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JPWO2010071011A1 - 酢酸エステルの製造方法 - Google Patents

酢酸エステルの製造方法 Download PDF

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JPWO2010071011A1
JPWO2010071011A1 JP2010542927A JP2010542927A JPWO2010071011A1 JP WO2010071011 A1 JPWO2010071011 A1 JP WO2010071011A1 JP 2010542927 A JP2010542927 A JP 2010542927A JP 2010542927 A JP2010542927 A JP 2010542927A JP WO2010071011 A1 JPWO2010071011 A1 JP WO2010071011A1
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真一郎 柳川
朝子 柳瀬
朝子 柳瀬
彰 松尾
彰 松尾
秀怜 近藤
秀怜 近藤
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Abstract

オレフィンの重合反応やそれに由来する触媒寿命の低下、或いは副反応に由来するオレフィン有効利用率の低下を抑え、長い触媒寿命でもって高い選択率で酢酸エステルが得られる製造方法を提供する。本発明の酢酸エステルの製造方法は、プロピレン等のオレフィンと酢酸とを反応させて酢酸エステルを製造する方法において、触媒として、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体にスルホン酸基が付加した構造を有し、多孔質であって、かつイオン交換容量が4.8mmol/g以上である多孔性陽イオン交換樹脂を用いることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、酢酸エステルの製造方法に関する。さらに詳しくは、特に酢酸イソプロピルや酢酸ブチル等の、溶剤や香料として有用な酢酸エステルを、特定の触媒を用いて優れた選択性及び反応効率により得ることができる酢酸エステルの製造方法に関する。
オレフィンと酢酸を酸触媒下で反応させると下記式のようにオレフィンが酢酸に付加反応し酢酸エステルが得られことは良く知られている。
R’+CH3COOH → CH3COOR
ここでR’はオレフィンである。R’がプロピレンの場合は以下の反応のように酢酸イソプロピルが得られる。
CH2=CH−CH3+CH3COOH → CH3COOCH(CH3)2
この反応に用いる固体酸触媒として、従来スチレン系スルホン酸型陽イオン交換樹脂あるいはフェノール系スルホン酸型陽イオン交換樹脂が用いられている(特許文献1〜6)。
スチレン系スルホン酸型陽イオン交換樹脂は、スチレンとジビニルベンゼンなど不飽和側鎖を複数有する化合物とを共重合させて得られる架橋型の樹脂を、スルホン化して得られる。一方、フェノール系スルホン酸型陽イオン交換樹脂は、通常はフェノールスルホン酸をホルムアルデヒドなどで縮合して得られる。
従来、オレフィンと酢酸の付加反応による酢酸エステルの製造に用いられているスチレン系スルホン酸型陽イオン交換樹脂あるいはフェノール系スルホン酸型陽イオン交換樹脂としては、ベンゼン環に付加したスルホン酸基の量が少なく、イオン交換容量が小さいものであった。
このようなイオン交換容量が小さいベンゼンスルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いて、オレフィンと酢酸から酢酸エステルを製造する場合、オレフィンの付加反応に対する活性が十分でないために高温で使用する必要がある。そのためオレフィンの重合反応によるポリマーやオリゴマーの生成が避けられず、その結果、触媒のファウリングによる触媒活性の低下が生じ、触媒寿命も必ずしも満足するものではなかった。また高温で使用するために酢酸の脱水反応による無水酢酸や水の副生も避けられず、それによるオレフィンの水和反応などの副反応も起こり、オレフィンのオリゴマー化や重合反応も加わってオレフィンの有効利用率が低下するという問題もある。
ところで、イオン交換容量が大きいベンゼンスルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒も知られているが、単にイオン交換容量が大きい触媒を用いても、上記オレフィンのオリゴマー化等が生じるおそれがある。
特公昭59−44295号公報 特開平4−169552号公報 特開平4−169553号公報 特開平7−2735号公報 特開昭49−100016号公報 特開昭55−102530号公報
本発明の課題は、オレフィンの重合反応やそれに由来する触媒寿命の低下、或いは副反応に由来するオレフィン有効利用率の低下を抑え、長い触媒寿命でもって高い選択率で酢酸エステルが得られる製造方法を提供することにある。
従来、オレフィンと酢酸から、高収率で、かつ副反応を抑えて酢酸エステルを製造するという双方を両立させることは達成されていない。また、触媒としては、そのイオン交換容量が4.8mmol/g以上の物は用いられていない。本発明者らは、イオン交換樹脂の構造およびそのイオン交換容量と、オレフィンと酢酸の付加反応によるエステル生成反応の活性に関する研究を鋭意進めた結果、多孔性の特定構造のイオン交換樹脂であり、かつそのイオン交換容量が4.8mmol/g以上の樹脂を用いることで、オレフィンと酢酸の付加反応の活性が格段に増大し、その増大の程度はイオン交換容量の大きさから類推されるよりも遥かに大きいこと、また活性が増大するにもかかわらず当該付加反応に於ける酢酸エステルの選択性の低下が認められないという新たな事実を見出した。
また本発明者らは、前記した特定構造を有しかつそのイオン交換容量が4.8mmol/g以上のイオン交換樹脂を用いて、オレフィンと酢酸の付加反応によるエステル生成反応を行うに当たり、反応温度およびオレフィン転化率を特定の条件に維持することにより、酢酸エステルが高選択率で得られ、且つ触媒活性の低下も抑制できることを見い出し、本発明に至った。すなわち本発明により初めて、長い触媒寿命で以って高収率でオレフィンと酢酸からエステルを製造することが可能となる。
本発明によれば、プロピレン等のオレフィンと酢酸とを反応させて酢酸エステルを製造する方法において、触媒として、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体にスルホン酸基が付加した構造を有し、多孔質であって、かつイオン交換容量が4.8mmol/g以上である多孔性陽イオン交換樹脂を用いることを特徴とする酢酸エステルの製造方法が提供される。
また当該イオン交換樹脂を用いて、特定の反応条件でエステル化反応を行うことを特徴とする酢酸エステルの製造方法が提供される。
本発明の製造方法は、特定の多孔性陽イオン交換樹脂を用いるので、オレフィンの重合反応などの副反応を抑え、長い触媒寿命で以って、緩やかな条件においてもオレフィンと酢酸から高い選択率で酢酸エステルを製造することができる。そして、得られる酢酸エステルが、酢酸イソプロピルや酢酸ブチル等の場合、インク用溶剤や塗料用溶剤、あるいは粘接着剤の溶剤として有用である。また香料原料としても有用である。特に、本発明の製造方法で得られる酢酸イソプロピルは、臭気やシックハウス症の原因となるアセトアルデヒドや、酸化によりアセトアルデヒドになるエタノールの含有量が少ない環境上優れた溶剤である。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明は、オレフィンと酢酸とを反応させて酢酸エステルを製造する方法において、触媒として、特定のイオン交換樹脂を用いる。
(イオン交換樹脂)
本発明に用いる触媒は、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体にスルホン酸基が付加した構造を有し、多孔質であって、かつ特定のイオン交換容量を有する多孔性陽イオン交換樹脂である。該多孔性陽イオン交換樹脂は、その高分子母体に多数のマクロポアーを有し、通常、20m2/g以上程度の大きい表面積を示す。該表面積は、BET法により求めることができる。
スチレンとジビニルベンゼンの共重合体にスルホン酸基が付加した構造を有する陽イオン交換樹脂としては、本発明に用いるものの他、その製造方法が異なる、所謂ゲル型イオン交換樹脂も良く知られている。該ゲル型イオン交換樹脂は、その高分子母体に有効なマクロポアーが少なく、表面積が極めて小さいものである。このようなイオン交換樹脂を触媒として用いる場合には、同じ化学的構造を有し、かつイオン交換容量が4.8mmol/g以上であっても、本発明の所望の効果は得られない。
本発明に用いる多孔性陽イオン交換樹脂のイオン交換容量は、4.8mmol/g以上である。イオン交換容量が4.8mmol/gに満たない場合には、オレフィンと酢酸の付加反応活性が大きく低下する。またイオン交換容量が大きくとも上記ゲル型イオン交換樹脂を用いる場合には、酢酸に対するオレフィンの付加反応の活性が低く、所望の効果が得られない。また、充分な反応速度を実現するために反応温度を高くすると、オレフィンの重合反応も生じ、オレフィンに対する酢酸エステル生成の選択率が減少すると共に、その結果、重合物の触媒表面上への沈積により触媒活性が低下するおそれがあり、更に、高温であるがために酢酸の脱水反応も起こりやすくなり、その結果副生した水とオレフィンの反応によりアルコールが副生するおそれがある。
ここで、イオン交換容量は、塩化ナトリウム溶液を用いたイオン交換反応により求められる値であり、スルホン酸基のプロトンとナトリウムイオンとを交換させ、生成した塩化水素の量を中和滴定することにより求められる。イオン交換反応は下記式で表される。
R-SO3H + NaCl → R-SO3Na + HCl
式中、Rはイオン交換樹脂のスルホン酸基部分を除いた残基を示す。
本発明に用いる多孔性陽イオン交換樹脂としては、市販品を用いることができる。例えば、ランクセス社製の「レバチットK2620」や「レバチットK2420」(登録商標)、ロームアンドハース社製の「アンバーリスト36」や「アンバーリスト35」(登録商標)が挙げられるがこれらに限定されない。
(オレフィン)
本発明のエステル化反応に用いるオレフィンは特に制限はなく、直鎖状、分岐状、環状の何れでも良く、炭素数2〜5の脂肪族オレフィンが好ましく用いられる。さらに好ましくは炭素数3あるいは4のオレフィン、具体的にはプロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテンが用いられる。
これらオレフィンとしては高純度のオレフィンを用いることができるのは当然であるが、エステル化反応を阻害しない限り低純度のものも用いることができる。例えば、石油の流動接触分解装置から得られるプロパン−プロピレン留分やブテン−ブタン留分、あるいはナフサ分解装置から得られるプロパン−プロピレン留分、ブタジエン抽出装置から得られる、ブタン−ブテンを含むラフィネート留分なども好ましく用いられる。なお、ブタン−ブテン留分を用いた場合は、各種の酢酸ブチルの混合物が得られる。
(酢酸)
本発明のエステル化反応に用いる酢酸についても特に制限はない。例えば、軽質炭化水素の直接酸化により製造される酢酸、あるいはメタノールのカルボニル化反応により製造される酢酸の何れも使用できる。
(エステル化反応条件)
(反応方式)
本発明におけるエステル化反応の方式は、化学工業で実施されている一般的な方法を採用できる。すなわち、イオン交換樹脂を充填した触媒層を用いた固定相流通式、あるいは撹拌機を備えた槽型反応機にイオン交換樹脂を懸濁させて反応させる回分式反応方式の何れも採用できる。工業的には固定相流通式が望ましく、オレフィンと酢酸とを連続的に供給して行う固定相流通式が好ましい方式である。なお、固定相流通式の反応方式を用いる場合には、反応器出口から得られる反応混合物を反応器入口に循環し、反応器へ供給する新規原料(以下「供給原料」という)を希釈する、所謂ローカルリサイクルの方法を取ることもできる。ローカルリサイクルは、酢酸とオレフィンの付加反応の反応熱による反応器内の局部加熱の防止、反応器入口のオレフィン濃度の低減によるオレフィンのオリゴマー化反応あるいは重合反応の抑制に効果があり好ましい方法である。
ローカルリサイクルを行う場合には、反応熱を除去するためにリサイクル液を冷却して反応器に循環する方式を取ることもできる。また、リサイクル液は反応器の入口に戻すほか、反応器の中段に戻すことも可能である。さらにはリサイクル液を反応器の各箇所に分割して戻すことも可能である。
(酢酸/オレフィンのモル比)
本発明の製造方法における酢酸とオレフィンとの比率は、従来のベンゼンスルホン酸型のイオン交換樹脂を用いて行う場合と実質的に異ならない。すなわち、その好ましい比率は、酢酸/オレフィンのモル比として、1.0〜3.0である。なお、固定相流通式の反応方式におけるこの数値は、供給原料中の酢酸/オレフィンのモル比を表す。
酢酸/オレフィンのモル比が1.0より小さい場合は、オレフィンのオリゴマー化反応や重合反応が起こりやすくなり、オレフィンに対する酢酸エステル生成の選択率が低下し、また重合物の触媒表面への沈着が生じて触媒寿命が低下するおそれがある。一方、その比率が3.0を超えると、上記問題は回避されるが、回分式の場合は反応容積あたりのエステルの生産効率、あるいは固定相流通式の反応方式の場合は、空時収率(STY)の低下による反応器容積あたりの効率が低下するおそれがある。また、未反応の酢酸が多くなり蒸留等の回収にかかる負担が大きくなるおそれがある。
固定相流通式の反応方式において、ローカルリサイクルを採用する場合には、上記オレフィンのオリゴマー化反応や重合反応はローカルリサイクルにより低減される傾向にあるが、その場合でも供給原料の酢酸/オレフィンのモル比は1.0以上であることが望ましい。
(反応温度)
本発明の製造方法において反応温度は、好ましくは60〜150℃、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは65℃〜110℃である。60℃未満では酢酸とオレフィンの付加反応の速度が小さく酢酸エステルが効率的に得られない。また、150℃を超えるとイオン交換樹脂の熱劣化が起こりやすくなる。110℃を超えると、オレフィンのオリゴマー化反応や重合反応が起こりやすくなり、オレフィンに対する酢酸エステル生成の選択率が低下し、また重合物の触媒表面への沈着が発生し触媒寿命が低下するおそれがある。また、110℃を超えると酢酸エステルが酢酸とオレフィンに分解する逆反応が起こりやすくなり、オレフィンの反応率を高められないばかりか、オレフィンのオリゴマー化や重合反応などの副反応も起こりやすく、オレフィンの有効利用率や触媒寿命が低下しやすくなるおそれがある。
オレフィンと酢酸の付加反応による酢酸エステル生成反応は発熱反応であり、回分式反応器の場合には時間経過とともに、また固定相流通式反応器の場合には反応器の入口から出口に掛けて反応温度が変化する。その何れの場合も、反応器内の最低温度と最高温度は上記の範囲内にあることが好ましい。固定相流通式の場合、ローカルリサイクルを採用すると、反応器の入口から出口にかけての温度分布変化の程度は緩和される。
(オレフィンの反応率)
本発明においてはオレフィンがプロピレンの場合、その反応率は80%以上であることが好ましい。反応率が80%を下回る場合には、反応器内のオレフィンの濃度が高いためにプロピレンのオリゴマー化が進行し易く、プロピレンに対する酢酸エステルの選択率が低下するおそれがある。従って、本発明において、オレフィンとしてプロピレンを用いる場合には、反応温度が110℃以下、且つプロピレン反応率が80%以上の条件で反応させることが望ましい。この条件で反応させると、プロピレンに対する酢酸エステルの選択率も高く、またオレフィンのオリゴマー化や重合反応による触媒活性の低下も抑制される。
また、反応率80%以上とすることは、反応器下流における未反応プロピレンの分離回収に必要な設備や操作に係わるコストを抑制することにも資する。
このような反応率の制御は、例えば、反応温度や供給原料の供給量などを調整することにより、適宜実施することができる。
従来のイオン交換容量が4.8mmol/g未満の陽イオン交換樹脂あるいはイオン交換容量が4.8mmol/g以上であってもゲル型の陽イオン交換樹脂を用いる場合は、反応温度が60℃では酢酸に対するオレフィンの付加反応の活性が低く、実用上問題が有ったが、本発明における上述の多孔性陽イオン交換樹脂を用いることにより、60℃という低い温度であっても、オレフィンのオリゴマー化やポリマー化を抑えながら高い触媒活性で以って酢酸エステルを製造することが可能である。
ところで、オレフィンと酢酸の付加反応は可逆反応であり、高温においては上述のように生成した酢酸エステルが分解する逆反応が起こりやすくなる。本発明においては、例えば、60℃以上という低い温度から酢酸エステルを製造することができるので化学平衡的にも有利であり、かつオレフィンのオリゴマー化や重合反応などの副反応の生成を抑制し、長い触媒寿命で以って酢酸エステルを製造することが可能になる。
(反応時間、液空間速度)
本発明の製造方法において反応時間は、反応温度や酢酸/オレフィンのモル比、触媒/反応原料等の条件により異なるが、一般には0.5〜10時間である。また、固定相流通式の場合、その好ましい液空間速度(LHSV)は、供給原料について0.5〜20(Feed-ml/Cat-ml/h)である。反応時間が0.5時間未満の場合、或いはLHSVが20を超える場合、酢酸とオレフィンの付加反応の転化率が小さくなるおそれがある。反応時間が10時間を超える場合、あるいはLHSVが0.5未満の場合、反応器の容積あたり或いは触媒容積あたりの生産効率が小さくなるおそれがある。
(反応圧力)
本発明の製造方法において、反応器内の反応圧力は、反応系を液相に保つために充分な圧力でよく、プロピレンの場合1.5〜5.0MPaが好ましく、ブテン類の場合0.5〜5.0MPaが好ましい。
(触媒/反応原料比率)
本発明の製造方法において、撹拌槽型の回分式反応器を用いる場合の触媒/反応原料比率は、質量比で0.005〜0.2が好ましい。0.005に満たない場合、触媒と反応原料との接触効率が悪く、酢酸とオレフィンの付加反応の転化率が小さくなるおそれがある。また、0.2を超える場合は、撹拌効率が低下し、触媒あたりの酢酸エステルの生産効率が低下するおそれがある。
本発明の製造方法により得られる酢酸エステルは、反応生成物を適宜、蒸留等の公知の方法により容易に精製することができる。
以下、実施例により本発明の具体的実施態様を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
各例で使用する陽イオン交換樹脂のイオン交換容量を以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
各例において用いる陽イオン交換樹脂0.1gをガラス容器に取り、それに1mol/LのNaCl溶液50gを加え、30分間撹拌した。撹拌後溶液のみをガラスビーカーに移し、0.1mol/LのKOH溶液で滴定をしてイオン交換容量を求めた。
実施例1
スチレンとジビニルベンゼンの共重合体にスルホン酸基が付加した構造を有する多孔性陽イオン交換樹脂として、ランクセス社製の「レバチットK2620」(登録商標)(BET法による表面積33m2/g)を用いた。
撹拌機を備えた100ccのオートクレーブに、酢酸(純度99.8%)36g、上記多孔性陽イオン交換樹脂0.5g、及びプロピレン(純度99.8%)16.8g導入した。続いて、窒素を用いてオートクレーブ内の圧力を2MPaに加圧した。回転数500rpmで撹拌しながら電気炉を使ってオートクレーブ内の温度を80℃に昇温した。80℃に達した後4時間反応を継続した。4時間経過後反応液を試料採取管に採取し、水素イオン検出器型ガスクロマトグラフィーで生成物を分析した。結果を表1に示す。
実施例2、3及び比較例1、2
スチレンとジビニルベンゼンの共重合体にスルホン酸基が付加した構造を有する多孔性陽イオン交換樹脂として、ロームアンドハース社製の「アンバーリスト36」(登録商標)(BET法による表面積33m2/g)(実施例2)、ロームアンドハース社製の「アンバーリスト35」(登録商標)(BET法による表面積50m2/g)(実施例3)、ランクセス社製の「レバチットK2629」(登録商標)(BET法による表面積40m2/g)(比較例1)、もしくはロームアンドハース社製の「アンバーリスト15」(登録商標)(BET法による表面積53m2/g)(比較例2)を用いたほかは、実施例1と同様の方法でプロピレンと酢酸の反応行った。結果を表1に示す。
比較例3及び4
スチレンとジビニルベンゼンの共重合体にスルホン酸基が付加した構造を有する陽イオン交換樹脂として、ゲル型のランクセス社製の「レバチットK1461」(登録商標)(BET法による表面積は検出限界以下)(比較例3)又はゲル型のロームアンドハース社製の「アンバーリスト31」(登録商標)(BET法による表面積は検出限界以下)(比較例4)を用いたほかは、実施例1と同様の方法でプロピレンと酢酸の反応行った。結果を表1に示す。
Figure 2010071011
実施例4〜9
イオン交換樹脂として、実施例3と同じイオン交換樹脂を触媒として用い、反応温度を変化させてプロピレンと酢酸との反応を行った。
上記多孔性陽イオン交換樹脂50mlを充填した固定床流通式反応装置に、酢酸(純度99.8%)0.86g/min、プロピレン(純度99.8%)0.4g/minを導入し、リサイクル量は700g/hに設定した。定常状態になったところで試料を採取し、水素イオン検出器型ガスクロマトグラフィーで生成物を分析した。結果を表2に示す。
Figure 2010071011
表2から分かるように、プロピレン反応率が80%以上で且つ反応温度が110℃以下の実施例4〜7の場合、酢酸エステルの選択率は96モル%以上と高く、満足できるものであった。実施例8は温度60℃で反応させた例であるが、この場合プロピレン反応率は若干低くなり、酢酸エステルの選択率も若干低下した。また36%のプロピレンが未反応で残った。一方、反応温度が120℃の実施例9は、プロピレンの反応率は87%と高かったが、酢酸エステルの選択率は若干低下した。また、後述するように、反応温度が110℃を超える条件では、110℃以下の場合に比べて触媒活性の経時低下がやや大きかった。
実施例10
実施例3と同じイオン交換樹脂を用い、触媒活性の寿命試験を行った。
上記多孔性陽イオン交換樹脂33mlを充填した固定床流通式反応装置に、酢酸(純度99.8%)0.28g/min、石油の流動接触分解装置から得られるプロパン−プロピレン留分(プロピレン純度76.5%)0.13g/minを導入し、リサイクル量は700g/hに設定した。定常状態になったところで試料を採取し、水素イオン検出器型ガスクロマトグラフィーで生成物を分析した。
通油開始時のプロピレン反応率を90%程度になるように反応温度を設定し反応を開始した。通油時間の経過に伴い触媒活性が低下して、反応率が低下した場合、反応率が80%を切った段階で反応温度を上げ、80%〜90%のプロピレン反応率を維持するように反応を行った。
通油開始時の反応温度を70℃にしたところ、プロピレンの反応率は92%であり、この条件で反応を継続した。結果を表3に示す。
本実施例の場合、触媒活性の低下は極めて小さく、同一反応温度で2600時間通油しても反応率の低下は5%にとどまり、活性の低下は極めて小さく、この段階では反応温度の昇温は必要なかった。また、酢酸イソプロピルの選択率も98%以上と極めて高く、満足できるものであった。
比較例5
比較例2と同じイオン交換樹脂を用いて実施例10と同じ条件で触媒活性の寿命試験を行った。但し、プロピレン反応率90%を得るためには反応温度を80℃とする必要があり、そのため通油開始時の反応温度を80℃とした。結果を同じく表3に示す。
イオン交換容量が4.8mmol/g未満のイオン交換樹脂を使った比較例7の場合、触媒活性が小さいために通油開始時の温度も実施例8に比べ10℃高くしなければならず、その結果活性の経時低下が著しく、2500時間通油時には80%を切る値となり、80%以上を回復するために反応温度の上昇が必要であった。また反応温度を上げた後は、酢酸イソプロピルの選択率も95%となり、実施例10に比べ低かった。
Figure 2010071011
実施例11
通油開始時の反応温度を115℃としたほかは、実施例10と同じ条件で、触媒活性の寿命試験を行った。通油開始時のプロピレン反応率は90%で、反応温度を45℃も高くしたにもかかわらず、プロピレン反応率は、ほぼ変わらなかった。また、酢酸イソプロピルの選択率は88%で、実施例10に比べて低かった。反応温度を115℃に維持しながら通油を継続したところ、1000時間通油時にはプロピレン反応率が78%に低下し、反応率を80%以上に維持するためには反応温度を上げる必要があり、活性が低下した。またこの時点での酢酸イソプロピルの選択率は87%であった。
以上の実施例および比較例より、オレフィンと酢酸の付加反応による酢酸エステルの合成反応において、4.8mmol/g以上のイオン交換容量を持ち、且つ多孔性イオン交換樹脂であるベンゼンスルホン酸型の陽イオン交換樹脂を用いると、ゲル型イオン交換樹脂あるいはそのイオン交換容量が4.8mmol/g未満の樹脂を用いた場合に比べ、著しくエステル化反応の活性が大きいことがわかる。
また高いオレフィン転化率にも関わらず酢酸エステルの選択率の低下もなく、オレフィンのオリゴマー化反応によるオレフィン二量体の副生も同程度に少ないことが分かる。
実施例と比較例におけるオレフィン転化率あるいは酢酸エステル収率を比較すると、実施例におけるオレフィン転化率や酢酸エステル収率は、実施例と比較例で用いた各イオン交換樹脂のイオン交換容量から予測されるよりも遥かに大きいこと、またそのイオン交換容量が4.8mmol/gを境にしてそれを下回った場合には大きく活性が低下することは、驚くべきことである。
また、イオン交換容量が4.8mmol/g以上で且つ多孔性のイオン交換樹脂を用いた場合、イオン交換容量4.8mmol/g未満の、あるいはゲル型イオン交換樹脂を用いた場合に比べて、低い反応温度で酢酸エステルを製造することが出来るので、触媒活性の低下も小さく、高い効率で酢酸エステルを製造することが可能となることが分かる。
また、オレフィンとしてプロピレンを用いた場合、プロピレン反応率を80%以上とし、且つ反応温度を110℃以下とすることで、高い選択率で且つ触媒活性の低下も抑えながら酢酸イソプロピルを製造できることも明らかになった。

Claims (4)

  1. オレフィンと酢酸とを反応させて酢酸エステルを製造する方法において、
    触媒として、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体にスルホン酸基が付加した構造を有し、多孔質であって、かつイオン交換容量が4.8mmol/g以上である多孔性陽イオン交換樹脂を用いることを特徴とする酢酸エステルの製造方法。
  2. オレフィンがプロピレンである請求項1記載の酢酸エステルの製造方法。
  3. プロピレンの反応率が80%以上であり、かつ反応温度が110℃以下である請求項2記載の酢酸エステルの製造方法。
  4. 前記反応を、前記多孔性陽イオン交換樹脂を充填した固定相流通式反応器に、オレフィンと酢酸とを連続的に供給して行うことを特徴とする、請求項1〜3の何れか記載の酢酸エステルの製造方法。
JP2010542927A 2008-12-15 2009-11-26 酢酸エステルの製造方法 Pending JPWO2010071011A1 (ja)

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