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JPWO2007097429A1 - 新規アシルアミダーゼ遺伝子およびその利用法 - Google Patents

新規アシルアミダーゼ遺伝子およびその利用法 Download PDF

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JPWO2007097429A1
JPWO2007097429A1 JP2008501767A JP2008501767A JPWO2007097429A1 JP WO2007097429 A1 JPWO2007097429 A1 JP WO2007097429A1 JP 2008501767 A JP2008501767 A JP 2008501767A JP 2008501767 A JP2008501767 A JP 2008501767A JP WO2007097429 A1 JPWO2007097429 A1 JP WO2007097429A1
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豊和 吉田
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紀幸 伊藤
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Abstract

本発明の目的は、様々な基質に対して、温和な条件下でアミド化合物またはエステル化合物を加水分解する方法を提供することである。様々な土壌分離菌や保存菌株を対象としたスクリーニングを行った結果、アシルアミダーゼ活性をもつ微生物を取得した。また、その微生物から、該活性を有する酵素の単離精製に成功した。さらに、該酵素をコードする遺伝子を遺伝子組換えの手法で取得し、その塩基配列を明らかにした。さらに、該遺伝子を用いて当該酵素を産生する形質転換体を育種することで、より高活性な該形質転換体を作製した。その高活性な形質転換体を用いて、温和な条件下でアミド加水分解反応またはエステル加水分解反応を行う方法を確立した。

Description

本発明は、新規アシルアミダーゼ、そのアシルアミダーゼをコードするDNA、当該DNAを利用したアシルアミダーゼの製造方法、および、アシルアミダーゼを用いた光学活性化合物の製造方法に関する。アシルアミダーゼは、温和な条件下でアミド結合またはエステル結合を加水分解できる産業上有用な酵素である。
アミド結合を化学的に加水分解するには強酸性や強塩基性など激しい条件下での反応が必要であるが、アミダーゼに代表されるアミド加水分解酵素を用いることで、温和な条件下でのアミド結合の加水分解反応が可能である。また、アミダーゼはエナンチオ選択的な反応が可能であり、光学活性な化合物を生成できることも知られている(特許文献1)。
しかし、酵素反応は一般に基質特異性が厳密であり、目的の反応に適用できない場合が多い。これまでに知られている広い基質特異性をもつアミダーゼとしては、ノカルディア・グロベルーラ(Nocardia globerula)由来のもの(特許文献2、非特許文献1)、アースロバクター・アウレセンス(Arthrobacter aurescens)由来のもの(非特許文献2)などが挙げられる。前者はアセトアニリド類、ベンズアミド等のアミド類、酢酸フェニル等のエステル類など広範な化合物に作用する。後者は広範なN−アセチルアリールアルキルアミンに作用するが、アセチル基以外のアシル基には作用しない。このようにさまざまな基質特異性をもつアミド加水分解酵素が見出されている。
特開昭61−88894号公報 特開平3−277281号公報 Eur.J.Biochem,199,17−24(1991) Appl.Microbiol.Biotechnol,47,650−657(1997)
本発明の課題は、新規のアシルアミダーゼを取得することである。また、この新規なアシルアミダーゼをコードするDNAを単離し、それを利用して、様々な基質に対して、温和な条件下でのアミド加水分解反応またはエステル加水分解反応の方法を提供することにある。
本発明者らは、様々な土壌分離菌や保存菌株を対象としたスクリーニングを行った結果、アシルアミダーゼ活性をもつ微生物を取得した。また、その微生物から、該活性を有する酵素の単離精製に成功した。
さらに、該酵素をコードする遺伝子を遺伝子組換えの手法で取得し、その塩基配列を明らかにした。さらに、該遺伝子を用いて当該酵素を産生する形質転換体を育種することで、より高活性な該形質転換体を作製した。その高活性な形質転換体を用いて、温和な条件下でアミド加水分解反応またはエステル加水分解反応を行う方法を確立した。
本発明は、以下の複数の特徴を有する。
本発明の一つの特徴は、下記(1)から(6)の理化学的性質を有するアシルアミダーゼである:
(1)分子量:ゲルろ過分析で約90,000、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析で約40,000;
(2)基質特異性:ホルムアニリド、アセトアニリド、酢酸フェニルのそれぞれに実質的に作用し、かつ、ベンズアミド、n−ブチルアミド、N−アセチル−L−フェニルアラニン、N−アセチル−DL−トリプトファン、N−アセチル−L−チロシンのそれぞれに実質的に作用しない;
(3)作用至適pH:6〜9;
(4)作用至適温度:25〜45℃;
(5)熱安定性:10〜40℃;
(6)阻害剤:HgCl、AgNOで活性が完全に阻害される。
本発明の別の特徴は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルアミダーゼ活性を有するポリペプチド、または、配列番号1に記載のアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、アシルアミダーゼ活性を有するポリペプチドである。
本発明の別の特徴は、前記ポリペプチドをコードするDNA、該DNAを含むベクター、および、このベクターにより形質転換された形質転換体である。
本発明の別の特徴は、一般式(1):
Figure 2007097429
(式中、mおよびnはそれぞれ独立して0〜7の整数を示し、R、Rはそれぞれ独立して、炭素数6〜14のアリール基、炭素数4〜14のヘテロアリール基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数4〜14のヘテロアリールオキシ基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜5の分岐鎖アルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、シアノ基、メチル基またはカルボキシル基を示し、これらの基は置換されていてもよい。Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を示す。Xは窒素原子あるいは酸素原子を示す。)で表されるエステル化合物あるいはアミド化合物に前記アシルアミダーゼ、ポリペプチドあるいは該酵素の生産能を持つ微生物の培養物を作用させることを特徴とする、一般式(2):
Figure 2007097429
(式中、X、m、n、R、Rは前記式(1)と同じ)で表される光学活性アルコールあるいは光学活性アミンの製造方法である。
本発明のその他の特徴及びその効果は、以下の実施形態の記載によって明らかにされる。
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書において記述されている、DNAの単離、ベクターの調製、形質転換等の遺伝子操作は、特に明記しない限り、Molecular Cloning 2nd Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)等の成書に記載されている方法により行うことができる。また、本明細書の記述に用いられる%は、特に断りのない限り、%(w/v)を意味する。また、本明細書の記述に用いられる酵素活性の1Uは、30℃で1分間に1μmolの生成物であるアミン、アルコールあるいはアンモニアを生成する酵素量と定義した。
1.アシルアミダーゼ
本発明の実施形態の酵素は下記(1)から(6)の理化学的性質を有するアシルアミダーゼである:
(1)分子量:ゲルろ過分析で約90,000、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析で約40,000;
(2)基質特異性:ホルムアニリド、アセトアニリド、酢酸フェニルのそれぞれに実質的に作用し、かつ、ベンズアミド、n−ブチルアミド、N−アセチル−L−フェニルアラニン、N−アセチル−DL−トリプトファン、N−アセチル−L−チロシンのそれぞれに実質的に作用しない;
(3)作用至適pH:6〜9;
(4)作用至適温度:25〜45℃;
(5)熱安定性:10〜40℃;
(6)阻害剤:HgCl、AgNOで活性が完全に阻害される。
(分子量)
酵素の分子量は、例えば、TSK GEL−G−3000(0.75×60cm、東ソー株式会社製)を用いたゲルろ過分析により行い、標準蛋白質に対する相対溶出時間から決定しうる。溶離液としては、0.20M KClを含む0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を用いる。また、サブユニットの分子量は、10% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、標準蛋白質に対する相対移動度から決定しうる。
(基質特異性)
上記酵素の各基質に対するアミダーゼ活性は、例えば、後述の実施例3に記載の方法で測定することができる。即ち、精製酵素液0.1mLを下記組成を有する基質溶液0.9mLに添加し、30℃で反応させる。30分後、メタノールを1mL添加して反応を停止させ、生成したアミン、アルコールあるいはアンモニアを定量する。
[基質溶液組成]
基質:1〜100mM、
リン酸緩衝液(pH7.0):50mM
本明細書における「アシルアミダーゼ」とは、P−CO−NH−Qで表される化合物(Pは任意の置換基、Qは水素原子以外の任意の置換基を示す)に実質的に作用し、P−COOHとQ−NHに加水分解する活性を有すればいかなるものでも意味する。例えば、IUBMBの分類によれば、アリルアシルアミダーゼ(E.C.3.5.1.13)、ペニシリンアシラーゼ(E.C.3.5.1.11)、アリルアルキルアシルアミダーゼ(E.C.3.5.1.76)、(S)−N−アセチル−1−フェネチルアミンヒドロラーゼ(E.C.3.5.1.85)、ホルムアミダーゼ(E.C.3.5.1.9)、ペプチドデホルミラーゼ(E.C.3.5.1.27)、N−サブスティテューティッドホルムアミドデホルミラーゼ(E.C.3.5.1.91)などが挙げられる。
しかし、IUBMBの分類ではアシルアミダーゼの分類が不明確な場合があることが知られている(酵素ハンドブック、朝倉書店、1982年、p.585)。したがって、本発明の酵素を他の酵素と区別するために、特定の基質に対する反応性の違いから特徴づけを行った。
すなわち、本発明のアシルアミダーゼは、ホルムアニリド、アセトアニリド、酢酸フェニルのそれぞれに実質的に作用し、かつ、ベンズアミド、n−ブチルアミド、N−アセチル−L−フェニルアラニン、N−アセチル−DL−トリプトファン、N−アセチル−L−チロシンのそれぞれに実質的に作用しないアシルアミダーゼである。
ここで、上記の「実質的に作用しない」とは、後述の実施例3の方法でアミダーゼ活性を測定した場合において、各基質を用いたときの精製酵素の比活性が0.02U/mg以下であることを意味する。本発明のアシルアミダーゼとしては、上記比活性が0.002U/mg以下のものが好ましく、0.0002U/mg以下のものが更に好ましい。
また、「実質的に作用する」とは、上記の方法でアミダーゼ活性を測定した場合において、各基質を用いたときの精製酵素の比活性が0.2U/mg以上であることを意味する。本発明のアシルアミダーゼとしては、上記比活性が2.0U/mg以上のものが好ましい。
(作用至適pH)
酵素反応の至適pHは、例えば、アセトアニリドを基質とした活性を、pH4.0〜11.0の範囲で測定したとき、その最大の活性を100%として、おおよそ80%以上の相対活性を示す範囲とする。ただし、上記測定方法において、測定を行うpHに応じて基質溶液における緩衝液は下記のものを用いる。
pH4.0〜6.0 :0.1Mクエン酸緩衝液
pH6.0〜8.0 :0.1Mリン酸カリウム緩衝液
pH7.5〜9.0 :0.1Mトリス−塩酸緩衝液
pH9.0〜11.0:0.1Mグリシンナトリウム緩衝液
(作用至適温度)
酵素反応の至適温度は、例えば、アセトアニリドを基質とした活性を、反応温度10〜80℃の範囲で測定し、30℃での活性を100%として、おおよそ80%以上の相対活性を示す範囲とする。
(熱安定性)
酵素の熱安定性は、例えば、精製酵素を0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に添加し、これを10〜80℃において30分間処理した後、上記アミダーゼ活性を測定することで決定しうる。
(阻害剤)
阻害剤(例えばHgCl、またはAgNOが含まれる)の添加効果は、例えば以下のように決定しうる。即ち、精製酵素液0.1mLを下記組成を有する基質溶液0.9mLに添加し、30℃で反応させる。30分後、メタノールを1mL添加して反応を停止させ、反応液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、生成したアニリンを定量する。ここで、「アミダーゼ活性を完全に阻害する」とは、阻害剤を添加して以下の測定を行ったときに、阻害剤を添加しない場合に比べて、その活性が、1/100以下であることをいう。本発明のアシルアミダーゼとしては、上記活性が1/1000以下であることが好ましく、さらに好ましくは1/10000以下である。
[基質溶液組成]
アセトアニリド 5mM
リン酸緩衝液(pH7.0) 100mM
阻害剤 1mM
計0.9mL
(アセトアニリドに対するKm)
酵素の、アセトアニリドに対するKmは、例えば以下のように決定しうる。即ち、精製酵素液0.1mLを下記組成を有する基質溶液0.9mLに添加し、30℃で反応させる。30分後、メタノールを1mL添加して反応を停止させ、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析し、生成したアニリンを定量し、Lineweaver−Burk PlotsによりKmを求める。
[基質溶液組成]
アセトアニリド 0.1〜2.5mM
リン酸緩衝液(pH7.0) 100mM
計0.9mL
本発明のアシルアミダーゼは、ラセミ体のアミド化合物あるいはエステル化合物を立体選択的に加水分解させることができる。
2.酵素の取得およびアミノ酸配列
本発明の酵素は、上記性質を示す酵素であれば、いかなる酵素であっても含まれるが、例えば、バチルス(Bacillus)属の微生物から取得できる。本発明の酵素の起源となる微生物としては、好ましくは当業者が公的保存機関(例えば、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NBRC))より容易に入手可能なバチルス エスピー(Bacillus sp.)が挙げられ、さらに好ましくは、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01が挙げられる。この、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01は、平成19年1月22日付けで、受託番号FERM BP−10765として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6)に寄託されている(原寄託日:平成18年1月26日の国内寄託をブダペスト条約に基づく国際寄託に移管)。上記バチルス エスピー(Bacillus sp.)の菌学的性質は当業者に周知である。上記バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01の菌学的性質は、所定のアシルアミダーゼ活性を有するほか、バチルス エスピー(Bacillus sp.)の菌学的性質と同様である。
(培地成分)
本発明の酵素を生産する微生物のための培養培地としては、その微生物が増殖する限り、通常の炭素源、窒素源、無機塩類、有機栄養素などを含む液体栄養培地が用いられ得る。
(酵素精製)
本発明の酵素を生産する微生物からの該酵素の精製は、当業者に周知の蛋白質精製法により行い得る。例えば、当該微生物の培養液から遠心分離、あるいは、濾過により菌体を集め、得られた菌体を、超音波破砕機あるいはグラスビーズ等を用いた物理的手法で破砕した後、遠心分離にて菌体残さを除いて無細胞抽出液を調製し、この無細胞抽出液を、分別沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、限外濾過等に供することにより、アシルアミダーゼを単離できる。
(アミノ酸配列)
精製したアシルアミダーゼは、後述する方法でそれをコードするDNA配列を明らかにでき、そのDNA配列からアシルアミダーゼのアミノ酸配列を決定できる。このようにして得られるアシルアミダーゼとしては、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを挙げることができる。しかし、本発明の酵素はこれに限定されず、配列番号1で示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドも、それがアシルアミダーゼ活性(好ましくは立体選択的なアシルアミダーゼ活性)を有する限り、本発明に包含される。
本発明のアシルアミダーゼ及びポリペプチドは、天然のものであってもよいし、人工的に改変されたものであってもよい。
配列番号1で示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドは、配列番号1で示されるアミノ酸配列を利用して、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,Inc.,1989)等の実験書に記載の公知の方法に準じて調製することができる。
アミノ酸を置換、挿入、欠失または付加する場所は特に制限されないが、高度保存領域を避けるのが好ましい。ここで、高度保存領域とは、同様の機能を有する、由来の異なる複数の酵素について、例えば、ソフトウエアGENETYX(株式会社ゼネティックス社製)のマルチプルアライメント機能を利用して、アミノ酸配列を最適に整列させて比較した場合に、複数の配列間でアミノ酸が一致している位置を示す。
配列番号1における高度保存領域としては、例えば、111〜115番目、138〜149番目、163〜167番目のアミノ酸配列等が挙げられる。
置換、挿入、欠失または付加されるアミノ酸の数(上記「数個のアミノ酸」)としては、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。改変されたアミノ酸配列は、1種類のタイプ(例えば置換)のみを含むものであっても良いし、2種以上の改変(例えば、置換と挿入)を含んでいても良い。また、置換の場合には、置換後のアミノ酸はもとのアミノ酸の同族アミノ酸であるのが好ましい。
本明細書においては、以下に挙げる各群の同一群内のアミノ酸を同族アミノ酸とする。
(第1群:中性非極性アミノ酸)Gly,Ala,Val,Leu,Ile,Met,Cys,Pro,Phe
(第2群:中性極性アミノ酸)Ser,Thr,Gln,Asn,Trp,Tyr
(第3群:酸性アミノ酸)Glu,Asp
(第4群:塩基性アミノ酸)His,Lys,Arg
本発明において、配列番号1に記載のアミノ酸配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、アシルアミダーゼ活性を有するポリペプチドも、本発明のポリペプチドである。
本明細書において、アミノ酸配列の同一性は、BLAST(Altschul、Stephen F. et al.、Nucleic Acids Res.25、3389−3402(1997))を用いたアミノ酸配列相同性解析により、決定することができる。
このように、配列番号1に記載のアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、アシルアミダーゼ活性を有するポリペプチドは、例えば、配列番号1に記載のポリペプチドへのランダムな変異導入や活性に不要な配列を除去することで得ることができる。
本発明のポリペプチドは、上述の(1)〜(6)の理化学的性質を示すアシルアミダーゼ活性を有するか、又は、少なくともホルムアニリドに作用するアシルアミダーゼ活性を有することが好ましい。
3.DNA
本発明のDNAは、上述の新規アシルアミダーゼ、及び、ポリペプチドをコードするDNAであり、後述する方法に従って導入された宿主細胞内で上記ポリペプチドを発現し得るものであればいかなるものでもよく、任意の非翻訳領域を含んでいてもよい。精製された上記ポリペプチドが取得できれば、当業者であれば公知の方法により、該ポリペプチドの起源となる微生物より上記DNAを取得することができる。
以下に、本発明のDNAを取得する方法として、上記バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01を用いた例を記載するが、本発明はこれに限定されない。
まず、該微生物の無細胞抽出液より精製した上記ポリペプチド(酵素)を、適当なエンドペプチダーゼにより消化し、逆相HPLCにより切断された断片を精製後、例えば、ABI492型プロテインシークエンサー(Applied Biosystems社製)によりアミノ酸配列の一部を決定する。そして、得られた部分アミノ酸配列情報をもとにして、該ポリペプチドをコードするDNAの一部を増幅するためのPCR(Polymerase Chain Reaction)プライマーを合成する。
次に、通常のDNA単離法、例えばMurray等の方法(Nucl.,Acids Res.,8,4321−4325,1980)により、該微生物の染色体DNAを調製する。この染色体DNAを鋳型として、先述のPCRプライマーを用いてPCRを行い、上記ポリペプチドをコードするDNAの一部を増幅し、その塩基配列を決定する。塩基配列の決定は、例えば、ABI373A型DNA Sequencer(Applied Biosystems社製)等を用いて行われ得る。該ポリペプチドをコードするDNAの一部の塩基配列が明らかになれば、例えば、サザンハイブリダイゼーション法によりその全体の配列を決定することができる。
このようにして得られるDNAとしては、例えば、配列番号2に記載の塩基配列を有するDNAを挙げることができる。しかし、本発明のDNAはこれに限定されず、上述した本発明のポリペプチドをコードするDNAはすべて本発明に包含される。例えば、配列番号2に示す塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシルアミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAは本発明に包含される。
ここで、「配列番号2に示す塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、あるいはサザンハイブリダイゼーション法等を実施した際、配列番号2に示す塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAが、特異的にハイブリッドを形成するDNAを言う。
本発明のDNAは、天然のものであってもよいし、人工的に改変されたものであってもよい。
本明細書において、「ストリンジェントな条件」とは、コロニーあるいはプラーク由来のポリヌクレオチドを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃の条件下でフィルターを洗浄する条件である。好ましくは、上記と同様にハイブリダイゼーションを行った後、65℃で0.5倍濃度のSSC溶液で洗浄を行う条件であり、より好ましくは上記と同様にハイブリダイゼーションを行った後、65℃で0.2倍濃度のSSC溶液で洗浄する条件であり、更に好ましくは上記と同様にハイブリダイゼーションを行った後、65℃で0.1倍濃度のSSC溶液で洗浄する条件である。
本発明のDNAは、上述の(1)〜(6)の理化学的性質を示すアシルアミダーゼをコードするか、又は、少なくともホルムアニリドに作用するアシルアミダーゼ活性を有するアシルアミダーゼをコードすることが好ましい。
4.ベクター
本発明のDNAを宿主微生物内に導入し、それをその導入された宿主微生物内で発現させるために用いられるベクターDNAとしては、適切な宿主微生物内で該DNAがコードする遺伝子を発現できるものであればいずれもが用いられ得る。このようなベクターDNAとしては、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、コスミドベクターなどが挙げられる。また、他の宿主株との間での遺伝子交換が可能なシャトルベクターも使用され得る。
このようなベクターは、作動可能に連結されたプロモーター(lacUV5プロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、lppプロモーター、tufBプロモーター、recAプロモーター、pLプロモーター等)等の制御因子を含み、本発明のDNAと作動可能に連結された発現単位を含むベクターとして好適に用いられ得る。例えば、pUC18(東洋紡社製)、pUC19(東洋紡社製)、国際公開第94/03613号パンフレットに記載の方法によって当業者が作成可能なpUCNT等に本発明のDNAを発現可能な状態で連結し、好適に用いることができる。
本明細書で用いる用語「制御因子」は、機能的プロモーター及び、任意の関連する転写要素(例えばエンハンサー、CCAATボックス、TATAボックス、SPI部位など)を有する塩基配列をいう。
本明細書で用いる用語「作動可能に連結」は、遺伝子の発現を調節するプロモーター、エンハンサー等の種々の調節エレメントと遺伝子が、宿主細胞中で作動し得る状態で連結されることをいう。制御因子のタイプ及び種類が、宿主に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。
5.宿主
本発明のDNAを含むベクターを導入する宿主細胞としては、細菌、酵母、糸状菌、植物細胞、動物細胞などが挙げられるが、大腸菌が特に好ましい。本発明のDNAを含むベクターは公知の方法により宿主細胞に導入し得る。宿主細胞として大腸菌を用いた場合、例えば塩化カルシウム法により、当該ベクターを導入することができる。
6.アシルアミダーゼあるいはポリペプチドの製造方法
本発明は、また、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01(FERM BP−10765)、または、上述の形質転換体を栄養培地中で培養し、得られた培養液から、上述のアシルアミダーゼあるいはポリペプチドを取得することにより、アシルアミダーゼあるいはポリペプチドを製造する方法に関する。
すなわち、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01、又は本発明の形質転換体を培養することにより、アシルアミダーゼを効率良く製造することができる。バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01、及び、本発明の形質転換体の培養は、それが増殖する限り、通常の、炭素源、窒素源、無機塩類、有機栄養素などを含む液体栄養培地を用いて実施できる。バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01、及び、本発明の形質転換体の培養液中に蓄積したアシルアミダーゼは、当該培養液のままアシルアミダーゼ含有物として使用することも可能であるが、通常公知の蛋白質精製手法を用いて、精製もしくは部分精製した後に使用することもできる。
7.アミド化合物あるいはエステル化合物の加水分解
アミド化合物あるいはエステル化合物に、上述の新規アシルアミダーゼあるいはポリペプチド、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01(FERM BP−10765)、または、上述の形質転換体の培養物を作用させ、前記アミド化合物あるいはエステル化合物を加水分解させることにより、カルボン酸、アルコール、あるいは、アミンを製造することができる。本発明のアシルアミダーゼまたは当該酵素の生産能を持つ微生物は、光学活性化合物の製造に好適である。
8.光学活性化合物の製造方法
次に、本発明のアシルアミダーゼまたは当該酵素の生産能を持つ微生物を用いて光学活性化合物を製造する方法について説明する。
本発明の光学活性体の製造方法は、ラセミ体のアミド化合物あるいはエステル化合物に上述のアシルアミダーゼあるいはポリペプチド、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01(FERM BP−10765)、または、上述の形質転換体の培養物を作用させ、前記ラセミ体の一方の立体のみを選択的に加水分解させることを特徴とする。
本発明のアミダーゼの生産能を持つ微生物としては、例えば、前記バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01(FERM BP−10765)、及び、上述のDNAを含むベクターが導入された形質転換体が挙げられる。
本製造方法によれば、一般式(1):
Figure 2007097429
で表されるエステル化合物あるいはアミド化合物に前記酵素あるいは該酵素の生産能を持つ微生物の培養物を作用させることにより、一般式(2):
Figure 2007097429
で表される光学活性アルコールあるいは光学活性アミンを製造することができる。
前記式(1)および(2)において、mおよびnはそれぞれ独立して0〜7の整数を示し、R、Rはそれぞれ独立して、炭素数6〜14のアリール基、炭素数4〜14のヘテロアリール基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数4〜14のヘテロアリールオキシ基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜5の分岐鎖アルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、シアノ基、メチル基またはカルボキシル基を示し、これらの基は置換されていてもよい。Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を示す。Xは窒素原子あるいは酸素原子を示す。
炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素数4〜14のヘテロアリール基としては、ピリジル基、チエニル基、オキサジアゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フリル基、ピロリル基等が挙げられる。炭素数6〜14のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。炭素数4〜14のヘテロアリールオキシ基としては、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基、オキサジアゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、チアゾリルオキシ基、フリルオキシ基、ピロリルオキシ基等が挙げられる。炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。炭素数3〜5の分岐アルキル基としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。炭素数2〜5のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。炭素数2〜5のアルキニル基としては、アセチレン基等が挙げられる。炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。なお、アルコキシカルボニル基の炭素数はカルボニル炭素を含めた数である。
これらの基は更に置換されていてもよく、その置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基やメチレンジオキシ等の炭素数1〜4のアルコキシ基等が挙げられる。
前記式(1)で表される化合物の中では、m=0〜3かつRが置換されていてもよいメチル基、n=0〜4かつRがメチル基あるいは炭素数6〜12のアリール基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜3の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。具体的には、N−(1−フェニルエチル)アセトアミド、1−フェニルエチルアセテート等が挙げられる。
前記式(1)で表される化合物が、m=0〜3かつRが置換されていてもよいメチル基、n=0〜4かつRがメチル基あるいは炭素数6〜12のアリール基であり、Rが炭素数1〜3の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基である場合、生成するアミンあるいはアルコールが37%e.e.、51%e.e.、さらには99%e.e.以上の高い光学純度で得ることができる。
本発明の製造方法においては、前記アミドあるいはエステル化合物に、前記本発明の酵素または当該酵素の生産能を有する微生物の培養物を作用させる。ここで、「培養物」とは、菌体を含む培養液、培養菌体、又はその処理物を意味する。ここで「その処理物」とは、例えば、無細胞抽出液、凍結乾燥菌体、アセトン乾燥菌体、又はそれら菌体の磨砕物等を意味する。さらにこれら酵素及び培養物は、公知の手段により固定化酵素あるいは固定化菌体の形態として用いることもできる。固定化は、当業者に周知の方法(例えば架橋法、物理的吸着法、包括法等)で行うことができる。
(基質濃度)
反応に用いる基質の濃度としては、アミドあるいはエステル化合物が、反応液組成中、0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。
(反応pH)
本発明の酵素を作用させる際のpHは、酵素の作用至適pHの観点から、下限は、好ましくはpH5.0以上であり、より好ましくはpH6.0以上であり、上限は、好ましくはpH10.0以下であり、より好ましくはpH9.0以下である。
(反応温度)
本発明の酵素を作用させる際の温度は、酵素の作用至適温度および熱安定性の観点から、好ましくは20℃以上であり、より好ましくは25℃以上であり、好ましくは45℃以下であり、より好ましくは40℃以下である。
(溶媒)
反応溶媒は、通常、イオン交換水、緩衝液等の水性媒体を使用するが、有機溶媒を含んだ系でも反応を行うことができる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;その他、アセトニトリル等を適宜使用できる。
上記反応は、1相系で行ってもよいし、必要に応じて、上記の有機溶媒を水への溶解度以上に加えて、水相と有機溶媒相との2相系で反応を行うこともできる。有機溶媒を反応系に共存させることで、選択率、変換率、収率などが向上する場合も多い。
(反応時間)
反応は、通常、ラセミ体のエステルあるいはアミド化合物の半量程度が加水分解されるまでの反応をおこなう。通常、1時間〜1週間、好ましくは1〜72時間であり、そのような時間で反応が終了する反応条件を選択することが好ましい。なお、求められる生成物の光学純度や収率に応じて、反応の初期の段階で反応を中断したり、あるいは過剰に反応させてもよい。
(抽出精製)
上記の反応により、一般式(2)で表される光学活性化合物と未反応の対掌体の基質が生成する。生成した光学活性化合物、および未反応の対掌体の基質は反応混合液から抽出、蒸留、再結晶、カラム分離など公知の方法によって単離することができる。
例えば、生成物が光学活性アミンである場合、pHを酸性に調節後、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ヘキサン、オクタン、ベンゼン等の炭化水素類;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等一般的な溶媒により、生成した光学活性アミノ化合物を水相に残したまま、未反応の対掌体の基質を選択的に抽出することができる。その後、pHを塩基性に調節し、同様に一般的な有機溶媒をもちいて生成した光学活性アミノ化合物抽出することができる。
上記の反応における未反応の対掌体の基質は、光学活性を維持したままエステルあるいはアミド部分を通常の方法で加水分解することができ、必要に応じて、上記反応で得られた光学活性体とは逆の立体のアルコールあるいはアミンを導くことができる。
また、上記の反応によって得られた光学活性アルコールあるいはアミンは、光学活性を維持したままエステル化あるいはアミド化することができる。このようにして得られた基質で実施形態の酵素反応を複数回繰り返すことにより、必要に応じて、より光学純度の高い目的化合物を得ることも可能である。
本発明により、新規のアシルアミダーゼ、この新規なアシルアミダーゼをコードするDNA、または、それらのいずれかを利用して、様々な基質に対して、温和な条件下でアミド化合物あるいはエステル化合物を加水分解する方法が提供される。
以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
(実施例1) アシルアミダーゼHBSの精製
バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01(FERM BP−10765)を5Lの培地(組成:ポリペプトン 10g/L、Meat Extract 10g/L、NaCl 3g/L、Yeast Extract 5g/L(pH7.2))にて、28℃で24時間培養した。ついで、遠心分離により培養液から菌体を集め、生理食塩水で十分に洗浄したのち、1mM DTTを含む100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。得られた懸濁液を超音波破砕により破砕した。次に、該破砕物中の固形物を遠心分離により除去し、無細胞抽出液を調整した。
得られた無細胞抽出液に30%飽和となるように硫酸アンモニウムを添加し、これを溶解させ、ついで生じた沈殿を遠心分離により除去した。この上清に60%飽和となるように硫酸アンモニウムを添加し、これを溶解させて、ついで遠心分離により生じた沈殿を回収した。
この沈殿を1mM DTTを含む100mMリン酸緩衝液(pH7.0)で溶解させ、さらに同緩衝液に対して透析をおこなった。これを、同じ緩衝液で平衡化させたDEAE−Sephacel(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)カラム(size:30x215mm)に供し、活性画分を吸着させた。同一緩衝液でカラムを洗浄した後、0.2M塩化ナトリウムおよび、1mM DTTを含む100mMリン酸緩衝液(pH7.0)により活性画分を溶出させた。
溶出させた活性画分を集めて、これに、終濃度20%となるように硫酸アンモニウムを溶解し、20%硫酸アンモニウムおよび1mM DTTを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)であらかじめ平衡化したOctyl−Sepharose(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)カラム(size:20×65mm)に供し、活性画分を吸着させた。10%硫酸アンモニウムおよび1mM DTTを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)、ついで5%硫酸アンモニウムおよび1mM DTTを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)でカラムを洗浄したのち、1mM DTTを含む25mMリン酸緩衝液(pH7.0)で活性画分を溶出させた。
溶出させた活性画分を集めて、1mM DTTを含む5mMリン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析をおこなった。これを、同じ緩衝液で平衡化させたHydroxyapatite(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)カラム(size:20x15mm)に供し、活性画分を吸着させた。1mM DTTを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)でカラムを洗浄したのち、1mM DTTを含む25mMリン酸緩衝液(pH7.0)で活性画分を溶出させた。
溶出させた活性画分を集めて、20%硫酸アンモニウムおよび1mM DTTを含む100mMリン酸緩衝液(pH7.0)で十分に希釈した。これを、同じ緩衝液で平衡化させたButyl−Toyopearl(東ソー株式会社製)カラム(size:20x20mm)に供し、活性画分を吸着させた。15%硫酸アンモニウムおよび1mM DTTを含む100mMリン酸緩衝液(pH7.0)、ついで10%硫酸アンモニウムおよび1mMDTTを含む100mMリン酸緩衝液(pH7.0)でカラムを洗浄したのち、5%硫酸アンモニウムおよび1mM DTTを含む100mMリン酸緩衝液(pH7.0)で活性画分を溶出させた。
溶出させた活性画分を集めて、電気泳動的に単一な精製酵素標品を得た。以後、この酵素をHBSと称する。
なお、アシルアミダーゼの活性は以下のように測定した。即ち、酵素液0.1mLを下記組成を有する基質溶液0.9mLに添加し、30℃で反応させた。30分後、メタノールを1mL添加して反応を停止させ、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析し、生成したアニリン濃度を定量した。得られたアシルアミダーゼの活性は、精製酵素1mgあたり2.7Uであった。
[基質溶液組成]
アセトアニリド 5.0mM
リン酸緩衝液(pH7.0) 100mM
計0.9mL
[高速液体クロマトグラフィーによる測定条件]
カラム :Wakosil−II5C18AR 4.6mmx150mm(和光純薬工業株式会社製)
移動相 :10mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0):メタノール=4:1
流速 :1.0mL/min
検出波長:265nm
(実施例2) 精製酵素の理化学的性質1
実施例1で得たHBS精製酵素について、その理化学的性質について調べた。
(1)作用
HBS精製酵素のアシルアミダーゼ活性は、実施例1と同様に測定した。
(2)分子量
精製酵素をTSK GEL−G−3000(0.75x60cm、東ソー株式会社製)を用いたゲルろ過分析により行ったところ、分子量は約90,000であった。また、サブユニットの分子量を10% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定したところ、分子量は約40,000であった。
(3)至適pH
pH4.0〜11.0の範囲で、上記と同様にしてアセトアニリドを基質とした活性を、測定し、HBSの至適pHを調べた。その結果、至適pHは6〜9であった。ただし、上記測定方法において、測定を行うpHに応じて基質溶液における緩衝液は下記のものを用いた。
pH4.0〜6.0 :0.1Mクエン酸緩衝液
pH6.0〜8.0 :0.1Mリン酸カリウム緩衝液
pH7.5〜9.0 :0.1Mトリス−塩酸緩衝液
pH9.0〜11.0:0.1Mグリシンナトリウム緩衝液
(4)至適温度
上記と同様にしてアセトアニリドを基質とした活性を、反応温度10〜80℃の範囲で測定した。その結果、至適温度は25〜45℃であった。
(5)熱安定性
精製酵素を0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に添加し、これを10〜80℃において30分間処理した後、上記アミダーゼ活性を測定した。その結果、処理前と比べて、10℃〜40℃処理では90%以上の活性が残存していた。
(6)阻害剤
精製酵素液0.1mLを下記組成を有する基質溶液0.9mLに添加し、30℃で反応させた。30分後、メタノールを1mL添加して反応を停止させ、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析し、生成したアニリンを定量した。その結果、HgClまたはAgNOのいずれを添加した場合であっても、反応が進行しなかった。
[基質溶液組成]
アセトアニリド 5mM
リン酸緩衝液(pH7.0) 100mM
阻害剤 1mM
計0.9mL
(実施例3)精製酵素の理化学的性質2(基質特異性)
精製酵素液0.1mLを、下記組成を有する基質溶液0.9mLに添加し、30℃で反応させた。30分後、メタノールを1mL添加して反応を停止させ、反応液中に生成したアルコール、アミン、あるいはアンモニアを表1および表2に示す条件で分析した。
ただし、p−ニトロフェニルアセテート、p−ニトロフェニルプロピオネート、p−ニトロフェニルブチレートを基質としたときは、反応液をNaHCOで塩基性にしたのち、400nmでの吸光度で、生成したp−ニトロフェノールを測定した。
また、アセトアミド、n−ブチルアミド、ベンズアミドを基質とした反応は、生成したアンモニアをConwayの拡散分析法を用いて測定した。すなわち、Conwayの拡散ユニットの外室に反応液上清0.2mLと炭酸カリウム飽和溶液2.0mLをそれぞれ加えた。また、内室に0.01N硫酸1.5mLを加えた後、蓋をし、外室の2液を接触させて3時間放置した。その後、内室の反応液0.5mLを採取した。
採取した内液0.5mLに0.5mLの330mMナトリウムフェノキシドと0.5mLの0.01%(w/v)のニトロプルシドナトリウム、0.5mLの0.84%(v/v)次亜塩素酸ナトリウム水溶液を加えた後、100℃で5分加熱した。その後蒸留水を3mL加え、その反応液の吸光度(A640)を標準サンプルの吸光度と比較し、活性値を求めた。
基質特異性の測定に用いる酵素量は、使用する基質によって異なり、その量を表1の酵素使用量の欄に記載した。この酵素使用量の単位(mU)はアセトアニリドを基質として用いた場合の酵素活性で示した。相対活性は単位酵素量あたりの各基質に対する活性をアセトアニリドに対する活性を100としたときの相対値で示した。
その結果を表1に示した。この酵素は、アセトアニリド、ホルムアニリド、酢酸フェニルに高い活性を示した。また、ベンズアミド、n−ブチルアミド、N−アセチル−L−フェニルアラニン、N−アセチル−DL−トリプトファン、N−アセチル−L−チロシンには作用しなかった。
したがって、本実施例のアシルアミダーゼは、ホルムアニリド、アセトアニリド、酢酸フェニルのそれぞれに実質的に作用し、かつ、ベンズアミド、n−ブチルアミド、N−アセチル−L−フェニルアラニン、N−アセチル−DL−トリプトファン、N−アセチル−L−チロシンのそれぞれに実質的に作用しないという、従来のアシルアミダーゼの基質特異性とは異なる、ユニークかつ有用な基質特異性を有することが明らかとなった。
[基質溶液組成]
基質 1〜100mM
リン酸緩衝液(pH7.0) 50mM
Figure 2007097429
Figure 2007097429
(実施例4)精製酵素の理化学的性質3(立体選択性)
実施例3で得られた反応液のうち、1−フェニルエチルアセテートとN−(1−フェニルエチル)アセトアミドについて下記の測定条件で生成物の光学純度を測定した。その結果、1−フェニルエタノールはR体で37%e.e.、1−フェネチルアミンはR体で51%e.e.であった。
[高速液体クロマトグラフィーによる測定条件(1−フェニルエタノール)]
カラム :Chiralcel OB 4.6mmx250mm
(ダイセル化学工業社製)
移動相 :n−Hexane:2−Propanol=9:1
流速 :1.0mL/min
検出波長:254nm
[高速液体クロマトグラフィーによる測定条件(1−フェネチルアミン)]
カラム :Chiralcel CR(+) 4.6mmx150mm
(ダイセル化学工業社製)
移動相 :HClO(pH1.5)
流速 :0.8mL/min
検出波長:210nm
(実施例5) 精製酵素の理化学的性質4(アセトアニリドに対するKm)
実施例1で得たHBS精製酵素について、アセトアニリドに対するKmを調べた。精製酵素液0.1mLを下記組成を有する基質溶液0.9mLに添加し、30℃で反応させた。30分後、メタノールを1mL添加して反応を停止させ、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析し、生成したアニリンを定量し、Lineweaver−Burk PlotsによりKmを求めところ、0.21mMであった。高速液体クロマトグラフィーは、実施例1と同じ条件で行った。
[基質溶液組成]
アセトアニリド 0.1〜2.5mM
リン酸緩衝液(pH7.0) 100mM
計0.9mL
(実施例6) HBS遺伝子のクローニング
(PCRプライマーの作成)
実施例1で得られた精製HBSのN末端アミノ酸配列をABI492型プロテインシーケンサー(PerkinElmer Biosystems社)により決定した。また、実施例1で得られた精製HBSをリシルエンドペプチダーゼで消化し、得られたペプチド断片のアミノ酸配列をN末端アミノ酸配列と同様の方法で決定した。このアミノ酸配列から予想される塩基配列を考慮し、HBS遺伝子の一部をPCRにより増幅するためのプライマー1(配列番号3)、および、プライマー2(配列番号4)を合成した。
(PCRによるHBS遺伝子の増幅)
バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01(FERM BP−10765)の培養液から、Murray等(Nucl.Acids Res.,8,4321,1980)に記載の方法に従って染色体DNAを抽出した。得られた染色体DNAを鋳型に、上記で合成したプライマーを用いてPCRを行った。その結果、HBS遺伝子の一部と考えられる約134bpのDNA断片を取得した。
このDNA断片を、プラスミドpT7Blue T−Vector(Novagen社製)にクローニングし、ABI PRISM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(Perkin Elmer社製)およびABI 310 DNA Sequencer(Perkin Elmer社製)を用いてその塩基配列を決定した。
(サザンハイブリダイゼーション)
上記染色体DNAを制限酵素HindIIIで処理し、DNA断片を調整した。決定したDNA配列をプローブとして、サザンハイブリダイゼーションを行い、プローブとハイブリダイズするDNA断片をゲルから抽出した。抽出したDNA断片をpBluescriptベクターに挿入し、ミニライブラリーを作成後、大腸菌E.coli(JM109)を形質転換した。形質転換された大腸菌ライブラリーの中から、コロニーハイブリダイゼーション法により、プローブとハイブリダイズするポジディブクローンを選択し、インサートのDNA配列をABI 310 DNA Sequencer(Perkin Elmer社製)を用いて決定した。その結果、1050bpのORF(配列番号2)が明らかとなった。
(ORFのデータベース解析)
得られたORFのDNA配列についてBLASTによる相同性検索を行ったところ、相同性の高い上位3つの遺伝子とその相同性は以下のとおりであった。
Homoserine acetyltransferase(Corynebacterium glutamicum ATCC 13032):64%
Homoserine acetyltransferase(Rhodococcus sp.DK 17):63%
Deacetylcephalosporin C acetyltransferase(Streptomyces clavuligerus):34%
(実施例7) HBS遺伝子を含む組換えプラスミドの作製
実施例6で得られたORFの情報をもとに、ORFの5’末端に制限酵素NdeIのサイトを付加させるように設計したプライマー3(配列番号5)、および、ORFの3’末端に制限酵素HindIIIのサイトを付加させるように設計したプライマー4(配列番号6)を合成した。このプライマーを用いて、ポジティブクローンから得られたプラスミドを鋳型にしてPCRを行い、増幅したDNA断片を制限酵素NdeIおよびHindIIIで処理し、DNA ligation Kit(タカラバイオ社製)を用いてpET21a(+)ベクター(Novagen社製)に組み込んで、組換えベクターpET21HBSを得た。
(実施例8) HBS遺伝子を含む組換え大腸菌の作製とHBSの発現
実施例7で得た組換えベクターpET21HBSを用いて大腸菌E.coli BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社製)を取扱説明書にしたがって形質転換し、組換え大腸菌E.coli BL21(DE3)(pET21HBS)を得た。得られた組換え大腸菌E.coli BL21(DE3)(pET21HBS)をLB培地に植菌し、37℃で4−6時間培養した後、IPTGを終濃度1mMになるように無菌的に添加し、さらに20℃で20時間培養した。得られた培養液を集菌後、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し、超音波破砕により無細胞抽出液を得た。この無細胞抽出液について実施例3と同様にアセトアニリドを基質としてアミダーゼ活性を測定したところ、培養液1mLあたり0.73Uの該活性が見られた。

Claims (19)

  1. 以下の理化学的性質を有するアシルアミダーゼ:
    (1)分子量:ゲルろ過分析で約90,000、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析で約40,000;
    (2)基質特異性:ホルムアニリド、アセトアニリド、酢酸フェニルのそれぞれに実質的に作用し、かつ、ベンズアミド、n−ブチルアミド、N−アセチル−L−フェニルアラニン、N−アセチル−DL−トリプトファン、N−アセチル−L−チロシンのそれぞれに実質的に作用しない;
    (3)作用至適pH:6〜9;
    (4)作用至適温度:25〜45℃;
    (5)熱安定性:10〜40℃;
    (6)阻害剤:HgCl、AgNOで活性が完全に阻害される。
  2. バチルス(Bacillus)属に属する微生物から得られた酵素である、請求項1記載のアシルアミダーゼ。
  3. バチルス エスピー(Bacillus sp.)から得られた酵素である請求項1記載のアシルアミダーゼ。
  4. バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01(FERM BP−10765)から得られた酵素である、請求項1記載のアシルアミダーゼ。
  5. 下記のいずれかのポリペプチド:
    (1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド;
    (2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルアミダーゼ活性を有するポリペプチド;
    (3)配列番号1に記載のアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、アシルアミダーゼ活性を有するポリペプチド。
  6. 請求項1記載の理化学的性質を示すアシルアミダーゼ活性を有する請求項5に記載のポリペプチド。
  7. 少なくともホルムアニリドに作用するアシルアミダーゼ活性を有する請求項5に記載のポリペプチド。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするDNA。
  9. 下記(A)又は(B)に示すDNA:
    (A)配列番号2に記載の塩基配列を含むDNA;
    (B)配列番号2に記載の塩基配列と相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシルアミダーゼ活性を有する酵素をコードするDNA。
  10. 請求項1記載の理化学的性質を示すアシルアミダーゼをコードする請求項9記載のDNA。
  11. 少なくともホルムアニリドに作用するアシルアミダーゼ活性を有するアシルアミダーゼをコードする請求項9記載のDNA。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項に記載のDNAを含むベクター。
  13. 請求項12に記載のベクターにより宿主細胞を形質転換して得られる形質転換体。
  14. 前記宿主細胞が大腸菌である請求項13に記載の形質転換体。
  15. バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01(FERM BP−10765)、または、請求項13または14に記載の形質転換体を栄養培地中で培養し、得られた培養液から、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアシルアミダーゼあるいは請求項5〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドを取得することを特徴とする、アシルアミダーゼあるいはポリペプチドの製造方法。
  16. アミド化合物あるいはエステル化合物に請求項1〜4のいずれか1項に記載のアシルアミダーゼあるいは請求項5〜7のいずれか1項に記載のポリペプチド、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01(FERM BP−10765)、または、請求項13又は14に記載の形質転換体の培養物を作用させ、前記アミド化合物あるいはエステル化合物を加水分解させることを特徴とするカルボン酸、アルコール、あるいは、アミンの製造方法。
  17. ラセミ体のアミド化合物あるいはエステル化合物に請求項1〜4のいずれか1項に記載のアシルアミダーゼあるいは請求項5〜7のいずれか1項に記載のポリペプチド、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01(FERM BP−10765)、または、請求項13又は14に記載の形質転換体の培養物を作用させ、前記ラセミ体の一方の立体のみを選択的に加水分解させることを特徴とする光学活性体の製造方法。
  18. 一般式(1):
    Figure 2007097429
    (式中、mおよびnはそれぞれ独立して0〜7の整数を示し、R、Rはそれぞれ独立して、炭素数6〜14のアリール基、炭素数4〜14のヘテロアリール基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数4〜14のヘテロアリールオキシ基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜5の分岐鎖アルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、シアノ基、メチル基またはカルボキシル基を示し、これらの基は置換されていてもよい。Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を示す。Xは窒素原子あるいは酸素原子を示す。)で表されるエステル化合物あるいはアミド化合物に請求項1〜4のいずれか1項に記載のアシルアミダーゼあるいは請求項5〜7のいずれか1項に記載のポリペプチド、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KNK−M01(FERM BP−10765)、または、請求項13又は14に記載の形質転換体の培養物を作用させることによる、一般式(2):
    Figure 2007097429
    (式中、X、m、n、R、Rは前記式(1)と同じ)で表される光学活性アルコールあるいは光学活性アミンの製造方法。
  19. 一般式(1)で表される化合物において、m=0〜3かつRが置換されていてもよいメチル基、n=0〜4かつRがメチル基あるいは炭素数6〜12のアリール基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜3の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基である請求項18記載の製造方法。
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