JPWO2018142465A1 - アキシャルギャップ型回転電機 - Google Patents
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Abstract
アキシャルギャップ型回転電機は、コアとコイルとボビンにより形成される複数のコアユニットが、回転軸を中心としてハウジング内周面に沿って環状に配置された固定子と、回転軸径方向に所定のギャップを介してコアの端面と面対向する回転子とを有するアキシャルギャップ型回転電機であって、ハウジングは、回転子への配線を外部に引き出すための引出口を有し、ハウジングの引出口の下辺に内周側が下になるような傾斜面を設けるようにした。又はハウジングは、引出口の下に凹部を有し、傾斜面と凹部が一体となるようにした。これにより、ステータをモールド成形する場合に、樹脂モールドを流れやすくして、コアユニットのボビンの破損を回避することができる。
Description
本発明は、アキシャルギャップ型回転電機に係り、特に、ステータ(固定子)をモールド成形するアキシャルギャップ型回転電機に関する。
アキシャルギャップ型回転電機は,円筒状の固定子と円盤状の回転子を、回転軸方向に所定のエアギャップを介して面対向して配置したものである。固定子は、ハウジング部内周方向に反って配置した複数の鉄心と、これに巻き回されたコイルとを含む。アキシャルギャップ型回転電機は、トルクを発生するギャップ面が、おおよそ径の2乗に比例して増加するため、径方向にギャップを有する機構のラジアルギャップ型と比較して、高能率で薄型形状に好適な回転電機と考えられている。
特に、2枚の回転子で一つの固定子を挟み込んだダブルロータ型のアキシャルギャップ型回転電機は,2倍のギャップ面積を確保することができるため、より優れた特性を得られる可能性がある構造として注目されている。このダブルロータ型のアキシャルギャップ型回転電機では、鉄心及びコイルが独立して配置されるため、モールド樹脂でこれらをハウジングに支持固定することが多い。
例えば、特許文献1には、ハウジングが、固定子と対向する面に、外部と連通する穴部を有するようにして、固定子が、複数のコアユニットがハウジング内周面との対向側面と穴部に樹脂が充填されて一体的にモールドしたアキシャルエアギャップ型回転電機が開示されている(図4、段落番号0024)。
上記特許文献1は、ハウジングに樹脂モールドを固定する穴部を設けることにより、回転軸方向及び回転軸径方向に働く力に伴い、当該穴部に充填された樹脂の先端部に作用する引張力を逃がすことができ、ハウジングの損傷を防止することができるとしている。
一般に、樹脂モールドによって成形する場合には熱硬化性樹脂が使用されることが多い。このような樹脂を用いた場合、樹脂封入工程の後半では、先に注入した樹脂の硬化が始まり隅々まで樹脂を充填するには高圧で樹脂封入をする必要がある。
モールドによってステータを成形する際に、樹脂モールドを流れやすくして簡便に製造できるアキシャルギャップ型回転電機が望まれる。
本発明のアキシャルギャップ型回転電機は、好ましくは、コアとコイルとボビンにより形成される複数のコアユニットが、回転軸を中心としてハウジング内周面に沿って環状に配置された固定子と、回転軸径方向に所定のギャップを介してコアの端面と面対向する回転子とを有するアキシャルギャップ型回転電機であって、ハウジングは、前記回転子への配線を外部に引き出すための引出口を有し、ハウジングの引出口の下辺に内周側が下になるような傾斜面を形成するようにしたものである。
また、好ましくは、ハウジングは、引出口の下に凹部を有し、傾斜面と凹部が一体となるようにしたものである。
本発明によれば、ステータをモールド成形する場合に、樹脂モールドを流れやすくして、コアユニットのボビンの破損を回避することのできるアキシャルギャップ型回転電機を提供することができる。
以下、本発明を適用した各実施形態を、図1Aないし図12Bを用いて説明する。
以下、本発明に係る実施形態1を、図1Aないし図9Bを用いて説明する。
先ず、図1A及び図1Bを用いて実施形態1に係るアキシャルギャップ型回転電機の全体構成について説明する。
図1Aの断面図は、実施形態1に係るダブルロータ型アキシャルギャップ型永久磁石同期モータ1(以下、単に「モータ1」という場合がある。)の概要構成を表わしている。
モータ1は、図1Aに示されるように、ハウジング50の内周面に沿って配置されたドーナツ形状の固定子19を、円盤状の2つの回転子30が、回転軸径方向に所定のエアギャップを介してはさむようにして、それぞれ面対向して配置されている。ここで、ハウジング50は、例えばアルミダイキャスト鋳造により成形される。
回転子30は、円盤中央が回転軸40と固定されている。そして、回転軸40は、固定子19の中央部分を貫通して配置され、両端部が軸受70を介してエンドブラケット60と回転可能に固定されている。また、エンドブラケット60は、概略円筒形からなるハウジング50の両開口端部付近で固定される。
さらに、回転子30は、円形のヨーク33に、ローターベース32を介して永久磁石31を備えている。ヨーク33はなくとも構わないし、ローターベース32がヨークの役割を果たす材質でできていてもよい。永久磁石は、回転軸40方向を中心とする概略扇形の形状からなる複数の平板状の磁石からなり、回転方向に異なる極性の磁石が配置される。なお、永久磁石31はフェライトを適用するものとするが、これに限るものではない。
モータ1の電機子構成は、図1Bの斜視図に示されるようになる。固定子19は、回転軸心Aを中心方向としてハウジング50の内周に沿って配置された12個のコアユニット20からなる。一つのコアユニット20が、1スロットを構成するようになっている。また、コアユニット20同士及びハウジング50の内周面は、樹脂モールドによって互いに一体的に成形され、固定子に固定されるようになっている(後述)。
次に、図2を用いてコアユニットの構成について説明する。
コアユニット20は、図2に示されるように、ボビン22、コア21及びコイル23を備えてなる。コア21は、徐々に幅が大きくなるように成形された金属板が径方向に順次積層されてなる概略台形あるいは三角柱状の形状を有する鉄を主成分とするアモルファス金属である。なお、コア21の断面形状には、概略台形や三角形以外にも、延長方向に交点を有する二つの斜辺を有する断面であればよい。積層される金属板としては、鉄等であってもよいが、本実施形態ではアモルファスを含有する金属をテープ状に薄板化し、順次回転方向幅を大にして積層することでコア21を得るようになっている。
次に、図3を用いてコアユニット20同士及びハウジング50内周と一体に成形する樹脂モールド工程の様子を説明する。
コアユニット20同士及びハウジング50内周と一体に成形する樹脂モールドする際には、図3に示されるように、ハウジング50が、その内径が略一致する下金型62に挿入され、ハウジング50の反対側開口から、後に回転軸が貫通するための軸芯空間を形成するための筒状の中金型61が、下金型62の中央に配置される。コアユニット20が、中金型61を中心として環状に配列される。このとき、ボビンのつば部22bが、径方向の位置決めや隣接するコアユニット20との回転軸回転方向の位置決めを行うようになっている。
その後、ハウジング50の内径と概略一致する外径を有すると共に中金型61を貫通するために中央に円筒空間を有する上金型が、下金型62と反対側のハウジング開口から挿入され、コアユニット20を挟みこんで支持する。その後、上金型及び下金型62の対向面からモールド樹脂80が封入されるようになっている。モールド樹脂は、コアユニット20間、ハウジング50内周面、中金型61方向及びボビンのつば部22bの回転子30との対向面上に略隙間なく充填される。このモールド樹脂80は、成形収縮率が低く、寸法安定性が高い熱硬化性の不飽和ポリエステル樹脂(例えば、BMC(Bulk Molding Compound))が使われるのが通例である。
次に、図4ないし図9Bを用いて本実施形態のハウジングの構造について説明する。
アキシャルギャップ型回転電機の固定子部分を断面から見ると、図4に示されるようになり、この図4のB―B断面図を示すと、図5のようになる。ハウジング50の内周に90度間隔でモールド樹脂80と固定子19を定着されるための凹部51が設けられている。
ハウジング50の内周側の一箇所に、例えば凹部51の上方に、凹部形状の引出口52が設けられており、引出口52から配線穴53を設けて配線を外部から固定子のコイル23に接続できるようになっている。
図3により示した樹脂モールド工程により、固定子をモールド樹脂80に固定するときには、図4、図6のM−M線まで、すなわち、コアユニット20の上部を十分満たす程度にまで、モールド樹脂80が充填される。このときに、特に、充填の最終段階で、先に注入した樹脂が硬化し始めることにより樹脂の粘度が高まり、周囲の構造物にかかる圧力が増加することで、コアユニット20のボビン22のつば部22Bが高温、高圧の影響で破損しやすくなる虞がある。
そこで、本実施形態では、引出口52において下辺を拡張するようにして、図7A、図8に示されるように、引出口52の下辺に傾斜面54を形成する。これにより、図9Aに示されるように、充填の最終段階で、モールド樹脂80がこの部分に流れ込み、封入圧が低下して、コアユニット20のボビン22の破損を防止することができる。
なお、引出口52の下辺に設ける傾斜面は、図7B、図9Bに示されるように、平面に限らず、上に凸のR(ラウンド)面55であってもよい。また、引出口52に形成される斜面の形状は、平面状の斜面やR面に限らず、階段状形状や、平面状斜面でもよく、傾斜角がだんだんと異なる傾斜形状であってもよい。
以下本発明を適用した実施形態2を、図10Aないし図12Bを用いて説明する。
実施形態1では、モールド樹脂80の充填の最終段階で、引出口52の下辺に、モールド樹脂80を逃がすための傾斜面を形成した。
実施形態2では、同様に、引出口52の下辺にモールド樹脂80を逃がすための傾斜面を形成したのであるが、引出口52と凹部51の形状が異なっている。
本実施形態では、図10A、図11、図12Aに示されるように、引出口52の傾斜面54aと凹部51aが一体につながった形状になっている。この形状は、モールド樹脂80の流れ込みによるコアユニット20のボビン22の破損を防止するという効果に加えて、成形が容易であるという利点がある。
また、図10B、図12Bに示されるように、引出口52の下辺に設ける傾斜面は、平面に限らず、上に凸のR面55であってもよい。階段状形状や、平面状斜面でもよく、傾斜角がだんだんと異なる傾斜形状であってもよい。
1…モータ、19…固定子、20…コアユニット、21…コア、22…ボビン、23…コイル、30…回転子、31…永久磁石、32…ローターベース、33…ヨーク、40…回転軸、50…ハウジング、51、51a…凹部、52…引出口、53…配線穴、54、54a…傾斜面、55…R面、60…エンドブラケット、70…軸受、80…モールド樹脂
Claims (3)
- コアとコイルとボビンにより形成される複数のコアユニットが、回転軸を中心としてハウジング内周面に沿って環状に配置された固定子と、回転軸径方向に所定のギャップを介して前記コアの端面と面対向する回転子とを有するアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記ハウジングは、前記回転子への配線を外部に引き出すための引出口を有し、
前記ハウジングの引出口の下辺に内周側が下になるような傾斜形状の面を形成したことを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機。 - 前記ハウジングは、前記引出口の下に凹部を有し、前記傾斜面と前記凹部が一体となったことを特徴とする請求項1記載のアキシャルギャップ型回転電機。
- 前記傾斜形状の面は、R面であることを特徴とする請求項1記載のアキシャルギャップ型回転電機。
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