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JPWO2008117619A1 - 感光性絶縁樹脂組成物 - Google Patents

感光性絶縁樹脂組成物 Download PDF

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JPWO2008117619A1 JP2009506255A JP2009506255A JPWO2008117619A1 JP WO2008117619 A1 JPWO2008117619 A1 JP WO2008117619A1 JP 2009506255 A JP2009506255 A JP 2009506255A JP 2009506255 A JP2009506255 A JP 2009506255A JP WO2008117619 A1 JPWO2008117619 A1 JP WO2008117619A1
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Abstract

本発明の感光性絶縁樹脂組成物は、(A)フェノール性水酸基を有する構造単位を含有する樹脂と、(B)光感応性酸発生剤と、(C)オキセタニル基含有化合物(C1)およびエポキシ基含有化合物(C2)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む架橋剤と、(D)溶剤と、(E)架橋微粒子とを含有し、該架橋剤(C)に含まれるオキセタニル基含有化合物(C1)およびエポキシ基含有化合物(C2)の合計量が、該架橋剤(C)の全量100質量%に対して70〜100質量%であることを特徴とする。本発明の組成物は、解像度、電気絶縁性、密着性、接着性等に優れた硬化物を形成することができ、半導体素子の層間絶縁膜、表面保護膜などの用途に適している。

Description

本発明は、半導体素子などの表面保護膜(オーバーコート膜)や層間絶縁膜(パッシベーション膜)、チップ積層用接着剤などに用いられる感光性絶縁樹脂組成物およびそれを硬化してなる絶縁性硬化物に関する。より詳細には、感光性絶縁樹脂として解像度、電気絶縁性、密着性および接着性等の特性に優れた硬化物、およびそのような硬化物が得られる感光性絶縁樹脂組成物に関する。
従来、電子機器の半導体素子に用いられる層間絶縁膜や表面保護膜などには、耐熱性および機械的特性などに優れたポリイミド系樹脂やポリベンゾオキサゾール系樹脂が広く使用されていた。また、生産性の向上や膜形成精度の向上などのために、感光性を付与した感光性ポリイミドや感光性ポリベンゾオキサゾール系樹脂の検討が数多くなされている。
たとえば、特許文献1や特許文献2などには、ポリイミド前駆体とキノンジアジド化合物とからなるポジ型感光性樹脂組成物が記載されており、特許文献3などには、ポリベンゾオキサゾール前駆体とキノンジアジド化合物とからなるポジ型感光性樹脂組成物が記載されている。また、ポリイミド前駆体にエステル結合またはイオン結合により光架橋基を導入したネガ型感光性樹脂組成物も実用化されている。しかしながら、これらの感光性樹脂組成物は、硬化後の膜減り(体積収縮率)や硬化時の多段階ベークの必要性、雰囲気制御などの問題点を抱えており、工業的には実施しにくいという問題が指摘されている。
また、特許文献4などにはポリフェニレンオキシド系樹脂を用いたネガ型感光性絶縁樹脂組成物も記載されている。しかしながら、この感光性絶縁樹脂組成物は、解像度、電気絶縁性、熱衝撃性、密着性など各性能のバランスの点で未だ不十分であった。
そこで、上記のような問題点を解決するために、ノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂を用いた感光性絶縁樹脂組成物が提案されている(たとえば、特許文献5〜9)。これらの樹脂組成物で用いられているアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ水溶液による現像を可能にするために使用されているものである。たとえば、特許文献5および6には、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂を用いて形成された膜がアルカリ水溶液による十分な現像性を有することは記載されている。また、アルカリ可溶性樹脂の分子量が、得られる絶縁膜の解像性、熱衝撃性、耐熱性に影響を及ぼすことも示唆されている。
しかしながら、これらの特許文献には、上記特性以外の特性をアルカリ可溶性樹脂により改善できることは示唆されておらず、まして、アルカリ可溶性樹脂の種類による効果については何ら示唆されていない。特に、電気絶縁性については架橋剤の量によりコントロールすること、熱衝撃性については架橋微粒子を添加して改善することが記載されている。
また、特許文献10には、アルカリ可溶性樹脂、エポキシ化合物、分子内にオキセタニル基を含有する化合物を含有する感放射線性樹脂組成物が開示されている。この特許文献には、オキセタニル基含有化合物を使用することによって熱ダレ現象を防止できることは開示されているが、これ以外の効果については何ら示唆されていない。また、アルカリ可溶性樹脂の分子量が、解像性、現像性、耐めっき液性に影響を及ぼすことは示唆されているが、これら以外の特性、特に電気絶縁性を該エポキシ化合物およびオキセタニル化合物の全架橋剤に含まれる割合により改善できることは示唆されておらず、まして、アルカリ可溶性樹脂の種類と、エポキシ化合物およびオキセタニル基を含有する化合物の全架橋剤量に対する含有量との組み合わせによる効果については何ら示唆されていない。
特許文献11には、バインダーポリマー、分子内に少なくとも1つの重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物、光酸発生剤を含有する感光性樹脂組成物が開示され、上記バインダーポリマーとしてスチレン系樹脂、上記光重合性化合物としてオキセタン化合物、エポキシ化合物が例示されている。しかしながら、この特許文献には、オキセタン化合物やエポキシ化合物を使用することにより感光性樹脂組成物の感度、剥離特性、パターン形状が向上することは開示されているが、アルカリ可溶性樹脂の種類と、エポキシ化合物およびオキセタン化合物の全架橋剤量に対する含有量との組み合わせにより電気絶縁性を改善できることは示唆されておらず、まして、アルカリ可溶性樹脂の種類による効果については何ら示唆されていない。
特開平5−5996号公報 特開2000−98601号公報 特開平11−237736号公報 特開2001−33964号公報 特開2002−139835号公報 特開2003−215802号公報 特開平5−45879号公報 特開平6−130666号公報 特開平7−146556号公報 特開平11−60683号公報 国際公開第01−22165号パンフレット
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、解像度、電気絶縁性、密着性、接着性等の特性に優れた硬化物を提供することを目的としている。また、このような硬化物を得ることができ、半導体素子の層間絶縁膜、表面保護膜などの用途に適した感光性絶縁樹脂組成物を提供することも目的としている。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究し、特定の架橋剤を使用することによって、解像度、電気絶縁性、密着性および接着性に優れた硬化物が得られることを見出した。また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂を用い、かつ、オキセタニル基含有化合物および/またはエポキシ基含有化合物を全架橋剤に対して特定の割合以上で用いることにより、感光性絶縁樹脂組成物から得られる硬化物の電気絶縁性、基板との密着性および被着基板との接着性が著しく向上することを見出した。さらに、オキセタニル基含有化合物および/またはエポキシ基含有化合物を全架橋剤に対して特定の割合以上で用いることにより、硬化時にアウトガスの発生を低減でき、ボイドの発生を防ぎ、基板との密着性および被着基板との接着性に優れた硬化物が得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至った。
すなわち、本発明に係る感光性絶縁樹脂組成物は、(A)フェノール性水酸基を有する構造単位を含有する樹脂と、(B)光感応性酸発生剤と、(C)オキセタニル基含有化合物(C1)およびエポキシ基含有化合物(C2)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む架橋剤と、(D)溶剤と、(E)架橋微粒子とを含有し、該架橋剤(C)に含まれるオキセタニル基含有化合物(C1)およびエポキシ基含有化合物(C2)の合計量が、該架橋剤(C)の全量100質量%に対して70〜100質量%であることを特徴とする。
前記樹脂(A)は、下記式(I)で表される構造および下記式(II)で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含有することが好ましい。
Figure 2008117619
式(I)中、Rは独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を表し、m1は1〜3の整数を表し、n1は1〜3の整数を表し、m1+n1=4である。
Figure 2008117619
式(II)中、R、R1およびR2は各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を表し、m2は1〜3の整数を表し、n2は1〜3の整数を表し、m2+n2=4であり、m3は0〜3の整数を表し、n3は1〜4の整数を表し、m3+n3=4である。
前記架橋剤(C)は、オキセタニル基含有化合物(C1)およびエポキシ基含有化合物(C2)を含有することが好ましい。
前記架橋微粒子(E)は、ジエン化合物に由来する構造単位、水酸基含有不飽和化合物に由来する構造単位、および不飽和重合性基を2個以上有する架橋性化合物に由来する構造単位を含有する重合体を含むことが好ましい。また、前記架橋微粒子(E)を構成する重合体は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位をさらに含有してもよい。
上記感光性絶縁樹脂組成物は、(a)フェノール化合物をさらに含有してもよく、また、(F)密着助剤をさらに含有してもよい。
本発明に係る硬化物は、上記本発明の感光性絶縁樹脂組成物を用いて得られ、本発明に係る半導体素子は、上記本発明の感光性絶縁樹脂組成物を用いて形成された硬化絶縁膜を有する。
本発明に係る感光性絶縁樹脂組成物を用いると、解像性、絶縁性、密着性、接着性などに優れた硬化物を形成することができ、この硬化物は、半導体素子の層間絶縁膜、表面保護膜などの永久膜レジストとして有用である。
半導体素子の断面模式図である。 半導体素子の断面模式図である。 基材の断面模式図である。 基材の表面模式図である。 電気絶縁性の評価用基材の上面図である。 接着性の評価方法を説明するための模式図である。 接着性の評価方法を説明するための模式図である。 本願発明の感光性絶縁樹脂組成物の一実施態様を示す模式図である。
符号の説明
1 基板
2 金属パッド
3 硬化絶縁膜
4 金属配線
5 硬化絶縁膜
10 銅箔
11 銅箔
12 基板
13 基材
14 基材
15 金属酸化物、または金属窒化物の絶縁膜
16 硬化絶縁膜
17 導通電極
18 基材
19 金属電極
以下、本発明に係る感光性絶縁樹脂組成物およびその硬化物について詳細に説明する。
〔感光性絶縁樹脂組成物〕
本発明に係る感光性絶縁樹脂組成物は、(A)フェノール性水酸基を有する構造単位を含有する樹脂と、(B)光感応性酸発生剤と、(C)オキセタニル基含有化合物(C1)およびエポキシ基含有化合物(C2)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む架橋剤と、(D)溶剤と、(E)架橋微粒子とを含有する。また、前記感光性絶縁樹脂組成物は、必要に応じて、(a)フェノール化合物、(F)密着助剤、増感剤、レベリング剤などのその他添加剤などを含有することもできる。
<樹脂(A)>
本発明に用いられる樹脂(A)は、フェノール性水酸基を有する構造単位を含有するアルカリ可溶性樹脂である。
このようなアルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂の他、ポリヒドロキシスチレンおよびその共重合体、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール−キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン縮合樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体などが挙げられる。これらのうちで、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレンおよびその共重合体、ならびにポリベンゾオキサゾール前駆体が好ましい。これらの樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ノボラック樹脂は、触媒の存在下でフェノール類とアルデヒド類とを縮合させて得られる。上記フェノール類としては、たとえば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、β−ナフトール、ビスフェノールAおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
また、上記アルデヒド類としては、たとえば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなどが挙げられる。
このようなノボラック樹脂としては、具体的には、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂などが挙げられ、下記式(I)で表される構造および下記式(II)で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有することが好ましい。
Figure 2008117619
式(I)中、Rは独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を表し、m1は1〜3の整数を表し、n1は1〜3の整数を表し、m1+n1=4である。
Figure 2008117619
式(II)中、R、R1およびR2は各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を表し、m2は1〜3の整数を表し、n2は1〜3の整数を表し、m2+n2=4であり、m3は0〜3の整数を表し、n3は1〜4の整数を表し、m3+n3=4である。これらの構造単位を有すると絶縁性に優れるため好ましい。
上記ポリヒドロキシスチレンおよびその共重合体としては、具体的には、得られる硬化物の絶縁性および耐熱衝撃性の観点から、下記一般式(1)で示される構造単位(1)および下記一般式(2)で示される構造単位(2)からなる共重合体(A1)が好適に用いられる。前記共重合体(A1)は、構造単位(1)を形成し得るモノマーと、構造単位(2)を形成し得るモノマーとの共重合体である。
Figure 2008117619
式(1)中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基またはアリル基を表す。Rbは水素原子またはメチル基を表す。nは0〜3の整数、mは1〜3の整数である。
Figure 2008117619
式(2)中、Rcは炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基またはアリル基を表す。Rdは水素原子またはメチル基を表す。nは0〜3の整数である。
上記構造単位(1)を形成し得るモノマーとしては、p-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロキシスチレン、p-イソプロペニルフェノール、m-イソプロペニルフェノール、o-イソプロペニルフェノールなどが挙げられ、これらの中では、p-ヒドロキシスチレン、p-イソプロペニルフェノールが好ましい。
上記構造単位(1)は、たとえば、t-ブチル基、アセチル基などで水酸基を保護されたモノマーを重合して得てもよい。得られた重合体または共重合体は、公知の方法、たとえば、酸触媒下で脱保護することにより、ヒドロキシスチレン系構造単位に変換される。
上記構造単位(2)を形成し得るモノマーとしては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレンなどが挙げられる。これらの中では、スチレン、p-メトキシスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
これらのモノマーは、それぞれ1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記共重合体(A1)は、構造単位(1)を形成し得るモノマーと、構造単位(2)を形成し得るモノマーとの共重合体であり、本質的に構造単位(1)および構造単位(2)のみからなることが好ましいが、その他のモノマーが共重合されていてもよい。
上記その他のモノマーとしては、たとえば、不飽和カルボン酸またはそれらの酸無水物類、上記不飽和カルボン酸のエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和アミド類、不飽和イミド類、脂環式骨格を有する化合物、不飽和アルコール類、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾールなどが挙げられる。
より具体的には、たとえば、
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸またはそれらの酸無水物類;
上記不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、i−プロピルエステル、n−ブチルエステル、i−ブチルエステル、sec−ブチルエステル、t−ブチルエステル、n−アミルエステル、n−ヘキシルエステル、シクロヘキシルエステル、2−ヒドロキシエチルエステル、2−ヒドロキシプロピルエステル、3−ヒドロキシプロピルエステル、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルエステル、ベンジルエステル、イソボロニルエステル、トリシクロデカニルエステル、1−アダマンチルエステル等のエステル類;
(メタ)アクリロニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル、メサコンニトリル、シトラコンニトリル、イタコンニトリル等の不飽和ニトリル類;
(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド等の不飽和アミド類;
マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン等の脂環式骨格を有する化合物;
(メタ)アリルアルコール等の不飽和アルコール類;
N−ビニルアニリン、ビニルピリジン類、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記共重合体(A1)において、構造単位(1)と構造単位(2)との合計100重量部に対して、その他のモノマーから形成される構造単位の量は100重量部以下であり、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは25重量部以下である。
上記共重合体(A1)中、構造単位(1)の含有量は10〜99モル%であり、好ましくは20〜97モル%、より好ましくは30〜95モル%であり、構造単位(2)の含有量は90〜1モル%であり、好ましくは80〜3モル%、より好ましくは70〜5モル%である(ただし、共重合体(A1)を構成する構造単位の全量を100モル%とする。)。構造単位(1)および構造単位(2)の含有量が上記範囲外であると、パターニング特性が低下することがあり、硬化物の熱衝撃性などの物性が低下することがある。
上記共重合体(A1)が上記構造単位から構成され、各構造単位の含有量が上記の範囲にあると、解像度、電気絶縁性、熱衝撃性、密着性などの諸特性に優れた硬化物、特に電気絶縁性および熱衝撃性がともに優れた硬化物を形成できる。
上記共重合体(A1)において、構造単位(1)と構造単位(2)と上記その他のモノマーから形成される構造単位との配列は特に限定されず、共重合体(A1)はランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであっても構わない。
上記共重合体(A1)を得るには、構造単位(1)を形成し得る化合物またはその水酸基を保護した化合物と、構造単位(2)を形成し得るモノマーと、必要に応じて上記その他のモノマーとを、開始剤の存在下、溶剤中で重合させればよい。重合方法は特に限定されず、所望の分子量の化合物を得るために、ラジカル重合やアニオン重合などにより行えばよい。
通常、構造単位(1)を形成しうるモノマーとしては、その水酸基が保護されたモノマーを用いる。水酸基が保護されたモノマーは、重合後に、溶媒中、塩酸、硫酸などの酸触媒下に、温度50〜150℃で1〜30時間反応を行って脱保護して、フェノール環含有構造単位に変換される。
上記樹脂(A)の分子量は特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、たとえば200,000以下、好ましくは2,000〜100,000である。Mwが前記下限未満であると、硬化物の耐熱性や伸びなどの物性が低下することがあり、前記上限を超えると、他成分との相溶性が低下したり、パターニング特性が低下することがある。
なお、上記樹脂(A)として、アルカリ溶解性を改善するために、上記共重合体(A1)およびノボラック樹脂の混合物を用いてもよい。上記共重合体(A1)100重量部に対して、ノボラック樹脂は、好ましくは1〜200重量部の範囲で、より好ましくは1〜150重量部の範囲で、さらに好ましくは1〜100重量部の範囲で用いられる。
<フェノール化合物(a)>
本発明の感光性絶縁樹脂組成物に用いることができるフェノール化合物(a)は、上記樹脂(A)以外のフェノール性水酸基を有する低分子量化合物であり、上記樹脂(A)と併用することにより、アルカリ可溶性を向上させることができる。
上記フェノール化合物(a)としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、4,6−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが挙げられる。
上記フェノール化合物(a)は、上記樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは2〜100重量部、特に好ましくは5〜50重量部の量で用いることができる。フェノール化合物(a)を前記範囲で含有することにより、十分なアルカリ溶解性を発現する組成物が得られる。
また、本発明の感光性絶縁樹脂組成物において、上記樹脂(A)とフェノール化合物(a)との合計量は、組成物中の溶剤(D)以外の成分の合計100重量部に対して、通常40〜95重量部、好ましくは50〜80重量部である。
<光感応性酸発生剤(B)>
本発明で用いられる光感応性酸発生剤(以下、単に「酸発生剤(B)」ともいう。)は、放射線などの照射により酸を発生する化合物である。発生した酸の触媒作用により、後述する架橋剤(C)中のオキセタニル基またはエポキシ基と、前記樹脂(A)およびフェノール化合物(a)とが反応して硬化し、ネガ型のパターンを形成することができる。
酸発生剤(B)としては、放射線などの照射により酸を発生する化合物であれば特に限定されないが、たとえば、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物などを挙げることができる。
上記オニウム塩化合物としては、たとえば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩などを挙げることができる。好ましいオニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフリオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフリオロメタンスルホネート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロホスフェート、ジ−p−トリルヨードニウムトリス(ヘキサフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどを挙げることができる。
上記ハロゲン含有化合物としては、たとえば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物などを挙げることができる。好ましいハロゲン含有化合物の具体例としては、1,10−ジブロモ−n−デカン、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、スチリル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのs−トリアジン誘導体を挙げることができる。
上記ジアゾケトン化合物としては、たとえば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物などを挙げることができ、具体例としてはフェノール類の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物を挙げることができる。
上記スルホン化合物としては、たとえば、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物およびこれらの化合物のα−ジアゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタンなどを挙げることができる。
上記スルホン酸化合物としては、たとえば、アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類などを挙げることができる。好ましい具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルp−トルエンスルホネートなどを挙げることができる。
上記スルホンイミド化合物の具体例としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミドなどを挙げることができる。
上記ジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンなどを挙げることができる。
上記酸発生剤(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記酸発生剤(B)の配合量は、本発明の樹脂組成物の感度、解像度、パターン形状などを確保する観点から、上記樹脂(A)とフェノール化合物(a)との合計量100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部である。配合量が前記範囲内にあると、組成物が十分に硬化して硬化物の耐熱性が向上するとともに、放射線に対して良好な透明性を有し、パターン形状の劣化が起こりにくくなる。
<架橋剤(C)>
本発明に用いられる架橋剤(C)は、オキセタニル基含有化合物(C1)およびエポキシ基含有化合物(C2)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、上記樹脂(A)および必要に応じて用いられるフェノール化合物(a)と反応する架橋成分として作用する。
上記オキセタニル基含有化合物(C1)は、分子中にオキセタニル基を1個以上有する。具体的には、下記式(A)〜(C)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008117619
式(A)、(B)および(C)の各々において、R5はメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基であり、R6は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基であり、R7は、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、キシリル基等のアリール基;下記式(i)で表わされるジメチルシロキサン残基;メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基;フェニレン基;または下記式(ii)〜(vi)で表わされる基を示し、iは、R7の価数に等しく、1〜4の整数である。
Figure 2008117619
式中、xおよびyは、それぞれ独立に0〜50の整数、Zは単結合あるいは−CH2−、−C(CH32−、−C(CF32−または−SO2−で示される2価の基である。
上記式(A)〜式(C)で表わされる化合物としては、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン(商品名「XDO」東亜合成社製)、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕メタン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕エーテル、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕プロパン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕スルホン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕ケトン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕ヘキサフロロプロパン、トリ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、テトラ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、ならびに下記式(D)〜(H)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2008117619
また、これらの化合物以外に、高分子量の多価オキセタン環を有する化合物も用いることができる。具体的には、例えばオキセタンオリゴマー(商品名「Oligo−OXT」東亞合成社製)ならびに下記式(I)〜(K)で示される化合物などを挙げることができる。
Figure 2008117619
式中、p、qおよびsは、それぞれ独立に0〜10,000の整数である。
上記の中では、1,4−ビス{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}ベンゼン(東亞合成(株)製、商品名:OXT−121)、3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亞合成(株)製、商品名:OXT−221)が好ましい。
上記オキセタニル基含有化合物(C1)は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エポキシ基含有化合物(C2)としては、エポキシ基を分子内に含有している化合物であれば特に制限されないが、具体的には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシシクロヘキセン樹脂などが挙げられる。
上記フェノールノボラック型エポキシ樹脂としてはジャパンエポキシレジン(株)製エピコート152、154(以上、商品名)、上記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては日本化薬(株)製EOCNシリーズ(商品名)、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては日本化薬(株)製NC3000シリーズ(商品名)、上記トリスフェノール型エポキシ樹脂としては日本化薬(株)製EPPNシリーズ(商品名)、上記フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂としては日本化薬(株)製NC7000シリーズ(商品名)、上記フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては日本化薬(株)製XD−1000シリーズ(商品名)、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂としてはジャパンエポキシレジン(株)製エピコート801シリーズ(商品名)、上記脂肪族エポキシ樹脂としては、ペンタエリスリトールグリシジルエーテル(ナガセケムテック(株)製、商品名:デナコールEX411)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX321、321L)、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX313、EX314)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX211)、エチエン/ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX810、850シリーズ)、プロピレン/ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX911、941、920シリーズ)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX212)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック(株)製、商品名:デナコールEX611、EX612、EX614、EX614B、EX610U)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社(株)製、商品名:エポライト70P)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(共栄社(株)製、商品名:エポライト100MF)、上記芳香族エポキシ樹脂としてはフェニルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX141)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテック(株)製、商品名:デナコールEX201)、上記エポキシシクロヘキセン樹脂としては3、4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学(株)製、商品名:セロキサイド2021、2021A、2021P)、1,2:8,9ジエポキシリモネン(ダイセル化学(株)製、商品名:セロキサイド3000)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学(株)製、商品名:EHPE3150CE)などが挙げられる。
これらの中でも、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコート152、154)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコート801シリーズ)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテック(株)製、商品名:デナコールEX201)、ペンタエリスリトールグリシジルエーテル(ナガセケムテック(株)製、商品名:デナコールEX411)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX321、321L)、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX313、EX314)、フェニルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX141)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX211)、エチエン/ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX810、850シリーズ)、プロピレン/ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX911、941、920シリーズ)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX212)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック(株)製、商品名:デナコールEX611、EX612、EX614、EX614B、EX610U)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社(株)製、商品名:エポライト70P)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(共栄社(株)製、商品名:エポライト100MF)が好ましい。
上記エポキシ基含有化合物(C2)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記オキセタニル基含有化合物(C1)および/または上記エポキシ基含有化合物(C2)を架橋剤として用いると、架橋反応時に脱離反応を伴わず、アウトガスが発生しないことから、絶縁性樹脂と基材との密着性に優れるとともに、積層時に基材と基材を張り合わせる際の接着性にも優れる。
上記架橋剤(C)は、上記オキセタニル基含有化合物(C1)および上記エポキシ基含有化合物(C2)以外の他の架橋剤をさらに含有してもよいが、架橋反応時に脱離反応を伴わないものが好ましい。上記架橋剤(C)に含まれる上記オキセタニル基含有化合物(C1)および上記エポキシ基含有化合物(C2)の合計量は、該架橋剤(C)の全量100質量%に対して、70〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは100質量%である。化合物(C1)および(C2)の合計含有量が前記範囲内であることにより、上述した化合物(C1)および/または(C2)を用いることの効果が顕著になる。
本発明の組成物における架橋剤(C)の配合量は、上記樹脂(A)と必要に応じて用いられる上記フェノール化合物(a)との合計量100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは2〜70重量部である。配合量が前記範囲内であれば、得られる硬化膜は十分な耐薬品性および高い解像性を有する。
<溶剤(D)>
本発明で用いられる溶剤(D)は、樹脂組成物の取り扱い性を向上させたり、粘度や保存安定性を調節するために添加される。
このような溶剤(D)は特に制限されず、たとえば、
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、ブチルカルビトール等のカルビトール類;
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル等の乳酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;
N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;
γ−ブチロラクン等のラクトン類
などの有機溶媒を挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明における溶剤(D)の量は、組成物の用途や用いる塗布方法に応じて適宜選択され、組成物を均一な状態にすることができれば特に制限されないが、組成物全体に対して、通常10〜80重量%、好ましくは30〜75重量%、より好ましくは40〜70重量%である。
<架橋微粒子(E)>
本発明に用いられる架橋微粒子(E)は、架橋微粒子を構成する重合体のガラス転移温度(Tg)のうちの少なくとも1つが0℃以下であることが好ましく、たとえば、不飽和重合性基を2個以上有する架橋性モノマー(以下、「架橋性モノマー」と称す。)と、この架橋性モノマーと共重合可能であって、架橋微粒子(E)を構成する共重合体のTgのうちの少なくとも1つが0℃以下となるように選択される1種以上のその他モノマー(以下、「その他モノマー(e)」ともいう。)との共重合体が好ましい。
なお、上記架橋微粒子(E)を構成する重合体のTgとは、架橋微粒子の分散液を凝固、乾燥した後、セイコーインスツールメンツSSC/5200HのDSCを用いて−100℃〜150℃の範囲で昇温速度10℃/minで測定した値である。
上記架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を複数有する化合物を挙げることができる。なかでも、ジビニルベンゼンが好ましい。
上記その他モノマー(e)としては、重合性基以外の官能基として、たとえばカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基等の官能基を有するモノマーが好ましい。
上記その他モノマー(e)の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン、クロロプレン、1,3−ペンタジエンなどのジエン化合物;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、クロトン酸ニトリル、ケイ皮酸ニトリル、イタコン酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリル、フマル酸ジニトリルなどの不飽和ニトリル化合物類;
(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド、ケイ皮酸アミド等の不飽和アミド類;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、α−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノールなどの芳香族ビニル化合物;
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、グリコールのジグリシジルエーテルなどと(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどとの反応によって得られるエポキシ(メタ)アクリレート類;
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアナートとの反応によって得られるウレタン(メタ)アクリレート類;
グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、コハク酸−β−(メタ)アクリロキシエチル、マレイン酸−β−(メタ)アクリロキシエチル、フタル酸−β−(メタ)アクリロキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸−β−(メタ)アクリロキシエチルなどの不飽和酸化合物;
ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和化合物;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有不飽和化合物;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物
など挙げられる。
これらの中では、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、スチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類などが好ましく、ブタジエンが特に好ましい。
上記架橋微粒子(E)を構成する重合体の好ましい態様としては、ジエン化合物に由来する構造単位、水酸基含有不飽和化合物に由来する構造単位、および不飽和重合性基を2個以上有する架橋性化合物に由来する構造単位を含有する重合体が挙げられ、該重合体は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位をさらに含有してもよい。
上記架橋微粒子(E)を構成する架橋性モノマーとその他モノマー(e)との割合は、共重合に用いる全モノマーに対して、架橋性モノマーが1〜20重量%かつその他モノマー(e)が80〜99重量%、好ましくは架橋性モノマーが2〜10重量%かつその他モノマー(e)が90〜98重量%の量で用いられることが望ましい。また、その他モノマー(e)としてジエン化合物、好ましくはブタジエンを、共重合に用いる全モノマーに対して、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の量で用いると、ゴム状の軟らかい架橋微粒子が得られ、得られる硬化膜にクラック(割れ)が生ずるのを防止でき、耐久性に優れた硬化膜を得ることができる。さらに、その他モノマー(e)として、スチレンとブタジエンとを併用すると誘電率が低い硬化膜を得ることができる。
上記架橋微粒子(E)の平均粒子径は、通常30〜500nmであり、好ましくは40〜200nmであり、さらに好ましくは50〜120nmである。架橋微粒子の粒径コントロール方法は、特に限定されるものではないが、乳化重合により架橋微粒子を合成する場合であれば、使用する乳化剤の量により、乳化重合中のミセルの数を制御し、粒径をコントロールする方法を例示できる。なお、前記平均粒子径は、大塚電子製の光散乱流動分布測定装置LPA−3000を用い、架橋微粒子の分散液を常法にしたがって希釈して測定した値である。
上記架橋微粒子(E)の配合量は、上記樹脂(A)と必要に応じて用いられる上記フェノール化合物(a)との合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部であり、より好ましくは1〜20重量部である。配合量が前記範囲内にあると、得られる硬化膜は耐熱衝撃性、耐熱性を有し、他成分との良好な相溶性(分散性)を示す。
<密着助剤(F)>
本発明で用いることができる密着助剤(F)としては、官能性シランカップリング剤が好ましく、たとえば、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的には、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、1,3,5−N−トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
<その他の添加剤>
本発明の感光性絶縁樹脂組成物には、界面活性剤、増感剤、レベリング剤、その他の酸発生剤などの各種添加剤を、上記組成物の特性を損なわない程度に含有させることもできる。前記界面活性剤を加えることにより、塗膜平坦化、基板外周平坦化、ストリエーションなどを改善することができる。このような界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤などを挙げることができる。
<調製方法>
本発明の感光性絶縁樹脂組成物の調製方法は特に限定されず、通常の調製方法を適用することができる。また、各成分をサンプル瓶に入れて完全に栓をした後、これをウェーブローターの上で撹拌することによっても調製できる。
〔硬化物〕
本発明に係る感光性絶縁樹脂組成物を硬化してなる硬化物は、電気絶縁性、熱衝撃性、密着性、接着性などに優れている。したがって、本発明の感光性絶縁樹脂組成物は、特に、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜などの材料として好適に使用することができる。
本発明の硬化物(硬化膜)は、たとえば、以下のようにして形成することができる。
上述した本発明の感光性絶縁樹脂組成物を、たとえば、樹脂付き銅箔、銅張り積層板や金属スパッタ膜を付けたシリコンウエハーやアルミナ基板などの支持体に塗工し、乾燥により溶剤などを揮発させて塗膜を形成する。その後、所望のマスクパターンを介して露光し、さらに加熱処理(以下、この加熱処理を「PEB」という。)を行うことにより、上記樹脂(A)および必要に応じて用いられる上記フェノール化合物(a)と、上記架橋剤(C)との反応を促進させる。
次いで、アルカリ性現像液により現像して、未露光部を溶解、除去することにより所望のパターンを得ることができる。その後、さらに加熱処理を行うことにより、絶縁膜特性を有する硬化膜を得ることができる。
ここで、樹脂組成物を支持体に塗工する方法としては、たとえば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、またはスピンコート法などの塗布方法を用いることができる。また、塗布の厚さは、塗布手段、組成物の固形分濃度や粘度を調節することにより、適宜制御することができる。
露光に用いられる放射線としては、たとえば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、g線ステッパー、i線ステッパーなどの紫外線や電子線、レーザー光線などが挙げられる。露光量は、使用する光源や樹脂膜厚などによって適宜選定されるが、たとえば高圧水銀灯からの紫外線照射の場合、樹脂膜厚が10〜50μmであれば、1,000〜50,000J/m2程度である。
露光後のPEB処理条件は、樹脂組成物の配合量や使用膜厚などによって異なるが、通常70〜150℃、好ましくは80〜120℃で、1〜60分程度である。
アルカリ性現像液による現像方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、浸漬現像法、パドル現像法などを挙げることができ、現像条件は、通常20〜40℃で1〜10分程度である。
上記アルカリ性現像液としては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンなどのアルカリ性化合物を水に溶解して濃度が1〜10重量%程度になるように調製したアルカリ性水溶液を挙げることができる。前記アルカリ性水溶液には、たとえばメタノール、エタノールなどの水溶性の有機溶剤や界面活性剤などを適量添加することもできる。なお、アルカリ性現像液で現像した後、パターニングした塗膜を水で洗浄し、乾燥させる。
現像後の加熱処理条件は、特に制限されないが、硬化物の用途に応じて、50〜200℃の温度で、30分〜10時間程度加熱処理し、パターニングした塗膜を硬化させることができる。この現像後の加熱処理は、得られたパターン状の塗膜の硬化を十分に進行させたり、その変形を防止するために、二段階以上の工程で実施してもよい。たとえば、第一段階では50〜120℃の温度で5分〜2時間程度加熱し、第二段階では80〜200℃の温度で10分〜10時間程度加熱して、パターン状の塗膜を硬化させることもできる。このような硬化条件であれば、加熱設備としてホットプレート、オーブン、赤外線炉などを使用することができる。
本発明に係る硬化物は電気絶縁性に優れ、そのマイグレーション試験後の抵抗値は好ましくは108Ω以上であり、より好ましくは109Ω以上、さらに好ましくは1010Ω以上である。ここで、前記マイグレーション試験とは、具体的には以下のように行われる試験をいう。
樹脂組成物を図5に示す評価基材13に塗布し、ホットプレートを用いて110℃で3分間加熱し、銅箔上での厚さが10μmである樹脂塗膜を作製する。その後、対流式オーブンを用いて190℃で1時間加熱して樹脂塗膜を硬化させて硬化膜を得る。この硬化膜付き評価基材をマイグレーション評価システム(タバイエスペック(株)製AEI,EHS−221MD)に投入し、温度121℃、湿度85%、圧力1.2気圧、印可電圧5Vの条件で200時間処理した後、評価基板の抵抗値(Ω)を測定する。
〔半導体素子〕
本発明に係る半導体素子は、上記のようにして形成された硬化膜を有する。この硬化膜は、半導体素子において、表面保護膜や層間絶縁膜などとして好適に使用できる。
上記半導体素子としては、たとえば、図1および2に示す半導体素子(回路付基板)が挙げられる。図1に示す回路付基板は、まず、基板1上に金属パッド2をパターン状に形成した後、上記樹脂組成物を用いて絶縁膜(硬化膜)3をパターン状に形成する。次いで、金属配線4をパターン状に形成して得られる。また、図2に示す回路付基板は、図1に示す回路付基板の上に、さらに上記樹脂組成物を用いて絶縁膜(硬化膜)5を形成して得られる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例における部は特に断らない限り重量部の意味で用いる。また、硬化物の特性については、下記の方法で評価した。
<解像性>
6インチのシリコンウエハーに感光性絶縁樹脂組成物をスピンコートし、ホットプレートを用いて100℃で5分間加熱し、30μm厚の均一な塗膜を作製した。その後、アライナー(Suss Microtec社製 MA−150)を用い、パターンマスクを介して高圧水銀灯からの紫外線を波長350nmにおける露光量が2,000J/m2となるように露光した。次いで、ホットプレートで110℃、3分間加熱(PEB)し、2.38重量%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液を用いて、23℃で10分間浸漬現像した。得られたパターンの最小寸法を解像度とした。
<密着性>
シリコンウエハーまたは銅をスパッタしたシリコンウエハーに樹脂組成物を塗布し、ホットプレートで120℃、5分間加熱し、10μm厚の均一な樹脂塗膜を作製した。その後、アライナーを用い、高圧水銀灯からの紫外線を波長350nmにおける露光量が2,000J/m2となるように露光した。次いで、ホットプレートで110℃、3分間加熱(PEB)し、対流式オーブン(窒素下)を用いて200℃で1時間加熱して樹脂塗膜を硬化させて硬化膜を得た。この硬化膜をプレッシャークッカー試験装置(タバイエスペック(株)製)で、温度121℃、湿度100%、圧力2.1気圧の条件下で168時間処理した。試験前後での密着性をJIS K 5400に準拠してクロスカット試験(碁盤目テープ法)を行い、評価した。
<接着性>
1cm×6cmのシリコン基板切片上に樹脂組成物を塗布し、ホットプレートを用いて110℃で3分間加熱し、10μm厚の均一な樹脂塗膜を作製した。その後、アライナーを用い、高圧水銀灯からの紫外線を波長350nmにおける露光量が1,000J/m2となるように露光した。次いで、ホットプレートで110℃、3分間加熱(PEB)し、対流式オーブンを用いて150℃で30時間加熱し、樹脂塗膜を半硬化させて半硬化膜を有するシリコン基板切片を得た。この半硬化膜を有するシリコン基板切片と、さらに1cm×6cmのシリコン基板切片とを図6に示すように直行するように貼り合わせて、上方温度240℃、下方温度30℃/100kgf/3分間プレス処理(APPLIED POWER JAPAN LTD製プレス機、型番;ENERPAC ESE-924-00)を行い評価基板を作成した。この試験片を押し込み試験機(今田製作所製;型番;SDWS-0201)を用いて、図7に示すように応力を速度(5mm/min.)で付加し、シリコン基板が剥がれる応力を確認した。
<電気絶縁性>
シリコン基板上に樹脂組成物を塗布して絶縁膜を形成し、その上に図5に示すようなパターン状の銅箔10を形成して電気絶縁性評価用基材13を作製した。この電気絶縁性評価用基材13に、さらに樹脂組成物を塗布し、ホットプレートを用いて110℃で3分間加熱し、銅箔10上での厚さが10μmである樹脂塗膜を作製した。その後、アライナー(Suss Microtec社製MA−150)を用い、高圧水銀灯からの紫外線を波長350nmにおける露光量が2,000J/m2となるように露光し、ホットプレートを用いて110℃で3分間加熱(PEB)した。次いで、対流式オーブンを用いて200℃で1時間加熱して樹脂塗膜を硬化させて硬化膜を有する基材を得た。この基材をマイグレーション評価システム(タバイエスペック(株)製)に投入し、温度121℃、湿度85%、圧力:1.2気圧、印可電圧:5Vの条件で200時間処理した。その後、抵抗値(Ω)を測定し、上層の硬化膜の絶縁性を確認した。
〔合成例1〕 樹脂(A−1)の合成
攪拌機、冷却管および温度計つきの3L三つ口セパラブルフラスコに、混合クレゾール(m−クレゾール/p−クレゾール=60/40(モル比))840g、37質量%のホルムアルデヒド水溶液600gおよびシュウ酸0.36gを仕込んだ。攪拌しながら、セパラブルフラスコを油浴に浸し、内温を100℃に保持して3時間反応させた。その後、油浴温度を180℃まで上昇させ、同時にセパラブルフラスコ内を減圧にして水、未反応クレゾール、ホルムアルデヒドおよびシュウ酸を除去した。次いで、溶融したノボラック樹脂を室温に戻して回収し、Mwが6,500のクレゾールノボラック樹脂(A−1)を得た。
〔合成例2〕 樹脂(A−4)の合成
p−t−ブトキシスチレンをプロピレングリコールモノメチルエーテル150重量部に溶解させ、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、アゾビスイソブチロニトリル4重量部を用いて10時間重合させた。その後、反応溶液に硫酸を加えて反応温度を90℃に保持して10時間反応させ、p−t−ブトキシスチレンを脱保護してヒドロキシスチレンに変換した。得られた重合体に酢酸エチルを加え、水洗を5回繰り返し、酢酸エチル相を分取し、溶剤を除去して、p−ヒドロキシスチレン単独重合体(A−4)を得た。
この重合体(A−4)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10,000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5であった。
〔合成例3〕 樹脂(A−6)の合成
アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン=20/40/40(重量比)を乳酸エチル150重量部に溶解させ窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、アゾビスイソブチロニトリル4重量部を用いて10時間重合させた。この共重合体(A−6)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10,000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.5であった。
[実施例1〜8]
表1に示す、樹脂(A)、フェノール化合物(a)、光酸発生剤(B)、架橋剤(C)、架橋微粒子(E)および密着助剤(F)を溶剤(D)に、それぞれ表1に示す量で溶解させ、感光性絶縁樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を用いて、上記評価方法に記載の方法に従って硬化膜を作製した。樹脂組成物および硬化膜の特性を上記評価方法にしたがって測定した。結果を表2に示す。
[比較例1〜4]
上記実施例と同様にして、表1に示す成分からなる樹脂組成物およびその硬化膜の調製および評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2008117619
なお、表1に記載の成分は、以下のとおりである。
<樹脂(A)>
A−1:m−クレゾール/p−クレゾール=60/40(モル比)からなるクレゾールノボラック樹脂、Mw=6,500
A−2:ビスフェノールAのホルマリン縮合樹脂(大日本インキ(株)製、商品名;KH−6021)、Mw=3000
A−3:フェノールと1,4−ベンゼンジメタノールとからなる樹脂(三井化学(株)製、商品名;XLC−3L)、Mw=2000
A−4:p-ヒドロキシスチレンの単独重合体、Mw=10,000、Mw/Mn=3.5
A−5:p-ヒドロキシスチレンの単独重合体、Mw=2,000、Mw/Mn=3.0 (丸善石油化学(株)製、商品名;S-2P)
A−6:アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン=20/40/40(重量比)、 Mw=10,000、Mw/Mn=2.5
<フェノール化合物(a)>
a−1:1,1-ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタン
<光酸発生剤(B)>
B−1:4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(サンアプロ(株)製、商品名:CPI−210S)
B−2:トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(旭電化(株)製、商品名;SP−172)
<架橋剤(C1)>
C1−1:1,4−ビス[[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル]ベンゼン(東亜合成(株)製、商品名;OXT-121)
C1−2:3−エチル−3−[[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル]オキセタン(東亜合成(株)製、商品名;OXT-221)
<架橋剤(C2)>
C2−1:ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名;デナコールEX610U)
C2−2:プロピレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社(株)製、商品名;エポライト70P)
<架橋剤(C3)>
C3−1:ヘキサメトキシメチルメラミン(三井サイテック(株)製、商品名;サイメル300)
<溶剤(D)>
D−1:乳酸エチル
D−2:N−メチルピロリドン
<架橋微粒子(E)>
E−1:ブタジエン/ヒドロキシブチルメタクリレート/メタクリル酸/ジビニルベンゼン=60/32/6/2(重量%)、Tg=−40℃、平均粒径=65nm
E−2:ブタジエン/スチレン/ヒドロキシブチルメタクリレート/ジビニルベンゼン=60/24/14/2(重量%)、Tg=−35℃、平均粒径=70nm
<密着助剤(F)>
F−1:γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)製、商品名;S−510)
F−2:1,3,5−N-トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(GE東芝シリコーン(株)製 商品名;Y11597)
Figure 2008117619

Claims (9)

  1. (A)フェノール性水酸基を有する構造単位を含有する樹脂と、
    (B)光感応性酸発生剤と、
    (C)オキセタニル基含有化合物(C1)およびエポキシ基含有化合物(C2)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む架橋剤と、
    (D)溶剤と、
    (E)架橋微粒子と
    を含有し、該架橋剤(C)に含まれるオキセタニル基含有化合物(C1)およびエポキシ基含有化合物(C2)の合計量が、該架橋剤(C)の全量100質量%に対して70〜100質量%であることを特徴とする感光性絶縁樹脂組成物。
  2. 前記樹脂(A)が、下記式(I)で表される構造および下記式(II)で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性絶縁樹脂組成物。
    Figure 2008117619
    [式(I)中、Rは独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を表し、m1は1〜3の整数を表し、n1は1〜3の整数を表し、m1+n1=4である。]
    Figure 2008117619
    [式(II)中、R、R1およびR2は各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を表し、m2は1〜3の整数を表し、n2は1〜3の整数を表し、m2+n2=4であり、m3は0〜3の整数を表し、n3は1〜4の整数を表し、m3+n3=4である。]
  3. 前記架橋剤(C)が、オキセタニル基含有化合物(C1)およびエポキシ基含有化合物(C2)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の感光性絶縁樹脂組成物。
  4. (a)フェノール化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3に記載の感光性絶縁樹脂組成物。
  5. 前記架橋微粒子(E)が、ジエン化合物に由来する構造単位、水酸基含有不飽和化合物に由来する構造単位、および不飽和重合性基を2個以上有する架橋性化合物に由来する構造単位を含有する重合体を含むことを特徴とする請求項1〜4に記載の感光性絶縁樹脂組成物。
  6. 前記架橋微粒子(E)を構成する重合体が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位をさらに含有することを特徴とする請求項5に記載の感光性絶縁樹脂組成物。
  7. (F)密着助剤をさらに含有することを特徴とする請求項1〜6に記載の感光性絶縁樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の感光性絶縁樹脂組成物を用いて得られる硬化物。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の感光性絶縁樹脂組成物を用いて形成された硬化絶縁膜を有する半導体素子。
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