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JPWO2019188657A1 - 医療デバイス - Google Patents

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Abstract

高い吸引圧力を得ることができ、かつ回転トルクを切削部へ効果的に伝達できる医療デバイスを提供する。生体管腔内の物体を除去する医療デバイス(10)であって、駆動シャフト(20)と、駆動シャフト(20)を収容する外管(30)と、駆動シャフト(20)に固定される切削部(40)と、ハブ部(60)と、を有し、ハブ部(60)は、流体を外部へ放出する吸引口(94)が形成された第1ハウジング(91)と、外部から液体を送液される送液口(104)が形成された第2ハウジング(101)と、第2ハウジング(101)と駆動シャフト(20)の間に設けられて第1の摩擦抵抗を備える第1シール部(102)と、第2ハウジング(101)と駆動シャフト(20)の間に設けられて第2の摩擦抵抗を備える第2シール部(103)と、を有し、第1の摩擦抵抗は第2の摩擦抵抗よりも小さく、第1シール部(102)は第2シール部(103)の遠位側に位置する。

Description

本発明は、生体管腔の物体を除去するための医療デバイスに関する。
血管内のプラークや血栓などによる狭窄部の治療方法は、バルーンにより血管を拡張する方法や、網目状またはコイル状のステントを血管の支えとして血管内に留置する方法などが挙げられる。しかしながら、これらの方法では、石灰化により硬くなっている狭窄部や、血管の分岐部で生じている狭窄部を治療することは、困難である。このような場合においても治療が可能な方法として、プラークや血栓などの狭窄物を切削して除去する方法がある。
例えば特許文献1には、物体を切削する作動ヘッドが、駆動シャフトの遠位部に固定されたデバイスが記載されている。このデバイスは、駆動シャフトを回転させて、作動ヘッドにより物体を切削できる。このデバイスは、手元に、デバイスの内部を密封するための密封構造を有している。密封構造は、密封用の流体を注入する注入ポートと、流体を吸引する吸引ポートとを備えている。注入ポートの近位側には、駆動シャフトが貫通するシール部が設けられている。
米国特許第8475484号明細書
特許文献1に記載のデバイスは、駆動シャフトとシール部の間のクリアランスが一定である。クリアランスを大きくすると、シール部の摩擦抵抗が低下してトルク伝達効率が向上するが、シール部の密封性が低下する。クリアランスを小さくすると、シール部の密封性が向上するが、シール部の摩擦抵抗が高くなる。これにより、駆動シャフトのトルク伝達効率が低下する。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、高い吸引圧力を得ることができ、かつ回転トルクを切削部へ効果的に伝達できる医療デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る医療デバイスは、生体管腔内の物体を除去する医療デバイスであって、回転可能である駆動シャフトと、前記駆動シャフトを回転可能に収容する外管と、前記駆動シャフトの遠位部に固定されて物体を切削する切削部と、前記駆動シャフトおよび外管の近位部に配置されるハブ部と、を有し、前記ハブ部は、流体を外部へ放出する吸引口が形成され、当該吸引口に前記外管のルーメンが連通する第1ハウジングと、外部から液体を送液される送液口が形成され、当該送液口に前記駆動シャフトのルーメンが連通する第2ハウジングと、前記第2ハウジングと駆動シャフトの間に設けられて第1の摩擦抵抗を備える第1シール部と、前記第2ハウジングと駆動シャフトの間に設けられて第2の摩擦抵抗を備える第2シール部と、を有し、前記第1の摩擦抵抗は前記第2の摩擦抵抗よりも小さく、前記第1シール部は前記第2シール部の遠位側に位置する。
上記のように構成された医療デバイスは、摩擦抵抗の低い第1シール部を、摩擦抵抗の高い第2シール部の高圧側に設けることで、第1シール部および第2シール部の組み合わせとして、十分な密封性を得つつ、摩擦抵抗を低減できる。このため、医療デバイスは、高い吸引圧力を得つつ、回転トルクを切削部へ効果的に伝達できる。
実施形態に係る医療デバイスを示す平面図である。 医療デバイスの近位部を示す断面図である。 医療デバイスの遠位部を示す断面図である。 第1実施形態に係る医療デバイスにより病変部を除去している状態を示す図であり、(A)は切削を開始した状態、(B)は外管を回転させつつ切削している状態、(C)は外管を移動させつつ切削している状態を示す。 医療デバイスの変形例を示す断面図であり、(A)は第1変形例、(B)は第2変形例、(C)は第3変形例を示す。 医療デバイスの変形例を示す断面図であり、(A)は第4変形例、(B)は第5変形例を示す。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面における各部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
実施形態に係る医療デバイス10は、急性下肢虚血や深部静脈血栓症において、血管内に挿入され、血栓、プラーク、アテローム、石灰化病変等を破壊して除去する処置に用いられる。本明細書では、デバイスの血管に挿入する側を「遠位側」、操作する手元側を「近位側」と称することとする。なお、除去する物体は、必ずしも血栓、プラーク、アテローム、石灰化病変に限定されず、生体管腔内に存在し得る物体は、全て該当し得る。
医療デバイス10は、図1〜3に示すように、長尺であって回転駆動される駆動シャフト20と、駆動シャフトを収容する内管50と、駆動シャフト20および内管50を収容する外管30と、血栓を切削する切削部40と、ハブ部60とを備えている。
駆動シャフト20は、長尺であり、回転力を切削部40に伝達する。駆動シャフト20は、生理食塩液等の液体を遠位側へ送液するための送液ルーメン21が形成されている。送液ルーメン21は、ガイドワイヤを通すガイドワイヤルーメンでもある。駆動シャフト20は、第1駆動シャフト22と、第1駆動シャフト22の近位側に位置する第2駆動シャフト23と、第2駆動シャフト23の近位部に固定される駆動管24とを備えている。駆動シャフト20は、さらに、第1駆動シャフト22と第2駆動シャフト23を連結する筒状の連結部25と、保護管26とを備えている。
第1駆動シャフト22および第2駆動シャフト23は、柔軟で、かつ近位側から作用する回転の動力を遠位側に伝達可能な特性を有する。第1駆動シャフト22および第2駆動シャフト23は、複数の線材を並べて螺旋状に連結した管体である。したがって、第1駆動シャフト22および第2駆動シャフト23は、線材の隙間から流体を通過させる。第1駆動シャフト22および第2駆動シャフト23は、螺旋の巻回方向が逆方向である。第1駆動シャフト22の遠位部に、切削部40が固定されている。
駆動管24は、第2駆動シャフト23の近位部に固定されている。駆動管24は、後述する駆動部62から回転トルクを受ける剛直な管体である。駆動管24は、駆動部62を貫通し、駆動部62の回転する駆動ロータ62Aおよび図示しない軸受を介して駆動部62の内部で回転する。駆動管24の構成材料は、トルクを効果的に伝達できるように、ある程度の剛性を有することが好ましく、例えば金属材料が好適に使用できる。レーザー加工により、これらの金属材料の外周に螺旋状のスリットや溝を形成し、トルク伝達性を高めることができる。また、駆動管24は金属のほかに、電気的安全性向上のため、非導電性の金属、樹脂などの絶縁材料で構成することができる。駆動管24の構成材料は、例えば、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、Wなどの金属材料、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリアセタール(POM)、天然ゴム、合成ゴム、シリコーン樹脂、さらには、これらのうちの2種以上を組合せたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体、コーティング、部分的に配置等)が挙げられる。また、駆動管24は、剛性を保つため、上述の樹脂材料を上述の金属材料の外周に設けてもよい。
保護管26は、第1駆動シャフト22、第2駆動シャフト23および駆動管24の内側を覆う管体である。保護管26は、送液ルーメン21内を通るガイドワイヤが、第1駆動シャフト22、第2駆動シャフト23および駆動管24と擦れることを抑制する。保護管26は、第1駆動シャフト22と第2駆動シャフト23の連結部、および後述する第2空間部105の内部で、流体を通過させるために部分的に途切れている。なお、第1駆動シャフト22と第2駆動シャフト23の連結部において、保護管26は連続していてもよい。さらに、部分的に途切れさせる代わりに、保護管26の内面から外面に連通する側孔を設けてもよい。保護管26の近位端は、ハブ部60内でのガイドワイヤの擦れを抑制し、ガイドワイヤを導出するために、ハブ部60の近位端まで延在している。
駆動シャフト20の第1駆動シャフト22と第2駆動シャフト23の連結部の近傍は、内側(送液ルーメン21)の流体を外側へ通過される中央通過部27である。駆動シャフト20の第2空間部105の内部に位置する部位は、第2空間部105の液体を内側(送液ルーメン21)へ通過される近位通過部28である。駆動シャフト20は、遠位端に、液体を放出する放出開口部29を有している。
第1駆動シャフト22および第2駆動シャフト23の構成材料は、例えば、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、W、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、などが好適に使用できる。駆動シャフト20は、第1駆動シャフト22および第2駆動シャフト23の2つに分割されなくてもよい。駆動シャフトは、螺旋状の線材により形成されなくてもよい。例えば、駆動シャフトは、螺旋状のスリットや溝をレーザー加工等により形成されてもよい。
外管30は、駆動シャフト20および内管50を収容する筒体である。外管30は、切削した血栓等の物体を吸引するための吸引ルーメン31が形成されている。外管30の近位部の外周面には、耐キンクプロテクタ32と、操作部70とが固定されている。耐キンクプロテクタ32は、外管30の近位側におけるキンクを抑制する。外管30は、操作部70に連結される部位よりも近位側の外表面に、後述する吸引シール部92および第2支持部93が接している。外管30の操作部70が連結される部位およびさらにその近位側の部位は、剛直である。同様に、操作部70の外管30と連結される部位の少なくとも一部は剛直である。このため、外管30は、操作部70、吸引シール部92および第2支持部93と、良好に接することができる。操作部70の吸引シール部92および第2支持部93と接する外表面は、低摩擦で接触するように、滑らかに形成されている。操作部70は、ある程度の強度を有することが好ましく、構成材料として、ABS樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール(POM)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエチレン(PE)、カーボンファイバー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの樹脂が好適に使用できる。ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、Wなどの金属、すなわち高密度材料を用いることで、回転操作の安定化を図ってもよい。操作部70の術者が触れる外表面は、高摩擦表面を形成してもよい。これにより、術者による確実かつ正確な回転トルク操作を実現できる。高摩擦表面は、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエン系ゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)など生体適合性のある高摩擦材料により形成してもよいし、外表面に凹凸を設けて術者の指が引っかかりやすくするように形成してもよい。外管30の近位部の外表面は、吸引シール部92および第2支持部93と接する部位を除き、高い摩擦力を有している。すなわち、外管30の外表面は、遠位側から低摩擦抵抗、高摩擦抵抗、低摩擦抵抗の順番で形成される。このため、外管30を把持操作部70の回転トルクが医療デバイス10の遠位側に伝わるように支持することができ、あるいは外管30自体により医療デバイス10の遠位側に回転トルクを作用させることが容易である。具体的には、外管30の体外露出部分における捩れや湾曲を解消することで、医療デバイス10の先端に操作部70の回転トルクを確実に伝えることができる。
外管30の遠位部は、生体管腔内で曲がるように、近位部よりも柔軟であることが好ましい。外管30の遠位部は、柔軟性を付与するために、例えば、螺旋状のスリットや溝をレーザー加工等により形成されてもよい。外管30の遠位部の加工された外表面は、樹脂等が被覆されてもよい。
外管30は、遠位端に、切削した物体や、駆動シャフト20から放出した液体を吸引する吸引開口部33を有している。外管30の遠位端は、切削部40の近位側に位置している。外管30は、遠位部に、湾曲部34を有している。湾曲部34は、外管30を回転させることで、外管30の遠位端および切削部40の位置および向きを変更するために利用できる。外管30は、近位端に、後述する第1空間部95の内部で開口する基端開口部35を有している。
外管30の構成材料は、ある程度の強度を有することが好ましく、例えば、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、W、形状記憶合金などが好適に使用できる。外管30の構成材料は、ABS樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール(POM)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエチレン(PE)、カーボンファイバー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのエンジニアリングプラスチック等の樹脂でもよい。
切削部40は、血栓等の物体を切削するための部材である。切削部40は、第1駆動シャフト22の遠位部の外周面に固定されている。切削部40は、表面に、微小な砥粒を多数有している。または、切削部40は、鋭利な刃を備えてもよい。
切削部40の構成材料は、血栓を切削できる程度の強度を有することが好ましく、例えば、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、W、形状記憶合金、超鋼合金などが好適に使用できる。
内管50は、外管30の内部で駆動シャフト20を囲んでいる柔軟な管体である。内管50は、内面と外面の間で流体を通過させる駆動シャフト20を囲むことで、駆動シャフト20を通過して、流体が送液ルーメン21から吸引ルーメン31へショートカットすることを抑制する。内管50は、近位側内管51と、遠位側内管52とを備えている。近位側内管51の基端部は、ハブ部60に固定されている。近位側内管51の遠位部は、駆動シャフト20の中央通過部27の近位側に位置している。近位側内管51は、ハブ部60の吸引圧力および送液圧力を、中央通過部27まで効果的に伝達する。遠位側内管52は、連結部25よりも遠位側で、他の部材に拘束されずに自由に回転可能となっている。遠位側内管52は、中央通過部27まで伝わったハブ部60の吸引圧力および送液圧力を、さらに遠位側まで効果的に伝達する。内管50の構成材料は、ある程度の柔軟性と低摩擦性を有することが望ましく、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、PTFE・ETFE等のフッ素系ポリマー、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルブロックアシドコポリマー(PEBAX)、ポリイミドおよびその組み合わせが好適に使用できる。
ハブ部60は、ケーシング61と、駆動部62と、スイッチ63と、送液ポート64と、吸引ポート65と、電気ケーブル66とを備えている。ハブ部60は、さらに、操作部70と、吸引部90と、送液部100とを備えている。
ケーシング61は、駆動部62、送液部100および吸引部90を収容している。ケーシング61の遠位部には、操作部70を回転可能に支持する軸受状の第1支持部67が形成されている。
駆動部62は、例えば中空モータである。駆動部62は、電気ケーブル66を介して外部から供給される電力によって回転する。駆動部62には、駆動シャフト20の駆動管24が貫通している。駆動管24は中空モータの中空の駆動ロータ62Aに、軸受等を介さずに直結されている。したがって、駆動部62は、駆動シャフト20を高い回転軸精度でぶれずに高速で回転させることができる。駆動管24の外径は、駆動ロータ62Aの外径よりも小さい。このため、駆動管24の外周面に後述する第2シール部103を接触させるよりも、駆動管24の外周面に第2シール部103を接触させる方が、第2シール部103の内径が小さくなる。したがって、駆動管24と第2シール部103の摩擦抵抗が小さくなり、密封性を高めることができる。駆動部62の回転速度は、特に限定されないが、例えば5,000〜200,000rpmである。また、製造上の組立性や電気的安全性向上のため、中空モータの中空の駆動ロータ62Aと、駆動シャフト20の間に他の管体を配置してもよい。当該管体は、金属、非導電性の金属、樹脂などの絶縁材料で構成されることができる。駆動部62に中空モータを用いることで、駆動部62と駆動シャフト20の回転軸さらに、外管30の回転軸をすべて同軸化することができる。これにより、駆動シャフト20の回転を高精度化し、安定化できるだけでなく、ギアなどによる駆動伝達部品による発熱、騒音の問題を解消できる。さらにハブ部60も小型化するため、術者がハブ部60を片手で操作できるようになる。なお、駆動管24は、第2駆動シャフト23の近位部を覆うのではなく、第2駆動シャフト23の近位端に固定されてもよい。また、駆動管24は、設けられなくてもよい。この場合、線材が螺旋状に巻かれた第2駆動シャフト23が、第1シール部102および第2シール部103により封止される。第2駆動シャフト23の螺旋の隙間は、半田や接着剤、コーティング等によって覆われる。したがって、第2駆動シャフト23の第1シール部102および第2シール部103と接する部位は、内周面と外周面の間に流通性を有さない管体となっている。
電気ケーブル66は、外部の電源または制御装置に接続可能である。スイッチ63は、術者が駆動部62の駆動および停止を操作する部位である。スイッチ63は、ケーシング61の遠位部の外面に位置している。このため、術者は、ケーシング61の遠位部に位置する操作部70、回転規制部80およびスイッチ63を片手で操作できる。
操作部70は、術者が指で操作して、外管30に回転トルクを作用させる部位である。操作部70は、外管30の近位部の外周面に固定されている。操作部70は、操作ダイヤル71と、受け溝72とを備えている。操作ダイヤル71は、術者が指で操作する略円盤状の部位である。操作ダイヤル71の外周面は、操作しやすいように、高い摩擦抵抗を有している。受け溝72は、第1支持部67により回転可能に保持される部位である。受け溝72の第1支持部67に対する摩擦抵抗は、外管30の向きを保持できる程度に大きい。したがって、操作ダイヤル71が術者によって回転された後、指を離すと、受け溝72と第1支持部67の摩擦抵抗により、回転された位置が保持される。なお、外管30の外周面と吸引シール部92の内周面の摩擦抵抗、あるいは外管30の外周面と第2支持部93の内周面の摩擦抵抗、あるいは操作部70の外周面と第1支持部67の内周面との摩擦抵抗を外管30の向きを保持する程度に大きく設定することで、同様の効果を得ることも可能である。これにより部品点数を減らし、構造を単純化することができる。
送液ポート64は、外部の送液ポンプ等の送液源11に接続可能である。送液ポート64は、送液源11から、生体内へ送液する生理食塩液等の液体を供給される。送液ポート64は、供給された液体を、送液部100へ搬送する。送液源11は、送液圧力が生成できるものであればよく、ポンプ、点滴塔に吊られたバッグ、シリンジなどを用いることができる。ポンプ等のように、能動的に送液可能な送液源11を用いることで、送液量を安定化させることができる。
吸引ポート65は、外部の吸引ポンプ等の吸引源12に接続可能である。吸引ポート65は、吸引源12により吸引されて、吸引部90の内部の流体等を吸引源12へ向かって搬送する。吸引源12は、吸引圧力が生成できるものであればよく、ポンプ、シリンジなどを用いることができる。ポンプ等のように、能動的に吸引可能な吸引源12を用いることで、吸引圧を高め、吸引力を安定化・向上させることができる。
吸引部90は、外管30の吸引ルーメン31に吸引圧力を作用させる部位である。吸引部90は、第1ハウジング91と、吸引シール部92と、第2支持部93とを備えている。
第1ハウジング91は、流体を外部へ放出する吸引口94と、吸引口94に連通する第1空間部95とを備えている。第1空間部95の内部には、外管30の基端開口部35が位置している。第1空間部95の近位部には、近位側内管51が固定されている。吸引口94は、吸引ポート65に接続されている。
吸引シール部92は、第1空間部95の遠位部で、第1ハウジング91と外管30の間に位置している。吸引シール部92は、第1空間部95の内部に、外部の空気が流入することを抑制する。さらに、吸引シール部92は、外管30を回転可能に支持する。吸引シール部92は、寸法精度が高く、面性状が滑らかであり、かつ柔軟性(密着性)が高い。これにより、吸引シール部92は、接触する対象に対して、高い寸法精度で隙間なく密着し、密封性に優れる。吸引シール部92の構成材料は、例えば天然ゴム、合成ゴム、シリコーン樹脂等の弾性体が挙げられる。なお、吸引シール部92は、第1空間部95の近位部に設けられてもよい。これにより、ハブ部60の全長が長くなる代わりに、外管30をより高精度に回転支持できる。
第2支持部93は、第1空間部95の遠位部で、第1ハウジング91と外管30の間に位置している。第2支持部93は、吸引シール部92の近位側に位置している。第2支持部93は、摩擦抵抗が低いことが好ましい。第2支持部93の構成材料は、例えば、超高分子ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、さらには、これらのうちの2種以上を組合せたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等)が挙げられる。
送液部100は、吸引部90の近位側であって、駆動部62の遠位側に位置している。送液部100は、駆動シャフト20の送液ルーメン21に液体を送る部位である。送液部100は、第2ハウジング101と、第1シール部102と、第2シール部103と、固定部材106とを備えている。
第2ハウジング101は、外部から液体を送液される送液口104と、送液口104に連通する第2空間部105とを備えている。第2空間部105の内部には、駆動シャフト20が貫通している。第2空間部105の内部には、液体を送液ルーメン21へ通す近位通過部28が位置している。送液口104は、送液ポート64に接続されている。
第1シール部102および第2シール部103は、第2空間部105の近位部で、第2ハウジング101と、駆動シャフト20の駆動管24との間に位置している。第1シール部102および第2シール部103は、第2空間部105の内部の加圧された液体が、外部へ流出することを抑制する。第1シール部102は、第2シール部103よりも遠位側に位置している。したがって、第1シール部102は、第2シール部103よりも第2空間部105の内部空間に近い。したがって、第1シール部102は、第2シール部103よりも高圧側に位置している。
第1シール部102は、駆動管24の外径よりも僅かに大きい内径を有している。第1シール部102は、駆動管24と接触しない程度の小さな直径クリアランスで、駆動管24から離れている。第1シール部102は、回転する駆動管24に対して第1の摩擦抵抗を有する。第1シール部102が駆動管24と接触する場合、第1の摩擦抵抗は、接触による摩擦抵抗である。第1シール部102が駆動管24と接触しない場合、第1の摩擦抵抗は、例えば、第1シール部102と駆動管24の間に位置する流体により生じる抵抗である。なお、駆動管24の回転時に、第1シール部102と駆動管24は、多少接触することもあり得る。第1シール部102は、駆動管24との間の微小流路を流れる流体に、圧力損失を発生させる。その結果、第2シール部103での流体圧力は第1シール部102での流体圧力より小さくなる。これにより、第2シール部103に要求される密封性が低減される。第1シール部102は、圧力損失をできるだけ大きく発生できるように、軸方向に長く形成される。したがって、第1シール部102の軸方向の長さは、第2シール部103の軸方向の長さよりも長いことが好ましいが、これに限定されない。
第1シール部102と駆動管24の間の直径クリアランス(直径の差)は、好ましくは0.001〜0.2mm、より好ましくは0.005〜0.05mm、さらに好ましくは0.005〜0.02mmである。第1シール部102の構成材料は、摩擦抵抗が低く、耐熱性が高く、線膨張率が低く、耐摩耗性が高いことが好ましい。第1シール部102の構成材料は、例えば、超高分子ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリアセタール(POM)、さらには、これらのうちの2種以上を組合せたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体、コーティング等)が挙げられる。第1シール部102は、第2ハウジングの一部であってもよい。
第2シール部103は、第1シール部102よりも近位側の第2ハウジング101と駆動管24の間に位置している。第2シール部103は、第1シール部102と駆動管24の間の微小流路を通過した液体が、外部へ流出することを抑制する。第2シール部103は、第1シール部102よりも密封性の高い、柔軟な材料により形成される。第2シール部103の構成材料は、例えば天然ゴム、合成ゴム、シリコーン樹脂等の弾性体が挙げられる。第2シール部103は、高速で回転する駆動管24と接触するため、駆動管24とできるだけ密着しないことが好ましい。第1シール部102と組み合わせて使用することで、第2シール部103は、駆動管24と弱く接触できる。すなわち、第2シール部103よりも遠位側(高圧側)に、第1シール部102が設けられるため、第2シール部103の駆動管24に対する押し付け圧を低減できる。第2シール部103は、回転する駆動管24に対して第2の摩擦抵抗を有する。第2の摩擦抵抗は、第1の摩擦抵抗よりも大きい。第2シール部103が駆動管24と接触する場合、第2の摩擦抵抗は、接触による摩擦抵抗である。第2シール部103が駆動管24と接触しない場合、第2の摩擦抵抗は、例えば、第2シール部103と駆動管24の間に位置する流体により生じる抵抗である。第2シール部103と駆動管24の接触は、ミクロ的に観察すると、全体的ではなく部分的に接触した状態である。駆動管24から離れているために摩擦抵抗がほとんどないが密封性に劣る第1シール部102を、第2シール部103の高圧側に設けることで、第1シール部102および第2シール部103の組み合わせとして、十分な密封性を得つつ、摩擦抵抗を低減できる。上記の弾性体等の材料では、密着性が高いが、材料特性上、高摩擦になりがちである。これを解消する方法として、内径が高精度に加工された低摩擦材料を用いることで、密着性を保ちつつ、さらに摩擦を減らすことが可能である。この場合も、駆動管24との接触面積を減らすことで、摩擦抵抗を低減できる。
固定部材106は、第2シール部103を第2ハウジング101に対して固定する筒状の部材である。固定部材106は、第2シール部103の脱落やずれを抑制する。固定部材106は、第2ハウジング101の近位側から第2空間部105の内部に向かって入り込んでいる。固定部材106の遠位端は、第2シール部103の近位側の面に接触して、第2シール部103を支持している。固定部材106は、第2ハウジング101に対して接着や螺合等によって固定される。
次に、本実施形態に係る医療デバイス10の使用方法を、血管内の血栓等の病変部を破壊して吸引する場合を例として説明する。
初めに、術者は、ガイドワイヤWを血管に挿入し、病変部Sの近傍へ到達させる。次に、術者は、医療デバイス10の送液ルーメン21に、ガイドワイヤWの近位端を挿入する。この後、図4(A)に示すように、ガイドワイヤWをガイドとして、医療デバイス10の切削部40を、病変部Sの近傍まで移動させる。
次に、術者は、スイッチ63を操作し、送液および吸引を開始する。すなわち、術者は、外部の送液源11および吸引源12を作動させる。これと同時あるいは一定時間の経過後、駆動シャフト20を介して切削部40を回転させる。この動作は電気ケーブル66に接続された装置によって制御したり、ハブ部60内に制御部を設けて制御したりすることができる。これにより、術者は、病変部Sを切削できる。
術者は、図2に示すように、切削部40の位置を周方向へ変更したい場合に、操作部70を操作することができる。術者は、操作ダイヤル71を回転させると、第1支持部67に支持されている操作部70が回転する。これにより、外管30が回転する。外管30を回転させると、外管30の湾曲部34の方向が変わり、図4(B)に示すように、切削部40の位置を変更できる。したがって、大きく回転させることが困難なハブ部60の全体を回転させることなく、切削部40の方向を変更しつつ切削できる。さらに、術者は、ハブ部60の全体または体外に露出した外管30を移動させて、外管30を、血管の長尺方向に沿って往復移動させる。これにより、図4(C)に示すように、切削部40により、病変部Sを血管の長尺方向に沿って切削できる。
送液が開始されると、図2に示すように、送液口104から第2空間部105に流入した生理食塩液が、駆動シャフト20の近位通過部28を通過して、送液ルーメン21に入る。なお、駆動シャフト20と第2ハウジング101の間は、第1シール部102および第2シール部103により密封されている。このため、第2空間部105の生理食塩液は、駆動シャフト20と第2ハウジング101の間から外部へ流出し難くなる。したがって、第2空間部105は、高い送液圧力を維持できる。また、摩擦抵抗がほとんどないが密封性に劣る第1シール部102を、第2シール部103の高圧側に設けることで、第1シール部102および第2シール部103は、組合せとして、十分な密封性を発揮しつつ摩擦抵抗が小さい。このため、駆動シャフト20を高い伝達効率で回転させることができる。
送液ルーメン21に入った生理食塩液は、遠位側へ移動する。なお、駆動シャフト20の外側には、近位側内管51が位置している。このため、送液ルーメン21の内部の生理食塩液は、吸引ルーメン31へショートカットすることなく、中央通過部27まで効果的に移動できる。送液ルーメン21の内部の生理食塩液の一部は、中央通過部27まで到達すると、吸引ルーメン31へ移動する。
送液ルーメン21の内部の生理食塩液の残りは、さらに遠位側へ移動し、図3に示すように、放出開口部29から切削部40の内部を通って血管内に放出される。血管内に入った生理食塩液の一部は、血液および切削された物体と共に、外管30の吸引ルーメン31へ吸引される。吸引ルーメン31に入った物体および流体は、吸引ルーメン31を近位側へ移動する。吸引ルーメン31に入った流体は、図2に示すように、中央通過部27で合流する生理食塩液によって薄められる。このため、吸引ルーメン31内で血栓が形成されることを抑制できるし、吸引物の粘度を低下させることで吸引量を増大させることができる。したがって、医療デバイス10の吸引力の低下や損傷を抑制しつつ、吸引性能を高められる。また、医療デバイス10内に形成された血栓が、生体管腔内に流出することを抑制できる。吸引ルーメン31に入った流体は、吸引部90の第1空間部95へ到達すると、吸引口94から外部の吸引源12へ放出される。なお、吸引部90の第1ハウジング91と外管30の間は、吸引シール部92によって密封されている。このため、第1空間部95の吸引圧力の低下を抑制できる。このときの吸引圧力は、絶対真空0kPaとしたとき、0〜90kPa、好ましくは0kPa〜50kPaである。
病変部Sの切削および吸引が完了した後、術者は、スイッチ63を押す。これにより、駆動シャフト20の回転が停止され、切削部40による切削が停止される。これと同時または一定時間の経過後、送液および吸引を停止させる。すなわち、外部の送液源11および吸引源12を停止させる。この動作は電気ケーブル66に接続された装置によって制御したり、ハブ部60内に制御部を設けて制御したりすることができる。この後、医療デバイス10を血管から抜去し、処置が完了する。
以上のように、本実施形態に係る医療デバイス10は、生体管腔内の物体を除去する医療デバイス10であって、回転可能である駆動シャフト20と、駆動シャフト20を回転可能に収容する外管30と、駆動シャフト20の遠位部に固定されて物体を切削する切削部40と、駆動シャフト20および外管30の近位部に配置されるハブ部60と、を有し、ハブ部60は、流体を外部へ放出する吸引口94が形成され、当該吸引口94に外管30の吸引ルーメン31が連通する第1ハウジング91と、外部から液体を送液される送液口104が形成され、当該送液口104に駆動シャフト20の送液ルーメン21が連通する第2ハウジング101と、第2ハウジング101と駆動シャフト20の間に設けられて第1の摩擦抵抗を備える第1シール部102と、第2ハウジング101と駆動シャフト20の間に設けられて第2の摩擦抵抗を備える第2シール部103と、を有し、第1の摩擦抵抗は第2の摩擦抵抗よりも小さく、第1シール部102は第2シール部103の遠位側に位置する。
上記のように構成した医療デバイス10は、摩擦抵抗の低い第1シール部102を、摩擦抵抗の高い第2シール部103の高圧側に設けることで、第1シール部102および第2シール部103の組み合わせとして、十分な密封性を得つつ、摩擦抵抗を低減できる。このため、医療デバイス10は、高い密封性により高い吸引圧力を得つつ、低い摩擦抵抗によって回転トルクを切削部40へ効果的に伝達できる。
また、第1シール部102および駆動シャフト20の間のクリアランスは、第2シール部103および駆動シャフト20の間のクリアランスよりも大きい。これにより、医療デバイス10は、駆動シャフト20から離れているために摩擦抵抗がほとんどないが密封性の低い第1シール部102を、第2シール部103の高圧側に設けることで、第1シール部102および第2シール部103の組み合わせとして、十分な密封性を得つつ、摩擦抵抗を低減できる。このため、医療デバイス10は、高い密封性により高い吸引圧力を得つつ、低い摩擦抵抗によって回転トルクを切削部40へ効果的に伝達できる。また、高速回転中の駆動シャフト20には多少の軸ぶれが発生し、遠位側ほど駆動シャフト20が描く回転軌道が周方向に大きくなる。このぶれに対しても、遠位側に行くほどクリアランスが大きくなる本構造を用いることで、余計な摩擦による回転トルクの損失を低減できる。
また、第2シール部103は、駆動シャフト20に接触する。このため、第2シール部103は、高い密封性を発揮する。したがって、医療デバイス10は、摩擦抵抗の低い第1シール部102と、密封性の高い第2シール部103を組み合わせることで、十分な密封性を得つつ、摩擦抵抗を低減できる。
また、第1シール部102および第2シール部103は、異なる材料により形成される。これにより、医療デバイス10は、第1シール部102および第2シール部103のそれぞれに適する特性を、個別に付与できる。
また、第1シール部102は、第2シール部103よりも摩擦抵抗が小さい。これにより、医療デバイス10は、柔軟な第2シール部103により高い密封性を維持できる。
また、第2シール部103は、第1シール部102よりも柔軟である。これにより、医療デバイス10は、摩擦抵抗の小さい第1シール部102によってトルク伝達効率を高めることができる。
また、駆動シャフト20の第1シール部102および第2シール部103と接する部位は、内周面と外周面の間に流通性を有さない管体(例えば、駆動管24)である。このため、第1シール部102および第2シール部103は、駆動シャフト20との間で、密封性を発揮できる。
また、ハブ部60は、駆動シャフト20の第2シール部103よりも近位側に直結して駆動シャフト20を回転させる駆動部62を有する。例えば、駆動部62は、中空の駆動ロータ62Aを有し、駆動ロータ62Aが駆動シャフト20の駆動管24に接続されている。なお、駆動管24と駆動ロータ62Aは、一体で構成されてもよいが、高速回転に耐えうる剛性を得るためには、一定の外径(2〜10mm、好ましくは2〜3mm)を有する駆動ロータ62Aが必要となる。一方で、密封性を高めるためには、被シール部を細径化する方が、摩擦抵抗を低く抑えられる。駆動ロータ62Aよりも外径が細い(例えば、0.5〜9mm、好ましくは0.7mm〜1.5mm)駆動管24を、駆動ロータ62Aとは別体として設けることで、駆動シャフト20の高速回転と低摩擦化を両立できる。これにより、歯車等の駆動伝達部品を介さずに、駆動シャフト20を駆動部62により直接的に回転されることができる。このため、駆動シャフト20は、高速で回転しても、高い回転軸精度で回転し、ぶれを生じ難くなる。その結果、駆動シャフト20が高速で回転しても、第1シール部102および第2シール部103のクリアランスが、望ましい効果を得られる適切な値に維持される。したがって、医療デバイス10は、高い吸引圧力を維持しつつ、回転トルクを切削部40へ効果的に伝達できる。また、本構成では、駆動部62と駆動シャフト20の回転軸さらに、外管30の回転軸をすべて同軸化することができる。これにより、駆動シャフト20の回転を高精度化し、安定化できるだけでなく、ギアなどによる駆動伝達部品による発熱、騒音の問題を解消できる。さらにハブ部60も小型化するため、術者がハブ部60を片手で操作できるようになる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、医療デバイス10が挿入される生体管腔は、血管に限定されず、例えば、脈管、尿管、胆管、卵管、肝管等であってもよい。したがって、破壊する物体は、血栓でなくてもよい。
また、第1シール部102および第2シール部103の両方が、駆動シャフト20に接触してもよい。したがって、第1の摩擦抵抗および第2の摩擦抵抗は、接触して生じる摩擦抵抗である。例えば、第1シール部102は、駆動シャフト20と弱い接触力で接触し、第2シール部103は、駆動シャフト20と強い接触力で接触する。このような場合であっても、医療デバイス10は、摩擦抵抗の低い第1シール部102と、密封性の高い第2シール部103を組み合わせることで、十分な密封性を得つつ、摩擦抵抗を低減できる。
また、図5(A)に示す第1変形例のように、第1シール部102および第2シール部103は、高粘性材料107を塗布されてもよい。高粘性材料107は、生体適合性を有することが好ましく、例えばシリコーンオイル、オリーブオイル等である。高粘性材料107は、例えば、水よりも粘度が高い。これにより、第1シール部102と駆動管24の間の密封性と、第2シール部103と駆動管24の間に液体が移動し難くなり、密封性が向上する。これにより、医療デバイス10は、吸引効率を向上できる。または、第1シール部102および第2シール部103の少なくとも一方は、疎水性材料を塗布されてもよい。これにより、第1シール部102および第2シール部103から水が弾かれて、第1シール部102および第2シール部103の密封性が向上する。さらに、第1シール部102および第2シール部103の少なくとも一方は、親水性材料を塗布することで、表面を水分で覆い、空気の侵入を抑えることで、密封性を向上させてもよい。
また、図5(B)に示す第2変形例のように、第1シール部は、第2シール部103の遠位側の第1シール部102Aに加えて、近位側の第1シール部102Bを有してもよい。近位側の第1シール部102Bは、駆動管24から離れている。第1シール部102Bも、駆動管24との間に微小流路を形成し、圧力損失を生じさせることができる。また、駆動シャフト20は、第2空間部105の内部に、径方向へ突出するリング状のシール補助部110を有してもよい。シール補助部110の近位面110Aは、第1シール部102Aの遠位面102Cと近接している。近位面110Aと遠位面102Cの間には、圧力損失を生じさせる微小流路が形成される。これにより、医療デバイス10は、第1シール部102Aを軸方向へ長くせずに、第1シール部102Aおよび駆動シャフト20の間の微小な流路を長く形成できる。このため、医療デバイス10は、駆動シャフト20が長くなることによる回転の不安定化を抑制しつつ、高い密封性を得ることができる。
また、図5(C)に示す第3変形例のように、駆動シャフト20のシール補助部110は、第2ハウジング101の第2空間部105よりも近位側の壁面の内部に位置してもよい。第2ハウジング101の壁面の内部には、シール補助部110を収容可能な収容部120が形成される。収容部120の壁面は、第1シール部102の一部である。したがって、第1シール部102は、シール補助部110の遠位面、近位面および外周面の全てと近接する。これにより、医療デバイス10は、第1シール部102を軸方向へ長くせずに、第1シール部102および駆動シャフト20の間の微小な流路を長く形成できる。このため、医療デバイス10は、駆動シャフト20が長くなることによる回転の不安定化を抑制しつつ、高い密封性を得ることができる。
また、図6(A)に示す第4変形例のように、第1シール部102は、内径の大きい大径部102Cと、内径の小さい小径部102Dとを備えてもよい。大径部102Cは、小径部102Dの遠位側に位置している。第1シール部102は、大径部102Cを有することで、駆動シャフト20が回転によって軸ぶれを生じても、駆動シャフト20と接触し難くなる。このため、医療デバイス10は、損傷し難くなる。本変形例では、内径の大きい大径部102Cと、内径の小さい小径部102Dは、段差状に複数設けられているが、遠位部から近位部にかけてテーパ状に設けられてもよい。
また、図6(B)に示す第5変形例のように、第1シール部102の内部に位置する駆動管24の外周面に、凸状または凹状の螺旋部24Aが形成されてもよい。螺旋部24Aは、軸流形インペラとして機能し、流体を遠位側へ押し戻す。これにより、駆動シャフト20が回転することで、近位側へ向かって流れる流体を、遠位側へ押し戻すことができる。なお、螺旋部24Aにより流体を遠位側へ移動させる効果が高すぎると、空気が第2空間部105へ引き込まれる。したがって、螺旋部24Aは、近位側へ流出する流れと同程度以下の流れを生じさせる効果を有することが好ましい。
また、第1ハウジング91および第2ハウジング101は、一体的に形成されてもよい。
また、吸引部90の吸引口94は、吸引源12に接続されず、大気圧に開放されてもよい。このような構成であっても、生体管腔内の圧力が大気圧よりも高い場合、吸引部90は、生体管腔内の物体を吸引できる。
なお、本出願は、2018年3月28日に出願された日本特許出願番号2018−062328号に基づいており、それらの開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。
10 医療デバイス
20 駆動シャフト
30 外管
40 切削部
60 ハブ部
90 吸引部
91 第1ハウジング
94 吸引口
95 第1空間部
100 送液部
101 第2ハウジング
102 第1シール部
103 第2シール部
104 送液口
105 第2空間部
107 高粘性材料
110 シール補助部

Claims (11)

  1. 生体管腔内の物体を除去する医療デバイスであって、
    回転可能である駆動シャフトと、
    前記駆動シャフトを回転可能に収容する外管と、
    前記駆動シャフトの遠位部に固定されて物体を切削する切削部と、
    前記駆動シャフトおよび外管の近位部に配置されるハブ部と、を有し、
    前記ハブ部は、
    流体を外部へ放出する吸引口が形成され、当該吸引口に前記外管のルーメンが連通する第1ハウジングと、
    外部から液体を送液される送液口が形成され、当該送液口に前記駆動シャフトのルーメンが連通する第2ハウジングと、
    前記第2ハウジングと駆動シャフトの間に設けられて第1の摩擦抵抗を備える第1シール部と、
    前記第2ハウジングと駆動シャフトの間に設けられて第2の摩擦抵抗を備える第2シール部と、を有し、
    前記第1の摩擦抵抗は前記第2の摩擦抵抗よりも小さく、前記第1シール部は前記第2シール部の遠位側に位置する医療デバイス。
  2. 前記第1シール部および駆動シャフトの間のクリアランスは、前記第2シール部および駆動シャフトの間のクリアランスよりも大きい請求項1に記載の医療デバイス。
  3. 前記第2シール部は、前記駆動シャフトに接触する請求項1または2に記載の医療デバイス。
  4. 前記第1シール部および第2シール部は、前記駆動シャフトに接触する請求項1に記載の医療デバイス。
  5. 前記第1シール部および第2シール部は、異なる材料により形成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  6. 前記第1シール部は、前記第2シール部よりも摩擦抵抗が小さい請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  7. 前記第2シール部は、前記第1シール部よりも柔軟である請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  8. 前記駆動シャフトの前記第1シール部および第2シール部と接する部位は、内周面と外周面の間に流通性を有さない管体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  9. 前記駆動シャフトは、径方向へ突出するリング状のシール補助部を有し、
    前記第1シール部は、前記シール補助部の遠位面、近位面および外周面の少なくとも1つと近接する請求項1〜8のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  10. 前記ハブ部は、前記駆動シャフトの前記第2シール部よりも近位側に直結して前記駆動シャフトを回転させる駆動部を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  11. 前記第1シール部および第2シール部の少なくとも一方は、高粘性材料を塗布されている請求項1〜10のいずれか1項に記載の医療デバイス。
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