JPWO2003027673A1 - 遺伝子検査装置およびそれを用いた標的核酸検出方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、(1)3次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部をその開口部が同一平面状に配置されるように2次元的に多数配置してなり、そこにおいて予め光マーカー物質を標識された標的核酸と前記核酸プローブとの間でハイブリダイゼーション反応を行うためのDNAマイクロアレイ;および(2)上記(1)に記載のDNAマイクロアレイを支持するステージと、該DNAマイクロアレイの温度を調節するための温度調節部と、該DNAマイクロアレイからの光学的信号を撮像するための撮像手段とを備えた顕微鏡;を具備する遺伝子検査装置に関する。
Description
技術分野
本発明は、遺伝子の発現レベルおよび突然変異の有無を検出するための装置、並びにそれを用いた標的核酸の検出方法に関する。
背景技術
近年の遺伝子解析技術の進歩に伴い、ヒトを含む多くの生物における遺伝子配列が明らかにされてきた。また、解析された遺伝子産物と疾病の因果関係も少しずつ解明されている。
現在用いられている遺伝子検査方法は、生体試料から核酸を抽出する工程、PCR法およびNASBA法などの核酸増幅方法を用いて検査対象となる標的遺伝子を増幅する工程、核酸を放射性同位元素(以下、RIと記す)または蛍光分子等の標識物質によって標識する工程、標識された標的遺伝子の塩基配列またはその濃度を測定する工程から構成されている。
最近では、蛍光標識された核酸と、複数のキャピラリーを用いることにより、高速に多数のサンプルを処理できるようなキャピラリ電気泳動装置も数多く用いられている。これにより、従来の電気泳動装置などを用いた方法に比べて、多数のサンプルについての解析がそれまでの三分の1から四分の1程度の時間で行えるようになっている。
また近年、DNAチップを用いて、同時に複数の遺伝子について検査するための検査方法も開発された。DNAチップは、ガラス基板の表面に多数のcDNAプローブを固定化することにより製造されたり、半導体製造過程を利用してシリコン上の微小な領域に多数のオリゴプローブを合成して製造される。何れの製造方法により作られたDNAチップも、サンプル中に含まれる複数種類の標的配列の存在を同時に同時に決定することが出来る。DNAチップを使用することによって、多くの種類の遺伝子の発現量や複数の突然変異の解析を短時間に行うことが可能となった。更に、DNAチップを用いて得られたデータから、多くの遺伝子を複数のグループに分類したり(即ち、クラスタリング)、発生や分化に伴う遺伝子の変動に関する情報も得られている。このようにして得られた遺伝子情報は、インターネットを介し、容易にアクセス可能なデータベースとして利用されている。
一般的に、遺伝子の発現量の検査および突然変異の解析には、電気泳動法やマイクロアレイ法が用いられている。電気泳動法では、検査に長い時間が必要とされ、一度に行える検査の種類も限られる。一方、DNAチップを用いた遺伝子解析方法では、一度に多数の検査を行える反面、検査時間が長く必要とされ、また、全体としての検査工程が多く、煩雑な操作が必要である。そのために再現性のよい分析結果が得られないことが欠点である。こうした欠点を克服するために、再現性がよく、且つ短時間でDNAチップと同様の検査を行うことを目的とした方法、例えば、DNAチップの担体として多孔質のフィルタを用いた方法(特表平9−504864、特表平2000−515251)、ハイブリダイゼーション反応を電気的な力によって強制的に行う方法などが開発されている(特表平2001−501301)。このような方法では、RIを使用したり、或いはメンブランフィルタを必要とするなどが欠点である。また、電気的な力によって強制的にハイブリダイゼーションを行う方法では、チップの中の電圧を厳密に制御する機構などを設ける必要がある。そのため、これらの方法では、短時間に且つ簡便に遺伝子の検査を行いたいという臨床検査における要求に応えることはできない。
また、癌、糖尿病または高血圧などのように、複数の遺伝子異常と環境要因が重ね合わさって発症するような多因子性の疾患では、複数の遺伝子の異常を多面的に解析すること、更に外部の環境要因を分析することによって、より正確な診断が行えると考えられる。また、実際の化学的な治療に当たっては、薬の副作用を避け、且つ治療効果を向上するために、投与する薬剤に対する感受性(これは、体質とも解釈される)を予め正確に判定しておく必要もある。更に、P53遺伝子等を用いた高度な遺伝子治療を行うに当たっては、予め、患者の体内の癌遺伝子および/または癌抑制遺伝子等の発現量、突然変異の有無、或いは細胞の情報伝達の状態などの遺伝子情報を正確に解析しておく必要がある。
以上のような状況において、現在、簡便且つ短時間に複数の遺伝子を検査することの出来る遺伝子検査システムの開発が望まれている。
本明細書において開示される全ての引用文献および特許公報は、引用することによりここに組み込まれる。
発明の開示
本発明の目的は、簡便に、且つ短時間で複数の遺伝子を検査することの出来る遺伝子検査装置およびそれを用いた標的核酸検出方法を提供することである。
本発明の1つの側面である第1の態様に従うと、
コンピュータを利用した遺伝子検査装置であって、
(1)3次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部をその開口部が同一平面状に配置されるように2次元的に多数配置してなり、そこにおいて予め光マーカー物質を標識された標的核酸と前記核酸プローブとの間でハイブリダイゼーション反応を行うためのDNAマイクロアレイ;および
(2)上記(1)に記載のDNAマイクロアレイを支持するステージと、該DNAマイクロアレイの温度を調節するための温度調節部と、該DNAマイクロアレイからの光学的信号を撮像するための撮像手段とを備えた顕微鏡;
を具備する装置が提供される。
また、本発明の更なる側面に従うと、
第1の態様に記載の装置を使用した遺伝子検査方法であって、
(1)被験対象から採取した組織または細胞から抽出された核酸を増幅し、光マーカー物質を標識物質として付加すること;
(2)上記(1)で得られた標識された核酸を、所望の核酸プローブを具備するDNAマイクロアレイに添加すること;
(3)上記(2)のDNAマイクロアレイについて所望の条件下でハイブリダイゼーション反応を行うこと;
(4)上記(3)で得られたDNAマイクロアレイについて光マーカー物質からの光信号の強度を測定すること;
(5)上記(4)で得られた光信号の強度を基に、発現遺伝子量の判定および/または突然変異遺伝子の有無の判定を行うことにより遺伝子検査の結果を得ること;
を具備する方法
が提供される。
発明を実施するための最良の形態
1.装置の概要
本発明の1側面に従うと、1つの検体における、遺伝子の発現レベルと突然変異の存在を容易に且つ短時間に検出できる装置が提供される。
本発明の態様に従う装置において実施される検出方法の基本的な原理は以下の通りである。即ち、この方法では、基板に固定化された配列既知の核酸プローブを用いて、検体中に含まれる特定の配列を有する核酸鎖が検出される。本発明の態様に従う装置は概念的には、基板に試薬としての一本鎖核酸(即ち、核酸プローブである)が固定化されたものである。使用時には、この固定化された核酸プローブに対して、光マーカー物質で標識した試料中の核酸を接触させる。もし、試料に含まれる核酸が、当該核酸プローブと相補的な配列を有していれば、その核酸は核酸プローブとハイブリダイズする。それにより、二本鎖が形成され、当該核酸は基板上に捕獲される。その後、洗浄により未反応の核酸鎖を除去し、核酸プローブに付された標識を検出すれば、その核酸プローブに対して相補的な配列を有する核酸の存在を検出することができる。ここで「光マーカー物質」とは、蛍光物質、化学発光物質および生物発光物質など、観察可能な信号として光を生じ得る物質を示す。
図1に示す構成図を用いて、本発明の装置の1態様を以下に説明する。本発明の1態様に従う装置は、コンピュータを利用した遺伝子検査装置である。
遺伝子検査装置1は、そこにおいてサンプルを反応させるためのDNAマイクロアレイ22における事象を顕微鏡的に観察するための顕微鏡3と、DNAマイクロアレイ22を具備するスライドチップ2を収容する反応ブロック100を支持するために前記顕微鏡3に具備されるステージ4と、前記顕微鏡3により観察されたDNAマイクロアレイ22における光マーカー物質からの信号を画像として撮像するための撮像手段5と、前記顕微鏡3により観察される視野の位置を変更するために前記ステージ4に接続されたモータドライバ6を制御するXYステージコントローラ7と、前記顕微鏡3により観察される視野の拡大および/または縮小を行うためのズーム手段17を駆動制御するズーム手段駆動装置18と、前記DNAマイクロアレイ22に接続されたジョイント部を介して流体を輸送するポンプドライバ8と、前記DNAマイクロアレイ22に接触して配置されるヒーター部101を介して該DNAマイクロアレイ22の温度を調節する温度コントローラ9と、更に、これら、遺伝子検査装置1に含まれる全てのデバイスに直接的または間接的に接続され且つそれらを総括して制御するコンピュータ10とを具備する。
ここで前記ジョイント部120は、DNAマイクロアレイ22に含まれる液体を外部に漏出しないような様式で、反応ブロック100内のDNAマイクロアレイ22に接続される。更に該ジョイント部120の終端はチューブを介して、ポンプドライバ8に接続され、更にポンプドライバ8は、その内部に所望の試薬等を含む試薬保持部に接続される。前記ポンプドライバ8は解析プログラムに従ってコンピュータ10の指示により前記DNAマイクロアレイ22に対する流体の出し入れを実行する。
前記ヒーター部101は、スライドチップ2とステージ4の間に配置される。また、前記ヒーター部は、温度コントローラー9に接続され、コンピュータ10の指示に従って温度コントローラー9によって温度が調節される。好ましくは、反応ブロック100のDNAマイクロアレイ22に対応する数のヒータを備え、コントローラ9により個別に制御可能となっている。
前記コンピュータ10は、一般的なコンピュータに具備される構成要素を含む。図1には示していないが、例えば、前記コンピュータ10に具備される構成要素は、コンピュータ10の各部を総括して制御する主制御部であるCPU(Central Processing Unit)11と、前記CPU11における制御の基礎となる種々のプログラム等や表示されるべき画像データ等のファイルを記憶するメモリ12と、前記CPU11により実行された結果等を一時的に格納するためのRAM(random access memory)13と、プログラム等に基づく前記CPU11の指示に従ってそこにおいて画像データを生成する画像処理部14と、前記コンピュータ10にオペレーター、例えば、人間が情報を入力するためのキーボードおよびマウス等の入力部15と、前記コンピュータ10の指示により情報を表示するディスプレイやプリンタ等の表示部16を少なくとも具備すればよい。
また、撮像手段5により撮像された情報は、画像処理部14に送られ、メモリ12に記憶される解析プログラムに従いCPU11の指示に従って画像処理部14で処理されて光マーカー物質から生じる光信号の強度、例えば、蛍光強度として数値化される。
本発明で使用できるコンピュータは、一般的に使用される何れの電子コンピュータであってよい。
例えば、光マーカー物質が蛍光物質である場合、本発明で使用できる顕微鏡は、一般的に使用される蛍光顕微鏡であればよく、例えば、オリンパス社蛍光顕微鏡AX−70またはBX−42TFR等であってよいが、これに限られるものではない。
本発明で使用できる撮像手段は、光マーカー物質の種類に応じた一般的な光学的信号を撮像するために使用され得るそれ自身公知の手段で有ればよい。例えば、光マーカー物質が蛍光物質である場合には、そのような撮像手段は、好ましくは、蛍光画像を撮像するための手段である。そのような撮像手段の例は、例えば、CCD(charge coupled device)カメラおよび走査型共焦点カメラなどであるがこれらに限定するものではない。
CCDカメラは一般的に使用されるCCDカメラであればよく、例えば、一般的なデジタルカメラ、例えば、コダック社のMegaPlus CCDカメラ、フォトメトリック社のCool Pixカメラ等であるが、これに限られるものではない。また、走査型共焦点カメラも、一般的に使用されるものであればよい。
また、ここで該DNAマイクロアレイ22の温度を調節するための温度調節部は、該DNAマイクロアレイ22を具備するスライドチップ2に直接的または間接的に接触して熱を伝えるための加熱体(例えば、電熱ヒーター、電磁ヒーター、ウォーターバス、エアーバスおよびペルチエ素子等)、そこにおける温度を感知するセンサー、およびコンピュータの制御と前記センサーからの情報に従って加熱体における加熱を制御する温度コントローラーを含み得る。
前記コンピュータに対して、総合デジタル通信網(以下、ISDNと称する)への接続またはモデムを経由した電話回線への接続がなされてもよい。
上述の態様に具備されるステージ4は、上述の通り、XYステージコントローラ7により、XY移動が可能である。しかしながら、視野の変更は、このようなステージ側の移動に限定されない。例えば、撮像手段5自身によって、或いは撮像手段5とマイクロアレイ22を繋ぐ光路を変更させるような手段等、種々のスキャニング機構を用いて視野を変更してもよい。
2.スライドチップと反応ブロック
(1).DNAマイクロアレイを具備するスライドチップ
本発明において使用されるDNAマイクロアレイ22の1態様を図2(A)から(B)に示す。図2(A)は、スライドチップ2の平面図である。スライドチップ2は、そこにおいて反応を行うDNAマイクロアレイ22を4つ具備する。図2(B)は、スライドチップ2の断面図である。
図2(B)に示すように、スライドチップ2は、多孔質の材質からなるフィルタ19と、フィルタ19を支持するための支持板20とを具備する。前記フィルタ19に含まれるチャネルは分岐を有することが好ましい。しかしながら、必ずしも分岐のあるチャネルでなくてもよい。支持板20は、2つの部材、指示板20aと20bとからなる。この2つの部材がフィルタ19を挟み込んで接合されることにより、スライドチップ2が構成される。図2(B)に示すように、本発明の1態様に従うと、フィルタ19の上下に位置する支持板20aと20bは、DNAマイクロアレイ22を規定するための開口部21が形成されている。
また、図2(B)に示されるように、2つの支持板20aおよび20bの間に位置するフィルタ19は、4つのDNAマイクロアレイ22の全てを含む1枚のフィルタからなる。このフィルタ19は、4つのDNAマイクロアレイ22の全てを含む面積に亘って二次元的に広がりを持ち、平坦である。また、支持板20は、好ましくは遮光性のある部材により構成され、より好ましくは暗黒色の部材により構成される。好ましくは、2つの支持板20aおよび20bは、フィルタ19を間に挟んだ状態で接合される。
フィルタ19の材質は、そこにおいて実施され得る温度制御の範囲内で破損されなければ、何れの任意の材質であってもよい。
DNAマイクロアレイ22は、支持板20に形成された開口部21から露出するフィルタ19の部分をいう。フィルタ19に含まれるチャネルは分岐を有しても、分岐を有してなくてもよいが、好ましくは分岐を有する。フィルタ19に具備される全てのチャネル24はほぼ等間隔に配置されるのが好ましいが、少なくとも、支持板20から露出したマイクロアレイ22において全てのチャネル24はほぼ等間隔に配置されればよい。
フィルタ19の厚みを一定にし、更に、そこに具備される全てのチャネル24の形状がなるべく等しくなるようにフィルタ19が製造されれば、何れのチャネル24もほぼ均等な容積を具備するものとなる。またここで、フィルタ19の厚みを充分に薄くし、且つチャネル24の口径を充分に小さいサイズにしてもよい。それにより、所要量のサンプルおよび/または試薬を多数のチャネルに対して分配することができる。該フィルタの1表面の特定面積当たりに、所望量の液体を収容するのに必要な個数のチャネルを作成し、その所定の面積に対してサンプルおよび/または試薬を供給すれば、フィルタ19の多孔質膜内で安定した分析を実行することができる。例えば、フィルタ19の片方ないし両方の面を、制御された所望温度の気体と接触させることによって、チャネル内の液体を直接的に昇温および降温操作できる。これに対して、1本の細長い管状キャピラリーからなる反応容器を用いて、所定量のサンプルおよび/または試薬をそのキャピラリーに収容して分析を行おうとする場合、温度制御を充分に行うためには、なるべく伝熱性の高い材質を選択して当該キャピラリーを構成する必要がある。また良好な光測定のためには、なるべく該キャピラリーの壁面が平坦であるような形状である必要がある。
更に、図2(A)のスライドチップ2の直ぐ上部に示す図2(C)は、マイクロアレイ22(DNAマイクロアレイとも称す)の拡大図である。マイクロアレイ22には、複数のチャネル24が存在する。また、マイクロアレイ22の一部のチャネルの内壁に核酸プローブが固定される。核酸プローブが固定された領域がプローブスポット23(単にスポットとも記す)である。図2(C)に示されるように、各DNAマイクロアレイ22には、複数のプローブスポット23が具備される。
プローブスポット23およびその周辺を拡大した図が、図2(D)である。図2(D)では、便宜上、プローブスポット23に含まれるチャネル24を黒丸で示し、プローブが固定されていないチャネル24は白丸で示す。プローブスポット23は複数のプローブを具備するチャネル24からなる領域である。通常、1つのプローブスポット23は、支持板20から露出されたフィルタ19に存在するチャネル24のうち、そこにおいて1種類のプローブが固定されるための最小単位と見なしてもよい。即ち、プローブの固定は、プローブスポット23に含まれるチャネル24の内壁面に対してのみ行えばよい。
該図2(C)および(D)では略円形の領域が示されているが、プローブスポット23の輪郭は、略円形、略矩形または多角形であってもよい。
所望に応じて、複数のプローブスポット23に対して同じプローブを固定してもよい。また、チャネルの内壁に表面処理を施し、流体への摩擦抵抗やプローブ等の試薬の吸着性を調節してもよい。
本スライドチップの大きさは0.5〜20.0cm×0.5〜20.0cm×0.01〜1.0cm、好ましくは1.0〜10.0cm×1.0〜10.0cm×0.05〜0.5cmある。特に好ましくは、3.0〜8.0cm×3.0〜8.0cm×0.05〜0.2cmであればよい。実際の作成したスライドチップの1例は約7.5cm×約2.5cm×約0.1cmである。
本マイクロアレイは、3.0mm2〜16mm2、好ましくは12.0〜400mm2、特に好ましくは20.0〜100.0mm2であればよい。実際に作成したスライドチップ上の円形なマイクロアレイは直径約6mm(約28.3mm2)である。
本DNAマイクロアレイに含まれるプローブスポットは直径100〜300μmであり、好ましくは120μmであり、1DNAマイクロアレイ当たり10〜1000、好ましくは400のプローブスポットが具備されればよい。多孔質のフィルタの目の粗さは0.05〜0.6μm、好ましくは0.2μmであればよい。核酸プローブは、プローブスポット毎に異なる種類となるように固定されてもよい。
ここで使用される「DNAマイクロアレイ」の語は、そこにおいて1種類の反応が実施されるための1反応単位である。そこには核酸プローブを固定された複数のチャネル24からなるプローブスポット23が複数具備される。従来使用されるDNAチップは、スライドグラスの表面にプローブが固定化され、それによって二次元的に広がる反応領域が形成されている。このような従来のDNAチップとは異なり、本発明のDNAマイクロアレイは、基板に対して、その表面における二次元的な広がりに加えて、該表面に対して垂直方向(即ち、その厚み方向)の広がりも有し、それにより三次元的に展開される反応領域を有している。
本発明において使用するのに好ましいDNAマイクロアレイの例は、特表2000−515251号に記載のデバイス、特表平9−504864に記載の微細加工フロースルー多孔性装置であってよい。
また、図2にはDNAマイクロアレイ22を4つ具備するスライドチップ2を示したが、4以上としてもそれ以下としてもよい。本明細書では、1つの好ましい態様として4つのDNAマイクロアレイ22を具備するスライドチップ2について説明したが、これに限られるものではない。また、その変更に伴い、装置の他の構成および実行の際の手順が変更されることは当業者には明白であり、そのような変更も本発明の範囲に含まれるものである。
例えば、4つのDNAマイクロアレイ22を具備するスライドチップ2を使用した場合、夫々のDNAマイクロアレイ毎に異なる検体について検査してもよく、または1枚のチップ中で1つの検体について異なる4つの種類の解析、例えば、癌遺伝子の突然変異、発現解析、薬剤耐性遺伝子、および細胞内シグナル遺伝子の発現パターンの決定等を実施してもよい。
また、1つのマイクロアレイ22当たりに含まれるチャネル24の本数、配置密度、配置パターン、口径等の大きさは、適宜変更でき、1チャネルの形状および/口径を、異なる箇所間で異ならせてもよい。
上述した態様では、フィルタ19の外観は、2次元的な広がりを有した平面を有し、且つ該平面に垂直な方向に一定の厚みを有した扁平な部材である。しかしながら、本発明に従って使用されるフィルタはこのような形状に限られるものではない。また、該チャネルが、該扁平な部材に対して垂直に配置されていなくてもよい。
ここで使用される「核酸プローブ」の語は、一般的に、約10ヌクレオチド以上約100ヌクレオチド以下の核酸からなるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドであり、一般的にハイブリダイゼーションにより核酸を検出する場合に使用される核酸プローブであればよい。
例えば、P53、c−myc等の癌遺伝子や、癌抑制遺伝子に対応するオリゴヌクレオチドであっても、疾患関連または感受性遺伝子に対応するオリゴヌクレオチドであっても、多型部位を含む配列に対応するオリゴヌクレオチドであっても、何れの所望する核酸もプローブとして使用することが可能である。
また更に、解析の対象となる遺伝子の他に、試料の定常状態を測定するためのβグロブリンやアクチンなどのハウスキーピング遺伝子に対するプローブを使用してもよい。このようなハウスキーピング遺伝子の量を細胞内の基準的な遺伝子量として、実際の癌遺伝子や、癌抑制遺伝子または薬剤耐性遺伝子の発現量を測定してもよい。このようにすれば、より正確な細胞内の遺伝子発現量を測定することが可能である。
ここで使用される「標的核酸」の語は、試料に含まれる検出されるべき核酸を示す。
本発明の態様に従うと、上述したDNAマイクロアレイ22を配置したスライドチップ2を用いて分析を行う場合、このようなスライドチップ2には、複数のDNAマイクロアレイ22が含まれる。DNAマイクロアレイ22に複数具備されるプローブスポット23は、そこにおいて微量な液体を収容できる3次元的な空間を有するチャネル24を複数具備する。チャネル24は3次元的な空間を有するが、そのチャネル24に流体を出し入れするための全ての開口部は、同一平面上に2次元的に配置されている。従って、スライドチップ2を上方より見たときに得られる平面においては、プローブスポット23は非常に狭い面積でしかないように見える。しかし、その実体は、狭い面積開口部より下方に伸びる3次元的な空間が具備されるものである。
例えば、プローブスポット毎に条件を変えれば(例えば、固定するプローブの種類を変更したり、表面処理を変更する等)、微小な1つのDNAマイクロアレイ中で非常に多くの情報を充分な感度で得ることができる。また、DNAマイクロアレイ毎に温度制御や、測定データの解析を行えるので、小型の装置において多項目の反応結果を迅速に得ることができる。また、プローブスポット毎に温度制御したり、測定データを解析してもよく、その場合、更に、多項目の反応結果を迅速に得ることが可能である。
上述した本発明の態様では、多孔質膜のチャネルの内壁にプローブが固定された例を示したが、該プローブは必ずしも固定される必要はなく、多孔質膜のチャネルの内壁に試薬を固定しないで、自由に液相中を浮遊または懸濁させた状態で行う反応系に対しても、本発明は適用することが可能である。その場合、該プローブを固定化しないこと以外は、上述の態様と同様である。この場合、「プローブスポット」は「反応スポット」と称することも可能であるが、ここでは「反応スポット」はプローブスポットの1態様として包含され説明される。また、このような装置も本発明の範囲に含まれる。
本発明の態様に従うDNAマイクロアレイ22は、上述したような3次元構造を有している。そのために、同じ顕微鏡視野内でも従来の平板状のDNAチップに対して約300倍〜約800倍、実用範囲では約500倍の表面積を有している。更に、本発明の態様に従うDNAマイクロアレイ22では、上述したような微小フィルタ構造の内壁でサンプル等の液体の流動がなされる。そのために、従来の平板状DNAチップに対して反応の立ち上がりが顕著に早く、反応開始から約5分後で約100倍、約15分後で約10〜50倍の検出感度が得られる。これらの有利な条件により、3次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部をその開口部が同一平面上に配置されるように二次元的に多数配置してなる。従って、そこにおいて予め光マーカー物質を標識された標的核酸と前記核酸プローブとの間でハイブリダイゼーション反応を行うためのDNAマイクロアレイを用いれば、従来必要とされた視野よりも小さな視野内に多数の別々の反応領域(プローブスポット)を配置することが可能になる。ここで、図1に示したようなズーム手段17を具備する撮像手段は、好ましくは、小さな倍率では多数の反応領域を一望することができと同時に、高い倍率では当該撮像手段は、所望の限られた個数の反応領域を拡大観察することができる。ズーム手段17は、好ましくはガルバノミラーなどによる光路変更機構を具備している。これにより、縮小倍率では視野範囲に多数の反応領域が含まれるようなアレイ上の領域であっても、そのうちの任意の反応領域に対してのみ、所望の拡大倍率で且つ所望数の反応領域が収まるように、撮像用の視野を位置付けることが可能になる。また、ズーム手段駆動装置18は、かかる撮像視野の拡大および/または縮小を実行して、指定された所望の反応領域を自動測定したり、オペレータの指示によって瞬時に目的の反応領域をディスプレイに表示する。
(2)反応ブロック
反応ブロック100は、少なくとも1つの反応液収容部、好ましくは複数の反応液収容部、例えば、図8に示されるように4つの反応液収容部を有している。反応液収容部の各々は、図9に示されるように、反応ブロック100の上面に開口した上側ウェル152と、上側ウェル152の下方に位置する下側ウェル112と、下側ウェル112と外部空間を連絡する流路114とを有している。
続く説明では、反応ブロック100は、これに限定されるものではないが、4つの反応液収容部を有しているものとして進める。
反応ブロック100は、上側ウェル152と下側ウェル112の間に配置された反応部としてのDNAマイクロアレイ22を更に有している。言い換えれば、上側ウェル152と下側ウェル112はフィルタ19からなるDNAマイクロアレイ22によって仕切られている。DNAマイクロアレイ22は、図2で説明したように、多孔質体の内壁に固定された核酸プローブを有している。
反応ブロック100は、その上面に開口した上側ウェル152を有しており、このような上側ウェル152は、反応ブロック100の上方からの反応部132の光学的な観察を可能にしている。
反応ブロック100は、上述した構造を得るため、図9に示されるように、容器本体を構成するベース110と上板150と、反応部132を有するアルミナ多孔質体130とを有している。ベース110と上板150は、例えば、ポリカーボネート製であり、アルミナ多孔質体130を間に挟んで、ねじ止めや接着など任意の適当な手法によって互いに固定される。また、本発明の態様に従う反応ブロック100の材質は、ポリカーボネートに限定するものではなく、耐圧および熱伝導レベルが高い材質であれば何れの材質を使用してよい。
ここで、図9に示すように、各上側ウェル152と各下側ウェル112毎にそれぞれOリング155とOリング117のようなパッキン部材を用いて機密性を確保した状態にするのが好ましい。ウェル毎にパッキン部材で機密性を得るようにすれば、外部空間からの影響は勿論のこと、ウェル間の影響も回避できるので好ましい。
上板150は、上側ウェル152を規定するためのテーパー状の貫通孔と、上板150の上面を貫通孔(上側ウェル152)から延びている溝154とを有している。
ベース110は、下側ウェル112を規定するための凹部と、凹部(下側ウェル112)と外部空間を連絡する流路114とを有している。より詳しくは、ベース110は、平らな側面118を有しており、流路114は、凹部(下側ウェル112)の底面から延び、ベース110の側面118のジョイント部120で終端している。ベース110は、更に、側面118(即ち流路終端面)に、流路114の開口端を取り囲んでいるリング溝116にOリング119を配設している。この例では、4つのジョイント部120が、別々のチューブと連結されてポンプドライバ8に接続される。
ベース110は、更に、反応部132の破損、即ち裂けや破れを避けるために、反応部132の変形を抑えるための、凹部(下側ウェル112)の底面に形成された1つまたは複数の突起を有していてもよい。突起は、ピン状の形状であっても、板状の形状であってもよい。
前述したように、反応液収容部は、図9に示されるように、上側ウェル152と下側ウェル112と流路114とで構成されている。下側ウェル112と流路114の容積の合計は、上側ウェル152の容積よりも大きい。従って、下側ウェル112と流路114は、最初に上側ウェル152に入れられる反応液の全量を収容し得る。流路114は、十分な容積を得るために、拡張部分、いわゆる液だまりを有していてもよい。
反応液の蒸発を抑えるため、好ましくは、反応ブロック100は平らな上面を有し、その上に対してDNAマイクロアレイ22の上面が若干上方位置に間隙を介するように、耐圧性および耐熱性を有する観察窓410が載せられる。観察窓410は上側ウェル152の全体を覆い、溝154を部分的に覆うように配置される。上側ウェル152の全体的な覆いは反応液の蒸発を最小に抑える。本発明の態様において使用可能な観察窓410は、例えば、ガラス、ポリメチルペンテンおよびポリカーボネートなどで形成すればよい。
本発明の態様では、反応成分であるサンプルと試薬を、各DNAマイクロアレイ22に収容させ、上記観察窓410を取り付けて一体化された閉鎖型反応ブロック100をオペレータがステージ4上にセットすることで検査がスタートされる。
3.ソフトウェア
次に、上述のような本発明の態様に従う遺伝子検査装置を機能させるために必要なソフトウェアについて説明する。また、ここでは本発明の態様として、光マーカー物質として蛍光物質を用いる場合の例を用いて説明する。しかしながら、これに限定するものではない。
図1に示されるコンピュータ10に具備される前記メモリ12には、CPU11を介して本装置を制御するためのプログラム、CPU11により検索されて制御および判断の根拠となるテーブル等の情報、並びに、得られた結果を表示する場合に利用される画像データ等が記憶される。
例えば、解析プログラムは、遺伝子解析を実施するためのプログラムであり、当該解析をコンピュータによって処理させるための仕事の手順に関する命令を含んでよい。
例えば、反応進行プログラムは、DNAマイクロアレイ22において行うべき反応をコンピュータによって処理させるための仕事の手順に関する命令を含んでよい。反応進行プログラムには、反応、例えば、ハイブリダイゼーションに必要な試薬の選択、使用する試薬の量、反応時間および反応温度等の反応条件、ポンピングの回数および時間、ポンピング開始時期の液体輸送および撹拌条件等に関する命令が予め含まれてもよく、或いは解析開始時にオペレーターにこれらの情報を入力するように指示する命令が含まれてもよい。また、これらの反応の条件は、反応条件プログラムとして反応の手順とは異なるプログラムとしてメモリ12に記憶させてもよい。
上記のプログラムは本装置を制御するためのプログラムの例であるが、それ以外の必要なプログラムをメモリ12に記憶させてもよい。
例えば、遺伝子対応テーブルは、得られた蛍光強度と、反応条件と、遺伝子発現量、発現遺伝子および遺伝子の突然変異等との関連付けを明記するテーブルであってよい。
4.装置の作用
図3に示したフローチャートを用いて上述した本態様の作用を説明する。また、ここでは本発明の態様として、光マーカー物質として蛍光物質を用いる場合の例を用いて説明する。しかしながら、これに限定するものではない。
(S1)オペレーターが、ステージ4上にヒーター部と接触するようにスライドチップ2をセットし、前記スライドチップ2の各DNAマイクロアレイ22に対してジョイント部を接続する。
(S2)オペレーターが入力部15に入力して、本装置に対して解析開始の指示が出される。このときオペレーターは反応の条件に関する情報を入力するが、これらの情報は、RAM13に格納される。
(S3)オペレータにより解析開始の指示が出されると、CPU11は、予め設定されメモリ12に記憶された座標とメモリ12に記憶された解析プログラムに従って、XYステージコントローラ7に対して、4つのDNAマイクロアレイ22の中で未解析で且つ認識番号の小さいDNAマイクロアレイ22が撮像手段5の視野に入る位置にように指示する。指示されたXYステージコントローラ7がモータドライバ6を駆動して、XYステージ4が動かされる。ここで、使用されるスライドチップ2におけるDNAマイクロアレイの数と、夫々に対応する認識番号と、それが位置する座標とは、それらが対応付けられたテーブルとしてメモリ12に記憶されている。従って、CPU11は、未解析のDNAマイクロアレイ22のうちで認識番号の最も若いものを選択し、前記テーブルを検索することにより、目的とするDNAマイクロアレイ22の座標を読み出し、それを基に指示を出す。
(S4)目的のDNAマイクロアレイ22が撮像手段5の視野に入る位置に配置されると、CPU11は、メモリ12に記憶された反応進行プログラムに従って指示を出し、ポンプドライバ8および温度コントローラ9を制御して、複数の反応を繰り返し実行させる。CPU11は、メモリ12に記憶された反応進行プログラムに従って、各反応の終了毎に撮像手段5に指示を出し、撮像を実行させる。(S4)については更に詳しく後述する。
(S5)S4における撮像手段5による撮像がなされる毎に、CPU11は、得られた画像情報を画像処理部14からRAM13に転送させ一旦格納させる。
(S6)CPU11は、直前のS3で選択され反応に供されたDNAマイクロアレイ22の認識番号をRAM13から読み出し、それを基にスライドチップ2に具備される4つのDNAマイクロアレイ22に未解析のものが残っているか否かを判断する。未解析のDNAマイクロアレイ22がある場合には(S3)へ進み、そうでない場合には(S7)に進む。
(S7)CPU11は、解析プログラムに基づいて(S5)でRAM13に格納された画像情報を読み出し、該情報から蛍光強度を算出する。得られた蛍光強度とその蛍光強度を得たときの反応条件を基に、CPU11は、遺伝子対応テーブルを検索し、対応する遺伝子情報を読み出す。これらのデータから、CPU11は、画像処理部14に遺伝子解析結果のテーブルを作製させ、算出された蛍光強度反応条件と遺伝子対応テーブルそのデータを画像処理部14に送り、そこにおいて、結果のテーブルを作製させ、このテーブルをRAM13に記憶させる。
(S8)CPU11は、画像処理部14に対して、RAM13に記憶させた遺伝子解析結果のテーブルの画像を表示するように指示する。これにより画像処理部14はRAMから必要な情報を読み出して画像処理し、表示装置に表示する。
上述では、S2においてオペレーターが入力する反応条件に関する情報は、例えば、反応温度、反応時間、反応回数および試薬の選択等であってよい。または、これらの情報は、S2においてオペレーターにより入力されるのではなく、予めメモリ12に記憶された反応進行プログラムまたは反応条件プログラムに含まれていてもよい。
また、上述の手順では、各DNAマイクロアレイ22毎に解析を行う例を示したが、全てのDNAマイクロアレイ22に関して同時に解析を行ってもよい。また、上記では解析されるDNAマイクロアレイ22は、予め割り当てられた認識番号の順に自動的に選択される場合を記載したが、解析毎に、オペレーターが解析を実行するDNAマイクロアレイ22を選択し、入力部15からの入力によって所望の解析を実行するように指示してもよい。
また、該コンピュータに対してISDNまたは電話回線への接続を行えば、当該解析により得られた結果を、所望のゲノムデータベースまたは塩基配列データベースを検索して得られた情報と比較することも可能である。この手順は、メモリ12に記憶された比較プログラムを基にCPU11がデータベースを検索し、装置により得られた結果と比較し、同定するように設定してもよい。
5.DNAマイクロアレイにおける反応
上記(S4)における反応について、図4を用いて更に説明する。
(S41)目的のDNAマイクロアレイ22が撮像手段5の視野に入る位置に配置されると、CPU11は、メモリ12に記憶された反応進行プログラムに従って、温度コントローラ9に指示を出し、ヒーター部を制御させることによって、目的のDNAマイクロアレイ22の温度を所定の第1の温度に維持する。更に、CPU11は、前記反応進行プログラムに従って、ポンプドライバ8に指示を出し、試料を目的のDNAマイクロアレイ22に添加させ、ポンピングにより撹拌を実行しながら、反応を実施させる。
(S42)メモリ12に記憶された反応進行プログラムに従って、所定の反応時間に亘って反応が実施された後、CPU11は、前記反応進行プログラムに従って、ポンプドライバ8に指示を出し、試料を目的のDNAマイクロアレイ22から一次退避させ、撮像手段5に撮像を実行させる。
(S43)撮像手段5の撮像の終了後、CPU11は、前記反応進行プログラムに従って、ポンプドライバ8に指示を出し(S42)において一次退避された試料を再びDNAマイクロアレイ22に添加させる。このとき、撹拌作用も機能している。
(S44)CPU11は、前記反応進行プログラムと(S1)においてオペレーターにより入力されRAM13に格納された条件を読み出し、更なる温度設定および/または溶媒組成等を変更した更なる反応条件下で反応を行う必要があるか否かを判断する。必要であれば(S41)に進み、不要であれば(S5)へ進む。
6.解析対象および前処理
本発明の装置により実施可能な解析の例は、被験者における癌遺伝子等の突然変異の有無の検出、被験者における遺伝子の発現解析、薬剤耐性遺伝子の発現解析、被験者における疾患関連または感受性遺伝子の遺伝子型決定、被験者における細胞内シグナル遺伝子の発現パターンの決定等、臨床的な治療学的および診断学的解析、並びに非臨床的な基礎研究においても種々の遺伝子解析等である。
一般的に、遺伝子検査に用いるサンプルは、ヒトの場合、血液、培養細胞、生検または手術時に採取された細胞または組織等の生体組織等が使用できる。
例えば、内視鏡的に採取された組織切片の場合、該組織切片をスライドガラス上に固定し、染色し、病理検査を行った後のスライドグラスから、マイクロダイセクションシステムであるレーザーキャプチャーシステム、オリンパス社製LCS200によって癌病巣部分の組織の部分のみを採取したものを使用することができる。
本装置による解析に先駆けて、このようにして得られた生体サンプルは、フェノール・クロロホルム法、マイクロカラム法、または磁性粒子法等を利用した核酸抽出試薬によって処理し、DNAおよび/またはRNAを抽出される。更に、抽出されたDNAおよび/またはRNAについて、PCR法、RT−PCR法、T7増幅法等によって遺伝子増幅を行う。しかしながら、核酸量の多いサンプルの場合には、遺伝子増幅を行うことなくcDNAを調製すればよい。但し、何れの場合においても、プライマーの5’端か、合成されたヌクレオチドのどこかに標識物質、例えば、FITC、ローダミン、Cy3およびCy5等、蛍光標識物質の何れかが付加されるように試薬組成を最適化することが好ましい。
このような解析に使用する試料の調製は、例えば、「DNAマイクロアレイと最新PCR法」(細胞工学別冊;ゲノムサイエンスシリーズ1、秀潤社、2000年3月16日発行)等に記載されるように、一般的にそれ自身公知の方法により行ってよい。
上記の蛍光標識を行った後、ピペットによってオペレーターが手動で得られた調製済みの試料をDNAマイクロアレイに分注してもよい。その後、上述のような装置により、解析を行えばよい。
7.解析方法
以上のように我々は、フィルタを用いることにより、短時間に高効率のハイブリダイゼーションを行うことが期待できる三次元DNAマイクロアレイを反応部に用いて、溶液制御用のポンプ、温度調節用の温調システム、高感度な蛍光検出装置と、コンピューターによって制御する撮像デバイスを組み合わせた遺伝子検査システムを本発明の1態様として完成した。また、ここでは本発明の態様として、光信号として蛍光を用いる場合の例を用いて説明する。しかしながら、これに限定するものではない。
このようなシステムにより実施される遺伝子解析方法も本発明の範囲に含まれる。図5のフローチャートを用いて本発明の方法を説明する。
(Sa)先ず、試料を調製する。被験対象から採取した組織または細胞から核酸を、例えば、フェノール・クロロホルム法などにより抽出する。
(Sb)(Sa)で得られた核酸を、PCR法またはNADBA法等により増幅し、且つ蛍光標識を行う。また、核酸の量が多い場合には、蛍光標識のみ行う。
(Sc)(Sb)で得られた蛍光標識された核酸を、スピンカラム法またはエタノール沈殿法などにより精製する。
(Sd)(Sc)で得られた核酸を変性により1本鎖標識核酸にする。その後、核酸プローブを固定化したDNAマイクロアレイに、得られた1本鎖標識核酸を添加する。
(Se)試料を含有するDNAマイクロアレイについて、所望の条件下でハイブリダイゼーションを行う。このとき、DNAマイクロアレイ中の液体をポンピングまたはピペッティング等により撹拌することが好ましい。
(Sf)(Se)でのハイブリダイゼーションを行った後、DNAマイクロアレイ中の液体を、該アレイの下部に留め、核酸プローブに結合した標識核酸に含まれる蛍光強度を測定する。
(Sg)(Sf)における蛍光強度の測定が終了した後、所望の反応条件下で、再度ハイブリダイゼーションを行い、上記同様、蛍光強度を測定する。種々の反応条件下でこの操作を必要な回数だけ繰り返す。
(Sh)(Sg)の反応が終了した後に、DNAマイクロアレイ中の試料をそのままの状態を維持しながら、即ち、希釈または不純物等のコンタミネーションのないように、回収し、その後、前記核酸プローブに結合した標識核酸に含まれる蛍光強度を測定する。
(Si)(Sf)および(Sh)で得られた蛍光強度を基に、発現遺伝子量の判定および突然変異遺伝子の有無等の判定を行い、目的の遺伝子に関する情報を得る。
(Sj)(Si)で得られた目的の遺伝子に関する情報を、データベースに開示される公知の遺伝子情報や、標準試料から得られた解析結果と比較する。
(Sk)(Sj)の比較の結果から、被検対象からの試料に関する遺伝子解析についての判定を行う。
ここでは、2つの反応条件を用いて2つの反応を連続して行ったが、必要に応じて、連続する反応の回数および蛍光強度の測定回数を増やすことも可能である。その場合、上記(Sf)から(Sg)を必要な回数で繰り返せばよい。
本発明の態様として上述した装置は、ステージに置かれた反応要素(即ち、スライドチップ)に対して液体の分注、撹拌、温度制御および測定を常時実行できる構成になっている。従って、あらゆる種類の反応系を小さなスペースで容易に達成できる。従って、本発明の装置は、あらゆる遺伝学的検査に有用な優れた手段となり得る。
また、本発明に従うと、少なくとも1個のDNAマイクロアレイは、CCDカメラや走査型共焦点カメラなどの撮像手段の撮像可能な範囲に収まる程に充分に小型であるので、測定すべきDNAマイクロアレイ内の複数の別々のプローブスポットに対して、光学的なスキャニングを行う必要はない。このことにより、同一のDNAマイクロアレイ内の各スポットの反応を同時に且つ継続的にモニタリングすることが可能となり、多項目の同時検査に非常に有利である。
本発明の更なる側面に従うと、本発明は、同一の試料に対して複数の検査を連続して行うことが可能であり、従って、複数の検査結果を迅速にまたは任意の時機に得ることが可能な装置を提供するものである。
本発明に従うと、このような測定装置において、プローブスポット毎に適用された各々の試薬(例えば、核酸プローブおよび核酸プライマー等)の種類または各々の反応条件を、各試薬毎または各反応条件毎に得た各々の測定データと照合しながら測定データの解析を行う解析用ソフトウエアも提供される。
また特に、本発明に従う装置では、同一のプローブスポットにおいて、複数種類の反応を同時、逐次、または順次に実行することが可能である。従って、そのような複数種類の反応を達成するために必要な反応条件を容易に整えること、およびそのような複数種類の反応により得られた複数のデータを正確に読み取り且つ処理することを可能にする新規な読み取り手段を、本発明に従う装置が具備していてもよい。
例えば、そのような読み取り手段は以下を実行するような手段であり得る;
i)1つのDNAマイクロアレイにおいて測定されるべきプローブスポットの位置情報とそのプローブスポットへの制御情報(例えば、試薬毎の好適温度、検査目的など)とを組み合わせてなる検査項目情報を、メモリ回路等の記憶手段に記憶すること、
ii)実際に前記DNAマイクロアレイ内の全てのスポットにおいて実施された制御をモニタリングし、そのモニタリングされた実際の制御条件と、前記i)の検査項目情報とを照合し、その照合結果をメモリ回路等の記憶手段に記憶すること、および
iii)前記 ii)のモニタリングされた制御条件下で行われた測定結果を、前記 ii)で得られた照合結果と対応付けた測定データとしてメモリ回路等の記憶手段に記憶すること、または
iv)前記 ii)のモニタリングされた制御条件下で行われた測定結果を、前記 ii)で得られた照合結果と対応付け、更に、CPU等のデータ処理手段によって、前記測定結果を前記照合を基に補正するような演算処理を行うこと。
従って、そのような読み取り手段は、該検査項目情報、モニタリングされた制御条件、測定結果および測定データ等のデータを記憶するための記憶手段と、前記記憶手段に記憶された各データを読み出して比較および照合を行ったり、必要な演算処理するためのCPU等のデータ処理手段とを具備する。
また、このような新規な読み取り手段自体も、そのような読み取り手段を具備した装置も、本発明の態様として提供される。
係る読み取り手段によれば、撮像手段の同一の視野内(例えば、CCDの1視野内)の全てのスポットについて、複数のスポット間で全部または一部の反応が時間的に重複するような異なる種類の反応結果や、少なくとも1つのスポットにおいて実行される複数の異なる反応条件での反応結果を、取り違えることなくメモリ等に記憶し、更に必要に応じて取り出して、所望の判定結果を出力することが可能である。
上述の態様では、光マーカー物質として蛍光物質を使用した場合を1例として中心に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。即ち、使用する光マーカー物質は所望に応じて変更することが可能である。従って、上述したような発光物質を使用した場合には、それに応じて必要箇所を変更すればよく、そのような変更を行った態様も本発明の範囲内である。
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、上述した詳細な説明および図面は、本発明の態様を例示することを目的とするものであり、従って、それらによってに本発明は限定されるものではなく、本発明は、種々の均等物および現在の自明な技術知識に基づく、種々の改良された発明または変形された発明を包含するものである。
[実施例]
1.遺伝子解析
図1および図2に示すような本発明の態様を用いて遺伝子解析を行う。
遺伝子を測定する容器として、検査対象である標的遺伝子と相補性を有する複数の遺伝子を表面に固定化した多孔質のフィルタを収めたチップを用いる。この多孔質のフィルタを収めたスライドチップを、蛍光顕微鏡のステージに置かれた反応部分(インキュベーター部分)に設置する。この蛍光顕微鏡は、ホストコンピュータによって、励起光シャッター、蛍光キューブ、ステージ移動などを自動的に制御することが可能なように構成されている。また、蛍光顕微鏡にはCCDなどの画像を撮影するデバイスが設置されていて、撮影のタイミングもホストコンピュータによって制御されている。また、露出時間、画像の保存および冷却状態などの制御も、同じコンピュータによって制御することが出来る。また、インキュベーターには、液体を輸送するためのポンプ、および温度制御用のヒーターかベルチエ素子が設けられていて、これらの制御もまたホストコンピューターによって行うことができる。
サンプルをチップの測定領域に滴下したあと、ポンプによって反応液をチャネル内を行き来するように移動させて、ハイブリダイゼーション反応を加速する。インキュベーターの下部のチャネル内に続く溶液を移動させ、反応液の液面がフィルタの上面に接した時に、励起光シャッターを開けてフィルタ表面の蛍光画像をCCDカメラや走査型共焦点カメラなどのデバイスによって撮影する。撮影された画像データは、コンピュータの指定されたメモリ内のフォルダーに保存され、別にインストールされた解析用のプログラムによって測定結果を解析する。
このように、ハイブリダイゼーションを促進するためのポンプ、温度変化をチップに与えるためのヒーター、更に、必要に応じて、溶液組成を変化させるピペッターシステムをインキュベーターの周囲に配置することによって、この一個の検査システムによって連続して様々な温度や溶液状態におけるハイブリダイゼーションのパターンを得ることができる。また、測定に用いる蛍光標識の種類に応じて異なる波長によって標識物質を励起し、異なる蛍光波長の画像を撮影することも出来るので、試料の中に複数の蛍光色素によって標識された物質が入っている場合でも、フィルタキューブを自動的に切り替えることにより、例えば、2色の蛍光強度比などを簡単に測定することができる。このようにして得られたスポットの蛍光強度から、チップ表面に固定化されたプローブとハイブリダイゼーションした標的遺伝子の量を解析する。この検査装置を用いることによって、C−myc等の癌化に従って、発現量が大きく変動する遺伝子の発現量を鋭敏に検出することが出来る。
また、インキュベーターの温度変化によって生じる蛍光スポットの蛍光強度変化のパターンを解析することにより、K−Ras、P53といった癌化に大きな影響のある遺伝子の突然変異を検出することができる。このようにして細胞内部で複雑な細胞機能を制御している遺伝子の発現量と、遺伝子の内部に生じた突然変異という2つの生理学的に重要な遺伝子の変異を短時間のうちに同一の装置によって解析することが可能となる。また、ここで、用いられるサンプルの調製方法は、従来の遺伝子検査で用いられているものと同様であり、この装置によって得られた結果は、インターネット上で公開されているGenBankなどのデータベースにある遺伝子情報と容易に比較検討することが出来る。
このような本発明の態様に従う装置を用いることによって、反応部分の溶液の状態や、温度条件を変化させながら標的遺伝子のハイブリダイゼーションの程度をリアルタイムで測定することができる。
以上のような本発明の態様に従う装置を用いることによって、反応部分の溶液の状態や、温度条件を変化させながら標的遺伝子のハイブリダイゼーションの程度をリアルタイムで測定することができるようになった。この発明を用いることによって、対象遺伝子の発現量を正確に測定することが出来るようになった。
また、発現量の測定に引き続いて、自動的にマイクロアレイの温度や反応溶液の溶液組成を変化させることによって、異なるプローブへのハイブリダイゼーションの効率を強制的に変化させ、その結果から、標的遺伝子内に生じている突然変異、例えば、一塩基多型(以下、SNPと称す;Single nucleotide polymorphism)等の種類を検出することが出来る。このシステムを用いることによって、癌などの進展の程度や悪性度、或いは転移の可能性、疾病のステージなどがより正確に予測できることが期待される。
また、同時に治療薬に対する感受性に影響するP450などの薬剤感受性遺伝子の発現量と、活性に影響あるSNPsの検査も同時に行うことが出来る。このようにして疾患の原因遺伝子の異常のみならず、薬剤に対して感受性のある遺伝子のの異常を同時に検査することで、選択する治療薬の種類や温度を患者の体質に合わせて最適化することが可能になる。また、得られた遺伝子異常に関する情報を基にして、将来的に高い治療効果が期待されている遺伝子治療に用いる遺伝子の選択が正確に行える。
2.C−myc、エストロゲンレセプター、テロメラーゼの発現量の測定
C−myc、エストロゲンレセプター、テロメラーゼの発現量の測定をおこなうためのスライドチップの例を図6に示す。該スライドチップには、図6(A)には、夫々のプローブスポットに固定される核酸プローブとハウスキーピング遺伝子の配列を示す。表中の番号はプローブスポットに割り当てた番号に相当する。図6(A)に示されるようなc−mycを含む複数の遺伝子に対するプローブと、ハウスキーピング遺伝子が固定される。図6(B)には、DNAマイクロアレイに具備されるプローブスポットに割り当てた番号を、模式的に記した各プローブスポット上に示す。夫々のプローブスポットには、番号に対応するように図6(A)に示された核酸プローブとハウスキーピング遺伝子が固定される。各核酸プローブは、種類毎にプローブスポットに点着によって固定されている。
図6(C)および図6(D)は、図6(B)のパターンで固定されたプローブと検体核酸とを本発明の態様に従ってハイブリダイズし、解析した結果を模式的に示す図である。図6(C)は、正常な被験者からの試料により得られる結果を示し、図6(D)には異常のある被験者からの試料により得られる結果を示す。このような結果から蛍光の有無を判定することにより、被験者において発現された遺伝子を検出することが可能である。
このようなスライドチップを使用し、発現解析を行ったチップの周囲温度や溶液組成を変更することにより、または試料中の標識核酸とプローブ近傍の温度をTM(Melting Temperature)値に近い条件にすることによって、各プローブの至適反応条件が達成される。それによって、これらの遺伝子の内部に生じた突然変異の解析を行うことが可能である。
図7には、異なる塩基配列を有するプローブに対して生じた蛍光スポット強度の比較を行うことにより、癌抑制遺伝子P53の遺伝子内部に生じた突然変異を検出する場合の例を示した。図7(A)には、夫々のプローブスポットに固定される核酸プローブの配列を示す。訪中の番号はプローブスポットに割り当てられた番号を示す。解析に使用したプローブは、図7(A)に示されるような癌抑制遺伝子P53に関連する複数の配列、即ち、センス、アンチセンス、ミスマッチを含むセンスおよびミスマッチを含むアンチセンスである。図7(B)には、DNAマイクロアレイに具備されるプローブスポットに割り当てた番号を、模式的に記した各プローブスポット上に示す。夫々のプローブスポットには、番号に対応するように図7(A)に示された核酸プローブが固定される。各核酸プローブは、種類毎にプローブスポットに点着によって固定されている。図7(C)および図7(D)は、図7(B)のパターンで固定されたプローブと検体核酸とを本発明の態様に従ってハイブリダイズし、解析した結果を模式的に示す図である。図7(C)は、正常な被験者からの試料により得られる結果を示す。図7(D)には、以上のある被験者からの試料により得られる結果を示す。このような結果から、蛍光強度の違いによって、発現量を検出することが可能である。
以上のような遺伝子の検出と発現量の解析は、1つのDNAマイクロアレイにおいて1つの試料について連続して行うことが可能である。
このように発明の装置および方法により、癌化のステージを判定したり、悪性度や転移のし易さ、または薬剤耐性の個人差などを正確に予測することが可能である。
遺伝子検査技術とコンピュータ科学の進展に伴い、現在までにすでに多くの遺伝子の異常としての発現量の変化や突然変異の種類、またはSNPsが同定されている。そしてそれらの公知の情報は、データベースとしてインターネット上で広く公開され、容易に入手が可能である。上述のように、本発明の装置および方法により得られた遺伝子検査の結果を、既に公知の情報と比較評価することにより、更に臨床的に有用な正確な判定が可能となる。例えば、アメリカ癌研究所(NCI)により標準化された正確な転移の予測や治療指針の決定を行うことが可能になり、国や施設による判定基準の違いなどから生じる誤判定の可能性を少なくできる。将来的には、遺伝子治療を行う場合の導入遺伝子の選択においても、重要な情報を提供することが期待される。
なお、本発明は、以上で述べてきた各例による遺伝子検査装置およびそれを用いた検出方法の構造や作用を参酌することによって、次のような発明と捉えることもできる。次に示す各付記項は、本発明が、目的によっては遺伝学的検査に限定されずに、他の種々の生物学的反応(酵素反応、抗原抗体反応、代謝反応、生物学的運動動態試験等)をハイスループットで実行しモニターリングする技術として広く医療分野に提供し得る点に注目して挙げるものである。
[付記項1] 複数の微小な反応部中で実行される異なる生物学的反応をコンピュータを利用して検査する生物学的検査装置であって、
(1) 複数の微小な反応部を位置決めするための位置決め手段と、
(2) 位置決め手段の近傍に配置され、前記反応部の温度を調節するための温度調節手段と、
(3) 異なる生物学的反応が起きている2以上の反応部を視野範囲に有する撮像手段と、
(4) 前記撮像手段による同一視野内の画像情報を前記反応部毎に別々に演算する演算手段と、
(5) 反応部毎の温度と演算結果を照合して同一視野内の異なる生物学的反応結果を出力する出力手段とを
具備することを特徴とする装置。
[付記項2] 前記撮像手段が、検査すべき複数の反応部を同一視野に所望の寸法および個数で画像化するための画像拡大および/または画像縮小を行うズーム手段をさらに具備する付記項1に記載の装置。
[付記項3] ズーム手段が顕微鏡の対物レンズ(例えば、拡大倍率が10倍〜1000倍、好ましくは40倍〜400倍)である付記項2に記載の装置。
[付記項4] 個々の反応部が複数の反応単位を含む付記項1に記載の装置。
[付記項5] 複数の反応部が同一の基板内に一体的に配置されている付記項1または4に記載の装置。
[付記項6] 前記基板が複数の反応部を囲む液体収容可能な周辺部分を有する付記項5に記載の装置。
[付記項7] 複数の反応部の開口部が同一平面上に2次元的に配置され、且つ前記反応部が、該平面を構成する2成分の方向とは異なる方向に更に延びることにより3次元的な構造を有する付記項1〜6の何れかに記載の装置。
これら、付記項1〜7に記載の本発明の態様によれば、位置的に制御された微小な複数の反応部に対して、それぞれ適切な温度調節を実行し、2以上の異なる生物学的反応に関与した複数の反応部を同時に画像化することができる。ここで、撮像手段が時間的に断続的ないし連続的な撮像を行って複数の画像を取り込むようにすれば、複数の異なる反応過程の一部または全部を同時にモニターできる。また、ズーム手段が、所望数の微小な反応部を同一視野に効率よく収めて最適な拡大倍率による画像取り込みを可能にする。また、演算手段は、反応部毎に同一視野内の反応結果を所望の出力内容に変換するのでリアルタイムにデータが処理される。また、出力手段は、同一視野内の複数の反応部からの画像データによる演算結果を、調節制御された温度情報に基づいて照合するので、複数の反応部を取り違いなく仕分けし、総括して、使用者に確認しやすい形式(例えば、印刷、画像表示およびデータ送信等によって)で出力することができる。
また、本発明の更なる態様に従えば、本発明は次のような発明と捉えることもできる。
[付記項8] 生物学的反応を二次元的に配置された流体を導入し得る開口部と、液体が通過可能な通路を有する複数の反応部で実行する二次元反応装置であって、
二次元の作用領域(例えば、複数の反応部の配置に対応するような平面またはそのような平面を有する立方体を形成している)を有する温度伝達手段と、
前記温度伝達手段を通過して液体(例えば、反応用試料、試薬、洗浄液または希釈液等)および/または気体(例えば、温風、冷風、不活化ガス、酸化防止ガス、霧状試薬または試料含有ガス等)を少なくとも1供給する複数の二次元配置された流体移送手段とを具備することを特徴とする二次元反応装置。
[付記項9] 個々の反応部が複数の反応単位を含む付記項8に記載の装置。
[付記項10] 前記温度伝達手段に対する温度制御部と前記流体移送手段に対する流体移送制御とを作用対象(例えば、反応用試料または試薬等)の種類に応じて関連させる制御手段をさらに具備したことを特徴とする付記項8に記載の装置。
[付記項11] 複数の反応部が同一の基板内に一体的に配置されている付記項8または10に記載の装置。
[付記項12] 前記制御手段が、作用領域内に存在する複数箇所に対する温度調節および流体移送を個別に制御することを特徴とする請求項10に記載の装置。
[付記項13] 二次元配置された反応部の開口部の集合による片面側に前記温度伝達手段および流体移送手段を配置したことを特徴とする付記項8に記載の装置。
[付記項14] 前記温度伝達手段が、その作用領域が二次元的な平面を具備するような伝熱性の高い部材からなる反応ブロック内に、複数の管状流路からなる流体移送手段を形成してなることを特徴とする付記項8または13に記載の装置。
付記項14に記載の構成により、反応に必要な流体(即ち、液体および/または気体)が反応ブロック内外を移動しても、それらは、温度調節された流路内を移動するので、DNAマイクロアレイ22に与える不都合な温度変化を防止することができる。
[付記項15] 反応部の反応工程の前後または反応工程と同時に、反応部に関する付加的処理を実行するための付加機能手段{例えば、撮像手段、観察用窓、反応部の把持用および/または搬送用アーム、各種センサ(例えば、液面検知および温度検知等を行う)並びに分注手段等}と前記温度伝達手段との間に、前記二次元的に配置した複数の反応部を配置したことを特徴とする付記項8〜14の何れか1に記載の装置。
これら付記項8〜15に記載した本発明の態様によれば、温度伝達手段が複数の反応部と流体移送手段の温度調節をする。従って、微小な反応部のそれぞれに対する各種液体(例えば、検査試料および/または試薬等)の導入や流通が良好な反応条件で実行できる。それにより、温度制御や各種液体処理に関するコストを低減して、検査時間を短縮し、更には装置の小型化が図れる。また、生物学的反応のうち、従来、同時に配置が困難な付加機能をスペース効率よく配置でき、しかも温度伝達および/または流体移動と付加機能とを同時に動作させることができる。従って、生物学的反応の反応工程以外の工程(例えば、試料調製、反応部の交換、分注、各種検知および測定等)の一部または全てを一台の装置で自動化できる。
このような本発明の態様に従う装置を用いることによって、簡便に、且つ短時間で複数の遺伝子を検査することの出来る遺伝子検査装置および方法が提供される。また、このような装置および方法により、反応部分の溶液の状態や、温度条件を変化させながら標的遺伝子のハイブリダイゼーションの程度をリアルタイムで測定することができる。従って、この発明を用いることによって、対象遺伝子の発現の有無およびその発現量が正確に測定することが出来る。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の1態様に従う装置を示す構成図である。
図2は、スライドチップの1例を示す図である。
図3は、解析手順の1例を示すフローチャートである。
図4は、反応手順の1例を示すフローチャートである。
図5は、解析方法の1例を示すフローチャートである。
図6は、P53エクソン7の突然変異を解析するためのスライドチップの1例を示す図である。
図7は、発現量を解析するためのスライドチップの1例を示す図である。
図8は、反応ブロックの1例を示す図である。
図9は、図8に示す反応ブロックの線9−9での断面を示す図である。
本発明は、遺伝子の発現レベルおよび突然変異の有無を検出するための装置、並びにそれを用いた標的核酸の検出方法に関する。
背景技術
近年の遺伝子解析技術の進歩に伴い、ヒトを含む多くの生物における遺伝子配列が明らかにされてきた。また、解析された遺伝子産物と疾病の因果関係も少しずつ解明されている。
現在用いられている遺伝子検査方法は、生体試料から核酸を抽出する工程、PCR法およびNASBA法などの核酸増幅方法を用いて検査対象となる標的遺伝子を増幅する工程、核酸を放射性同位元素(以下、RIと記す)または蛍光分子等の標識物質によって標識する工程、標識された標的遺伝子の塩基配列またはその濃度を測定する工程から構成されている。
最近では、蛍光標識された核酸と、複数のキャピラリーを用いることにより、高速に多数のサンプルを処理できるようなキャピラリ電気泳動装置も数多く用いられている。これにより、従来の電気泳動装置などを用いた方法に比べて、多数のサンプルについての解析がそれまでの三分の1から四分の1程度の時間で行えるようになっている。
また近年、DNAチップを用いて、同時に複数の遺伝子について検査するための検査方法も開発された。DNAチップは、ガラス基板の表面に多数のcDNAプローブを固定化することにより製造されたり、半導体製造過程を利用してシリコン上の微小な領域に多数のオリゴプローブを合成して製造される。何れの製造方法により作られたDNAチップも、サンプル中に含まれる複数種類の標的配列の存在を同時に同時に決定することが出来る。DNAチップを使用することによって、多くの種類の遺伝子の発現量や複数の突然変異の解析を短時間に行うことが可能となった。更に、DNAチップを用いて得られたデータから、多くの遺伝子を複数のグループに分類したり(即ち、クラスタリング)、発生や分化に伴う遺伝子の変動に関する情報も得られている。このようにして得られた遺伝子情報は、インターネットを介し、容易にアクセス可能なデータベースとして利用されている。
一般的に、遺伝子の発現量の検査および突然変異の解析には、電気泳動法やマイクロアレイ法が用いられている。電気泳動法では、検査に長い時間が必要とされ、一度に行える検査の種類も限られる。一方、DNAチップを用いた遺伝子解析方法では、一度に多数の検査を行える反面、検査時間が長く必要とされ、また、全体としての検査工程が多く、煩雑な操作が必要である。そのために再現性のよい分析結果が得られないことが欠点である。こうした欠点を克服するために、再現性がよく、且つ短時間でDNAチップと同様の検査を行うことを目的とした方法、例えば、DNAチップの担体として多孔質のフィルタを用いた方法(特表平9−504864、特表平2000−515251)、ハイブリダイゼーション反応を電気的な力によって強制的に行う方法などが開発されている(特表平2001−501301)。このような方法では、RIを使用したり、或いはメンブランフィルタを必要とするなどが欠点である。また、電気的な力によって強制的にハイブリダイゼーションを行う方法では、チップの中の電圧を厳密に制御する機構などを設ける必要がある。そのため、これらの方法では、短時間に且つ簡便に遺伝子の検査を行いたいという臨床検査における要求に応えることはできない。
また、癌、糖尿病または高血圧などのように、複数の遺伝子異常と環境要因が重ね合わさって発症するような多因子性の疾患では、複数の遺伝子の異常を多面的に解析すること、更に外部の環境要因を分析することによって、より正確な診断が行えると考えられる。また、実際の化学的な治療に当たっては、薬の副作用を避け、且つ治療効果を向上するために、投与する薬剤に対する感受性(これは、体質とも解釈される)を予め正確に判定しておく必要もある。更に、P53遺伝子等を用いた高度な遺伝子治療を行うに当たっては、予め、患者の体内の癌遺伝子および/または癌抑制遺伝子等の発現量、突然変異の有無、或いは細胞の情報伝達の状態などの遺伝子情報を正確に解析しておく必要がある。
以上のような状況において、現在、簡便且つ短時間に複数の遺伝子を検査することの出来る遺伝子検査システムの開発が望まれている。
本明細書において開示される全ての引用文献および特許公報は、引用することによりここに組み込まれる。
発明の開示
本発明の目的は、簡便に、且つ短時間で複数の遺伝子を検査することの出来る遺伝子検査装置およびそれを用いた標的核酸検出方法を提供することである。
本発明の1つの側面である第1の態様に従うと、
コンピュータを利用した遺伝子検査装置であって、
(1)3次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部をその開口部が同一平面状に配置されるように2次元的に多数配置してなり、そこにおいて予め光マーカー物質を標識された標的核酸と前記核酸プローブとの間でハイブリダイゼーション反応を行うためのDNAマイクロアレイ;および
(2)上記(1)に記載のDNAマイクロアレイを支持するステージと、該DNAマイクロアレイの温度を調節するための温度調節部と、該DNAマイクロアレイからの光学的信号を撮像するための撮像手段とを備えた顕微鏡;
を具備する装置が提供される。
また、本発明の更なる側面に従うと、
第1の態様に記載の装置を使用した遺伝子検査方法であって、
(1)被験対象から採取した組織または細胞から抽出された核酸を増幅し、光マーカー物質を標識物質として付加すること;
(2)上記(1)で得られた標識された核酸を、所望の核酸プローブを具備するDNAマイクロアレイに添加すること;
(3)上記(2)のDNAマイクロアレイについて所望の条件下でハイブリダイゼーション反応を行うこと;
(4)上記(3)で得られたDNAマイクロアレイについて光マーカー物質からの光信号の強度を測定すること;
(5)上記(4)で得られた光信号の強度を基に、発現遺伝子量の判定および/または突然変異遺伝子の有無の判定を行うことにより遺伝子検査の結果を得ること;
を具備する方法
が提供される。
発明を実施するための最良の形態
1.装置の概要
本発明の1側面に従うと、1つの検体における、遺伝子の発現レベルと突然変異の存在を容易に且つ短時間に検出できる装置が提供される。
本発明の態様に従う装置において実施される検出方法の基本的な原理は以下の通りである。即ち、この方法では、基板に固定化された配列既知の核酸プローブを用いて、検体中に含まれる特定の配列を有する核酸鎖が検出される。本発明の態様に従う装置は概念的には、基板に試薬としての一本鎖核酸(即ち、核酸プローブである)が固定化されたものである。使用時には、この固定化された核酸プローブに対して、光マーカー物質で標識した試料中の核酸を接触させる。もし、試料に含まれる核酸が、当該核酸プローブと相補的な配列を有していれば、その核酸は核酸プローブとハイブリダイズする。それにより、二本鎖が形成され、当該核酸は基板上に捕獲される。その後、洗浄により未反応の核酸鎖を除去し、核酸プローブに付された標識を検出すれば、その核酸プローブに対して相補的な配列を有する核酸の存在を検出することができる。ここで「光マーカー物質」とは、蛍光物質、化学発光物質および生物発光物質など、観察可能な信号として光を生じ得る物質を示す。
図1に示す構成図を用いて、本発明の装置の1態様を以下に説明する。本発明の1態様に従う装置は、コンピュータを利用した遺伝子検査装置である。
遺伝子検査装置1は、そこにおいてサンプルを反応させるためのDNAマイクロアレイ22における事象を顕微鏡的に観察するための顕微鏡3と、DNAマイクロアレイ22を具備するスライドチップ2を収容する反応ブロック100を支持するために前記顕微鏡3に具備されるステージ4と、前記顕微鏡3により観察されたDNAマイクロアレイ22における光マーカー物質からの信号を画像として撮像するための撮像手段5と、前記顕微鏡3により観察される視野の位置を変更するために前記ステージ4に接続されたモータドライバ6を制御するXYステージコントローラ7と、前記顕微鏡3により観察される視野の拡大および/または縮小を行うためのズーム手段17を駆動制御するズーム手段駆動装置18と、前記DNAマイクロアレイ22に接続されたジョイント部を介して流体を輸送するポンプドライバ8と、前記DNAマイクロアレイ22に接触して配置されるヒーター部101を介して該DNAマイクロアレイ22の温度を調節する温度コントローラ9と、更に、これら、遺伝子検査装置1に含まれる全てのデバイスに直接的または間接的に接続され且つそれらを総括して制御するコンピュータ10とを具備する。
ここで前記ジョイント部120は、DNAマイクロアレイ22に含まれる液体を外部に漏出しないような様式で、反応ブロック100内のDNAマイクロアレイ22に接続される。更に該ジョイント部120の終端はチューブを介して、ポンプドライバ8に接続され、更にポンプドライバ8は、その内部に所望の試薬等を含む試薬保持部に接続される。前記ポンプドライバ8は解析プログラムに従ってコンピュータ10の指示により前記DNAマイクロアレイ22に対する流体の出し入れを実行する。
前記ヒーター部101は、スライドチップ2とステージ4の間に配置される。また、前記ヒーター部は、温度コントローラー9に接続され、コンピュータ10の指示に従って温度コントローラー9によって温度が調節される。好ましくは、反応ブロック100のDNAマイクロアレイ22に対応する数のヒータを備え、コントローラ9により個別に制御可能となっている。
前記コンピュータ10は、一般的なコンピュータに具備される構成要素を含む。図1には示していないが、例えば、前記コンピュータ10に具備される構成要素は、コンピュータ10の各部を総括して制御する主制御部であるCPU(Central Processing Unit)11と、前記CPU11における制御の基礎となる種々のプログラム等や表示されるべき画像データ等のファイルを記憶するメモリ12と、前記CPU11により実行された結果等を一時的に格納するためのRAM(random access memory)13と、プログラム等に基づく前記CPU11の指示に従ってそこにおいて画像データを生成する画像処理部14と、前記コンピュータ10にオペレーター、例えば、人間が情報を入力するためのキーボードおよびマウス等の入力部15と、前記コンピュータ10の指示により情報を表示するディスプレイやプリンタ等の表示部16を少なくとも具備すればよい。
また、撮像手段5により撮像された情報は、画像処理部14に送られ、メモリ12に記憶される解析プログラムに従いCPU11の指示に従って画像処理部14で処理されて光マーカー物質から生じる光信号の強度、例えば、蛍光強度として数値化される。
本発明で使用できるコンピュータは、一般的に使用される何れの電子コンピュータであってよい。
例えば、光マーカー物質が蛍光物質である場合、本発明で使用できる顕微鏡は、一般的に使用される蛍光顕微鏡であればよく、例えば、オリンパス社蛍光顕微鏡AX−70またはBX−42TFR等であってよいが、これに限られるものではない。
本発明で使用できる撮像手段は、光マーカー物質の種類に応じた一般的な光学的信号を撮像するために使用され得るそれ自身公知の手段で有ればよい。例えば、光マーカー物質が蛍光物質である場合には、そのような撮像手段は、好ましくは、蛍光画像を撮像するための手段である。そのような撮像手段の例は、例えば、CCD(charge coupled device)カメラおよび走査型共焦点カメラなどであるがこれらに限定するものではない。
CCDカメラは一般的に使用されるCCDカメラであればよく、例えば、一般的なデジタルカメラ、例えば、コダック社のMegaPlus CCDカメラ、フォトメトリック社のCool Pixカメラ等であるが、これに限られるものではない。また、走査型共焦点カメラも、一般的に使用されるものであればよい。
また、ここで該DNAマイクロアレイ22の温度を調節するための温度調節部は、該DNAマイクロアレイ22を具備するスライドチップ2に直接的または間接的に接触して熱を伝えるための加熱体(例えば、電熱ヒーター、電磁ヒーター、ウォーターバス、エアーバスおよびペルチエ素子等)、そこにおける温度を感知するセンサー、およびコンピュータの制御と前記センサーからの情報に従って加熱体における加熱を制御する温度コントローラーを含み得る。
前記コンピュータに対して、総合デジタル通信網(以下、ISDNと称する)への接続またはモデムを経由した電話回線への接続がなされてもよい。
上述の態様に具備されるステージ4は、上述の通り、XYステージコントローラ7により、XY移動が可能である。しかしながら、視野の変更は、このようなステージ側の移動に限定されない。例えば、撮像手段5自身によって、或いは撮像手段5とマイクロアレイ22を繋ぐ光路を変更させるような手段等、種々のスキャニング機構を用いて視野を変更してもよい。
2.スライドチップと反応ブロック
(1).DNAマイクロアレイを具備するスライドチップ
本発明において使用されるDNAマイクロアレイ22の1態様を図2(A)から(B)に示す。図2(A)は、スライドチップ2の平面図である。スライドチップ2は、そこにおいて反応を行うDNAマイクロアレイ22を4つ具備する。図2(B)は、スライドチップ2の断面図である。
図2(B)に示すように、スライドチップ2は、多孔質の材質からなるフィルタ19と、フィルタ19を支持するための支持板20とを具備する。前記フィルタ19に含まれるチャネルは分岐を有することが好ましい。しかしながら、必ずしも分岐のあるチャネルでなくてもよい。支持板20は、2つの部材、指示板20aと20bとからなる。この2つの部材がフィルタ19を挟み込んで接合されることにより、スライドチップ2が構成される。図2(B)に示すように、本発明の1態様に従うと、フィルタ19の上下に位置する支持板20aと20bは、DNAマイクロアレイ22を規定するための開口部21が形成されている。
また、図2(B)に示されるように、2つの支持板20aおよび20bの間に位置するフィルタ19は、4つのDNAマイクロアレイ22の全てを含む1枚のフィルタからなる。このフィルタ19は、4つのDNAマイクロアレイ22の全てを含む面積に亘って二次元的に広がりを持ち、平坦である。また、支持板20は、好ましくは遮光性のある部材により構成され、より好ましくは暗黒色の部材により構成される。好ましくは、2つの支持板20aおよび20bは、フィルタ19を間に挟んだ状態で接合される。
フィルタ19の材質は、そこにおいて実施され得る温度制御の範囲内で破損されなければ、何れの任意の材質であってもよい。
DNAマイクロアレイ22は、支持板20に形成された開口部21から露出するフィルタ19の部分をいう。フィルタ19に含まれるチャネルは分岐を有しても、分岐を有してなくてもよいが、好ましくは分岐を有する。フィルタ19に具備される全てのチャネル24はほぼ等間隔に配置されるのが好ましいが、少なくとも、支持板20から露出したマイクロアレイ22において全てのチャネル24はほぼ等間隔に配置されればよい。
フィルタ19の厚みを一定にし、更に、そこに具備される全てのチャネル24の形状がなるべく等しくなるようにフィルタ19が製造されれば、何れのチャネル24もほぼ均等な容積を具備するものとなる。またここで、フィルタ19の厚みを充分に薄くし、且つチャネル24の口径を充分に小さいサイズにしてもよい。それにより、所要量のサンプルおよび/または試薬を多数のチャネルに対して分配することができる。該フィルタの1表面の特定面積当たりに、所望量の液体を収容するのに必要な個数のチャネルを作成し、その所定の面積に対してサンプルおよび/または試薬を供給すれば、フィルタ19の多孔質膜内で安定した分析を実行することができる。例えば、フィルタ19の片方ないし両方の面を、制御された所望温度の気体と接触させることによって、チャネル内の液体を直接的に昇温および降温操作できる。これに対して、1本の細長い管状キャピラリーからなる反応容器を用いて、所定量のサンプルおよび/または試薬をそのキャピラリーに収容して分析を行おうとする場合、温度制御を充分に行うためには、なるべく伝熱性の高い材質を選択して当該キャピラリーを構成する必要がある。また良好な光測定のためには、なるべく該キャピラリーの壁面が平坦であるような形状である必要がある。
更に、図2(A)のスライドチップ2の直ぐ上部に示す図2(C)は、マイクロアレイ22(DNAマイクロアレイとも称す)の拡大図である。マイクロアレイ22には、複数のチャネル24が存在する。また、マイクロアレイ22の一部のチャネルの内壁に核酸プローブが固定される。核酸プローブが固定された領域がプローブスポット23(単にスポットとも記す)である。図2(C)に示されるように、各DNAマイクロアレイ22には、複数のプローブスポット23が具備される。
プローブスポット23およびその周辺を拡大した図が、図2(D)である。図2(D)では、便宜上、プローブスポット23に含まれるチャネル24を黒丸で示し、プローブが固定されていないチャネル24は白丸で示す。プローブスポット23は複数のプローブを具備するチャネル24からなる領域である。通常、1つのプローブスポット23は、支持板20から露出されたフィルタ19に存在するチャネル24のうち、そこにおいて1種類のプローブが固定されるための最小単位と見なしてもよい。即ち、プローブの固定は、プローブスポット23に含まれるチャネル24の内壁面に対してのみ行えばよい。
該図2(C)および(D)では略円形の領域が示されているが、プローブスポット23の輪郭は、略円形、略矩形または多角形であってもよい。
所望に応じて、複数のプローブスポット23に対して同じプローブを固定してもよい。また、チャネルの内壁に表面処理を施し、流体への摩擦抵抗やプローブ等の試薬の吸着性を調節してもよい。
本スライドチップの大きさは0.5〜20.0cm×0.5〜20.0cm×0.01〜1.0cm、好ましくは1.0〜10.0cm×1.0〜10.0cm×0.05〜0.5cmある。特に好ましくは、3.0〜8.0cm×3.0〜8.0cm×0.05〜0.2cmであればよい。実際の作成したスライドチップの1例は約7.5cm×約2.5cm×約0.1cmである。
本マイクロアレイは、3.0mm2〜16mm2、好ましくは12.0〜400mm2、特に好ましくは20.0〜100.0mm2であればよい。実際に作成したスライドチップ上の円形なマイクロアレイは直径約6mm(約28.3mm2)である。
本DNAマイクロアレイに含まれるプローブスポットは直径100〜300μmであり、好ましくは120μmであり、1DNAマイクロアレイ当たり10〜1000、好ましくは400のプローブスポットが具備されればよい。多孔質のフィルタの目の粗さは0.05〜0.6μm、好ましくは0.2μmであればよい。核酸プローブは、プローブスポット毎に異なる種類となるように固定されてもよい。
ここで使用される「DNAマイクロアレイ」の語は、そこにおいて1種類の反応が実施されるための1反応単位である。そこには核酸プローブを固定された複数のチャネル24からなるプローブスポット23が複数具備される。従来使用されるDNAチップは、スライドグラスの表面にプローブが固定化され、それによって二次元的に広がる反応領域が形成されている。このような従来のDNAチップとは異なり、本発明のDNAマイクロアレイは、基板に対して、その表面における二次元的な広がりに加えて、該表面に対して垂直方向(即ち、その厚み方向)の広がりも有し、それにより三次元的に展開される反応領域を有している。
本発明において使用するのに好ましいDNAマイクロアレイの例は、特表2000−515251号に記載のデバイス、特表平9−504864に記載の微細加工フロースルー多孔性装置であってよい。
また、図2にはDNAマイクロアレイ22を4つ具備するスライドチップ2を示したが、4以上としてもそれ以下としてもよい。本明細書では、1つの好ましい態様として4つのDNAマイクロアレイ22を具備するスライドチップ2について説明したが、これに限られるものではない。また、その変更に伴い、装置の他の構成および実行の際の手順が変更されることは当業者には明白であり、そのような変更も本発明の範囲に含まれるものである。
例えば、4つのDNAマイクロアレイ22を具備するスライドチップ2を使用した場合、夫々のDNAマイクロアレイ毎に異なる検体について検査してもよく、または1枚のチップ中で1つの検体について異なる4つの種類の解析、例えば、癌遺伝子の突然変異、発現解析、薬剤耐性遺伝子、および細胞内シグナル遺伝子の発現パターンの決定等を実施してもよい。
また、1つのマイクロアレイ22当たりに含まれるチャネル24の本数、配置密度、配置パターン、口径等の大きさは、適宜変更でき、1チャネルの形状および/口径を、異なる箇所間で異ならせてもよい。
上述した態様では、フィルタ19の外観は、2次元的な広がりを有した平面を有し、且つ該平面に垂直な方向に一定の厚みを有した扁平な部材である。しかしながら、本発明に従って使用されるフィルタはこのような形状に限られるものではない。また、該チャネルが、該扁平な部材に対して垂直に配置されていなくてもよい。
ここで使用される「核酸プローブ」の語は、一般的に、約10ヌクレオチド以上約100ヌクレオチド以下の核酸からなるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドであり、一般的にハイブリダイゼーションにより核酸を検出する場合に使用される核酸プローブであればよい。
例えば、P53、c−myc等の癌遺伝子や、癌抑制遺伝子に対応するオリゴヌクレオチドであっても、疾患関連または感受性遺伝子に対応するオリゴヌクレオチドであっても、多型部位を含む配列に対応するオリゴヌクレオチドであっても、何れの所望する核酸もプローブとして使用することが可能である。
また更に、解析の対象となる遺伝子の他に、試料の定常状態を測定するためのβグロブリンやアクチンなどのハウスキーピング遺伝子に対するプローブを使用してもよい。このようなハウスキーピング遺伝子の量を細胞内の基準的な遺伝子量として、実際の癌遺伝子や、癌抑制遺伝子または薬剤耐性遺伝子の発現量を測定してもよい。このようにすれば、より正確な細胞内の遺伝子発現量を測定することが可能である。
ここで使用される「標的核酸」の語は、試料に含まれる検出されるべき核酸を示す。
本発明の態様に従うと、上述したDNAマイクロアレイ22を配置したスライドチップ2を用いて分析を行う場合、このようなスライドチップ2には、複数のDNAマイクロアレイ22が含まれる。DNAマイクロアレイ22に複数具備されるプローブスポット23は、そこにおいて微量な液体を収容できる3次元的な空間を有するチャネル24を複数具備する。チャネル24は3次元的な空間を有するが、そのチャネル24に流体を出し入れするための全ての開口部は、同一平面上に2次元的に配置されている。従って、スライドチップ2を上方より見たときに得られる平面においては、プローブスポット23は非常に狭い面積でしかないように見える。しかし、その実体は、狭い面積開口部より下方に伸びる3次元的な空間が具備されるものである。
例えば、プローブスポット毎に条件を変えれば(例えば、固定するプローブの種類を変更したり、表面処理を変更する等)、微小な1つのDNAマイクロアレイ中で非常に多くの情報を充分な感度で得ることができる。また、DNAマイクロアレイ毎に温度制御や、測定データの解析を行えるので、小型の装置において多項目の反応結果を迅速に得ることができる。また、プローブスポット毎に温度制御したり、測定データを解析してもよく、その場合、更に、多項目の反応結果を迅速に得ることが可能である。
上述した本発明の態様では、多孔質膜のチャネルの内壁にプローブが固定された例を示したが、該プローブは必ずしも固定される必要はなく、多孔質膜のチャネルの内壁に試薬を固定しないで、自由に液相中を浮遊または懸濁させた状態で行う反応系に対しても、本発明は適用することが可能である。その場合、該プローブを固定化しないこと以外は、上述の態様と同様である。この場合、「プローブスポット」は「反応スポット」と称することも可能であるが、ここでは「反応スポット」はプローブスポットの1態様として包含され説明される。また、このような装置も本発明の範囲に含まれる。
本発明の態様に従うDNAマイクロアレイ22は、上述したような3次元構造を有している。そのために、同じ顕微鏡視野内でも従来の平板状のDNAチップに対して約300倍〜約800倍、実用範囲では約500倍の表面積を有している。更に、本発明の態様に従うDNAマイクロアレイ22では、上述したような微小フィルタ構造の内壁でサンプル等の液体の流動がなされる。そのために、従来の平板状DNAチップに対して反応の立ち上がりが顕著に早く、反応開始から約5分後で約100倍、約15分後で約10〜50倍の検出感度が得られる。これらの有利な条件により、3次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部をその開口部が同一平面上に配置されるように二次元的に多数配置してなる。従って、そこにおいて予め光マーカー物質を標識された標的核酸と前記核酸プローブとの間でハイブリダイゼーション反応を行うためのDNAマイクロアレイを用いれば、従来必要とされた視野よりも小さな視野内に多数の別々の反応領域(プローブスポット)を配置することが可能になる。ここで、図1に示したようなズーム手段17を具備する撮像手段は、好ましくは、小さな倍率では多数の反応領域を一望することができと同時に、高い倍率では当該撮像手段は、所望の限られた個数の反応領域を拡大観察することができる。ズーム手段17は、好ましくはガルバノミラーなどによる光路変更機構を具備している。これにより、縮小倍率では視野範囲に多数の反応領域が含まれるようなアレイ上の領域であっても、そのうちの任意の反応領域に対してのみ、所望の拡大倍率で且つ所望数の反応領域が収まるように、撮像用の視野を位置付けることが可能になる。また、ズーム手段駆動装置18は、かかる撮像視野の拡大および/または縮小を実行して、指定された所望の反応領域を自動測定したり、オペレータの指示によって瞬時に目的の反応領域をディスプレイに表示する。
(2)反応ブロック
反応ブロック100は、少なくとも1つの反応液収容部、好ましくは複数の反応液収容部、例えば、図8に示されるように4つの反応液収容部を有している。反応液収容部の各々は、図9に示されるように、反応ブロック100の上面に開口した上側ウェル152と、上側ウェル152の下方に位置する下側ウェル112と、下側ウェル112と外部空間を連絡する流路114とを有している。
続く説明では、反応ブロック100は、これに限定されるものではないが、4つの反応液収容部を有しているものとして進める。
反応ブロック100は、上側ウェル152と下側ウェル112の間に配置された反応部としてのDNAマイクロアレイ22を更に有している。言い換えれば、上側ウェル152と下側ウェル112はフィルタ19からなるDNAマイクロアレイ22によって仕切られている。DNAマイクロアレイ22は、図2で説明したように、多孔質体の内壁に固定された核酸プローブを有している。
反応ブロック100は、その上面に開口した上側ウェル152を有しており、このような上側ウェル152は、反応ブロック100の上方からの反応部132の光学的な観察を可能にしている。
反応ブロック100は、上述した構造を得るため、図9に示されるように、容器本体を構成するベース110と上板150と、反応部132を有するアルミナ多孔質体130とを有している。ベース110と上板150は、例えば、ポリカーボネート製であり、アルミナ多孔質体130を間に挟んで、ねじ止めや接着など任意の適当な手法によって互いに固定される。また、本発明の態様に従う反応ブロック100の材質は、ポリカーボネートに限定するものではなく、耐圧および熱伝導レベルが高い材質であれば何れの材質を使用してよい。
ここで、図9に示すように、各上側ウェル152と各下側ウェル112毎にそれぞれOリング155とOリング117のようなパッキン部材を用いて機密性を確保した状態にするのが好ましい。ウェル毎にパッキン部材で機密性を得るようにすれば、外部空間からの影響は勿論のこと、ウェル間の影響も回避できるので好ましい。
上板150は、上側ウェル152を規定するためのテーパー状の貫通孔と、上板150の上面を貫通孔(上側ウェル152)から延びている溝154とを有している。
ベース110は、下側ウェル112を規定するための凹部と、凹部(下側ウェル112)と外部空間を連絡する流路114とを有している。より詳しくは、ベース110は、平らな側面118を有しており、流路114は、凹部(下側ウェル112)の底面から延び、ベース110の側面118のジョイント部120で終端している。ベース110は、更に、側面118(即ち流路終端面)に、流路114の開口端を取り囲んでいるリング溝116にOリング119を配設している。この例では、4つのジョイント部120が、別々のチューブと連結されてポンプドライバ8に接続される。
ベース110は、更に、反応部132の破損、即ち裂けや破れを避けるために、反応部132の変形を抑えるための、凹部(下側ウェル112)の底面に形成された1つまたは複数の突起を有していてもよい。突起は、ピン状の形状であっても、板状の形状であってもよい。
前述したように、反応液収容部は、図9に示されるように、上側ウェル152と下側ウェル112と流路114とで構成されている。下側ウェル112と流路114の容積の合計は、上側ウェル152の容積よりも大きい。従って、下側ウェル112と流路114は、最初に上側ウェル152に入れられる反応液の全量を収容し得る。流路114は、十分な容積を得るために、拡張部分、いわゆる液だまりを有していてもよい。
反応液の蒸発を抑えるため、好ましくは、反応ブロック100は平らな上面を有し、その上に対してDNAマイクロアレイ22の上面が若干上方位置に間隙を介するように、耐圧性および耐熱性を有する観察窓410が載せられる。観察窓410は上側ウェル152の全体を覆い、溝154を部分的に覆うように配置される。上側ウェル152の全体的な覆いは反応液の蒸発を最小に抑える。本発明の態様において使用可能な観察窓410は、例えば、ガラス、ポリメチルペンテンおよびポリカーボネートなどで形成すればよい。
本発明の態様では、反応成分であるサンプルと試薬を、各DNAマイクロアレイ22に収容させ、上記観察窓410を取り付けて一体化された閉鎖型反応ブロック100をオペレータがステージ4上にセットすることで検査がスタートされる。
3.ソフトウェア
次に、上述のような本発明の態様に従う遺伝子検査装置を機能させるために必要なソフトウェアについて説明する。また、ここでは本発明の態様として、光マーカー物質として蛍光物質を用いる場合の例を用いて説明する。しかしながら、これに限定するものではない。
図1に示されるコンピュータ10に具備される前記メモリ12には、CPU11を介して本装置を制御するためのプログラム、CPU11により検索されて制御および判断の根拠となるテーブル等の情報、並びに、得られた結果を表示する場合に利用される画像データ等が記憶される。
例えば、解析プログラムは、遺伝子解析を実施するためのプログラムであり、当該解析をコンピュータによって処理させるための仕事の手順に関する命令を含んでよい。
例えば、反応進行プログラムは、DNAマイクロアレイ22において行うべき反応をコンピュータによって処理させるための仕事の手順に関する命令を含んでよい。反応進行プログラムには、反応、例えば、ハイブリダイゼーションに必要な試薬の選択、使用する試薬の量、反応時間および反応温度等の反応条件、ポンピングの回数および時間、ポンピング開始時期の液体輸送および撹拌条件等に関する命令が予め含まれてもよく、或いは解析開始時にオペレーターにこれらの情報を入力するように指示する命令が含まれてもよい。また、これらの反応の条件は、反応条件プログラムとして反応の手順とは異なるプログラムとしてメモリ12に記憶させてもよい。
上記のプログラムは本装置を制御するためのプログラムの例であるが、それ以外の必要なプログラムをメモリ12に記憶させてもよい。
例えば、遺伝子対応テーブルは、得られた蛍光強度と、反応条件と、遺伝子発現量、発現遺伝子および遺伝子の突然変異等との関連付けを明記するテーブルであってよい。
4.装置の作用
図3に示したフローチャートを用いて上述した本態様の作用を説明する。また、ここでは本発明の態様として、光マーカー物質として蛍光物質を用いる場合の例を用いて説明する。しかしながら、これに限定するものではない。
(S1)オペレーターが、ステージ4上にヒーター部と接触するようにスライドチップ2をセットし、前記スライドチップ2の各DNAマイクロアレイ22に対してジョイント部を接続する。
(S2)オペレーターが入力部15に入力して、本装置に対して解析開始の指示が出される。このときオペレーターは反応の条件に関する情報を入力するが、これらの情報は、RAM13に格納される。
(S3)オペレータにより解析開始の指示が出されると、CPU11は、予め設定されメモリ12に記憶された座標とメモリ12に記憶された解析プログラムに従って、XYステージコントローラ7に対して、4つのDNAマイクロアレイ22の中で未解析で且つ認識番号の小さいDNAマイクロアレイ22が撮像手段5の視野に入る位置にように指示する。指示されたXYステージコントローラ7がモータドライバ6を駆動して、XYステージ4が動かされる。ここで、使用されるスライドチップ2におけるDNAマイクロアレイの数と、夫々に対応する認識番号と、それが位置する座標とは、それらが対応付けられたテーブルとしてメモリ12に記憶されている。従って、CPU11は、未解析のDNAマイクロアレイ22のうちで認識番号の最も若いものを選択し、前記テーブルを検索することにより、目的とするDNAマイクロアレイ22の座標を読み出し、それを基に指示を出す。
(S4)目的のDNAマイクロアレイ22が撮像手段5の視野に入る位置に配置されると、CPU11は、メモリ12に記憶された反応進行プログラムに従って指示を出し、ポンプドライバ8および温度コントローラ9を制御して、複数の反応を繰り返し実行させる。CPU11は、メモリ12に記憶された反応進行プログラムに従って、各反応の終了毎に撮像手段5に指示を出し、撮像を実行させる。(S4)については更に詳しく後述する。
(S5)S4における撮像手段5による撮像がなされる毎に、CPU11は、得られた画像情報を画像処理部14からRAM13に転送させ一旦格納させる。
(S6)CPU11は、直前のS3で選択され反応に供されたDNAマイクロアレイ22の認識番号をRAM13から読み出し、それを基にスライドチップ2に具備される4つのDNAマイクロアレイ22に未解析のものが残っているか否かを判断する。未解析のDNAマイクロアレイ22がある場合には(S3)へ進み、そうでない場合には(S7)に進む。
(S7)CPU11は、解析プログラムに基づいて(S5)でRAM13に格納された画像情報を読み出し、該情報から蛍光強度を算出する。得られた蛍光強度とその蛍光強度を得たときの反応条件を基に、CPU11は、遺伝子対応テーブルを検索し、対応する遺伝子情報を読み出す。これらのデータから、CPU11は、画像処理部14に遺伝子解析結果のテーブルを作製させ、算出された蛍光強度反応条件と遺伝子対応テーブルそのデータを画像処理部14に送り、そこにおいて、結果のテーブルを作製させ、このテーブルをRAM13に記憶させる。
(S8)CPU11は、画像処理部14に対して、RAM13に記憶させた遺伝子解析結果のテーブルの画像を表示するように指示する。これにより画像処理部14はRAMから必要な情報を読み出して画像処理し、表示装置に表示する。
上述では、S2においてオペレーターが入力する反応条件に関する情報は、例えば、反応温度、反応時間、反応回数および試薬の選択等であってよい。または、これらの情報は、S2においてオペレーターにより入力されるのではなく、予めメモリ12に記憶された反応進行プログラムまたは反応条件プログラムに含まれていてもよい。
また、上述の手順では、各DNAマイクロアレイ22毎に解析を行う例を示したが、全てのDNAマイクロアレイ22に関して同時に解析を行ってもよい。また、上記では解析されるDNAマイクロアレイ22は、予め割り当てられた認識番号の順に自動的に選択される場合を記載したが、解析毎に、オペレーターが解析を実行するDNAマイクロアレイ22を選択し、入力部15からの入力によって所望の解析を実行するように指示してもよい。
また、該コンピュータに対してISDNまたは電話回線への接続を行えば、当該解析により得られた結果を、所望のゲノムデータベースまたは塩基配列データベースを検索して得られた情報と比較することも可能である。この手順は、メモリ12に記憶された比較プログラムを基にCPU11がデータベースを検索し、装置により得られた結果と比較し、同定するように設定してもよい。
5.DNAマイクロアレイにおける反応
上記(S4)における反応について、図4を用いて更に説明する。
(S41)目的のDNAマイクロアレイ22が撮像手段5の視野に入る位置に配置されると、CPU11は、メモリ12に記憶された反応進行プログラムに従って、温度コントローラ9に指示を出し、ヒーター部を制御させることによって、目的のDNAマイクロアレイ22の温度を所定の第1の温度に維持する。更に、CPU11は、前記反応進行プログラムに従って、ポンプドライバ8に指示を出し、試料を目的のDNAマイクロアレイ22に添加させ、ポンピングにより撹拌を実行しながら、反応を実施させる。
(S42)メモリ12に記憶された反応進行プログラムに従って、所定の反応時間に亘って反応が実施された後、CPU11は、前記反応進行プログラムに従って、ポンプドライバ8に指示を出し、試料を目的のDNAマイクロアレイ22から一次退避させ、撮像手段5に撮像を実行させる。
(S43)撮像手段5の撮像の終了後、CPU11は、前記反応進行プログラムに従って、ポンプドライバ8に指示を出し(S42)において一次退避された試料を再びDNAマイクロアレイ22に添加させる。このとき、撹拌作用も機能している。
(S44)CPU11は、前記反応進行プログラムと(S1)においてオペレーターにより入力されRAM13に格納された条件を読み出し、更なる温度設定および/または溶媒組成等を変更した更なる反応条件下で反応を行う必要があるか否かを判断する。必要であれば(S41)に進み、不要であれば(S5)へ進む。
6.解析対象および前処理
本発明の装置により実施可能な解析の例は、被験者における癌遺伝子等の突然変異の有無の検出、被験者における遺伝子の発現解析、薬剤耐性遺伝子の発現解析、被験者における疾患関連または感受性遺伝子の遺伝子型決定、被験者における細胞内シグナル遺伝子の発現パターンの決定等、臨床的な治療学的および診断学的解析、並びに非臨床的な基礎研究においても種々の遺伝子解析等である。
一般的に、遺伝子検査に用いるサンプルは、ヒトの場合、血液、培養細胞、生検または手術時に採取された細胞または組織等の生体組織等が使用できる。
例えば、内視鏡的に採取された組織切片の場合、該組織切片をスライドガラス上に固定し、染色し、病理検査を行った後のスライドグラスから、マイクロダイセクションシステムであるレーザーキャプチャーシステム、オリンパス社製LCS200によって癌病巣部分の組織の部分のみを採取したものを使用することができる。
本装置による解析に先駆けて、このようにして得られた生体サンプルは、フェノール・クロロホルム法、マイクロカラム法、または磁性粒子法等を利用した核酸抽出試薬によって処理し、DNAおよび/またはRNAを抽出される。更に、抽出されたDNAおよび/またはRNAについて、PCR法、RT−PCR法、T7増幅法等によって遺伝子増幅を行う。しかしながら、核酸量の多いサンプルの場合には、遺伝子増幅を行うことなくcDNAを調製すればよい。但し、何れの場合においても、プライマーの5’端か、合成されたヌクレオチドのどこかに標識物質、例えば、FITC、ローダミン、Cy3およびCy5等、蛍光標識物質の何れかが付加されるように試薬組成を最適化することが好ましい。
このような解析に使用する試料の調製は、例えば、「DNAマイクロアレイと最新PCR法」(細胞工学別冊;ゲノムサイエンスシリーズ1、秀潤社、2000年3月16日発行)等に記載されるように、一般的にそれ自身公知の方法により行ってよい。
上記の蛍光標識を行った後、ピペットによってオペレーターが手動で得られた調製済みの試料をDNAマイクロアレイに分注してもよい。その後、上述のような装置により、解析を行えばよい。
7.解析方法
以上のように我々は、フィルタを用いることにより、短時間に高効率のハイブリダイゼーションを行うことが期待できる三次元DNAマイクロアレイを反応部に用いて、溶液制御用のポンプ、温度調節用の温調システム、高感度な蛍光検出装置と、コンピューターによって制御する撮像デバイスを組み合わせた遺伝子検査システムを本発明の1態様として完成した。また、ここでは本発明の態様として、光信号として蛍光を用いる場合の例を用いて説明する。しかしながら、これに限定するものではない。
このようなシステムにより実施される遺伝子解析方法も本発明の範囲に含まれる。図5のフローチャートを用いて本発明の方法を説明する。
(Sa)先ず、試料を調製する。被験対象から採取した組織または細胞から核酸を、例えば、フェノール・クロロホルム法などにより抽出する。
(Sb)(Sa)で得られた核酸を、PCR法またはNADBA法等により増幅し、且つ蛍光標識を行う。また、核酸の量が多い場合には、蛍光標識のみ行う。
(Sc)(Sb)で得られた蛍光標識された核酸を、スピンカラム法またはエタノール沈殿法などにより精製する。
(Sd)(Sc)で得られた核酸を変性により1本鎖標識核酸にする。その後、核酸プローブを固定化したDNAマイクロアレイに、得られた1本鎖標識核酸を添加する。
(Se)試料を含有するDNAマイクロアレイについて、所望の条件下でハイブリダイゼーションを行う。このとき、DNAマイクロアレイ中の液体をポンピングまたはピペッティング等により撹拌することが好ましい。
(Sf)(Se)でのハイブリダイゼーションを行った後、DNAマイクロアレイ中の液体を、該アレイの下部に留め、核酸プローブに結合した標識核酸に含まれる蛍光強度を測定する。
(Sg)(Sf)における蛍光強度の測定が終了した後、所望の反応条件下で、再度ハイブリダイゼーションを行い、上記同様、蛍光強度を測定する。種々の反応条件下でこの操作を必要な回数だけ繰り返す。
(Sh)(Sg)の反応が終了した後に、DNAマイクロアレイ中の試料をそのままの状態を維持しながら、即ち、希釈または不純物等のコンタミネーションのないように、回収し、その後、前記核酸プローブに結合した標識核酸に含まれる蛍光強度を測定する。
(Si)(Sf)および(Sh)で得られた蛍光強度を基に、発現遺伝子量の判定および突然変異遺伝子の有無等の判定を行い、目的の遺伝子に関する情報を得る。
(Sj)(Si)で得られた目的の遺伝子に関する情報を、データベースに開示される公知の遺伝子情報や、標準試料から得られた解析結果と比較する。
(Sk)(Sj)の比較の結果から、被検対象からの試料に関する遺伝子解析についての判定を行う。
ここでは、2つの反応条件を用いて2つの反応を連続して行ったが、必要に応じて、連続する反応の回数および蛍光強度の測定回数を増やすことも可能である。その場合、上記(Sf)から(Sg)を必要な回数で繰り返せばよい。
本発明の態様として上述した装置は、ステージに置かれた反応要素(即ち、スライドチップ)に対して液体の分注、撹拌、温度制御および測定を常時実行できる構成になっている。従って、あらゆる種類の反応系を小さなスペースで容易に達成できる。従って、本発明の装置は、あらゆる遺伝学的検査に有用な優れた手段となり得る。
また、本発明に従うと、少なくとも1個のDNAマイクロアレイは、CCDカメラや走査型共焦点カメラなどの撮像手段の撮像可能な範囲に収まる程に充分に小型であるので、測定すべきDNAマイクロアレイ内の複数の別々のプローブスポットに対して、光学的なスキャニングを行う必要はない。このことにより、同一のDNAマイクロアレイ内の各スポットの反応を同時に且つ継続的にモニタリングすることが可能となり、多項目の同時検査に非常に有利である。
本発明の更なる側面に従うと、本発明は、同一の試料に対して複数の検査を連続して行うことが可能であり、従って、複数の検査結果を迅速にまたは任意の時機に得ることが可能な装置を提供するものである。
本発明に従うと、このような測定装置において、プローブスポット毎に適用された各々の試薬(例えば、核酸プローブおよび核酸プライマー等)の種類または各々の反応条件を、各試薬毎または各反応条件毎に得た各々の測定データと照合しながら測定データの解析を行う解析用ソフトウエアも提供される。
また特に、本発明に従う装置では、同一のプローブスポットにおいて、複数種類の反応を同時、逐次、または順次に実行することが可能である。従って、そのような複数種類の反応を達成するために必要な反応条件を容易に整えること、およびそのような複数種類の反応により得られた複数のデータを正確に読み取り且つ処理することを可能にする新規な読み取り手段を、本発明に従う装置が具備していてもよい。
例えば、そのような読み取り手段は以下を実行するような手段であり得る;
i)1つのDNAマイクロアレイにおいて測定されるべきプローブスポットの位置情報とそのプローブスポットへの制御情報(例えば、試薬毎の好適温度、検査目的など)とを組み合わせてなる検査項目情報を、メモリ回路等の記憶手段に記憶すること、
ii)実際に前記DNAマイクロアレイ内の全てのスポットにおいて実施された制御をモニタリングし、そのモニタリングされた実際の制御条件と、前記i)の検査項目情報とを照合し、その照合結果をメモリ回路等の記憶手段に記憶すること、および
iii)前記 ii)のモニタリングされた制御条件下で行われた測定結果を、前記 ii)で得られた照合結果と対応付けた測定データとしてメモリ回路等の記憶手段に記憶すること、または
iv)前記 ii)のモニタリングされた制御条件下で行われた測定結果を、前記 ii)で得られた照合結果と対応付け、更に、CPU等のデータ処理手段によって、前記測定結果を前記照合を基に補正するような演算処理を行うこと。
従って、そのような読み取り手段は、該検査項目情報、モニタリングされた制御条件、測定結果および測定データ等のデータを記憶するための記憶手段と、前記記憶手段に記憶された各データを読み出して比較および照合を行ったり、必要な演算処理するためのCPU等のデータ処理手段とを具備する。
また、このような新規な読み取り手段自体も、そのような読み取り手段を具備した装置も、本発明の態様として提供される。
係る読み取り手段によれば、撮像手段の同一の視野内(例えば、CCDの1視野内)の全てのスポットについて、複数のスポット間で全部または一部の反応が時間的に重複するような異なる種類の反応結果や、少なくとも1つのスポットにおいて実行される複数の異なる反応条件での反応結果を、取り違えることなくメモリ等に記憶し、更に必要に応じて取り出して、所望の判定結果を出力することが可能である。
上述の態様では、光マーカー物質として蛍光物質を使用した場合を1例として中心に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。即ち、使用する光マーカー物質は所望に応じて変更することが可能である。従って、上述したような発光物質を使用した場合には、それに応じて必要箇所を変更すればよく、そのような変更を行った態様も本発明の範囲内である。
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、上述した詳細な説明および図面は、本発明の態様を例示することを目的とするものであり、従って、それらによってに本発明は限定されるものではなく、本発明は、種々の均等物および現在の自明な技術知識に基づく、種々の改良された発明または変形された発明を包含するものである。
[実施例]
1.遺伝子解析
図1および図2に示すような本発明の態様を用いて遺伝子解析を行う。
遺伝子を測定する容器として、検査対象である標的遺伝子と相補性を有する複数の遺伝子を表面に固定化した多孔質のフィルタを収めたチップを用いる。この多孔質のフィルタを収めたスライドチップを、蛍光顕微鏡のステージに置かれた反応部分(インキュベーター部分)に設置する。この蛍光顕微鏡は、ホストコンピュータによって、励起光シャッター、蛍光キューブ、ステージ移動などを自動的に制御することが可能なように構成されている。また、蛍光顕微鏡にはCCDなどの画像を撮影するデバイスが設置されていて、撮影のタイミングもホストコンピュータによって制御されている。また、露出時間、画像の保存および冷却状態などの制御も、同じコンピュータによって制御することが出来る。また、インキュベーターには、液体を輸送するためのポンプ、および温度制御用のヒーターかベルチエ素子が設けられていて、これらの制御もまたホストコンピューターによって行うことができる。
サンプルをチップの測定領域に滴下したあと、ポンプによって反応液をチャネル内を行き来するように移動させて、ハイブリダイゼーション反応を加速する。インキュベーターの下部のチャネル内に続く溶液を移動させ、反応液の液面がフィルタの上面に接した時に、励起光シャッターを開けてフィルタ表面の蛍光画像をCCDカメラや走査型共焦点カメラなどのデバイスによって撮影する。撮影された画像データは、コンピュータの指定されたメモリ内のフォルダーに保存され、別にインストールされた解析用のプログラムによって測定結果を解析する。
このように、ハイブリダイゼーションを促進するためのポンプ、温度変化をチップに与えるためのヒーター、更に、必要に応じて、溶液組成を変化させるピペッターシステムをインキュベーターの周囲に配置することによって、この一個の検査システムによって連続して様々な温度や溶液状態におけるハイブリダイゼーションのパターンを得ることができる。また、測定に用いる蛍光標識の種類に応じて異なる波長によって標識物質を励起し、異なる蛍光波長の画像を撮影することも出来るので、試料の中に複数の蛍光色素によって標識された物質が入っている場合でも、フィルタキューブを自動的に切り替えることにより、例えば、2色の蛍光強度比などを簡単に測定することができる。このようにして得られたスポットの蛍光強度から、チップ表面に固定化されたプローブとハイブリダイゼーションした標的遺伝子の量を解析する。この検査装置を用いることによって、C−myc等の癌化に従って、発現量が大きく変動する遺伝子の発現量を鋭敏に検出することが出来る。
また、インキュベーターの温度変化によって生じる蛍光スポットの蛍光強度変化のパターンを解析することにより、K−Ras、P53といった癌化に大きな影響のある遺伝子の突然変異を検出することができる。このようにして細胞内部で複雑な細胞機能を制御している遺伝子の発現量と、遺伝子の内部に生じた突然変異という2つの生理学的に重要な遺伝子の変異を短時間のうちに同一の装置によって解析することが可能となる。また、ここで、用いられるサンプルの調製方法は、従来の遺伝子検査で用いられているものと同様であり、この装置によって得られた結果は、インターネット上で公開されているGenBankなどのデータベースにある遺伝子情報と容易に比較検討することが出来る。
このような本発明の態様に従う装置を用いることによって、反応部分の溶液の状態や、温度条件を変化させながら標的遺伝子のハイブリダイゼーションの程度をリアルタイムで測定することができる。
以上のような本発明の態様に従う装置を用いることによって、反応部分の溶液の状態や、温度条件を変化させながら標的遺伝子のハイブリダイゼーションの程度をリアルタイムで測定することができるようになった。この発明を用いることによって、対象遺伝子の発現量を正確に測定することが出来るようになった。
また、発現量の測定に引き続いて、自動的にマイクロアレイの温度や反応溶液の溶液組成を変化させることによって、異なるプローブへのハイブリダイゼーションの効率を強制的に変化させ、その結果から、標的遺伝子内に生じている突然変異、例えば、一塩基多型(以下、SNPと称す;Single nucleotide polymorphism)等の種類を検出することが出来る。このシステムを用いることによって、癌などの進展の程度や悪性度、或いは転移の可能性、疾病のステージなどがより正確に予測できることが期待される。
また、同時に治療薬に対する感受性に影響するP450などの薬剤感受性遺伝子の発現量と、活性に影響あるSNPsの検査も同時に行うことが出来る。このようにして疾患の原因遺伝子の異常のみならず、薬剤に対して感受性のある遺伝子のの異常を同時に検査することで、選択する治療薬の種類や温度を患者の体質に合わせて最適化することが可能になる。また、得られた遺伝子異常に関する情報を基にして、将来的に高い治療効果が期待されている遺伝子治療に用いる遺伝子の選択が正確に行える。
2.C−myc、エストロゲンレセプター、テロメラーゼの発現量の測定
C−myc、エストロゲンレセプター、テロメラーゼの発現量の測定をおこなうためのスライドチップの例を図6に示す。該スライドチップには、図6(A)には、夫々のプローブスポットに固定される核酸プローブとハウスキーピング遺伝子の配列を示す。表中の番号はプローブスポットに割り当てた番号に相当する。図6(A)に示されるようなc−mycを含む複数の遺伝子に対するプローブと、ハウスキーピング遺伝子が固定される。図6(B)には、DNAマイクロアレイに具備されるプローブスポットに割り当てた番号を、模式的に記した各プローブスポット上に示す。夫々のプローブスポットには、番号に対応するように図6(A)に示された核酸プローブとハウスキーピング遺伝子が固定される。各核酸プローブは、種類毎にプローブスポットに点着によって固定されている。
図6(C)および図6(D)は、図6(B)のパターンで固定されたプローブと検体核酸とを本発明の態様に従ってハイブリダイズし、解析した結果を模式的に示す図である。図6(C)は、正常な被験者からの試料により得られる結果を示し、図6(D)には異常のある被験者からの試料により得られる結果を示す。このような結果から蛍光の有無を判定することにより、被験者において発現された遺伝子を検出することが可能である。
このようなスライドチップを使用し、発現解析を行ったチップの周囲温度や溶液組成を変更することにより、または試料中の標識核酸とプローブ近傍の温度をTM(Melting Temperature)値に近い条件にすることによって、各プローブの至適反応条件が達成される。それによって、これらの遺伝子の内部に生じた突然変異の解析を行うことが可能である。
図7には、異なる塩基配列を有するプローブに対して生じた蛍光スポット強度の比較を行うことにより、癌抑制遺伝子P53の遺伝子内部に生じた突然変異を検出する場合の例を示した。図7(A)には、夫々のプローブスポットに固定される核酸プローブの配列を示す。訪中の番号はプローブスポットに割り当てられた番号を示す。解析に使用したプローブは、図7(A)に示されるような癌抑制遺伝子P53に関連する複数の配列、即ち、センス、アンチセンス、ミスマッチを含むセンスおよびミスマッチを含むアンチセンスである。図7(B)には、DNAマイクロアレイに具備されるプローブスポットに割り当てた番号を、模式的に記した各プローブスポット上に示す。夫々のプローブスポットには、番号に対応するように図7(A)に示された核酸プローブが固定される。各核酸プローブは、種類毎にプローブスポットに点着によって固定されている。図7(C)および図7(D)は、図7(B)のパターンで固定されたプローブと検体核酸とを本発明の態様に従ってハイブリダイズし、解析した結果を模式的に示す図である。図7(C)は、正常な被験者からの試料により得られる結果を示す。図7(D)には、以上のある被験者からの試料により得られる結果を示す。このような結果から、蛍光強度の違いによって、発現量を検出することが可能である。
以上のような遺伝子の検出と発現量の解析は、1つのDNAマイクロアレイにおいて1つの試料について連続して行うことが可能である。
このように発明の装置および方法により、癌化のステージを判定したり、悪性度や転移のし易さ、または薬剤耐性の個人差などを正確に予測することが可能である。
遺伝子検査技術とコンピュータ科学の進展に伴い、現在までにすでに多くの遺伝子の異常としての発現量の変化や突然変異の種類、またはSNPsが同定されている。そしてそれらの公知の情報は、データベースとしてインターネット上で広く公開され、容易に入手が可能である。上述のように、本発明の装置および方法により得られた遺伝子検査の結果を、既に公知の情報と比較評価することにより、更に臨床的に有用な正確な判定が可能となる。例えば、アメリカ癌研究所(NCI)により標準化された正確な転移の予測や治療指針の決定を行うことが可能になり、国や施設による判定基準の違いなどから生じる誤判定の可能性を少なくできる。将来的には、遺伝子治療を行う場合の導入遺伝子の選択においても、重要な情報を提供することが期待される。
なお、本発明は、以上で述べてきた各例による遺伝子検査装置およびそれを用いた検出方法の構造や作用を参酌することによって、次のような発明と捉えることもできる。次に示す各付記項は、本発明が、目的によっては遺伝学的検査に限定されずに、他の種々の生物学的反応(酵素反応、抗原抗体反応、代謝反応、生物学的運動動態試験等)をハイスループットで実行しモニターリングする技術として広く医療分野に提供し得る点に注目して挙げるものである。
[付記項1] 複数の微小な反応部中で実行される異なる生物学的反応をコンピュータを利用して検査する生物学的検査装置であって、
(1) 複数の微小な反応部を位置決めするための位置決め手段と、
(2) 位置決め手段の近傍に配置され、前記反応部の温度を調節するための温度調節手段と、
(3) 異なる生物学的反応が起きている2以上の反応部を視野範囲に有する撮像手段と、
(4) 前記撮像手段による同一視野内の画像情報を前記反応部毎に別々に演算する演算手段と、
(5) 反応部毎の温度と演算結果を照合して同一視野内の異なる生物学的反応結果を出力する出力手段とを
具備することを特徴とする装置。
[付記項2] 前記撮像手段が、検査すべき複数の反応部を同一視野に所望の寸法および個数で画像化するための画像拡大および/または画像縮小を行うズーム手段をさらに具備する付記項1に記載の装置。
[付記項3] ズーム手段が顕微鏡の対物レンズ(例えば、拡大倍率が10倍〜1000倍、好ましくは40倍〜400倍)である付記項2に記載の装置。
[付記項4] 個々の反応部が複数の反応単位を含む付記項1に記載の装置。
[付記項5] 複数の反応部が同一の基板内に一体的に配置されている付記項1または4に記載の装置。
[付記項6] 前記基板が複数の反応部を囲む液体収容可能な周辺部分を有する付記項5に記載の装置。
[付記項7] 複数の反応部の開口部が同一平面上に2次元的に配置され、且つ前記反応部が、該平面を構成する2成分の方向とは異なる方向に更に延びることにより3次元的な構造を有する付記項1〜6の何れかに記載の装置。
これら、付記項1〜7に記載の本発明の態様によれば、位置的に制御された微小な複数の反応部に対して、それぞれ適切な温度調節を実行し、2以上の異なる生物学的反応に関与した複数の反応部を同時に画像化することができる。ここで、撮像手段が時間的に断続的ないし連続的な撮像を行って複数の画像を取り込むようにすれば、複数の異なる反応過程の一部または全部を同時にモニターできる。また、ズーム手段が、所望数の微小な反応部を同一視野に効率よく収めて最適な拡大倍率による画像取り込みを可能にする。また、演算手段は、反応部毎に同一視野内の反応結果を所望の出力内容に変換するのでリアルタイムにデータが処理される。また、出力手段は、同一視野内の複数の反応部からの画像データによる演算結果を、調節制御された温度情報に基づいて照合するので、複数の反応部を取り違いなく仕分けし、総括して、使用者に確認しやすい形式(例えば、印刷、画像表示およびデータ送信等によって)で出力することができる。
また、本発明の更なる態様に従えば、本発明は次のような発明と捉えることもできる。
[付記項8] 生物学的反応を二次元的に配置された流体を導入し得る開口部と、液体が通過可能な通路を有する複数の反応部で実行する二次元反応装置であって、
二次元の作用領域(例えば、複数の反応部の配置に対応するような平面またはそのような平面を有する立方体を形成している)を有する温度伝達手段と、
前記温度伝達手段を通過して液体(例えば、反応用試料、試薬、洗浄液または希釈液等)および/または気体(例えば、温風、冷風、不活化ガス、酸化防止ガス、霧状試薬または試料含有ガス等)を少なくとも1供給する複数の二次元配置された流体移送手段とを具備することを特徴とする二次元反応装置。
[付記項9] 個々の反応部が複数の反応単位を含む付記項8に記載の装置。
[付記項10] 前記温度伝達手段に対する温度制御部と前記流体移送手段に対する流体移送制御とを作用対象(例えば、反応用試料または試薬等)の種類に応じて関連させる制御手段をさらに具備したことを特徴とする付記項8に記載の装置。
[付記項11] 複数の反応部が同一の基板内に一体的に配置されている付記項8または10に記載の装置。
[付記項12] 前記制御手段が、作用領域内に存在する複数箇所に対する温度調節および流体移送を個別に制御することを特徴とする請求項10に記載の装置。
[付記項13] 二次元配置された反応部の開口部の集合による片面側に前記温度伝達手段および流体移送手段を配置したことを特徴とする付記項8に記載の装置。
[付記項14] 前記温度伝達手段が、その作用領域が二次元的な平面を具備するような伝熱性の高い部材からなる反応ブロック内に、複数の管状流路からなる流体移送手段を形成してなることを特徴とする付記項8または13に記載の装置。
付記項14に記載の構成により、反応に必要な流体(即ち、液体および/または気体)が反応ブロック内外を移動しても、それらは、温度調節された流路内を移動するので、DNAマイクロアレイ22に与える不都合な温度変化を防止することができる。
[付記項15] 反応部の反応工程の前後または反応工程と同時に、反応部に関する付加的処理を実行するための付加機能手段{例えば、撮像手段、観察用窓、反応部の把持用および/または搬送用アーム、各種センサ(例えば、液面検知および温度検知等を行う)並びに分注手段等}と前記温度伝達手段との間に、前記二次元的に配置した複数の反応部を配置したことを特徴とする付記項8〜14の何れか1に記載の装置。
これら付記項8〜15に記載した本発明の態様によれば、温度伝達手段が複数の反応部と流体移送手段の温度調節をする。従って、微小な反応部のそれぞれに対する各種液体(例えば、検査試料および/または試薬等)の導入や流通が良好な反応条件で実行できる。それにより、温度制御や各種液体処理に関するコストを低減して、検査時間を短縮し、更には装置の小型化が図れる。また、生物学的反応のうち、従来、同時に配置が困難な付加機能をスペース効率よく配置でき、しかも温度伝達および/または流体移動と付加機能とを同時に動作させることができる。従って、生物学的反応の反応工程以外の工程(例えば、試料調製、反応部の交換、分注、各種検知および測定等)の一部または全てを一台の装置で自動化できる。
このような本発明の態様に従う装置を用いることによって、簡便に、且つ短時間で複数の遺伝子を検査することの出来る遺伝子検査装置および方法が提供される。また、このような装置および方法により、反応部分の溶液の状態や、温度条件を変化させながら標的遺伝子のハイブリダイゼーションの程度をリアルタイムで測定することができる。従って、この発明を用いることによって、対象遺伝子の発現の有無およびその発現量が正確に測定することが出来る。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の1態様に従う装置を示す構成図である。
図2は、スライドチップの1例を示す図である。
図3は、解析手順の1例を示すフローチャートである。
図4は、反応手順の1例を示すフローチャートである。
図5は、解析方法の1例を示すフローチャートである。
図6は、P53エクソン7の突然変異を解析するためのスライドチップの1例を示す図である。
図7は、発現量を解析するためのスライドチップの1例を示す図である。
図8は、反応ブロックの1例を示す図である。
図9は、図8に示す反応ブロックの線9−9での断面を示す図である。
Claims (22)
- コンピュータを利用した遺伝子検査装置であって、
(1)3次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部をその開口部が同一平面状に配置されるように2次元的に多数配置してなり、そこにおいて予め光マーカー物質を標識された標的核酸と前記核酸プローブとの間でハイブリダイゼーション反応を行うためのDNAマイクロアレイ;および
(2)上記(1)に記載のDNAマイクロアレイを支持するステージと、該DNAマイクロアレイの温度を調節するための温度調節部と、該DNAマイクロアレイからの光マーカー物質に由来する光学的信号を撮像するための撮像手段とを備えた顕微鏡;
を具備する装置。 - 請求項1に記載のコンピュータを利用した遺伝子検査装置であって、前記DNAマイクロアレイが、分岐した構造のチャネルを有する多孔質膜を具備し、前記多孔質膜のチャネルの内壁には核酸プローブが固定されていることを特徴とする装置。
- 請求項1に記載のコンピュータを利用した遺伝子検査装置であって、更に、
(a)前記遺伝子検査装置を総括的に制御するコンピュータに対してオペレーターが情報を入力するための入力部;および
(b)前記撮像手段により撮像された画像を表示するための表示部;
を具備する装置。 - 請求項1に記載のコンピュータを利用した遺伝子検査装置であって、更に、前記撮像手段により撮像された画像から前記プローブスポット毎に光学的信号の強度を求める画像処理部を具備する装置。
- 請求項1に記載の装置を使用した遺伝子検査方法であって、
(1)被験対象から採取した組織または細胞から抽出された核酸を増幅し、光マーカー物質を標識物質として付加すること;
(2)上記(1)で得られた標識された核酸を、所望の核酸プローブを具備するDNAマイクロアレイに添加すること;
(3)上記(2)のDNAマイクロアレイについて所望の条件下でハイブリダイゼーション反応を行うこと;
(4)上記(3)で得られたDNAマイクロアレイについて光マーカー物質に由来する光学的信号の強度を測定すること;
(5)上記(4)で得られた強度を基に、発現遺伝子量の判定および/または突然変異遺伝子の有無の判定を行うことにより遺伝子検査の結果を得ること;
を具備する方法。 - 請求項1に記載の装置を使用した遺伝子検査方法であって、
(1)被験対象から採取した組織または細胞から抽出された核酸を増幅し、光マーカー物質を標識物質として付加すること;
(2)上記(1)で得られた標識された核酸を、所望の核酸プローブを具備するDNAマイクロアレイに添加すること;
(3)上記(1)のDNAマイクロアレイについて所望の条件下でハイブリダイゼーション反応を行うこと;
(4)上記(3)の反応が終了した後に、DNAマイクロアレイに含まれる溶液を当該アレイの下部に留めさせること;
(5)上記(4)で得られたDNAマイクロアレイについて光マーカー物質に由来する光信号の強度を測定すること;
(6)上記(4)で当該アレイの下部に溜めた液体を再度撹拌すること;
(7)上記(6)のDNAマイクロアレイについて必要に応じ所望の条件下でハイブリダイゼーション反応を繰り返すこと;
(8)上記(6)で得られたDNAマイクロアレイについて光信号の強度を測定すること;
(9)上記(4)および(8)で得られた光信号の強度を基に、発現遺伝子量の判定および/または突然変異遺伝子の有無の判定を行うことにより遺伝子検査の結果を得ること;
を具備する方法。 - 請求項5に記載の方法であって、更に、前記(4)で得られた光信号の強度を基に、発現遺伝子量の判定および/または突然変異遺伝子の有無の判定して得られた情報を、データベースに開示される公知の遺伝子情報および/または標準試料から得られた情報と比較することにより遺伝子検査の結果を得ることを具備する方法。
- 請求項6に記載の方法であって、前記(5)から(8)の操作を2回以上繰り返して行うことを特徴とする方法。
- コンピュータを利用した遺伝子検査装置であって、
(1)3次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部をその開口部が同一平面状に配置されるように2次元的に多数配置してなり、そこにおいて予め光マーカー物質を標識された標的核酸と前記核酸プローブとの間でハイブリダイゼーション反応を行うためのDNAマイクロアレイ;
(2)上記(1)に記載のDNAマイクロアレイを支持するステージと、該DNAマイクロアレイの温度を調節するための温度調節部と、該DNAマイクロアレイからの光学的信号を撮像するための撮像手段を備えた顕微鏡;および
(3)上記(2)に記載の顕微鏡のステージに配置されたDNAマイクロアレイに接続され、該DNAマイクロアレイ中の流体を出し入れするための流体輸送部;
を具備する装置。 - 請求項9に記載のコンピュータを利用した遺伝子検査装置であって、前記DNAマイクロアレイが、分岐した構造のチャネルを有する多孔質膜を具備し、前記多孔質膜のチャネルの内壁には核酸プローブが固定されていることを特徴とする装置。
- 請求項9に記載のコンピュータを利用した遺伝子検査装置であって、更に、
(a)前記遺伝子検査装置を総括的に制御するコンピュータに対してオペレーターが情報を入力するための入力部;および
(b)前記撮像手段により撮像された画像を表示するための表示部;
を具備する装置。 - 請求項9に記載のコンピュータを利用した遺伝子検査装置であって、更に、前記撮像手段により撮像された画像から前記プローブスポット毎に光信号の強度を求める画像処理部を具備する装置。
- 請求項9に記載の装置を使用した遺伝子検査方法であって、
(1)被験対象から採取した組織または細胞から抽出された核酸を増幅し、光マーカー物質を標識物質として付加すること;
(2)上記(1)で得られた標識された核酸を、所望の核酸プローブを具備するDNAマイクロアレイに添加すること;
(3)上記(2)のDNAマイクロアレイについて所望の条件下でハイブリダイゼーション反応を行うこと;
(4)上記(3)で得られたDNAマイクロアレイについて光マーカー物質に由来する光信号の強度を測定すること;
(5)上記(4)で得られた光信号の強度を基に、発現遺伝子量の判定および/または突然変異遺伝子の有無の判定を行うことにより遺伝子検査の結果を得ること;
を具備する方法。 - 請求項9に記載の装置を使用した遺伝子検査方法であって、
(1)被験対象から採取した組織または細胞から抽出された核酸を増幅し、光マーカー物質を標識物質として付加すること;
(2)上記(1)で得られた標識された核酸を、所望の核酸プローブを具備するDNAマイクロアレイに添加すること;
(3)上記(1)のDNAマイクロアレイについて所望の条件下でハイブリダイゼーション反応を行うこと;
(4)上記(3)の反応が終了した後に、DNAマイクロアレイに含まれる溶液を当該アレイの下部に留めさせること;
(5)上記(4)で得られたDNAマイクロアレイについて光マーカー物質に由来する光信号の強度を測定すること;
(6)上記(4)で当該アレイの下部に溜めた液体を再度撹拌すること;
(7)上記(6)のDNAマイクロアレイについて必要に応じ所望の条件下でハイブリダイゼーション反応を繰り返すこと;
(8)上記(6)で得られたDNAマイクロアレイについて光マーカー物質に由来する光信号の強度を測定すること;
(9)上記(4)および(8)で得られた光信号の強度を基に、発現遺伝子量の判定および/または突然変異遺伝子の有無の判定を行うことにより遺伝子検査の結果を得ること;
を具備する方法。 - 請求項13に記載の方法であって、更に、前記(4)で得られた光信号の強度を基に、発現遺伝子量の判定および/または突然変異遺伝子の有無の判定して得られた情報を、データベースに開示される公知の遺伝子情報および/または標準試料から得られた情報と比較することにより遺伝子検査の結果を得ることを具備する方法。
- 請求項14に記載の方法であって、前記(5)から(8)の操作を2回以上繰り返して行うことを特徴とする方法。
- コンピュータを利用した遺伝子検査装置であって、
(1)3次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部を、その開口部が同一平面状に配置されるように2次元的に多数配置してなり、そこにおいて予め光マーカー物質を標識された標的核酸と前記核酸プローブとの間でハイブリダイゼーション反応を行うためのDNAマイクロアレイ;
(2)上記(1)に記載のDNAマイクロアレイを支持するステージと、該DNAマイクロアレイの温度を調節するための温度調節部と、該DNAマイクロアレイからの光学的信号を撮像するための撮像手段とを備えた顕微鏡;
(3)上記(2)に記載の顕微鏡のステージに配置されたDNAマイクロアレイに接続され、該DNAマイクロアレイ中の流体を出し入れするための流体輸送部;
(4)以下を記憶する記憶部;
(a)上記(2)の温度調節部と上記(3)の液体輸送部とを含む、該装置に含まれる全ての部分を制御しながら上記(1)のDNAマイクロアレイにおいて反応を実行させ、それにより得られる結果を処理するための手順および条件を示すプログラムと、
(b)上記(1)の核酸プローブの種類と該DNAマイクロアレイ中での座標が対応させられているスコアテーブルと;
(5)上記(4)の記憶部に記憶されるプログラムに従って、(1)のDNAマイクロアレイに対しての該装置の稼働を上記(2)から(3)の各部を制御し、それによって総括的に装置全体を制御する主制御部;
(6)上記(4)の記憶部に含まれるプログラムに従って、上記(5)の主制御部の制御の基に行われた反応後に、上記(2)に記載の撮像手段により撮像された画像を処理し、前記プローブスポット毎に光信号の強度を求める画像処理部;並びに
(7)上記(4)の記憶部に記憶されたスコアテーブルを検索し、上記(6)の画像処理部により求められた座標における光信号の強度に対応するデータを、遺伝子検査の判定結果として出力するための出力部;
を具備する装置。 - 請求項17に記載のコンピュータを利用した遺伝子検査装置であって、前記DNAマイクロアレイが、分岐した構造のチャネルを有する多孔質膜を具備し、前記多孔質膜のチャネルの内壁には核酸プローブが固定されていることを特徴とする装置。
- 請求項17に記載の装置を使用した遺伝子検査方法であって、
(1)被験対象から採取した組織または細胞から抽出された核酸を増幅し、光マーカー物質を標識物質として付加すること;
(2)上記(1)で得られた標識された核酸を、所望の核酸プローブを具備するDNAマイクロアレイに添加すること;
(3)上記(2)のDNAマイクロアレイについて所望の条件下でハイブリダイゼーション反応を行うこと;
(4)上記(3)で得られたDNAマイクロアレイについて光マーカー物質に由来する光信号の強度を測定すること;
(5)上記(4)で得られた光信号の強度を基に、発現遺伝子量の判定および/または突然変異遺伝子の有無の判定を行うことにより遺伝子検査の結果を得ること;
を具備する方法。 - 請求項17に記載の装置を使用した遺伝子検査方法であって、
(1)被験対象から採取した組織または細胞から抽出された核酸を増幅し、光マーカー物質を標識物質として付加すること;
(2)上記(1)で得られた標識された核酸を、所望の核酸プローブを具備するDNAマイクロアレイに添加すること;
(3)上記(1)のDNAマイクロアレイについて所望の条件下でハイブリダイゼーション反応を行うこと;
(4)上記(3)の反応が終了した後に、DNAマイクロアレイに含まれる溶液を当該アレイの下部に留めさせること;
(5)上記(4)で得られたDNAマイクロアレイについて光マーカー物質に由来する光信号の強度を測定すること;
(6)上記(4)で当該アレイの下部に溜めた液体を再度撹拌すること;
(7)上記(6)のDNAマイクロアレイについて必要に応じ所望の条件下でハイブリダイゼーション反応を繰り返すこと;
(8)上記(6)で得られたDNAマイクロアレイについて光信号の強度を測定すること;
(9)上記(4)および(8)で得られた光信号の強度を基に、発現遺伝子量の判定および/または突然変異遺伝子の有無の判定を行うことにより遺伝子検査の結果を得ること;
を具備する方法。 - 請求項19に記載の方法であって、更に、前記(4)で得られた光信号の強度を基に、発現遺伝子量の判定および/または突然変異遺伝子の有無の判定して得られた情報を、データベースに開示される公知の遺伝子情報および/または標準試料から得られた情報と比較することにより遺伝子検査の結果を得ることを具備する方法。
- 請求項20に記載の方法であって、前記(5)から(8)の操作を2回以上繰り返して行うことを特徴とする方法。
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