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JPWO2018163795A1 - 塗工紙 - Google Patents

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JPWO2018163795A1
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    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
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Abstract

本発明の課題は、印刷適性に優れた嵩高な塗工紙を提供することである。発明に基づいて顔料塗工層に澱粉粒を含有させることによって、印刷適性に優れた嵩高な印刷用塗工紙を製造することができる。

Description

本発明は塗工紙に関する。特に、本発明は顔料塗工層中に澱粉粒を含有する塗工紙に関する。
印刷用塗工紙は、チラシ、カタログ、パンフレット、ダイレクトメールなどの広告・宣伝を目的とした商業分野において広く用いられている。特に近年は、印刷・加工ともにますます複雑化し、オンデマンド印刷や機械の高速化などの環境下で、印刷用紙に対する要求は一層厳しくなってきている。
塗工紙は、書籍やポスター、包装紙など様々な用途に用いられるが、いずれの用途においても、軽量化志向が顕著である。紙の軽量化は、資材コスト、倉庫保管コスト、運搬コスト等の原価削減の面からも、近年の電子書籍やスマートフォンなどの軽量媒体に対抗した消費者の運搬容易性確保の面からも、求められている品質である。印刷用塗工紙の世界においても、このような軽量化のニーズと、用紙の高級感を両立するために、紙厚は維持したまま軽量化する嵩高技術に期待が集まっている。
印刷用塗工紙の嵩高化技術(低密度化技術)としては、原紙を嵩高にする試みに加えて、顔料塗工層を嵩高にする試みも検討されてきた。原紙を嵩高にする技術として、例えば、特許文献1には、非イオン性の界面活性剤を添加することによって紙を嵩高化することが記載されている。また、特許文献2には、機械パルプを含有した嵩高な原紙(密度:0.70g/cm以下)に、顔料100重量部あたり10〜50重量部の澱粉類を含有する塗工液をフィルム転写方式で塗工することによって、嵩高な印刷用塗工紙を製造することが提案されている。さらに、特許文献3には、低密度の原紙(密度:0.50〜0.75g/cm以下)に大粒径の顔料を含む塗工層を塗工することによって嵩高な印刷用塗工紙を製造することが提案されている。
特開平11−200283号公報 特開2011−026752号公報 特開2005−248379号公報
特許文献1に記載された界面活性剤を配合して原紙を低密度化する技術は、原紙の強度、特に原紙の層間強度が低下する問題があった。また、特許文献2に係る機械パルプを配合して原紙を低密度化する技術では、原紙のこわさが大きくなり、印刷時の紙のクッション性が低下して印刷適性が低下する場合があった。さらに、特許文献3のように、大粒径の顔料を顔料塗工層に用いた場合、大粒径の顔料が塗工層から脱落しやすく、また、顔料粒子にクッション性がないため、表面強度が不足したり、印刷面感が悪化したりするなどの課題があった。
また、特開2007−303048号公報には、印刷用艶消塗工紙のインキ擦れを低減するために、顔料塗工層の上に、シリコーン加工した特殊な澱粉粒子をさらに塗布することが提案されている。しかしながら、顔料塗工層上に、粗大な澱粉粒子を含む表面層をさらに塗布した場合、塗工紙表面上に澱粉粒子が露出しており、澱粉粒子の脱落によって塗工紙表面に欠陥(穴)ができるおそれがある。この方法では、澱粉粒子を含む表面層を別途塗布する必要があり、また、シリコーン加工した特殊な澱粉粒子が用いる必要があるため、操業面やコスト面において課題があった。
このような状況に鑑み、本発明の課題は、印刷適性に優れた嵩高な塗工紙を提供することである。
上記課題について鋭意検討したところ、印刷用塗工紙の顔料塗工層中に澱粉粒子を含有させることで、嵩高な印刷用塗工紙が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。これに限定されるものではないが、本発明は下記の態様を包含する。
(1) 澱粉粒と白色顔料を含む顔料塗工層と原紙を有する印刷用塗工紙。
(2) 前記澱粉粒の平均粒子径が8〜25μmである、(1)に記載の塗工紙。
(3) 前記顔料塗工層を構成する澱粉粒と白色顔料の合計に対する澱粉粒の重量割合が、0.5〜10%である、(1)または(2)に記載の塗工紙。
(4) 前記塗工紙が複数の顔料塗工層を有しており、前記澱粉粒が少なくとも最外塗工層に存在する、(1)〜(3)のいずれかに記載の塗工紙。
(5) 前記最外塗工層を構成する澱粉粒と白色顔料の合計に対する澱粉粒の重量割合が、0.5〜10%である、(4)に記載の塗工紙。
(6) JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No47に基づいて、ヨウ素溶液(定量法)を用いて塗工紙の白紙サンプルを気化染色した場合、直径が2〜50μmの大きさの染色された澱粉粒子の数が、1〜300個/1mmである、(1)〜(5)のいずれかに記載の塗工紙。
本発明に基づいて顔料塗工層に未蒸煮の澱粉粒を含有させることによって、嵩高な印刷用塗工紙を製造することができる。
図1は、実施例で用いた澱粉粒子の粒度分布を示すグラフである。 図2は、サンプル1−5に係る塗工紙について、その表面上の澱粉粒子の個数を測定した際の写真である。 図3は、サンプル1−5に係る塗工紙について、その表面上の澱粉粒子の粒径分布を示すグラフである。 図4は、サンプル1−5に係る塗工紙について、澱粉粒子を含む断面を電子顕微鏡で観察した写真である。
本発明においては、澱粉粒を顔料塗工層に用いる。一般に、澱粉は水存在下で熱を加え、澱粉粒を糊化する蒸煮工程を経たスラリーとした澱粉をバインダーとして原紙や塗工層に用いられるが、本発明においては、粒状の澱粉を顔料塗工層に使用する。粒状の澱粉としては、蒸煮していない澱粉や、蒸煮後粒状に成形した澱粉などが挙げられる。本発明によれば、印刷用塗工紙の塗工層を低密度化できるとともに、塗工紙の印刷適性を向上させることができる。
本発明の塗工紙は、白色顔料を含む顔料塗工層が原紙上に設けられた塗工紙であれば特に制限はなく、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、インクジェット印刷などに用いられる印刷用塗工紙はもちろん、板紙原紙上に顔料塗工層を有する白板紙であってもよい。本発明の塗工紙は、原紙の上に顔料塗工層を1層以上有しているが、2層以上の顔料塗工層を有していてもよい。顔料塗工層の数は特に制限されないが、紙の軽量化を考慮すると3層以下であることが好ましい。また、本発明の塗工紙は、原紙の片面のみに顔料塗工層を有していても、原紙の両面に顔料塗工層を有していてもよい。なお、原紙上には、顔料を含まない塗工液(サイズプレス液)を塗工しても塗工しなくてもよい。
本発明における塗工紙の塗工量は、用途に応じて適宜選定できるが、一般的には、片面あたり固形分で2〜20g/mであり、4〜19g/mとしてもよく、6〜18g/mや8〜17g/mであってもよい。
本発明の塗工層に用いる顔料(白色顔料)は特に制限されず、塗工紙用に従来から用いられているものを使用することができ、例えば、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。また、顔料の種類としては、紙の平滑性やインキ擦れを低減する観点からはカオリンまたはクレーを含有することが好ましく、バインダー要求量が少なく少量の接着剤で表面強度を向上できることと、高い白色度、更に印刷時のインキの乾燥性の観点からは、重質炭酸カルシウムおよび軽質炭酸カルシウムが好ましく、また不透明度をも向上させる観点から、粒子径や形状が揃った軽質炭酸カルシウムが特に好ましい。嵩高な塗工層構造は光を効率的に散乱するためである。
塗工層に炭酸カルシウムを用いる場合、軽質炭酸カルシウムもしくは重質炭酸カルシウム、またはその両方をあわせた含有量は、顔料100質量部あたり50質量部以上が好ましく、70質量部以上がより好ましく、80質量部以上がさらに好ましい。また、原紙上に均一な塗工層を形成させる観点および印刷時の乾燥性の点から塗工顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定機で測定した値で0.2〜5μmが好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。
本発明においては、通常用いられるコーターであればいずれを用いても良い。オンマシンコーターでもオフマシンコーターでも良く、オンマシンコーターであれば、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーターなどのロールコーター、ビルブレイドコーター、ブレードメタリングサイズプレスコーター、ショートドゥエルブレードコーター、ジェットファウンテンブレードコーターなどのコーターを使用できる。塗工速度は、特に限定されないが、例えば、150〜2000m/分とすることが好ましく、400〜1500m/分がより好ましい。現在の技術ではブレードコーターでは150〜1800m/分、サイズプレスコーターでは150〜2000m/分が好ましい。
本発明において、湿潤塗工層を乾燥させる方法に制限はなく、例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独もしくは併用して用いることができる。
澱粉粒
本発明においては、顔料塗工層に粒状の澱粉を使用する。一般に澱粉は蒸煮すると粒が崩壊するが、本発明においては、未蒸煮の粒状の澱粉(澱粉粒)や、蒸煮後に粒状に成形された澱粉粒を用いる。澱粉とは、アミロース、アミロペクチンからなる混合物のことをいい、一般に、その混合比は澱粉の原材料である植物によって異なる。澱粉としては、各種加工澱粉やデキストリンを好適に使用することができる。
本発明において澱粉粒の平均粒子径は、Malvern社製Mastersizer Sなどのレーザー回折式粒度分布測定機で測定したメジアン径(d50)が8〜25μmであることが好ましく、10〜20μmがより好ましく、12〜17μmがさらに好ましい。ここで、メジアン径とは、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径のことであり、本発明においては体積基準でのメジアン径を用いることができる。また、粒子径の分布範囲は、例えば、レーザー回折によって測定することができ、好ましくは澱粉粒子の90%が50μm以下に分布しており、より好ましくは2〜50μmに分布しており、さらに好ましくは5〜30μmに分布しており、最も好ましくは5〜25μmに分布している。
本発明の澱粉は、粒状の澱粉粒であれば特に制限されず、変性方法、原料の品種なども自由である。澱粉を変性、修飾、加工などしたものとしては、例えば、酸化澱粉、ヒドロキシエステル化澱粉(HES)、燐酸エステル澱粉、エステル化澱粉、デキストリンなどが挙げられる。また、本発明で使用する澱粉の好ましい原料としては、トウモロコシ、ポテト、タピオカなどを挙げることができる。
本発明における澱粉粒の配合量は、好ましい態様において、顔料塗工層1層を構成する白色顔料と澱粉粒の合計に対して0.5〜10%であるが、8%以下がより好ましく、5%以下としてもよい。また、2層以上の顔料塗工層を設ける場合、本発明の澱粉粒はいずれの層に含有させてもよいが、本発明の効果を大きく発揮させるには、原紙から最も遠い最外顔料塗工層に含有させることが好ましい。最外塗工層に澱粉粒子を含有させた場合、印刷直後の塗工紙を重ねあわせた際に発生するインキ擦れの問題を大きく低減することができる。最外顔料塗工層以外の層に含有させた場合においても、嵩高な塗工紙を得ることができる。
接着剤
本発明においては、塗工紙用に従来から用いられている接着剤を使用することができる。顔料塗工層に用いる接着剤としては、例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、およびアクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体などが挙げられる。接着剤は、1種類以上を適宜選択して使用できる。本発明では、澱粉系高分子化合物とラテックスを接着剤として併用することが好ましい。併用により澱粉系化合物とラテックスの利点を両方得られる。
本発明において、顔料塗工層における接着剤の含有量は、顔料100重量部に対して5重量部以上20重量部以下が好ましい。ラテックスを使用する場合、その含有量は顔料100質量部に対して好ましくは1質量部以上15質量部以下であり、更に好ましくは1質量部以上10質量部以下である。15質量部より多く配合した場合においても印刷表面強度に優れるが、コストがかかる上、それ以上の効果が期待できない。また、接着剤として澱粉系高分子を使用する場合、1重量部以上15重量部以下が好ましく、さらに好ましくは1重量部以上10重量部以下である。また、2層以上の顔料塗工層を設ける場合は、原紙に近い最内顔料塗工層は澱粉系高分子よりもラテックスの含有量が多いことが好ましく、原紙から最も遠い最外顔料塗工層は、ラテックスよりも澱粉系高分子が多いことが好ましい。
本発明において、塗工液の調製方法は特に限定されず、コーターの種類によって適宜調整できる。これに限定されるものではないが、塗工液の固形分濃度は40〜75重量%が好ましく、50〜72重量%がより好ましく、60〜69重量%としてもよい。塗工液の粘度は、JIS K 7117−1のB型粘度計で測定した場合、300〜2000mPa・sが好ましく、500〜1500mPa・sがより好ましい。
本発明においては、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤、蛍光増白剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。
原紙
本発明の塗工紙は原紙層を有する。原紙は公知の方法により製造することができ、例えば、抄紙原料(紙料)をワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して原紙を製造することができる。本発明に用いる原紙は、単層抄きであっても多層抄きであってもよいが、白板紙を製造する場合は多層抄き原紙を用いることが好ましい。本発明の原紙の製法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。本発明で使用される原紙は特に制限されず、一般に使用される上質紙、中質紙、板紙、更紙、マシンコート紙、アート紙、キャストコート紙、合成紙、レジンコーテッド紙、プラスチックフィルム等を例外なく使用できる。
本発明の原紙に用いるパルプ原料としては、化学パルプを使用することができる。化学パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を好適に使用することができる。化学パルプ以外にも、用途に応じて各種パルプを使用することができ、例えば、脱墨パルプ(DIP)、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプなどを使用することができる。
本発明においては、原紙の填料として公知の填料を任意に使用でき、例えば、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱産による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料を単用又は併用できる。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムが不透明度向上のためにも好ましく使用される。紙中填料率は特に制限されないが、1〜40固形分質量%が好ましく、5〜35固形分質量%がより好ましく、10〜30固形分質量%がさらに好ましい。
本発明においては、公知の製紙用添加剤を使用することができる。例えば、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、各種紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。乾燥紙力向上剤としてはポリアクリルアミド、カチオン化澱粉が挙げられ、湿潤紙力向上剤としてはポリアミドアミンエピクロロヒドリンなどが挙げられる。また、より高い嵩高効果を得るために、原紙に嵩高剤を添加してもよい。これらの薬品は地合や操業性などの影響の無い範囲で添加される。中性サイズ剤としてはアルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸、中性ロジンサイズ剤などが挙げられる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
本発明における原紙の抄紙方法は特に限定されるものではなく、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマ、丸網抄紙機、長網抄紙機と丸網抄紙機を併用した板紙抄紙機、ヤンキードライヤーマシン等を用いて行うことができ、単層抄きでも多層抄きでもよい。抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、中性またはアルカリ性が好ましい。抄紙速度は、特に限定されない。
本発明の原紙の坪量は特に限定されず、用途に応じて適宜選定できる。例えば、原紙の坪量は、一般印刷用塗工紙であれば、25〜160g/mであってよく、35〜150g/m、45〜140g/mとしてもよく、塗工白板紙であれば、200g/m以上であってもよい。
本発明の塗工紙に用いる原紙は、その片面または両面にクリア(透明)塗工層を有していてもよい。原紙上にクリア塗工を施すことにより、原紙の表面強度や平滑性を向上させることができ、また、顔料塗工をする際の塗工性を向上させることができる。本発明においては、クリア塗工層にバインダーとして、前述の接着剤を使用することができる。クリア塗工の量は、片面あたり固形分で0.1〜4.0g/mが好ましく、0.5〜2.5g/mがより好ましい。
本発明においてクリア塗工とは、例えば、サイズプレス、ゲートロールコーター、プレメタリングサイズプレス、カーテンコーター、スプレーコーターなどのコーター(塗工機)を使用して、澱粉、酸化澱粉などの各種澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を主成分とする塗布液(表面処理液)を原紙上に塗布(サイズプレス)することをいう。
本発明においては、オンラインソフトカレンダー、オンラインチルドカレンダーなどにより塗工前の原紙にプレカレンダー処理を行い、原紙を予め平滑化しておくことが、塗工後の塗工層を均一化する上で好ましい。この場合、処理線圧は、好ましくは30〜100kN/m、より好ましくは50〜100kN/mである。また、プレカレンダー処理する際の原紙の水分率も重要であり、水分率は3〜5%が好ましい。
塗工紙表面
本発明においては、以上のように製造した塗工紙を必要に応じて表面処理してもよいが、本発明の嵩高効果が得にくくなるため、カレンダー処理を行わないことが好ましい。平滑化処理を行う場合は、通常のスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー、熱カレンダー、シューカレンダー等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整されるが、低圧でのカレンダー処理が好ましい。
本発明の塗工紙は、種々の印刷方式に対応することができ、オフセット印刷用塗工紙、凸版印刷用塗工紙、グラビア印刷用塗工紙、インクジェット用紙、乾式電子写真用紙、湿式電子写真用紙などに使用することができる。
上述したように、本発明に係る塗工紙には、顔料塗工層に澱粉粒子を使用するが、粗大な澱粉粒子が塗工紙表面に露出しすぎていると澱粉粒子の脱落などが生じ易くなる。JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No47に基づいて、ヨウ素溶液(定量法)を用いて塗工紙の白紙サンプルを気化染色した場合、直径が2〜50μmの大きさの染色された澱粉粒子の数が、1〜300個/1mmが好ましく、2〜200個/1mmがより好ましく、3〜150個/1mmがさらに好ましく、4〜100個/1mmがよりさらに好ましく、5〜50個/1mmとしてもよい。
以下、具体的な実験例を挙げながら本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実験例に限定されるものではない。また、特に断らない限り、本明細書において、数値範囲はその端点を含むものとして記載され、「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
評価方法
(1)紙質
・坪量:JIS P 8124に準じて測定した。
・紙厚/密度:JIS P 8118に準じて測定した。
・灰分:ISO1762−1974に準じて測定した。
(2)白紙光沢度(%)
JIS−P8142に基づいて測定した。
(3)印刷光沢度(%)
ローランド社製オフセット枚葉印刷機(4色)にてオフセット枚葉用インキ(東洋インキ製NEX−M)を用い、印刷速度8000枚/hrでベタ部のインキ着肉濃度が藍1.60、紅1.50、黄1.10となる様に藍紅(CMY)の順に印刷した。得られた印刷物の藍紅黄(CMY)ベタ印刷部の光沢度を、JIS P−8142に基づいて測定した。
(4)光沢度差(ポイント)
印刷光沢度から白紙光沢度を差し引いた値を光沢度差とし、光沢度差が20ポイント以上であれば印刷部と白紙部の光沢の差異が十分に得られており、視認しやすい印刷物となる。
・光沢度差=印刷光沢度(%)−白紙光沢度(%)
(5)印刷面感
ローランド社製オフセット枚葉印刷機(4色)にてオフセット枚葉用インキ(東洋インキ製NEX−M)を用い、印刷速度8000枚/hrでベタ部のインキ着肉濃度が墨1.80となる様に印刷したあと、墨ベタ印刷部の印刷面感を3段階で評価した。評価基準は下記のとおりであり、目視により評価した。
・3(○):印刷部にムラがみられない。
・2(△):印刷部にわずかなムラがみられるが、実用上問題無い。
・1(×):印刷部にムラが多くみられる。
(6)インキ擦れ
ローランド社製オフセット枚葉印刷機(4色)にてオフセット枚葉用インキ(東洋インキ製NEX−M)を用い、印刷速度8000枚/hrでベタ部のインキ着肉濃度が墨1.80となる様に印刷した。次いで、JIS P8111に基づき24時間調湿し、学振型摩擦堅牢度試験機により、墨ベタ印刷部が白紙部に合わさるように500gfの荷重をかけて1回擦り合わせ、白紙部に転移したインキを、インキ擦れとして5段階で目視評価した。
・5:インキの転移が全くない。
・4:インキの転移がほとんどない。
・3:わずかにインキの転移があるが、実用上問題がない。
・2:インキの転移が多い。
・1:インキの転移が非常に多い。
(7)塗工紙面上の澱粉粒子の個数
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No47に基づいて、ヨウ素溶液(定量法)を調製し、白紙サンプルを気化染色した後、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製VHX−900を用いて、1.5mm×2.1mmの範囲内にある、直径が2〜50μmの大きさの染色された澱粉粒の個数を計測した。200倍の倍率で4か所を測定し、その平均個数を算出した。
(8)澱粉粒子の平均粒子径および粒度分布
澱粉粒子の平均粒子径(d50)および粒度分布をレーザー回析によって測定した。具体的には、Malvern社製Mastersizer Sを用いて澱粉粒子を分析した。
塗工紙の原材料
(原紙)
・化学パルプ:日本製紙製LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)
・軽質炭酸カルシウム:日本製紙製内添填料
(顔料)
・重質炭酸カルシウム:ファイマテック社製FMT97(レーザー回折法によって測定した平均粒子径d50=0.64μm、レーザー回折法による粒子径が2μm以下の粒子の割合:97%)
・軽質炭酸カルシウム:日本製紙製塗工用顔料(レーザー回折法によって測定した平均粒子径d50=0.92μm、レーザー回折法による粒子径が2μm以下の粒子の割合:89%)
・カオリン:イメリス社製KCS(レーザー回折法によって測定した平均粒子径d50=4.05μm)
・澱粉粒子:日本コーンスターチ社製Y−3P(未変性トウモロコシ澱粉、レーザー回折法によって測定した平均粒子径d50:約15μm)
図1に、Malvern社製Mastersizer S(レーザー回析式粒度分布測定機)を用いて測定した澱粉粒子の粒度分布を示す。
(バインダー)
・スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス:A&L社製PB1537(平均粒子径110nm、ガラス転移温度10℃)
・スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス:A&L社製PB9501(平均粒子径80nm、ガラス転移温度−12℃)
・酸化澱粉:日本コーンスターチ社製SK200(トウモロコシ澱粉)
実験1:塗工紙の製造(2層塗工)
坪量が75g/mである原紙上に、片面あたりの乾燥塗工量が6.5g/mである顔料塗工層(アンダー層)、片面あたりの乾燥塗工量が10.5g/mである顔料塗工層(トップ層:最外塗工層)を設けた印刷用塗工紙を製造した(サンプル1−1〜1−7、坪量:約109g/m)。
(原紙)
坪量が98g/m、密度が0.73g/cmの上質紙を原紙として使用した。パルプ配合は化学パルプ100%(LBKP100重量%)であり、填料として軽質炭酸カルシウムを13重量%含有した
(アンダー塗工)
顔料として重質炭酸カルシウムを用い、顔料100重量部(固形分)に対して、接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックス(A&L社製PB1537)7重量部および蒸煮した酸化澱粉(日本コーンスターチ社製SK200)3重量部を配合し、さらに水を加えて固形分濃度66重量%のアンダー塗工液を得た。
前記原紙上に、アンダー顔料塗工液をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が6.5g/mとなるように塗工速度650m/minで両面塗工し、その後乾燥してアンダー塗工層を原紙上に設けた。
(トップ塗工)
塗工顔料として、下表に示す量で重質炭酸カルシウムスラリーおよび澱粉粒子(日本コーンスターチ社製Y−3P、未蒸煮)を用い、顔料100重量部(固形分)に対して、接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックス(A&L社製PB9501)4重量部および蒸煮した酸化澱粉(日本コーンスターチ社製SK200)6重量部配合し、さらに水を加えて固形分濃度66重量%のトップ塗工用の顔料塗工液を得た。
アンダー塗工した原紙上に、トップ塗工用顔料塗工液をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が10.5g/mとなるように両面塗工し、その後乾燥して印刷用塗工紙を得た(サンプル1−1〜1−6)。
また、アンダー層に澱粉粒子を配合した塗工紙として、サンプル1−7を製造した。具体的には、アンダー塗工に用いる塗工を、重質炭酸カルシウム90重量部および澱粉粒子(日本コーンスターチ社製Y−3P、未蒸煮)10重量部とした以外は、サンプル1−6と同様にして印刷用塗工紙を製造した。
さらに、アンダー層およびトップ層に用いる重質炭酸カルシウムを軽質炭酸カルシウムに代え、下表に示す配合で澱粉粒子(日本コーンスターチ社製Y−3P、未蒸煮)をアンダー層に用いた以外は、サンプル1−1と同様にして印刷用塗工紙を製造した(サンプル1−8〜1−9)。
実験2:塗工紙の製造(1層塗工)
坪量が75g/mである原紙上に、片面あたりの乾燥塗工量が15g/mである顔料塗工層を両面塗工し、印刷用塗工紙を製造した(サンプル2−1〜2−2、坪量:約105g/m)。
顔料として、重質炭酸カルシウムスラリー53.5重量部(固形分)、カオリン45重量部(固形分)、未蒸煮の澱粉粒子1.5重量部を用い、顔料100重量部に対して、接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックス(A&L社製PB9501)4重量部および蒸煮した酸化澱粉(日本コーンスターチ社製SK200)6重量部を配合し、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液を得た。
実験1の原紙上に、この顔料塗工液をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が15.0g/mとなるように両面塗工し、その後乾燥して印刷用塗工紙を得た(サンプル2−1)。
また、未蒸煮の澱粉粒子を配合せず、重質炭酸カルシウムを55重量部とした以外は、サンプル2−1と同様にして印刷用塗工紙を得た(サンプル2−2:比較例)。
さらに、重質炭酸カルシウムを軽質炭酸カルシウムに代えた以外は、サンプル2−1およびサンプル2−2と同様にして印刷用塗工紙を製造した(サンプル2−3〜2−4)。
表から明らかなように、顔料塗工層に未蒸煮の澱粉粒を含有させることによって、低密度な印刷用塗工紙を得ることができた。無機顔料と比較して澱粉粒子は比重が小さいため、澱粉粒子の配合により顔料塗工層が低密度化するとともに、最外塗工層に澱粉粒子を配合した場合は澱粉粒子によって紙厚が大きくなるために塗工紙全体として低密度化したものと考えられる。
また、本発明の印刷用塗工紙は、印刷後のインキ擦れが少なく、塗工適性も優れたものであった。塗工紙の表面近くに存在する澱粉粒子により塗工紙表面の凹凸が大きくなり、重ねあわせた塗工紙同士の接触面積が小さくなるとともに、澱粉粒子のクッション性によってインキ擦れが低減したものと考えられる。
図2〜4にサンプル1−5に係る塗工紙を分析した結果を示す。サンプル1−5に係る塗工紙の表面を分析した際の表面写真を図2に示すが、直径が2〜50μmである澱粉粒は、1.5mm×2.1mmあたり11個(1mmあたりに換算すると約3.5個)だった。また、図4に示す断面写真から明らかなように、顔料塗工層に澱粉粒子を存在させることによって、本発明に係る塗工紙は、澱粉粒子が過度に露出することがなく、印刷時などに澱粉粒子が脱落しにくい顔料塗工層となっていた。

Claims (6)

  1. 澱粉粒と白色顔料を含む顔料塗工層と原紙を有する印刷用塗工紙。
  2. 前記澱粉粒の平均粒子径が8〜25μmである、請求項1に記載の塗工紙。
  3. 前記顔料塗工層を構成する澱粉粒と白色顔料の合計に対する澱粉粒の重量割合が、0.5〜10%である、請求項1または2に記載の塗工紙。
  4. 前記塗工紙が複数の顔料塗工層を有しており、前記澱粉粒が少なくとも最外塗工層に存在する、請求項1〜3のいずれかに記載の塗工紙。
  5. 前記最外塗工層を構成する澱粉粒と白色顔料の合計に対する澱粉粒の重量割合が、0.5〜10%である、請求項4に記載の塗工紙。
  6. JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No47に基づいて、ヨウ素溶液(定量法)を用いて塗工紙の白紙サンプルを気化染色した場合、直径が2〜50μmの大きさの染色された澱粉粒子の数が、1〜300個/1mmである、請求項1〜5のいずれかに記載の塗工紙。
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