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JPWO2002096554A1 - 吸着剤とこの吸着剤を用いた圧力変動吸着式気体分離装置 - Google Patents

吸着剤とこの吸着剤を用いた圧力変動吸着式気体分離装置 Download PDF

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Abstract

空気から酸素を採取するのに適した吸着剤と、この吸着剤を用いた圧力変動式気体分離装置を提供する。再生済吸着剤に対し、25℃、大気圧の条件下で、窒素吸着発熱量が、21.5〜40.0kJ/kgの範囲になるように調整した吸着剤を製造する。この吸着剤を、空気中の窒素を吸着し酸素を分離採取する圧力変動吸着式気体分離用装置の吸着筒に充填して使用する。

Description

本発明は、空気中の窒素を吸着する吸着剤およびこの吸着剤を用いて空気中の酸素を分離採取する圧力変動吸着式(Pressure Swing Adsorption、以下「PSA」という)気体分離装置に関する。
本出願は日本国特許出願第2001−165809号を基礎としており、その内容を本明細書に組み込む。
背景技術
空気中の窒素を吸着して酸素を採取するPSA気体分離装置は産業上広く使われており性能の向上が研究されている。
ところで、吸着剤の性能を判断する重要な指標として、「窒素吸着量」と「分離係数」とがある。「窒素吸着量」は単位吸着剤当りの吸着処理可能な窒素量で、「分離係数」は、窒素吸着時に少量の酸素も吸着するので、窒素と酸素の吸着量比を示す。
また、PSA気体分離装置の性能を判断する重要な指標として、「剤生産性」と「電力原単位」とがある。「剤生産性」は単位吸着剤当たりの採取可能な酸素量で、必要吸着剤量、吸着筒の寸法規模等のイニシャルコストに関連し、また、「電力原単位」は単位酸素量を発生させるのに必要な消費電力でランニングコストに関連する。
従来から、「窒素吸着量」を増大して「剤生産性」を高めるとともに、「分離係数」を高めて「電力原単位」を下げる方向で吸着剤の開発が行われている。
しかし、吸着剤は温度が低い程吸着量が増大するのに対し、吸着現象は発熱過程なので、吸着剤が窒素を吸着すると発熱して温度が上昇するので窒素を吸着し難くなる。
一方、脱着時は、温度が高い程吸着している窒素を脱着し易いのに対し、脱着現象は吸熱過程なので、吸着剤が窒素を脱着すると吸熱して温度が低下するので窒素が脱着し難くなる。
上記のような熱的に逆効果となる現象は逆サーマルスイング現象と呼ばれ好ましくない。しかも、窒素吸着量の多い吸着剤ほど発熱量も大きくなるので、逆サーマルスイング現象が顕著になる。
また、他の熱的悪影響として吸着筒内の温度勾配がある。
これは、窒素吸着剤を充填した吸着筒内に入口から空気を導入した場合、吸着により生じた熱はガスの流れに沿って吸着剤層を出口側に移動し、吸着筒の出口側の温度が上昇し、一方、脱着工程ではガスの流れは吸着時とは逆に流すのが一般的なので、脱着により発生した吸熱、すなわち冷熱は吸着剤層を出口側から入口側に移動し、結果として入口側の温度を低下させる。
このように、吸着筒内には前記逆サーマルスイング現象とともに、吸着筒の入口と出口の間に温度勾配が生じ、これらがPSA気体分離性能を低下させる要因となっている。
そこで、上記熱的悪影響を低減するための対策が提案されている。
例えば、温度勾配の対策として、特開昭50−79481、特開昭52−2891、特開昭61−263616等では、吸着筒内に金属製の伝熱体を配し、この伝熱体の熱伝導を利用した熱交換により吸着筒内の温度分布を改善することが、また、特開昭62−148304、特開平2−227112、特開平4−293513、特開2000−33218等では、吸着筒内に吸着特性の異なる複数種の吸着剤を充填することにより吸着筒内の温度分布を改善している。
また、逆サーマルスイング現象対策として、1987年に英国のButterworths社より刊行されたR.T.Yang著の「吸着法によるガス分離(Gas Separation by Adsorption Processes)」には、吸着筒内に吸着剤と共に熱容量の大きい金属物質を混合充填して温度変動の減少を図ることが、また、特開平6−198117にはゼオライトを希釈剤で希釈して吸着筒内の温度変動を減少させている。
このように、吸着量の増加を目指す開発は、一方で、吸着量の大きい吸着剤による発熱の弊害を緩和させるための様々な対策を講じる必要性を伴っており、吸着剤の改良とPSA気体分離性能の向上とがマッチングしているとは言い難い。
一方、特開平6−198116では、シミュレーションの結果として、吸着量の大きい吸着剤を用いても必ずしもPSA気体分離性能は良好ではなく、むしろ吸着量の少ない吸着剤を用いた方が操作性が良くコスト的に優れていると述べている。その原因として逆サーマルスイング現象を挙げているが、用いたシミュレータモデルは、「吸着筒内の温度変化は含むが、温度勾配の発生による影響については考慮していない。」と記載している。
このようなシミュレータモデルは装置が小規模の等温系の場合には妥当な結果を与えるかもしれないが、比較的規模の大きい断熱系の装置の場合は、吸着筒内の温度勾配は無視できない。
以上のように、従来技術は、吸着剤の発熱現象がPSA気体分離の性能に対し悪影響があることを知っているにも関わらず、それらを具体的に関係付けて改善する試みはなされていなかった。
そこで、本発明は従来研究されてこなかった分野、即ち、吸着剤の発熱現象とPSA気体分離の性能とを具体的に関係付けて改善する研究を行なった結果、窒素を吸着剤に吸着させたときの発熱量(以下、「窒素吸着発熱量」という)と電力原単位との関係につき、最適な窒素吸着発熱量の範囲を見出し、この範囲内の吸着剤を用いることによって従来よりPSA気体分離性能を高めた吸着剤、及び、この吸着剤を用いたPSA気体分離装置を提供するものである。
発明の開示
上記課題を解決する本発明の吸着剤は、再生済吸着剤に対し、25℃、大気圧の条件下で、窒素吸着発熱量が、21.5〜40.0kJ/kgの範囲になるように調整したことを特徴とする。
ここで、「再生済吸着剤」とは、10Pa以下、350℃の条件下で、2時間以上加熱再生した吸着剤を意味する。なお、再生済吸着剤に対する25℃、大気圧の条件下での窒素吸着発熱量のことを、以下、「特定発熱量」と呼ぶ。
更に、特定発熱量は双子型伝導熱量計を用いて測定できる(例えば(株)東京理工製自動吸着熱測定装置)。その測定方法は、一対の同一容積の容器の一方に吸着剤を入れておき、両容器に同時に窒素を導入して吸着剤を発熱させ、このときに、両容器に接触している熱伝導の良い感熱体に流れる電気信号の差を解析して発生熱量を算出する。但し、事前に標準物質の測定をしておく。
また、本発明は、前記特定発熱量を得るための吸着剤の構成組成の調整を、金属陽イオンの種類を変える方法、金属陽イオンの量を変える方法、金属陽イオンの割合を変える方法、Si/Al比を変える方法、バインダーの量を変える方法の少なくとも一つの方法により行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記の吸着剤を用いて、空気中の窒素を吸着し酸素を分離採取することを特徴とするPSA気体分離用装置を提供するものであり、導入する空気の圧力が、大気圧から120kPaの範囲であることを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照して、本発明に関する吸着剤及び圧力変動吸着式気体分離装置を実施例と共に説明する。
[本発明で使用するPSA気体分離装置の一例]
図1に例示したフローシートにおいて、PSA気体分離装置10は、原料としての空気を導入する取入れ管1と、導入した空気を昇圧するブロワー2と、昇圧した空気を送気管3、入口弁4a,4b、導入管5a、5bを介して導入する一対の吸着筒6a、6bと、両吸着筒6a、6bから製品ガスとして酸素を導出する導出管8a、8b、出口弁7a,7b、製品供給管9、弁15を介して酸素を使用先に供給する供給用圧縮機14と、導入管5a、5bより分岐し再生弁11a,11b、再生管12、弁16を介して連結した真空ポンプ13と、両吸着筒6a、6bの上部を連通する弁17a,17bを備えている。また、吸着筒6a、6bには、窒素吸着剤、例えば合成ゼオライトが充填されている。
[図1のPSA気体分離装置の運転方法の一例]
図1の装置は、「吸着工程」、「均圧工程」、「真空再生工程」、「真空パージ再生工程」の順で運転する。
吸着工程:ブロワー2によって空気を吸着筒6a内に導入し、空気を構成する窒素を吸着剤に吸着させ、吸着し難い酸素を導出管8a、出口弁7aを介して製品として採取する工程。
吸着工程の進行に従い、吸着剤は入口端(吸着筒6aの下部)側から出口端(吸着筒6aの上部)に向けて徐々に飽和していくので、吸着筒6a内の吸着剤全体が飽和する前に吸着工程を停止する。
均圧工程:弁7a、7b及び弁15を閉じ、弁17a、17bを開いて両吸着筒6a、6bを上部で連通させると同時に、弁4a、4b及び弁16を閉じ、弁11a、11bを開いて両吸着筒6a、6bを下部で連通させ、吸着筒6a内のガスを吸着筒6bに流入させて両吸着筒6a、6bの圧力をほぼ等しく(均圧)する工程。均圧後、弁17a、17b、11bを閉じ、弁4b、7b、15を開く。これにより他方の吸着筒6bが吸着工程に入る。
真空再生工程:弁17a,7a、4aを閉じた状態で弁11a、16を開け、真空ポンプ13を運転して吸着筒6a内を減圧する工程。これにより、吸着筒6a内の吸着剤から窒素が脱着する。
真空パージ再生工程:吸着筒6a内の吸着剤の脱着再生をより確実にするため、真空ポンプ13を運転したままの状態で、弁17aを介して吸着筒6b出口の製品酸素ガスの一部を上部出口端から吸着筒6a内に流入(すなわち吸着筒6a内でガスを逆流)させる工程。
上記4工程からなる1サイクルは、両吸着筒6a、6bに対して位相をずらして行われ、これによって、一方で酸素を採取している間に他方は再生済みとなり、連続的に運転される。
[本発明で使用する吸着剤]
PSA気体分離は、吸着筒6a、6b内の圧力、温度、ガス流量、ガス組成が時間と共に複雑に変化する非定常プロセスであり、装置の分離性能を把握するためにはダイナミックシミュレーションが不可欠である。
そこで、本発明では、発明した吸着剤の性能を、日本酸素技報No.17、18−24ページ(1998年)に記載のシミュレーション方法で確認した。このシミュレーション方法は逆サーマルスイング現象だけでなく、吸着筒内の温度勾配も正確に反映し、しかも実測したデータとよく一致するものであり、その概要は以下のとおりである。
まず、酸素PSAプロセスのモデル化に際して、以下の事項を仮定した。
▲1▼ 吸着塔内の半径方向の濃度及び温度分布は考慮せず、軸方向のみの一次元問題とした。
▲2▼ 充填層内の気体の流れをピストン流とした。
▲3▼ 原料空気を水、窒素、酸素、アルゴンの4成分系とし、炭酸ガスはその量を窒素に加えて同じ振る舞いをするものとした。
▲4▼ 合成ゼオライトに対しては窒素−酸素−アルゴンの同時吸着を考え、吸着速度は線形推進力モデル(Liner Driving Force;LDFモデル)に従うものとし、平衡吸着量の推算にはdual site Langmuirモデル(DSLモデル)を使用した。
▲5▼ 吸着塔圧力と製品槽圧力の時間変化はそれぞれ物質収支から求めたが、均圧工程終了時から大気圧力までの吸着塔圧力は時間に比例して増加するものとした。
次に、多成分DSLモデルを用いて窒素、酸素、アルゴンの多成分平衡吸着量を推算し、多成分DSLモデルの各パラメータはそれぞれの成分について純成分の平衡吸着量の測定結果を近似することにより求めた。合成ゼオライトの平衡吸着量は、日本ベル(株)製自動容量法吸着量測定装置BELSORP28を用いて測定し、微分吸着熱については、(株)東京理工製自動吸着熱測定装置を用いて測定し、実測値を使用する。
吸着塔の内径は1.3mで、下部に活性アルミナを、上部に合成ゼオライトを充填した。
合成ゼオライトの吸着量は温度によって大きく変化するため、充填層温度分布を正確に予測することが重要となるが、計算で得られた充填層温度予測結果は実測値とほぼ一致するものであった。
シミュレーションを行うにあたり、次の条件を設定した。
▲1▼図1に示した2筒式装置に対し前記4工程1サイクルの運転を行う。
▲2▼物質収支は、ブロワー2の送気量と、(酸素量及び真空ポンプ13の排気ガス量の和)とが等しくなるようにブロワー2の吐出圧力及び/又は真空ポンプ13の到達真空度を決定した。
上記の回転機の条件を決め、回転機性能カーブから回転機に必要な電力量を求め、この電力量を製品酸素量で除すことにより電力原単位を求めた。
以上の条件を設定した上で、吸着ガスに対する相互作用エネルギー(微分吸着熱)は同じだが、異なる吸着量を有する4種類の吸着剤、具体的には特定発熱量が17.4、25.9、34.3、42.5(単位:kJ/kg)となる吸着剤を想定した。
更に、最適な特定発熱量の範囲を検討するため、以下の条件を設定した。
(a)「分離係数」などの吸着剤の物性値はすべて同じとした。
(b)同じ容積の吸着筒に同じ量の吸着剤を充填するものとした。
(c)「電力原単位」のみでPSA気体分離性能を比較するため、「剤生産性」が同等のもの同士で比較した。そのために操作条件を調整した。
(d)「剤生産性」基準で操作条件を変えたため、その操作条件が各吸着剤の最適操作条件ではない可能性が高いため、操作圧力及び剤生産性等を変えた場合のシミュレーションも、後記の図5〜7に示すように実施した。
(e)製品として得られる酸素の濃度は93%とした。
上記条件下でのシミュレーション例を実施例1〜3によって説明する。
<実施例1>
特定発熱量が前記4種類の吸着剤を用い、剤生産性は121Nm/h/tonになるようにした。
吸着時の吸着圧力110kPa、120kPa及び130kPaの場合について、特定発熱量(kJ/kg)と電力原単位(kWh/Nm)との関係を求め、図2を得た。
図2のグラフで明らかなように、いずれの吸着圧力においても電力原単位の最小値は特定発熱量が28〜30kJ/kgの範囲にあり、中でも吸着圧力が110kPaの時に電力原単位は最低値の0.340kWh/Nmを示した。また、電力原単位を低くするには、特定発熱量が20.5〜40.0kJ/kgの範囲の吸着剤が好ましく、この範囲を逸脱すると、電力原単位はいずれの圧力においても前記最低値の5%増の0.357kWh/Nm以上に悪化した。
<実施例2>
実施例2として、剤生産性を「135Nm/h/ton」に増量して、前記同様のシミュレーションを実施し、図3の結果を得た。
図3から明らかなように、いずれの吸着圧力においても、最も電力原単位が最小となるのは特定発熱量が約30kJ/kg前後であり、中でも吸着圧力が110kPaの時に電力原単位は最低値の0.340kWh/Nmを示した。また、電力原単位を低くするには、特定発熱量が21.5〜40.5kJ/kgの範囲の吸着剤が好ましく、この範囲を逸脱すると、電力原単位はいずれの吸着圧力においても前記最低値から5%増の0.357kWh/Nm以上に悪化した。
<実施例3>
実施例3として、剤生産性を148Nm/h/tonに更に増量して、前記同様のシミュレーションを実施した。その結果を図4に示す。
図4から明らかなように、いずれの吸着圧力においても最も電力原単位が最小となるのは特定発熱量が約30kJ/kg前後であり、特に吸着圧力が110kPa及び120kPaの時に、電力原単位は最低値として0.344kWh/Nmを示した。また、電力原単位を低くするには、特定発熱量が21.5〜41.5kJ/kgの範囲の吸着剤が好ましく、この範囲を逸脱すると、電力原単位は、いずれの吸着圧力においても、前記最低値の5%増の0.361kWh/Nm以上に悪化した。
[実施例1〜実施例3の検討・評価]
上記した実施例の結果、以下のことが判明した。
(1)剤生産性が121、135、148(単位はNm/h/ton)において、吸着圧力を変化させた場合、図2〜図4のように、電力原単位を最小にする窒素吸着発熱量は約21.5〜40.0kJ/kgの範囲にあり、そして、その中でも吸着圧力が110kPa、120kPaの範囲において最も優れた電力原単位を示した。
吸着圧力は110kPaと120kPaの2点に限定されるわけではなく、110〜120kPaの範囲の任意の圧力にて電力原単位が低くなる。これは、図2〜図4のグラフから、各剤生産性121、135、148(単位:Nm/h/ton)での、特定発熱量17.4、25.9、34.3、42.5(単位:kJ/kg)のそれぞれ異なる特定発熱量における、電力原単位の吸着圧力依存性を導き出した、図5(剤生産性「121Nm/h/ton」)、図6(剤生産性「135Nm/h/ton」)、及び図7(剤生産性「148Nm/h/ton」)に示したグラフより明らかである。
即ち、図5乃至図7のいずれのグラフにおいても、電力原単位が低くなる特定発熱量25.9及び34.3kJ/kgのグラフ曲線を見ると、吸着圧力が大気圧付近から120kPaの範囲で良い性能を示している。従って、最適吸着圧力の範囲は大気圧から120kPaの範囲にあるということが確認された。
(2)電力原単位を低減させるための窒素吸着圧力が大気圧〜120kPaという比較的低い数値を示す傾向があるのは、吸着圧力が低ければ、それに伴って吸着量も減少するが、その減少によって窒素吸着発熱量も減少し、吸着筒内の温度分布が改善されるためと考えられる。このように、大気圧付近の低い圧力の吸着圧力で吸着することが好ましいので、空気供給用の「ブロワー」を、より動力が小さくかつ安価な「送風機」に変更でき、イニシャルコストを低減できる。
(3)電力原単位を最小にする特定発熱量が、剤生産性の多少の変更にかかわらず同じ範囲を示したことは、窒素吸着量増加によるPSA気体分離性能の向上の作用と、吸着発熱量の増加によるPSA気体分離性能の低下との作用が、前記した特定発熱量の範囲の部分でバランスされたためと考えられる。
[本発明の吸着剤の製造]
本発明の吸着剤は、前記特定発熱量の範囲に含まれるような吸着剤であれば任意の種類とすることができ、特定発熱量を調整するため次の如き製造方法を採用することが出来る。
▲1▼金属陽イオンの種類を変えて調整する。
▲2▼金属陽イオンの量を変えて調整する。
▲3▼金属陽イオンの割合を変えて調整する。
▲4▼Si/Al比で調整する、
▲5▼バインダー含有量で調整する。
例えば、LiX型(Si/Al比が約1.23)ゼオライトは、特定発熱量が21.5kJ/kgあるいはそれ以下であるが、この場合、Si/Al比を下げてLiLSX型(Si/Al比が約1.0)ゼオライトにしたり、又バインダーレスにして吸着量を増加させることにより、特定発熱量を21.5〜40.0kJ/kgの範囲に含まれるように調整する。
あるいは、CaLSX型ゼオライトでは、特定発熱量範囲が40.0kJ/kgを超えるが、この場合、Caイオンを他の適当なイオン種で交換しCaイオン量を減らしたり、Si/Al比を高めたり、バインダー含有量を増加させることなどにより、21.5〜40.0kJ/kgの範囲に含まれるようにする。
本発明の吸着剤は図1の2筒式PSA気体分離装置に基づいて説明したが、吸着筒が1塔式のものや3筒式以上のもの、また、運転方法が異なる場合であっても適用できる。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明の吸着剤を用いたPSA気体分離用装置によれば、
(1)空気から酸素を採取するに当り、電力原単位を低くすることができる。
(2)本発明の吸着剤は従来の吸着剤よりも発熱量が小さいので吸着筒への熱的悪影響が少なく、従来のような、吸着筒に対する複雑で過剰な熱緩和装備が不要となるばかりでなく、吸着筒への空気の供給圧力も大気圧に近い圧力ですむことから、空気圧送機器をブロワーから安価な送風機にすることができ、設備費の低減とともに運転操業費用も削減できる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明のPSA気体分離装置の一例を説明する系統略図である。
図2は実施例1の、剤生産性121Nm/h/tonの吸着圧力の差異による特定発熱量と電力原単位の関係を示すグラフである。
図3は実施例2の、剤生産性135Nm/h/tonの吸着圧力の差異による特定発熱量と電力原単位の関係を示すグラフである。
図4は実施例3の、剤生産性148Nm/h/tonの吸着圧力の差異による特定発熱量と電力原単位の関係を示すグラフである。
図5は実施例1の、剤生産性121Nm/h/tonの特定発熱量の差異による窒素吸着圧力と電力原単位の関係を示すグラフである。
図6は実施例2の、剤生産性135Nm/h/tonの特定発熱量の差異による窒素吸着圧力と電力原単位の関係を示すグラフである。
図7は実施例3の、剤生産性148Nm/h/tonの特定発熱量の差異による窒素吸着圧力と電力原単位の関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 窒素吸着に用いられる吸着剤であって、再生済吸着剤に対し、25℃、大気圧の条件下で、窒素吸着発熱量が、21.5〜40.0kJ/kgの範囲になるように調整したものである。
  2. 請求の範囲1に記載の吸着剤であって、前記窒素吸着発熱量を得るための吸着剤の構成組成の調整を、金属陽イオンの種類を変える方法、金属陽イオンの量を変える方法、金属陽イオンの割合を変える方法、Si/Al比を変える方法、バインダーの量を変える方法の少なくとも一つの方法により行う。
  3. 圧力変動吸着式気体分離用装置であって、請求の範囲1記載の吸着剤を用いて空気中の窒素を吸着し酸素を分離採取する。
  4. 請求の範囲3に記載の圧力変動吸着式気体分離装置であって、導入する空気の圧力が、大気圧から120kPaの範囲である。
JP2002593058A 2001-05-31 2002-05-29 吸着剤とこの吸着剤を用いた圧力変動吸着式気体分離装置 Pending JPWO2002096554A1 (ja)

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