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JPWO2008029783A1 - 軟質植物質素材の製造方法 - Google Patents

軟質植物質素材の製造方法 Download PDF

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JPWO2008029783A1
JPWO2008029783A1 JP2008533155A JP2008533155A JPWO2008029783A1 JP WO2008029783 A1 JPWO2008029783 A1 JP WO2008029783A1 JP 2008533155 A JP2008533155 A JP 2008533155A JP 2008533155 A JP2008533155 A JP 2008533155A JP WO2008029783 A1 JPWO2008029783 A1 JP WO2008029783A1
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浩二 上霜
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武 石川
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Abstract

特に、高齢者用の食品に適した、食品素材の形状が保持された軟質植物質素材を製造する方法を提供する。工程として、(1)植物質素材を凍結し、解凍して、解凍食品を調製する工程、(2)前記解凍食品を、減圧下において、ペクチン分解酵素又はセルロース分解酵素の分散液に浸漬する工程、(3)前記浸漬した解凍素材を、前記ペクチン分解酵素又はセルロース分解酵素の活性を停止させる温度及び時間、加熱処理する工程を有する。また、上記工程(1)における解凍処理を、次工程の減圧下の酵素含浸処理と同時に行ってもよい。

Description

本発明は、特に、高齢者用の食品を製造するのに適した、食品素材の形状が保持された軟質植物質素材を製造する方法に関する。
高齢者は、通常、硬い食材を食することは困難である。また、高齢者も、通常の人々と同様に、食事をする際には、食事における料理の具材の形や色彩を、味とともに、楽しみたいとの要望が強い。
しかしながら、現状においては、通常、高齢者の食事は、高齢者が容易に食することができるようにとの配慮から、具材の形状がなくなるまで柔らかくしたペースト状のものや、液状のものが主流となっている。そのため、高齢者は、普段、食材としての形状や色を十分に楽しむことができず、食事が味気のないものとなりやすい。このため、高齢者用の食事は、食欲を起し難く、高齢者は、徐々に、体力を落とすなど弊害を生じ易い。また、食材をペースト状や、液状のものにまで処理されていると、料理としての具材によりもたらされる色彩を味わうことも容易ではない。
また、高齢者自身も、自宅において、硬い食材を予め柔らかい状態とされたものを市場において容易に入手できることは、高齢者用の食事を自身で自宅において容易に調製できるためには、大変に望ましい。
近年、生又は加熱処理した食材を凍結解凍した後、減圧下でペクチン分解酵素の分散液に浸漬することにより、ペクチン分解酵素を食材の中心部まで浸透させ、内部まで柔らかい食材を調製する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2003−284522号明細書
この酵素急速導入法によれば、食材の内部まで酵素を導入できるため、食材の表面だけではなく、内部までも均一に短時間で軟化等の処理が可能となることが期待される。
しかしながら、本発明者によれば、この酵素急速導入法により調製された食材をそのまま容器に収納して、仮に、冷蔵保存で保存し、軟化食材として市場に供給した場合に、その流通過程において、どうしても徐々に軟化が進行してしまい、調理をする時点で、柔らか過ぎたり、筍やニンジンなどの硬い食材でも、直ちに形が崩れるほどの軟質状態になるといった問題が見出された。一方、食材をそのまま容器に収納して、凍結することも検討されるが、それでも、若干の軟化が進行する可能性があり、また、調理する際に、解凍する必要があり、高齢者にとっては、手間がかかり、不便である。
そこで、軟化が進行せず、柔らかい状態でかつ形状や、色彩を保持した状態の食材を、そのまま調理できることは、高齢者にとって非常に便利であり、生活を豊かにする上で重要である。
本発明者らは、上記のように酵素を使用して軟化した食材を、市場においても、所定の柔らかさで固定され、そのまま直ちに調理しても、食材としての形状や、色彩、歯ごたえが保持された高齢者の食事に適した食材を提供することを目的として、鋭意検討した結果、食材を一旦、凍結後解凍した後、又は、凍結後に解凍する際に、食材を酵素により軟化させた後、使用した酵素の活性を確実に停止させる加熱処理を行なうことにより、市場において、流通過程を経由し、更に、家庭における冷蔵庫に保存した後においても、設定された所定の硬度を保つ食材を調製できることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、軟質植物質食材の製造方法であって、以下の工程、
(1)植物質素材を凍結し、解凍して、解凍素材を調製する工程、
(2)前記解凍素材を、減圧下において、ペクチン分解酵素又はセルロース分解酵素の分散液に浸漬する工程、次いで
(3)前記浸漬した解凍素材を、前記ペクチン分解酵素又はセルロース分解酵素の活性を停止させる温度及び時間、加熱処理する工程、
を有することを特徴とする方法に関するものである。
なお、上記の工程(1)の解凍処理は、工程(2)における減圧下の酵素処理の過程で行うこともできる。従って、本発明は、別の態様として、軟質植物質食材の製造方法であって、以下の工程、
(1)植物質素材を凍結して、凍結素材を調製する工程、
(2)前記凍結素材を、減圧下において、ペクチン分解酵素又はセルロース分解酵素の分散液に浸漬しながら解凍して、解凍素材を調製する工程、
(3)前記浸漬した解凍素材を、前記ペクチン分解酵素又はセルロース分解酵素の活性を停止させる温度及び時間、加熱処理する工程、
を有することを特徴とする方法に関するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用される植物質素材は、植物質の食材を意味する。
植物質素材としては、例えば、ニンジンや、大根、タマネギ、白菜などの野菜類、サツマイモや、ジャガイモなどのイモ類、米や、小麦などの穀類、大豆や、小豆などの豆類、みかんや、リンゴなどの果実類、更には、筍、クワイ、椎茸等の茸類等が好適に列挙できる。
生の又は未処理の植物質素材は、凍結される前に、土等の汚れを除去したり、水等により、洗浄しておくことが好適である。また、凍結される前の植物質素材は、生の食材に限られず、ブランチング等の加熱調理等の処理がされているものでもよい。
植物質素材は、大きいものについては、50mm以下、好ましくは、30mm以下の大きさにすることが、後の酵素浸透を内部まで確実に行うのに好適である。このような大きさのものでも、食事の際の食材として、通常の食事におけるように、具材の形状が保持され、食事を楽しむことができる。特に、この大きさ内であれば、例えば、豆類は、そのまま本発明の処理を施し、食材としてそのまま使用することができる。
植物質素材は、次いで、凍結及び解凍処理がなされる。但し、後述するように、解凍処理は、次の酵素処理と同時に行ってもよい。
凍結は、通常、植物質素材の内部に氷結ができる条件で行われる。例えば、凍結温度は、−5℃以下であり、好ましくは、−15℃以下である。凍結温度は、植物質素材に氷結晶が生成する凍結温度であれば、急速又は緩慢凍結を問わない。但し、凍結時間を考慮すれば実用的な面から−15℃が適当である。また、細かい氷結晶を内部全体に均一に分布させるには、凍結を急激に行うことが好ましい。また、緩慢な凍結により、内部に比較的大きな空隙を形成することができる。凍結時間は、凍結温度に依存して変動するが、例えば、−15℃以下では、通常、20〜60分程度である。もちろんこれよりも長い時間、凍結温度に保持してもよい。
解凍は、凍結植物質素材を室温で放置するか、又は50℃、好ましくは、30℃まで加温して行われる。特に、解凍効率を向上し、酵素の浸透を向上するために、凍結した植物質素材を、後述する酵素分散液中に保持しながら、解凍することが好ましい。
なお、解凍を行なう前に、凍結植物質素材の表面に冷風を当てて、表面の水分を減少させることは、後に行なう酵素浸透力を更に向上させるので、好適である。特に、解凍処理を次工程(2)の減圧下の酵素処理と同時に行う場合に好適である。
冷風の温度は、例えば、−30℃〜5℃、好ましくは、−20℃〜0℃が好適である。
また、冷風乾燥時間は、通常、15時間〜3日程度、好ましくは、1日〜2日が適当である。
解凍時間は、解凍温度に依存するが、例えば、5〜30分、通常、5〜15分程度が適当である。なお、解凍処理を、次工程(2)において行う場合には、通常、解凍時間は、酵素処理時間と同じである。
このようにして解凍された植物質素材は、次いで、減圧下において、ペクチン分解酵素又はセルロース分解酵素の分散液に浸漬する。
減圧下、酵素分散液中で、解凍された植物質素材を浸漬することにより、酵素が、植物質素材内部に分散した微細な氷結晶の解凍により生じた多数の微細空隙中へ容易に浸透することができる。特に解凍を減圧下で行う場合には、予め、冷風で凍結食品の表面を乾燥させることが好ましい。これにより、減圧下で、凍結食品の内部から微細な氷結晶が昇華する際に、凍結食品の表面が乾燥していることから、内部からの水分と、酵素分散液とが容易に置換できるものと考えられる。
減圧は、その程度が大きいほど、酵素の浸透は早まる。但し、市場で入手可能な減圧装置との関係では、実用的な減圧の程度は、例えば、93hPa(70mmHg)以下、通常、13〜80hPa(10〜60mmHg)が適当である。減圧速度は、特に問題ではないが、例えば、1〜20分、好ましくは、2〜10分程度の速度で減圧することが適当である。
減圧時間は、減圧の程度及び減圧速度に依存して変動するが、実用的には、例えば、2〜5分程度、特に2〜3分程度で十分である。
酵素分散液に使用される酵素としては、ペクチン分解酵素(ペクチナーゼ)又はセルロース分解酵素(セルラーゼ)が使用される。
ペクチン分解酵素としては、ペクチンを加水分解できる酵素であれば、特に由来する細菌等の種類は問われない。具体的には、ペクチン分解酵素の商品名としては、例えば、マセロチーム2A(ヤクルト薬品工業株式会社製、39%ペクチナーゼ配合)や、ペクトリアーゼ(10%ペプチナーゼ含有)等が好適に列挙できる。
セルロース分解酵素としては、セルロースを加水分解できる酵素であれば、特に細菌等の由来は問われない。具体的には、セルロース分解酵素の商品名としては、例えば、マセロチーム2A(ヤクルト薬品工業株式会社製、39%ペクチナーゼ配合)等が好適に列挙できる。
酵素分散液の濃度は、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜4.0質量%、好ましくは、0.2〜2.0質量%とすることが適当である。媒体は、通常、水であるが、酵素の最適pH範囲等を安定に保つため、緩衝剤(クエン酸塩やリン酸塩等)を配合してもよい。
浸漬温度は、一般に、10〜50℃、好ましくは、25〜40℃であることが適当である。浸漬時間は、浸漬温度により変動し得るが、例えば、10〜80分程度、好ましくは、30〜60分程度であることが適当である。
このようにして内部まで酵素が浸透した植物質素材を、後述する加熱失活処理により固定される柔らかさを達成できる程度になるまで、浸漬状態で放置するか、又は酵素分散液を分離してから放置する。
酵素浸透処理食材は、好ましくは、表面がより酵素処理を受けるのを防止するために、酵素含浸後、酵素分散液から分離して、所定時間、比較的低温、例えば、室温(25℃)で放置する。
植物質素材の柔らかさ(硬度)は、減圧下における酵素含浸処理時間や、その後の放置時間などによる。豆類や、野菜等のもともと比較的柔らかい植物質素材は、短時間の酵素含浸処理などでよいが、例えば、筍やニンジンのように比較的硬い植物質素材は、より長時間の酵素含浸処理等が好適である。
通常、酵素処理時間は、例えば、5〜40分程度、好ましくは、10〜30分程度で十分である。必要な減圧処理時間は、所定の食材について、減圧処理時間と柔らかさとの関係について、予め検量線を作成しておけば、容易に、再現性よく決めることが可能である。
酵素浸透処理後の酵素作用又は放置は、一定の雰囲気下で作用してもよい。この酵素作用時間は、実施しようとする条件において、処理する食材に対して、予め所定濃度で酵素浸透処理した食材の硬さを検量線として求めておくことにより、再現性よく酵素作用時間を決定することができる。
一定の雰囲気としては、例えば、湿度が、50〜80%で、温度が、室温(通常、20℃〜25℃)が好適である。なお、酵素作用を促進するために、例えば、酵素の悪影響を与えない範囲で、35℃〜50℃、好ましくは、40〜45℃の温度で酵素作用又は放置処理を行なってもよい。
次いで、酵素分散液中に浸漬されていた場合には、その酵素分散液を分離した後、酵素含浸処理した植物質素材の表面を水等により、洗浄する。又は、酵素処理食材は、酵素分散液から分離した後、直ちに、加熱容器に投入して、酵素の失活を行なってもよい。加熱容器としては、レトルト釜でも良いし、単に、加熱された湯を入れた容器又は釜などが使用できる。但し、レトルト釜は、便宜的に使用できることを意図するものであり、通常、非加圧状態で使用する。なお、加圧下でのレトルト釜での処理を全く排除する意味ではない。
このようにして酵素処理された解凍食材は、酵素処理に使用した酵素の活性をほぼ完全に失活させる程度の温度及び時間で、加熱処理する。酵素の失活を確認することは、当業者であれば、容易に行なうことができる。例えば、使用する酵素溶液において基質を配合し、温度条件や、処理時間に従って、どのように基質が変化するかを測定することによって、容易に判断することができる。
加熱温度は、例えば、70〜100℃、好ましくは、90〜100℃であることが適当である。
加熱時間は、失活温度により変動するが、例えば、5〜20分、好ましくは、10〜20分でよい。
この失活加熱処理により、食材の硬さは、固定される。また、この食材は、外観上、生の又は未処理の食材と外見上異ならない。つまり、柔らかくなったことを除いて、形状や、色合いは、食材としての酵素処理していない通常のものと同等である。
高齢者は、自宅において、このような食材を使用して、自分の好みの料理を作ることができる。その際、通常の加熱などの調理によって、酵素処理により柔らかくなった食材の硬さは、通常、更に軟化するので、予めその軟化の程度を考慮して、食材としての柔らかさを検討しておくことが必要である。
高齢者が舌で容易に咀嚼できる柔らかさは、例えば、タケトモ製テクスチュロメーターで測定した場合に、舌で容易につぶせ、容易に咀嚼できるものとして、3000〜10000N/m2の程度が好適である。
一般に、食材の調理、例えば、加熱や煮込みなどにより、食材の硬さは、低下するが、そうでないものもある。酵素失活をする時点での柔らかさは、タケトモ製テクスチュロメーター測定した場合に、20,000〜250,000N/m2(2.0×104〜2.5×105N/m2)、好ましくは、20,000〜200,000N/m2(2.0×104〜2.5×105N/m2)程度が好適である。
次いで、失活処理した食材は、ポリエステルや、ポリプロピレン等又はその複合した樹脂や、それらの合成樹脂の積層体の層間に挿入又は表面上に被覆されたアルミニウム等の材料からなる包装袋等の容器に収納され、次いで、流通に付される。
以下、本発明について、更に、実施例を説明しながら、詳細に説明する。
尚、以下の実施例は、本発明の範囲を何ら限定するものでないことは言うまでもない。
実施例1(冷蔵食品(筍の煮)の製造)
筍の凍結処理
缶詰筍(筍の硬度8.7×105N(タケトモ製テクスチュロメーターで測定))を缶から取り出し、10×10×10mmの大きさに揃え、水洗いした。次いで水切りし、−19℃で一晩(約12時間)凍結、放置することにより、凍結食品を得た。
酵素分散液の調製
マセロチーム2A(ヤクルト薬品工業株式会社製、39%ペクチナーゼ配合)を水に混合し、分散させることにより、酵素濃度0.3%の酵素分散液を得た。
減圧下における酵素処理
凍結食品は、減圧装置(三島食品製減圧装置)内にセットした容器に入れた酵素分散液に浸漬し、減圧を開始し、93hPa(70mmHg)以下の減圧を、20〜25℃で20分行なった。この間に、酵素の浸透と解凍処理を平行して行った。得られた解凍食品を、減圧装置内から取り出し、水温45℃にて約1時間放置し、さらに水温を室温にて1時間放置し、酵素含浸処理筍食品を得た。
酵素含浸処理後の筍の硬さ
酵素含浸処理後の筍に対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.6×105N/m2となっていた。
加熱処理
得られた酵素含浸処理筍食品を85℃〜90℃で10分間加熱し、酵素を失活させた。
冷蔵処理
酵素失活後、10℃で一晩(約12時間)冷蔵、放置することにより、酵素処理冷蔵食品を得た。
調味処理
得られた冷蔵食品を食塩濃度1.1%の食塩水に浸漬し、35分間加熱し調味した。
調味処理後の筍の硬度
調味処理後の筍に対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は1.7×105N/m2となっていた。
この調味処理された筍は、筍の形態を保持していたが、口の中に入れ、舌で容易につぶせ、容易に嚥下することができた。
比較例1
缶詰筍(筍の硬度8.7×105N(タケトモ製テクスチュロメーターで測定))を缶から取り出し、10×10×10mmの大きさに揃え、水洗いした。得られた筍を食塩濃度1.1%の食塩水に浸漬し、35分間加熱し調味した。得られた筍の硬度をタケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は7.5×105N/m2となっていた。
比較例1で得られた筍は、硬さが強く、舌で容易につぶすことは困難であり、歯を使用しないとつぶすことはできなかった。
実施例2(冷蔵食品(ごぼうの煮)の製造)
ごぼうの下茹で処理
生のごぼう(ごぼうの硬度2.7×106N(タケトモ製テクスチュロメーターで測定))の皮を剥き、高さ10mmに輪切りし、水洗いした。次いで95℃で5分間加熱、下茹でし、水で冷却した後水切りした。
下茹で処理後のごぼうの硬さ
下茹で処理後のごぼうに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.3×106N/m2となっていた。
ごぼうの凍結処理
−19℃で一晩(約12時間)凍結、放置することにより、凍結食品を得た。
酵素分散液の調製
マセロチーム2A(ヤクルト薬品工業株式会社製、39%ペクチナーゼ配合)を水に混合し、分散させることにより、酵素濃度0.3%の酵素分散液を得た。
減圧下における酵素処理
凍結食品は、減圧装置(三島食品製減圧装置)内にセットした容器に入れた酵素分散液に浸漬し、減圧を開始し、93hPa(70mmHg)以下の減圧を、20〜25℃で20分行った。この間に、酵素の浸透と解凍処理を平行して行った。得られた解凍食品を、減圧装置内から取り出し、水温45℃にて約1時間放置し、さらに水温を室温にて1時間放置し、酵素含浸処理ごぼう食品を得た。
酵素含浸処理後のごぼうの硬さ
酵素含浸処理後のごぼうに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.5×105N/m2となっていた。
加熱処理
得られた酵素含浸処理ごぼう食品を85℃〜90℃で10分間加熱し、酵素を失活させた。
冷蔵処理
酵素失活後、10℃で一晩(約12時間)冷蔵、放置することにより、酵素処理冷蔵食品を得た。
調味処理
得られた解凍食品を食塩濃度1.1%の食塩水に浸漬し、35分間加熱し調味した。
調味処理後のごぼうの硬度
調味処理後のごぼうに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.0×105N/m2となっていた。
この調味されたごぼうは、その形態を保持しているが、口の中で舌で容易につぶせ、容易に嚥下することができた。
比較例2
生のごぼう(ごぼうの硬度2.7×106N(タケトモ製テクスチュロメーターで測定))の皮を剥き、高さ10mmに輪切りし、水洗いした。次いで95℃で5分間加熱、下茹でし、水で冷却した後水切りした。下茹で処理後のごぼうに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.3×106N/m2となっていた。得られたごぼうを食塩濃度1.1%の食塩水に浸漬し、35分間加熱し調味した。得られたごぼうの硬度をタケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は1.4×106N/m2となっていた。
比較例2で得られたごぼうは、硬さが強く、舌で容易につぶすことは困難であり、歯を使用しないとつぶすことはできなかった。
実施例3(冷蔵食品(れんこんの煮)の製造)
れんこんの下茹で処理
生のれんこん(れんこんの硬度2.7×106N(タケトモ製テクスチュロメーターで測定))の皮を剥き、10×10×10mmの高さに揃え、水洗いした。次いで95℃で5分間加熱、下茹でし、水で冷却した後水切りした。
下茹で処理後のれんこんの硬さ
下茹で処理後のれんこんに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.3×106N/m2となっていた。
れんこんの凍結処理
−19℃で一晩(約12時間)凍結、放置することにより、凍結食品を得た。
酵素分散液の調製
マセロチーム2A(ヤクルト薬品工業株式会社製、39%ペクチナーゼ配合)を水に混合し、分散させることにより、酵素濃度1.0%の酵素分散液を得た。
減圧下における酵素処理
凍結食品は、減圧装置(三島食品製減圧装置)内にセットした容器に入れた酵素分散液に浸漬し、減圧を開始し、93hPa(70mmHg)以下の減圧を、20〜25℃で20分行った。この間に、酵素の浸透と解凍処理を平行して行った。得られた解凍食品を、減圧装置内から取り出し、水温45℃にて約1時間放置し、さらに水温を室温にて1時間放置し、酵素含浸処理れんこん食品を得た。
酵素含浸処理後のれんこんの硬さ
酵素含浸処理後のれんこんに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.0×105N/m2となっていた。
加熱処理
得られた酵素含浸処理れんこん食品を85℃〜90℃で10分間加熱し、酵素を失活させた。
冷蔵処理
酵素失活後、10℃で一晩(約12時間)冷蔵、放置することにより、酵素処理冷蔵食品を得た。
調味処理
得られた解凍食品を食塩濃度1.1%の食塩水に浸漬し、35分間加熱し調味した。
調味処理後のれんこんの硬度
調味処理後のれんこんに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は1.9×105N/m2となっていた。
この調味処理されたれんこんは、その形態を保持しているが、口の中で舌で容易につぶせ、容易に嚥下することができた。
比較例3
生のれんこん(れんこんの硬度2.7×106N(タケトモ製テクスチュロメーターで測定))の皮を剥き、10×10×10mmの高さに揃え、水洗いした。次いで95℃で5分間加熱、下茹でし、水で冷却した後水切りした。
下茹で処理後のれんこんに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.3×106N/m2となっていた。得られたれんこんを食塩濃度1.1%の食塩水に浸漬し、35分間加熱し調味した。得られたれんこんの硬度をタケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は1.7×106N/m2となっていた。
比較例3で得られたれんこんは、硬さが強く、舌で容易につぶすことは困難であり、歯を使用しないとつぶすことはできなかった。
実施例4(冷凍食品(筍の煮)の製造)
筍の凍結処理
缶詰筍(筍の硬度8.7×105N(タケトモ製テクスチュロメーターで測定))を缶から取り出し、10×10×10mmの大きさに揃え、水洗いした。次いで水切りし、−19℃で一晩(約12時間)凍結、放置することにより、凍結食品を得た。
酵素分散液の調製
マセロチーム2A(ヤクルト薬品工業株式会社製、39%ペクチナーゼ配合)を水に混合し、分散させることにより、酵素濃度0.3%の酵素分散液を得た。
減圧下における酵素処理
凍結食品は、減圧装置(三島食品製減圧装置)内にセットした容器に入れた酵素分散液に浸漬し、減圧を開始し、93hPa(70mmHg)以下の減圧を、20〜25℃で20分行った。この間に、酵素の浸透と解凍処理を平行して行った。得られた解凍食品を、減圧装置内から取り出し、水温45℃にて約1時間放置し、さらに水温を室温にて1時間放置し、酵素含浸処理筍食品を得た。
酵素含浸処理後の筍の硬さ
酵素含浸処理後の筍に対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.6×105N/m2となっていた。
この調味された筍は、その形態を保持しているが、口の中で舌で容易につぶせ、容易に嚥下することができた。
加熱処理
得られた酵素含浸処理筍食品を85℃〜90℃で10分間加熱し、酵素を失活させた。
冷凍処理
酵素失活後、−19℃で一晩(約12時間)凍結、放置することにより、酵素処理凍結食品を得た。
解凍処理
得られた酵素処理凍結食品を10℃以下で一晩(約12時間)解凍した。
解凍処理後の筍の硬さ
解凍処理後の筍に対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.2×105N/m2となっていた。
調味処理
得られた解凍食品を食塩濃度1.1%の食塩水に浸漬し、35分間加熱し調味した。
調味処理後の筍の硬度
調味処理後の筍に対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は1.5×105N/m2となっていた。
この調味された筍は、その形態を保持しているが、口の中で舌で容易につぶせ、容易に嚥下することができた。
比較例4
缶詰筍(筍の硬度8.7×105N(タケトモ製テクスチュロメーターで測定))を缶から取り出し、10×10×10mmの大きさに揃え、水洗いした。得られた筍を食塩濃度1.1%の食塩水に浸漬し、35分間加熱し調味した。得られた筍の硬度をタケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は7.5×105N/m2となっていた。
比較例4で得られた筍は、硬さが強く、舌で容易につぶすことは困難であり、歯を使用しないとつぶすことはできなかった。
実施例5(冷凍食品(ごぼうの煮)の製造)
ごぼうの下茹で処理
生のごぼう(ごぼうの硬度2.7×106N(タケトモ製テクスチュロメーターで測定))の皮を剥き、高さ10mmに輪切りし、水洗いした。次いで95℃で5分間加熱、下茹でし、水で冷却した後水切りした。
下茹で処理後のごぼうの硬さ
下茹で処理後のごぼうに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.3×106N/m2となっていた。
ごぼうの凍結処理
−19℃で一晩(約12時間)凍結、放置することにより、凍結食品を得た。
酵素分散液の調製
マセロチーム2A(ヤクルト薬品工業株式会社製、39%ペクチナーゼ配合)を水に混合し、分散させることにより、酵素濃度0.3%の酵素分散液を得た。
減圧下における酵素処理
凍結食品は、減圧装置(三島食品製減圧装置)内にセットした容器に入れた酵素分散液に浸漬し、減圧を開始し、93hPa(70mmHg)以下の減圧を、20〜25℃で20分行った。この間に、酵素の浸透と解凍処理を平行して行った。得られた解凍食品を、減圧装置内から取り出し、水温45℃にて約1時間放置し、さらに水温を室温にて1時間放置し、酵素含浸処理ごぼう食品を得た。
酵素含浸処理後のごぼうの硬さ
酵素含浸処理後のごぼうに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.5×105N/m2となっていた。
加熱処理
得られた酵素含浸処理ごぼう食品を85℃〜90℃で10分間加熱し、酵素を失活させた。
冷凍処理
酵素失活後、−19℃で一晩(約12時間)凍結、放置することにより、酵素処理凍結食品を得た。
解凍処理
得られた酵素処理凍結食品を10℃以下で一晩(約12時間)解凍した。
解凍処理後のごぼうの硬さ
解凍処理後のごぼうに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.0×105N/m2となっていた。
調味処理
得られた解凍食品を食塩濃度1.1%の食塩水に浸漬し、35分間加熱し調味した。
調味処理後のごぼうの硬度
調味処理後のごぼうに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は1.2×105N/m2となっていた。
この調味されたごぼうは、その形態を保持しているが、口の中で舌で容易につぶせ、容易に嚥下することができた。
比較例5
生のごぼう(ごぼうの硬度2.7×106N(タケトモ製テクスチュロメーターで測定))の皮を剥き、高さ10mmに輪切りし、水洗いした。次いで95℃で5分間加熱、下茹でし、水で冷却した後水切りした。下茹で処理後のごぼうに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.3×106N/m2となっていた。得られたごぼうを食塩濃度1.1%の食塩水に浸漬し、35分間加熱し調味した。得られたごぼうの硬度をタケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は1.4×106N/m2となっていた。
比較例5で得られたごぼうは、硬さが強く、舌で容易につぶすことは困難であり、歯を使用しないとつぶすことはできなかった。
実施例6(冷凍食品(れんこんの煮)の製造)
れんこんの下茹で処理
生のれんこん(れんこんの硬度2.7×106N(タケトモ製テクスチュロメーターで測定))の皮を剥き、10×10×10mmの高さに揃え、水洗いした。次いで95℃で5分間加熱、下茹でし、水で冷却した後水切りした。
下茹で処理後のれんこんの硬さ
下茹で処理後のごぼうに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.3×106N/m2となっていた。
れんこんの凍結処理
−19℃で一晩(約12時間)凍結、放置することにより、凍結食品を得た。
酵素分散液の調製
マセロチーム2A(ヤクルト薬品工業株式会社製、39%ペクチナーゼ配合)を水に混合し、分散させることにより、酵素濃度1.0%の酵素分散液を得た。
減圧下における酵素処理
凍結食品は、減圧装置(三島食品製減圧装置)内にセットした容器に入れた酵素分散液に浸漬し、減圧を開始し、93hPa(70mmHg)以下の減圧を、20〜25℃で20分行った。この間に、酵素の浸透と解凍処理を平行して行った。得られた解凍食品を、減圧装置内から取り出し、水温45℃にて約1時間放置し、さらに水温を室温にて1時間放置し、酵素含浸処理れんこん食品を得た。
酵素含浸処理後のれんこんの硬さ
酵素含浸処理後のれんこんに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.0×105N/m2となっていた。
加熱処理
得られた酵素含浸処理れんこん食品を85℃〜90℃で10分間加熱し、酵素を失活させた。
冷凍処理
酵素失活後、−19℃で一晩(約12時間)凍結、放置することにより、酵素処理凍結食品を得た。
解凍処理
得られた酵素処理凍結食品を10℃以下で一晩(約12時間)解凍した。
解凍処理後のれんこんの硬さ
解凍処理後のれんこんに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は1.7×105N/m2となっていた。
調味処理
得られた解凍食品を食塩濃度1.1%の食塩水に浸漬し、35分間加熱し調味した。
調味処理後のれんこんの硬度
調味処理後のれんこんに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は1.6×105N/m2となっていた。
この調味されたれんこんは、その形態を保持しているが、口の中で舌で容易につぶせ、容易に嚥下することができた。
比較例6
生のれんこん(れんこんの硬度2.7×106N(タケトモ製テクスチュロメーターで測定))の皮を剥き、10×10×10mmの高さに揃え、水洗いした。次いで95℃で5分間加熱、下茹でし、水で冷却した後水切りした。
下茹で処理後のれんこんに対して、タケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は2.3×106N/m2となっていた。得られたれんこんを食塩濃度1.1%の食塩水に浸漬し、35分間加熱し調味した。得られたれんこんの硬度をタケトモ製テクスチュロメーターで硬度測定したところ、硬度は1.7×106N/m2となっていた。
比較例6で得られたれんこんは、硬さが強く、舌で容易につぶすことは困難であり、歯を使用しないとつぶすことはできなかった。

Claims (4)

  1. 軟質植物質素材の製造方法であって、以下の工程、
    (1)植物質素材を凍結し、解凍して、解凍素材を調製する工程、
    (2)前記解凍素材を、減圧下において、ペクチン分解酵素又はセルロース分解酵素の分散液に浸漬する工程、次いで
    (3)前記浸漬した解凍素材を、前記ペクチン分解酵素又はセルロース分解酵素の活性を停止させる温度及び時間、加熱処理する工程、
    を有することを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法により得られる軟質植物質素材。
  3. 軟質植物質素材の製造方法であって、以下の工程、
    (1)植物質素材を凍結して、凍結素材を調製する工程、
    (2)前記凍結素材を、減圧下において、ペクチン分解酵素又はセルロース分解酵素の分散液に浸漬しながら解凍して、解凍素材を調製する工程、
    (3)前記浸漬した解凍素材を、前記ペクチン分解酵素又はセルロース分解酵素の活性を停止させる温度及び時間、加熱処理する工程、
    を有することを特徴とする方法。
  4. 請求項3に記載の方法により得られる軟質植物質素材。
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