 7以上である 場合においては、 半導体レーザ全体の縦方向の導波機能が弱くなりすぎるため、 素子の発振しきい値電流の上昇、 スロープ効率の低下等が発生する。 また極端な 場合にぉレ、ては導波機能そのものが失われてしまい、素子が発振しないこともあ る。 一方、 Vnおよび Vpが 0. 75以上であって、 かつ、 Rnおよび Rpが 0. 3以下である場合には、 素子の縦方向の導波機能そのものが過度になり、 FFP vが非常に広いものとなり、 外部の光学系との良好な結合が実現できなくなって しまう。 またこの様な状況においては、 端面における光密度も過度に高くなるた め、 高出力動作にも適さないなどの弊害が発生することとなり、 望ましくない。 キャップ層 (12) は、 第 1回目の成長において電流ブロック層 (11) の保 護層として用いられると同時に第二導電型上側第一クラッド層 (10) の成長を 容易にするために用いられ、 素子構造を得る前に、 一部または全て除去される。 第二導電型上側第一クラッド層 (10) の上には、 電極 (14) との接触抵抗 率を下げるため等の目的で、 コンタクト層 (13) を設けるのが好ましい。 コン タクト層 (13) は、 通常、 Ga As材料にて構成される。 この層は、 通常電極
(1 4) との接触抵抗率を低くするためにキャリア濃度を他の層より高くする。 また導電型は第二導電型である
半導体レーザを構成する各層の厚みは、それぞれの層の機能を効果的に奏する 範囲内で適宜選択される。
また本発明の半導体発光素子においては、第一導電型は n型であることが望ま しく、 第二導電型は p型であることが望ましい。 これは η型の基板の方が良質で ある場合が多いからである。
第 3図に示す半導体レーザは、 さらに電極 (1 4) および (1 5) を形成する ことにより作製される。 ェピタキシャル層側電極 (1 4) は、 例えば第二導電型 が ρ型の場合、 コンタクト層 (1 2) 表面に T iZP tZAuを順次に蒸着した 後、 合金化処理することによって形成される。 一方、 基板側電極 (1 5) は基板 (1) 表面に形成され、 第一導電型が n型の場合、 例えば AuGeZN i ZAu を基板 (1) 表面に順に蒸着した後、 合金化処理することによって形成される。 製造した半導体ウェハーには、 光の出射面である端面を形成する。 端面は共振 器を構成する鏡となる。 好ましくは、 劈開により端面を形成する。 劈開は広く用 レヽられる方法であり、劈開によつて形成される端面は使用する基板の方位によつ て異なる。 例えば、 好適に利用される nominally (1 00) と結晶学的に等価な 面をもつ基板を使用して端面発光型レーザ等の素子を形成する際には、 (1 1 0) もしくはこれと結晶学的に等価な面が共振器を形成する面となる。 一方、 ォ フ基板を使用するときには、傾斜させた方向と共振器方向の関係によっては端面 が共振器方向と 90度にならない場合もある。 例えば (1 00) 基板から、 (1 - 1 0) 方向に向けて角度を 2度傾けた基板 (1) を使用した場合には端面も 2 度傾くことになる。
劈開によつて素子の共振器長も決定される。一般に共振器長は長レ、方が高出力 動作に適するが、本発明が適応される半導体レーザにおいては、 これは 600 μ m以上あることが望ましレ、。またさらに望ましくは 900 μπ!〜 3000 μπιで あることが望ましい。 このように共振器長の上限があるのは、極端に長い共振器
長を有する半導体レーザは、 逆に、 しきい値電流の上昇、 効率の低下等、 特性劣 化をきたす恐れがあるからである。
本発明では、 露出した半導体端面上に、誘電体、 または誘電体および半導体の 組合せからなるコーティング層 (16, 17) を形成するのが好ましい。 コーテ イング層 (16, 17) は、 主に半導体レーザからの光の取り出し効率を上げる 目的と、 端面の保護という 2つの目的のために形成される。 また、 素子からの光 出力を片側の端面から効率良く取り出すためには、発振波長に対して反射率の低 レ、 (例えば反射率 10%以下) コーティング層 (16) を主たる光の出射方向で ある前端面に施し、 また、 発振波長に対して反射率の高い (例えば 80%以上) のコーティング層 (17) をもう一方の後端面に施す非対称コーティングを行う のが望ましい。 これは、 単に素子の高出力化を進めるだけでは無く、 波長安定ィ匕 のために使用されるグレーティングファイバーなどの外部共振器から戻ってく る光を積極的にレーザ内部に取り込み、波長の安定ィヒを促進する点でも非常に重 要である。 また、 これらの目的のためには前端面の反射率は 5 %、 より望ましく は 2. 5%以下であることが好ましい。
コーティング層 (16, 1 7) には、 さまざまな材料を用いることができる。 例えば、 A10x、 T i Ox、 S i Ox、 S i N、 S iおよび Z n Sからなる群 力 ら選ばれる 1種または 2種以上の組^:を用いることが好ましレ、。低反射率の コーティング層としては A 1 Ox、 T i Ox、 S i Ox等が、 また高反射率のコ —ティング層としては A 1 Ox/S iの多層膜、 T i Ox/S i Oxの多層膜等 力';用いられる。 それぞれの膜厚を調節することによって、所望の反射率を実現す ることができる。 し力、し、 一般に低反射率のコーティング層とする A 1 Ox、 T i Ox, S i Ox等の B莫厚は、 その波長 λでの屈折率の実数部分を ηとして; L / 4 η近傍になるように調整するのが一般的である。また、高反射多層膜の場合も、 膜を構成する各材料がぇ 4 η近傍になるように調整するのが一般的である。 コーティングが終了したレーザバーを再度劈開することによって、各素子を分 離し、 半導体レーザとすることができる。
このようにして製造した半導体レーザを始めとする本発明の半導体発光素子 の光の出射端側に光ファイバ一を設置して、半導体発光素子モジュールを形成す ることができる。 光ファイバ一の先端は、 集光効果を示し、 かつ、 半導体発光素 子の前端面と直接光学的に結合するように加工されていることが好ましい。 半導体レーザを始めとする本発明の半導体発光素子に対して波長の安定化を 図るために、外部に波長選択性のある鏡を準備し、外部共振器と本発明の半導体 発光素子を結合させることが望ましい。特にファイバーグレーティングを用いて 外部共振器を形成させること望ましい。 またこの場合には、 半導体レーザの他に ファイバーグレーティング、温度安定ィ匕用のクーラ等を内臓した半導体発光素子 モジュールを形成することも可能である。ファイバーグレーティングはその目的 に応じて中心波長、反射あるいは透過帯域、 ファイバーグレーティングが有する 半導体発光素子側への光の反射率等を適宜選択可能である。特に前記ファイバー グレーティングの半導体発光素子側への光の反射率が半導体発光素子の発光波 長において 2〜15%、 好ましくは 5〜10%であり、 かつ、 その反射帯域が中 心波長に対して 0. 1〜5. Onm、 好ましくは 0. 5〜1. 5nmであること が望ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す 材料、 濃度、 厚み、 操作手順等は、 本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更す ることができる。 したがって、本発明の範囲は以下の実施例に示す具体例に制限 されるものではなレ、。
<実施例 1 >
第 2図にその光の出射方向からの断面図が示されている半導体レーザを以下 の手)噴で作製した。
先ず、 キャリア濃度 1· OX 1018cm— 3の n型 Ga As基板 (1) の (1 00) 面上に、 MB E法にて、 バッファ層 (2) として厚み 0. 5 μιηでキヤリ ァ濃度 1. 0 X 1018cm— 3の S i ドープ n型 G a As層;第一導電型第一ク
ラッド層 ( 3 ) として厚み 2. 3 μ mで、 キヤリァ濃度が基板側から 1. 3 m は 7. 5 X 1 017 cm一3であり、 その上 1 μπιは 3. 0 X 1 017 c m_3である
5 i ドープ n型 A l 0. 19G a 0. 8 A s層;第一導電型ニクラッド層 (4) とし て厚みが 3 5 nmでキャリア濃度が 8. 0 X 1 017 c m— 3の S i ドープ n型 A 1 0. 45G a 0. 55A s層;第一光ガイド層 (5) として、 厚みが 7 5 nmで、 基 板側から 3 5 nmは S iのドーピングレベルが 2. 0 X 1 017 c m— 3であり、 その上 40 nmはアンドープである G a A s層(後述する発振波長 98 0 nmに おける屈折率は 3. 52 5 24 5) ;活性層構造 (6) として、 厚み 5 nmでキ ャリア濃度が 7. 5 X 1 017 c m— 3の S i ドープ n型 G a A s障壁層 (但し量 子井戸層側 1 nmはアンド一プ)、 厚み 6 nmのアンドープ I n。. 16G a。. 84 A s歪み量子井戸層、 厚み 7 nmでキャリア濃度が 7. 5 X 1 017 c m— 3の S i ドープ n型 G a A s障壁層 (但し両量子井戸層側 1 n mはアンドープ)、 厚み
6 nmのアンドープ I n。. 16G a 0. 84A s歪み量子井戸層、 厚み 5 nmで、 キ ャリア濃度が 7. 5 X 1 017 c m— 3の S i ドープ n型 G a A s障壁層 (但し量 子井戸層側 1 n mはアンドープ) の 5層からなる活性層構造;第二光ガイド層 (7) として、 厚みが 7 5 nmで、 基板側から 40 n mはアンドープで、 その上 3 5 nmは B eのドーピングレベルが 3. 0 X 1 017 c m— 3である G a A s層 (後述する発振波長 98 0 nmにおける屈折率は 3. 5 2 5 24 5) ;第二導電 型ニクラッド層 (8) として厚みが 35 nmでキャリア濃度が 7. 5 X 1 017 cm一3の B e ドープ p型 A 10. 45G a 0. 55 A s層;第二導電型下側第一クラッ ド層 (9) として厚み 2 5 nmで、 キャリア濃度が 5. 0 1 017 (:111-3の8 e ドープ p型 A 1 0. 19G a 0. 8 A s層;電流ブロック層(1 1) として厚み 0. 3 /zmでキヤリァ濃度 5. 0 X 1 017 cm一3の S i ドープ n型 A 1 0. 23G a 0 78A s層;キャップ層 (1 2) として厚み 1 O nmでキャリア濃度 7. 5 X 1 0 17 c m—3の S i ドープ n型 G a A s層を、 順次積層した。
最上層の電流注入領域部分を除く部分に窒化シリコンのマスクを設けた。 この とき、 窒化シリコンマスクの開口部の幅は 1. とした。 これをマスクとし
て 20 °Cで 1 05秒間ェッチングを行レヽ、電流注入領域部分のキヤップ層と電流 ブロック層を除去した。 エッチング剤は、 リン酸(8 5重量%)、過酸化水素(3 0重量%水溶液) および水を体積比 1 : 1 : 30で混合した混合液を使用した。 その後、 MOCVD法にて、 第二導電型上側第一クラッド層 (1 0) として厚 み 2. 3;/mで、 キャリア濃度が基板側から 1 μιηは 4. 0 X 1 017 cm_3で あり、その上の 1. 3 μιηは 7. 5 Χ 1 017 c m-3である Ζ ηドープ ρ型 A 1 19G a 0. 81A s層;コンタクト層 (1 3) として厚み 3. 0 μ mで、 キャリア 濃度が基板側から 2. 7 μπιは 1. 0 X 1 018 c m_3であり、 その上の 0. 3 μπは 6. 0 X 1 018。11 _3でぁる211ドープ G a A s層を再成長した。
さらに、ェピタキシャル層側(p側)電極(1 4) として T i /P t/Auを、 それぞれ 70 nm/70 nm/80 nmだけ蒸着し、 また、 基板をポリッシング した後は、 基板側 (n側) 電極 (1 5) として AuG e N i ZAuをそれぞれ 1 50 nm/80 nmだけ蒸着し、 その後、 400°Cで合金化を 5分間行って半導 体レーザ用のゥェハーを完成させた。
なお、 完成した半導体レーザの電流注入領域の幅 Wは 2. 3 μπιであった。 続いて、 大気中で、 共振器長 1 6 00 μπιのレーザバーの状態に劈開して (1 1 0) 面を露出させ、 A 1 Ox膜を発振波長 98 0 nmにおいて前端面の反射率 が 2. 5%になるように 1 6 5 nm製膜し、 コーティング層 (1 6) を形成した (第 3図)。 さらに後端面側の処理を行うために、 厚み 1 70 nmの A 1 Ox層 ノ厚み 60 n mのァモルファス S i層 Z厚み 1 70 nmの A l O x層 厚み 6 0 nmのアモルファス S i層の 4層からなるコーティング層 (1 7) を形成し、 反射率 9 2%の後端面を作製した。
作製した素子の 25°Cにおける電流光出力特性を第 1 1図に示す。
しきい値電流は 32. 6 m A、 スロープ効率は 0. 8 7W/A、 キンクレベル は 6 52 mWであった。 また電流を 1. 5 Aまで注入した際の最大光出力は 7 5 5mWであり、 1. 5 Aの電流注入まで、 素子の破壊は観測されなかった。
また 45 OmW光出力時における縦方向 FF Pの半値全幅は 2 2. 1度であり、
横方向 FFPの半値全幅は 8. 8度であった。 この際に第 7図に典型的に示され る様に、 FFPvには副ピーク、 主ピーク、 副ピークの順に 3つのピークが確認 され、 それぞれのピーク位置は角度の順に、 —55. 2度、 0. 7度、 55. 1 度であった。 また、 主ピークの強度を 1とした場合の相対的な強度は角度の順に それぞれ 0. 14、 1、 0. 04であった。 一方、 F F P Vの主ピークの部分の F F P Hには 1つのピークのみが確認され、そのピーク位置は 0. 6度であった。 なお、 素子の発振波長は 984 nmであった。
さらに第 1 2図には、 素子を 50°Cにて一定光出力状態 (50 OmW) で連続 駆動した際の駆動電流の時間変化を示した。図中に示される様に 1 500時間の 安定駆動が確認された。
<実施例 2〉
実施例 1において作製した素子を用いて、その素子の前端面側に先端が楔型を したファイバーレンズを有するグレーティング付の光ファイバ一を実装し、バタ フライ型のパッケージを有する半導体レーザモジュールを作製した。 このグレー ティングファイバーの反射中心は 98 2 nmであり、その反射率は 3 %であった。 25°Cにおいて、 ファイバ一端から出射される光に対して、 しきい値電流 27. 6 mA、 スロープ効率 0. 7 1 mWZmAであった。 結合効率は約 81. 6%と 良好であった。 く実施例 3〉
半導体レーザを以下の手順で作製した。
先ず、 キャリア濃度 1. 0 X 1018 cm— 3の n型 Ga A s基板の (1 00) 面上に、 MB E法にて、 バッファ層として厚み 1 μΐηでキャリア濃度 1. 0 X 1 018 cm_3のS i ドープ n型 G a A s層;第一導電型第一クラッド層として厚 み 2. 5 μπιで、 キャリア濃度が基板側から 1. 5 μπは 6. 0 X 1017 cm" 3であり、 その上 1 mは 4. 0 X 1 017 cm— 3である S i ドープ n型 A 10. x
75Ga 0.825As層;次いで、 第一導電型遷移層として、厚みが 35nmで、 キ ャリア濃度が 5. 0 X 1 017cm— 3の S i ドープ n型 A 1 tGa tAs層であ り、 この A 1組成が第一導電型第一クラッド層側で t = 0. 175であり、 ここ 力 ら当該層内で A 1組成が第一導電型第二クラッド層側において t = 0. 35ま で直線的に増加している層;第一導電型二クラッド層として厚みが 35 nmでキ ャリァ濃度が 3. 0X 1017cm— 3の S i ドープ n型 A 1。. 35G a。. 65 A s 層;第一光ガイド層として、 厚みが 75 n mでキヤリァ濃度が 2. 0 X 1017 cm_3の S i ドープ n型 G a A s層(後述する発振波長 980 nmにおける屈折 率は 3. 525245) ;活性層構造として、 厚み 5 nmでキャリア濃度が 7. 5X 1017cm一3の S i ドープ n型 G a A s障壁層 (但し量子井戸層側 1 n m はアンドープ)、厚み 6 nmのアンドープ I n0 16Ga 0.84As歪み量子井戸層、 厚み 7 nmでキャリア濃度が 7. 5X 1017cm-3の S i ドープ n型 Ga A s 障壁層 (但し両量子井戸層側 1 n mはァンドープ)、 厚み 6 n mのアンドープ I n0. 16Ga 0. 84 As歪み量子井戸層、 厚み 5n mで、 キャリア濃度が 7. 5 X 1017cm— 3の S i ドープ n型 Ga As障壁層 (但し量子井戸層側 1 n mはァ ンドープ) の 5層からなる活性層構造;第二光ガイド層として、 厚みが 75 nm でキャリア濃度が 3. O X 1017cm— 3の B e ドープ p型 GaAs層 (後述す る発振波長 980 nmにおける屈折率は 3. 525245) ;第二導電型二クラ ッド層として厚みが 35 nmでキャリア濃度が 4. 0X 1017 cm一3の B e ド ープ p型 A 10. 35Ga0. 65As層;次いで、 第二導電型遷移層として, 厚みが 35 nmで、 キャリア濃度が 5. 0 X 1017。πΤ3の Be ドープ p型 A 1 tG a i _ t A s層であり、 この A 1組成が第二導電型第二クラッド層側で t = 0 · 35 であり、ここから当該層内で A 1組成が第二導電型第二クラッド層側において t = 0. 175まで直線的に減少している層;第二導電型下側第一クラッド層とし て厚み 30 nmで、 キャリア濃度が 5. 0 X 1017 c m— 3の B e ドープ p型 A 10. 175G a 0. 825A s層;電流ブロック層として厚み 0. 5μιηでキャリア濃 度 5. 0 X 1017 cm-3の S i ド一プ n型 A 10.225G a 0. 775A s層;キヤッ
プ層として厚み 1 0 nmでキヤリァ濃度 7. 5 X 1 017 cm— 3の S i ドープ n 型 G a A s層を順次積層した。
最上層の電流注入領域部分を除く部分に窒化シリコンのマスクを設けた。 この とき、 窒ィ匕シリコンマスクの開口部の幅は、 以下の様に共振器長 1 600 μ mの 半導体レーザにおいて、 その共振器方向で変化させた。 素子の後端面となる部分 から前端面側に向かって 1 200 μπιは、 開口部の幅を 1. 7 μπιとし、 素子の 前端面となる部分から後端面側に向かって 2 50 jumはこれを 5. 1 μΐηとした。 また、 これら異なる領域をつなぐ部分は 1 5 Ο μπιの長さに渡って、 幅を 1. 7 μπ〜5. 1 μπιの間で直線的に変化させた。 これをマスクとして 20°Cで 1 8 5秒間ェツチングを行い、電流注入領域部分のキャップ層と電流ブロック層を除 去した。 エッチング剤は、 リン酸 (8 5重量%;)、 過酸化水素 (30重量%水溶 液) および水を体積比 1 : 1 : 30で混合した混合液を使用した。
その後、 MOCVD法にて、 第二導電型上側第一クラッド層として厚み 2. 4 7 μ ΐηで、 キャリア濃度が基板側から 1 / mは 4. 0 X 1 017 c m_3であり、 その上の 1. 4 7 μπは 6. 0 X 1 017 c m— 3である Z nドープ p型 A 1 0 】 7 5G a 0. 825A s層; コンタクト層として厚み 3. 5 μπιで、 キャリア濃度が基 板側から 3 μ πιは 1. 0 X 1 018 cm_3であり、 その上の 0. 5 / mは 5. 0 X 1 018 cm— 3である Z nドープ G a A s層を再成長した。
さらに、 ェピタキシャル層側 (p側) 電極として T i /P tZAuを、 それぞ れ 70 n m/ 70 n m/ 8 0 n mだけ蒸着し、 また、基板をポリッシングした後 には、 基板側 ( n側) 電極として A u G e N i / A uをそれぞれ 1 50 nm/8 O nmだけ蒸着し、 その後、 4 1 0°Cで合金化を 5分間行って半導体レーザ用の ウェハーを完成させた。
なお、 完成した半導体レーザの電流注入領域の幅 W bは素子の前端面側で 2. 3 μ m、 後端面側で 5. 6 μ mであった。
続いて、 大気中で、 共振器長 1 600 μπιのレーザバーの状態に劈開して (1 1 0) 面を露出させ、 A 1 Ox膜を発振波長 9 8 0 nmにおいて前端面の反射率
が 2. 5%になるように 165 nm製膜し、 コーティング層を形成した。 さらに 後端面側の処理を行うために、厚み 170 nmの A 1 Ox層 厚み 60 nmのァ モルファス S i層/厚み 1 70n mの A 1 O 層/厚み 60 n mのァモルファ ス S i層の 4層からなるコーティング層を形成し、反射率 92 %の後端面を作製 した。
コーティング終了後、 半導体レーザバーを二次劈開し、 半導体レーザを放熱板 に搭載して半導体レーザを完成させた。
作製した素子の 25 °Cにおける電流光出力特性を第 13図に示す。
しきいィ直電流は 34. lmA、 スロープ効率は 0. 88WZA、 キンクレべノレ は 608 mWであった。 また電流を 1. 5 Aまで注入した際の最大光出力は 83 OmWであり、 1. 5 Aの電流注入までで、 素子の破壊は観測されなかった。 また 45 OmW光出力時における縦方向 FFPの半値全幅は 21. 4度であり、 横方向 FFPの半値全幅は 7. 2度であった。 この際に第 7図に典型的に示され る様に、 FFPvには副ピーク、 主ピーク、 副ピークの順に 3つのピークが確認 され、 それぞれのピーク位置は角度の順に、 —54. 0度、 0. 9度、 55. 9 度であった。 また、 主ピークの強度を 1とした場合の相対的な強度は角度の順に それぞれ 0. 10、 1、 0. 03であった。 一方、 FFP Vの主ピークの部分の FFPHには 1つのピークのみが確認され、 そのピーク位置は一 0. 2度であつ た。 なお、 素子の発振波長は 978 nmであった。
<比較例 1 >
第一導電型第二クラッド層と第二導電型第二クラッド層とを積層しなかった こと以外は、 実施例 1と同様にして半導体レーザを作製した。
第 11図に示される通り、 しきい値電流は 29. lmA、 スロープ効率は 0. 9^^ と実施例1ょりも良好であつたが、キンクレベルは 54 OmWと低かつ た。 また電流を 1. 5 Aまで注入した際の最大光出力も 671. 2mWと実施例 1と比較して低く、 1. 5 Aの電流注入を行つたところ、 1. 4 Aで素子が破壊
した。
また 45 OmW光出力時における縦方向 FFPの半値全幅は 29. 7度と実施 例 1よりも広く、 活性層における光密度が高いことが疑われた。 また、横方向 F FPの半値全幅は 9. 0度と同程度であった。さらに第 12図には、素子を 50 °C にて一定光出力状態 (50 OmW) で連続駆動した際の駆動電流の時間変化を示 した。 図中に示される様に 1500時間までで全ての素子が故障し、 高出力動作 には向かなかった。
<比較例 2 >
比較例 1で作製した素子を用いたこと以外は、全て実施例 2と同様の構成で半 導体レーザモジュールを作製した。 25°Cにおいて、 ファイバ一端から出射され る光に対して、 しきい値電流 26. 1mA、 スロープ効率 0. 64mWZmAで あった。 結合効率は約 71. 1 %と実施例 2に及ばなかつた。 <比較例 3>
第一光ガイド層と第二光ガイド層の厚みを 45 nm、 また、 その中のアンド一 プ領域を 10 nmとし、 かつ、第一導電型第二クラッド層と第二導電型第二クラ ッド層の厚みを共に 50 nmとし、 t s nZ t gn= t s pZt gpを約 1. 1とした 以外は、 実施例 1と同様にして半導体レーザを作製した。
しきい値電流は 39. 7mA、 スロープ効率は 0. 69W/A、 キンタレべノレ は 422 mWと実施例 1に及ばなかった。 また電流を 1. 5Aまで注入した際の 最大光出力も 529mWと実施例 1と比較して低く、 1. 5 Aの電流注入を行つ たところ、 1. 45 Aで素子が破壊した。
またキンクレベルが低いために FF Pの測定は 40 OmWで実施した。 この際 の光出力時における縦方向 F F Pの半値全幅は 16. 5度であり、活性層近傍に おける光閉じ込めが十分でないことが疑われた。 横方向 F F Pの半値全幅は 8. 5度であった。 また素子の発振波長は 985. 5 nmであった。
<実施例 4>
第 8図にその光の出射方向からの断面図が示されている半導体レーザを以下 の手順で作製した。
先ず、 キャリア濃度 1. OX 1018cm-3の n型 GaAs基板 (1) の (1 00) 面上に、 MBE法にて、 バッファ層 (2) として厚み 0. 5 /mでキヤリ ァ濃度 1. 0X 1018 cm一3の S ドープ n型 GaAs層;第一導電型第一ク ラッド層 (3) として厚み 2. で、 キャリア濃度が基板側から 1. 3μπι は 7. 5 X 1017 cm— 3であり、 その上 1 //inは 3. 0 X 1017 c m一3である S i ドープ n型 A10. 19Ga0. 81As層;第一導電型ニクラッド層 (4) とし て厚みが 35 nmでキャリア濃度が 8. 0X 1017cm— 3の S i ドープ n型 I n0.49Ga0. 51P ;第一光ガイド層 (5) として、 厚みが 80n mで、 基板側 から 35 nn^ S iのドーピングレベルが 2. 0 X 1017 c m_3であり、 その 上 45 nmはアンドープである G a A s層;活性層構造 (6) として、 厚み 5 n mでキャリア濃度が 7. 5 X 1017cm— 3の S i ドープ n型 G a A s P章壁層(但 し量子井戸層側 1 n mはァンドープ)、 厚み 6 n mのァンドープ I n 0. 6 G a 0. 84 As歪み量子井戸層、 厚み 7 nmでキャリア濃度が 7. 5 X 1017cm— 3の S i ドープ n型 GaAs障壁層 (但し両量子井戸層側 1 n mはアンド一プ)、 厚 み 6 nmのアンドープ I n0. 16Ga 0. 84A s歪み量子井戸層、 厚み 5 nmで、 キャリア濃度が 7. 5X 1017cm— 3の S i ドープ n型 Ga As障壁層 (但し 量子井戸層側 1 nmはアンドープ) の 5層からなる活性層構造;第二光ガイド層 (7) として、 厚みが 80 nmで、 基板側から 45 nmはアンドープで、 その上 35 nn^ B eのドーピングレベルが 3. 0 X 1017 c m— 3である G a A s 層;第二導電型ニクラッド層 (8) として厚みが 35 nmでキャリア濃度が 7. 5 X 1017 cm一3の Be ドープ p型 I n。.49Ga。. 5 i P層;第二導電型下側第 —クラッド層 (9) として厚み 25 nmで、 キャリア濃度が 5. 0 X 1017 cm _3の B e ドープ p型 A 1。 19Ga 0. 81 A s層;電流プロック層 (11) として
厚み 0. 3 μπιでキャリア濃度 5. 0 X 1017。111ー3の3 i ドープ n型 A 10. 2 3Ga0. 78As層;キャップ層 (12) として厚み 10 nmでキャリア濃度 7. 5 X 1017cm— 3の S i ドープ n型 G a As層を順次積層した。
最上層の電流注入領域部分を除く部分に窒化シリコンのマスクを設けた。この とき、 窒化シリコンマスクの開口部の幅は 1. 5 μπιとした。 これをマスクとし て 20 °Cで 105秒間ェッチングを行レ、、電流注入領域部分のキャップ層と電流 ブロック層を除去した。 エッチング剤は、 リン酸(85重量%)、過酸化水素(3 0重量%水溶液) および水を体積比 1 : 1 : 30で混合した混合液を使用した。 その後、 MOCVD法にて第二導電型上側第一クラッド層 (10) として厚み 2. 3 μιηで、 キャリア濃度が基板側から 1 imは 4. 0 X 1 017cm一3であ り、 その上の 1. 3 μπιは 7. 5 X 1017 cm-3である Z nドープ p型 A 10 9Ga0.81As層;コンタクト層 (13) として厚み 3. 0 μ mで、 キャリア濃 度が基板側から 2. 7 /imは 1. 0 X 1018 cm_3であり、 その上の 0. 3 μ mは 6. 0 X 1 018cm— 3である Znドープ G a A s層を再成長した。
さらに、ェピタキシャル層側( p側)電極( 14 ) として T i P t ZA uを、 それぞれ 70 nm/70 nm/80 nmだけ蒸着し、 また、 基板をポリッシング した後には、 基板側 (n側) 電極 (15) として AuGeN i/Auをそれぞれ 150 nm/80 nmだけ蒸着し、 その後、 400°Cで合金化を 5分間行って半 導体レーザ用のウェハーを完成させた。
なお、 完成した半導体レーザの電流注入領域の幅 Wは 2. 2//mであった。 続いて、 大気中で、 共振器長 1600 /xmのレーザバーの状態に劈開して (1 10) 面を露出させ、 A 1 Ox膜を発振波長 98 Onmにおいて前端面の反射率 が 2. 5%になるように 165 nm製膜し、 コーティング層 (16) を形成した (第 3図)。 さらに後端面側の処理を行うために、 厚み 170 nmの A 1 Ox層 厚み 60 nmのアモルファス S i層/厚み 1 70 nmの A 1 Ox層 厚み 6 0 nmのアモルファス S i層の 4層からなるコーティング層 (1 7) を形成し、 反射率 92%の後端面を作製した。
作製した素子の 25°Cにおける電流光出力特性においては、 しきい値電流は 2 9. 9mA、 スロープ効率は 0. 91W/A、 キンクレベルは 620 mWであつ た。 また電流を 1. 22 A注入した際に最大光出力 761 mWであった。
また 45 OmW光出力時における FFPVの半値全幅は 23. 5度であり、 F FPHの半値全幅は 8. 5度であった。 この際、 第 7図に典型例が示されるよう に、 FFPVには副ピーク、主ピーク、副ピークの順に 3つのピークが確認され、 それぞれのピークの位置は角度の順に、 一 54. 6度、 0. 9度、 55. 3度で あった。 また主ピークの強度を 1とした場合の相対的な強度は、角度順にそれぞ れ、 0. 07、 1、 0. 04であった。 一方、 FFPVの主ピーク部分の FFPH には 1つのピークのみが確認され、 そのピークの位置は一 0. 2度であった。 な お、 45 OmW出力時における素子の発振波長は 984 nmであった。
この素子を用いて、その素子の前端面側に先端が楔型をしたファイバーレンズ を有するグレーティング付の光ファイバ一を実装し、バタフライ型のパッケージ を有する半導体レーザモジュールを作製した。 このグレーテイングファイバーの 反射中心は 982 nmであり、 その反射率は 3 %であった。 25 °Cにおいて、 フ アイバー端から出射される光に対して、 しきい値電流 25. 6m A、 スロープ効 率 0. 75mW/mAであった。 結合効率は約 82. 4%と良好であった。
<実施例 5>
第 8図にその光の出射方向からの断面図が示されている半導体レーザを以下 の手順で作製した。
先ず、 キャリア濃度 1. OX 1018cm_3の n型 Ga As基板 (1) の (1 00) 面上に、 MOCVD法にて、 バッファ層 (2) として厚み 0. 5μπιでキ ャリァ濃度 1. 0 X 1018 c m-3の S i ドープ n型 G a A s層;第一導電型第 ークラッド層 ( 3 ) として厚み 2. 3 μ mで、 キヤリァ濃度が基板側から 1. 3 jumは 7. 5 X 1017c:m_3であり、 その上 1 μπιは 3. 0X 1017cm— 3で ある S i ドープ n型 A 10. 45Ga0. 55As層;第一導電型二クラッド層 (4)
として厚みが 35 nmでキャリア濃度が 1. 0 X 1 018 cm一3の S i ドープ n 型 A 10.71Ga0. 29A s ;第一光ガイド層 (5) として、 厚みが 72 nmで、 基板側から 32 nmは S iのドーピングレベルが 2. 0 X 1017 cm— 3であり、 その上 40 nmはアンドープである A 10.26Ga0. 74As層;活性層構造(6) として、 厚み 5 nmでキャリア濃度が 7. 5 X 1017 c m一3の S i ドープ η型 G a A s障壁層 (但し量子井戸層側 1 n mはアンドープ)、 厚み 6 n mのァンド ープ I n0. 16Ga0.84 As歪み量子井戸層、 厚み 7 n mでキャリア濃度が 7. 5 X 1017 c m— 3の S i ドープ n型 G a A s障壁層 (但し両量子井戸層側 1 n mはアンド一プ)、厚み 6 nmのアンドープ I n。 16G a 0 84 As歪み量子井戸 層、 厚み 5 nmで、 キャリア濃度が 7. 5 X 1017 c m-3の S i ドープ n型 G a A s障壁層 (但し量子井戸層側 1 n mはアンドープ) の 5層からなる活性層構 造;第二光ガイド層 (7) として、 厚みが 72 nmで、 基板側から 32 nmはァ ンドープで、 その上 40 nmは Znのドーピングレベルが 3. 0 X 1017 c m" 3である A l 0.26Ga0. 74As層;第二導電型ニクラッド層 (8) として厚みが 35 nmでキャリア濃度が 7. 5 X 1017 c m— 3の Z nドープ p型 A 1。.7丄 G a0. 29As ;第二導電型下側第一クラッド層 (9) として厚み 25nmで、 キ ャリア濃度が 5. 0 X 1 017cm— 3の Znドープ p型 A 1。.45G a。. 55A s 層;電流ブロック層 (11) として厚み 0. 3 μιηでキャリア濃度 5. 0 X 10 17cm— 3の S i ドープ n型 Al 0.49G a 0. 5 A s層;キャップ層 ( 1 2 ) とし て厚み 10 nmでキャリア濃度 7. 5 X 1017 c m— 3の S i ドープ n型 G a A s層を順次積層した。
最上層の電流注入領域部分を除く部分に窒化シリコンのマスクを設けた。 この とき、 窒化シリコンマスクの開口部の幅は 1. 5μιηとした。 これをマスクとし て 20 °Cで 97秒間ェッチングを行レヽ、電流注入領域部分のキヤップ層と電流ブ ロック層を除去した。 エッチング剤は、 リン酸 (85重量%)、 過酸化水素 (3 0重量%水溶液) および水を体積比 1 : 1 : 30で混合した混合液を使用した。 その後、 引き続き MOCVD法にて、 第二導電型上側第一クラッド層 (10)
として厚み 2. 3 mで、 キャリア濃度が基板側から 1 μπιは 4· 0 X 1 017 cm— 3であり、 その上の 1. 3 μπιは 7. 5 X 1017 c m— 3である Ζ ηドープ ρ型 A 1 45Ga 0. 55As層;コンタクト層(1 3) として厚み 3. 0 mで、 キャリア濃度が基板側から 2. は 1. O X 1 018 cm一3であり、 その上 の 0. 3 μπιは 6. O X 10 ]8 cm— 3である Ζ ηドープ Ga A s層を再成長し た。
さらに、ェピタキシャノレ層側(p側)電極(14) として T i/P t/Auを、 それぞれ 70 nm/70 nm/80 nmだけ蒸着し、 また、 基板をポリッシング した後には、 基板側 (n側) 電極 (1 5) として AuGeN iZAuをそれぞれ 1 50 nm/80 n mだけ蒸着し、 その後、 400 °Cで合金化を 5分間行つて半 導体レーザ用のウェハーを完成させた。
なお、 完成した半導体レーザの電流注入領域の幅 Wは 2. 3 μ mであつた。 続いて、 大気中で、 共振器長 1 600 μπιのレーザバーの状態に劈開して (1 10) 面を露出させ、 A 1 Ox膜を発振波長 980 nmにおいて前端面の反射率 が 2. 5%になるように 165 nm製膜し、 コーティング層 (1 6) を形成した (第 3図)。 さらに後端面側の処理を行うために、 厚み 1 70 nmの A 1 Ox層 Z厚み 60 n mのァモルファス S i層 Z厚み 1 70 nmの A l Ox層 厚み 6 0 nmのアモルファス S i層の 4層からなるコーティング層 (1 7) を形成し、 反射率 92%の後端面を作製した。
作製した素子の 25 °Cにおける電流光出力特性においては、 しきい値電流は 2 7. lmA、 スロープ効率は 0. 94WZA、 キンクレベルは 580 mWであつ た。 また素子の最大光出力 682mWであった。
縦方向 F F Pの半値全幅は 2 1. 8度であり、 横方向 F F Pの半値全幅は 8. 7度であった。この際、縦方向の FFPには、第 7図に典型例が示されるように、 FFPVには副ピーク、 主ピーク、 副ピークの順に 3つのピークが確認され、 そ れぞれのピークの位置は角度の順に、 一53. 5度、 —0. 2度、 53. 9度で あった。 また主ピークの強度を 1とした場合の相対的な強度は、 角度順にそれぞ
れ 0. 1、 1、 0. 0 7であった。 一方、 F F PVの主ピーク部分のFF PHには 1つの主ピークのみが確認され、 そのピークの位置は 0. 5度であった。 なお、 45 OmW出力時における素子の発振波長は 9 84 nmであった。
この素子を用いて、その素子の前端面側に先端が楔型をしたファイバーレンズ を有するグレーティング付の光ファイバ一を実装し、バタフライ型のパッケージ を有する半導体レーザモジュールを作製した。 このダレ一ティングファイバーの 反射中心は 98 2 nmであり、 その反射率は 3 %であった。 2 5°Cにおいて、 フ アイバー端から出射される光に対して、 しきい値電流 2 3. 6m A、 スロープ効 率 0. 78 mWZm Aであつた。 結合効率は約 8 2. 9 %と良好であった。
<実施例 6〉
発振波長を 7 8 0 nm近傍に有するロスガイド型半導体レーザを以下の手順 で作製した。
先ず、 キャリア濃度 1. O X 1 018 c m— 3の n型 G a A s基板 (1) の (1 00) 面上に、 MOCVD法にて、 バッファ層 (2) として厚み 1. Ο μπιでキ ャリァ濃度 1. 0 X 1 018 c m— 3の S i ドープ n型 G a A s層;第一導電型第 ークラッド層 ( 3 ) として厚み 1. 5 mで、 キヤリァ濃度が基板側から 1. 0 μιηは 1. 0 X 1 018 cm— 3であり、 その上 0. 5 μπιは 6. 0 X 1 017 c m— 3である S i ドープ n型 A 1 o .55 G a 0.45 A s層;第一導電型二クラッド層( 4 ) として厚みが 2 5 nmでキヤリァ濃度が 1. 0 X 1 018 cm-3の S i ドープ n 型 A 1 0. 8Ga 0. 2A s層;活性層構造 (6) として、 厚み 1 O O nmでアンド ープである A 1 0. 15G a 0. 85 A s単層のバルタ活性層;第二導電型二クラッド 層 (8) として厚みが 2 5 nmでキャリア濃度が 1. 0 X 1 018 c πΤ3の Z n ドープ p型 A l 0. 8G a 0. 2A s層;第二導電型下側第一クラッド層 (9) とし て厚み 3 50 nmで、 キャリア濃度が 8. 0 X 1 017 c m_3の Z nドープ p型 A 1 0. 55Ga 0. 45A s層;電流ブロック層 (1 1) として厚み 0. 7 μπιでキ ャリア濃度 3. O X 1 018 cm_3の S i ドープ n型 G a A s層を順次積層した。
最上層の電流注入領域部分を除く部分に窒化シリコンのマスクを設けた。 この とき、 窒化シリコンマスクの開口部の幅は 1. 2 μπιとした。 これをマスクとし て電流注入領域部分の電流ブロック層を除去した。 エッチング剤は、 リン酸 (8 5重量%)、 過酸化水素 ( 30重量%水溶液) および水を体積比 1 : 1 : 30で 混合した混合液を使用した。
' その後、 引き続き MOCVD法にて、 第二導電型上側第一クラッド層 (10) として厚み 1. 1 5 jumで、 キャリア濃度が 1. 4 X 1 018 cmT3である Zn ドープ p型 A 10. 55Ga 0. 45As層; コンタクト層 (1 3) として厚み 7. 0 jumで、 キャリア濃度が 7. O X 1018 cm— 3である Znドープ Ga As層を 再成長した。
さらに、 ェピタキシャル層側 (p側) 電極として T i/P tZAuを、 それぞ れ 70 nm/70 n m/ 80 nmだけ蒸着し、 また、 基板をポリッシングした後 には、 基板側 ( n側) 電極として A u G e N i /A uをそれぞれ 1 50 n m/ 8 Onmだけ蒸着し、 その後、 400°Cで合金化を 5分間行って半導体レーザ用の ウェハーを完成させた。
なお、 完成した半導体レーザの電流注入領域の幅 Wは 3. 2 μ mであった。 続いて、 大気中で、 共振器長 250 μπιのレーザバーの状態に劈開して (1 1 0) 面を露出させ、 A 1 Ox膜を発振波長 780 nmにおいて前後端面とも反射 率が 33 %になるように製膜した。
作製した素子の 25°Cにおける電流光出力特性においては、 しきい値電流は 4 3. 5mA, スロープ効率は 0. 29WZAであった。 また、 この素子の 3mW 出力時における縦方向 FFPの半値全幅は 22. 8度であり、横方向 FFPの半 値全幅は 8. 7度であった。この際には縦方向の FFPには副ピーク、主ピーク、 副ピークの順に 3つのピークが確認された。また主ピークの強度を 1とした場合 の相対的な強度は、 角度順にそれぞれ 0. 2 1、 1、 0. 1 1であった。 一方、 F F P vの主ピーク部分の F F PHには 1つのピークのみが確認され、そのピーク の位置は 0. 7度であった。 なお、 3 mW出力時における素子の発振波長は 7 7
5 n mであった。 <比較例 4>
第一光ガイド層 (5) および第二光ガイド層 (7) の厚みを 40nm、 また、 その中のアンドープ領域を 10 nmとし、かつ、第一導電型第二クラッド層(4) と第二導電型第二クラッド層 (8) の厚みを共に 50 nmとした以外は、 実施例 4と同様にして半導体レーザを作製した。
しきい値電流は 39. 5mA、 スロープ効率は 0. 70W/A、 キンクレベル は 485mWと、 素子特性全般において実施例 4に及ばなかった。 素子の最大光 出力も 52 OmWと実施例 4と比較して低かった。
また 45 OmW光出力時における縦方向の FFPには、 副ピーク、 主ピーク、 副ピークの順に 3つのピークが確認され、 それぞれのピークの位置は、角度の順 に一 55. 8度、 0. 3度、 57. 6度であつたが、 主ピークの強度を 1とした 場合の相対的な強度は、 角度順にそれぞれ、 0. 61、 1. 0、 0. 4であり、 副ピークの強度は実施例 4よりも非常に大きかった。 なお、 主ピーク部分に限つ てみた縦方向の F F Pの半値全幅は 15. 2度であり、横方向 F F Pの半値全幅 は 8. 4度であった。 なお、 45 OmW出力時における素子の発振波長は 992 nmであつ 7こ。
この素子を用いて、実施例 4と同様のバタフライ型のパッケージを有する半導 体レーザモジュールを作製した。 25°Cにおいて、 ファイバ一端から出射される 光に対して、 しきい値電流 36. 1mA、 スロープ効率 0. 48mWZmAであ つた。 結合効率は約 68. 6 %と実施例 4に及ばなかつた。
<実施例 7〉
第 10図にその光の出射方向からの断面図が示されている半導体レーザを以 下の手順で作製した。
先ず、 キャリア濃度 1. O X 1018cm— 3の n型 GaAs基板 (1) の (1
00) 面上に、 MBE法にて、 バッファ層 (2) として厚み 0. 5 μπιでキヤリ ァ濃度 1. 0 X 1018 cm-3の S i ドープ n型 Ga A s層 (980 nmにおけ る屈折率は 3. 525) ;第一導電型第一クラッド層 (3) として厚み 2. 3 U mで、 キャリア濃度が基板側から 1. 3 μπιは 7. 5 X 1 017 cm_3であり、 その上 1 μπιは 3. 0 X 1017 cm一3である S i ドープ n型 A 10. 19G a 0. 8
As層(980 nmにおける屈折率は 3. 422);第一導電型二クラッド層(4) として厚みが 35 nmでキャリア濃度が 8. 0 X 1 017 cm一3の S i ドープ n 型 A 1。. 4G a 6A s層 (980 nmにおける屈折率は 3. 307) ;第一光ガ イド層 (5) として、 厚みが 80 nmで、 基板側から 40 nn^ S iのドーピン グレベルが 2. 0 X 1017 cm-3であり、 その上 40 nmはアンドープである Ga A s層 (98 O nmにおける屈折率は 3. 525 ) ;活性層構造 ( 6 ) とし て、 厚み 5 nmでキャリア濃度が 7. 5 X 1017 cm— 3の S i ドープ n型 Ga A s障壁層 (伹し量子井戸層側 1 n mはアンドープ)、 厚み 6 n mのァンドープ I n0. 16Ga 0. 84A s歪み量子井戸層、 厚み 8 n mでキャリア濃度が 7. 5 X 1 017cm— 3の S i ドープ n型 Ga As障壁層 (但し両量子井戸層側 1 n mは アンド一プ)、 厚み 6 nmのアンドープ I n0. 16Ga 0. 84A s歪み量子井戸層、 厚み 5 nmで、 キャリア濃度が 7. 5 X 1 017(:11 _3の3 i ドープ n型 G a A s障壁層 (但し量子井戸層側 1 n mはァンドープ) の 5層からなる活性層構造; 第二光ガイド層 (7) として、 厚みが 80 nmで、 基板側から 40 nmはアンド —プで、 その上 40 nmは B eのドーピングレベルが 3. O X 1 017 cm— 3で ある GaA s層 (980 nmにおける屈折率は 3. 525 ) ;第二導電型二クラ ッド層 (8) として厚みが 35 nmでキャリア濃度が 7. 5 X 1017 cm一3の B e ドープ p型 A 1。.4G a 0. 6A s層 (980 nmにおける屈折率は 3. 30 7) ;第二導電型下側第一クラッド層 (9) として厚み 25 nmで、 キャリア濃 度が 5. 0 X 1017 cm一3の B e ドープ p型 A 10. 19G a 0. 81A s層 (980 nmにおける屈折率は 3. 42 2) ;電流ブロック層 (1 1) として厚み 0. 3 /xmでキャリア濃度 4. 0 X 1017 cm— 3の S i ドープ n型 A 1。. 23Gan 7R
As層 (980 nmにおける屈折率は 3. 401) ;キャップ層 (12) として 厚み 1 Onmでキャリア濃度 7. 5 X 1017cm— 3の S i ドープ n型 Ga As 層を順次積層した。
最上層の電流注入領域部分を除く部分に窒化シリコンのマスクを設けた。 この とき、 窒化シリコンマスクの開口部の幅は 1. 5 μπとした。 これをマスクとし て 20°Cで 105秒間エッチングを行レ、、電流注入領域部分のキヤップ層( 12) と電流ブロック層 (1 1) を除去した。 エッチング剤は、 リン酸(85重量%)、 過酸化水素 (30重量%水溶液) および水を体積比 1 : 1 : 30で混合した混合 液を使用した。
その後、 MOCVD法にて、 第二導電型上側第一クラッド層 (10) として厚 み 2. 3 μπιで、 キャリア濃度が基板 (1) 側から 1 /imは 4. OX 1017cm _3であり、 その上の 1. 3μπは 7. 5 X 1017 cm—3である Ζ ηドープ ρ型 A 10 19G a o. 81As層 (980 n mにおける屈折率は 3. 422);コンタク ト層 (13) として厚み 3. Ομπιで、 キャリア濃度が基板 (1) 側から 2. 7 mは 1. 0 X 1018 cm-3であり、 その上の 0. 3 μπιは 7. 0 X 1018 c m一3である Znドープ G a As層を再成長した。
この素子における Vnは 0. 515222であり、 Vpは 0. 515222であ つた。 また、 Rnは 0. 4375であり、 Rpも 0. 4375であった。
素子作製においては、 さらに、 ェピタキシャル層側 (p側) 電極 (14) とし て T i/P tZAuを、 それぞれ 70 nm/70 nm/80 nmだけ蒸着し、 ま た、 基板 (1) をポリツシングした後には、 基板側 (n側) 電極 (15) として AuGeN i /A uをそれぞれ 150n m/ 80n mだけ蒸着し、 その後、 40 0°Cで合金化を 5分間行って半導体レーザ用のウェハーを完成させた。
なお、 完成した半導体レーザの電流注入領域の幅 Wは 2. 2 μ mであった。 続いて、 大気中で、 共振器長 1600 μ mのレーザバーの状態に劈開して ( 1 10) 面を露出させ、 A 1 Ox膜を発振波長 98 Onmにおいて前端面の反射率 が 2. 5%になるように 165 nm製膜し、コーティング層(16)を形成した。
さらに後端面側の処理を行うために、厚み 170 nmの A 10 層//厚み60 n mのアモルファス S i層ノ厚み 170 nmの A 1 O x層/厚み 60 nmのァモ ルファス S i層の 4層からなるコ一ティング層 (17) を形成し、 反射率 92% の後端面を作製した。
作製した素子の 25°Cにおける電流光出力特性においては、 しきい値電流は 2 9. 8 m A、 スロープ効率は 0. 92WZA、 キンクレベルは 622mWであつ た。 また素子の最大光出力 773mWであった。
また 45 OmW光出力時における縦方向 FFPの半値全幅は 24. 1度であり、 横方向 FFPの半値全幅は 8. 5度であった。 この際に第 7図に典型的に示され る様に、 FFPvには副ピーク、 主ピーク、 副ピークの順に 3つのピークが確認 され、 それぞれのピーク位置は角度の順に、 一52. 0度、 0. 5度、 53. 2 度であった。 また、 主ピークの強度を 1とした場合の相対的な強度は角度の順に それぞれ 10、 1、 0. 03であった。 一方、 FFP Vの主ピークの部分の F F P Hには 1つのピークのみが確認され、そのピーク位置は 0. 9度であった。 なお、 素子の発振波長は 984 nmであった。
この素子を用いて、その素子の前端面側に先端が楔型をしたファイバーレンズ を有するグレーティング付の光ファイバ一を実装し、バタフライ型のパッケージ を有する半導体レーザモジュールを作製した。 このグレーティングファイバーの 反射中心は 982 nmであり、 その反射率は 3 %であった。 25°Cにおいて、 フ アイバー端から出射される光に対して、 しきい値電流 25. 3mA、 スロープ効 率 0. 76 mWZm Aであつた。 結合効率は約 82. 6 °/0と良好であつた。 ぐ実施例 8 >
第 10図にその光の出射方向からの断面図が示されている半導体レーザを以 下の手順で作製した。
先ず、 キャリア濃度 1. OX 1018cm_3の n型 Ga As基板 (1) の (1 00) 面上に、 MOCVD法にて、 バッファ層 (2) として厚み 0. 5//mでキ
ャリア濃度 1. 0 X 1018cm— 3の S i ドープ n型 G a As層 (98 Onmに おける屈折率は 3. 525) ;第一導電型第一クラッド層 (3) として厚み 2. 3 μπιで、 キャリア濃度が基板側から 1. 3μπは 7. 5 X 1017 cm— 3であ り、その上 1 μπιは 3.0 X 101 7 0111-3でぁる3 i ドープ n型 A 10.25Ga0. 75A s層 (980 nmにおける屈折率は 3. 390 ) ;第一導電型ニクラッド層 (4) として厚みが 4 Onmでキャリア濃度が 1. 0 X 1018 c m-3の S i ド ープ n型 A 10.45Ga 0. 55A s ( 980 nmにおける屈折率は 3. 279) ;第 一光ガイド層 (5) として、 厚みが 80 nmで、 基板側から 40 nn^ S iのド 一ビングレベルが 2. 0 X 1017 cm— 3であり、 その上 40 nmはアンドープ である G a A s層 (980 nmにおける屈折率は 3. 525 ) ;活'性層構造 ( 6 ) として、 厚み 5 nmでキャリア濃度が 7. 5X 1017cm— 3の S i ドープ n型 Ga As障壁層 (但し量子井戸層側 1 n mはァンドープ)、 厚み 6 n mのアンド ープ I n。. 16Ga0.84As歪み量子井戸層、 厚み 8 nmでキャリア濃度が 7. 5 X 1017 c m_3の S i ドープ n型 G a A s障壁層 (但し両量子井戸層側 1 n mはアンド一プ)、厚み 6 nmのアンドープ I n。 16G a。, 84A s歪み量子井戸 層、 厚み 5 nmで、 キャリア濃度が 7. 5 X 1017cm— 3の S i ドープ n型 G a A s障壁層 (但し量子井戸層側 1 n mはアンドープ) の 5層からなる活性層構 造;第二光ガイド層 (7) として、 厚みが 80 nmで、 基板側から 40 nmはァ ンドープで、 その上 40 nmは B eのドーピングレベルが 3. 0 X 1017 c m" 3である G a A s層 (980 nmにおける屈折率は 3. 525) ;第二導電型ニク ラッド層 (8) として厚みが 4 Onmでキャリア濃度が 7. 5 X 1017 cm-3 の Z nドープ p型 A 1 45Ga 0. 55A s ( 980 n mにおける屈折率は 3. 2 79) ;第二導電型下側第一クラッド層 (9) として厚み 25 nmで、 キャリア 濃度が 5. 0 X 1017。111_3の211ドープ p型 Al。.25G a 0. 75As層 (98 0 nmにおける屈折率は 3. 390 ) ;電流ブロック層 ( 1 1 ) として厚み 0. 3 μπιでキヤリァ濃度 5. 0 X 1017 cm一3の S i ドープ n型 A 10.275G a 0. 725A s層 (980 nmにおける屈折率は 3. 376) ;キャップ層 (12) とし
て厚み 10 nmでキヤリァ濃度 7. 5 X 1017 cm— 3の S i ドープ n型 G a A s層を順次積層した。
最上層の電流注入領域部分を除く部分に窒化シリコンのマスクを設けた。 この とき、 窒化シリコンマスクの開口部の幅は 1. とした。 これをマスクとし て 20 °Cで 97秒間ェッチングを行レヽ、電流注入領域部分のキヤップ層と電流ブ ロック層を除去した。 エッチング剤は、 リン酸 (85重量%)、 過酸化水素 (3
0重量%水溶液) および水を体積比 1 : 1 : 30で混合した混合液を使用した。 その後、 引き続き MOCVD法にて、 第二導電型上側第一クラッド層 (10) として厚み 2. 3 Aimで、 キャリア濃度が基板 (1) 側から l jumは 4. 0X 1 017 cm— 3であり、 その上の 1. 3/ mは 7. 5 X 1017 c m—3である Z nド ープ p型 A10. 25Ga0. 75As層 (980 n mにおける屈折率は 3. 390) ; コンタクト層 (13) として厚み 3. O mで、 キャリア濃度が基板 (1) 側か ら 2. は 1. 0 X 1018 c m— 3であり、 その上の 0. 3jumは 6. 0 X
1018cm— 3である Znドープ G a A s層を再成長した。
この素子における Vnは 0. 588492であり、 Vpは 0. 588492であ つた。 また、 Rn¾0. 5であり、 Rpも 0. 5であった。
さらに、ェピタキシャル層側(p側)電極(14) として T i/P t/Auを、 それぞれ 70 nmZ70 nmZ80 nmだけ蒸着し、 また、 基板 (1) をポリツ シングした後には、 基板側 (n側) 電極 (15) として AuGeN i/Auをそ れぞれ 150n m/ 80n mだけ蒸着し、 その後、 400 °Cで合金化を 5分間行 つて半導体レーザ用のウェハーを完成させた。
なお、 完成した半導体レーザの電流注入領域の幅 Wは 2. 3 μ mであつた。 続いて、 大気中で、 共振器長 1600 zmのレーザバーの状態に劈開して (1 10) 面を露出させ、 A 1 Ox膜を発振波長 980 nmにおいて前端面の反射率 が 2. 5%になるように 165 nm製膜し、コーティング層(16)を形成した。 さらに後端面側の処理を行うために、厚み 170 nmの A 10 層 厚み60 n mのアモルファス S i層 Z厚み 170 nmの A 1 O x層 厚み 60 nmのァモ
ルファス S i層の 4層からなるコーティング層 (17) を形成し、 反射率 92% の後端面を作製した。
作製した素子の 25 °Cにおける電流光出力特性においては、 しきレ、値電流は 2 7. 3mA、 スロープ効率は 0. 93W/A、 キンクレベルは 603 mWであつ た。 また素子の最大光出力は 728mWであった。
また 45 OmW光出力時における縦方向 FFPの半値全幅は 23. 1度であり、 横方向 FF Pの半値全幅は 8. 7度であった。 なお、 45 OmW出力時における 素子の発振波長は 983 nmであった。
この素子を用いて、その素子の前端面側に先端が楔型をしたファイバーレンズ を有するグレーティング付の光ファイバ一を実装し、バタフライ型のパッケージ を有する半導体レーザモジュールを作製した。 このグレーテイングファイバーの 反射中心は 982 nmであり、 その反射率は 3 %であった。 25°Cにおいて、 フ アイバー端から出射される光に対して、 しきい値電流 21. 6mA, スロープ効 率 0. 78 mWZm Aであった。 結合効率は約 83. 8 %と良好であった。 く実施例 9 >
実施例 8に記載の半導体レーザにおいて、 第一導電型ニクラッド層 (4) を厚 みが 30 nmである I n 0 49Ga 0 51P ( 980 n mにおける屈折率は 3. 2
59) に変更した以外は、 実施例 8と同様に半導体レーザを作製した。
この素子における Vnは 0. 588492であり、 Vpi 0. 588492であ つた。 また、 Rnは 0. 375であり、 Rpは 0. 5であった。
作製した素子の 25 °Cにおける電流光出力特性においては、 しきい値電流は 2
6. 5mA、 スロープ効率は 0. 94WZA、 キンクレベルは 582mWであつ た。 また、 素子の最大光出力は 699 mWであった
また 45 OmW光出力時における縦方向 FFPの半値全幅は 23. 8度であり、 横方向 FFPの半値全幅は 8. 8度であった。 45 OmW出力時における素子の 発振波長は 983 nmであった。
<実施例 10>
第一導電型第一クラッド層 (3)、 第二導電型下側第一クラッド層 (9)、 第二 導電型上側第一クラッド層 (10) を I n0.49Ga0. 51Pに変更し、 また、 両 光ガイド層 (5, 7) を厚み 34 nmのアンドープ Ga Asに変更し、 また、 第 一導電型ニクラッド層 (4)、 第二導電型ニクラッド層 (8) を厚み 23 nmの A 10. 58G a o.42 As層に変更し、 また、 電流ブロック層 (1 1) を A 10. 5 Ga。. 5As層に変更し、 また、 電流ブロック層 (1 1) のエッチング時間を 1 00秒に変更した以外は、 実施例 7と同様に半導体レーザを作製した。
この素子における Vnは 0. 422089であり、 Vpは 0. 422089であ つた。 また、 Rnは 0. 67647であり、 Rpも 0. 67647であった。
作製した素子の 25°Cにおける電流光出力特性においては、 しきい値電流は 2 8. 3mA、 スロープ効率は 0. 92WZA、 キンクレベルは 580 mWであつ た。 また、 素子の最大光出力は 685 mWであった
また 45 OmW光出力時における縦方向 FFPの半値全幅は 24. 1度であり、 横方向 FFPの半値全幅は 9. 0度であった。 なお、 45 OmW出力時における 素子の発振波長は 985 nmであった。
この素子を用いて、実施例 7と同様のバタフライ型のパッケージを有する半導 体レーザモジュールを作製した。 25°Cにおいて、 ファイバ一端から出射される 光に対して、 しきい ί直電流 23. 9mA、 スロープ効率 0. 74 mWZmAで あった。 結合効率は約 80. 4%であった。
<比較例 5〉
実施例 7記載の半導体レーザにおいて、 第一光ガイド層 (5)、 第二光ガイド 層 (7) ともその厚みを 32. 5 nmとし、 すべてアンド一プとした以外は実施 例 7記載の半導体レーザと同様に素子を作製した。
この素子における Vnは 0. 257015であり、 Vpも 0. 257015であ
つた。 また、 Rnは 1. 0770であり、 Rpも 1. 0770であった。
作製した素子のしきい値電流は 45. 7 m A、スロープ効率は 0. 62W/A、 キンクレべノレは 403 mWと実施例 7に及ばなかった。また素子の最大光出力も 495 mWと実施例 7と比較して低かつた。 450 mWで測定した縦方向 F F P の半値全幅は 15. 1度であり、活性層近傍における光閉じ込めが十分でないこ とが疑われた。 横方向 F F Pの半値全幅は 8. 2度であった。 また素子の発振波 長は 985. 5 nmであった。
<実施例 1 1〉
第一光ガイド層 (5)、 第二光ガイド層 (7) ともその厚みを 85 nmとし、 全て S iのドーピングレベルを 1. 0 X 1017 cm— 3とし、 また第一導電型第 ークラッド層 (3)、 第二導電型下側第一クラッド層 (9)、 第二導電型上側第一 クラッド層(10) とも A 10.4Ga0.6As (980 nmにおける屈折率は 3. 307) とし、 また、 第一導電型第二クラッド層 (4)、 第二導電型第二クラッ ド層 (8) ともその厚みが 25nmである A 1 65Ga0.35As (980 nm における屈折率は 3. 167) とした以外は、 実施例 7記載の半導体レーザと同 様に素子を作製した。
この素子における V。は 0. 782449であり、 Vpも 0. 782449であ つた。 また、 1 „は0. 2941であり、 Rpも 0. 2941であった。
作製した素子のしきい値電流は 23. 6 m A、 スロープ効率は 0. 98WZA と良好であった。 また、 素子の最大光出力は 58 OmWであった。 産業上の利用の可能性
本発明の半導体発光素子は、 光ファイバ一等との容易な光学的結合が可能で、 高出力動作特性に優れている。 このため、 光ファイバ一増幅器用励起光源や光情 報処理用の光源、 医療用半導体レーザ等のように、 光学系との高い結合効率が望 まれる場合に、 本発明の半導体発光素子を好適に利用することができる。 また、
本発明の半導体発光素子は、高効率な発光素子と光ファイバ一の直接カツプリン グを実現したレ、場合などにも好適に利用することができる。